JPWO2020036116A1 - 車両天井材用ポリアミド樹脂組成物、車両天井材用フィルム及び車両天井材用多層フィルム - Google Patents

車両天井材用ポリアミド樹脂組成物、車両天井材用フィルム及び車両天井材用多層フィルム Download PDF

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Abstract

本発明は、高度な成形性を有する車両天井材用ポリアミド樹脂組成物及びそれを用いた車両天井材用フィルムを提供する。本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物は、脂肪族ホモポリアミドの含有量が43質量%よりも多く、かつ、脂肪族共重合ポリアミドの含有量が0質量%以上57質量%以下であるポリアミド成分を有している。本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物は、フィルム状に成形した際の当該フィルムの弾性率が、670MPaよりも大きく1600MPa未満である。

Description

本発明は、高度な成形性を有する車両天井材用ポリアミド樹脂組成物、車両天井材用フィルム及び車両天井材用多層フィルムに関する。
ポリアミド樹脂は、優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性を有することから、数々の機械部品、電気・電子部品、自動車部品などに使用されている。ポリアミド樹脂は、上記特性の他に、良好な成形性が求められ、成形性を向上させるために、種々のポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂組成物が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、所定の構造単位を備えたポリアミド樹脂と可塑剤と変性ポリオレフィンとを有するポリアミド樹脂組成物が記載されている。
国際公開第2013−058027号
しかし、近年、成形品の多様性に伴い、さらなる成形性の向上が望まれている。特に、ポリアミド樹脂組成物を車両天井材に用いる場合には、さらに高度な成形性が求められている。
そこで、本発明は、高度な成形性を有する車両天井材用ポリアミド樹脂組成物、車両天井材用フィルム及び車両天井材用多層フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、脂肪族ホモポリアミドの含有量が43質量%以上であり、かつ、脂肪族共重合ポリアミドの含有量が0質量%以上57質量%未満であるポリアミド成分を有し、フィルム上に形成した際の当該フィルムの弾性率が、670MPaよりも大きく1600MPa未満である車両天井材用ポリアミド樹脂組成物である。
さらに、帯電防止剤を含む車両天井材用ポリアミド樹脂組成物。
帯電防止剤の含有量は、2000〜6000ppmである車両天井材用ポリアミド樹脂組成物。
さらに、アンチブロッキング剤を含む車両天井材用ポリアミド樹脂組成物。
前記アンチブロッキング剤の含有量は、3000〜6000ppmである車両天井材用ポリアミド樹脂組成物。
前記車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を含む車両天井材用フィルム。
前記車両天井材用フィルムを含む車両天井材用多層フィルム。
前記車両天井材用フィルムが少なくとも表層および裏層に配置されている車両天井材用多層フィルム。
中間層にポリオレフィン層を含む車両天井材用多層フィルム。
ポリアミド樹脂を含む表層及び裏層と、
ポリオレフィンを含む中間層と、を含む車両天井材用多層フィルム。
本発明によれば、高度な成形性を有する車両天井材用ポリアミド樹脂組成物、車両天井材用フィルム及び車両天井材用多層フィルムを提供することができる。
深絞り性の評価方法を説明するための模式図である。
以下、本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物及び車両天井材用フィルムについて、詳細に説明する。
<車両天井材用ポリアミド樹脂組成物>
本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物は、自動車や電車等の車両の天井材に用いられるものであって、脂肪族ホモポリアミドの含有量が43質量%以上であり、かつ、脂肪族共重合ポリアミドの含有量が0質量%以上57質量%未満であるポリアミド成分を有するものであり、フィルム上に形成した際の当該フィルムの弾性率が、670MPaよりも大きく1600MPa未満であるものである。
[ポリアミド成分]
以下、ポリアミド成分を構成する各成分について詳細に説明する。
(脂肪族ホモポリアミド)
ポリアミド成分は、脂肪族ホモポリアミドを43質量%以上含有している。
脂肪族ホモポリアミドは、1種類の構成単位からなるポリアミド樹脂である。脂肪族ホモポリアミドは、1種類のラクタム及び当該ラクタムの加水分解物であるアミノカルボン酸の少なくとも一方からなるものであってもよく、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸との組合せからなるものであってもよい。
ポリアミド成分中に脂肪族ホモポリアミドが所定の含有量以上含まれることにより、得られる車両天井材用フィルムの弾性率が成形に適度なものとなり、得られる車両天井材用フィルムは特に優れた成形性を示す。
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。これらの中でも重合生産の観点から、ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム及びドデカンラクタムからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
また、アミノカルボン酸としては6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸が挙げられる。これらの中でも重合生産の観点から、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−/1,4−シクロヘキシルジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3−/1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチレンアミン等の脂環式ジアミン;等が挙げられる。これらの中でも重合生産性の観点から、脂肪族ジアミンが好ましく、ヘキサメチレンジアミンがより好ましい。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;等が挙げられる。これらの中でも脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、セバシン酸及びドデカンジオン酸が更に好ましい。
脂肪族ホモポリアミドとして具体的には、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリエナントラクタム(ポリアミド7)、ポリウンデカンラクタム(ポリアミド11)、ポリラウリルラクタム(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリアミド122等が挙げられる。脂肪族ホモポリアミドは1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
中でも脂肪族ホモポリアミドは、重合生産性の観点から、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610及びポリアミド612からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610及びポリアミド612ら選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリアミド6が更に好ましい。
脂肪族ホモポリアミドの相対粘度は、JIS K−6920に準拠し、ポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定される。脂肪族ホモポリアミド樹脂の相対粘度は、2.7以上であることが好ましく、2.7以上5.0以下であることがより好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、2.7以上4.5未満がさらに好ましい。2.7未満では、ポリアミド組成物の溶融粘度が低くなり、押出成形でも特に空冷インフレーション成形時のバブル形状保持が困難となる。また5.0超過では、ポリアミド組成物の溶融粘度が非常に高くなり、空冷インフレーション成形時、溶融樹脂の均一な肉厚が得られなくなる可能性がある。
脂肪族ホモポリアミドの末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ、中和滴定で求められる。脂肪族ホモポリアミドの末端アミノ基濃度は、30μmol/g以上であることが好ましく、30μmol/g以上50μmol/g以下がより好ましい。
本発明において、脂肪族ホモポリアミドのポリアミド成分中における含有量は、43質量%以上であり、43質量%以上100質量%以下が好ましく、63質量%以上100質量%以下がより好ましい。
ポリアミド成分は、2種以上の脂肪族ホモポリアミドを含んでもよい。2種以上の脂肪族ホモポリアミドは互いに、構成単位が異なるものであってもよいし、分子量(例えば、数平均分子量)が異なるものであってもよい。ポリアミド成分が2種以上の脂肪族ホモポリアミドを含む場合、既存重合製品を使用出来、混練工程での生産性調整や成形加工性に応じた材料設計が可能となる。
(脂肪族共重合ポリアミド)
ポリアミド成分中には、脂肪族共重合ポリアミドが含まれていてもよい。
脂肪族共重合ポリアミドは、2種以上の構成単位からなるポリアミド樹脂である。脂肪族共重合ポリアミドは、ジアミンとジカルボン酸の組合せ、およびラクタム又はアミノカルボン酸からなる群から選択される2種以上のモノマーの共重合体である。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
ポリアミド成分中に脂肪族共重合ポリアミドが含まれることにより、得られる車両天井材用フィルムの成形性をさらに向上させることができる。
ジアミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸、ラクタムとしては、上記脂肪族ホモポリアミドの欄で例示したものと同様のものを例示することができる。
脂肪族共重合ポリアミドとして具体的には、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ポリアミド6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアゼライン酸共重合体(ポリアミド6/69)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/611)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノドデカン酸共重合体(ポリアミド6/612)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/11)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸共重合体(ポリアミド6/66/612)等が挙げられる。脂肪族共重合ポリアミドは1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
脂肪族共重合ポリアミドの相対粘度は特に制限されないが、本発明の効果を向上させる観点から、JIS K−6920に準拠し、ポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定した相対粘度が1.8以上5.0以下であることが好ましい。
脂肪族共重合ポリアミドの末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ、中和滴定で求められる。脂肪族共重合ポリアミドの末端アミノ基濃度は、30μmol/g以上であることが好ましく、30μmol/g以上50μmol/g以下がより好ましい。
ポリアミド成分が脂肪族共重合ポリアミドを含む場合、脂肪族共重合ポリアミドのポリアミド成分中における含有量は、57質量%以下であり、0質量%以上37質量%以下であるのが好ましい。
ポリアミド成分は、2種以上の脂肪族共重合ポリアミドを含んでもよい。2種以上の脂肪族共重合ポリアミドは互いに、構成単位が異なるものであってもよいし、分子量(例えば、数平均分子量)が異なるものであってもよい。ポリアミド成分が2種以上の脂肪族共重合ポリアミドを含む場合、既存重合製品を使用出来、混練工程での生産性調整や成形加工性に応じた材料設計が可能となる。
脂肪族ホモポリアミド及び脂肪族共重合ポリアミドの製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。
上記ポリアミド成分は、前記ポリアミド成分の原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合する事により製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、フィルム製膜時の溶融安定性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。
上記アミン類としてはモノアミン、ジアミン、ポリアミンなどが挙げられる。また、アミン類の他に、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸等のカルボン酸類を添加しても良い。これら、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加しても良い。また、下記例示のアミン類、カルボン酸類は、1種又は2種以上を用いることができる。
添加するモノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシレンアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;ベンジルアミン、β−フエニルメチルアミン等の芳香族モノアミン;N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジヘキシルアミン、N,N−ジオクチルアミン等の対称第二アミン;N−メチル−N−エチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、N−メチル−N−ドデシルアミン、N−メチル−N−オクタデシルアミン、N−エチル−N−ヘキサデシルアミン、N−エチル−N−オクタデシルアミン、N−プロピル−N−ヘキサデシルアミン、N−プロピル−N−ベンジルアミン等の混成第二アミンなどが挙げられる。
添加するジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2−/3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−/1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンなどが挙げられる。
添加するポリアミンは、一級アミノ基(−NH)及び/又は二級アミノ基(−NH−)を複数有する化合物であればよく、例えば、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどが挙げられる。活性水素を備えたアミノ基は、ポリアミンの反応点である。
ポリアルキレンイミンは、エチレンイミンやプロピレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、或いは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解又は完全加水分解させる方法等で製造される。ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、或いは、エチレンジアミンと多官能化合物との反応物などが挙げられる。ポリビニルアミンは、例えば、N−ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N−ビニルホルムアミド)とした後、該重合体を塩酸等の酸で部分加水分解又は完全加水分解することにより得られる。ポリアリルアミンは、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリアルキレンイミンが好ましい。
ポリアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2−ブチレンイミン、2,3−ブチレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン等の炭素数2〜8アルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体や共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンイミンがより好ましい。ポリアルキレンイミンは、アルキレンイミンを原料として、これを開環重合させて得られる1級アミン、2級アミン及び3級アミンを含む分岐型ポリアルキレンイミン、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリアルキレンイミン、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。さらに、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等を含むものであってもよい。ポリアルキレンイミンは、通常、含まれる窒素原子上の活性水素原子の反応性に由来して、第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有する。
ポリアルキレンイミン中の窒素原子数は、特に制限はないが、4〜3,000であることが好ましく、8〜1,500であることがより好ましく、11〜500であることがさらに好ましい。また、ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、100〜20,000であることが好ましく、200〜10,000であることがより好ましく、500〜8,000であることがさらに好ましい。
一方、添加するカルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイン酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカ二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカ二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセン二酸、ドコサン二酸、ジグリコール酸、2,2,4−/2,4,4−トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、m−/p−キシリレンジカルボン酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
[帯電防止剤]
本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物は、得られるフィルムの特性を損なわない範囲で、帯電防止剤を含んでいてもよい。
帯電防止剤は、フィルム状に成形した際に、フィルムが帯電するのを防止する成分である。
帯電防止剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル等の脂肪族アルコールエステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、XX−ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン[アルキルジエタノールアミン]、y−2−ヒドロキシエチル−y−2−ヒドロキシアルキルアミン[ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン]、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の脂肪族アルコール類、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル等の高級脂肪酸エステル類、アルキルジエタノールアマイドが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルイミダソリウムベタイン等が挙げられる。
これらは、単独又はこれらを組み合わせて使用することができる。
本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物が帯電防止剤を含む場合、その含有量は、2000〜6000ppmであるのが好ましく、2600〜4600ppmであるのがより好ましい。これにより、得られるフィルムの特性を損なわずに、得られるフィルムの帯電を効果的に防止することができる。
[アンチブロッキング剤]
アンチブロッキング剤とは、フィルムにした際に表面に凹凸性を付与することで、フィルム同士の密着を抑制するために添加される物質である。アンチブロッキング剤としては、表面突起が表面に形成され、滑り性に優れたフィルムが得られさえすれば、その形状は特に制限されず、粉末状、粒子状、フレーク状、板状、繊維状、針状、クロス状、マット状、その他如何なる形状のものであってもよいが、粒子状、板状のものが好ましい。アンチブロッキング剤の平均粒径は、0.5〜10μmであることが好ましい。10μm以上の粒径を有する粒子を実質的に含まないことが望ましい。10μm以上の粒径を有する粒子を多量に含有すると、フッシュアイゲルが発生しフィルム外観を損ねる場合がある。また、滑り性改良効果は発現するとしても、フィルムの透明性が悪くなる場合がある。一方、平均粒径が0.5μm未満であると、二次凝集し易くなり、逆にフッシュアイゲルを発生させる場合がある。また、凝集を防止できたとしても、フィルム表面の凹凸効果を得ることが難しく、滑り性が改良されない場合がある。よって、アンチブロッキング剤の粒径が本発明に適合しない場合、予め粉砕処理や分級を行うことが望ましい。
これらのアンチブロッキング剤の具体例として、ゲルタイプシリカ、沈降タイプシリカ、乾燥シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ゼオライト、マイカ、ガラスフレーク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、タルク、カオリン、ゼオライト、シリカが易分散性の点から好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
特に、アンチブロッキング剤としてシリカであることが、得られるフィルムは透明性、滑り性に優れることから、より好ましい。シリカは、SiO・nHOで表される二酸化ケイ素を主成分とするものであり、その製造方法により大別して、湿式法シリカと乾式法シリカの2つに分けられるが、いずれも用いることができる。特にシリカの平均粒径は、0.1〜20μmであることが好ましく、0.3〜15μmであることがより好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましい。また、一次粒子は、いわゆるサブミクロン・オーダーで、これらの一次粒子が凝集して二次粒子あるいは三次粒子を形成したソフトシリカ(ゲルタイプシリカ、沈降タイプシリカ、乾燥シリカ)と、一次粒子の大きさが既に1μm以上のハードシリカ(コロイダルシリカ)があるが、フィルムの延伸を実施する場合は、ソフトシリカであることがさらに好ましい。
表面処理をしていないシリカを使用することも可能であるが、表面処理シリカを使用することも可能である。シラン系やチタニウム系の表面処理剤で処理したアンチブロッキング剤を使用した場合は、分散性が一層良好であり、また、得られるフィルムの透明性も一層改良される。表面処理の方法については、特に制限されず、例えば、特開昭63−251460号公報に記載の方法で、微細シリカに加熱攪拌下水で希釈したシランカップリング剤を加えて処理する方法を適用することが出来る。
本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物がアンチブロッキング剤を含む場合、その含有量は、3000〜8000ppmであるのが好ましく、3600〜6000ppmであるのがより好ましい。これにより、得られるフィルムの特性を損なわずに、フィルム同士の密着や車両天井材成形時の金型との密着を効果的に抑制することができる。
また、本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物には、得られるフィルムの特性を損なわない範囲内で、通常配合される各種の添加剤及び改質剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、フィラー、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型剤、可塑剤、架橋剤、発泡剤、着色剤(顔料、染料等)、耐屈曲疲労性改良材等を添加することができる。
<車両天井材用フィルム及び車両天井材用多層フィルム>
本発明に係る車両天井材用フィルム(以下、単に「フィルム」と称することがある。)は、上記の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を含むものである。
また、本発明に係る車両天井材用多層フィルム(以下、単に「多層フィルム」と称することがある。)は、複数の層で構成されたフィルムであって、車両天井材用フィルムで構成された層を少なくとも1層含むものである。
フィルムは、公知のフィルムの製造方法により製膜することにより得ることができる。例えば、原料ポリアミド樹脂組成物を押出機で溶融混練し、T−ダイ又はコートハンガーダイによりフラットフィルム状に押出し、キャスティングロール面上にキャスティング、冷却してフィルムを製造するキャスティング法、リング状ダイにより筒状に溶融押出したチューブ状物を空冷又は水冷してフィルムを製造するチューブラー法等がある。製造されたフィルムは実質的に無配向の未延伸の状態でもよく、延伸された状態でも構わない。
未延伸フィルムを延伸する場合には、従来から知られている工業的方法を利用することができる。例えば、キャスティング法によって製造された未延伸シートをテンター式同時二軸延伸機で縦横同時に延伸する同時二軸延伸法、Tダイより溶融押出しした未延伸シートをロール式延伸機で縦方向に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する逐次二軸延伸法、環状ダイより成形したチューブ状シートを気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法などが挙げられる。延伸工程はフィルムの製造に引続き、連続して実施してもよいし、製造されたフィルムを一旦巻き取り、別工程として延伸を実施してもよい。
フィルムの弾性率は、670MPaよりも大きく1600MPa未満であるが、700MPaよりも大きく1100MPa未満であるのが好ましい。弾性率が小さすぎると、成形時にフィルムに裂けが生じる場合がある。これに対して弾性率が大きすぎると、フィルムの厚み等によっては十分な成形性が得られない場合がある。
フィルムの厚みは、用途により適宜決定すればよく、特に制限されない。例えば、フィルムの厚みが厚ければフィルム強度は向上するが、透明性や耐屈曲疲労性は低下するので、これらを勘案してフィルムの厚みを決定することができる。単層フィルムの場合、フィルムの厚みは5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましく、15〜100μmであることがさらに好ましい。
また、本発明の車両天井材用フィルムは、JIS K7127に準拠しストログラフ測定器を用いて測定するMDとTDの平均の引張伸びが300〜450%であることが好ましく、310〜390%であることがより好ましい。車両天井材用フィルムの上記引張伸びが上記範囲であることにより、フィルムはより高い成形性を示すものとなる。
また、本発明の車両天井材用フィルムは、特に制限はなく、単層フィルムでもよく、多層フィルムでもかまわない。
車両天井材用多層フィルムの層構成は、2層以上であればよく、たとえば、3層〜9層であるのが好ましく、成形性、軽量化、経済性の観点から7層以下であるのがより好ましく、5層以下であるのがさらに好ましい。
車両天井材用多層フィルムの中間層は、成形性および経済性の観点からポリオレフィンを含むことがこのましい。また、中間層に用いられるポリオレフィンは、接着性の観点から変性ポリオレフィンがより好ましい。さらにコストと接着性の観点からポリオレフィンに変性されたポリオレフィンを加えるのが好ましい。
用いられる変性ポリオレフィンは、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物で変性されていても、グリシジルやアクリルで変性されていてもかまわない。また、ポリオレフィンもポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)のいずれを用いてもかまわないが、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物で変性されたPPおよび/またはPEを用いることがコストの観点からも好ましい。
車両天井材用多層フィルムは、通常天井材に成形する際、成形性の観点から不織布を必要とするが、表層にポリアミド層、中間層にポリオレフィン層、裏層にポリアミド層を含む構成にすると不織布がなくても成形可能になるため好ましい。
車両天井材用フィルム、車両天井材用多層フィルムは、顔料や染料を含有させ着色してもよい。例えば、黒色に着色したフィルムを用いると、車内灯をつけても、天井の内部構造が透けるのを削減できる。また、銀色や白に着色すると遮熱性を向上させる。
車両天井材用フィルムや車両天井材用多層フィルムの表層や裏層を、接着性の向上のため、コロナ処理やプラズマ処理してもよい。
本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物、車両天井材用フィルム及び車両天井材用多層フィルムは、鉄道車両、自動車車両に好適に用いることができ、特に自動車車両により好適に用いることができる。
以上、本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物、車両天井材用フィルム及び車両天井材用多層フィルムについて、好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<使用するポリアミド成分>
(脂肪族ホモポリアミド)
ポリアミド6A:PA6A、宇部興産社製、1030B
ポリアミド6B:PA6B、宇部興産社製、1022B
(脂肪族共重合ポリアミド)
ポリアミド6/66:PA6/66、宇部興産社製、5033B
ポリアミド6/12:PA6/12、宇部興産社製、7034B
ポリアミド6/66/12:PA6/66/12、宇部興産社製、6434B
<使用する帯電防止剤及びアンチブロッキング剤>
帯電防止剤:アニオン性界面活性剤である淡黄白色粉末のアルキルスルホン酸塩(アルカンスルホン酸ナトリウム)
アンチブロッキング剤:平均粒径:2.7〜4.0μmの表面処理をしていないゲルタイプシリカ
<車両天井材用フィルムの実施例>
(実施例1)
表1に示す成分を配合した車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を調製し、単軸のTダイフィルム成形機にて、270℃、50rpmにて押し出すことで、50μm厚みの車両天井材用フィルムを得た。なお、単位が「ppm」と記載されている成分の配合量は、単位が「質量部」と記載されている成分の合計100質量部に対して添加した量である(以下、同様)。
(実施例2〜5、比較例1〜5)
各成分の配合比を表1、2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、車両天井材用フィルムを得た。
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られたフィルムについて、以下の評価を行い、その結果を表1、2に示した。
<深絞り成形>
実施例1〜5及び比較例1〜5の車両天井材用フィルムについて、図1に示すように厚み50μmのフィルム2を深さ40mm、直径56mmの円形状の深絞り成形金型3にフィルム2を載せ、フィルム加熱電気ヒーター1(設定温度:130℃)で5秒加熱した後、金型の下の吸引孔4から真空ポンプ5で吸引し、深絞り成形を行った。
(深絞り性)
得られた深絞り成形品の淵から中心部までの長さを測定し、下記式を用いて深絞り率を求めた。
深絞り率(%)=〔成形後フィルムの淵から中心部までの長さ−金型の半径28mm〕/金型高さ40mm×100
(深絞り成形後の外観)
深絞り成形時、図1に示した金型3の吸引孔4にフィルムが入り込み、金型3からフィルム2を剥がす時に裂けの有無を調べた。なお、無い場合は〇、やや有する場合は△、有る場合は×と評価した。
(離型性)
成形用金型からの剥離性を以下の基準で評価した。
〇:金型から剥離の際に金型と成形品との密着が全くなかった。
△:金型から剥離の際に金型と成形品との密着がややあった。
×:金型から剥離の際に金型と成形品との密着が顕著であった。
<表面粗さ>
株式会社菱化システムの走査型白色干渉顕微鏡(商品名:マイクロマップ)を用いて、フィルムの表面粗さを求めた。
<フィルムの物性>
フィルムの引張弾性率はASTM−D882に準拠して測定を実施した。
Figure 2020036116

Figure 2020036116
表1、2からも解るように、本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を用いた車両天井材用フィルムでは、成形性に優れていた。これに対して、比較例の車両天井材用フィルムは、十分な結果が得られなかった。
<車両天井材用多層フィルムの実施例>
(実施例6)
表3に示す成分を配合した車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を調製した。
調製した車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を内層及び外層の構成材料(内層材料及び外層材料)として用い、ポリエチレン(メルトフローレート(MFR):1.8)とマレイン酸変性ポリエチレン(MFR:2.5)の混合物(混合比70質量%:30質量%)を中間層の構成材料(中間層材料)として用い、内層材料及び外層材料をそれぞれ220〜250℃、30〜50rpmにて押し出し、中間層材料を220〜240℃、15〜25rpmにて押し出して、押出ラミネートすることにより、三層構成(内層/中間層/外層)の車両天井材用多層フィルムを得た。内層及び外層の厚みを7μm、中間層の厚みを11μmとした。なお、単位が「ppm」と記載されている成分の配合量は、単位が「質量部」と記載されている成分の合計100質量部に対して添加した量である(以下、同様)。
(実施例7〜9)
各成分の配合比を表3に示すように変更したこと以外は、実施例6と同様の方法で、車両天井材用フィルムを得た。
(比較例6)
各成分の配合比を表4に示すように変更したこと以外は、実施例6と同様の方法で、車両天井材用フィルムを得た。
(比較例7)
表4に示す成分を配合した車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を調製した。
調製した車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を内層材料及び外層材料として用い、ポリエチレン(MFR:1.8)とマレイン酸変性ポリエチレン(MFR:2.5)の混合物(混合比70質量%:30質量%)を中間層材料として用い、実施例6と同様の方法により、三層構成(内層/中間層/外層)の車両天井材用多層フィルムを得た。内層及び外層の厚みを9.5μm、中間層の厚みを11μmとした。
(比較例8)
表4に示す成分を配合した車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を調製した。
調製した車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を中間層材料として用い、ポリエチレン(MFR:1.8)とマレイン酸変性ポリエチレン(MFR:2.5)の混合物(混合比70質量%:30質量%)を内層材料及び外層材料として用い、実施例6と同様の方法により、三層構成(内層/中間層/外層)の車両天井材用多層フィルムを得た。内層及び外層の厚みを9.5μm、中間層の厚みを11μmとした。
実施例6〜9及び比較例6〜8で得られた多層フィルムについて、以下の評価を行い、その結果を表3、4に示した。
<フィルムの引張伸び>
フィルムの引張伸び(MD)及び(TD)は、JIS K7127に準拠して、ストログラフ測定器を用いて測定を実施した。また、MDとTDの平均値(average)を求めた。
Figure 2020036116
Figure 2020036116
表3、4からも解るように、本発明の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を用いた車両天井材用多層フィルムでは、引張伸びに優れており、成形性に優れていた。これに対して、比較例の車両天井材用多層フィルムは、十分な結果が得られなかった。
1 フィルム加熱電気ヒーター
2 車両天井材用フィルム
3 深絞り金型
4 吸引孔
5 吸引ポンプ

Claims (10)

  1. 脂肪族ホモポリアミドの含有量が43質量%よりも多く、かつ、
    脂肪族共重合ポリアミドの含有量が0質量%以上57質量%以下であるポリアミド成分を有し、
    フィルム状に成形した際の当該フィルムの弾性率が、670MPaよりも大きく1600MPa未満である車両天井材用ポリアミド樹脂組成物。
  2. さらに、帯電防止剤を含む請求項1に記載の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記帯電防止剤の含有量は、2000〜6000ppmである請求項2に記載の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物。
  4. さらに、アンチブロッキング剤を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記アンチブロッキング剤の含有量は、3000〜6000ppmである請求項4に記載の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両天井材用ポリアミド樹脂組成物を含む車両天井材用フィルム。
  7. 請求項6に記載の車両天井材用フィルムを含む車両天井材用多層フィルム。
  8. 前記車両天井材用フィルムが少なくとも表層および裏層に配置されている請求項7に記載の車両天井材用多層フィルム。
  9. 中間層にポリオレフィン層を含む請求項7または8に記載の車両天井材用多層フィルム。
  10. ポリアミド樹脂を含む表層及び裏層と、
    ポリオレフィンを含む中間層と、を含む車両天井材用多層フィルム。
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