JPWO2019078152A1 - 反応方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の液体を供給および除去する方法では、ピペットノズルに装着された樹脂製のピペットチップの先端位置をフォトセンサで検出している。そして、ピペットチップの先端位置の情報に基づいて、ピペットノズルの位置を調整して、液体を精度よく供給および除去している。
特許文献2に記載の方法では、このようなピペットチップの熱膨張による先端位置ズレの課題に対して、反応工程時の推定温度に基づくか、反応工程時に測定したピペットチップの温度に基づいてピペットチップ先端位置を補正し、送液、吸液時の流路底面からのピペットチップ先端位置を制御することを行っている。
前記ピペットチップを設定温度に従って加熱、保温するヒーターを前記ピペットノズルの先端方向の前記ピペットチップの装着位置に近接して配置し、
前記ピペットチップを前記ピペットノズルに装着するとともに、前記ヒーターにより前記ピペットチップを第一の設定温度で加熱し、
前記第一の設定温度による前記ピペットチップの加熱時間が設定時間を経過した時点で、前記ヒーターを前記第一の設定温度より低い第二の設定温度に切り替えて前記ピペットチップを第二の設定温度で保温し、
前記第二の設定温度に切り替えた時点以降に、前記ピペットノズルの軸方向の前記ピペットチップの先端位置を検出し、
検出した前記先端位置を基準に、前記ピペットノズルの軸方向移動制御により前記ピペットチップの先端位置を制御して前記反応工程を実行し、当該反応工程中の少なくとも前記ピペットチップによる作業工程までは前記ヒーターによる前記第二の設定温度での前記ピペットチップの保温を続行する反応方法である。
以上のようにして反応工程中のピペットチップの先端位置を、反応工程前に正確かつ短時間に検出できる。
図1に示すようにピペットノズル1の先端部にピペットチップ2が装着される。ヒーター3をピペットノズル1の先端方向のピペットチップ2の装着位置に近接して配置する。ヒーター3は、ピペットノズル1に装着されたピペットチップ2を加温対象とする。
制御装置10は、本実施形態の反応方法を実施する分析装置の動作を司る。本発明に関係するところとしては、制御装置10は、ノズル移動アクチュエーター11を介してピペットノズル1を軸方向Zに移動制御し、検出チップ20の流路底面21に対するピペットチップ2の先端の高さを制御する。また、制御装置10は、ヒーター駆動回路12を介してヒーター3の出力を制御する。また、制御装置10は、先端位置検出手段13を制御して軸方向Zのピペットチップ2の先端位置を検出させ、そのZ軸座標を取得する。先端位置検出手段13としては、特許文献1に記載されるような光学センサーでもよいし、特許文献2に記載されるようなピペットチップ2からの空気圧を測定する構成でもよく、本発明ではピペットチップ2の先端位置を検出する手段や方法は限定されない。
次に図2のフローチャートを参照しつつ本実施形態の反応方法の手順を説明する。制御装置10の制御により以下の手順を実行する。
まず、ピペットチップ2をピペットノズル1に装着する。この時既にヒーター3を第一の設定温度に出力を調整しておく。反応工程に短時間で移行できるようにするためである。
したがって、ピペットチップ2をピペットノズル1に装着するとともに、ヒーター3によりピペットチップ2を第一の設定温度で加熱することが開始される(ステップS1)。
ステップS3で第二の設定温度に切り替えてから、ここまで第二の設定温度を維持する。但し、反応工程中の少なくともピペットチップ2による作業工程までヒーター3による第二の設定温度でのピペットチップ2の保温を続行すればよい。ピペットチップ2による作業が済んだ後は必要ないからである。
図3から図14は、軸方向Zについてのピペットチップ2の先端位置の時間変化を示したグラフである。図3から図8は比較例に係り、図9から図14は本発明例に係る。但し、反応工程及び反応工程のための基準となる先端検出を行わず、一定の時間レートでピペットチップ2の先端の検出を行ったものである。
グラフのN1,N2,N3は、ピペットチップ2のサンプルの違いによる。
比較例では、ヒーター3を一の設定温度で維持する。比較例では、ピペットチップ2をピペットノズル1に装着した時点(従ってヒーター3による加熱が開始された時点)がグラフ横軸である時間軸の0に相当する。
本発明例では、ヒーター3を第一の設定温度から第二の設定温度に変遷させる。本発明例では、第二の設定温度に切り替えた時点がグラフ横軸である時間軸の0に相当する。
図3に示す比較例1においては、設定温度を40℃とし、環境温度は10℃である。
図4に示す比較例2においては、設定温度を40℃とし、環境温度は23℃である。
図5に示す比較例3においては、設定温度を40℃とし、環境温度は30℃である。
図7に示す比較例5においては、設定温度を45℃とし、環境温度は23℃である。
図8に示す比較例6においては、設定温度を45℃とし、環境温度は30℃である。
図10に示す本発明例2においては、第一の設定温度を50℃、第一の設定時間を5〔s〕、第二の設定温度を40℃とし、環境温度は23℃である。
図11に示す本発明例3においては、第一の設定温度を50℃、第一の設定時間を5〔s〕、第二の設定温度を40℃とし、環境温度は30℃である。
図13に示す本発明例5においては、第一の設定温度を50℃、第一の設定時間を10〔s〕、第二の設定温度を40℃とし、環境温度は23℃である。
図14に示す本発明例6においては、第一の設定温度を50℃、第一の設定時間を10〔s〕、第二の設定温度を40℃とし、環境温度は30℃である。
収束点±10μmの範囲に変動量が収束した時点(Tc)を複数サンプルの平均値で計算し、グラフ中と表Iに示した。収束点は最後から10点のデータの平均値とした。表Iにおいて本発明例については第一の設定時間を加算した値を併記する。
図1、図2、図9から図14に示すように本発明例によれば、ピペットチップ2の先端位置の検出時と反応工程中は第二の設定温度によりピペットチップの温度が維持されるから、反応工程中のピペットチップの先端位置を、反応工程前に正確に検出できる。
また本発明例によれば、先に第二の設定温度より高い第一の設定温度によるピペットチップ2の加熱時間があるため、第二の設定温度に切替後早期に温度を収束させることができ、比較例1−6に比較してもピペットチップの装着時(ヒーターによる加熱開始時)から短時間でピペットチップ2の先端位置の検出を行うことができる。ピペットチップ2の装着当初から第二の設定温度(反応工程時の設定温度)であると、ピペットチップ2の先端位置が収束するまで長時間を要する。本発明では高温予熱期間として第一の設定温度での加熱期間を置き、第二の設定温度での熱環境下での収束点に急速にピペットチップ2を膨張させることで、収束を早期に迎えることができる。これにより早期に先端位置検出、反応工程への移行が可能となる。
本実施形態によれば以上のようにして反応工程中のピペットチップの先端位置を、反応工程前に正確かつ短時間に検出できる。
2 ピペットチップ
3 ヒーター
10 制御装置
11 ノズル移動アクチュエーター
12 ヒーター駆動回路
13 先端位置検出手段
20 検出チップ
Tc 収束時間
Claims (5)
- ピペットノズルに装着された、液体を吸引または排出するためのピペットチップを用いて、反応場に液体の供給及び前記反応場からの液体の除去を複数回行うことで2以上の物質を反応させる反応工程を含む反応方法であって、
前記ピペットチップを設定温度に従って加熱、保温するヒーターを前記ピペットノズルの先端方向の前記ピペットチップの装着位置に近接して配置し、
前記ピペットチップを前記ピペットノズルに装着するとともに、前記ヒーターにより前記ピペットチップを第一の設定温度で加熱し、
前記第一の設定温度による前記ピペットチップの加熱時間が設定時間を経過した時点で、前記ヒーターを前記第一の設定温度より低い第二の設定温度に切り替えて前記ピペットチップを第二の設定温度で保温し、
前記第二の設定温度に切り替えた時点以降に、前記ピペットノズルの軸方向の前記ピペットチップの先端位置を検出し、
検出した前記先端位置を基準に、前記ピペットノズルの軸方向移動制御により前記ピペットチップの先端位置を制御して前記反応工程を実行し、当該反応工程中の少なくとも前記ピペットチップによる作業工程までは前記ヒーターによる前記第二の設定温度での前記ピペットチップの保温を続行する反応方法。 - 前記ピペットチップは樹脂製であり、前記ピペットチップの線膨張係数は、5.8×10−5/℃以上である請求項1に記載の反応方法。
- 前記第一の設定温度を、前記第二の設定温度より10〜15℃高く設定する請求項1又は請求項2に記載の反応方法。
- 前記設定時間を、5〜10〔s〕とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の反応方法。
- 前記第二の設定温度に切り替えた時点から10〜20〔s〕経過後に、前記ピペットチップの先端位置を検出し、検出した前記先端位置を基準に、前記ピペットノズルの移動制御により前記ピペットチップの先端位置を制御して前記反応工程を実行する請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の反応方法。
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