以下、有価媒体処理装置、有価媒体処理システム、及び、有価媒体処理方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、有価媒体処理装置、有価媒体処理システム、及び、有価媒体処理方法の一例である。
図1は、有価媒体処理システム1の構成例を示している。有価媒体処理システム1は、例えば銀行等の金融機関に設けられる。有価媒体処理システム1は、有価媒体処理装置10と、第一管理コンピュータ11と、第二管理コンピュータ12と、を備えている。有価媒体処理装置10及び第一管理コンピュータ11は、例えば金融機関の営業店舗に設置される。第二管理コンピュータ12は、例えば金融機関の本店に設置される。つまり第二管理コンピュータ12は、有価媒体処理装置10が設置されている営業店舗から離れた位置に設置され、遠隔(リモート)で有価媒体処理装置10に指示を行う。有価媒体処理装置10と第一管理コンピュータ11と第二管理コンピュータ12とは、共に、ネットワーク2に接続されている。尚、「有価媒体」は、有価媒体処理装置10が処理を行う媒体を意味する。具体的に、以下の説明において「有価媒体」には、バラ紙幣、帯封紙幣、バラ硬貨、包装硬貨、リジェクト紙幣、損券、旧券、新券、及び、有価証券が含まれる。尚、「有価媒体」は、それよりも広い意味としてもよい。
(有価媒体処理装置の構成例)
図2は、有価媒体処理装置10の構成を例示するブロック図である。有価媒体処理装置10は、紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200、紙葉類処理ユニット300、プリンタ400、及び、端末ユニット500を備えている。
紙幣処理ユニット100は、紙幣の処理を行う。具体的に、紙幣処理ユニット100は、バラ紙幣の入金処理及び出金処理を行う。紙幣処理ユニット100はまた、帯封紙幣の作成、及び、帯封紙幣の出金処理を行う。
硬貨処理ユニット200は、硬貨の処理を行う。具体的に、硬貨処理ユニット200は、バラ硬貨の入金処理及び出金処理を行う。硬貨処理ユニット200はまた、包装硬貨の作成、及び、包装硬貨の出金処理を行う。
紙葉類処理ユニット300は、紙幣処理ユニット100が処理を行わない紙幣の処理を行う。紙幣処理ユニット100が処理を行わない紙幣は、紙幣処理ユニット100がリジェクトしたリジェクト紙幣、損傷度合いや汚損が激しい紙幣である損券、及び、現在発行されている紙幣よりも発行された年代が古い紙幣である旧券である。紙葉類処理ユニット300はまた、未だ市場流通していない紙幣(いわゆる新券)の処理も行う。紙葉類処理ユニット300はさらに、紙幣の他に、小切手や手形といった有価証券の処理も行う。紙葉類処理ユニット300は、リジェクト紙幣、損券、旧券、有価証券の入金処理、及び、新券の出金処理を行う。
プリンタ400は、例えば感熱式プリンタや、インクジェットプリンタによって構成されている。プリンタ400は、有価媒体処理装置10において取引を行う毎に伝票の印刷をしたり、各種のレシートの印刷を行ったりする。
端末ユニット500は、操作者が操作をする操作部でありかつ、操作者に対して各種の情報を、表示を通じて報知する報知部である。端末ユニット500は、タッチパネル501を備えている。タッチパネル501は、表示部と操作部とが一体化している。タッチパネル501は、種々の情報を含んだ画面を表示すると共に、操作者が当該画面において行った操作に対応する信号を出力する。
端末ユニット500はまた、紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200、紙葉類処理ユニット300、及び、プリンタ400の制御を行う制御装置である。端末ユニット500は、周知のマイクロコンピュータをベースとした制御部600を備えている。制御部600は、例えばCPUと、メモリと、I/Oバスと、クロックとを含んでいる。CPUは、プログラムを実行する中央演算処理装置(Central Processing Unit)である。メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)及び/又はROM(Read Only Memory)により構成されかつ、プログラム及びデータを格納する。I/Oバスは、電気信号の入出力を行う。クロックは、時刻情報を管理する。
端末ユニット500は、紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200、紙葉類処理ユニット300、及び、プリンタ400に制御信号を出力する。紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200、紙葉類処理ユニット300、及び、プリンタ400はそれぞれ、端末ユニット500の制御信号に従って動作する。
端末ユニット500はまた、記憶部502、カードリーダ503、及び、通信部504を備えている。記憶部502は、有価媒体処理装置10の在高を少なくとも記憶している。カードリーダ503は、操作者が有しているIDカードの情報を読み取る。通信部504は、ネットワーク2に接続されている。通信部504は、ネットワーク2を通じた通信を行う。端末ユニット500は、通信部504及びネットワーク2を介して、第一管理コンピュータ11及び第二管理コンピュータ12に接続されている。
第一管理コンピュータ11は、有価媒体処理装置10の管理を行う。第一管理コンピュータ11は、有価媒体処理装置10から送信されたデータを管理する。第二管理コンピュータ12も、有価媒体処理装置10の管理を行う。第二管理コンピュータ12も、有価媒体処理装置10から送信されたデータを管理する。
第一管理コンピュータ11及び/又は第二管理コンピュータ12には、図1に例示するように、スマートフォン31や、タブレット端末32のような携帯端末が通信可能に接続される。操作者は、スマートフォン31又はタブレット端末32を操作することによって、第一管理コンピュータ11及び/又は第二管理コンピュータ12を通じて、有価媒体処理装置10に処理を実行させることができる。スマートフォン31又はタブレット端末32は、第一管理コンピュータ11及び/又は第二管理コンピュータ12を介さずに、有価媒体処理装置10に直接、接続されるよう構成してもよい。
(紙幣処理ユニットの構成例)
図3は紙幣処理ユニット100の内部構成を概略的に示す図である。図3において、紙面左側の面が紙幣処理ユニット100の前面であり、紙面右側の面が紙幣処理ユニット100の後面である。
紙幣処理ユニット100の筐体101の前面には、投入部102、バラ紙幣投出部103、及び、帯封紙幣投出部104がそれぞれ設けられている。投入部102には、入金対象のバラ紙幣が投入される。バラ紙幣投出部103は、バラ紙幣を出金する。帯封紙幣投出部104は、帯封紙幣を出金する。
搬送部105は、バラ紙幣を、一枚ずつ搬送する。搬送部105には識別部106が設けられている。識別部106は、入金対象又は出金対象のバラ紙幣の金種、真偽、表裏、正損、新旧、及び、搬送状態を識別する。識別部106は、様々なセンサを有している。
搬送部105には、紙幣一時保留部107と、複数のバラ紙幣収納部108とが接続されている。紙幣一時保留部107は集積方式の収納部である。紙幣一時保留部107はバラ紙幣を積層状態で収納する。バラ紙幣収納部108も集積方式の収納部であり、バラ紙幣を積層状態で収納する。
操作者は、入金対象のバラ紙幣を、投入部102に投入する。入金対象のバラ紙幣は、機内に取り込まれて識別及び計数された後に、紙幣一時保留部107に一時的に保留される。入金処理が確定した後、紙幣一時保留部107に一時保留したバラ紙幣は、バラ紙幣収納部108に収納される(つまり、バラ紙幣の入金処理)。また、入金対象のバラ紙幣は、紙幣一時保留部107に一時的に保留されることなくバラ紙幣収納部108に収納されることもある。
いくつかのバラ紙幣収納部108は、収納している紙幣を繰り出すことができる。出金対象のバラ紙幣は、バラ紙幣収納部108から繰り出されかつ識別部106が識別した後に、バラ紙幣投出部103に出る(つまり、バラ紙幣の出金処理)。
搬送部105には複数の集積部109が接続されている。集積部109は、バラ紙幣を積層状態で集積する。集積部109の隣には、帯封部110が設けられている。集積部109に集積された所定枚数(例えば100枚)の紙幣の束は、アーム機構111によって帯封部110に搬送される。帯封部110は、紙幣束に帯封紙を巻くことによって帯封紙幣を作成する。アーム機構111は、帯封部110において作成された帯封紙幣をさらに、揚送部112に搬送する。
揚送部112は、上下方向に移動可能なステージ112aを有している(同図の実線及び一点鎖線参照)。アーム機構111は、帯封紙幣をステージ112a上に受け渡す。ステージ112a上には、複数の帯封紙幣を重ねることができる。
揚送部112は、ステージ112aを帯封紙幣投出部104よりも高い位置で停止することにより、ステージ112a上に集積されている帯封紙幣を、帯封紙幣搬送部113に受け渡すことができる。また、揚送部112は、帯封紙幣収納部114から出た帯封紙幣を、帯封紙幣搬送部113から受け取り、ステージ112a上に集積することができる。
帯封紙幣収納部114は、筐体101の内部における上部領域に設けられている。上部領域には、複数の帯封紙幣収納部114が並んでいる。帯封紙幣収納部114は、帯封紙幣を積層状態で集積することができる。帯封紙幣収納部114はまた、集積している帯封紙幣を、上端開口から上方に出すことができる。
帯封紙幣搬送部113は、帯封紙幣収納部114の上方に設けられている。帯封紙幣搬送部113は、帯封紙幣の搬送を行う。帯封紙幣搬送部113は、複数の突起113aが等間隔で設けられた循環ベルト113bを有している。帯封紙幣は、突起113aにより引っ掛けられた状態で、循環ベルト113bの下面に沿って移動する。
揚送部112と帯封紙幣収納部114との間には、第二識別部115が設けられている。第二識別部115は、帯封紙幣の最下面の紙幣の撮像画像に基づいて、帯封紙幣の金種を識別する。
図3に一点鎖線で示すように、ステージ112aが帯封紙幣投出部104と同程度の高さで停止し、この状態で、帯封紙幣投出部104のシャッタ104aが開くと、操作者はステージ112a上に集積されている帯封紙幣を取り出すことができる(つまり、帯封紙幣の出金処理)。
(硬貨処理ユニットの構成例)
図4〜図6は硬貨処理ユニット200の内部構造を示す図である。図4は、硬貨処理ユニット200を正面から見た図、図5は左側面から見た図、図6は右側面から見た図である。図5において、紙面右側の面が硬貨処理ユニット200の前面であり、紙面左側の面が硬貨処理ユニット200の後面である。図6において、紙面左側の面が硬貨処理ユニット200の前面であり、紙面右側の面が硬貨処理ユニット200の後面である。
硬貨処理ユニット200の筐体201内の上部には、投入部202と、入金識別部203と、入金搬送部204とが設けられている。投入部202には、入金対象のバラ硬貨が投入される。投入部202は、投入された複数枚の硬貨を1枚ずつ繰り出す。入金識別部203は、硬貨の金種、真偽、正損を識別する。入金識別部203は、様々なセンサを有している。入金搬送部204は、識別後の硬貨を、硬貨一時保留部205に搬送する。
硬貨一時保留部205は、入金搬送部204の下方に配設されている。硬貨一時保留部205は、入金対象の硬貨を一時的に保留(つまり、収納)する。硬貨一時保留部205は、複数の保留筒を有している。入金搬送部204は、入金対象の硬貨を、金種別に複数の保留筒に振り分ける。硬貨一時保留部205は、保留している硬貨を、バラ硬貨収納部206又は返却箱207に選択的に放出する。
返却箱207は、硬貨一時保留部205の下方に配設されている。返却箱207は、硬貨一時保留部205から放出された返却硬貨を収納する。返却箱207は、筐体201の前面から前方に引き出すことが可能である。
バラ硬貨収納部206は、返却箱207の横に配設されている。バラ硬貨収納部206は、硬貨一時保留部205から放出された入金対象の硬貨を収納する。バラ硬貨収納部206は、複数の収納庫を有している。複数の収納庫は、硬貨一時保留部205の複数の保留筒に対応している。入金対象の硬貨は、機内に取り込まれて識別された後に、バラ硬貨収納部206に収納される(つまり、バラ硬貨の入金処理)。
バラ硬貨収納部206の下方には、出金搬送部208と出金識別部209が配置されている。出金搬送部208の下方には、出金箱210と包装部211が配置されている。
バラ硬貨収納部206は、内部に収納している硬貨を出金搬送部208に金種別に1枚ずつ繰り出すことができる。出金搬送部208は、硬貨を出金箱210又は包装部211に選択的に搬送する。
出金識別部209は、出金箱210へ搬送される出金対象の硬貨の識別と計数とを行う。出金識別部209は、硬貨の金種,真偽,正損を識別する。出金識別部209は、様々なセンサを有している。
出金箱210は、出金対象の硬貨を収納する。出金箱210は、筐体201の前面から前方に引き出すことができる。出金対象のバラ硬貨は、バラ硬貨収納部206から繰り出されて識別された後に、出金箱210を通じて機外に出される(つまり、バラ硬貨の出金処理)。
包装部211は、所定枚数の硬貨を包装紙で包装することによって包装硬貨を作成する。包装部211は、バラ硬貨収納部206から繰り出されかつ出金搬送部208によって搬送された硬貨を用いて包装硬貨を作成する。包装部211は、作成した包装硬貨を包装硬貨搬送部212に放出する。
包装硬貨搬送部212は、包装部211と包装硬貨収納部213とを接続する。包装硬貨搬送部212はまた、包装硬貨収納部213と包装硬貨一括箱214と包装硬貨出金部215とを接続する。包装硬貨搬送部212は、これらの各部の間において、包装硬貨を搬送する。
包装硬貨収納部213は、包装硬貨を金種別に収納する。包装硬貨収納部213は収納している包装硬貨を繰り出す。包装硬貨一括箱214は、包装硬貨収納部213から繰り出された出金対象の包装硬貨を保持する。包装硬貨出金部215は、出金対象の包装硬貨を保持する。操作者は、包装硬貨一括箱214の包装硬貨、及び、包装硬貨出金部215の包装硬貨を取り出すことができる(つまり、包装硬貨の出金処理)。
(紙葉類処理ユニットの構成例)
図7は紙葉類処理ユニット300の内部構成図である。図7において、紙面左側の面が紙葉類処理ユニット300の前面であり、紙面右側の面が紙葉類処理ユニット300の後面である。
紙葉類処理ユニット300には、紙葉類が投入される投入部302と、紙葉類を機外に払い出す払出部303とが設けられている。投入部302及び払出部303は、紙葉類処理ユニット300の筐体301の前面に設けられている。
搬送部304は、投入部302から繰り出された有価媒体を、一枚ずつ搬送する。搬送部304には、撮像部305が設けられている。撮像部305は、機内に取り込んだ有価媒体の両面を撮像することによって画像データを取得する。
搬送部304にはまた、一時保留部306が接続されている。一時保留部306は、撮像部305を通過した有価媒体を一時的に保留する。一時保留部306は、テープ巻取方式に構成されている。一時保留部306は、有価媒体をテープと共に、ドラムに巻き取る。
紙葉類処理ユニット300の筐体301内には、小切手等を収納する、複数の特定有価証券収納部307と、損券や旧券を収納する損券収納部308とが設けられている。特定有価証券収納部307は集積方式の収納部である。
損券収納部308は、第1損券収納部309と、第2損券収納部310とを備えている。第1損券収納部309は集積方式の収納部である。第2損券収納部310はテープ巻取方式の収納部である。
入金対象の紙葉類は、機内に取り込まれた後、特定有価証券収納部307、第1損券収納部309、又は、第2損券収納部310に収納される(つまり、紙葉類の入金処理)。
紙葉類処理ユニット300の筐体301内には、複数の新券収納部311が設けられている。新券収納部311は、新券を収納する。各新券収納部311は、繰出機構によって、新券を搬送部304に一枚ずつ繰り出すことができる。
払出部303は搬送部304に接続されている。例えば新券の出金処理時に、搬送部304は、新券収納部311から繰り出された新券を払出部303に搬送し、払出部303に新券を出す(つまり、新券の出金処理)。新券収納部311と払出部303との間には、新券識別部312が配設されている。新券識別部312は、新券の識別を行う。
(有価媒体処理装置の精査処理)
有価媒体処理装置10は、各ユニットに収納している有価媒体を計数する精査処理を実行する。具体的に、紙幣処理ユニット100は、バラ紙幣収納部108に収納しているバラ紙幣を対象とした精査処理を行う場合には、搬送部105が、バラ紙幣収納部108と紙幣一時保留部107との間において紙幣を搬送する。バラ紙幣収納部108と紙幣一時保留部107との間で紙幣が往復移動する間に、識別部106が紙幣の識別及び計数を行う。制御部600は、識別結果及び計数結果と、記憶部502が記憶している在高とを比較する。
紙幣処理ユニット100はまた、帯封紙幣収納部114に収納している帯封紙幣を対象とした精査処理を行う場合には、帯封紙幣搬送部113が、帯封紙幣収納部114と揚送部112との間において帯封紙幣を搬送する。帯封紙幣収納部114と揚送部112との間で紙幣が往復移動する間に、第二識別部115が帯封紙幣の識別及び計数を行う。制御部600は、識別結果及び計数結果と、記憶部502が記憶している在高とを比較する。
硬貨処理ユニット200は、バラ硬貨収納部206に収納しているバラ硬貨を対象とした精査処理を行う場合には、バラ硬貨収納部206に収納しているバラ硬貨を、出金経路を通じて機外に払い出し、払い出されたバラ硬貨を操作者が投入部202に再投入した後、入金識別部203がバラ硬貨の識別及び計数を行う。識別されたバラ硬貨は元のバラ硬貨収納部206に収納される。制御部600は、識別結果及び計数結果と、記憶部502が記憶している在高とを比較する。
硬貨処理ユニット200は、包装硬貨収納部213に収納している包装硬貨を対象とした精査処理を行う場合には、包装硬貨収納部213に設けたセンサユニット(図示せず)が、包装硬貨収納部213の包装硬貨の数を数える。制御部600は、計数結果と、記憶部502が記憶している在高とを比較する。
紙葉類処理ユニット300は、新券収納部311に収納している新券を対象とした精査処理を行う場合には、搬送部304が、新券収納部311と一時保留部306との間において新券を搬送する。新券収納部311と一時保留部306との間で紙幣が往復移動する間に、新券識別部312が新券の識別及び計数を行う。制御部600は、識別結果及び計数結果と、記憶部502が記憶している在高とを比較する。
有価媒体処理装置10は、精査処理として、第一の精査処理と、第二の精査処理と、を行うことができる。第一の精査処理は、収納部から繰り出した有価媒体を第一速度で搬送しかつ計数する。第二の精査処理は、収納部から繰り出した有価媒体を第一速度よりも遅い第二速度で搬送しかつ計数する。
第一速度は相対的に速いため、第一の精査処理は、所要時間が短い。第二速度は相対的に遅いため、第二の精査処理中は、精査処理を行っている間に、有価媒体の詰まりが発生したり、識別エラー等によりリジェクト媒体が発生したりすることが抑制される。
尚、紙幣処理ユニット100における第一速度、硬貨処理ユニット200における第一速度、及び、紙葉類処理ユニット300における第一速度は、同じ速度とは限らない。紙幣処理ユニット100における第二速度、硬貨処理ユニット200における第二速度、及び、紙葉類処理ユニット300における第二速度は、同じ速度とは限らない。
紙幣処理ユニット100における第二速度は、紙幣処理ユニット100における第一速度よりも遅い。硬貨処理ユニット200における第二速度は、硬貨処理ユニット200における第一速度よりも遅い。紙葉類処理ユニット300における第二速度は、紙葉類処理ユニット300における第一速度よりも遅い。
第一速度は、紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200、及び、紙葉類処理ユニット300の各ユニットにおいて、入金処理及び出金処理の際に有価媒体を搬送する速度と同じ速度としてもよい。この場合、第二速度は、入金処理及び出金処理の際に有価媒体を搬送する速度よりも遅い速度になる。第二速度は、一例として、第一速度の1/3程度の速度にしてもよい。
ユニット内の全ての有価媒体を対象とした精査処理は特に、精査対象の有価媒体の数が多いため、所要時間が長くなってしまう。店舗の営業に影響が及ばないよう、有価媒体処理装置10の精査処理は、店舗の営業時間外(例えば夜間や休日)に、無人で行うことが考えられる。
しかしながら、営業時間外に無人で精査処理を行っている最中に、有価媒体の詰まりが発生してしまうと、精査処理を続けることができなくなって、有価媒体処理装置10が停止してしまう。精査処理の途中で有価媒体処理装置10が停止した場合は、担当者が有価媒体の詰まりを解消した上で精査処理を再開し、店舗の次の営業が開始するまでに精査処理を完了しなければならない。これは、担当者に大きな負担を強いてしまう。
また、営業時間外に無人で精査処理を行っているときに、識別エラーや識別不可といった要因によってリジェクトされた有価媒体が発生した場合も、担当者は、次の営業が開始するまでに、リジェクトされた有価媒体を、有価媒体処理装置10に、再度、識別させて収納部に収納させる等の対応をしなければならない。リジェクトされた有価媒体の数が多くなるほど、担当者の負担も大きくなってしまう。
営業時間外に無人で精査処理を行う場合に、有価媒体処理装置10が、相対的に遅い速度で有価媒体を搬送する第二の精査処理を実行することによって、有価媒体の詰まりの発生、及び、リジェクト媒体の発生を抑制することができる。その結果、有価媒体処理装置10は、精査処理を適切に行うことができる。有価媒体処理装置10が第二の精査処理を実行すると、精査処理の所要時間は長くなるが、営業時間外であるため、精査処理の所要時間が長くなることは許容できる。
図8は、有価媒体処理装置10において、制御部600が実行する処理に関係する機能ブロックを示している。尚、図8のブロック図は、制御部600が実行する処理を説明するために用いる図であり、有価媒体処理装置10の制御部600は、図8に示す各部を実体として有しているとは限らない。
制御部600は、紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200、及び、紙葉類処理ユニット300の各ユニットにおいて入金処理を実行する入金処理部601と、各ユニットにおいて出金処理を実行する出金処理部602と、各ユニットにおいて精査処理を実行する精査処理部603と、を備えている。精査処理部603は、第一精査処理部604と、第二精査処理部605とを有している。第一精査処理部604は、第一速度で有価媒体を搬送しかつ計数する第一の精査処理を実行し、第二精査処理部605は、第二速度で有価媒体を搬送しかつ計数する第二の精査処理を実行する。
制御部600は、選択部606を有している。選択部606は、精査処理を実行する際に、第一精査処理部604、又は、第二精査処理部605を選択する。これにより、各ユニットは、第一速度で有価媒体を搬送しかつ計数する第一の精査処理、又は、第二速度で有価媒体を搬送しかつ計数する第二の精査処理を選択的に実行する。
選択部606は、以下の(1)〜(4)事項に基づいて、精査処理部603に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行させる。
(1)選択部606は、精査処理の予約内容に従って、精査処理部603に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行させる。
制御部600は、精査処理の実行を予約する予約部607を備えている。予約部607は、精査処理を実行する時刻と、第一の精査処理又は第二の精査処理の指定とを予約する。例えば図10は、タッチパネル501に表示される精査処理の予約のための画面D1を例示している。操作者は、画面D1において、精査処理の実行日(例えば、毎日、毎週(特定の曜日)、毎月(特定の日にち)又は特定の年月日等)と、精査処理の開始時刻とを定めることができる。
また、画面D1において、操作者は、精査処理の実行の際の、有価媒体の搬送速度を選択できる。通常搬送は、有価媒体を第一速度で搬送することに相当し、低速搬送は、有価媒体を第二速度で搬送することに相当する。つまり、操作者が通常搬送を選択すると、第一の精査処理を指定したことになる。操作者が低速搬送を選択すると、第二の精査処理を指定したことになる。
画面D1には、操作者に対する参考情報として、通常搬送時の精査処理の所要時間、リジェクト率、ジャム率と、低速搬送時の精査処理の所要時間、リジェクト率、ジャム率と、が記載されている。タッチパネル501は、操作者に各種の情報を報知する報知部の一例である。
リジェクト率は、精査処理中にリジェクト媒体が発生する頻度に係る指標の一例である。リジェクト率は、例えば精査した有価媒体の全数に対して、リジェクト媒体と識別された有価媒体の数の割合としてもよい。また、リジェクト率は、リジェクト媒体が発生した時間間隔(例えば精査処理の実行中一時間に1回、リジェクト紙幣が発生する等)に基づいて定めてもよい。
ジャム率は、精査処理中に有価媒体の詰まりが発生する頻度に係る指標の一例である。ジャム率は、例えば精査した有価媒体の全数に対して、詰まりが生じた有価媒体の数の割合としてもよい。また、ジャム率は、精査処理中に詰まりが発生した時間間隔に基づいて定めてもよい。
リジェクト率及びジャム率は、有価媒体処理装置10の出荷時に、記憶部502に予め記憶しておいてもよいし、有価媒体処理装置10が店舗に設置された後、制御部600の算出部608が、当該有価媒体処理装置10の処理実績に基づいてリジェクト率やジャム率を算出し、記憶部502に記憶してもよい。制御部600はまた、記憶部502に記憶しているリジェクト率及びジャム率(出荷時に記憶したリジェクト率及びジャム率を含む)を、適宜、更新してもよい。
所要時間も、有価媒体処理装置10の出荷時に、収納部の在高毎に、記憶部502に予め記憶しておいてもよいし、有価媒体処理装置10が店舗に設置された後、制御部600の算出部608が、当該有価媒体処理装置10の処理実績に基づいて所要時間を算出し、記憶部502に記憶してもよい。制御部600はまた、記憶部502に記憶している所要時間(出荷時に記憶した所要時間を含む)を、適宜、更新してもよい。
これらの参考情報を参照することによって、操作者は、精査処理時の搬送速度を適切に設定することができる。例えば精査処理を夜間に、無人で実行するように予約を行う場合には、精査処理の所要時間が長くなることを許容することができる。操作者は、低速搬送を選択することが考えられる。低速搬送は、リジェクト率及びジャム率が共に、通常搬送よりも低くなる。精査処理を夜間に無人で実行する際に、媒体のリジェクトや、媒体の詰まりが発生することを抑制することができる。有価媒体処理装置10は、精査処理を適切に行うと共に、店舗の営業が開始するまでに精査処理を完了することが可能になる。
これに対し、例えば精査処理を営業時間内に、有人で実行するように予約を行う場合には、精査処理の所要時間が短いことが好ましい。操作者は、通常搬送を選択することが考えられる。通常搬送を選択すると、精査処理を速やかに完了させることができ、営業への影響を最小限に抑えることができる。また、仮に媒体のリジェクトや、媒体の詰まりが生じたときでも、営業時間内であるため、担当者がリジェクトや詰まりへの対応を、すぐに行うことができる。
予約部607は、操作者が設定した予約内容に従って、予約された日時に、精査処理部603に精査処理を実行させる。選択部606は、予約内容に従って、第一精査処理部604、又は、第二精査処理部605を選択する。精査処理部603は、予約内容に従って精査処理を適切に行うことができる。
(2)選択部606は、操作者がタッチパネル501において操作を行った事項に従って、精査処理部603に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行させる。
有価媒体処理装置10は、操作者が手動で精査処理を実行することができる。例えば図11は、操作者が精査処理の実行を指定した際に、タッチパネル501に表示される画面D2を例示している。
画面D2には、通常精査処理の実行を選択するボタンと、低速精査処理の実行を選択するボタンとが設けられている。通常精査処理は、第一の精査処理に相当する。低速精査処理は、第二の精査処理に相当する。操作者が、タッチパネル501において、通常精査処理又は低速精査処理を選択する操作を行うことにより、タッチパネル501は、選択に対応する信号を出力する。選択部は、タッチパネル501からの信号に基づいて、精査処理部603に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行させる。尚、画面D2にも、画面D1と同様に、通常精査処理時の所要時間、リジェクト率、ジャム率、低速精査処理の所要時間、リジェクト率、ジャム率の参考情報が、記載されている。画面D2に記載する所要時間は、精査対象のユニットの在高に基づいて、算出部608が算出してもよい。
(3)選択部606は、有価媒体処理装置10以外の装置からの指示に従って、精査処理部603に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行させる。
前述したように、操作者は、第一管理コンピュータ11、第二管理コンピュータ12、又は、携帯端末(スマートフォン31又はタブレット端末32)を操作することによって、有価媒体処理装置10に処理を実行させることができる。選択部606は、通信部504が受信した他の装置からの指示に基づいて、精査処理部603に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行させる。尚、第一管理コンピュータ11、第二管理コンピュータ12、又は、携帯端末には、前述した画面D2と同様の画面が表示される。操作者は、第一管理コンピュータ11、第二管理コンピュータ12、又は、携帯端末を用いて、通常精査処理と低速精査処理とを選択する。第一管理コンピュータ11、第二管理コンピュータ12、スマートフォン31、及び、タブレット端末32は、有価媒体処理システム1において、有価媒体処理装置10に、少なくとも精査処理の実行を指令する信号を出力する指令装置の一例である。
(4)選択部606は、精査処理を実行する時刻に基づいて、精査処理部603に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行させる。
制御部600の判定部609は、例えば制御部600のクロックに基づいて、精査処理を実行する時刻を判定する。判定部609は、有価媒体処理装置10が精査処理を開始する時間を判定してもよい。選択部606は、判定部609が判定した精査処理を開始する時刻に基づいて、当該時刻が店舗の営業時間外である場合には、精査処理部603に、第二の精査処理を実行させる。一方、時刻が店舗の営業時間内である場合には、選択部606は、精査処理部603に、第一の精査処理を実行させる。
選択部606は、有価媒体処理装置10が精査処理を開始する時間に代えて、操作者が端末ユニット500において精査処理の実行を操作した時刻、又は、ネットワーク2を通じて精査処理の実行が指示された時刻に基づいて、精査処理部603に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行させてもよい。選択部606はまた、精査処理を実行する時間帯(例えば10:00〜10:30といった時間帯)に基づいて、精査処理部603に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行させてもよい。選択部606はまた、精査処理の終了予定時刻に基づいて、精査処理部603に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行させてもよい。
尚、選択部606は、前述した(1)〜(4)の全ての事項に基づいて選択を行うのではなく、(1)〜(4)のいずれか一の事項に基づいて選択を行ってもよいし、(1)〜(4)の二つ又は三つの事項に基づいて選択を行ってもよい。
図9は、図8とは異なる構成の機能ブロックを示している。図9の構成例において、精査処理部603は、第一精査処理部604及び第二精査処理部605を有していない。その代わりに、制御部600は、速度設定部610を有している。
速度設定部610は、精査処理の際の、有価媒体の搬送速度を設定する。速度設定部610は、前述した選択部と同様に、(1)〜(4)の事項に基づいて、有価媒体の搬送速度を、第一速度又は第二速度に、選択的に設定する。精査処理部603は、速度設定部610が設定した搬送速度に従って有価媒体を搬送しかつ計数を行う。精査処理部603は、前記と同様に、第一の精査処理、又は、第二の精査処理を、選択的に実行する。
図12は、制御部600が実行するフローチャートを示している。このフローチャートは、有価媒体処理装置10が実行する処理に関する。スタート後のステップS1において、制御部600は、操作者が、端末ユニット500のカードリーダ503によって認証操作を行ったか否かを判定する。判定がYESの場合には、プロセスはステップS2に進む。判定がNOの場合には、プロセスはステップS5に進む。
ステップS2において、制御部600は、操作者がタッチパネル501を操作することによって、紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200,又は、紙葉類処理ユニット300の精査処理の実行を指定したか否かを判定する。判定がNOの場合には、プロセスはステップS3に進み、判定がYESの場合には、プロセスはステップS4に進む。ステップS3において制御部600は、操作者の操作に対応する処理を実行する。例えば、紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200又は紙葉類処理ユニット300は、入金処理又は出金処理を実行する。
操作者が精査処理の実行を指定した場合には、前述したように、タッチパネル501は、図11の画面D2を表示する。操作者は、通常精査処理、又は、低速精査処理を選択する。ステップS4において制御部600は、低速精査処理が要求されたか否か、言い替えると、第二の精査処理が選択されたか否かを判定する。低速精査処理が要求された場合には、プロセスはステップS4からステップS9に進む。通常精査処理が要求された場合(つまり、第一の精査処理が選択された場合)には、プロセスはステップS4からステップS8に進む。
ステップS8において制御部600は、指定されたユニットにおいて、第一の精査処理を実行する。当該ユニットは、有価媒体を第一速度で搬送しかつ計数する。また、ステップS9において制御部600は、指定されたユニットにおいて、第二の精査処理を実行する。当該ユニットは、有価媒体を第二速度で搬送しかつ計数する。尚、図示は省略するが、有価媒体処理装置10が精査処理を実行しているときに、タッチパネル501は、「通常精査」又は「低速精査」を実行している旨を表示してもよい。
ステップS5において制御部600は、予約された精査処理の実行タイミングが到達したか否かを判定する。判定がNOの場合にプロセスはステップS6に進み、判定がYESの場合にプロセスはステップS7に進む。
ステップS6おいて制御部600は、他の装置(第一管理コンピュータ11、第二管理コンピュータ12、スマートフォン31、又は、タブレット端末32)から、紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200、又は、紙葉類処理ユニット300の精査処理の実行が指示されたか否かを判定する。判定がYESの場合には、ステップS4に進む。制御部600は、ステップS4において、他の装置からの指示に基づき、低速精査処理が要求されたか否を判定する。低速精査処理が要求された場合には、プロセスはステップS4からステップS9に進む。通常精査処理が要求された場合には、プロセスはステップS4からステップS8に進む。ステップS6の判定がNOのとき、プロセスはリターンする。
ステップS7において、制御部600は、予約内容に基づいて、低速搬送が設定されているか否かを判定する。低速搬送が設定されている場合、つまり、第二の精査処理の実行が設定されている場合には、プロセスはステップS7からステップS9に進む。通常搬送が設定されている場合、つまり、第一の精査処理の実行が設定されている場合には、プロセスはステップS7からステップS8に進む。
ステップS8において第一の精査処理を行った後、又は、ステップS9において第二の精査処理を行った後、制御部600は、ステップS10において、実行した処理に関するログを記憶部502に記憶させる。記憶部502は、記憶するログデータに「通常精査処理」又は「低速精査処理」の情報を含めてもよい。制御部600はまた、プリンタ400にレシートを印字させる。プリンタ400は、精査処理に係るレシートに「通常精査処理」又は「低速精査処理」の文字を印字してもよい。
そして、続くステップS11において制御部600は、第一管理コンピュータ11、及び/又は、第二管理コンピュータ12に、実行した処理の結果を送信する。尚、処理結果を送信せずに、記憶部502に記憶しておき、第一管理コンピュータ11、及び/又は、第二管理コンピュータ12からの要求があった場合に、制御部600は、記憶していた処理結果を、第一管理コンピュータ11、及び/又は、第二管理コンピュータ12に、通信部504を通じて送信するようにしてもよい。
精査処理を実行する際の有価媒体の搬送速度が、二種類の速度に切り替えられるため、有価媒体処理装置10は、精査処理を適切に実行することができる。特に、店舗の営業時間外において精査処理を行う際に有価媒体の搬送速度を遅くすると、リジェクト媒体の発生、及び、媒体の詰まりの発生を抑制することができる。有価媒体処理装置10は、エラーで停止することなく、精査処理を完了させることができる。有価媒体処理装置10が、精査処理の途中で停止することによって店舗の営業に影響を及ぶことが抑制される。また、店舗の業務の効率化を図ることができる。
また、有価媒体の搬送速度を遅くすると、詰まりが生じ難くなるという作用効果の他に、詰まりが生じたときでも詰まり度合いが緩くなるため、担当者が有価媒体の詰まりを解消させることが容易になるという利点がある。
尚、店舗の営業時間外に無人で精査処理を行っているときに有価媒体の詰まりが発生して、精査処理が中断した場合は、当該精査処理が第一の精査処理であるか、第二の精査処理であるかに関わらず、次の営業開始前に、担当者(例えば早出の担当者や、メンテナンス担当者)が、媒体の詰まりを解消すると共に、中断していた精査処理を再開させる。営業時間外に無人で精査処理を行っているときにリジェクト媒体が発生していた場合も、次の営業開始前に、担当者がリジェクト媒体に対する対応を行う。
尚、営業時間外に無人で精査処理を行っているときに、媒体の詰まりが発生して精査処理が中断した場合や、リジェクト媒体が発生した場合に、有価媒体処理装置10は、担当者が所持している携帯端末に、第一管理コンピュータ11又は第二管理コンピュータ12を通じて通知を行ってもよい。通知を受けた担当者は、次の営業開始前に、早めに出勤をすることによって、ゆとりを持って、詰まりを解消させたり、リジェクト媒体の対応をしたりすることが可能になる。尚、有価媒体処理装置10は、第一管理コンピュータ11及び第二管理コンピュータ12を介さずに、担当者が所持している携帯端末に通知を行ってもよい。
前記の構成の有価媒体処理装置10は、紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200、及び、紙葉類処理ユニット300の精査処理の全てについて、第一の精査処理と、第二の精査処理との二種類の精査処理が可能である。尚、帯封紙幣の精査処理及び包装硬貨の精査処理は、搬送速度を速くしても搬送速度を遅くしても、媒体の詰まりの発生率は変わらないため、第一の精査処理のみが可能であってもよい。有価媒体処理装置10は、一部の精査処理について、第一の精査処理と、第二の精査処理との二種類の精査処理が可能に構成してもよい。
また、硬貨処理ユニット200は、精査処理時に、精査対象のバラ硬貨を機外に一旦出す際の搬送速度、及び、操作者が投入部202に再投入したバラ硬貨を搬送する際の搬送速度を、第一の精査処理と第二の精査処理とで変えるが、硬貨処理ユニット200は、第一の精査処理のみを実行する構成にしてもよい。
尚、硬貨処理ユニット200は、バラ硬貨の精査処理時に、バラ硬貨収納部206から繰り出した硬貨を、機内において、投入部202にまで搬送可能に構成してもよい。
また、前述した有価媒体処理システム1は、第一管理コンピュータ11、第二管理コンピュータ12、スマートフォン31、又は、タブレット端末32から、紙幣処理ユニット100、硬貨処理ユニット200、又は、紙葉類処理ユニット300の精査処理の実行を指示することができる。ここで、制御部600は、第二管理コンピュータ12、スマートフォン31、又はタブレット端末32から精査処理の指示を受けた場合のみ、第二の精査処理を実行可能としてもよい。一方、第一管理コンピュータ11から精査処理の指示を受けた場合、制御部600は、第二の精査処理を実行不可にしてもよい。つまり、制御部600は、有価媒体処理装置10に対して遠隔で指示を受けた場合のみ、第二の精査処理の実行を許可してもよい。
有価媒体処理装置10は、第二の精査処理の実行の際に、媒体の搬送経路の全体において有価媒体を第二速度(つまり、低速)で搬送しているが、搬送経路における少なくとも一部において、有価媒体を低速で搬送してもよい。
つまり、有価媒体処理装置10は、搬送経路の全体において有価媒体を所定の速度で搬送しかつ計数する精査処理(第三の精査処理)と、搬送経路における少なくとも一部において、有価媒体を低速で搬送しかつ計数する精査処理(第四の精査処理)とを実行するとしてもよい。
例えば、紙幣処理ユニット100がバラ紙幣を対象とした第四の精査処理を実行する際に、精査処理部603は、バラ紙幣収納部108から紙幣一時保留部107への往路の搬送速度を相対的に低速にし、紙幣一時保留部107からバラ紙幣収納部108への復路の搬送速度を相対的に高速にしてもよい。識別部106は、往路においてバラ紙幣の識別を行ってもよい。尚、前記とは逆に、紙幣処理ユニット100がバラ紙幣を対象とした第四の精査処理を実行する際に、精査処理部603は、バラ紙幣収納部108から紙幣一時保留部107への往路の搬送速度を相対的に高速にし、紙幣一時保留部107からバラ紙幣収納部108への復路の搬送速度を相対的に低速にしてもよい。識別部106は、復路においてバラ紙幣の識別を行ってもよい。
また、第四の精査処理を実行する際に、精査処理部603は、紙幣処理ユニット100のバラ紙幣の搬送経路においてバラ紙幣の詰まりが生じやすい箇所、例えば、バラ紙幣の搬送方向を分岐させる箇所や、バラ紙幣の搬送経路が曲がっている箇所等を通過するときのバラ紙幣の搬送速度を相対的に低速にしてもよい。また、第四の精査処理を実行する際に、精査処理部603は、例えば識別部106付近を通過するときのバラ紙幣の搬送速度を相対的に低速にしてもよい。
こうした第四の精査処理に対し、紙幣処理ユニット100がバラ紙幣を対象とした第三の精査処理を実行する際に、精査処理部603は、バラ紙幣収納部108から紙幣一時保留部107への往路の搬送速度、及び、紙幣一時保留部107からバラ紙幣収納部108への復路の搬送速度を、高速で一定にしてもよい。
従って、有価媒体処理装置は、次のように構成してもよい。
有価媒体処理装置は、
有価媒体を収納する収納部と、
前記収納部に収納している有価媒体を計数する精査処理を実行する精査処理部と、を備え、
前記精査処理部は、第三精査処理部と、第四精査処理部と、を含み、
前記第三精査処理部が、精査処理時に、前記収納部から繰り出した前記有価媒体を搬送する最も遅い速度は、第三速度であり、
前記第四精査処理部が、精査処理時に、前記収納部から繰り出した前記有価媒体を搬送する最も遅い速度は、第四速度であり、
前記第四速度は、前記第三速度よりも遅い。
尚、第三精査処理部は、有価媒体を搬送する速度を可変にしてもよい。また、第三精査処理部は、有価媒体を一定の速度で搬送してもよい。前記第四精査処理部も、有価媒体を搬送する速度を可変にしてもよいし、一定の速度で有価媒体を搬送してもよい。
尚、この構成の有価媒体処理装置は、前記で説明をした有価媒体処理装置10に適用することが可能である。例えば図8の「第一精査処理部」は、「第三精査処理部」に書き替えてもよい。また、「第二精査処理部」は、「第四精査処理部」に書き替えてもよい。
また、前述した有価媒体処理装置10は、有価媒体の搬送速度を、入金処理及び/又は出金処理を行う際の搬送速度と同じ搬送速度で精査処理を行うことが可能(つまり、第一の精査処理を実行可能)である。有価媒体処理装置10は、精査処理として、第一の精査処理の実行を省略し、第二の精査処理のみを実行可能に構成してもよい。
つまり、有価媒体処理装置は、次のように構成してもよい。
有価媒体処理装置は、
有価媒体を収納する収納部と、
前記有価媒体を機内に入れかつ前記収納部に収納する入金処理、及び、前記有価媒体を前記収納部から繰り出しかつ機外に出す出金処理の少なくとも一方を実行する第一処理部と、
前記収納部に収納している有価媒体を計数する精査処理を実行する第二処理部と、を備え、
前記第一処理部は、前記有価媒体を非精査速度で搬送し、前記第二処理部は、前記収納部から繰り出した前記有価媒体を、前記非精査速度よりも遅い精査速度で搬送する。
尚、この構成の有価媒体処理装置は、前記で説明をした有価媒体処理装置10に適用することが可能である。
ここに開示する技術は、前述した構成の有価媒体処理装置10に適用することに限らない。ここに開示する技術は、様々な構成の有価媒体処理装置に適用することが可能である。