以下、電力演算装置および電力演算方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
本件発明に係る電力演算装置および電力演算方法については、電源から負荷に電力ラインを介して電力が供給される構成を備え、かつ電力ラインに印加されている電圧の電圧値(第1の電圧の電圧値)や電力ラインを流れている電流の電流値についてのCANフレームがシリアルバスを介して伝送される構成を備えた各種の設備において使用することができる。以下、一例として、図1に示す電気自動車100において使用する例について説明する。
この場合、電気自動車100は、駆動用バッテリ101、補機用バッテリ102、バッテリ制御ユニット103、電圧制御部104、充電機構105、インバータユニット106、モータ107、空調機器制御部108、空調機器109、主制御部110およびシリアルバスSB1を備えると共に、「電力演算装置」の一例である電力測定システム10が取り外し可能に取り付けられている。なお、電気自動車100において、後述の電力測定システム10による電力値の特定に関連のない構成要素については、図示および詳細な説明を省略する。
駆動用バッテリ101は、主として電気自動車100の走行によって消費される電力を蓄電可能な二次電池で構成されている。補機用バッテリ102は、バッテリ制御ユニット103、電圧制御部104、空調機器制御部108および主制御部110や、後述する電力測定システム10の中継器3などの電子機器の動作に必要な電力を蓄電可能な二次電池で構成されている。バッテリ制御ユニット103は、主制御部110の制御下で駆動用バッテリ101の状態をモニタリングすると共に、駆動用バッテリ101からの電力の出力を制御する。
電圧制御部104は、DC/DCコンバータを備えて電圧値の変換が可能に構成されると共に、商用交流から、電力ラインL0、充電機構105および電力ラインL1を介して供給される電力や、図示しない発電機構から供給される電力を駆動用バッテリ101に電力ラインL2を介して伝送する処理(駆動用バッテリ101を充電する処理)、および駆動用バッテリ101から供給される電力、商用交流から充電機構105を介して供給される電力、および図示しない発電機構から供給される電力を補機用バッテリ102に電力ラインL3を介して供給する処理(補機用バッテリ102を充電する処理)を主制御部110の制御下で実行可能に構成されている。
また、電圧制御部104は、駆動用バッテリ101から供給される電力をインバータユニット106に電力ラインL4を介して伝送する処理、および駆動用バッテリ101から供給される電力を空調機器制御部108に電力ラインL6を介して伝送する処理を主制御部110の制御下で実行可能に構成されている。充電機構105は、商用交流から電力ラインL0を介して供給される電力をAC/DC変換して電圧制御部104に電力ラインL1を介して伝送する。
インバータユニット106は、電圧制御部104から供給される電力をDC/AC変換してモータ107に電力ラインL5を介して伝送する処理を主制御部110の制御下で実行可能に構成されている。モータ107は、インバータユニット106を介して供給される電力によって電気自動車100の駆動輪を回転させる(電気自動車100を走行させる)。
空調機器制御部108は、電圧制御部104から供給される電力をDC/AC変換して空調機器109(電動コンプレッサや発熱器)に電力ラインL7を介して伝送する処理を主制御部110の制御下で実行可能に構成されている。空調機器109は、空調機器制御部108から供給される電力により、電動コンプレッサを駆動させて冷気を生成したり発熱器によって暖気を生成したりして、電気自動車100の車内温度を調整する。
主制御部110は、電気自動車100の各電子機器を総括的に制御する。この場合、本例の電気自動車100では、電気自動車100の各部の動作状態を検出するための検出器(センサユニット等:図示せず)や、主制御部110の制御下で各種の処理を実行する電子機器(バッテリ制御ユニット103、電圧制御部104、インバータユニット106および空調機器制御部108など)がシリアルバスSB1(「CAN通信用のシリアルバス」に相当する車両内通信ネットワークの一例)に接続されている。この場合、シリアルバスSB1や、後述の電力測定システム10におけるシリアルバスSB2を構成する信号線(「CANH(CAN high)」、「CANL(CAN low )」および「SG」などの信号線)は、絶縁被覆された導線(「フレーム伝送用導体」の一例)を備えて構成されている。
また、主制御部110は、検出器による検出結果を特定可能に検出器からシリアルバスSB1に出力されるCANフレームFcや、電子機器の動作状態を特定可能に電子機器からシリアルバスSB1に出力されるCANフレームFcを取得して電気自動車100の各部の動作状態を特定する。さらに、主制御部110は、特定した動作状態に応じて、動作プログラムに従い、各電子器機器を制御するための制御コマンドを特定可能なCANフレームFcをシリアルバスSB1に出力する。これにより、CANフレームFcに基づいて特定される制御コマンドに応じて、各電子機器によって予め規定された処理が実行される。なお、シリアルバスSB1(CAN通信用の通信網)に接続された検出器および電子機器などの各種ノードによるCAN通信(CANフレームの伝送)については公知のため、詳細な説明を省略する。
一方、電力測定システム10は、「電力演算方法」に従って電力値を演算可能に構成された「電力演算装置」の一例であって、図1,2に示すように、電力演算装置1、記録装置2、中継器3およびシリアルバスSB2を備えて構成されている。また、電力演算装置1は、一例として、電気自動車100等の電力演算対象設備に対して着脱可能な装置であって、図2に示すように、電圧検出部11、操作部12、表示部13、信号出力部14、処理部15および記憶部16を備えている。
電圧検出部11は、「電圧検出部」に相当し、「非接触式電圧センサ」の一例であるクランプ型の非接触式電圧センサ11aを備えて処理部15と相俟って「CANフレームをシリアルバスから読み取る読取部」を構成する。具体的には、電圧検出部11は、処理部15の制御に従い、後述するように各種機器からのシリアルバスSB1への各種CANフレームFcの伝送時にシリアルバスSB1のフレーム伝送用導体に印加される電圧(「第2の電圧」の一例)を非接触式電圧センサ11aを介してフレーム伝送用導体に対して非接触で検出し、検出した電圧の電圧レベルを特定可能情報を処理部15に出力する。
操作部12は、電力演算装置1の動作条件(電力の演算や、演算結果の報知および記録等に関する条件)の設定操作が可能な複数の操作スイッチを備え(図示せず)、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部15に出力する。表示部13は、電力演算装置1の動作状態や、処理部15による演算結果(演算された電力値)等を処理部15の制御下で表示する。信号出力部14は、処理部15および中継器3と相俟って「CANフレーム出力部」を構成し、後述するように、演算した電力値を特定可能に処理部15によって生成されるCANフレームFcとしての電力値データフレームFcpをシリアルバスSB2に出力することで中継器3に対して電力値データフレームFcpをシリアルバスSB1に中継させる処理を実行する。
処理部15は、電力演算装置1を総括的に制御する。具体的には、処理部15は、「フレーム特定部」として機能して、電気自動車100のシリアルバスSB1におけるCANフレームFcの伝送時に電圧検出部11によって検出される電圧の「電圧レベル」の変化に基づき、シリアルバスSB1を伝送されているCANフレームFcを特定する処理(「読取部」として機能して「処理部」としての処理部15自身に特定したCANフレームFcを出力する処理:「電圧値および電流値を周期的に特定する」との処理の一例)を実行する。
また、処理部15は、「処理部」として機能して、CANフレームFcのうちの電圧値データフレームFcv(「電圧値データフレーム」の一例)に基づいて特定される「電圧値」、およびCANフレームFcのうちの電流値データフレームFca(「電流値データフレーム」の一例)に基づいて特定される「電流値」に基づき、電力ラインを介して供給されている電力の電力値を演算する処理を実行する。さらに、処理部15は、演算した電力値を特定可能な電力値データフレームFcpを生成して信号出力部14からシリアルバスSB2に出力させ、後述するように電力値データフレームFcpに基づいて記録装置2において生成される電力値データDpを記録装置2に記録させると共に、中継器3を介して電力値データフレームFcpをシリアルバスSB1に出力させる。また、処理部15は、演算した電力値を表示部13に表示させる。なお、処理部15による上記の各処理の具体的な内容については、後に詳細に説明する。
記憶部16は、処理部15の動作プログラム、およびCANフレームFcを特定するためのフレーム特定用データや、処理部15の演算結果(演算された電力値)を記憶する。
記録装置2は、図3に示すように、記録媒体21、データ入出力部22、処理部23および記憶部24を備え、電力演算装置1や中継器3と共にシリアルバスSB2に接続されている。記録媒体21は、HDDやSSD等の大容量記録媒体で構成され、処理部23の制御下で各種のデータ(後述の電力値データDp等)を記録する。データ入出力部22は、処理部23の制御に従い、外部装置(携帯型電子端末等)から入力された各データを処理部23に伝送して記録媒体21に記録させたり、記録媒体21に記録されているデータを外部装置(携帯型電子端末等)に出力したりする。
処理部23は、記録装置2を総括的に制御する。具体的には、処理部23は、電力演算装置1(信号出力部14)によってシリアルバスSB2に出力された電力値データフレームFcpを取得すると共に、取得した電力値データフレームFcpに基づいて電力値データDpを生成して記録媒体21に記録させる。また、処理部23は、外部装置からデータ入出力部22を介して各種データが伝送されたときに、そのデータを記録媒体21に記録させると共に、外部装置からの要求に従って記録媒体21から電力値データDp等を読み出してデータ入出力部22を介して外部装置に出力する。記憶部24は、処理部23の動作プログラムや、CANフレームFcを特定するためのフレーム特定用データなどを記憶する。
中継器3は、一例として、電気自動車100のシリアルバスSB1に常設される機器(電気自動車100の構成要素以外の機器から出力されたCANフレームFcをシリアルバスSB1に出力するための機器)であって、図4に示すように、電圧検出部31、信号出力部32、処理部33および記憶部34を備えている。
電圧検出部31は、電力演算装置1における電圧検出部11と同様にして、非接触式電圧センサ11aと同様のクランプ型の非接触式電圧センサ31aを備え、処理部33と相俟って「シリアルバスSB2からCANフレームFcを読み取る[読取部]」を構成する。具体的には、電圧検出部31は、処理部33の制御に従い、電力演算装置1からシリアルバスSB2に電力値データフレームFcpが出力されたときにシリアルバスSB2のフレーム伝送用導体に印加される電圧の電圧値を非接触式電圧センサ31aを介してフレーム伝送用導体に対して非接触で測定し、測定結果を処理部33に出力する。
信号出力部32は、シリアルバスSB1に常時接続されており、処理部33の制御下で電力値データフレームFcpをシリアルバスSB1に出力する。処理部33は、中継器3を総括的に制御する。具体的には、処理部33は、電力演算装置1の処理部15と同様に「フレーム特定部」として機能して、電力演算装置1からシリアルバスSB2に電力値データフレームFcpが出力されたときに電圧検出部31によって検出される(測定される)電圧値の変化に基づき、シリアルバスSB2を伝送されている電力値データフレームFcpを特定する処理を実行する。
また、処理部33は、特定した電力値データフレームFcpを信号出力部32に出力することで信号出力部32からシリアルバスSB1に電力値データフレームFcpを出力させる。なお、処理部33による上記の各処理の具体的な内容については、後に詳細に説明する。記憶部34は、処理部33の動作プログラムや、CANフレームFcを特定するためのフレーム特定用データを記憶する。
次に、電力測定システム10による電力値の特定や、特定した電力値の表示および記録の各処理の一例について説明する。なお、上記したように、中継器3については、電気自動車100のシリアルバスSB1に接続された状態(電気自動車100の装備の1つとして電気自動車100に常設された状態)となっているものとする。また、充電機構105等を介しての駆動用バッテリ101の蓄電については既に完了しているものとする。
一例として、電気自動車100において空調機器109の動作に伴って消費される電力の電力値を電力測定システム10によって特定する際には、図1,2に示すように、電力演算装置1の電圧検出部11における非接触式電圧センサ11aを電気自動車100のシリアルバスSB1に装着する(シリアルバスSB1の信号線を非接触式電圧センサ11aによってクランプする)と共に、シリアルバスSB1に接続されている中継器3の電圧検出部31における非接触式電圧センサ31aを電力測定システム10のシリアルバスSB2に装着する(シリアルバスSB2の信号線を非接触式電圧センサ31aによってクランプする)。
なお、図1などでは、シリアルバスSB1に対して1つの非接触式電圧センサ11aを装着し、かつシリアルバスSB2に対して1つの非接触式電圧センサ31aを装着した状態を図示しているが、実際には、シリアルバスSB1における「CANH」および「CANL」毎の電圧値を検出するために両信号線毎に別個の非接触式電圧センサ11aを装着すると共に、シリアルバスSB2における「CANH」および「CANL」毎の電圧値を検出するために両信号線毎に別個の非接触式電圧センサ31aを装着する。以下、電力測定システム10の動作原理についての理解を容易とするために、「CANH」および「CANL」を区別することなく各部の動作について説明する。
この際には、シリアルバスSB1に対する非接触式電圧センサ11aの装着により、シリアルバスSB1を構成する上記の信号線のフレーム伝送用導体と非接触式電圧センサ11aの電極とが信号線の絶縁被覆を介して近接した状態となり、フレーム伝送用導体と電極とが容量結合した状態となる。また、シリアルバスSB2に対する非接触式電圧センサ31aの装着により、シリアルバスSB2を構成する上記の信号線のフレーム伝送用導体と非接触式電圧センサ31aの電極とが信号線の絶縁被覆を介して近接した状態となり、フレーム伝送用導体と電極とが容量結合した状態となる。
一方、電気自動車100では、図示しない操作パネルに対する操作によって任意の室温への空調を行うよう指示されたときに、空調機器制御部108が、一例として、図示しない温度センサによってシリアルバスSB1に出力されているCANフレームFc(外気温を特定可能なCANフレームFcおよび室温を特定可能なCANフレームFc)、およびバッテリ制御ユニット103によってシリアルバスSB1に出力されているCANフレームFc(バッテリ残量等を特定可能なCANフレームFcなど)に基づき、指示された室温とするために空調機器109をどのように動作させるかを決定する。この際には、一例として、空調機器109の電動コンプレッサを動作させて室温を低下させる処理を行うよう決定される。
次いで、空調機器制御部108は、空調機器109(電動コンプレッサ)を任意の動作状態で動作させるための電力の供給を要求するCANフレームFcをシリアルバスSB1に出力する。また、電圧制御部104は、空調機器制御部108からシリアルバスSB1に出力されたCANフレームFcに応じて駆動用バッテリ101から電力ラインL2を介して供給される電力を予め規定された電圧値に変換して電力ラインL6を介して空調機器制御部108に供給すると共に、電力ラインL6の電力供給用導体(以下、単に「供給用導体」ともいう)に印加している電圧の電圧値(「電圧値」の一例)を特定可能な電圧値データフレームFcvと、電力ラインL6の供給用導体を流れている電流の電流値(「電流値」の一例)を特定可能な電流値データフレームFcaとをシリアルバスSB1に出力する。
また、空調機器制御部108は、シリアルバスSB1を伝送された電圧値データフレームFcvに基づいて特定される電圧値、および電流値データフレームFcaに基づいて特定される電流値に応じて、電力ラインL6を介して供給される電力をDC/AC変換して空調機器109に供給する。これにより、空調機器109の電動コンプレッサが動作して冷凍回路によって室温が低下させられる。
この状態において、空調機器109の動作に伴って消費される電力(電圧制御部104から空調機器制御部108に供給される電力)の電力値を電力測定システム10によって特定する際には、電力演算装置1の操作部12を操作することで処理開始を指示する。この際に、処理部15は、まず、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFc(電圧値データフレームFcvおよび電流値データフレームFca等)の読取りを開始する。
この場合、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcは、「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体に印加される電圧(「SG」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電位に対する「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電位)の変動、および「CANL」に対応する信号線のフレーム伝送用導体に印加される電圧(「SG」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電位に対する「CANL」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電位)の変動に基づく「2線差動電圧方式」で伝送される。このCANフレームFcの伝送方式については公知のため詳細な説明を省略するが、以下、理解を容易とするために、主として「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電圧に着目してCANフレームFc(電圧値データフレームFcvおよび電流値データフレームFca)の読取りについて説明する。
この場合、CANフレームFcの伝送時に、「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体(以下、単に「伝送用導体」ともいう)の電圧と、「SG」に対応する信号線の伝送用導体の電圧(すなわち、電圧検出部11内の基準電位の電圧)との電位差が増加しているときには、伝送用導体から非接触式電圧センサ11aの電極に容量結合を介して流れ込む電流信号の電流量が増加する。また、CANフレームFcの伝送時に、「CANH」に対応する伝送用導体の電圧と、「SG」に対応する伝送用導体の電圧(電圧検出部11内の基準電位の電圧)との電位差が減少しているときには、伝送用導体から非接触式電圧センサ11aの電極に容量結合を介して流れ込む電流信号の電流量が減少する。
したがって、本例の電力測定システム10における電力演算装置1では、一例として、電圧検出部11が、非接触式電圧センサ11aの電極が「CANH」の伝送用導体と同電位となって上記の電流値が「0」となるように、電極の電位をフィードバック制御する処理を行い、その状態において電極の電位を測定することで、「CANH」の伝送用導体に印加されている電圧の「電圧レベル」を特定(測定)する処理を予め規定された周期で繰り返し実行する。また、電圧検出部11は、特定結果(電圧レベル)示す電圧データを処理部15に順次出力する。
これに応じて、処理部15は、電圧検出部11から出力される電圧データによって示される電圧値に基づき、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcの内容を特定して記憶部16に記憶させる。具体的には、「CANH」に対応する伝送用導体に容量結合している電極の電圧が予め規定された電圧レベルを超え、かつ「CANL」に対応する伝送用導体に容量結合している電極の電圧が予め規定された電圧レベルを下回っているとき(「CANH」と「CANL」との電位差が予め規定されたレベルを超えているとき)に、デジタル信号の「0」が伝送されていると判別する。また、「CANH」に対応する伝送用導体に容量結合している電極の電圧が予め規定された電圧レベル以下で、かつ「CANL」に対応する伝送用導体に容量結合している電極の電圧が予め規定された電圧レベル以上のとき(「CANH」と「CANL」との電位差が予め規定されたレベル以下のとき)に、デジタル信号の「1」が伝送されていると判別する。
このように、非接触式電圧センサ11aにおける電極の電圧に基づいてデジタル信号の「0」および「1」のいずれが伝送されているかを逐次判定することにより、非接触式電圧センサ11aが装着されているシリアルバスSB1を介して伝送されている電圧値データフレームFcvおよび電流値データフレームFcaを特定する。なお、空調機器109の動作時には、電圧値データフレームFcvおよび電流値データフレームFca以外の各種のCANフレームFcがシリアルバスSB1に出力されており、処理部15は、電圧値データフレームFcvおよび電流値データフレームFca以外のCANフレームFcについても特定するが、電力値の演算には不要なCANフレームFcについては使用せずに、電圧値データフレームFcvおよび電流値データフレームFcaを使用して以下の処理を実行する。
また、処理部15は、特定した電圧値データフレームFcvに基づいて特定される電圧値(電力ラインL6の供給用導体に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」)、および電流値データフレームFcaに基づいて特定される電流値(電力ラインL6の供給用導体を流れている「電流」の「電流値」)を表示部13に表示させる。さらに、処理部15は、特定した電圧値および電流値に基づき、電気自動車100の電圧制御部104から空調機器制御部108に電力ラインL6を介して供給されている電力(空調機器109の動作に伴って消費されている電力)の電力値を演算すると共に、演算した電力値を表示部13に表示させる。
また、処理部15は、演算した電力値を特定可能な電力値データフレームFcpを生成すると共に、生成した電力値データフレームFcpを信号出力部14からシリアルバスSB2に出力させる。この際に、記録装置2では、処理部23が、シリアルバスSB2に出力された電力値データフレームFcpを取得すると共に、取得した電力値データフレームFcpに基づいて特定される電力値を示す電力値データDpを生成して記録媒体21に記録させる。これにより、電力演算装置1によって演算された電力値が記録装置2(記録媒体21)に記録される。
一方、本例の電力測定システム10では、電力演算装置1による電力値の演算や、記録装置2による電力値データDpの記録の処理と並行して、中継器3では、シリアルバスSB2を介して伝送されているCANフレームFc(本例では、電力値データフレームFcp)をシリアルバスSB1に出力する(中継する)処理が実行される。
この場合、前述したシリアルバスSB1でのCANフレームFcの伝送時と同様にして、シリアルバスSB2でのCANフレームFcの伝送時にも、シリアルバスSB2における「CANH」に対応する伝送用導体の電圧と、「SG」に対応する伝送用導体の電圧(すなわち、電圧検出部31内の基準電位の電圧)との電位差が増加しているときには、伝送用導体から非接触式電圧センサ31aの電極に容量結合を介して流れ込む電流信号の電流量が増加する。また、シリアルバスSB2でのCANフレームFcの伝送時に、「CANH」に対応する伝送用導体の電圧と、「SG」に対応する伝送用導体の電圧(電圧検出部31内の基準電位の電圧)との電位差が減少しているときには、伝送用導体から非接触式電圧センサ31aの電極に容量結合を介して流れ込む電流信号の電流量が減少する。
したがって、本例の電力測定システム10における中継器3では、前述した電力演算装置1における電圧検出部11と同様にして、電圧検出部31が、非接触式電圧センサ31aの電極が「CANH」の伝送用導体と同電位となって上記の電流値が「0」となるように、電極の電位をフィードバック制御する処理を行い、その状態において電極の電位を測定することで、「CANH」の伝送用導体に印加されている電圧の電圧値を特定(測定)する処理を予め規定された周期で繰り返し実行する。また、電圧検出部31は、測定結果(電圧値)示す電圧データを処理部33に順次出力する。
これに応じて、処理部33は、電圧検出部31から出力される電圧データによって示される電圧値に基づき、シリアルバスSB2を介して伝送されているCANフレームFc(本例では、電力演算装置1の信号出力部14から出力された電力値データフレームFcp)の内容を特定して信号出力部32からシリアルバスSB1に出力させる。これにより、電力測定システム10から電気自動車100のシリアルバスSB1に対して電力値データフレームFcpの出力が出力される。したがって、例えば、主制御部110が、シリアルバスSB1を介して伝送される電力値データフレームFcpを取得し、電力ラインL6を介して供給されている電力(空調機器109の動作に伴って消費されている電力)の電力を把握して、例えばテスト動作モード時の予め規定された処理を実行する。
なお、詳細な説明を省略するが、シリアルバスSB2には、電力演算装置1から出力された電力値データフレームFcp以外の各種のCANフレームFcが出力されることがある。この際に、本例の電力測定システム10(中継器3)では、一例として、処理部33が、各種CANフレームFcを特定し、特定したCANフレームFcのうちの予め規定されたCANフレームFcだけをシリアルバスSB1に出力する。これにより、電気自動車100において利用可能な任意のCANフレームFcが中継器3を介してシリアルバスSB1に出力される。
この後、電力演算装置1の操作部12の操作によって電力値の演算、表示および記録の一連の処理が指示されるまで、電力演算装置1、記録装置2および中継器3は、上記の処理を継続的に繰り返し実行する。
一方、上記のような処理を完了し、電力測定システム10による電力値の演算、表示および記録を継続する必要がなくなったときには、中継器3を除く構成要素(電力演算装置1、記録装置2およびシリアルバスSB2)を電気自動車100から取り外す。
この際に、本例の電力測定システム10では、電力演算装置1における電圧検出部11の非接触式電圧センサ11aをシリアルバスSB1の伝送用導体に対して非接触の状態(信号線を非接触式電圧センサ11aによってクランプした状態)でCANフレームFcの伝送に伴う「電圧レベル」の変化を特定する構成を採用している。したがって、シリアルバスSB1から非接触式電圧センサ11aを取り外した状態において、非接触式電圧センサ11aの装着前の状態から伝送用導体の絶縁性が低下する事態が回避される。
また、シリアルバスSB2からCANフレームFc(電力値データフレームFcp)を読み取ってシリアルバスSB1に出力する中継器3については、電気自動車100の常設機器として電気自動車100に装着した状態が維持される。したがって、シリアルバスSB1にCANフレームFcを出力するための構成要素の存在によってシリアルバスSB1の伝送用導体の絶縁性が低下する事態も回避される。
以上により、電力測定システム10による電力値の演算等に関する一連の作業が終了する。また、上記の作業によって記録装置2(記録媒体21)に記録された電力値データDpについては、記録装置2のデータ入出力部22に外部装置としての各種情報処理端末を接続することにより、記録装置2から情報処理端末に出力させることができる。これにより、外部装置としての情報処理端末によって電力値データDpを解析したり、電力値についての任意の情報を表示・印刷したりすることが可能となる。
このように、この電力測定システム10、およびその電力演算方法では、電力ラインL6に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」を特定可能な電圧値データフレームFcv(CANフレームFc)、および電力ラインL6を流れている電流の「電流値」を特定可能な電流値データフレームFca(CANフレームFc)をCAN通信用のシリアルバスSB1からそれぞれ読み取り、電圧値データフレームFcvに基づいて特定される「電圧値」、および電流値データフレームFcaに基づいて特定される「電流値」に基づき、電力ラインL6を介して供給されている電力(本例では、空調機器109の動作に伴って電圧制御部104から空調機器制御部108に供給されている電力)の「電力値」を演算する。
したがって、この電力測定システム10および電力演算方法によれば、シリアルバスSB1から読み取った電圧値データフレームFcvに基づいて特定される「電圧値」、およびシリアルバスSB1から読み取った電流値データフレームFcaに基づいて特定される「電流値」に基づき、電力ラインL6を介して供給している電力の「電力値」を演算することで、電力ラインL6の電力供給用導体に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」を測定するための測定装置や、電力ラインL6の電力供給用導体を流れている電流の「電流値」を測定するための測定装置が不要となる分だけ、「電力値」を低コストで演算することができる。
また、この電力測定システム10、およびその電力演算方法では、CANフレームFcの伝送時にシリアルバスSB1のフレーム伝送用導体に印加される「第2の電圧」をフレーム伝送用導体に対して非接触で検出可能な非接触式電圧センサ11aを使用して「第2の電圧」を検出すると共に、検出した「第2の電圧」の「電圧レベル」の変化に基づいてシリアルバスSB1を介して伝送されたCANフレームFcを特定する。したがって、この電力測定システム10および電力演算方法によれば、シリアルバスSB1の各信号線におけるフレーム伝送用導体を覆っている絶縁被覆を剥がすことなくCANフレームFcを読み出すことができるため、電力値の演算のためにフレーム伝送用導体の絶縁性が低下した状態となるのを好適に回避することができる。
さらに、この電力測定システム10、およびその電力演算方法によれば、演算した「電力値」を特定可能な電力値データフレームFcp(CANフレームFc)を生成して中継器3からシリアルバスSB1に出力することにより、演算した電力値が供給されている設備側で、電力値を演算するための構成を備えることなく、電力測定システム10から出力した電力値データフレームFcpに基づいて特定される電力値を利用することができる。
次に、「電力演算装置」および「電力演算方法」の他の実施の形態について添付図面を参照して説明する。なお、上記の電力測定システム10と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図5に示す電力測定システム10Aは、「電力演算方法」に従って電力値を演算可能に構成された「電力演算装置」の他の一例であって、前述の電力測定システム10における電力演算装置1に代えて電力演算装置1Aを備えると共に、記録装置2、中継器3(いずれも図示せず)およびシリアルバスSB2を備えて構成されている。また、電力演算装置1Aは、電力演算装置1と同様に電気自動車100等の電力演算対象設備に対して着脱可能な装置であって、電圧検出部11、操作部12、表示部13、信号出力部14、処理部15および記憶部16を備えると共に、電流測定部17を備えて構成されている。
電流測定部17は、「電流測定部」に相当し、「非接触式電流センサ」の一例であるクランプ型の非接触式電流センサ17aを備えている。この電流測定部17は、電圧制御部104から空調機器制御部108に電力ラインL6を介して電力が供給されている状態において電力ラインL6の供給用導体を流れている電流の電流値(「電流値」の一例)を非接触式電流センサ17aを介して供給用導体に対して非接触で測定し、測定結果を示す電流値データDa(「電流値データ」の一例)を処理部15に出力する。
この電力測定システム10Aによる電力値の演算(測定)、表示および記録に際しては、図5に示すように、電圧検出部11の非接触式電圧センサ11aを電気自動車100のシリアルバスSB1に装着する(シリアルバスSB1の信号線を非接触式電圧センサ11aによってクランプする)と共に、シリアルバスSB1に接続されている中継器3の電圧検出部31における非接触式電圧センサ31aを電力測定システム10AのシリアルバスSB2に装着し(シリアルバスSB2の信号線を非接触式電圧センサ31aによってクランプし)、さらに、電気自動車100の電力ラインL6に非接触式電流センサ17aを装着する(電力ラインL6を非接触式電流センサ17aによってクランプする)。この際には、電力ラインL6に対する非接触式電流センサ17aの装着により、電力ラインL6の供給用導体と非接触式電流センサ17aの検出用コイルとが電線の絶縁被覆および非接触式電流センサ17aのケーシング等を介して近接した状態となる。
次いで、電圧制御部104から空調機器制御部108に電力ラインL6を介して電力が供給されている状態において、電力演算装置1Aの操作部12を操作することで処理開始を指示する。この際に、処理部15は、まず、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFc(電圧値データフレームFcv等)の読取りを開始させる。なお、電圧検出部11によるCANフレームFcの特定については、電力演算装置1における上記の処理と同様のため、詳細な説明を省略する。これにより、電力ラインL6の供給用導体に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」を特定可能な電圧値データフレームFcvが特定される。
また、処理部15は、電圧値データフレームFcvの読み取りと並行して、電流測定部17を制御して「電流値」の測定を開始させる。これに応じて、電流測定部17は、電力ラインL6の供給用導体を流れている電流の電流値を測定して電流値データDaを生成し、生成した電流値データDaを処理部15に出力する。また、処理部15は、電圧値データフレームFcvに基づいて特定される電圧値(電力ラインL6に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」)、および電流値データDaに基づいて特定される電流値(電力ラインL6を流れている「電流値」)を表示部13に表示させる。さらに、処理部15は、特定した電圧値および電流値に基づき、電気自動車100の電圧制御部104から空調機器制御部108に電力ラインL6を介して供給されている電力(空調機器109の動作に伴って消費されている電力)の電力値を演算すると共に、演算した電力値を表示部13に表示させる。
また、処理部15は、演算した電力値を特定可能な電力値データフレームFcpを生成すると共に、生成した電力値データフレームFcpを信号出力部14からシリアルバスSB2に出力させる。これにより、前述した電力測定システム10による一連の処理時と同様にして、電力演算装置1Aから出力された電力値データフレームFcpに基づいて特定される電力値を示す電力値データDpが記録装置2の記録媒体21に記録されると共に、中継器3を介してシリアルバスSB1に電力値データフレームFcpが出力される。
このように、この電力測定システム10A、およびその電力演算方法では、電力ラインL6に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」を特定可能な電圧値データフレームFcv(CANフレームFc)をCAN通信用のシリアルバスSB1から読み取ると共に、電力ラインL6を流れている電流の「電流値」を測定し、電圧値データフレームFcvに基づいて特定される「電圧値」、および測定した「電流値」に基づき、電力ラインL6を介して供給されている電力(本例では、空調機器109の動作に伴って電圧制御部104から空調機器制御部108に供給されている電力)の「電力値」を演算する。
したがって、この電力測定システム10Aおよび電力演算方法によれば、シリアルバスSB1から読み取った電圧値データフレームFcvに基づいて特定される「電圧値」と、電流測定部17によって測定した「電流値」に基づき、電力ラインL6を介して供給している電力の「電力値」を演算することで、電力ラインL6の電力供給用導体に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」を測定するための測定装置が不要となる分だけ、「電力値」を低コストで演算することができる。
また、この電力測定システム10A、およびその電力演算方法によれば、電力ラインL6の電力供給用導体に対して非接触で「電流値」を測定可能な非接触式電流センサ17aを使用して「電流値」を測定することにより、電力ラインL6の電力供給用導体を覆っている絶縁被覆を剥がすことなく電力供給用導体を流れている電流の「電流値」を測定することができるため、電力値の演算のために電力供給用導体の絶縁性が低下した状態となるのを好適に回避することができると共に、電気自動車100の実使用時の運用状態と同様の状態で「電力値」を特定することができる。
次いで、「電力演算装置」および「電力演算方法」のさらに他の実施の形態について添付図面を参照して説明する。なお、上記の電力測定システム10,10Aと同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図6に示す電力測定システム10Bは、「電力演算方法」に従って電力値を演算可能に構成された「電力演算装置」のさらに他の一例であって、前述の電力測定システム10における電力演算装置1や電力測定システム10Aにおける電力演算装置1Aに代えて電力演算装置1Bを備えると共に、記録装置2、中継器3(いずれも図示せず)およびシリアルバスSB2を備えて構成されている。また、電力演算装置1Bは、電力演算装置1と同様に電気自動車100等の電力演算対象設備に対して着脱可能な装置であって、電圧検出部11、操作部12、表示部13、信号出力部14、処理部15および記憶部16を備えると共に、電圧測定部18を備えて構成されている。
電圧測定部18は、「電圧測定部」に相当し、「非接触式電圧センサ」の一例であるクランプ型の非接触式電圧センサ18aを備えている。この電圧測定部18は、電圧制御部104から空調機器制御部108に電力ラインL6を介して電力が供給されている状態において電力ラインL6の供給用導体に印加されている電圧の電圧値(「第1の電圧」の「電圧値」の一例)を非接触式電圧センサ18aを介して供給用導体に対して非接触で測定し、測定結果を示す電圧値データDv(「電圧値データ」の一例)を処理部15に出力する。
この電力測定システム10Bによる電力値の演算(測定)、表示および記録に際しては、図6に示すように、電圧検出部11の非接触式電圧センサ11aを電気自動車100のシリアルバスSB1に装着する(シリアルバスSB1の信号線を非接触式電圧センサ11aによってクランプする)と共に、シリアルバスSB1に接続されている中継器3の電圧検出部31における非接触式電圧センサ31aを電力測定システム10BのシリアルバスSB2に装着し(シリアルバスSB2の信号線を非接触式電圧センサ31aによってクランプし)、さらに、電気自動車100の電力ラインL6に非接触式電圧センサ18aを装着する(電力ラインL6を非接触式電圧センサ18aによってクランプする)。この際には、電力ラインL6に対する非接触式電圧センサ18aの装着により、電力ラインL6の供給用導体と非接触式電圧センサ18aの電極とが電線の絶縁被覆を介して近接した状態となり、供給用導体と電極とが容量結合した状態となる。
次いで、電圧制御部104から空調機器制御部108に電力ラインL6を介して電力が供給されている状態において、電力演算装置1Bの操作部12を操作することで処理開始を指示する。この際に、処理部15は、まず、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFc(電流値データフレームFca等)の読取りを開始させる。なお、電圧検出部11によるCANフレームFcの特定については、電力演算装置1,1Aにおける上記の処理と同様のため、詳細な説明を省略する。これにより、電力ラインL6の供給用導体を流れている電流の「電流値」を特定可能な電流値データフレームFcaが特定される。
また、処理部15は、電流値データフレームFcaの読み取りと並行して、電圧測定部18を制御して「電圧値」の測定を開始させる。これに応じて、電圧測定部18は、電力ラインL6の供給用導体に印加されている電圧の電圧値を測定して電圧値データDvを生成し、生成した電圧値データDvを処理部15に出力する。なお、電圧測定部18による非接触式電圧センサ18aを介しての「電圧値」の測定は、電圧検出部11による非接触式電圧センサ11aを介しての「電圧値」の測定等の同様の原理のため、詳細な説明を省略する。
また、処理部15は、電圧値データDvに基づいて特定される電圧値(電力ラインL6に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」)、および電流値データフレームFcaに基づいて特定される電流値(電力ラインL6を流れている「電流値」)を表示部13に表示させる。さらに、処理部15は、特定した電圧値および電流値に基づき、電気自動車100の電圧制御部104から空調機器制御部108に電力ラインL6を介して供給されている電力(空調機器109の動作に伴って消費されている電力)の電力値を演算すると共に、演算した電力値を表示部13に表示させる。
また、処理部15は、演算した電力値を特定可能な電力値データフレームFcpを生成すると共に、生成した電力値データフレームFcpを信号出力部14からシリアルバスSB2に出力させる。これにより、前述した電力測定システム10,10Aによる一連の処理時と同様にして、電力演算装置1Bから出力された電力値データフレームFcpに基づいて特定される電力値を示す電力値データDpが記録装置2の記録媒体21に記録されると共に、中継器3を介してシリアルバスSB1に電力値データフレームFcpが出力される。
このように、この電力測定システム10B、およびその電力演算方法では、電力ラインL6を流れている電流の「電流値」を特定可能な電流値データフレームFca(CANフレームFc)をCAN通信用のシリアルバスSB1から読み取ると共に、電力ラインL6に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」を測定し、測定した「電圧値」、および電流値データフレームFcaに基づいて特定される「電流値」に基づき、電力ラインL6を介して供給されている電力(本例では、空調機器109の動作に伴って電圧制御部104から空調機器制御部108に供給されている電力)の「電力値」を演算する。
したがって、この電力測定システム10Bおよび電力演算方法によれば、電圧測定部18によって測定した「電圧値」と、シリアルバスSB1から読み取った電流値データフレームFcaに基づいて特定される「電流値」とに基づき、電力ラインL6を介して供給している電力の「電力値」を演算することで、電力ラインL6の電力供給用導体を流れている電流の「電流値」を測定するための測定装置が不要となる分だけ、「電力値」を低コストで演算することができる。
また、この電力測定システム10B、およびその電力演算方法によれば、電力ラインL6の電力供給用導体に対して非接触で「電圧値」を測定可能な非接触式電圧センサ18aを使用して「電圧値」を測定することにより、電力ラインL6の電力供給用導体を覆っている絶縁被覆を剥がすことなく電力供給用導体に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」を測定することができるため、電力値の演算のために電力供給用導体の絶縁性が低下した状態となるのを好適に回避することができると共に、電気自動車100の実使用時の運用状態と同様の状態で「電力値」を特定することができる。
なお、「電力演算装置」の構成、および「電力演算方法」の手順は、上記の電力測定システム10,10A,10Bの構成、およびその「電力演算方法」の手順の例に限定されない。例えば、電気自動車100のシリアルバスSB1からの非接触式電圧センサ11aを介してのCANフレームFcの読み取りに際して、「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電圧、および「CANL」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電圧を電圧検出部11によってそれぞれ検出し、処理部15が、検出された両フレーム伝送用導体の電圧の差に基づいて、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcの内容を特定する構成・方法の例について説明したが、次の構成を採用することもできる。
具体的には、「2線差動電圧方式」で伝送されるCANフレームFcの読み取りに際しては、前述の例の電力演算装置1,1A,1Bにおける電圧検出部11に代えて、図7に示す電圧検出部50を備えて「電力演算装置」を構成することにより、処理部15によるCANフレームFcの読み取り(内容の特定)を正確かつ容易に行うことが可能となる。この電圧検出部50は、同図に示すように、増幅器51h,51l、差分回路(一例として、トランス)52、増幅器53およびA/D変換器54を備えて構成されている。
前述の電圧検出部11に代えて上記の電圧検出部50を備えた電力演算装置1,1A,1BによってシリアルバスSB1からCANフレームFcを読み取る際には、「CANH」に対応する信号線、および「CANL」に対応する信号線に非接触式電圧センサ11aをそれぞれ装着する。この状態においてシリアルバスSB1にCANフレームFcが伝送されたときには、「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体(以下、「「CANH」の伝送用導体」ともいう)と非接触式電圧センサ11aの検出用電極との間の容量結合を介して、「CANH」の伝送用導体の電位に応じて流れる電流に応じた電圧が増幅器51hによって増幅されると共に、「CANL」に対応する信号線のフレーム伝送用導体(以下、「「CANL」の伝送用導体」ともいう)と非接触式電圧センサ11aの検出用電極との間の容量結合を介して、「CANL」の伝送用導体の電位に応じて流れる電流に応じた電圧が増幅器51lによって増幅される。
また、増幅器51hからの出力電圧と増幅器51lからの出力電圧の差分に対応する電圧が差分回路52から出力され、この出力電圧が増幅器53によって増幅されてA/D変換器54によってA/D変換されて電圧値データとして処理部15に出力される。一方、処理部15は、A/D変換器54から出力された電圧値データの値が予め規定された電圧値レベル以上のときに、デジタル信号の「0」が伝送されていると判別する。また、処理部15は、A/D変換器54から出力された電圧値データの値が予め規定された電圧値レベルを下回っているときに、デジタル信号の「1」が伝送されていると判別する。これにより、前述した電圧検出部11を備えた電力演算装置1,1A,1BにおけるCANフレームFcの読み取り時と同様にして、シリアルバスSB1を伝送されているCANフレームFcの内容が特定される。
また、電気自動車100のシリアルバスSB1からのCANフレームFcの読み取りに際して、フレーム伝送用導体に対して非接触で非接触式電圧センサ11aを介して「第2の電圧」を検出し、その「電圧レベル」の変化に基づいてCANフレームFcを特定する「読取部」を有する電力測定システム10,10A,10Bの例について説明したが、シリアルバスSB1のフレーム伝送用導体に対して直接接触(直接接続)した信号線を介してシリアルバスSB1からCANフレームFcを読み取る「読取部」を備えて「電力演算装置」を構成することもできる(図示せず)。
また、電気自動車100の電力ラインL6を流れている電流の「電流値」の測定に際して、電力供給用導体に対して非接触で非接触式電流センサ17aを介して「電流値」を測定する電流測定部17を有する電力測定システム10Aの例について説明したが、電力ラインL6の電力供給用導体に対して直接接触して「電流値」を測定する「電流測定部」を備えて「電力演算装置」を構成することもできる(図示せず)。さらに、電気自動車100の電力ラインL6に印加されている「第1の電圧」の「電圧値」の測定に際して、電力供給用導体に対して非接触で非接触式電圧センサ18aを介して「電圧値」を測定する電圧測定部18を有する電力測定システム10Bの例について説明したが、電力ラインL6の電力供給用導体に対して直接接触して「電圧値」を測定する「電圧測定部」を備えて「電力演算装置」を構成することもできる(図示せず)。
また、演算した「電力値」を特定可能な電力値データDpを記録する記録装置2を備えた電力測定システム10,10A,10Bの例について説明したが、「電力値データ」を記録する構成は「電力演算装置」に必須の構成要素ではないため、「電力値データ」を記録しない構成を採用することもできる。さらに、演算した「電力値」を特定可能な電力値データフレームFcpを中継器3からシリアルバスSB1に出力する構成の電力測定システム10,10A,10Bを例に挙げて説明したが、「シリアルバス」に「電力値データフレーム」を出力する構成は「電力演算装置」に必須の構成要素ではないため、「電力値データフレーム」を出力しない構成を採用することもできる。
また、バッテリ制御ユニット103、電圧制御部104、インバータユニット106、空調機器制御部108および主制御部110などが1つのシリアルバスSB1に接続されている電気自動車100の電力ラインL6を対象として「電力値」を演算する例について説明したが、「電力値」を演算する対象の「電力ライン」が配設された装置やシステムのなかには、「中継器」を介して「CANフレーム」が中継される複数の「シリアルバス」が配設されているものも存在する。
一例として、図8に示す電気自動車100Aは、前述した電気自動車100におけるシリアルバスSB1に代えて、中継器130を介して接続された複数の(本例では、2つの)シリアルバスSB1m,SB1sを備えている点を除き、電気自動車100と同様に構成されている。なお、電気自動車100Aにおいて電気自動車100と同様の機能を有する構成要素や、電力測定システム10,10A,10Bの各構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、同図では、電力ラインL3,L6,L7や、補機用バッテリ102、空調機器制御部108および空調機器109の図示を省略している。
中継器130は、「中継器」の一例であって、シリアルバスSB1m,SB1sと相俟って電気自動車100AにおけるCANフレームFCの伝送路(通信ネットワーク)を構成する。具体的には、中継器130は、シリアルバスSB1m,SB1sの間(シリアルバスSB1mに接続された機器と、シリアルバスSB1sに接続された機器との間)で各種のCANフレームFcを中継する。また、シリアルバスSB1m,SB1sは、「中継器を介してCANフレームが中継される複数のシリアルバス」に相当し、一例として、両シリアルバスSB1m,SB1sが同一のCANプロトコルに従って各種のCANフレームFcを伝送可能に構成されている。
この場合、この電気自動車100Aでは、前述の電気自動車100と同様にして、インバータユニット106が、電圧制御部104から電力ラインL4を介して供給される電力をDC/AC変換してモータ107に伝送することでモータ107を回転させ、これにより、電気自動車100Aの駆動輪が回転させられる構成が採用されている。したがって、電力ラインL4に印加される電圧の電圧値、および電力ラインL4を流れる電流の電流値に基づき、電気自動車100Aの走行によって消費される電力(以下、「走行時消費電力」ともいう)の「電力値」を特定することができる。
また、この電気自動車100Aでは、走行時消費電力の「電力値」の演算に必要な電圧値データフレームFcvや電流値データフレームFca等のCANフレームFCを出力する電圧制御部104(「CANフレーム出力機器」の一例)や主制御部110等の主要機器がシリアルバスSB1mに接続されると共に、主要機器を補完する機器がシリアルバスSB1sに接続されている。また、本例の電気自動車100Aでは、一例として、中継器130が、シリアルバスSB1mを介して伝送される各種CANフレームFcのうちの予め規定されたCANフレームFcをシリアルバスSB1sに中継すると共に、シリアルバスSB1sを介して伝送される各種CANフレームFcのうちの予め規定されたCANフレームFcをシリアルバスSB1mに中継する構成が採用されている。
さらに、本例の電気自動車100Aでは、一例として、電気自動車100Aの整備作業時に電気自動車100Aの各所の状態を診断するための診断機を接続可能な接続用コネクタ140(Data Link Connector )がシリアルバスSB1sに配設されており、シリアルバスSB1sを介して伝送されている各種CANフレームFcを接続用コネクタ140に接続した機器によって読み取ったり、接続用コネクタ140に接続した機器からシリアルバスSB1sに各種のCANフレームFcを出力したりすることが可能となっている。なお、本例では、シリアルバスSB1sに接続されたノードの図示および説明を省略する。
一方、上記のような電気自動車100Aを対象として前述の電力測定システム10,10A,10Bによって走行時消費電力の「電力値」を演算する際には、両シリアルバスSB1m,SB1sのうちの「電力値の演算に必要なCANフレームを出力するCANフレーム出力機器が接続されたシリアルバス」の一例であるシリアルバスSB1mに非接触式電圧センサ11aを装着して、電圧値データフレームFcvや電流値データフレームFcaなどをシリアルバスSB1mから読み取るのが好ましい。
具体的には、「電力値」を演算する対象の電気自動車100Aでは、前述したように、シリアルバスSB1mを介して伝送される各種CANフレームFcのうちの一部が中継器130によってシリアルバスSB1sに中継されてシリアルバスSB1sを介して伝送される。しかしながら、電圧制御部104からシリアルバスSB1mに出力される電圧値データフレームFcvや電流値データフレームFcaのように、出力頻度が高いCANフレームFcや、劣化や改竄が生じたときに電気自動車100Aの安全性が損なわれるおそれのあるCANフレームFcについては、常態においてシリアルバスSB1mからシリアルバスSB1sに中継されない構成や、予め規定された数おきに1つのCANフレームFcが抽出されてシリアルバスSB1mからシリアルバスSB1sに伝送される構成が採用されている。このため、シリアルバスSB1mから読み取ることができるCANフレームFcだけでは、電力測定システム10,10A,10Bによって「電力値」を正確に演算するのが困難となっている。
また、シリアルバスSB1mからシリアルバスSB1sに中継されていないCANフレームFcのうちの走行時消費電力の「電力値」の演算に必要なCANフレームFcをシリアルバスSB1mからシリアルバスSB1sに中継させるように中継器130に対して制御コマンドを送信して、必要なCANフレームFcのすべてを中継させることにより、シリアルバスSB1sから読み取ったCANフレームFcに基づいて「電力値」を演算できる可能性がある。しかしながら、中継器130によるCANフレームFcの中継に要する時間に起因して、「電力値」の演算に必要なCANフレームFcの取得に遅延が生じたり、シリアルバスSB1mからシリアルバスSB1sに中継されるCANフレームFcの増加に伴って、常態においてシリアルバスSB1sを介して伝送されるべきCANフレームFcの伝送が妨げられたりするおそれがある。
したがって、中継器130を介してCANフレームFcが中継される複数のシリアルバスSB1m,SB1sのうちの走行時消費電力の「電力値」の演算に必要なCANフレームFcを出力する電圧制御部104が接続されたシリアルバスSB1mから「電力値」の演算に必要なCANフレームFcを読み取ることにより、CANフレームFcの中継を指示する制御コマンドを中継器130に出力することなく、「電力値」の演算に必要なCANフレームFcを読み取ることができると共に、シリアルバスSB1mからシリアルバスSB1sに、「電力値」の演算に必要な大量のCANフレームFcが中継される事態が回避されるため、シリアルバスSB1sにおけるCANフレームFcの伝送を阻害することなく、「電力値」を演算することができる。
なお、電力ラインL4に印加される電圧の電圧値、および電力ラインL4を流れる電流の電流値に基づいて走行時消費電力の「電力値」を演算する手順については、前述の電気自動車100における電力ラインL6に印加される電圧の電圧値、および電力ラインL6を流れる電流の電流値に基づいて、空調機器109の動作に伴って消費される電力(電圧制御部104から電力ラインL6を介して空調機器制御部108に供給される電力)の電力値を演算した手順と同様のため、詳細な説明を省略する。
この場合、電力測定システム10Aの電力演算装置1Aによって走行時消費電力の「電力値」を演算する際には、電力ラインL4に非接触式電流センサ17aを装着して、電力ラインL4の供給用導体を流れている電流の電流値を供給用導体に対して非接触で測定する。また、電力測定システム10B(電力演算装置1B)によって走行時消費電力の「電力値」を演算する際には、電力ラインL4に非接触式電圧センサ18aを装着して、電力ラインL4の供給用導体に印加されている電圧の電圧値(第1の電圧の電圧値)を供給用導体に対して非接触で測定する。
一方、同一のCANプロトコルに従って各種のCANフレームFcを伝送可能なシリアルバスSB1m,SB1sが中継器130によって接続された電気自動車100Aを対象として「電力値」を演算する例について説明したが、「電力値」の演算対象のなかには、互いに相違するCANプロトコルに従って各種のCANフレームを各々伝送可能な複数のシリアルバスが配設されたもの、すなわち、いずれかのシリアルバスから他のシリアルバスにCANフレームを中継する際に、「中継器(ゲートウェイ)」においてプロトコル変換を行う必要があるものも存在する。
このような環境下で、CANフレーム出力機器が接続されたシリアルバス以外のシリアルバス(CANフレーム出力機器が接続されたシリアルバスのCANプロトコルとは相違するCANプロトコルでCANフレームが伝送されるシリアルバス)から「電力値」の演算に必要なCANフレームを読み取るときには、「中継器」におけるプロトコル変換処理に長い時間を要するため、演算に必要な電圧値や電流値をリアルタイムに特定するのが困難となるおそれがある。また、「中継器(ゲートウェイ)」の処理能力が低いときには、「電力値」の演算に必要なCANフレームのすべてを中継(プロトコル変換)することが困難となる。したがって、上記の例のように、「CANフレーム出力機器」が接続されているシリアルバスから必要なCANフレームを読み取るのが好ましい。
また、本例の電気自動車100AのようにシリアルバスSB1sに接続用コネクタ140が配設されているときには、電力測定システム10,10A,10Bにおける非接触式電圧センサ11aに代えて接続用コネクタ140に接続可能な接続用コネクタ(図示せず)を電力演算装置1,1A,1Bに接続して、シリアルバスSB1bのフレーム伝送用導体に対して直接接触(直接接続)した信号線を介してシリアルバスSB1sからCANフレームFcを読み取ることもできる。
しかしながら、「電力値」の演算に必要なCANフレームFc(電圧制御部104から出力されたCANフレームFc)のすべてをシリアルバスSB1mからシリアルバスSB1sに中継させることができないときには、接続用コネクタ140から読み取ったCANフレームFcだけでは「電力値」を演算することができない。したがって、「電力値」の演算に必要なCANフレームFcをシリアルバスSB1mから読み取る必要が生じるが、上記の電力測定システム10,10A,10Bにおける非接触式電圧センサ11aを備えた「読取部」を備えていないときには、シリアルバスSB1mの各信号線におけるフレーム伝送用導体を覆っている絶縁被覆を剥がすなどして、フレーム伝送用導体からCANフレームに対応する電圧信号を読み取らなくてはならない。
これに対して、上記の電力測定システム10,10A,10Bでは、非接触式電圧センサ11aを介してフレーム伝送用導体に対して非接触でCANフレームFcを読取り可能に構成されているため、「電力値」の演算に必要なCANフレームFcのすべてをシリアルバスSB1sに中継可能であるか否かや、シリアルバスSB1sに接続用コネクタ140が配設されているか否かを問わず、また、いずれの信号線も傷付けることなく、「電力値」の演算に必要なCANフレームFcのすべてを確実に読み取ることができる。
この場合、例えば、新型車両の開発時には、シリアルバスSB1m,SB1sの耐ノイズ性に関して車両の出荷後の状態と同様の環境で「電力値」を演算するのが好ましい。このため、上記の電力測定システム10,10A,10Bのように非接触式電圧センサ11aを介してフレーム伝送用導体に対して非接触でCANフレームFcを読取り可能とすることにより、シリアルバスSB1m,SB1sにおけるフレーム伝送用導体の絶縁被覆を傷付ることなく「電力値」を演算可能とするのが好ましい。また、出荷後の車両の点検等に際して「電力値」の演算のためにフレーム伝送用導体の絶縁被覆を剥がしたときには、「電力値」の演算を完了した後に、剥がされている絶縁被覆を修復する必要が生じる。このため、出荷後の車両を対象として「電力値」を演算するときにも、上記の電力測定システム10,10A,10Bのように非接触式電圧センサ11aを介してフレーム伝送用導体に対して非接触でCANフレームFcを読取り可能とするのが好ましい。
また、電圧制御部104から空調機器制御部108に電力ラインL6を介して供給されている電力の「電力値」や、電圧制御部104からインバータユニット106に電力ラインL4を介して供給されている電力の「電力値」を演算する例について説明したが、「電力演算装置」および「電力演算方法」によって「電圧値」および「電流値」に基づいて演算する「電力値」は、直流電力の「電力値」に限定されず、「シリアルバス」における「CANフレーム」の伝送レートが、「電圧値データフレーム」や「電流値データフレーム」の取得漏れを生じさせない範囲内であれば、交流電力の「電力値」を「電力演算装置」および「電力演算方法」によって演算することができる。この場合、発明者は、現状の「CAN」の規格において、100Hz以下の交流電力(「シリアルバス」における「CANフレーム」の輻輳状態によっては、10Hz以下の交流電力)であれば、上記の電力測定システム10,10A,10Bと同様に構成・方法によって「電力値」を好適に演算することができるのを確認している。
また、電気自動車100,100Aの「電力ライン(本例では、電力ラインL6,L4)」を介して供給される電力の電力値を、電気自動車100のシリアルバスSB1や電気自動車100AのシリアルバスSB1mから読み出したCANフレームFc(電圧値データフレームFcv、および/または電流値データフレームFca)を読み取って演算する形態を例に挙げて説明したが、電気自動車100,100Aなどの車両以外の各種の分野(工場内設備用のネットワークや、耕作地内ネットワーク等の分野)における任意の「電力値」を上記の電力測定システム10,10A,10B等による「電力演算方法」と同様の構成・方法によって演算することができる。
加えて、「シリアルバス」から読み取る「電圧値データフレーム」および/または「電流値データフレーム」は、CANフレームFc等の「CANフレーム」に限定されず、「CAN FD」、「FlexRay(登録商標)」および「LIN」などの各種通信規格に準ずるフレーム(デジタルデータ)や、「LVDS」による小振幅低消費電力通信が可能な各種通信規格に準ずるフレーム(デジタルデータ)を利用して「電力値」を演算する構成・方法を採用することができる。