以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図15は、本実施の形態に係る有価媒体処理装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による有価媒体処理装置の外観を示す斜視図であり、図2、図3および図4は、それぞれ、図1に示す有価媒体処理装置におけるバラ紙幣処理ユニット、帯封紙幣処理ユニットおよび損券処理ユニットの内部構成を示す側面図である。また、図5は、図1に示す有価媒体処理装置における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図6は、図1に示す有価媒体処理装置において2人の操作者が袋金準備処理を分担して行う際の動作の一例を示すフローチャートであり、図7および図8は、それぞれ、図1に示す有価媒体処理装置において2人の操作者が袋金準備処理を分担して行う際に第1の操作表示部や第2の操作表示部に表示される画面を示す図である。また、図9は、図1に示す有価媒体処理装置において2人の操作者が袋金準備処理を分担して行う際の動作の他の例を示すフローチャートである。また、図10は、図1に示す有価媒体処理装置において担当者が損券処理ユニットに損券を入金した後に管理者により損券の入金処理の結果の承認を行う際の動作を示すフローチャートであり、図11乃至図15は、それぞれ、図1に示す有価媒体処理装置において担当者が損券処理ユニットに損券を入金した後に管理者により損券の入金処理の結果の承認を行う際に第1の操作表示部や第2の操作表示部に表示される画面を示す図である。
本実施の形態による有価媒体処理装置1は、銀行等の金融機関において出納機として用いられるものである。図1に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置1は、バラ紙幣処理ユニット100と、帯封紙幣処理ユニット200と、損券処理ユニット300と、バラ硬貨処理ユニット400と、包装硬貨処理ユニット500と、損貨処理ユニット600とを備えている。より詳細には、バラ紙幣処理ユニット100、帯封紙幣処理ユニット200、損券処理ユニット300、バラ硬貨処理ユニット400および包装硬貨処理ユニット500は左右に並ぶよう配置されており、損貨処理ユニット600は損券処理ユニット300の上に載せられている。ここで、バラ紙幣処理ユニット100は、バラ紙幣の入金処理および出金処理を行うようになっており、帯封紙幣処理ユニット200は帯封紙幣の出金処理を行うようになっている。より詳細には、バラ紙幣処理ユニット100の筐体102(後述)の内部に投入されたバラ紙幣は帯封紙幣処理ユニット200に送られるようになっており、当該帯封紙幣処理ユニット200においてバラ紙幣処理ユニット100から送られたバラ紙幣の帯封処理が行われることにより帯封紙幣が作成され、この作成された帯封紙幣が帯封紙幣処理ユニット200の筐体202(後述)の内部に収納されるようになっている。また、損券処理ユニット300は、損券や旧券、および紙幣以外の有価媒体(例えば、小切手や手形等)の入金処理や、新券の出金処理を行うようになっている。
また、バラ硬貨処理ユニット400は、バラ硬貨の入金処理および出金処理を行うようになっており、包装硬貨処理ユニット500は包装硬貨の出金処理を行うようになっている。より詳細には、バラ硬貨処理ユニット400の筐体の内部に投入されたバラ硬貨は包装硬貨処理ユニット500に送られるようになっており、当該包装硬貨処理ユニット500においてバラ硬貨処理ユニット400から送られたバラ硬貨の包装処理が行われることにより包装硬貨が作成され、この作成された包装硬貨が包装硬貨処理ユニット500の筐体の内部に収納されるようになっている。また、損貨処理ユニット600は、損貨や旧貨、および記念貨の入金処理を行うようになっている。
なお、本発明では、これらの各処理ユニット100、200、300、400、500、600は、有価媒体の処理を行う処理部として機能するようになっている。
また、図1に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、それぞれタッチパネル等から構成される第1の操作表示部12および第2の操作表示部14と、第1のプリンタ16および第2のプリンタ18とがそれぞれ設けられている。より詳細には、第1の操作表示部12は帯封紙幣処理ユニット200の上に載せられており、第2の操作表示部14は包装硬貨処理ユニット500の上に載せられている。また、第1のプリンタ16はバラ紙幣処理ユニット100の上に載せられており、第2のプリンタ18はバラ硬貨処理ユニット400の上に載せられている。これらの第1のプリンタ16および第2のプリンタ18は、それぞれ、前面に設けられた挿入口を介して内部に入れられた伝票に様々な情報を印字するスリッププリンタ等から構成されている。このような有価媒体処理装置1の詳細について以下に説明する。なお、本実施の形態による有価媒体処理装置1を説明するにあたり、バラ硬貨処理ユニット400、包装硬貨処理ユニット500および損貨処理ユニット600の詳細の説明については省略する。
まず、バラ紙幣処理ユニット100の構成の詳細について図2を用いて説明する。図2は、バラ紙幣処理ユニット100を側方から見たときの内部構成を示す側面図である。なお、図2における筐体102(後述)の左側の側面がバラ紙幣処理ユニット100の前面側(すなわち、バラ紙幣処理ユニット100を手前側から見たときの正面側)となっており、図2における右方向が筐体102の奥行き方向となっている。
図2に示すように、バラ紙幣処理ユニット100は略直方体形状の筐体102を備えており、このバラ紙幣処理ユニット100には、外部から筐体102内に紙幣を投入するための紙幣投入部110および筐体102内から外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣投出部152がそれぞれ設けられている。紙幣投入部110には紙幣繰出部112が設けられており、外部から紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出部112には入金搬送部114が接続されており、紙幣繰出部112により筐体102内に繰り出された紙幣は入金搬送部114により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、入金搬送部114には入金識別部116が設けられており、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等が識別されるようになっている。また、入金搬送部114による紙幣の搬送方向における入金識別部116の下流側には表裏反転部118が設けられており、入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられるようになっている。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金搬送部114には入金リジェクト部120が接続されており、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣が入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られるようになっている。入金リジェクト部120はバラ紙幣処理ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図2に示すように、入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数(例えば4つ)の金種別一時保留部132とがそれぞれ接続されている。ここで、1つの一括一時保留部130および複数の金種別一時保留部132は入金搬送部114や後述する下部搬送部146に対して並列に並ぶよう配設されている。入金搬送部114から一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送された紙幣は、これらの一括一時保留部130や各金種別一時保留部132において積層状態で集積されることにより一時的に保留されるようになっている。なお、一括一時保留部130には複数の金種の紙幣が混合状態で一時的に保留されるようになっており、また、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留されるようになっている。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられているとともに、各金種別一時保留部132に対応して複数の金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には、一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。また、各金種別紙幣収納庫142には、対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には複数の金種の紙幣が混合状態で収納されるようになっており、また、各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ特定の金種の紙幣が収納されるようになっている。また、一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、これらの一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により繰り出されるようになっている。
また、図2に示すように、各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、各紙幣繰出部144により一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣は下部搬送部146により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等が識別されるようになっている。なお、出金識別部148は、紙幣の金種および搬送状態のみの識別を行い、紙幣の真偽、正損、新旧、表裏の識別は行わないようになっていてもよい。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されており、この出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送されるようになっている。
図2に示すように、出金搬送部150にはバラ紙幣投出部152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出されるべき紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られてこのバラ紙幣投出部152に集積されるようになっている。バラ紙幣投出部152はバラ紙幣処理ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積された紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られるようになっている。また、出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すにあたり、操作者はバラ紙幣処理ユニット100の筐体102に設けられた扉を開いて出金リジェクト部154内のリジェクト紙幣を取り出すようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、帯封紙幣処理ユニット200により帯封されるべき紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積されるようになっている。また、図2に示すように、出金識別部148により識別された紙幣を出金搬送部150により表裏反転部118に送ることができるようになっており、出金搬送部150により表裏反転部118に送られた紙幣は入金搬送部114により一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送されるようになっている。
図2に示すように、入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所には分岐部材170がそれぞれ設けられており、これらの分岐部材170により分岐箇所における紙幣の搬送先が決められるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣の検出を行う紙幣検出センサ180が複数設けられている。また、本実施の形態では、出金搬送部150における、出金識別部148と各整理一時保留部160との間には、紙幣厚さ検知センサ182および半券検知センサ184がそれぞれ設けられている。また、半券検知センサ184は、バラ紙幣投出部152への入口部分である出金搬送部150にも設けられている。
次に、帯封紙幣処理ユニット200の構成の詳細について図3を用いて説明する。図3は、帯封紙幣処理ユニット200を側方から見たときの内部構成を示す側面図である。なお、図3における筐体202(後述)の左側の側面が帯封紙幣処理ユニット200の前面側(すなわち、帯封紙幣処理ユニット200を手前側から見たときの正面側)となっており、図3における右方向が筐体202の奥行き方向となっている。
図3に示すように、帯封紙幣処理ユニット200は略直方体形状の筐体202を備えており、この帯封紙幣処理ユニット200の筐体202内には、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出すためのアーム部210と、アーム部210により取り出された紙幣の束を帯封するための帯封部212とがそれぞれ設けられている。アーム部210により整理一時保留部160から取り出された紙幣の束は帯封部212に送られて当該帯封部212により帯封されるようになっている。具体的には、帯封部212の近傍にはテープセット部214が設けられており、このテープセット部214から帯封紙が帯封部212に送られることによって、帯封部212において例えば100枚の紙幣の束が帯封紙により結束されるようになっている。帯封部212には帯封紙幣搬送部216が接続されており、帯封部212により帯封された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送されるようになっている。帯封紙幣投出部218は帯封紙幣処理ユニット200の筐体202の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図3に示すように、帯封紙幣投出部218には帯封紙幣収納出金用搬送部220やリフト部224が接続されている。帯封紙幣収納出金用搬送部220には帯封紙幣判別部222が設けられており、この帯封紙幣判別部222は、帯封紙幣投出部218から帯封紙幣収納出金用搬送部220に送られた帯封紙幣の金種等の判別を行うようになっている。また、帯封紙幣収納出金用搬送部220には複数の帯封紙幣収納カセット230が接続されており、帯封部212により帯封された帯封紙幣のうち、帯封紙幣投出部218により筐体202の外部に投出されない帯封紙幣は帯封紙幣収納出金用搬送部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるようになっている。また、各帯封紙幣収納カセット230にはカセット駆動部232が設けられており、これらのカセット駆動部232により、各帯封紙幣収納カセット230に収納された帯封紙幣が帯封紙幣収納出金用搬送部220に繰り出されるようになっている。各帯封紙幣収納カセット230から帯封紙幣収納出金用搬送部220に繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣投出部218に送られ、この帯封紙幣投出部218から筐体202の外部に投出される。また、帯封紙幣搬送部216から帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣はリフト部224により図3における上下方向に搬送可能となっている。ここで、リフト部224の下部にも回収用の開口226が設けられており、リフト部224により下部に搬送された帯封紙幣はこの開口226から筐体202の外部に投出可能となっている。
次に、損券処理ユニット300の構成の詳細について図4を用いて説明する。図4は、損券処理ユニット300を側方から見たときの内部構成を示す側面図である。なお、図4における筐体302(後述)の左側の側面が損券処理ユニット300の前面側(すなわち、損券処理ユニット300を手前側から見たときの正面側)となっており、図4における右方向が筐体302の奥行き方向となっている。
図4に示すように、損券処理ユニット300は略直方体形状の筐体302を備えており、この筐体302の前面上部には、当該筐体302の外部から内部に有価媒体を投入するための投入部310が設けられている。また、筐体302の前面には、筐体302の内部に収納された新券を機体外に投出するための投出部360が設けられている。また、投入部310には繰出機構312が設けられており、操作者によって投入部310に集積状態で投入された有価媒体は繰出機構312により機体内に1枚ずつ繰り出されるようになっている。図4に示すように、損券処理ユニット300の機体内には搬送部314が設けられており、繰出機構312により1枚ずつ投入部310から繰り出された有価媒体は搬送部314により1枚ずつ搬送されるようになっている。
また、搬送部314には撮像部316が設けられており、この撮像部316は、損券処理ユニット300の機体内に投入された有価媒体を撮像して画像データを得るようになっている。また、搬送部314には一時保留部320が設けられており、損券処理ユニット300の機体内に投入された有価媒体は一時保留部320に一時的に保留されるようになっている。一時保留部320はテープ巻取方式のものからなる。より具体的には、一時保留部320は、正逆両方向に回転可能なドラム320aを有しており、このドラム320aに一対のテープが巻き取られるようになっている。そして、搬送部314から一時保留部320に送られた有価媒体は、この一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順次ドラム320aにより巻き取られて収納されるようになっている。また、ドラム320aを逆転させると、巻き取られた有価媒体が1枚ずつ繰り出されて、搬送部314に送られるようになっている。
また、損券処理ユニット300の機体内には、小切手や手形等の特定の有価証券を収納する特定有価証券収納部330と、損券や旧券を収納する損券収納部340、342とがそれぞれ設けられている。より具体的には、特定有価証券収納部330は、第1の収納部330a、第2の収納部330bおよび第3の収納部330cからなる3つの収納部から構成されており、第1の収納部330aには、有価媒体処理装置1が設置されている金融機関と同じ金融機関における他の支店で発行された小切手等が収納されるようになっている。また、第2の収納部330bや第3の収納部330cには、有価媒体処理装置1が設置されている金融機関とは異なる金融機関で発行された小切手等が収納されるようになっている。また、特定有価証券収納部330の各収納部330a、330b、330cはそれぞれスタッカ方式のものからなり、搬送部314からこれらの収納部330a、330b、330cに送られた小切手等は、既に収納部330a、330b、330cに収納されている小切手等の上に積み重ねられるようになっている。
損券収納部340、342には損券や旧券が収納されるようになっている。ここで、損券収納部340はスタッカ方式のものからなり、搬送部314から損券収納部340に送られた損券や旧券は、既に損券収納部340に収納されている損券や旧券の上に積み重ねられるようになっている。一方、損券収納部342はテープ巻取方式のものからなる。より具体的には、損券収納部342は、正逆両方向に回転可能なドラム342aを有しており、このドラム342aに一対のテープが巻き取られるようになっている。そして、搬送部314から損券収納部342に送られた損券や旧券は、この一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順次ドラム342aにより巻き取られて収納されるようになっている。また、ドラム342aを逆転させると、巻き取られた損券や旧券が1枚ずつ繰り出されて、搬送部314に送られるようになっている。
また、損券処理ユニット300の筐体302の内部には、新券を収納する新券収納部350が設けられている。より具体的には、新券収納部350は、第1の収納部350a、第2の収納部350b、第3の収納部350cおよび第4の収納部350dからなる4つの収納部から構成されており、第1の収納部350aには新券の1万円札が、第2の収納部350bには新券の千円札が、第3の収納部350cには新券の五千円札がそれぞれ収納されている。また、第4の収納部350dに収納される新券の金種については操作者が選択することができるようになっている。これらの各収納部350a、350b、350c、350dにはそれぞれ繰出機構352a、352b、352c、352dが設けられており、収納部350a、350b、350c、350dに収納されている新券はそれぞれ繰出機構352a、352b、352c、352dにより搬送部314に1枚ずつ繰り出されるようになっている。なお、新券収納部350に収納される「新券」とは、中央銀行から銀行等の金融機関に配送され、市場に未だ流通していない官封券のことをいう。
投出部360は搬送部314に接続されており、搬送部314から投出部360に送られた新券等の有価媒体は当該投出部360で積み重ねられるようになっている。また、投出部360には羽根車362が設けられており、搬送部314から羽根車362に送られた新券等の有価媒体は、羽根車362における一対の羽根の間に挟まれた状態で当該羽根車362が図4における反時計回りの方向に回転することにより投出部360に送られるようになっている。このような羽根車362が設けられていることにより、投出部360に集積される新券等の有価媒体の整列を行うことができる。また、投出部360には抜き取り検知部361が設けられており、投出部360に集積された新券等の有価媒体が当該投出部360から抜き取られると、抜き取り検知部361によりこのことが検知されるようになっている。
図4に示すように、損券処理ユニット300の機体内で有価媒体を搬送する搬送部314は、第1の搬送部314aおよび第2の搬送部314bから構成されている。ここで、第1の搬送部314aは、投入部310により筐体302の内部に投入された有価媒体を一時保留部320や特定有価証券収納部330、損券収納部340に搬送するようになっている。一方、第2の搬送部314bは、新券収納部350に収納された新券を投出部360に搬送するようになっている。ここで、第1の搬送部314aにおける有価媒体の搬送路、および第2の搬送部314bにおける新券の搬送路は互いに独立して設けられている。すなわち、第1の搬送部314aは、図4における二点鎖線で示す仮想線Lの右側に設けられており、第2の搬送部314bは、図4における二点鎖線で示す仮想線Lの左側に設けられており、両者は接続箇所314pで接続されているものの、それ以外の箇所では互いに独立したものとなっている。
また、搬送部314における第2の搬送部314bには簡易識別部364が設けられている。この簡易識別部364は、新券収納部350から第2の搬送部314bに繰り出された新券の金種のみの識別を行うようになっている。
また、損券処理ユニット300の前面(図4における左側の側面)には扉318が設けられている。特定の権限を有する者はこの扉318を開けて損券処理ユニット300の機体の内部にアクセスすることができるようになっており、このことにより新券収納部350に新券を補充したりこの新券収納部350から新券を取り出したりすることができるようになっている。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、バラ紙幣処理ユニット100、帯封紙幣処理ユニット200、損券処理ユニット300、バラ硬貨処理ユニット400、包装硬貨処理ユニット500および損貨処理ユニット600の制御を行う制御部10が設けられている。図5に示すように、制御部10には、バラ紙幣処理ユニット100、帯封紙幣処理ユニット200、損券処理ユニット300、バラ硬貨処理ユニット400、包装硬貨処理ユニット500、損貨処理ユニット600、第1の操作表示部12、第2の操作表示部14、第1のプリンタ16および第2のプリンタ18がそれぞれ接続されている。そして、制御部10は、バラ紙幣処理ユニット100、帯封紙幣処理ユニット200、損券処理ユニット300、バラ硬貨処理ユニット400、包装硬貨処理ユニット500および損貨処理ユニット600にそれぞれ指令信号を送ることによりこれらの処理ユニット100、200、300、400、500、600を制御するようになっている。
また、上述したように、第1の操作表示部12および第2の操作表示部14はそれぞれタッチパネル等から構成されており、各処理ユニット100、200、300、400、500、600により行われた有価媒体の処理に係る情報や、各処理ユニット100、200、300、400、500、600に収納されている有価媒体の在高に係る情報等が第1の操作表示部12や第2の操作表示部14に表示されるようになっている。また、操作者は第1の操作表示部12や第2の操作表示部14により制御部10に様々な指令を入力することができるようになっている。また、第1のプリンタ16および第2のプリンタ18は、それぞれ、各処理ユニット100、200、300、400、500、600により行われた有価媒体の処理に係る情報や、各処理ユニット100、200、300、400、500、600に収納されている有価媒体の在高に係る情報等を伝票等に印字するようになっている。
また、図5に示すように、制御部10には記憶部20および通信インターフェース部22がそれぞれ接続されている。記憶部20は、各処理ユニット100、200、300、400、500、600により行われた有価媒体の処理履歴に係る情報や、各処理ユニット100、200、300、400、500、600に収納されている有価媒体の在高に係る情報等が記憶されるようになっている。また、制御部10は通信インターフェース部22を介して本実施の形態による有価媒体処理装置1とは別に設けられた外部装置50(具体的には、例えば上位端末や、スマートフォンやタブレット端末の携帯端末)に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。
次に、このような構成からなる有価媒体処理装置1におけるバラ紙幣処理ユニット100および帯封紙幣処理ユニット200の動作について説明する。なお、以下に示すようなバラ紙幣処理ユニット100および帯封紙幣処理ユニット200の動作は、制御部10がバラ紙幣処理ユニット100や帯封紙幣処理ユニット200の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
まず、バラ紙幣処理ユニット100においてバラ紙幣の入金処理を行う際の動作について説明する。本実施の形態による有価媒体処理装置1が待機状態となっているときに、操作者が紙幣投入部110に紙幣を投入するとともに、入金処理開始の指令を第1の操作表示部12や第2の操作表示部14により制御部10に入力したり上位端末等の外部装置50から通信インターフェース部22を介して制御部10に入金処理開始の指令が送信されたりすると、紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出され、入金搬送部114により搬送されるようになる。そして、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等が識別される。入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられる。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られる。入金リジェクト部120はバラ紙幣処理ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出されると、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出し、紙幣投入部110に再投入等するようになる。
一方、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、入金搬送部114により一括一時保留部130または各金種別一時保留部132に送られ、これらの一時保留部で一時的に保留されるようになる。具体的には、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、対応する金種の金種別一時保留部132に送られるが、この対応する金種の金種別一時保留部132が満杯状態である場合には当該紙幣はオーバーフロー紙幣として一括一時保留部130に送られるようになる。そして、紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出され、入金リジェクト部120、一括一時保留部130または各金種別一時保留部132に送られると、第1の操作表示部12や第2の操作表示部14には操作者に対して入金確定の指令を促すメッセージが表示される。このときに、操作者が第1の操作表示部12や第2の操作表示部14により入金確定の指令を入力すると、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に一時的に保留されている紙幣が、対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に送られ、これらの紙幣収納庫に収納されるようになる。このようにして、バラ紙幣処理ユニット100における紙幣の入金処理に係る一連の動作が完了する。
次に、バラ紙幣処理ユニット100によりバラ紙幣の出金処理を行う際の動作について説明する。本実施の形態による有価媒体処理装置1が待機状態となっているときに、出金すべき紙幣の金種毎の枚数や合計金額等に係る情報を含むバラ紙幣出金処理開始の指令を操作者が第1の操作表示部12や第2の操作表示部14により制御部10に入力したり上位端末等の外部装置50から通信インターフェース部22を介して制御部10に上記のバラ紙幣出金処理開始の指令が送信されたりすると、出金すべき金種の紙幣が各金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られ、このバラ紙幣投出部152に集積される。バラ紙幣投出部152はバラ紙幣処理ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、バラ紙幣処理ユニット100において紙幣の出金処理が完了すると、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積された紙幣を手動で取り出すようになる。また、出金リジェクト部154に送られたリジェクト紙幣も筐体102の外部からアクセス可能となっている。このようにして、バラ紙幣処理ユニット100におけるバラ紙幣の出金処理に係る一連の動作が完了する。
次に、帯封紙幣処理ユニット200により紙幣の帯封処理を行う際の動作について説明する。本実施の形態による有価媒体処理装置1が待機状態となっているときに、帯封部212により作成されるべき帯封紙幣の金種毎の数に係る情報を含む帯封処理開始の指令を操作者が第1の操作表示部12や第2の操作表示部14により制御部10に入力したり上位端末等の外部装置50から通信インターフェース部22を介して制御部10に上記の帯封処理開始の指令が送信されたりすると、帯封部212により作成されるべき帯封紙幣の金種毎の数が制御部10において指定される。また、帯封紙幣が作成されるべき一または複数の金種のうちある金種の紙幣が各金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150により上下の整理一時保留部160のうち一方の整理一時保留部160に送られ、当該整理一時保留部160に集積される。そして、整理一時保留部160に集積された紙幣の枚数が所定の枚数(例えば、100枚)に達すると、整理一時保留部160に集積された紙幣の束がアーム部210により当該整理一時保留部160から取り出され、この紙幣の束はアーム部210により帯封紙幣処理ユニット200の帯封部212に搬送される。また、アーム部210により紙幣の束が一方の整理一時保留部160から取り出されている間、出金搬送部150から他方の整理一時保留部160に紙幣が送られてこの他方の整理一時保留部160に紙幣が集積されるようになっている。
アーム部210により整理一時保留部160から取り出された紙幣の束が当該アーム部210により帯封紙幣処理ユニット200の帯封部212に搬送されると、この帯封部212において、テープセット部214から当該帯封部212に送られた帯封紙により紙幣の束が結束されることによって帯封紙幣が作成される。帯封部212により作成された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送され、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになる。また、帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送された帯封紙幣は、当該帯封紙幣投出部218から帯封紙幣収納出金用搬送部220に搬送され、帯封紙幣判別部222を通過した後、この帯封紙幣収納出金用搬送部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるようになっていてもよい。ある金種の紙幣について上述した処理が行われることにより所定数の帯封紙幣が作成されると、別の金種の紙幣について同様の処理が行われることによりこの別の金種についても所定数の帯封紙幣が作成されるようになる。そして、指定された金種毎の数の帯封紙幣が帯封部212により作成されると、帯封紙幣処理ユニット200における紙幣の帯封処理に係る一連の動作が完了する。
次に、帯封紙幣処理ユニット200により帯封紙幣の出金処理を行う際の動作について説明する。本実施の形態による有価媒体処理装置1が待機状態となっているときに、出金されるべき帯封紙幣の金種毎の数に係る情報を含む帯封紙幣出金処理開始の指令を操作者が第1の操作表示部12や第2の操作表示部14により制御部10に入力したり上位端末等の外部装置50から通信インターフェース部22を介して制御部10に上記の帯封紙幣出金処理開始の指令が送信されたりすると、出金すべき金種の帯封紙幣が各帯封紙幣収納カセット230から1つずつカセット駆動部232により帯封紙幣収納出金用搬送部220に繰り出される。そして、各帯封紙幣収納カセット230から帯封紙幣収納出金用搬送部220に繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣投出部218に送られ、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになる。このようにして、帯封紙幣処理ユニット200における帯封紙幣の出金処理に係る一連の動作が完了する。
次に、損券処理ユニット300の動作(具体的には、有価媒体の入金処理)について説明する。なお、以下に示すような損券処理ユニット300の動作は、制御部10が損券処理ユニット300の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
損券処理ユニット300において有価媒体の入金処理を行う際に、操作者が投入部310に有価媒体を投入すると、繰出機構312により有価媒体が筐体302の内部に1枚ずつ繰り出され、搬送部314の第1の搬送部314aにより筐体302の内部で搬送される。その後、この有価媒体は撮像部316により撮像され、撮像された有価媒体の画像データが得られる。そして、制御部10は、取得された有価媒体の画像データに基づいて、筐体302の内部に投入された有価媒体に、斜行状態や重送状態(二枚以上重なった状態)である等の搬送異常がないかどうかを判別する。ここで、搬送異常がないと判別された有価媒体は一時保留部320に搬送され、この一時保留部320で一時的に保留される。一方、筐体302の内部に投入された有価媒体に異常がある場合には、この有価媒体は搬送部314の第1の搬送部314aにより投出部360に搬送され、筐体302の外部に返却されるようになる。
有価媒体が一時保留部320に保留されると、第1の操作表示部12や第2の操作表示部14には有価媒体の画像データが表示されるようになる。そして、操作者は、第1の操作表示部12や第2の操作表示部14に表示された有価媒体の画像データに基づいて、操作表示部により入金データを入力する。ここで、入金データとは、撮像部316により撮像された有価媒体の種類(具体的には、紙幣(損券、旧券)、小切手、手形等の種類)や価値等のことをいう。また、有価媒体の種類が紙幣である場合には、紙幣の金種や新旧に係る情報も入金データとして入力する。操作者が第1の操作表示部12や第2の操作表示部14により入金データを入力すると、第1の操作表示部12や第2の操作表示部14には、入金データと、有価媒体の画像データとが並列に表示されるようになる。
その後、投入部310に投入された有価媒体が全て筐体302の内部に取り込まれ、これらの有価媒体が一時保留部320に保留された後、第1の操作表示部12や第2の操作表示部14には、入金データの確定を求める旨の表示がなされる。そして、操作者が入金データの確定の指令を行うと、一時保留部320に一時的に保留された有価媒体は搬送部314の第1の搬送部314aにより1枚ずつ搬送され、特定有価証券収納部330の各収納部330a〜330cや損券収納部340、342に分類収納されるようになる。その後、入力された入金データは記憶部20に記憶される。一方、操作者が入金データの確定を行う代わりに、入金データの修正を行った場合には、入力された入金データの修正が行われる。その後、第1の操作表示部12や第2の操作表示部14には、修正された入金データの確定を求める旨の表示がなされる。一方、入金データの修正も行われず、有価媒体の返却の指令が第1の操作表示部12や第2の操作表示部14により入力された場合には、一時保留部320に一時的に保留された有価媒体は搬送部314の第1の搬送部314aにより投出部360に搬送され、筐体302の外部に返却されるようになる。このようにして、損券処理ユニット300への有価媒体の入金動作が完了する。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1では、2人の操作者が同時に第1の操作表示部12および第2の操作表示部14によりそれぞれ操作を行うことができるようになっている。この際に、制御部10は、各操作表示部12、14で異なる操作者による操作権限が承認されたときに、一方の操作表示部(例えば、第1の操作表示部12)による操作内容に、他方の操作表示部(例えば、第2の操作表示部14)による操作内容を反映させることができるよう各処理ユニット100、200、300、400、500、600の各構成部材の制御を行うようになっている。このように、複数の操作者が異なる操作表示部で同時に操作を行うことにより、有価媒体処理装置1における処理時間を短縮したり操作性を向上させたりすることができる。
より詳細には、各操作表示部12、14によって、各処理ユニット100、200、300、400、500、600により処理されるべき有価媒体の情報を入力することができるようになっており、制御部10は、一方の操作表示部による入力結果と、他方の操作表示部による入力結果とを統合するようになっている。また、制御部10は、統合された入力結果に基づいて有価媒体の処理(具体的には、出金処理)を行うよう各処理ユニット100、200、300、400、500、600の各構成部材を制御するようになっている。また、一方の操作表示部により有価媒体の入金処理の指示を行った場合に、他方の操作表示部により、一方の操作表示部により指示された入金処理の結果を承認することができるようになっている。このような、本実施の形態による有価媒体処理装置1において2人の操作者が同時に第1の操作表示部12および第2の操作表示部14によりそれぞれ操作を行う際の動作について以下に詳述する。
本実施の形態による有価媒体処理装置1では、袋金としての貨幣の出金処理を行うことができるようになっており、このような袋金としての貨幣の出金処理が行われる前に、袋金準備処理が有価媒体処理装置1で行われるようになっている。より詳細に説明すると、金融機関の行員が顧客の依頼により、例えば顧客会社の社員(複数人)の給料の配達をするにあたって、顧客会社に実際に現金を持参するのに先立って、顧客会社の各社員の給料に係る貨幣を社員毎に封筒に詰めて持ち出せるように支払準備金を有価媒体処理装置1で準備している。また、金融機関において年金受給者(複数人)に年金の支払いを行う場合には、役所から金融機関に渡された名簿に基づいて、それぞれの年金受給者に支払われるべき年金を有価媒体処理装置1で前もって準備しておき、この有価媒体処理装置1から出金された年金に掛かる貨幣を年金受給者毎に封筒に詰めている。ここで、本実施の形態による有価媒体処理装置1において袋金準備処理を行うにあたり、顧客会社や役所から金融機関に対して袋金準備依頼が行われるが、この際に、顧客会社の社員や年金受給者毎の封筒に詰めるべき貨幣の金額のリストが金融機関に渡される。そして、金融機関の行員は、このリストに基づいて第1の操作表示部12や第2の操作表示部14によりリストに記載されている袋金準備金額を入力する。そうすると、有価媒体処理装置1の各処理ユニット100、200、300、400、500、600から貨幣が顧客会社の社員や年金受給者毎に出金され、行員はこの出金された貨幣を封筒に詰めることにより袋金が金融機関で前もって準備されるようになる。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1では、上述した袋金準備処理を2人の行員が分担して行うことができるようになっており、このことにより袋金準備金額の入力時間を短縮することができるようになっている。このような、本実施の形態による有価媒体処理装置1において2人の行員が袋金準備処理を分担して行う際の動作について図6および図9に示すフローチャートならびに図7および図8に示す第1の操作表示部12や第2の操作表示部14の表示画面を用いて説明する。なお、以下に示す動作は、2人の行員のうち一方の行員が第1の操作者として第1の操作表示部12を操作するとともに他方の行員が第2の操作者として第2の操作表示部14を操作するような例について述べている。
第1の操作者は、まず、第1の操作表示部12でログインを行う(STEP1)。具体的には、有価媒体処理装置1が待機状態となっているときに各操作表示部12、14にはメニュー画面が表示されるようになっているが、第1の操作者が第1の操作表示部12に表示されるメニュー画面において第1の操作者の識別番号およびパスワードを入力すると、この第1の操作者の権限が制御部10において認証されるようになる。そして、第1の操作者の権限が認証された後、当該第1の操作者が第1の操作表示部12に表示されるメニュー画面において「入出金処理」を行うことを選択すると、第1の操作表示部12において入出金処理のサブメニュー画面が表示されるようになる。そして、第1の操作者がこのような入出金処理のサブメニュー画面において「袋金処理」を行うことを選択すると(STEP2)、第1の操作表示部12には図7に示すような袋金準備金額の入力画面が表示されるようになる。このような袋金準備金額の入力画面において、第1の操作者は、顧客会社の社員や年金受給者毎の封筒に詰めるべき貨幣の金額のリストに基づいて、リストに記載されている袋金準備金額を第1の操作表示部12により入力する(STEP3)。図7では、3つの封筒にそれぞれ詰めるべき貨幣に係る袋金準備金額が第1の操作表示部12に入力された状態を示している。
また、第1の操作者が第1の操作表示部12により袋金準備金額を入力している間に、第2の操作者が第2の操作表示部14により袋金準備金額を入力したい場合には、第2の操作者は、まず、第2の操作表示部14でログインを行う(STEP4)。具体的には、第2の操作者が第2の操作表示部14に表示されるメニュー画面において第2の操作者の識別番号およびパスワードを入力すると、この第2の操作者の権限が制御部10において認証されるようになる。そして、第2の操作者の権限が認証された後、当該第2の操作者が第2の操作表示部14に表示されるメニュー画面において「入出金処理」を行うことを選択すると、第2の操作表示部14において入出金処理のサブメニュー画面が表示されるようになる。そして、第2の操作者がこのような入出金処理のサブメニュー画面において「袋金処理(分担)」を行うことを選択すると(STEP5)、第2の操作表示部14にも図7に示すような袋金準備金額の入力画面が表示されるようになる。このような袋金準備金額の入力画面において、第2の操作者は、顧客会社の社員や年金受給者毎の封筒に詰めるべき貨幣の金額のリストに基づいて、リストに記載されている袋金準備金額を第2の操作表示部14に入力する(STEP6)。このようにして、袋金準備金額の入力処理を第1の操作者および第2の操作者が分担して行うと、1人の操作者が全ての袋金準備金額の入力処理を行った場合と比較して袋金準備金額の入力時間を短縮することができる。
その後、第2の操作者が袋金準備金額の入力作業を完了し、第2の操作表示部14に表示される袋金準備金額の入力画面において「完了」ボタンを押下すると、第2の操作者による袋金準備金額の入力作業が完了する(STEP7の「YES」)。この場合には、第2の操作表示部14における袋金準備金額の入力作業が完了したという情報が制御部10で受け付けられる(STEP8)。このようにして、第2の操作表示部14における袋金準備金額の入力作業が完了したという情報が制御部10で受け付けられると、図8に示すように、第1の操作表示部12による袋金準備金額の入力結果に加えて第2の操作表示部14による袋金準備金額の入力結果が第1の操作表示部12に表示されるようになる。
その後、第1の操作者が袋金準備金額の入力作業を完了し、第1の操作表示部12に表示される袋金準備金額の入力画面において「完了」ボタンを押下すると、第1の操作者による袋金準備金額の入力作業が完了する(STEP9の「YES」)。このとき、第2の操作表示部14における袋金準備金額の入力作業が完了したという情報が制御部10で既に受け付けられている場合には、制御部10は、第1の操作表示部12による袋金準備金額の入力結果と第2の操作表示部14による袋金準備金額の入力結果とを統合する(STEP10)。その後、統合された袋金準備金額の入力結果が第1のプリンタ16または第2のプリンタ18により伝票に印字されるとともに、各処理ユニット100、200、300、400、500、600から袋金準備金額に係る貨幣が出金される(STEP11)。具体的には、第1の操作表示部12による袋金準備金額の入力結果と第2の操作表示部14による袋金準備金額の入力結果とが統合された後、第1の操作者が第1の操作表示部12に表示される入出金処理のサブメニュー画面から「袋金支払」を行うことを選択すると、統合された入力結果に関する袋金準備金額に係る貨幣が各処理ユニット100、200、300、400、500、600から出金されるようになる。なお、この際に、封筒毎に貨幣が都度出金されるようになっていてもよく、あるいは、複数の封筒に係る貨幣が一度に出金されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1では、第1の操作者が第1の操作表示部12により袋金準備金額を入力している途中で、第2の操作者が第2の操作表示部14により袋金準備金額の入力作業を開始した場合に、第1の操作者が先に袋金準備金額の入力作業を終えることもできるようになっている。このような場合の動作について図9に示すフローチャートを用いて説明する。
有価媒体処理装置1が待機状態となっているときに各操作表示部12、14にはメニュー画面が表示されるようになっているが、まず第1の操作者が第1の操作表示部12でログインを行い(STEP21)、次に袋金準備処理の開始の指示を第1の操作表示部12により入力する(STEP22)。このことにより、第1の操作表示部12には図7に示すような袋金準備金額の入力画面が表示されるようになり、このような袋金準備金額の入力画面において、第1の操作者は袋金準備金額を第1の操作表示部12に入力する(STEP23)。
また、第1の操作者が第1の操作表示部12により袋金準備金額を入力している間に、第2の操作者が第2の操作表示部14により袋金準備金額を入力したい場合には、第2の操作者は、まず、第2の操作表示部14でログインを行い(STEP24)、次に袋金準備処理(分担)の開始の指示を第2の操作表示部14により入力することができるようになる(STEP25)。このことにより、第2の操作表示部14にも図7に示すような袋金準備金額の入力画面が表示されるようになり、このような袋金準備金額の入力画面において、第2の操作者は袋金準備金額を第2の操作表示部14に入力することができるようになる(STEP26)。
その後、第1の操作者が袋金準備金額の入力作業を完了し、第1の操作表示部12に表示される袋金準備金額の入力画面において「完了」ボタンを押下すると、第2の操作表示部14における袋金準備金額の入力作業が完了したという情報が制御部10で受け付けられていない場合には、第1の操作者による袋金準備金額の入力作業が完了し(STEP27の「YES」)、第1の操作表示部12における袋金準備金額の入力作業が完了したという情報が制御部10で受け付けられる(STEP28)。このようにして、第1の操作表示部12における袋金準備金額の入力作業が完了したという情報が制御部10で受け付けられると、第2の操作表示部14による袋金準備金額の入力結果に加えて第1の操作表示部12による袋金準備金額の入力結果が第2の操作表示部14にも表示されるようになる。
その後、第2の操作者が袋金準備金額の入力作業を完了し、第2の操作表示部14に表示される袋金準備金額の入力画面において「完了」ボタンを押下すると、第2の操作者による袋金準備金額の入力作業が完了する(STEP29の「YES」)。このとき、第1の操作表示部12における袋金準備金額の入力作業が完了したという情報が制御部10で既に受け付けられている場合には、制御部10は、第1の操作表示部12による袋金準備金額の入力結果と第2の操作表示部14による袋金準備金額の入力結果とを統合する(STEP30)。その後、統合された袋金準備金額の入力結果が第1のプリンタ16または第2のプリンタ18により伝票に印字されるとともに、各処理ユニット100、200、300、400、500、600から統合された袋金準備金額に係る貨幣が出金される(STEP31)。このようにして、第1の操作者が先に袋金準備金額の入力作業を終えた場合にも、封筒毎に入力された袋金準備金額に係る貨幣が各処理ユニット100、200、300、400、500、600から出金されるようになる。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1では、上述したように、一方の操作表示部により有価媒体の入金処理の指示を行った場合に、他方の操作表示部により、一方の操作表示部により指示された入金処理の結果を承認することができるようになっている。このような動作について図10に示すフローチャートおよび図11乃至図15に示す第1の操作表示部12や第2の操作表示部14の表示画面を用いて説明する。なお、以下に示す動作は、金融機関の担当者が第1の操作表示部12を操作して貨幣の入金処理を行うとともに当該担当者の上司である管理者が第2の操作表示部14により入金処理の結果を承認するような例について述べている。
担当者は、まず、第1の操作表示部12でログインを行う(STEP41)。具体的には、有価媒体処理装置1が待機状態となっているときに各操作表示部12、14にはメニュー画面が表示されるようになっているが、担当者が第1の操作表示部12に表示されるメニュー画面において担当者の識別番号およびパスワードを入力すると、この担当者の権限が制御部10において認証されるようになる。そして、担当者の権限が認証された後、当該担当者が第1の操作表示部12に表示されるメニュー画面において「入出金処理」を行うことを選択すると、第1の操作表示部12において入出金処理のサブメニュー画面が表示されるようになる。そして、担当者がこのような入出金処理のサブメニュー画面において「貨幣の入金処理」を行うことを選択すると(STEP42)、担当者は各処理ユニット100、200、300、400、500、600に貨幣を入金することができるようになる。この際に、当該担当者は損券や旧券、および貨幣以外の有価媒体を損券処理ユニット300に入金したり損貨や旧貨を損貨処理ユニット600に入金したりすることができるようになる。以下の説明では、担当者が損券を損券処理ユニット300に入金する例について述べるが、担当者が旧券や貨幣以外の有価媒体を損券処理ユニット300に入金する場合についても同様の動作が行われるようになる。
図11は、損券処理ユニット300に損券や旧券等を入金したり損貨処理ユニット600に損貨や旧貨等を入金したりする際に第1の操作表示部12に表示される入金画面を示す図である。このような入金画面において担当者が損券や旧券等を損券処理ユニット300に入金することを選択すると、第1の操作表示部12には図12に示すような損券や旧券等を損券処理ユニット300の投入部310に投入することを担当者に促すような画面が表示される。そして、図12に示すような画面が第1の操作表示部12に表示されているときに担当者が損券を投入部310に投入すると、投入部310に投入された損券は筐体302の内部に繰り出され、この繰り出された損券の画像が損券処理ユニット300の撮像部316により読み取られる(STEP43)。また、図13に示すように、撮像部316により読み取られた損券の画像は第1の操作表示部12に表示される。そして、担当者は、第1の操作表示部12に表示される損券の画像に基づいて、当該損券の入金データを第1の操作表示部12により入力する(STEP44)。また、撮像部316により画像が読み取られた損券は一時保留部320に送られ、この一時保留部320で一時的に保留されるようになる。このような動作は投入部310に投入された全ての損券の画像が撮像部316により読み取られるまで行われる(STEP45の「YES」)。
そして、担当者による貨幣の入金処理が完了した後、金融機関の管理者が有価媒体処理装置1における貨幣の入金処理の結果の承認を行うために第2の操作表示部14でログインする(STEP46)。具体的には、管理者が第2の操作表示部14に表示されるメニュー画面において管理者の識別番号およびパスワードを入力すると、この管理者の権限が制御部10において認証されるようになる。そして、管理者の権限が認証されると、第2の操作表示部14には管理者専用のメニュー画面が表示されるようになるが、このメニュー画面において「入金処理の承認」を行うことを選択すると(STEP47)、第2の操作表示部14には図14に示すような「どの取引番号の入金処理を承認するか」を選択する画面が表示されるようになる。そして、図14に示すような第2の操作表示部14に表示される選択画面において管理者が入金処理の取引番号を選択すると(STEP48)、図15に示すように、撮像部316により読み取られた損券の画像が第2の操作表示部14に表示されるようになる。また、第2の操作表示部14には、担当者によって第1の操作表示部12により入力された損券の入金データも表示されるようになる。そして、管理者は、このような第2の操作表示部14の画面において当該第2の操作表示部14に表示される損券の画像に関連する入金処理の結果の承認を行うことができるようになる(STEP49)。具体的には、管理者は、第2の操作表示部14に表示される撮像部316により読み取られた損券の画像と、サンプルとなる損券の画像とを見比べた後、「承認」ボタンを押下することにより、当該損券に係る入金処理の結果(具体的には、担当者によって第1の操作表示部12により入力された損券の入金データ)が承認されるようになる。
このようにして、管理者が全ての損券について第2の操作表示部14により承認を行うと(STEP50の「YES」)、第1の操作表示部12により指示された損券の入金処理の結果が制御部10において確定するようになる。そして、第1の操作表示部12により指示された損券の入金処理の結果が制御部10において確定すると、一時保留部320に保留されている損券が損券収納部340、342等に送られ、これらの損券収納部340、342等に収納される。また、損券収納部340、342等に収納された損券に係る入金処理の結果が第1のプリンタ16や第2のプリンタ18により伝票に印字されるようになる(STEP51)。また、第1の操作表示部12において、管理者により入金処理の結果の承認が行われたことを条件として(STEP52の「YES」)、担当者による入金処理が完了する。なお、管理者が損券について第2の操作表示部14により承認を行わなかった場合には、制御部10において、第1の操作表示部12により指示された損券の入金処理の結果が確定しないようになる。この場合には、一時保留部320に保留されている損券が投出部360に送られることにより筐体302の外部に返却されるようになる。そして、担当者は、筐体302の外部に返却された損券について現物を目視確認した後に、損券処理ユニット300に再入金することにより、当該損券の画像を撮像部316により再取得する。また、この再取得された画像を第2の操作表示部14に表示させることにより、管理者は損券の画像を再確認することができ、入金データを再入力するようになる。
また、本実施の形態では、管理者が第2の操作表示部14により損券の入金処理に係る結果の承認を行う際に、当該第2の操作表示部14によって確認項目を入力すると、担当者が第1の操作表示部12において損券の入金処理に係る入力内容の修正を行うことができるようになっていてもよい。また、管理者自身が第2の操作表示部14において損券の入金処理に係る入力内容の修正を行うことができるようになっていてもよい。
また、上記の説明では、担当者が損券を損券処理ユニット300に入金する例について述べたが、担当者が損貨や旧貨等を損貨処理ユニット600に入金する場合についても同様の動作が行われるようになっていてもよい。すなわち、担当者が損貨や旧貨等を損貨処理ユニット600に入金する際に、担当者が第1の操作表示部12により損貨や旧貨等の入金処理の指示を行った場合に、管理者は第2の操作表示部14により、第1の操作表示部12により指示された損貨や旧貨等の入金処理の結果を承認することができるようになっていてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の有価媒体処理装置1によれば、複数の操作部として第1の操作表示部12および第2の操作表示部14が設けられており、制御部10は、各操作部(具体的には、第1の操作表示部12および第2の操作表示部14)で異なる操作者による操作権限が承認されたときに、一方の操作部による操作内容に、他方の操作部による操作内容を反映させることができるよう処理部(具体的には、各処理ユニット100、200、300、400、500、600)の制御を行うようになっている。このような有価媒体処理装置1によれば、各操作部で異なる操作者による操作権限が承認されたときに、一方の操作部による操作内容に、他方の操作部による操作内容を反映させることができるようになっているため、複数の操作者が異なる操作部で同時に操作を行うことができ、よって有価媒体処理装置1における処理時間を短縮したり操作性を向上させたりすることができる。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、各操作部によって、処理部により処理されるべき有価媒体の情報を入力することができるようになっており、制御部10は、一方の操作部による入力結果と、他方の操作部による入力結果とを統合するようになっている。この場合には、例えば上述した袋金準備処理を行う際に、複数の操作者が各操作部で袋金準備金額の入力を行った後にこれらの入力された袋金準備金額を統合することにより、袋金準備金額の入力時間を短縮することができる。また、この場合、制御部10は、統合された入力結果に基づいて有価媒体の処理(具体的には、出金処理)を行うよう処理部(具体的には、各処理ユニット100、200、300、400、500、600)を制御するようになっている。この場合には、統合された袋金準備金額に係る貨幣の出金処理を行うことができるようになる。また、図6のフローチャートに示すように、制御部10は、一方の操作部(例えば、第1の操作表示部12)による入力動作が開始されたときに、他方の操作部(例えば、第2の操作表示部14)による入力動作の完了の指令が受け付けられないと(STEP8)、一方の操作部による入力動作を完了させることができないようになっている。あるいは、図9のフローチャートに示すように、制御部10は、一方の操作部(例えば、第1の操作表示部12)による入力動作が開始されたときに、他方の操作部(例えば、第2の操作表示部14)による入力動作の途中で一方の操作部による入力動作が完了すると(STEP28)、他方の操作部による入力動作が完了した後に(STEP29の「YES」)、一方の操作部による入力結果と他方の操作部による入力結果とを統合するようになっていてもよい。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、制御部10は、一方の操作部(例えば、第1の操作表示部12)により有価媒体の入金処理の指示を行った場合に、他方の操作部(例えば、第2の操作表示部14)により、一方の操作部により指示された入金処理の結果を承認することができるようになっている。ここで、従来では、担当者による貨幣の入金処理と管理者による入金処理の承認とが別々に行われるようになっていたが、このような従来の方法では、管理者が入金処理の承認を行う際に、入金処理を指示した担当者に確認したい事項が生じたときに、2つの処理のタイミングが異なるため入金処理を指示した担当者を呼び出す必要が生じてしまい、操作性が悪いという問題があった。これに対し、本実施の形態では、2つの操作部によって担当者による貨幣の入金処理と管理者による入金処理の承認とが並行して行われるため、管理者が入金処理の承認を行う際に、入金処理を指示した担当者に確認したい事項が生じた場合でもそばにいる担当者にすぐに確認することができ、よって操作性を向上させることができる。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、第2の操作表示部14は、例えば損券処理ユニット300の筐体302の内部に投入された有価媒体の画像を表示する表示部としても機能するようになっており、この第2の操作表示部14により、表示部に表示される有価媒体の画像に関連する入金処理の結果の承認を行うことができるようになっている。また、制御部10において、他方の操作部(例えば、第2の操作表示部14)により入金処理の結果が承認された場合には、一方の操作部(例えば、第1の操作表示部12)により指示された有価媒体の入金処理の結果が確定するようになっている。また、制御部10において、他方の操作部により入金処理の結果が承認されなかった場合には、一方の操作部により指示された有価媒体の入金処理の結果が確定しないようになっている。この場合には、例えば損券処理ユニット300の筐体302の内部に投入された有価媒体が当該筐体302の外部に返却されるようになる。
なお、本実施の形態による有価媒体処理装置1は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、上述した有価媒体処理装置1は、バラ紙幣処理ユニット100、帯封紙幣処理ユニット200、損券処理ユニット300、バラ硬貨処理ユニット400、包装硬貨処理ユニット500および損貨処理ユニット600を組み合わせたものであるが、本実施の形態による有価媒体処理装置1において、これらの処理ユニット100、200、300、400、500、600のうち一部のユニットの設置が省略されるようになっていてもよい。具体的には、本実施の形態による有価媒体処理装置1がバラ紙幣処理ユニット100および帯封紙幣処理ユニット200のみから構成されており、当該有価媒体処理装置1が紙幣の入出金装置として用いられるようになっていてもよい。あるいは、本実施の形態による有価媒体処理装置1がバラ硬貨処理ユニット400および包装硬貨処理ユニット500のみから構成されており、当該有価媒体処理装置1が硬貨の入出金装置として用いられるようになっていてもよい。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1において、貨幣の全回収や自動精査を行う際に操作者により行われるべき操作を、複数の操作部(例えば第1の操作表示部12および第2の操作表示部14)により複数の操作者が分担して行うことができるようになっていてもよい。具体的には、例えば、貨幣の全回収や自動精査を行う際に、第1の操作者が第1の操作表示部12により紙幣の全回収や自動精査に係る操作を行うとともに第2の操作者が第2の操作表示部14により硬貨の全回収や自動精査に係る操作を行うことができるようになっていてもよい。
また、上述した有価媒体処理装置1および上位端末等の外部装置50を組み合わせることにより本発明に係る有価媒体処理システムが構成されるようになっていてもよい。この場合には、上位端末等の外部装置50は、有価媒体処理装置1の管理を行う管理装置として機能するようになる。また、上記の説明では、複数の操作部(例えば第1の操作表示部12および第2の操作表示部14)で異なる操作者による操作権限が承認されたときに、一方の操作部(例えば、第1の操作表示部12)による操作内容に、他方の操作部(例えば、第2の操作表示部14)による操作内容を反映させることができるよう各処理ユニット100、200、300、400、500、600の制御を行う制御部10が有価媒体処理装置1に設けられるような態様について述べたが、上記のように各処理ユニット100、200、300、400、500、600の制御を行う制御部が有価媒体処理装置1に設けられる代わりに上位端末等の外部装置50に設けられるようになっていてもよい。
また、本発明に係る有価媒体処理システムにおいて、有価媒体処理装置1の操作を行うための操作部は、当該有価媒体処理装置1に設けられた第1の操作表示部12や第2の操作表示部14に限定されることはない。有価媒体処理装置1の操作を行うための操作部として、有価媒体処理装置1とは別に設けられ、通信インターフェース部22を介して制御部10に対して信号の送受信を行うことができる携帯端末(具体的には、スマートフォンやタブレット端末等)が用いられてもよい。この場合には、有価媒体処理装置1の各処理ユニット100、200、300、400、500、600により行われた有価媒体の処理に係る情報や、有価媒体処理装置1の各処理ユニット100、200、300、400、500、600に収納されている有価媒体の在高に係る情報等が携帯端末に表示されるようになる。また、操作者は携帯端末により制御部10に様々な指令を入力することができるようになる。また、本発明に係る有価媒体処理システムにおいて携帯端末が用いられる場合、有価媒体処理装置1に1つの操作表示部のみが設けられ、この有価媒体処理装置1に設けられた操作表示部および当該有価媒体処理装置1とは別に設けられた携帯端末により複数の操作者が有価媒体処理装置1の操作を同時に行うようになっていてもよい。また、更に別の例では、有価媒体処理装置1に操作表示部が設けられておらず、有価媒体処理装置1とは別に設けられた複数の携帯端末により複数の操作者が有価媒体処理装置1の操作を同時に行うようになっていてもよい。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1において、包装硬貨処理ユニット500の上に載せられている第2の操作表示部14を上側後方に開くことができるようになっていてもよい。図16(a)(b)は、包装硬貨処理ユニット500の上に載せられている第2の操作表示部14を上側後方に開く動作を示す斜視図である。
より詳細に説明すると、図16に示すように、包装硬貨処理ユニット500の上には、第2のプリンタ18としてのスリッププリンタの他にレシートプリンタ30およびジャーナルプリンタ32がそれぞれ載せられるようになっている。ここで、第2のプリンタ18としてのスリッププリンタは、挿入口18aを介して内部に入れられた伝票に様々な情報を印字するようになっている。そして、様々な情報が印字された伝票は挿入口18aから引き抜かれるようになる。また、レシートプリンタ30は、有価媒体処理装置1の各処理ユニット100、200、300、400、500、600により行われた有価媒体の処理に係る情報や、有価媒体処理装置1の各処理ユニット100、200、300、400、500、600に収納されている有価媒体の在高に係る情報等をレシートに印字し、この印字されたレシートを排出口30aから排出するようになっている。また、ジャーナルプリンタ32は、各処理ユニット100、200、300、400、500、600により行われた有価媒体の処理に係る情報や、各処理ユニット100、200、300、400、500、600に収納されている有価媒体の在高に係る情報等をロール紙に印字するようになっているが、印字されたロール紙は排出されることなくジャーナルプリンタ32の内部で回収されるようになっている。このことにより、各処理ユニット100、200、300、400、500、600により行われた有価媒体の処理に係る情報や、各処理ユニット100、200、300、400、500、600に収納されている有価媒体の在高に係る情報等の証拠がロール紙に残るようになる。また、操作者は、ジャーナルプリンタ32の前面に設けられた確認窓32aにより、ロール紙に印字された内容を確認することができるようになっている。
また、図16(a)(b)に示すように、第2の操作表示部14は、水平方向に延びる軸を中心として、図16(a)に示すような表示位置と図16(b)に示すような退避位置との間で回転することができるようになっている。ここで、第2の操作表示部14が図16(a)に示すような表示位置に位置しているときには、当該第2の操作表示部14はレシートプリンタ30やジャーナルプリンタ32の前方に位置するようになる。なお、この場合でもレシートプリンタ30の排出口30aやジャーナルプリンタ32の確認窓32aは第2の操作表示部14の下方に位置している。一方、第2の操作表示部14が図16(b)に示すような退避位置に位置しているときには、当該第2の操作表示部14はレシートプリンタ30やジャーナルプリンタ32の上方に位置するようになる。
このような構成の第2の操作表示部14が設けられた有価媒体処理装置1によれば、通常時(貨幣処理時)には第2の操作表示部14をレシートプリンタ30やジャーナルプリンタ32の前方に位置させることにより、図16(a)に示すように限られたスペースに第2の操作表示部14、第2のプリンタ18としてのスリッププリンタ、レシートプリンタ30およびジャーナルプリンタ32を配置することができるようになる。また、レシートプリンタ30やジャーナルプリンタ32のメンテナンスを行う際には、図16(b)に示すように第2の操作表示部14を退避位置に移動させることにより、操作者はレシートプリンタ30やジャーナルプリンタ32の前面カバーを開くことができるようになり、これらのレシートプリンタ30やジャーナルプリンタ32においてロール紙の交換やレシート等のジャム(詰まり現象)の解除等の様々なメンテナンス作業を行うことができるようになる。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1で用いられるジャーナルプリンタ32の内部構成について図17を用いて説明する。なお、図17におけるジャーナルプリンタ32の右側の側面が有価媒体処理装置1の前面側(すなわち、有価媒体処理装置1を手前側から見たときの正面側)となっており、図17における左方向がジャーナルプリンタ32の奥行き方向となっている。図17に示すように、ジャーナルプリンタ32の内部には、ロール紙32bと、ロール紙32bから巻き出された用紙が通過する搬送経路32cと、ロール紙32bから巻き出された用紙に印字を行う印字ヘッド32eと、印字ヘッド32eにより印字が行われた用紙を巻き取る巻取ロール32dとを有している。また、ジャーナルプリンタ32の前面側には、印字ヘッド32eにより印字が行われた用紙における印字内容を操作者が確認するための透明または半透明の確認窓32aが設けられている。図17に示すように、本実施の形態によるジャーナルプリンタ32では、巻取ロール32dがジャーナルプリンタ32の内部における前面側に設置されている。ここで、ジャーナルプリンタ32のロール紙を交換する際には、まず、ロール紙32bの芯と、用紙を全て巻き取った巻取ロール32dを取り除き、新しいロール紙32bと空の巻取ロール32dを装着する。次に、ロール紙32bの先端を手前に引き出して、巻取ロール32dに引っ掛けてカバーを閉じれば交換作業が完了する。巻取ロール32dが手前側にあることで、ロール紙32bの先端を巻取ロール32dに引っ掛ける動作を広い空間で行うことできるので、ロール紙32bを取り換える際の操作性を向上させることができ、また、巻取ロール32dの交換時間を短縮することができる。また、確認窓32aがジャーナルプリンタ32の前面側に設けられているため、印字ヘッド32eにより印字が行われた用紙における印字内容を操作者が容易に確認することができるようになる。
なお、比較例として、従来のジャーナルプリンタ40の内部構成を図18に示す。なお、図18におけるジャーナルプリンタ40の右側の側面が有価媒体処理装置1の前面側(すなわち、有価媒体処理装置1を手前側から見たときの正面側)となっており、図18における左方向がジャーナルプリンタ40の奥行き方向となっている。図18に示すように、従来のジャーナルプリンタ40の内部には、ロール紙40bと、ロール紙40bから巻き出された用紙が通過する搬送経路40cと、ロール紙40bから巻き出された用紙に印字を行う印字ヘッド40eと、印字ヘッド40eにより印字が行われた用紙を巻き取る巻取ロール40dとを有している。しかしながら、図18に示す従来のジャーナルプリンタ40では、巻取ロール40dがジャーナルプリンタ40の内部における背面側に設置されている。このため、図18に示すようなジャーナルプリンタ40では、操作者はロール紙40bを取り換える際にジャーナルプリンタ40の内部において巻取ロール40dが見にくくなるため、ロール紙40bの先端を巻取ロール40dに引っ掛ける動作が極めて行いにくく、よって巻取ロール40dを取り換える際の操作性が悪く、また、巻取ロール40dの交換時間が長くなってしまうという問題があった。より詳細には、図18に示すようなジャーナルプリンタ40では、巻取ロール40dを取り換える際にジャーナルプリンタ40自体を手前側に引き出す必要があり、手間が掛かるという問題があった。また、図18に示すようなジャーナルプリンタ40では、印字ヘッド40eにより印字が行われた用紙における印字内容を操作者が確認するための確認窓がジャーナルプリンタ40の前面側に設けられていないため、印字ヘッド40eにより印字が行われた用紙における印字内容を操作者が容易に確認することができなかった。これに対し、図17に示すようなジャーナルプリンタ32では、このような従来のジャーナルプリンタ40の問題点を解決することができるようになる。