JPWO2019124480A1 - 組成物、ウェットワイパー、スプレー、表面処理基材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、組成物が接触する被処理物の美観を保つ点からは、組成物と被処理物とを接触させた後に、被処理物に着色が生じないことが望ましい。
また、本発明は、ウェットワイパー、スプレー、及び、表面処理基材の製造方法を提供することも課題とする。
すなわち、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
上記無機酸化物と無機酸化物上に担持された抗菌性を有する成分とを含む複合物を含む、組成物。
(2) 無機酸化物が、ケイ酸塩である、(1)に記載の組成物。
(3) 抗菌剤が、無機物である、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4) 抗菌剤の平均粒径が0.3μm以上である、(3)に記載の組成物。
(5) 抗菌剤が、金属を含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6) 金属が、銀である、(5)に記載の組成物。
(7) 更に、親水性バインダー前駆体及び親水性バインダーからなる群より選ばれる親水性成分を含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。
(8) 親水性成分が、シリケート系化合物、親水性基を有するモノマー、及び、親水性基を有するポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、(7)に記載の組成物。
(9) 基布と、基布に含浸させた(1)〜(8)のいずれかに記載の組成物と、を含む、ウェットワイパー。
(10) スプレー容器と、スプレー容器に収納された(1)〜(8)のいずれかに記載の組成物と、を含むスプレー。
(11) (1)〜(8)のいずれかに記載の組成物と基材とを接触させて表面処理基材を製造する、表面処理基材の製造方法。
また、本発明によれば、ウェットワイパー、スプレー、及び、表面処理基材の製造方法を提供できる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に制限されるものではない。
なお、本明細書における基(原子群)の表記において、置換、及び、無置換を記していない表記は、本発明の効果を損ねない範囲で、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。このことは、各化合物についても同義である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
また、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値、及び、上限値として含む範囲を意味する。
本組成物が優れた抗菌性を示す理由としては、特定無機酸化物と抗菌剤、又は、特定無機酸化物と抗菌性を有する成分とを併用している点が挙げられる。また、本発明の組成物において用いられる特定無機酸化物は銅原子が担持されておらず、かつ、リン原子を含まないため、着色の発生が抑制される。
尿臭は、尿に含まれているアンモニア及びトリメチルアミン等の物質により生じる。オムツに吸収された尿を長時間放置すると、尿臭の原因である上記物質が、細菌による酵素分解によって更に増えるため、オムツの臭気がより強くなる。
これに対し、本組成物は、尿中の尿素を分解してアンモニアを発生させる酵素を生み出す菌(例えば、クレブシエラ属の菌)に対して優れた抗菌性を示すため、尿臭の発生が抑制される。
以下に、本組成物に含まれる各成分について詳述する。
以下では、組成物が特定無機酸化物と抗菌剤との2種の材料を含む場合を第1態様、組成物が上記複合物を含む場合を第2態様として、説明する。
(銅原子が担持されておらず、かつ、リン原子を含まない無機酸化物)
本組成物の第1態様は、銅原子が担持されておらず、かつ、リン原子を含まない無機酸化物を含む。
特定無機酸化物には、銅原子が担持されておらず、かつ、リン原子が含まれない。言い換えれば、特定無機酸化物には、銅原子が担持された無機酸化物、リン酸塩ガラス、及び、銅原子が担持されたリン酸塩ガラス等は含まれない。なお、銅原子は、金属状態であっても、イオン状態であってもよい。
上述したように、特定無機酸化物を用いれば、本組成物を適用した被処理物の着色が抑制される。
ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸アルミニウム及びケイ酸マグネシウム等が挙げられる。ケイ酸アルミニウム及びケイ酸マグネシウムは、天然物又は合成物であってもよい。ケイ酸アルミニウムとしては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Al2O3・nSiO2・mH2O (1)
式(1)におけるnは6以上の正数(好ましくは、6〜50)であり、mは1〜20の正数である。なかでも、nが8〜15で、mが3〜15であることが好ましい。
また、ケイ酸マグネシウムとしては、下記式(2)で表される化合物が好ましい。
MgO・nSiO2・mH2O (2)
式(2)におけるnは1以上の正数(好ましくは、1〜20)であり、mは0.1〜20の正数である。なかでも、nが1〜15であり、かつ、mが0.3〜10であることが好ましく、nが3〜15であり、かつ、mが1〜8であることがより好ましい。
特定無機酸化物が粒子状である場合、その平均粒径は特に制限されないが、0.001〜50μmが好ましく、0.1〜20μmがより好ましい。
なお、上記特定無機酸化物の平均粒径の測定方法としては、後述する抗菌剤の平均粒径の測定方法と同じ方法が用いられる。
固形分とは、組成物中の溶媒を除いた成分を意図する。
なお、特定無機酸化物は1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。2種以上の特定無機酸化物を用いる場合、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
本組成物の第1態様は、抗菌剤を含む。
抗菌剤は特に制限されず、公知の抗菌剤が挙げられる。
抗菌剤としては、無機物であっても、有機物であってもよい。言い換えれば、抗菌剤としては、無機系抗菌剤及び有機系抗菌剤が挙げられる。なかでも、優れた抗菌性を長期間にわたって維持できる点で、無機物(無機系抗菌剤)が好ましい。
上記金属としては、例えば、銀、銅、亜鉛、水銀、鉄、鉛、ビスマス、チタン、錫、及び、ニッケル等が挙げられる。また、抗菌剤に含まれる金属の態様は特に制限されず、金属粒子、金属イオン、金属酸化物、及び、金属塩(金属錯体を含む)等の形態が挙げられる。
なかでも、本組成物の抗菌性がより優れる点で、金属としては、銀、銅、及び、亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、銀がより好ましい。
担体の種類は特に制限されず、公知の担体が挙げられる。担体としては、例えば、無機酸化物(例えば、ゼオライト、シリカゲル、リン酸ジルコニウム、及び、リン酸カルシウム等);活性炭;金属担体;有機金属;ポリマー粒子等が挙げられる。なかでも、本組成物の抗菌性がより優れる点で、担体としては、無機酸化物、又は、ポリマー粒子が好ましく、ガラス、又は、ポリマー粒子がより好ましい。
なお、担体としては、結晶性であっても、非晶性(アモルファス)であってもよいが、非晶性であることが好ましく、ガラスがより好ましい。ガラスを構成し得る材料としては、例えば、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、及び、リン酸塩等が挙げられる。
上記銀系抗菌剤は、銀を含む抗菌剤を意図する。銀の形態は特に制限されず、例えば、金属銀、銀イオン、及び、銀塩(銀錯体を含む)等の形態で含まれる。なお、本明細書では、銀錯体は銀塩の範囲に含まれる。
なお、銀塩としては、例えば、酢酸銀、アセチルアセトン酸銀、アジ化銀、銀アセチリド、ヒ酸銀、安息香酸銀、フッ化水素銀、臭素酸銀、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、塩素酸銀、クロム酸銀、クエン酸銀、シアン酸銀、シアン化銀、(cis,cis−1,5−シクロオクタジエン)−1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、フッ化銀(I)、フッ化銀(II)、7,7−ジメチル−1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−4,6−オクタンジオン酸銀、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、ヘキサフルオロヒ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、イソチオシアン酸銀、シアン化銀カリウム、乳酸銀、モリブデン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、酸化銀(I)、酸化銀(II)、シュウ酸銀、過塩素酸銀、ペルフルオロ酪酸銀、ペルフルオロプロピオン酸銀、過マンガン酸銀、過レニウム酸銀、リン酸銀、ピクリン酸銀一水和物、プロピオン酸銀、セレン酸銀、セレン化銀、亜セレン酸銀、スルファジアジン銀、硫酸銀、硫化銀、亜硫酸銀、テルル化銀、テトラフルオロ硼酸銀、テトラヨードムキュリウム酸銀、テトラタングステン酸銀、チオシアン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリフルオロ酢酸銀、及び、バナジン酸銀等が挙げられる。
また、銀錯体の一例としては、ヒスチジン銀錯体、メチオニン銀錯体、システイン銀錯体、アスパラギン酸銀錯体、ピロリドンカルボン酸銀錯体、オキソテトラヒドロフランカルボン酸銀錯体、及び、イミダゾール銀錯体等が挙げられる。
銀担持無機酸化物としては、なかでも、銀担持ゼオライト、銀担持アパタイト、銀担持ガラス、銀担持リン酸ジルコニウム、銀又は、銀担持ケイ酸カルシウムが好ましく、銀担持アパタイト、又は、銀担持ガラスがより好ましく、銀担持ガラスが更に好ましい。
抗菌剤が粒子状である場合、その平均粒径は特に制限されないが、0.01μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましい。なお、その上限は、3.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましい。
抗菌剤の平均粒径は、電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、上記平均粒径は、抗菌剤の粒子について、一次粒子及び二次粒子(なお、「二次粒子」とは、一次粒子同士が融合あるいは接触して構成される集合体と定義する。)の直径を電子顕微鏡の画像から計測し、全粒子数の中の最も直径が小さい側の粒子数5%と、最も直径が大きい側の粒子数5%を除いた、90%の範囲の粒子の直径を平均した値である。つまり、平均粒径は、一次粒子及び二次粒子から求められる値である。また、直径とは、粒子の外接円相当直径のことをいう。
また、粒子形状に大きく違いがない場合、堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて50%体積累積径(D50)を3回測定して、3回測定した値の平均値を平均粒径として代用してもよい。
例えば、ビーズミルにおいては、メディアとなるビーズの径、種類、及び、混合量等を調節することで平均粒径を制御できる。
また、本組成物の第1態様中における抗菌剤の含有量は、組成物全質量に対して、0.0001〜20質量%が好ましく、0.001〜5質量%がより好ましい。
なお、抗菌剤は1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。2種以上の抗菌剤を用いる場合、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
(特定無機酸化物と特定無機酸化物上に担持された抗菌性を有する成分とを含む複合物)
本組成物の第2態様は、特定無機酸化物と特定無機酸化物上に担持された抗菌性を有する成分とを含む複合物を含む。
特定無機酸化物の説明は、上述した通りである。
抗菌性を有する成分としては、主に、抗菌性を示す金属成分が挙げられる。金属成分としては、例えば、銀、亜鉛、水銀、鉄、鉛、ビスマス、チタン、錫、及び、ニッケル等が挙げられる。また、金属成分の態様は特に制限されず、金属粒子、金属イオン、金属酸化物、及び、金属塩(金属錯体を含む)等の形態が挙げられる。
なかでも、組成物の抗菌性がより優れる点で、金属成分は、銀、及び、亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、銀がより好ましい。
なお、複合物は1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。2種以上の複合物を用いる場合、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
本組成物は、上記以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、親水性成分、溶媒、重合開始剤、分散剤、界面活性剤、造膜剤、触媒、香料、紫外線吸収剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、光触媒性材料、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、酸性剤、アルカリ剤、接着性付与剤、酸化防止剤、レベリング剤、艶消し剤、光安定剤、染料、顔料、及び、分散安定剤等の公知の添加剤が挙げられる。
以下、代表的な添加剤について説明する。
本組成物は、親水性バインダー前駆体及び親水性バインダーからなる群より選ばれる親水性成分を含むことが好ましい。
なお、親水性バインダー前駆体とは、縮合及び重合等の硬化反応により親水性バインダーを形成可能な材料を意図である。
また、親水性バインダーは、抗菌剤等を支持可能な親水性の膜を形成できる材料を意図する。親水性バインダーとしては、ガラス基板上に上記親水性バインダーからなる膜を形成した場合、例えば、水接触角が60°以下となるもの好ましく、50°以下となるものが好ましい。水接触角の下限については特に制限はないが、一般に5°以上である。
なお、水接触角は、JIS R 3257:1999の静滴法に基づいて測定を行う。測定には、協和界面科学株式会社製FAMMS DM−701を用いる。
親水性バインダーの具体例としては、ケイ素原子に加水分解性基が結合した化合物の加水分解物、及び、その加水分解縮合物;親水性基を有するポリマー等が挙げられる。それぞれの成分の詳細については、後段で説明する。
なお、親水性基を有するモノマーとは、親水性基と重合性基とを有する化合物を意図する。親水性モノマーは、本組成物が後述する重合開始剤を含む場合、重合して親水性ポリマーを形成する。
以下に、シリケート系化合物、親水性モノマー、及び、親水性ポリマーについて、それぞれ説明する。
本明細書において、シリケート系化合物とは、ケイ素原子に加水分解性基が結合した化合物、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される化合物であり、例えば、下記式(1)で表される化合物、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
式(1) Si−(OR)4
上記式(1)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。
また、式(1)で表される化合物の加水分解縮合物とは、式(1)で表される化合物中のOR基が加水分解し、得られた加水分解物を縮合して得られる化合物を意図する。なお、上記加水分解縮合物としては、すべてのOR基が加水分解され、かつ、加水分解物がすべて縮合されているもの(完全加水分解縮合物)であっても、一部のOR基が加水分解され、一部の加水分解物が縮合しているもの(部分加水分解縮合物)であってもよい。つまり、上記加水分解縮合物は、完全加水分解縮合物、部分加水分解縮合物、又は、これらの混合物であってもよい。
なお、加水分解縮合物の縮合度としては、1〜100が好ましく、1〜20がより好ましく、3〜15が更に好ましい。
nは、3〜15が好ましく、5〜10がより好ましい。
なお、シリケート系化合物は1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
親水性基は特に制限されず、例えば、ポリオキシアルキレン基(例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がブロック又はランダム結合したポリオキシアルキレン基)、アミノ基、カルボキシ基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホン酸基、及び、スルホン酸基のアルカリ金属塩等が挙げられる。親水性モノマー中における親水性基の数は特に制限されないが、得られる膜がより親水性を示す点より、2個以上が好ましく、2〜6個がより好ましく、2〜3個が更に好ましい。
親水性モノマー中における重合性基の数は特に制限されないが、得られる膜の機械的強度がより優れる点で、2個以上が好ましく、2〜6個がより好ましく、2〜3個が更に好ましい。
親水性モノマーは1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
親水性ポリマーの種類は特に制限されず、公知のものを使用できる。なお、親水性基の定義は、上述したとおりである。
親水性ポリマーとしては、上記親水性モノマーを重合して得られるポリマーが挙げられる。それ以外にも、例えば、セルロース系化合物が挙げられる。セルロース系化合物とは、セルロースを母核とする化合物を意図し、例えば、カルボキシメチルセルロースのほか、トリアセチルセルロースを原料とするナノファイバー等が挙げられる。
親水性ポリマーの重量平均分子量は特に制限されないが、溶解性等の取扱い性がより優れる点で、1,000〜1,000,000が好ましく、10,000〜500,000がより好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定でのポリスチレン換算値として定義される。
親水性ポリマーは1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
なお、親水性成分は1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。2種以上の親水性成分を用いる場合、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
本組成物は、溶媒を含むことが好ましい。
溶媒は特に制限されず、水及び/又は有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、フェニルエチルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、及び、ミリスチルアルコール等のアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、及び、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、及び、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及び、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、及び、ジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、及び、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸エチル、及び、プロピオン酸ブチル等のエステル系溶媒;10質量%安息香酸デナトニウムアルコール溶液、ゲラニオール、八アセチル化ショ糖、ブルシン、リナロール、リナリールアセテート、及び、酢酸等の親水性溶媒;が挙げられる。
溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
上記組成物が親水性モノマーを含む場合、上記組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤は特に制限されず、公知の重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、及び、光重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、及び、フェニルフォスフィンオキシド等の芳香族ケトン類;α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物(BASF社製、IRGACURE184、127、2959、及び、DAROCUR1173等);フェニルフォスフィンオキシド系化合物(モノアシルフォスフィンオキサイド:BASF社製 IRGACURE TPO、ビスアシルフォスフィンオキサイド:BASF社製 IRGACURE 819);等が挙げられる。
なかでも、反応効率の点で、光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤は、1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。2種以上の重合開始剤を用いる場合、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
上記組成物が粒子状の抗菌剤を含む場合、本組成物は分散剤を含むことが好ましい。
分散剤は特に制限されず、公知の分散剤が挙げられる。
分散剤としては、ノニオン系又はアニオン系の分散剤が好ましい。抗菌剤に対する親和性の点から、なかでも、カルボキシ基、リン酸基、及び、水酸基等のアニオン性の極性基を有する分散剤(アニオン系分散剤)がより好ましい。
アニオン系分散剤としては、市販品を使用できる。その具体例としては、BYK社の商品名DISPERBYK(登録商標)−110、−111、−116、−140、−161、−162、−163、−164、−170、−171、−174、−180、及び、−182等が挙げられる。
分散剤は、1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。2種以上の分散剤を用いる場合、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
上記組成物がシリケート系化合物を含む場合、組成物は、シリケート系化合物の縮合を促進する触媒(以下「反応触媒」ともいう。)を含んでもよい。
アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び、水酸化テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
有機金属触媒としては、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、及び、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート等のアルミキレート化合物、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、及び、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)等のジルコニウムキレート化合物、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、及び、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)等のチタンキレート化合物、並びに、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、及び、ジブチルスズジオクチエート等の有機スズ化合物等が挙げられる。
触媒の種類は特に制限されないが、有機金属触媒が好ましく、なかでも、アルミキレート化合物、又は、ジルコニウムキレート化合物がより好ましく、アルミキレート化合物が更に好ましい。
触媒は1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。2種以上の触媒を用いる場合、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
上記組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は本組成物の塗布性を向上する作用を有する。
界面活性剤は特に制限されず、例えば、ノニオン性界面活性剤、及び、イオン性界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び、両性型界面活性剤)等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましい。なお、界面活性剤の含有量の上限値は特に制限されないが、組成物の全固形分100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、4質量部以下が更に好ましい。
界面活性剤は1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
上記組成物は、香料を含んでいてもよい。
香料として、長谷川香料社製のフレーバーH−1、H−2、H−3、H−4、H−6、H−9、H−10、H−11、H−12、H−13、H−14、高砂香料工業社製のフレーバーT−100、T−101、T−102、T−103、T−104、T−105、T−106、T−107、EDA−171、曽田香料社製フレーバーS−201、及び、理研香料工業社製フレーバーDA−40等が挙げられる。
香料の含有量は、組成物の全質量に対して、0.01〜5質量%が好ましい。
上記組成物は、造膜剤を含んでいてもよい。ここでいう造膜剤は、上述した、シリケート系化合物、親水性モノマー、及び、親水性ポリマーを含まない。
造膜剤としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。造膜剤は、例えば、後述する膜を形成した場合には、バインダーとして機能する。
以下に、熱可塑性樹脂について説明する。
熱可塑性樹脂は、最低造膜温度が0〜35℃の樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマーからなる樹脂、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、及び、フルオレン環変性ポリエステル樹脂等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル樹脂、又は、ウレタン樹脂が好ましい。
なお、熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
熱可塑性樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂の種類等に応じて適宜調節すればよいが、組成物の全固形分に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
本組成物のpHは特に制限されないが、実使用環境で使用者の手荒れ等を考慮した場合、pHを適切な範囲に調整することが好ましい。
本組成物のpHは、2〜12が好ましく、3〜11がより好ましい。
pH調整の方法としては、本組成物中に、酸及びアルカリを配合する方法が挙げられる。
なお、pHは、市販のpH測定メータ(例えば、東亜ディーケーケー社製のpHメータ HM−30R等)を用いて室温(25℃)で測定できる。
本組成物の粘度は特に制限されず、用途に応じて調整すればよい。
例えば、本組成物を塗布又はスプレー等に適用する場合、本組成物の25℃における粘度は、300cP(センチポアズ:1cp=1mPa・s)以下が好ましく、200cP以下がより好ましく、0.1〜150cPが更に好ましい。
また、抗菌性の効果を長時間持続させる場合は、本組成物の25℃における粘度は、250cP以上が好ましく、300cP以上がより好ましく、400cP以上が更に好ましい。なお、その上限は、例えば、500cP以下が好ましい。
なお、粘度は、東機産業社製VISCOMETER TUB−10、又は、セコニック社製SEKONIC VISCOMETERを用いて測定できる。
本組成物のゼータ電位は、特に限定されないが、本組成物中において、粒状物が適度に分散して耐沈降性により優れることを考慮すると、適切な範囲に調整することが好ましい。上記組成物のゼータ電位は、−80mV〜80mVが好ましく、−70mV〜70mVがより好ましく、−60mV〜60mVが更に好ましい。
なお、ゼータ電位は、公知の方法を用いて測定でき、本組成物をガラス製の専用測定セルに所定量導入し、大塚電子社製 ELSZ1EASを用いて測定できる。
本組成物は、上述した必須成分及び任意成分を、適宜混合することによって調製できる。なお、上記成分の混合の順番は特に制限されない。
本発明のウェットワイパーは、基布と、上記基布に含浸させた本組成物と、を有する。
本組成物は、既に説明したとおりである。
基布の種類は特に制限されず、天然繊維で形成されたものであっても、化学繊維で形成されたものであってもよい。
化学繊維の材料としては、レーヨン、ポリノジック、アセテート、トリアセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート、及び、ポリクラール等が挙げられる。
なかでも、これらの基布のうち、本組成物が含浸しやすい点で、親水性の基布が好ましい。親水性の基布とは、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、アミド基、及び、スルホニル基等の親水性基を有する繊維を含む基布である。親水性の基布としては、具体的には、植物性繊維、綿、パルプ、動物性繊維、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、及び、ポリビニルアルコール等で構成される基布が挙げられる。
また、基布の目付(単位面積当たりの質量)は、100g/m2以下が好ましい。上記本組成物を基布に含浸させる際の含浸量は、基布の質量に対して1倍以上の量が好ましい。
本発明のスプレーは、スプレー容器と、上記スプレー容器に収納された本組成物と、を有する。
本組成物は、既に説明したとおりである。
本発明のスプレーとしては、本組成物と噴射剤とを所定の容器に充填した形態が一例として挙げられる。用いられる噴射剤は特に制限されないが、例えば、液化石油ガス等が挙げられる。
本組成物を基材と接触させることにより表面処理基材を製造できる。つまり、本発明は、本組成物と基材とを接触させて表面処理基材を製造する、表面処理基材の製造方法を含む。
本組成物と基材とを接触させる方法は特に制限されないが、例えば、スプレー法、ロールコータ法、グラビアコータ法、スクリーン法、スピンコータ法、フローコータ法、インクジェット法、静電塗装法、及び、ワイプ法等が挙げられる。なかでも、既存の物品の表面に、需要に応じて膜を形成して処理(オンデマンド処理)ができる点で、スプレー法、又は、ワイプ法が好ましい。
なお、ワイプ法としては、上述したウェットワイパーを用いて、基材を拭いて、本組成物と基材とを接触させる方法が好ましい。
また、スプレー法としては、上述したスプレーを用いて、基材に本組成物を噴霧して、基材と本組成物とを接触させる方法が好ましい。
基材を構成する材料は特に制限されず、例えば、金属、ガラス、セラミックス、及び、プラスチック(樹脂)等が挙げられる。
露光処理は特に制限されないが、例えば、紫外線ランプにより100〜600mJ/cm2の照射量の紫外線を照射する態様が挙げられる。
紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、及び、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
加熱処理の温度は特に制限されないが、例えば、50〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
なお、上記膜厚とは、膜のサンプル片を樹脂に包埋して、ミクロトームで断面を削り出し、削り出した断面を走査電子顕微鏡で観察し測定する。膜の任意の10点の位置における厚みを測定し、それらを算術平均した値を意図する。
容器中でエタノール278gを攪拌しながら、純水152g、シロキサン化合物であるバインダー(三菱化学社製「MKC(登録商標)シリケートMS51」)9.5g、アルミキレートD(アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)、エタノール希釈:固形分濃度1質量%)15g、ノニオン性界面活性剤(日本エマルジョン社製「エマレックス715」、純水希釈:固形分濃度0.5質量%)40g、アニオン性界面活性剤(ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、純水希釈:固形分濃度0.2質量%)10g、を順次加えた後、イソプロパノール15g、分散剤(BYK社製「DISPERBYK(登録商標)−180」)1g、平均粒径を0.5μmに制御した銀担持ガラス(富士ケミカル社製「バクテライト」、固形分含有量25質量%、銀担持ガラスは、ガラス上に銀を担持した抗菌剤に該当)0.16gを加え、ケイ酸アルミニウム(東亞合成製「NS−20」、平均粒径11μm)1.30gを加え、20分間攪拌し、組成物1を得た。
なお、表1中における各略号は、以下の内容を表す。
・抗菌剤1:平均粒径を0.5μmに制御した銀担持ガラス(富士ケミカル社製「バクテライト」)
・抗菌剤2:平均粒径を1.0μmに制御した銀担持リン酸ジルコニウム(東亞合成社製「ノバロン」)
・特定無機酸化物1:ケイ酸アルミニウム(東亞合成社製「NS−20」、平均粒径11μm)
・無機化合物1:リン酸ジルコニウム(東亞合成社製「NS−10」、平均粒径1μm)
・無機化合物2:銅担持ケイ酸アルミニウム(東亞合成社製「NS−20C」、平均粒径3.3μm)
抗菌剤1〜2、特定無機酸化物1、及び、無機化合物1〜2の平均粒径については、電子顕微鏡を用いた観察により測定した。具体的な測定方法は、抗菌剤の平均粒径の測定方法で説明したとおりである。
・「−」:その化合物を用いなかったことを表す。
不織布を準備し、不織布100cm2当たり、各実施例及び比較例の組成物が1g付着するように、不織布に対して組成物を噴射した。次に、得られた組成物付き不織布を25℃にて2日間乾燥し、膜付き基材を得た。
得られた膜付き基材について、JIS Z 2801:2012記載の評価方法に準拠し、特定細菌(Klebsiella pneumoniae [K.pneumoniae])を培養して得た菌液への接触時間を3時間に変更して試験を実施した。試験後の抗菌活性値を測定し、結果を表1の「抗菌性」欄に示した。
なお、表1中「≧3.5」は、「3.5以上」であることを意図する。
上記<抗菌性評価>で得られた膜付き基材(不織布に組成物を噴霧したもの)について、色味が付いているかどうかを目視にて評価した。色味がない場合は、表1の着色性の評価は「無し」、色味がある場合は、表1の着色性の評価は「有り」とした。
Claims (11)
- 銅原子が担持されておらず、かつ、リン原子を含まない無機酸化物と、抗菌剤とを含むか、又は、
前記無機酸化物と前記無機酸化物上に担持された抗菌性を有する成分とを含む複合物を含む、組成物。 - 前記無機酸化物が、ケイ酸塩である、請求項1に記載の組成物。
- 前記抗菌剤が、無機物である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記抗菌剤の平均粒径が0.3μm以上である、請求項3に記載の組成物。
- 前記抗菌剤が、金属を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記金属が、銀である、請求項5に記載の組成物。
- 更に、親水性バインダー前駆体及び親水性バインダーからなる群より選ばれる親水性成分を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記親水性成分が、シリケート系化合物、親水性基を有するモノマー、及び、親水性基を有するポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項7に記載の組成物。
- 基布と、前記基布に含浸させた請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物と、を含む、ウェットワイパー。
- スプレー容器と、前記スプレー容器に収納された請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物と、を含むスプレー。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物と基材とを接触させて表面処理基材を製造する、表面処理基材の製造方法。
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