JPWO2019221286A1 - 鋼板およびほうろう製品 - Google Patents

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Abstract

この鋼板は、所定の化学組成を有し、Ti<(N−0.0003)×3.43およびC>0.25×Ti+0.129×Nb+0.235×V+0.132×Zr+0.125×Mo+0.0652×W+0.0040を満足し、金属組織として、フェライトと、フェライトの結晶粒内にあるセメンタイトと、フェライトの結晶粒界にあるセメンタイトおよびパーライトの1種または2種とを含有し、フェライトの結晶粒内に、粒径が0.3〜1.5μmのセメンタイトが、個数密度が1.00×10−1個/μm2以下の範囲で存在し、フェライトの結晶粒界に、長径の平均値が0.5〜15μm、個数密度が5.00×10−4〜1.00×10−1個/μm2のセメンタイトおよびパーライトの1種または2種が存在し、BN中に含有されるN含有量である[N as BN]と鋼中に含有されるB含有量との関係が[N as BN]/(1.27×B)<0.95を満足する。

Description

本発明は、鋼板およびほうろう製品に関する。
本願は、2018年05月17日に、日本に出願された特願2018−095190号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ほうろう製品は、鋼板の表面にガラス質が焼き付けられたものである。ほうろう製品は、耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐水性の機能を有するので、従来、鍋類、流し台等の台所用品や建材等の材料として広く利用されている。このようなほうろう製品は一般に、鋼板を所定形状に加工後、溶接等により製品形状に組み立てられた後、ほうろう処理(焼成処理)が施されることで製造される。
ほうろう製品の素材として用いられる鋼板(ほうろう用鋼板)には、その特性として、耐焼成ひずみ性、ほうろう処理後の耐爪とび性、ほうろう密着性、ほうろう処理後の耐泡・黒点欠陥性等が求められる。加えて、ほうろう製品の製造においては、通常、製品形状を得るためにプレス加工されるので、ほうろう用鋼板には、良好な成形性が求められる。
また、ほうろう処理を施すことにより硫酸等が含まれる苛酷な腐食環境下での耐食性が向上するので、ほうろう製品は、発電設備等のエネルギー分野にも適用範囲が広がっている。このような分野においては、経年使用における疲労等への信頼性に対するニーズがあり、さらには、部品の軽量化を目的として、使用される鋼板の高強度化が求められている。上記の疲労等への信頼性に対しては、鋼板を製品形状に加工してからほうろう処理するまでの製造工程における鋼板の組織形態の変化、すなわち鋼板内での組織形態の違いによる強度変化が影響することが知られている。
これまで、ほうろう処理に伴う鋼板の組織形態の変化に関しては、結晶粒径の粗大化による耐爪とび性の劣化を防止する手法が、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、公知の高酸素鋼をベースに、介在物の組成、大きさ、形状、比率、個数を最適化すると同時に、Ni、Cr、V、Moを微量添加すること、さらに、必要に応じてNb、B、Tiを添加し、鋼板の製造条件を最適化することによって、繰り返しのほうろう処理を行った場合でも、耐爪とび性の低下を小さくすることが可能であることが記載されている。
また、特許文献2では、高酸素鋼のほうろう処理での結晶粒成長に伴う強度低下によって焼成中のたわみが発生して寸法精度が劣化する課題に対して、ほうろう用鋼板の組織形態、すなわちフェライト粒径を均一化して粒度分布を小さくすることが有効であることが記載されている。特許文献2では、鋼板の製造工程における、熱延鋼板の組織の微細化、焼鈍での粒成長の均一化のために、NiおよびCrの添加を行っている。
さらに、特許文献3では、高酸素鋼のほうろう処理での軟化抑制のために、酸化物の析出状態を規定している。特許文献3では、微細な酸化物を残存させて、ピン止め効果によりほうろう焼成工程での粒成長を抑制して軟化を抑制している。
特許文献1、2ともに、組織変化を伴うほうろう処理を行ったほうろう製品において、一定の特性確保が可能と考えられる。しかしながら、特許文献1、2では、ほうろう処理における結晶粒成長に関わる課題を解決するために、Niの添加を必須としている。すなわち、課題の解決には、高価な合金元素を添加する必要がある。また特許文献2に関しては、Cr添加により酸化物を粗大化させてフェライト粒成長を妨げにくくすることで、フェライトの粒径の均一性を向上させて異常粒成長を抑制し、混粒となることを抑制している。しかしながら、析出物や介在物のピン止めによる粒成長の抑制を用いないこの方法では、ほうろう処理中に部材中の温度が変動した場合に粒径の不均一が生じて、求める効果が得られない可能性も考えられる。この場合、ほうろう処理後の強度が安定的に得られない。
また、特許文献3については、酸素を高濃度に含有させた上で製鋼工程での製造条件を制御することで微細な酸化物を生成させて、その酸化物のピン止め力によりほうろう焼成時の粒成長を抑制している。このこと自体は優れた技術であると考えられる。そもそも特許文献3において酸素含有量を高くしている理由は、ほうろう用鋼板の重要な特性である耐爪とび性を担保するためである。
耐爪とび性を向上させる目的で含有酸素量を増加させて、水素のトラップサイトを形成する方法は、他にも特許文献4、特許文献5に記載されている。しかしながら、酸素含有量を増加させる方法では、ヘゲ疵などの酸化物起因の疵が生じる場合があり、製鋼コストが高くなるという問題がある。
そこで酸化物の活用以外の、粒成長を抑制し、耐爪とび性が確保できる技術開発が望まれている。
酸化物の活用以外の耐爪とび性を確保する技術として、特許文献4、特許文献5には、BNをトラップサイトとして活用する方法が開示され、特許文献6には、TiSを水素のトラップサイトとして活用する方法が開示されている。ただしTiS、BNを使用する方法ではS、B、Nなどの元素を多量に添加することになるので、多量の析出物が生成する。この場合、延性が低下する場合が考えられる上、元素の添加は製鋼コストの増加を招く。また、BNを活用する場合は高酸素の成分を用いる場合も多く、高酸素鋼を用いる場合の問題が残ることとなる。
高酸素鋼を用いず、BN、TiSも活用しない、耐爪とび性を担保する技術として、特許文献7には、低炭アルミキルド鋼を用いて、粗大なMnSと脱炭焼鈍を施すことにより生じるボイドをトラップサイトとして活用する技術が記載されている。特許文献7の技術では低炭アルミキルド鋼を用いるため製鋼コストは低位となるものの、脱炭焼鈍を施すので、高コストになるという問題がある。
日本国特開2001−316760号公報 日本国特開2000−063985号公報 日本国特許第6115691号公報 日本国特開平8−27522号公報 日本国特開平7−242997号公報 日本国特開平2−104640号公報 日本国特開平6−192727号公報
本発明は前述した鋼板の技術を発展させ、成形性、ほうろう処理後の耐爪とび性、ほうろう処理後の強度特性及びほうろう処理後の外観に優れる(泡、黒点の生成が抑制されている)鋼板と、ほうろう製品とを提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その発明の要旨は以下の通りである。
[1]本発明の一態様に係る鋼板は、化学組成が、質量%で、C:0.0050〜0.0700%、Si:0.0010〜0.0500%、Mn:0.0500〜1.0000%、P:0.0050〜0.1000%、S:0.0010〜0.0500%、Al:0.007〜0.100%、O:0.0005〜0.0100%、B:0.0003〜0.0100%、N:0.0010〜0.0100%、Ti:0〜0.0100%、Nb、Zr、V、Mo、Wのうち1種また2種以上を合計で0.0020〜0.0300%、Cu:0〜0.045%、Cr、Niの1種または2種を合計で0〜1.000%、As、Se、Ta、Sn、Sb、Ca、Mg、Y、REMの1種または2種以上を合計で0〜0.1000%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、式(1)および式(2)を満足し、金属組織として、フェライトと、前記フェライトの結晶粒内にあるセメンタイトと、前記フェライトの結晶粒界にあるセメンタイトおよびパーライトの1種または2種とを含有し、前記フェライトの前記結晶粒内に、粒径が0.3〜1.5μmのセメンタイトが、個数密度が1.00×10−1個/μm以下の範囲で存在し、前記フェライトの前記結晶粒界に、長径の平均値が0.5〜15μm、個数密度が5.00×10−4〜1.00×10−1個/μmのセメンタイトおよびパーライトの1種または2種が存在し、BN中に含有されるN含有量である[N as BN]と鋼中に含有されるB含有量との関係が式(3)を満足する鋼板。
Ti<(N−0.0003)×3.43 ・・・ 式(1)
C>0.25×Ti+0.129×Nb+0.235×V+0.132×Zr+0.125×Mo+0.0652×W+0.0040 ・・・ 式(2)
[N as BN]/(1.27×B)<0.95 ・・・式(3)
ただし、式(1)〜(3)における元素記号はその元素の質量%での含有量を表し、式(3)における[N as BN]は、BNに含有される質量%でのN含有量を表す。
[2]上記[1]に記載の鋼板では、質量%で、Cu:0.010〜0.045%含有してもよい。
[3]上記[1]または[2]に記載の鋼板では、質量%で、Cr、Niの1種または2種を合計で0.005〜1.000%含有してもよい。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鋼板では、質量%で、As、Se、Ta、Sn、Sb、Ca、Mg、Y、REMの1種または2種以上を合計で0.0005〜0.1000%含有してもよい。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の鋼板では、前記鋼板が冷延鋼板でってもよい。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の鋼板では、前記鋼板がほうろう用鋼板であってもよい。
[7]本発明の別の態様にかかるほうろう製品は、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の鋼板を備える。
本発明の上記態様に係る鋼板は、成形性、ほうろう処理後の耐爪とび性及びほうろう処理後の強度に優れる。また、ほうろう密着性、ほうろう処理後の外観にも優れる。そのため、台所用品、建材、エネルギー分野等に適用されるほうろう製品の基材である鋼板(ほうろう用鋼板)として好適である。
結晶粒界上に存在するセメンタイトおよびパーライトの長径の測定例を示す図である。
本実施形態に係る鋼板は、従来の鋼板の課題を克服するために種々の検討を重ねて得られたもので、鋼板の成形性、ほうろう処理後の耐爪とび性、およびほうろう処理後の強度特性の強度特性について、化学組成、製造条件の影響を検討した結果として得られた知見に基づく。
すなわち、以下の1)〜4)の知見に基づく。
1)ほうろう処理後の強度について、一定量以上のCの含有により固溶Cおよび鉄炭化物を活用することで、ほうろう処理時の粒成長を抑制し、強度低下を抑制することができる。特に軽加工が加わった場合のひずみ誘起粒成長に対しては、固溶Cおよび鉄炭化物の影響は大きいので、固溶Cおよび鉄炭化物を活用することで、ほうろう処理後の強度低下を抑制することができる。その機構は明らかではないが、下記の様に考えられる。ほうろう処理時には炭化物の溶解により固溶Cが存在する。固溶Cが存在している場合には粒界移動を抑制する効果とほうろう処理時にオーステナイトに変態して、フェライト粒界をピン止めして粒成長を抑制する効果が生じる可能性がある。また鉄炭化物も残存している場合には、ピン止め効果により粒成長を抑制する効果が考えられる。またNb、V、Zr、Mo、Wの炭化物形成元素を含有させることで、生成した炭化物のピン止め効果により粒成長を抑制し、強度低下を抑制することができる。また、ほうろう処理後の強度低下が小さい場合には、疲労強度の低下も抑制される。
2)また、Cを含有させることで、セメンタイトやパーライトが生成する。これらは水素のトラップサイトとして作用するので、高酸素鋼での鉄系酸化物、TiSやBNの析出量をある程度に制限しても十分な耐爪とび性を確保することができる。具体的には、セメンタイトのサイズや個数を制御することにより十分な耐爪とび性が得られる。
3)上記の析出物のうち、BNは水素のトラップサイトとしての機能が高いために、Ti含有量を制限してTiNとして析出するN量を低減させ、BNを残存させると耐爪とび性が向上する。
4)成形性について、鉄炭化物形成に影響を及ぼす元素であるC、固溶強化元素であるSi、Mn、P、析出強化に寄与する元素であるNb、Zr、V、Mo、W、介在物の生成に影響するOを適量に含有させることにより、強度の過度な上昇を押さえることで延性が確保できる。
以下、本実施形態に係る鋼板について詳しく説明する。本実施形態に係る鋼板は、ほうろう製品の基材として好適に用いられる。
<化学成分>
本実施形態に係る鋼板は、質量%で、C:0.0050〜0.0700%、Si:0.0010〜0.0500%、Mn:0.0500〜1.0000%、P:0.0050〜0.1000%、S:0.0010〜0.0500%、Al:0.007〜0.100%、O:0.0005〜0.0100%、B:0.0003〜0.0100%、N:0.0010〜0.0100%、Ti:0〜0.0100%、Nb、Zr、V、Mo、Wのうち1種また2種以上を合計で0.002〜0.0300%、Cu:0〜0.045%、Cr、Niの1種または2種を合計で0〜1.000%、As、Se、Ta、Sn、Sb、Ca、Mg、Y、REMの1種または2種以上を合計で0〜0.1000%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、下記の式(1)および式(2)を満足する。
また、本実施形態に係る鋼板は、BN中に含有されるN含有量である[N as BN]と鋼中に含有されるB含有量との関係が式(3)を満足する。
Ti<(N−0.0003)×3.43 ・・・ 式(1)
C>0.25×Ti+0.129×Nb+0.235×V+0.132×Zr+0.125×Mo+0.0652×W+0.0040 ・・・ 式(2)
[N as BN]/(1.27×B)<0.95 ・・・式(3)
ただし、式(1)〜式(3)における元素記号はその元素の含有量(質量%)を表し、式(3)における[N as BN]は、BNに含有されるN量(質量%)を表す。
また、本実施形態に係る鋼板は、質量%で、Cu:0.010〜0.045%を含有していてもよい。
また、本実施形態に係る鋼板は、質量%で、Cr、Niの1種または2種を合計で0.005〜1.000%を含有してもよい。
また、本実施形態に係る鋼板は、さらに、質量%で、As、Se、Ta、Sn、Sb、Ca、Mg、Y、REMの1種または2種以上を合計で0.0005〜0.1000%以下を含有してもよい。
以下、鋼板の化学成分を限定した理由を述べる。ここで、「%」は質量%を意味する。
C:0.0050〜0.0700%
C含有量が少ないほどセメンタイト、パーライト形成量が少なくなるので、耐爪とび性が低下し、ほうろう処理時の粒成長抑制効果も無くなって強度低下が生じる。また、C含有量が0.0700%を超えると泡欠陥によるピンホールを生じやすくなる。またセメンタイトまたはパーライトが多量に生成するために、延性が低下する。そのため、C含有量を、0.0050〜0.0700%とする。好ましくは0.0100〜0.0300%の範囲である。
Si:0.0010〜0.0500%
Siは固溶強化元素であり、ほうろう処理による強度低下を抑制する効果を有する元素でもある。ただしSi含有量が過剰であると延性が低下する上、製造コストが増加する。そのためSiの含有量を0.0010〜0.0500%とする。好ましくは0.0040〜0.0300%の範囲である。
Mn:0.0500〜1.0000%
Mnは、ほうろう用の鋼板の耐爪とび性に効果を発揮するBNの析出サイトとして用いられるMnSの生成に影響する重要な成分である。またMnS自体も耐爪とび性を向上させる効果を有する。さらにMnは、熱間圧延時にSに起因する熱間脆性を防止する元素である。これらの効果を得るため、Mn含有量を0.0500%以上とする。しかしながら、Mn含有量が過剰になると延性が劣化する。そのため、Mn含有量の上限を1.0000%以下とする。好ましくは0.0800〜0.5000%の範囲である。
P:0.0050〜0.1000%
Pは、鋼板の高強度化に対して有効な元素である。また、Pは、ほうろう処理による強度低下を抑制する効果を有する元素でもある。これらの効果を得るため、P含有量を0.0050%以上とする。一方でP含有量が過剰になると、ほうろう処理時にPが鋼板の粒界に高濃度に偏析し、泡・黒点等の要因となる場合がある。また、延性が低下する場合もある。このため、P含有量を0.1000%以下とする。好ましくは0.0500%以下である。
S:0.0010〜0.0500%
Sは、MnSを形成する元素である。この硫化物はBNの析出サイトとして作用し、耐爪とび性の向上に寄与する。またMnS自体も耐爪とび性を向上させる効果を有する。これらの効果を得るため、S含有量を0.0010%以上とする。望ましくは、0.0030%以上である。しかしながら、S含有量が過剰になると、MnS起因の疵が発生する場合がある。そのため、S含有量を0.0500%以下とする。好ましくは0.0300%以下とする。
Al:0.007〜0.100%
Alは脱酸元素として作用する元素である。Al含有量が少ないと脱酸効果が低く、介在物量が増加する。そのため、Al含有量を0.007%以上とする。一方、Al含有量が過剰であると延性が低下する。そのため、Al含有量を0.100%以下とする。好ましくは0.010〜0.060%の範囲である。
O:0.0005〜0.0100%
O含有量が多くなると、鉄酸化物が多量に生成して延性低下の原因となり、またヘゲ疵の原因となる。この観点ではO含有量はできるだけ低減した方が良い。しかしながら、過度にO含有量を低下させると製造コストが増加する。そのため、Oの含有量は0.0005〜0.0100%とする。好ましくは0.0010〜0.0070%の範囲である。
B:0.0003〜0.0100%
Bは、ほうろう用の鋼板の耐爪とび性を向上させる効果を有するBNを生成させるために含有される。またBNとならなかったBは固溶Bとして存在し、ほうろう処理中の結晶粒成長を抑制する。これらの効果を得るためにはB含有量を0.0003%以上とする必要がある。好ましくは0.0005%以上である。一方、B含有量が過剰になると結晶粒成長が著しく抑制されて延性が低下する。そのため、B含有量を0.0100%以下とする。好ましくは0.0030%以下である。
N:0.0010〜0.0100%
Nは、ほうろう用の鋼板の耐爪とび性を向上させる効果を有するBNを生成させるために必要な元素である。この効果を得るために、N含有量を0.0010%以上とする。一方、N含有量が過剰になると延性が低下する。そのため、N含有量を0.0100%以下とする。好ましくは0.0070%以下である。
Ti:0〜0.0100%
Tiは窒化物を容易に形成する元素であり、耐爪とび性に効果を発揮するBNの生成を阻害する元素である。そのため、極力含有させない方が望ましい。そこでTiの含有量を0〜0.0100%の範囲とする。好ましくは0.0050%以下である。ただし、Ti含有量を0.0003%以下とするには製造コストが増加する可能性がある。そのため、実製造の下限値は0.0003%としてもよい。
Nb、Zr、V、Mo、Wのうち1種また2種以上の合計:0.0020〜0.0300%
これらの元素は微細な炭化物を形成し、結晶粒成長を抑制する元素である。これらの元素の含有により、ほうろう処理時の結晶粒成長が抑制されて強度の低下が抑制される。ただし、これらの元素を過度に含有すると、延性が低下する。そのため、これらの元素の1種また2種以上の合計の含有量は0.0020〜0.0300%とする。好ましくは0.0030〜0.0200%である。
本実施形態においては、上記元素以外に下記元素を必要に応じて含有させることができる。これらの元素は含有させなくてもよいので下限は0%である。
Cu:0〜0.045%
Cuは、ほうろう処理時のガラス質と鋼との反応を制御するために含有させてもよい。上記効果を得る場合、Cu含有量を0.010%以上とすることが好ましい。Cuは0%でもよい。一方、Cu含有量が過剰になると、ガラス質と鋼との反応が阻害されるだけでなく、加工性が劣化する場合もある。そのため、このような悪影響を避けるには、Cu含有量を0.045%以下とすることが好ましい。
Cr、Niの1種以上:合計で0〜1.000%
Cr、Niは、鋼板とほうろう層との密着性を向上させる効果を有するので、これらを含有させてもよい。Cr、Niの合計含有量が0.005%以上の場合、ほうろう層との密着性を向上させる効果が顕著になるので好ましい。より好ましくは0.010%以上である。一方、Cr、Niの合計含有量が1.000%を超えると、密着性向上の効果は飽和し、機械的特性も低下する。Cr、Niを含有する場合は0.500%以下の含有でも効果がある程度見込める。よって、Cr、Niを含有する場合は、その含有量が合計で0.005〜1.000%になるようにする。好ましくは0.010〜0.500%である。
As、Se、Ta、Sn、Sb、Ca、Mg、Y、REMの1種以上:合計で0〜0.1000%
これらの元素は微量の含有で酸化物を形成し、耐爪とび性を向上させる効果を有する。ただし、過度に含有された場合には酸化物が多量に析出する。この酸化物が変形時に破断の起点となるので、延性が低下する。そのため、これらの元素の1種以上の含有量は、合計で0〜0.1000%とすることが好ましい。より好ましくは0.0005〜0.1000%である。さらに好ましくは0.0025〜0.0500%である。REMは、周期律表における原子番号57〜71のランタノイド元素の1種または2種以上をいう。
また、下記式(1)〜(3)を満足することにより、耐爪とび性がさらに向上し、ほうろう処理時の強度低下がさらに抑制される。
Ti<(N−0.0003)×3.43 ・・・ 式(1)
前述の通り、Tiは窒化物を容易に形成する元素であり、Tiを含有する場合でも耐爪とび性を向上させるBNを形成するためのNを残存させる必要がある。そこで、Ti含有量を式(1)の範囲に限定する。
C>0.25×Ti+0.129×Nb+0.235×V+0.132×Zr+0.125×Mo+0.0652×W+0.0040 ・・・ 式(2)
ほうろう処理時の強度低下抑制のためには上述のように固溶Cを存在させる、もしくは鉄炭化物の存在が必要である。このような効果を得るためにはTi、Nb、V、Zr、Mo、Wの合金炭化物を形成した場合でも固溶状態のCが残存している必要がある。そこで、C含有量を式(2)の範囲に限定する。
[N as BN]/(1.27×B)<0.95 ・・・ 式(3)
BはBNを形成させて耐爪とび性を向上させるために含有されるものの、固溶Bが残存している場合には、ほうろう処理時の粒成長を抑制して強度低下を抑制する効果が生じる。そこで、含有する全てのBをBNとして析出させないようにする。BN中に含有されるN含有量を示す[N as BN]は化学分析により定量可能であるので、この値を用いてBNの生成状態を規定し、粒成長抑制に効果のあるBN析出量の範囲を式(3)に規定する。[N as BN]は鋼の抽出残査(ブロムメタノール法)により求められる。
<金属組織>
本実施形態に係る鋼板の金属組織は、フェライト、セメンタイトおよび/またはパーライトを含有し、フェライトが主体の組織となる。より具体的には、本実施形態に係る鋼板の金属組織は、フェライトと、フェライトの結晶粒内にあるセメンタイトと、フェライトの結晶粒界にあるセメンタイトおよび/またはパーライトとを含有する。また、さらに、セメンタイト以外の炭化物、窒化物、酸化物の1種以上を含有していてもよい。フェライトは延性に優れるので、本実施形態に係る鋼板は、フェライトを主相とすることで、優れた加工性を実現できる。また、金属組織中にセメンタイトやパーライトが存在すると、ほうろう用鋼板の必要特性である耐爪とび性が向上する。これはフェライトとセメンタイトとの界面にほうろう処理中に生成する水素がトラップされることによると考えられる。一方、セメンタイトやパーライトが存在すると、ほうろう処理中に生成した水素が炭化水素ガスとして鋼板外に放出されることも考えられる。その場合には泡欠陥の原因ともなる。そこで含有するセメンタイト、パーライトのサイズ、個数密度を制限する必要がある。
まず、フェライトの結晶粒内のセメンタイトについて、粒径0.3〜1.5μmのセメンタイトの個数密度を1.00×10−1個/μm以下とする。フェライトの結晶粒内に微細に析出するセメンタイトは、ほうろう処理中に溶解して一酸化炭素もしくは二酸化炭素ガスとして放出されて泡欠陥を生じる。そのため、フェライトの結晶粒内にある微細な粒内炭化物の個数を1.00×10−1個/μm以下に制限する必要がある。粒径が1.5μm超の粒内セメンタイトは無害であるので特に規定しない。また、粒径が0.3μm未満のセメンタイトは泡欠陥を生じても耐爪とび性に及ぼす影響が小さい。このため、粒径が0.3〜1.5μmの粒内セメンタイトを測定して個数密度を評価する。一つのセメンタイトの粒径は長径と短径との平均とする。
次にフェライトの結晶粒界上に存在するセメンタイト及び/またはパーライトは、ほうろう処理時に水素の拡散経路に存在するので、水素をトラップして耐爪とび性を向上させる効果を有する。これらセメンタイト及び/またはパーライトの長径の平均値を0.5〜15μmに制限し、また、セメンタイト、パーライトの個数密度を5.00×10−4〜1.00×10−1個/μmに制限する。セメンタイト、パーライトの長径の平均値が0.5μm未満の場合、耐爪とび性向上の効果が少ない。また、ほうろう処理中に溶解し易くなり、一酸化炭素もしくは二酸化炭素ガスとして放出されることで、泡欠陥の原因となる。一方、長径の平均値が15μm超の場合、加工の際の破壊の起点となり、延性が低下する。従って、長径の平均値を0.5〜15μmとする。
また、個数密度が5.00×10−4個/μm未満の場合、耐爪とび性の向上効果が見られず、個数密度が1.00×10−1個/μm超の場合、変形時の破壊の起点となり、延性が低下する。そのため、フェライトの結晶粒界上に存在するセメンタイト及び/またはパーライトの個数密度を5.00×10−4〜1.00×10−1個/μmとする。セメンタイト及びパーライトは、いずれか一方が存在すればよく、両方が存在してもよい。また、ここでいうセメンタイトは、パーライトに含まれるラメラセメンタイトとは区別され、パーライト組織に含まれないセメンタイトを意味する。
セメンタイト及びパーライトは、鋼板の圧延方向断面を研磨した後にピクラール腐食を行い、光学顕微鏡で観察した際に黒いコントラストとして出現する。鋼板組織の代表点として、表面から板厚方向に板厚tの1/4の位置(1/4t)の部位を観察する。またピクラール腐食の程度を調整することにより、フェライト粒界も出現することができるため、セメンタイト、パーライトの観察位置と粒界との関係を判定することが可能である。観察は400〜1000倍の倍率で行うとよい。粒界に析出したセメンタイトが粒界三重点で連結している場合には、それぞれの粒界の辺に析出しているセメンタイトの長さを測定して合算する。パーライトの場合は複数のフェライト粒に囲まれている場合があるが、その場合もフェライト粒界に存在するとして個数を測定する。測定例の模式図を図1に示す。上記に記載のセメンタイトとパーライトの個数密度は、観察した個数を観察面積で除した値であり、その単位は個/μmとする。
例えば、図1において、セメンタイトaは、2つのフェライト結晶粒の間にある1つの粒界に存在しており、粒界に沿った長さLaを長径とする。セメンタイトbは、3つのフェライト結晶粒によって形成された2つの粒界に沿って存在しており、各粒界に沿った長さLb1とLb2の合計(Lb1+Lb2)を長径とする。セメンタイトcは、4つのフェライト結晶粒によって形成された3つの粒界に沿って存在しており、各粒界に沿った長さLc1〜Lc3の合計(Lc1+Lc2+Lc3)を長径とする。セメンタイトdは、3つのフェライト結晶粒によって形成された3つの粒界に沿って存在しており、各粒界に沿った長さLd1〜Ld3の合計長さ(Ld1+Ld2+Ld3)を長径とする。パーライトe〜iはそれぞれ、最大長径Le〜Liを長径とする。
また、ほうろう処理前の鋼板組織中のフェライトの平均結晶粒径は、表面から板厚方向に板厚tの1/4の位置(1/4t)において、30.0μm以下であるとよい。平均結晶粒径を30.0μm以下にすることで、鋼板の高強度化を図ることができる。好ましくは20.0μm以下、さらに好ましくは15.0μm以下である。高強度化を図る上では平均結晶粒径は小さい方が望ましいが、平均結晶粒径が小さくなるに従い、加工性が劣化する。そのため、所望の製品形状に対して最適な結晶粒径を決定する必要がある。
フェライトの平均結晶粒径は、JIS G0551:2013 附属書Bに記載の方形の試験線を用いる方法にて結晶粒1個当たりの平均結晶面積を求め、円相当直径として算出する。すなわち平均結晶面積をaとすると平均結晶粒径dは下記の式(4)で示される。
d=2√(a/π) ・・・式(4)
<製造方法>
本実施形態に係る鋼板の好ましい製造方法について説明する。
本実施形態に係る鋼板は、溶解、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍、調質圧延の工程を経て製造できる。各工程は、以下に示す条件以外は、常法に基づいて設定すればよい。
本実施形態に係る鋼板の製造上のポイントは、鋼板のセメンタイトおよびパーライトの析出状態の制御と、BNの析出状態の制御にある。上記で説明したように、フェライト粒内に析出する微細なセメンタイトの個数密度を制限する一方、フェライト粒界に生成するセメンタイト、パーライトのサイズと個数密度を制御することで、耐爪とび性を向上させることができ、泡欠陥も抑制することができる。またBNの析出状態を制御して、BNを析出させつつ固溶Bも残存させることにより、耐爪とび性を向上させ、更にほうろう処理時の粒成長を抑制して強度低下を抑制できる。
熱間圧延におけるスラブ加熱温度は1000〜1300℃、熱間圧延の仕上げ温度はAr3〜1000℃、Ar3+100℃以下の圧下率は25%超、圧延終了温度はAr3℃以上、巻取り温度は500〜800℃が好ましい。
1000℃未満でスラブを加熱した場合にはBNが生成し易くなり、固溶Bとして残存するB含有量が低下する懸念がある。スラブ加熱温度の上限は特に規定はしないが、経済的な理由で1300℃程度とすることが望ましい。
熱間圧延の仕上げ温度がAr3℃未満の場合には、圧延中にフェライトが生成して圧延後の冷却で変態が生じないので、その部位が粗大粒となり、結晶粒に不均一が生じる場合がある。また、仕上げ温度が1000℃超の場合には巻取り温度までの温度低下代が大きく、経済的でないため、仕上げ温度はAr3〜1000℃の範囲が好ましい。
仕上げ圧延を行う場合には、Ar3は以下の式(a)に示す鋼成分からの予測式を用いて推定する。この方法で予測したAr3に基づいて圧延条件を設定する。
Ar3(℃)=901−325×C−92×Mn+33×Si+287×P+40×Al−30 (a)
ただし、式(a)における元素記号(C、Mn、Si、P、Al)はその元素の含有量(質量%)を表す。
また、実際に仕上げ圧延温度がAr3℃未満であったかどうかは、実際の操業で仕上げ温度を変化させて熱間圧延を行い、圧延板のミクロ組織を観察して粗大粒の発生の有無をもって確認することができる。粗大粒は仕上げ温度がAr3℃を下回った部位に発生し、主に鋼板端部や表層に生じる。その平均粒径は板幅中心かつ板厚中心の平均粒径の1.5倍以上になる。
巻取り温度は特に制限はしないが、巻取り温度が500℃未満の場合には熱間圧延時に生成するセメンタイトやパーライトのサイズが小さくなり、冷延焼鈍後の炭化物に影響を及ぼす可能性が生じる。そのため、500℃以上が望ましい。さらに後工程の連続焼鈍にて過時効工程が無いラインの場合には巻取り温度は550℃以上が望ましい。また巻取り温度が800℃を超えた場合には表面に生成するスケールが厚くなり、後工程の酸洗でのコストが増加する。そのため、800℃以下が望ましい。
熱間圧延時のAr3+100℃以下の圧下率(累積圧下率)は25%超とする。Ar3+100℃以下の温度域での圧延率が25%以下となると、累積ひずみの効果が小さくなって、仕上げ圧延後に生じるフェライト変態もしくはフェライトパーライト変態の核生成サイトとなるγ粒界が少なくなり、セメンタイトもしくはパーライトの生成する密度が粗くなって粗大化する。このような熱延鋼板を用いると冷延焼鈍後の粒界のセメンタイト及び/またはパーライトの析出する密度が低下することが考えられる。またAr3+100℃以下の圧下率が25%以下となると、熱延鋼板の粒径が粗大となりr値が低下することが考えられる。プレス成形性を担保するためには、冷間圧延及び焼鈍後の圧延方向のr値もしくは圧延方向と圧延方向に対して直行する方向(以降、直行方向と記載)のr値の両方が0.8以上となることが好ましく、これを達成するため、Ar3+100℃以下の圧下率を25%超とすることが必要となる。
熱間圧延後は表面に生成したスケールを除去するために酸洗等を実施するが、その方法及び条件は特に規定しない。
熱間圧延後の熱延鋼板には、冷間圧延を行う。冷間圧延における圧下率(冷延率)は特に規定せず、それぞれの冷間圧延機に適した条件にて圧延すればよい。通常は圧下率50〜90%が望ましい。
冷間圧延後の冷延鋼板に連続焼鈍を行う。連続焼鈍工程は、鉄炭化物の形成に影響を及ぼす重要な工程である。焼鈍温度については、700〜850℃の範囲が望ましい。700℃以上の温度で焼鈍すると粒内の微細なセメンタイト量が溶解して減少して、泡欠陥を生じない程度の析出量に制御できる。焼鈍温度が700℃未満であると、セメンタイトの溶解が不十分となる。一方、850℃超で焼鈍を行うと鉄炭化物が溶解しすぎてしまい、耐爪とび性に効果のある大きさのセメンタイトおよびパーライトが残存しにくくなる。
昇温速度に関しては、鉄炭化物の溶解が生じる650℃から焼鈍温度までの昇温速度が大きすぎると鉄炭化物の溶解が少なく、微細な粒内炭化物が多く残存するため泡欠陥が生じやすい。従って650℃から焼鈍温度までの昇温速度は50℃/s以下が望ましい。連続焼鈍について、ほうろう用鋼板の製造法ではOCA(Open Coil Anneling)を用いて雰囲気中の露点を高めた脱炭焼鈍が行われることもあるが、本実施形態では脱炭焼鈍は行わない。その理由として、脱炭焼鈍を施すと鋼中の炭素濃度が低下して、また炭化物が消失して本実施形態に係る鋼板が目的とする炭化物状態を確保できないためである。この場合、フェライトの粒成長を抑制することができず、十分な強度が得られない場合がある。例えば、体積濃度3%の水素を含み、残部が窒素であり、露点が−40℃の雰囲気で焼鈍を行う。
連続焼鈍後に過時効処理を行う場合、200℃〜500℃の温度域で20s(秒)以上保持することが望ましい。この場合にはフェライトの結晶粒の粒界にあるセメンタイトが成長して耐爪とび性の向上が得られる。過時効処理を行う場合の熱間圧延時の巻取り温度は前述の通り500℃以上が望ましい。過時効処理の温度が200℃未満の場合には粒界にあるセメンタイトの成長の効果が十分で無く、500℃超では粒界のセメンタイトが大きく成長して、粒界のセメンタイトが大きくなりすぎる。過時効処理を行わない場合には熱間圧延時の巻取り温度を550℃以上とすることが望ましい。
この後、形状制御を主目的として調質圧延を施す。調質圧延においては形状の制御と同時に、調質圧延率により鋼板にひずみが導入される。このとき、調質圧延率が大きくなる、すなわち鋼板に導入されるひずみ量が多くなると、溶接あるいはほうろう処理時の異常粒成長を助長することとなる。このため、調質圧延率は形状制御が可能な圧延率を上限として、必要以上にひずみを付与することは望ましくない。形状制御の観点から、調質圧延の圧延率は2%以下が望ましい。
以上により所望の特性を有する冷延鋼板を得ることができる。得られた鋼板は、ほうろう製品の基材としてのほうろう用鋼板として用いることができる。
また、本実施形態に係る鋼板は、所定形状に加工後、溶接等により製品形状に組み立てられ、ほうろう処理(焼成処理)が施されることにより、ほうろう製品とされる。ほうろう処理については、例えば、釉薬を塗布した鋼板を、所定の温度に加熱して所定時間保持することによって、釉薬のガラス質と鋼板とを密着させればよい。本実施形態に係る鋼板についての好ましい焼成処理条件は、例えば、焼成温度750〜900℃、焼成時間1.5〜10分(在炉)の範囲がよい。また2回塗りおよび補修のために焼成を数回繰り返しても良い。このような条件で焼成処理を行うことにより、固溶C及び鉄炭化物によりほうろう処理中の粒成長を抑制し、強度低下を抑制できるようになる。ここに示した焼成処理の条件はあくまで例示であり、本実施形態に係る鋼板のほうろう処理の条件を限定するものではない。
表1−1A〜表1−3Bおよび表1−4A〜表1−4Bに示す化学組成(残部はFe及び不純物)の鋼を転炉で溶製し、連続鋳造によってスラブとした。これらのスラブを表2に記載の条件で鋼板を製造した。すなわち、スラブを加熱後、粗圧延および仕上げ圧延を行い、巻き取って熱延鋼板とした。そして、熱延鋼板を酸洗後、冷間圧延の圧延率を変化させて冷延鋼板とし、さらに、体積濃度3%の水素を含み残部が窒素であり、露点が−40℃である雰囲気で、連続焼鈍を施した後、調質圧延を施し、板厚0.8mmの鋼板とした。調質圧延後の板厚を一定とするために、冷間圧延の圧延率に対して熱延鋼板の板厚を変化させた。一部の鋼板については、焼鈍後に過時効処理を行った。
また、Ar3は上述の式(a)にて算出し、この値を用いてAr3+100℃以下(Ar3以上)の圧下率を設定した。製法No.C1〜C13では、Ar3+100℃以下の圧下率の狙いを30%以上、製法No.C14では、圧下率の狙いを25%とした。実際には、表3−1〜表3−4に示すような圧下率となった。
また熱延鋼板のミクロ組織観察により粗大粒の発生有無からAr3点との関係を確認した。具体的には、平均粒径が板幅中心かつ板厚中心の平均粒径の1.5倍以上になるものを粗大粒と判断した。表2に示す製法No.C1〜C14の熱間圧延仕上温度は、いずれも、Ar3〜1000℃の範囲内であったと考えられる。また、表2における加熱速度は、650℃〜焼鈍温度までの加熱速度である。
上記で製造した鋼板を下記に示す各種の方法にて、特性の評価を実施した。
<機械的特性>
機械的特性は、JIS Z2241:2011に従い、JIS5号試験片を用いて引張試験を行い、引張強度(Rm)および破断伸び(A)を測定した。強度の観点から引張強度が300MPa以上となるものを十分な強度を有すると判断し、成形性の観点から破断伸びが30%以上となるものを成形性に優れると判断した。
また圧延方向に平行、圧延方向と直角に試験片を採取した場合のr値(塑性ひずみ比)をJIS Z2254:2008に従って測定した。測定の結果、後述するd38を除いて圧延方向と直行方向のr値の両方が0.8以上であった。
<金属組織(フェライト、セメンタイト、パーライト)の観察>
鋼中の析出物は、冷間圧延の方向と平行な断面を研磨したのちピクラール腐食を行い、光学顕微鏡で観察することにより、フェライトの結晶粒内に存在するセメンタイト、結晶粒界に存在するセメンタイト及び/またはパーライトについて測定を行った。すなわち、鋼板の圧延方向断面を研磨した後にピクラール腐食を行った。鋼板組織(金属組織)の代表点として、表面から板厚方向に板厚tの1/4の位置(1/4t)の部位を観察した。セメンタイト及びパーライトは、光学顕微鏡で観察した際に黒いコントラストとして出現する。また、ピクラール腐食の程度を調整することにより、フェライト粒界を出現させ、セメンタイト、パーライトの観察位置と粒界の関係を判定した。観察は400〜1000倍の倍率で行った。粒界に析出したセメンタイトが粒界三重点で連結している場合には、それぞれの粒界の辺に析出しているセメンタイトの長さを測定して合算した。パーライトの場合は複数のフェライト粒に囲まれている場合があるが、その場合もフェライト粒界に存在するとして個数を測定した。測定例の模式図を図1に示した。セメンタイトとパーライトの個数密度は、観察した個数を観察面積で除した値であり、その単位は個/μmとした。
D1〜D89、d1〜d46は、いずれも、金属組織として、フェライトと、フェライトの結晶粒内にあるセメンタイトと、フェライトの結晶粒界にあるセメンタイトおよび/またはパーライトとを含有するものであった。
フェライトの平均結晶粒径は、JIS G0551:2013 附属書Bに記載の方形の試験線を用いる方法にて結晶粒1個当たりの平均結晶面積を求め、円相当直径として算出した。すなわち平均結晶面積をaとすると平均結晶粒径dは下記の式(5)で示される値とした。
d=2√(a/π) ・・・式(5)
<ほうろう処理後の強度特性>
また、ほうろう処理後の粒成長による強度低下を評価した。具体的には、プレス加工を模擬するために圧下率10%の冷間圧延を施した鋼板を、炉温830℃にて4分間のほうろう処理を模擬した熱処理を施し、上記と同様に引張試験により引張強度を求めて、熱処理前の強度に対する熱処理後の強度の割合を求めた。ほうろう処理後の引張強度がほうろう処理前の引張強度の0.85(85%)以上である場合にほうろう処理後の強度低下が抑制されていると判断した。
また、ほうろう特性は下記の様に調べた。
<耐爪とび性>
耐爪とび性は、100×150mmのサイズの鋼板を用い、粉体静電塗装法により乾式で、釉薬を100μm塗布し、大気中、炉温830℃にて5分間の焼成をしたものに対して評価を実施した。ほうろう処理後の鋼板を、160℃の恒温槽中に10時間入れる爪とび促進試験を行い、目視で爪とび発生状況を、A:優れる、B:わずかに優れる、C:通常、D:問題ありとする4段階で判定し、A、B、Cであれば所定の耐爪とび性が確保されていると判断し、D評価の場合を不合格とした。具体的には、Aは爪とびが全く生じなかった場合、Bは爪とびが1〜5個生じた場合、Cは爪とびが6〜15個発生した場合、Dは爪とびが15個以上発生した場合とした。
<ほうろう密着性>
ほうろう密着性は上記と同様にほうろう処理した鋼板を、通常行われているP.E.I.密着試験方法(ASTM C313−59)では密着性に差が出ないため、2kgの球頭の重りを1m高さから3回落下させ、変形部のほうろう剥離状態を169本の触診針で計測し、未剥離部の面積率で評価した。未剥離部の面積率が40%以上であれば十分な方法密着性を有すると判断した。
<外観>
ほうろう処理後の外観は上記と同様にほうろう処理した鋼板を目視観察し、泡・黒点の状況を観察し、A:非常に優れる、B:優れる、C:通常、D:わずかに劣る、E:著しく劣る、の5段階で評価し、A、B、C、Dであれば所定の外観が得られていると判断し、著しく劣るE評価の場合を不合格とした。
評価結果を表3−1〜表3−4に示す。No.D1〜D89では鋼成分、炭化物の析出状態、BNの析出状態が本発明の範囲内であり、良好な特性を示した。
No.d1は鋼板のC含有量が少ないため、また、No.d2はC含有量が過剰なため、機械的特性が劣位になった。
No.d3は鋼板のSi含有量が少ないため、また、No.d4はSi含有量が過剰なため、機械的特性が劣位になった。
No.d5は鋼板のMn含有量が少ないため、耐爪とび性が低下した。
No.d6は鋼板のMn含有量が過剰なため、機械的特性が劣位になった。
No.d7は鋼板のP含有量が少ないため、また、No.d8はP含有量が過剰なため、機械的特性が劣位になった。
No.d9は鋼板のS含有量が少ないため、耐爪とび性が低下した。
No.d10は鋼板のAl含有量が少ないため、また、No.d11はAl含有量が過剰なため、機械的特性が劣位になった。
No.d12は鋼板のB含有量が少ないため、耐爪とび性が低下した。また、No.d13はB含有量が過剰なため、機械的特性が劣位になった。
No.d14は鋼板のN含有量が少ないため、耐爪とび性が低下した。
No.d15は鋼板のN含有量が過剰なため、機械的特性が劣位になった。
No.d16は鋼板のTi含有量が過剰なため、耐爪とび性が低下した。
No.d17〜d20は、A群元素(Nb、Zr、V、Mo、W)の含有量が発明範囲を満たさないため、また、d21は鋼板のB群元素(Cr、Ni)の含有量が発明範囲を満たさないため、機械的特性が劣位になった。
No.d22及びd23は、鋼板の化学成分が(1)式を満足しないため、耐爪とび性が低下した。
No.d24及びd25は、鋼板の化学成分が(2)式を満足しないため、機械的特性が劣位になった。
No.d26〜d37は、鋼成分は本発明の範囲内であるものの、製造条件が好ましい範囲から外れたため、炭化物の析出状態やBNの析出状態が本発明の範囲外となり、良好な機械的特性およびほうろう特性が得られなかった例である。
No.d26、d29は、スラブの加熱温度が低く、BNが生成し易くなり、固溶Bとして残存するB含有量が低下し、(3)式が成立せず、機械的特性が劣位になった。
No.d27、d30は、熱間圧延後の巻取り温度が低く、熱間圧延時に生成するセメンタイトやパーライトのサイズが小さくなり、フェライト粒内のセメンタイトの個数密度が過剰になり、外観が劣位になった。
No.d28は、過時効温度が高く、粒界のセメンタイトが大きく成長して、粒界のセメンタイトが大きくなりすぎ、これによりフェライト粒界のセメンタイト及びパーライトの個数密度が不足し、耐爪とび性が低下した。
No.d31は、焼鈍時の加熱速度が上限を超えており、また、d32は、焼鈍温度が低すぎたため、フェライト粒内のセメンタイトの個数密度が過剰になり、外観が劣位になった。
No.d33、d36は、巻取り温度が高く、また、d34は、焼鈍温度が高すぎたため、フェライト粒界のセメンタイト及びパーライトの個数密度が不足し、耐爪とび性が低下した。
No.d35は、巻取り温度が低く、熱間圧延時に生成するセメンタイトやパーライトのサイズが小さくなり、フェライト粒内のセメンタイトの個数密度が過剰になり、外観が劣位になった。
No.d37は、過時効温度が低位で粒界のセメンタイトが成長せずに規定の範囲のセメンタイトやパーライトの個数密度が下限以下となり、耐爪飛び性が劣位になった。
No.d38は、(Ar3+100)℃からAr3の温度範囲における圧下率が十分ではなかったことで、セメンタイトおよびパーライトの粒界個数密度が小さくなった。また、圧延方向のr値が0.8未満と低位になった。
また、No.d39〜d46は、C群元素(As、Se、Ta、Sn、Sb、Ca、Mg、Y、REM)の含有量が発明範囲を満たさないため、機械的特性が劣位になった。
表3−1〜表3−4の結果から、本発明鋼の範囲では、ほうろう密着性、泡発生等の外観、耐爪とび性に優れ、さらにはほうろう処理による後の引張強度の低下を抑制できるほうろう用鋼板を提供することが可能であることが確認された。
Figure 2019221286
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本発明の上記態様に係る鋼板は、ほうろう処理後に、台所用品、建材、エネルギー分野等に適用される場合に、成形性、ほうろう処理後の耐爪とび性および強度特性に優れる。そのため、ほうろう用鋼板として好適であり、産業上利用可能性が高い。
[1]本発明の一態様に係る鋼板は、化学組成が、質量%で、C:0.0050〜0.0700%、Si:0.0010〜0.0500%、Mn:0.0500〜1.0000%、P:0.0050〜0.1000%、S:0.0010〜0.0500%、Al:0.007〜0.100%、O:0.0005〜0.0100%、B:0.0003〜0.0100%、N:0.0010〜0.0100%、Ti:0〜0.0100%、Nb、Zr、V、Mo、Wのうち1種また2種以上を合計で0.0020〜0.0300%、Cu:0〜0.045%、Cr、Niの1種または2種を合計で0〜1.000%、As、Se、Ta、Sn、Sb、Ca、Mg、Y、REMの1種または2種以上を合計で0〜0.1000%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、式(1)および式(2)を満足し、金属組織として、フェライトと、前記フェライトの結晶粒内にあるセメンタイトと、前記フェライトの結晶粒界にあるセメンタイトおよびパーライトの1種または2種とを含有し、前記フェライトの前記結晶粒内に、粒径が0.3〜1.5μmのセメンタイトが、個数密度が1.00×10−1個/μm以下の範囲で存在し、前記フェライトの前記結晶粒界に、長径の平均値が0.5〜15μm、個数密度が5.00×10−4〜1.00×10−1個/μmのセメンタイトおよびパーライトの1種または2種が存在し、表面から板厚方向に板厚tの1/4の位置における前記フェライトの平均結晶粒径が、8.0〜30.0μmであり、BN中に含有されるN含有量である[N as BN]と鋼中に含有されるB含有量との関係が式(3)を満足する鋼板。
Ti<(N−0.0003)×3.43 ・・・ 式(1)
C>0.25×Ti+0.129×Nb+0.235×V+0.132×Zr+0.125×Mo+0.0652×W+0.0040 ・・・ 式(2)
[N as BN]/(1.27×B)<0.95 ・・・式(3)
ただし、式(1)〜(3)における元素記号はその元素の質量%での含有量を表し、式(3)における[N as BN]は、BNに含有される質量%でのN含有量を表す。
[2]上記[1]に記載の鋼板では、質量%で、Cu:0.010〜0.045%含有してもよい。
[3]上記[1]または[2]に記載の鋼板では、質量%で、Cr、Niの1種または2種を合計で0.005〜1.000%含有してもよい。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鋼板では、質量%で、As、Se、Ta、Sn、Sb、Ca、Mg、Y、REMの1種または2種以上を合計で0.0005〜0.1000%含有してもよい。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の鋼板では、前記鋼板が冷延鋼板でってもよい。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の鋼板では、前記鋼板がほうろう用鋼板であってもよい。
[7]本発明の別の態様にかかるほうろう製品は、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の鋼板を備える。


Claims (7)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C :0.0050〜0.0700%、
    Si:0.0010〜0.0500%、
    Mn:0.0500〜1.0000%、
    P :0.0050〜0.1000%、
    S :0.0010〜0.0500%、
    Al:0.007〜0.100%、
    O :0.0005〜0.0100%、
    B :0.0003〜0.0100%、
    N :0.0010〜0.0100%、
    Ti:0〜0.0100%、
    Nb、Zr、V、Mo、Wのうち1種また2種以上を合計で0.0020〜0.0300%、
    Cu:0〜0.045%、
    Cr、Niの1種または2種を合計で0〜1.000%、
    As、Se、Ta、Sn、Sb、Ca、Mg、Y、REMの1種または2種以上を合計で0〜0.1000%、
    を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
    式(1)および式(2)を満足し、
    金属組織として、フェライトと、前記フェライトの結晶粒内にあるセメンタイトと、前記フェライトの結晶粒界にあるセメンタイトおよびパーライトの1種または2種とを含有し、
    前記フェライトの前記結晶粒内に、粒径が0.3〜1.5μmのセメンタイトが、個数密度が1.00×10−1個/μm以下の範囲で存在し、
    前記フェライトの前記結晶粒界に、長径の平均値が0.5〜15μm、個数密度が5.00×10−4〜1.00×10−1個/μmのセメンタイトおよびパーライトの1種または2種が存在し、
    BN中に含有されるN含有量である[N as BN]と鋼中に含有されるB含有量との関係が式(3)を満足する
    ことを特徴とする鋼板。
    Ti<(N−0.0003)×3.43 ・・・ 式(1)
    C>0.25×Ti+0.129×Nb+0.235×V+0.132×Zr+0.125×Mo+0.0652×W+0.0040 ・・・ 式(2)
    [N as BN]/(1.27×B)<0.95 ・・・式(3)
    ただし、式(1)〜(3)における元素記号はその元素の質量%での含有量を表し、式(3)における[N as BN]は、BNに含有される質量%でのN含有量を表す。
  2. 質量%で、Cu:0.010〜0.045%含有することを特徴とする請求項1に記載の鋼板。
  3. 質量%で、Cr、Niの1種または2種を合計で0.005〜1.000%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋼板。
  4. 質量%で、As、Se、Ta、Sn、Sb、Ca、Mg、Y、REMの1種または2種以上を合計で0.0005〜0.1000%含有することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の鋼板。
  5. 前記鋼板が冷延鋼板であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の鋼板。
  6. 前記鋼板がほうろう用鋼板であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の鋼板。
  7. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の鋼板を備えたほうろう製品。
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