JPWO2019234846A1 - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

制御器(30a)は、出力電圧指令値(Vout*)を元に設定される制御目標電圧に従って出力電圧(Vout)を制御するように、降圧回路(10)の第1のスイッチング素子(Tr1)及び昇圧回路(20)の第2のスイッチング素子(Tr2)のオンオフを制御する。降圧モードでは、制御目標電圧に従って、第2のスイッチング素子(Tr2)のオンオフを固定して入力電圧(Vin)を降圧した出力電圧(Vout)が発生される。昇圧モードでは、第1のスイッチング素子(Tr1)のオンオフを固定して、入力電圧(Vin)を昇圧した出力電圧(Vout)が発生される。制御目標電圧は、昇圧モード及び降圧モードでの制御目標電圧を、入力電圧(Vin)を挟んだ境界電圧範囲を避けて設定する。

Description

本発明は電力変換装置に関し、より特定的には、直流電圧変換(DC/DC変換)を実行する電力変換装置に関する。
スイッチング素子をオンオフ動作することによって、リアクトルの磁気エネルギの蓄積量及び放出量の比を制御することにより、入力された直流電圧を昇降圧した任意の出力電圧が得られる電力変換装置が公知である。
例えば、特開2004−120940号公報(特許文献1)には、昇降圧可能なDC−DCコンバータとして、いわゆる、Hブリッジ型スイッチングレギュレータの回路構成が記載される。具体的には、降圧回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子と、昇圧回路を構成する第3及び第4のスイッチング素子と、第1及び第2のスイッチング素子の接続点と第3及び第4のスイッチング素子の接続点との間に接続されたリアクトルとを備える回路構成が開示される。
特許文献1のDC−DCコンバータは、入力電圧を昇圧して出力する場合には、第1のスイッチング素子を常時オンとする一方で、第3と第4のスイッチング素子を周期的にオンオフさせることによって、入力電圧よりも高い出力電圧を得る。これに対して、当該DC−DCコンバータは、入力電圧を降圧して出力する場合には、第1から第4のスイッチング素子を周期的にオンオフさせる昇降圧動作によって、入力電圧よりも低い出力電圧を得る。
特開2004−120940号公報
特許文献1のDC−DCコンバータは、昇圧動作及び昇降圧動作を切替えることにより、入力電圧がある範囲で変動(例えば、リチウムイオン電池での3.0[V]〜4.2[V]の変動)しても、略一定の出力電圧(例えば、3.3[V])を安定的に得ることが可能である。
しかしながら、入力電圧を降圧する場合には昇降圧動作する必要があるため、降圧回路及び昇圧回路の両方でスイッチング損失が発生するため、効率が低下することが懸念される。
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、入力電圧を昇降圧する電力変換装置において、制御動作を不安定化させることなく、降圧時及び昇圧時の両方において電力変換(DC/DC変換)を高効率化することである。
本発明のある局面では、入力電圧を昇降圧した出力電圧を出力する電力変換装置であって、第1のスイッチング素子を含む降圧回路と、第2のスイッチング素子を含む昇圧回路と、制御器とを備える。制御器は、電力変換装置の出力電圧指令値に従って出力電圧を制御するために第1及び第2のスイッチング素子のオンオフを制御する第1及び第2の制御信号を生成する。制御器は、動作モード選択部と、デューティ制御部とを含む。動作モード選択部は、出力電圧指令値の入力を受けて、電力変換装置の動作モードの選択結果及び出力電圧の制御目標電圧を出力する。デューティ制御部は、動作モードの選択結果及び制御目標電圧に従って第1及び第2スイッチング素子の各々のオンオフのデューティ比を制御する。動作モードは、第1及び第2のモードを含む。第1のモードでは、第2のスイッチング素子のオンオフを固定する一方で第1のスイッチング素子のデューティ比によって、出力電圧は入力電圧よりも低い制御目標電圧に制御される。第2のモードでは、第1のスイッチング素子のオンオフを固定する一方で第2のスイッチング素子のデューティ比によって、出力電圧は入力電圧よりも高い制御目標電圧に制御される。動作モード選択部は、入力電圧よりも低い第1の閾値と、入力電圧よりも高い第2の閾値との間の境界電圧範囲を避けて出力電圧の制御目標電圧を設定する。
本発明によれば、第1のモードでは昇圧回路のスイッチング素子のオンオフを固定して入力電圧を降圧した出力電圧を発生するとともに、第2のモードでは降圧回路のスイッチング素子のオンオフを固定して入力電圧を昇圧した出力電圧を発生することが可能であり、かつ、第1及び第2のモードにおける出力電圧の制御目標電圧を入力電圧を挟んだ境界電圧範囲を避けて設定することが可能であるので、制御動作を不安定化させることなく、降圧時及び昇圧時の両方において電力変換を高効率化することができる。
実施の形態1に係る電力変換装置の構成を説明する回路図である。 図1に示された制御器の機能を説明するブロック図である。 図2に示された動作モード選択部の動作を説明するためのフローチャートである。 実施の形態1の変形例1に係る動作モード選択部の動作を説明するための概念図である。 実施の形態1の変形例2に係る制御器の機能を説明するブロック図である。 図5に示されたデューティ演算部の機能を説明するブロック図である。 実施の形態2に係る電力変換装置のモード遷移図である。 実施の形態2に係る電力変換装置における出力電圧とモードとの関係を説明する概念図である。 実施の形態2に係る電力変換装置の構成を説明する回路図である。 図9に示された制御器の機能を説明するブロック図である。 図10に示された動作モード選択部の動作を説明するためのフローチャートである。 実施の形態2の変形例に係る制御器の機能を説明するブロック図である。 実施の形態3に係る電力変換装置の構成を説明する回路図である。 図13に示された制御器の機能を説明するブロック図である。 図14に示されたデューティ演算部の機能を説明するブロック図である。 図15中に示されたフィードフォワード項の設定例を説明する図表である。 実施の形態2に係る電力変換装置における出力電圧指令値の上昇に伴う動作モード切換時のシミュレーション波形図である。 実施の形態3に係る電力変換装置における出力電圧指令値の上昇に伴う動作モード切換時のシミュレーション波形図である。 実施の形態2に係る電力変換装置における出力電圧指令値の低下に伴う動作モード切換時のシミュレーション波形図である。 実施の形態3に係る電力変換装置における出力電圧指令値の低下に伴う動作モード切換時のシミュレーション波形図である。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力変換装置の構成を説明する回路図である。
図1を参照して、実施の形態1に係る電力変換装置5aは、降圧回路10と、昇圧回路20と、制御器30aと、リアクトルL1と、平滑コンデンサC1とを備える。電力変換装置5aは、直流電源40と接続される入力端子N11,N12と、負荷41と接続される出力端子N21,N22とをさらに備える。
入力端子N11は直流電源40の高電位側と接続され、入力端子N12は直流電源40の低電位側と接続される。出力端子N21は負荷41の高電位側と接続され、出力端子N22は、負荷41の低電位側と接続される。低電位側の入力端子N12及び出力端子N22は、共通の電力線(例えば、接地配線)GLによって接続される。電力線GLは、平滑コンデンサC1の低電位側とも接続される。
以下では、直流電源40から入力される入力端子N11及びN12間の直流電圧を、入力電圧Vinと称する。同様に、負荷41へ出力される出力端子N21及びN22間の直流電圧を、出力電圧Voutとも称する。入力電圧Vin及び出力電圧Voutは、いずれも直流電圧である。図示を省略しているが、入力端子N11及びN12には、入力電圧Vinを検出するための電圧センサが配置される。同様に、出力端子N21及びN22には、出力電圧Voutを検出するための電圧センサが配置される。入力電圧Vin及び出力電圧Voutの検出値は、制御器30aへ入力される。
制御器30には、出力電圧指令値Vout*がさらに入力される。電力変換装置5aが降圧回路10及び昇圧回路20の両方を有するため、出力電圧指令値Vout*は、入力電圧Vinよりも高電圧側及び低電圧側のいずれにも設定することができる。制御器30は、出力電圧指令値Vout*に従って出力電圧Voutが安定的に得られるように、降圧回路10及び昇圧回路20の動作を制御する。
降圧回路10は、第1のスイッチング素子Tr1及び第1の半導体素子Di1を有する。第1のスイッチング素子Tr1は、リアクトルL1の一方端が接続されたノードN1と、入力端子N11との間に接続される。第1の半導体素子Di1は、ノードN1と入力端子N12との間に接続される。
第1のスイッチング素子Tr1は、オフ時に、直流電源40からの入力電流を遮断するものである。第1の半導体素子Di1は、第1のスイッチング素子Tr1が入力電流を遮断したときに、リアクトルL1を流れるリアクトル電流ILの還流経路を確保するものであり、かつ、ノードN1から電力線GL(入力端子N12及び出力端子N22)へ電流が流れないように配置される。
リアクトルL1は、降圧回路10及び昇圧回路20の間、具体的には、ノードN1及びN2の間に接続される。平滑コンデンサC1は、出力端子N21及びN22の間に接続されて、電力変換装置5aによる出力電圧Voutの交流成分を抑制する。
昇圧回路20は、第2のスイッチング素子Tr2及び第2の半導体素子Di2を有する。第2のスイッチング素子Tr2は、リアクトルL1の他方端と接続されたノードN2と、電力線GLの間に接続される。第2の半導体素子Di2は、ノードN2と、出力端子N21及び平滑コンデンサC1の高電位側)との間に接続される。
第2のスイッチング素子Tr2は、オン時に、ノードN1及び電力線GLを接続することによって、リアクトルL1に磁気エネルギを蓄積するための電流経路を形成するものである。第2の半導体素子Di2は、第1のスイッチング素子Tr2がオフしたときに、降圧回路10及びリアクトルL1から出力端子N21への電流経路を確保するものであり、かつ、出力端子N21(平滑コンデンサC1)から、リアクトルL1及び降圧回路10への電流の逆流を防止するために配置される。
第1及び第2のスイッチング素子Tr1,Tr2は、図1に例示されるように、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)によって構成することができるが、制御信号に応じてオンオフ可能であれば任意の素子を適用することができる。例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)によっても、第1及び第2のスイッチング素子Tr1,Tr2を構成することが可能である。
第1及び第2の半導体素子Di1及びDi2は、図1に例示された接続方向を有するダイオードによって構成することができる。尚、第1の半導体素子Di1は、ダイオードではなく、第1のスイッチング素子Tr1と相補的にオンオフされるスイッチング素子(IGBT又はMOSFET等)で構成することが可能である。同様に、第2の半導体素子Di2についても、ダイオードではなく、第2のスイッチング素子Tr2と相補的にオンオフされるスイッチング素子(IGBT又はMOSFET等)で構成することが可能である。スイッチング素子によって半導体素子Di1,Di2を構成すると、ダイオードと比較して導通損失を低減できる。特に、第2の半導体素子Di2をスイッチング素子で構成すると、負荷41から直流電源40への回生のための電流経路を形成することが可能となる。
又、第1及び第2のスイッチング素子Tr1,Tr2及び第1及び第2の半導体素子Di1,Di2については、任意の半導体材料によって作成することが可能であり、Si(シリコン)の他、SiC(シリコンカーバイド)又はGaN(ガリウムナイトライド)等を適用することも可能である。
尚、降圧回路10において、第1のスイッチング素子Tr1は、直流電源40からの入力電流を遮断可能であればよいので、入力端子N12と半導体素子Di1との間に接続することも可能である。この場合には、第1の半導体素子Di1は、入力端子N11及びノードN1と、第1のスイッチング素子Tr1及び出力端子N22との間に接続されるものと言い換えられる。
同様に、昇圧回路20において、第2の半導体素子Di2は、降圧回路10又はリアクトルL1から平滑コンデンサC1への電流経路を形成する一方で、平滑コンデンサC1降圧回路10又はリアクトルL1への電流を阻止するものであればよい。従って、第2の半導体素子Di2は、電力線GL側に、出力端子N22及び第2のスイッチング素子Tr2の間に接続されてもよい。この場合、第2の半導体素子Di2がダイオードであれば、出力端子N22から入力端子N12へ向かう方向を順方向として接続される。又、第2のスイッチング素子Tr2は、ノードN2及び出力端子N21(平滑コンデンサC1の正極側)と、電力線GLとの間に接続される。
制御器30aは、降圧回路10の第1のスイッチング素子Tr1のオンオフを制御する制御信号S1と、昇圧回路20の第2のスイッチング素子Tr2のオンオフを制御する制御信号S2とを出力する。尚、以下の説明では、各スイッチング素子Tr1,Tr2について、オンオフの状態が明示されていないものについては、オフ状態であるものとする。
制御器30aは、例えば、オペアンプ等を含むアナログ回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等による専用ハードウェアで構成することが可能である。又、制御器30aは、メモリ(図示せず)に搭載されたプログラムを、プロセッサ(図示せず)で実行することによって、以下に説明する制御機能を実現するように動作することも可能である。メモリは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)及び、ROM(Read Only Memory)等によって構成することが可能であり、プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及び、MCU(Micro Control Unit)等によって構成することが可能である。
図2は、制御器30aの機能を説明するブロック図である。図2を含む各ブロック図に記載される各ブロックの機能は、専用電子回路によるハードウェア、及び、プログラム処理によるソフトウェアのいずれで実現することも可能である。或いは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって、ブロックの機能が実現されてもよい。
図2を参照して、制御器30aは、動作モード選択部31と、デューティ演算部32と、デューティ選択部33と、PWM(Pulse Width Modulation)信号生成部34とを含む。
動作モード選択部31には、出力電圧指令値Vout*と、閾値V1,V2とが入力される。出力電圧指令値Vout*及び閾値V1,V2の比較に基づき、第1及び第2のスイッチング素子Tr1,Tr2のデューティ制御のための制御目標電圧Vc*及びモード選択信号Smdを設定する。モード選択信号Smdは、電力変換装置5aの動作モードの選択結果を示す信号である。実施の形態1では、動作モードは、昇圧回路20を停止して降圧回路10を動作する降圧モードと、降圧回路10を停止して昇圧回路20を動作する昇圧モードとを含む。
閾値V1は、入力電圧Vinよりも低い電圧値に設定される。一方で、閾値V2は、入力電圧Vinよりも高い電圧値に設定される。閾値V1,V2は、直流電源40の特性(例えば、定格出力電圧範囲)に基づいて予め定められた固定値とすることができる。或いは、図示しない電圧センサによる入力電圧Vinの検出値に基づき、確実に上記電圧条件(V1<Vin、かつ、V2>Vin)が満たされるように、閾値V1,V2を可変値として設定することも可能である。
図3には、動作モード選択部31の動作を説明するフローチャートが示される。
図3を参照して、動作モード選択部31は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)110により、電力変換装置5aに対する出力電圧指令値Vout*を入力すると、S120により、出力電圧指令値Vout*を閾値V1及びV2と比較する。具体的には、V1<Vout*<V2の範囲(境界電圧範囲)内であるか否かが判定される。
動作モード選択部31は、V1<Vout*<V2のときには(S131のYES判定時)、S130により、制御目標電圧Vc*を、出力電圧指令値Vout*ではなく閾値V1に設定する(Vc*=V1)。一方で、Vout*≦V1、又は、V2≦Voutのときには(S131のNO判定時)、S140により、出力電圧指令値Vout*をそのまま制御目標電圧Vc*とする(Vc*=Vout*)。さらに、動作モード選択部31は、S130又はS140で設定された制御目標電圧Vc*をデューティ演算部32(図2)へ出力する。S120〜S140により、制御目標電圧Vc*は、V1<Vc*<V2の境界電圧範囲を避けて設定される。
動作モード選択部31は、S160により、制御目標電圧Vc*を閾値V2と比較する。そして、Vc*≧V2のとき(S160のYES判定時)には、S180により、昇圧モードが選択される。昇圧モードの選択時には、モード選択信号Smdは“1”に設定されて、デューティ演算部32及びデューティ選択部33へ出力される。一方で、Vc*<V2のとき(S160のNO判定時)には、S190により、降圧モードが選択される。降圧モードの選択時には、モード選択信号Smdは“0”に設定されて、デューティ演算部32及びデューティ選択部33へ出力される。
動作モード選択部31は、S110で読み込まれた出力電圧指令値Vout*に基づく、制御目標電圧Vc*(S150)及びモード選択信号Smd(S180,S190)を出力すると、処理を終了する。
尚、S130では、Vc*=V2に設定することも可能である。Vc*=V2としても、V1<Vc*<V2の境界電圧範囲を避けて、制御目標電圧Vc*を設定することができる。又、S160では、制御目標電圧Vc*と閾値V1とを比較してもよい。この場合には、Vc*>V1のときに昇圧モード(Smd=“1”)を選択する一方で、Vc*≦V1のときに降圧モード(Smd=“0”)を選択することができる。
再び図2を参照して、デューティ演算部32は、出力電圧Voutを制御目標電圧Vc*に制御するためのデューティ比Dcを算出する。デューティ演算部32は、モード選択信号Smdに応じて、降圧モード及び昇圧モードの間でデューティ比Dcの制御演算を切換える。以下では、第1のスイッチング素子Tr1及び第2のスイッチング素子Tr2の各々について、オンオフされる際のスイッチング周期Tcに対するオン期間Tonの比(Ton/Tc)をデューティ比と定義する。
降圧回路10が動作する降圧モードでは、第1のスイッチング素子Tr1のデューティ比D1を用いて、出力電圧Vout及び入力電圧Vinの間には、下記の式(1)が成立する。
Vout=D1・Vin …(1)
従って、降圧モードでは、入力電圧Vinの検出値と、制御目標電圧Vc*とを用いて、下記の式(2)で算出することができる。
Dc=Vc*/Vin …(2)
或いは、出力電圧の電圧偏差ΔVout(ΔVout=Vc*−Vout)を用いたフィードバック制御(代表的には、PI制御)によって、デューティ比Dcを算出することも可能である。或いは、Vinに基づくフィードフォワード項(式(2))と、出力電圧偏差ΔVoutに基づくフィードバック項との加算によって、降圧モードにおけるデューティ比Dcを求めることも可能である。
昇圧回路20が動作する昇圧モードでは、第2のスイッチング素子Tr2のデューティ比D2を用いて、出力電圧Vout及び入力電圧Vinの間には、下記の式(3)が成立する。
Vout=1/(1−D2)・Vin …(3)
従って、昇圧モードでは、入力電圧Vinの検出値と、制御目標電圧Vc*とを用いて、下記の式(4)で算出することができる。
Dc=1−(Vin/Vc*) …(4)
昇圧モードにおいても、上述の出力電圧偏差ΔVoutに基づくフィードバック制御によってデューティ比Dcを算出することが可能であり、或いは、フィードフォワード項(式(3))と、出力電圧偏差ΔVoutに基づくフィードバック項との加算によって、降圧モードにおけるデューティ比Dcを求めることも可能である。
デューティ選択部33は、デューティ演算部32によって算出されたデューティ比Dcを用いて、第1のスイッチング素子Tr1(降圧回路10)のデューティ比D1と、第2のスイッチング素子Tr2(昇圧回路20)のデューティ比D2とを設定する。デューティ選択部33は、モード選択信号Smdに応じて、降圧モード及び昇圧モードのそれぞれにおけるデューティ比D1及びD2を出力する。
モード選択信号Smd=“0”の降圧モードでは、第2のスイッチング素子Tr2(昇圧回路20)をオフに固定するために、D2=0に設定される。一方で、降圧回路10のデューティ比D1は、出力電圧Voutを制御目標電圧Vc*に制御するために算出されたデューティ比Dcに設定される(D1=Dc)。例えば、D1は、式(2)に従うデューティ比Dcに設定される。
これに対して、モード選択信号Smd=“1”の昇圧モードでは、第1のスイッチング素子(降圧回路10)をオンに固定するために、D1=1に設定される。一方で、昇圧回路20のデューティ比D2は、出力電圧Voutを制御目標電圧Vc*に制御するために算出されたデューティ比Dcに設定される(D2=Dc)。例えば、D2は、式(4)に従うデューティ比Dcに設定される。
PWM信号生成部34は、デューティ比D1に従ってスイッチング素子Tr1をオンオフするための制御信号S1と、デューティ比D2に従ってスイッチング素子Tr2をオンオフするための制御信号S2とを出力する。制御信号S1及びS2は、図1に示したように、スイッチング素子Tr1及びTr2へ入力される。
PWM信号生成部34では、周期的なキャリア波(例えば、のこぎり波や三角波)の電圧Vcwと、デューティ比D1,D2に比例する電圧VD1,VD2とが比較される、PWM変調に従って、制御信号S1,S2が生成される。具体的には、キャリア波の振幅をデューティ比1.0のときの電圧VD1(VD2)相当として、Vcw≦VD1(VD2)の期間で、スイッチング素子Tr1(Tr2)をオンするためにS1(S2)=“1”とする一方で、Vcw>VD1(VD2)の期間で、スイッチング素子Tr1(Tr2)をオフするためにS1=“0”とすることができる。
これにより、スイッチング素子Tr1及びTr2は、キャリア波の周期に相当するスイッチング周期Tcでオンオフされ、かつ、スイッチング周期Tc中のオン期間の比は、デューティ選択部33から出力されたデューティ比D1及びD2に従って制御される。降圧モードでは、D2=0に設定されることにより、制御信号S2=“0”に固定されて、第2のスイッチング素子(昇圧回路20)がオフに固定される。又、昇圧モードでは、D1=0に設定されることにより、制御信号S1=“0”に固定されて、第1のスイッチング素子(降圧回路10)がオンに固定される。
以上説明したように、実施の形態1に係る電力変換装置5aによれば、入力電圧Vinの降圧及び昇圧のいずれにも設定可能な出力電圧指令値Vout*に従って出力電圧Voutを制御する際に、降圧モードでは第2のスイッチング素子(昇圧回路20)のスイッチングが停止され(オフ固定)、昇圧モードでは第1のスイッチング素子(降圧回路10)のスイッチングが停止され(オン固定)される。これにより、降圧回路10及び昇圧回路20の両方においてスイッチング損失が発生することを回避して、高効率のDC/DC変換を実行することが可能となる。
更に、制御目標電圧Vc*が、昇圧モード及び降圧モードの境界領域となる、V1<Vc*<V2の境界電圧範囲内(V1<Vin,V2>Vin)に設定されることを回避して、降圧回路10及び昇圧回路20を制御することができる。従って、入力電圧Vinが変動しても、降圧モード及び昇圧モードの間の切換りが頻発することを回避して、電力変換装置5aの制御動作を安定化することができる。
実施の形態1の変形例1.
実施の形態1の変形例1では、実施の形態1における動作モード選択部31における制御目標電圧Vc*の異なる設定例について説明する。実施の形態1の変形例1では、実施の形態1と比較して、動作モード選択部31による昇圧モード及び降圧モードの間の切換の際における制御目標電圧Vc*の設定手法のみが異なり、その他の構成及び制御は、実施の形態1と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
図4は、実施の形態1の変形例1に係る動作モード選択部31の動作を説明する概念図である。図4の横軸は時間軸であり、縦軸は電圧を示す。
図4を参照して、時間経過に伴って出力電圧指令値Vout*が、昇圧モード領域(Vout*≧V2)から低下したときの、動作モード選択部31によって設定される制御目標電圧Vc*の挙動が、符号304〜306によって示される。
符号304には、実施の形態1に従う制御目標電圧Vc*の挙動が示される。即ち、出力電圧指令値Vout*が、昇圧モード領域(Vout*≧V2)から境界電圧範囲(V1<Vout*<V2)内に入ると、即座に、Vc*=V1に設定される。この結果、デューティ演算部32に入力される制御目標電圧Vc*がV2からV1に瞬間的に変化する。この結果、算出されるデューティ比Dcが急峻に変化することによって、電力変換装置5aの制御が不安定になることが懸念される。
従って、実施の形態1の変形例1では、動作モード選択部31は、符号305,306に示されるように、制御目標電圧Vc*の時間的変化を制限した上で、制御目標電圧Vc*をV2からV1へ変化させる。符号305では、一定レートのランプ関数に従って単調減少するように、制御目標電圧Vc*はV2からV1へ変化する。又、符号306では、二次関数に従って単調減少するように、制御目標電圧Vc*はV2からV1へ変化する。これにより、制御目標電圧Vc*の時間的変化を緩やかにすることで、電力変換装置5aの制御の不安定化を防止することができる。尚、符号305及び306で示したランプ関数及び二次関数に限定されず、任意の関数に従って、制御目標電圧Vc*を単調減少させることも可能である。
尚、図4では、昇圧モードから降圧モードに切換える際の動作を説明したが、降圧モードから昇圧モードに切換わる際にも同様に、動作モード選択部31は、制御目標電圧Vc*の時間的変化を制限する。即ち、制御目標電圧Vc*がV1からV2に向かって単調増加するように、ランプ関数、二次関数、又は、任意の関数に従って、制御目標電圧Vc*を変化させることができる。
このように、実施の形態1に係る電力変換装置5aでは、境界電圧範囲(V1<Vc*<V2)を避けて制御目標電圧Vc*を設定するため、昇圧モード及び降圧モードの切換に伴って、制御目標電圧Vc*がV2以上の電圧範囲からV1以下の電圧範囲へ(昇圧モードから降圧モード)又は、V1以下の電圧範囲からV2以上の電圧範囲へ(降圧モードから昇圧モード)変化するが、その際に、制御目標電圧Vc*の時間的変化を制限することで、電力変換装置5aの制御を安定化することができる。
実施の形態1の変形例2.
実施の形態1の変形例2では、実施の形態1における制御器30aに代えて、図5に示される制御器30xが配置される点で異なる。
図5は、実施の形態2の変形例2に係る制御器30xの機能を説明するブロック図である。
図5および図2を比較して、制御器30xは、制御器30aと比較して、デューティ演算部32に代えて、デューティ演算部32xを含む点で異なる。制御器30xのその他の部分の構成及び動作は、制御器30aと同様であるので詳細な説明は繰り返さない。デューティ演算部32xは、リアクトルL1を流れるリアクトル電流ILの制御機能を有する。尚、実施の形態1の変形例2では、電力変換装置5aにおいて、ノードN1及びN2の間にリアクトル電流ILを検出するための図示しない電流センサが配置される。当該電流センサによる検出値は、制御器30x(デューティ演算部32x)へ入力される。
図6には、デューティ演算部32xの機能を説明するブロック図が示される。
図6を参照して、デューティ演算部32xは、減算部321,323と、電圧制御部322と、電流制御部324とを含む。
減算部321は、制御目標電圧Vc*から出力電圧Voutを減算することによって、出力電圧偏差ΔVoutを算出する。電圧制御部382は、出力電圧偏差ΔVoutを用いたフィードバック制御演算(例えば、PI制御演算、又は、PID制御演算)によって、リアクトル電流ILの電流目標値IL*を生成する。
減算部323は、電流目標値IL*からリアクトル電流ILを減算することによって電流偏差ΔILを算出する。電流制御部324は、電流偏差ΔIL=0とするためのフィードバック制御演算(例えば、PI制御、又は、PID制御)によって、デューティ比Dcを算出する。
出力電圧Voutが制御目標電圧Vc*よりも低いときには、電圧制御部322によって電流目標値IL*が上昇される。一方で、出力電圧Voutが制御目標電圧Vc*よりも高いときには、電圧制御部322によって電流目標値IL*が低下される。電流制御部324は、電圧制御部322によって出力電圧偏差ΔVoutを解消するように調整される電流目標値IL*とリアクトル電流ILとが一致するように、デューティ比Dcを算出する。デューティ演算部32xでは、デューティ演算部32とは異なり、動作モード(昇圧モード/降圧モード)間で、デューティ比Dcの制御演算は共通である。
デューティ比Dcは、降圧モードでは第1のスイッチング素子(降圧回路10)のデューティ比D1に用いられるとともに、昇圧モードでは第2のスイッチング素子(昇圧回路20)のデューティ比D2に用いられる。
これにより、実施の形態1の変形例2によれば、実施の形態1の効果に加えて、リアクトル電流ILを安定化させながら、出力電圧Voutを出力電圧指令値Vout*に制御することができる。
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で説明した昇圧モード(降圧回路10停止)及び降圧モード(昇圧回路20停止)に加えて、昇圧モード及び降圧モードを切換える過渡状態において、降圧回路10及び昇圧回路20の両方を動作させる昇降圧モードをさらに導入する制御について説明する。
図7は、実施の形態2に係る電力変換装置のモード遷移図であり、図8は、実施の形態2に係る電力変換装置における出力電圧とモードとの関係を説明する概念図である。
図7を参照して、実施の形態2では、出力電圧指令値Vout*の低下によって、昇圧モード(降圧回路10停止)から降圧モード(昇圧回路20停止)に移行する場合には、昇圧モードから昇降圧モードへ遷移した後、昇降圧モードから降圧モードへ遷移するように、モード遷移が制御される。
同様に、出力電圧指令値Vout*の上昇によって、降圧モード(昇圧回路20停止)から昇圧モード(降圧回路10停止)へ移行する場合には、降圧モードから昇降圧モードへ遷移した後、昇降圧モードから昇圧モードへ遷移するように、モード遷移が制御される。
図8を参照して、実施の形態2では、出力電圧指令値Vout*に従って制御される出力電圧Voutに基づいて、モードが選択される。図8の例では、出力電圧指令値Vout*が、降圧モード領域(Vout*≦V1)から昇圧モード領域(Vout*≧V2)まで上昇するのに伴って、出力電圧Voutも同様に、降圧モード領域(Vout≦V1)から昇圧モード領域(Vout≧V2)まで上昇する。この際に、時刻t1においてVout=V1まで上昇し、時刻t2においてVout=Vinまで上昇し、時刻t3においてVout=V2まで上昇している。
図8の例では、時刻t1までの期間T1では、降圧モードが選択され、時刻t3以降での期間T3では昇圧モードが選択され、時刻t1〜t2の期間T2及び時刻t2〜t3の期間T3では、昇降圧モードが選択される。降圧モード及び昇圧モードにおける、降圧回路10及び昇圧回路20の動作は、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
昇降圧モードでは、第1のスイッチング素子(降圧回路10)及び第2のスイッチング素子(昇圧回路20)の両方をオンオフすることにより、スイッチング素子Tr1及びTr2の両方がオンオフ動作を停止する期間が生じることによる制御動作の不安定化を防止する。尚、昇降圧モードには、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも低い期間(T2)と、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも高い期間(T3)が存在することが理解される。
実施の形態1に従って、境界電圧範囲(V1〜V2)における制御目標電圧Vc*及び動作モードを設定すると、期間T3において、Vin<Voutであるのに降圧モードが選択されるケース、又は、期間T4において、Vin>Voutであるのに昇圧モードが選択されるケースが発生する。このようなケースでは、第1のスイッチング素子(降圧回路10)及び第2のスイッチング素子(昇圧回路20)両方が、オン又はオフに固定されて、オンオフ動作を停止することになるので、電圧及び電流が無制御な状態となるため、制御動作が不安定になることが懸念される。
従って、本実施の形態2では、出力電圧Voutが境界電圧範囲(V1〜V2)である場合には、降圧回路10及び昇圧回路20の両方が動作する昇降圧モードを適用することで、制御動作の安定化を図る。
図9は、実施の形態2に係る電力変換装置の構成を説明する回路図である。
図9を参照して、実施の形態2に係る電力変換装置5bは、実施の形態1に係る電力変換装置5a(図1)と比較して、制御器30aに代えて制御器30bを備える点で異なる。電力変換装置5bのその他の部分の構成及び動作は、電力変換装置5aと同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
図10は、制御器30bの機能を説明するブロック図である。
図10を参照して、制御器30bは、動作モード選択部35と、デューティ演算部32と、デューティ選択部36と、PWM信号生成部34とを含む。デューティ演算部32及びPWM生成部34は、実施の形態1と同様である。
動作モード選択部35には、出力電圧指令値Vout*及び閾値V1,V2に加えて、出力電圧Voutが入力される。動作モード選択部35は、制御目標電圧Vc*及びモード選択信号Smdを出力する。
図11は、動作モード選択部35の動作を説明するフローチャートである。
図11を参照して、動作モード選択部35は、S210により、電力変換装置5aの出力電圧Vout及び出力電圧指令値Vout*を入力すると、S120〜S140(図3)と同様のS220〜S240によって、出力電圧指令値Vout*と閾値V1及びV2との比較により、制御目標電圧Vc*を設定する。動作モード選択部35は、S150(図3)と同様のS250により、S230又はS240で設定された制御目標電圧Vc*をデューティ演算部32(32x)に対して出力する。
例えば、図3の例と同様に、出力電圧指令値Vout*が境界電圧範囲(V1<Vout*<V2)のときには、Vc*=V1とする一方で、それ以外では、Vc*=Vout*に設定される。即ち、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、制御目標電圧Vc*は、V1<Vc*<V2の境界電圧範囲を避けて設定される。
実施の形態2では、動作モード選択部35は、出力電圧Voutと閾値V1,V2との比較により、動作モードを選択する。動作モード選択部31は、S260により、出力電圧Voutを閾値V2と比較する。そして、Vout≧V2のとき(S260のYES判定時)には、S280により、昇圧モードが選択される。昇圧モードの選択時には、実施の形態1と同様に、モード選択信号Smdは“1”に設定される。一方で、動作モード選択部35は、Vc*<V2のとき(S260のNO判定時)には、S270により、出力電圧Voutを閾値V1とさらに比較する。そして、Vout≦V1のとき(S270のNO判定時)には、S300により、降圧モードが選択される。降圧モードの選択時には、実施の形態1と同様に、モード選択信号Smdは“0”に設定される。
これに対して、Vout>V1のとき(S270のNO判定時)、すなわち、V1<Vout<V2のときには、S290により、昇降圧モードが選択される。昇降圧モードの選択時には、モード選択信号Smdは“2”に設定される。
モード選択信号Smdは、S280〜S300のいずれかによって、“0”、“1”、“2”のいずれかに設定されて、デューティ演算部32及びデューティ選択部33へ出力される。
再び図10を参照して、デューティ演算部32は、入力電圧Vin及び出力電圧Voutと、動作モード選択部35からの制御目標電圧Vc*及びモード選択信号Smdとに基づき、実施の形態1で説明したように、モード選択信号Smd=“0”のときに降圧モード用のデューティ比Dcを算出し、モード選択信号Smd=“1”のときに降圧モード用のデューティ比Dcを算出する。さらに、デューティ演算部32は、昇降圧モード(Smd=“2”)では、昇圧回路20のデューティ比D2に用いられるように、デューティ比Dcを算出する。
デューティ選択部36は、モード選択信号Smdに応じて、降圧モード、昇圧モード、及び、昇降圧モードのそれぞれでの、降圧回路10(スイッチング素子Tr1)のデューティ比D1と、昇圧回路20(スイッチング素子Tr2)のデューティ比D2とを設定する。降圧モード(Smd=“0”)及び昇圧モード(Smd=“1”)の各々におけるデューティ比D1,D2は、実施の形態1と同様に設定される。
デューティ選択部36は、昇降圧モード(Smd=“2”)では、降圧回路10(スイッチング素子Tr1)のデューティ比D1を、制御目標電圧Vc*とは無関係に定められたデューティ比Dsに固定する。一方で、昇圧回路20(スイッチング素子Tr2)のデューティ比D2は、デューティ演算部32からのデューティ比Dcに設定される(D1=Ds,D2=Dc)。
降圧回路10でのデューティ比Dsは、予め定められた固定値であってもよく、昇降圧モードの選択毎に可変に設定される値でもよい。特に、昇圧回路20への入力電圧が閾値V1よりも低くなることで、スイッチング素子Tr2がオフ固定されることが回避されるので、入力電圧Vinに応じて、Ds<(V1/Vin)が保証されるように、Vinに応じてDsを可変に設定することも可能である。
昇降圧モードでは、昇圧回路20への入力電圧は、式(1)より、Ds・Vinとなることが理解される。従って、式(4)中のVinを(Ds・Vin)に置換することにより、デューティ演算部32による昇降圧モードにおけるデューティ比Dcは、下記の式(5)に従って算出することができる。
Dc=1−(Ds・Vin/Vc*) …(5)
PWM信号生成部34は、各動作モードにおいて、デューティ選択部36によって設定されたデューティ比D1及びD2に従って、実施の形態1と同様に制御信号S1及びS2を生成する。第1のスイッチング素子(降圧回路10)及び第2のスイッチング素子(昇圧回路20)は、PWM信号生成部34から出力された制御信号S1及びS2に従って、オン又はオフされる。
従って、実施の形態2に係る電力変換装置によれば、昇圧モード及び降圧モードでは、実施の形態1と同様に、降圧回路10及び昇圧回路20の一方でのスイッチングが停止されることにより、DC/DC変換が高効率化される。
さらに、実施の形態1と同様に、境界電圧範囲(V1〜V2)を回避して制御目標電圧Vc*が設定されるとともに、境界電圧範囲に対応して昇降圧モードを導入することによって、降圧回路10及び昇圧回路20の両方でスイッチング素子Tr1及びTr2の両方がオンオフ動作を停止することが回避される。これにより、当該領域において、制御動作が不安定になることを防止できる。
尚、実施の形態2において、実施の形態1と同様に、任意に設定可能な出力電圧指令値Vout*に対して、境界電圧範囲(V1〜V2)を回避して制御目標電圧Vc*が設定されることにより、昇降圧モードの適用は、出力電圧指令値Vout*が上記境界電圧範囲(V1〜V2)を超えて変化するケースに限られ、定常的に昇降圧モードが適用されることを防止できる。この結果、降圧回路10及び昇圧回路20の一方でのスイッチングが停止される昇圧モード及び降圧モードの適用期間を増やすことで、DC/DC変換の高効率化を図ることができる。
実施の形態2の変形例.
実施の形態2の変形例では、実施の形態2における制御器30bに代えて、図12に示される制御器30yが配置される点で異なる。
図12は、実施の形態2の変形例に係る制御器30yの機能を説明するブロック図である。
図5および図2を比較して、制御器30yは、制御器30aと比較して、デューティ選択部36に代えて、デューティ選択部37を含む点で異なる。制御器30yのその他の部分の構成及び動作は、制御器30bと同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
デューティ選択部37は、デューティ選択部36と同様に、モード選択信号Smdに応じて、降圧モード、昇圧モード、及び、昇降圧モードのそれぞれでの、降圧回路10(スイッチング素子Tr1)のデューティ比D1と、昇圧回路20(スイッチング素子Tr2)のデューティ比D2とを設定する。
デューティ選択部37は、デューティ選択部36と比較して、昇降圧モードにおけるデューティ比D1,D2の設定が異なる。即ち、降圧モード(Smd=“0”)及び昇圧モード(Smd=“1”)の各々におけるデューティ比D1,D2は、実施の形態1と同様に設定される。
デューティ選択部37は、昇降圧モード(Smd=“2”)では、昇圧回路20(スイッチング素子Tr2)のデューティ比D2を、制御目標電圧Vc*とは無関係に定められたデューティ比Dsに固定する。一方で、降圧回路10(スイッチング素子Tr2)のデューティ比D1は、デューティ演算部32からのデューティ比Dcに設定される(D1=Dc,D2=Ds)。昇圧回路20でのデューティ比Dsについても、予め定められた固定値であってもよく、昇降圧モードの選択毎に可変に設定される値でもよい。
昇降圧モードでは、昇圧回路20での昇圧比が固定されるので、降圧回路10の出力電圧と当該昇圧比との積を、制御目標電圧Vc*と同等とする必要がある。従って、式(3)において、D2=Ds、かつ、Vin=Vin・Dcでして得られる下記の式(6)を変形して、デューティ比Dcは、下記の式(7)に従って算出することができる。
Vc*=1/(1−Ds)・(Vin・Dc) …(6)
Dc=(Vc*/Vin)・(1−Ds) …(7)
PWM信号生成部34は、各動作モードにおいて、デューティ選択部37によって設定されたデューティ比D1及びD2に従って、実施の形態1及び2と同様に制御信号S1及びS2を生成する。
従って、実施の形態2の変形例に係る電力変換装置によっても、実施の形態1と同様に、境界電圧範囲(V1〜V2)においても、昇降圧モードの適用によって、降圧回路10及び昇圧回路20の両方でスイッチング素子Tr1及びTr2の両方がオンオフ動作を停止することが回避される。これにより、実施の形態2と同様に、DC/DC変換の高効率化を図るとともに、当該境界電圧範囲において、制御動作が不安定になることを防止できる。
又、実施の形態2及び変形例では、昇降圧モードにおいて、降圧回路10及び昇圧回路20の一方では、制御目標電圧Vc*に従った演算処理を伴わずにデューティ比Dsを設定できるため、制御の簡易化、即ち、演算負荷の軽減を図ることができる。
尚、実施の形態2及び変形例の各々において、制御器30(図10)及び制御器30y(図12)の各々において、デューティ演算部32に代えて、実施の形態1の変形例2に係るデューティ演算部32xによって、デューティ比Dcを算出することも可能である。この場合には、デューティ演算部32xでは、上述のように、動作モード間でデューティ比Dcの制御演算は共通であるので、昇降圧モードにおいて、デューティ演算部32のように、降圧回路10用又は昇圧回路20用のデューティ比Dcの演算式を、昇圧モード又は降圧モードとの間で変化させる必要はない。
又、実施の形態2及び変形例に対して、実施の形態1の変形例1を組み合わせて、制御目標電圧Vc*がV2からV1へ(昇圧モードから降圧モード)又は、V1からV2へ(降圧モードから昇圧モード)変化する際に、制御目標電圧Vc*の時間的変化を制限することも可能である。このようにすると、昇降圧モード中のデューティ比Dcの算出において制御目標電圧Vc*の時間的変化が緩やかになることにより、制御動作をさらに安定化することができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態2で説明した昇降圧モードと、降圧モード及び昇圧モードの各々との間での切換時における制御について説明する。
図13は、実施の形態3に係る電力変換装置の構成を説明する回路図である。
図13を参照して、実施の形態3に係る電力変換装置5cは、実施の形態2に係る電力変換装置5b(図9)と比較して、制御器30bに代えて制御器30cを備える点で異なる。又、電力変換装置5cでは、実施の形態1の変形例2と同様に、ノードN1及びN2の間に電流センサ(図示せず)が配置されて、リアクトル電流ILの検出値が制御器30cへ入力される。実施の形態3に係る電力変換装置5cのその他の部分の構成及び動作は、電力変換装置5a,5bと同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
図14は、制御器30cの機能を説明するブロック図である。
図14を参照して、制御器30cは、動作モード選択部35と、デューティ演算部38と、デューティ選択部36と、PWM信号生成部34とを含む。動作モード選択部35、デューティ選択部36、及び、PWM生成部34は、実施の形態2と同様である。従って、制御器30cにおいても、動作モード選択部35によって、動作モードは、降圧モード、昇圧モード、及び、昇降圧モードのうちのいずれかに選択されて、モード選択信号Smdは、“0”、“1”及び“2”のうちのいずれかに設定される。
図15は、デューティ演算部38の機能を説明するブロック図である。
図15を参照して、デューティ演算部38は、減算部381,383と、電圧制御部382と、電流制御部384とを含む。デューティ演算部38は、実施の形態1の変形例2に係るデューティ演算部32xと同様に、出力電圧Voutに加えて、リアクトル電流ILの制御機能を有する。
減算部381は、減算部321(図6)と同様に、制御目標電圧Vc*から出力電圧Voutを減算することによって、出力電圧偏差ΔVoutを算出する。電圧制御部382は、電圧制御部322(図6)と同様に、出力電圧偏差ΔVoutを用いたフィードバック制御演算(例えば、PI制御又はPID制御による制御演算)によって、リアクトル電流ILの電流目標値IL*のフィードバック項を生成する。
電圧制御部382では、動作モードの切換時には、後程説明する電流フィードフォワード(FF)項Iffを上記フィードバック項に加算することで、電流目標値IL*が生成される。一方で、動作モードが維持される場合には、電流FF項Iffを加算することなく、上記フィードバック項がそのまま電流目標値IL*に設定される。
減算部383は、減算部323(図6)と同様に、電流目標値IL*からリアクトル電流ILを減算することによって電流偏差ΔILを算出する。
減算部383は、電流目標値IL*からリアクトル電流ILを減算することによって電流偏差ΔILを算出する。電流制御部384は、電流偏差ΔIL=0とするためのフィードバック制御演算(例えば、PI制御又はPID制御による制御演算)によって、デューティ比Dcを算出する。電流制御部384では、動作モードの切換時には、後程説明するデューティフィードフォワード(FF)項Dffを上記フィードバック項に加算することで、デューティ比Dcが生成される。一方で、動作モードが維持される場合には、デューティFF項Dffを加算することなく、上記フィードバック項がそのままデューティ比Dcに設定される。電圧制御部382及び電流制御部384において、動作モード切換時であるか否かは、モード選択信号Smdの値の推移によって判断することが可能である。
このように、実施の形態3では、動作モード間で制御演算が共通である電圧制御部382及び電流制御部384において、動作モード切換時には、電流FF項及びデューティFF項が加算される。電流FF項及びデューティFF項は、電流目標値IL*及びデューティ比Dcに対して、I(積分)制御によるフィードバック項に反映されるように演算される。即ち、一旦加算されたこれらのフィードフォワード項は、動作モード切換後の演算結果(電流目標値IL*及びデューティ比Dc)に対しても継続的に反映されるように、電圧制御部382及び電流制御部384での制御演算は構成される。
図16には、電流FF項及びデューティFF項の設定例を説明する図表が示される。
図16を参照して、動作モードの遷移には、図7からも理解される通り、昇圧モードから昇降圧モード、及び、昇降圧モードから昇圧モード、並びに、降圧モードから昇降圧モード、及び、昇降圧モードから降圧モードの4種類が存在する。電流FF項及びデューティFF項の算出式は、上記4種類の動作モード切換毎に個別に予め定められる。
昇圧モードから昇降圧モードへの動作モード切換時において、デューティFF項(Dff)は、昇圧モード及び昇降圧モードにおけるリアクトルL1に印加される電圧に基づいて算出される。又、電流FF項(Iff)は、昇圧モード及び昇降圧モードにおけるコンデンサC1に流れる電流に基づいて算出される。具体的には、デューティFF項(Dff)は、下記の式(8)に従って算出され、電流FF項(Iff)は、下記の式(9)に従って算出される。
Dff=Vin/Vout・(1−Ds) …(8)
Iff=(1/Ds−1)・IL …(9)
昇降圧モードから昇圧モードへの動作モード切換時において、デューティFF項(Dff)は、昇降圧モード及び昇圧モードにおけるリアクトルL1に印加される電圧に基づいて算出される。又、電流FF項(Iff)は、昇降圧モード及び昇圧モードにおけるコンデンサC1に流れる電流に基づいて算出される。具体的には、デューティFF項(Dff)は、下記の式(10)に従って算出され、電流FF項(Iff)は、下記の式(11)に従って算出される。
Dff=(Vin/Vout)・(Ds−1) …(10)
Iff=(Ds−1)・IL …(11)
降圧モードから昇降圧モードへの動作モード切換時には、デューティFF項(Dff)は、降圧モード及び昇降圧モードにおけるリアクトルL1に印加される電圧に基づいて算出される。又、電流FF項(Iff)は、降圧モード及び昇降圧モードにおけるコンデンサC1に流れる電流に基づいて算出される。具体的には、デューティFF項(Dff)は、下記の式(12)に従って算出され、電流FF項(Iff)は、下記の式(13)に従って算出される。
Dff=(Vin/Vout)・(Db−Ds)−Db …(12)
Iff=((1/Ds)・(Vout/Vin)−1)・IL …(13)
昇降圧モードから降圧モードへの動作モード切換時において、デューティFF項(Dff)は、昇降圧モード及び降圧モードにおけるリアクトルL1に印加される電圧に基づいて算出される。又、電流FF項(Iff)は、昇降圧モード及び降圧モードにおけるコンデンサC1に流れる電流に基づいて算出される。具体的には、デューティFF項(Dff)は、下記の式(14)に従って算出され、電流FF項(Iff)は、下記の式(15)に従って算出される。
Dff=Ds+Db・((Vin/Vout)−1) …(14)
Iff=(Ds・(Vin/Vout)−1)・IL …(15)
尚、式(8)〜式(15)中における、Vin,Vout,ILは、動作モード切換に応じた電流FF項及びデューティFF項の算出時における、入力電圧Vin、出力電圧Vout及びリアクトル電流ILの検出値である。又、Dsは、動作モード切換前又は切換後の昇降圧モードで使用される、降圧回路10(スイッチング素子Tr1)及び昇圧回路20(スイッチング素子Tr2)の一方での固定デューティ比Dsを示す。Dbは、昇降圧モードにおいて固定デューティ比Dsを用いて式(5)又は(7)で定まる、降圧回路10及び昇圧回路20の他方でのデューティ比Dcに相当する。
図16に示された算出式は一例であり、これ以外の算出式を用いて、電流FF項及びデューティFF項を算出することも可能である。
次に、図17〜図20のシミュレーション波形を用いて、実施の形態3に係る動作モード切換時のフィードフォワード制御の効果について説明する。図17〜図20の横軸は時間軸であり、縦軸には、出力電圧Vout、リアクトル電流IL及び、デューティ比の推移が示される。
図17は、実施の形態2に係る電力変換装置5bにおける出力電圧指令値の上昇に伴う動作モード切換時のシミュレーション波形図である。図17では、図12の構成において、デューティ演算部32に代えて、デューティ演算部32x(図6)を用いて、電力変換装置5bを制御したときのシミュレーション結果が示される。
図17(a)を参照して、降圧モードからの出力電圧指令値Vout*の上昇に伴い、時刻ta以降では、制御目標電圧Vc*が境界電圧範囲(V1〜V2)を避けて上昇することにより、出力電圧Voutが、出力電圧指令値Vout*よりも高く、閾値V2相当まで上昇する。昇降圧モードの導入によって、時刻taにおいて、降圧モードから昇降圧モードへの動作モード切換が発生し、時刻tbにおいて、昇降圧モードから昇圧モードへの動作モード切換が発生する。
図17(b)には、図17(a)の時刻ta前後での拡大図が示され、図17(c)には、図17(a)の時刻tb前後での拡大図が示される。
図17(b)及び図17(c)を参照して、実施の形態2に係る電力変換装置5bでは、昇降圧モードにおいて既定のデューティ比Dsが用いられるため、昇降圧モードへの切換時及び昇降圧モードからの切換時には、デューティ比が比較的大きく変化する。この結果、時刻ta,tbでの動作モード切換の各々において、出力電圧Voutが変動しており、かつ、リアクトル電流ILの収束も遅くなっている。
図18は、実施の形態3に係る電力変換装置5cにおける出力電圧指令値の上昇に伴う動作モード切換時のシミュレーション波形図である。図18では、図17と同様の条件で出力電圧指令値Vout*が変化したときのシミュレーション結果が示される。
図18(a)においても、図17(a)と同様の時刻taにおいて、降圧モードから昇降圧モードへの動作モード切換が発生し、時刻tbにおいて、昇降圧モードから昇圧モードへの動作モード切換が発生する。又、図18(b)には、図18(a)の時刻ta前後での拡大図が示され、図18(c)には、図18(a)の時刻tb前後での拡大図が示される。
図18(b)を図17(b)と比較すると、時刻taでの降圧モードから昇降圧モードへの切換時において、実施の形態3に係る電力変換装置5cでは、電流FF項及びデューティFF項の加算によって、上述した既定のデューティ比Dsへの変化量が緩和される。この結果、出力電圧Voutの変動が殆ど変動しておらず、かつ、リアクトル電流ILの収束も早いことが理解される。
同様に、図18(c)及び図17(c)の比較から、時刻tbでの昇降圧モードから降圧モードへの切換時においても、実施の形態3に係る電力変換装置5cでは、電流FF項及びデューティFF項の加算によって、出力電圧Voutの変動が殆ど変動しておらず、かつ、リアクトル電流ILの収束も早いことが理解される。
図19は、実施の形態2に係る電力変換装置5bにおける出力電圧指令値の低下に伴う動作モード切換時のシミュレーション波形図である。図19についても、図17と同様に、制御器30b(図12)にデューティ演算部32x(図6)を用いて、電力変換装置5bを制御したときのシミュレーション結果が示される。
図19(a)を参照して、降圧モードからの出力電圧指令値Vout*の低下に伴い、時刻tc以降では、制御目標電圧Vc*が境界電圧範囲(V1〜V2)を避けて低下することにより、出力電圧Voutが、出力電圧指令値Vout*よりも低く、閾値V1相当まで低下する。昇降圧モードの導入によって、時刻tcにおいて、昇圧モードから昇降圧モードへの動作モード切換が発生し、時刻tdにおいて、昇降圧モードから降圧モードへの動作モード切換が発生する。
図19(b)には、図19(a)の時刻tc前後での拡大図が示され、図19(c)には、図19(a)の時刻td前後での拡大図が示される。
図19(b)及び図19(c)を参照して、実施の形態2に係る電力変換装置5bでは、時刻tc,tdでの動作モード切換時に、電流FF項及びデューティFF項が加算されることなく、デューティ比D1,D2が算出される。実施の形態2に係る電力変換装置5bでは、時刻tc及びtdの各々において、出力電圧Voutが変動しており、かつ、リアクトル電流ILの収束も遅くなっている。
図20は、実施の形態3に係る電力変換装置5cにおける出力電圧指令値の上昇に伴う動作モード切換時のシミュレーション波形図である。図20では、図19と同様の条件で出力電圧指令値Vout*が変化したときのシミュレーション結果が示される。
図20(a)においても、図19(a)と同様の時刻tcにおいて、昇圧モードから昇降圧モードへの動作モード切換が発生し、時刻tdにおいて、昇降圧モードから降圧モードへの動作モード切換が発生する。又、図20(b)には、図20(a)の時刻tc前後での拡大図が示され、図20(c)には、図20(a)の時刻td前後での拡大図が示される。
図20(b)を図19(b)と比較すると、時刻tcでの昇圧モードから昇降圧モードへの切換時において、実施の形態3に係る電力変換装置5cでは、電流FF項及びデューティFF項の加算によって、出力電圧Voutの変動が殆ど変動しておらず、かつ、リアクトル電流ILの収束も早いことが理解される。
同様に、図20(c)及び図19(c)の比較から、時刻tdでの昇降圧モードから降圧モードへの切換時においても、実施の形態3に係る電力変換装置5cでは、電流FF項及びデューティFF項の加算によって、出力電圧Voutの変動が殆ど変動しておらず、かつ、リアクトル電流ILの収束も早いことが理解される。
このように実施の形態3に係る電力変換装置によれば、実施の形態2で説明した昇降圧モードの導入によって境界電圧範囲(V1〜V2)における制御動作が不安定になることを防止するとともに、昇圧モード及び降圧モードの各々と昇降圧モードとの間の動作モード切換時における出力電圧Vout及びリアクトル電流ILの挙動を安定化することができる。
尚、実施の形態3において、制御器30c(図14)の構成において、実施の形態2に係るデューティ選択部36に代えて、実施の形態2の変形例に係るデューティ選択部37(図12)を適用しても、同等の効果を得ることができる。又、実施の形態3に、実施の形態1の変形例1を組み合わせて、制御目標電圧Vc*がV2からV1へ(昇圧モードから降圧モード)又は、V1からV2へ(降圧モードから昇圧モード)変化する際に、制御目標電圧Vc*の時間的変化を制限することも可能である。このようにすると、昇降圧モード中のデューティ比Dcの算出において制御目標電圧Vc*の時間的変化が緩やかになることにより、制御動作をさらに安定化することができる。
本実施の形態において、降圧モードは「第1のモード」に対応し、昇圧モードは「第2のモード」に対応し、昇降圧モードは「第3のモード」に対応する。又、閾値V1は「第1の閾値」に対応し、閾値V2は「第2の閾値」に対応し、制御信号S1は「第1の制御信号」に対応し、制御信号S2は「第2の制御信号」に対応する。電圧制御部382による出力電圧偏差ΔVoutから電流目標値IL*を算出するフィードバック制御演算は「第1のフィードバック制御演算」に対応し、電流偏差ΔILからデューティ比Dcを算出する電流制御部384によるフィードバック制御演算は「第2のフィードバック制御演算」に対応する。更に、制御器30a,30x,30b,30y,30c(図2,図5,図10,図12,図14)において、デューティ演算部(32,32x,38)と、デューティ選択部(33,36,37)とによって「デューティ制御部」を構成することができる。
又、電力変換装置5a〜5c(図1,図9,図13)において、直流電源40として、直流電圧源を例示しているが、交流電源及び整流回路によって直流電圧を得る直流電源40を配置することも可能である。この場合には、昇圧モード及び降圧モード間の切換が頻繁に発生することを回避するために、交流電源及び整流回路の特性に従って閾値V1及びV2を設定することが好ましい。具体的には、整流回路から出力される入力電圧Vinの交流変動(リップル成分)の最小値よりも低く閾値V1を設定するとともに、当該交流変動(リップル成分)の最大値よりも高く閾値V2を高く設定することができる。
又、デューティ演算部32(図2,図10,図12)について、モード選択信号Smdに応じて、降圧回路10用のデューティ比算出機能と、昇圧回路20用のデューティ比算出機能とを切換えるものとして説明したが、常時、降圧回路10用のデューティ比及び昇圧回路20用のデューティ比の両方を算出するように構成することも可能である。この場合には、降圧回路10用のデューティ比及び昇圧回路20用のデューティ比の両方がデューティ選択部33,36,37に入力されるが、モード選択信号Smdに応じて、デューティ選択部33,36,37が、既定のデューティ比1,0(又は、1,0,Ds)と、デューティ演算部32によって算出されたデューティ比とから選択することで、上述の各実施の形態と同様のデューティ比D1及びD2を出力することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
5a,5b,5c 電力変換装置、10 降圧回路、20 昇圧回路、30,30a,30b,30c,30x,30y 制御器、31,35 動作モード選択部、32,32x,38 デューティ演算部、33,36,37 デューティ選択部、34 PWM信号生成部、40 直流電源、41 負荷、321,323,381,383 減算部、322,382 電圧制御部、324,384 電流制御部、C1 平滑コンデンサ、Di1 第1の半導体素子(降圧回路)、Di1 第2の半導体素子(昇圧回路)、GL 電力線、IL リアクトル電流、IL* 電流目標値、L1 リアクトル、N1,N2 ノード、N11,N12 入力端子、N21,N22 出力端子、S1,S2 制御信号(スイッチング素子)、Smd モード選択信号、Tr1 第1のスイッチング素子(降圧回路)、Tr2 第2のスイッチング素子(昇圧回路)、V1,V2 閾値、Vc* 制御目標電圧、Vout 出力電圧、Vout* 出力電圧指令値。

Claims (9)

  1. 入力電圧を昇降圧した出力電圧を発生する電力変換装置であって、
    第1のスイッチング素子を含む降圧回路と、
    第2のスイッチング素子を含む昇圧回路と、
    前記電力変換装置の出力電圧指令値に従って前記出力電圧を制御するために第1及び第2のスイッチング素子のオンオフを制御する第1及び第2の制御信号を生成する制御器とを備え、
    前記制御器は、
    前記出力電圧指令値の入力を受けて、前記電力変換装置の動作モードの選択結果及び制御目標電圧を出力する動作モード選択部と、
    前記動作モード及び前記制御目標電圧に従って前記第1及び第2スイッチング素子の各々のオンオフのデューティ比を制御するデューティ制御部とを含み、
    前記動作モードは、
    前記第2のスイッチング素子のオンオフを固定する一方で前記第1のスイッチング素子のデューティ比によって前記出力電圧を前記入力電圧よりも低い前記制御目標電圧に制御する第1のモードと、
    前記第1のスイッチング素子のオンオフを固定する一方で前記第2のスイッチング素子のデューティ比によって前記出力電圧を前記入力電圧よりも高い前記制御目標電圧に制御する第2のモードとを含み、
    前記動作モード選択部は、前記入力電圧よりも低い第1の閾値と、前記入力電圧よりも高い第2の閾値との間の境界電圧範囲を避けて前記出力電圧の制御目標電圧を設定する、電力変換装置。
  2. 前記動作モード選択部は、前記出力電圧指令値が前記境界電圧範囲内であるときは、前記第1及び第2の閾値のうちの一方の閾値を前記制御目標電圧に設定する一方で、前記出力電圧指令値が前記境界電圧範囲外であるときは、当該出力電圧指令値を前記制御目標電圧に設定し、かつ、
    前記動作モード選択部は、
    前記制御目標電圧が前記第1及び第2の閾値のうちの他方の閾値よりも低いときには前記第1のモードを選択する一方で、前記制御目標電圧が前記他方の閾値よりも高いときには前記第2のモードを選択する、請求項1記載の電力変換装置。
  3. 前記動作モードは、
    前記第1及び第2のスイッチング素子の両方のオンオフにより、前記出力電圧を前記制御目標電圧に制御する第3のモードをさらに含み、
    前記動作モード選択部は、前記出力電圧が前記第1の閾値よりも低いときに前記第1のモードを選択し、前記出力電圧が前記第2の閾値よりも高いときに前記第2のモードを選択し、前記出力電圧が前記第1及び第2の閾値の間であるときに前記第3のモードを選択する、請求項1又は2に記載の電力変換装置。
  4. 前記デューティ制御部は、前記第3のモードにおいて、前記第1のスイッチング素子のデューティ比を固定する一方で、前記第2のスイッチング素子のデューティ比を前記出力電圧を前記制御目標電圧に制御するように設定する、請求項3記載の電力変換装置。
  5. 前記デューティ制御部は、前記第3のモードにおいて、前記第2のスイッチング素子のデューティ比を固定する一方で、前記第1のスイッチング素子のデューティ比を前記出力電圧を前記制御目標電圧に制御するように設定する、請求項3記載の電力変換装置。
  6. 前記電力変換装置は、
    前記降圧回路及び前記昇圧回路の間に接続されたリアクトルをさらに備え、
    前記デューティ制御部は、前記第1及び第2のモードの各々において、前記制御目標電圧に対する前記出力電圧の電圧偏差に基づく第1のフィードバック制御演算によって前記リアクトルを流れるリアクトル電流の電流目標値を算出するとともに、前記電流目標値に対する前記リアクトル電流の電流偏差に基づく第2のフィードバック制御演算によって、前記第1又は第2のスイッチング素子のデューティ比を算出し、かつ、
    前記デューティ制御部は、前記第1又は第2のモードと、前記第3のモードとの間の動作モード切換時において、前記第1のフィードバック制御演算に対して予め定められた第1の算出式に従う第1のフィードフォワード項を加算するとともに、前記第2のフィードバック制御演算に対して予め定められた第2の算出式に従う第2のフィードフォワード項を加算する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  7. 前記電力変換装置は、
    前記降圧回路及び前記昇圧回路の間に接続されたリアクトルをさらに備え、
    前記デューティ制御部は、前記第1及び第2のモードの各々において、前記制御目標電圧に対する前記出力電圧の電圧偏差に基づく第1のフィードバック制御演算によって前記リアクトルを流れるリアクトル電流の電流目標値を算出するとともに、前記電流目標値に対する前記リアクトル電流の電流偏差に基づく第2のフィードバック制御演算によって、前記第1又は第2のスイッチング素子のデューティ比を算出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  8. 前記デューティ制御部は、前記第1のモードにおいて、前記降圧回路によって前記入力電圧を前記制御目標電圧に変換するための前記デューティ比を算出する一方で、前記第2のモードにおいて、前記昇圧回路によって前記入力電圧を前記制御目標電圧に変換するための前記デューティ比を算出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  9. 前記動作モード選択部は、前記境界電圧範囲を避けて前記制御目標電圧を設定するために、前記第1の閾値以下の電圧領域及び前記第2の閾値以上の電圧領域のうちの一方の電圧領域から他方の電圧領域に前記制御目標電圧を変化させる際に、前記制御目標電圧の時間的変化を制限する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
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