JPWO2019167815A1 - 二軸延伸フィルム - Google Patents

二軸延伸フィルム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2019167815A1
JPWO2019167815A1 JP2020503459A JP2020503459A JPWO2019167815A1 JP WO2019167815 A1 JPWO2019167815 A1 JP WO2019167815A1 JP 2020503459 A JP2020503459 A JP 2020503459A JP 2020503459 A JP2020503459 A JP 2020503459A JP WO2019167815 A1 JPWO2019167815 A1 JP WO2019167815A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stretched film
biaxially stretched
temperature
mass
crystal melting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020503459A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7205531B2 (ja
Inventor
俊介 小井土
俊介 小井土
根本 友幸
友幸 根本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Publication of JPWO2019167815A1 publication Critical patent/JPWO2019167815A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7205531B2 publication Critical patent/JP7205531B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C55/00Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor
    • B29C55/02Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets
    • B29C55/10Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets multiaxial
    • B29C55/12Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets multiaxial biaxial
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/18Manufacture of films or sheets
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L67/00Compositions of polyesters obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L67/02Polyesters derived from dicarboxylic acids and dihydroxy compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2367/00Characterised by the use of polyesters obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain; Derivatives of such polymers
    • C08J2367/02Polyesters derived from dicarboxylic acids and dihydroxy compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L2205/00Polymer mixtures characterised by other features
    • C08L2205/02Polymer mixtures characterised by other features containing two or more polymers of the same C08L -group
    • C08L2205/025Polymer mixtures characterised by other features containing two or more polymers of the same C08L -group containing two or more polymers of the same hierarchy C08L, and differing only in parameters such as density, comonomer content, molecular weight, structure

Abstract

透明性、耐熱性、耐湿熱性、及び、延伸加工性に優れた二軸延伸フィルムを提供すること。
ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を含むポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)100質量部に対して、該ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)よりもガラス転移温度が高いポリアリレート樹脂(B)を1質量部以上50質量部以下含む樹脂組成物からなる、結晶融解エンタルピーが20J/g以上80J/g以下である二軸延伸フィルム。

Description

本発明は、ポリエステル系二軸延伸フィルムに関する。
本出願は、2018年3月2日に出願された日本国特許出願2018−037857に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
ポリエステル樹脂は、耐熱性、耐候性、機械的強度、透明性、耐薬品性、ガスバリアー性などの性質に優れており、かつ、価格的にも入手し易いことから、汎用性が高く、現在、飲料・食品用容器や包装材、成形品、フィルムなどに広く利用されている。
中でも、酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールをそれぞれ主成分とするポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)は、融点が290℃と高く、結晶化速度も早いので、耐熱性が必要とされる射出成形用途として広く使用されており、二軸延伸フィルム用途としても各種検討がなされている。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを用いた二軸延伸フィルムは、その耐熱性を生かして、フレキシブル基板、ITOの保護フィルム、スマートフォンやタブレット用のプリズムシート、液晶の保護フィルム等の用途での使用が期待されている。
これらの用途においては、使用時の温度が高温になるため、80〜200℃×数分〜数日間という過酷な耐熱試験にも耐える必要がある。
例えば、特許文献1には、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートからなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、特定の延伸比及び延伸温度で延伸又は配向され、続いて260℃以上の温度において寸法を保持しながらヒートセットされた、耐熱性に優れたフィルムが開示されている。
また、飲料・食品包装や屋外で使用される用途の場合は、湿度の高い環境下に置かれることが想定される。これらの場合、高湿度環境下における加水分解による機械物性の低下を防ぐため、耐湿性や耐湿熱性が要求される。
一方、特許文献2には、(a)テレフタル酸残基、(b)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、及び、(c)別のジカルボン酸又はジオール残基、を含んでなるポリエステルから製造された、耐熱性に優れた二軸延伸ポリエステルフィルムが開示されている。
また、特許文献3には、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールから成るポリエステルにポリアリレート樹脂を添加することによって成型性、耐熱性、耐衝撃性及び透明性に優れた樹脂組成物が開示されている。
日本国特許出願公表2005−530908号公報 日本国特許出願公表2008−524396号公報 日本国特許出願公開2002−302596号公報
しかしながら、特許文献1、2に開示されているフィルムは、高い湿度環境下における使用によっては機械物性が低下してしまい、フィルムの収縮や破壊といった不具合が生じる。
また、特許文献3において、二軸延伸フィルムとしての検討はなされていない。
そこで、本発明は、透明性、耐熱性、耐湿熱性及び延伸加工性に優れたポリエステル系二軸延伸フィルムを提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含むものである。
[1] 本発明の二軸延伸フィルムは、ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を含むポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)100質量部に対して、該ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)よりもガラス転移温度が高いポリアリレート(B)を1質量部以上50質量部以下含み、結晶融解エンタルピーが20J/g以上80J/g以下である。
[2] 好ましい一態様に係る二軸延伸フィルムは、結晶融解エンタルピーが25J/g以上80J/g以下である。
[3] 好ましい一態様に係る二軸延伸フィルムは、結晶融解温度が250℃以上350℃以下である。
[4] 好ましい一態様に係る二軸延伸フィルムは、前記二軸延伸フィルムを構成する樹脂組成物を加熱速度10℃/分で結晶融解温度より30℃高い温度まで昇温し10℃/分で降温したとき、結晶融解温度と降温結晶化温度の差が40℃以上80℃以下である。
[5] 好ましい一態様に係る二軸延伸フィルムは、前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解エンタルピーが35J/g以上70℃J/g以下である。
[6] 好ましい一態様に係る二軸延伸フィルムは、前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解温度が260℃以上340℃以下である。
本発明が提案する二軸延伸フィルムは、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートの透明性を損なわずに耐熱性、耐湿熱性、延伸加工性が改善されているので、耐熱性や光学特性が必要な用途にも好適に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明の内容が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<二軸延伸フィルム>
本発明の実施形態の一例に係る二軸延伸フィルム(以下、「本二軸延伸フィルム」と称することがある)は、ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を含むポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)を含み、該ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)100質量部に対して、該ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)よりもガラス転移温度が高いポリアリレート(B)を1質量部以上50質量部以下含み、結晶融解エンタルピーが20J/g以上80J/g以下である。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートの耐熱性、耐湿熱性を改善する方法としては、結晶性の向上を目的として結晶核剤を添加する方法が知られている。
しかし、この方法では、結晶核剤を添加することにより結晶化度が向上し、それに伴って耐熱性も向上するものの、一般に結晶化速度も向上する為、延伸加工性が悪化するという問題がある。
また、結晶核剤は射出成型品や無延伸の押出成形品に対しては結晶性の向上に有効であるが、延伸フィルムに対しては必ずしも結晶性の向上に有効ではない場合がある。
これは、射出成型品や無延伸の押出成形品の場合は、結晶核剤が種となって球晶結晶を成長させるのに対し、延伸フィルムにおける結晶は主として配向結晶であり、両者は結晶の成長様式及び形態が異なるためである。
なお、この結晶形態の違いにより、通常、前者は不透明な成形品となり、後者(延伸フィルム)は透明な成形品が得られる。
また、インライン工程又はアウトライン工程にて熱処理を施すことによって、結晶化を促し耐熱性を向上する方法が知られている。しかし、この方法では、最終的に到達する結晶化度には限界があり、熱処理という工程が加わるため生産性が低下するという問題もある。
本発明は、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートよりもガラス転移温度が高い非晶性樹脂であるポリアリレートが、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートと相溶性を示すことを見出し、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートとポリアリレート樹脂を含む二軸延伸フィルムが、優れた透明性、耐熱性、耐湿熱性、延伸加工性を示すことを見出し、成されたものである。
本二軸延伸フィルムは、耐熱性や光学特性が必要な用途にも好適に使用できる。
一実施形態に係る本二軸延伸フィルムは、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)100質量部に対して、ポリアリレート(B)を1質量部以上50質量部以下含む。
ポリアリレート(B)の含有割合は、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、中でも3質量部以上或いは45質量部以下であることがより好ましく、中でも5質量部以上或いは40質量部以下であることが更に好ましく、中でも10質量部以上或いは35質量部以下であることが最も好ましい。
言い換えると、ポリアリレート(B)の含有割合は、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上45質量部以下、3質量部以上50質量部以下及び3質量部以上45質量部以下のいずれかであることがより好ましく、1質量部以上40質量部以下、3質量部以上40質量部以下、5質量部以上50質量部以下、5質量部以上45質量部以下及び5質量部以上40質量部以下のいずれかであることが更に好ましく、1質量部以上35質量部以下、3質量部以上35質量部以下、5質量部以上35質量部以下、10質量部以上50質量部以下、10質量部以上45質量部以下、10質量部以上40質量部以下及び10質量部以上35質量部以下のいずれかであることが最も好ましい。
ポリアリレート(B)の割合が、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)100質量部に対して1質量部以上であれば、結晶化温度を遅くすることができるためフィルムを延伸する際の延伸加工性が向上する。
一方、ポリアリレート(B)の割合が、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)100質量部に対して50質量部以下であれば、本二軸延伸フィルムの結晶性を維持され、ひいては得られる本二軸延伸フィルムの加熱時の耐収縮性が十分なものとなる。
(1)結晶融解エンタルピー(Δ(デルタ)Hm)
一実施形態に係る本二軸延伸フィルムの結晶融解エンタルピー(ΔHm)は、20J/g以上80J/g以下である。
一実施形態に係る本二軸延伸フィルムの結晶融解エンタルピー(ΔHm)は、中でも25J/g以上80J/g以下が好ましく、中でも26J/g以上或いは75J/g以下がより好ましく、中でも27J/g以上或いは70J/g以下が更に好ましい。
言い換えると、本二軸延伸フィルムの結晶融解エンタルピー(ΔHm)は、25J/g以上80J/g以下であることが好ましく、25J/g以上75J/以下、26J/g以上80J/g以下及び26J/g以上75J/g以下のいずれかであることがより好ましく、25J/g以上70J/以下、26J/g以上70J/g以下、27J/g以上80以下J/g、27J/g以上75J/g以下及び27J/g以上70J/g以下のいずれかであることが更に好ましい。
前記ΔHmが20J/g以上であれば、本二軸延伸フィルムは十分な結晶性を有しており、得られる二軸延伸フィルムの加熱時の耐湿熱性に優れる。
一方、前記ΔHmが80J/g以下であれば、本二軸延伸フィルムの結晶性は二次加工性にも適したものとなる。
本二軸延伸フィルムの結晶融解エンタルピー(ΔHm)は、該フィルムを構成する樹脂材料のΔHmに起因することから、該材料として、上記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)及びポリアリレート(B)という、結晶性の異なる2つの樹脂を用いることで上記範囲内に調整することができる。
また、その他にも、結晶核剤の添加などによりフィルムのΔHmを調整することができる。
また、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)とは、後述する通り、溶融混合においてエステル交換反応を生じるため、溶融混合の条件(せん断速度や滞留時間など)によってもΔHmを調整することができる。
さらに、本二軸延伸フィルムの製造において、溶融状態からの冷却温度、延伸倍率、延伸温度、延伸後の熱処理条件を調整することで、本二軸延伸フィルムの結晶融解エンタルピー(ΔHm)を、最適化することができる。
本二軸延伸フィルムの結晶融解エンタルピー(ΔHm)は、JIS K7121(2012年)に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて加熱速度10℃/分で測定されるものである。
(2)結晶融解温度
本二軸延伸フィルムの結晶融解温度(Tm)は、250℃以上350℃以下であることが好ましく、中でも255℃以上340℃以下であることがより好ましく、中でも260℃以上330℃以下であることがさらに好ましく、中でも265℃以上320℃以下であることがとりわけ好ましく、中でも270℃以上310℃以下であることが最も好ましい。
本二軸延伸フィルムの結晶融解温度(Tm)が係る範囲であれば、本二軸延伸フィルムは耐熱性と溶融成形性のバランスに優れる。
本二軸延伸フィルムの結晶融解温度(Tm)も、上記ΔHmと同じく、該フィルムを構成する樹脂材料として、上記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)及びポリアリレート(B)という、結晶性の異なる2つの樹脂を用いることで上記範囲内に調整することができる。
また、上記ΔHmと同じく、本二軸延伸フィルムの製造において、溶融状態からの冷却温度、延伸倍率、延伸温度、延伸後の熱処理条件を調整することで、本二軸延伸フィルムの結晶融解温度(Tm)を、最適化することができる。
ここで、結晶融解温度(Tm)はJIS K7121(2012年)に準じて、本二軸延伸フィルムについて示差走査熱量計(DSC)を用いて加熱速度10℃/分で測定するものである。
なお、本二軸延伸フィルムが2つ以上の結晶融解温度(Tm)を有する場合は、少なくとも1つの結晶融解温度(Tm)が前記範囲内であればよい。
また、本二軸延伸フィルムが2つ以上の結晶融解温度(Tm)を有する場合の結晶融解エンタルピー(ΔHm)は、各々の結晶融解エンタルピーの合計値とする。
(3)樹脂組成物の結晶融解温度と降温結晶化温度の差
本二軸延伸フィルムの結晶化状態を好ましいものとするための目安として、二軸延伸フィルムを構成する樹脂組成物を加熱速度10℃/分で示差走査熱量計(DSC)を用いて、結晶融解温度より30℃高い温度まで昇温し、10℃/分で降温した際の結晶化ピークの温度を降温結晶化温度としたときの、結晶融解温度と降温結晶化温度の差が使用される。
結晶融解温度と降温結晶化温度の差は、40℃以上80℃以下であることが好ましく、中でも45℃以上或いは75℃以下であることが好ましく、中でも50℃以上或いは70℃以下であることが更に好ましい。
結晶融解温度と降温結晶化温度の差が40℃以上であれば、樹脂組成物の結晶化が速すぎず、二軸延伸フィルムの製造工程におけるキャスティングロールでの急冷過程の際、十分に結晶性が低い非晶シートが得られ、その後の延伸過程でも急激に結晶化が促進されることがないため、破断等のトラブルが生じにくく、延伸性に優れる。
一方、結晶融解温度と降温結晶化温度の差が80℃以下であれば、結晶化速度は遅すぎないため、延伸後の熱処理過程において結晶化を完了させ、耐熱性に優れる二軸延伸フィルムを得ることができる。
本二軸延伸フィルムの結晶融解温度と降温結晶化温度の差は、上記ΔHm及びTmと同じく、該フィルムを構成する樹脂材料として上記(A)及び(B)を用いればよく、また、該フィルムの製造において、上記のようにフィルムの加工条件を調整することによっても最適化することができる。
ここで、この二軸延伸フィルムを構成する樹脂組成物の結晶融解温度と降温結晶化温度の差を算出するには、DSCを用いて延伸する前のキャストフィルムを測定することが好ましい。ただし、延伸フィルムを融点以上に加熱することでフィルムを融解した後、プレスサンプルを作製し、該プレスサンプルよりDSC測定することによっても算出することができる。本発明においては、いずれの測定方法も採用することができる。
本二軸延伸フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲において、前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)及びポリアリレート(B)以外の他の樹脂を含むことができる。
当該他の樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)以外のポリエステル系樹脂(ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂(アラミド系樹脂を含む)、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、及び、フッ素系樹脂等が挙げられる。
また、本二軸延伸フィルムは、前述した成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、一般的に配合される添加剤を適宜含むことができる。
前記添加剤としては、成形加工性、生産性及びフィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料や染料などの着色剤、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤などの添加剤が挙げられる。
以下、本二軸延伸フィルムを構成する樹脂組成物の原料となる、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)及びポリアリレート(B)についてそれぞれ説明する。
<ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)>
ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)は、ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を含むポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートである。中でも、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)は、ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸を、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノールを、それぞれ主成分とする重合体であるのが好ましい。特に、本発明で用いるポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)は、ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位を90モル%以上、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を90モル%以上含む重合体であることが好ましい。
なお、本明細書において、「主成分」とは、最も多い質量比率を占める成分であることをいい、45質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましい。
また、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)を構成するジカルボン酸成分(a−1)は、テレフタル酸が90モル%以上を占めるものであることが好ましい。
中でもジカルボン酸成分(a−1)のうち、テレフタル酸が92モル%以上であることがより好ましく、94モル%以上であることがさらに好ましく、96モル%以上であることが特に好ましく、98モル%以上であることがとりわけ好ましく、ジカルボン酸成分(a−1)の全て(100モル%)がテレフタル酸であることが最も好ましい。
ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸が90モル%以上を占めることにより、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)のガラス転移温度、融点及び結晶性が向上し、ひいては本二軸延伸フィルムの耐熱性が向上する。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)は、成型性や耐熱性の向上を目的として、テレフタル酸以外の酸成分を10モル%未満の割合で共重合してもよい。
具体的には、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、2,4−フランジカルボン酸、3,4−フランジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも成形性の観点から、イソフタル酸、2,5−フランジカルボン酸、2,4−フランジカルボン酸、3,4−フランジカルボン酸が好ましい。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)を構成するジオール成分(a−2)は、1,4−シクロヘキサンジメタノールが90モル%以上を占めるものであることが好ましい。
ジオール成分(a−2)のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノールが92モル%以上であることがより好ましく、94モル%以上であることがさらに好ましく、96モル%以上であることが特に好ましく、98モル%以上であることがとりわけ好ましく、ジオール成分(a−2)の全て(100モル%)が1,4−シクロヘキサンジメタノールであることが最も好ましい。
ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノールが90モル%以上を占めることにより、ポリアリレート(B)との相溶性が向上し、更には、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の融点及び結晶性が向上し、ひいては本二軸延伸フィルムの耐熱性が向上する。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)は、成型性や耐熱性の向上を目的として、1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分を10モル%未満の割合で共重合してもよい。
具体的には、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノン、ビスフェノール、スピログリコール、2,2,4,4,−テトラメチルシクロブタン−1,3−ジオール、イソソルバイド等が挙げられる。これらの中でも成形性の観点からエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解エンタルピー(ΔHm(A))は、35J/g以上70J/g以下であるのが好ましく、中でも36J/g以上或いは65J/g以下であることがより好ましい。
言い換えると、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解エンタルピー(ΔHm(A))は、35J/g以上70J/g以下であることが好ましく、35J/g以上65J/g以下、36J/g以上70J/g以下及び36/g以上65J/g以下であることがより好ましい。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)のΔHm(A)が係る範囲であれば、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)は耐熱性、耐湿熱性、溶融成形性及び延伸加工性にも優れる適度な結晶性を有する。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解エンタルピー(ΔHm(A))は、該(A)の構成単位である、テレフタル酸以外の他の酸成分及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノール単位以外の他のジオール成分の種類や配合割合を調整することにより、上記範囲内に調整することができる。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解エンタルピー(ΔHm(A))は、JIS K7121(2012年)に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて加熱速度10℃/分で測定することができる。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解温度(Tm(A))は、260℃以上340℃以下であることが好ましく、中でも270℃以上或いは330℃以下であることがより好ましく、中でも280℃以上或いは310℃以下であることが更に好ましい。
言い換えると、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解温度(Tm(A))は、280℃以上310℃以下であることが好ましく、260℃以上340℃以下、280℃以上340℃以下及び260℃以上310℃以下のいずれかであることがより好ましく、270℃以上310℃以下、260℃以上330℃以下、270℃以上330℃以下及び280℃以上330℃以下のいずれかであることが更に好ましい。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解温度(Tm(A))が係る範囲であれば、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)は耐熱性と溶融成形性のバランスに優れる。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解温度(Tm(A))は、上記ΔHmと同じく、テレフタル酸以外の他の酸成分及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノール単位以外の他のジオール成分の種類や配合割合を調整することにより、上記範囲内に調整することができる。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解温度(Tm(A))は、JIS K7121(2012年)に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて加熱速度10℃/分で測定できる。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)のガラス転移温度(Tg(A))は、60℃以上150℃以下であることがより好ましく、中でも70℃以上或いは120℃以下であることが更に好ましい。
言い換えると、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)のガラス転移温度(Tg(A))は、60℃以上150℃以下であることが好ましく、60℃以上120℃以下、70℃以上150℃以下及び70℃以上120℃以下のいずれかであることが更に好ましい。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)のガラス転移温度(Tg(A))が、係る範囲にあれば、耐熱性と溶融成形性のバランスに優れる。
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に定められている方法に準拠して求められ、低温側ベースライン及び高温側ベースラインをそれぞれ延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度(中間点ガラス転移温度)である。
なお、上記のポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解エンタルピー(ΔHm(A))、結晶融解温度(Tm(A))及びガラス転移温度(Tg(A))は何れも、本二軸延伸フィルムを製造するための原料の特性としてのみならず、本二軸延伸フィルムを構成しているポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)成分の特性としても適用される。
一般的に、樹脂組成物の耐熱性、耐湿熱性の向上は、ガラス転移温度(Tg)を高くすることで達成できる。
本発明ではポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)よりTgの高いポリアリレート(B)を混合することで、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)単体よりもガラス転移温度の高い樹脂組成物が得られ、耐熱性、耐湿熱性に優れた二軸延伸フィルムが得られる。
なお、異なる樹脂を混合して樹脂組成物とする場合、相溶性が悪い樹脂の組合せであれば、一般に相分離したモルフォロジーが形成される。
このような場合は、通常、各成分に帰属するTgが独立して存在する樹脂組成物となるため、Tgを高める効果は期待できない。
本発明では、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)という特定の組合せであれば、両者の相溶性が高く、またエステル交換反応も生じる(詳細は後述する)ため、均一な樹脂組成物とすることが可能であることを見出した。
その結果、樹脂組成物のTgは実質的に1つとなるため、これを高めることが可能となった。
一実施形態に係る本発明においては、フィルムの耐熱性、耐湿熱性を更に向上させるために、結晶融解エンタルピー(ΔHm)の高いポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)を選択している。
結晶化度の高いポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)を用いることで、延伸時に結晶化が促進され、結晶融解温度と結晶融解エンタルピーが向上し、耐熱性及び耐湿熱性に優れた二軸延伸フィルムが得られる。
一方、延伸時の結晶化が顕著に起こる場合、延伸時に結晶部分からの破断が起きやすくなるという問題を有する。
そこで、本発明においては、通常非晶性であるポリアリレート(B)が、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)自体の結晶性を緩和し、延伸時の破断を抑え加工時のハンドリング性を向上させている。
さらに、本発明においては、混合する樹脂同士の相溶性が重要である。
つまり、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)は前述の通り相溶性を有するため、二軸延伸フィルムは透明性を有する。
<ポリアリレート(B)>
本二軸延伸フィルムは、前記ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)よりもJIS K7198Aに準じて測定されるガラス転移温度が高いポリアリレート(B)を含む。
ポリアリレート(B)は、ジカルボン酸成分(b−1)と二価フェノール成分(b−2)との重縮合物である。
ポリアリレート(B)のガラス転移温度は、前記ジカルボン酸成分(b−1)及び二価フェノール成分(b−2)を適宜選択することで調整することができ、とりわけ、二価フェノール成分を適宜選択することが好ましい。
前記ポリアリレート(B)を構成するジカルボン酸成分(b−1)としては、二価の芳香族カルボン酸であれば特に制限はない。中でもテレフタル酸成分とイソフタル酸成分の混合物であることが好ましい。
そのテレフタル酸成分とイソフタル酸成分の混合比(モル%)は、テレフタル酸/イソフタル酸=99/1〜1/99が好ましく、90/10〜10/90がより好ましく、80/20〜20/80が更に好ましく、70/30〜30/70が特に好ましく、60/40〜40/60がとりわけ好ましい。ジカルボン酸成分(b−1)としてテレフタル酸とイソフタル酸の混合比が上記範囲であることで、ポリアリレート(B)は耐熱性と溶融成形性に優れる。
前記ポリアリレート(B)は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸以外の酸成分を共重合してもよい。
具体的には、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。ポリアリレート樹脂(B)の耐熱性を損なわないよう、テレフタル酸とイソフタル酸以外の酸成分の共重合比率は10モル%未満であることが好ましい。
前記ポリアリレート(B)を構成する二価フェノール成分(b−2)としては、二価のフェノール類であれば特に制限はないが、ビスフェノールA成分、ビスフェノールTMC(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)成分のいずれか、又は、ビスフェノールAとビスフェノールTMCのいずれも含むことが好ましい。
一般に、ビスフェノールA成分を含むことで溶融成形性(流動性)に優れたポリアリレートとなる。
一方、ビスフェノールTMC成分を含むことで、ガラス転移温度が向上し耐熱性に優れるポリアリレート(B)となる。
溶融成形性と耐熱性のバランスを取りたい場合には、ビスフェノールA成分とビスフェノールTMC成分のいずれも用いる。
この場合、ビスフェノールA成分とビスフェノールTMC成分の割合(モル%)は、ビスフェノールA/ビスフェノールTMC=99/1〜1/99が好ましく、90/10〜10/90がより好ましく、80/20〜20/80が更に好ましく、70/30〜30/70が特に好ましく、60/40〜40/60がとりわけ好ましい。ビスフェノールA成分とビスフェノールTMC成分の割合を係る範囲にすることにより、耐熱性と溶融成形性のバランスに優れるポリアリレート(B)となる。
前記ポリアリレート(B)は、二価フェノール成分(b−2)としてビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)とビスフェノールTMC(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)以外のビスフェノール成分を共重合してもよい。
具体的には、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールAF(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)、ビスフェノールB(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン)、ビスフェノールBP(ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン)、ビスフェノールC(2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールE(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン)、ビスフェノールF(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン)、ビスフェノールG(2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン)、ビスフェノールM(1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン)、ビスフェノールS(ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)、ビスフェノールP(1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン)、ビスフェノールPH(5,5‘−(1−メチルエチリデン)−ビス[1,1’−(ビスフェニル)−2−オール]プロパン)、ビスフェノールZ(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン)等が挙げられる。
ポリアリレート(B)の耐熱性を損なわないよう、上記化合物の共重合比率は10モル%未満であることが好ましい。
本発明に用いるポリアリレート(B)は、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレートとの相溶性を高めるために、ジカルボン酸成分(b−1)としてテレフタル酸成分とイソフタル酸成分の混合物を、二価フェノール成分(b−2)としてビスフェノールA成分、ビスフェノールTMC成分のいずれか、又はビスフェノールAとビスフェノールTMCの混合物を選択することが好ましい。
本発明の一実施形態において、前記ポリアリレート(B)は、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)よりもガラス転移温度が高い。
また、前記ポリアリレート(B)のガラス転移温度と前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とのガラス転移温度の差は、60℃以上であるのが好ましく、70℃以上であるのがより好ましく、80℃以上であるのが更に好ましく、90℃以上であるのが特に好ましく、100℃以上であるのが最も好ましい。
さらに、ポリアリレート(B)のガラス転移温度は、150℃以上350℃以下であるのが好ましく、中でも160℃以上或いは340℃以下であるのがより好ましく、中でも170℃以上或いは330℃以下であるのが更に好ましく、中でも180℃以上或いは320℃以下であるのが特に好ましく、中でも190℃以上或いは300℃以下であるのが最も好ましい。
言い換えると、ポリアリレート(B)のガラス転移温度は、150℃以上350℃以下であるのが好ましく、150℃以上340℃以下、160℃以上350℃以下及び160℃以上340℃以下のいずれかであるのがより好ましく、150℃以上330℃以下、160℃以上330℃以下、170℃以上350℃以下、170℃以上340℃以下及び170℃以上330℃以下のいずれかであるのが更に好ましく、150℃以上320℃以下、160℃以上320℃以下、170℃以上320℃以下、180℃以上350℃以下、180℃以上340℃以下、180℃以上330℃以下及び180℃以上320℃以下のいずれかであるのが特に好ましく、150℃以上300℃以下、160℃以上300℃以下、170℃以上300℃以下、180℃以上300℃以下、190℃以上350℃以下、190℃以上340℃以下、190℃以上330℃以下、190℃以上320℃以下及び190℃以上300℃以下のいずれかであることが最も好ましい。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)のガラス転移温度の差が上記を満たすことで、本二軸延伸フィルムのガラス転移温度が向上し、溶融成形性にも優れた本二軸延伸フィルムが得られる。
本発明に用いるポリアリレート(B)としては、溶融成形性向上のためポリカーボネートを混合したものを用いてもよい。
ポリアリレート(B)とポリカーボネートは相溶するため、ポリアリレート(B)に対してポリカーボネートを混合することで、透明性や機械特性を維持したままポリアリレート(B)のガラス転移温度を下げることができ、結果として溶融成形性を向上させることができる。
ポリアリレート(B)とポリカーボネートを混合する場合、その混合比率(質量%)はポリアリレート(B)/ポリカーボネート=99/1〜50/50が好ましく、98/2〜60/40がより好ましく、97/3〜70/30が更に好ましく、96/4〜80/20が特に好ましい。
ポリアリレート(B)とポリカーボネートの混合比率が係る範囲であれば、ポリアリレート(B)の耐熱性を維持したまま溶融成形性を向上することができる。
なお、ポリアリレート(B)とポリカーボネートとの混合とは、これら2成分を予め混合したものを原料として用いることが好ましい。但し、この方法のみには限定されず、ポリカーボネートを前記「他の樹脂」として選択し、独立した原料として用いることで上記構成としてもよい。
<本二軸延伸フィルムの製造方法>
本発明の二軸延伸フィルムの製造方法について説明する。但し、以下の説明は本二軸延伸フィルムを製造する方法の一例であり、本二軸延伸フィルムは係る製造方法により製造される二軸延伸フィルムに限定されるものではない。
本発明の実施形態の一例に係る本二軸延伸フィルムの製造方法は、前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)100質量部に対して、前記ポリアリレート(B)を1質量部以上50質量部以下混合して得られる樹脂組成物をフィルム状に成形し、二軸延伸する製造方法である。
本二軸延伸フィルムの製造方法においては、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)を溶融混合した際、透明性及び耐熱性に優れる樹脂組成物が得られる。
この樹脂組成物は、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)のそれぞれ一部がエステル交換反応をして、両重合体間の界面張力が大幅に低下するため相溶し、透明性、耐熱性に優れたポリエステル樹脂組成物になると考えられる。
したがって、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)は、該ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の一部又は全部がエステル交換反応して得られるエステル交換体も包含し、ポリアリレート(B)は、ポリアリレートの一部又は全部がエステル交換して得られるエステル交換体も包含する。
エステル交換の程度(反応率)は、混合温度、せん断速度、滞留時間等の溶融混合条件によって調整することが可能であり、それにより本二軸延伸フィルムの結晶融解エンタルピー(ΔHm)を調整することもできる。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)を混練する方法は特に限定されないが、なるべく簡便に樹脂組成物を得るために、押出機を用いて溶融混練することによって製造するのが好ましい。更に、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)とを均一に混合するために、同方向二軸押出機を用いて溶融混練するのが好ましい。
混練温度は、用いる全ての樹脂のガラス転移温度以上であり、かつ、結晶性樹脂に対しては、その結晶融解温度以上であることが必要である。使用する樹脂のガラス転移温度や結晶融解温度に対して、なるべく混練温度が高い方が、樹脂の一部のエステル交換反応が生じやすく、相溶性が向上しやすいものの、必要以上に混練温度が高くなると樹脂の分解が起こるため好ましくない。このことから、混練温度は260℃以上350℃以下であり、中でも270℃以上或いは340℃以下が好ましく、中でも280℃以上或いは330℃以下がより好ましく、中でも290℃以上或いは320℃以下が特に好ましい。
混練温度が係る範囲であれば、樹脂の分解を生じることなく、相溶性や溶融成形性を向上させることができる。
樹脂組成物は、一度冷却固化してペレット状などの形状にした後、これを再び加熱溶融して成形に供してもよいし、溶融状態で得られた樹脂組成物をそのまま成形してもよい。
上記により得られた樹脂組成物を、一般の成形法、例えば押出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等によって成形して二軸延伸フィルムを作製できる。それぞれの成形方法において、装置及び加工条件は特に限定されない。
本発明において二軸延伸とは、少なくとも異なる2方向に延伸されていれば足りるが、直交する2方向に延伸することが好ましい。
本二軸延伸フィルムは、例えば以下の方法により製造することが好ましい。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)を混合して得られた樹脂組成物より、実質的に無定型で配向していないフィルム(以下「未延伸フィルム」と称することがある)を押出法で製造する。
この未延伸フィルムの製造は、例えば上記原料を押出機により溶融し、フラットダイ、又は環状ダイから押出した後、急冷することによりフラット状又は環状(円筒状)の未延伸フィルムとする押出法を採用することができる。
この際、場合によって、複数の押出機を使用した積層構成としてもよい。
次に、延伸効果、フィルム強度等の点から、上記の未延伸フィルムを、フィルムの流れ方向(縦方向)及びこれと直角な方向(横方向)のうち、少なくとも一方向に通常1.1〜5.0倍、好ましくは縦横二軸方向に各々1.1〜5.0倍の範囲で延伸する。
二軸延伸の方法としては、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等、従来公知の延伸方法がいずれも採用できる。例えばテンター式逐次二軸延伸方法の場合には、前記樹脂組成物のガラス転移温度をTgとして、未延伸フィルムを、Tg〜Tg+50℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に1.1〜5.0倍に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって、Tg〜Tg+50℃の温度範囲内で横方向に1.1〜5.0倍に延伸することにより製造できる。
また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えばTg〜Tg+50℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に1.1〜5.0倍に延伸することにより製造できる。
上記方法により延伸された二軸延伸フィルムは、引き続き熱固定される。
熱固定をすることにより、常温における寸法安定性を付与できる。
この場合の処理温度は、好ましくは前記樹脂組成物の結晶融解温度をTmとして、Tm−1℃〜50℃の範囲を選択するのが好ましい。
熱固定温度が上記範囲内にあれば、熱固定が十分に行われ、延伸時の応力が緩和され、十分な耐熱性や機械特性が得られ、破断やフィルム表面の白化などのトラブルがない優れたフィルムが得られる。
本発明においては、熱固定による結晶化収縮の応力を緩和させる為に、熱固定中に幅方向に0〜15%、好ましくは3〜10%の範囲で弛緩を行うことで、弛緩が十分に行われ、フィルムの幅方向に均一に弛緩され、幅方向の収縮率が均一になり、常温寸法安定性に優れたフィルムが得られる。
また、フィルムの収縮に追従した弛緩が行われる為、フィルムの弛み、テンター内でのバタツキがなく、フィルムの破断もない。
本発明の二軸延伸フィルムの厚みは、1〜300μmであることが好ましく、中でも5μm以上或いは200μm以下であるのがより好ましい。厚みを1μm以上とすることで、フィルム強度が実用範囲内に保たれる。
本発明の一実施形態において、プレッシャークッカー試験(120℃、100%RH(相対湿度)、1気圧)を72時間実施した後の本二軸延伸フィルムの引張強度維持率は、縦方向(成形の流れ方向:MD)、横方向(TD)共に35%以上であることが好ましい。
本二軸延伸フィルムの引張強度維持率が係る範囲にあれば、フィルムとして使用するのに十分な耐湿熱性を有する。
本二軸延伸フィルムの引張強度維持率は、フィルムを構成する樹脂材料として、上記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)及びポリアリレート(B)という、結晶性の異なる2つの樹脂を用いることで上記範囲内に調整することができる。
また、上記ΔHmと同じく、本二軸延伸フィルムの製造において、溶融状態からの冷却温度、延伸倍率、延伸温度、延伸後の熱処理条件を調整することで、本二軸延伸フィルムの引張強度維持率を最適化することができる。
一実施形態に係る本二軸延伸フィルムのヘーズの値は、5%以下であることが好ましく、4%以下あることがより好ましく、3%以下であることが更に好ましく、2%以下であることが特に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
本二軸延伸フィルムのヘーズの値が係る範囲にあれば、フィルムとして使用するのに十分な透明性を有する。
なお、本発明におけるヘーズの値は、以下の式で計算できる。
[ヘーズ]=([拡散透過率]/[全光線透過率])×100
以下に実施例を示す。但し、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
(1)結晶融解温度、結晶融解エンタルピー
二軸延伸フィルムについて、Diamond DSC(パーキンエルマージャパン社製)を用いて、JIS K7121(2012年)に準じて、加熱速度10℃/分で昇温過程における結晶融解温度及び結晶融解エンタルピー(結晶融解熱量)を測定した。
(2)降温時の結晶化温度
二軸延伸フィルムとする前のキャストフィルムについて、Diamond DSC(パーキンエルマージャパン社製)を用いて、JIS K7121(2012年)に準じて、加熱速度10℃/分で350℃まで昇温し、1分間保持した後、冷却速度10℃/分で350℃から−50℃までの降温過程における結晶化温度を測定した。
(3)成形性
キャストフィルムについて、二軸延伸を行った際、破断せずに延伸できたものを合格(○)、破断が起こったものを不合格(×)とした。
(4)耐湿熱性試験
プレッシャークッカー試験(120℃、100%RH(相対湿度)、1気圧)を0時間、24時間、48時間又は72時間行い、試験後の各フィルムについて、次のように引張試験を実施して、MD及びTDの引張強度維持率を測定した。
(5)引張強度の測定
JIS K7127:1999に準じた方法により測定した。測定装置は、引張試験機(株式会社島津製作所製 引張試験機AG‐1kNXplus)を用いた。試験片は、ポリエステル系二軸延伸フィルムから測定方向の長さ100mm、幅15mmの長方形に切り出したものを用いた。試験片の長さ方向の両端部をチャック間距離40mmでチャックし、クロスヘッドスピード200mm/分で引っ張り、破断点における応力を引張強度として5回測定し、その平均値を求めた。上記引張試験はフィルムのMDの引張強度及び、TDの引張強度を実施した。
(6)ヘーズ
ヘーズメーターNDH−5000(日本電色工業社製)を用いて、JIS K7136(2000年)に基づいて、全光線透過率及び拡散透過率を測定し、ヘーズを以下の式で算出した。
[ヘーズ]=([拡散透過率]/[全光線透過率])×100
[ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)]
(A)−1:SKYPURA0502HC
(SKケミカル社製、ジカルボン酸成分:テレフタル酸=100モル%、ジオール成分:1,4−シクロヘキサンジメタノール=100モル%、Tm=293℃、ΔHm=48J/g、Tg=94℃)
(A)−2:SKYPURA0502
(SKケミカル社製、ジカルボン酸成分:テレフタル酸=100モル%、ジオール成分:1,4−シクロヘキサンジメタノール=100モル%、Tm=286℃、ΔHm=42J/g、Tg=96℃)
(A)−3:SKYPURA1631
(SKケミカル社製、ジカルボン酸成分:テレフタル酸=91.8モル%、イソフタル酸=8.2モル%、ジオール成分:1,4−シクロヘキサンジメタノール=100モル%、Tm=274℃、ΔHm=32J/g、Tg=95℃)
[ポリアリレート(B)]
(B)−1:Uポリマー(登録商標) U−100
(ユニチカ社製、ジカルボン酸成分:テレフタル酸/イソフタル酸=50/50モル%、ビスフェノール成分:ビスフェノールA=100モル%、Tg(B)=210℃)
(実施例1)
ペレット状の(A)−1:70質量部に対して、ペレット状の(B)−1を30質量部の割合で添加し、ドライブレンドした後、310℃に設定した同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、バレル内径40mm、スクリューの有効長Lと外径Dの比L/D=32)に投入し、得られたストランドを水槽で冷却固化し、ペレタイザーでカットし、ペレットを作製した。
作製したペレットを、単軸押出機(三菱重工業株式会社製)を用いて、310℃で溶融混練後、ギャップ1.0mm、310℃のTダイより押出した溶融樹脂シートを115℃のキャストロールで引き取り、冷却固化し、厚み約500μmの膜状物を得た。
続いて、得られたキャストフィルムを縦延伸機に通し、125℃で縦方向(MD)に3倍延伸を行った。
続いて、得られた縦延伸フィルムを横延伸機(テンター)に通し、予熱温度130℃、延伸温度130℃、熱固定温度260℃で横方向(TD)に3.5倍延伸を行い、その後テンター内にてフィルムの弛緩処理を10%行った。
得られた二軸延伸フィルムについて、上記(1)〜(6)の評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)に関して、(A)−1の代わりに(A)−2を使用した以外は実施例1と同様の方法でサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート樹脂(A)に関して、(A)−1の代わりに(A)−3を使用した以外は実施例1と同様の方法でサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にしてキャストフィルムを得た後、縦方向(MD)に3.0倍延伸を行い、一軸延伸フィルムを得た。当該一軸延伸フィルムについて、上記(1)〜(6)の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、得られた延伸フィルムについて、DSCにより結晶融解温度及び結晶融解エンタルピーを測定したところ、285(℃)、33(J/g)の数値を読みとることができたが、同時に融解ピークよりも低温で結晶化によるピークが確認できた。これは、縦延伸のみでは十分に結晶化が完了しておらず、DSC測定中の昇温によって結晶化が進行したことに起因するピークである。つまり、比較例1で得られた一軸延伸フィルムのDSC測定によって得られる前記結晶融解温度及び結晶融解エンタルピーは、該一軸延伸フィルム自体の物性を反映したものではない。そのため、表1には示さなかった。
(比較例2)
ペレット状の(A)−2単体を300℃に設定したΦ25mm二軸押出機にて溶融混練し、Tダイ内からフィルムとして押出し、20℃のキャストロールに密着急冷し、厚み450μmのキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムを縦延伸温度104℃、予熱温度104℃、横延伸温度114℃とし、延伸フィルムを作製しようとしたところ、横延伸過程において破断が起こった。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1と同様にして得られたキャストフィルムについて評価した結果を表1に示す。
なお、得られたキャストフィルムについて、DSCにより結晶融解温度及び結晶融解エンタルピーを測定したところ、285(℃)、29(J/g)の数値を読みとることができたが、同時に融解ピークよりも低温で結晶化によるピークが確認できた。これは、延伸をしない場合はフィルムの結晶化が起こらないため、DSC測定中の昇温によって結晶化が進行したことに起因するピークである。つまり、比較例3で得られたキャストフィルムのDSC測定によって得られる結晶融解温度及び結晶融解エンタルピーは、該キャストフィルム自体の物性を反映したものではない。そのため、表1には示さなかった。
実施例1、2では、成形時に特に問題なく二軸延伸フィルムを製造することができた。結晶融解温度、結晶融解エンタルピーは高く、耐湿熱性にも優れていることがわかる。
また、実施例3は、実施例1、2と比較すると、同条件で延伸したのにもかかわらず、耐湿熱性が若干劣っていた。これは、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートの結晶融解エンタルピーが低く(32J/g)、結晶性が低いことが原因と考えている。
一軸方向の延伸のみ行った比較例1は、湿熱試験後のフィルムは収縮が顕著であるため、引張試験は不可能であった。
以上のことから、比較例1で得られる延伸フィルムは耐熱性、耐湿熱性に劣るといえる。
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)を単体で使用した比較例2では、延伸をした時、破断を生じた。ここで用いた樹脂は、結晶融解温度と降温結晶化温度の差が小さいので、結晶性が高く結晶化速度が大きい。
したがって、キャスティングロールでの急冷過程において結晶性が高いシートが得られるため、破断したものと考えられる。
延伸を行っていない比較例3では、湿熱試験後の引張強度維持率は著しく低く、耐湿熱性に劣っていた。

Claims (6)

  1. ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を含むポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)100質量部に対して、該ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(A)よりもガラス転移温度が高いポリアリレート(B)を1質量部以上50質量部以下含み、結晶融解エンタルピーが20J/g以上80J/g以下である二軸延伸フィルム。
  2. 結晶融解エンタルピーが25J/g以上80J/g以下である請求項1に記載の二軸延伸フィルム。
  3. 結晶融解温度が250℃以上350℃以下である請求項1又は2に記載の二軸延伸フィルム。
  4. 前記二軸延伸フィルムを構成する樹脂組成物を加熱速度10℃/分で結晶融解温度より30℃高い温度まで昇温し10℃/分で降温したとき、結晶融解温度と降温結晶化温度の差が40℃以上80℃以下である請求項1〜3の何れかに記載の二軸延伸フィルム。
  5. 前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解エンタルピーが35J/g以上70℃J/g以下である請求項1〜4の何れかに記載の二軸延伸フィルム。
  6. 前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)の結晶融解温度が260℃以上340℃以下である請求項1〜5の何れかに記載の二軸延伸フィルム。
JP2020503459A 2018-03-02 2019-02-22 二軸延伸フィルム Active JP7205531B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018037857 2018-03-02
JP2018037857 2018-03-02
PCT/JP2019/006677 WO2019167815A1 (ja) 2018-03-02 2019-02-22 二軸延伸フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019167815A1 true JPWO2019167815A1 (ja) 2021-03-04
JP7205531B2 JP7205531B2 (ja) 2023-01-17

Family

ID=67805809

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020503459A Active JP7205531B2 (ja) 2018-03-02 2019-02-22 二軸延伸フィルム

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP7205531B2 (ja)
KR (1) KR102646802B1 (ja)
CN (1) CN111868147B (ja)
TW (1) TWI768186B (ja)
WO (1) WO2019167815A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2021202635B2 (en) 2021-01-22 2022-12-15 Sk Microworks Co., Ltd. Polyester film, preparation method thereof and method for reproducing polyethyleneterephthalate container using same
CN113308111A (zh) * 2021-06-03 2021-08-27 宁夏清研高分子新材料有限公司 一种用于柔性印刷线路板的液晶高分子薄膜及其制备方法
KR102595432B1 (ko) * 2021-09-16 2023-10-31 에스케이마이크로웍스 주식회사 폴리에스테르 필름, 플렉서블 플랫 케이블 및 와이어 하네스

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6114933A (ja) * 1984-06-29 1986-01-23 Toyobo Co Ltd 二軸配向成形品の製造法
JPH0367630A (ja) * 1989-08-08 1991-03-22 Diafoil Co Ltd 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2000143841A (ja) * 1998-11-17 2000-05-26 Unitika Ltd 缶蓋金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JP2002225468A (ja) * 2001-01-30 2002-08-14 Toppan Printing Co Ltd カード
JP2006182980A (ja) * 2004-12-28 2006-07-13 Unitika Ltd ポリアリレート樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP2012246485A (ja) * 2002-06-26 2012-12-13 Eastman Chemical Co 二軸配向ポリエステルフィルム及びそれらの銅との積層板

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001214067A (ja) * 2000-02-01 2001-08-07 Daicel Chem Ind Ltd 透明で機械物性の優れた熱可塑性樹脂組成物
JP4868650B2 (ja) 2001-04-06 2012-02-01 ユニチカ株式会社 ポリアリレート樹脂組成物およびそれからなる成形品
WO2010131643A1 (ja) * 2009-05-15 2010-11-18 東レ株式会社 二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
CN102449040B (zh) * 2009-06-05 2014-11-19 东丽株式会社 聚酯膜、层合膜及使用其的太阳能电池背板、太阳能电池

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6114933A (ja) * 1984-06-29 1986-01-23 Toyobo Co Ltd 二軸配向成形品の製造法
JPH0367630A (ja) * 1989-08-08 1991-03-22 Diafoil Co Ltd 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2000143841A (ja) * 1998-11-17 2000-05-26 Unitika Ltd 缶蓋金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JP2002225468A (ja) * 2001-01-30 2002-08-14 Toppan Printing Co Ltd カード
JP2012246485A (ja) * 2002-06-26 2012-12-13 Eastman Chemical Co 二軸配向ポリエステルフィルム及びそれらの銅との積層板
JP2006182980A (ja) * 2004-12-28 2006-07-13 Unitika Ltd ポリアリレート樹脂組成物およびそれからなる成形体

Also Published As

Publication number Publication date
TW201938634A (zh) 2019-10-01
CN111868147B (zh) 2022-11-29
JP7205531B2 (ja) 2023-01-17
KR20200128095A (ko) 2020-11-11
TWI768186B (zh) 2022-06-21
CN111868147A (zh) 2020-10-30
KR102646802B1 (ko) 2024-03-13
WO2019167815A1 (ja) 2019-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6202146B2 (ja) ポリエステルフィルムの製造方法
KR102646802B1 (ko) 2축 연신 필름
JP2020050872A (ja) ディスプレイ用フィルム、フォルダブルディスプレイ
TW201105739A (en) Polylactic acid resin composition and film thereof
TW202140643A (zh) 雙軸延伸膜
JP6809149B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2006233092A (ja) ポリエステル系樹脂組成物、並びに該組成物を用いた熱収縮性フィルム、熱収縮性ラベル及び該ラベルを装着した容器
JP2018104496A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2022122202A (ja) 二軸延伸フィルム及び積層フィルム
JP2022124921A (ja) 二軸延伸フィルム
JP2012001589A (ja) 樹脂組成物、及びそれを成形してなるフィルム
JP2005232435A (ja) 熱収縮性フィルム
JP7070623B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2006233091A (ja) ポリエステル系樹脂組成物、ポリエステル系熱収縮性フィルム、熱収縮性ラベル、及び該ラベルを装着した容器
JP2021161151A (ja) 二軸延伸フィルム
JP6915411B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP6881089B2 (ja) 樹脂組成物
JP2022172667A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP7290041B2 (ja) 二軸延伸フィルム
JP2018076430A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2006028210A (ja) ポリエステル系樹脂組成物、該樹脂組成物からなる熱収縮性ポリエステル系フィルム、成形品および容器
KR20210062011A (ko) 폴더블 디스플레이
JP4614761B2 (ja) 混合樹脂組成物並びにこれを用いてなるシート及び成形品
JP2020056016A (ja) ディスプレイ用フィルム、フォルダブルディスプレイ
JP4576886B2 (ja) 折曲げ包装用積層ポリエステル系フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220726

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221212

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7205531

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151