JPWO2019167861A1 - フィルム、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、フィルムとして用いるために必要な機械特性を有しつつ、柔軟性、透湿性、及び防水性を兼ね備えるフィルムを提供することを課題とするものであり、ポリエステル系エラストマーを主成分とし、粒子を含み、かつ空孔率が10%以上50%以下である層をA層、平衡吸水率が1.0%以上であるポリエステル系エラストマーを主成分とし、かつ空孔率が0%以上10%未満である層をB層としたときに、以下の条件1又は2を満たすことを特徴とする、フィルムであることを本旨とする。条件1:A層を有し、A層における粒子の含有量が、A層における樹脂成分全体を100質量部としたときに50質量部以上140質量部以下であり、かつB層を有しない。条件2:A層及びB層を有する。

Description

本発明は、透湿性と防水性に優れたフィルムに関するものである。
近年、医療、衣料、及び衛生材等の分野では、機能性の追求に伴って従来よりも高いレベルの透湿性、防水性を併せ持つフィルムが望まれており、これらの特性を改善したフィルムを得るため、種々の開発がなされている。
例えば、特許文献1や特許文献2には透湿性のポリエステル系エラストマーよりなるフィルムが、特許文献3には延伸処理により機械強度を調整した無孔質の透湿性ポリエステル系エラストマーフィルムが、特許文献4には透湿性のポリエステル系エラストマーと多孔粒子を含むフィルムがそれぞれ開示されている。また、特許文献5にはポリオレフィンよりなる透湿性の微多孔膜の層と、透湿性のポリエステル系エラストマーよりなる防水層を有する積層体が開示されている。
特開2005−97425号公報 特開平8−120097号公報 特表2009−506198号公報 特開2015−63633号公報 特開平4−90337号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載のフィルムは、無孔質フィルムの特徴である高い防水性を有するもののフィルム中に空孔を有さないため、フィルム中における水蒸気の拡散速度に限度があり、十分な透湿性が得られないという問題があった。特許文献5に記載の積層体は、ポリオレフィン層とポリエステル系エラストマー層を共延伸する製法を採用しているが、ポリオレフィンとポリエステル系エラストマーは相互作用が小さく、延伸により界面で発生する剪断応力によって層間剥離が生じるため、透湿性を備えるものの実用に耐えうるものではなかった。
本発明はかかる従来技術の欠点を改良し、透湿性と防水性を兼ね備えるフィルム、及びその製造方法を提供することを、その課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1) ポリエステル系エラストマーを主成分とし、粒子を含み、かつ空孔率が10%以上50%以下である層をA層、平衡吸水率が1.0%以上であるポリエステル系エラストマーを主成分とし、かつ空孔率が0%以上10%未満である層をB層としたときに、以下の条件1又は2を満たすことを特徴とする、フィルム。条件1:A層を有し、A層における粒子の含有量が、A層における樹脂成分全体を100質量部としたときに50質量部以上140質量部以下であり、かつB層を有しない。条件2:A層及びB層を有する。
(2) 前記粒子がバリウム塩であって、その平均粒径が1.5μm以上10.0μm以下であることを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) 透湿度が2,000g/(m・day)以上であり、かつ耐水圧が500mm以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4) 前記条件2を満たし、かつ前記A層の主成分であるポリエステル系エラストマーの融点をTmA(℃)、前記B層の主成分であるポリエステル系エラストマーの融点をTmB(℃)としたときに、TmA<TmBであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載のフィルムをポリエステル系エラストマーを主成分としたシートから製造するフィルムの製造方法であって、1.5倍以上10倍以下の倍率で少なくとも一方向にシートを延伸する延伸工程、及び空孔率が10%以上50%以下である層を構成するポリエステル系エラストマーの融点をTmAとしたとき、TmA−30(℃)以上TmA(℃)以下の温度でシートの熱処理を行う熱処理工程をこの順に有することを特徴とする、フィルムの製造方法。
本発明により、透湿性と防水性を兼ね備えるフィルムを提供することができる。
本発明のフィルムは、ポリエステル系エラストマーを主成分とし、粒子を含み、かつ空孔率が10%以上50%以下である層をA層、平衡吸水率が1.0%以上であるポリエステル系エラストマーを主成分とし、かつ空孔率が0%以上10%未満である層をB層としたときに、以下の条件1又は2を満たすことを特徴とする。
条件1:A層を有し、A層における粒子の含有量が、A層における樹脂成分全体を100質量部としたときに50質量部以上140質量部以下であり、かつB層を有しない。
条件2:A層及びB層を有する。
以下に、本発明を実施するための望ましい形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(A層のポリエステル系エラストマー)
本発明のフィルムにおけるA層は、柔軟性、製膜安定性、透湿性の観点から、ポリエステル系エラストマーを主成分とすることが重要である。ここで、ポリエステル系エラストマーを主成分とするとは、A層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに、ポリエステル系エラストマーを85質量%以上100質量%以下含むことをいう。A層中のポリエステル系エラストマーの含有量は、透湿性の観点から、A層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
また、エラストマーとは、25℃でゴム弾性を有する高分子量体をいい、ポリエステル系エラストマーとは、結晶性を有するポリエステル構造のブロック単位からなるハードセグメントと、25℃未満のガラス転移温度を有し、ゴム弾性を発現するブロック単位からなるソフトセグメントを有するブロックコポリマーをいう。
本発明のポリエステル系エラストマーと同じような柔軟性と透湿性を有するエラストマーとして熱可塑性のウレタン系エラストマーが知られているが、ウレタン系エラストマーのハードセグメントは水素結合で形成されているため熱により結合が弱まりやすく、そのため製膜温度領域では溶融張力を維持できず製膜安定性に劣るという問題がある。一方、ポリエステル系エラストマーは前記のように結晶性のハードセグメントを有しているため、製膜温度領域でも高い溶融張力を維持することができ、製膜安定性に優れる。このような観点から本発明で用いられるA層はポリエステル系エラストマーを主成分とすることが重要である。
A層に用いることができるポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントの組み合わせが、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルであるブロック共重合体、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルであるブロック共重合体等が挙げられるが、フィルムとしたときの機械特性や透湿性の観点から、ハードセグメントとソフトセグメントの組み合わせが、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルであるブロック共重合体であることが好ましい。また、フィルムとしたときに高い透湿性を実現する観点からは、平衡吸水率が1.0%以上であるポリエステル系エラストマーが好ましく、ハードセグメントとソフトセグメントの組み合わせが、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルであるブロック共重合体であって、平衡吸水率が1.0%以上であるものがより好ましい。
芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体であって、平衡吸水率が1.0%以上であるものとしては、例えば、東レ・デュポン社製の“ハイトレル”(登録商標)のG3548LNグレード、及びHTR8206グレード等が挙げられる。なお、ここでいう平衡吸水率とは、ASTM−D570に従い、試料を水中に23℃で24時間浸漬した前後での試料の質量変化から求めた吸水率をいう。
(粒子)
本発明のフィルムにおけるA層は、層中に空孔を形成して透湿度を向上させる観点から、粒子を含むことが重要である。このような態様とすることで、フィルムを延伸した際に樹脂と粒子の界面で空孔の形成が促進され、得られるフィルムの透湿度を向上させることができる。本発明における粒子として無機系の粒子は、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の各種硫酸塩、酸化亜鉛、酸化ケイ素(シリカ)、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化バリウム等の各種酸化塩、水酸化アルミニウム、珪酸塩鉱物、ヒドロキシアパタイト、マイカ、タルク、カオリン、クレー、モンモリロナイト、ゼオライト等の各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化リチウム、フッ化リチウム等を挙げることができる。
また、本発明における粒子として有機系の粒子は、例えばシュウ酸カルシウム等のシュウ酸塩;テレフタル酸カルシウム、テレフタル酸バリウム、テレフタル酸亜鉛、テレフタル酸マンガン、テレフタル酸マグネシウム等のテレフタル酸塩、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸等のビニル系モノマーの単独または共重合体からなる微粒子、超高分子量ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子などの有機系の粒子を挙げることができる。
これらの中でも、後述する延伸を行う前の段階におけるシート(以下、無配向シートということがある。)を長手方向により高倍率で延伸することを可能とし、A層中に空孔を形成することを容易とする観点から、粒子としては無配向シートに用いた際の長手方向の破断点伸度低下が小さいものが好ましく、その様な粒子としてバリウム塩が好ましい。なお、長手方向とはフィルム製造時にシートが進行する方向をいう。
本発明において粒子としてバリウム塩を用いる場合、バリウム塩の平均粒径は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、適宜選定することができる。但し、透湿度と耐水圧の観点から、バリウム塩の平均粒径は1.5μm以上10.0μm以下であることがより好ましい。このような態様とすることで、フィルムを延伸することにより、容易にA層の空孔率を10%以上50%以上とすることができ、かつ個々の空孔が過度に大きくならないよう制御されるため、耐水圧の低下を抑えつつ透湿度を向上させることができる。より具体的に説明すると、透湿度向上の面では、樹脂中に分散したバリウム塩を起点として形成される空孔同士が部分的に連結して大きな空孔を形成している状態が好ましいが、バリウム塩の粒径を過度に大きくすると、空孔が大きくなり過ぎてフィルムを貫通する恐れがあるため、粒径の大きさを一定以下に留めることが好ましい。一方、耐水圧低下の軽減の面では、フィルムの欠陥に繋がるバリウム塩同士の凝集を抑制するために、バリウム塩の粒径を一定以上の大きさとすることが好ましい。フィルムの欠陥の発生を軽減しつつ、フィルムを貫通しない程度に大きな空孔を形成させることを踏まえると、バリウム塩の平均粒径は、1.5μm以上7.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以上7.0μm以下であることがさらに好ましい。ここでいう平均粒径とは、レーザー回折散乱法を用いて、JIS Z8825(2013)に規定された方法により測定された粒度分布曲線における体積累計50%の粒径とする。
バリウム塩の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化バリウム等のうち少なくとも1種類を好適に用いることができる。中でも、安全性、経済性、入手容易性、及びポリエステル系エラストマーに添加した際の機械強度や延伸性等も考慮すると、硫酸バリウムであることが好ましい。
フィルムが後述するB層を有しない場合、A層中の粒子の含有量は、フィルムの透湿度と耐水圧を両立し、かつ製膜安定性を維持する観点から、A層における樹脂成分全体を100質量部としたときに50質量部以上140質量部以下であることが重要であり、好ましくは70質量部以上110質量部以下である。A層中の粒子の含有量を、A層における樹脂成分全体を100質量部としたときに50質量部以上とすることにより、A層の空孔率を好ましい範囲とすることが容易となり、フィルムの耐水圧の低下を軽減しつつ透湿度を向上させることができる。一方、A層中の粒子の含有量を、A層における樹脂成分全体を100質量部としたときに140質量部以下とすることにより、延伸によるフィルムの破断を軽減することができる。
一方、フィルムが後述するB層を有する場合は、このB層が支持層として機能するため、A層の組成が同じであれば、B層を有しない場合よりもフィルムの機械強度が高くなる。そのため、フィルムが後述するB層を有する場合は、延伸時における破断のリスクが軽減されるため、A層中の粒子の含有量をより大きくすることが可能となる。フィルムがB層を有する場合におけるA層中の粒子の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、フィルムの透湿度と耐水圧の観点から、A層における樹脂成分全体を100質量部としたときに50質量部以上200質量部以下であることが好ましく、90質量部以上180質量部以下であることがより好ましい。
なお、A層中の粒子は1種類であっても複数種類を混合したものであってもよい。A層中の粒子が複数種類を混合したものである場合、A層中の粒子の含有量は、個々の成分毎ではなく、全ての成分を合算して算出するものとする。
(A層の空孔率)
本発明のフィルムは、透湿性と耐水圧を両立する観点から、空孔率が10%以上50%以下である層(A層)を有することが重要である。A層の空孔率を10%以上50%以下とすることにより、透湿度と耐水圧を、医療、衣料、及び衛生材等の用途において好ましいとされる水準にすることができる。上記観点から、A層の空孔率は、好ましくは15%以上50%以下であり、より好ましくは20%以上50%以下である。
本発明のフィルムが、単層フィルム、又は各層が剥離可能な2層以上の積層フィルムである場合、空孔率は以下の方法により測定することができる。先ず、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて、電子比重計により一層分のフィルムの比重(ρ)を測定する。次いで、該フィルムを温度210℃、圧力5MPaで熱プレスして25℃の水で急冷することにより無孔シート状物を作成し、この無孔シート状物の比重(d)を同様に測定する。こうして得られたフィルムの比重(ρ)と無孔シート状物の比重(d)から、以下の式Aにより空孔率を算出する。
式A 空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100
なお、本発明のフィルムが剥離不可能な層を有している場合は、電子顕微鏡等で断面観察を行うとともに、断面観察で観察された各層の境界線を境に各層それぞれの画像解析において空孔部分とそれ以外の部分を2値化し、全体に占める空孔部分の面積を算出する方法などにより空孔率を求めることができる。
空孔率を10%以上50%以下又は上記の好ましい範囲とするための手段は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、ポリエステル系エラストマー、及び粒子の種類や含有量を、それぞれ好ましい種類、範囲とし、後述する製膜方法にて無配向シートとした後に、後述する延伸及び熱固定を行う方法が挙げられる。例えば、ポリエステル系エラストマー、及びバリウム塩を含む樹脂組成物より得られた無配向シートを、後述する延伸方法において延伸倍率を小さくすれば空孔率を小さくすることができ、延伸倍率を大きくすれば空孔率を大きくすることができる。なお空孔率の測定は後述する。B層においても同様に援用できる。
(フィルムの透湿度)
本発明のフィルムは、その透湿度が2,000g/(m・day)以上であることが好ましい。透湿度を2,000g/(m・day)とすることにより、医療、衣料、衛生材等の用途において人体に着用して用いる場合、人体とフィルム間の湿度を低減し、快適性を与えることができる。上記観点から、フィルムの透湿度は2,400g/(m・day)以上であることがより好ましく、2,700g/(m・day)以上であることがさらに好ましい。また、フィルムの透湿度は、人体にフィットしているときの快適性の観点からは大きければ大きいほど好ましく上限は特にないが、衛生材に適用する水準の耐水圧を確保する観点からすると、上限は8,000g/(m・day)あれば十分である。なお、ここでフィルムの透湿度とは、25℃、相対湿度90%に設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法を参考に測定するフィルムの透湿度をいう。なお、詳細な測定条件については実施例に示す。
本発明のフィルムの透湿度を2,000g/(m・day)以上又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、A層中のポリエステル系エラストマーの種類や粒子の含有量を調整して後述する製造方法により空孔を形成する方法、フィルム厚みやフィルムの層構成を調整する方法が挙げられる。具体的には、A層中のバリウム塩の含有量を増加させて延伸することで空孔率を上げることや、フィルムを後述するB層を含む積層構成とした上でB層の厚みを小さくすること等により、フィルムの透湿度を大きくすることができる。
(フィルムの耐水圧)
本発明のフィルムは、その耐水圧が500mm以上であることが好ましい。耐水圧は、フィルムに染み込もうとする水の力を抑える性能を数値で表したものであり、この値が大きいことは、高い防水性を有することを意味する。耐水圧を500mm以上とすることにより、医療、衣料、及び衛生材等の用途に用いる場合、汗や尿等を含む水分がフィルム越しに漏洩するのを軽減し、実用的な防水性を付与することができる。上記観点から、フィルムの耐水圧は1,500mm以上であることがより好ましく、2,500mm以上であることがさらに好ましい。また、フィルムの耐水圧は大きいほど好ましく上限は特にないが、衛生材に適用する水準の透湿度を確保する観点からすると、上限は10,000mmあれば十分である。なお、ここでフィルムの耐水圧とは、JIS L 1092 (2009)に規定された方法に従った、耐水度試験(静水圧法;A法(低水圧法))により測定する耐水圧をいう。このとき、水位上昇速度は100mm/min±5mm/minとする。
本発明のフィルムの耐水圧を500mm以上又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、A層中のポリエステル系エラストマーの種類や粒子の含有量を調整して後述する製造方法により空孔率を調整する方法、フィルムの厚みや層構成を調整する方法が挙げられる。具体的には、A層中の全成分に占めるポリエステル系エラストマーの比率を増加させて延伸することにより空孔率を小さくすることや、後述するB層を含む積層構成とした上でB層の厚みを大きくすることにより、フィルムの耐水圧を大きくすることができる。
(B層を有する積層フィルム)
本発明のフィルムは、平衡吸水率が1.0%以上のポリエステル系エラストマーを主成分とし、かつ空孔率が0%以上10%未満である層をB層としたときに、A層及びB層を有する態様としてもよい。このような態様とすることにより、フィルムは空孔率が高く透湿度に優れるA層と、A層よりも空孔率が相対的に低いが故に耐水圧に優れるB層とを有する構成となる。そのため、フィルムを透湿性と防水性のバランスに優れたものとすることができ、さらにその製膜安定性や機械強度も向上する。なお、エラストマー、ポリエステル系エラストマー、主成分、平衡吸水率及びその測定方法、空孔率及びその測定方法は、いずれも前述のA層におけるものと同様に定義する。
本発明のフィルムがB層を有する場合、その層構成は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、A層/B層の2種2層構成、A層/B層/A層若しくはB層/A層/B層の2種3層構成等とすることができる。中でも透湿性と防水性の観点から、A層/B層の2種2層構成又はB層/A層/B層の2種3層構成とすることが好ましく、B層/A層/B層の2種3層構成とすることがさらに好ましい。このような態様とすることで、B層による透湿性の低下とA層による防水性の低下の影響を最小限に留め、透湿性と防水性の両立が容易となる。
A層とB層は直接積層することも、間に接着層等を設けて積層することも可能であるが、接着層等の存在により、透湿性や防水性が損なわれることや、機械強度や製膜安定性が低下することがある。そのため、本発明のフィルムは、A層/B層の2種2層構成を有し、A層とB層の間に他の層が存在しない態様とすることがより好ましい。
また、本発明のフィルムがA層/B層/A層若しくはB層/A層/B層の2種3層構成のようにA層やB層を複数有する場合、A層やB層の組成は、本発明の効果を損なわない限りA層どうし、またはB層どうしで同一であっても異なっていてもよい。フィルムの生産性の観点から、A層どうしまたはB層どうしの組成は同一であることが好ましい。
(B層のポリエステル系エラストマー)
本発明においてB層として用いられる層は、透湿性、A層との層間密着性の観点から、平衡吸水率が1.0%以上であるポリエステル系エラストマーを主成分とする。このような態様とすることにより、主成分であるポリエステル系エラストマー自身が透湿性を有するものとなるため、空孔率が相対的に低いB層によるフィルムの透湿性低下を軽減することができる。
また、B層中のポリエステル系エラストマーの含有量は、透湿性の観点から、B層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
(B層の空孔率)
本発明においてB層として用いられる層は、透湿度と耐水圧の観点から、空孔率が0%以上10%未満である。空孔率が0%以上10%未満であることで、耐水圧を向上させることができる。なお、ここで空孔率が0%であるとは、層中に空孔が存在しないことを意味する。
空孔率を0%以上10%未満又は上記の好ましい範囲とするための手段は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、ポリエステル系エラストマーの種類や粒子の含有量を調整する方法が挙げられる。具体的には、粒子の含有量を減らすことにより、空孔率を小さくすることができる。
(B層の厚み)
本発明のフィルムにおけるB層は、透湿度と耐水圧の観点から厚みが1.0μm以上5.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以上5.0μm以下であることがより好ましい。B層の厚みを1.0μm以上5.0μmとすることにより、B層の防水効果を維持しつつ、B層による透湿性低下を軽減することができる。B層の厚みは、後述するフィルム厚みと同様に走査型電子顕微鏡でフィルム断面の写真を観察することにより測定することができる。なお、B層/A層/B層のようにB層が複数存在する積層構成をとる場合におけるB層の厚みは、全てのB層の厚みを合算して算出するものとする。
(A層の主成分であるポリエステル系エラストマーとB層の主成分であるポリエステル系エラストマーの組み合わせ)
フィルムがA層及びB層を有する場合、A層の主成分であるポリエステル系エラストマーとB層の主成分であるポリエステル系エラストマーの組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、加熱による空孔構造の消失を軽減する観点から、A層の主成分であるポリエステル系エラストマーの融点をTmA(℃)、B層の主成分であるポリエステル系エラストマーの融点をTmB(℃)としたときに、TmA<TmBであることが好ましい。このような態様とすることにより、後述する延伸工程や熱処理工程等の加熱条件下においてB層が耐熱支持層として機能するため、ロールへの粘着等を抑制してTmA(℃)近傍での熱処理を行いやすくなり、その結果、A層の空孔を容易に維持することができる。
(A層とB層の剥離強度)
本発明のフィルムがA層とB層を有し、かつA層とB層の間に他の層が存在しない積層フィルムである場合、層間剥離による物性の変化、加工性の低下、及び外観不良等を軽減する観点から、A層とB層との剥離強度が300gf/15mm以上であることが好ましい。
ここで、A層とB層の剥離強度とは、150mm(長手方向)×15mm(幅方向)の積層フィルムサンプルを切り出し、該サンプルのA層を一方のチャックに、B層を他方のチャックにセットして、温度23℃、引張速度200mm/分の条件で剥離試験を実施して得られる剥離強度をいう。ここで、幅方向とはフィルム面に平行かつ長手方向と垂直な方向をいう。なお、フィルムがロールに巻き取られたものである場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができるが、ロールに巻かれていないシート状のフィルムの場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができない。このような場合においては、任意に選択した一方向を長辺として剥離強度を測定した後、フィルムを右に5°回転させて同様のサンプリング及び測定を行い、これを175°に達するまで繰り返して最も剥離強度の値が小さい方向を長手方向として扱うことができる。
また、「A層とB層との剥離強度が300gf/15mm以上である」とは、上記方法により測定したA層とB層との剥離強度の値が300gf/15mm以上である場合の他、A層とB層の密着力が強固であるために前記のチャックにセットする領域を作製できない場合、及び測定の途中でA層又はB層自体の破断が起こる場合を含むものとする。なお、積層フィルムの層構成が、例えば、A層/B層/A層やB層/A層/B層の2種3層構成である場合のように、A層とB層が接している箇所が複数個所ある場合においては、少なくとも1箇所において剥離強度が300gf/15mm以上であれば、「A層とB層との剥離強度が300gf/15mm以上である」ものとする。
A層とB層の剥離強度を300gf/15mm以上とする方法としては、A層及び/又はB層の原料となる樹脂組成物に接着機能を有する成分を加える方法や、A層及びB層の主成分であるポリエステル系エラストマーを類似組成のものとする方法などが挙げられる。例えば、B層の主成分であるポリエステル系エラストマーとA層の主成分であるポリエステル系エラストマーの、ハードセグメントとソフトセグメントの組み合わせが同じである態様とすることにより、容易にA層とB層の剥離強度を300gf/15mm以上とすることが可能である。
(B層の粒子)
本発明のフィルムにおけるB層は、本発明の効果を損なわない範囲で粒子を含んでもよい。その場合の粒子の種類としては製膜時のエッジカットやロール巻き芯部残り等のフィルム屑をA層の原料として再利用する観点から、A層における粒子と同一のものであることが好ましい。
一方、B層における粒子の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、後述するフィルムの延伸においてB層での空孔形成を抑制する観点から、B層中の樹脂成分全体を100質量部としたときに、0質量部以上30質量部以下であることが好ましい。ここで、B層における粒子の含有量が、B層中の樹脂成分全体を100質量部としたときに0質量部であるとは、B層が粒子を含まないことを意味する。
(フィルムの厚み)
本発明のフィルムの厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、ハンドリング性、及び生産性の観点から、6μm以上50μm以下であることが好ましい。ここでいうフィルムの厚みとは、フィルムが単層構成であるか積層構成であるかにかかわらず、フィルム全体の厚みをいう。フィルムの厚みは、走査型電子顕微鏡でフィルム断面の写真を観察することにより測定することができる。フィルムの厚みを6μm以上とすることで、フィルムのコシが強くなるため取り扱い性が向上し、また、ロール巻姿や巻出し性も良好となる。フィルムの厚みを50μm以下とすることで、透湿性を発現しやすくなる。さらに、フィルムの耐水圧及び透湿度を好ましい範囲とする観点から、フィルムの厚みは、7μm以上20μm以下であることがより好ましい。
(フィルムの製造方法における延伸工程)
本発明のフィルムの製造方法は、1.5倍以上10倍以下の倍率で少なくとも一方向にシートを延伸する延伸工程、及びTmA−30(℃)以上TmA(℃)以下の温度でシートの熱処理を行う熱処理工程をこの順に有することを特徴とする。
本発明のフィルムの製造方法は、1.5倍以上10倍以下の倍率で少なくとも一方向にシートを延伸する延伸工程を有する。このような態様とすることにより、シートが延伸されてA層中の樹脂とバリウム塩の界面剥離が起こりうるため、シート内部(特にA層に相当する部分)に空孔を形成することができる。延伸倍率は、透湿度と耐水圧の観点から、2〜9倍が好ましく、2.5〜5倍がより好ましい。
延伸方式は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、公知の方法から適宜最適な方法を選択することができるが、ロールの周速差を利用することで搬送方向に延伸を行う縦一軸延伸が汎用性の面で好ましい。この延伸方式を用いる場合、本発明の効果を損なわない限り、延伸区間が1箇所である1段延伸、延伸区間が複数箇所である多段延伸のいずれを採用してもよい。なお、多段延伸を採用する場合の延伸倍率は、全ステップにおける延伸倍率の合計を延伸倍率とする。
延伸温度は本発明のフィルムを構成する樹脂等に応じて適宜調整することができるが、本発明のフィルムのA層がポリエステル系エラストマーを主体とする樹脂組成であり、一般的にエラストマーは25℃でゴム弾性を発現するため、多くの場合、ガラス転移温度が0℃以下である点を考慮すると、延伸温度の下限は外気に左右されない範囲で低くし、上限はガラス転移温度を大きく超えない程度に高くすることが好ましい。具体的には、延伸温度を5℃以上50℃以下とすることが好ましい。なお、ここで延伸温度とは、延伸区間を形成するロールのうち、繰り出し側に最も近い位置に配置されたロールの表面温度をいう。
また、一軸延伸されたシートは、必要に応じて一度冷却した後、その両端部をクリップで把持してテンターに導き、幅方向に延伸してもよい。
(フィルムの製造方法における熱処理工程)
本発明のフィルムの製造方法は、前述の延伸工程より後に、TmA−30(℃)以上TmA(℃)以下の温度でシートの熱処理を行う熱処理工程を有する。延伸されたシートを熱処理することにより、延伸により引き伸ばされたシートの構造の固定を行うことができる。このような態様とすることにより、シート内部(特にA層に相当する部分)に形成された空孔構造が、延伸後の残留応力による収縮やA層の融解により消滅することを軽減できる。この観点から、熱処理温度はTmA−15(℃)以上TmA(℃)以下であることが好ましい。
ここで融点とは、A層の主成分であるポリエステル系エラストマーを100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後に、示差走査熱量計(DSC)測定において25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際に観測された融点ピークの値をいう。但し、該方法により融点ピークが複数観察される場合は、そのうち最も高い温度を示す融点ピークの値をそのポリエステル系エラストマーの融点とする。
熱処理は、本発明の効果を損なわない限り、加熱ロール伝いに行っても、テンター等のオーブンで行ってもよい。熱処理温度とは、加熱ロール伝いに熱処理を行う場合は加熱ロールの表面温度をいい、オーブンで行う場合はオーブンの室温をいう。なお、加熱ロールやオーブンの室が複数存在し、これらの温度が異なる場合は、最も高い温度を熱処理温度とする。
(フィルムの製造方法の具体例)
次に、本発明のフィルムを製造する方法について具体的に説明するが、本発明の積層フィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
A層を得るために用いる組成物、すなわち、ポリエステル系エラストマー、粒子、及び必要に応じてその他の樹脂又は添加剤を含有する組成物を得るにあたっては、各成分を溶融混練することにより組成物を得る溶融混練法を用いることが好ましい。溶融混練法に用いる混合機については特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸又は二軸押出機などの公知の混合機を用いることができるが、生産性の観点から単軸又は二軸押出機の使用が好ましい。
同様に本発明のフィルムを、B層を有する積層フィルムとする際には、B層を得るための組成物、すなわち、ポリエステル系エラストマー、及び必要に応じてその他の樹脂、バリウム塩、又は添加剤を含有する組成物を得るにあたっては、A層と同様に溶融混練法を用いることが好ましい。溶融混練法に用いる混合機についても、A層と同様のものを使用できる。
本発明のフィルムの製造方法は、製膜安定性、生産性、及びコスト競争力の観点から、溶融製膜法で製膜することが好ましい。このような態様とすることにより、製膜速度や安定性の向上に伴う生産性の向上が期待できる。また、溶融製膜法は、適当な溶剤に樹脂成分を溶かして得られた溶液を支持体上にキャストし、その後溶剤を除去する溶液製膜法と異なり、溶剤の除去や廃溶媒の処理工程が不要なため、コスト競争力にも優れる。溶融製膜法としては、インフレーション法、チューブラー法、Tダイキャスト法などの既存の方法を用いることができるが、分子配向を抑制し易く、コスト競争力にも優れるという観点から、インフレーション法を用いることが好ましい。
さらに、溶融製膜により得られた無配向シートを1.5倍以上10倍以下の倍率で少なくとも一方向にシートを延伸することにより、空孔を有する延伸シートを得ることができる。
この無配向シートは、巻き取り性、延伸性の観点から、23℃、相対湿度65%の雰囲気下における、長手方向の破断点伸度が200%以上であることが好ましく、250%以上であることがより好ましい。長手方向の破断点伸度は、JIS K−7127(1999)に規定された方法に従って、温度23℃、相対湿度65%における応力−歪み測定を行うことで測定することができ、詳細な条件は後述する。
無配向シートの長手方向の破断点伸度を200%以上、又は上記の好ましい範囲とするための方法は、A層中の粒子の含有量や、フィルムの層構成を調整する方法が挙げられる。具体的には、A層中のバリウム塩の含有量を先に記載した範囲で小さくすることや、B層を有する層構成にすること等により、無配向シートの長手方向の破断点伸度を高くすることができる。なお、無配向シートの長手方向の破断点伸度の上限は特に制限されるものではないが、現実的な実現可能性から、1,000%程度あれば十分である。
延伸倍率は、透湿度と耐水圧の観点から、2〜9倍が好ましく、2.5〜5倍がより好ましく、延伸温度は、フィルムを構成する樹脂の種類にもよるが、製膜安定性の観点から5℃以上50℃以下が好ましい。また、延伸方式は本発明の効果を損なわない限り、一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、汎用性の面で、ロールの周速差により長手方向に延伸を行う縦一軸延伸が好ましい。
続いて、TmA−30(℃)以上TmA(℃)以下の温度で延伸シートの熱処理を行い、延伸により引き伸ばされたシートの構造を固定する。この熱処理工程により、延伸後の残留応力によるシートの収縮やA層の融解により空孔が消滅することを軽減できる。この観点から、熱処理温度はTmA−15(℃)以上TmA(℃)以下であることが好ましい。
フィルムを製膜した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、及び酸処理などが挙げられる。いずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さから、コロナ放電処理が好ましい。
こうして得られたフィルムは、幅方向両端部のエッジ部分を切断除去した上で、中間製品ロール又は最終製品ロールとして巻き取られる。中間製品ロールとして巻き取られた場合は、さらに中間製品ロールよりフィルムを巻き出し、所望の幅となるように長手方向と平行に切断して巻き取り最終製品ロールを得ることができる。なお、一本の中間製品ロールから得る最終製品ロールは、一本であっても複数本であってもよい。
(その他用途など)
本発明のフィルムは、フィルムとして用いるために必要な機械特性、透湿性、防水性を兼ね備えるフィルムであり、医療用フィルム、衣料用フィルム、及び衛生材用フィルムとして好適に用いることができる。さらに、本発明のフィルムを不織布との積層体とすることも好ましい。また、本発明のフィルムを含む医療材、衣料材、及び衛生材は、優れた透湿性と防水性を備えたものとなる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定及び評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)フィルムの厚み及び積層フィルムの各層の厚み比
フィルムの幅方向のセンター部からサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームを用いて該サンプル片の長手方向−厚み方向断面(以下、フィルム断面ということがある。)を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製 S−3400N)を用いて倍率500倍〜1,500倍でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡の測長機能を用いてフィルムの厚み及び積層フィルムの各層の厚みを測定した。測定は、観察箇所を変えて10回行い、得られた値の平均値をフィルムの厚み(μm)及び積層フィルムの各層の厚み(μm)とし、これらの値より積層フィルムの各層の厚み比を算出した。なお、ここで厚み方向とは、長手方向と幅方向に垂直な方向をいう。また、フィルムの厚みは、小数第1位を四捨五入して得られた値とした。
なお、延伸フィルムの各層における厚みは、延伸フィルムの厚みと無配向フィルムの各層の厚み比から計算される厚みとほぼ同じ値となるため、無配向フィルムの各層の厚み比が既知の場合は、以下の式に基づき各層の厚みを算出した。
式1 延伸フィルムのA層の厚み=延伸フィルムの厚み×無配向フィルムにおけるA層の厚み/無配向フィルムの厚み
式2 延伸フィルムのB層の厚み=延伸フィルムの厚み×無配向フィルムにおけるB層の厚み/無配向フィルムの厚み
(2)無配向シートの長手方向の破断点伸度
恒温槽を備えたオリエンテック社製“TENSILON”(登録商標) UCT−100を用いて、JIS K−7127(1999)に規定された方法に従って、温度23℃、相対湿度65%における応力−歪み測定を行い、温度23℃、相対湿度65%における無配向シートの長手方向の破断点伸度(%)を測定した。具体的には、温度23℃、相対湿度65%に調整した恒温槽の中で、150mm(長手方向)×10mm(幅方向)の短冊状の無配向シートサンプルを、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分で行った。測定は10回行い、得られた値の平均値を無配向シートの長手方向の破断点伸度(%)とした。
(3)フィルムの透湿度
25℃、相対湿度90%に設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法に従って透湿カップを用いて測定した。測定は3回行い、得られた値の平均値をフィルムの透湿度(g/(m・day))とした。フィルムの透湿度は、フィルムが単層構成である場合はフィルムの巻外面を透湿カップ側に配置して測定し、フィルムが積層構成である場合は最表層について各層の最表層を構成する樹脂の平衡吸水率が高いほうの側の層を透湿カップ側に配置して測定した。なお、本測定に用いた冶具、吸湿剤は以下の通りとした。
透湿カップ:6cmφ、2.5cm深さのカップ
吸湿剤:塩化カルシウム(和光純薬工業(株)製、水分測定用)、20g
但し、JISの規定とは異なり、測定に際し塩化カルシウムとフィルムの距離は調整しなかった。
(4)フィルムの耐水圧
室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件にて、JIS L 1092 (2009)に規定された方法に従って、耐水度試験(静水圧法;A法(低水圧法))を行った。このとき、水準装置の水位上昇速度は100mm/min±5mm/minとした。この耐水圧(mm)の測定を3回行い、その平均値をフィルムの耐水圧とし、得られた値より以下の基準で評価した(優れているものから順にA〜Dとした。)。なお、フィルムの耐水圧はフィルムの巻外面が水と接触するように配置して測定した。
A:耐水圧が2,500mm以上であった。
B:耐水圧が1,500mm以上2,500mm未満であった。
C:耐水圧が500mm以上1,500mm未満であった。
D:耐水圧が500mm未満であった。
(5)空孔率
フィルムが単層フィルムである場合、当該フィルムを30mm×40mmの大きさ(方向は任意)に切取り試料とした。次に、電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて前記試料の比重を3回測定し、その平均値をそのフィルムの比重(ρ)とした。その後、測定したフィルムを温度210℃、圧力5MPaで熱プレスを行い、25℃の水で急冷して無孔シート状物を作成した。この無孔シート状物の比重を同様に3回測定し、その平均値を無孔シート状物の比重(d)とした。フィルムの比重(ρ)と無孔シート状物の比重(d)から、以下の式Aにより空孔率を算出した。
式A 空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100
フィルムが積層フィルムであって、各層が互いに容易に剥離可能な場合、剥離した各層について上記と同様に空孔率を測定した。
一方、フィルムが積層フィルムであって、互いに剥離不可能な層を有する場合は、電子顕微鏡でフィルムの断面観察を行うとともに、断面観察で観察された各層の境界線を境に各層それぞれの画像解析において空孔部分とそれ以外の部分を2値化する方法により空孔率を求めた。具体的には、以下の手順で空孔率を求めた。先ず、フィルムの厚み測定と同様にサンプルを切り出し、サンプル片の長手方向−厚み方向断面について、走査型電子顕微鏡を用いて倍率1,000倍で観察、断面写真を得た。続いて、画像解析ソフトImageJ(1.47V)(アメリカ国立衛生研究所)を利用して、断面写真を8ビット画像として読み込み、自動二値化処理を行い、空孔部分と非空孔部分とを色分けした。得られた画像より、各層について空孔部分と非空孔部分のピクセル数の和に対する空孔部分のピクセル数の割合を計算し、各層の空孔率(%)を算出した。なお、測定は3回行い、得られた値の平均値の小数第1位を四捨五入して得られた値を各層の空孔率(%)とした。なお単層フィルムか、積層フィルムかの判断が必要な場合は、電子顕微鏡で断面を観察して行った。
(6)延伸温度、熱処理温度
放射温度計(シロ産業社製、品番:MB8R−4110C)を用いて、延伸ロール、熱処理ロールから50cm離れた位置よりロール表面の温度を測定し、それぞれ延伸温度、熱処理温度とした。
(7)層の剥離強度
本発明のフィルムが積層フィルムである場合、恒温槽を備えたオリエンテック社製“TENSILON”(登録商標)UCT−100を用いて、温度23℃におけるA層とB層の剥離強度(gf/15mm)を測定した。
具体的には、150mm(長手方向)×15mm(幅方向)の短冊状に積層フィルムサンプルを切り出し、23℃に調整された恒温槽の中で、片方のチャックにA層、他方のチャックにB層をセットし、引張速度200mm/分で、剥離試験を行った。剥離力曲線において、剥離開始後の上限値と下限値を読み取りその平均値(A)を算出した。同様の測定を3回行い、得られた3つの平均値(A)の平均値を、A層とB層の剥離強度とした。層間の密着が強固であり、層を剥離して評価できない場合は、剥離強度が300gf/15mm以上であるとみなした。
[ポリエステル系エラストマー]
(A1)
ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標)G3548LN、東レ・デュポン(株)製、融点154℃、平衡吸水率3.6%)使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(A2)
ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標)8206、融点200℃、平衡吸水率30.0%)使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(A3)
ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標)3046、融点160℃、平衡吸水率0.7%)使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
[粒子]
(B1)
硫酸バリウム(商品名:BMH−40、平均粒径5.0μm、堺化学工業(株)製)
(B2)
硫酸バリウム(商品名:BMH−100、平均粒径12.0μm、堺化学工業(株)製)(B3)
硫酸バリウム(商品名:BMP270、平均粒径0.9μm、堺化学工業(株)製)
(B4)
硫酸バリウム(商品名:B2、平均粒径2.0μm、堺化学工業(株)製)
(B5)
炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1800、平均粒径2.8μm、比表面積15,000cm/g、備北粉化製)
各充填剤の平均粒径は日機装(株)製マイクロトラックMT3300を用いて、JIS
Z8825(2013)に規定された方法に従ってレーザー回折散乱法により測定した。
[ポリエステル系エラストマー以外の樹脂]
(C1)
熱可塑性エチレン樹脂(商品名:NUC8506、日本ユニカー(株)製、平衡吸水率0.1%)。
[フィルムの作製]
(実施例1)
A1、B1を表1に記載の配合比となるようにシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度100℃で5時間真空乾燥した。真空乾燥した組成物のペレットをシリンダー温度200℃、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給して溶融混練し、得られた溶融樹脂組成物を直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を190℃に設定した環状ダイスに導き、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出してインフレーション法により製膜した。その後、シート状物を冷却リングにより空冷してダイス上方のニップロールで折りたたんだ後、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開きロール状に巻き取った。この時、引き取り速度を調整することにより、厚み30μmの無配向シートを得た。次いで、得られた無配向シートをロール式延伸機にて延伸区間の入り側ロールと出側ロールの周速を変化させることで、延伸温度40℃で長手方向に3倍に延伸した。さらに延伸後の収縮が起こらないように、延伸出側ロールと同じ周速の130℃に加熱したロール上で1秒間熱処理した後、冷却ロール上で冷却し、厚み12μmの一軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示す。
(実施例2〜4、比較例1〜4、7、8)
表1、3に記載の通りに、樹脂及び粒子の種類や配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、厚み12μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1、3に示す。
(実施例5)
表1に記載の通りにA層用及びB層用の樹脂及び粒子の種類や配合比をそれぞれ調整し、シリンダー温度200℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化した後にチップ化し、A層用及びB層用の組成物のペレットを得た。これらのペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度80℃で5時間真空乾燥した後、シリンダー温度200℃、スクリュー径60mmの、それぞれ独立した別々の単軸押出機に供給して溶融混練し、得られた溶融樹脂組成物を直径250mm、リップクリアランス1.0mmの、温度を190℃に設定したスパイラル型環状ダイスより、A層をバブルの内周側とするA層/B層の2層構成となるように、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出してインフレーション法により製膜した。その後、シート状物を冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたんだ後、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開きロール状に巻き取るとともに、引き取り速度を調整することにより、厚み30μmの無配向シートを得た。次いで、得られた無配向シートをロール式延伸機にて、延伸温度40℃で長手方向に3倍に延伸した。さらに定長下、130℃の加熱ロール上で1秒間熱処理した後、冷却ロール上で冷却し、厚み12μm(A層:B層=4:1)のフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示す。
(実施例6〜10、14〜20、比較例5、6、9、10)
表1〜3に記載の通りに、樹脂及び粒子の種類や配合比、各層の厚みを変更した以外は実施例1と同様にして、厚み12μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1〜3に示す。
(実施例11〜13、実施例21)
表1、2、4に記載の通りに、樹脂及び粒子の種類や配合比、積層比、熱処理温度を変更し、B層用ペレットを溶融押出する押出機のシリンダー温度を220℃、スパイラル型状ダイスの温度200℃とした以外は実施例5と同様にして、厚み12μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1、2、4に示す。
(実施例22)
表4に記載の通りにA層用及びB層用の樹脂及び粒子の種類や配合比をそれぞれ調整し、シリンダー温度200℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化した後にチップ化し、A層用及びB層用の組成物のペレットを得た。これらのペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度80℃で5時間真空乾燥した後、A層用ペレットをシリンダー温度200℃、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給して溶融混練するとともに、B層用ペレットをシリンダー温度220℃、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給して溶融混練し、得られた溶融樹脂組成物を直径250mm、リップクリアランス1.0mmの、温度を200℃に設定したスパイラル型環状ダイスより、B層/A層/B層の2種3層構成となるように、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出してインフレーション法により製膜した。その後、シート状物を冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたんだ後、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開きロール状に巻き取るとともに、引き取り速度を調整することにより、厚み30μmの無配向シートを得た。次いで、得られた無配向シートをロール式延伸機にて、延伸温度40℃で長手方向に3倍に延伸した。さらに定長下、150℃の加熱ロール上で1秒間熱処理した後、冷却ロール上で冷却し、厚み12μm(B層:A層:B層=1:8:1)のフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表4に示す。
(実施例23〜25)
表4に記載の通りに、樹脂及び粒子の種類や配合比、積層比、熱処理温度を変更した以外は実施例22と同様にして、厚み12μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表4に示す。
Figure 2019167861
Figure 2019167861
Figure 2019167861
Figure 2019167861
表1、2、3および4における、「ポリエステル系エラストマー(質量%)」及び「ポリエステル系エラストマー以外の樹脂(質量%)」は、各層の樹脂全体を100質量%として算出した。各表における「粒子(質量部)」は、各層の樹脂成分全体を100質量部として算出した。また、表3の各比較例においてA層、B層の表記は、単層フィルムであればフィルムを構成する層をA層、積層フィルムであればフィルムを構成する層のうち空孔率の高い方をA層、低い層をB層と表記した。
本発明により、フィルムとして用いるために必要な透湿性、及び防水性を兼ね備えるフィルムを提供することができる。本発明のフィルムは、具体的には、ベッド用シーツ、枕カバー、衛生ナプキンや紙おむつなどの吸収性物品のバックシートといった医療・衛生材、雨天用衣類、手袋などの衣料材料、ゴミ袋や堆肥袋、あるいは野菜や果物などの食品用袋、各種工業製品の袋などの包装材料、ビル、住宅、化粧板といった建材、鉄道車両、船舶、航空機といった輸送機内での内装材料、建築用材料などに好ましく用いることができる。

Claims (5)

  1. ポリエステル系エラストマーを主成分とし、粒子を含み、かつ空孔率が10%以上50%以下である層をA層、平衡吸水率が1.0%以上であるポリエステル系エラストマーを主成分とし、かつ空孔率が0%以上10%未満である層をB層としたときに、以下の条件1又は2を満たすことを特徴とする、フィルム。
    条件1:A層を有し、A層における粒子の含有量が、A層における樹脂成分全体を100質量部としたときに50質量部以上140質量部以下であり、かつB層を有しない。
    条件2:A層及びB層を有する。
  2. 前記粒子がバリウム塩であって、その平均粒径が1.5μm以上10.0μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
  3. 透湿度が2,000g/(m・day)以上であり、かつ耐水圧が500mm以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記条件2を満たし、かつ前記A層の主成分であるポリエステル系エラストマーの融点をTmA(℃)、前記B層の主成分であるポリエステル系エラストマーの融点をTmB(℃)としたときに、TmA<TmBであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムをポリエステル系エラストマーを主成分としたシートから製造するフィルムの製造方法であって、1.5倍以上10倍以下の倍率で少なくとも一方向にシートを延伸する延伸工程、及び空孔率が10%以上50%以下である層を構成するポリエステル系エラストマーの融点をTmAとしたとき、TmA−30(℃)以上TmA(℃)以下の温度でシートの熱処理を行う熱処理工程をこの順に有することを特徴とする、フィルムの製造方法。
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