JP3522892B2 - 多孔質ポリエステルエラストマーフィルムの製造方法 - Google Patents

多孔質ポリエステルエラストマーフィルムの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多孔質ポリエステルエラ
ストマーフィルムを製造する方法に関し、更に詳しく言
えば衣料用、濾過材用、医療用などに有用な通気性に優
れた多孔質ポリエステルエラストマーフィルムを製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性エラストマー組成物のフィルム
は、熱可塑性樹脂フィルムにはない弾性や伸縮性を有
し、多くの分野で用途が期待されている。熱可塑性エラ
ストマーのうち、ポリウレタンエラストマーを主体とす
る重合体よりなる多孔質シート材料は通気性及び透湿性
がよく、風合いやその他の物性が優れており、皮革代替
品として盛んに使用されている。一般にポリウレタンエ
ラストマーを主体とした重合体よりなる多孔質シート材
料は、重合体の溶液を任意の支持体上に塗布した後、重
合体の溶剤と非溶剤とからなる凝固浴中で凝固せしめて
製造されている。また、表面の平滑性を向上させ、密度
の低い均一な多孔構造を得るために、様々な方法が検討
されている。例えば特公昭53−8739号公報では、
ポリウレタンエラストマーを主体とする重合体の溶液に
低級脂肪族アルコールを添加することによって表面の平
滑性が良く、密度の低い均一で巨大な多孔構造あるいは
微細な多孔構造を有するシート材料を製造する方法が示
されている。また、特公昭55−47054号公報で
は、ポリウレタンエラストマーを主体とする重合体の溶
液に脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、高級ア
ルキルアミンあるいはそのエチレンオキサイド付加物を
添加し、更にその重合体の溶剤には可溶でかつ水には不
溶の物質と、その重合体の溶剤には可溶でかつ水に可溶
の物質とを同時に添加して、重合体の溶剤と非溶剤とか
らなる凝固浴で処理することによって表面の平滑性が良
く、密度の低い、均一なスポンジ構造を有する、外観、
風合い及び物性などの優れた多孔質シートの製造方法が
示されている。
【0003】しかしながら、ポリウレタンエラストマー
は耐熱性、耐薬品性などに問題があり、更に幅広い応用
を行うためにはこれらの改善が望まれる。
【0004】一方、ポリエステルエラストマーは、優れ
た成形加工性、耐熱性、機械特性、耐薬品性を示し、各
種成形品として広く利用されている。そこで、この優れ
た物性を示すポリエステルエラストマーからなる多孔質
フィルムが得られればポリウレタンエラストマーでは適
用困難な用途においても用いることができ、幅広い応用
が可能となる。
【0005】ポリエステルのフィルムを多孔質化するに
は、例えば特開昭50−146675号公報ではポリエ
ステル樹脂に非相溶な化合物を添加、混合し、微細な相
分離構造を形成させた後、これをポリエステル系樹脂の
易延伸温度以下の温度で小倍率延伸、折り曲げ等の手法
で変形させることで微細なクラックを生じさせ、更にポ
リエステル系樹脂の易延伸温度領域内での2軸延伸によ
って変形によって生じたクラックを局所破断に成長させ
て多孔質フィルムを得る方法が示されている。しかしな
がら、この方法は優れた弾性回復率を特徴とするポリエ
ステルエラストマーには用いることはできない。
【0006】また、特開昭58−179243号公報で
は、結晶性芳香族ポリエステルと、特定条件を満たす低
分子化合物とからなる組成物を溶融成形して実質的に無
配向の成型物となし、次いで低分子化合物を溶解するが
芳香族ポリエステルを実質的に侵すことのない有機溶剤
を用いて成型物を処理し、低分子化合物を抽出する、多
孔質ポリエステル成型物の製造方法について提示されて
いる。しかしながら、この方法では抽出に有機溶媒を使
用せねばならず、環境への影響から好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、通気性に優
れたポリエステルエラストマーよりなる多孔質フィルム
の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の問題
点を解決するべく鋭意検討した結果、ポリエステルエラ
ストマーと特定の溶媒よりなる溶液組成物を支持基板上
に流延し、次いで冷却して該溶液組成物をゲル化させ、
更に水性溶媒によって該溶液組成物から上記溶媒を抽出
することによって通気性に優れた多孔質ポリエステルエ
ラストマーフィルムが得られることを見出した。
【0009】即ち、本発明は、芳香族ジカルボン酸を酸
成分として80モル%以上含む結晶性ポリエステルをハ
ードセグメントとし、ポリエーテル及び/又は低結晶性
ないしは非晶性のポリエステルをソフトセグメントとす
るポリエステルエラストマー、及び水と混和しうる極性
溶媒とからなる溶液組成物を支持基板上に流延し、次い
で冷却してゲル化させた後、水性溶媒によって該溶液組
成物から該極性溶媒を抽出することを特徴とする多孔質
ポリエステルエラストマーフィルムの製造方法である
【0010】以下本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明において用いられるポリエステルエ
ラストマーは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とす
る結晶性芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、
ポリエーテル及び/又は低結晶ないしは非晶性のポリエ
ステルをソフトセグメントとするポリマーである。
【0012】ハードセグメントである結晶性ポリエステ
ルを構成する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ
ルジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、
ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテル
ジカルボン酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル
酸等が例示され、これらのうちテレフタル酸、2,6-ナフ
タレンジカルボン酸が好ましく、特に2,6-ナフタレンジ
カルボン酸が好ましい。また、ポリマーの結晶性を損な
わない範囲(例えば20モル%以下)で、これらの酸成分
の一部をコハク酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジ
カルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボ
ン酸で置き換えてもよい。上記ジカルボン酸成分として
1種のみを使用してもよく2種以上を併用してもよい。
また、上記ジカルボン酸と同様に、そのエステル形成性
誘導体を用いてもよい。
【0013】また、ハードセグメントである結晶性ポリ
エステルを構成するジオール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロ
ヘキサンジメタノールをあげることができる。ジオール
成分としてはこれらのうち、テトラメチレングリコール
が特に好ましい。かかるジオール成分としては2種以上
を併用してもよい。また、上記ジオールと同様に、その
エステル形成性誘導体を用いてもよい。
【0014】また、上記結晶性ポリエステルは、ポリマ
ーの結晶性を損なわない範囲(例えば20モル%以下)
で、これらの一部を、ε-オキシカプロン酸、オキシ安
息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボ
ン酸等の他種カルボン酸から構成されるポリエステルで
置き換えてもよい。
【0015】本発明で使用するポリエステルエラストマ
ーは、ポリエーテル及び/又は低結晶ないしは非晶性の
ポリエステルをソフトセグメントとする。ソフトセグメ
ントとしては、ポリエーテルが好ましい。
【0016】ここでポリエーテルとしては、ポリオキシ
アルキレングリコールを好ましくあげることができる。
かかるポリオキシアルキレングリコールとしては、例え
ば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピ
レングリコール、ポリオキシトリメチレングリコール、
ポリオキシテトラメチレングリコール及びこれらの共重
合体が例示され、これらのうち特にポリオキシテトラメ
チレングリコールが好ましい。これらのポリオキシアル
キレングリコールの平均分子量は500〜20000とすること
が好ましく、600〜4000が特に好ましい。
【0017】また、ソフトセグメントを構成する低結晶
ないしは非晶性のポリエステルとしては、得られるポリ
エステルエラストマーのソフトセグメントとして作用す
るならば特に制限はないが、例えば、下記のジカルボン
酸成分及びジオール成分とから構成されるポリエステル
や下記のヒドロキシカルボン酸誘導体から構成されるポ
リエステルをあげることができる。
【0018】ジカルボン酸成分;コハク酸、アジピン
酸、スペリン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ド
デカンジカルボン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸、イソフタル酸、これらのエステル形成性誘導
体など。
【0019】ジオール成分;エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペ
ンチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオー
ル、3,3-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、オクタメチ
レングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチ
レングリコール、これらのエステル形成性誘導体など。
【0020】ヒドロキシカルボン酸誘導体:ε-カプロ
ラクトン、γ-バレロラクトン、乳酸、グリコール酸な
ど。
【0021】本発明で使用するポリエステルエラストマ
ーは、ソフトセグメントがポリエーテルの場合には、結
晶性ポリエステルを構成する上述の芳香族ジカルボン酸
及びジオール、及びポリエーテルとして例えばポリオキ
シアルキレングリコールを用いて、従来公知の重合法に
より製造することができる。またソフトセグメントがジ
カルボン酸成分とジオール成分よりなるポリエステルの
場合には、ハードセグメントを構成する結晶性ポリエス
テル及びソフトセグメントを構成する低結晶ないしは非
晶性のポリエステルを従来公知の重合法により別々に製
造し、かかる2種のポリエステルを溶融条件下に混練し
てエステル−エステル交換反応せしめることにより製造
することができる。このエステル−エステル交換反応の
反応温度は好ましくは200〜300℃、より好ましくは220
〜280℃程度であり、反応時間は好ましくは15分〜6時間
程度、より好ましくは30分〜4時間程度である。また、
ソフトセグメントがヒドロキシカルボン酸誘導体からな
るポリエステルの場合は、ヒドロキシカルボン酸誘導体
中にハードセグメント成分のポリエステルを加え、ヒド
ロキシカルボン酸誘導体を重合することにより製造する
ことができる。
【0022】上記ポリエステルエラストマーにおけるハ
ードセグメントの含有量は、ハードセグメントとソフト
セグメントの合計量に対して10〜50重量%であることが
望ましい。ハードセグメントの含有量が10重量%より少
ないと得られるエラストマーの耐熱性が不足し、また50
重量%より多いと弾性特性が低下するため好ましくな
い。ハードセグメントの好適な含有量は20〜40重量%で
ある。
【0023】本発明においては、水に可溶であり、かつ
上記のポリエステルエラストマーを、ある温度以上で溶
解するがその温度以下では溶解することが出来ない極性
溶媒に溶解させ、こうして得られる溶液組成物を用い
る。この際の極性溶媒としては、水と混和性があり、用
いるポリエステルエラストマーを加熱等により溶解する
ことができ、さらにこのポリエステルエラストマーが溶
解した溶液組成物を冷却するなどして特定温度以下にす
ると、相分離に伴い溶液組成物がゲル化し白化させるこ
とができるような溶媒から選ぶことが出来る。このよう
な極性溶媒として、N−メチルピロリドン(NMP)、N,
N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルア
セトアミドなどを例示することが出来る。これらのう
ち、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムア
ミドが好ましい。例えばNMPは、室温ではポリエステ
ルエラストマーを溶解して25重量%溶液を作製するこ
とが出来ないが、100℃に加熱することにより、均一
に溶解することができる。この溶液組成物を支持基板上
に流延し、放冷するとやがてゲル化し白化する。
【0024】かかる極性溶媒は、1種のみを用いてもよ
く、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記特性
を損なわない限り、他の溶媒や無機塩、添加剤などを加
えてもかまわない。
【0025】上記溶液組成物中のポリエステルエラスト
マー濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。ポリ
エステルエラストマー濃度が1重量%より少ないとフィ
ルムやシートの形態を保持するのが難しく、また50重量
%より多いと空孔率が小さくなりすぎ好ましくない。ポ
リエステルエラストマー濃度は3〜35重量%であること
がより好ましい。
【0026】上記ポリエステルエラストマーの溶液組成
物は、上記ポリエステルエラストマーを上記極性溶媒に
加熱溶解することにより得る。この際の加熱溶解温度
は、用いるポリエステルエラストマーの構造あるいは濃
度、用いる極性溶媒等によって異なるが、該ポリエステ
ルエラストマーが均一に溶解するために必要な温度であ
ればよく、通常は溶解開始温度以上200℃以下であり、5
0〜150℃以下が好ましい。
【0027】次に、上記溶液組成物は、たとえばドクタ
ーブレード等を用いて支持基板上に流延され膜状物に成
形される。この流延直後の膜状物は透明であり、かかる
膜状物の形状は限定されない。また、この際に用いる支
持基板の種類も特に限定されないが、例えばガラス板、
金属板、プラスチック板、布状物等を挙げることができ
る。かかる支持基板は、流延と同時にゲル化し流延が困
難になるのを防ぐため、ゲル化する温度以上に暖めてお
いてもよい。
【0028】本発明によれば、上記膜状物は次いで冷却
されることにより、相分離に伴うゲル化を生じさせる。
本発明で言うゲル化とは、ポリエステルエラストマーが
均一に溶解した透明な溶液組成物が白色に濁り、なおか
つ膜状物の形態を保持した状態のことである。ゲル化を
生じさせるための冷却時間は特に限定されないが、通常
は5時間以内、より好ましくは2時間以内である。また
冷却方法も特に限定されず、室温で放冷してもよく、ま
た氷冷や冷却装置を用いてもよい。
【0029】このゲル化を生じせしめることによって、
得られる多孔質ポリエステルエラストマーフィルム内部
の多孔構造を均一にすることができ、通気性に優れたフ
ィルムを得ることが出来る。ゲル化を生じさせることな
く、後述する抽出処理を直接行うと、厚さ方向、すなわ
ち表層部分と中心部分とが均一な多孔構造を形成するこ
とが出来ず、得られるフィルムの通気性が悪くなる。
【0030】このようにして得られたゲル化した膜状物
は、次いで水性溶媒によって上記極性溶媒が抽出され
る。ここで水性溶媒とは、水、又は無機塩や低級脂肪族
アルコール、極性溶媒等を少なくとも1種溶解した水溶
液を意味する。用いる水性溶媒の温度は特に限定されな
いが、通常0〜100℃、好ましくは5〜80℃である。
抽出の方法としては、特に限定されず、例えばかかるゲ
ル化した膜状物を、支持基板とともに、あるいは支持基
板から剥がしてから水性溶媒に浸漬する、または水性溶
媒で洗浄する等の方法を選択することが出来る。また、
抽出に要する時間は抽出方法によって異なるが、通常は
5時間以内、より好ましくは3時間以内である。
【0031】このようにして得られた膜状物は、乾燥さ
れて、最終的に、厚さ通常数μm〜1mm程度のポリエ
ステルエラストマーの多孔質フィルムとなる。この際の
乾燥温度はポリエステルエラストマーの融解温度以下で
あれば特に限定されることはなく、また、常圧で乾燥し
ても減圧下で乾燥してもかまわない。乾燥温度は、通常
は150℃以下、好ましくは130℃以下である。
【0032】本発明によって得られる多孔質ポリエステ
ルエラストマーフィルムの構造及び性能は、使用する材
料、製造条件によって影響される。例えば、膜密度は溶
液組成物中のポリエステルエラストマー濃度に影響され
る。得られる多孔質ポリエステルエラストマーの空孔率
は好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であ
る。また、JIS P-8117測定による透気度は1500秒以下が
好ましく、1200秒以下がより好ましい。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性、耐薬品性、成
形加工性等に優れたポリエステルエラストマーの、均一
な多孔構造を有するフィルムを製造することが出来る。
かかるフィルムは、通気性を活かした衣料、靴、バッグ
材、濾過材、医療用など各種用途に利用できる。
【0034】
【実施例】以下に、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、各例中の多孔質フィルムの性能の数値は以下の方
法により求めた値である。 (1)空孔率:下式により、フィルムの密度から計算し
た。
【0035】
【数1】空孔率(%)=(d−s)/d×100 d:ポリエステルエラストマーの密度(g/cm3) s:多孔質フィルムの密度(g/cm3) (2)透気度:JIS P-8117に従って測定した。
【0036】[実施例1]ポリエステルエーテルエラス
トマー(以下EL−1と称する。ハードセグメント;ポ
リブチレン−2,6−ナフタレート30wt%、ソフト
セグメント;ポリオキシテトラメチレングリコール70
wt%、固有粘度1.50、融点147℃)5gをNM
P15gに100℃で溶解させた。これを50℃に加熱
したガラス板上に100μmのドクターブレードで流延
し、室温で30分放冷した。フィルム全体が白濁したこ
とを確認した後、ガラス板ごとフィルムを50℃の水に
浸漬した。1時間後、ガラス板から自然と剥離していた
フィルムを取りだして乾燥し、白色で表面性の良い多孔
質ポリエステルエラストマーフィルムを得た。膜厚は6
6μm、空孔率は54%、透気度は2秒以下であり、極
めて通気性に優れていた。
【0037】[実施例2]EL−1を6g、NMPを1
4gとした以外は実施例1と同様に行い、フィルムを製
造した。得られたフィルムの膜厚は73μm、空孔率は
26%、透気度は278.33秒であった。
【0038】[実施例3]浸漬した水の温度を15℃と
した以外は実施例1と同様に行い、フィルムを製造し
た。得られたフィルムの膜厚は86μm、空孔率は50
%、透気度は8.29秒であった。
【0039】[実施例4]1000μmのドクターブレ
ードを用いた以外は実施例1と同様に行い、フィルムを
製造した。得られたフィルムの膜厚は536μm、空孔
率は61%、透気度は471.84秒であった。
【0040】[比較例1]実施例1で用いた溶液組成物
を同様にガラス板上に流延した後、透明な膜状物を放冷
せずにすぐに水に浸漬した。1時間後、ガラス板から自
然と剥離していたフィルムを取りだして乾燥し、白色の
多孔質ポリエステルエラストマーフィルムを得た。かか
るフィルムの膜厚は78μm、空孔率は29%であった
が、透気度は1800秒以上であり、通気性が極めて悪
かった。
【0041】[実施例5]EL−15gをDMF15g
に100℃で溶解させた。これを50℃に加熱したガラ
ス板上に200μmのドクターブレードで流延し、0℃
で10分間冷却した。フィルム全体が白濁したことを確
認した後、ガラス板ごとフィルムを50℃の水に浸漬し
た。1時間後、取り出したフィルムを乾燥し、多孔質ポ
リエステルエラストマーフィルムを得た。かかるフィル
ムの膜厚は114μm、空孔率は48%、透気度は25
7.75秒であった。
【0042】[実施例6]EL−1を4g、DMFを1
6gとした以外は実施例5と同様に行い、フィルムを製
造した。得られたフィルムの膜厚は95μm、空孔率は
45%、透気度は519.3秒であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/26 - 9/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸を酸成分として80
    モル%以上含む結晶性ポリエステルをハードセグメント
    とし、ポリエーテル及び/又は低結晶性ないしは非晶性
    のポリエステルをソフトセグメントとするポリエステル
    エラストマー、及び水と混和しうる極性溶媒とからなる
    溶液組成物を支持基板上に流延し、次いで冷却してゲル
    化させた後、水性溶媒によって該溶液組成物から該極性
    溶媒を抽出することを特徴とする多孔質ポリエステルエ
    ラストマーフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 ソフトセグメントがポリエーテルである
    ことを特徴とする請求項1記載の多孔質ポリエステルエ
    ラストマーフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 芳香族ジカルボン酸が、2,6−ナフタ
    レンジカルボン酸であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の多孔質ポリエステルエラストマーフィルムの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 極性溶媒が、N−メチルピロリドン、
    N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチル
    アセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の
    溶媒からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の多孔質ポリエステルエラストマーフィルムの製
    造方法。
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