JPWO2019225743A1 - 組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、大気中でも安定で、低温乾燥で溶媒除去可能な有機薄膜を形成することのできる組成物を提供することである。本発明の組成物は、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを含有する組成物であって、前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレートが、フッ化アルコキシ基を有する、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの単量体若しくは重合体であり、かつ複数種の金属原子を含むことを特徴とする。

Description

本発明は組成物に関し、より詳しくは、大気中でも安定で、低温乾燥で溶媒除去可能な有機薄膜を形成することのできる組成物に関する。
複数種の金属原子を含む無機酸化物は、単独の無機酸化物からでは発現しない機能を有する。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)は、特異的に高い誘電率や強誘電性を有し、コンデンサ等の電子デバイス材料として広く知られている。一般的に、複数種の金属原子を含む無機酸化物は真空成膜により作製され、緻密な膜を形成することができるが、一方で大型の装置が必要であることや、ロール・to・ロールのような連続生産に不向きであることから製造上のコスト負荷が高く、大量かつ安価な生産に対しては問題が大きい。
一方、複数種の金属原子を含む無機酸化物をゾル・ゲル法に代表される液相法によって作製する方法もある。この方式では、大気圧下、安価でかつ大面積の製膜が可能となり、これから到来するIoT(Internet of Things)時代へ向けて、実際には製造コストのボトルネックとなっていた、安価でかつ効果的な封止加工といった課題が解決される。しかし、ゾル・ゲル法によりBaTiOを作製する際に用いる金属アルコキシドが不安定であり、大気中に放置しておくと水分と反応して三次元的な重合が進み、粒子が生じる。特にアルコキシドとアルコール溶媒の系では、重合を抑制することができず粒子サイズが大きくなり最終的に沈殿物を生じてしまい、安定にBaTiOを生産できないことが問題となっていた。
ゾル・ゲル法により複数種の金属からなる無機酸化物を作る別の手段として、特許文献1には、TiアルコキシドとSiアルコキシドにキレート化剤を添加させることで金属アルコキシドの水への安定性を向上させ、重合を抑制することができ、大気中でも粒子サイズを小さく抑えることができることが開示されている。しかし、膜とした際、金属酸化物膜の物性を担保するためには溶媒や添加物等の成分は取り除く必要があるが、キレート化剤は一般的に配位力が非常に高いため、これを取り除くためには高温乾燥が必要となりポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)に代表される、樹脂を用いたフレキシブル基材への使用が制限される問題がある。
また、キレート化剤の高配位力により、金属アルコキシドが過度に安定化されてしまうため、膜にした際も反応性が極端に低く、化学吸着を利用した吸水性に代表される機能を阻害してしまうという問題があった。
特開2010−006997号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、大気中でも安定で、低温乾燥で溶媒除去可能な有機薄膜を形成することのできる組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、複数種の金属を有するアルコキシ基を、フッ化アルコキシ基を有する金属アルコキシドとすることで、金属アルコキシドが安定化し、さらに膜にした際、溶媒を低温での乾燥で留去ができ吸水機能や撥水機能も発現することを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを含有する組成物であって、前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレートが、フッ化アルコキシ基を有する、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの単量体若しくは重合体であり、かつ複数種の金属原子を含むことを特徴とする組成物。
2.前記複数種の金属原子が、Ti−Si、Ti−Ba、Ti−Sr、Ti−Ca、Ti−Mg、Ti−Zr、Ti−Zn、Ti−Cu、Zn−Cu、Zn−Si、Cu−Si、Ca−Bi−Ti、Sr−Bi−Ta又はBi−Feの金属原子の組み合わせのいずれかであることを特徴とする第1項に記載の組成物。
3.前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの単量体が、下記一般式(1)で表される構造を有する金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを複数種有し、当該複数種の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの金属種がそれぞれ異なることを特徴とする第1項又は第2項に記載の組成物。
一般式(1)
M(OR(O−R)x−y
(式中、Rは、水素原子、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基又は複素環基を表す。ただし、Rは置換基としてフッ素原子を含む炭素鎖でもよい。Mは、金属原子を表す。ORは、フッ化アルコキシ基を表す。xは金属原子の価数、yは1とxの間の任意な整数を表す。)
4.前記金属アルコキシド中に含まれるフッ素原子の数が、それぞれの金属アルコキシドの金属原子1個に対し4〜16の範囲内であることを特徴とする第3項に記載の組成物。
5.前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレート中の金属原子に配位することのできるエーテル結合又はカルボニル基を有する単座配位子を含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の組成物。
6.前記単座配位子が、エーテル結合を有することを特徴とする第5項に記載の組成物。
7.前記単座配位子が、下記一般式(2)で表されるエーテル結合を有する単座配位子であることを特徴とする第5項又は第6項に記載の組成物。
一般式(2)
−O−R
(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキル基を表す。)
本発明の上記手段により、大気中でも安定で、低温乾燥で溶媒除去可能な有機薄膜を形成することのできる組成物を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
一般に金属アルコキシド又は金属カルボキシレートは、水に対する反応性が高いが、本発明に係るフッ化アルコキシ基を有する複数種の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートからなるゾル・ゲル液では、水分との反応速度が緩和されるために、重合の進行を抑制することができる。そのため大気中でも粒子サイズを小さく抑えることができる。さらに、フッ化アルコールは金属アルコキシド又は金属カルボキシレートへの配位力はないため、低温乾燥で取り除くことが可能となり、樹脂を用いるフレキシブル基材への使用が実現される。さらに、上記液から作成した膜は吸水性と撥水性又は疎水性を併せ持つ機能性膜として効果を示す。
フッ化アルコキシ基を有する、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートと水分との反応速度が緩和される理由は、中心金属周りに存在するフッ素原子が疎水効果を示すことで中心金属周りの水分の頻度因子を低減させることができるからであると考えられる。結果として大気中でもある程度重合を抑制することができ、粒子サイズを小さく抑えることができるものと考えられる。例えば、水と反応性が高いTiアルコキシドは、フッ化アルコキシ基を有する、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートとすることで、反応性を抑えることができ、さらに金属アルコキシド又は金属カルボキシレートをTi以外の例えばSiを用い複数種とすることで、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートと水分との反応速度をコントロールすることができるものである。
またこのように複数の金属種を有する金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを用いることで、単独の金属酸化物からは予想が困難な特異的な性能を有する複数の金属種を有する金属酸化物を容易に得ることができる。
本発明の組成物は、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを含有する組成物であって、前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレートが、フッ化アルコキシ基を有する、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの単量体若しくは重合体であり、かつ複数種の金属原子を含むことを特徴とする。この特徴は、下記各実施態様に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記複数種の金属原子が、Ti−Si、Ti−Ba、Ti−Sr、Ti−Ca、Ti−Mg、Ti−Zr、Ti−Zn、Ti−Cu、Zn−Cu、Zn−Si、Cu−Si、Ca−Bi−Ti、Sr−Bi−Ta又はBi−Feの金属原子の組み合わせのいずれかであることが、液安定性と吸水性の観点から好ましい。
また、前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの単量体が、前記一般式(1)で表される構造を有する金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを複数種有し、当該複数種の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの金属種がそれぞれ異なることが、単独の無機酸化物からでは発現しない効果が得られることから、好ましい。
さらに、本発明においては、前記金属アルコキシド中に含まれるフッ素原子の数が、それぞれの金属アルコキシドの金属原子1個に対し4〜16の範囲内であることが好ましい。これにより、組成物を重縮合して得られる膜の撥水性又は疎水性を大きくすることができる。
また、前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレート中の金属原子に配位することのできるエーテル結合又はカルボニル基を有する単座配位子を含有することが、液安定性の効果が得られることから、好ましい。
前記単座配位子が、エーテル結合を有することが好ましく、さらに、前記一般式(2)で表されるエーテル結合を有する単座配位子であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《組成物の概要》
本発明の組成物は、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを含有する組成物であって、前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレートが、フッ化アルコキシ基を有する、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの単量体若しくは重合体であり、かつ複数種の金属原子を含むことを特徴とする。
このような構成により、大気中でも安定で、低温乾燥で溶媒除去可能な膜を形成することのできる組成物を実現可能にすることができる。
〔金属アルコキシド又は金属カルボキシレート〕
本発明に係る金属アルコキシド又は金属カルボキシレートは、フッ化アルコキシ基を有する、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの単量体若しくは重合体であり、かつ複数種の金属原子を含む。
本発明の組成物は、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを過剰のフッ化アルコール存在下で加アルコール分解して、アルコール置換した有機金属酸化物又は有機金属酸化物の重縮合体である。その際に、ヒドロキシ基のβ位にフッ素原子が置換した長鎖アルコールを用いることが好ましい。加アルコール分解する際、複数の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを別々に処理しても良いし、複数の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを混合して同時に処理しても良い。
一方、前記有機金属酸化物は、焼結や紫外線を照射することで、ゾル・ゲル反応を促進し重縮合体を形成することができる。その際、前記ヒドロキシ基のβ位にフッ素原子が置換した長鎖アルコールを用いると、フッ素の撥水効果又は疎水効果により金属アルコキシド又は金属カルボキシレート中の金属周りに存在する水分の頻度因子を減少させることで、加水分解速度が減少し、当該現象を利用することで3次元の重合反応を抑え、所望の有機金属酸化物を含有する均一で稠密な有機薄膜を形成しうるという特徴がある。
本発明の組成物に係る有機金属酸化物は、以下の反応スキームI又は反応スキームIIに示すものである。本発明においては、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートが複数種の金属原子含む。具体的には、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを複数種有し当該金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの金属種がそれぞれ異なることが好ましい。以下の反応スキームI〜IIIでは、金属種が2種の場合であり、M及びMは、
それぞれ異なる金属種を表す。本発明では、金属アルコキシドは、金属種がそれぞれ異なる複数の金属アルコキシドを用いるため、焼結後の金属酸化物は複数の金属種を含む。
なお、焼結後の有機金属酸化物の重縮合体の構造式において、「O−M」又は「O−M」部のM又はMは、さらに置換基を有しているが、省略してある。
Figure 2019225743
Figure 2019225743
上記有機金属酸化物が、紫外線照射により重縮合して形成された有機薄膜は、以下の反応スキームIIIによって、系外からの水分(HO)によって加水分解し、撥水性又は疎
水性物質であるフッ化アルコール(R′−OH)を放出する。
すなわち、本発明の組成物は、加水分解によって生成したフッ化アルコールが撥水性又は疎水性のため、水分との反応により撥水機能又は疎水機能が付加されるという特徴を有する。
なお、下記構造式において、「O−M」又は「O−M」部のM又はMは、さらに置換基を有しているが、省略してある。
Figure 2019225743
本発明に係る金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの単量体は、下記一般式(1)で表される構造を有する金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを複数種有し、当該複数種の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの金属種がそれぞれ異なることが好ましい。また、それぞれ、下記一般式(1)で表される構造を有する金属種の異なる複数の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートから製造された下記一般式(3)で表される構造を有する金属種の異なる複数の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを主成分として含有することが好ましい。「主成分」とは、前記組成物の全体の質量のうち、70質量%以上が撥水性又は疎水性物質を放出する前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの総計であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であることをいう。
一般式(1)
M(OR(O−R)x−y
(式中、Rは、水素原子、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基又は複素環基を表す。ただし、Rは置換基としてフッ素原子を含む炭素鎖でもよい。Mは、金属原子を表す。ORは、フッ化アルコキシ基を表す。xは金属原子の価数、yは1とxの間の任意な整数を表す。)
一般式(3)
R−[M(OR(O−)x−y−R
(式中、Rは、水素原子、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、又は複素環基を表す。ただし、Rは置換基としてフッ素原子を含む炭素鎖でもよい。Mは、金属原子を表す。ORは、フッ化アルコキシ基を表す。xは金属原子の価数、yは1とxの間の任意な整数を表す。nは重縮合度をそれぞれ表す。)
本発明に係る有機金属酸化物は、ゾル・ゲル法を用いて作製できるものであれば特に制限はされず、例えば、「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社)P13及びP20に紹介されている金属、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ビスマス(Bi)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、鉛(Pb)、リン(P)、アンチモン(Sb)、バナジウム(V)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ランタン(La)、ネオジウム(Nd)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)、又は銀(Ag)の金属原子からを目的により、任意に選ぶことができる。
本発明では、一般式(1)で表される構造を有する金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを複数種有し、当該複数種の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの金属種がそれぞれ異なることが好ましい。複数種の金属原子が、Ti−Si、Ti−Ba、Ti−Sr、Ti−Ca、Ti−Mg、Ti−Zr、Ti−Zn、Ti−Cu、Zn−Cu、Zn−Si、Cu−Si、Ca−Bi−Ti、Sr−Bi−Ta又はBi−Feの金属原子の組み合わせのいずれかであることが、液安定性と吸水性の観点から好ましい。
上記一般式(1)及び一般式(3)において、ORはフッ化アルコキシ基を表す。
は少なくとも一つのフッ素原子が置換したアルキル基を表す。各置換基の具体例は後述する。
また、金属アルコキシド中に含まれるフッ素原子の数が、前記金属原子1個に対し4〜16の範囲内であることが本発明の組成物を重縮合して得られる膜の撥水性又は疎水性を大きくすることができることから好ましい。
Rは水素原子、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、又は複素環基を表す。又はそれぞれの基の水素原子の少なくとも一部をハロゲンで置換したものでもよい。また、ポリマーでもよい。
アルキル基は置換又は未置換のものであるが、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル等であるが、好ましくは炭素数が8以上のものがよい。またこれらのオリゴマー、ポリマーでもよい。
アルケニル基は、置換又は未置換のもので、具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキシセニル基等があり、好ましくは炭素数が8以上のものがよい。またこれらのオリゴマー又はポリマーでもよい。
アリール基は置換又は未置換のもので、具体例としては、フェニル基、トリル基、4−シアノフェニル基、ビフェニル基、o,m,p−テルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、9−フェニルアントラニル基、9,10−ジフェニルアントラニル基、ピレニル基等があり、好ましくは炭素数が8以上のものがよい。また、これらのオリゴマー又はポリマーでもよい。
置換又は未置換のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等でありが好ましくは炭素数が8以上のものがよい。また、これらのオリゴマー、ポリマーでもよい。
置換又は未置換のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボナン基、アダマンタン基、4−メチルシクロヘキシル基、4−シアノシクロヘキシル基等であり好ましくは炭素数が8以上のものがよい。また、これらのオリゴマー又はポリマーでもよい。
置換又は未置換の複素環基の具体例としては、ピロール基、ピロリン基、ピラゾール基、ピラゾリン基、イミダゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、インドール基、ベンズイミダゾール基、プリン基、キノリン基、イソキノリン基、シノリン基、キノキサリン基、ベンゾキノリン基、フルオレノン基、ジシアノフルオレノン基、カルバゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ビスベンゾオキサゾール基、ビスベンゾチアゾール基、ビスベンゾイミダゾール基等がある。またこれらのオリゴマー又はポリマーでもよい。
置換又は未置換のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピメロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、エライドイル基、マレオイル基、フマロイル基、シトラコノイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、グリコロイル基、ラクトイル基、グリセロイル基、タルトロノイル基、マロイル基、タルタロイル基、トロポイル基、ベンジロイル基、サリチロイル基、アニソイル基、バニロイル基、ベラトロイル基、ピペロニロイル基、プロトカテクオイル基、ガロイル基、グリオキシロイル基、ピルボイル基、アセトアセチル基、メソオキサリル基、メソオキサロ基、オキサルアセチル基、オキサルアセト基、レブリノイル基これらのアシル基にフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素などが置換してもよい。好ましくは、アシル基の炭素は8以上良い。また、これらのオリゴマー又はポリマーでもよい。
本発明に係る一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物を形成するための、金属アルコキシド、金属カルボキシレート及びフッ化アルコールの具体的な組み合わせについて、以下に例示する。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
前記金属種の異なる複数の金属アルコキシド、金属カルボキシレートのそれぞれとフッ化アルコール(R′−OH)は以下の反応スキームIVによって、本発明に係る有機金属酸化物となる。このフッ化アルコールとの反応をさらに繰り返すことにより、n個のフッ化アルコキシ基が置換した金属酸化物とすることができる。ここで、(R′−OH)としては、以下のF−1〜F−16の構造が例示される。
Figure 2019225743
Figure 2019225743
本発明に係る金属アルコキシド又は金属カルボキシレートは、以下のM(OR)又はM(OCOR)に示す化合物が例示され、本発明に係る有機金属酸化物は、前記(R′−OH:F−1〜F−16)との組み合わせにより、下記例示化合物番号1〜170の構造を有する化合物(下記例示化合物I〜IV参照。)となる。本発明に係る個々の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートは、これに限定されるものではない。
本発明では、上記した金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを複数種有し、当該複数種の金属アルコキシド又は金属カルボキシレート中の金属が異なることが好ましい。
また、当該金属は、2〜3種であることが好ましい。金属種の異なるそれぞれの金属アルコキシド又は金属カルボキシレートは、全体の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの総量に対して、それぞれ10〜90モル%の範囲内であることが好ましい。
Figure 2019225743
Figure 2019225743
Figure 2019225743
Figure 2019225743
本発明に係る有機金属酸化物を製造する有機金属酸化物の製造方法は、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートとフッ化アルコールの混合液を用いて製造することが好ましい。
前記有機金属酸化物の重縮合体が有機薄膜を形成し、以下の反応スキームVにより、水分を吸収して撥水性又は疎水性物質であるフッ化アルコールを放出する。
反応スキームVでは、金属種をTiで代表させたが、複数種の金属を用いても同様にR′−OHを放出することができる。なお、下記構造式において、「O−Ti」部の「Ti」は、さらに置換基を有しているが、省略してある。
Figure 2019225743
〔配位子〕
本発明の組成物は、配位子を含有し、前記配位子が、本発明に係る金属アルコキシド又は金属カルボキシレート中の金属原子に配位することのできるエーテル結合又はカルボニル基を有する単座配位子であることを特徴とする。このように単座配位子を用いることで、本発明の組成物が安定化し、過度の重合が抑えられ、かつ、溶媒を容易に除去でき、膜にしたとき吸水機能と撥水機能又は疎水機能を発現させることができる。
すなわち、本発明に係る単座配位性の化学種をフッ素置換された金属アルコキシド又は金属カルボキシレートに添加することで、単座配位性の化学種が金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの中心金属に配位する。結果的に金属アルコキシド又は金属カルボキシレートがさらに安定化し過度の重合を抑えられ、大気中での粒子サイズを小さく抑えることができる。さらに、単座配位性の化学種はキレート化剤よりも配位能力が低いため、より低温での乾燥で留去ができ、さらに膜にした際に吸水機能と撥水機能又は疎水機能も発現することができる。
このような、金属アルコキシド又は金属カルボキシレート中の金属原子に配位することのできるエーテル結合又はカルボニル基としては、ジブチルエーテルが挙げられる。
このような単座配位子は、下記一般式(2)で表されるエーテル結合を有する単座配位子であることが好ましい。
一般式(2)
−O−R
(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキル基を表す。)
このようなエーテル結合を有する単座配位としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル及びプロピルブチルエーテルなどを挙げることができる。
単座配位子は、金属アルコキシド又は金属カルボキシレート1モルに対して0.1〜4モルの範囲内、好ましくは1〜2モルの範囲内で用いることが好ましい。
〔有機薄膜〕
本発明の組成物が用いられる有機薄膜は、本発明の組成物を含む塗布液を調製し、塗布後、焼結又は紫外線を照射して重縮合させながら皮膜化することで、形成することができる。
塗布液を調製する際に必要であれば用いることのできる有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、又は、脂肪族エーテル又は脂環式エーテル等のエーテル類等が適宜使用できる。
塗布液における本発明の有機金属酸化物の濃度は、目的とする厚さや塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%程度であることが好ましい。塗布液には重合を促進する触媒を添加することも好ましい。
調製した塗布液は、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、インクジェットプリント法を含む印刷法などのパターニングによる方法などの湿式形成法が挙げられ、材料に応じて使用できる。これらのうち好ましいのは、インクジェットプリント法である。インクジェットプリント法については、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
インクジェットプリント法によるインクジェットヘッドからの塗布液の吐出方式は、オンデマンド方式及びコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型及びシェアードウォール型等の電気−機械変換方式、又は、サーマルインクジェット型及びバブルジェット(登録商標)型等の電気−熱変換方式等のいずれでもよい。
塗布後の有機薄膜を固定化するには、低温で重合反応が可能なプラズマやオゾンや紫外線を使うことが好ましい。
真空紫外線処理における紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ、UV光レーザー等が挙げられる。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材の形状によって適宜選定することができる。有機薄膜を形成する基材が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記のような紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することにより行うことができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材や組成物含有塗布液の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分間であり、好ましくは0.5秒〜3分間である。
塗膜面が受けるエネルギーとしては、均一で堅牢な薄膜を形成する観点から、3.0J/cm以上であることが好ましく、3.5J/cm以上であることがより好ましく、4.0J/cmであることがさらに好ましい。また、同様に、過度な紫外線照射を避ける観点から、14.0J/cm以下であることが好ましく、12.0J/cm以下であることがより好ましく、10.0J/cm以下であることがさらに好ましい。
また、エキシマランプを照射する際の、酸素濃度は300〜10000体積ppm(1体積%)とすることが好ましく、更に好ましくは、500〜5000体積ppmで
ある。このような酸素濃度の範囲に調整することにより、有機薄膜が酸素過多になるの
を防止して、水分吸収の劣化を防止することができる。
エキシマランプ照射時にこれら酸素以外のガスとしては乾燥不活性ガスを用いることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。
これらのエキシマランプ処理の詳細については、例えば、特開2012−086394号公報の段落0055〜0091、特開2012−006154号公報の段落0049〜0085、特開2011−251460号公報の段落0046〜0074等に記載の内容を参照することができる。
〔用途〕
本発明の組成物から形成される有機薄膜は、電子デバイス用有機材料であることが好ましい。
前記電子デバイスとしては、例えば、有機EL素子、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)、液晶素子、太陽電池(光電変換素子)、タッチパネル、液晶表示装置などのカラーフィルター等が挙げられる。特に、本発明においては、本発明の効果発現の観点から、電子デバイスが有機EL素子、太陽電池及び発光ダイオードであることが好ましい。
なお、本発明において、電子デバイス用有機材料とは、有機材料の固形成分のことをいい、有機溶媒を含まないものとする。
本発明に係る有機薄膜は、例えば、水と反応することにより、撥水性又は疎水性物質を放出する乾燥剤等として使用することができる。
さらに、本発明の組成物は、インクジェットディスペンサ液として用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
〔組成物の調製〕
(組成物1の調製)
水分濃度1ppm以下の乾燥窒素雰囲気下のグローブボックス内で、(a)チタニウムテトライソプロポキシド(Ti(OiPr))0.1Mと、(b)バリウムジイソプロポキシド(Ba(OiPr))0.1Mとをそれぞれ含有する脱水したイソプロピルアルコールを溶媒として溶液を2mL調製したゾル・ゲル液を組成物1とした。
(組成物2の調製)
水分濃度1ppm以下の乾燥窒素雰囲気下のグローブボックス内で、(a)チタニウムテトライソプロポキシド(Ti(OiPr))0.1Mと、(b)バリウムジイソプロポキシド(Ba(OiPr))0.1Mとをそれぞれ含有する脱水したイソプロピルアルコールを溶媒として溶液を2mL調製し、ガラスシリンジに封入した25℃・湿度50%RHの大気を40mLバブリングをして、すぐにグローブボックス内に戻したゾル・ゲル液を組成物2とした。
(組成物3〜10の調製)
組成物2の調製において、2種の金属アルコキシド(a)、(b)及び溶媒を表Iに示した脱水した溶媒を用いて溶液を2mL調製し、組成物2の調製と同様にバブリングをして、組成物3〜10とした。ただし、組成物8の調製に当たっては、溶媒に加えて単座配位子であるジブチルエーテルをさらに140μL(金属アルコキシド1molに対して2molの量)加えて溶液を調製後、大気をバブリングして組成物を調製した。
〔評価〕
上記作製した組成物1〜10について、液状態と平均粒子径を測定した。
(液状態)
上記作製した組成物1〜10について液状態を目視観察して、白濁しているか透明であるかを観察した。
(平均粒子径)
平均粒子径は、ゼータサイザーナノZS90(Malvern Panalytical社製)を用い、100個の粒子について3回の測定を行い、それぞれ得られる粒径の平均値を確認し、3回測定の平均値を平均粒子径とした。
以上の結果を表Iに示す。なお、なお以下の実施例で以下の略号を用いた。
IPA:イソプロピルアルコール
BuOH:ブチルアルコール
TFPO:テトラフルオロプロピルアルコール
OFPO:オクタフルオロペンタノール
DBE:ジブチルエーテル
EG:エチレングリコール
Figure 2019225743
表Iから、比較の組成物2及び3に対してフッ化アルコールを用いた組成5及び7は、平均粒子径が小さく液も透明であることが分かる。また、比較の組成3及び4に対してフッ化アルコールを用いた組成5及び6は、バブリング量を増やしても粒子サイズ小さく抑えることができ、大気中でより安定であることが分かる。さらに、Ti−Baの組み合わせだけでなく、組成物9からTi−Srの金属を組み合わせても液状態は透明で、平均粒子径も抑えられ大気中で安定であることが分る。
実施例2
〔組成物の作製〕
(組成物11の作製)
水分濃度1ppm以下の乾燥窒素雰囲気下のグローブボックス内で、(a)チタニウムテトライソプロポキシド(Ti(OiPr))0.1Mと、(b)シリコンテトライソプロポキシド(Si(OiPr))0.1Mとをそれぞれ含有する脱水したイソプロピルアルコールを溶媒として溶液を2mL調製し、液をシリコンウェハ上にスピン成膜(1000rpm,30秒)後、110℃30分乾燥させて形成した厚さ100nmの有機薄膜を組成物11とした。
(組成物12〜15の作製)
組成物11の作製において、金属アルコキシド2種及び溶媒を表IIに示した金属アルコキシド2種及び脱水した溶媒に変えて組成物11と同様にして組成物12〜15を作製した。ただし、組成物13では、配位子として二座配位子であるアセチルアセトン140μL(金属アルコキシド1molに対して2molの量)をさらに添加した後、これにガラスシリンジに封入した25℃・湿度50%RHの大気を40mLバブリングした液を組成物11同様にスピン製膜し、乾燥させて厚さ100nμmの有機薄膜を作製した。また組成物15では、単座配位子であるジブチルエーテル140μL(金属アルコキシド1molに対して2molの量)をさらに添加した後組成物11同様にスピン製膜し、乾燥させて厚さ100nmの有機薄膜を作製した。
〔評価〕
上記作製した膜状の組成物11〜15に対して、有機薄膜の性状及び屈折率を測定した。
(膜性)
有機薄膜の性状を膜性として以下の評価基準で評価した。
○:膜として形成しており手で触れても手に組成物が付着しない
△:膜の物理的耐性が弱く手で触れると手に組成物が付着する
×:膜が海島模様となっている。
(屈折率の測定)
上記作製した有機薄膜の屈折率を、分光エリプソメータ(UNECS−2000:株式会社アルバック製)を用いて波長650nmでの屈折率を測定した。
以上の結果を表IIに示す。
Figure 2019225743
表IIから、組成物13に対して、フッ化アルコールを用いた組成物14、更に単座配位子としてジブチルエーテルを添加した組成物15は、屈折率が向上していることが分る。屈折率が高いことは、有機薄膜は稠密化しおり、溶媒や添加物の揮発割合が高いことを表している。低温においても、溶媒の留去率が優れていることが確認できる。
実施例3
〔組成物の作製〕
(組成物21の作製)
水分濃度1ppm以下の乾燥窒素雰囲気下のグローブボックス内で、(a)チタニウムテトライソプロポキシド(Ti(OiPr))0.1Mと、(b)ストロンチウムジイソプロポキシド(Sr(OiPr))0.1Mとをそれぞれ含有する脱水したエチレングリコールを溶媒として溶液を2mL調製し、さらに、配位子として二座配位子であるアセチルアセトン140μL(金属アルコキシド1molに対して2molの量)を添加した後、これにガラスシリンジに封入した25℃・湿度50%RHの大気を40mLバブリングした液をシリコンウェハ上にスピン成膜(1000rpm、30秒)後、110℃30分乾燥させて形成した厚さ100nmの有機薄膜を組成物21とした。
(組成物22及び23の作製)
組成物21の作製において、金属アルコキシド2種、溶媒及び配位子を表IIIに示した
金属アルコキシド2種、脱水した溶媒及び配位子に変えて組成物21と同様にして厚さ100nmの有機薄膜を作製し組成物22及び23とした。
〔評価〕
上記作製した組成物21〜23を、さらに60℃90%の恒温恒湿層に1日放置した後の有機薄膜の吸水量を測定した。本発明の組成物は、系外からの水分によって加水分解し、撥水性又は疎水性物質であるフッ化アルコール(R′−OH)を放出する。このフッ化アルコールによって、有機薄膜に撥水性又は疎水性を付与することができる。
(吸水量)
重水(DO)と金属アルコキシドとの反応により、撥水性又は疎水性物質であるフッ化アルコール(R′−OD)が生成することから、R′−ODを検出することにより給水量を測定した。すなわち、DO雰囲気下に3時間放置後のR′−ODを検出した。検出は、昇温脱離分析装置TDS1200(電子科学株式会社製)を用いた。
以上の結果を表IIIに示す。
Figure 2019225743
表IIIから、比較の組成物21に対して、フッ化アルコキシド基を有する組成物22及
び23は有機薄膜にした後でも、高い吸水機能を有することが分る。
また、上記の結果は、Sr−Bi−Tiの3種の金属を有する本発明に係る組成物においても得られた。
本発明の組成物は、大気中でも安定で、低温乾燥で溶媒除去可能な膜を形成することができる。本発明の組成物から形成される有機薄膜は、電子デバイス用有機材料であることが好ましい。電子デバイスとしては、例えば、有機EL素子、発光ダイオード、液晶素子、太陽電池(光電変換素子)、タッチパネル、液晶表示装置などのカラーフィルター等に適用できる。特に、有機EL素子、太陽電池及び発光ダイオードに好ましく適用することができる。

Claims (7)

  1. 金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを含有する組成物であって、前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレートが、フッ化アルコキシ基を有する、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの単量体若しくは重合体であり、かつ複数種の金属原子を含むことを特徴とする組成物。
  2. 前記複数種の金属原子が、Ti−Si、Ti−Ba、Ti−Sr、Ti−Ca、Ti−Mg、Ti−Zr、Ti−Zn、Ti−Cu、Zn−Cu、Zn−Si、Cu−Si、Ca−Bi−Ti、Sr−Bi−Ta又はBi−Feの金属原子の組み合わせのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの単量体が、下記一般式(1)で表される構造を有する金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを複数種有し、当該複数種の金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの金属種がそれぞれ異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の組成物。
    一般式(1)
    M(OR(O−R)x−y
    (式中、Rは、水素原子、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基又は複素環基を表す。ただし、Rは置換基としてフッ素原子を含む炭素鎖でもよい。Mは、金属原子を表す。ORは、フッ化アルコキシ基を表す。xは金属原子の価数、yは1とxの間の任意な整数を表す。)
  4. 前記金属アルコキシド中に含まれるフッ素原子の数が、それぞれの金属アルコキシドの金属原子1個に対し4〜16の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
  5. 前記金属アルコキシド又は金属カルボキシレート中の金属原子に配位することのできるエーテル結合又はカルボニル基を有する単座配位子を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記単座配位子が、エーテル結合を有することを特徴とする請求項5に記載の組成物。
  7. 前記単座配位子が、下記一般式(2)で表されるエーテル結合を有する単座配位子であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の組成物。
    一般式(2)
    −O−R
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキル基を表す。)
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