JPWO2019116990A1 - 液晶配向層及びその製造方法、光学フィルム及びその製造方法、1/4波長板、偏光板並びに有機エレクトロルミネッセンス表示パネル - Google Patents

液晶配向層及びその製造方法、光学フィルム及びその製造方法、1/4波長板、偏光板並びに有機エレクトロルミネッセンス表示パネル Download PDF

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Abstract

エチレン性不飽和結合及び芳香環を含有し逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物と光重合開始剤とを含む配向層組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定された前記液晶性化合物の分子を含む液晶配向層であって、前記液晶配向層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶配向層の層平面に対して傾斜しており、前記液晶配向層が、所定の条件を満たす赤外全反射吸収スペクトルを有する表面を有する、液晶配向層。

Description

本発明は、液晶配向層及びその製造方法、光学フィルム及びその製造方法、1/4波長板、偏光板並びに有機エレクトロルミネッセンス表示パネルに関する。
光学フィルムの一つとして、液晶性化合物を用いて製造されるフィルムが知られている。このフィルムは、一般に、液晶性化合物を含む液晶組成物を配向させ、その配向状態を維持したままで硬化させた硬化物で形成された液晶硬化層を備える。このような光学フィルムとして、特許文献1に記載のものが提案されている。
特許第5363022号公報
光学フィルムが備える液晶硬化層には、通常、液晶性化合物が含まれる。この液晶性化合物の分子は、液晶硬化層の層平面に対して傾斜することがある。このように分子が傾斜した液晶性化合物を含む液晶硬化層を備えた光学フィルムを画像表示装置に設ける場合、良好な視野角特性を得るために、液晶性化合物の分子の傾斜角を適切に調整することが望ましい。
具体的には、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル(以下、適宜「有機EL表示パネル」ということがある。)には、その表示面に、外光の反射を抑制するための反射抑制フィルムとして、円偏光板及び楕円偏光板等の偏光板が設けられることがある。この偏光板は、通常、直線偏光子と位相差フィルムとを組み合わせて含む。表示面を傾斜方向から見た場合に反射を抑制して優れた視野角特性を得る観点から、位相差フィルムは、その厚み方向において複屈折を調整することが好ましい。そこで、厚み方向に適切な複屈折を有する位相差フィルムを実現するために、本発明者らは、液晶性化合物の分子の傾斜角が適切に調整された液晶硬化層を備える光学フィルムの開発を試みた。
また、広い波長範囲において所望の光学的機能を発揮させるためには、前記の位相差フィルムは、逆波長分散性の面内レターデーションを有することが望まれる。そのため、液晶硬化層を備えるフィルムを位相差フィルムとして用いる場合には、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物(以下、適宜「逆分散液晶性化合物」ということがある。)を用いることが望まれる。
ところが、従来の技術では、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくするためには、液晶硬化層とは別に配向膜を設ける必要があった。しかし、配向膜を用いて形成される従来の液晶硬化層は、面状態にムラが生じ易かった。そのため、逆分散液晶性化合物を用いて、面状態に優れ、且つ、優れた視野角特性を有する光学フィルムを製造することは、困難であった。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、逆波長分散性の面内レターデーションを有し、面状態に優れ、且つ、視野角特性に優れた光学フィルムを得ることができる液晶配向層及びその製造方法;逆波長分散性の面内レターデーションを有し、面状態に優れ、且つ、視野角特性に優れた光学フィルム及びその製造方法;前記の液晶配向層又は光学フィルムを備える1/4波長板;前記の液晶配向層又は光学フィルムを備える偏光板;並びに、前記の液晶配向層又は光学フィルムを備える有機エレクトロルミネッセンス表示パネル;を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者らは、エチレン性不飽和結合及び芳香環を含有する逆分散液晶性化合物と光重合開始剤とを含む配向層組成物の硬化物で形成され、且つ赤外全反射吸収スペクトル測定により求められるピーク強度比が所定の要件を満たす表面を有する液晶配向層を用いることにより、逆波長分散性の面内レターデーションを有し、面状態に優れ、且つ、視野角特性に優れた光学フィルムを得ることができることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 エチレン性不飽和結合及び芳香環を含有し逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物と光重合開始剤とを含む配向層組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定された前記液晶性化合物の分子を含む液晶配向層であって、
前記液晶配向層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶配向層の層平面に対して傾斜しており、
前記液晶配向層が、式(i)を満たす表面を有する、液晶配向層。
0.450>X(S)/X(A) (i)
(前記の式(i)において、
X(S)は、前記液晶配向層の前記表面のピーク比Xを表し、
X(A)は、重合していない前記液晶性化合物のピーク比Xを表し、
ピーク比Xは、X=I(1)/I(2)で表される比を表し、
I(1)は、赤外全反射吸収スペクトル測定によるエチレン性不飽和結合の面内変角振動由来のピーク強度を表し、
I(2)は、赤外全反射吸収スペクトル測定による芳香環の不飽和結合の伸縮振動由来のピーク強度を表す。)
〔2〕 前記液晶配向層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、15°以上60°以下である、〔1〕に記載の液晶配向層。
〔3〕 前記光重合開始剤が、オキシムエステル系重合開始剤である、〔1〕又は〔2〕に記載の液晶配向層。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶配向層と、前記配向層組成物に含まれる前記液晶性化合物と同一又は異なる逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物を含む傾斜層組成物の硬化物で形成された液晶傾斜層とを備え、
前記液晶傾斜層が、前記液晶配向層の前記表面に直接に接している、光学フィルム。
〔5〕 測定波長590nmでの前記光学フィルムの面内レターデーションが、100nm以上180nm以下である、〔4〕記載の光学フィルム。
〔6〕 エチレン性不飽和結合及び芳香環を含有し逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物と光重合開始剤とを含む配向層組成物の層を形成する工程と、
前記配向層組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
前記配向層組成物の層を硬化させて液晶配向層を得る工程と、を含み、
前記液晶配向層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶配向層の層平面に対して傾斜しており、
前記液晶配向層が、式(i)を満たす表面を有する、液晶配向層の製造方法。
0.450>X(S)/X(A) (i)
(前記の式(i)において、
X(S)は、前記液晶配向層の前記表面のピーク比Xを表し、
X(A)は、重合していない前記液晶性化合物のピーク比Xを表し、
ピーク比Xは、X=I(1)/I(2)で表される比を表し、
I(1)は、赤外全反射吸収スペクトル測定によるエチレン性不飽和結合の面内変角振動由来のピーク強度を表し、
I(2)は、赤外全反射吸収スペクトル測定による芳香環の不飽和結合の伸縮振動由来のピーク強度を表す。)
〔7〕 前記配向層組成物の層を硬化させて前記液晶配向層を得る工程が、前記配向層組成物に、170mJ/cm以上の紫外線を照射することを含む、〔6〕記載の液晶配向層の製造方法。
〔8〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶配向層の前記表面に、直接に、前記配向層組成物に含まれる前記液晶性化合物と同一又は異なる逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物を含む傾斜層組成物の層を形成する工程と、
前記傾斜層組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
前記傾斜層組成物の層を硬化させて、液晶傾斜層を得る工程と、を含む、光学フィルムの製造方法。
〔9〕 前記液晶配向層の前記表面に直接に前記傾斜層組成物の層を形成する工程が、前記液晶配向層の前記表面にラビング処理を施さないで、前記液晶配向層の前記表面に直接に前記傾斜層組成物の層を形成することを含む、〔8〕記載の光学フィルムの製造方法。
〔10〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶配向層、又は、〔4〕若しくは〔5〕に記載の光学フィルムを備える、1/4波長板。
〔11〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶配向層、又は、〔4〕若しくは〔5〕に記載の光学フィルムを備える、偏光板。
〔12〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶配向層、又は、〔4〕若しくは〔5〕に記載の光学フィルムを備える、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル。
本発明によれば、逆波長分散性の面内レターデーションを有し、面状態に優れ、且つ、視野角特性に優れた光学フィルムを得ることができる液晶配向層及びその製造方法;逆波長分散性の面内レターデーションを有し、面状態に優れ、且つ、視野角特性に優れた光学フィルム及びその製造方法;前記の液晶配向層又は光学フィルムを備える1/4波長板;前記の液晶配向層又は光学フィルムを備える偏光板;並びに、前記の液晶配向層又は光学フィルムを備える有機エレクトロルミネッセンス表示パネル;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶配向層を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る光学フィルムを模式的に示す断面図である。 図3は、ある例に係る液晶配向層のレターデーション比R(θ)/R(0°)を、入射角θに対してプロットしたグラフである。 図4は、傾斜方向から液晶配向層のレターデーションを測定する際の測定方向を説明するための斜視図である。
以下、例示物及び実施形態を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す例示物及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、ある層の「面内方向」とは、別に断らない限り、層平面に平行な方向を表す。
以下の説明において、ある層の「厚み方向」とは、別に断らない限り、層平面に垂直な方向を表す。よって、別に断らない限り、ある層の面内方向と厚み方向とは、垂直である。
以下の説明において、ある面の「正面方向」とは、別に断らない限り、その面の法線方向を表し、具体的には前記面の極角0°の方向を指す。
以下の説明において、ある面の「傾斜方向」とは、別に断らない限り、その面に平行でも垂直でもない方向を表し、具体的には前記面の極角が5°以上85°以下の範囲の方向を指す。
以下の説明において、逆波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N1)を満たす複屈折をいう。このような逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物は、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を発現できる。
Δn(450)<Δn(550) (N1)
以下の説明において、順波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N2)を満たす複屈折をいう。このような順波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物は、通常、測定波長が長いほど、小さい複屈折を発現できる。
Δn(450)>Δn(550) (N2)
以下の説明において、別に断らない限り、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」、「メタクリル酸」及びこれらの組み合わせを包含する用語である。
以下の説明において、ある層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、590nmである。面内レターデーションReは、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定できる。
以下の説明において、固有複屈折値が正の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、固有複屈折値が負の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
以下の説明において、ある層の遅相軸の方向とは、別に断らない限り、面内方向の遅相軸の方向をいう。
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±4°、好ましくは±3°、より好ましくは±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、別に断らない限り、ある層に含まれる液晶性化合物の分子の「傾斜角」とは、その液晶性化合物の分子が層平面に対してなす角度を表し、「チルト角」とも呼ばれることがある。この傾斜角は、液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が層平面となす角度のうち、最大の角度に相当する。また、以下の説明においては、別に断らない限り、「傾斜角」とは、液晶性化合物の分子の、当該液晶性化合物が含まれる層の層平面に対する傾斜角を表す。層平面に対する傾斜角は、その層平面に平行な「面内方向に対する傾斜角」ということがある。
以下の説明において、ある層に含まれる液晶性化合物の分子の「実質最大傾斜角」とは、その層の一方の面での分子の傾斜角が0°であり、且つ分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、液晶性化合物の分子の傾斜角の最大値をいう。通常、液晶性化合物を含む層において、液晶性化合物の分子の傾斜角は、厚み方向において、層の一側に近いほど小さく前記一側から遠いほど大きい。実質最大傾斜角は、このような厚み方向における傾斜角の変化の比率(即ち、一側に近いほど減少し、一側から遠いほど増加するという変化の比率)が一定であると仮定して計算される、傾斜角の最大値を表す。
以下の説明において、置換基を有する基の炭素原子数には、別に断らない限り、前記置換基の炭素原子数を含めない。よって、例えば「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基」との記載は、置換基の炭素原子数を含まないアルキル基自体の炭素原子数が1〜20であることを表す。
[1.液晶配向層]
(1.1.液晶配向層の概要)
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶配向層100を模式的に示す断面図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る光学フィルム200を模式的に示す断面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態に係る液晶配向層100は、当該液晶配向層100上に液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された液晶傾斜層210を形成されるための層である。液晶配向層100上に液晶傾斜層210を形成することを含む製造方法により、光学フィルム200が得られる。
液晶配向層100及び液晶傾斜層210は、いずれも、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された層としての液晶硬化層に相当するが、本願では、区別のために、「液晶配向層」100と「液晶傾斜層」210とを呼び分けている。また、液晶配向層100の形成に用いられる液晶組成物及び液晶傾斜層210の形成に用いられる液晶組成物を区別するため、適宜、液晶配向層100の形成に用いられる液晶組成物を「配向層組成物」と呼び、液晶傾斜層210の形成に用いられる液晶組成物を「傾斜層組成物」と呼ぶ。さらに、以下の説明において、液晶配向層100及び液晶傾斜層210を含む複層構造の液晶硬化層の全体を、「複合液晶層」220と呼ぶことがある。
液晶配向層100は、逆分散液晶性化合物(即ち、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物)、及び、光重合開始剤を含む配向層組成物の硬化物で形成されている。配向層組成物に含まれる前記の逆分散液晶性化合物は、その分子構造に、エチレン性不飽和結合及び芳香環を含有する。この逆分散液晶性化合物は、エチレン性不飽和結合による重合反応が可能であるので、重合性を有する。
配向層組成物の硬化物で形成されているので、液晶配向層100は、配向状態を固定された逆分散液晶性化合物の分子を含む。用語「配向状態を固定された逆分散液晶性化合物」には、逆分散液晶性化合物の重合体が包含される。通常、重合によって逆分散液晶性化合物の液晶性は失われるが、本願においては、そのように重合した逆分散液晶性化合物も、用語「液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物」に含める。液晶配向層100は、配向状態を固定された逆分散液晶性化合物の分子に組み合わせて配向状態を固定されていない逆分散液晶性化合物の分子を含んでいてもよいが、液晶配向層100に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の全てが配向状態を固定されていることが好ましい。
液晶配向層100に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子は、当該液晶配向層100の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。ある液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)「傾斜している」とは、その分子の層平面に対する(即ち面内方向に対する)傾斜角が5°以上85°以下の範囲にあることを表す。このように傾斜した液晶性化合物の分子は、通常、層平面に対して(即ち面内方向に対して)平行でも垂直でもない状態となっている。
また、液晶配向層100は、式(i)を満たす表面100Uを有する。この表面100Uを、以下、適宜「特定面」という。
0.450>X(S)/X(A) (i)
(前記の式(i)において、
X(S)は、液晶配向層100の特定面100Uのピーク比Xを表し、
X(A)は、重合していない逆分散液晶性化合物のピーク比Xを表し、
ピーク比Xは、X=I(1)/I(2)で表される比を表し、
I(1)は、赤外全反射吸収スペクトル測定によるエチレン性不飽和結合の面内変角振動由来のピーク強度を表し、
I(2)は、赤外全反射吸収スペクトル測定による芳香環の不飽和結合の伸縮振動由来のピーク強度を表す。)
以下の説明において、「赤外全反射吸収スペクトル」のことを、適宜「IRスペクトル」ということがある。
式(i)の意義を説明する。液晶配向層100に含まれる配向層組成物の硬化物は、通常、その配向層組成物に含まれる逆分散液晶性化合物が重合して配向状態を固定されることで、硬化したものである。また、一般に、重合性の液晶性化合物の重合反応を完全に進行させきることは困難であることから、前記の硬化物は、残留モノマーとして重合していない逆分散液晶性化合物を含みうる。配向層組成物の硬化の際、逆分散液晶性化合物のエチレン性不飽和結合は重合反応によって消失するが、芳香環の不飽和結合は反応しないので、消失しない。よって、重合していない逆分散液晶性化合物のピーク強度I(1)とピーク強度I(2)との比X(A)は、硬化前の配向層組成物に含まれる逆分散液晶性化合物のエチレン性不飽和結合の割合を示す。また、液晶配向層100の特定面100Uのピーク強度I(1)とピーク強度I(2)との比X(S)は、配向層組成物が硬化して得られた液晶配向層100の特定面100Uにある逆分散液晶性化合物のエチレン性不飽和結合の残留割合を示す。よって、これらの比X(S)/X(A)によれば、液晶配向層100の特定面100Uにおける重合反応の進行度合いを定量的に表すことができる。
したがって、式(i)は、液晶配向層100の特定面100Uにおいて重合反応が大きく進行していることを表す。これにより、液晶配向層100の特定面100Uの耐溶解性が向上する。よって、特定面100Uに傾斜層組成物が塗工されても、傾斜層組成物に含まれる成分によっては液晶配向層100の特定面100Uが溶け難くなる。したがって、特定面100Uが溶けることによる複合液晶層220の表面220Uにおけるムラの発生を抑制できる。
前記のように層平面に対して(即ち面内方向に対して)分子が傾斜した逆分散液晶性化合物を含む液晶配向層100の特定面100Uは、当該特定面100Uに傾斜層組成物の層が形成された場合に、その傾斜層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子を層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜させる作用を有する。よって、液晶配向層100によれば、その特定面100U上に形成される液晶傾斜層210に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくできるので、視野角特性に優れた光学フィルム200を得ることができる。また、液晶配向層100及び液晶傾斜層210の両方が逆分散液晶性化合物を含むので、得られる光学フィルム200は、逆波長分散性の面内レターデーションを有することができる。さらには、前記の液晶配向層100は、特定面100Uに傾斜層組成物が塗工されても、複合液晶層220の表面220Uにムラが発生し難いので、複合液晶層220の良好な面状態を実現できる。したがって、前記のような液晶配向層100によれば、逆波長分散性の面内レターデーションを有し、面状態に優れ、且つ、視野角特性に優れた光学フィルム200を得ることができる。
前記の比X(S)/X(A)の調整方法としては、例えば、配向層組成物の硬化時に照射してもよい紫外線等の活性エネルギー線の照射量、逆分散液晶性化合物の種類、光重合開始剤の種類、光重合開始剤の量、紫外線等の活性エネルギー線照射時の温度等の条件を適切に選択する方法、が挙げられる。
(1.2.逆分散液晶性化合物)
逆分散液晶性化合物は、液晶性を有する化合物であり、通常、当該逆分散液晶性化合物を配向させた場合に、液晶相を呈することができる化合物である。
また、逆分散液晶性化合物は、前記の通り、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物である。ここで、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物とは、当該液晶性化合物の層を形成し、その層において液晶性化合物を配向させた際に、逆波長分散性の複屈折を発現する液晶性化合物をいう。通常は、液晶性化合物をホモジニアス配向させた場合に、液晶性化合物の層が逆波長分散性の複屈折を示すかどうかを調べることで、その液晶性化合物が逆波長分散性の複屈折を発現するかどうかを確認できる。ここで、液晶性化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶性化合物を含む層を形成し、その層における液晶性化合物の分子のメソゲン骨格の長軸方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。液晶性化合物が配向方向の異なる複数種類のメソゲン骨格を含む場合は、それらのうち最も長い種類のメソゲンが配向する方向が、前記の配向方向となる。また、前記の層の複屈折は、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から求められる。
逆分散液晶性化合物は、その分子構造中に、エチレン性不飽和結合及び芳香環を含有する。この逆分散液晶性化合物は、重合性を有する。よって、逆分散液晶性化合物は、液晶相を呈した状態で重合し、液晶相における分子の配向状態を維持したまま重合体となることができる。したがって、液晶配向層において逆分散液晶性化合物の配向状態を固定したり、逆分散液晶性化合物の重合度を高めて液晶配向層の機械的強度を高めたりすることが可能である。また、逆分散液晶性化合物がエチレン性不飽和結合及び芳香環を含有することにより、液晶硬化層においてピーク比Xを用いた重合反応の進行度合いの定量化が可能である。
逆分散液晶性化合物は、当該逆分散液晶性化合物の分子中に、主鎖メソゲンと、前記主鎖メソゲンに結合した側鎖メソゲンとを含む化合物でありうる。主鎖メソゲン及び側鎖メソゲンを含む前記の逆分散液晶性化合物は、当該逆分散液晶性化合物が配向した状態において、側鎖メソゲンが主鎖メソゲンと異なる方向に配向できる。そのため、このように配向した逆分散液晶性化合物の層においては、主鎖メソゲン及び側鎖メソゲンは、異なる方向に配向しうる。このような場合、その層の複屈折は主鎖メソゲンに対応する屈折率と側鎖メソゲンに対応する屈折率との差として発現するので、結果として、逆波長分散性の複屈折を発現できる。
逆分散液晶性化合物の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは800以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。このような範囲の分子量を有する逆分散液晶性化合物を用いることにより、配向層組成物の塗工性を特に良好にできる。
測定波長590nmにおける逆分散液晶性化合物の複屈折Δnは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下である。このような範囲の複屈折Δnを有する逆分散液晶性化合物を用いることにより、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい液晶配向層を容易に得ることができる。さらに、通常は、このような範囲の複屈折Δnを有する逆分散液晶性化合物を用いることにより、配向欠陥の少ない液晶配向層を得やすい。
液晶性化合物の複屈折は、例えば、下記の方法により測定できる。
液晶性化合物の層を作製し、その層に含まれる液晶性化合物をホモジニアス配向させる。その後、その層の面内レターデーションを測定する。そして、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から、液晶性化合物の複屈折を求めることができる。この際、面内レターデーション及び厚みの測定を容易にするために、ホモジニアス配向させた液晶性化合物の層は、硬化させてもよい。
逆分散液晶性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
逆分散液晶性化合物の例としては、下記式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 2019116990
式(I)において、Arは、下記式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基を示す。式(II−1)〜式(II−7)において、*は、Z又はZとの結合位置を表す。
Figure 2019116990
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、E及びEは、それぞれ独立して、−CR1112−、−S−、−NR11−、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる基を表す。また、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。中でも、E及びEは、それぞれ独立して、−S−であることが好ましい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。D〜Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、2〜100である。
〜Dにおける芳香族炭化水素環基の炭素原子数は、6〜30が好ましい。D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基がより好ましい。
〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数1〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数1〜6のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくは炭素原子数1〜6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜10である。Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、およびn−イコシル基等が挙げられる。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール−2−イルチオ基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;及び、ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜12である。Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
〜Dにおける芳香族複素環基の炭素原子数は、2〜30が好ましい。D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、キノリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、およびベンゾピラゾリル基等が挙げられる。中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、フラザニル基、チアゾリル基、及びチアジアゾリル基等の、単環の芳香族複素環基;並びに、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピラジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、及びベンゾチアジアゾリル基等の、縮合環の芳香族複素環基;がより好ましい。
〜Dにおける芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D及びDは、一緒になって環を形成していてもよい。D〜Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、1〜100である。
〜Dにおける非環状基の炭素原子数は、1〜13が好ましい。D〜Dにおける非環状基としては、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基;シアノ基;カルボキシル基;炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;−C(=O)−CH;−C(=O)NHPh;−C(=O)−OR;が挙げられる。中でも、非環状基としては、シアノ基、カルボキシル基、−C(=O)−CH、−C(=O)NHPh、−C(=O)−OC、−C(=O)−OC、−C(=O)−OCH(CH、−C(=O)−OCHCHCH(CH)−OCH、−C(=O)−OCHCHC(CH−OH、及び−C(=O)−OCHCH(CHCH)−C、が好ましい。前記のPhは、フェニル基を表す。また、前記のRは、炭素原子数1〜12の有機基を表す。Rの具体例としては、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、または、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。
〜Dにおける非環状基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びDが一緒になって環を形成している場合、前記のD及びDによって環を含む有機基が形成される。この有機基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式において、*は、各有機基が、D及びDが結合する炭素と結合する位置を表す。
Figure 2019116990
は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
**は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
***は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
****は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、水酸基、及び、−COOR13からなる群より選ばれる基を表す。R13は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
フェニル基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びアミノ基が挙げられる。中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基及びアルコキシ基が好ましい。フェニル基が有する置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、Dは、−C(R)=N−N(R)R、−C(R)=N−N=C(R)R、及び、−C(R)=N−N=Rからなる群より選ばれる基を表す。Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、通常、3〜100である。
は、水素原子;並びに、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、水素原子;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基;からなる群より選ばれる基を表す。
における置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;−SO;−C(=O)−R;−CS−NH−R;が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基と同じである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−SO;−SR;−SRで置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基と同じである。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、Rにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
上述したものの中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;が好ましい。その中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);が特に好ましい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、(1)1以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基、が挙げられる。この芳香族炭化水素環を有する炭化水素環基を、以下、適宜「(1)炭化水素環基」ということがある。(1)炭化水素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019116990
(1)炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。(1)炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の別の好ましい例としては、(2)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。この芳香環を有する複素環基を、以下、適宜「(2)複素環基」ということがある。(2)複素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
Figure 2019116990
Figure 2019116990
Figure 2019116990
Figure 2019116990
Figure 2019116990
Figure 2019116990
Figure 2019116990
Figure 2019116990
(2)複素環基は、置換基を有していてもよい。(2)複素環基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(3)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「(3)置換アルキル基」ということがある。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数1〜12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。(3)置換アルキル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(4)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルケニル基が挙げられる。この置換されたアルケニル基を、以下、適宜「(4)置換アルケニル基」ということがある。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜12のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。(4)置換アルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(5)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルキニル基が挙げられる。この置換されたアルキニル基を、以下、適宜「(5)置換アルキニル基」ということがある。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜12のアルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。(5)置換アルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019116990
の更に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019116990
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019116990
上述したRの具体例は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、1以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基が挙げられる。
また、Rの別の好ましい例としては、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。
Figure 2019116990
式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基は、D〜D以外に更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素原子数1〜6のチオアルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)におけるArの好ましい例としては、下記の式(III−1)〜式(III−10)で表される基が挙げられる。また、式(III−1)〜式(III−10)で表される基は、置換基として炭素原子数1〜6のアルキル基を有していてもよい。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2019116990
式(III−1)及び式(III−4)の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2019116990
Figure 2019116990
Figure 2019116990
Figure 2019116990
Figure 2019116990
式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR21−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。A、A、B及びBが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、3〜100である。中でも、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の芳香族基が好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。中でも、置換されていてもよい炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基が特に好ましい。環状脂肪族基は、トランス体であってもよく、シス体であってもよく、シス体とトランス体との混合物であってもよい。中でも、トランス体がより好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
、A、B及びBにおける芳香族基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、1,4−フェニレン基が特に好ましい。
、A、B及びBにおける芳香族基が有しうる置換基としては、例えば、A、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)において、Y〜Yは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR22−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR22−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR22−、及び、−NR22−C(=O)−NR23−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、G及びGは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH−)の1以上が−O−又は−C(=O)−に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G及びGの前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G及びGの両末端のメチレン基(−CH−)が−O−又は−C(=O)−に置換されることはない。
及びGにおける炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基が挙げられる。
及びGにおける炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数3〜20のアルキレン基が挙げられる。
式(I)において、P及びPは、それぞれ独立して、重合性基を表す。P及びPにおける重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基;ビニル基;ビニルエーテル基;p−スチルベン基;アクリロイル基;メタクリロイル基;等が挙げられる。R31は、水素原子、メチル基、又は塩素原子を表す。中でも、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基が好ましく、CH=CH−C(=O)−O−(アクリロイルオキシ基)、CH=C(CH)−C(=O)−O−(メタクリロイルオキシ基)がより好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
式(I)において、p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
式(I)で表される逆分散液晶性化合物は、例えば、国際公開第2012/147904号に記載される、ヒドラジン化合物とカルボニル化合物との反応により製造しうる。
(1.3.光重合開始剤)
光重合開始剤は、逆分散液晶性化合物の種類に応じて選択しうる。例えば、逆分散液晶性化合物がラジカル重合性であれば、ラジカル重合開始剤を使用しうる。また、逆分散液晶性化合物がアニオン重合性であれば、アニオン重合開始剤を使用しうる。さらに、逆分散液晶性化合物がカチオン重合性であれば、カチオン重合開始剤を使用しうる。
光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、オキシムエステル系重合開始剤がより好ましい。オキシムエステル系重合開始剤とは、オキシムエステル基を含有する重合開始剤である。オキシムエステル系重合開始剤を用いることにより、液晶配向層の耐溶解性を効果的に高めることができるので、複合液晶層の面状態を良好にし易い。
オキシムエステル系重合開始剤としては、例えば、1,2−オクタンジオン,1−(4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム))、エタノン,1−(9−エチル−6(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)−1−(O−アセチルオキシム)、特開2001−233842号公報に記載されたオキシムエステル系重合開始剤、などが挙げられる。また、オキシムエステル系重合開始剤の例を商品名で挙げると、BASF社製のIrgacureOXE01、IrgacureOXE02、IrgacureOXE04;ADEKA社製のアデカオプトマーN−1919T;などが挙げられる。
光重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の量は、逆分散液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。重合開始剤の量が前記範囲に収まることにより、重合を効率的に進行させることができる。
(1.4.配向層組成物)
配向層組成物は、上述した逆分散液晶性化合物及び光重合開始剤を含み、更に、必要に応じて任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
配向層組成物は、任意の成分として、界面活性剤を含んでいてもよい。特に、所望の液晶配向層を安定して得る観点から、界面活性剤としては、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤が好ましい。以下の説明において、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤を、適宜「フッ素系界面活性剤」ということがある。
フッ素系界面活性剤はノニオン系界面活性剤であることが好ましい。フッ素系界面活性剤がイオン性基を含まないノニオン系界面活性剤である場合に、液晶配向層の面状態及び配向性を、特に良好にすることができる。
フッ素系界面活性剤は、重合性を有さなくてもよく、重合性を有していてもよい。重合性を有するフッ素系界面活性剤は、配向層組成物の層を硬化させる工程で重合できるので、通常は、液晶配向層においては重合体の分子の一部に含まれる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンシリーズ(S420など)、ネオス社製のフタージェントシリーズ(251、FTX−212M、FTX−215M、FTX−209など)、DIC社製のメガファックシリーズ(F−444など)等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、逆分散液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは0.03重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは0.50重量部以下、より好ましくは0.30重量部以下である。界面活性剤の量が前記の範囲にあることにより、液晶配向層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を効果的に大きくできる。
配向層組成物は、任意の成分として、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、逆分散液晶性化合物を溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;が挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは60℃〜150℃である。
溶媒の量は、逆分散液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、特に好ましくは300重量部以上であり、好ましくは650重量部以下、より好ましくは550重量部以下、特に好ましくは450重量部以下である。溶媒の量を、前記範囲の下限値以上にすることにより異物発生の抑制ができ、前記範囲の上限値以下にすることにより乾燥負荷の低減ができる。
また、配向層組成物は、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角をより大きくするために、任意の成分として、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる傾斜作用成分を含んでいてもよい。多くの逆分散液晶性化合物は、それ単独で配向させても小さい傾斜角しか得られないが、傾斜作用成分を用ることにより、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜を促進して、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角が大きい液晶配向層を容易に得ることができる。ただし、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜の促進は、液晶配向層を製造する過程において操作又は条件を調整することによっても可能であるので、傾斜作用成分は必ずしも用いなくても構わない。
傾斜作用成分としては、例えば、傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物が挙げられる。ここで、「順分散液晶性化合物」とは、順波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物をいう。また、「傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物」とは、樹脂フィルムのラビング処理面に、液晶性化合物として順分散液晶性化合物を単独で含む組成物を塗工し配向処理を施して試験層を得た場合に、その試験層における順分散液晶性化合物の分子が層平面に対してなす実質最大傾斜角が、30°以上となることができる順分散液晶性化合物をいう。このように傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物は、4.8以上6.7以下のlogPを有するフッ素系界面活性剤と組み合わせて用いることにより、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる。
ここで「logP」とは、1−オクタノール/水分配係数のことをいう。フッ素系界面活性剤のlogPは、下記の測定方法によって測定できる。
フッ素系界面活性剤を1重量%含む試料溶液を調製し、JIS 7260−117:2006{分配係数(1−オクタノール/水)の測定−高速液体クロマトグラフィー}に概ね準拠した方法で、HPLC/ELSD分析(高速液体クロマトグラフィー/蒸発光散乱検出分析)を行って、溶出時間(r.t.)を測定する。他方、JIS 7260−117:2006に記載のある、logPの値が既知の標識化合物に、前記フッ素系界面活性剤と同様にして、HPLC/ELSD分析を行い、溶出時間(r.t.)を測定する。標識化合物の測定結果に基づいて、溶出時間とlogPとの関係を示す検量線を作成する。その後、フッ素系界面活性剤について測定された溶出時間を、前記の検量線に当てはめることにより、フッ素系界面活性剤のlogPを求める。
傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。また、傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物を含む配向層組成物については、特開2018−162379号公報及び特願2017−060154号の明細書の記載を参照してよい。
Figure 2019116990
傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物の量は、逆分散液晶性化合物と傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物との合計100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上、さらに好ましくは10重量部以上であり、好ましくは25重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。このような量の傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物を用いることにより、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きく、且つ、配向欠陥の少ない液晶配向層を、容易に得ることができる。
傾斜作用成分としては、例えば、分子量Mwとπ電子数Npとの比Mw/Npが17以上70以下である(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。この(メタ)アクリル酸エステル化合物の分子量Mwとπ電子数Npとの比Mw/Npは、詳細には、通常17以上、好ましくは23以上であり、通常70以下、好ましくは50以下である。この(メタ)アクリル酸エステル化合物は、フッ素系界面活性剤と組み合わせて用いることにより、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる。
化合物の1分子当たりのπ電子数は、その化合物に含まれる不飽和結合の種類及び数に基づいて求められる。不飽和結合それぞれに含まれるπ電子数の例を挙げると、脂肪族性又は芳香族性の炭素−炭素二重結合(C=C)に含まれるπ電子数は2個、炭素−炭素三重結合(C≡C)に含まれるπ電子数は4個、炭素−窒素二重結合(C=N)に含まれるπ電子数は2個、炭素−窒素三重結合(C≡N)に含まれるπ電子数は4個、窒素−窒素二重結合(N=N)に含まれるπ電子数は2個である。
前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、下記のものが挙げられる。また、前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む配向層組成物については、国際公開第2018/173778号及び特願2017−060122号の明細書の記載を参照してよい。
Figure 2019116990
Figure 2019116990
前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物の量は、逆分散液晶性化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物の合計100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の量を前記の範囲に収めることにより、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる。
また、前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いる場合、フッ素系界面活性剤の量が、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、フッ素系界面活性剤の量は、逆分散液晶性化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物の合計100重量部に対して、好ましくは0.11重量部以上、より好ましくは0.12重量部以上であり、好ましくは0.29重量部以下、より好ましくは0.25重量部以下、特に好ましくは0.20重量部以下である。フッ素系界面活性剤の量が前記の範囲にあることにより、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きく、且つ、配向欠陥の少ない液晶配向層を、容易に得ることができる。
傾斜作用成分としては、例えば、磁場応答性を有する液晶性化合物が挙げられる。ここで、「磁場応答性を有する液晶性化合物」とは、液晶化温度において磁界を印加された場合に、その磁界によって配向状態が変化できる液晶性化合物である。磁場応答性を有する液晶性化合物を含む配向層組成物は、その配向処理の際に適切に磁界を印加されることにより、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる。
磁場応答性を有する液晶性化合物としては、例えば、下記のものが挙げられる。また、磁場応答性を有する液晶性化合物を含む配向層組成物については、特開2018−163218号公報及び特願2017−059327号の明細書の記載を参照してよい。
Figure 2019116990
磁場応答性を有する液晶性化合物の量は、磁場応答性を有する液晶性化合物と逆分散液晶性化合物との合計100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、特に好ましくは3重量部以上であり、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、特に好ましくは20重量部以下である。磁場応答性を有する液晶性化合物の量を前記の範囲に収めることにより、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きく、且つ、配向欠陥の少ない液晶配向層を、容易に得ることができる。
配向層組成物が含みうるその他の任意の成分としては、例えば、金属;金属錯体;酸化チタン等の金属酸化物;染料、顔料等の着色剤;蛍光材料、燐光材料等の発光材料;レベリング剤;チキソ剤;ゲル化剤;多糖類;紫外線吸収剤;赤外線吸収剤;抗酸化剤;イオン交換樹脂;等が挙げられる。これらの成分の量は、逆分散液晶性化合物の合計100重量部に対して、各々0.1重量部〜20重量部としうる。
(1.5.液晶配向層の特性)
液晶配向層は、上述した配向層組成物を硬化した硬化物の層である。前記の配向層組成物の硬化は、通常、当該配向層組成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。よって、液晶配向層は、通常、配向層組成物が含んでいた成分の一部又は全部の重合体を含む。エチレン性不飽和結合を含有する逆分散液晶性化合物が重合性を有し、配向層組成物の硬化時にその逆分散液晶性化合物が重合するので、液晶配向層は、重合前の配向状態を維持したまま重合した逆分散液晶性化合物の重合体を含む層でありうる。前述のように、この重合した逆分散液晶性化合物も、用語「液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物」に含める。
配向層組成物の硬化物においては、硬化前の流動性が失われるので、通常、逆分散液晶性化合物の配向状態は、硬化前の配向状態のまま、固定されている。そして、この液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、当該液晶配向層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。
液晶配向層において、逆分散液晶性化合物の分子のうち、一部が液晶配向層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していてもよく、全部が液晶配向層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していてもよい。通常、液晶配向層において、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角は、厚み方向において、特定面に近いほど大きく、特定面から遠いほど小さい。よって、液晶配向層の特定面の近傍部分では、逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)垂直でありえる。また、液晶配向層の特定面とは反対側の面の近傍部分では、逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)平行でありえる。しかし、このように液晶配向層の表面近傍部分で逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)平行又は垂直である場合であっても、通常は、液晶配向層の表面近傍部分を除いた部分では、逆分散液晶性化合物の分子は層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。
液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶配向層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることは、十分な分解能を有する偏光顕微鏡で液晶配向層の断面を観察することによって、確認できる。この観察は、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜を視認し易くするために、必要に応じて、観察サンプルと偏光顕微鏡の対物レンズとの間に検板として波長板を挿入して実施してもよい。
または、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶配向層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることは、下記のようにして確認できる。液晶配向層の面内の進相軸方向に対して垂直な測定方向で、入射角θにおける液晶配向層のレターデーションR(θ)を測定する。そして、入射角θでの液晶配向層のレターデーションR(θ)を入射角0°での液晶配向層のレターデーションR(0°)で割ったレターデーション比R(θ)/R(0°)を求める。こうして求めたレターデーション比R(θ)/R(0°)を縦軸、入射角θを横軸としたグラフを描いた場合に、得られたグラフがθ=0°に対して非対称であれば、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶配向層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることが確認できる。
以下、例を挙げてより具体的に説明する。図3は、ある例に係る液晶配向層のレターデーション比R(θ)/R(0°)を、入射角θに対してプロットしたグラフである。液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の全ての分子の傾斜角が0°又は90°であると、レターデーション比R(θ)/R(0°)は、図3で破線で示す例のように、θ=0°の直線(図3では、θ=0°を通る縦軸)に対して線対称となる。これに対して、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が液晶配向層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していると、レターデーション比R(θ)/R(0°)は、図3に実線で示す例のように、通常はθ=0°の直線に対して非対称となる。よって、レターデーション比R(θ)/R(0°)がθ=0°に対して非対称である場合には、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶配向層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している、と判定できる。
液晶配向層は、当該液晶配向層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜した逆分散液晶性化合物の分子を含むので、通常、5°以上85°以下の実質最大傾斜角を有する。液晶配向層において、この実質最大傾斜角は、液晶配向層の特定面とは反対側の面での分子の傾斜角が0°であり、且つ、分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角の最大値を表す。この実質最大傾斜角は、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角の大きさを示す指標である。通常、実質最大傾斜角が大きい液晶配向層ほど、その液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の全体として見た傾斜角が大きい傾向がある。
液晶配向層を用いて製造される光学フィルムでは、通常、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きいほど、液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくでき、その結果、複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできる。そして、このように実質最大傾斜角が大きい複合液晶層は、当該複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角が全体として大きいので、その複合液晶層を備える光学フィルムを反射抑制フィルムとしての偏光板に設けた場合に、厚み方向における複屈折の調整を適切に行うことができる。よって、この光学フィルムによれば、表示面の傾斜方向において反射を効果的に抑制することができるので、視野角特性の改善が可能である。
液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の範囲は、液晶配向層及び液晶傾斜層を含めた複合液晶層の全体に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、優れた視野角特性を実現できる範囲に収められるように、適切に調整することが好ましい。通常、液晶配向層の実質最大傾斜角が大きいほど、液晶配向層及び液晶傾斜層を含めた複合液晶層の全体としての実質最大傾斜角を大きくできる。液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の具体的な範囲は、好ましくは15°以上、より好ましくは20°以上、特に好ましくは30°以上であり、好ましくは60°以下である。液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が前記の範囲にあることにより、特に優れた視野角特性を有する光学フィルムを製造し易い。
液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、後述する実施例に記載の測定方法で測定できる。後述する実施例に記載の測定方法によれば、その液晶配向層が逆分散液晶性化合物以外の液晶性化合物を含んでいる場合でも、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を測定することが可能である。
液晶配向層の面内方向においては、逆分散液晶性化合物の分子の配向方向は、通常、均一である。よって、液晶配向層は、通常、液晶配向層を厚み方向から見た逆分散液晶性化合物の分子の配向方向に平行な面内遅相軸を有する。そして、このように面内方向において逆分散液晶性化合物が一定の配向方向に配向するので、液晶配向層は、通常、所定の大きさの面内レターデーションを有する。
液晶配向層は、逆分散液晶性化合物を含む配向層組成物の硬化物によって形成されているので、通常、逆波長分散性の面内レターデーションを有する。ここで、逆波長分散性の面内レターデーションとは、波長450nmにおける面内レターデーションRe(450)及び波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が、下記式(N3)を満たす面内レターデーションをいう。中でも、液晶配向層の面内レターデーションは、下記式(N4)を満たすことが好ましい。このように逆波長分散性の面内レターデーションを有する液晶配向層を、液晶傾斜層と組み合わせることにより、逆波長分散性の面内レターデーションを有する光学フィルムを得ることができる。
Re(450)/Re(550)<1.00 (N3)
Re(450)/Re(550)<0.90 (N4)
液晶配向層の具体的な面内レターデーションの範囲は、この液晶配向層を用いて製造される光学フィルムの用途に応じて任意に設定しうる。特に、光学フィルムと直線偏光子とを組み合わせて、有機EL表示パネル用の反射抑制フィルムとしての偏光板を得るためには、液晶配向層の面内レターデーションは、1/4波長板として機能できる光学フィルムを得られるように設定することが望ましい。
液晶配向層は、式(i)を満たす特定面を有する。より好ましくは、X(S)/X(A)は、通常0.450未満、好ましくは0.370以下、より好ましくは0.320以下である。X(S)/X(A)が前記のように小さいことにより、液晶配向層の特定面の耐溶解性を向上させることができる。よって、特定面に傾斜層組成物が塗工されたときに、傾斜層組成物に含まれる成分によって特定面が溶かされ難くなるので、複合液晶層の表面におけるムラの発生を抑制できる。したがって、面状態に優れた複合液晶層を得ることができる。X(S)/X(A)の下限は、理想的には0であるが、通常は0.100以上である。
前記のピーク比X(S)及びX(A)は、後述する実施例に記載の測定方法でピーク強度I(1)及びI(2)を測定し、それらピーク強度I(1)及びI(2)から計算して求められる。
液晶配向層は、通常、面状態が良好である。よって、液晶配向層は、通常、その厚みのムラが小さく、したがって面内レターデーションのムラを小さくできる。
液晶配向層は、通常、配向欠陥の発生が抑制されている。
液晶配向層の厚みは、好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2.0μm未満、更に好ましくは1.8μm以下、特に好ましくは1.5μm以下である。ある所定の厚み範囲においては、液晶配向層が薄いほど、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできる。よって、ある所定の厚み範囲においては、液晶配向層が薄いほど、液晶配向層の特定面に形成される液晶傾斜層の実質最大傾斜角を効果的に大きくできる。そのため、複合液晶層の実質最大傾斜角を効果的に大きくできるので、視野角特性を大きく改善することができる。中でも、液晶配向層の厚みが2.0μm未満である場合に、この効果は顕著である。液晶配向層の厚みTの下限に特段の制限は無いが、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.3μm以上である。
(1.6.液晶配向層の製造方法)
液晶配向層の製造方法は、所望の液晶配向層が得られる限り、任意である。一実施形態において、液晶配向層は、
(i)配向層組成物の層を形成する工程と;
(ii)配向層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程と;
(iii)配向層組成物の層を硬化させて、液晶配向層を得る工程と;
を含む製造方法により、製造できる。
工程(i)では、通常、適切な支持面に、配向層組成物の層を形成する。支持面としては、配向層組成物の層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、液晶配向層の面状態を良好にする観点から、凹部及び凸部の無い平坦面を用いることが好ましい。また、液晶配向層の生産性を高める観点から、前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。ここで「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。
基材としては、通常、樹脂フィルム又はガラス板を用いる。特に、高い温度で配向処理を行う場合、その温度に耐えられる基材を選択するのが好ましい。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、配向規制力の高さ、機械的強度の高さ、及びコストの低さといった観点から、樹脂としては、正の固有複屈折値を有する樹脂が好ましい。更には、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、ノルボルネン系樹脂等の、脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。基材に含まれる樹脂の好適な例を商品名で挙げると、ノルボルネン系樹脂として、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げられる。
支持面としての基材の表面には、配向層組成物の層における逆分散液晶性化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていることが好ましい。配向規制力とは、配向層組成物に含まれる逆分散液晶性化合物等の液晶性化合物を配向させることができる、面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するため処理としては、例えば、光配向処理、ラビング処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられる。
配向層組成物の層を形成する工程(i)において、配向層組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、支持面に配向層組成物を塗工して、配向層組成物の層を形成する。配向層組成物を塗工する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
配向層組成物の層を形成する工程(i)の後で、配向層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)を行う。配向を行う際には、通常、配向層組成物の層を、所定の温度条件に所定の時間だけ保持する。これにより、配向層組成物の層において、逆分散液晶性化合物等の液晶性化合物が配向する。
通常、面内方向においては、逆分散液晶性化合物は、支持面の配向規制力に応じた方向に配向する。また、配向層組成物が傾斜作用成分を含んでいれば、厚み方向において、逆分散液晶性化合物は、少なくとも一部が層平面に対して(即ち面内方向に対して)大きく傾斜するように配向するので、配向層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることができる。
さらに、工程(ii)は、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい液晶配向層が得られるように、操作又は条件を調整して行うことが好ましい。
例えば、工程(ii)は、配向層組成物の層の温度条件が所定の要件を満たすように行うことが好ましい。具体的には、工程(ii)における配向層組成物の層の温度条件が、試験組成物の残留分粘度が通常800cP以下となる温度条件と同一になるように、行うことが好ましい。前記の試験組成物とは、配向層組成物から光重合開始剤等の重合開始剤を除いた組成を有する組成物である。また、試験組成物の残留分粘度とは、工程(ii)の配向層組成物の層と同一温度条件における、試験組成物の残留成分の粘度である。また、試験組成物の残留成分とは、試験組成物に含まれる成分のうち、工程(ii)の配向層組成物の層と同一温度条件において気化せずに残留した成分である。このような要件を満たすように工程(ii)を行うことで、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることが可能である。
更に詳しく説明する。逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)を、前記の要件を満たすように行う場合、当該工程(ii)は、試験組成物の残留分粘度が所定範囲に収まる温度条件と同一温度条件に、配向層組成物の層を調整して、行う。前記残留分粘度の具体的範囲は、通常800cP(センチポアズ)以下、好ましくは600cP以下、より好ましくは400cP以下、さらに好ましくは200cP以下である。このように試験組成物の残留分粘度が低くなる温度条件と同一温度条件で配向層組成物の層中の液晶性化合物を配向させることにより、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることができる。前記残留分粘度の下限は、所望の厚みの液晶配向層を得る観点から、好ましくは5cP以上、より好ましくは10cP以上である。
工程(ii)の配向層組成物の層と同一温度条件における試験組成物の残留分粘度は、下記の方法によって測定できる。
配向層組成物から重合開始剤を除いた試験組成物を用意する。この試験組成物をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して溶媒を除去し、残留成分を得る。この残留成分について、予め、測定温度を変化させながら粘度を測定し、測定温度とその測定温度での粘度との情報を得る。この情報を、以下、適宜「温度−粘度情報」という。この「温度−粘度情報」から、工程(ii)での配向層組成物の層の温度における粘度を、残留分粘度として読み取る。
工程(ii)の配向層組成物の層と同一温度条件において試験組成物の残留分粘度を上述した範囲に収める方法としては、例えば、下記(A)及び(B)の方法が挙げられる。
(A)逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)における配向層組成物の層の温度を、適切に調整する。この方法では、通常、配向層組成物の層の温度を十分に高温にすることで、この温度と同一温度条件での試験組成物の残留分粘度を低くして、上述した範囲となるように調整する。
(B)配向層組成物の組成を、適切に調整する。この方法では、通常、配向層組成物に含まれる成分として、逆分散液晶性化合物に適切な種類及び量の添加剤を組み合わせることで、当該添加剤を含む試験組成物の残留分粘度を低くして、上述した範囲となるように調整する。
工程(ii)における配向層組成物の層の温度条件の調整については、国際公開第2018/173773号及び特願2017−060159号の明細書の記載を参照してよい。
また、例えば、磁場応答性を有する液晶性化合物を含む配向層組成物を用いる場合には、工程(ii)を、配向層組成物の層に磁界を印加した状態で行うことが好ましい。これにより、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることが可能である。
配向層組成物の層に印加される磁界の向きは、通常は、配向層組成物の層の厚み方向に垂直ではない方向であり、好ましくは、配向層組成物の層の厚み方向に平行な方向である。このような向きの磁界を印加することにより、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を効果的に大きくできる。
配向層組成物の層に印加される磁界の磁束密度は、好ましくは0.2テスラ以上、より好ましくは0.5テスラ以上、特に好ましくは0.8テスラ以上である。このような大きさの磁界を印加することにより、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を効果的に大きくできる。磁界の磁束密度の上限に制限は無く、例えば20.0テスラ以下としうる。磁界の印加については、特開2018−163218号公報及び特願2017−059327号の明細書の記載を参照してよい。
配向処理時の具体的な温度は、逆分散液晶性化合物の液晶化温度以上の範囲で適切に設定され、中でも、基材に含まれる樹脂のガラス転移温度未満の温度であることが好ましい。これにより、配向処理による基材の歪みの発生を抑制できる。
逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)は、通常、オーブン内において行われる。この際、オーブンの設定温度と、そのオーブン内に置かれた配向層組成物の層の温度とは、異なる場合がありえる。この場合、予め、多数のオーブン設定温度において、その設定温度のオーブン内に置かれた配向層組成物の層の温度を測定し、記録しておくことが好ましい。この記録されたオーブンの設定温度とその設定温度のオーブン内に置かれた配向層組成物の層の温度との情報を、以下、適宜「設定温度−層温度情報」という。この「設定温度−層温度情報」を用いれば、オーブン設定温度から、オーブン内に置かれた配向層組成物の層の温度を容易に知ることができる。
逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)において、配向層組成物の層の温度を前記の温度に保持する時間は、所望の液晶配向層が得られる範囲で任意に設定でき、例えば30秒間〜5分間でありうる。
逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)の後で、配向層組成物の層を硬化させて、液晶配向層を得る工程(iii)を行う。この工程(iii)では、通常、逆分散液晶性化合物等の液晶性化合物の一部又は全部を重合させて、配向層組成物の層を硬化させる。重合の際、液晶性化合物は、通常、その分子の配向を維持したままで重合する。よって、前記の重合により、重合前の配向層組成物に含まれる液晶性化合物の配向状態は固定される。
重合は、配向層組成物に活性エネルギー線を照射することを含む方法によって行うことが好ましい。活性エネルギー線の照射によれば、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられる。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。
重合条件は、式(i)を満たす特定面を有する液晶配向層が得られるように、適切に調整することが好ましい。具体的な条件は、配向層組成物の組成によって一様ではないが、例えば、紫外線の照射量は、好ましくは170mJ/cm以上である。このように大きな照射量の紫外線を配向層組成物に照射することにより、逆分散液晶性化合物の重合反応を効果的に進行させることができる。また特に、生産性の観点より、紫外線の照射量は、より好ましくは200mJ/cm以上、特に好ましくは600mJ/cm以上である。上限は、特段の制限は無いが、好ましくは5000mJ/cm以下、より好ましくは4500mJ/cm以下、特に好ましくは4000mJ/cm以下である。
紫外線照射時の温度は、基材のガラス転移温度以下とすることが好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上としうる。
上述した製造方法により、液晶配向層を製造できる。この製造方法では、通常、基材の支持面上に形成された液晶配向層が得られる。
上述した液晶配向層の製造方法は、上述した工程(i)〜工程(iii)に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
例えば、液晶配向層の製造方法は、支持面から液晶配向層を剥離する工程を含んでいてもよい。
前記のような製造方法によれば、長尺の基材を用いて、長尺の液晶配向層を得ることができる。このような長尺の液晶配向層は、連続的な製造が可能であり、生産性に優れる。通常、長尺の液晶配向層を含むフィルムは、巻き取られてロールの状態で保存及び運搬がなされる。
[2.光学フィルム]
(2.1.光学フィルムの概要)
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る光学フィルム200は、液晶配向層100と、この液晶配向層100の特定面100Uに直接に接した液晶傾斜層210とを備える。したがって、光学フィルム200は、液晶配向層100及び液晶傾斜層210を含む複合液晶層220を備える。ある層の面に別の層が「直接に」接するとは、これら2層の間に他の層が無いことをいう。
液晶傾斜層210は、逆分散液晶性化合物を含む傾斜層組成物の硬化物で形成されている。傾斜層組成物の硬化物で形成されているので、液晶傾斜層210は、逆分散液晶性化合物の分子を含む。液晶傾斜層210に含まれる逆分散液晶性化合物の分子は、通常、配向状態を固定されている。液晶配向層100と同じく、重合した逆分散液晶性化合物は、用語「液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物」に含まれる。
液晶傾斜層210に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子は、当該液晶傾斜層210の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。ここで、液晶配向層100の特定面100Uは、当該特定面100Uに形成される液晶傾斜層210に含まれる逆分散液晶性化合物の分子を配向させる配向規制力を有する。この配向規制力は、面内方向においては、液晶傾斜層210に含まれる逆分散液晶性化合物の分子を、液晶配向層100に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の配向方向と同じ方向に配向させようとする。また、前記の配向規制力は、厚み方向においては、液晶傾斜層210に含まれる逆分散液晶性化合物の分子を、当該分子の傾斜角が大きくなるように配向させようとする。よって、液晶配向層100は、液晶傾斜層210に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくする配向膜として機能できる。そのため、液晶配向層100の作用により、液晶傾斜層210に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくできる。よって、液晶配向層100及び液晶傾斜層210を含む複合液晶層220の全体としての逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくすることができる。そして、このように複合液晶層220の全体としての逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角が大きくできることにより、その複合液晶層220を備える光学フィルム200を反射抑制フィルムに設けた場合に、厚み方向における複屈折の調整を適切に行うことができる。したがって、この光学フィルム200によれば、表示面の傾斜方向において反射を効果的に抑制することができるので、視野角特性の改善が可能である。
また、液晶傾斜層210が逆分散液晶性化合物を含むので、当該液晶傾斜層210は、逆波長分散性の面内レターデーションを有する。したがって、液晶配向層100及び液晶傾斜層210の両方が逆波長分散性の面内レターデーションを有するので、それらの層100及び210を含む光学フィルム200は、逆波長分散性の面内レターデーションを有することができる。
さらに、液晶傾斜層210の形成の際に、傾斜層組成物による液晶配向層100の特定面100Uの溶解が抑制される。よって、複合液晶層220の表面220Uにおけるムラの発生を抑制することができるので、複合液晶層220の表面220Uの面状態を良好にできる。
したがって、液晶配向層100及び液晶傾斜層210を組み合わせて含む光学フィルム200は、逆波長分散性の面内レターデーションを有し、面状態に優れ、且つ、視野角特性に優れる。
仮に、傾斜層組成物によっては溶解しない任意の層を液晶配向層100の特定面100U上に設け、この任意の層上に液晶傾斜層210を設けた場合には、面状態の改善が可能になることも考えられる。しかし、この場合には、特定面100Uに液晶傾斜層210が直接には接していないので、特定面100Uの配向規制力を液晶傾斜層210に及ぼすことができない。この事情に鑑みれば、前記の光学フィルム200の構成には、液晶配向層100の特定面100Uの配向規制力を損なわないようにするとの制約を満たしながら、面状態を改善できる点で、特に優れた意義がある。
また、光学フィルム200では、通常、液晶傾斜層210及び複合液晶層220の配向欠陥の発生を抑制できる。
(2.2.液晶傾斜層)
液晶傾斜層は、逆分散液晶性化合物を含む傾斜層組成物の硬化物で形成された層である。傾斜層組成物に含まれる逆分散液晶性化合物としては、逆波長分散性の複屈折を発現できる任意の液晶性化合物を用いることができる。よって、傾斜層組成物に含まれる逆分散液晶性化合物は、エチレン性不飽和結合を含有しない逆分散液晶性化合物であってもよく、芳香環を含有しない逆分散液晶性化合物であってもよいが、エチレン性不飽和結合及び芳香環を含有する逆分散液晶性化合物が好ましい。このような逆分散液晶性化合物としては、配向層組成物に含まれる逆分散液晶性化合物として説明した範囲から任意の逆分散液晶性化合物を選択して用いることができる。これにより、配向層組成物及び液晶配向層において得られたのと同じ利点を、傾斜層組成物及び液晶傾斜層においても得ることができる。傾斜層組成物に含まれる逆分散液晶性化合物は、配向層組成物に含まれる逆分散液晶性化合物と同一でもよく、異なっていてもよい。さらに、傾斜層組成物に含まれる逆分散液晶性化合物としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
さらに、傾斜層組成物は、逆分散液晶性化合物に組み合わせて、必要に応じて任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。任意の成分としては、例えば、配向層組成物が含みうる逆分散液晶性化合物以外の成分を、配向層組成物における前記成分の量の範囲で、用いることができる。これにより、配向層組成物及び液晶配向層において得られたのと同じ利点を、傾斜層組成物及び液晶傾斜層においても得ることができる。
傾斜層組成物は、配向層組成物と異なっていてもよいし、配向層組成物と同一であってもよい。また、本発明の効果を有効に活用できる観点からすると、傾斜層組成物として配向層組成物と同一の液晶組成物を用いることは好ましい。特段の対策をしない場合、ある液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層上に、更にその液晶組成物を塗工すると、通常は、液晶硬化層の表面が溶け、良好な面状態は得られない。これに対し、液晶配向層が前記式(i)を満たす特定面を有することにより、この特定面上に配向層組成物と同一の組成物を傾斜層組成物として塗工しても、特定面は溶け難い。よって、配向層組成物と傾斜層組成物とが同一の組成物である場合には、面状態を改善できるという効果を特に有効に活用することができる。
傾斜層組成物の硬化は、配向層組成物の硬化と同じく、通常、当該傾斜層組成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。よって、液晶傾斜層は、通常、傾斜層組成物が含んでいた成分の一部又は全部の重合体を含む。例えば、逆分散液晶性化合物が重合性を有する場合、その逆分散液晶性化合物が重合するので、液晶傾斜層は、重合前の配向状態を維持したまま重合した逆分散液晶性化合物の重合体を含む層でありうる。
傾斜層組成物の硬化物においては、硬化前の流動性が失われるので、通常、逆分散液晶性化合物の配向状態は、硬化前の配向状態のまま、固定されている。そして、この液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子は、液晶配向層の作用により、当該液晶傾斜層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)大きく傾斜している。よって、液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできる。液晶傾斜層において、この実質最大傾斜角は、液晶配向層側の面での分子の傾斜角が0°であり、且つ、分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角の最大値を表す。この実質最大傾斜角は、液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角の大きさを示す指標である。通常は、実質最大傾斜角が大きい液晶傾斜層ほど、その液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の全体として見た傾斜角が大きい傾向がある。液晶配向層の作用により、通常は、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも、液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、大きくすることができる。
液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、好ましくは45°以上、より好ましくは50°以上、特に好ましくは57°以上であり、好ましくは85°以下である。液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が前記の範囲にあることにより、特に優れた視野角特性を得ることができる。
液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、後述する実施例に記載の測定方法で測定できる。
また、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角との差は、好ましくは5°以上、より好ましくは8°以上、特に好ましくは10°以上であり、好ましくは70°以下、より好ましくは65°以下、特に好ましくは55°以下である。実質最大傾斜角の差が前記の範囲にあることにより、特に優れた視野角特性を得ることができる。
通常、液晶傾斜層の面内方向における逆分散液晶性化合物の分子の配向方向は、液晶配向層の面内方向における逆分散液晶性化合物の分子の配向方向と同じである。
また、液晶傾斜層においては、通常、配向欠陥の発生を抑制できる。
さらに、液晶傾斜層は、通常、面状態が良好である。
液晶傾斜層の厚みは、特段の制限は無く、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、また、好ましくは10.0μm以下、より好ましくは7.5μm以下、さらに好ましくは5.0μm以下、特に好ましくは3.0μm以下である。
(2.3.複合液晶層)
光学フィルムは、逆分散液晶性化合物を含む液晶組成物としての配向層組成物の硬化物で形成された液晶配向層と、逆分散液晶性化合物を含む液晶組成物としての傾斜層組成物の硬化物で形成された液晶傾斜層とを備える。よって、光学フィルムは、逆分散液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された複層構造の液晶硬化層として、液晶配向層及び液晶傾斜層を含む複合液晶層を備える。
液晶配向層及び液晶傾斜層を含むことから分かるように、複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子は、当該複合液晶層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることは、液晶配向層の項において説明した方法と同じ方法によって、確認できる。そして、液晶配向層及び液晶傾斜層を含む複合液晶層では、当該複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を、全体として大きくすることが可能である。したがって、複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできる。
複合液晶層において、実質最大傾斜角は、液晶配向層側の面での分子の傾斜角が0°であり、且つ、分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角の最大値を表す。この実質最大傾斜角は、複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角の大きさを示す指標である。通常は、実質最大傾斜角が大きい複合液晶層ほど、その複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の全体として見た傾斜角が大きい傾向がある。よって、複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできることにより、厚み方向における複合液晶層の複屈折を大きくできる。そして、厚み方向において複合液晶層の複屈折を大きくできることにより、光学フィルムの厚み方向の複屈折を適切に調整できる。したがって、光学フィルムを反射抑制フィルムとしての偏光板に設けた場合に、表示面の傾斜方向において反射を効果的に抑制できるという優れた視野角特性を得ることができる。
複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、通常、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも、大きい。優れた視野角特性を達成する観点では、複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、好ましくは40°以上、より好ましくは46°以上、特に好ましくは56°以上であり、好ましくは85°以下、より好ましくは83°以下、更に好ましくは80°以下である。複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が前記の範囲にあると、光学フィルムの厚み方向の複屈折を適切に調整できる。よって、この光学フィルムを直線偏光子と組み合わせることにより、有機EL表示パネルに設けた場合に高い視野角特性を達成できる偏光板を実現することができる。
複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、後述する実施例に記載の測定方法で測定できる。後述する実施例に記載の測定方法によれば、その複合液晶層が逆分散液晶性化合物以外の液晶性化合物を含んでいる場合でも、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を測定することが可能である。
複合液晶層は、逆分散液晶性化合物を含む液晶配向層及び液晶傾斜層を含むので、逆波長分散性の面内レターデーションを有することができる。よって、複合液晶層の面内レターデーションは、通常は前記の式(N3)を満たし、好ましくは前記の式(N4)を満たす。
液晶配向層では、上述したように、液晶傾斜層の形成による特定面の溶解が抑制されている。これにより、複合液晶層の表面でのムラの発生が抑制される。したがって、複合液晶層の面状態を良好にすることができる。また、このようにムラの発生が抑制されているので、複合液晶層は厚みのバラツキを抑制でき、したがって、面内レターデーションのバラツキを抑制できる。
面内方向においては、複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子は、全体として、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の配向方向と同じ面内方向に配向する。よって、複合液晶層の面内遅相軸は、通常、液晶配向層の面内遅相軸と平行である。
複合液晶層は、通常、配向欠陥の発生が抑制されている。
複合液晶層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは12.5μm以下、より好ましくは9.5μm未満、さらに好ましくは6.8μm以下、特に好ましくは4.5μm以下である。複合液晶層の厚みが前記の範囲にあることにより、面内レターデーション等の特性を所望の範囲に容易に調整することができる。また、このような厚みの複合液晶層は、有機EL表示パネルの反射抑制フィルムに用いられてきた従来の位相差フィルムよりも薄いので、有機EL表示パネルの薄型化に貢献できる。
ところで、複合液晶層は、1層の液晶配向層及び1層の液晶傾斜層のみを含む2層構造の液晶硬化層であってもよいが、3層以上の層を含む液晶硬化層であってもよい。例えば、傾斜層組成物として配向層組成物と同じくエチレン性不飽和結合及び芳香環を含有する逆分散液晶性化合物と光重合開始剤とを含む液晶組成物を用いた場合には、液晶傾斜層として、式(i)を満たす特定面を有する層が得られることがある。この液晶傾斜層は、液晶配向層として機能することができる。よって、この液晶傾斜層上に、更に別の液晶傾斜層を形成することにより、3層以上の層を含む複合液晶層を得ることができる。
複合液晶層において、液晶配向層と液晶傾斜層とは、通常、下記の方法によって区別できる。
複合液晶層を、エポキシ樹脂で包埋して、試料片を得る。この試料片を、ミクロトームを用いて、複合液晶層の厚み方向に平行にスライスして、観察サンプルを得る。この際、スライスは、複合液晶層の面内遅相軸方向と断面とが平行となるように行う。その後、スライスにより現れた断面を、偏光顕微鏡を用いて観察する。この観察は、観察サンプルと偏光顕微鏡の対物レンズとの間に検板として波長板を挿入して、観察サンプルのレターデーションに応じた色を呈した像が見られるように行う。このとき、色が異なる部分を、液晶配向層と液晶傾斜層との境目として、区別できる。
(2.4.任意の層)
光学フィルムは、液晶配向層及び液晶傾斜層のみを含むフィルムであってもよく、液晶配向層及び液晶傾斜層に組み合わせて任意の層を含むフィルムであってもよい。任意の層としては、液晶配向層の製造に用いる基材;位相差フィルム;他の部材と接着するための接着剤層;フィルムの滑り性を良くするマット層;耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層;反射防止層;防汚層;等が挙げられる。
(2.5.光学フィルムの特性)
光学フィルムは、液晶配向層及び液晶傾斜層を含む複合液晶層を備えるので、当該光学フィルムの厚み方向の複屈折を適切に調整できる。したがって、光学フィルムを反射抑制フィルムとしての偏光板に設けた場合に、表示面の傾斜方向において反射を効果的に抑制できるという優れた視野角特性を得ることができる。
優れた視野角特性を実現する観点から、光学フィルムの平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)は、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、特に好ましくは0.93以上であり、また、好ましくは1.15以下、より好ましくは1.12以下、特に好ましくは1.10以下である。ここで、R(±50°)とは、光学フィルムの面内の進相軸方向に対して垂直な測定方向で測定した、入射角θが−50°及び+50°での光学フィルムのレターデーションR(−50°)及びR(+50°)の平均値を表す。また、R(0°)は、入射角0°での光学フィルムのレターデーションを表す。
一般に、画像表示装置の表示面に入射角「+φ」で入射する外光は、出射角「−φ」で反射する。よって、表示面に設けられる反射抑制フィルムが光学フィルムを含む場合、表示面の傾斜方向において外光は入射角「+φ」での往路と出射角「−φ」での復路とを含む経路で光学フィルムを通過する。この経路を通る光の反射を効果的に抑制する観点から、光学フィルムのレターデーション比R(±50°)/R(0°)は、1.00に近いことが好ましい。光学フィルムのレターデーション比R(±50°)/R(0°)が1.00に近い前記の範囲にあることにより、その光学フィルムを含む偏光板によって、傾斜方向における外光の反射を効果的に抑制できる。具体的には、外光が光学フィルムを入射時及び反射時の2回通る間に、その偏光状態を適切に変換して、偏光板の直線偏光子による効果的な遮断を実現することが可能となる。よって、このような光学フィルムは、直線偏光子と組み合わせて偏光板を得た場合に、その偏光板による反射抑制能力を広い入射角範囲において発揮できるので、特に優れた視野角特性を得ることができる。
光学フィルムは、液晶配向層及び液晶傾斜層を含む複合液晶層を備えるので、逆波長分散性の面内レターデーションを有することができる。よって、光学フィルムの面内レターデーションは、通常は前記の式(N3)を満たし、好ましくは前記の式(N4)を満たす。このように逆波長分散性の面内レターデーションを有する光学フィルムは、広い波長範囲においてその光学的機能を発揮できる。よって、この光学フィルムを反射抑制フィルムとしての偏光板に用いた場合に、広い波長範囲において反射を抑制することが可能である。
光学フィルムの具体的な面内レターデーションの範囲は、光学フィルムの用途に応じて任意に設定できる。特に、直線偏光子と組み合わせて、有機EL表示パネル用の反射抑制フィルムとしての偏光板を得るためには、光学フィルムは、1/4波長板として機能できる面内レターデーションを有することが望ましい。ここで、1/4波長板として機能できる面内レターデーションとは、具体的には、測定波長590nmにおいて、好ましくは100nm以上、より好ましくは110nm以上、特に好ましくは120nm以上であり、好ましくは180nm以下、より好ましく170nm以下、特に好ましくは160nm以下である。
光学フィルムが備える複合液晶層は、前記のように良好な面状態を得ることができる。よって、この光学フィルムは、通常、その面内レターデーションのバラツキを抑制できる。したがって、この光学フィルムを用いて製造された反射抑制フィルムでは、通常、その全面において均一に反射の抑制をすることができる。
光学フィルムが備える複合液晶層は、通常、配向欠陥の発生が抑制されている。よって、この光学フィルムを用いれば、面内レターデーションが周囲と異なる光学的な欠陥点の発生を抑制することができる。したがって、この光学フィルムを用いて製造された反射抑制フィルムでは、意図したとおりの反射の抑制ができない箇所の発生を抑制することができる。
光学フィルムは、透明性に優れることが好ましい。具体的には、光学フィルムの全光線透過率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは84%以上である。また、光学フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm〜700nmの範囲で測定できる。また、ヘイズは、ヘイズメーターを用いて測定できる。
光学フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
(2.6.光学フィルムの製造方法)
光学フィルムの製造方法は、所望の光学フィルムが得られる限り、任意である。一実施形態において、光学フィルムは、
(iv)液晶配向層の特定面に、直接に、傾斜層組成物の層を形成する工程と;
(v)傾斜層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程と;
(vi)傾斜層組成物の層を硬化させて、液晶傾斜層を得る工程と、
を含む製造方法により、製造できる。
工程(iv)では、液晶配向層の特定面に、直接に、傾斜層組成物の層を形成する。ここで、ある層の面上に別の層を形成する態様が「直接に」とは、これら2層の間に他の層が無いことをいう。
液晶配向層の特定面に傾斜層組成物の層を形成する前に、前記特定面には、ラビング処理等の配向規制力を付与するための処理を施してもよい。しかし、液晶配向層の特定面は、特段の処理を施さなくても、当該特定面上に形成される傾斜層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を適切に配向させる配向規制力を有する。よって、工程数を減らして光学フィルムの製造を効率的に進める観点では、工程(iv)は、液晶配向層の特定面にラビング処理を施さないで、液晶配向層の特定面に直接に傾斜層組成物の層を形成することを含むことが好ましい。
傾斜層組成物の層を形成する工程(iv)において、傾斜層組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、液晶配向層の特定面に傾斜層組成物を塗工して、傾斜層組成物の層を形成する。傾斜層組成物を塗工する方法としては、例えば、配向層組成物を塗工する方法として説明した方法と同様の例が挙げられる。液晶配向層が逆分散液晶性化合物を含む硬化物で形成されているので、液晶配向層は、通常、逆分散液晶性化合物を含む傾斜層組成物に対して高い親和性を有する。よって、通常は、液晶配向層の特定面に対する傾斜層組成物の塗工性が良好である。さらに、上述したように、液晶配向層の特定面に傾斜層組成物を塗工しても、傾斜層組成物による特定面の溶解は抑制される。よって、液晶配向層の特定面に傾斜層組成物を塗工することにより、面状態の良好な傾斜層組成物の層が形成される。
傾斜層組成物の層を形成する工程(iv)の後で、傾斜層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程(v)を行う。これにより、傾斜層組成物の層において、逆分散液晶性化合物等の液晶性化合物が配向する。
通常、面内方向においては、傾斜層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物は、液晶配向層の特定面の配向規制力により、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の配向方向と同じ方向に配向する。他方、厚み方向においては、傾斜層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物は、少なくとも一部が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜するように配向する。この際、傾斜層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子は、液晶配向層の作用によって、層平面に対して(即ち面内方向に対して)大きく傾斜する。よって、傾斜層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、大きくできる。
また、前記のように、液晶配向層は、傾斜層組成物に対して高い親和性を有する。よって、傾斜層組成物は液晶配向層になじみ、分子の配向が乱され難い。よって、傾斜層組成物では配向状態を面内方向において均一にできる。したがって、工程(v)では、通常、配向欠陥の発生が抑制される。
傾斜層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程(v)における具体的な操作は、配向層組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)と同じにできる。これにより、配向層組成物及び液晶配向層において得られたのと同じ利点を、傾斜層組成物及び液晶傾斜層においても得ることができる。特に、工程(v)では、工程(ii)と同じく、工程(v)における傾斜層組成物の層の温度条件が、当該傾斜層組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が通常800cP以下となる温度条件と同一になるように、行うことが好ましい。
逆分散液晶性化合物を配向させる工程(v)の後で、傾斜層組成物の層を硬化させて、液晶傾斜層を得る工程(vi)を行う。この工程(vi)では、通常、逆分散液晶性化合物等の液晶性化合物の一部又は全部を重合させて、傾斜層組成物の層を硬化させる。重合の際、液晶性化合物は、通常、その分子の配向を維持したままで重合する。よって、前記の重合により、重合前の傾斜層組成物に含まれていた液晶性化合物の配向状態は固定される。
重合方法としては、傾斜層組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。
操作が簡便なことから、重合方法としては、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線照射時の温度は、基材のガラス転移温度以下とすることが好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上としうる。紫外線の照射強度は、好ましくは0.1mW/cm以上、より好ましくは0.5mW/cm以上であり、好ましくは10000mW/cm以下、より好ましくは5000mW/cm以下、更に好ましくは1000mW/cm以下、特に好ましくは600mW/cm以下である。紫外線の照射量は、好ましくは0.1mJ/cm以上、より好ましくは0.5mJ/cm以上であり、好ましくは10000mJ/cm以下、より好ましくは5000mJ/cm以下である。
前記の方法により、液晶配向層及び液晶傾斜層を含む複合液晶層を備えた光学フィルムを得ることができる。
光学フィルムの製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
光学フィルムの製造方法は、例えば、液晶傾斜層上に、更に別の液晶傾斜層を形成する工程を含んでいてもよい。
また、光学フィルムの製造方法は、例えば、液晶傾斜層上に任意の層を形成する工程を含んでいてもよい。
さらには、液晶配向層の液晶傾斜層とは反対側に、任意の層を形成する工程を含んでいてもよい。
また、液晶配向層として基材の支持面上に形成された層を用いた場合、前記の製造方法によれば、基材上に複合液晶層が形成される。この基材及び複合液晶層を含むフィルムを、光学フィルムとして用いてもよい。また、光学フィルムの製造方法は、基材を剥離する工程を含んでいてもよい。この場合、複合液晶層自体を、光学フィルムとして用いることができる。
さらに、光学フィルムの製造方法は、例えば、基材上に形成された複合液晶層を、任意のフィルム層に転写する工程を含んでいてもよい。よって、例えば、光学フィルムの製造方法は、基材上に形成された複合液晶層と任意のフィルム層とを貼り合わせた後で、必要に応じて基材を剥離して、複合液晶層及び任意のフィルム層を含む光学フィルムを得る工程を含んでいてもよい。この際、貼り合わせには、適切な粘着剤又は接着剤を用いてもよい。
前記のような製造方法によれば、長尺の液晶配向層を用いて、長尺の光学フィルムを得ることができる。このような長尺の光学フィルムは、連続的な製造が可能であり、生産性に優れる。また、他のフィルムとの貼り合わせを、ロールトゥロールによって行うことができるので、この点でも、生産性に優れる。通常、長尺の光学フィルムは、巻き取られてロールの状態で保存及び運搬がなされる。
[3.1/4波長板]
本発明の一実施形態に係る1/4波長板は、上述した液晶配向層又は光学フィルムを備える。また、1/4波長板は、液晶配向層又は光学フィルムに組み合わせて、更に任意の層を備えていてもよい。
この1/4波長板は、1/4波長板として機能できる面内レターデーションとして上述した範囲の面内レターデーションを有する。1/4波長板を直線偏光子と組み合わせることで、反射抑制フィルムとして用いることが可能な円偏光板を得ることができる。そうして得られる円偏光板は、逆波長分散性の面内レターデーションを有し、面状態に優れ、且つ、視野角特性に優れた反射抑制フィルムとして用いることができる。
[4.偏光板]
本発明の一実施形態に係る偏光板は、上述した液晶配向層又は光学フィルムを備える。通常、偏光板は、液晶配向層又は光学フィルムに組み合わせて、直線偏光子を備える。この偏光板は、円偏光板又は楕円偏光板として機能できることが好ましい。このような偏光板は、有機EL表示パネルに設けることにより、有機EL表示パネルの表示面の正面方向において外光の反射を抑制できる。このとき、液晶配向層及び光学フィルムが逆波長分散性の面内レターデーションを有するので、広い波長範囲において外光の反射抑制が可能である。また、上述した液晶配向層及び光学フィルムは、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きいことから分かるように、全体として逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角が大きいので、その面内方向だけでなく厚み方向においても複屈折を適切に調整することができる。よって、偏光板は、有機EL表示パネルの表示面の正面方向だけでなく傾斜方向においても外光の反射を抑制できる。したがって、この偏光板を用いることにより、視野角の広い有機EL表示パネルを実現することができる。さらに、液晶配向層及び光学フィルムは、通常、配向欠陥の発生が抑制されているので、意図したとおりの反射の抑制ができない箇所の発生を抑制することができる。
直線偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm〜80μmである。
偏光板を円偏光板として機能させたい場合、直線偏光子の偏光吸収軸に対して液晶配向層又は光学フィルムの遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±4°、特に好ましくは45°±3°である。
偏光板は、直線偏光子、液晶配向層及び光学フィルム以外に、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、直線偏光子と液晶配向層又は光学フィルムとを貼り合わせるための接着層;直線偏光子を保護するための偏光子保護フィルム層;などが挙げられる。
[5.有機EL表示パネル]
本発明の一実施形態に係る有機EL表示パネルは、上述した液晶配向層又は光学フィルムを備える。通常、有機EL表示パネルは、液晶配向層又は光学フィルムを含む前記の偏光板を備える。このような有機EL表示パネルは、通常、表示素子として有機EL素子を含み、この有機EL素子の視認側に、偏光板が設けられる。また、偏光板は、有機EL素子と直線偏光子との間に液晶配向層又は光学フィルムが設けられるように、配置される。そして、このような構成において、前記の偏光板が反射抑制フィルムとして機能できる。
以下、偏光板が円偏光板として機能する場合を例に挙げて、反射抑制の仕組みを説明する。装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが直線偏光子を通過し、次にそれが液晶配向層又は光学フィルムを通過することにより、円偏光となる。円偏光は、有機EL表示パネル内の光を反射する構成要素(有機EL素子の反射電極等)により反射され、再び液晶配向層又は光学フィルムを通過することにより、入射した直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光となり、直線偏光子を通過しなくなる。ここで、直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を意味する。これにより、反射抑制の機能が達成される。このような反射抑制の原理は、特開平9−127885号公報を参照してよい。
有機EL素子は、通常、透明電極層、発光層及び電極層をこの順に備え、透明電極層及び電極層から電圧を印加されることにより発光層が光を生じうる。有機発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また、発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。さらに、有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、等電位面形成層、電荷発生層等の機能層を備えていてもよい。
また、有機EL表示パネルにおいて、液晶配向層又は光学フィルムは、反射抑制フィルム以外の用途で設けられていてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
また、以下に説明する実施例及び比較例で製造された中間フィルム及び光学フィルムに含まれる支持基材は、光学等方性を有するので、レターデーションの測定結果には影響を与えない。そこで、以下に説明する実施例及び比較例におけるレターデーションの測定は、支持基材を含む中間フィルム又は光学フィルムを試料として実施した。
[評価方法]
(1.厚みの測定方法)
層の厚みは、膜厚計(フィルメトリクス社製「F20−EXR」)を用いて測定した。
(2.液晶性化合物のIRスペクトルの測定方法)
試料として、重合していない液晶性化合物を用意した。この液晶性化合物のIRスペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製「FTIR4100」)を用いて測定した。この測定は、前記のフーリエ変換赤外分光光度計に付属の治具(日本分光社製「ATR−PRO450−S」)を用いて、入射角45°において行った。
測定したIRスペクトルから、エチレン性不飽和結合の面内変角振動に由来する1408cm−1のピーク強度I(1)、及び、芳香環の不飽和結合の伸縮振動に由来する1505cm−1のピーク強度I(2)を求めた。
(3.液晶配向層の表面のIRスペクトルの測定方法)
支持基材及び液晶配向層を備えた中間フィルムを、試料として用意した。この中間フィルムの液晶配向層の表面(即ち、支持基材とは反対側の液晶配向層の表面)のIRスペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製「FTIR4100」)を用いて測定した。この測定は、前記のフーリエ変換赤外分光光度計に付属の治具(日本分光社製「ATR−PRO450−S」)を用いて、入射角45°において行った。
測定したIRスペクトルから、エチレン性不飽和結合の面内変角振動に由来する1408cm−1のピーク強度I(1)、及び、芳香環の不飽和結合の伸縮振動に由来する1505cm−1のピーク強度I(2)を求めた。
(4.実質最大傾斜角の測定方法)
図4は、傾斜方向から液晶配向層300のレターデーションを測定する際の測定方向を説明するための斜視図である。図4において、矢印A1は液晶配向層300の面内の遅相軸方向を表し、矢印A2は液晶配向層300の面内の進相軸方向を表し、矢印A3は液晶配向層300の厚み方向を表す。
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、図4に示すように、液晶配向層300のレターデーションを、入射角θが−50°〜50°の範囲で測定した。この際、測定方向A4は、液晶配向層300の面内の進相軸方向A2に対して垂直に設定した。また、測定波長は590nmであった。
測定されたレターデーションから、前記の位相差計に付属の解析ソフトウェア(AxoMetrics社製の解析ソフトウェア「Multi−Layer Analysis」;解析条件は、解析波長590nm、層分割数20層)により、液晶配向層300に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を解析した。
また、光学フィルムが有する複合液晶層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、液晶配向層のレターデーションの代わりに複合液晶層のレターデーションを測定すること以外は、前記の液晶配向層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の測定方法と同じ方法により、測定した。
さらに、光学フィルムが有する液晶傾斜層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、下記の方法によって測定した。
上述した方法により、液晶配向層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、液晶配向層及び液晶傾斜層を含む複合液晶層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角とを測定した。そして、測定したこれらの実質最大傾斜角と、液晶配向層及び液晶傾斜層の厚みとを用いて、液晶傾斜層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を計算した。
(5.複合液晶層の面状態の評価方法)
2枚の偏光板を、互いの偏光透過軸が厚み方向から見て垂直なクロスニコルとなるように重ねた。これら偏光板の間に光学フィルムを設置した。バックライトで照らしながら、光学フィルムに含まれる複合液晶層を目視にて観察した。観察結果から、複合液晶層の面状態を、下記の基準で評価した。
「A」:複合液晶層の面状態が全面でほぼ均一である。これは、液晶配向層が傾斜層組成物の塗工によっても溶解しないことで、面状態に優れた複合液晶層が得られたことを示す。
「C」:複合液晶層の面状態にムラがある。これは、液晶配向層が傾斜層組成物の塗工によって溶解したことで、面状態に劣る複合液晶層が得られたことを示す。
(6.配向欠陥の評価方法)
試料として、複合液晶層を含む光学フィルムを用意した。前記の複合液晶層を、偏光顕微鏡を用いて、クロスニコル下において、透過観察した。この観察の際、対物レンズは20倍に設定した。観察の結果から、下記の基準によって配向欠陥を評価した。なお、比較例1〜9は、下記表2に示すように、複合液晶層の面状態が不良であったことから、適切な配向欠陥の評価は行えなかった。
「A」:全面がほぼ均一で、配向欠陥が認められない。
「C」:配向欠陥が認められる。
(7.逆波長分散性の評価方法)
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、光学フィルムの面内レターデーション(即ち、複合液晶層の入射角0°でのレターデーション)を、測定波長450nm及び550nmで測定した。測定された測定波長450nm及び550nmでの面内レターデーションRe(450)及びRe(550)の値から、光学フィルムの逆波長分散性を、以下の基準で評価した。
「A」:Re(450)/Re(550)<0.9
「B」:0.9≦Re(450)/Re(550)≦1.0
「C」:Re(450)/Re(550)>1.0
(8.視野角特性の評価方法)
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、光学フィルムのレターデーションを、入射角θが−50°〜50°の範囲で測定した。この際、測定方向は、光学フィルムの面内の進相軸方向に対して垂直に設定した。また、測定波長は590nmであった。
入射角θが−50°でのレターデーションR(−50°)及び入射角θが+50°でのレターデーションR(+50°)の平均値R(±50°)を計算した。そして、この平均値R(±50°)を、入射角θが0°の面内レターデーションR(0°)で割って、平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)を求めた。この平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)が1.00に近いほど、より優れた視野角特性を有機EL表示パネルにおいて実現できることを表す。そこで、前記の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)の値に基づいて、下記の基準で視野角特性を評価した。
「A」:0.93≦R(±50°)/R(0°)≦1.10
「B」:0.90≦R(±50°)/R(0°)<0.93
「C」:R(±50°)/R(0°)<0.90
(9.少なくとも一部の液晶性化合物の分子が傾斜していることの確認方法)
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、液晶硬化層(液晶配向層;又は、液晶配向層及び液晶傾斜層からなる複合液晶層)のレターデーションを、入射角θが−50°〜50°の範囲で測定した。この際、測定方向は、液晶硬化層の面内の進相軸方向に対して垂直に設定した。また、測定波長は590nmであった。
測定された入射角θでの液晶硬化層のレターデーションR(θ)を、入射角0°での液晶硬化層のレターデーションR(0°)で割って、レターデーション比R(θ)/R(0°)を求めた。求めたレターデーション比R(θ)/R(0°)を縦軸、入射角θを横軸としたグラフを描いた。得られたグラフがθ=0°に対して非対称である場合、その液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜配向していると判定した。また、得られたグラフがθ=0°に対して対称である場合、その液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の全ての分子が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)平行又は垂直に配向していると判定した。
[実施例1]
(液晶組成物の調製)
下記式で表される重合性を有する逆分散液晶性化合物1(I(1)=0.0147180、I(2)=0.0416006、X(A)=0.354)100重量部、フッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「S420」)0.15重量部、オキシムエステル系の光重合開始剤(BASF社製「IrgacureOXE04」)4.3重量部、並びに、溶媒としてシクロペンタノン148.5重量部及び1,3−ジオキソラン222.8重量部を混合して、液晶組成物を製造した。
Figure 2019116990
(支持基材の用意)
支持基材として、片面にマスキングフィルムが貼り合わせられた熱可塑性のノルボルネン樹脂からなる樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム ZF16」;厚み100μm)を用意した。この支持基材は、レターデーションの無い光学等方性のフィルムであった。この支持基材からマスキングフィルムを剥離し、マスキング剥離面にコロナ処理を施した。次いで、支持基材のコロナ処理面にラビング処理を施した。
(液晶配向層の形成)
支持基材のラビング処理面に、ワイヤーバーを用いて、配向層組成物として前記の液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成した。
次いで、この液晶組成物の層を、145℃に設定したオーブン内で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。前記の加熱条件は、使用した液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が170cPとなる温度条件であった。
その後、液晶組成物の層に窒素雰囲気下で2384mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み1.2μmの液晶配向層を得た。これにより、支持基材及び液晶配向層を含む中間フィルムを得た。
この中間フィルムを用いて、前記の方法により、液晶配向層の支持基材とは反対側の表面におけるピーク強度I(1)及びI(2)、並びに、液晶配向層での実質最大傾斜角を測定した。
(液晶傾斜層の形成)
液晶配向層の表面に、ラビング処理を施すことなく、ワイヤーバーを使用して、液晶配向層の形成に用いた残りの液晶組成物を傾斜層組成物として塗工して、液晶組成物の層を形成した。
次いで、この液晶組成物の層を、前記の液晶配向層の形成工程と同じく145℃に設定したオーブン内で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。
その後、液晶組成物の層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み2.4μmの液晶傾斜層を得た。
これにより、支持基材と、この支持基材上に形成された液晶配向層及び液晶傾斜層を含む複合液晶層とを備える光学フィルムを得た。複合液晶層の厚みは、3.6μmであった。
得られた光学フィルムを用いて、上述した方法で、複合液晶層の面状態、配向欠陥、及び実質最大傾斜角、並びに光学フィルムの逆波長分散性、及び視野角特性を評価した。
[実施例2及び4〜8、並びに、比較例1〜8]
光重合開始剤の種類、及び、液晶配向層を形成する工程において液晶組成物の層への紫外線の照射量を、下記表1に示すように変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、液晶配向層を含む中間フィルム、並びに、複合液晶層を含む光学フィルムの製造及び評価を行った。
[実施例3]
下記式で表される重合性を有する逆分散液晶性化合物2(I(1)=0.0062720、I(2)=0.0173342、X(A)=0.362)100重量部、フッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「S420」)0.15重量部、光重合開始剤(BASF社製「IrgacureOXE04」)4.3重量部、並びに、溶媒としてシクロペンタノン148.5重量部及び1,3−ジオキソラン222.8重量部を混合して、液晶組成物を製造した。
Figure 2019116990
配向層組成物として前記の逆分散液晶性化合物2を含む液晶組成物を用いた。また、液晶配向層を形成する工程において液晶組成物の層への紫外線の照射量を、下記表1に示すように変更した。以上の事項以外は、実施例1における液晶配向層の形成工程と同じ操作により、液晶配向層を含む中間フィルムの製造及び評価を行った。
なお、本実施例3では、液晶組成物の層をオーブン内で加熱する際の加熱条件は、使用した液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が255cPとなる温度条件であった。
こうして得られた中間フィルムの液晶配向層の表面に、実施例1の液晶傾斜層の形成工程と同じ操作により、逆分散液晶性化合物1を含む液晶組成物を用いて液晶傾斜層を形成して、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムを上述した方法で評価した。
[比較例9]
下記式で表される重合性を有する順分散液晶性化合物3(I(1)=0.0197968、I(2)=0.0241261、X(A)=0.821)100重量部、フッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「S420」)0.15重量部、光重合開始剤(BASF社製「IrgacureOXE04」)4.3重量部、並びに、溶媒としてシクロペンタノン148.5重量部及び1,3−ジオキソラン222.8重量部を混合して、液晶組成物を製造した。
Figure 2019116990
配向層組成物として前記の順分散液晶性化合物3を含む液晶組成物を用いた。また、液晶配向層を形成する工程において液晶組成物の層への紫外線の照射量を、下記表1に示すように変更した。以上の事項以外は、実施例1における液晶配向層の形成工程と同じ操作により、液晶配向層を含む中間フィルムの製造及び評価を行った。
こうして得られた中間フィルムの液晶配向層の表面に、実施例1の液晶傾斜層の形成工程と同じ操作により、逆分散液晶性化合物1を含む液晶組成物を用いて液晶傾斜層を形成して、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムを上述した方法で評価した。
[比較例10]
フッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「S420」)の量を、0.15重量部から0.40重量部に変更し、液晶組成物の層をオーブンで加熱する温度を110℃に変更した。これにより、液晶組成物の層をオーブンで加熱する温度において、この液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度は800cPより大きくなった。そのため、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の配向方向は、層平面に平行(即ち面内方向に)平行になった。
また、液晶配向層を形成する工程において液晶組成物の層への紫外線の照射量を、下記表1に示すように変更した。
以上の事項以外は実施例1と同じ操作を行って、液晶配向層を含む中間フィルム、並びに、複合液晶層を含む光学フィルムの製造及び評価を行った。
この比較例10では、中間フィルムに含まれる液晶配向層、及び、光学フィルムに含まれる複合液晶層のいずれにおいても、逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることが確認できなかった。
[結果]
実施例1〜8及び比較例1〜9では、中間フィルムが含む液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子、及び、光学フィルムが含む複合液晶層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることが確認された。
また、光学フィルムの波長590nmでの面内レターデーションは、いずれの実施例でも、143nmであった。
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表1及び表2に示す。下記の表において、略称の意味は、下記の通りである。
逆分散1:逆分散液晶性化合物1。
逆分散2:逆分散液晶性化合物2。
順分散3:順分散液晶性化合物3。
OXE04:BASF社製のオキシムエステル系光重合開始剤「IrgacureOXE04」。
N1919T:ADEKA社製のオキシムエステル系光重合開始剤「アデカオプトマーN−1919T」。
Irg379EG:BASF社製のアミノアルキルフェノン系界面活性剤「Irgacure379EG」。
UV照射量:液晶配向層を形成する工程における液晶組成物の層への紫外線の照射量。
Θ:液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角。
I(1):液晶配向層の表面の赤外全反射吸収スペクトル測定によるエチレン性不飽和結合の面内変角振動由来のピーク強度。
I(2):液晶配向層の表面の赤外全反射吸収スペクトル測定による芳香環の不飽和結合の伸縮振動由来のピーク強度。
Figure 2019116990
Figure 2019116990
[検討]
表1及び表2から分かるように、比較例1〜8では、中間フィルムが有する液晶配向層の表面のX(S)/X(A)が0.450以上である。このような比較例1〜8では、傾斜層組成物の塗工によって液晶配向層が溶け、良好な面状態の複合液晶層が得られなかった。
また、比較例9では、配向層組成物が含む液晶性化合物として順分散液晶性化合物を用いたことにより、逆波長分散性のレターデーションを得ることができなかった。また、この比較例9では、液晶配向層の実質最大傾斜角より、液晶傾斜層の実質最大傾斜角が小さい。よって、比較例9のように順分散液晶性化合物を用いて形成された液晶配向層は、その液晶配向層上に形成される液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくする作用を発揮できないことが分かる。
さらに、比較例10では、液晶配向層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していないので、液晶傾斜層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子を層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜させることができていない。そのため、良好な視野角特性を実現できなかった。
これに対し、実施例1〜8では、逆波長分散性、面状態及び視野角特性の全てにおいて優れた結果が得られている。この結果から、本発明により、逆波長分散性の面内レターデーションを有し、面状態に優れ、且つ、視野角特性に優れた光学フィルムを得られることが確認された。
さらに、実施例1〜8の結果から、本発明の光学フィルムの複合液晶層では、通常、配向欠陥の発生を抑制できることが確認された。
100 液晶配向層
100U 液晶配向層の特定面
200 光学フィルム
210 液晶傾斜層
220 複合液晶層
220U 複合液晶層の表面
300 液晶配向層

Claims (12)

  1. エチレン性不飽和結合及び芳香環を含有し逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物と光重合開始剤とを含む配向層組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定された前記液晶性化合物の分子を含む液晶配向層であって、
    前記液晶配向層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶配向層の層平面に対して傾斜しており、
    前記液晶配向層が、式(i)を満たす表面を有する、液晶配向層。
    0.450>X(S)/X(A) (i)
    (前記の式(i)において、
    X(S)は、前記液晶配向層の前記表面のピーク比Xを表し、
    X(A)は、重合していない前記液晶性化合物のピーク比Xを表し、
    ピーク比Xは、X=I(1)/I(2)で表される比を表し、
    I(1)は、赤外全反射吸収スペクトル測定によるエチレン性不飽和結合の面内変角振動由来のピーク強度を表し、
    I(2)は、赤外全反射吸収スペクトル測定による芳香環の不飽和結合の伸縮振動由来のピーク強度を表す。)
  2. 前記液晶配向層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、15°以上60°以下である、請求項1に記載の液晶配向層。
  3. 前記光重合開始剤が、オキシムエステル系重合開始剤である、請求項1又は2に記載の液晶配向層。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向層と、前記配向層組成物に含まれる前記液晶性化合物と同一又は異なる逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物を含む傾斜層組成物の硬化物で形成された液晶傾斜層とを備え、
    前記液晶傾斜層が、前記液晶配向層の前記表面に直接に接している、光学フィルム。
  5. 測定波長590nmでの前記光学フィルムの面内レターデーションが、100nm以上180nm以下である、請求項4記載の光学フィルム。
  6. エチレン性不飽和結合及び芳香環を含有し逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物と光重合開始剤とを含む配向層組成物の層を形成する工程と、
    前記配向層組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
    前記配向層組成物の層を硬化させて液晶配向層を得る工程と、を含み、
    前記液晶配向層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶配向層の層平面に対して傾斜しており、
    前記液晶配向層が、式(i)を満たす表面を有する、液晶配向層の製造方法。
    0.450>X(S)/X(A) (i)
    (前記の式(i)において、
    X(S)は、前記液晶配向層の前記表面のピーク比Xを表し、
    X(A)は、重合していない前記液晶性化合物のピーク比Xを表し、
    ピーク比Xは、X=I(1)/I(2)で表される比を表し、
    I(1)は、赤外全反射吸収スペクトル測定によるエチレン性不飽和結合の面内変角振動由来のピーク強度を表し、
    I(2)は、赤外全反射吸収スペクトル測定による芳香環の不飽和結合の伸縮振動由来のピーク強度を表す。)
  7. 前記配向層組成物の層を硬化させて前記液晶配向層を得る工程が、前記配向層組成物に、170mJ/cm以上の紫外線を照射することを含む、請求項6記載の液晶配向層の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向層の前記表面に、直接に、前記配向層組成物に含まれる前記液晶性化合物と同一又は異なる逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物を含む傾斜層組成物の層を形成する工程と、
    前記傾斜層組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
    前記傾斜層組成物の層を硬化させて、液晶傾斜層を得る工程と、を含む、光学フィルムの製造方法。
  9. 前記液晶配向層の前記表面に直接に前記傾斜層組成物の層を形成する工程が、前記液晶配向層の前記表面にラビング処理を施さないで、前記液晶配向層の前記表面に直接に前記傾斜層組成物の層を形成することを含む、請求項8記載の光学フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向層、又は、請求項4若しくは5に記載の光学フィルムを備える、1/4波長板。
  11. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向層、又は、請求項4若しくは5に記載の光学フィルムを備える、偏光板。
  12. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向層、又は、請求項4若しくは5に記載の光学フィルムを備える、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル。
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