JPWO2020059690A1 - アイラッシュカーラー - Google Patents

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Abstract

樹脂製のアイラッシュカーラーにおいて、一般的な金属製の形状よりも大型化することなく、強度を担保して、金属製と同様の操作ができる。上側プレス部(11)が一体的に形成された固定部材(10)と、下側プレス部(31)が上側プレス部(11)に対して、上下に移動可能である作用部材(30)と、固定部材(10)と係合する部分を支点として回動することで、作用部材(30)を上下に移動させる力点部材(20)と、を有しており、固定部材(10)、作用部材(30)、及び力点部材(20)は、それぞれ樹脂で一体的に構成される、アイラッシュカーラー(1)。

Description

本発明はアイラッシュカーラーに関する。
一般的に、アイラッシュカーラー(まつ毛カール器、ビューラー)は、梃子の原理を用いた構成であって、2本の指を用いるステンレス等の金属で形成されている。
しかし、一般的な梃子の原理を用いた金属製のアイラッシュカーラーでは、把持部では1本の金属棒をひねってリング状に成形され、他の部分では金属棒が2本並んで延伸しているため、把持部において金属断面が細く、ホールド性が悪かった。また、金属アレルギーの人は使用できなかった。
そこで、金属アレルギーを防いだり、肌あたりをやさしくするため、指が接触する把持部や、まぶたが接触する当接面等に対応する部分を、金属の上から樹脂で部分的に覆ったり、部分的に一部の部材を樹脂で構成するアイラッシュカーラーが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
また、外側に金属を使用せずに、外側全体が樹脂製のアイラッシュカーラーとして、バネを有するアイラッシュカーラーが存在する(例えば、特許文献3)。
日本国実用新案出願公開昭和59−40002号公報 日本国特開2007−68695号公報 日本国特開2004−57581号公報
しかし、特許文献1や2のように、金属製のアイラッシュカーラーの一部に樹脂部を取りつけたり、一部を樹脂で置き換えたりすると、金属単体のアイラッシュカーラーと比較して、組立てのための製造工程が多くなる分、生産性が低下する。
また、一般的な金属製の形状と同じ形状で樹脂製のアイラッシュカーラーを形成しようとすると、挟み込みのための強度が足りないため、特許文献3に示す、外側全体が樹脂製のアイラッシュカーラーでは、挟み込みのためのバネを設けていた。しかし、バネを設ける分、複雑で大型な構成となってしまった。またこの構成では、梃子を用いる一般的な金属製のアイラッシュカーラーと比較して、外観が類似せず、操作方法が異なる。
そこで、本発明は上記事情に鑑み、一般的な金属製の形状よりも大型化することなく、強度を担保して、金属製と同様の操作ができる、樹脂製のアイラッシュカーラーの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、
上側プレス部が一体的に形成された固定部材と、
下側プレス部が前記上側プレス部に対して、上下に移動可能である作用部材と、
前記固定部材と係合する部分を支点として回動することで、前記作用部材を上下に移動させる力点部材と、を有しており、
前記固定部材、前記作用部材、及び前記力点部材は、それぞれ樹脂で一体的に構成される
アイラッシュカーラー、を提供する。
一態様によれば、樹脂製のアイラッシュカーラーにおいて、一般的な金属製の形状よりも大型化することなく、強度を担保して、金属製と同様の操作ができる。
本発明の第1実施形態のアイラッシュカーラーの全体斜視図(その1)。 第1実施形態のアイラッシュカーラーの全体斜視図(その2)。 第1実施形態のアイラッシュカーラーの分解図。 第1実施形態のアイラッシュカーラーの正面図。 第1実施形態のアイラッシュカーラーの背面図。 比較例の金属製のアイラッシュカーラーの前面斜視図。 比較例の金属製のアイラッシュカーラーの背面斜視図。 アイラッシュカーラーにおける支点と荷重点を説明する図。 はねだし単純梁構造に近似した場合の支点と荷重点を説明する図。 アイラッシュカーラーの梁部の断面図を示す図。 力点部材での力の比率と可動角度を考慮した本発明のアイラッシュカーラーの構成例を示す図。 力点部材での力の比率を考慮したアイラッシュカーラーの構成例を示す図。 複数の素材で、アイラッシュカーラーを形成して使用した際の評価結果を示す表。 ヤング率と断面係数に基づくアイラッシュカーラーのための樹脂の実施可能範囲を示す図。 本発明の第1実施形態の変形例の部分用アイラッシュカーラーの全体斜視図。 本発明の第2実施形態のアイラッシュカーラーの全体斜視図(その1)。 第2実施形態のアイラッシュカーラーの全体斜視図(その2)。 第2実施形態のアイラッシュカーラーの分解図。 第2実施形態のアイラッシュカーラーの正面図。 第2実施形態のアイラッシュカーラーの背面図。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
本発明は、樹脂製のアイラッシュカーラー(まつ毛全域用アイラッシュカーラー、部分用アイラッシュカーラー)に関する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態のアイラッシュカーラーの全体斜視図である。図2は、図1とは異なる方向からみた、第1実施形態のアイラッシュカーラーの全体斜視図である。図3は、図1のアイラッシュカーラーの分解図である。
本実施形態のアイラッシュカーラー1は、一般的な金属製のアイラッシュカーラーと類似した構成であって、後述する樹脂によって、部材毎に一体的に形成される。
アイラッシュカーラー1は、固定部材10と、力点部材20と、作用部材30と、を有している。
固定部材(支持部ともいう)10は、上側プレス部11と、平行支柱12A,12Bと、傾斜支柱13A,13Bと、アーム14と、持ち手16を有している。柄部であるアーム14には、支持穴部15が形成されている。アーム14は、支持穴部15の上方にも存在しており、支持穴部15の上方は、傾斜支柱13A,13Bと合流する合流部141Jである。
上側プレス部(当接部材、上挟片、フレームともいう)11は、上まつ毛をカールさせる際、上まつ毛の上面と当接する部分である。
平行支柱12A,12Bは、上側プレス部11の幅方向の両端部から一体的に連接して形成され、上下方向に延伸している。傾斜支柱13A,13Bは、上端が平行支柱12A,12Bの下端と連接され、V字状に下側の間隔が窄まって、下端がアーム14に連接している。平行支柱12A,12B及び傾斜支柱13A,13Bは、支柱部として機能する。
アーム(第1のアーム部、柄部、軸部ともいう)14は、傾斜支柱13A,13Bと持ち手16との間を接続する延伸部である。また、本例では、アーム14は、持ち手16の内側の部分である直線部161(図3参照)と同じ方向に延伸している。
持ち手(ハンドル、指環、取っ手、把持部)16は、指が入る指穴が形成されたリング形状である。持ち手16の指穴には、使用者が自分で上まつ毛をカールする際、使用者の親指が挿入される場合が多い。あるいは、メイクアップアーティスト等の施術者によって上まつ毛をカールしてもらう際、又は自分で下まつ毛をカールする際は、施術者の人差し指、中指、又は薬指が持ち手16の指穴に挿入される場合が多い。
本発明において、固定部材10は、持ち手16と、上下方向に延伸するアーム14と、該アーム14から2つに分岐して上側プレス部11の両端部を支持する一対の支柱部12A,13A,12B,13Bと、上側プレス部11とが一体的に形成されている。
また、図3を参照して、アーム14に形成された支持穴部15を形成する両側の側面(側壁)には幅方向に貫通する、小孔151A,151Bが形成されている。なお、本構成では、支持穴部15を規定する側面は、アーム14の他部分よりも広い構成を示しているが、他のアーム14と同じ幅であってもよい。
力点部材20は、アーム部21,24と持ち手25を有している。先端側アーム21には、第1の係合孔である先端孔(先端係合孔)22と、第2の係合孔である支点孔(支点係合孔)23とが形成されている。
アーム部(第2のアーム部、柄部、軸部ともいう)21,24は、先端部から連結部を超えて延伸する先端側アーム21と、先端側アーム21とは延伸方向が異なり、持ち手25の内側の部分である直線部251(図3参照)と同じ方向に延伸する中央アーム24を有している。
力点部材20の先端側アーム21が、持ち手25とは反対側の先端側の端部から、固定部材10の支持穴部15に挿入され、支点孔23と、支持穴部15の側面の小孔151A,151Bとが一致した状態で、支点孔23及び小孔151A,151Bを貫通するように、ピン軸PS2で係止される。
この係合により、ピン軸PS2を回転軸として、力点部材20が固定部材10に対して回転することができる。即ち、力点部材20は、第1種梃子の原理を用いて、持ち手25を力点、固定部材10との係合部を支点、上端部を作用点として回動する。
力点部材20を固定部材10に対して回転させる際に、図3に示す固定部材10のアーム14、及び力点部材20のアーム部21,24は、応力発生範囲である。応力発生範囲には、使用の際に最も応力が大きくなる最大応力発生箇所を含んでいる。なお、応力発生範囲とは、応力が比較的大きく発生する部位であって、他の部位にも、応力は発生する。
持ち手(ハンドル、指環、取っ手、把持部)25は、指が入る指穴が形成されてリング形状である。例えば、持ち手25の指穴には、使用者が自分で上まつ毛をカールする際、使用者の人差し指、中指、又は薬指が挿入される場合が多い。あるいは、施術者によってまつ毛をカールしてもらう際、又は自分で下まつ毛をカールする際は、施術者の親指が持ち手25に挿入される場合が多い。
力点部材20は、持ち手25と、延伸するアーム部21,24とが一体的に形成されており、力点部材20において、アーム部21,24は一本で形成され、持ち手25と同じ太さである。
上述のように先端側アーム21には、支点となる支点孔23、作用点となる先端孔22が設けられており、先端側アーム21に対して、中央アーム24は傾斜して延伸している。また、中央アーム24は、持ち手25の内側の部分である直線部251(図3参照)と同じ方向に延伸している。力点部材20のアーム部21,24の傾斜により、アーム24から連続して延伸する持ち手25の直線部251が、アーム14から連続して延伸する持ち手16の直線部161と略平行になるため、力を無駄なく掛けることができる。
また、図1、図2、図3を参照して、固定部材10において、持ち手16は、1本のアーム14の下端から厚さ方向y(図6C参照)に分岐点BP1で分岐して、アーム14から直線状に延伸する直線部161と、該直線部161の下端から第1の厚さ方向に膨らんで折り返して分岐点BPに戻る湾曲部162によって指穴を形成するように構成されている。
また、力点部材20において、持ち手25は、1本で構成されるアーム部21,24の中央アーム24の下端から厚さ方向に分岐点BP2で分岐して、アーム部の一部である中央アーム24から直線状に延伸する直線部251と、該直線部251の下端から第1の厚さ方向とは反対方向の第2の厚さ方向に膨らんで折り返して分岐点BP2に戻る湾曲部252によって指穴を形成するように構成されている。
本実施形態は、持ち手16,25に形成された指穴は、涙型形状である。
作用部材(連動部、昇降部)30は、下側プレス部31と、リンク部32A,32Bと連結部33を有している。
上まつ毛をカールする際に、図1に示す状態でアイラッシュカーラー1は把持され、下側プレス部(下当接部材、挟圧片)31は、上側プレス部11との間に挟んだまつ毛の下面を下側から押し上げて、上まつ毛を上向きに癖付けする。
また、下まつ毛をカールする際に、アイラッシュカーラー1は図1とは上下逆さまに把持され、下側プレス部31は、上側プレス部11との間に挟んだまつ毛の上面を、上側から押し下げて、下まつ毛を下向きに癖付けする。
リンク部(昇降支柱)32A,32Bは、上端が下側プレス部31と連接され、略V状に傾斜して、下端が連結部33と連接している。
また、本実施形態では、連結部33の上端側には、リンク部32A,32Bは、係合溝部の前で合流する合流部332Jが設けられている。合流部332Jは、アイラッシュカーラー1の中で最も細いリンク部32A,32Bを補強している。
連結部33は立体的な先端がU字(コの字)状の係合溝部形状である。そして、連結部33を形成する両側の側面には幅方向に貫通する、小孔331A,331Bが形成されている。
力点部材20の先端側アーム21の先端が、作用部材30の連結部33のU字の内側に挿入され、先端孔22と、連結部33の側面の小孔331A,331Bとが一致した状態で、先端孔22及び小孔331A,331Bを貫通するように、ピン軸PS1で係止される。
この係合により、ピン軸PS1を回転軸として、力点部材20が回転した際に、作用部材30は一緒に連動して上下に昇降することができる。
また、下側プレス部31の左右の両端には、一部を欠いた略円形状(フック形状)の係合フック(係合部、両端フック)311A,311Bが設けられている。係合フック311A,311Bが、一対の平行支柱12A,12Bに対して係合することで、下側プレス部31が固定部材10の平行支柱12A,12Bに沿ってスライド移動可能になる。
図3では、係合フック311A,311Bは、側方(奥行方向)に開口している例を示しているが、本実施形態では、係合フック311A,311Bは、正面視からみた後方(第2の厚さ方向)が開口していてもよい。
なお、下側プレス部31の上面には、弾性部材であるクリッパーゴムCR(図2参照)が挟まれる。そのため、下側プレス部31の上面には、クリッパーゴムCRを挟むための溝部312Gが形成されている。
この構成により、一端側の持ち手25を持ち手16に近づけるように移動させると、力点部材20は、支点孔23及び小孔151A,151Bとの連結部であるピン軸PS2を支点(支点B)として回動することで、他端側の作用部材30との連結部33との連結する先端孔22が、持ち手25の移動とは反対の方向に移動し、作用部材30がピン軸PS1とともに、押し上げられる。
これにより、持ち手25を移動させることで、作用部材30は、先端孔22の昇降に応じて、係合フック311A,311Bが、固定部材10の平行支柱12A,12Bに沿ってスライドしながら、下側プレス部31を昇降させる。
また、力点部材20は、固定部材10の一部を支点として回動することで、作用部材30を上下に移動させる。
固定部材10の上側プレス部11に対して、作用部材30の下側プレス部31が接近し、クリッパーゴムCRと、上側プレス部11の間でまつ毛に圧力をかける(クランプする)ことで、まつ毛にくせを付ける。
図4Aは第1実施形態のアイラッシュカーラー1の正面図であり、図4Bは、第1実施形態のアイラッシュカーラー1の背面図である。
図4A及び図4Bを参照して、力点部材20が回転する方向と直交する方向を奥行方向としたとき、固定部材10において、アーム(第1のアーム部)14の少なくとも一部と、第1の持ち手16の奥行方向における幅(x1)が等しい。また、力点部材20において、第2のアーム部21,24の少なくとも一部である中央アーム24と、第2の持ち手25の、奥行方向における幅(x1)が等しい。
図1〜図4Bを参照して、第1の持ち手16の直線部161と湾曲部162と、第2の持ち手25の直線部251と湾曲部252は、奥行方向において重なっている。
ここで「幅が等しい」、「重なっている」とは、完全に等しいもの、完全に重なっているものだけではなく、ある程度の誤差を含むものであって、一部分が重なっているものも含むとする。例えば、直線部251,161と湾曲部252,162とで、幅が異なっていてもよく、その場合は奥行方向において、太い方が細い方に一部分が重なっている形状となる。
また、図1〜図4Bを参照して、本実施形態では、アーム14は、分岐点から持ち手16まで一本で延伸しており、持ち手16の幅(奥行)及び高さ(厚み)は、アーム14の奥行方向の幅及び厚みと、同じ太さである。
この構成により、同じ太さで、奥行き方向に重なっている持ち手16,25から、同じ幅で、同じ方向に延伸するアーム部14,21,24を介して、操作時に、指からの挟む力がまっすぐに加わるため、まつ毛の挟み込みの力が伝達されやすい。
アイラッシュカーラー1において、固定部材10と、力点部材20と、作用部材30は、それぞれ、樹脂で一体的に構成されているが、構成する樹脂の詳細については後述する。
なお、本実施形態において、力点部材20と作用部材30との連結部と、固定部材10と力点部材20との連結部において、それぞれの部材を連結するための連結軸であるピン軸(PS1,PS2)によって回転可能に固定されているが、ピン軸PS1,PS1を構成する素材は、樹脂や金属等、いずれの素材であってもよい。
なお、ピン軸PS1,PS2を樹脂で構成すると、アイラッシュカーラー1を構成する構成要素の全てが樹脂製になり、完全金属フリーが実現できる。
<比較例>
図5A,図5Bは、比較例の金属製のアイラッシュカーラーの図である。図5A,図5Bに示すアイラッシュカーラー9は、一般的な金属製のアイラッシュカーラーの一例である。図5Aは比較例の金属製のアイラッシュカーラー9の前面斜視図であり、図5Bは比較例の金属製のアイラッシュカーラー9の背面斜視図である。
金属製のアイラッシュカーラー9について、図1に示す本発明のアイラッシュカーラー1との構造面での相違点を下記説明する。
図5A,図5Bで示す金属製のアイラッシュカーラー9では、固定部材70は、上側プレス部(金属フレーム)11と、細い金属棒とが別々に形成された後、接着される。力点部材80は、一本の細い金属棒を変形することで成形されている。作用部材90は、下側プレス部(金属フレーム)91と、細い金属棒とが別々に形成された後、接着される。
詳しくは、固定部材70において、金属棒を加工することで、下端でリング状に捻って持ち手76を形成して、金属棒の平行支柱72A,72Bに相当する上側の両端部において、対向する部分には縦に長い切れ込み孔を形成しておく。この際、下端でリング状に捻られ、支柱部72A,73A,72B,73Bから持ち手76の手前までの、延伸部であるアーム74では、2本の細い金属棒(741,742)が接触した又は近接した状態で並んでいる。そして、金属棒である平行支柱72A,72Bの先端の内側面の切れ込み孔に金属フレームを挿入して溶着することで、上側プレス部71と平行支柱72A,72Bとが連結される。
力点部材80において、下端でリング状に捻って持ち手85を形成し、持ち手85から先端までの延伸部であるアーム部81,84では、2本の細い金属棒(811,812)、(841,842)が接触した状態で並んでいる。
作用部材90において、1本の金属を折り曲げて略V字形状にした金属棒の端部を、金属フレームである下側プレス部91に対して溶着することで、リンク部92A,92Bと下側プレス部91とが連結される。
また、作用部材90において、リンク部92A,92Bの略V字状の頂点が、力点部材80と連結される際、力点部材80の先端係合孔82に、細い金属棒が挿入された状態で折れ曲げられてリンク部92A,92Bの形状となった状態で、リンク部92A,92Bの上端が下側プレス部91に溶着される。このように、作用部材90の成形と、作用部材90と力点部材80との連結が同時に行われるため、製造後は作用部材90と力点部材80とは脱着しない。
この構成では、固定部材70及び力点部材80において、リングを形成する持ち手76,85では、2本にまとめられたアーム74、(81,84)に対して1本分の細さとなるため、持ち手76,85では、断面の円柱が細く、ホールド性が悪い。
これに対して、本発明のアイラッシュカーラー1は、樹脂で構成されているため、固定部材10及び力点部材20において、アーム14,(21,24)は一本で構成され、持ち手16,25と同じ太さである。
このように本発明の構成では、固定部材10及び力点部材20において、持ち手16,25の断面形状をアーム部14,21,24と同じ太さにすることで、持ち手16,25を太くすることが出来、ホールド性が向上し、力をかけても指にめり込まず、痛くならないため、十分に力をかけることができる。
さらに、本発明のアイラッシュカーラー1では、図3、図4A、図4Bを参照して、第1の持ち手16の直線部161と湾曲部162と、第2の持ち手25の直線部251と湾曲部252とは、奥行方向において重なっている。
そのため、図5A,図5Bに示す金属製の構成のように直線部と湾曲部とでねじれて構成される持ち手よりも、奥行方向に重なっている持ち手の方が、力がまっすぐに掛かるため、より操作しやすく、まつ毛への力がかかりやすい。
また、金属製のアイラッシュカーラー9では、固定部材70のアーム74は2本の金属棒741,742で構成され、この棒の間隔が傾斜支柱73A,73Bとして広がるすぐ下の挟み込み部75で、側方から、力点部材80のアーム81を挟み込み、ピン83を通すことで挟み込み部75にアーム81を係合している。そのため、挟み込み部75でアーム81を挟み込んでいる支点の部分の上側は剥き出しになっている。この構成を用いて、まつ毛カール動作の際に、力点部材80を固定部材70に対して回動させると、挟み込み部75でアーム81を挟み込んでいる支点の部分に、髪、ティッシュ、又はコットン等が、巻き込まれてしまう恐れがあった。
これに対して、本発明は、固定部材10において、力点部材20が挿通する支持穴部15の上側のアーム21の上端には、合流部141Jが存在しているため、固定部材10に対して回動する力点部材20の支点の上側は剥き出しになっていない。そのため、近くに髪等が存在しても、力点部材20と固定部材10との係合部に挟み込まれる可能性が低い。
<構成近似>
アイラッシュカーラーは複雑な形状であるので、単純な形状に置き換えて形状算出を行った。
図6A,図6B,図6Cは、アイラッシュカーラーにおける力の掛かり方を近似して説明する図である。図6Aはアイラッシュカーラーにおける支点及び荷重点の位置を示す図、図6Bは、図6Aの支点及び荷重点をはねだし単純梁(片側集中荷重)に近似した図である。図6Cは、固定部材及び力点部材の梁部の断面図であって、図6AのD断面に相当する。
まつ毛を挟んだ瞬間はアイラッシュカーラーの回転部である力点部材20は回転を規制され、殆ど回転及び移動がないものと考えることが出来るため、図6Aに示すアイラッシュカーラーの連結部は、図6Bの支点A,Bに置き換えることが出来る。
荷重点Cは力点部材20の持ち手25とし、荷重Pは指からアイラッシュカーラーに加えられる力(グリップ力)とする。
ここで、固定部材10及び力点部材20が、はねだし単純梁の「梁」として機能し、荷重や作用について考慮する際、図6Cに示すように、力を受ける部分である固定部材10及び力点部材20から成る梁の断面の幅(奥行)(x)及び高さ(厚み)(y)が考慮される。
なお、説明において、図6Aに示すように、力点部材20が回動する方向を回転方向、回転方向と直交する方向を奥行方向とする。また、図6Cに示すように、固定部材10および力点部材20の断面において奥行方向と直交する方向を厚さ方向とする。
図6Cに示すように、力が直接付加される、固定部材10のアーム14及び持ち手16、力点部材20のアーム部21,24及び持ち手25の断面は、円形の金属製の厚みを変えずに、断面積を増やしてより強い強度を得るために、四角形、又は角丸四角形であると好適である。しかし、図6Cに示す、断面が四角形の梁の構成は一例であって、固定部材10及び力点部材20の梁の断面形状は、図6Cに示す矩形に限られず、成形性や触感等を重視して、円形や、楕円形、半円形などの他の形状であってもよい。
また、図6Bに示した、「はねだし単純梁(片側集中荷重)」の構造では支点B周辺に発生する曲げモーメントMBが最大となる。
そこで、本発明者は、物体であるアイラッシュカーラーに外力(荷重P)が加わる場合を、金属製の既存のアイラッシュカーラーを基にした、シミュレーションにより、評価を行い、樹脂の選定を行った。その結果を、後述の図8Aに示す。
図7A,図7Bは、力点部材における寸法の比率を示す図である。詳しくは、図7Aは、力点部材での力の比率と可動角度を考慮した本発明のアイラッシュカーラー1の構成例を示す図であり、図7Bは、力点部材での力の比率を考慮したアイラッシュカーラーの構成例を示す図である。
上記のはねだし単純梁(片側集中荷重)」の構造をアイラッシュカーラーに適用する際、力点部材において、一般的に下記の点が知られている。
アイラッシュカーラー1は、第1種梃子の原理により、力点部材20を回動させて、持ち手25を力点として、作用部材30に作用させることで、カール動作を行っている。そのため、支点と作用点までの距離よりも、力点と作用点までの距離が遠い方が、より軽い力でまつ毛カール動作が実現できる。そのため、図7A,図7Bに示す、距離a<距離bのように設計することはよく知られている。
また、力点部材20における、支点Bから先端側までの区間の距離a、支点Bから持ち手側までの区間の距離bの寸法は、梃子の原理でクランプ圧(まつ毛を挟み込む圧力)に影響を及ぼす点を考慮して、a:b=1:3以上であると好適である。即ち、力点部材20において、支点から力点部材20の下端までの距離を、上端から支点までの距離の3倍以上に設定する。本実施形態では、力点部材20において、ピン軸PS2によって固定部材10と係合する支点である支点孔23から力点部材20の下端までの距離を、ピン軸PS1によって作用部材30と係合する先端孔22から支点孔23までの距離の3倍以上に設定する。
しかし、携帯性を考慮すれば小型な方が望ましいが、単に比率を設定しただけでは、例えば、図7Bのように、力点部材及び固定部材が短い構成も含まれる。このように力点部材20が短い構造だと、支点Bに対して、力点及び作用点のどちらも近いため、持ち手に対してかなり大きな力を掛ける必要があるとともに、支点Bにおける可動角度を大きく設定する必要がある。
そこで、本仕様において、力点(荷重点)である持ち手25の直線部251(図6A参照)を、指穴側から押す際の使用感とカールするだけのクランプ圧が発生するバランスを意識した値として、下側プレス部31の移動量を4mm以上確保する場合、可動角度や、力のかけ方を考慮して、a=10mm以上であると好適である。即ち、第1実施形態では、力点部材20において、上端から支点Bまでの距離である上端である先端孔22から、支点Bの位置にある支点孔23までの距離を10mm以上に設定すると好適である。
<素材の選定>
図8Aは複数の素材で、アイラッシュカーラーを形成して使用した際の評価結果であり、図8Bは、ヤング率と断面係数に基づく実施可能範囲を示す図である。
詳しくは、図8Aは、所定の断面積と断面係数を有する素材であるSUS304(ステンレス)、ナイロン6/10、ポリアミド(PA)、PAにガラスファイバー(GF)を55%加えた繊維強化樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GFポリアミドMXD6、CFポリアミドMXD6について、図7Aを満たす寸法を有するアイラッシュカーラーを形成して使用した際の、評価結果である。
なお、繊維強化樹脂である「PA+GF55%」については、断面積を変化させることで、断面係数を変えて強度評価を行った。断面積を大きくすることで、断面係数が上がり、図8Bのグラフ上の位置が上方向に移動することになり、同じ素材であっても評価が良くなることがある。例えば、「PA+GF55%」の素材で、断面係数が4.5(mm3)の場合は、強度を満たさず、総合判定は「×」であったが、断面係数が15.05(mm3)の場合、及び断面係数が36(mm3)の場合、強度を満たし、総合判定は「〇」になった。
また、PBTについては、断面積を「PA+GF55%」と同様に大きくしても(断面係数=32(mm3)にしても)、強度評価を満たさず、総合判定は「〇」にならなかった。
図8Bにおいて、四角で囲んだ部分はシミュレーションにより設定した推奨範囲である。この推奨範囲は、ヤング率が2500〜40000(N/mm2)の素材で、断面係数5〜40(mm3)とした。
なお、この範囲において、樹脂のヤング率が大きいほど、断面係数を小さくできる。即ち、樹脂のヤング率が大きいほど、金属製のものに近づけるように細くしても、強度を確保することができる。使用者の操作性を考慮すると、断面係数は30(mm3)以下が好ましく、断面係数は20(mm3)以下であるとさらに好ましい。
逆に、ヤング率が小さく弱い樹脂であっても、断面係数を大きくすれば、シミュレーションにより強度は満たす可能性があるが、操作性を考慮して、断面積を大きくし過ぎないように、断面係数の上限値を40(mm3)に設定した。
そこで、断面積を大きくせずに、樹脂を含んだ素材の強度を上げるためには、アイラッシュカーラーを構成する素材は、樹脂に、ガラス繊維(GF)を配合した繊維強化樹脂によって形成すると好適である。例えば、同じ断面係数を有する樹脂にガラス繊維を加えると、ヤング率が大きくなり、図8Bのグラフ上の位置が右方向に移動することになる。
また、ガラス繊維に加えて、あるいはガラス繊維に代えて、CF(カーボンファイバー)を混合してもよい。例えば、繊維強化樹脂では、ガラス繊維(GF)又はカーボン繊維(CF)を、30質量%以上、65質量%以下、配合すると好適である。
このGFやCFの添加により、樹脂材料そのもの(例えば、PA)が持つ変形や破断に対して、剛性を強化することができる。例えば、一般的なヤング率の数値は、PA:1200〜2900Mpa等であるが、ガラス繊維を添加することで、ヤング率を上昇させる(例えば、4725Mpaにする)ことができる。また、この添加により、樹脂材料そのもの(例えば、PA)が持つ変形や破断に対する抵抗力を示す引っ張り強さに対して、構造解析計算上の発生応力を、30%程度に抑えられるような形状になる。よって、強化樹脂で形成したアイラッシュカーラーについて、金属製のアイラッシュカーラーのまつ毛を挟む圧力に近づけることができる。
ガラス繊維と混合される樹脂は、ファイバーが配合可能な樹脂であれば特に制限はない。例えば、樹脂の例として、ポリアミド(PA)(様々なナイロンを含む)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、グリコール変性PET(PETG)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドMXD6等である。
ここで、ポリアミドMXD6は、メタキシリレンジアミン(MXDA)とアジピン酸とから得られる結晶性の熱可塑性ポリマーである。ここで使用したGFポリアミドMXD6は、ポリアミドMXD6にガラス繊維(GF)が50%配合された、市販のReny(登録商標)1022Hを用いた。CFポリアミドMXD6は、ポリアミドMXD6にカーボン繊維(CF)が40%配合された市販のRenyC408を用いた。
なお、樹脂単体で強い強度を有するもの、例えば特殊なポリアミドMXD6の単体などにおいて、ガラス繊維やカーボンで強化しなくても、5000(N/mm2)以上のヤング率を有している場合、シミュレーションにより強度が補償できれば、断面係数5〜40(mm3)の範囲のいずれの太さでも、本発明のアイラッシュカーラーの素材として採用可能である。
また、特殊な樹脂でなくても、樹脂のヤング率が2500(N/mm2)以上であれば、ナイロン6/10、PEEK、PET、PETG、PPSなどであっても、上記推奨範囲内において断面係数を大きく設定することで、ガラス繊維を混合せずに、単体でアイラッシュカーラーを形成することができる。この場合、ナイロン6/10以外のこれらの樹脂単体では、ヤング率が2500(N/mm2)〜5000(N/mm2)程度であると見込まれるため、成形において断面係数を、上記推奨範囲の下端から少し離れた、例えば10(mm3)以上に設定すれば、樹脂単体でも、所定の強度を実現可能であり、本発明のアイラッシュカーラーの素材として採用することができる。
ここで、使用者の指の力が直接かかる固定部材10及び力点部材20の応力発生範囲であるアーム部14,21,24については、上記推奨範囲内の2500N/mm3〜40000N/mm3のヤング率及び5mm3〜40mm3の断面係数を満たすことが好ましい。
なお、間接的に力がかかり昇降動作を行う作用部材30のリンク部32A,32Bについて素材について上記推奨範囲のヤング率を満たせば、太さを規定する断面係数は推奨範囲よりも小さくてもよい。
<部分用アイラッシュカーラー>
上記実施形態では、目の幅全域に近い、まつ毛全体を挟む、全域タイプのアイラッシュカーラーを前提として説明したが、本発明の上記素材及び断面形状を有するアイラッシュカーラーは、部分用のアイラッシュカーラーであってもよい。
図9は、本発明の第1実施形態の変形例の部分用アイラッシュカーラーの構成図である。
部分用アイラッシュカーラー2は、図9に示すように、上述の第1実施形態と類似する構成であって、まつ毛を挟む上側プレス部11P及び下側プレス部31Pの奥行方向の幅が短い。そのため、固定部材10Pの支柱部12C,13C,12D,13Dの間隔及び、作用部材30Pのリンク部32C,32Dの間隔も、第1実施形態よりも狭い。
短い幅の上側プレス部11Pと下側プレス部31Pとの間に挟んでまつ毛を部分的にカールさせるために必要な力は、目の幅全域の幅でまつ毛をカールさせるために必要な力よりも小さい。
そのため、図9で示すように、力点部材20Pの回転の可動域が狭くなるように、力をかけない状態における持ち手16と持ち手25も幅が狭く、設定されている。
本構成においても、図8Bに示すヤング率及び断面係数の推奨範囲内の樹脂を用いて形成することで、強度を担保して、一般的な金属製の形状よりも大型化することなく、金属製と同様の操作によって、まつ毛をカールすることができる。
さらに、図9に示す部分用アイラッシュカーラー2では全域タイプよりも必要な力が小さいため、素材について上記推奨範囲のヤング率を満たせば、太さを規定する断面係数は推奨範囲よりも小さくてもよい。
また、本構成でも、固定部材10Pにおいて、係合部の上側のアームの上端には、傾斜支柱13C,13Dと合流する合流部141Jが存在しているため、髪等が存在しても、力点部材と固定部材との係合部分に挟み込まれることを予防できる。
さらに、本構成においても、持ち手16,25の直線部と湾曲部とで、奥行方向に重なっているため、力がまっすぐに掛かり、より操作しやすく、まつ毛への力が加わりやすい。
<第2実施形態>
図10は、本発明の第2実施形態のアイラッシュカーラー3の全体斜視図である。図11は、図10とは異なる角度からみた第2実施形態のアイラッシュカーラー3の全体斜視図である。図12は、第2実施形態のアイラッシュカーラー3の分解図である。
本実施形態では、素材等は、第1実施形態で用いた樹脂と同じであるが、固定部材と力点部材との係合(支点)、及びの力点部材と作用部材との係合(作用点)のヒンジ構成等が異なる。
図12に示すように、本実施形態では、力点部材50において、先端部から少し離れた部分に、ヒンジ下側が凹んだ嵌合用の溝(窪み)である嵌合溝53が形成されている。
図12に示すように、固定部材40において、アーム44に形成された支持穴部45には、幅方向(奥行方向)に延伸する嵌合用の支点軸48が設けられている。
そして、力点部材50の先端側アーム51が、上端側から、固定部材40の支持穴部45に挿入された状態で、力点部材50を固定部材40に対して上から下に押し込み、支持穴部45内で、嵌合溝53が支点軸48に係合することで、力点部材50と固定部材40とを連結させる。
力点部材50の嵌合溝53に嵌合された、固定部材40の支点軸48が第2の支点(図6Aの支点B)となることで、力点部材50が固定部材40に対して回動自在に連結される。
なお、図12においては、支点軸48は支持穴部45の幅方向全域に延伸している例を示しているが、嵌合溝53と嵌合可能な支点軸48は、支持穴部45の内側面から突出して中央部が途切れている、両側突起形状であってもよい。
また、アーム44は、支持穴部45の上方にも存在しており、支持穴部15の上方は、傾斜支柱43A、43Bと合流する合流部441Jが存在する。そのため、支点が剥き出しになっておらず、近くに髪、ティッシュ、コットン等が存在しても、力点部材50と固定部材40との係合部に挟み込まれることを予防できる。
また、作用部材60は、下側プレス部61と、一端が該下側プレス部61と連結するリンク部62A,62Bが設けられている。
また、下側プレス部61の左右の両端には、一部を欠いた略円形状(フック形状)の係合フック(係合部)611A,611Bが設けられている。本実施形態では、組立ての際の作用部材60の固定部材40への着脱を容易にするため、係合フック611A,611Bは後方が開口している。係合フック(後方フック)611A,611Bが、一対の平行支柱42A,42Bに対して係合することで、作用部材60が、固定部材40の平行支柱42A,42Bに沿ってスライド移動可能になる。
本構成では、リンク部62A,62Bの他端がU字状に折れ曲がって一体的に形成されており、他端におけるリンク部62A,62Bの他端同士を連結する部が、筒状の嵌合筒63である。嵌合筒63は、作用部材60の係合部である。
力点部材50の先端には、上側が凹んだ嵌合用フック52が形成されている。
そして、力点部材50を、作用部材60に対して下から上に押し込むこと、嵌合用フック52が嵌合筒63に係合し、力点部材50と作用部材60とを連結させる。このように、力点部材50の嵌合用フック52と、作用部材60の嵌合筒と63が嵌合することで、作用部材60が、力点部材50の作用点と連動して移動可能になる。
このように、固定部材40と力点部材50との連結(図6Aの第2の支点B)、及び力点部材50と作用部材60との連結(図6Aの第1の支点A)を、フック形状で実現することで、連結のために構成要素を貫通させる軸部を用いることなく、取り付け、取り外し等をすることが出来る。
そのため、第1実施形態における、各部材同士を連結するための、金属製のピン軸PS1,PS2を用いることなく、構成要素同士の係合部の完全金属フリーが実現できる。
また、フックが抜ける方向に力をかけることで、係合状態を解除できるため、使用者の手により、分解、組立てが実現できる。例えば、アイラッシュカーラー3が汚れてしまった場合に、分解洗浄が可能になることで、係合部の小さな凹凸まで洗浄することができ、その後、組み立てることができるため、細部まで清潔さを保つことができる。
また、化粧ポーチや荷物の中で、急激に負荷がかかった場合でも、フックが外れることで破壊が回避できる。この際、第1の支点A(図6A参照)と第2の支点Bでは係合の向きが反対方向であるため、一方向に強い力が掛かった場合、第1の支点A、第2の支点Bのどちらかのみの係合状態が外れるため、不意に係合状態が脱着した場合は、簡単に復活させることができる。
また、力点部材50の、先端側アーム51の先端には、上側が凹んだ嵌合用フック52が設けられ、先端側アーム51の持ち手55より先端部に近い部分に、下側が凹んだ嵌合溝53が形成され、アーム部(第2のアーム部)51,54は、先端から持ち手55まで一本で延伸している。
そのため、本実施形態のアイラッシュカーラー3においても、第1実施形態同様に、金属製と異なり、持ち手46,55の部分を、延伸部(アーム部44、51,54)と同じ太さに太くすることができるため、金属製よりもホールド性を向上させることができる。
ここで、図6Aの比率を満たすように、本実施形態では、力点部材20において、固定部材40と係合する支点である嵌合溝53から力点部材50の下端までの距離を、上端である作用部材60と係合する嵌合用フック52から嵌合溝53までの距離の3倍以上に設定する。
そして、本仕様においても、下側プレス部31の移動量を4mm以上確保するように、上端である嵌合用フック52から、支点となる嵌合溝53までの距離を10mm以上に設定する。
図12を参照して、力点部材50の中央アーム54において、嵌合溝53よりも持ち手55に近い部分であって、回転方向の先行面には、波打ち状に凹凸が形成されている。
この波打ち凹凸形状541,542により、フィット性が向上する。特に、自分でメイクする場合、固定部材40側の持ち手46の指穴には親指を入れ、力点部材50側の持ち手55の指穴には、他の指を入れる。最も力が入りやすい中指を持ち手55の指穴に入れた場合、あるいは薬指を指穴に入れた場合、波打ち凹凸形状541,542により、人差し指や中指でも力点部材50を支持することになり、動作が安定する。
また、持ち手55のさらに後端には、指掛け部(フィンガーレスト、指置きともいう)56が設けられている。例えば、使用者が自分でまつ毛をカールする際、力点部材50側の持ち手55の指穴には中指を入れ、指掛け部56には薬指を入れる、或いは、力点部材50側の持ち手55の指穴には人差し指を入れ、指掛け部56には中指を入れる、または、力点部材50側の持ち手55の指穴には薬指を入れ、指掛け部56には小指を入れる。
このようにいずれの指を入れるにしても、持ち手55の指穴に入れた指以外で、力点部材50を、波打ち凹凸形状541,542、及び指掛け部56でサポートするため、まつ毛をカールする際、プッシュ時の1つの指への負担を分担させるとともに、動作が安定する。
また、固定部材40の持ち手46及び力点部材50の持ち手55を閉じた際に対向する部分であるには、ヒットポイント47,57がそれぞれ設けられている。
まつ毛を押圧する際に、持ち手46,55のヒットポイント47,57の先端同士が当接することで、固定部材40に対する力点部材50の過剰な回転を防止する。
なお、持ち手46,55の内側内縁部にヒットポイント47,57を設けることで回転が規制されるため、例えば、繰り返し使用によりクリッパーゴム(不図示)が押しつぶされて薄くなった際に、押し込んだ際のプレス部のクランプ圧が足りなくなるおそれがある。そのため、ヒットポイント47,57を設置する際は、クリッパーゴムがつぶれた場合の含めて長さ等を設定すると好適である。
図13A,図13Bは、第2実施形態のアイラッシュカーラー3の正面図及び背面図である。
図13A及び図13Bを参照して、力点部材50が回転する方向と直交する方向を奥行方向としたとき、固定部材40において、アーム(第1のアーム部)44の少なくとも一部と、持ち手46の、奥行方向における幅(x2)が等しい。また、力点部材50において、第2のアーム部51,54の少なくとも一部と、持ち手55の、奥行方向における幅(x2)が等しいことがわかる。
なお、本実施形態では、波打ち凹凸形状541,542やヒットポイント47,57が設けられているため、アーム部44,51,54や持ち手46,55の梁の回転方向の厚み(高さ)及び幅は均一ではない。
しかし、本実施形態においても、アーム44,51,54の奥行き方向(幅x2の方向)の中心線CLは、持ち手46,55の中心線CLと同じ方向に延伸し、重なっている。そのため、操作時に、指からの挟む力が持ち手46,55から、同じ中心線上に延伸するアーム部44,51,54を介して、まっすぐに加わるため、まつ毛の挟み込みの力が伝達されやすい。
また、図10、図11、図12を参照して、固定部材40において、持ち手46は、1本のアーム44の下端から厚さ方向に分岐点BP1で分岐して、アーム44から直線状に延伸する直線部461と、該直線部461の下端から第1の厚さ方向に膨らんで折り返して分岐点BP1に戻る湾曲部462によって指穴を形成するように構成されている。
また、力点部材50において、持ち手55は、1本のアーム部51,54の下端から厚さ方向に分岐点で分岐して、アーム部51,54の一部である中央アーム54から直線状に延伸する直線部551と、該直線部551の下端から前記第1の厚さ方向とは反対方向の第2の厚さ方向に膨らんで折り返して分岐点に戻る湾曲部552によって指穴を形成するように構成されている。
本実施形態は、持ち手46,55に形成された指穴は、略半円形状である。
図10〜図13Bを参照して、固定部材40の持ち手46の直線部461と湾曲部462と、力点部材50の持ち手55の直線部551と湾曲部552は、奥行方向において重なっている。
さらに、本構成においても、持ち手46,55の直線部と湾曲部とで、奥行き方向に重なっているため、力がまっすぐに掛かり、より操作しやすく、まつ毛への力が加わりやすい。
本実施形態においても、図8Bに示した断面係数とヤング率で規定された実施可能範囲に入る樹脂を用いることで、金属製と同等のしなり及びクランプ圧により、同等の応力を実現できる。そのため、持ち手のホールド性を向上させながら、金属製の形状から大型化することなく、強度を担保して、金属製と同様の操作により、金属製と同等のまつ毛カール効果を発揮できる。
なお、第2実施形態では、作用点(支点A)及び支点(支点B)を構成要素同士のフックと溝を用いて係合する構成において、波打ち凹凸形状541,542やヒットポイント47,57が設けられている例を用いたが、波打ち形状やヒットポイントを、ピン軸によって係合する第1実施形態に適用してもよい。
あるいは、構成要素同士をフックと溝を用いて係合する第2実施形態の構成において、波打ち凹凸形状541,542やヒットポイント47、57を設けなくてもよい。
また、作用点及び支点を構成要素同士のフックと溝を用いて係合する構成において、第1実施形態のように、アーム部14,21,24と持ち手16,25の梁が、幅に加えて厚さも等しくなるように構成してもよい。
また、第1実施形態では、略涙型の指穴が形成された持ち手、第2実施形態では、略半円形の指穴が形成されや持ち手について説明したが、指穴の形状は逆であってもよく、あるいは、円形、楕円形状等であってもよい。さらに、持ち手において、湾曲部の分岐点周辺が途切れている形状であってもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
本出願は、2018年9月18日に日本国特許庁に出願された特願2018−174220号に基づく優先権を主張するものであり、特願2018−174220号の全内容を本出願に援用する。
1,3 アイラッシュカーラー
2 部分用アイラッシュカーラー
10 固定部材
11 上側プレス部
12A,12B 平行支柱(支柱部)
13A,13B 傾斜支柱(支柱部)
14 アーム(第1のアーム部)
141J 合流部
15 支持穴部
151A,151B 小孔
16 持ち手
20 力点部材
21 先端側アーム(アーム部、第2のアーム部)
22 先端孔(先端係合孔)
23 支点孔
24 中央アーム(アーム部、第2のアーム部)
25 持ち手
30 作用部材
31 下側プレス部(当接部材、上挟圧片)
311A,311B 係合フック(係合部、両端フック)
32A,32B リンク部
33 連結部
331A,331A 小孔
400 固定部材
41 上側プレス部
42A,42B 平行支柱(支柱部)
43A,43B 傾斜支柱(支柱部)
44 アーム(第1のアーム部)
441J 合流部
45 支持穴部
46 持ち手
47 ヒットポイント
48 支点軸
50 力点部材
51 先端側アーム(アーム部、第2のアーム部)
52 嵌合用フック(連結部)
53 嵌合溝(嵌合部、連結部)
54 中央アーム(アーム部、第2のアーム部)
541,542 波打ち凹凸形状
55 持ち手
56 指掛け部
57 ヒットポイント
60 作用部材
61 下側プレス部(当接部材、上挟圧片)
611A,611B 係合フック(係合部、後方フック)
62A,62B リンク部
63 連結部 A 第1の支点
B 第2の支点
C 荷重点
PS1 ピン軸
PS2 ピン軸

Claims (14)

  1. 上側プレス部が一体的に形成された固定部材と、
    下側プレス部が前記上側プレス部に対して、上下に移動可能である作用部材と、
    前記固定部材と係合する部分を支点として回動することで、前記作用部材を上下に移動させる力点部材と、を有しており、
    前記固定部材、前記作用部材、及び前記力点部材は、それぞれ樹脂で一体的に構成される
    アイラッシュカーラー。
  2. 前記固定部材は、前記上側プレス部と、使用者が指を掛ける第1の持ち手と、上下方向に延伸する第1のアーム部と、該第1のアーム部から2つに分岐して前記上側プレス部の両端部を支持する一対の支柱と、が一体的に形成され、
    前記力点部材は、前記使用者が指を掛ける第2の持ち手と、延伸する第2のアーム部と、が一体的に形成され、
    前記第1のアーム部には、前記力点部材が挿通する支持穴部が形成されている
    請求項1に記載のアイラッシュカーラー。
  3. 前記力点部材が回動する方向と直交する方向を奥行方向としたとき、
    前記第1のアーム部の少なくとも一部と、前記第1の持ち手の、前記奥行方向における幅が等しく、
    前記第2のアーム部の少なくとも一部と、前記第2の持ち手の、前記奥行方向における幅が等しい
    請求項2に記載のアイラッシュカーラー。
  4. 前記固定部材および前記力点部材の断面において前記奥行方向と直交する方向を厚さ方向とするとき、
    前記固定部材おいて、前記第1の持ち手は、1本の前記第1のアーム部の下端から厚さ方向に分岐点で分岐して、前記第1のアーム部から直線状に延伸する直線部と、該直線部の下端から第1の厚さ方向に膨らんで折り返して前記分岐点に戻る湾曲部からなるリングで形成され、
    前記力点部材において、前記第2の持ち手は、1本の前記第2のアーム部の下端から厚さ方向に分岐点で分岐して、前記第2のアーム部から直線状に延伸する直線部と、該直線部の下端から前記第1の厚さ方向とは反対方向の第2の厚さ方向に膨らんで折り返して前記分岐点に戻る湾曲部からなるリングで形成され、
    前記第1の持ち手の前記直線部と前記湾曲部と、前記第2の持ち手の前記直線部と前記湾曲部は、前記奥行方向において重なっている
    請求項3に記載のアイラッシュカーラー。
  5. 前記力点部材の、前記支点となる部分には、前記力点部材が回動する方向と直交する奥行方向に貫通する支点孔が形成され、
    前記固定部材の前記第1のアーム部の前記支持穴部の両側壁には、小孔が形成され、
    前記力点部材の前記第2のアーム部が、上端部から、前記固定部材の前記支持穴部に挿入された状態で、前記支点孔と、前記両側壁の小孔とを貫通するように、ピン軸で係止され、前記ピン軸が前記固定部材の回動の支点となる
    請求項2乃至4のいずれか一項に記載のアイラッシュカーラー。
  6. 前記作用部材は、前記下側プレス部と、上端が該下側プレス部と連結するリンク部と、前記リンク部の下端と連結する連結部が、一体的に形成されており、
    前記力点部材の上端部には、前記力点部材が回動する方向と直交する奥行方向に貫通する先端孔が形成され
    前記連結部は下端に対してU字状に凹んでおり、凹みの両側面には小孔が形成され、
    前記力点部材の前記第2のアーム部の上端が、前記連結部の前記凹みの内側に挿入され、先端孔と、前記連結部の前記両側面の小孔を貫通するように、ピン軸で係止されることで、
    前記作用部材が前記力点部材と連動して移動可能に、連結する
    請求項2乃至5のいずれか一項に記載のアイラッシュカーラー。
  7. 前記作用部材において、前記下側プレス部の左右の両端は、前記奥行方向に両側が開口したフック形状の両端フックとなっており、
    前記両端フックと、前記一対の支柱に対して嵌合することで、前記作用部材は、前記固定部材に対してスライド可能になる
    請求項6に記載のアイラッシュカーラー。
  8. 前記力点部材において、下側が凹んだ嵌合用の窪みが形成され、
    前記固定部材において、前記支持穴部の内部に、嵌合突起が設けられ、
    前記力点部材の嵌合用の窪みと、前記固定部材の前記嵌合突起とが嵌合した嵌合部を支点として、前記力点部材が前記固定部材に対して回動自在に連結することで、回動による力が上方向に作用するように前記作用部材に伝達する
    請求項2乃至4のいずれか一項に記載のアイラッシュカーラー。
  9. 前記作用部材は、前記下側プレス部と、一端が該下側プレス部と連結するリンク部とが一体的に形成されており、
    前記力点部材の上端には、上側が凹んだ嵌合用フックが形成され、
    前記作用部材の前記リンク部の他端には、嵌合筒が設けられ
    前記力点部材の嵌合用フックと、前記作用部材の前記嵌合筒とが嵌合することで、前記作用部材が前記力点部材とが連動して移動可能に、連結する
    請求項8に記載のアイラッシュカーラー。
  10. 前記作用部材において、前記下側プレス部の左右の両端は、後方に開口したフック形状の後方フックとなっており、
    前記後方フックが、前記一対の支柱に対して嵌合することで、前記作用部材は、前記固定部材に対してスライド可能になる
    請求項9に記載のアイラッシュカーラー。
  11. 前記樹脂は、ヤング率が2500N/mm3〜40000N/mm3の素材であり、前記固定部材の前記第1のアーム部と前記力点部材の前記第2のアーム部は、断面係数が5mm3〜40mm3で構成される
    請求項2乃至10のいずれか一項に記載のアイラッシュカーラー。
  12. 前記樹脂は、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性PET(PETG)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドMXD6のいずれかの樹脂に、ガラス繊維(GF)を配合することで構成される繊維強化樹脂である
    請求項11に記載のアイラッシュカーラー。
  13. 前記繊維強化樹脂は、前記ガラス繊維(GF)を、30質量%以上、65質量%以下、前記樹脂に配合することで構成される
    請求項12に記載のアイラッシュカーラー。
  14. 前記樹脂は、ナイロン6/10、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性PET(PETG)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドMXD6のいずれかであり、
    前記固定部材の前記第1のアーム部と前記力点部材の前記第2のアーム部は、断面係数を10mm3以上にする
    請求項11に記載のアイラッシュカーラー。
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