以下、CANフレーム中継装置、測定システム、記録システムおよびCANフレーム中継方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
本件発明に係るCANフレーム中継装置およびCANフレーム中継方法は、各種CANフレームが伝送されているシリアルバスと、そのシリアルバスとは異なるシリアルバスとを並設してCANフレームを中継する各種の環境下で実施することができる。また、本件発明に係る測定システムおよび記録システムは、シリアルバスを伝送されているCANフレームを利用した測定処理や、CANフレームそのもの、およびCANフレームに基づいて生成される各種データの記録処理を行う各種の環境下で実施することができる。以下、一例として、図1に示す自動車100の評価を行うときにこれらを実施する例について説明する。
自動車100は、「CAN通信用の第1のシリアルバス」に相当するシリアルバスSB1を備え、このシリアルバスSB1に、搭載機器の動作を制御するコントローラ(ECU)や、搭載機器等の動作状態を検出する検出器(センサー)などの複数のノード101a,101b・・(以下、区別しないときには「ノード101」ともいう)が接続されている。この場合、本例では、前述した「診断機器接続用コネクタ」に相当するコネクタがシリアルバスSB1に配設されておらず、既存の「CAN通信対応機器(診断機器接続用コネクタに接続可能な機器)」のシリアルバスSB1への接続が阻止されているものとする。
また、本例では、一例として、自動車100の空調機器の動作制御を目的として、バッテリー等の電源から空調機器に電力ラインLpを介して電力を供給させるときに、各ノード101のうちの1つである電源制御装置が、電力ラインLpに印加している電圧の電圧値を特定可能なCANフレームFcである電圧値データフレームFcv1や、電力ラインLpを流れる電流の電流値を特定可能なCANフレームFcである電流値データフレームFca1を、各ノード101のうちの他の1つである空調制御装置に対してシリアルバスSB1を介して伝送するものとする。
さらに、本例では、一例として、自動車100における上記の空調機器の動作制御を目的として、各ノード101のうちの1つである空調制御装置が、車外温度センサからのセンサ信号に基づいて車外温度を特定すると共に、車内温度センサからのセンサ信号に基づいて車内温度を特定し、特定した車外温度や車内温度を特定可能なCANフレームFcである温度データフレームFct1を、各ノード101のうちの他の1つである主制御装置に対してシリアルバスSB1を介して伝送するものとする。
一方、同図に示すデータ収集システム10は、「測定システム」および「記録システム」の一例であって、「第1のシリアルバスとは異なるCAN通信用の第2のシリアルバス」に相当するシリアルバスSB2を備え、このシリアルバスSB2に、中継装置1、測定装置2,3、データ処理装置4および記録装置5などの各種の「ノード」が接続されて自動車100についての各種の評価に必要なデータを収集することができるように構成されている。なお、シリアルバスSB2に対して上記の構成要素1~5以外の「ノード」を接続することが可能であるが、本例のデータ収集システム10の構成要素以外の「ノード」については、図示および説明を省略する。
この場合、前述の自動車100におけるシリアルバスSB1や、本例のデータ収集システム10におけるシリアルバスSB2は、「CANH(CAN high)」、「CANL(CAN low )」および「SG」などの複数のCAN通信用の信号線を備え、これらの信号線は、絶縁被覆された導線(「フレーム伝送用導体」の一例)を介して電気的信号を伝送可能に構成されている。この「CAN通信用のシリアルバス」を構成する信号線の種類および構造については公知のため、詳細な説明を省略する。
中継装置1は、「CANフレーム中継方法」に従ってシリアルバスSB1からシリアルバスSB2にCANフレームFcを中継する「CANフレーム中継装置」の一例であって、図2に示すように、電圧検出部11、操作部12、表示部13、信号出力部14、処理部15および記憶部16を備えている。
電圧検出部11は、「電圧検出部」に相当し、一例として、シリアルバスSB1の任意の部位に対して着脱自在なクランプ型の非接触式電圧センサ11a(「非接触式電圧センサ」の一例)を備えて処理部15と相俟って「CANフレーム読取部」を構成する。具体的には、電圧検出部11は、処理部15の制御に従い、後述するようにノード101からのシリアルバスSB1へのCANフレームFcの伝送時にシリアルバスSB1のフレーム伝送用導体に印加される電圧を非接触式電圧センサ11aを介してフレーム伝送用導体に対して非接触で検出し、検出した電圧の電圧レベルを特定可能な情報を処理部15に出力する。
操作部12は、中継装置1の動作条件(主として、シリアルバスSB1からシリアルバスSB2へのCANフレームFcの中継条件)等の設定操作が可能な複数の操作スイッチを備え(図示せず)、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部15に出力する。表示部13は、中継装置1の動作状態(CANフレームFcの中継状態)等を処理部15の制御下で表示する。信号出力部14は、処理部15と相俟って「CANフレーム出力部」を構成し、後述するように、電圧検出部11(非接触式電圧センサ11a)を介してシリアルバスSB1から読み取られたCANフレームFcを処理部15の制御下でシリアルバスSB2に出力する。
処理部15は、中継装置1を総括的に制御する。具体的には、処理部15は、「フレーム特定部」として機能し、自動車100のシリアルバスSB1におけるCANフレームFcの伝送時に電圧検出部11によって検出される電圧の「電圧レベル」の変化に基づき、シリアルバスSB1を伝送されているCANフレームFcを特定する処理を実行する。また、処理部15は、「フィルタリング処理部」として機能し、上記のように「フレーム特定部」として機能して特定した各CANフレームFcのうちの「予め規定された条件(一例として、利用者によって指定された条件)」を満たすCANフレームFcだけを信号出力部14からシリアルバスSB2に対して選択的に出力させる後述の「フィルタリング処理」を実行する。
さらに、処理部15は、「ID変更処理部」として機能し、シリアルバスSB1から読み取ったCANフレームFcについて、そのデータ本体の内容を変更することなく「予め規定された変更規則」に従ってフレームIDを変更し、ID変更後のCANフレームFcを信号出力部14からシリアルバスSB2に出力させる「ID変更処理」を実行する。なお、上記のように「フィルタリング処理」を実行する本例において、処理部15は、「フィルタリング処理」によってシリアルバスSB2に出力すべきと判別したCANフレームFcだけを対象として後述の「ID変更処理」を実行する。
記憶部16は、処理部15の動作プログラムや、CANフレームFc、CANフレームFcを特定するためのフレーム特定用データ、および利用者によって指定された上記の各種条件を示す条件データなどを記憶する。
測定装置2は、「電圧・電流測定装置」であって、一例として、自動車100の電力ラインLpに印加されている電圧の電圧値、および電力ラインLpを流れている電流の電流値を測定可能に構成されている。この測定装置2は、図3に示すように、電流測定部21、電圧測定部22、操作部23、表示部24、信号出力部25、処理部26および記憶部27を備えてシリアルバスSB2に接続されている。
電流測定部21は、一例として、任意の測定部位(本例では、電力ラインLp)に対して着脱自在なクランプ型の非接触式電流センサ21aを備えている。この電流測定部21は、自動車100において電力ラインLpを介して電力が供給されている状態で電力ラインLpの電力供給用導体を流れている電流の電流値を非接触式電流センサ21aを介して電力供給用導体に対して非接触で測定し、測定結果を示す電流値データDaを処理部26に出力する。
電圧測定部22は、一例として、任意の測定部位(本例では、電力ラインLp)に対して着脱自在なクランプ型の非接触式電圧センサ22aを備えている。この電圧測定部22は、自動車100において電力ラインLpを介して電力が供給されている状態で電力ラインLpの電力供給用導体に印加されている電圧の電圧値を非接触式電圧センサ22aを介して電力供給用導体に対して非接触で測定し、測定結果を示す電圧値データDvを処理部26に出力する。
操作部23は、測定装置2の動作条件(電流測定条件および電圧測定条件等)の設定操作が可能な複数の操作スイッチを備え(図示せず)、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部26に出力する。表示部24は、測定装置2の動作状態や測定結果などを処理部26の制御下で表示する。信号出力部25は、後述するように処理部26によって生成される電流値データフレームFca2や電圧値データフレームFcv2などのCANフレームFcを処理部26の制御下でシリアルバスSB2に出力する。
処理部26は、測定装置2を総括的に制御する。具体的には、処理部26は、電流測定部21から出力される電流値データDaの電流値(電流測定部21の測定結果)や、電圧測定部22から出力される電圧値データDvの電圧値(電圧測定部22の測定結果)を表示部24に表示させる。また、処理部26は、電流値データDaに基づいて電流値データフレームFca2を生成すると共に、電圧値データDvに基づいて電圧値データフレームFcv2を生成する。
さらに、処理部26は、生成した電流値データフレームFca2や電圧値データフレームFcv2を信号出力部25からシリアルバスSB2に出力させることで、電力ラインLpを介して供給されている電力の電力値をデータ処理装置4に演算(測定)させると共に、電流値データフレームFca2に基づいて特定される電流値データDa、電圧値データフレームFcv2に基づいて特定される電圧値データDv、および電流値データフレームFca2や電圧値データフレームFcv2自体を記録装置5によって記録させる。
記憶部27は、処理部26の動作プログラムや、CANフレームFcを特定するためのフレーム特定用データ、および上記の各CANフレームFcなどを記憶する。
測定装置3は、「温度測定装置」であって、一例として、自動車100に取り付けられた温度センサ31a,32aを介して自動車100における任意の部位の温度を測定可能に構成されている。この測定装置3は、図4に示すように、温度測定部31,32、操作部33、表示部34、信号出力部35、処理部36および記憶部37を備えてシリアルバスSB2に接続される。
温度測定部31,32は、一例として、任意の測定部位に対して着脱自在な温度センサ31a,32aを備えている。この温度測定部31,32は、自動車100において温度センサ31a,32aが装着された部位の温度を温度センサ31a,32aを介して測定し、測定結果を示す温度データDtを処理部36に出力する。この場合、本例では、一例として、温度センサ31aが自動車100の車外温度を検出可能な部位に装着され、温度センサ32aが自動車100の車内温度を検出可能な部位に装着されている。
操作部33は、測定装置3の動作条件(温度測定条件等)の設定操作が可能な複数の操作スイッチを備え(図示せず)、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部36に出力する。表示部34は、測定装置3の動作状態や測定結果などを処理部36の制御下で表示する。信号出力部35は、後述するように処理部36によって生成される温度データフレームFct2などのCANフレームFcを処理部36の制御下でシリアルバスSB2に出力する。
処理部36は、測定装置3を総括的に制御する。具体的には、処理部36は、温度測定部31,32から出力される温度データDtに基づいて特定される温度(温度測定部31,32の測定結果)を表示部34に表示させる。また、処理部36は、温度データDtに基づいて温度データフレームFct2を生成する。さらに、処理部36は、生成した温度データフレームFct2を信号出力部35からシリアルバスSB2出力させることで、温度データフレームFct2に基づいて特定される温度データDt、および温度データフレームFct2自体を記録装置5によって記録させる。
記憶部37は、処理部36の動作プログラムや、CANフレームFcを特定するためのフレーム特定用データ、および上記の各CANフレームFcなどを記憶する。
データ処理装置4は、「測定装置」の一例であって、シリアルバスSB2に接続されると共に、中継装置1によってシリアルバスSB1から読み取られてシリアルバスSB2に出力されたCANフレームFcや、測定装置2,3からシリアルバスSB2に出力されたCANフレームFcに基づき、「被測定量」の一例である「電力値」を測定可能に(演算可能に)構成されている。具体的には、図5に示すように、データ処理装置4は、信号入出力部41、操作部42、表示部43、処理部44および記憶部45を備えてシリアルバスSB2に接続されている。
信号入出力部41は、中継装置1によってシリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継されたCANフレームFc、および測定装置2,3によってシリアルバスSB2に出力されたCANフレームFcをシリアルバスSB2から取得して処理部44に出力する。また、信号入出力部41は、後述するように処理部44によって生成される電力値データフレームFcp12などのCANフレームFcを処理部44の制御下でシリアルバスSB2に出力する。操作部42は、データ処理装置4の動作条件(後述する電力値の測定条件等)の設定操作が可能な複数の操作スイッチを備え(図示せず)、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部44に出力する。表示部43は、データ処理装置4の動作状態や測定結果などを処理部44の制御下で表示する。
処理部44は、データ処理装置4を総括的に制御する。具体的には、処理部44は、信号入出力部41を介してシリアルバスSB2から取得したCANフレームFcのうちの中継装置1によって中継された電流値データフレームFca1や電圧値データフレームFcv1(シリアルバスSB1において伝送されていた電流値データフレームFca1や電圧値データフレームFcv1と同じ内容のCANフレームFc)に基づき、自動車100のノード101の1つである電源制御装置が測定した「電流値」および「電圧値」を特定し、特定した「電流値」および「電圧値」(すなわち、自動車100において測定された測定値)に基づいて電力ラインLpを介して供給されている電力の「電力値」を演算する処理(「予め規定された演算処理」の一例)を実行する。
また、処理部44は、信号入出力部41を介してシリアルバスSB2から取得したCANフレームFcのうちの測定装置2から出力された電流値データフレームFca2に基づいて特定される「電流値」、および測定装置2から出力された電圧値データフレームFcv2に基づいて特定される「電圧値」(すなわち、データ収集システム10において測定した測定値)に基づき、電力ラインLpを介して供給されている電力の「電力値」を演算する処理を実行する。
さらに、処理部44は、上記の両処理によって演算した電力値を表示部43に表示させると共に、演算した電力値を特定可能な電力値データフレームFcp12を生成する。また、処理部44は、生成した電力値データフレームFcp12を信号入出力部41からシリアルバスSB2に出力させることにより、後述するように、電力値データフレームFcp12に基づいて記録装置5において生成される電力値データDpおよび電力値データフレームFcp12自体を記録装置5に記録させる。
記憶部45は、処理部44の動作プログラム、CANフレームFcを特定するためのフレーム特定用データ、処理部15の演算結果、および上記の各CANフレームFcなどを記憶する。なお、本例のデータ収集システム10では、前述の中継装置1とデータ処理装置4とが相俟って「測定システム」が構成されている。
記録装置5は、「記録装置」の一例であって、シリアルバスSB2に接続されると共に、中継装置1によってシリアルバスSB1から読み取られてシリアルバスSB2に出力されたCANフレームFc、測定装置2,3やデータ処理装置4からシリアルバスSB2に出力されたCANフレームFc、およびそれらのCANフレームFcによって示されている各種の測定値データ(「CANフレームに基づいて予め規定された演算処理によって演算した演算結果」の一例)を記録可能に構成されている。具体的には、図6に示すように、記録装置5は、信号入出力部51、記録媒体52、データ入出力部53、処理部54および記憶部55を備えてシリアルバスSB2に接続されている。
信号入出力部51は、中継装置1によってシリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継されたCANフレームFc、および測定装置2,3やデータ処理装置4によってシリアルバスSB2に出力されたCANフレームFcをシリアルバスSB2から取得して処理部54に出力する。記録媒体52は、HDDやSSD等の大容量記録媒体で構成され、処理部54の制御下で各種のCANフレームFcや、CANフレームFcに基づいて特定される各種のデータ(電流値データDa、電圧値データDv、温度データDtおよび電力値データDp等)を記録する。データ入出力部53は、処理部54の制御に従い、外部装置(携帯型電子端末等)から入力された各データを処理部54に伝送して記録媒体52に記録させたり、記録媒体52に記録されているデータを外部装置に出力したりする。
処理部54は、記録装置5を総括的に制御する。具体的には、処理部54は、中継装置1によってシリアルバスSB2に中継された電流値データフレームFca1に基づき、自動車100において測定された「電流値」を特定して電流値データDaを生成すると共に、測定装置2からシリアルバスSB2に出力された電流値データフレームFca2に基づき、データ収集システム10において測定された「電流値」を特定して電流値データDaを生成する。また、処理部54は、中継装置1によってシリアルバスSB2に中継された電圧値データフレームFcv1に基づき、自動車100において測定された「電圧値」を特定して電圧値データDvを生成すると共に、測定装置2からシリアルバスSB2に出力された電圧値データフレームFcv2に基づき、データ収集システム10において測定された「電圧値」を特定して電圧値データDvを生成する。
さらに、処理部54は、中継装置1によってシリアルバスSB2に中継された温度データフレームFct1に基づき、自動車100において測定された「車外温度」や「車内温度」を特定して温度データDtを生成すると共に、測定装置2からシリアルバスSB2に出力された温度データフレームFct2に基づき、データ収集システム10において測定された「車外温度」や「車内温度」を特定して温度データDtを生成する。また、処理部54は、データ処理装置4からシリアルバスSB2に出力された電力値データフレームFcp12に基づき、自動車100において測定された「電流値」および「電圧値」に基づいてデータ収集システム10において演算された「電力値」、並びにデータ収集システム10において測定された「電流値」および「電圧値」に基づいてデータ収集システム10において演算された「電力値」を特定して電力値データDpを生成する。
さらに、処理部54は、取得した各CANフレームFcや、生成した電流値データDa、電圧値データDv、温度データDtおよび電力値データDpなどを記録媒体52に記録させる。また、処理部54は、外部装置からデータ入出力部53を介して各種データが伝送されたときに、そのデータを記録媒体52に記録させると共に、外部装置からの要求に従って記録媒体52から各CANフレームFcや、生成した電流値データDa、電圧値データDv、温度データDtおよび電力値データDpなどを外部装置に対してデータ入出力部53から出力する。
記憶部55は、処理部54の動作プログラムや、CANフレームFcを特定するためのフレーム特定用データなどを記憶する。なお、本例のデータ収集システム10では、前述の中継装置1およびデータ処理装置4と記録装置5とが相俟って「記録システム」が構成されている。
次に、自動車100の評価の作業を例に挙げて、データ収集システム10(中継装置1、測定装置2,3、データ処理装置4および記録装置5)による各種処理の具体的な内容の一例を説明する。
例えば、自動車100に搭載されている空調機器を評価するには、自動車100の搭載機器(いずれかのノード101)によって測定される「電流値」、「電圧値」、「車外温度」および「車内温度」と、自動車100の搭載機器とは別個独立して上記のパラメータを測定可能な測定装置(本例では、データ収集システム10の測定装置2,3等)によって測定される「電流値」、「電圧値」、「車外温度」および「車内温度」とを比較することで、搭載機器による測定結果が許容範囲内の値であるかや、空調機器が正常に動作しているかを判定することができる。
このような評価に際しては、まず、データ収集システム10における測定装置2,3、データ処理装置4および記録装置5を自動車100内の任意の場所に設置すると共に、図1に示すように、データ収集システム10専用の通信網を構成するシリアルバスSB2に対して各構成要素2~5をそれぞれ接続する。この際に、各構成要素2~5を接続するシリアルバスSB2を構成するケーブルについては、自動車100の任意の位置に引き回すことができる。したがって、設置可能なスペースの有無や、各センサ21a,22a,31a,32aの自動車100への装着の容易性などを考慮して、各構成要素2~5を自動車100内の任意の場所に自由に設置することができる。
次いで、測定装置2における電流測定部21の非接触式電流センサ21a、および電圧測定部22の非接触式電圧センサ22aを電気自動車100の電力ラインLpにそれぞれ装着する(電力ラインLpを非接触式電流センサ21aおよび非接触式電圧センサ22aによってそれぞれクランプする)。この際には、電力ラインLpの電力供給用導体と非接触式電流センサ21aの検出用コイルとが電線の絶縁被覆および非接触式電流センサ21aのケーシング等を介して近接した状態になると共に、電力ラインLpの電力供給用導体と非接触式電圧センサ22aの電極とが電線の絶縁被覆を介して近接した状態となり、電力供給用導体と非接触式電圧センサ22aの電極とが容量結合した状態となる。
また、測定装置3における温度測定部31の温度センサ31aを車外(自動車100の常設機器である車外温度センサの近傍)に設置すると共に、温度測定部32の温度センサ32aを車内(自動車100の常設機器である車内温度センサの近傍)に設置する。
次いで、シリアルバスSB1を介して伝送されるCANフレームFcをシリアルバスSB2に中継させるために、データ処理装置4を介してシリアルバスSB1,SB2を電気的に接続する。具体的には、まず、データ処理装置4を自動車100内の任意の場所に設置すると共に、非接触式電圧センサ11aをシリアルバスSB1に装着する(シリアルバスSB1の信号線を非接触式電圧センサ11aによってクランプする)ことでデータ処理装置4をシリアルバスSB1に接続する。この際には、シリアルバスSB1に対する非接触式電圧センサ11aの装着により、シリアルバスSB1を構成する上記の信号線のフレーム伝送用導体と非接触式電圧センサ11aの電極とが信号線の絶縁被覆を介して近接した状態となり、フレーム伝送用導体と非接触式電圧センサ11aの電極とが容量結合した状態となる。続いて、信号出力部14をシリアルバスSB2に接続する。
なお、図1,2では、シリアルバスSB1に対して1つの非接触式電圧センサ11aを装着し、かつシリアルバスSB2に対して1本の信号線で信号出力部14を接続した状態を図示しているが、実際には、シリアルバスSB1における「CANH」および「CANL」毎の電圧値を検出するために両信号線毎に別個の非接触式電圧センサ11aを装着すると共に、シリアルバスSB2における「CANH」および「CANL」に対して別個の信号線で信号出力部14を接続する。以下、データ収集システム10の動作原理についての理解を容易とするために、「CANH」および「CANL」を区別することなく各部の動作について説明する。
この場合、本例のデータ収集システム10におけるデータ処理装置4では、シリアルバスSB1の信号線に非接触式電圧センサ11aを装着する(信号線を非接触式電圧センサ11aによってクランプする)ことでシリアルバスSB1からCANフレームFcを読み取ることができる。このため、シリアルバスSB1にコネクタが配設されているか否かを問わず、中継装置1によってシリアルバスSB1からシリアルバスSB2にCANフレームFcを中継することが可能となっている。
また、シリアルバスSB1の信号線自体を加工する(絶縁被覆を剥がす)ことなく信号線に非接触式電圧センサ11aを装着することができる。このため、シリアルバスSB1にコネクタが配設されていたとしても、シリアルバスSB1に対するデータ処理装置4の接続場所(非接触式電圧センサ11aによってクランプする場所)がコネクタの配設場所に限定されない。したがって、自動車100の各所に引き回されているシリアルバスSB1の任意の場所に非接触式電圧センサ11aを装着して後述のようにCANフレームFcをシリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継させることができる。
さらに、本例のデータ収集システム10では、中継装置1の電圧検出部11における非接触式電圧センサ11aの電極がシリアルバスSB1の伝送用導体に接触することなく非接触の状態で伝送用導体の電位が検出される構成が採用されている。したがって、中継装置1や、中継装置1が接続されているシリアルバスSB2に接続された測定装置2,3、データ処理装置4および記録装置5などにおいてノイズが生じたとしても、このノイズが中継装置1を介してシリアルバスSB1に流れ込む事態が回避される。
一方、中継装置1が接続されたシリアルバスSB1では、データ収集システム10によって自動車100を評価するのに必要なCANフレームFcだけでなく、評価には不要な多数のCANフレームFcも伝送されている。例えば、自動車100においてメインスイッチがオフ状態に操作されているときであっても、ノード101のうちの1つである防犯装置から検出結果を示すCANフレームFcがシリアルバスSB1に対して周期的に出力されている。また、メインスイッチがオフ状態に操作されているときには、空調機器の評価とは直接的には関係のないさらに多くのCANフレームFcがシリアルバスSB1を介して伝送された状態となる。
このため、シリアルバスSB1を介して各ノード101間で伝送されているCANフレームFcのすべてをシリアルバスSB2に中継した場合には、中継されたCANフレームFcの一部がデータ収集システム10において利用されないこととなる。また、中継されるCANフレームFcの数が非常に多い場合には、シリアルバスSB2において、中継装置1によって中継されたCANフレームFc以外の後述の新たなCANフレームFcを伝送するのが困難となるおそれもある。このため、シリアルバスSB1におけるCANフレームFcの伝送状態(どのようなCANフレームFcがどの程度伝送されているか)や、データ収集システム10におけるCANフレームFcの利用目的に応じて、シリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継するCANフレームFcをフィルタリングする必要が生じることがある。
したがって、データ収集システム10を用いた自動車100の評価に際しては、上記のような観点に基づき、シリアルバスSB1を介して伝送される各CANフレームFcのうちのいずれのCANフレームFcをシリアルバスSB2に中継させるかとの条件(「フィルタリング処理」の条件)を予め規定し、規定した条件を中継装置1に設定しておく。
また、CAN通信においては、CANフレームFcを出力する「ノード」に対して個別的に付与されたID(識別情報)を「フレームID」として付加したCANフレームFcを「シリアルバス(本例では、シリアルバスSB1,SB2)」に出力するように規定されている。さらに、CAN通信においては、接続されている「シリアルバス」に対して複数の「ノード」からCANフレームFcが同時に出力されてCANフレームFcの伝送が妨げられる事態を招くことがないように、上記の「フレームID」が規定されている。
具体的には、CANフレームFcを出力する「ノード」毎に予め優先順位が定められ、この優先順位を特定可能に各「ノード」のIDが規定されてCANフレームFcに「フレームID」が付加される。また、CANフレームFcを出力する「ノード」においては、自らに付与されているIDの優先順位よりも高位の優先順位を示すIDの「フレームID」が付加されたCANフレームFcが「シリアルバス」を伝送されてから一定期間に亘ってCANフレームFcの出力が規制される。これにより、CAN通信においては、優先順位が高いIDが付与された「ノード」から出力されたCANフレームFcが「シリアルバス」を介して確実に伝送されることとなる。
一方、本例のように、自動車100の評価を目的としてシリアルバスSB1からCANフレームFcをシリアルバスSB2に中継させるときには、シリアルバスSB1においてCANフレームFcを伝送する際のCANフレームFcの優先度(各ノード101に対して付与されるIDの優先順位)と、シリアルバスSB2においてCANフレームFcを伝送する際のCANフレームFcの優先度(測定装置2,3やデータ処理装置4による処理に必要となる情報の優先順位)とが相違する状態となることがある。
このため、シリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継されたCANフレームFcのなかに、自動車100の評価の観点からの優先度が低いにも拘わらす「フレームID」のIDによって示される優先順位が高いCANフレームFcが含まれていた場合には、そのCANフレームFcがシリアルバスSB2においても優先的に伝送されることなり、自動車100の評価の観点からの優先度が高いCANフレームFc(測定装置2,3等によって生成されるCANフレームFcのうちの優先度が高いCANフレームFcなど)のシリアルバスSB2におけるCANフレームFcが阻害されるおそれがある。
また、シリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継されたCANフレームFcのなかに、自動車100の評価の観点からの優先度が高いにも拘わらす「フレームID」のIDによって示される優先順位が低いCANフレームFcが含まれていた場合には、シリアルバスSB2において、そのCANフレームFcよりも高位のIDの「フレームID」が付加されたCANフレームFcの伝送が優先される結果、評価の観点からの優先度が高いCANフレームFcの伝送が阻害されるおそれがある。
このため、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcの「フレームID」によって示されている優先順位と、シリアルバスSB2を介して伝送すべきCANフレームFcの「フレームID」によって示すべき優先順位とが相違している場合には、シリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継するCANフレームFcの「フレームID(フレームIDによって示す優先順位)」を変更する必要が生じることがある。
したがって、データ収集システム10を用いた自動車100の評価に際しては、上記のような観点に基づき、まず、シリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継させたCANフレームFc、および後述のように測定装置2,3やデータ処理装置4によって生成されてシリアルバスSB2に出力されるCANフレームFcのそれぞれの優先順位を規定する。また、規定した条件に基づいて、測定装置2,3およびデータ処理装置4に対して付与するID(測定装置2,3およびデータ処理装置4から出力するCANフレームFcの「フレームID」)を定めると共に、中継装置1によってシリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継するCANフレームFcに付与する「フレームID」を定め、どのような「フレームID」のCANフレームFcをどのような「フレームID」に変更するかとの条件(「ID変更処理」の条件)を中継装置1に設定しておく。以上により、データ収集システム10を使用する準備が整う。
一方、自動車100において任意の室温への空調を行うよう指示されたときには、前述したように、電力ラインLpに印加されている電圧の電圧値を示す電圧値データフレームFcv1や、電力ラインLpを流れている電流の電流値を示す電流値データフレームFca1が、ノード101の1つである電源制御装置からシリアルバスSB1に出力されると共に、車外温度や車内温度を示す温度データフレームFct1がノード101の他の1つである空調制御装置からシリアルバスSB1に出力される。また、空調制御装置からの制御データを示すCANフレームFcに従い、電源制御装置から電力ラインLpを介して空調機器(冷凍サイクルの圧縮器や、伝熱ヒータなど)に電力が供給される。この状態において、データ収集システム10の各構成要素1~5の電源を投入することにより、中継装置1によるCANフレームFcの中継処理、測定装置2,3による測定処理、データ処理装置4による演算処理(測定処理)および記録装置5による記録処理が開始される。
具体的には、中継装置1においては、処理部15が、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcのシリアルバスSB2への中継処理を開始する。この中継処理において、処理部15は、まず、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcをシリアルバスSB1から読み取る(取得する)。
この場合、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcは、「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体に印加される電圧(「SG」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電位に対する「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電位)の変動、および「CANL」に対応する信号線のフレーム伝送用導体に印加される電圧(「SG」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電位に対する「CANL」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電位)の変動に基づく「2線差動電圧方式」で伝送される。このCANフレームFcの伝送方式については公知のため詳細な説明を省略するが、以下、理解を容易とするために、主として「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電圧に着目してCANフレームFcの読取りについて説明する。
このCANフレームFcの伝送時には、「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体(以下、単に「伝送用導体」ともいう)の電圧と、「SG」に対応する信号線の伝送用導体の電圧(すなわち、電圧検出部11内の基準電位の電圧)との電位差が増加しているときに、伝送用導体から非接触式電圧センサ11aの電極に結合容量を介して流れ込む電流信号の電流量が増加する。また、CANフレームFcの伝送時には、「CANH」に対応する伝送用導体の電圧と、「SG」に対応する伝送用導体の電圧(電圧検出部11内の基準電位の電圧)との電位差が減少しているときに、伝送用導体から非接触式電圧センサ11aの電極に結合容量を介して流れ込む電流信号の電流量が減少する。
したがって、本例の中継装置1では、一例として、電圧検出部11が、非接触式電圧センサ11aの電極が「CANH」の伝送用導体と同電位となって上記の電流値が「0」となるように、電極の電位をフィードバック制御する処理を行い、その状態において電極の電位を測定することで、「CANH」の伝送用導体に印加されている電圧の「電圧レベル」を特定(測定)する処理を予め規定された周期で繰り返し実行する。また、電圧検出部11は、特定結果(電圧レベル)示す電圧データを処理部15に順次出力する。これに応じて、処理部15は、電圧検出部11から出力される電圧データによって示される電圧値に基づき、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcの内容を特定する。
具体的には、「CANH」に対応する伝送用導体に容量結合している電極の電圧が予め規定された電圧レベルを超え、かつ「CANL」に対応する伝送用導体に容量結合している電極の電圧が予め規定された電圧レベルを下回っているとき(「CANH」と「CANL」との電位差が予め規定されたレベルを超えているとき)に、デジタル信号の「0」が伝送されていると判別する。また、「CANH」に対応する伝送用導体に容量結合している電極の電圧が予め規定された電圧レベル以下で、かつ「CANL」に対応する伝送用導体に容量結合している電極の電圧が予め規定された電圧レベル以上のとき(「CANH」と「CANL」との電位差が予め規定されたレベル以下のとき)に、デジタル信号の「1」が伝送されていると判別する。
このように、非接触式電圧センサ11aにおける電極の電圧、および記憶部16に記憶されているフレーム特定用データに基づいてデジタル信号の「0」および「1」のいずれが伝送されているかを逐次判定することにより、非接触式電圧センサ11aが装着されているシリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcの内容が特定される。
次いで、処理部15は、「フィルタリング処理」を実行する。具体的には、処理部15は、上記のように特定したCANフレームFcの「フレームID」と、予め設定されたフィルタリング条件とに基づき、特定したCANフレームFcが、シリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継すべきCANフレームFcであるか否かを判定する。この際に、特定したCANフレームFcの「フレームID」が、シリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継すべきであると設定されているCANフレームFcとは異なる「フレームID」であったときに、処理部15は、そのCANフレームFcについての処理を終了し、シリアルバスSB1を介して次のCANフレームFcが伝送されるまで待機する。
一方、特定したCANフレームFcの「フレームID」が、シリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継すべきであると設定されているCANフレームFcの「フレームID」であったときに、処理部15は、そのCANフレームFcを対象とする「ID変更処理」を実行する。この「ID変更処理」において、処理部15は、「フィルタリング処理」においてシリアルバスSB2に中継すべきと判定したCANフレームFcの「フレームID」が、シリアルバスSB2を介して伝送させる際に付与すべき「フレームID」と一致しているときに、そのCANフレームFcを、「フレームID」を変更することなく、信号出力部14からシリアルバスSB2に出力させる。
また、シリアルバスSB2に中継すべきと判定したCANフレームFcの「フレームID」が、シリアルバスSB2を介して伝送させる際に付与すべき「フレームID」とは異なる「フレームID」のときに、予め設定された条件(変更規則)に従って「フレームID」を変更し、変更後のCANフレームFcを信号出力部14からシリアルバスSB2に出力させる。このように、本例のデータ収集システム10(中継装置1)では、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcのうちのシリアルバスSB2に中継すべきと設定されているCANフレームFcが、シリアルバスSB2内での伝送に適した優先順位の「フレームID」で信号出力部14からシリアルバスSB2に出力される。
また、測定装置2においては、電力ラインLpを流れている電流の「電流値」、および電力ラインLpに印加されている電圧の「電圧値」をそれぞれ測定する測定処理が開始される。具体的には、処理部26は、電流測定部21を制御して「電流値」の測定を開始させると共に、電圧測定部22を制御して「電圧値」の測定を開始させる。これに応じて、電流測定部21は、電力ラインLpの電力供給用導体を流れている電流の電流値を測定して電流値データDaを生成し、生成した電流値データDaを処理部26に出力する。また、電圧測定部22は、電力ラインLpの電力供給用導体に印加されている電圧の電圧値を測定して電圧値データDvを生成し、生成した電圧値データDvを処理部26に出力する。
なお、電流測定部21による非接触式電流センサ21a等の「非接触式電流センサ」を用いた「電流値」の測定処理については公知のため、詳細な説明を省略する。また、電圧測定部22による非接触式電圧センサ22aを介しての「電圧値」の測定は、電圧検出部11による非接触式電圧センサ11aを介しての「電圧値」の測定等の同様の原理のため、詳細な説明を省略する。
これに応じて、処理部26は、出力された電流値データDaおよび電圧値データDvを記憶部27にそれぞれ記憶させると共に、電流値データDaに基づいて特定した「電流値」、および電圧値データDvに基づいて特定した「電圧値」を表示部24にそれぞれ表示させる。また、処理部26は、電流値データDaに基づいて特定した「電流値」を示す電流値データフレームFca2、および電圧値データDvに基づいて特定した「電圧値」を示す電圧値データフレームFcv2をそれぞれ生成して記憶部27に記憶させる。この際に、処理部26は、測定装置2に対して予め付与されたIDに応じた「フレームID」を付与して電流値データフレームFca2および電圧値データフレームFcv2を生成する。次いで、処理部26は、生成した電流値データフレームFca2および電圧値データフレームFcv2を信号出力部25からシリアルバスSB2に出力させる。
また、測定装置3においては、「車外温度」、および「車内温度」をそれぞれ測定する測定処理が開始される。具体的には、処理部36は、温度測定部31を制御して「車外温度」の測定を開始させると共に、温度測定部32を制御して「車内温度」の測定を開始させる。これに応じて、温度測定部31は、温度センサ31aを介して「車外温度」を測定して温度データDtを生成し、生成した温度データDtを処理部36に出力する。また、温度測定部32は、温度センサ32aを介して「車内温度」を測定して温度データDtを生成し、生成した温度データDtを処理部36に出力する。
これに応じて、処理部36は、出力された温度データDt,Dtを記憶部37にそれぞれ記憶させると共に、温度データDtに基づいて特定した「車外温度」および「車内温度」を表示部34にそれぞれ表示させる。また、処理部36は、温度データDtに基づいて特定した「車外温度」および「車内温度」を示す温度データフレームFct2を生成して記憶部37に記憶させる。この際に、処理部36は、測定装置3に対して予め付与されたIDに応じた「フレームID」を付与して温度データフレームFct2を生成する。次いで、処理部36は、生成した温度データフレームFct2を信号出力部35からシリアルバスSB2に出力させる。
一方、データ処理装置4では、自動車100において電力ラインLpを介して供給されている電力に関し、中継装置1によってシリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継された電流値データフレームFca1および電圧値データフレームFcv1に基づく「電力値」の演算処理(自動車100の搭載機器による測定結果に基づく「電力値」の測定処理)と、測定装置2によって生成された上記の電流値データフレームFca2および電圧値データフレームFcv2に基づく「電力値」の演算処理(測定装置2の測定結果に基づく「電力値」の測定処理)とが開始される。
具体的には、前述したように中継装置1によってシリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継された電流値データフレームFca1および電圧値データフレームFcv1が信号入出力部41を介して入力されたときに、処理部44は、まず、入力された電流値データフレームFca1に基づいて特定される「電流値」、および電圧値データフレームFcv1に基づいて特定される「電圧値」を表示部43にそれぞれ表示させる。次いで、処理部44は、特定した「電流値」および「電圧値」に基づき、電力ラインLpを介して供給されている電力(空調機器の動作に伴って消費されている電力)の「電力値」を演算すると共に、演算した「電力値」を、自動車100の搭載機器による測定値に基づく「電力値」として表示部43に表示させる。
また、処理部44は、入力された電流値データフレームFca2に基づいて特定される「電流値」、および電圧値データフレームFcv2に基づいて特定される「電圧値」を表示部43にそれぞれ表示させる。次いで、処理部44は、特定した「電流値」および「電圧値」に基づき、電力ラインLpを介して供給されている電力の「電力値」を演算すると共に、演算した「電力値」を、データ収集システム10(測定装置2)による測定値に基づく「電力値」として表示部43に表示させる。
続いて、処理部44は、演算した両「電力値」を特定可能な電力値データフレームFcp12を生成する。この際に、処理部44は、データ処理装置4に対して予め付与されたIDに応じた「フレームID」を付与して電力値データフレームFcp12を生成する。次いで、処理部44は、生成した電力値データフレームFcp12を信号入出力部41からシリアルバスSB2に出力させる。
また、記録装置5においては、シリアルバスSB2を介して伝送されている各CANフレームFcや、CANフレームFcに基づいて特定される各種データの記録処理が開始される。具体的には、前述したように中継装置1によってシリアルバスSB2に中継された電流値データフレームFca1、電圧値データフレームFcv1および温度データフレームFct1や、測定装置2によってシリアルバスSB2に出力された電流値データフレームFca2および電圧値データフレームFcv2、測定装置3によってシリアルバスSB2に出力された温度データフレームFct2、並びにデータ処理装置4によってシリアルバスSB2に出力された電力値データフレームFcp12がデータ入出力部53を介して入力されたときに、処理部54は、これらのCANフレームFcを記憶部55に記憶させ、かつ記録媒体52に記録させる。
次いで、処理部54は、電流値データフレームFca1に基づいて特定される「電流値」を示す電流値データDa、電流値データフレームFca2に基づいて特定される「電流値」を示す電流値データDa、電圧値データフレームFcv1に基づいて特定される「電圧値」を示す電圧値データDv、電圧値データフレームFcv2に基づいて特定される「電圧値」を示す電圧値データDv、温度データフレームFct1に基づいて特定される「車外温度」や「車内温度」を示す温度データDt、温度データフレームFct2に基づいて特定される「車外温度」や「車内温度」を示す温度データDt、並びに電力値データフレームFcp12に基づいて特定される「電力値」を示す電力値データDpをそれぞれ生成する。
また、処理部54は、生成した電流値データDa、電圧値データDv、温度データDtおよび電力値データDpを記憶部55に記憶させ、かつ記録媒体52に記録させる。これにより、自動車100における空調機器の評価に必要な各種の情報が記録媒体52に順次蓄積される。
この後、データ収集システム10の各構成要素1~5に対する処理停止の指示操作が行われるまで、中継装置1によるCANフレームFcの中継処理、測定装置2,3による測定処理、データ処理装置4による演算処理(測定処理)および記録装置5による記録処理が継続的に繰り返し実行される。
また、空調機器の評価に必要となる十分な量の情報が記録装置5に記録されたときには、データ入出力部53に外部装置としての各種情報処理端末を接続することにより、それらの情報(各CANフレームFcや、生成した電流値データDa、電圧値データDv、温度データDtおよび電力値データDpなど)を記録装置5から情報処理端末に出力させることができる。これにより、外部装置としての情報処理端末において、データ収集システム10(記録装置5)から取得した情報の表示および印刷や解析などを行うことが可能となる。以上により、自動車100(空調機器)の評価に必要な情報についてのデータ収集システム10による収集処理が完了する。
一方、上記のような一連の作業を完了し、データ収集システム10による上記の各種処理を継続する必要がなくなったときには、自動車100から、中継装置1、測定装置2,3、データ処理装置4および記録装置5やシリアルバスSB2を取り外す。
この際に、本例のデータ収集システム10では、中継装置1における電圧検出部11の非接触式電圧センサ11aをシリアルバスSB1の伝送用導体に対して非接触の状態(信号線を非接触式電圧センサ11aによってクランプした状態)でCANフレームFcの伝送に伴う「電圧レベル」の変化を特定する構成を採用している。したがって、シリアルバスSB1から非接触式電圧センサ11aを取り外した状態において、非接触式電圧センサ11aの装着前の状態からシリアルバスSB1における信号線の絶縁性が低下する事態が回避される。
また、本例のデータ収集システム10(測定装置2)では、測定装置2における電流測定部21の非接触式電流センサ21aや電圧測定部22の非接触式電圧センサ22aを電力ラインLpの電力供給用導体に対して非接触の状態(電力線を非接触式電流センサ21aや非接触式電圧センサ22aによってクランプした状態)で電力ラインLpを流れる電流の「電流値」や印加されている電圧の「電圧値」を検出する構成を採用している。したがって、電力ラインLpから非接触式電流センサ21aや非接触式電圧センサ22aを取り外した状態において、非接触式電流センサ21aや非接触式電圧センサ22aの装着前の状態から電力ラインLpにおける電力線の絶縁性が低下する事態が回避される。
このように、この中継装置1、およびそのCANフレーム中継方法では、CAN通信用のシリアルバスSB1を介して伝送されるCANフレームFcをシリアルバスSB1から読み取り、読み取ったCANフレームをシリアルバスSB1とは異なるCAN通信用のシリアルバスSB2に出力する際に、CANフレームFcの伝送時にシリアルバスSB1におけるフレーム伝送用導体に印加される電圧をフレーム伝送用導体に対して非接触で検出し、検出した電圧の電圧レベルの変化に基づいてシリアルバスSB1を介して伝送されたCANフレームFcを特定する。
また、このデータ収集システム10では、上記の中継装置1と、シリアルバスSB2に接続されると共に中継装置1によってシリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継されたCANフレームFcに基づいて予め規定された「被測定量(本例では、「電流値」、「電圧値」、「電力値」、「車外温度」および「車内温度」」を測定可能に構成されたデータ処理装置4とを備えている。さらに、このデータ収集システム10では、上記の中継装置1と、シリアルバスSB2に接続されると共に中継装置1によってシリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継されたCANフレームFcに基づいて演算した「演算結果(本例では、「電流値」、「電圧値」、「電力値」、「車外温度」および「車内温度」や、シリアルバスSB2を伝送された各CANフレームFcを記録可能に構成された記録装置5とを備えている。
したがって、この中継装置1、データ収集システム10、および中継装置1によるCANフレーム中継方法によれば、シリアルバスSB1の信号線に非接触式電圧センサ11aを装着する簡易な作業を行うことでシリアルバスSB1からCANフレームFcを読み取ってシリアルバスSB2に出力する(CANフレームFcを中継する)ことができる。これにより、シリアルバスSB1にコネクタが配設されていなくても、シリアルバスSB2に中継すべきCANフレームFcを読み取ることができ、また、シリアルバスSB1にコネクタが配設されている場合においても、コネクタの配設場所の近傍に限定されることなく、シリアルバスSB1の任意の場所においてCANフレームFcを読み取ることができる。
また、中継装置1や、中継装置1が接続されているシリアルバスSB2に接続された測定装置2,3、データ処理装置4および記録装置5等においてノイズが生じたとしても、このノイズが中継装置1を介してシリアルバスSB1の伝送用導体に流れ込む事態が回避されるため、シリアルバスSB1を介してのCANフレームFcの伝送や、シリアルバスSB1に接続されている各ノード101の動作が阻害される事態を招くことなく、シリアルバスSB1からCANフレームFcを読み取ることができる。さらに、シリアルバスSB1の信号線における伝送用導体に対して非接触の状態で非接触式電圧センサ11aを介してCANフレームFcを読み取ることで、信号線から非接触式電圧センサ11aを取り外した状態においても、非接触式電圧センサ11aを装着する以前の状態と同様の絶縁状態を維持することができる。
また、シリアルバスSB2に接続された機器(本例では、測定装置2,3およびデータ処理装置4)において新たに生成されてシリアルバスSB2を介して伝送されるCANフレームFc(シリアルバスSB1から中継されたCANフレームFcを除くCANフレームFc)がシリアルバスSB2からシリアルバスSB1に伝送されることがないため、シリアルバスSB1において伝送されるべきCANフレームFcの伝送が阻害されたり、シリアルバスSB1に接続されている各ノード101の動作が阻害されたりする事態を招くことなく、シリアルバスSB2に接続された機器は、シリアルバスSB2を介して任意のCANフレームFcを自由に伝送させることができる。さらに、中継装置1については、シリアルバスSB1からのCANフレームFcの読み取りが可能な任意の場所に設置することができ、また、測定装置2,3、データ処理装置4および記録装置5については、シリアルバスSB2に接続可能な任意の場所に設置することができるため、これらの設置場所についての自由度を十分に向上させることができる。
また、この中継装置1、およびそのCANフレームFc中継方法によれば、シリアルバスSB1から読み取ったCANフレームFcの「フレームID」を「予め規定された変更規則」に従って変更し、変更後のCANフレームFcをシリアルバスSB2に出力することにより、シリアルバスSB1における各CANフレームFcの伝送時に付与された「フレームID」によって示されている優先順位とは無関係に、シリアルバスSB2において伝送されるべき優先順位の「フレームID」を付与して各種のCANフレームFcをシリアルバスSB2において伝送させることができるため、データ収集システム10における重要度が高いCANフレームFcのシリアルバスSB2における伝送が阻害される事態を好適に回避することができる。
さらに、この中継装置1、およびそのCANフレームFc中継方法によれば、シリアルバスSB1から読み取ったCANフレームFcのうちの「予め規定された条件」を満たすCANフレームFcをシリアルバスSB2に出力する「フィルタリング処理」を実行することにより、シリアルバスSB2に接続された各機器(本例では、測定装置2,3、データ処理装置4および記録装置5)において使用されることのないCANフレームFcがシリアルバスSB1からシリアルバスSB2に中継され、このCANフレームFcによって、シリアルバスSB2において伝送されるべきCANフレームFc(シリアルバスSB2に接続された各機器のいずれかが使用するCANフレームFc)の伝送が阻害される事態を好適に回避することができる。
なお、「CANフレーム中継装置」、「測定システム」および「記録システム」の構成や、「CANフレーム中継方法」の手順は、上記の中継装置1およびデータ収集システム10の構成や、その「CANフレーム中継方法」の手順の例に限定されない。
例えば、自動車100のシリアルバスSB1からの非接触式電圧センサ11aを介してのCANフレームFcの読み取りに際して、「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電圧、および「CANL」に対応する信号線のフレーム伝送用導体の電圧を電圧検出部11によってそれぞれ検出し、処理部15が、検出された両フレーム伝送用導体の電圧の差に基づいて、シリアルバスSB1を介して伝送されているCANフレームFcの内容を特定する構成・方法の例について説明したが、次の構成を採用することもできる。
具体的には、「2線差動電圧方式」で伝送されるCANフレームFcの読み取りに際しては、前述の例の中継装置1における電圧検出部11に代えて、図7に示す電圧検出部60を備えて「CANフレーム中継装置」を構成することにより、処理部15によるCANフレームFcの読み取り(内容の特定)を正確かつ容易に行うことが可能となる。この電圧検出部60は、同図に示すように、増幅器61h,61l、差分回路(一例として、トランス)62、増幅器63およびA/D変換器64を備えて構成されている。
前述の電圧検出部11に代えて上記の電圧検出部60を備えた中継装置1によってシリアルバスSB1からCANフレームFcを読み取る際には、「CANH」に対応する信号線、および「CANL」に対応する信号線に非接触式電圧センサ11aをそれぞれ装着する。この状態においてシリアルバスSB1にCANフレームFcが伝送されたときには、「CANH」に対応する信号線のフレーム伝送用導体(以下、「「CANH」の伝送用導体」ともいう)と非接触式電圧センサ11aの検出用電極との間の結合容量を介して、「CANH」の伝送用導体の電位に応じて流れる電流に応じた電圧が増幅器61hによって増幅されると共に、「CANL」に対応する信号線のフレーム伝送用導体(以下、「「CANL」の伝送用導体」ともいう)と非接触式電圧センサ11aの検出用電極との間の結合容量を介して、「CANL」の伝送用導体の電位に応じて流れる電流に応じた電圧が増幅器61lによって増幅される。
また、増幅器61hからの出力電圧と増幅器61lからの出力電圧の差分に対応する電圧が差分回路62から出力され、この出力電圧が増幅器63によって増幅されてA/D変換器64によってA/D変換されて電圧値データとして処理部15に出力される。一方、処理部15は、A/D変換器64から出力された電圧値データの値が予め規定された電圧値レベル以上のときに、デジタル信号の「0」が伝送されていると判別する。また、処理部15は、A/D変換器64から出力された電圧値データの値が予め規定された電圧値レベルを下回っているときに、デジタル信号の「1」が伝送されていると判別する。これにより、前述した電圧検出部11を備えた中継装置1におけるCANフレームFcの読み取り時と同様にして、シリアルバスSB1を伝送されているCANフレームFcの内容が特定される。
また、自動車100の電力ラインLpを流れている電流の「電流値」の測定に際して、電力供給用導体に対して非接触で非接触式電流センサ21aを介して「電流値」を測定する電流測定部21を有する測定装置2を備えたデータ収集システム10の例について説明したが、電力ラインLpの電力供給用導体に対して直接接触して「電流値」を測定する「電流測定部」を備えて「CANフレーム中継装置」を構成することもできる(図示せず)。
同様にして、自動車100の電力ラインLpに印加されている電圧の「電圧値」の測定に際して、電力供給用導体に対して非接触で非接触式電圧センサ22aを介して「電圧値」を測定する電圧測定部22を有する測定装置2を備えたデータ収集システム10の例について説明したが、電力ラインLpの電力供給用導体に対して直接接触して「電圧値」を測定する「電圧測定部」を備えて「CANフレーム中継装置」を構成することもできる(図示せず)。
さらに、電流値データフレームFca2および電圧値データフレームFcv2を測定装置2からシリアルバスSB2を介してデータ処理装置4に伝送し、データ処理装置4において、電流値データフレームFca2および電圧値データフレームFcv2に基づいて「電力値」を演算して電力値データフレームFcp12を生成する構成を例に挙げて説明したが、測定装置2において電流値データDaおよび電圧値データDvに基づいて「電力値」を演算して電力値データフレームFcp12を生成する構成を採用することもできる(図示せず)。
また、データ収集システム10内で演算された「電力値」を示す電力値データフレームFcp12、および電力値データフレームFcp12に基づいて特定される電力値データDpを記録する記録装置5を備えたデータ収集システム10の例について説明したが、電力値データフレームFcp12や電力値データDpを記録する構成は、「測定システム」に必須の構成要素ではないため、これらを記録しない構成(記録装置5を設けない構成)を採用することもできる(図示せず)。
さらに、電流値データDa、電圧値データDvおよび温度データDtを測定する構成や、電流値データDaおよび電圧値データDvに基づいて電力値データDpを演算する(「電力値」を測定する)構成は、「記録装置」に必須の構成要素ではないため、測定装置2,3やデータ処理装置4を設けずに、シリアルバスSB1から中継装置1を介してシリアルバスSB2に中継された各CANフレームFcや、それらのCANフレームFcに基づいて特定される「電流値」、「電圧値」、「車外温度」および「車内温度」等だけを記録装置5において記録する構成を採用することもできる(図示せず)。
また、データ収集システム10の各構成要素1~5については、自動車100などの車両以外の各種の分野(工場内設備用のネットワークや、耕作地内ネットワーク等の分野)において使用することもできる。加えて、「第1のシリアルバス」から「第2のシリアルバス」に中継する「CANフレーム」は、上記の例におけるCANフレームFcに限定されず、「CAN FD」、「FlexRay(登録商標)」および「LIN」などの各種通信規格に準ずるフレーム(デジタルデータ)や、「LVDS」による小振幅低消費電力通信が可能な各種通信規格に準ずるフレーム(デジタルデータ)を異なる「シリアルバス」間で中継することができる。