JPWO2020045094A1 - 液晶組成物、液晶硬化フィルム、偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び、液晶硬化フィルムの製造方法 - Google Patents

液晶組成物、液晶硬化フィルム、偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び、液晶硬化フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物と、1分子当たり2個以上のメルカプト基を有するチオール化合物と、を含む、液晶組成物。

Description

本発明は、液晶組成物;当該液晶組成物を用いて得られる液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置;並びに、前記液晶組成物を用いた液晶硬化フィルムの製造方法;に関する。
光学フィルムの一つとして、重合性液晶化合物を用いて製造される液晶硬化フィルムが知られている。このフィルムは、一般に、重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を備える。このような液晶硬化フィルムとして、特許文献1に記載のものが提案されている。
また、特許文献2及び3に記載された技術が知られている。
特開2011−084477号公報 国際公開第2013/137087号 特許第6035241号公報
広い波長範囲において液晶硬化層にその光学的機能を発揮させる観点から、液晶硬化層は、逆波長分散性のレターデーションを有することが好ましい。このように逆波長分散性のレターデーションを有する液晶硬化層は、重合性液晶化合物として、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物を用いることにより、得ることができる。
近年、逆波長分散性のレターデーションを有する液晶硬化層に対して、その逆波長分散性の程度を大きくすることが求められている。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、逆波長分散性の大きいレターデーションを有する液晶硬化層を得ることができる液晶組成物;逆波長分散性の大きいレターデーションを有する液晶硬化層を備えた液晶硬化フィルム及びその製造方法;前記の液晶硬化フィルムを備えた偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物と、1分子当たり2個以上のメルカプト基を有するチオール化合物とを組み合わせることにより、前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物と、1分子当たり2個以上のメルカプト基を有するチオール化合物と、を含む、液晶組成物。
〔2〕 前記チオール化合物が、第二級以上のチオール化合物である、〔1〕に記載の液晶組成物。
〔3〕 前記チオール化合物が、下記式(1)で表される、〔1〕又は〔2〕に記載の液晶組成物。
Figure 2020045094
(式(1)において、
Aは、s価の有機基を表し、
sは、1〜6の整数を表し、
tは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、
は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、
は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。)
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を備える、液晶硬化フィルム。
〔5〕 〔4〕に記載の液晶硬化フィルムと、直線偏光子とを備える、偏光板。
〔6〕 〔5〕記載の偏光板を備える、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
〔7〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶組成物の層を形成する工程と、
前記液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物を配向させる工程と、
前記液晶組成物の層を硬化させる工程と、を含む、液晶硬化フィルムの製造方法。
本発明によれば、逆波長分散性の大きいレターデーションを有する液晶硬化層を得ることができる液晶組成物;逆波長分散性の大きいレターデーションを有する液晶硬化層を備えた液晶硬化フィルム及びその製造方法;前記の液晶硬化フィルムを備えた偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置;を提供できる。
図1は、一例としての逆分散液晶化合物の分子を模式的に示す概要図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、ある層の「面内方向」とは、別に断らない限り、層平面に平行な方向を表す。
以下の説明において、ある層の「厚み方向」とは、別に断らない限り、層平面に垂直な方向を表す。よって、別に断らない限り、ある層の面内方向と厚み方向とは、垂直である。
以下の説明において、逆波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N1)を満たす複屈折をいう。このような逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物は、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を発現できる。
Δn(450)<Δn(550) (N1)
以下の説明において、順波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N2)を満たす複屈折をいう。このような順波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物は、通常、測定波長が長いほど、小さい複屈折を発現できる。
Δn(450)>Δn(550) (N2)
以下の説明において、ある層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、590nmである。面内レターデーションReは、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定できる。
以下の説明において、固有複屈折値が正の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、固有複屈折値が負の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
以下の説明において、ある層の遅相軸とは、別に断らない限り、面内方向の遅相軸をいう。
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±4°、好ましくは±3°、より好ましくは±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、置換基を有する基の炭素原子数には、別に断らない限り、前記置換基の炭素原子数を含めない。よって、例えば「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基」との記載は、置換基の炭素原子数を含まないアルキル基自体の炭素原子数が1〜20であることを表す。
以下の説明において、「偏光板」及び「波長板」は、別に断らない限り、樹脂フィルム等の可撓性を有するフィルム及びシートを含む用語として用いる。
[1.液晶組成物の概要]
本発明の一実施形態に係る液晶組成物は、逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物と、1分子当たり2個以上のメルカプト基を有するチオール化合物と、を含む。以下の説明において、「逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物」を、適宜、「逆分散液晶化合物」ということがある。また、1分子当たり2個以上のメルカプト基を有するチオール化合物を、適宜、「多官能チオール化合物」ということがある。
このように逆分散液晶化合物と多官能チオール化合物とを組み合わせて含む液晶組成物を用いることにより、逆波長分散性の大きいレターデーションを有する液晶硬化層を得ることができる。前記の逆波長分散性の程度は、測定波長450nmにおけるレターデーションR(450)と測定波長550nmにおけるレターデーションR(550)との比R(450)/R(550)によって評価できる。一般に、前記の比R(450)/R(550)が小さいほど、逆波長分散性が大きい。
[2.逆分散液晶化合物]
逆分散液晶化合物は、液晶性を有するので、通常、当該逆分散液晶化合物を配向させた場合に、液晶相を呈することができる。
また、逆分散液晶化合物は、重合性を有するので、液晶相を呈した状態で重合し、液晶相における分子の配向状態を維持したまま重合体となることができる。よって、液晶硬化層において逆分散液晶化合物の配向状態を固定したり、逆分散液晶化合物の重合度を高めて液晶硬化層の機械的強度を高めたりすることが可能である。このように重合性を有する逆分散液晶化合物の分子は、通常、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基等の重合性基を含む。逆分散液晶化合物の分子1つ当たりの重合性基の数は、1個でもよいが、2個以上が好ましい。
さらに、逆分散液晶化合物は、前記の通り、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物である。逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物とは、当該液晶化合物の層を形成し、その層において液晶化合物を配向させた際に、逆波長分散性の複屈折を発現する液晶化合物をいう。通常は、液晶化合物をホモジニアス配向させた場合に、液晶化合物の層が示す複屈折の波長分散性を調べることで、その液晶化合物が示す複屈折の波長分散性を確認できる。ここで、液晶化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶化合物を含む層を形成し、その層における液晶化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。また、前記の層の複屈折は、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から求められる。
逆分散液晶化合物の複屈折は、当該逆分散液晶化合物の分子の屈折率楕円体において、最大の屈折率を示す方向の屈折率と、この方向に垂直な別の方向の屈折率との差として発現しうる。また、逆分散液晶化合物の分子構造に応じて、前記の各方向の屈折率の波長分散性は、異なりうる。例えば、ある逆分散液晶化合物は、屈折率が相対的に大きいある方向では、長波長で測定した屈折率は、短波長で測定した屈折率よりも小さくなるが、それらの差は小さい。他方、屈折率が相対的に小さい別の方向では、長波長で測定した屈折率は、短波長で測定した屈折率よりも小さくなり、且つ、それらの差は大きい。このような例の液晶化合物では、前記方向間での屈折率差は、測定波長が短いと小さく、測定波長が長いと大きくなる。その結果、この逆分散液晶化合物は、逆波長分散性の複屈折を発現できる。
逆分散液晶化合物の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは800以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。このような範囲の分子量を有する逆分散液晶化合物を用いる場合に、液晶組成物の塗工性を特に良好にできる。
測定波長590nmにおける逆分散液晶化合物の複屈折Δnは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下である。このような範囲の複屈折Δnを有する逆分散液晶化合物を用いる場合に、配向欠陥の少ない液晶硬化層を得やすい。
液晶化合物の複屈折は、例えば、下記の方法により測定できる。
液晶化合物の層を作製し、その層に含まれる液晶化合物をホモジニアス配向させる。その後、その層の面内レターデーションを測定する。そして、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から、液晶化合物の複屈折を求めることができる。この際、面内レターデーション及び厚みの測定を容易にするために、ホモジニアス配向させた液晶化合物の層は、硬化させてもよい。
逆分散液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
逆分散液晶化合物の例としては、下記式(I)で表される液晶化合物が挙げられる。
Figure 2020045094
式(I)において、Arは、芳香族複素環、複素環、および芳香族炭化水素環の少なくとも1つを有し、置換されていてもよい、炭素原子数6〜67の2価の有機基を表す。芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環等が挙げられる。複素環としては、例えば、1,3−ジチオラン環、ピロリジン、ピペラジン等が挙げられる。芳香族炭化水素環としては、例えば、フェニル環、ナフタレン環等が挙げられる。
Arの好ましい例としては、例えば、下記式(II−1)〜式(II−4)のいずれかで表される基が挙げられる。式(II−1)〜式(II−4)において、*は、Z又はZとの結合位置を表す。また、Arは、ベンゾチアゾール環を有することが好ましい。
Figure 2020045094
前記の式(II−1)〜式(II−4)において、E及びEは、それぞれ独立して、−CR1112−、−S−、−NR11−、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる基を表す。また、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。中でも、E及びEは、それぞれ独立して、−S−であることが好ましい。
前記の式(II−1)〜式(II−4)において、D〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D及びDは、一緒になって環を形成していてもよい。D〜Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、1〜100である。
〜Dにおける非環状基の炭素原子数は、1〜13が好ましい。D〜Dにおける非環状基としては、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基;シアノ基;カルボキシル基;炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;−C(=O)−CH;−C(=O)NHPh;−C(=O)−OR;が挙げられる。中でも、非環状基としては、シアノ基、カルボキシル基、−C(=O)−CH、−C(=O)NHPh、−C(=O)−OC、−C(=O)−OC、−C(=O)−OCH(CH、−C(=O)−OCHCHCH(CH)−OCH、−C(=O)−OCHCHC(CH−OH、及び−C(=O)−OCHCH(CHCH)−C、が好ましい。前記のPhは、フェニル基を表す。また、前記のRは、炭素原子数1〜12の有機基を表す。Rの具体例としては、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、または、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。
〜Dにおける非環状基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数1〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数1〜6のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくは炭素原子数1〜6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜10である。Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、およびn−イコシル基等が挙げられる。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール−2−イルチオ基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;及び、ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜12である。Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びDが一緒になって環を形成している場合、前記のD及びDによって環を含む有機基が形成される。この有機基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式において、*は、各有機基が、D及びDが結合する炭素と結合する位置を表す。
Figure 2020045094
は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
**は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
***は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
****は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、水酸基、及び、−COOR13からなる群より選ばれる基を表す。R13は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
フェニル基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びアミノ基が挙げられる。中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基及びアルコキシ基が好ましい。フェニル基が有する置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−4)において、Dは、−C(R)=N−N(R)R、−C(R)=N−N=C(R)R、及び、−C(R)=N−N=Rからなる群より選ばれる基を表す。Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、通常、3〜100である。
は、水素原子;並びに、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、水素原子;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基;からなる群より選ばれる基を表す。
における置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;−G−Y−F;−SO;−C(=O)−R;−CS−NH−R;が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基と同じである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−SO;−SR;−SRで置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基と同じである。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、Rにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基がより好ましい。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける非環状基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、キノリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、およびベンゾピラゾリル基等が挙げられる。中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、フラザニル基、チアゾリル基、及びチアジアゾリル基等の、単環の芳香族複素環基;並びに、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピラジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、及びベンゾチアジアゾリル基等の、縮合環の芳香族複素環基;がより好ましい。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける非環状基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR14−C(=O)−、−C(=O)−NR14−、−NR14−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);からなる群より選ばれる有機基を表す。R14は、水素原子、又は、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。前記「2価の脂肪族炭化水素基」は、2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
は、−O−、−C(=O)−、−S−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15−、−O−C(=O)−NR15−、−NR15−C(=O)−O−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれる基を表す。R15は、水素原子、又は、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。中でも、Yとしては、−O−、−O−C(=O)−O−及び−C(=O)−O−が好ましい。
は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基を表す。この有機基の炭素原子数は、好ましくは2以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、特に好ましくは10以上であり、好ましくは30以下である。前記の有機基の炭素原子数には、置換基の炭素原子を含まない。
における芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等の、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環が挙げられる。Fが、複数の芳香族炭化水素環を有する場合、複数の芳香族炭化水素環は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
における芳香族炭化水素環は、置換基を有していてもよい。Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−O−C(=O)−R;等が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環等の、炭素原子数2〜30の芳香族複素環が挙げられる。Fが、複数の芳香族複素環を有する場合、複数の芳香族複素環は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
における芳香族複素環は、置換基を有していてもよい。Fにおける芳香族複素環が有しうる置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の好ましい例としては、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい、炭素原子数2〜20の環状基」が挙げられる。以下、この環状基を、適宜「環状基(a)」ということがある。
環状基(a)が有しうる置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
環状基(a)の好ましい例としては、少なくとも一つの炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素環を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20の炭化水素環基が挙げられる。この炭化水素環基を、以下、適宜「炭化水素環基(a1)」ということがある。
炭化水素環基(a1)としては、例えば、フェニル基(炭素原子数6)、ナフチル基(炭素原子数10)、アントラセニル基(炭素原子数14)、フェナントレニル基(炭素原子数14)、ピレニル基(炭素原子数16)、フルオレニル基(炭素原子数13)、インダニル基(炭素原子数9)、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基(炭素原子数10)、1,4−ジヒドロナフチル基(炭素原子数10)等の、炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
前記の炭化水素環基(a1)の具体例としては、下記式(1−1)〜(1−21)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「−」は、環の任意の位置からのびる、Yとの結合手を表す。
Figure 2020045094
環状基(a)の別の好ましい例としては、炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜18の芳香族複素環からなる群から選ばれる1以上の芳香環を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の複素環基が挙げられる。この複素環基を、以下、適宜「複素環基(a2)」ということがある。
複素環基(a2)としては、例えば、フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジニル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ペンゾピラノンニル基等の、炭素原子数2〜18の芳香族複素環基;キサンテニル基;2,3−ジヒドロインドーリル基;9,10−ジヒドロアクリジニル基;1,2,3,4−テトラヒドロキノリル基;ジヒドロピラニル基;テトラヒドロピラニル基;ジヒドロフラニル基;およびテトラヒドロフラニル基;が挙げられる。
前記の複素環基(a2)の具体例としては、下記式(2−1)〜(2−51)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「−」は、環の任意の位置からのびる、Yとの結合手を表す。下記式中、Xは、−CH−、−NR−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO−を表す。YおよびZは、それぞれ独立して、−NR−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO−を表す。Eは、−NR−、酸素原子または硫黄原子を表す。ここで、Rは、水素原子;または、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。(但し、各式中において酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−は、それぞれ隣接しないものとする。)。
Figure 2020045094
の好ましい別の例としては、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の環状基で、少なくとも一つの水素原子が置換され、且つ、前記環状基以外の置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜18のアルキル基」が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「置換アルキル基(b)」ということがある。
置換アルキル基(b)における炭素原子数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
置換アルキル基(b)において、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の環状基」としては、例えば、環状基(a)として説明した範囲の基が挙げられる。
置換アルキル基(b)において、「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方」は、炭素原子数1〜18のアルキル基の炭素原子に、直接に結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、−S−、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15などが挙げられる。R15の意味は、上述した通りである。よって、置換アルキル基(b)における「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の環状基」には、フルオレニル基、ベンゾチアゾリル基等の、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する基;置換されていてもよい芳香族炭化水素環基;置換されていてもよい芳香族複素環基;連結基を有する置換されていてもよい芳香族炭化水素環よりなる基;連結基を有する置換されていてもよい芳香族複素環よりなる基;が含まれる。
置換アルキル基(b)における芳香族炭化水素環基の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、およびフルオレニル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
置換アルキル基(b)における芳香族炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)における芳香族複素環基の好ましい例としては、フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ペンゾピラノンニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香複素環基が挙げられる。
置換アルキル基(b)における芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)における「連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基」及び「連結基を有する芳香族複素環よりなる基」としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アントラセニルチオ基、フェナントレニルチオ基、ピレニルチオ基、フルオレニルチオ基、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、ピレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、ベンゾイソオキサゾリルチオ基、ベンゾイソチアゾリルチオ基、ベンゾオキサジアゾリルチオ基、ベンゾオキサゾリルチオ基、ベンゾチアジアゾリルチオ基、ベンゾチアゾリルチオ基、ベンゾチエニルチオ基、ベンゾイソオキサゾリルオキシ基、ベンゾイソチアゾリルオキシ基、ベンゾオキサジアゾリルオキシ基、ベンゾオキサゾリルオキシ基、ベンゾチアジアゾリルオキシ基、ベンゾチアゾリルオキシ基、ベンゾチエニルオキシ基、等が挙げられる。
置換アルキル基(b)における「連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基」及び「連結基を有する芳香族複素環よりなる基」は、それぞれ、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)が有しうる環状基以外の置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)の具体例としては、下記式(3−1)〜(3−11)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「−」は、環の任意の位置からのびる、Yとの結合手を表す。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020045094
特に、Arが式(II−2)で表される場合、Fは、下記式(i−1)〜(i−9)のいずれかで表される基であることが好ましい。また、特に、Arが式(II−3)又は式(II−4)で表される場合、Fは、下記式(i−1)〜(i−13)のいずれかで表される基であることが好ましい。下記式(i−1)〜(i−13)で表される基は、置換基を有していてもよい。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020045094
更には、Arが式(II−2)で表される場合、Fは、下記式(ii−1)〜(ii−18)のいずれかで表される基であることが特に好ましい。また、Arが式(II−3)又は式(II−4)で表される場合、Fは、下記式(ii−1)〜(ii−24)のいずれかで表される基であることが特に好ましい。下記式(ii−1)〜(ii−24)で表される基は、置換基を有していてもよい。下記の式において、Yの意味は、上述した通りである。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020045094
Figure 2020045094
Arが式(II−2)で表される場合、F中の環構造に含まれるπ電子の総数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。また、Arが式(II−3)又は式(II−4)で表される場合、F中の環構造に含まれるπ電子の総数は、4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
上述したものの中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;並びに、−G−Y−F;が好ましい。その中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;並びに、−G−Y−F;が特に好ましい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、(1)一以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基、が挙げられる。この芳香族炭化水素環を有する炭化水素環基を、以下、適宜「(1)炭化水素環基」ということがある。(1)炭化水素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2020045094
(1)炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。(1)炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の別の好ましい例としては、(2)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。この芳香環を有する複素環基を、以下、適宜「(2)複素環基」ということがある。(2)複素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
Figure 2020045094
Figure 2020045094
Figure 2020045094
Figure 2020045094
Figure 2020045094
Figure 2020045094
Figure 2020045094
Figure 2020045094
(2)複素環基は、置換基を有していてもよい。(2)複素環基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(3)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「(3)置換アルキル基」ということがある。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数1〜12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。(3)置換アルキル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(4)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルケニル基が挙げられる。この置換されたアルケニル基を、以下、適宜「(4)置換アルケニル基」ということがある。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜12のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。(4)置換アルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(5)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルキニル基が挙げられる。この置換されたアルキニル基を、以下、適宜「(5)置換アルキニル基」ということがある。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜12のアルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。(5)置換アルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2020045094
の更に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2020045094
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2020045094
上述したRの具体例は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、一以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基が挙げられる。
また、Rの別の好ましい例としては、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。
Figure 2020045094
式(II−1)〜式(II−4)のいずれかで表される基は、D〜D以外に更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素原子数1〜6のチオアルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)におけるArの好ましい例としては、下記の式(III−1)〜式(III−7)で表される基が挙げられる。また、式(III−1)〜式(III−7)で表される基は、置換基として炭素原子数1〜6のアルキル基を有していてもよい。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020045094
式(III−1)の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020045094
Figure 2020045094
式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR21−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。A、A、B及びBが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、3〜100である。中でも、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の芳香族基が好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。中でも、置換されていてもよい炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基が特に好ましい。環状脂肪族基は、トランス体であってもよく、シス体であってもよく、シス体とトランス体との混合物であってもよい。中でも、トランス体がより好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
、A、B及びBにおける芳香族基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、1,4−フェニレン基が特に好ましい。
、A、B及びBにおける芳香族基が有しうる置換基としては、例えば、A、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)において、Y〜Yは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR22−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR22−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR22−、及び、−NR22−C(=O)−NR23−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、G及びGは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH−)の1以上が−O−又は−C(=O)−に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G及びGの前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G及びGの両末端のメチレン基(−CH−)が−O−又は−C(=O)−に置換されることはない。
及びGにおける炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基が挙げられる。
及びGにおける炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数3〜20のアルキレン基が挙げられる。
式(I)において、P及びPは、それぞれ独立して、重合性基を表す。P及びPにおける重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基;ビニル基;ビニルエーテル基;p−スチルベン基;アクリロイル基;メタクリロイル基;カルボキシル基;メチルカルボニル基;水酸基;アミド基;炭素原子数1〜4のアルキルアミノ基;アミノ基;エポキシ基;オキセタニル基;アルデヒド基;イソシアネート基;チオイソシアネート基;等が挙げられる。R31は、水素原子、メチル基、又は塩素原子を表す。中でも、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基が好ましく、CH=CH−C(=O)−O−(アクリロイルオキシ基)、CH=C(CH)−C(=O)−O−(メタクリロイルオキシ基)がより好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
式(I)において、p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
式(I)で表される液晶化合物は、例えば、国際公開第2012/147904号に記載される、ヒドラジン化合物とカルボニル化合物との反応により製造しうる。
式(I)で表される液晶化合物としては、具体的には、例えば、下記の式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020045094
[3.多官能チオール化合物]
多官能チオール化合物は、1分子当たり2個以上のメルカプト基(−SH基)を有する化合物である。通常、メルカプト基は、逆分散液晶化合物が有する重合性基と反応できる。多官能チオール化合物と上述した逆分散液晶化合物との組み合わせが液晶組成物に含まれることにより、その液晶組成物から製造される液晶硬化層は、逆波長分散性の大きいレターデーションを有することができる。
多官能チオール化合物の1分子当たりのメルカプト基の数は、好ましくは2個〜10個、より好ましくは2個〜8個、特に好ましくは2個〜6個である。メルカプト基の数が前記の範囲にある場合に、液晶硬化層のレターデーションの逆波長分散性を効果的に大きくできる。
多官能チオール化合物は、第二級以上のチオール化合物であることが好ましい。第二級以上のチオール化合物とは、第二級以上の炭素原子に結合したメルカプト基を有する化合物をいう。また、第二級以上の炭素原子とは、2個以上の炭素原子に結合した炭素原子をいう。第二級以上のチオール化合物は、当該チオール化合物が有する一部のメルカプト基のみが第二級以上の炭素原子に結合していてもよいが、全てのメルカプト基が第二級以上の炭素原子に結合していることが好ましい。多官能チオール化合物として第二級以上のチオール化合物を用いることにより、保存環境における多官能チオール化合物と逆分散液晶化合物との反応を抑制できるので、液晶組成物のポットライフを長くできる。
好ましい多官能チオール化合物としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020045094
式(1)において、sは、1〜6の整数を表す。中でも、液晶硬化層のレターデーションの逆波長分散性を特に大きくする観点から、sは、好ましくは2以上であり、好ましくは4以下である。
式(1)において、tは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。中でも、液晶硬化層のレターデーションの逆波長分散性を特に大きくする観点から、tは、好ましくは1以上であり、好ましくは2以下である。
式(1)において、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
式(1)において、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。アルキル基の炭素原子数は、液晶硬化層のレターデーションの逆波長分散性を特に大きくする観点から、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
液晶組成物のポットライフを長くする観点では、同一の炭素原子に結合するR及びRのうち、少なくとも一方は、水素原子でないことが好ましい。
式(1)において、Aは、s価の有機基を表す。よって、Aは、1価〜6価の有機基を表す。この有機基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等の炭化水素基であってもよく、炭素原子及び水素原子に組み合わせてヘテロ原子を含む基であってもよい。
1価の有機基としては、例えば、メルカプト基を有するアルキル基、メルカプト基を有するシクロアルキル基、メルカプト基を有するアリール基、メルカプト基を有するアラルキル基、−CO−R、−COO−R、−O−CO−R、カルバモイル基、等が挙げられる。ただし、R、R及びRは、それぞれ独立して、メルカプト基を有する炭化水素基を表し、好ましくはメルカプト基を有するアルキル基を表し、特に好ましくはメルカプト基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
メルカプト基を有するアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜12である。このアルキル基の例としては、Rの説明で挙げたのと同じ例が挙げられる。
メルカプト基を有するシクロアルキル基の炭素原子数は、好ましくは3〜12である。このシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等が挙げられる。
メルカプト基を有するアリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜24である。このアリール基の例としては、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基等が挙げられる。
メルカプト基を有するアラルキル基の炭素原子数は、好ましくは6〜24である。このアラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
2価の有機基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ポリエーテル基、ポリシロキサン基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基等が挙げられる。
アルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1〜12である。このアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、2−エチルヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基等が挙げられる。
シクロアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは3〜12である。このシクロアルキレン基の例としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基、1,3−アダマンチル基等が挙げられる。
アリーレン基の炭素原子数は、好ましくは6〜24である。このアリーレン基の例としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等のフェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;等が挙げられる。
ポリエーテル基は、分子中にエーテル結合を有する2価の基であり、例えば、ポリエチレンオキシドから2個の水素原子を除いた構造を有する基、ポリプロピレンオキシドから2個の水素原子を除いた構造を有する基、等が挙げられる。
ポリシロキサン基は、シロキサン結合を有する2価の基であり、例えば、ポリジメチルシロキサンから2個の水素原子を除いた構造を有する基、ポリジエチルシロキサンから2個の水素原子を除いた構造を有する基、ポリジフェニルシロキサンから2個の水素原子を除いた構造を有する基、ポリメチルフェニルシロキサンから2個の水素原子を除いた構造を有する基、等が挙げられる。
3価〜6価の有機基としては、例えば、脂肪族鎖を有する3価〜6価の炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基;脂環構造を有する3価〜6価の炭素数3〜12の脂環式炭化水素基;芳香環構造を有する3価〜6価の炭素数6〜24の芳香族炭化水素基;並びに、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含む複素環構造を有する3〜6価の複素環基;等が挙げられる。
さらに、前記の例示した有機基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボニル基、ホルミル基、エステル基、アミド基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シリル基、シリロキシ基等が挙げられる。
s価の有機基Aの中でも、液晶硬化層のレターデーションの逆波長分散性を特に大きくする観点から、下記の式(B−1)〜(B−3)のいずれかで表される基、および、炭素原子数1〜12のアルキレン基からなる群より選ばれる基が好ましい。
Figure 2020045094
式(B−1)、(B−2)及び(B−3)において、*は、結合位置を表し、X〜X15は、それぞれ独立して、単結合、又は、置換基を有してもよいアルキレン基を表す。アルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜6、特に好ましくは2〜4である。また、置換基としては、上述の有機基Aが有してもよい置換基と同じものが挙げられる。
多官能チオール化合物としては、例えば、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)などが挙げられる。
多官能チオール化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
多官能チオール化合物の分子量は、好ましくは150以上、より好ましくは200以上、特に好ましくは250以上であり、好ましくは1000未満、より好ましくは900未満、特に好ましくは800未満である。
液晶組成物における多官能チオール化合物の量は、逆分散液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、特に好ましくは1.0重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、特に好ましくは12重量部以下である。多官能チオール化合物の量が前記範囲の下限値以上である場合に、液晶硬化層のレターデーションの逆波長分散性を特に大きくできる。また、多官能チオール化合物の量が前記範囲の上限値以下である場合に、液晶組成物の配向性を良くできるので、配向欠陥の発生を抑制することができる。
[4.任意の成分]
液晶組成物は、必要に応じて、逆分散液晶化合物及び多官能チオール化合物に組み合わせて、更に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組合わせて用いてもよい。
例えば、逆分散液晶化合物の重合を促進するため、液晶組成物は、任意の成分として重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤の種類は、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の種類に応じて選択しうる。例えば、重合性の化合物がラジカル重合性であれば、ラジカル重合開始剤を使用しうる。また、重合性の化合物がアニオン重合性であれば、アニオン重合開始剤を使用しうる。さらに、重合性の化合物がカチオン重合性であれば、カチオン重合開始剤を使用しうる。重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の量は、逆分散液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。重合開始剤の量が前記範囲に収まる場合、重合を効率的に進行させることができる。
例えば、液晶組成物は、任意の成分として、界面活性剤を含んでいてもよい。特に、配向性に優れた液晶硬化層を安定して得る観点から、界面活性剤としては、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤が好ましい。以下の説明において、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤を、適宜「フッ素系界面活性剤」ということがある。
界面活性剤はノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤がイオン性基を含まないノニオン系界面活性剤である場合に、液晶硬化層の面状態及び配向性を、特に良好にすることができる。
界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンシリーズ(S242、S386、S420など)、DIC社製のメガファックシリーズ(F251、F554、F556、F562、RS−75、RS−76−Eなど)、ネオス社製のフタージェントシリーズ(FTX601AD、FTX602A、FTX601ADH2、FTX650A、209Fなど)等が挙げられる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、逆分散液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.010重量部以上であり、好ましくは1.00重量部以下、より好ましくは0.50重量部以下である。界面活性剤の量が前記の範囲にある場合、液晶硬化層の面状態を良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥の発生を抑制したりできる。
液晶組成物は、任意の成分として、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、逆分散液晶化合物及び多官能チオール化合物を溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;が挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは60℃〜150℃である。
溶媒の量は、逆分散液晶化合物100重量部に対して、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、特に好ましくは300重量部以上であり、好ましくは650重量部以下、より好ましくは600重量部以下、特に好ましくは500重量部以下である。溶媒の量が前記範囲の下限値以上である場合に、異物発生の抑制ができる。また、溶媒の量が前記範囲の上限値以下である場合に、乾燥負荷の低減ができる。
液晶組成物が含みうる任意のその他の成分としては、例えば、金属;金属錯体;酸化チタン等の金属酸化物;染料、顔料等の着色剤;蛍光材料、燐光材料等の発光材料;レベリング剤;チキソ剤;ゲル化剤;多糖類;紫外線吸収剤;赤外線吸収剤;抗酸化剤;イオン交換樹脂;等が挙げられる。これらの成分の量は、逆分散液晶化合物の合計100重量部に対して、各々0.1重量部〜20重量部としうる。
[5.液晶硬化フィルム]
本発明の一実施形態に係る液晶硬化フィルムは、上述した液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を含む。液晶組成物の硬化物で形成されているので、液晶硬化層は、逆分散液晶化合物の分子を含む。
液晶組成物の硬化は、通常、当該液晶成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。よって、液晶硬化層は、通常、液晶組成物が含んでいた成分の一部又は全部の重合体を含む。したがって、液晶硬化層は、重合前の配向状態を維持したまま重合した逆分散液晶化合物の重合体を含む層でありうる。通常、重合によって逆分散液晶化合物の液晶性は失われるが、本願においては、そのように重合した逆分散液晶化合物も、用語「液晶硬化層に含まれる逆分散液晶化合物」に含める。
液晶硬化層において、逆分散液晶化合物は、通常、その配向状態を固定されうる。用語「配向状態を固定された逆分散液晶化合物」には、前記の逆分散液晶化合物の重合体が包含される。液晶硬化層は、配向状態を固定された逆分散液晶化合物の分子に組み合わせて配向状態を固定されていない逆分散液晶化合物の分子を含んでいてもよいが、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶化合物の分子の全てが配向状態を固定されていることが好ましい。
液晶硬化層は、逆分散液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物によって形成されているので、逆波長分散性のレターデーションを発現できる。具体的には、測定波長450nm及び550nmにおける液晶硬化層の面内レターデーションRe(450)及びRe(550)は、通常、下記式(N3)を満たすことができる。このように逆波長分散性の面内レターデーションを有する液晶硬化層は、1/4波長板又は1/2波長板等の光学用途において、広い波長帯域において均一に機能を発現できる。
Re(450)/Re(550)<1.00 (N3)
さらに、液晶硬化層を形成するための前記の液晶組成物が逆分散液晶化合物に組み合わせて多官能チオール化合物を含むので、その液晶硬化層のレターデーションは、多官能チオール化合物を用いない層のレターデーションに比べて、大きい逆波長分散性を示すことができる。よって、通常は、測定波長450nmにおける液晶硬化層のレターデーションRe(450)と測定波長550nmにおける液晶硬化層のレターデーションRe(550)との比Re(450)/Re(550)を、小さくできる。
また、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶化合物の分子の全てが厚み方向に配向している場合、面内レターデーション(即ち、液晶硬化層の入射角0°でのレターデーション)が0nmとなり、面内レターデーションによる波長分散性の評価が難しいことがありうる。しかし、このような液晶硬化層でも、厚み方向のレターデーションを有することがありえる。この場合、液晶硬化層を傾けて0°でない入射角でのレターデーションRexを測定することにより、波長分散性を評価できる。具体的には、測定波長450nm及び550nmで液晶硬化層のレターデーションRex(450)及びRex(550)を測定する。そして、その比Rex(450)/Rex(550)が1.00より小さければ、当該液晶硬化層が逆波長分散性のレターデーションを発現できると判定できる。
本発明の一実施形態に係る液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層のレターデーションが大きい逆波長分散性を示す仕組みは、下記の通りであると、本発明者は推察する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記にて説明する仕組みによって制限されない。
図1は、一例としての逆分散液晶化合物の分子100を模式的に示す概要図である。図1に示すように、逆分散液晶化合物の分子100は、当該逆分散液晶化合物の分子100の屈折率楕円体において最大の屈折率を示す方向A1に一致する方向A110に長軸を有する主鎖骨格110と、この主鎖骨格110の長軸の方向A110に交差する方向A120に長軸を有する側鎖骨格120とを含む。主鎖骨格110は、屈折率楕円体において最大の屈折率を示す方向A1に対応した主鎖メソゲンに含まれる。よって、屈折率楕円体における最大の屈折率は、主鎖骨格110に依存する。他方、側鎖骨格120は、屈折率楕円体において最大の屈折率を示す方向A1に垂直な方向A2の対応した側鎖メソゲンに含まれる。よって、屈折率楕円体において最大の屈折率を示す方向A1に垂直な方向A2の屈折率は、側鎖骨格120に依存する。重合性液晶化合物の分子100は、これら主鎖骨格110及び側鎖骨格120に組み合わせて任意の分子骨格を含みうるが、図1では任意の分子骨格の図示を省略する。
前記のように、逆分散液晶化合物の分子110の複屈折は、当該逆分散液晶化合物の分子の屈折率楕円体において、最大の屈折率を示す方向A1の屈折率と、この最大の屈折率を示す方向に垂直な方向A2の屈折率との差として発現しうる。また、その複屈折の逆波長分散性は、前記の屈折率それぞれの波長分散性の差として現れる。よって、通常は、主鎖骨格110の長軸の方向A110と側鎖骨格120の長軸の方向A120とがなす角度θが90°に近いほど、前記の差が大きくなる。それにより、逆分散液晶化合物の分子110の複屈折の差(波長間の差)が大きくなるので、当該逆分散液晶化合物の分子110を含む液晶硬化層の複屈折の逆波長分散性を大きくでき、その結果、液晶硬化層のレターデーションの逆波長分散性を大きくできる。
ところが、液晶硬化層においては、逆分散液晶化合物は独立した分子ではなく、重合によって分子同士が結合しうる。従来の液晶硬化層においては、逆分散液晶化合物の分子同士の結合は剛直であった。よって、重合体の骨格が剛直となり、ある逆分散液晶化合物の分子100の側鎖骨格120に対して別の逆分散液晶化合物の分子100による立体障害が作用することがあった。このような立体障害があると、主鎖骨格110の長軸の方向A110と側鎖骨格120の長軸の方向A120とがなす角度θが90°から外れうる。そのため、前記の角度θが90°から外れた分だけ、液晶硬化層のレターデーションの逆波長分散性が小さくなっていた。
これに対し、多官能チオール化合物を用いて製造される液晶硬化層においては、逆分散液晶化合物と多官能チオール化合物とが反応できる。逆分散液晶化合物の分子と多官能チオール化合物との反応によっては、通常、柔軟なC−S結合が生じる。よって、逆分散液晶化合物の分子100同士は、柔軟なC−S結合を介して結合できるので、液晶硬化層に含まれる重合体の骨格が全体として柔軟になり、立体障害が解消され易い。したがって、主鎖骨格110の長軸の方向A110と側鎖骨格120の長軸の方向A120とがなす角度θを液晶硬化層の全体として90°に近づけることができるので、液晶硬化層のレターデーションの逆波長分散性を大きくできる。
液晶硬化層の面内レターデーションの比Re(450)/Re(550)の具体的な範囲は、液晶硬化フィルムの用途に応じて適切に設定しうる。比Re(450)/Re(550)は、下記式(N4)を満たすことが望ましい。
Re(450)/Re(550)<0.90 (N4)
液晶硬化層の面内方向においては、逆分散液晶化合物の分子の配向方向は、通常、均一である。よって、液晶硬化層は、通常、液晶硬化層を厚み方向から見た逆分散液晶化合物の分子の配向方向に平行な面内遅相軸を有する。そして、このように面内方向において逆分散液晶化合物が一定の配向方向に配向するので、液晶硬化層は、通常、所定の大きさの面内レターデーションを有する。
液晶硬化層の具体的な面内レターデーションの範囲は、この液晶硬化層の用途に応じて任意に設定しうる。
例えば、液晶硬化層を1/4波長板として機能させたい場合、液晶硬化層の面内レターデーションは、測定波長590nmにおいて、好ましくは100nm以上、より好ましくは110nm以上、特に好ましくは120nm以上であり、好ましくは180nm以下、より好ましく170nm以下、特に好ましくは160nm以下である。
また、例えば、液晶硬化層を1/2波長板として機能させたい場合、液晶硬化層のレターデーションは、測定波長590nmにおいて、好ましくは245nm以上、より好ましくは265nm以上、特に好ましくは270nm以上であり、好ましくは320nm以下、より好ましくは300nm以下、特に好ましくは295nm以下である。
液晶硬化層の厚み方向においては、逆分散液晶化合物の分子の配向方向は、任意である。例えば、液晶硬化層の厚み方向において、逆分散液晶化合物の分子の配向方向は、液晶硬化層の面に平行でもよく、非平行でもよい。また、液晶硬化層の厚み方向において、逆分散液晶化合物の分子の配向方向は、均一でもよく、不均一でもよい。具体例を挙げると、逆分散液晶化合物の分子は、液晶硬化層の面に平行なある一の方向に配向していてもよい(ホモジニアス配向)。さらに、逆分散液晶化合物の分子は、液晶硬化層の面に垂直な方向に配向していてもよい(垂直配向)。また、逆分散液晶化合物の分子は、液晶硬化層の面に平行でも垂直でもないある一の方向に配向していてもよい(傾斜配向)。さらに、逆分散液晶化合物の分子は、当該逆分散液晶化合物の分子が液晶硬化層の層平面に対してなす傾斜角が、液晶硬化層の一側に近いほど小さく、前記一側から遠いほど大きい態様で配向していてもよい(ハイブリッド配向)。
液晶硬化層の厚みは、レターデーション等の特性を所望の範囲にできるように、適切に設定しうる。具体的には、液晶硬化層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下である。
液晶硬化フィルムは、液晶硬化層のみを含むフィルムであってもよく、液晶硬化層に組み合わせて任意の層を含むフィルムであってもよい。任意の層としては、液晶硬化層の製造に用いる基材;位相差フィルム;他の部材と接着するための接着層;フィルムの滑り性を良くするマット層;耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層;反射防止層;防汚層;等が挙げられる。
液晶硬化フィルムは、透明性に優れることが好ましい。具体的には、液晶硬化フィルムの全光線透過率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは84%以上である。また、液晶硬化フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm〜700nmの範囲で測定できる。また、ヘイズは、ヘイズメーターを用いて測定できる。
液晶硬化フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
[6.液晶硬化フィルムの製造方法]
液晶硬化フィルムの製造方法は、所望の液晶硬化フィルムが得られる限り、任意である。一実施形態において、液晶硬化フィルムは、
(i)液晶組成物の層を形成する工程と;
(ii)液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶化合物を配向させる工程と;
(iii)液晶組成物の層を硬化させて、液晶硬化層を得る工程と;
を含む製造方法により、製造できる。
工程(i)では、通常、適切な支持面に、液晶組成物の層を形成する。支持面としては、液晶組成物の層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、液晶硬化層の面状態を良好にする観点から、凹部及び凸部の無い平坦面を用いることが好ましい。また、液晶硬化層の生産性を高める観点から、前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。ここで「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して1万倍以下としうる。
基材としては、通常、樹脂フィルム又はガラス板を用いる。特に、高い温度で配向処理を行う場合、その温度に耐えられる基材を選択するのが好ましい。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、配向規制力の高さ、機械的強度の高さ、及びコストの低さといった観点から、樹脂としては、正の固有複屈折値を有する樹脂が好ましい。更には、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、ノルボルネン系樹脂等の、脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。基材に含まれる樹脂の好適な例を商品名で挙げると、ノルボルネン系樹脂として、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げられる。
支持面としての基材の表面には、液晶組成物の層における逆分散液晶化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていることが好ましい。配向規制力とは、液晶組成物に含まれる逆分散液晶化合物等の液晶化合物を配向させることができる、面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するため処理としては、例えば、配向膜形成処理、光配向処理、ラビング処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられる。
液晶組成物の層を形成する工程(i)において、液晶組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、支持面に液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成する。液晶組成物を塗工する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
液晶組成物の層を形成する工程(i)の後で、液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶化合物を配向させる工程(ii)を行う。配向を行う際には、通常、液晶組成物の層を、所定の温度条件に所定の時間だけ保持する。これにより、液晶組成物の層において、逆分散液晶化合物等の液晶化合物が配向する。この配向処理の条件は、使用する液晶組成物の性質に応じて適切に設定しうる。配向処理の条件の具体例を挙げると、50℃〜160℃の温度条件において、30秒間〜5分間処理する条件としうる。
逆分散液晶化合物を配向させる工程(ii)の後で、液晶組成物の層を硬化させて、液晶硬化層を得る工程(iii)を行う。この工程(iii)では、通常、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の重合により、液晶組成物の層を硬化させる。よって、逆分散液晶化合物は、通常、その分子の配向を維持したままで重合する。硬化によって、硬化前の流動性が失われるので、通常、得られる液晶硬化層では、逆分散液晶化合物の配向状態は、硬化前の配向状態のまま、固定される。
重合方法としては、液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。
なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線照射時の温度は、基材のガラス転移温度以下とすることが好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上としうる。紫外線の照射強度は、好ましくは0.1mW/cm以上、より好ましくは0.5mW/cm以上であり、好ましくは10000mW/cm以下、より好ましくは5000mW/cm以下である。紫外線の照射量は、好ましくは0.1mJ/cm以上、より好ましくは0.5mJ/cm以上であり、好ましくは10000mJ/cm以下、より好ましくは5000mJ/cm以下である。
上述した実施形態に係る製造方法により、液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムを製造できる。この製造方法では、通常、基材と、この基材の支持面上に形成された液晶硬化層とを含む液晶硬化フィルムが得られる。
上述した実施形態に係る液晶硬化フィルムの製造方法は、上述した工程(i)〜工程(iii)に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、支持面から液晶硬化層を剥離する工程を含んでいてもよい。
また、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、液晶硬化層上に、更に任意の層を形成する工程を含んでいてもよい。
さらに、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、基材上に形成された液晶硬化層を、任意のフィルム層に転写する工程を含んでいてもよい。よって、例えば、液晶硬化フィルムの製造方法は、基材上に形成された液晶硬化層と任意のフィルム層とを貼り合わせた後で、必要に応じて基材を剥離して、液晶硬化層及び任意のフィルム層を含む液晶硬化フィルムを得る工程を含んでいてもよい。この際、貼り合わせには、適切な粘着剤又は接着剤を用いてもよい。
また、液晶硬化層の製造方法は、例えば、液晶組成物の層を硬化させる工程の前に、液晶組成物の層を乾燥させる工程を含んでいてもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。
前記のような製造方法によれば、長尺の基材を用いて、長尺の液晶硬化フィルムを得ることができる。このような長尺の液晶硬化フィルムは、連続的な製造が可能であり、生産性に優れる。また、長尺の液晶硬化フィルムは、他のフィルムとの貼り合わせを、ロールトゥロールによって行うことができるので、この点でも、生産性に優れる。通常、長尺の液晶硬化フィルムは、巻き取られてロールの状態で保存及び運搬がなされる。
[7.偏光板]
本発明の一実施形態に係る偏光板は、上述した液晶硬化フィルムと直線偏光子とを含む。この偏光板は、円偏光板又は楕円偏光板として機能できることが好ましい。このような偏光板は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、適宜「有機EL表示装置」ということがある。)に設けることにより、有機EL表示装置の表示面において外光の反射を抑制できる。このとき、液晶硬化層が逆分散液晶化合物を含むので、広い波長範囲において外光の反射抑制が可能である。
直線偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm〜80μmである。
偏光板を円偏光板として機能させたい場合、直線偏光子の偏光吸収軸に対して液晶硬化層の面内遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは45°±5°(即ち、40°〜50°)、より好ましくは45°±4°(即ち、41°〜49°)、特に好ましくは45°±3°(即ち、42°〜48°)である。
偏光板は、直線偏光子及び液晶硬化層に組み合わせて、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、直線偏光子と液晶硬化層とを貼り合わせるための接着層;直線偏光子を保護するための偏光子保護フィルム層;などが挙げられる。
[8.有機EL表示装置]
本発明の一実施形態に係る有機EL表示装置は、上述した偏光板を含む。有機EL表示装置は、通常、表示素子として有機EL素子を含み、この有機EL素子の視認側に、偏光板が設けられる。また、偏光板は、有機EL素子側から、液晶硬化フィルム及び直線偏光子をこの順に含む。そして、このような構成において、前記の偏光板が反射抑制フィルムとして機能できる。
以下、偏光板が円偏光板として機能する場合を例に挙げて、反射抑制の仕組みを説明する。装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが直線偏光子を通過し、次にそれが液晶硬化層を通過することにより、円偏光となる。円偏光は、表示装置内の光を反射する構成要素(有機EL素子の反射電極等)により反射され、再び液晶硬化層を通過することにより、入射した直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光となり、直線偏光子を通過しなくなる。ここで、直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を意味する。これにより、反射抑制の機能が達成される。このような反射抑制の原理は、特開平9−127885号公報を参照してよい。
有機EL素子は、通常、透明電極層、発光層及び電極層をこの順に備え、透明電極層及び電極層から電圧を印加されることにより発光層が光を生じうる。有機発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また、発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。さらに、有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、等電位面形成層、電荷発生層等の機能層を備えていてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[重合性液晶化合物の説明]
以下に説明する実施例及び比較例で使用した重合性液晶化合物A〜E及びX〜Yの構造は、それぞれ、下記の式(A)〜(E)及び(X)〜(Y)に示す通りである。これらのうち、重合性液晶化合物A〜Eは、逆分散液晶化合物である。また、重合性液晶化合物X〜Yは、順波長分散性の複屈折を発現できる順分散液晶化合物である。
Figure 2020045094
Figure 2020045094
[多官能チオール化合物の説明]
以下に説明する実施例及び比較例で使用した多官能チオール化合物1〜5の構造は、それぞれ、下記の式(1)〜(5)に示す通りである。
Figure 2020045094
[評価方法]
(液晶硬化層の逆波長分散性の評価方法)
粘着剤を塗工したスライドガラスに、実施例又は比較例で得た液晶硬化フィルムの液晶硬化層側の面を貼合した。その後、支持基材を剥離した。これにより、液晶硬化層/粘着層/スライドガラスの層構成を有する評価サンプルを得た。この評価サンプルの測定波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)を、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定した。
前記の評価サンプルにおいて、粘着層及びスライドガラスは光学等方性を有するので、測定された面内レターデーションは、液晶硬化層の面内レターデーションを表す。そこで、測定された面内レターデーションの比Re(450)/Re(550)を計算し、この比Re(450)/Re(550)によって液晶硬化層の逆波長分散性を評価した。比Re(450)/Re(550)が小さいほど、液晶硬化層の逆波長分散性が大きいことを表す。
(液晶組成物のポットライフの評価方法)
実施例又は比較例で得た液晶組成物を、常温環境に数時間静置した。この数時間の静置によって液晶組成物が硬化した場合はポットライフが短いと判定し、硬化しない場合はポットライフが長いと判定した。
[実施例及び比較例]
(液晶組成物の調製)
表1に示す種類及び量の重合性液晶化合物と、表1に示す種類及び量の多官能チオール化合物と、フッ素系界面活性剤(DIC社製「F562」)0.30重量部と、光重合開始剤(ADEKA社製「NCI−730」)3.0重量部と、溶媒としてのシクロペンタノン162.3重量部と、溶媒としての1,3−ジオキソラン243.5重量部とを混合して、液晶組成物を得た。得られた液晶組成物の一部を取り出し、上述した方法でポットライフを評価した。
(液晶硬化層の形成)
支持基材として、片面にマスキングフィルムが貼り合わせられた熱可塑性のノルボルネン樹脂からなる遅相軸45°の斜め延伸フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム ZDシリーズ」)を用意した。この支持基材からマスキングフィルムを剥離した。
支持基材のマスキング剥離面に、#7のワイヤーバーを使用して液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成した。
この液晶組成物の層を、110℃で4分間加熱して、層に含まれる重合性液晶化合物を配向させた。
その後、液晶組成物の層に、窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み約2.5μmの液晶硬化層を形成した。これにより、液晶硬化層/支持基材の層構成を有する液晶硬化フィルムを得た。得られた液晶硬化フィルムの液晶硬化層の逆波長分散性を、上述した方法で評価した。
[結果]
実施例及び比較例についての逆波長分散性の評価結果を、下記の表1に示す。また、実施例及び比較例で得た液晶組成物のポットライフは、実施例1−9及び実施例1−10の液晶組成物は短く、他の実施例及び比較例は長かった。
表1において、略称の意味は、下記の通りである。
逆分散A:式(A)で表される逆分散液晶性化合物。
逆分散B:式(B)で表される逆分散液晶性化合物。
逆分散C:式(C)で表される逆分散液晶性化合物。
逆分散D:式(D)で表される逆分散液晶性化合物。
逆分散E:式(E)で表される逆分散液晶性化合物。
順分散X:式(X)で表される順分散液晶性化合物。
順分散Y:式(Y)で表される順分散液晶性化合物。
チオール1:式(1)で表される多官能チオール化合物。
チオール2:式(2)で表される多官能チオール化合物。
チオール3:式(3)で表される多官能チオール化合物。
チオール4:式(4)で表される多官能チオール化合物。
チオール5:式(5)で表される多官能チオール化合物。
Figure 2020045094
[検討]
表1に示すように、多官能チオール化合物を用いない比較例1よりも、多官能チオール化合物を用いた実施例1−1〜1−10の方が、比Re(450)/Re(550)が小さい。よって、多官能チオール化合物を含まない液晶組成物に比べて、多官能チオール化合物を含む液晶組成物は、得られる液晶硬化層の逆波長分散性を大きくできることが確認できる。
また、この効果は、様々な種類の逆分散液晶化合物を用いた実施例2−1、3−1、8−1及び9−1では得られる一方、重合性液晶化合物として順分散液晶化合物を用いた比較例5及び7では得られていない。よって、前記の効果は、逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物に組み合わせて多官能チオール化合物を含む液晶組成物において初めて得られる効果であることが分かる。
さらに、前記の実験の結果、第一級チオール化合物を用いた実施例1−9及び1−10の液晶組成物はポットライフが短い一方で、それ以外の実施例ではポットライフが長かったことが分かった。この結果から、長いポットライフを得るためには、第二級以上のチオール化合物を用いることが望ましいことが分かる。
100 逆分散液晶化合物の分子
110 主鎖骨格
120 側鎖骨格

Claims (7)

  1. 逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物と、1分子当たり2個以上のメルカプト基を有するチオール化合物と、を含む、液晶組成物。
  2. 前記チオール化合物が、第二級以上のチオール化合物である、請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 前記チオール化合物が、下記式(1)で表される、請求項1又は2に記載の液晶組成物。
    Figure 2020045094
    (式(1)において、
    Aは、s価の有機基を表し、
    sは、1〜6の整数を表し、
    tは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、
    は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、
    は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。)
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を備える、液晶硬化フィルム。
  5. 請求項4に記載の液晶硬化フィルムと、直線偏光子とを備える、偏光板。
  6. 請求項5記載の偏光板を備える、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶組成物の層を形成する工程と、
    前記液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物を配向させる工程と、
    前記液晶組成物の層を硬化させる工程と、を含む、液晶硬化フィルムの製造方法。
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