JPWO2019220933A1 - ゴム組成物およびゴム架橋物 - Google Patents

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Abstract

環状オレフィン開環重合体と、炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する共重合体エラストマーと、架橋剤とを含有する、ゴム組成物。

Description

本発明は、ゴム組成物およびゴム架橋物に関する。
従来から、種々のポリマーを架橋して得られるゴム材料の開発が行われている。このようなゴム材料には、用途に応じて機械的強度、耐久性等の特性が付与されている。例えば、特許文献1には、天然ゴムとポリマー性接着改変剤と架橋剤を含有して形成されるフォームクッションが開示されている。
特表2004-524407号公報
近年のゴム材料の高機能化に伴い、耐圧縮永久歪性や耐寒性等が高度にバランス化されたゴム材料が求められている。
本発明の課題は、耐圧縮永久歪性および耐寒性が高度にバランスしたゴム架橋物が得られるゴム組成物を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、環状オレフィン開環重合体と、炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する共重合体エラストマーと、架橋剤とを含有する、ゴム組成物を提供する。
本発明の一態様によれば、耐圧縮永久歪性および耐寒性が高度にバランスしたゴム架橋物を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
<ゴム組成物>
本発明の実施形態に係るゴム組成物は、環状オレフィン開環重合体と、炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する共重合体エラストマーと、架橋剤とを含有する。
[環状オレフィン開環重合体]
本実施形態のゴム組成物に含まれる環状オレフィン開環重合体は、その主鎖を構成する繰返し単位として、環状(または環式)オレフィンを開環重合してなる繰返し単位を含有する重合体である。ここで、環状オレフィンを開環重合してなる繰返し単位は、環状オレフィン由来の構造単位を意味する。
環状オレフィン開環重合体を構成するための環状オレフィンとしては、特に限定されず、例えば、モノ環状オレフィン、モノ環状ジエン、モノ環状トリエン、多環の環状オレフィン、多環の環状ジエン、多環の環状トリエン等が挙げられる。
モノ環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロオクテン等が例示される。モノ環状ジエンとしては、1,5−シクロオクタジエン等が例示される。モノ環状トリエンとしては、1,5,9−シクロドデカトリエン等が例示される。また、多環の環状オレフィン、多環の環状ジエン、および多環の環状トリエンとしては、2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのノルボルネン化合物が例示される。
なお、環状オレフィン開環重合体を構成するための環状オレフィンは、置換基を有するものであっても、無置換であってもよい。また、上記の環状オレフィンは、1種単独で使用してもよく、または、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態では、環状オレフィン開環重合体を構成する環状オレフィンの中でも、モノ環状オレフィンが好ましく、シクロペンテンがより好ましい。すなわち、環状オレフィン開環重合体としては、モノ環状オレフィン開環重合体が好ましく、シクロペンテン開環重合体がより好ましい。
なお、環状オレフィン開環重合体は、環状オレフィンを開環重合してなる繰返し単位の割合が、環状オレフィン開環重合体中の全繰返し単位に対して80モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100%である。環状オレフィン由来の構造単位の含有割合を上記範囲とすることにより、環状オレフィン開環重合体のガラス転移温度を低くすることができる。これにより、本実施形態では、低温でのゴム特性を良好なものとすることができる。
本実施形態のゴム組成物において、環状オレフィン開環重合体の分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、好ましくは1,000,000以下であり、より好ましくは900,000以下であり、さらに好ましくは800,000以下である。また、重量平均分子量(Mw)の下限は特に限定されないが、好ましくは50,000以上、より好ましくは75,000以上、さらに好ましくは100,000以上である。環状オレフィン開環重合体がこのような分子量を有することにより、耐圧縮永久歪性が高いゴム組成物を得ることができる。
環状オレフィン開環重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.3以上であり、また、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。このようなMw/Mnを有することにより、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪性を向上させることができる。
本実施形態では、環状オレフィン開環重合体を構成する繰返し単位中に存在する二重結合におけるシスとトランスの比(以下、シス/トランス比という)は、特に限定されないが、5/95以上95/5以下の範囲にすることができる。また、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪性を適切に高める観点から、10/90以上90/10以下の範囲であることが好ましく、15/85以上85/15以下の範囲であることがより好ましい。
なお、シス/トランス比は、シス比率(環状オレフィン開環重合体を構成する全ての環状オレフィン由来の構造単位のうち、炭素−炭素二重結合がシス型である環状オレフィン由来の構造単位が占める割合を百分率で示したもの)として表すこともできる。シス/トランス比をこのシス比率で表すと、シス比率の上限は95%以下であり、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下であり、また、シス比率の下限は5%以上であり、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。
なお、環状オレフィン開環重合体のシス/トランス比(またはシス比率)を調整する方法としては、特に限定されず、例えば、環状オレフィンを重合して、環状オレフィン開環重合体を得る際に重合条件を制御する方法等が挙げられる。具体的には、環状オレフィンを重合する際の重合温度を高くするほど、シス比率を低く(トランス比率を高く)することができる。また、重合溶液におけるモノマー濃度を低くするほど、シス比率を低く(トランス比率を高く)することができる。なお、トランス比率は、環状オレフィン開環重合体を構成する全ての環状オレフィン由来の構造単位のうち、炭素−炭素二重結合がトランス型である環状オレフィン由来の構造単位が占める割合を百分率で示したものである。
また、環状オレフィン開環重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されず、例えば、ガラス転移温度の上限を−70℃以下に調整することができ、下限を−120℃以上に調整することができる。なお、環状オレフィン開環重合体のガラス転移温度の調整は、例えば、繰返し単位中に存在する二重結合におけるシス/トランス比等を制御することによって行うことができる。
本実施形態では、環状オレフィン開環重合体が融点を有するものであってもよい。この場合、環状オレフィン開環重合体の融点は、低温時のゴム特性を良好なものとする観点から、0℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましい。環状オレフィン開環重合体の融点は、繰返し単位中に存在する二重結合におけるシス/トランス比などを制御することによって、調整することができる。
本実施形態のゴム組成物では、環状オレフィン開環重合体において、その分子構造が、炭素原子と水素原子のみからなるものであってもよいが、分子構造中に炭素原子および水素原子以外の原子を含有してもよい。より具体的には、周期表第15族の原子、周期表第16族の原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる原子を含有する変性基を含有してもよい。
このような変性基としては、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる原子を含有する変性基が好ましく、これらの中でも、窒素原子、酸素原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる原子を含有する変性基がより好ましく、ケイ素原子を含有する変性基がさらに好ましい。
窒素原子を含有する変性基としては、アミノ基、ピリジル基、イミノ基、アミド基、ニトロ基、ウレタン結合基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。酸素原子を含有する変性基としては、水酸基、カルボン酸基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルデヒド基、エポキシ基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。リン原子を含有する変性基としては、リン酸基、ホスフィノ基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。硫黄原子を含有する変性基としては、スルホニル基、チオール基、チオエーテル基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。ケイ素原子を含有する変性基としては、アルキルシリル基、オキシシリル基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。
また、変性基としては、上述した基を複数含有する変性基であってもよい。これらのうち、環状オレフィン開環重合体の耐熱老化性を向上させ、さらに得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪性を向上させる観点から、アミノ基、ピリジル基、イミノ基、アミド基、水酸基、カルボン酸基、アルデヒド基、エポキシ基、オキシシリル基、またはこれらの基を含む炭化水素基が好ましく、中でも、オキシシリル基が特に好ましい。なお、オキシシリル基とは、ケイ素−酸素結合を有する基をいう。
オキシシリル基の具体例としては、アルコキシシリル基、アリーロキシシリル基、アシロキシシリル基、アルキルシロキシシリル基、アリールシロキシシリル基、またはヒドロキシシリル基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシシリル基が特に好ましい。
アルコキシシリル基は、1つ以上のアルコキシ基がケイ素原子と結合してなる基である。アルコキシシリル基の具体例としては、トリメトキシシリル基、(ジメトキシ)(メチル)シリル基、(メトキシ)(ジメチル)シリル基、トリエトキシシリル基、(ジエトキシ)(メチル)シリル基、(エトキシ)(ジメチル)シリル基、(ジメトキシ)(エトキシ)シリル基、(メトキシ)(ジエトキシ)シリル基、トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基等が挙げられる。
アリーロキシシリル基は、1つ以上のアリーロキシ基がケイ素原子と結合してなる基である。アリーロキシシリル基の具体例としては、トリフェノキシシリル基、(ジフェノキシ)(メチル)シリル基、(フェノキシ)(ジメチル)シリル基、(ジフェノキシ)(エトキシ)シリル基、(フェノキシ)(ジエトキシ)シリル基等が挙げられる。なお、これらのうち、(ジフェノキシ)(エトキシ)シリル基、(フェノキシ)(ジエトキシ)シリル基は、アリーロキシ基に加え、アルコキシ基をも有するため、アルコキシシリル基にも分類できる。
アシロキシシリル基は、1つ以上のアシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基である。アシロキシシリル基の具体例としては、トリアシロキシシリル基、(ジアシロキシ)(メチル)シリル基、(アシロキシ)(ジメチル)シリル基等が挙げられる。
アルキルシロキシシリル基は、1つ以上のアルキルシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基である。アルキルシロキシシリル基の具体例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基、トリメチルシロキシ(ジメチル)シリル基、トリエチルシロキシ(ジエチル)シリル基、トリス(ジメチルシロキシ)シリル基等が挙げられる。
アリールシロキシシリル基は、1つ以上のアリールシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基である。アリールシロキシシリル基の具体例としては、トリス(トリフェニルシロキシ)シリル基、トリフェニルシロキシ(ジメチル)シリル基、トリス(ジフェニルシロキシ)シリル基等が挙げられる。
ヒドロキシシリル基は、1つ以上のヒドロキシ基がケイ素原子と結合してなる基である。ヒドロキシシリル基の具体例としては、トリヒドロキシシリル基、(ジヒドロキシ)(メチル)シリル基、(ヒドロキシ)(ジメチル)シリル基、(ジヒドロキシ)(エトキシ)シリル基、(ヒドロキシ)(ジエトキシ)シリル基等が挙げられる。なお、これらのうち、(ジヒドロキシ)(エトキシ)シリル基、(ヒドロキシ)(ジエトキシ)シリル基は、ヒドロキシ基に加え、アルコキシ基をも有するため、アルコキシシリル基にも分類できる。
環状オレフィン開環重合体が、このような変性基を有する場合のその変性基の導入位置は、特に限定されないが、その導入効果をより高めるという観点から、重合体鎖の末端に変性基(末端変性基)を有していることが好ましい。
環状オレフィン開環重合体がこのような末端変性基を有する態様は、一方の重合体鎖末端(片末端)のみに変性基が導入されたものであっても、両方の重合体鎖末端(両末端)に変性基が導入されたものであってもよく、また、これらが混在したものであってもよい。さらに、これらと、重合体鎖末端に特定の変性基が導入されていない未変性の環状オレフィン開環重合体とが混在していてもよい。
環状オレフィン開環重合体が、このような末端変性基を有する場合において、環状オレフィン開環重合体の重合体鎖末端における、変性基の導入割合は、特に限定されず、例えば、変性基が導入された環状オレフィン開環重合体鎖末端数/環状オレフィン開環重合体鎖数の百分率の値として、60%以上に調整することができ、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上に調整することができる。なお、重合体鎖末端への変性基の導入割合を測定する方法としては、特に限定されず、例えば、H−NMRスペクトル測定により求められる変性基に対応するピーク面積比と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求められる数平均分子量とから求めることができる。
環状オレフィン開環重合体は、環状オレフィン開環重合体の特性を維持する限り、環状オレフィンと共重合可能なその他の単量体に由来する繰返し単位を含有していてもよい。共重合可能なその他の単量体に由来する繰返し単位の割合は、全繰返し単位に対して20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。
なお、環状オレフィンと共重合可能なその他の単量体は、置換基を有するものであっても、無置換であってもよい。また、上記環状オレフィンと共重合可能なその他の単量体は、1種単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態において、環状オレフィン開環重合体の製造方法は、特に限定されず、例えば、以下に説明する方法により、環状オレフィン開環重合体を合成することができる。
具体的には、環状オレフィン開環重合体は、周期表第6族遷移金属化合物(以下、6族遷移金属化合物という)と下記一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(以下、有機アルミニウム化合物という)とを含む重合触媒の存在下で、環状オレフィンを含む単量体を開環重合することにより得ることができる。
(R3−xAl(OR (1)
(上記一般式(1)中、RおよびRは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、xは、0<x<3である。)
周期表第6族遷移金属化合物(6族遷移金属化合物)は、周期表(長周期型周期表)の第6族遷移金属原子を有する化合物であり、具体的には、クロム原子、モリブデン原子、またはタングステン原子を有する化合物である。このうち、モリブデン原子を有する化合物、またはタングステン原子を有する化合物が好ましく、特に、環状オレフィンに対する溶解性が高いという観点から、タングステン原子を有する化合物がより好ましい。また、周期表第6族遷移金属原子を有する化合物は、特に限定されないが、周期表第6族遷移金属原子のハロゲン化物、アルコラート、アリレート、オキシ化物等が挙げられ、これらの中でも、重合活性が高いという観点から、ハロゲン化物が好ましい。
このような6族遷移金属化合物の具体例としては、モリブデンペンタクロリド、モリブデンオキソテトラクロリド、モリブデン(フェニルイミド)テトラクロリド等のモリブデン化合物;タングステンヘキサクロリド、タングステンオキソテトラクロリド、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド、モノカテコラートタングステンテトラクロリド、ビス(3,5−ジ−ターシャリ−ブチル)カテコラートタングステンジクロリド、ビス(2−クロロエテレート)テトラクロリド、タングステンオキソテトラフェノレート等のタングステン化合物;等が挙げられる。
6族遷移金属化合物の使用量は、「重合触媒中の第6族遷移金属原子:環状オレフィンを含む単量体」のモル比で、1:100〜1:200,000の範囲にすることができ、好ましくは1:200〜1:150,000、より好ましくは1:500〜1:100,000の範囲である。6族遷移金属化合物の使用量が少なすぎると、重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、多すぎると、環状オレフィン開環重合体からの触媒残渣の除去が困難となり、得られるゴム組成物の耐圧縮永久歪性が低下する場合がある。
有機アルミニウム化合物は、上記一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)においてRおよびRで表される炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;等が挙げられる。
なお、一般式(1)で示される化合物においてRおよびRで表される基は、同じであっても、また異なっていてもよい。本実施形態では、得られる環状オレフィン開環重合体のシス比率を上述した好適な範囲に制御できるという点より、RおよびRのうち、少なくともRは、炭素原子が4個以上連続して結合してなるアルキル基であることが好ましく、特に、n−ブチル基、2−メチル−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、またはn−デシル基であることがより好ましい。
また、上記一般式(1)において、xは、0<x<3である。すなわち、一般式(1)においては、RとORとの組成比は、それぞれ0<3−x<3、および0<x<3の各範囲において、任意の値をとることができるが、重合活性を高くでき、しかも、得られる環状オレフィン開環重合体のシス比率を上述した好適な範囲に制御できるという点で、xは、0.5<x<1.5であることが好ましい。
有機アルミニウム化合物は、例えば、下記一般式(2)に示すように、トリアルキルアルミニウムと、アルコールとの反応によって合成することができる。
(RAl + xROH → (R3−xAl(OR + (RH (2)
なお、上記一般式(1)中のxは、上記一般式(2)に示すように、対応するトリアルキルアルミニウムとアルコールの反応比を規定することによって、任意に制御することが可能である。
有機アルミニウム化合物の使用量は、用いる有機アルミニウム化合物の種類によっても異なるが、6族遷移金属化合物を構成する周期表第6族遷移金属原子に対して、好ましくは0.1倍モル以上100倍モル以下、より好ましくは0.2倍モル以上50倍モル以下、さらに好ましくは0.5倍モル以上20倍モル以下の割合である。有機アルミニウム化合物の使用量が少なすぎると、重合活性が不十分となる場合があり、多すぎると、開環重合時において、副反応が起こりやすくなる傾向にある。
本実施形態において、環状オレフィンを含む単量体を開環重合する反応(以下、開環重合反応という)は、無溶媒で行ってもよいし、溶液中で行なってもよい。開環重合反応を溶液中で行う際に用いる溶媒としては、重合反応において不活性であり、開環重合に用いる環状オレフィンや、上述した重合触媒を溶解可能な溶媒であれば、特に限定されず、例えば、炭化水素系溶媒またはハロゲン系溶媒等が挙げられる。
炭化水素系溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;等が挙げられる。また、ハロゲン系溶媒の具体例としては、ジクロロメタン、クロロホルム等のアルキルハロゲン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン;等が挙げられる。
また、開環重合反応の重合反応系に、上述した変性基を有し、かつ、メタセシス反応性を有するオレフィン性炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物(以下、変性基含有オレフィン性不飽和炭化水素という)を存在させてもよい。このような変性基含有オレフィン性不飽和炭化水素の存在により、環状オレフィン開環重合体の重合体鎖末端に変性基を導入することができる。例えば、環状オレフィン開環重合体の重合体鎖末端にオキシシリル基を導入する場合には、オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素を重合反応系に存在させればよい。
このようなオキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素の例としては、環状オレフィン開環重合体の重合体鎖の一方の末端(片末端)のみに変性基を導入するものとして、ビニル(トリメトキシ)シラン、ビニル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリメトキシ)シラン、アリル(メトキシ)(ジメチル)シラン、アリル(トリエトキシ)シラン、アリル(エトキシ)(ジメチル)シラン、スチリル(トリメトキシ)シラン、スチリル(トリエトキシ)シラン、2−スチリルエチル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリエトキシシリルメチル)エーテル、アリル(トリエトキシシリルメチル)(エチル)アミン等のアルコキシシラン化合物;ビニル(トリフェノキシ)シラン、アリル(トリフェノキシ)シラン、アリル(フェノキシ)(ジメチル)シラン等のアリーロキシシラン化合物;ビニル(トリアセトキシ)シラン、アリル(トリアセトキシ)シラン、アリル(ジアセトキシ)メチルシラン、アリル(アセトキシ)(ジメチル)シラン等のアシロキシシラン化合物;アリルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のアルキルシロキシシラン化合物;アリルトリス(トリフェニルシロキシ)シラン等のアリールシロキシシラン化合物;1−アリルヘプタメチルトリシロキサン、1−アリルノナメチルテトラシロキサン、1−アリルノナメチルシクロペンタシロキサン、1−アリルウンデカメチルシクロヘキサシロキサン等のポリシロキサン化合物;等が挙げられる。また、環状オレフィン開環重合体の重合体鎖の両方の末端(両末端)に変性基を導入するものとして、1,4−ビス(トリメトキシシリル)−2−ブテン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテン、1,4−ビス(トリメトキシシリルメトキシ)−2−ブテン等のアルコキシシラン化合物;1,4−ビス(トリフェノキシシリル)−2−ブテン等のアリーロキシシラン化合物;1,4−ビス(トリアセトキシシリル)−2−ブテン等のアシロキシシラン化合物;1,4−ビス[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]−2−ブテン等のアルキルシロキシシラン化合物;1,4−ビス[トリス(トリフェニルシロキシ)シリル]−2−ブテン等のアリールシロキシシラン化合物;1,4−ビス(ヘプタメチルトリシロキシ)−2−ブテン、1,4−ビス(ウンデカメチルシクロヘキサシロキシ)−2−ブテン等のポリシロキサン化合物;等が挙げられる。
オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素等の変性基含有オレフィン性不飽和炭化水素の使用量は、製造する環状オレフィン開環重合体の分子量に応じて適宜選択すればよい。例えば、重合に用いる環状オレフィンを含む単量体に対して、モル比で、1/100以上1/100,000以下の範囲とすることができ、好ましくは1/200以上1/50,000以下、より好ましくは1/300以上1/10,000以下の範囲である。なお、変性基含有オレフィン性不飽和炭化水素は、環状オレフィン開環重合体の重合体鎖末端への変性基の導入作用に加え、分子量調整剤としても作用する。変性基含有オレフィン性不飽和炭化水素の使用量が少なすぎると、末端変性基含有環状オレフィン開環重合体における変性基の導入率が低くなり、多すぎると得られる末端変性基含有環状オレフィン開環重合体の分子量が低くなるおそれがある。
また、環状オレフィン開環重合体に、上述した変性基を導入しない場合には、得られる環状オレフィン開環重合体の分子量を調整するために、分子量調整剤として、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のモノオレフィン化合物や、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等のジオレフィン化合物を用い、これを重合反応系に添加してもよい。分子量調整剤の使用量は、上述した変性基含有オレフィン性不飽和炭化水素と同様の範囲から適宜選択すればよい。
重合反応温度は、特に限定されないが、好ましくは−100℃以上であり、より好ましくは−50℃以上、さらに好ましくは−20℃以上、特に好ましくは0℃以上である。また、重合反応温度の上限は特に限定されないが、好ましくは100℃未満であり、より好ましくは90℃未満、さらに好ましくは80℃未満、特に好ましくは70℃未満である。重合反応時間は、特に限定されないが、好ましくは1分間以上72時間以下、より好ましくは10分間以上20時間以下である。
また、上述した6族遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とを含む重合触媒を用いる方法に代えて、ルテニウムカルベン錯体を重合触媒として用い、ルテニウムカルベン錯体の存在下で、環状オレフィンを含む単量体を開環重合する方法により、環状オレフィン開環重合体を製造することもできる。
ルテニウムカルベン錯体は、環状オレフィンの開環重合触媒となるものであれば、特に限定されない。ルテニウムカルベン錯体の具体例としては、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)−3,3−ジフェニルプロペニリデンルテニウムジクロリド、(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリド等を挙げることができる。
ルテニウムカルベン錯体の使用量は、特に限定されないが、触媒中の金属ルテニウムと環状オレフィンを含む単量体とのモル比で、1:2,000〜1:2,000,000の範囲とすることができ、好ましくは1:5,000〜1:1,500,000、より好ましくは1:10,000〜1:1,000,000の範囲である。ルテニウムカルベン錯体の使用量が少なすぎると、重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、多すぎると、得られる環状オレフィン開環重合体からの触媒残渣の除去が困難となる。
重合触媒として、ルテニウムカルベン錯体を使用する場合における、開環重合反応は、無溶媒で行ってもよいし、溶液中で行なってもよい。開環重合反応を溶液中で行う際に用いる溶媒としては、上述した6族遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とを含む重合触媒を用いる場合と同様の溶媒(炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒等)を使用することができる。
また、ルテニウムカルベン錯体を重合触媒として用いる場合の重合反応温度および重合反応時間は、上述した6族遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とを含む重合触媒を用いる場合の重合反応温度および重合反応時間と同様である。
そして、上記した6族遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とを含む重合触媒を用いる方法、または、重合触媒としてルテニウムカルベン錯体を用いる方法により得られた環状オレフィン開環重合体には、フェノール系安定剤、リン系安定剤、硫黄系安定剤等の老化防止剤を任意に添加してもよい。老化防止剤の添加量は、その種類等に応じて適宜決定すればよい。さらに、得られた環状オレフィン開環重合体には、伸展油を任意に配合してもよい。重合体溶液として環状オレフィン開環重合体を得た場合において、重合体溶液から重合体を回収するためには、公知の回収方法を採用すればよく、例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、固体をろ別し、さらにそれを乾燥して固形状ゴムを取得する方法等が採用できる。
[炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する共重合体エラストマー]
本実施形態のゴム組成物は、上述の環状オレフィン開環重合体に加えて、炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する共重合体エラストマーを有する。炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する共重合体エラストマーは、二種以上の単量体単位を有し、かつエチレン性の二重結合を1つ以上含む(不飽和の)共重合体のエラストマー(以下、共重合体エラストマーという)である。本明細書において、エラストマーは、常温でゴム弾性を示すポリマーを示し、ゴムおよび熱可塑性エラストマーを含む概念である。
このような共重合体エラストマーとしては、特に限定されないが、例えば、非共役ジエン単量体単位を有する多元共重合体ゴム等が好ましく、より好ましくは非共役ジエン単量体単位を有する三元共重合体ゴムであり、さらに好ましくは非共役ジエン単量体単位を有するエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)である。
なお、多元共重合体ゴムに含まれる非共役ジエン単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、1,4−ヘキサジエン(HD)、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロドデカジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、ビシクロ−1,5−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエン等が挙げられる。
これらの中でも、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、およびジシクロペンタジエン(DCPD)が好ましく、より好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、1、4−ヘキサジエン(HD)およびジシクロペンタジエン(DCPD)であり、さらに好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)である。すなわち、共重合体エラストマーとしては、非共役ジエン単量体単位を有する多元共重合体ゴムの中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)単量体単位を有するエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が特に好ましい。
共重合体エラストマーの含有量は、環状オレフィン開環重合体と共重合体エラストマーとの合計である全成分に対して、好ましくは20〜80重量%以上であり、より好ましくは25〜75重量%以上であり、さらに好ましくは30〜70重量%以上である。共重合体エラストマーの含有量をこのような範囲にすることで、耐圧縮永久歪性および耐寒性を向上させることができる。
本実施形態のゴム組成物には、その他のエラストマー成分が含まれていてもよい。この場合、その他のエラストマー成分の含有量は、特に限定されないが、本発明の効果をより顕著なものとする観点から、環状オレフィン開環重合体と共重合体エラストマーとの合計である全成分に対して、好ましくは5重量%以上50重量%以下であり、より好ましくは5重量%以上30重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以上20重量%以下である。
[架橋剤]
本発明の実施形態に係るゴム組成物は、上述の環状オレフィン開環重合体および共重合体エラストマーに加え、架橋剤を有する。架橋剤は、上述の環状オレフィン開環重合体および共重合体エラストマーを架橋し、さらに環状オレフィン開環重合体と共重合体エラストマーとを共架橋し得るものと考えられる。
本実施形態では、このような架橋剤が上述の環状オレフィン開環重合体および共重合体エラストマー(炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する共重合体エラストマー)に含まれるゴム組成物を用いることにより、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪性および耐寒性を高度にバランスすることができる。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤等が挙げられる。
硫黄系架橋剤は、硫黄または硫黄化合物を含む架橋剤である。硫黄の具体例としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等が挙げられる。硫黄化合物の具体例として、塩化硫黄、二塩化硫黄、及び高分子多硫化物等が挙げられる。これらの硫黄系架橋剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機過酸化物系架橋剤は、有機過酸化物(ペルオキシド)を含む架橋剤である。有機過酸化物の具体例としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、アルキルパーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、モノパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、およびケトンパーオキサイド等が挙げられる。これらの有機過酸化物系架橋剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪み性および耐寒性を高度にバランスさせる観点から、架橋剤として硫黄系架橋剤を使用する場合は、硫黄、及び硫黄化合物が好ましい。また、架橋剤として有機過酸化物系架橋剤を使用する場合は、ジアルキルパーオキサイド、およびパーオキシケタールが好ましく、ジアルキルパーオキサイドがより好ましい。これらの中でも、耐圧縮永久歪み性および耐寒性をより高度にバランスさせる観点から、架橋剤は、硫黄系架橋剤がさらに好ましく、硫黄が特に好ましい。
本実施形態のゴム組成物中における、架橋剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、環状オレフィン開環重合体および共重合体エラストマーの合計100重量%に対して好ましくは0.1重量%以上50重量%以下、より好ましくは0.3重量%以上20重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以上10重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以上7重量%以下である。架橋剤の配合量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪性および耐寒性を高めることができる。
<その他の成分>
また、本実施形態のゴム組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記成分以外の、架橋剤、架橋促進剤、架橋活性化剤、活性剤、プロセス油(可塑剤)、ワックス、充填剤等の配合剤をそれぞれ必要量含有することができる。
架橋促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3−ジオルトトリルグアニジン(DOTG)、トリフェニルグアニジン、1−オルトトリルビグアニジン、ジフェニルグアニジンフタレ−ト等のグアニジン系化合物;アセトアルデヒド−アニリン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミン又はアルデヒド−アンモニア系化合物;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオウレア(EUR)、ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジオルソトリルチオウレア等のチオウレア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸系化合物;亜鉛華(酸化亜鉛)等の亜鉛化合物;等が挙げられる。
これらの架橋促進剤のうち、スルフェンアミド系化合物、チウラム系化合物を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、環状オレフィン開環重合体および共重合体エラストマーの合計100重量%に対して、好ましくは0.1重量%以上20重量%以下、より好ましくは0.2重量%以上10重量%以下である。
架橋活性化剤としては、例えば、ステアリン酸等の高級脂肪酸や酸化亜鉛等が挙げられる。架橋活性化剤の配合量は、特に限定されないが、ゴム組成物中の環状オレフィン開環重合体100重量部に対して、好ましくは0.05重量部以上15重量部以下、より好ましくは0.5重量部以上5重量部以下である。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
充填剤としては、特に限定されず、有機粒子および無機粒子のいずれも用いることができる。充填剤の具体例としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、マイカ;アルミニウム粉末等の金属粉;ハードクレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機粉末;デンプンやポリスチレン粉末等の有機粉末等の粉体;ガラス繊維(ミルドファイバー)、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカー等の短繊維;等が挙げられる。これらの充填剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。このような充填剤としては、無機粒子が好ましく、中でもカーボンブラック、シリカが特に好ましい。
充填剤としてカーボンブラックを用いる場合、用いられるカーボンブラックは、特に限定されないが、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が挙げられる。これらの中でも、ファーネスブラックを用いることが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、T−HS、T−NS、MAF、FEF等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックの物性は、特に限定されないが、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(BET法)は、好ましくは200m/g以下、より好ましくは5m/g以上200m/g以下、さらに好ましくは20m/g以上150m/g以下である。また、充填剤としてのカーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸着量は、好ましくは5ml/100g以上200ml/100g以下、より好ましくは50ml/100g以上160ml/100g以下である。BET法による比表面積およびDBP吸着量が上記範囲にあるカーボンブラックを用いると、成形性が良好で、耐圧縮永久歪性および耐寒性に優れるゴム架橋物となるゴム組成物を得ることができる。
また、充填剤としてシリカを用いる場合、用いられるシリカの種類は、特に限定されないが、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、ゾル−ゲル法シリカ等を用いることができる。また、シリカの形状は、特に限定されず、例えば、球状のもの(例えば、アスペクト比が、好ましくは0.8〜1.2の範囲のもの)を好適に用いることができる。
シリカとしては、シランカップリング剤等で予め表面処理されたものであってもよい。この場合に用いられるシランカップリング剤としては、特に限定されないが、グリシジル基、アミノ基、メルカプト基から選択される少なくとも1つの官能基を有するものであることが好ましく、アミノ基を有するものであることが好ましい。
シリカの平均粒径は、特に限定されないが、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計にて測定される体積平均粒子径で、好ましくは0.1μm以上0.9μm以下であり、より好ましくは0.3μm以上0.7μm以下である。
充填剤の含有量は、ゴム組成物中の架橋剤100重量部に対して、好ましくは1重量部以上5000重量部以下、より好ましくは10重量部以上4000重量部以下、さらに好ましくは15重量部以上3500重量部以下、特に好ましくは20重量部以上3000重量部以下である。ゴム組成物において充填剤の含有量を上記範囲とすることにより、耐圧縮永久歪性に優れるゴム架橋物を得ることができる。
本実施形態のゴム組成物を得る方法としては、特に限定されず、常法に従って各成分を混練すればよい。例えば、架橋剤および架橋促進剤を除く配合剤と、環状オレフィン開環重合体、共重合体エラストマー等のエラストマー成分とを混練後、その混練物に架橋剤および架橋促進剤を混合して目的のゴム組成物を得ることができる。
架橋剤および架橋促進剤を除く配合剤とエラストマー成分との混練温度は、好ましくは15℃以上200℃以下、より好ましくは30℃以上180℃以下である。また、混練時間は、好ましくは30秒以上30分以下である。混練物と架橋剤および架橋促進剤との混合は、100℃以下で行うことができ、好ましくは80℃以下まで冷却後に行われる。
<ゴム架橋物>
本発明の実施形態に係るゴム架橋物は、上述したゴム組成物を架橋することにより得られる。本実施形態のゴム組成物を架橋する方法は、特に限定されず、ゴム架橋物の形状、大きさ等に応じて選択すればよい。
ゴム組成物の架橋は、ゴム組成物を加熱することにより行う。加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱等のゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。この場合、金型中に、ゴム組成物を充填して加熱することにより成形と同時に架橋してもよく、予め成形しておいたゴム組成物を加熱して架橋してもよい。
架橋温度は、好ましくは120℃以上200℃以下、より好ましくは140℃以上180℃以下であり、架橋時間は、1分以上120分以下程度である。また、ゴム架橋物の形状、大きさ等によっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
このようにして得られるゴム架橋物は、耐圧縮永久歪性および耐寒性を高度にバランスすることができる。そのため、本実施形態のゴム架橋物は、低温環境で耐圧縮永久歪性が要求される用途に好適に用いることができる。
本実施形態に係るゴム架橋物の用途は、特に限定されないが、例えば、シール材、ベルト、コンベアベルト、ホース、緩衝材、防振材、各種靴底用のソール部材、電線やケーブル等の被覆材、等の用途が挙げられる。中でもシール材の用途に好適に使用できる。シール材の具体例としては、例えば、パッキン、ガスケット、ウェザーストリップ、Oリング、グラスラン、等の用途が挙げられる。
以下、本発明についてさらに実施例に基づいて説明する。なお、以下において、「部」および「%」は、特に断りのない限り、重量基準である。また、各種の試験および評価は、下記の方法に従う。
<シクロペンテン開環重合体の分子量>
環状オレフィン開環重合体としてシクロペンテン開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム(東ソー社製、HLC−8220)により、Hタイプカラム(東ソー社製、HZ−M)2本を直列に連結し、テトラヒドロフランを溶媒として、カラム温度40℃で行った。検出器は、示差屈折計(東ソー社製、RI−8320)を用いた。なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算値として測定した。
<シクロペンテン開環重合体のシス比率>
13C−NMRスペクトル測定により、シクロペンテン開環重合体におけるシス比率(シクロペンテン開環重合体のシス/トランス比)を決定した。
<シクロペンテン開環重合体のオキシシリル基の導入率>
H−NMRスペクトル測定により、オキシシリル基に由来するピーク積分値と末端変性シクロペンテン開環重合体主鎖中の炭素−炭素二重結合に由来するピーク積分値との比率を求めた。得られたピーク積分値の比率とGPCによる数平均分子量(Mn)の測定値に基づいて、オキシシリル基の導入率〔(オキシシリル基が導入されたシクロペンテン開環重合体鎖末端数/末端変性シクロペンテン開環重合体鎖数)の百分率〕を計算した。
<圧縮永久歪み率>
試料となるゴム組成物を、金型を用いて加圧しながら170℃で15分間プレス成形して、直径29mm、厚さ12.5mmの円柱状のゴム架橋物を作製した。この円柱状のゴム架橋物を二つの平面間に挟み、該平面間の距離をディスク厚み方向に25%圧縮した状態で、ギヤー老化試験機(上島製作所社製、AG−1110)を用いて、圧縮永久歪み率(%)を測定した。圧縮永久歪み率は、100℃にて72時間保持する条件で、JIS K6262:2013に従って測定し、測定した圧縮永久歪み率から耐圧縮永久歪性を評価した。なお、圧縮永久歪み率が低いほど、耐圧縮永久歪性に優れると評価できる。
<低温弾性回復試験(T−R試験)>
試料となるゴム組成物を170℃で10分間プレス架橋して得られたゴム架橋物シートを、長さ50mm×幅2mm×厚み2mmに打ち抜いて、試験片を作製した。得られた試験片について、低温弾性回復試験機(安田製作所社製、TRテスター、No.145L)を使用して、JIS K6261:2006に従い、伸長率50%の条件にて、T−R試験(低温弾性回復試験)によりゴム架橋物の耐寒性(低温シール性)を評価した。具体的には、伸長させた試験片を凍結させ、熱媒体としてエタノールを使用し、温度を連続的に上昇させることによって伸長されていた試験片の回復性を測定し、昇温により試験片の長さが10%収縮(回復)した時の温度(TR10)を測定した。TR10が低いほど、耐寒性(低温シール性)に優れると評価でき、より低い温度において好適に使用できるものといえる。
<ジイソブチルアルミニウムモノ(n−へキソキシド)/トルエン溶液の調製>
[調製例1]
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、トルエン88部、および25.4%のトリイソブチルアルミニウム/n−ヘキサン溶液(東ソー・ファインケム社製)7.8部を加えた。次いで、容器を−45℃に冷却し、激しく攪拌しながら、n−ヘキサノール1.02部(トリイソブチルアルミニウムに対して当モル量)をゆっくりと滴下した。その後、攪拌しながら室温になるまで放置し、2.5%のジイソブチルアルミニウムモノ(n−へキソキシド)/トルエン溶液を調製した。
<シクロペンテン開環重合体の合成>
[合成例1]
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、1.0%のWCl/トルエン溶液87部、および調製例1で調製した2.5%のジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)/トルエン溶液43部を加え、15分間攪拌することにより、触媒溶液を得た。そして、窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン300部および1−ヘキセン0.23部を加え、ここに、上記にて調製した触媒溶液130部を加えて、0℃で4時間重合反応させた。4時間の重合反応後、耐圧ガラス反応容器に、過剰のエチルアルコールを加えて重合を停止した後、重合により得られた重合体100部に対して、老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、チバスペシャリティーケミカルズ社製、「イルガノックス」は登録商標)0.2部を添加した。次いで、多量のエタノールで凝固して重合体を回収し、40℃で3日間、真空乾燥することにより、環状オレフィン開環重合体として未変性のシクロペンテン開環重合体(a1)77部を得た。得られたシクロペンテン開環重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は441,000、ガラス転移温度(Tg)は−105℃、シス/トランス比は、シス/トランス=77/23(シス比率:77%)であった。
〔合成例2〕
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、1.0%のWCl/トルエン溶液588部、および調製例1で調製した3.75%のジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)/トルエン溶液87部を加え、15分間攪拌することにより、触媒溶液を得た。そして、窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン300部および1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテン1.19部を加え、ここに、上記にて調製した触媒溶液130部を加えて、24℃で4時間重合反応させた。4時間の重合反応後、耐圧ガラス反応容器に、過剰のエチルアルコールを加えて重合反応を停止した後、重合により得られた重合体100部に対して老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.2部を添加した。次いで、多量のエタノールで凝固して重合体を回収し、40℃で3日間、真空乾燥することにより、環状オレフィン開環重合体として両末端にトリエトキシシリルが導入された両末端変性シクロペンテン開環重合体(a2)80部を得た。得られたシクロペンテン開環重合体(a2)の重量平均分子量(Mw)は424,000、ガラス転移温度(Tg)は−104℃、シス/トランス比は、シス/トランス=58/42(シス比率:58%)であり、オキシシリル基導入率は183%であった。
<試験片の作製および評価>
[実施例1]
バンバリー形ミキサー中で、合成例1で得られた未変性シクロペンテン開環重合体(a1)30部とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(商品名「JSR EP24」、JSR社製、「JSR」は登録商標)(以下、EPDMという)70部を60秒素練りした。これに、ステアリン酸(架橋活性化剤)1部、酸化亜鉛2種(架橋活性化剤)5部、および、カーボンブラック(旭カーボンブラック社製、商品名「旭#70」、窒素吸着比表面積(BET法):77m/g、充填剤)40部を添加して、80℃にて、120秒混練した。その後、ラムの上部に残った配合剤をクリーニングした後、さらに180秒混練し、ミキサーから混練物を排出した。次いで、混練物を、室温まで冷却した後、23℃のオープンロールで、得られた混練物と、架橋剤として硫黄1.6部、架橋促進剤としてN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド0.9部(大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ−G」、「ノクセラー」は登録商標)およびテトラメチルチウラムジスルフィド(商品名「ノクセラーTT−P」、大内新興化学工業社製)0.5部を混練した後、シート状のゴム組成物を得た。このゴム組成物について、170℃で10分間プレス架橋して得られたゴム架橋物の耐寒性を評価し、170℃で15分間プレス成形して得られたゴム架橋物の耐圧縮永久歪性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
合成例1で得られた未変性シクロペンテン開環重合体(a1)30部を50部に、EPDM70部を50部に変更して使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
合成例1で得られた未変性シクロペンテン開環重合体(a1)30部を70部に、EPDM70部を30部に変更して使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
合成例1で得られた未変性シクロペンテン開環重合体(a1)30部に代えて、合成例2で得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体(a2)30部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
架橋剤として硫黄1.6部に代えて、有機過酸化物(商品名「パーヘキサ25B−40」、日本油脂社製、純度40%、シリカ含有、「パーヘキサ」は登録商標、化合物名2,5−Dimethyl−2,5−di(t−butylperoxy)hexane)を使用し、170℃で20分間プレス架橋して耐寒性を評価し、170℃で25分間プレス成形して得られたゴム架橋物の耐圧縮永久歪性を評価した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
合成例1で得られた未変性シクロペンテン開環重合体(a1)30部を使用せず、とEPDM70部を100部に変更して使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2019220933
表1に示すように、シクロペンテン開環重合体とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)と架橋剤と含有するゴム組成物では、得られたゴム架橋物の耐圧縮永久歪率が50%未満であり、TR10が−50℃未満であった(実施例1〜5)。
一方、シクロペンテン開環重合体を含まないゴム組成物では、得られたゴム架橋物の耐圧縮永久歪率が50%以上であり、TR10が−50℃以上であった(比較例1)。
また、シクロペンテン開環重合体とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)と架橋剤と含有するゴム組成物において、架橋剤として硫黄を用いることにより、得られたゴム架橋物のTR10が−54℃以下となった(実施例1〜4)。
さらに、シクロペンテン開環重合体とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)と架橋剤と含有するゴム組成物において、架橋剤として有機過酸化物を用いることにより、得られたゴム架橋物の耐圧縮永久歪率が40%未満となった(実施例5)。
これらの結果から、環状オレフィン開環重合体、共重合体エラストマー(炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する共重合体エラストマー)および架橋剤を含有するゴム組成物は、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪性および耐寒性を高度にバランスさせるものであることが判った。
また、架橋剤として硫黄系架橋剤を用いることで、得られるゴム架橋物の耐寒性が向上し、耐圧縮永久歪性および耐寒性がより高度にバランスすることが判った。さらに、架橋剤として有機過酸化物を用いることで、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪性が向上し、耐圧縮永久歪性および耐寒性がより高度にバランスすることが判った。
以上、本発明について実施形態および実施例を挙げて説明したが、本発明は特定の実施形態、実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
以下、本発明の好ましい態様を付記する。
本発明に係る第1の態様は、環状オレフィン開環重合体と、炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する共重合体エラストマーと、架橋剤とを含有する、ゴム組成物である。
本発明に係る第2の態様は、前記架橋剤が、硫黄系架橋剤である、ゴム組成物である。
本発明に係る第3の態様は、前記共重合体エラストマーが、非共役ジエン単量体単位を有する多元共重合体ゴムである、ゴム組成物である。
本発明に係る第4の態様は、上記ゴム組成物を架橋してなる、ゴム架橋物である。
本発明に係る第5の態様は、上記ゴム架橋物を用いてなる、シール材である。
本国際出願は、2018年5月16日に出願された日本国特許出願2018−094909号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容をここに援用する。

Claims (5)

  1. 環状オレフィン開環重合体と、
    炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する共重合体エラストマーと、
    架橋剤とを含有する、ゴム組成物。
  2. 前記架橋剤は、硫黄系架橋剤である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記共重合体エラストマーは、非共役ジエン単量体単位を有する多元共重合体ゴムである、請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゴム組成物を架橋してなる、ゴム架橋物。
  5. 請求項4に記載のゴム架橋物を用いてなる、シール材。
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