JPWO2019189579A1 - 歯科材料用重合性組成物、該組成物から得られた歯科材料 - Google Patents

歯科材料用重合性組成物、該組成物から得られた歯科材料 Download PDF

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Abstract

[課題]優れた機械強度を有する硬化させた成形体を与え得る歯科材料用重合性組成物、その組成物を硬化させた成形体、およびその成形体からなる歯科材料を提供する。
[解決手段]アリル化合物(A)及びアリル化合物(A)のオリゴマーからなる群から選択される1種と、(メタ)アクリレート化合物(B)と、を含む歯科材料用重合性組成物。

Description

本発明は、新規な歯科材料用重合性組成物、該歯科材料用重合性組成物を硬化させてなる成形体、該成形体からなる歯科材料に関する。
歯科材料用組成物の代表例であるコンポジットレジンは、典型的には、モノマー組成物、フィラー、重合開始剤、重合禁止剤、および色素等を含有している。コンポジットレジン中の各成分の重量の比率をみると、通常、フィラーの重量が最も多く、モノマー組成物の重量がそれに次ぎ、これら2成分でコンポジットレジンの重量の大半を占めている。モノマー組成物は、フィラーに対するバインダーとして働き、モノマー物性およびその硬化物の物性は、それを含有するコンポジットレジンおよびその硬化物の物性および性能に大きな影響を及ぼす。
モノマー組成物としては、モノマーの生体内における安全性、および硬化物の機械強度や耐磨耗性等の観点から、多くの場合においてラジカル重合性の多官能性メタクリレートの組成物が用いられている。多官能性メタクリレートの組成物の典型例は、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(以下Bis−GMAと称する)や2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(以下UDMAと称する)を主成分とし、粘度を調整するためにトリエチレングリコールジメタクリレート(以下TEGDMAと称する)を配合したものである。
歯科治療の臨床現場において、コンポジットレジンを用いた歯牙欠損の修復の歴史は古く、またその使用範囲も拡大してきている。しかしながら、コンポジットレジン硬化物の機械的物性は未だ十分とは言えず、特に強度の不足のため、高い応力がかかる部位、例えば大臼歯の歯冠材料等への適用には、制限があるのが実情である。
近年、臨床現場より、このような高い応力のかかる部位へのコンポジットレジンの適用拡大が強く求められており、より高い機械的物性を持つコンポジットレジンの開発は急務である。前述のようにコンポジットレジンに含有されるモノマー組成物の硬化物の物性は、それを含有するコンポジットレジンの硬化物の物性に大きな影響を及ぼす。
そこで、モノマー組成物の主成分として広く用いられているBis−GMA、およびUDMAの代替するモノマーを使用して、コンポジットレジンをはじめとする歯科材料用重合性組成物の硬化物の機械強度を向上させようとする試みがされている。
例えば、特許文献1には、ジアリルイソフタレート(DAP)プレポリマーとジアリルイソフタレート(DAP)モノマーを主成分として使用したレジン用組成物が開示されている。
特公平4−034962号公報
上述したように、コンポジットレジンをはじめとする歯科材料用重合性組成物の適用範囲の拡大には、その硬化させた成形体の機械的物性を向上させる必要がある。特に、臼歯用のコンポジットレジンは、より一層高い機械的物性が求められる。しかしながら、特許文献1のレジン用組成物の成形体は機械的物性の点で改善の余地があった。
上記問題点に鑑み、本発明は、優れた機械強度を有する硬化させた成形体を与え得る歯科材料用重合性組成物、その組成物を硬化させた成形体、およびその成形体からなる歯科材料を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、歯科材料用に主として用いられる(メタ)アクリレート化合物と、アリル化合物とを含有する歯科材料用重合性組成物を硬化させた成形体が、高い機械強度を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下に示すことができる。
[1]アリル化合物(A)及びアリル化合物(A)のオリゴマーからなる群から選択される1種と、
(メタ)アクリレート化合物(B)と、を含む歯科材料用重合性組成物。
[2]前記(メタ)アクリレート化合物(B)に対する前記アリル化合物(A)の質量比が、0.05以上1.0未満の範囲内である、[1]に記載の歯科材料用重合性組成物。
[3]前記アリル化合物(A)が、アリルオキシ基を有する化合物である、[1]又は[2]に記載の歯科材料用重合性組成物。
[4]前記アリル化合物(A)が、下記一般式(A1)で表される化合物(A1)又は下記一般式(A2)で表される化合物(A2)を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の歯科材料用重合性組成物。
Figure 2019189579
(式(A1)中、mは2〜8の整数であり、R1は水素原子又はメチル基であり、複数存在するR1は同一でも異なっていてもよく、nは0又は1の整数であり、Xは、m価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基である。)
Figure 2019189579
(式(A2)中、lは1〜8の整数であり、R10は水素原子又はメチル基であり、複数存在するR10は同一でも異なっていてもよく、
lが2〜8である場合、Yはl価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
lが1である場合、Yは下記一般式(Y1)で表される基である。)
Figure 2019189579
(式(Y1)中、R11は水素原子又はメチル基であり、hは0又は1の整数であり、点線部は式(A2)中の括弧内の基との結合位置を示す。)
[5]前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A1)で表される化合物(A1)を含み、前記一般式(A1)中のXが、m価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖式炭化水素基、m価の炭素原子数5〜16の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基、又は、m価の炭素原子数6〜50の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族炭化水素基である、[4]に記載の歯科材料用重合性組成物。
[6]前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A1)で表される化合物(A1)を含み、前記一般式(A1)中のXが、下記一般式(X1)〜(X12)のいずれかで表される基である、[4]に記載の歯科材料用重合性組成物。
Figure 2019189579
(式(X1)中、jは1〜50の整数であり、式(X1)〜(X12)中、点線部は式(A1)中の括弧内の基との結合位置を示す。)
[7]前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A1)で表される化合物(A1)を含み、前記一般式(A1)中のXが、m価の炭素原子数5〜16の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基である[4]に記載の歯科材料用重合性組成物。
[8]前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A1)で表される化合物(A1)を含み、前記一般式(A1)中のXが、下記一般式(X13)〜(X16)のいずれかで表される基である[4]に記載の歯科材料用重合性組成物。
Figure 2019189579
(式(X13)〜(X16)中、点線部は式(A1)中の括弧内の基との結合位置を示す。式(X13)中、R4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の、ヘテロ原子を含んでもよい、脂肪族炭化水素基であり、そのベンゼン環に結合する2つの結合手はオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよい。式(X15)中、R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(X16)中、ナフタレン環に結合する2つの結合手は結合可能な8か所いずれに結合していてもよく、結合手が結合していないナフタレン環上の水素原子は、他の基に置換されてもよい。)
[9]前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A2)で表される化合物(A2)を含み、前記一般式(A2)中のYが、l価の炭素原子数2〜20の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖式炭化水素基である[4]に記載の歯科材料用重合性組成物。
[10]前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A2)で表される化合物(A2)を含み、前記一般式(A2)中のYが、前記一般式(Y1)で表される基、又は下記一般式(Y2)〜(Y5)のいずれかで表される基である、[4]に記載の歯科材料用重合性組成物。
Figure 2019189579
(式(Y2)〜(Y5)中、点線部は式(A2)中の括弧内の基との結合位置を示す。)
[11]前記(メタ)アクリレート化合物(B)が、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物(B−a)を含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の歯科材料用重合性組成物。
Figure 2019189579
(式(2)中、kは2〜4の整数であり、R3は、k価のヘテロ原子を有してもよい炭化水素基であり、R2は、水素原子又はメチル基である。)
[12]重合開始剤をさらに含有する、[1]〜[11]のいずれかに記載の歯科材料用重合性組成物。
[13]前記重合開始剤が光重合開始剤を含む、[12]に記載の歯科材料用重合性組成物。
[14]フィラーさらに含有する、[1]〜[13]のいずれかに記載の歯科材料用重合性組成物。
[15]歯科材料用重合性組成物の65℃における粘度が、1〜300,000mPa・sである、[1]〜[14]のいずれかに記載の歯科材料用重合性組成物。
[16]歯科用コンポジットレジンとして用いられる、[1]〜[15]のいずれかに記載の歯科材料用重合性組成物。
[17][1]〜[16]のいずれかに記載の歯科材料用重合性組成物を硬化させた成形体。
[18][17]に記載の成形体からなる歯科材料。
本発明の歯科材料用重合性組成物からは、優れた機械強度を有する硬化させた成形体が得られる。かかる成形体は歯科材料として有用である。
製造例で得たチオウレタンアクリレート(B−a1)のIRスペクトルである
本発明の歯科材料用重合性組成物を、以下詳細に説明する。
本発明の歯科材料用重合性組成物は、アリル化合物(A)及びアリル化合物(A)のオリゴマーからなる群から選択される1種と、(メタ)アクリレート化合物(B)とを含む。
本発明の歯科材料用重合性組成物は、その硬化物が優れた機械強度を有する。特に、本発明の歯科材料用重合性組成物を光重合に用いる場合、重合度に優れ、そのために硬化物において優れた機械強度を得られる。また、光重合に用いる場合は重合度に優れることから、未重合のモノマーが残存することによる悪影響をより抑制可能である。
なお、本発明において、「優れた機械強度を得られる」とは、本発明の歯科材料用重合性組成物の硬化物そのものの機械強度(曲げ強度、破断エネルギー等)が高いこと、又は吸水による機械強度の低下が抑制されることの少なくともいずれか一方を意味する。
以下、各成分について説明する。
[アリル化合物(A)]
本発明のアリル化合物(A)は、1つ以上のアリル基を有する化合物である。
アリル化合物(A)は、2つ以上のアリル基を有する化合物であることが好ましい。またアリル化合物(A)としては、アリルオキシ基を有する化合物であることが好ましく、2つ以上のアリルオキシ基を有する化合物であることがより好ましい。アリルオキシ基を有する化合物としては、例えば、2つ以上のアリルオキシカルボニル基を有する化合物(後述する下記一般式(A1)で表される化合物(A1)等)や、その他アリルオキシ基を有する化合物(後述する下記一般式(A2)で表される化合物(A2)等)が挙げられる。
アリル化合物(A)は、好ましくは、下記一般式(A1)で表される、2以上のアリルオキシカルボニル基を含む化合物(A1)又は下記一般式(A2)で表される化合物(A2)(ただし、下記一般式(A1)で表される化合物を除く。)である。
Figure 2019189579
一般式(A1)中、mは2〜8の整数であり、R1は水素原子又はメチル基であり、複数存在するR1は同一でも異なっていてもよく、nは0又は1の整数であり、Xは、m価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基である。
1としては、水素原子が好ましい。
nは、Xが後述するm価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖式炭化水素基である場合、1であることが好ましく、Xが後述するm価の炭素原子数6〜50の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族炭化水素基である場合、0であることが好ましい。
mは、2〜6であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、2〜3であることがさらに好ましく、2であることが特に好ましい。
上記一般式(A1)中、Xとしては、m価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖式炭化水素基、m価の炭素原子数5〜16の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基、及びm価の炭素原子数6〜50の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族炭化水素基が好ましい。
Xとなり得る炭素原子数2〜100の鎖式炭化水素基としては、例えば、直鎖又は分鎖状の飽和脂肪族炭化水素基、直鎖又は分鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基等が挙げられる。その鎖式炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは2〜80、より好ましくは2〜40、さらに好ましくは2〜20である。
上記鎖式炭化水素基が有し得る置換基としては、例えば、環状アルキル基、アラルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、水酸基、アリール基、ニトロ基等が挙げられる。上記置換基に炭化水素基が含まれる場合は、その炭化水素基は直鎖状、分鎖状、環状のいずれであってもよい。これら置換基としては、水酸基が好ましい。
上記鎖式炭化水素基が含み得るヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子等が挙げられる。
上記ヘテロ原子を含む鎖式炭化水素基としては、例えば、エーテル結合を含む鎖式炭化水素基、エステル結合を含む鎖式炭化水素基等が挙げられる。
上記Xとなり得るm価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖式炭化水素基としては、下記一般式(X1)〜(X12)のいずれかで表されるヘテロ原子を含んでいてもよい鎖式炭化水素基が好ましい。
Figure 2019189579
式(X1)中、jは1〜50の整数であり、式(X1)〜(X12)中、点線部は式(A1)中の括弧内の基との結合位置を示す。式(X1)〜(X12)で表される基のうち、式(X1)で表される基が好ましい。式(X1)のjは、1〜30であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜5であることがより一層好ましく、1であることが特に好ましい。
Xとなり得る炭素原子数5〜16の脂環式炭化水素基は、例えば、m=2の場合は、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン基、シクロドデシレン基、スピロ[4.5]デシレン基、スピロ[5.5]ウンデシレン基、ノルボルニレン基、ボルニレン基、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、オキソニレン基、テトラヒドロピラニレン基等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基が有し得る置換基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、ハロゲン原子、直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、水酸基、アリール基、ニトロ基等が挙げられる。上記置換基に炭化水素基が含まれる場合は、その炭化水素基は直鎖状、分鎖状、環状のいずれであってもよい。
上記脂環式炭化水素基が含み得るヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子等が挙げられる。
上記ヘテロ原子を含む脂環式炭化水素基としては、例えば、エーテル結合を含む脂環式炭化水素基、エステル結合を含む脂環式炭化水素基等が挙げられる。
Xとなり得る芳香族炭化水素基は、m=2の場合は、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ビスフェニレン基、ヘテロアリーレン基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基が有し得る置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。上記置換基に炭化水素基が含まれる場合は、その炭化水素基は直鎖状、分鎖状、環状のいずれであってもよい。
上記芳香族炭化水素基が含み得るヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子等が挙げられる。
上記ヘテロ原子を含む芳香族炭化水素基としては、例えば、チオフェニレン基、ピリジレン基等が挙げられる。
上記Xとなり得るm価の炭素原子数6〜50の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族炭化水素基としては、下記一般式(X13)〜(X16)のいずれかで表される置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族炭化水素基であることが好ましい。
Figure 2019189579
式(X13)〜(X16)中、点線部は式(A1)中の括弧内の基との結合位置を示す。式(X13)中、R4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子又は炭素数1〜20の、ヘテロ原子を含んでもよい、脂肪族炭化水素基であり、そのベンゼン環に結合する2つの結合手はオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよい。式(X15)中、R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(X16)中、ナフタレン環に結合する2つの結合手は結合可能な8か所いずれに結合していてもよく、結合手が結合していないナフタレン環上の水素原子は、他の基に置換されてもよい。
2以上のアリルオキシカルボニル基を含む化合物(A1)としては、多価アルコールのアリルカーボネート化合物が好ましい1態様である。多価アルコールのアリルカーボネート化合物としては、例えば、ジオールのビス(アリルカーボネート)化合物、トリオールのトリス(アリルカーボネート)化合物、テトラオールのテトラ(アリルカーボネート)化合物、ヘキサオールのヘキサ(アリルカーボネート)化合物、オクタオールのオクタ(アリルカーボネート)化合物、これらポリオールの混合物からなる混合ポリオールのアリルカーボネート化合物が挙げられる。
好適なビス(アリルカーボネート)化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサンおよび4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−[5.2.1.02,6]トリシクロデカンからなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール(a1)のビス(アリルカーボネート)化合物(A11)が挙げられる。
好適なトリス(アリルカーボネート)化合物としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートからなる群より選ばれる少なくとも1種のトリオール(a2)のトリス(アリルカーボネート)化合物(A12)が挙げられる。
好適なテトラ(アリルカーボネート)化合物としては、例えば、ペンタエリスリトール、ジグリセロールおよびジトリメチロールプロパンからなる群より選ばれる少なくとも1種のテトラオール(a3)のテトラ(アリルカーボネート)化合物(A13)が挙げられる。
好適なヘキサ(アリルカーボネート)化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキソールからなる群より選ばれる少なくとも1種のヘキサオール(a4)のヘキサ(アリルカーボネート)化合物(A14)が挙げられる。
好適なオクタ(アリルカーボネート)化合物としては、例えば、トリペンタエリスリトールのオクタオール(a5)のオクタ(アリルカーボネート)化合物(A15)があげられる。
好適な混合ポリオールの(アリルカーボネート)化合物としては、例えば、前記ジオール(a1)と前記トリオール(a2)、前記テトラオール(a3)、前記ヘキサオール(a4)および前記オクタオール(a5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の3価以上のポリオールとの混合ポリオール(a11)、
前記トリオール(a2)と前記テトラオール(a3)、前記ヘキサオール(a4)および前記オクタオール(a5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の4価以上のポリオールとの混合ポリオール(a12)、前記テトラオール(a3)、前記ヘキサオール(a4)および前記トリペンタエリスリトール(a5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の5価以上のポリオールとの混合ポリオール(a13)、および
前記ヘキサオール(a4)および前記オクタオール(a5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の6価以上のポリオールとの混合ポリオール(a14)からなる群より選ばれる少なくとも1つの混合ポリオールの(アリルカーボネート化合物)(A16))が挙げられる。
ビス(アリルカーボネート)化合物(A11)の中でも、得られる硬化させた成形体の機械強度の高さからは、ジエチレングリコールのビス(アリルカーボネート)化合物、ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールの混合物のビス(アリルカーボネート)化合物が好ましい。
混合ポリオールの(アリルカーボネート化合物)(A15)の中でも、得られる硬化させた成形体の機械強度の高さからは、ジエチレングリコールとトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物、ジエチレングリコールとトリメチロールプロパンの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物、ジエチレングリコールとペンタエリスリトールの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物、ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールとペンタエリスリトールの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物が好ましい。
2以上のアリルオキシカルボニル基を含む化合物(A1)としては、芳香族多価カルボン酸のアリールアルコールエステル化合物が他の好ましい1態様である。
芳香族多価カルボン酸のアリールアルコールエステル化合物としては、例えば、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレートおよびジアリルオルソフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジアリルフタレート化合物(a6)が挙げられる。
2以上のアリルオキシカルボニル基を含む化合物(A1)の別の好ましい一態様としては、上記芳香族多価カルボン酸のアリールアルコールエステル化合物と多価アルコールをエステル交換した化合物が挙げられる。
かかる化合物としては、前記ジアリルフタレート化合物(a6)と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール(a15)とのエステル交換反応によって得られるジアリルエステル化合物;
前記ジアリルフタレート化合物(a6)と、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキソール、トリペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオール(a7)とのエステル交換反応によって得られるポリアリルエステル化合物;等が挙げられる。
2以上のアリルオキシカルボニル基を含む化合物(A1)のさらなる好ましい一態様としては、炭素原子数1〜3のアルキル基を有するジアルキルイソフタレート、炭素原子数1〜3のアルキル基を有するジアルキルテレフタレート、炭素原子数1〜3のアルキル基を有するジアルキルオルソフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジアルキルフタレートと、アリルアルコールと、ジアリルカーボネートと、前記ジオール(a15)又は前記ポリオール(a7)との混合物のエステル交換反応によって得られる、アリルエステル化合物、アリルカーボネート化合物、およびアリルカーボネート基とアリルエステル基とを有する化合物が挙げられる。
2以上のアリルオキシカルボニル基を含む化合物(A1)は、多価アルコールのアリルカーボネート化合物と、芳香族多価カルボン酸のアリールアルコールエステル化合物又は芳香族多価カルボン酸のアリールアルコールエステルと多価アルコールのエステル交換で得られる物との混合物であってもよい。また、芳香族多価カルボン酸のアリールアルコールエステル化合物の少なくとも一部を多価アルコールでエステル交換したものであってもよい。
かかる混合物としては、
(i)ジアリルテレフタレートと、ジエチレングリコールのビス(アリルカーボネート)化合物との混合物、
(ii) ジアリルテレフタレートとプロピレングリコールとの混合物のエステル交換反応によって得られたアリルエステル化合物、
(iii) (ii)のアリルエステル化合物と、ジエチレングリコールのビス(アリルカーボネート)化合物との混合物、
(iv) ジメチルテレフタレート、アリルアルコール、ジアリルカーボネート、およびジエチレングリコールの混合物のエステル交換反応によって得られた、アリルエステル化合物、アリルカーボネート化合物、およびアリルエステル基とアリルカーボネート基とを有する化合物の混合物、および
(v) (iv)で得られた前記混合物と、ジエチレングリコールのビス(アリルカーボネート)化合物との混合物等が挙げられる。
Figure 2019189579
式(A2)中、lは1〜8の整数であり、R10は水素原子又はメチル基であり、複数存在するR10は同一でも異なっていてもよく、lが2〜8である場合、Yはl価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基である。lが1である場合、Yは下記一般式(Y1)で表される基である。
Figure 2019189579
式(Y1)中、R11は水素原子又はメチル基であり、hは0又は1の整数であり、点線部は式(A2)中の括弧内の基との結合位置を示す。
10としては、水素原子が好ましい。
lは、1、又は2〜6であることが好ましく、1、又は2〜4であることがより好ましく、1、又は2〜3であることがさらに好ましく、1又は2であることが特に好ましい。
上記一般式(A2)中、Yとしては、lが2〜8である場合、l価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖式炭化水素基、l価の炭素原子数5〜16の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基、及びl価の炭素原子数6〜50の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族炭化水素基が好ましい。これらのうち、Yとしては、鎖式炭化水素基が好ましい。
上記一般式(A2)中、Yとなり得る炭素原子数2〜100の鎖式炭化水素基としては、例えば、上述の一般式(A1)中のXとなり得る炭素原子数2〜100の鎖式炭化水素基と同様のものが挙げられる。Yとなり得る鎖式炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは2〜80、より好ましくは2〜40、さらに好ましくは2〜20である。
Yにおける鎖式炭化水素基が有し得る置換基としては、例えば、上述の一般式(A1)中のXとなり得る炭素原子数2〜100の鎖式炭化水素基が有し得る置換基と同様のものが挙げられる。置換基としては、水酸基が好ましい。
Yにおける鎖式炭化水素基が含み得るヘテロ原子、及び該ヘテロ原子を含む鎖式炭化水素基としては、上述の一般式(A1)中のXにおけるものと同様のものが挙げられる。
前記一般式(A2)中、Yとしては、前記一般式(Y1)で表される基、又は下記一般式(Y2)〜(Y5)のいずれかで表される基が好ましい。
Figure 2019189579
式(Y2)〜(Y5)中、点線部は式(A2)中の括弧内の基との結合位置を示す。
Yとなり得る炭素原子数5〜16の脂環式炭化水素基は、例えば、上述の一般式(A1)中のXとなり得る炭素原子数5〜16の脂環式炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Yにおける脂環式炭化水素基が有し得る置換基としては、例えば、上述の一般式(A1)中のXとなり得る炭素原子数5〜16の脂環式炭化水素基が有し得る置換基と同様のものが挙げられる。
Yにおける脂環式炭化水素基が含み得るヘテロ原子、及び該ヘテロ原子を含む脂環式炭化水素基としては、上述の一般式(A1)中のXにおけるものと同様のものが挙げられる。
Yとなり得る炭素原子数6〜50の芳香族炭化水素基は、例えば、上述の一般式(A1)中のXとなり得る炭素原子数5〜16の芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Yにおける芳香族炭化水素基が有し得る置換基としては、例えば、上述の一般式(A1)中のXとなり得る炭素原子数6〜50の芳香族炭化水素基が有し得る置換基と同様のものが挙げられる。
Yにおける芳香族炭化水素基が含み得るヘテロ原子、及び該ヘテロ原子を含む芳香族炭化水素基としては、上述の一般式(A1)中のXにおけるものと同様のものが挙げられる。
式(Y1)中、R11は水素原子であることが好ましく、hは1であることが好ましい。
アリル化合物(A)としては、特に、光重合に用いた場合、高い重合度を得られ、それによって高い機械強度を示すことができる観点で、フタル酸ジアリル(DAP)、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(BAC)、及びジアリルカーボネート(DAC)からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
これらアリル化合物(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
[アリル化合物(A)のオリゴマー]
本発明の歯科材料用重合性組成物には、上記アリル化合物(A)に代えて、あるいは上記アリル化合物(A)とともに、アリル化合物(A)のオリゴマーを用いてもよい。ここでアリル化合物(A)のオリゴマーとは、アリル化合物(A)に含まれる炭素−炭素二重結合同士に反応により複数個のアリル化合物(A)が連なった2量体から10量体の範囲のものを意味する。また、アリル化合物(A)のオリゴマーは、アリル化合物(A)から一般的な製造法により得られるものであり、触媒量等を調整して製造できる。
アリル化合物(A)又はそのオリゴマーの含有量は、特に限定されないが、歯科材料用重合性組成物全体の質量に対し、0.01〜25質量%が好ましく、3〜16質量%がより好ましい。
(メタ)アクリレート化合物(B)に対するアリル化合物(A)の質量比は、特に限定されないが、機械強度と歯科材料としての取扱いやすいさのバランスの観点から、0.01以上1.1以下が好ましく、0.05以上1.0未満がより好ましく、0.1以上0.8以下がさらに好ましい。
[(メタ)アクリレート化合物(B)]
本発明の歯科材料用重合性組成物では、アリル化合物(A)に加えて、(メタ)アクリレート化合物(B)が含まれる。(メタ)アクリレート化合物(B)は、1以上の(メタ)アクリル基を有するものである。本発明において、(メタ)アクリレート化合物は、アクリレート化合物又はメタクリレート化合物を意味する。
(メタ)アクリレート化合物(B)は、2以上の(メタ)アクリル基を含むことが好ましく、下記一般式(2)で表されるアクリレート化合物(B−a)がより好ましい。
Figure 2019189579
式(2)中、kは2〜4の整数を示し、R3はk価のヘテロ原子を有してもよい炭化水素基を示し、R2は、水素原子あるいはメチル基を示す。
3の炭化水素基は、例えば、鎖式炭化水素基(直鎖又は分鎖の脂肪族基であってよく、飽和又は不飽和の脂肪族基であってもよい)、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であってもよい。
3の炭化水素基の炭素数は、例えば、1〜200であってよいが、1〜150であることが好ましく、1〜100であることがより好ましく、1〜50であることがさらに好ましく、1〜30であることがより一層好ましい。
3の炭化水素基が含んでもよいヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子等が挙げられる。ヘテロ原子は、硫黄原子及び/又は窒素原子を含むことが好ましい。
3としては、ウレタン結合を有する炭化水素基であることが好ましい。
2は、水素原子あるいはメチル基のいずれであってもよいが、水素原子であることが好ましい。
(メタ)アクリレート化合物(B)の65℃における粘度は、例えば、1〜50000mPa・sであることが好ましく、1〜20000mPa・sであることがより好ましく、1〜5000mPa・sであることがさらに好ましく、1〜3000mPa・sであることが特に好ましい。上記粘度は、E型粘度計により、65℃で測定した値である。
(メタ)アクリレート化合物(B)の分子量としては、80〜3000が好ましく、150〜2500がより好ましく、200〜2000がさらに好ましい。分子量がこの範囲より小さいと低沸点となるため、歯科材料用重合性組成物を調製する際の操作性の観点から下限値を上記にすることが好ましい。分子量がこの範囲より大きいと粘度が高くなる傾向があり、歯科材料用重合性組成物を調製する際の操作性の観点から上限値を上記にすることが好ましい。
上記(メタ)アクリレート化合物(B)としては、公知の(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。例えば、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート、2価のオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート、環式構造を有する(メタ)アクリレート(後述するメタアクリレート(B3−6)等)等が挙げられるが、高い靭性と剛性を両立できる観点からウレタン結合を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
ウレタン結合を有する(メタ)アクリレートは、イソシアネート基を有する化合物と、重合性基を一つ以上有するヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物との反応生成物を用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、高い靭性と剛性を両立し、また高い機械的物性を有する硬化させた成形体が得られる点から、下記(メタ)アクリレート(B1)、(B2)、及び(B3−5)が好ましい一態様である。中でも、チオウレタン(メタ)アクリレートである(メタ)アクリレート(B2)及び(B3−5)がより好ましい一態様である。
[(メタ)アクリレート(B1)]
(メタ)アクリレート(B1)は、ジアミンと、イソ(チオ)シアナト基を二つ以上有するイソ(チオ)シアネート化合物と、重合性基を一つ以上有するヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、の反応生成物であるウレタンウレア型(メタ)アクリレートである。
イソ(チオ)シアネート化合物は、イソ(チオ)シアナト基を二つ以上有する化合物である。なお本明細書では、イソ(チオ)シアナト基とは、イソシアナト基(−NCO)又はイソチオシアナト基(−NCS)を意味し、イソ(チオ)シアネート化合物とは、イソシアネート化合物又はイソチオシアネート化合物を意味する。
イソ(チオ)シアネート化合物としては、後述の(メタ)アクリレート(B2)のものと同様のものを使用することができる。
イソシアネート化合物としては、後述の(メタ)アクリレート(B2)のものと同様のものを使用することができる。
重合性基を一つ以上有するヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物は、メタクリロイル基およびアクリロイル基から選ばれる少なくとも1つの重合性基、およびヒドロキシ基を含有する化合物である。
重合性基を一つ以上有するヒドロキシアクリレート化合物としては、後述の(メタ)アクリレート(B2)のものと同様のものを使用することができる。
本発明におけるウレタンウレア型(メタ)アクリレート(B1)は、前述のようにジアミンと、イソ(チオ)シアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とを反応させることにより得られるが、その反応は、公知又は公知に準ずる方法により行うことができる。
[(メタ)アクリレート(B2)]
(メタ)アクリレート(B2)は、メルカプト基を三つ以上有するチオール化合物と、イソ(チオ)シアナト基を二つ以上有するイソ(チオ)シアネート化合物と、重合性基を一つ以上有するヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物との反応生成物である。
メルカプト基を三つ以上有するチオール化合物は、三つ以上のメルカプト基を有する化合物であり、チオール化合物を意味する。
メルカプト基を三つ以上有するチオール化合物としては、例えば、脂肪族ポリチオール化合物、芳香族ポリチオール化合物、複素環ポリチオール化合物からなる群から選ばれる化合物を挙げることができる。
本実施形態に用いることのできるメルカプト基を三つ以上有するチオール化合物として、特に限定されないが、本発明の効果の観点から、好ましくは、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンからなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物が用いられる。
イソ(チオ)シアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物、複素環ポリイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソチオシアネート化合物、脂環族ポリイソチオシアネート化合物、芳香族ポリイソチオシアネート化合物、含硫複素環ポリイソチオシアネート化合物およびこれらの変性体を挙げることができる。
イソチオシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソチオシアネート等の脂肪族ポリイソチオシアネート化合物;
イソホロンジイソチオシアネート等の脂環族ポリイソチオシアネート化合物;
トリレンジイソチオシアネート等の芳香族ポリイソチオシアネート化合物;
2,5−ジイソチオシアナトチオフェン等の含硫複素環ポリイソチオシアネート化合物;等を挙げることができる。
イソシアネート化合物としては、特に限定されないが、イソシアネート化合物の中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロへキシル)メタン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、および4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロへキシル)メタン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタンがより好ましい。
イソ(チオ)シアネート化合物としては、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
重合性基を一つ以上有するヒドロキシアクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等を挙げることができる。
本発明の(メタ)アクリレート(B2)は、前述のように前記チオール化合物と、前記イソ(チオ)シアネート化合物と、前記ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とを反応させることにより得られるが、その反応は、公知又は公知に準ずる方法により行うことができる。
(メタ)アクリレート(B)として(メタ)アクリレート(B1)及び(メタ)アクリレート(B2)からなる群より選ばれる少なくとも1つの(メタ)アクリレートが含まれる場合には、(メタ)アクリレート(B1)および(B2)の含有量は、特に限定されないが、歯科材料用重合性組成物全体の質量に対し、1〜50質量%が好ましく、15〜24質量%がより好ましい。また、(メタ)アクリレート(B)が後述する(メタ)アクリレート(B3−5)である場合、(メタ)アクリレート(B3−5)の含有量も上記範囲内であることが好ましい。特に、後述するフィラー、重合開始剤等の、アリル化合物(A)及び(メタ)アクリレート化合物(B)以外の成分を含む場合に、上記範囲内であることが好ましい。
[重合性化合物(B3)]
本発明の歯科材料用重合性組成物は、上述した(メタ)アクリレート(B1)および(B2)からなる群より選ばれる1種の(メタ)アクリレートに加えて、あるいはその(メタ)アクリレートに替えて、メタクリロイル基およびアクリロイル基から選ばれる少なくとも1つの重合性基を含有する重合性化合物(B3)(ただし、(メタ)アクリレート(B1)および(B2)を除く)を含有してもよい。
上記重合性化合物(B3)に含有される重合性基(メタクリロイル基およびアクリロイル基から選ばれる少なくとも1つの重合性基)の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。好ましい重合性基の数は2以上10以下であり、より好ましい重合性基の数は2以上6以下であり、さらに好ましい重合性基の数は2以上4以下である。
重合性基を1つだけ有する上記重合性化合物(B3)としては、例えば、1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート(B3−3)が挙げられる。(メタ)アクリレート(B3−3)としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングルコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノメタクリレート等が挙げられる。
重合性基を2つ以上有する上記重合性化合物(B3)としては、例えば、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート(B3−4)が挙げられる。ただし、(メタ)アクリレート(B3−4)には、(メタ)アクリレート(B1)および(B2)は含まれない。(メタ)アクリレート(B3−4)としては、2価のオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート(B3−5)(ただし、(メタ)アクリレート(B1)及び(B2)は除く)、環式構造を有する(メタ)アクリレート(B3―6)が挙げられる。
2価のオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート(B3−5)(ただし、(メタ)アクリレート(B1)及び(B2)は除く)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、又は1,4−シクロヘキサンジメタノールモノメタクリレート等のヒドロキシメタクリレートと、2,4−又は2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−、2,4’−又は2,2’−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート等のジイソシアネートとの反応生成物であるウレタンメタクリレート等が挙げられ、このようなウレタンメタクリレートとしては、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(UDMA)等が挙げられる。
環式構造を有する(メタ)アクリレート(B3―6)としては、芳香族構造を有する(メタ)アクリレートが好ましく、例えば、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GMA)、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート等が挙げられる。
また本発明の歯科材料用重合性組成物を歯科用接着材の用途に使用する場合等には、上記重合性化合物(B3)として、接着の機能を発揮する重合性化合物が含有されていることが好ましい。このような接着の機能を発揮する重合性化合物(B3)として、例えば、メタクリロイル基およびアクリロイル基から選ばれる少なくとも1つの重合性基と酸性基を有する重合性化合物が挙げられる。酸性基として、例えば、リン酸残基、ピロリン酸残基、チオリン酸残基、カルボン酸残基およびスルホン酸残基等が挙げられる。
また、本発明の歯科材料用重合性組成物には、重合性化合物(B3)には分類されない、酸性基を有する重合性化合物を含んでいてもよい。このような酸性基を有する重合性化合物としては、例えば、スチレンスルホン酸等のスルホン酸残基含有重合性化合物等挙げられる。これら酸性基を有する重合性化合物は、1種単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の歯科材料用重合性組成物に、上記酸性基を有する重合性化合物が含まれる場合には、酸性基を有する重合性化合物の配合量は特に制限はされないが、酸性基を有する重合性化合物に含有される重合性基が、歯科材料用重合性組成物の全重合性基の数に対して、通常50%以下の量となるように、酸性基を有する重合性化合物が歯科材料用重合性組成物に含まれる。
本発明の歯科材料用重合性組成物100重量%中の重合性化合物(B3)の量としては通常は0〜60重量%、好ましくは10〜40重量%である。特に、後述するフィラー、重合開始剤等の、アリル化合物(A)及び(メタ)アクリレート化合物(B)以外の成分を含む場合に、上記範囲内であることが好ましい。
本発明の歯科材料用重合性組成物は、アリル化合物(A)及び(メタ)アクリレート化合物(B)のモノマー成分のみから構成してもよく、該モノマー成分以外の成分(後述するフィラー、重合開始剤等)を含んで構成してもよい。
上記モノマー成分のみから構成する場合、アリル化合物(A)及び(メタ)アクリレート化合物(B)の含有量が組成物全体に対して90質量%以上であることが好ましく、アリル化合物(A)及び(メタ)アクリレート化合物(B)のみから構成してもよい。
なお、本発明の歯科材料用重合性組成物がモノマー成分のみから構成される場合、該歯科材料用重合性組成物を「歯科材料用モノマー組成物」と呼称し、本発明の歯科材料用重合性組成物がモノマー成分とモノマー成分以外の成分(例えば、フィラー、重合開始剤等)とを含む場合、該歯科材料用重合性組成物を「歯科材料用組成物」と呼称する場合がある。
本発明の歯科材料用重合性組成物の粘度については、特に限定はないが、65℃において1〜300,000mPa・sの範囲が好ましく、1〜100,000mPa・sの範囲がより好ましく、5〜60,000mPa・sの範囲がさらに好ましく、10〜30,000mPa・sの範囲がより一層好ましく、100〜10,000mPa・sの範囲であることがよりさらに好ましい。特に、本発明の歯科材料用重合性組成物がフィラー、重合開始剤を含む場合に、組成物の粘度が上記範囲内であることが好ましい。上記上限値を超える粘度となると、歯科材料用重合性組成物にフィラー等の成分を添加する場合に分散性が悪くなり、均一に混和することが困難になるおそれがある。一方、上記下限値を下回る粘度では、歯科材料用重合性組成物にフィラー等の成分を添加する場合に気泡の混入が多くなり、やはり均一に混和することが困難になるおそれがある。なお、歯科材料用重合性組成物は高温下での保存により含まれる単量体成分の一部がオリゴマー化する場合がある。上記粘度は、オリゴマー化する前の調製直後の歯科材料用重合性組成物についてのものである。
本発明における歯科材料用重合性組成物の色相については特に限定はないが、歯科材料の原料として使用するため色相が良好であることが好ましい。具体的にはAPHAで、500以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下がさらに好ましい。
本発明の歯科材料用重合性組成物を製造するあたり、アリル化合物(A)又はそのオリゴマーと(メタ)アクリレート化合物(B)等とを混合する方法は、特に制限はない。例えば、アリル化合物(A)又はそのオリゴマーと(メタ)アクリレート化合物(B)等とを容器中に入れ、適宜加温しながら均一となるまで撹拌することにより、本発明の歯科材料用重合性組成物が得られる。
本発明の歯科材料用重合性組成物は、その保存安定性の向上のために、重合禁止剤を含有することができる。
本発明の歯科材料用重合性組成物は、後述の重合開始剤を添加することにより、常温重合性、熱重合性、又は光重合性を有するようになる。本発明の歯科材料用重合性組成物を硬化させた成形体は、従来の歯科材料用モノマー組成物又は歯科材料用組成物を硬化させた成形体と比べて、高い機械的物性を有しており、特に高破断強度と高破断エネルギーの両方をバランスよく兼ね備えている。別の言い方をすれば、靭性と剛性を兼ね備えた材料である。
本発明の歯科材料用重合性組成物には、殺菌剤、消毒剤、安定化剤、保存剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない限り必要に応じて含有してもよい。
本発明の歯科材料用重合性組成物は、歯科材料の製造に好適であり、上述したアリル化合物(A)又はアリル化合物(A)のオリゴマー、(メタ)アクリレート化合物(B)、重合開始剤、およびフィラーを含有することが好ましい一態様である。かかる歯科材料用重合性組成物は、常温重合性、熱重合性、又は光重合性を有し、例えば歯科修復材料として好ましく使用することができる。本発明者らは、アリル化合物(A)を有する化合物を用いるにもかかわらず、光重合によって高い重合度を有し、優れた機械強度を有する硬化物を得られることを見出した。この観点で、光重合開始剤を用いることが好ましい。
アリル化合物(A)又はアリル化合物(A)のオリゴマー、(メタ)アクリレート化合物(B)、および必要に応じて含まれるその他の重合性化合物の合計配合量は、特に限定されないが、後述するフィラー、重合開始剤等のモノマー成分以外の成分を含む場合、歯科材料用重合性組成物100重量%に対して、通常20〜80重量%であってよく、好ましくは20〜50重量%の範囲である。
上記重合開始剤は、歯科分野で用いられる一般的な重合開始剤を使用することができ、通常、歯科材料用重合性組成物に含まれる重合性化合物の重合性と重合条件を考慮して選択される。
常温重合を行う場合には、たとえば、酸化剤および還元剤を組み合わせたレドックス系の重合開始剤が好適である。レドックス系の重合開始剤を使用する場合、酸化剤と還元剤が別々に包装された形態をとり、使用する直前に両者を混合する必要がある。
酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類およびハイドロパーオキサイド類等の有機過酸化物を挙げることができる。
また、還元剤としては、特に限定されないが、通常第三級アミンが用いられる。
これら有機過酸化物/アミン系の他には、クメンヒドロパーオキサイド/チオ尿素系、アスコルビン酸/Cu2+塩系、有機過酸化物/アミン/スルフィン酸(又はその塩)系等のレドックス系重合開始剤を用いることができる。また、重合開始剤として、トリブチルボラン、有機スルフィン酸等も用いることができる。
加熱による熱重合を行う場合には、過酸化物、もしくはアゾ系化合物を使用することが好ましい。
過酸化物としては特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等が挙げられる。アゾ系化合物としては特に限定されないが、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
可視光線照射による光重合を行う場合には、α−ジケトン/第三級アミン、α−ジケトン/アルデヒド、α−ジケトン/メルカプタン等のレドックス系開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、α−ジケトン/還元剤、ケタール/還元剤、チオキサントン/還元剤等が挙げられる。α−ジケトンとしては、例えば、カンファーキノン、ベンジルおよび2,3−ペンタンジオン等が挙げられる。ケタールとしては、例えば、ベンジルジメチルケタールおよびベンジルジエチルケタール等が挙げられる。チオキサントンとしては、例えば、2−クロロチオキサントンおよび2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。還元剤としては、例えば、ミヒラ−ケトン等、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N,N−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕−N−メチルアミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジンおよびジメチルアミノフェナントール等の第三級アミン;シトロネラール、ラウリルアルデヒド、フタルジアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒドおよびテレフタルアルデヒド等のアルデヒド類;2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、4−メルカプトアセトフェノン、チオサリチル酸およびチオ安息香酸等のチオール基を有する化合物;等を挙げることができる。これらのレドックス系に有機過酸化物を添加したα−ジケトン/有機過酸化物/還元剤の系も好適に用いられる。
紫外線照射による光重合を行う場合には、ベンゾインアルキルエーテルおよびベンジルジメチルケタール等が好適である。また、(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類の光重合開始剤も好適に用いられる。
(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類のうち、アシルフォスフィンオキサイド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート等が挙げられる。ビスアシルフォスフィンオキサイド類としては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドおよび(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これら(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類の光重合開始剤は、単独もしくは各種アミン類、アルデヒド類、メルカプタン類およびスルフィン酸塩等の還元剤と併用することもできる。これらは、上記可視光線の光重合開始剤とも好適に併用することができる。
上記重合開始剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。重合開始剤の配合量は、歯科材料用重合性組成物に含まれる重合性化合物(アリル化合物(A)又はアリル化合物(A)のオリゴマー、(メタ)アクリレート化合物(B)、および必要に応じて含まれるその他の重合性化合物)の総量100重量%に対して、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。
フィラーは、歯科分野で用いられる一般的なフィラーを使用することができる。フィラーは、通常、有機フィラーと無機フィラーに大別される。
有機フィラーとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびスチレン−ブタジエン共重合体等の微粉末が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、各種ガラス類(二酸化珪素を主成分とし、必要に応じ、重金属、ホウ素およびアルミニウム等の酸化物を含有する)、各種セラミック類、珪藻土、カオリン、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、活性白土、合成ゼオライト、マイカ、フッ化カルシウム、フッ化イッテルビウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイト等の微粉末が挙げられる。このような無機フィラーの具体例としては、例えば、バリウムボロシリケートガラス(キンブルレイソーブT3000、ショット8235、ショットGM27884およびショットGM39923等)、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス(レイソーブT4000、ショットG018−093およびショットGM32087等)、ランタンガラス(ショットGM31684等)、フルオロアルミノシリケートガラス(ショットG018−091およびショットG018−117等)、ジルコニウムおよび/又はセシウム含有のボロアルミノシリケートガラス(ショットG018−307、G018−308およびG018−310等)が挙げられる。
また、これら無機フィラーに重合性化合物を予め添加し、ペースト状にした後、重合硬化させ、粉砕して得られる有機無機複合フィラーを用いても差し支えない。
また、歯科材料用重合性組成物において、粒径が0.1μm以下のミクロフィラーが配合された組成物は、歯科用コンポジットレジンに好適な態様の一つである。かかる粒径の小さなフィラーの材質としては、シリカ(例えば、商品名アエロジル)、アルミナ、ジルコニア、チタニア等が好ましい。このような粒径の小さい無機フィラーの配合は、コンポジットレジンを硬化させた成形体の研磨滑沢性を得る上で有利である。
これらのフィラーに対しては、目的に応じて、シランカップリング剤等により表面処理が施される場合がある。かかる表面処理剤としては、公知のシランカップリング剤、例えば、γ−メタクリルオキシアルキルトリメトキシシラン(メタクリルオキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12)、γ−メタクリルオキシアルキルトリエトキシシラン(メタクリルオキシ基と珪素原子との間の炭素数:3〜12)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシランおよびビニルトリアセトキシシラン等の有機珪素化合物が使用される。
これらのフィラーは1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。フィラーの配合量は、歯科材料用重合性組成物(例えばコンポジットレジンペースト)の操作性(粘稠度)やそれを硬化させた成形体の機械的物性を考慮して適宜決定すればよく、歯科材料用重合性組成物中に含まれるフィラー以外の全成分100重量部に対して、通常10〜2000重量部、好ましくは50〜1000重量部、より好ましくは100〜600重量部である。
本発明の歯科材料用重合性組成物は、本発明のアリル化合物(A)又はアリル化合物(A)のオリゴマー、(メタ)アクリレート化合物(B)、必要に応じて含まれるその他の重合性化合物、前述の重合開始剤、および前述のフィラー以外の成分を、目的に応じて適宜含んでもよい。例えば、保存安定性を向上させるための前述した重合禁止剤を含んでもよい。また、色調を調整するために、公知の顔料、染料等の色素を含んでもよい。さらに、硬化させて得られた成形体の強度を向上させるために、公知のファイバー等の補強材を含んでもよい。
本発明の歯科材料用重合性組成物は、前述の重合開始剤の重合方式にあわせ適切な条件で硬化することができる。例えば、可視光照射による光重合開始剤を含有している本発明の歯科材料用重合性組成物の場合は、該歯科材料用重合性組成物を所定の形状に加工したのち、公知の光照射装置を用いて所定の時間可視光を照射することにより、所望の硬化させた成形体を得ることができる。照射強度、照射強度等の条件は、歯科材料用重合性組成物の硬化性に合わせて適切に変更することができる。また、可視光をはじめとした、光照射により硬化させた成形体にさらに適切な条件で熱処理をすることにより、成形体の機械的物性を向上させることもできる。
以上のようにして得られる本発明の歯科材料用重合性組成物を硬化させた成形体は、歯科材料として好適に用いることができる。
本発明の歯科材料用重合性組成物の使用方法は、歯科材料の使用法として一般に知られているものであれば、特に制限されない。例えば、本発明の歯科材料用重合性組成物の場合を齲蝕窩洞充填用コンポジットレジンとして使用する場合は、口腔内の窩洞に該歯科材料用重合性組成物を充填した後、公知の光照射装置を用いて光硬化させることにより、目的を達成できる。また、歯冠用コンポジットレジンとして使用する場合は、適切な形状に加工した後、公知の光照射装置を用いて光硬化させ、さらに所定の条件で熱処理を行うことで、所望の歯冠材料を得ることができる。
本発明の歯科材料用重合性組成物は、歯科材料用に好適であり、歯科材料としては、例えば、歯科修復材料、義歯床用レジン、義歯床用裏装材、印象材、合着用材料(レジンセメントやレジン添加型グラスアイオノマーセメント)、歯科用接着材(歯列矯正用接着材や窩洞塗布用接着材)、歯牙裂溝封鎖材、CAD/CAM用レジンブロック、テンポラリークラウンや、人工歯材料等を挙げることができる。
本発明の歯科材料用重合性組成物は、歯科修復材料(歯科用コンポジットレジン等)としても好ましく使用することができる。また、歯科修復材料を適用範囲別に分類すると、臼歯用コンポジットレジン、歯冠用コンポジットレジン、齲蝕窩洞充填用コンポジットレジン、支台築造用コンポジットレジン、および充填修復用コンポジットレジン等に分類できるが、本発明の歯科材料用重合性組成物を硬化させた成形体は、高い機械的物性を示すため、臼歯用コンポジットレジンとして特に好ましく使用できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例]チオウレタンアクリレート(B−a1)の合成
本発明の製造例に使用した化合物の略号を以下に示す。
HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート
XDI:m−キシリレンジイソシアネート
THIOL:5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物
DBTDL:ジブチルスズジラウレート
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
十分に乾燥させた攪拌羽根、および温度計を備えた100mL4ツ口フラスコ内に、DBTDL 0.1重量部、BHT 0.05重量部、XDI 21.35重量部、THIOL 2.09重量部を装入し、溶解させて均一溶液とした後、80℃で4時間反応させて中間体を含む溶液を得た。当該溶液を、90℃まで昇温し、更にHPA 26.56重量部を1時間かけて滴下した。滴下中に反応熱により内温が上昇したので、90℃以下となるように滴下量をコントロールした。全量滴下後反応温度を90℃に保って、10時間反応を行った。この際、HPLC分析で反応の進行を追跡して、反応の終点を確認した。反応器から生成物を排出することにより、チオウレタンアクリレート(B−a1)(アクリレート(B−a1))50gを得た。65℃における粘度は1790mPa・sであった。25℃における屈折率は1.5271であった。チオウレタンアクリレート(B−a1)のIRスペクトルを図1に示す。
本発明の実施例に使用した化合物の略号を以下に示す。
DAP:フタル酸ジアリル
BAC:ジエチレングリコールビスアリルカーボネート
DAC:ジアリルカーボネート
DVB:ジビニルベンゼン
CQ:カンファーキノン
DMAB2−BE:4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−ブトキシエチル
DAPCH:1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン
[曲げ試験用試験片の作製方法1]
本発明の実施例および比較例において、光重合により試験体を作製した場合の曲げ試験用試験片の作製方法を、以下に示す。
(光重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製)
各実施例および比較例で得たモノマー組成物30重量部に対して、CQ0.09重量部、DMAB2−BE0.09重量部を添加し、均一になるまで室温で撹拌して更に、シリカガラス(Fuselex−X(株式会社 龍森))70重量部を配合し、乳鉢を用いて均一になるまで撹拌したのち、脱泡を行うことで歯科材料用組成物を調製した。得られた歯科材料用組成物を、2x2x25mmのステンレス製型に入れ、可視光照射装置(松風社製 ソリディライトV)を用いて、片面3分間ずつ両面合わせて6分間光照射した。さらに型より取りだした試験片を、オーブン中において130℃、2時間の条件で熱処理した。オーブンより取り出した試験片を室温まで冷却したのち、密閉できるサンプル瓶中で試験片を蒸留水に浸漬して、37℃で24時間保持したものを試験片(光重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片)として使用した。
[曲げ試験用試験片の作製方法2]
本発明の実施例および比較例において、熱重合により試験体を作製した場合の曲げ試験用試験片の作製方法を、以下に示す。
(熱重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製1)
各実施例および比較例で得たモノマー組成物30重量部に対して、DAPCH0.24重量部を添加し、均一になるまで室温で撹拌して更に、シリカガラス(Fuselex−X(株式会社 龍森))70重量部を配合し、乳鉢を用いて均一になるまで撹拌したのち、脱泡を行うことで歯科材料用組成物を調製した。得られた歯科材料用組成物を直径30mm高さ50mmのガラス製型に入れ、最高温度を120℃とするオーブンで合計48時間保持し熱重合を行った。得られた熱重合成形体をオーブン中において130℃、2時間の条件で熱処理した。オーブンより取り出した成形体を室温まで冷却した後2x2x25mの試験片サイズに切削した。得られた試験片を密閉できるサンプル瓶中で蒸留水に浸漬させ、37℃で24時間保持したものを試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)として使用した。
[曲げ試験用試験片の作製方法3]
本発明の実施例および比較例において、熱重合により試験体を作製した後、一週間試験体を蒸留水へ浸漬する場合の曲げ試験用試験片の作製方法を、以下に示す。
(熱重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製2)
各実施例および比較例で得たモノマー組成物30重量部に対して、DAPCH0.24重量部を添加し、均一になるまで室温で撹拌して更に、シリカガラス(Fuselex−X(株式会社 龍森))70重量部を配合し、乳鉢を用いて均一になるまで撹拌したのち、脱泡を行うことで歯科材料用組成物を調製した。得られた歯科材料用組成物を直径30mm高さ50mmのガラス製型に入れ、最高温度を120℃とするオーブンで合計48時間保持し熱重合を行った。得られた熱重合成形体をオーブン中において130℃、2時間の条件で熱処理した。オーブンより取り出した成形体を室温まで冷却した後2x2x25mの試験片サイズに切削した。得られた試験片を密閉できるサンプル瓶中で蒸留水に浸漬させ、37℃で1週間保持したものを試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片2)として使用した。
(曲げ試験)
上記方法で作製した試験片を、万能試験機(インテスコ製 210X型試験機)を使用して、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で三点曲げ試験を行った。
[実施例1]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)80重量部と、DAP20重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(1)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(1)から(光重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(1−1)および試験片(光重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度214MPa、破断エネルギー24mJであった。
結果を表1に示す。
[実施例2]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)70重量部と、DAP30重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(2)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(2)から(光重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(2−1)および試験片(光重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度202MPa、破断エネルギー28mJであった。
結果を表1に示す。
[実施例3]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)60重量部と、DAP40重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(3)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(3)から(光重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(3−1)および試験片(光重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度182MPa、破断エネルギー23mJであった。
結果を表1に示す。
[実施例4]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)80重量部と、BAC20重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(4)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(4)から(光重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(4−1)および試験片(光重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度209MPa、破断エネルギー26mJであった。
結果を表1に示す。
[実施例5]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)70重量部と、BAC30重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(5)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(5)から(光重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(5−1)および試験片(光重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度195MPa、破断エネルギー30mJであった。結果を表1に示す。
[実施例6]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)60重量部と、BAC40重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(6)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(6)から(光重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(6−1)および試験片(光重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度177MPa、破断エネルギー24mJであった。
結果を表1に示す。
[比較例1]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)80重量部と、DVB20重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(7)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(7)から(光重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(7−1)および試験片(光重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度168MPa、破断エネルギー19mJであった。結果を表1に示す。
Figure 2019189579
[実施例7]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)80重量部と、DAP20重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(8)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(8)から(熱重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製1)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(8−1)および試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度257MPa、破断エネルギー42mJであった。結果を表2に示す。
[実施例8]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)70重量部と、DAP30重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(9)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(9)から(熱重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製1)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(9−1)および試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度232MPa、破断エネルギー30mJであった。結果を表2に示す。
[実施例9]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)60重量部と、DAP40重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(10)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(10)から(熱重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製1)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(10−1)および試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度212MPa、破断エネルギー25mJであった。結果を表2に示す。
[実施例10]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)80重量部と、BAC20重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(11)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(11)から(熱重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製1)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(11−1)および試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度248MPa、破断エネルギー38mJであった。結果を表2に示す。
[実施例11]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)70重量部と、BAC30重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(12)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(12)から(熱重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製1)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(12−1)および試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度228MPa、破断エネルギー33mJであった。結果を表2に示す。
[実施例12]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)60重量部と、BAC40重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(13)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(13)から(熱重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製1)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(13−1)および試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度206MPa、破断エネルギー24mJであった。結果を表2に示す。
[比較例2]
製造例に則り得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)80重量部と、DVB20重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(14)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(14)から(熱重合法を用いる曲げ試験用試験片の作製1)および(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(14−1)および試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)を得て、曲げ試験を実施したところ、曲げ強度195MPa、破断エネルギー21mJであった。結果を表2に示す。
Figure 2019189579
本発明の歯科材料用重合性組成物を硬化させて得られる成形体は、従来の歯科材料用重合性組成物を硬化させて得られる成形体と比較して曲げ強度および破断エネルギーが向上していることがわかる。すなわち、特定のアリル基を含む化合物を、希釈モノマーとして使用することにより、歯科材料用重合性組成物を硬化させて得られる成形体の曲げ強度及び靱性が向上することが示された。
[吸水性試験]
後述する本発明の実施例13、14および比較例3、4において、ワッシャー型モールドを用いて光重合により試験片を作製した場合の吸水性試験の方法を、以下に示す。
(吸水性試験片の作製)
各実施例および比較例で得たモノマー組成物100重量部に対して、CQ0.5重量部、DMAB2−BE0.5重量部を添加し、均一になるまで室温で撹拌して更に、脱泡を行うことで歯科材料用組成物を調製した。続いて、ガラス板に離型フィルムを置き、その上に内径φ15mm、厚さ1.0mmのワッシャー型モールドを置いた。ワッシャー型モールドへ、調製した歯科材料用組成物を注ぎ、その上にガラス板を被せ圧接することで、モールドから余剰の歯科材料用組成物を押し出した。この2枚のガラス板で歯科材料用組成物を充填したモールドを挟んだものを吸水性試験片作製キットとした。吸水性試験片作製キットをクリップで固定し、可視光照射装置(松風社製 ソリディライトV)を用いて、片面3分間ずつ両面合わせて6分間光照射した。吸水性試験片作製キットからワッシャー型モールドを取りだし、ワッシャー型モールドから光硬化した歯科材料組成物を取り出して、余剰の光硬化した歯科材料組成物を取り除くことで、円柱状吸水性試験片を得た。同様の作業を5回繰り返し、5つの吸水性試験片を作製した。作製した試験片を37±1℃に保ったデシケータに保管し、22時間後、デシケータからサンプルを取出し、231℃に保ったデシケータに2時間入れた後、0.1mgの精度で秤量した。この合計24時間のデシケータでの保管及び保管後の秤量を、保管開始から24時間後の吸水性試験片の質量減が0.1mgより少なくなるまで24時間の保管及び測定を繰り返し、恒量となった時(つまり、24時間で減少した質量が0.1mg未満となった時)の質量をm1とした。m1質量測定後、吸水性試験片の体積(v)を算出する為、厚みと直径をマイクロメーターにて測定した。体積を測定した吸水性試験片をサンプル瓶に入れ、試験片1枚あたり10mL以上となるように、計50mL以上の蒸留水を注いで、37±1℃に保ったデシケータに1週間保管した。吸水性試験片を蒸留水中から取り出し、表面の水分を拭い、空気中で15秒間よく振り、蒸留水から取り出してから1分後に秤量し、この時の質量をm2とした。m2秤量後、m1を秤量したときと同様の作業に、保管開始から24時間後の吸水性試験片の質量減が0.1mgより少なくなるまで24時間の保管及び測定を繰り返し、恒量となった時の質量をm3とした。m2からm3を引いた質量をm1測定時の吸水性試験片の体積vで割った値を吸水量(μg/mm3)とし、5つの吸水性試験片の平均値を算出し、実施例および比較例の吸水量として採用した。
[実施例13]
UDMA80重量部と、DAP20重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(15)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(15)から(吸水性試験片の作製)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(15−1)および吸水性試験片を得て、吸水性試験を実施したところ、吸水量31.4μg/mm3であった。結果を表3に示す。
[実施例14、比較例3、比較例4]
主モノマーと希釈モノマーの種類・仕込み比を表3に示す条件に変更した点以外は、実施例13と同じ条件で、実施例14、比較例3〜比較例4に係る歯科材料用モノマー組成物(16)〜(18)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(16)〜(18)のそれぞれから(吸水性試験片の作製)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(16−1)〜(18−1)および吸水性試験片を得て、それぞれについて吸水性試験を実施した。実施例14、比較例3〜比較例4の結果を表3に示す。
Figure 2019189579
本発明の歯科材料用重合性組成物を硬化させて得られる成形体は、従来の歯科材料用重合性組成物を硬化させて得られる成形体と比較して吸水量が抑えられていることがわかる。すなわち、特定のアリル基を含む化合物を、希釈モノマーとして使用することにより、歯科材料用重合性組成物を硬化させて得られる成形体の吸水量を抑えることが可能であると示された。
[実施例15]
UDMA80重量部と、DAP20重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(19)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(19)から(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片の作製1)および(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片の作製2)、(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(19−1)および試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)および(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片2)を得て曲げ試験を実施した。1日浸漬した(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)の曲げ強度から1週間浸漬した(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片2)の曲げ強度を差し引いて、吸水に伴う曲げ強度低下を求めたところ、14MPaであった。結果を表4に示す。
[実施例16、比較例5、6]
主モノマーと希釈モノマーの種類・仕込み比を表3に示す条件に変更した点以外は、実施例15と同じ条件で、実施例16、比較例5、比較例6に係る歯科材料用モノマー組成物(20)〜(22)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(20)〜(22)から(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片の作製1)および(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片の作製2),(曲げ試験)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(20−1)〜(22−1)および試験片(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)および(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片2)を得て曲げ試験を実施した。1日浸漬した(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片1)の曲げ強度から1週間浸漬した(熱重合法を用いて得られる曲げ試験用試験片2)の曲げ強度を差し引いて、吸水に伴う曲げ強度低下を求めた。実施例16、比較例5、比較例6の結果を表4に示す。
Figure 2019189579
本発明の歯科材料用重合性組成物を硬化させて得られる成形体は、従来の歯科材料用重合性組成物を硬化させて得られる成形体と比較して吸水に伴う強度低下を抑えられていることがわかる。すなわち、アリル基を含む化合物を、希釈モノマーとして使用することにより、歯科材料用重合性組成物を硬化させて得られる成形体の吸水に伴う強度低下を抑えることが可能であると示された。
[重合性評価]
本発明の実施例および比較例において、光重合により試験体を硬化させた場合の重合度の方法を、以下に示す。
(光重合法を用いる重合性評価試験)
各実施例および比較例で得たモノマー組成物100重量部に対して、CQ0.3重量部、DMAB2−BE 0.3重量部を添加し、均一になるまで室温で撹拌した。この歯科材料用組成物をFT−IR Spectrometer(PerkinElmer社製 Spectrum two)の資料台にのせ、FT−IR測定を実施した。1つの歯科材料用組成物につき2回測定を実施し、1回目は光照射せずに測定、2回目は20秒間光照射した後測定した。この時、光照射にはTranslux(登録商標) 2Wave(Kulzer Japan社製)を用いた。
(重合度算出方法)
各実施例および比較例において、FT−IR測定により得られた吸光度と波数のデータを用いて、以下の要領で重合度を算出した。
まず、基準となるスペクトルとして、光照射前の歯科材料用組成物の炭素−酸素間の二重結合であるカルボニル基(1660〜1800cm-1)の面積値(AreaCOl)を求め、同様に20秒間の光照射後の歯科材料用組成物のカルボニル基の面積値(AreaCOs)を得た。続いて、光照射前の歯科材料用組成物の炭素‐炭素間の二重結合のスペクトル(1610〜1660cm-1)の面積値(AreaCCl)を求め、同様に20秒間の光照射後の歯科材料用組成物の炭素‐炭素間の二重結合の面積値(AreaCCs)を得た。得られたそれぞれの面積値をもとに、下記[計算式1]を用いて炭素‐炭素間の二重結合の転化率を算出した。
Figure 2019189579
[実施例17]
製造例で得られたチオウレタンアクリレート(B−a1)80重量部と、DAP20重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(23)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(23)から(光重合法を用いる重合性評価試験)および(重合度算出方法)
の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(23−1)を得て、重合度を算出したところ、転化率81%であった。結果を表5に示す。
[実施例18、19、比較例7、8]
主モノマーと希釈モノマーの種類・仕込み比を表5に示す条件に変更した点以外は、実施例17と同じ条件で、実施例18、19、比較例7、8に係る歯科材料用モノマー組成物(24)〜(27)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(24)〜(27)から(光重合法を用いる重合性評価試験)および(重合度算出方法)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(24−1)〜(27−1)を得て、重合度を算出した。実施例18、19、比較例7、8の結果を表5に示す。
Figure 2019189579
[実施例20]
UDMA80重量部と、DAP20重量部とを容器に入れ、均一になるまで50℃で撹拌して、歯科材料用モノマー組成物(28)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(28)から(光重合法を用いる重合性評価試験)および(重合度算出方法)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(28−1)を得て、重合度を算出したところ、転化率85%であった。結果を表6に示す。
[実施例21〜28、比較例9〜12]
主モノマーと希釈モノマーの種類・仕込み比を表6に示す条件に変更した点以外は、実施例20と同じ条件で、実施例21〜28、比較例9〜12に係る歯科材料用モノマー組成物(29)〜(40)を得た。得られた歯科材料用モノマー組成物(29)〜(40)から(光重合法を用いる重合性評価試験)および(重合度算出方法)の項に記載の方法に従い歯科材料用組成物(29−1)〜(40−1)を得て、重合度を算出した。実施例20〜28、比較例9〜12の結果を表6に示す。
Figure 2019189579
本発明の歯科材料用重合性組成物を光硬化させて得られる成形体は、従来の歯科材料用重合性組成物を硬化させて得られる成形体と比較して高い重合度を示すことがわかる。つまり、アリル基を含む化合物を希釈モノマーとして使用することで、重合促進効果が得られる。このことが、歯科材料用重合性組成物の曲げ強度および破断エネルギーの向上へつながると考えられる。

Claims (18)

  1. アリル化合物(A)及びアリル化合物(A)のオリゴマーからなる群から選択される1種と、
    (メタ)アクリレート化合物(B)と、を含む歯科材料用重合性組成物。
  2. 前記(メタ)アクリレート化合物(B)に対する前記アリル化合物(A)の質量比が、0.05以上1.0未満の範囲内である、請求項1に記載の歯科材料用重合性組成物。
  3. 前記アリル化合物(A)が、アリルオキシ基を有する化合物である、請求項1又は2に記載の歯科材料用重合性組成物。
  4. 前記アリル化合物(A)が、下記一般式(A1)で表される化合物(A1)又は下記一般式(A2)で表される化合物(A2)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科材料用重合性組成物。
    Figure 2019189579
    (式(A1)中、mは2〜8の整数であり、R1は水素原子又はメチル基であり、複数存在するR1は同一でも異なっていてもよく、nは0又は1の整数であり、Xは、m価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基である。)
    Figure 2019189579
    (式(A2)中、lは1〜8の整数であり、R10は水素原子又はメチル基であり、複数存在するR10は同一でも異なっていてもよく、
    lが2〜8である場合、Yはl価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
    lが1である場合、Yは下記一般式(Y1)で表される基である。)
    Figure 2019189579
    (式(Y1)中、R11は水素原子又はメチル基であり、hは0又は1の整数であり、点線部は式(A2)中の括弧内の基との結合位置を示す。)
  5. 前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A1)で表される化合物(A1)を含み、前記一般式(A1)中のXが、m価の炭素原子数2〜100の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖式炭化水素基、m価の炭素原子数5〜16の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基、又は、m価の炭素原子数6〜50の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族炭化水素基である、請求項4に記載の歯科材料用重合性組成物。
  6. 前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A1)で表される化合物(A1)を含み、前記一般式(A1)中のXが、下記一般式(X1)〜(X12)のいずれかで表される基である、請求項4に記載の歯科材料用重合性組成物。
    Figure 2019189579
    (式(X1)中、jは1〜50の整数であり、式(X1)〜(X12)中、点線部は式(A1)中の括弧内の基との結合位置を示す。)
  7. 前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A1)で表される化合物(A1)を含み、前記一般式(A1)中のXが、m価の炭素原子数5〜16の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基である請求項4に記載の歯科材料用重合性組成物。
  8. 前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A1)で表される化合物(A1)を含み、前記一般式(A1)中のXが、下記一般式(X13)〜(X16)のいずれかで表される基である請求項4に記載の歯科材料用重合性組成物。
    Figure 2019189579
    (式(X13)〜(X16)中、点線部は式(A1)中の括弧内の基との結合位置を示す。式(X13)中、R4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の、ヘテロ原子を含んでもよい、脂肪族炭化水素基であり、そのベンゼン環に結合する2つの結合手はオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよい。式(X15)中、R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(X16)中、ナフタレン環に結合する2つの結合手は結合可能な8か所いずれに結合していてもよく、結合手が結合していないナフタレン環上の水素原子は、他の基に置換されてもよい。)
  9. 前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A2)で表される化合物(A2)を含み、前記一般式(A2)中のYが、l価の炭素原子数2〜20の置換基を有していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖式炭化水素基である請求項4に記載の歯科材料用重合性組成物。
  10. 前記アリル化合物(A)が、前記一般式(A2)で表される化合物(A2)を含み、前記一般式(A2)中のYが、前記一般式(Y1)で表される基、又は下記一般式(Y2)〜(Y5)のいずれかで表される基である、請求項4に記載の歯科材料用重合性組成物。
    Figure 2019189579
    (式(Y2)〜(Y5)中、点線部は式(A2)中の括弧内の基との結合位置を示す。)
  11. 前記(メタ)アクリレート化合物(B)が、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物(B−a)を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の歯科材料用重合性組成物。
    Figure 2019189579
    (式(2)中、kは2〜4の整数であり、R3は、k価のヘテロ原子を有してもよい炭化水素基であり、R2は、水素原子又はメチル基である。)
  12. 重合開始剤をさらに含有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の歯科材料用重合性組成物。
  13. 前記重合開始剤が光重合開始剤を含む、請求項12に記載の歯科材料用重合性組成物。
  14. フィラーさらに含有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の歯科材料用重合性組成物。
  15. 歯科材料用重合性組成物の65℃における粘度が、1〜300,000mPa・sである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の歯科材料用重合性組成物。
  16. 歯科用コンポジットレジンとして用いられる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の歯科材料用重合性組成物。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の歯科材料用重合性組成物を硬化させた成形体。
  18. 請求項17に記載の成形体からなる歯科材料。
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