以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態による出納機およびこの出納機を備えた貨幣管理システムを示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による出納機の構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す出納機の機能ブロック図である。また、図3(a)(b)は、図1に示す出納機のバラ硬貨処理部に設けられた入金部ユニットの構成を示す側面図であり、図4は、図3に示す入金部ユニットを上方から見たときの上面図であり、図5は、図3に示す入金部ユニットにおける入金ホッパの構成の詳細を示す側面図である。また、図6は、図1に示す出納機および貨幣管理装置(現金バス)からなる貨幣管理システムの構成を示す斜視図であり、図7は、図6に示す貨幣管理システムの動作を示すチャート図である。
図1に示すように、本実施の形態の出納機1は、バラ硬貨の処理を行うバラ硬貨処理部10と、包装硬貨の処理を行う包装硬貨処理部20と、バラ紙幣の処理を行うバラ紙幣処理部30と、帯封紙幣の処理を行う帯封紙幣処理部40とを備えており、これらのバラ硬貨処理部10、包装硬貨処理部20、バラ紙幣処理部30および帯封紙幣処理部40は横方向に並ぶよう配置されている。また、図2に示すように、本実施の形態の出納機1には、これらのバラ硬貨処理部10、包装硬貨処理部20、バラ紙幣処理部30および帯封紙幣処理部40の制御を行う制御部60が設けられている。
このような出納機1についてより詳細に説明すると、図1に示すように、バラ硬貨処理部10には入金部ユニット12が設けられており、この入金部ユニット12の上面にはバラ硬貨入金口が設置されている。そして、このバラ硬貨入金口を介して入金ホッパ12pに投入されたバラ硬貨はバラ硬貨処理部10の機体内に繰り出され、当該バラ硬貨処理部10の機体内にある識別部12e(図4参照、詳細については後述)によりその金種、真偽、正損等が識別された後、バラ硬貨処理部10の機体内にある複数のバラ硬貨収納部(図示せず)に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、バラ硬貨処理部10の前面にはバラ硬貨出金口14が設けられており、出納機1の制御部60にバラ硬貨の出金指令が与えられたときに、バラ硬貨処理部10の機体内にあるバラ硬貨収納部からバラ硬貨が繰り出されてバラ硬貨出金口14に搬送されるようになっている。
ここで、バラ硬貨処理部10に設けられた入金部ユニット12の構成の詳細について図3乃至図5を用いて説明する。前述したように、図3(a)(b)は、図1に示す出納機1のバラ硬貨処理部10に設けられた入金部ユニット12の構成を示す側面図であり、図4は、図3に示す入金部ユニット12を上方から見たときの上面図であり、図5は、図3に示す入金部ユニット12における入金ホッパ12pの構成の詳細を示す側面図である。
図3に示すように、入金部ユニット12の上部には上カバー13が設けられており、この上カバー13は軸13aを中心として上方に開くようになっている。図3(a)は、上カバー13が入金部ユニット12の上部を閉じているときの状態を示しており、図3(b)は、上カバー13が上方に開いて入金部ユニット12の上部を開いたときの状態を示している。また、上カバー13における入金部ユニット12の入金ホッパ12pに対応する位置には入金開口が設けられている。また、上カバー13において当該入金開口にはこの入金開口の開閉を行うシャッタ13bが設けられており、当該シャッタ13bは図3(a)における左右方向に移動自在となっている。図3(a)に示すように上カバー13が入金部ユニット12の上部を閉じているときでも、この上カバー13に設けられた入金開口をシャッタ13bが開いているときには、操作者は当該入金開口を介して入金ホッパ12pに硬貨を投入することができるようになっている。また、上カバー13には上カバーロック機構13cが設けられており、この上カバーロック機構13cにより上カバー13がロックされているときには当該上カバー13は入金部ユニット12の上部から上方に開くことができないようになっている。
また、本実施の形態では、バラ硬貨処理部10の機体から入金部ユニット12を手前側に引き出すことができるようになっている。ここで、図3に示すように、入金部ユニット12には入金部ユニットロック機構12sが設けられており、この入金部ユニットロック機構12sにより入金部ユニット12がロックされているときにはバラ硬貨処理部10の機体から入金部ユニット12を手前側に引き出すことができないようになっている。
図3乃至図5に示すように、入金部ユニット12の入金ホッパ12pの下部には第1の回転盤12aが設けられており、この第1の回転盤12aに隣接して第2の回転盤12bが設置されている。ここで、図4の二点鎖線に示すように、入金ホッパ12pに投入された硬貨は20〜30枚ずつ第1の回転盤12aから第2の回転盤12bに繰り出されるようになっている。また、第2の回転盤12bから硬貨が1枚ずつ硬貨放出口12cを介して搬送路12dに繰り出されるようになっており、搬送路12dにおいて硬貨は1枚ずつ図4の二点鎖線の矢印方向に沿って搬送されるようになっている。図4に示すように搬送路12dの途中箇所には識別部12eが設けられており、搬送路12dに沿って搬送される硬貨はこの識別部12eによってその金種、真偽、正損等が識別されるようになっている。
また、図4に示すように、硬貨の搬送方向における識別部12eの下流側において、リジェクト硬貨用開口12f、予備開口12g、5円硬貨用開口12hが搬送路12dに沿って順に配置されている。また、これらの開口12f、12g、12hに対応して複数のローラ12iが設置されており、各ローラ12iが図4に示す位置から上方に移動すると、搬送路12dに沿って搬送されている硬貨が各開口12f、12g、12hに入るようになっている。また、硬貨の搬送方向における5円硬貨用開口12hの下流側において、1円硬貨用開口12j、50円硬貨用開口12k、100円硬貨用開口12l、10円硬貨用開口12m、500円硬貨用開口12nが搬送路12dに沿って順に配置されている。これらの開口12j、12k、12l、12m、12nは、対応する硬貨が入るような形状や大きさとなっており、搬送路12dに沿って搬送される硬貨は、その金種に対応する開口12j、12k、12l、12m、12nに入るようになっている。また、バラ硬貨処理部10において、各開口12h、12j、12k、12l、12m、12nの下方にはそれぞれ対応するバラ硬貨収納部(図示せず)が設けられており、各開口12h、12j、12k、12l、12m、12nに入った硬貨は、対応する金種のバラ硬貨収納部に収納されるようになっている。
また、図5に示すように、第1の回転盤12aの軸を保護し、投入された硬貨を周囲へ追いやるためのキャップ12qが第1の回転盤12a上に設置されている。また、入金ホッパ12pの上部部分には硬貨フルセンサ12rが設けられている。硬貨フルセンサ12rは発光素子および受光素子を有しており、これらの発光素子と受光素子との間に硬貨が存在しない場合には、発光素子から発せられた光は図5における二点鎖線の光軸に沿って進み受光素子により受けられるようになっている。一方、入金ホッパ12pにおいて硬貨フルの状態となり、発光素子と受光素子との間にある光軸に硬貨が存在する場合には、発光素子から発せられた光は当該硬貨により遮られて受光素子に到達しないようになり、このことにより硬貨フルセンサ12rは入金ホッパ12pにおいて硬貨フル状態であることを検出する。
また、図1に示すように、バラ硬貨処理部10の左隣には包装硬貨処理部20が設置されており、バラ硬貨処理部10から包装硬貨処理部20にバラ硬貨が送られるようになっている。包装硬貨処理部20において、バラ硬貨処理部10から送られたバラ硬貨は包装部(図示せず)において例えば50枚単位で包装紙等により棒状となるよう包装され、この包装された包装硬貨は当該包装硬貨処理部20の機体内にある複数の包装硬貨収納部に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、包装硬貨処理部20の前面上部には包装硬貨出金口22が設けられており、出納機1の制御部60に包装硬貨の出金指令が与えられたときに、包装硬貨処理部20の機体内にある包装硬貨収納部から包装硬貨が繰り出されて包装硬貨出金口22に搬送されるようになっている。
また、図1に示すように、包装硬貨処理部20の左隣にはバラ紙幣処理部30が設置されており、このバラ紙幣処理部30の前面上部にはバラ紙幣をバラ紙幣処理部30の機体内に投入するためのバラ紙幣入金口32が設けられているとともに、バラ紙幣処理部30の上面にはバラ紙幣を機体外に投出するためのバラ紙幣出金口34が設けられている。バラ紙幣入金口32に投入されたバラ紙幣はバラ紙幣処理部30の機体内にある識別部(図示せず)によりその金種、真偽、正損等が識別された後、バラ紙幣処理部30の機体内にある複数のバラ紙幣収納部(図示せず)に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、出納機1の制御部60にバラ紙幣の出金指令が与えられたときに、バラ紙幣処理部30の機体内にあるバラ紙幣収納部からバラ紙幣が繰り出されてバラ紙幣出金口34に搬送されるようになっている。
また、バラ紙幣処理部30の左隣には帯封紙幣処理部40が設置されており、バラ紙幣処理部30から帯封紙幣処理部40にバラ紙幣が送られるようになっている。帯封紙幣処理部40において、バラ紙幣処理部30から送られたバラ紙幣は帯封部(図示せず)において例えば100枚単位で帯封紙等により帯封され、この帯封された帯封紙幣は当該帯封紙幣処理部40の機体内にある複数の帯封紙幣収納部に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、帯封紙幣処理部40の前面上部には帯封紙幣出金口42が設けられており、出納機1の制御部60に帯封紙幣の出金指令が与えられたときに、帯封紙幣処理部40の機体内にある帯封紙幣収納部から帯封紙幣が繰り出されて帯封紙幣出金口42に搬送されるようになっている。
なお、本実施の形態の出納機1では、これらのバラ硬貨処理部10、包装硬貨処理部20、バラ紙幣処理部30および帯封紙幣処理部40に加えて、例えば小切手や商品券等の現金以外の有価媒体の処理を行う有価媒体処理部が並設されていてもよい。具体的には、このような有価媒体処理部が例えば包装硬貨処理部20とバラ紙幣処理部30との間に設けられていてもよい。また、本実施の形態の出納機1において、バラ硬貨処理部10、包装硬貨処理部20、バラ紙幣処理部30および帯封紙幣処理部40のうち一部の処理部の設置が省略されるようになっていてもよい。
また、図1および図2に示すように、帯封紙幣処理部40の上面には例えばモニタからなる第1の表示部70が設けられているとともに、バラ硬貨処理部10の上面にも例えばモニタからなる第2の表示部80が設けられている。また、帯封紙幣処理部40の上面における第1の表示部70の近傍には第1のキーボード72、第1のカードリーダ74および第1のプリンタ76がそれぞれ設けられており(図1では図示せず)、これらの第1の表示部70、第1のキーボード72、第1のカードリーダ74および第1のプリンタ76により第1の操作表示部78が構成されている。また、バラ硬貨処理部10の上面における第2の表示部80の近傍には第2のキーボード82、第2のカードリーダ84および第2のプリンタ86がそれぞれ設けられており(図1では図示せず)、これらの第2の表示部80、第2のキーボード82、第2のカードリーダ84および第2のプリンタ86により第2の操作表示部88が構成されている。ここで、第1の表示部70および第2の表示部80は、各々、出納機1の各処理部10、20、30、40における貨幣の処理状況、ならびにこれらの各処理部10、20、30、40に収納された貨幣の金種毎の枚数や合計金額等の情報を表示するようになっている。また、第1のキーボード72および第2のキーボード82により、各々、操作者は制御部60に対して様々な指令を入力することができるようになっている。また、第1のカードリーダ74および第2のカードリーダ84は、各々、操作者が携帯するIDカード等の読み取りを行うようになっている。また、第1のプリンタ76および第2のプリンタ86は、各々、各処理部10、20、30、40に収納された貨幣の金種毎の枚数や合計金額等の情報の印字を行うようになっている。
このように、第1の操作表示部78および第2の操作表示部88はそれぞれ、制御部60に対して様々な指令を入力する指令入力機能および様々な情報を表示する表示機能を有するようになっている。より具体的には、第1のキーボード72および第1のカードリーダ74、ならびに第2のキーボード82および第2のカードリーダ84は、各々、制御部60に対して様々な指令を入力する指令入力機能を果たすようになっており、また、第1の表示部70および第2の表示部80は、各々、様々な情報を表示する表示機能を果たすようになっている。そして、本実施の形態の出納機1では、図1に示すように、各処理部10、20、30、40上で複数(具体的には2つ)の操作表示部78、88が左側と右側とに離して配置されているため、複数の操作者が一つの出納機1を共用するような双頭運用を行うことができるようになる。
なお、第1の表示部70および第2の表示部80は、例えばタッチパネルから構成されていてもよい。この場合には、第1の表示部70および第2の表示部80は、各々、様々な情報の表示を行うことができるとともに、操作者はこれらの第1の表示部70および第2の表示部80により制御部60に対して様々な指令を入力することができるようになる。この場合には、第1の表示部70や第2の表示部80はそれぞれ単体で、制御部60に対して様々な指令を入力する指令入力機能および様々な情報を表示する表示機能を有するようになる。
また、図2に示すように、出納機1の制御部60には記憶部62、通信部64がそれぞれ接続されている。記憶部62は、出納機1の各処理部10、20、30、40における貨幣の処理状況や、各処理部10、20、30、40に収納された貨幣の金種毎の枚数や合計金額等の情報を記憶するようになっている。また、制御部60は通信部64を介して外部装置に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。
また、図1に示すように、バラ硬貨処理部10の上面には指紋認証機50が設置されており、この指紋認証機50により操作者の権限の認証が行われるようになっている。
本実施の形態の出納機1では、制御部60は、複数の操作表示部78、88のうちある操作表示部により切替指令が入力されたときに、一の操作表示部において実行されている指令入力機能および表示機能を他の操作表示部において実行させるよう操作表示部の切替を行うようになっている。より具体的に説明すると、例えばある操作者が第1の操作表示部78で操作を行っているときに、4つの処理部10、20、30、40のうち最も右側にあるバラ硬貨処理部10で故障等のエラーが発生すると、この第1の操作表示部78の第1の表示部70にはエラー解除のためのガイダンスが表示される。この際に、第1の表示部70およびバラ硬貨処理部10は離れているため、第1の操作表示部78の操作を行っている操作者は、第1のキーボード72により操作表示部の切替指令を入力する。そうすると、制御部60において、第1の操作表示部78において実行されている指令入力機能および表示機能を第2の操作表示部88において実行させるよう、操作表示部の切替が行われる。具体的には、第2の操作表示部88の第2の表示部80に、エラー解除のためのガイダンスが表示されるようになり、また、操作者は、第2の操作表示部88の第2のキーボード82や第2のカードリーダ84により制御部60に対して様々な指令を入力することができるようになる。このように、第1の操作表示部78において実行されている指令入力機能および表示機能が第2の操作表示部88において実行されるよう操作表示部の切替が行われると、エラーが発生している処理部(具体的には、例えばバラ硬貨処理部10)と、第2の操作表示部88の第2の表示部80との距離を小さくすることができるため、操作者が表示部(具体的には、第2の表示部80)に表示されるガイダンスを見ながらバラ硬貨処理部10のエラー解除を行うにあたり操作者にとっての操作性を向上させることができる。
具体例を挙げてより詳細に説明すると、例えばある操作者が第1の操作表示部78で操作を行っているときに、4つの処理部10、20、30、40のうち最も右側にあるバラ硬貨処理部10の入金部ユニット12における硬貨放出口12cで硬貨が詰まってしまった場合には、この第1の操作表示部78の第1の表示部70にはエラー解除のためのガイダンスが表示される。この際に、第1の表示部70およびバラ硬貨処理部10は離れているため、第1の操作表示部78の操作を行っている操作者は、第1のキーボード72により操作表示部の切替指令を入力する。そうすると、制御部60において、第1の操作表示部78において実行されている指令入力機能および表示機能を第2の操作表示部88において実行させるよう、操作表示部の切替が行われる。具体的には、第2の操作表示部88の第2の表示部80に、エラー解除のためのガイダンスが表示されるようになり、また、操作者は、第2の操作表示部88の第2のキーボード82や第2のカードリーダ84により制御部60に対して様々な指令を入力することができるようになる。なお、入金部ユニット12における第2の回転盤12bや硬貨放出口12cは上カバー13により覆われているため操作者は硬貨放出口12cを直接見ることができない。このため、従来技術では、硬貨放出口12cに硬貨が詰まっていることに操作者が気づかずに、大量の硬貨を入金ホッパ12pに投入した場合には、この入金ホッパ12pから硬貨が減らないことにより操作者は初めて入金部ユニット12内で硬貨の詰まりが発生していることに気づく。しかしながら、この際に、操作者はエラー解除のために慌ててバラ硬貨処理部10の機体から入金部ユニット12を手前側に引き出して上カバー13を開ける可能性があり、この場合には硬貨が入金ホッパ12pの周囲からこぼれてしまい違算が発生してしまうおそれがある。
これに対し、本実施の形態では、硬貨フルセンサ12rにより入金ホッパ12pにおいて硬貨フル状態となっていることが検出されたときに、入金部ユニットロック機構12sが入金部ユニット12のロックを行いこの入金部ユニット12をバラ硬貨処理部10の機体から手前側に引き出すことができないようになっている。あるいは、硬貨フルセンサ12rにより入金ホッパ12pにおいて硬貨フル状態となっていることが検出されたときに、入金部ユニット12をバラ硬貨処理部10の機体から手前側に引き出せたとしても、上カバーロック機構13cにより上カバー13のロックを行いこの上カバー13を入金部ユニット12から上方に開くことができないようになっている。また、硬貨フルセンサ12rにより入金ホッパ12pにおいて硬貨フル状態となっていることが検出されたときに、第2の操作表示部88の第2の表示部80に、エラー解除のためのガイダンスとして、シャッタ13bを移動させて上カバー13に設けられた入金開口を開け、入金ホッパ12p内の硬貨を手動で取り出すような指示画面が表示される。そして、入金ホッパ12pにおいて硬貨フル状態が解除されたことが硬貨フルセンサ12rにより検知された場合には、すなわち硬貨フルセンサ12rにおいて発光素子から発せられた光が受光素子により受けられるようになった場合には、入金部ユニットロック機構12sによる入金部ユニット12のロックが解除されこの入金部ユニット12をバラ硬貨処理部10の機体から手前側に引き出すことができるようになったり、あるいは上カバーロック機構13cによる上カバー13のロックが解除されこの上カバー13を入金部ユニット12から上方に開くことができるようになったりし、このことにより操作者は硬貨放出口12cに詰まっている硬貨を取り除くことができるようになる。このような態様とすることにより、操作者がバラ硬貨処理部10のエラー解除を行う際に硬貨が入金ホッパ12pの周囲からこぼれてしまい違算が発生してしまうというトラブルを防止することができるようになる。
また、本実施の形態では、入金ホッパ12pにおいて硬貨フル状態が解除されたことが硬貨フルセンサ12rにより検知された場合でも、上カバー13に設けられた入金開口をシャッタ13bが開いているときには、入金部ユニットロック機構12sによる入金部ユニット12のロックが解除されずにこの入金部ユニット12をバラ硬貨処理部10の機体から手前側に引き出すことができないようになっていてもよい。あるいは、入金部ユニット12をバラ硬貨処理部10の機体から手前側に引き出せたとしても、上カバーロック機構13cによる上カバー13のロックが解除されずにこの上カバー13を入金部ユニット12から上方に開くことができないようになっていてもよい。そして、入金ホッパ12pにおいて硬貨フル状態が解除されたことが硬貨フルセンサ12rにより検知された後、シャッタ13bにより上カバー13に設けられた入金開口が閉じられた場合に、入金部ユニットロック機構12sによる入金部ユニット12のロックが解除されこの入金部ユニット12をバラ硬貨処理部10の機体から手前側に引き出すことができるようになったり、あるいは上カバーロック機構13cによる上カバー13のロックが解除されこの上カバー13を入金部ユニット12から上方に開くことができるようになったりし、このことにより操作者は硬貨放出口12cに詰まっている硬貨を取り除くことができるようになっていてもよい。このような態様でも、操作者がバラ硬貨処理部10のエラー解除を行う際に硬貨が入金ホッパ12pの周囲からこぼれてしまい違算が発生してしまうというトラブルを防止することができるようになる。
また、例えば、ある操作者が第1の操作表示部78でバラ硬貨処理部10におけるバラ硬貨の入金処理の操作を行い、同時に別の操作者が第2の操作表示部88で帯封紙幣処理部40における帯封紙幣作成処理の操作を行っているときに、バラ硬貨処理部10で故障等のエラーが発生したことにより、第1の操作表示部78の操作を行っている操作者が第1のキーボード72により操作表示部の切替指令を入力すると、第2の操作表示部88の第2の表示部80において、帯封紙幣処理部40における帯封紙幣作成処理の操作画面の上にバラ硬貨処理部10のエラー解除のためのガイダンス画面が表示されるようになり、帯封紙幣作成処理の操作画面はエラー解除のためのガイダンス画面の裏に隠れるようになる。なお、この場合でも、第2の操作表示部88の第2のキーボード82による操作により、帯封紙幣作成処理の操作画面をエラー解除のためのガイダンス画面よりも前面に表示させることができるようになっている。
また、図1に示すように、指紋認証機50はバラ硬貨処理部10の上面に設置されているが、例えばある操作者が第1の操作表示部78で操作を行っているときに、この指紋認証機50で指紋の認証を行いたい場合には、この第1の操作表示部78および指紋認証機50は離れているため、第1の操作表示部78の操作を行っている操作者は、第1のキーボード72により操作表示部の切替指令を入力する。そうすると、制御部60において、第1の操作表示部78において実行されている指令入力機能および表示機能を第2の操作表示部88において実行させるよう、操作表示部の切替が行われる。このように、第1の操作表示部78において実行されている指令入力機能および表示機能が第2の操作表示部88において実行されるよう操作表示部の切替が行われると、指紋認証機50と、指令入力機能や表示機能が実行される操作表示部との距離を小さくすることができるため、操作者が指紋認証機50により指紋の認証を行うにあたり操作者にとっての操作性を向上させることができる。
なお、一の操作表示部において実行されている指令入力機能および表示機能を他の操作表示部において実行させるような操作表示部の切替は、切替元の操作表示部による切替指令の入力、または切替先の操作表示部による切替指令の入力のどちらでも行うことができるようになっている。すなわち、例えば第1の操作表示部78において実行されている指令入力機能および表示機能を第2の操作表示部88において実行させるよう、操作表示部の切替を行うにあたり、第1の操作表示部78の第1のキーボード72により切替指令を行っても、あるいは第2の操作表示部88の第2のキーボード82により切替指令を行っても、操作表示部の切替が行われるようになる。このことにより、例えば操作者が第1の操作表示部78で操作を行っているときに、この第1の操作表示部78の第1のキーボード72が故障してしまい制御部60に対して指令の入力を行うことができなくなってしまった場合でも、この操作者は第2の操作表示部88の第2のキーボード82により切替指令を行うことにより、第1の操作表示部78において実行されている指令入力機能および表示機能を第2の操作表示部88において実行させるようにすることができる。
また、本実施の形態の出納機1における他の例では、制御部60は、切替前に実行されている操作表示部(具体的には、例えば第1の操作表示部78)および切替後に実行される操作表示部(具体的には、例えば第2の操作表示部88)の両方において切替指令が入力された場合のみにおいて操作表示部の切替を行うようになっていてもよい。この場合には、第1の操作表示部78および第2の操作表示部88が異なる操作者により使用されているときに、それぞれの操作表示部78、88を操作する2人の操作者の合意がある場合にのみ操作表示部の切替が行われるため、例えば第1の操作表示部78の第1の表示部70における表示内容が第2の操作表示部88の第2の表示部80に表示されるようになったときに、この第2の操作表示部88を操作している操作者は第2の表示部80の画面の切替にも驚かないようになる。
また、セキュリティ性を向上させるために、操作表示部の切替を行う際に、切替元や切替先の操作表示部による切替指令の入力に加えて、制御部60において操作者の権限の認証を要するようになっていてもよい。このような操作者の権限の認証は、例えば操作者が携帯するIDカードを第1のカードリーダ74や第2のカードリーダ84によって読み取らせることにより、あるいは第1のキーボード72や第2のキーボード82によって操作者IDおよび暗証番号を入力することにより行われるようになっている。
図6は、本実施の形態の出納機1および貨幣の管理を行う貨幣管理装置101を備えた貨幣管理システムの構成を示す斜視図である。貨幣管理装置101は現金バスとも呼ばれ、1万円紙幣を収納保管する第1の紙幣収納ドロア110と、その他の金種の紙幣を収納保管する第2の紙幣収納ドロア112と、100円硬貨、10円硬貨および1円硬貨を収納保管する第1の硬貨収納ドロア114と、500円硬貨、50円硬貨および5円硬貨を収納保管する第2の硬貨収納ドロア116と、例えば小切手や商品券等の現金以外の有価媒体等を投入することができる予備収納ドロア118と、を有している。また、この貨幣管理装置101の上面には、様々な情報を表示するための表示部120、操作者が様々な指令を入力するためのキーボード122、および操作者が携帯するIDカード等の読み取りを行うカードリーダ124がそれぞれ設けられている。図6に示すように、出納機1および貨幣管理装置101は有線LANや無線LANにより通信可能に接続されており、出納機1の制御部60は通信部64により貨幣管理装置101に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。
図6に示すような貨幣管理システムにおいて、出納機1が貨幣管理本体機(貨幣処理本体機)として機能し、貨幣管理装置101が貨幣管理端末機(貨幣処理端末機)として機能するようになっている。すなわち、出納機1および貨幣管理装置101は、それぞれ、上位の貨幣管理装置(上位の貨幣処理装置)および下位の貨幣管理装置(下位の貨幣処理装置)として用いられるようになる。また、1台の出納機1に対して複数台の貨幣管理装置101が通信可能に接続されていてもよい。
このような貨幣管理システムにおける操作内容を図7のチャート図に示す。出納機1および貨幣管理装置101の連携運用が行われる場合には、出納機1の操作表示部(具体的には、例えば第1の操作表示部78)により、貨幣管理装置101における各ドロア110、112、114、116、118の開閉等の操作を行うことができるようになっている。
出納機1および貨幣管理装置101の連携運用についてより詳細に説明すると、待機状態において貨幣管理装置101は連携番号の入力待ちの状態にある。そして、貨幣管理装置101における貨幣の入出金操作を行う操作者が出納機1において第1の操作表示部78の第1のカードリーダ74に当該操作者のIDカードを読み取らせると、この操作者に許可された選択可能な処理が第1の操作表示部78の第1の表示部70に一覧表示されるので、当該操作者はその中から実行しようとする入出金操作(すなわち、貨幣管理装置101における各ドロア110、112、114、116、118の開閉等の操作)を第1のキーボード72により選択して入力し、次に、当該操作に必要な暗証番号を入力する(操作者によるこれらの一連の入力は図7における第1の操作表示部78での「取引指定入力」に該当)。すると、その入出金操作についての連係情報が作成されて連携番号が付され、当該連係情報は連携番号とともに出納機1の記憶部62に記憶され、当該連携情報に含まれる入出金操作の実施が可能な状態となる。この際に、出納機1は通信部64により貨幣管理装置101に対して連携番号を送信する。また、出納機1の第1の操作表示部78により、出納機1と貨幣管理装置101との間の連携番号が操作者に報知される。より詳細には、このような連携番号は例えば第1の表示部70に表示されたり、あるいは第1のプリンタ76により印字されたりする。
また、貨幣管理装置101が連携番号の入力待ちの状態にあるときに、この貨幣管理装置101のキーボード122の操作によって表示部120に連携処理メニューを表示させることができるようになる。連携処理メニューでは、貨幣管理装置101を単独で使用するか、あるいは出納機1および貨幣管理装置101の連携運用を行うかの選択を行うことができるようになっている。第1の操作表示部78を操作している操作者が連携処理メニューにおいて出納機1および貨幣管理装置101の連携運用を行うことを選択し、その後、貨幣管理装置101のキーボード122により連携番号を入力すると、操作者により入力された連携番号と出納機1から貨幣管理装置101に送信された連携番号とが一致する場合には、貨幣管理装置101から出納機1の制御部60に対して取引データ取得の要求信号が送信される。取引データ取得の要求信号を受信した出納機1の制御部60は、操作者によって第1の操作表示部78により入力された入出金操作の内容である取引データ(具体的には、例えばどのドロア110、112、114、116、118から貨幣等の入出金を行うかというデータ)を通信部64により貨幣管理装置101に送信する。そして、第1の操作表示部78により出納機1に入力された取引データを受信した貨幣管理装置101において、当該取引データに係るドロア110、112、114、116、118が開かれ、操作者はこの開かれたドロア110、112、114、116、118において貨幣の入出金操作を行うことができるようになる。その後、操作者が貨幣管理装置101においてドロア110、112、114、116、118を閉じると、第1の操作表示部78の操作による出納機1および貨幣管理装置101の連携運用が終了する。
また、本実施の形態では、ある操作者が第1の操作表示部78を操作して出納機1および貨幣管理装置101の連携運用を行っている間に、別の操作者が第2の操作表示部88を操作して貨幣管理装置101における次の処理を予約しておくことができるようになっている。より詳細には、ある操作者が第1の操作表示部78を操作して出納機1および貨幣管理装置101の連携運用を行っている間に(すなわち、図7において第1の操作表示部78での「取引指定入力」から「処理終了」までの間に)、別の操作者が出納機1において第2の操作表示部88の第2のカードリーダ84に当該操作者のIDカードを読み取らせると、この操作者に許可された選択可能な処理が第2の操作表示部88の第2の表示部80に一覧表示されるので、当該操作者はその中から実行しようとする入出金操作(すなわち、貨幣管理装置101における各ドロア110、112、114、116、118の開閉等の操作)を第2のキーボード82により選択して入力し、次に、当該操作に必要な暗証番号を入力する(操作者によるこれらの一連の入力は図7における第2の操作表示部88での「取引指定入力」に該当)。すると、その入出金操作についての連係情報が作成されて連携番号が付され、当該連係情報は連携番号とともに出納機1の記憶部62に記憶され、当該連携情報に含まれる入出金操作の予約が行われるようになる。この際に、出納機1は通信部64により貨幣管理装置101に対して連携番号を送信する。また、出納機1の第2の操作表示部88により、出納機1と貨幣管理装置101との間の連携番号が操作者に報知される。より詳細には、このような連携番号は例えば第2の表示部80に表示されたり、あるいは第2のプリンタ86により印字されたりする。
そして、第1の操作表示部78の操作による出納機1および貨幣管理装置101の連携運用が終了すると、貨幣管理装置101は連携番号の入力待ちの状態となる。このときに、この貨幣管理装置101のキーボード122の操作によって表示部120に前述した連携処理メニューを表示させることができるようになる。そして、第2の操作表示部88を操作している操作者が連携処理メニューにおいて出納機1および貨幣管理装置101の連携運用を行うことを選択し、その後、貨幣管理装置101のキーボード122により連携番号を入力すると、操作者により入力された連携番号と出納機1から貨幣管理装置101に送信された連携番号とが一致する場合には、貨幣管理装置101から出納機1の制御部60に対して取引データ取得の要求信号が送信される。取引データ取得の要求信号を受信した出納機1の制御部60は、操作者によって第2の操作表示部88により入力された入出金操作の内容である取引データ(具体的には、例えばどのドロア110、112、114、116、118から貨幣等の入出金を行うかというデータ)を通信部64により貨幣管理装置101に送信する。そして、第2の操作表示部88により出納機1に入力された取引データを受信した貨幣管理装置101において、当該取引データに係るドロア110、112、114、116、118が開かれ、操作者はこの開かれたドロア110、112、114、116、118において貨幣の入出金操作を行うことができるようになる。その後、操作者が貨幣管理装置101においてドロア110、112、114、116、118を閉じると、第2の操作表示部88の操作による出納機1および貨幣管理装置101の連携運用が終了する。
このように、図6に示すような貨幣管理システムにおいて図7のチャート図に示すような操作を行うことができるようになっていることにより、出納機1において双頭運用を行っている場合において、第1の操作表示部78が貨幣管理装置101の占有を行っている間に第2の操作表示部88で貨幣管理装置101の操作を行いたいときでも、第2の操作表示部88の操作により貨幣管理装置101における次の処理を予約しておくことができるため、出納機1および貨幣管理装置101の連携運用を行う場合での双頭運用における操作性を向上させることができる。
以上のような構成からなる本実施の形態の出納機1およびこのような出納機1による貨幣処理方法によれば、制御部60に対して様々な指令を入力する指令入力機能および様々な情報を表示する表示機能を各々が有する複数の操作表示部(具体的には、第1の操作表示部78および第2の操作表示部88)が設けられており、制御部60は、複数の操作表示部のうちある操作表示部により切替指令が入力されたときに、一の操作表示部において実行されている指令入力機能および表示機能を他の操作表示部において実行させるよう操作表示部の切替を行うようになっている。このように、一の操作表示部において実行されている指令入力機能および表示機能が他の操作表示部において実行されるよう操作表示部の切替を行うことにより、状況に応じて操作者にとって使い易い操作表示部を用いることができるようになるため操作者にとっての操作性を向上させることができる。例えば、出納機1において左側に配置された第1の操作表示部78で操作者が操作を行っているときに、右側にあるバラ硬貨処理部10で故障等によるエラーが発生すると、第1の操作表示部78において実行されている指令入力機能および表示機能を、出納機1において右側に配置された第2の操作表示部88において実行させるよう操作表示部の切替を行うことにより、この第2の操作表示部88の第2の表示部80とバラ硬貨処理部10との距離は小さいため操作者にとってバラ硬貨処理部10のエラー解除の操作がしやすくなる。また、出納機1において左側に配置された第1の操作表示部78で操作者が操作を行っているときに、右側にある指紋認証機50の操作を行いたい場合に、第1の操作表示部78において実行されている指令入力機能および表示機能を、出納機1において右側に配置された第2の操作表示部88において実行させるよう操作表示部の切替を行うことにより、この第2の操作表示部88と指紋認証機50との距離は小さいため操作者にとって指紋認証機50の操作を容易に行うことができるようになる。
また、本実施の形態の出納機1においては、制御部60は、切替指令が入力された操作表示部において実行されている指令入力機能および表示機能を、切替指令が入力された操作表示部以外の操作表示部において実行させるよう操作表示部の切替を行うようになっている。すなわち、切替元の操作表示部において切替指令を入力することにより操作表示部の切替を行うようになっている。また、本実施の形態の出納機1においては、制御部60は、複数の操作表示部のうちある操作表示部により切替指令が入力されたときに、切替指令が入力された操作表示部以外の操作表示部において実行されている指令入力機能および表示機能を、切替指令が入力された操作表示部において実行させるよう操作表示部の切替を行うようになっている。すなわち、切替先の操作表示部において切替指令を入力することにより操作表示部の切替を行うようになっている。
また、前述したように、本実施の形態の出納機1においては、制御部60は、切替前の操作表示部および切替後の操作表示部の両方において切替指令が入力された場合のみにおいて操作表示部の切替を行うようになっていてもよい。この場合には、切替前の操作表示部を操作する操作者および切替後の操作表示部を操作する操作者の合意がある場合にのみ操作表示部の切替が行われるため、例えば第1の操作表示部78の第1の表示部70における表示内容が第2の操作表示部88の第2の表示部80に表示されるようになったときに、この第2の操作表示部88を操作している操作者は第2の表示部80の画面の切替にも驚かないようになる。
なお、本実施の形態による出納機1は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、出納機1において2つの操作表示部が設けられている代わりに、1つの操作表示部が設けられるとともに操作者が携帯する携帯情報端末(例えば、スマートフォンやi−pad(商標登録)、タブレットPC等)により制御部60に対して様々な指令を入力したりこの携帯情報端末に様々な情報を表示させたりするようになっていてもよい。この場合には、このような携帯情報端末が、制御部60に対して様々な指令を入力する指令入力機能および様々な情報を表示する表示機能を有するようになる。このような出納機1では、この出納機1に設けられた操作表示部のキーボードまたは操作者が携帯している携帯情報端末により切替指令が入力されたときに、出納機1に設けられた操作表示部において実行されている指令入力機能および表示機能を携帯情報端末において実行したり、あるいは携帯情報端末において実行されている指令入力機能および表示機能を出納機1に設けられた操作表示部において実行したりすることができるようになる。
また、図1等に示す例では、出納機1において2つの操作表示部が設けられているような態様について説明したが、このような例に限定されることはない。出納機1において3つ以上の操作表示部が設けられているような場合にも本発明を適用することができる。