JP2018028008A - 高反発材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】シクロペンテン開環重合体を用いて得られるゴム架橋物からなり、反発弾性率に優れた高反発材料を提供すること。
【解決手段】シクロペンテン開環重合体を含有するゴム成分100重量部に対して、20〜200重量部のカーボンブラックを含有する重合体組成物を架橋してなるゴム架橋物からなる高反発材料を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、シクロペンテン開環重合体を用いて得られるゴム架橋物からなる高反発材料に関し、さらに詳しくは、シクロペンテン開環重合体を用いて得られるゴム架橋物からなり、反発弾性率に優れた高反発材料に関する。
従来より、各種ゴム部品を形成するためのゴム材料として、ブタジエンゴムが広く用いられている。ブタジエンゴムの原料となるブタジエンは、ナフサのクラッキングによりエチレンを製造する際の副生物として生産されるものであるが、近年、エチレンの製造法として、エタンなどの天然ガスを原料とする方法が拡大していることから、ブタジエンの生産量の減少が予測されている。そのため、ブタジエンを原料としない合成ゴムを、ブタジエンゴムの代替材料として用いることについて、種々の検討が進められている。
ブタジエンゴムの代替材料として検討されている合成ゴムの一種として、シクロペンテンを開環重合することにより得ることができるシクロペンテン開環重合体が挙げられる。たとえば、特許文献1では、シクロペンテン開環重合体と、溶液重合スチレンブタジエンゴムと、シリカとを含有するタイヤ用のゴム組成物が開示されている。この特許文献1の技術によれば、低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることができるものの、反発弾性率が必ずしも十分でなく、そのため、低発熱性が要求されるタイヤ用途には適するものの、高い反発弾性率が要求される用途には必ずしも適したものではなかった。
国際公開第2016/060267号
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、シクロペンテン開環重合体を用いて得られるゴム架橋物からなり、反発弾性率に優れた高反発材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、シクロペンテン開環重合体を含有するゴム成分に、所定量のカーボンブラックを配合してなる重合体組成物を架橋してなるゴム架橋物によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、シクロペンテン開環重合体を含有するゴム成分100重量部に対して、20〜200重量部のカーボンブラックを含有する重合体組成物を架橋してなるゴム架橋物からなる高反発材料が提供される。
本発明によれば、反発弾性率に優れ、これにより高い反発弾性率が要求される用途に好適に用いることのできる、高反発材料を提供することができる。
本発明の高反発材料は、シクロペンテン開環重合体を含有するゴム成分100重量部に対して、20〜200重量部のカーボンブラックを含有する重合体組成物を架橋してなるゴム架橋物からなる。
本発明で用いるゴム成分はシクロペンテン開環重合体を含有する。本発明で用いるシクロペンテン開環重合体は、その主鎖を構成する繰返し単位として、シクロペンテンを開環重合してなる繰返し単位を含有してなる重合体である。
シクロペンテン開環重合体は、シクロペンテンを開環重合してなる繰返し単位の割合を、全繰返し単位に対して80モル%以上とすることが好ましく、90モル%以上とすることがより好ましく、95モル%以上とすることがさらに好ましく、実質的にシクロペンテンを開環重合してなる繰返し単位のみからなるものとすることが特に好ましい。ただし、シクロペンテン開環重合体の特性を維持する限り、シクロペンテンと共重合可能なその他の単量体に由来する繰返し単位を含有していてもよく、その他の単量体に由来する繰返し単位の割合は、全繰返し単位に対して20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。シクロペンテンと共重合可能なその他の単量体としては、シクロペンテン以外のモノ環状オレフィン、モノ環状ジエン、モノ環状トリエンや多環の環状オレフィン、多環の環状ジエン、多環の環状トリエンなどが挙げられる。シクロペンテン以外のモノ環状オレフィンとしては、置換基を有するシクロペンテンや、置換基を有していてもよいシクロオクテンが例示される。モノ環状ジエンとしては、置換基を有していてもよい1,5−シクロオクタジエンが例示される。モノ環状トリエンとしては、置換基を有していてもよい1,5,9−シクロドデカトリエンが例示される。また、多環の環状オレフィン、多環の環状ジエン、および多環の環状トリエンとしては、2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどの置換基を有していてもよいノルボルネン化合物が例示される。
シクロペンテン開環重合体の分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の値として、100,000〜1,000,000であることが好ましく、150,000〜900,000であることが好ましく、200,000〜800,000であることがより好ましい。シクロペンテン開環重合体がこのような分子量を有することにより、ゴム架橋物の機械物性をより優れたものとすることができる。
シクロペンテン開環重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、通常4.0以下であり、好ましくは3.5以下であり、より好ましくは3.0以下である。このようなMw/Mnを有することにより、ゴム架橋物の機械物性をより優れたものとすることができる。
シクロペンテン開環重合体を構成する繰返し単位中に存在する二重結合において、そのシス/トランス比は、特に限定されないが、通常10/90〜90/10の範囲で設定される。ゴム架橋物を低温特性により優れたものとするという観点からは、90/10〜51/49の範囲であることが好ましく、90/10〜55/45の範囲であることがより好ましい。あるいは、ゴム架橋物を破壊強度特性により優れたものとするという観点からは、10/90〜49/51の範囲であることが好ましく、10/90〜45/55の範囲であることがより好ましい。
なお、シクロペンテン開環重合体のシス/トランス比を調整する方法としては、特に限定されないが、たとえば、シクロペンテンを重合して、シクロペンテン開環重合体を得る際における、重合条件を制御する方法などが挙げられる。一例を挙げると、シクロペンテンを重合する際の重合温度を高くするほど、トランス比率を高くすることができ、また、重合溶液におけるモノマー濃度を低くするほど、トランス比率を高くすることができる。
シクロペンテン開環重合体のガラス転移温度は、特に限定されないが、低温下で優れた特性を示すものとするという観点より、好ましくは−90℃以下であり、より好ましくは−95℃以下、さらに好ましくは−98℃以下である。シクロペンテン開環重合体のガラス転移温度は、たとえば、繰返し単位中に存在する二重結合におけるシス/トランス比などを調節することによって、調節することができる。
シクロペンテン開環重合体は、その分子構造が、炭素原子と水素原子のみからなるものであってもよいが、分子構造中に炭素原子および水素原子以外の原子を含有させてもよく、より具体的には、周期表第15族の原子、周期表第16族の原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる原子を含有する変性基を含有させてもよい。
このような変性基としては、窒素原子、酸素原子、リン原子、イオウ原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる原子を含有する変性基が好適であり、これらのなかでも、窒素原子、酸素原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる原子を含有する変性基がより好適であり、ケイ素原子を含有する変性基がさらに好適である。
窒素原子を含有する変性基としては、アミノ基、ピリジル基、イミノ基、アミド基、ニトロ基、ウレタン結合基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。酸素原子を含有する変性基としては、水酸基、カルボン酸基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルデヒド基、エポキシ基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。ケイ素原子を含有する変性基としては、アルキルシリル基、オキシシリル基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。リン原子を含有する変性基としては、リン酸基、ホスフィノ基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。イオウ原子を含有する変性基としては、スルホニル基、チオール基、チオエーテル基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。また、変性基としては、上記した基を複数含有する変性基であってもよい。これらのなかでも、特に好適な変性基の具体例としては、アミノ基、ピリジル基、イミノ基、アミド基、水酸基、カルボン酸基、アルデヒド基、エポキシ基、オキシシリル基、またはこれらの基を含む炭化水素基が挙げられ、オキシシリル基が特に好ましい。なお、オキシシリル基とは、ケイ素−酸素結合を有する基をいう。
オキシシリル基の具体例としては、アルコキシシリル基、アリーロキシシリル基、アシロキシ基、アルキルシロキシシリル基、アリールシロキシシリル基、またはヒドロキシシリル基などが挙げられる。これらのなかでも、その導入効果が高いという観点より、アルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基は、1つ以上のアルコキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリメトキシシリル基、(ジメトキシ)(メチル)シリル基、(メトキシ)(ジメチル)シリル基、トリエトキシシリル基、(ジエトキシ)(メチル)シリル基、(エトキシ)(ジメチル)シリル基、(ジメトキシ)(エトキシ)シリル基、(メトキシ)(ジエトキシ)シリル基、トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基などが挙げられる。
アリーロキシシリル基は、1つ以上のアリーロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリフェノキシシリル基、(ジフェノキシ)(メチル)シリル基、(フェノキシ)(ジメチル)シリル基、(ジフェノキシ)(エトキシ)シリル基、(フェノキシ)(ジエトキシ)シリル基などが挙げられる。なお、これらのうち、(ジフェノキシ)(エトキシ)シリル基、(フェノキシ)(ジエトキシ)シリル基は、アリーロキシ基に加え、アルコキシ基をも有するため、アルコキシシリル基にも分類されることとなる。
アシロキシシリル基は、1つ以上のアシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリアシロキシシリル基、(ジアシロキシ)(メチル)シリル基、(アシロキシ)(ジメチル)シリル基などが挙げられる。
アルキルシロキシシリル基は、1つ以上のアルキルシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基、トリメチルシロキシ(ジメチル)シリル基、トリエチルシロキシ(ジエチル)シリル基、トリス(ジメチルシロキシ)シリル基などが挙げられる。
アリールシロキシシリル基は、1つ以上のアリールシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリス(トリフェニルシロキシ)シリル基、トリフェニルシロキシ(ジメチル)シリル基、トリス(ジフェニルシロキシ)シリル基などが挙げられる。
ヒドロキシシリル基は、1つ以上のヒドロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、具体例としては、トリヒドロキシシリル基、(ジヒドロキシ)(メチル)シリル基、(ヒドロキシ)(ジメチル)シリル基、(ジヒドロキシ)(エトキシ)シリル基、(ヒドロキシ)(ジエトキシ)シリル基などが挙げられる。なお、これらのうち、(ジヒドロキシ)(エトキシ)シリル基、(ヒドロキシ)(ジエトキシ)シリル基は、ヒドロキシ基に加え、アルコキシ基をも有するため、アルコキシシリル基にも分類されることとなる。
シクロペンテン開環重合体が、このような変性基を有する場合のその変性基の導入位置は、特に限定されないが、その導入効果をより高めるという観点からは、重合体鎖の末端に変性基を有していることが好ましい。
シクロペンテン開環重合体が、重合体鎖の末端に変性基を有する場合、一方の重合体鎖末端(片末端)のみに変性基が導入されたものであっても、両方の重合体鎖末端(両末端)に変性基が導入されたものであってもよく、また、これらが混在したものであってもよい。さらに、これらと、重合体鎖末端に特定の変性基が導入されていない未変性のシクロペンテン開環重合体が混在していてもよい。
シクロペンテン開環重合体が、重合体鎖の末端に変性基を有する場合において、シクロペンテン開環重合体の重合体鎖末端における、変性基の導入割合は、特に限定されないが、変性基が導入されたシクロペンテン開環重合体鎖末端数/シクロペンテン開環重合体鎖数の百分率の値として、60%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%以上である。なお、重合体鎖末端への変性基の導入割合を測定する方法としては、特に限定されないが、たとえば、H−NMRスペクトル測定により求められる変性基に対応するピーク面積比と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィから求められる数平均分子量とから求めることができる。
シクロペンテン開環重合体の合成方法は、目的とする重合体が得られる限りにおいて、特に限定されず、常法に従って合成すればよいが、たとえば、以下に説明する方法により合成することができる。
すなわち、シクロペンテン開環重合体は、たとえば、周期表第6族遷移金属化合物(A)と下記一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒の存在下で、シクロペンテンを開環重合することにより得ることができる。
(R3−xAl(OR (1)
(上記一般式(1)中、RおよびRは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、xは、0<x<3である。)
周期表第6族遷移金属化合物(A)は、周期表(長周期型周期表、以下同じ)第6族遷移金属原子を有する化合物、具体的には、クロム原子、モリブデン原子、またはタングステン原子を有する化合物であり、モリブデン原子を有する化合物、またはタングステン原子を有する化合物が好ましく、特に、シクロペンテンに対する溶解性が高いという観点より、タングステン原子を有する化合物がより好ましい。また、周期表第6族遷移金属化合物(A)としては、周期表第6族遷移金属原子を有する化合物であればよく、特に限定されないが、周期表第6族遷移金属原子のハロゲン化物、アルコラート、アリレート、オキシ化物などが挙げられ、これらのなかでも、重合活性が高いという観点より、ハロゲン化物が好ましい。
このような周期表第6族遷移金属化合物(A)の具体例としては、モリブデンペンタクロリド、モリブデンオキソテトラクロリド、モリブデン(フェニルイミド)テトラクロリドなどのモリブデン化合物;タングステンヘキサクロリド、タングステンオキソテトラクロリド、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド、モノカテコラートタングステンテトラクロリド、ビス(3,5−ジターシャリブチル)カテコラートタングステンジクロリド、ビス(2−クロロエテレート)テトラクロリド、タングステンオキソテトラフェノレートなどのタングステン化合物;などが挙げられる。
周期表第6族遷移金属化合物(A)の使用量は、「重合触媒中の第6族遷移金属原子:シクロペンテン」のモル比で、通常1:100〜1:200,000、好ましくは1:200〜1:150,000、より好ましくは1:500〜1:100,000の範囲である。周期表第6族遷移金属化合物(A)の使用量が少なすぎると、重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、多すぎると、シクロペンテン開環重合体からの触媒残渣の除去が困難となり、得られるゴム架橋物の各種特性が低下する場合がある。
有機アルミニウム化合物(B)は、上記一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)においてRおよびRで表される炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などのアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、ナフチル基などのアリール基;などが挙げられる。なお、一般式(1)で表される化合物においてRおよびRで表される基は、同じであっても、あるいは異なっていてもよいが、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率を上述した好適な範囲に制御できるという点より、RおよびRのうち、少なくともRは、炭素原子が4個以上連続して結合してなるアルキル基であることが好ましく、特に、n−ブチル基、2−メチル−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、またはn−デシル基であることがより好ましい。
また、上記一般式(1)において、xは、0<x<3である。すなわち、一般式(1)においては、RとORとの組成比は、それぞれ0<3−x<3、および0<x<3の各範囲において、任意の値をとることができるが、重合活性を高くでき、しかも、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率を上述した好適な範囲に制御できるという点より、xは、0.5<x<1.5であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物(B)は、たとえば、下記一般式(2)に示すように、トリアルキルアルミニウムと、アルコールとの反応によって合成することができる。
(RAl + xROH → (R3−xAl(OR + (RH (2)
なお、上記一般式(1)中のxは、上記一般式(2)に示すように、対応するトリアルキルアルミニウムとアルコールの反応比を規定することによって、任意に制御することが可能である。
有機アルミニウム化合物(B)の使用量は、用いる有機アルミニウム化合物(B)の種類によっても異なるが、周期表第6族遷移金属化合物(A)を構成する周期表第6族遷移金属原子に対して、好ましくは0.1〜100倍モル、より好ましくは0.2〜50倍モル、さらに好ましくは0.5〜20倍モルの割合である。有機アルミニウム化合物(B)の使用量が少なすぎると、重合活性が不十分となる場合があり、多すぎると、開環重合時において、副反応が起こりやすくなる傾向にある。
開環重合反応は、無溶媒で行ってもよいし、溶液中で行なってもよい。開環重合反応を溶液中で行う際に用いる溶媒としては、重合反応において不活性であり、開環重合に用いるシクロペンテンや、上述した重合触媒を溶解可能な溶媒であればよく、特に限定されないが、たとえば、炭化水素系溶媒またはハロゲン系溶媒などが挙げられる。炭化水素系溶剤の具体例としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;などが挙げられる。また、ハロゲン系溶剤の具体例としては、ジクロロメタン、クロロホルムなどのアルキルハロゲン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族ハロゲン;などが挙げられる。
また、開環重合反応の重合反応系に、上述した変性基を有し、かつ、メタセシス反応性を有するオレフィン性炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物である、変性基含有オレフィン性不飽和炭化水素(C)を存在させると、シクロペンテン開環重合体の重合体鎖末端に変性基を導入することができる。たとえば、シクロペンテン開環重合体の重合体鎖末端にオキシシリル基を導入する場合には、オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素を重合反応系に存在させればよい。
このようなオキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素の例としては、シクロペンテン開環重合体の重合体鎖の一方の末端(片末端)のみに変性基を導入するものとして、ビニル(トリメトキシ)シラン、ビニル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリメトキシ)シラン、アリル(メトキシ)(ジメチル)シラン、アリル(トリエトキシ)シラン、アリル(エトキシ)(ジメチル)シラン、スチリル(トリメトキシ)シラン、スチリル(トリエトキシ)シラン、2−スチリルエチル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリエトキシシリルメチル)エーテル、アリル(トリエトキシシリルメチル)(エチル)アミンなどのアルコキシシラン化合物;ビニル(トリフェノキシ)シラン、アリル(トリフェノキシ)シラン、アリル(フェノキシ)(ジメチル)シランなどのアリーロキシシラン化合物;ビニル(トリアセトキシ)シラン、アリル(トリアセトキシ)シラン、アリル(ジアセトキシ)メチルシラン、アリル(アセトキシ)(ジメチル)シランなどのアシロキシシラン化合物;アリルトリス(トリメチルシロキシ)シランなどのアルキルシロキシシラン化合物;アリルトリス(トリフェニルシロキシ)シランなどのアリールシロキシシラン化合物;1−アリルヘプタメチルトリシロキサン、1−アリルノナメチルテトラシロキサン、1−アリルノナメチルシクロペンタシロキサン、1−アリルウンデカメチルシクロヘキサシロキサンなどのポリシロキサン化合物;などが挙げられる。また、シクロペンテン開環重合体の重合体鎖の両方の末端(両末端)に変性基を導入するものとして、1,4−ビス(トリメトキシシリル)−2−ブテン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテン、1,4−ビス(トリメトキシシリルメトキシ)−2−ブテンなどのアルコキシシラン化合物;1,4−ビス(トリフェノキシシリル)−2−ブテンなどのアリーロキシシラン化合物;1,4−ビス(トリアセトキシシリル)−2−ブテンなどのアシロキシシラン化合物;1,4−ビス[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]−2−ブテンなどのアルキルシロキシシラン化合物;1,4−ビス[トリス(トリフェニルシロキシ)シリル]−2−ブテンなどのアリールシロキシシラン化合物;1,4−ビス(ヘプタメチルトリシロキシ)−2−ブテン、1,4−ビス(ウンデカメチルシクロヘキサシロキシ)−2−ブテンなどのポリシロキサン化合物;などが挙げられる。
オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素などの変性基含有オレフィン性不飽和炭化水素(C)の使用量は、製造するシクロペンテン開環重合体の分子量に応じて適宜選択すればよいが、重合に用いるシクロペンテンに対して、モル比で、通常1/100〜1/100,000、好ましくは1/200〜1/50,000、より好ましくは1/500〜1/10,000の範囲である。なお、変性基含有オレフィン性不飽和炭化水素(C)は、シクロペンテン開環重合体の重合体鎖末端への変性基の導入作用に加え、分子量調整剤としても作用する。
あるいは、シクロペンテン開環重合体に、上述した変性基を導入しない場合には、得られるシクロペンテン開環重合体の分子量を調整するために、分子量調整剤として、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのオレフィン化合物や1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどのジオレフィン化合物を用い、これを重合反応系に添加してもよい。分子量調整剤の使用量は、上述した変性基含有オレフィン性不飽和炭化水素(C)と同様の範囲から適宜選択すればよい。
重合反応温度は、特に限定されないが、好ましくは−100℃以上であり、より好ましくは−50℃以上、さらに好ましくは−20℃以上、特に好ましくは0℃以上である。また、重合反応温度の上限は特に限定されないが、好ましくは100℃未満であり、より好ましくは90℃未満、さらに好ましくは80℃未満、特に好ましくは70℃未満である。重合反応時間も、特に限定されないが、好ましくは1分間〜72時間、より好ましくは10分間〜20時間である。
あるいは、上述した周期表第6族遷移金属化合物(A)と一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒を用いる方法に代えて、重合触媒として、ルテニウムカルベン錯体を用いて、ルテニウムカルベン錯体の存在下で、シクロペンテンを開環重合する方法により、シクロペンテン開環重合体を製造することもできる。
ルテニウムカルベン錯体は、シクロペンテンの開環重合触媒となるものであれば、特に限定されない。好ましく用いられるルテニウムカルベン錯体の具体例としては、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)−3,3−ジフェニルプロペニリデンルテニウムジクロリド、(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリドなどを挙げることができる。
ルテニウムカルベン錯体の使用量は、(触媒中の金属ルテニウム:シクロペンテン)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,500,000、より好ましくは1:10,000〜1:1,000,000の範囲である。ルテニウムカルベン錯体の使用量が少なすぎると、重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、多すぎると、得られるシクロペンテン開環重合体からの触媒残渣の除去が困難となり、ゴム架橋物とした際に各種特性が低下するおそれがある。
重合触媒として、ルテニウムカルベン錯体を使用する場合における、開環重合反応は、無溶媒で行ってもよいし、溶液中で行なってもよい。開環重合反応を溶液中で行う際に用いる溶媒としては、上述した周期表第6族遷移金属化合物(A)と一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒を用いる場合と同様のものを使用することができる。
重合反応温度および重合反応時間についても、上述した周期表第6族遷移金属化合物(A)と一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒を用いる場合と同様である。
そして、上記した周期表第6族遷移金属化合物(A)と一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒を用いる方法、あるいは、重合触媒として、ルテニウムカルベン錯体を用いる方法により得られるシクロペンテン開環重合体には、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤の添加量は、その種類などに応じて適宜決定すればよい。さらに、所望により、伸展油を配合してもよい。重合体溶液としてシクロペンテン開環重合体を得た場合において、重合体溶液から重合体を回収ためには、公知の回収方法を採用すればよく、例えば、スチームストリッピングなどで溶媒を分離した後、固体をろ別し、さらにそれを乾燥して固形状ゴムを取得する方法などが採用できる。
本発明で用いるゴム成分は、シクロペンテン開環重合体に加えて、その他のゴムを含んでいてもよい。シクロペンテン開環重合体以外のゴムとしては、たとえば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、溶液重合SBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)、乳化重合SBR(乳化重合スチレンブタジエンゴム)、低シスBR(ポリブタジエンゴム)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン部のトランス結合含有量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ポリイソプレン−SBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。なかでも、NR、BR、IR、溶液重合SBR、乳化重合SBR、EPDMが好ましく用いられる。これらのゴムは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で用いるゴム成分において、シクロペンテン開環重合体の含有量は、本発明の効果をより顕著なものとする観点から、全ゴム成分に対して、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上であり、さらに好ましくは70重量%以上である。一方、シクロペンテン開環重合体以外のゴムの含有量は、全ゴム成分に対して、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下である。
本発明で用いる重合体組成物は、上述したシクロペンテン開環重合体を含有するゴム成分に、カーボンブラックを配合してなるものである。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられる。これらのなかでも、ファーネスブラックを用いることが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、MAF、FEFなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)が、好ましくは5〜200m/g、より好ましくは20〜150m/gであり、ジブチルフタレート(DBP)吸着量は、好ましくは5〜200ml/100g、より好ましくは50〜160ml/100gである。なお、窒素吸着比表面積は、ASTM D−4820に準拠して、BET法にて測定することができる。
本発明で用いる重合体組成物中における、カーボンブラックの含有量は、シクロペンテン開環重合体を含有するゴム成分100重量部に対し、20〜200重量部であり、好ましくは25〜150重量部、より好ましくは30〜100重量部である。カーボンブラックの含有量を上記範囲とすることにより、ゴム架橋物とした際の反発弾性率を高めることでき、これにより、得られるゴム架橋物を高い反発弾性率が要求される高反発材料として好適に適用することができる。カーボンブラックの含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物は機械物性に劣るものとなる。一方、カーボンブラックの含有量が多すぎると、重合体組成物としての加工性が劣るものとなってしまう。
また、本発明で用いる重合体組成物には、上記成分以外に、常法に従って、架橋剤、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、活性剤、プロセス油、可塑剤、ワックス、カーボンブラック以外の充填剤、などの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
架橋剤としては、たとえば、硫黄、ハロゲン化硫黄、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、アクリル酸亜鉛類、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらのなかでも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の配合量は、重合体組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは0.7〜4重量部、さらに好ましくは1〜3重量部である。
架橋促進剤としては、たとえば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系架橋促進剤;1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジン、1−オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが特に好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、重合体組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
架橋活性化剤としては、たとえば、ステアリン酸などの高級脂肪酸や酸化亜鉛などが挙げられる。架橋活性化剤の配合量は、特に限定されないが、架橋活性化剤として高級脂肪酸を用いる場合の配合量は、重合体組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部であり、架橋活性化剤として酸化亜鉛を用いる場合の配合量は、重合体組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
プロセス油としては、鉱物油や合成油を用いてよい。鉱物油は、アロマオイル、ナフテンオイル、パラフィンオイルなどが通常用いられる。
カーボンブラック以外の充填剤としては、たとえば、アルミニウム粉末等の金属粉;ハードクレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機粉末;デンプンやポリスチレン粉末等の有機粉末等の粉体;ガラス繊維(ミルドファイバー)、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカー等の短繊維;シリカ、マイカ;等が挙げられる。これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明で用いる重合体組成物を得る方法としては、特に限定されず、常法に従って各成分を混練すればよく、一例を挙げると、架橋剤および架橋促進剤を除く、カーボンブラックなどの配合剤と、シクロオレフィン開環重合体などのゴム成分とを混練後、その混練物に架橋剤および架橋促進剤を混合して目的の組成物を得ることができる。架橋剤および架橋促進剤を除く配合剤とゴム成分の混練温度は、好ましくは70〜200℃、より好ましくは100〜180℃である。また、混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。混練物と架橋剤および架橋促進剤との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却後に行われる。
本発明に係るゴム架橋物は、上述した重合体組成物を架橋することにより得ることができる。架橋方法は、特に限定されず、ゴム架橋物の形状、大きさなどに応じて選択すればよい。金型中に、重合体組成物を充填して加熱することにより成形と同時に架橋してもよく、予め成形しておいた重合体組成物を加熱して架橋してもよい。架橋温度は、好ましくは120〜200℃、より好ましくは140〜180℃であり、架橋時間は、通常、1〜120分程度である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
そして、このようにして得られる本発明に係るゴム架橋物は、反発弾性率に優れるものである。具体的には、本発明に係るゴム架橋物は、JIS K6255:1996に準拠した、リュプケ式反発弾性試験機を用いて測定される反発弾性率が、61%以上であることが好ましく、63%以上であることがより好ましい。また、反発弾性率の上限は特に限定されないが、好ましくは90%以下である。
また、本発明に係るゴム架橋物は、JIS K6251:2010に準拠した、試験片形状がダンベル状6号形の引張試験において、引張強度が10MPa以上であることが好ましく、12MPa以上であることがより好ましく、14MPa以上であることがさらに好ましい。また、引張強度の上限は特に限定されないが、30MPa以下が好ましい。本発明に係るゴム架橋物の引張強度が上記範囲であると、ゴム架橋物としての物性に優れる。
そして、本発明は、このようなゴム架橋物を、高反発材料として用いるものであり、本発明の高反発材料は、このようなゴム架橋物からなるものであるため、高い反発弾性率を有するものである。そして、本発明の高反発材料は、このような特性を活かし、各種スポーツ用途、たとえば、ゴルフボール、卓球ラケットのラバー部材、および運動靴などの、高い反発弾性率の求められる各種用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、各種の試験および評価は、下記の方法にしたがって行った。
〔シクロペンテン開環重合体、ブタジエンゴムの分子量〕
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム HLC−8220(東ソー社製)により、HタイプカラムHZ−M(東ソー社製)二本を直列に連結して用い、テトラヒドロフランを溶媒として、カラム温度40℃で測定した。検出器は示差屈折計RI−8320(東ソー社製)を用いた。シクロペンテン開環重合体、およびブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算値として測定した。
〔シクロペンテン開環重合体のガラス転移温度(Tg)〕
示差走査型熱量計(DSC,日立ハイテクサイエンス社製X−DSC7000)を用いて、−150℃〜40℃までを10℃/分の昇温で測定した。
〔シクロペンテン開環重合体のシス/トランス比、ブタジエンゴムのビニル/シス/トランス比〕
13C−NMRスペクトル測定により決定した。
〔末端変性シクロペンテン開環重合体のオキシシリル基の導入率〕
H−NMRスペクトル測定により、オキシシリル基に由来するピーク積分値と末端変性シクロペンテン開環重合体主鎖中の炭素−炭素二重結合に由来するピーク積分値との比率を求め、このピーク積分値の比率とGPCによる数平均分子量(Mn)の測定値に基づいて、オキシシリル基の導入率〔(オキシシリル基が導入されたシクロペンテン開環重合体鎖末端数/末端変性シクロペンテン開環重合体鎖数)の百分率〕を計算した。
〔引張試験〕
試料となる重合体組成物を、150℃で25分間プレス架橋することでゴム架橋物シートを作製し、得られたゴム架橋物シートを、列理方向に対して平行方向に、ダンベル状6号形に打ち抜くことで、ダンベル状試験片を得た。そして、得られたダンベル状試験片について、試験機として引張試験機(製品名「TENSOMETER10K」、ALPHA TECHNOLOGIES社製、ロードセル式 1kN)を使用し、JIS K6251:2010に準拠して、23℃、500mm/分の条件にて、引張試験を行い、引張強度、伸び、100%引張応力、および300%引張応力を測定した。
〔反発弾性試験〕
試料となる重合体組成物を、金型を用いて、加圧しながら150℃で、30分間プレス成形して、直径29mm、厚さ12.5mmの円柱状のゴム架橋物を得た。そして、得られた円柱状のゴム架橋物について、試験機としてリュプケ式反発弾性試験機(高分子計器社製)を使用して、JIS K6255:1996に準拠して、23℃、保持力:29〜39Nの条件にて、反発弾性率を測定した。
〔圧縮永久歪み率〕
重合体組成物を、金型を用いて、加圧しながら150℃で30分間プレス成形して、直径29mm、厚さ12.5mmの円柱状のゴム架橋物を得た。そして、得られた円柱状のゴム架橋物を用いて、円柱状のゴム架橋物を挟んだ二つの平面間の距離をディスク厚み方向に25%圧縮した状態で、ギヤー老化試験機(製品名「AG−1110」、上島製作所社製)にて、100℃にて72時間保持する条件でJIS K6262:2013に従い、圧縮永久歪み率を測定した。
〔参考例1〕
ジイソブチルアルミニウムモノ(n−へキソキシド)/トルエン溶液(2.5重量%)の調製
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、トルエン88部、および25.4重量%のトリイソブチルアルミニウム/n−ヘキサン溶液(東ソー・ファインケム社製)7.8部を加えた。次いで、容器を−45℃に冷却し、激しく攪拌しながら、n−ヘキサノール1.02部(トリイソブチルアルミニウムに対して当モル量)をゆっくりと滴下した。その後、攪拌しながら室温になるまで放置し、ジイソブチルアルミニウムモノ(n−へキソキシド)/トルエン溶液(2.5重量%)を調製した。
〔合成例1〕
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、1.0重量%のWCl/トルエン溶液87部、および参考例1で調製した2.5重量%のジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)/トルエン溶液43部を加え、15分間攪拌することにより、触媒溶液を得た。そして、窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン300部および1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテン1.24部を加え、ここに、上記にて調製した触媒溶液130部を加えて、25℃で4時間重合反応を行った。4時間の重合反応後、耐圧ガラス反応容器に、過剰のエチルアルコールを加えて重合を停止した後、老化防止剤として、イルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、重合により得られた重合体100部に対して0.2部添加した。次いで、多量のエタノールで凝固して重合体を回収し、40℃で3日間、真空乾燥することにより、両末端にトリエトキシシリルが導入された、両末端変性シクロペンテン開環重合体(a1)78部を得た。得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は366,000、ガラス転移温度(Tg)は−106℃、シス/トランス比は、シス/トランス=55/45であり、オキシシリル基導入率は143%であった。
〔合成例2〕
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、1.0重量%のWCl/トルエン溶液87部、および参考例1で調製した2.5重量%のジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)/トルエン溶液43部を加え、15分間攪拌することにより、触媒溶液を得た。そして、窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン300部および1−ヘキセン0.26部を加え、ここに、上記にて調製した触媒溶液130部を加えて、0℃で4時間重合反応を行った。4時間の重合反応後、耐圧ガラス反応容器に、過剰のエチルアルコールを加えて重合を停止した後、老化防止剤として、イルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、重合により得られた重合体100部に対して0.2部添加した。次いで、多量のエタノールで凝固して重合体を回収し、40℃で3日間、真空乾燥することにより、未変性のシクロペンテン開環重合体(a2)74部を得た。得られた未変性シクロペンテン開環重合体(a2)の重量平均分子量(Mw)は389,000、ガラス転移温度(Tg)は−110℃、シス/トランス比は、シス/トランス=81/19であった。
〔合成例3〕
窒素雰囲気下、磁気攪拌子を入れた耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン1000部、1−ヘキセン0.42部、およびトルエン990部を加えた。次に、トルエン10部に溶解した(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.068部を加え、室温で3時間重合した。3時間の重合反応後、耐圧ガラス反応容器に、過剰のビニルエチルエーテルを加えて重合を停止した後、老化防止剤として、イルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、重合により得られた重合体100部に対して0.2部添加した。次いで、多量のエタノールで凝固して重合体を回収し、50℃で24時間真空乾燥することにより、未変性のシクロペンテン開環重合体(a3)650部を得た。得られた未変性シクロペンテン開環重合体(a3)の重量平均分子量は(Mw)は434,000、ガラス転移温度(Tg)は−98℃、シス/トランス比は、シス/トランス=17/83であった。
〔合成例4〕
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン5670g、および1,3−ブタジエン700gを仕込んだ後、n−ブチルリチウムをシクロヘキサンと1,3−ブタジエンとに含まれる重合を阻害する不純物の中和に必要な量を添加し、さらに、n−ブチルリチウムを重合反応に用いる分として8.33mmolを加え、50℃で重合を開始した。重合を開始してから20分経過後、1,3−ブタジエン300gを30分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は80℃であった。
連続添加終了後、さらに15分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、重合溶液に、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン0.333mmol(重合に使用したn−ブチルリチウムの0.04倍モルに相当)を40重量%シクロヘキサン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。さらに、その後、下記式(3)で表されるポリオルガノシロキサン2.92mmol(重合に使用したn−ブチルリチウムの0.35倍モルに相当)を20重量%キシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させ、次いでテトラメトキシシランを8.33mmol(重合に使用したn−ブチルリチウムの1倍モルに相当)を25重量%シクロヘキサン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、末端変性ポリブタジエン(a4)を含有する溶液を得た。そして、得られた溶液に、ゴム成分100部あたり、老化防止剤としてイルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.2部添加し、スチームストリッピングにより溶媒を除去した後、60℃で24時間真空乾燥することにより、末端変性ブタジエンゴム(a4)を得た。得られた末端変性ブタジエンゴム(a4)の重量平均分子量は(Mw)は553,000、ビニル/シス/トランス比は、ビニル/シス/トランス=10/45/45であった。
Figure 2018028008
〔実施例1〕
バンバリー形ミキサー中で、合成例1で得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体(a1)100部を30秒素練りし、次いで、ステアリン酸2部、酸化亜鉛3部、カーボンブラック(商品名「IRB#8」、CONTINENTAL CARBON社製、窒素吸着比表面積(BET法):76.3m/g)60部、および、プロセスオイル(JX日鉱日石エネルギー社製、商品名「アロマックスT−DAE」)15部を添加して、110℃にて、180秒混練した後、ラムの上部に残った配合剤をクリーニングした後、さらに150秒混練し、ミキサーから混練物を排出させた。次いで、混練物を、室温まで冷却した後、23℃のオープンロールで、得られた混練物と、硫黄1,5部、および、架橋促進剤としてのN−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーNS−P」)0.9部とを混練した後、シート状の重合体組成物を得た。
そして、得られた重合体組成物を用いて、上記方法に従い、ゴム架橋物を得て、引張試験、反発弾性試験、および圧縮永久歪み率の各試験・測定を行った。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
合成例1で得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体(a1)100部に代えて、合成例2で得られた未変性シクロペンテン開環重合体(a2)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合体組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
合成例1で得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体(a1)100部に代えて、合成例3で得られた未変性シクロペンテン開環重合体(a3)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合体組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
合成例1で得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体(a1)100部に代えて、未変性ブタジエンゴム(商品名「Nipol BR1220」、日本ゼオン社製、シス含有量97%以上)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合体組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
合成例1で得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体(a1)100部に代えて、合成例4で得られた末端変性ブタジエンゴム(a4)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合体組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2018028008
表1に示すように、実施例1〜3の結果より、シクロペンテン開環重合体および所定量のカーボンブラックを含有する重合体組成物を架橋してなる本発明所定のゴム架橋物は、シクロペンテン開環重合体に代えて、ブタジエンゴムを用いた場合(比較例1、2)に比べて、反発弾性率が高く、高反発材料として好適なものであり、しかも、圧縮永久歪み率も低く、耐圧縮永久歪み性にも優れるものであった。

Claims (1)

  1. シクロペンテン開環重合体を含有するゴム成分100重量部に対して、20〜200重量部のカーボンブラックを含有する重合体組成物を架橋してなるゴム架橋物からなる高反発材料。
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