JPWO2019074064A1 - 異方性導電フィルムおよび積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、半導体素子等の電子部品は、ダウンサイジング化が顕著である。従来のワイヤーボンディングのような配線基板を直接接続する方式、フリップチップボンディング、およびサーモコンプレッションボンディング等では、電子部品の電気的な接続の安定性を十分に保証することができないため、電子接続部材として異方性導電部材が注目されている。
半導体素子の性能向上は著しく、今まで数個の半導体素子でなければ処理できなかったことが、1つの半導体素子で処理ができるようになってきている。この状況では、半導体素子の電極数または端子数が増え、半導体素子と接続する場合、接続数が大幅に増える傾向にある。
また、半導体素子の性能向上により、半導体素子のサイズも、今までの半導体素子と同等か、またはより小さくなっていく。このため、半導体素子に設けられる電極または端子の配置ピッチは狭くなる傾向にあり、異方性導電フィルムに要求されるライン(L)とスペース(S)が狭くなる。しかしながら、ライン(L)/スペース(S)が、例えば、5μm/5μmと小さい場合、ラインの幅と、異方性導電フィルムに使用されている導電性粒子とがほぼ同じになる。この場合、上述の特許文献1の異方性導電フィルムであっても、導電性および密着性に関し、良好な接続が望めないのが現状である。
板状の導電性粒子の含有量は、2〜6体積%であることが好ましい。
板状の導電性粒子は、表面に導電層が形成された磁性粒子であることが好ましい。
電極または配線は、部材の表面に対して突出しており、電極または配線の突出量は、異方性導電フィルムの厚みの1/3以下であることが好ましい。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α1〜数値β1とは、εの範囲は数値α1と数値β1を含む範囲であり、数学記号で示せばα1≦ε≦β1である。
「具体的な数値で表された角度」、「平行」、「垂直」および「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
図1および図2に示すように、異方性導電フィルム10は、板状の導電性粒子13と、板状の導電性粒子13を含有する硬化性樹脂層14とを有する。異方性導電フィルム10は、板状の導電性粒子13により、厚み方向Dに導電性を有するものである。異方性導電フィルム10は異方導電性を示す。
板状の導電性粒子13の表面13aの向きは、全ての板状の導電性粒子13で揃っていてもよく、揃っていないランダムな状態でもよいが、板状の導電性粒子13の充填率を高くし、かつ硬化性樹脂層14と被接続対象との接触面積を確保できること、および導通の安定性の観点から、板状の導電性粒子13は、表面13aが揃って配向されていることが好ましい。
上述の1.1B≦T≦1.4Bであれば、異方性導電フィルム10を用いて被接続対象を接続した場合、導電性および密着性が優れる。
硬化性樹脂層の厚みTが、T<1.1Bでは、圧着時に、板状の導電性粒子13は斜めに傾き、導通安定性を欠く。さらには、板状の導電性粒子の先端と電極との間を硬化性樹脂層14で埋めきれなくなるため密着力が低下する。
硬化性樹脂層の厚みTが、T>1.4Bでは、圧着時に、板状の導電性粒子13が倒れて導通不良となる。
また、平均粒子直径Bは、10μm未満であることが好ましい。平均粒子直径Bが10μmを超えると板状の導電性粒子13が大きくなり、ラインアンドスペースが、数μmと小さい場合、板状の導電性粒子13が、ラインアンドスペースのラインの幅よりも相対的に大きくなり導電性の確保が困難になる。なお、ラインの幅が5μmの場合、平均粒子直径Bは1.3μm程度である。
ここで、図4に示すように板状の導電性粒子13の表面13aの任意の点Cの法線Nと、任意の点Cを通る、硬化性樹脂層14の厚み方向Dと平行な線Lとのなす角γの角度をαとする。平行に配向とは、図4に示す角γの角度αが70°≦α≦110°であることをいう。すなわち、角度αが70°≦α≦110°の範囲であれば平行とする。角度αは、好ましくは75°≦α≦105°であり、より好ましくは85°≦α≦95°である。
例えば、図6に示すように、下側に配置された第1の配線基板20と上側に配置された第2の配線基板24との間に異方性導電フィルム10が配置される。第1の配線基板20の電極22と第2の配線基板24の電極26とにより異方性導電フィルム10を挟む。この状態で、所定の温度にした後、第1の配線基板20と第2の配線基板24とを加圧して図7に示すように第1の配線基板20の電極22と第2の配線基板24の電極26とが異方性導電フィルム10を介して接合される。この場合、加熱および加圧により硬化性樹脂層14の厚みが減少し、基材21に設けられた電極22と、基材25に設けられた電極26との間に配置された板状の導電性粒子13により、電極22と電極26とが電気的に接続され、電極22と電極26とが導通する。また、異方性導電フィルム10の硬化性樹脂層14により電極22と電極26とが接着され、電極22と電極26とが物理的に接続される。なお、第1の配線基板20と第2の配線基板24とのうち、いずれか一方はIC(Integrated Circuit)チップでもよい。
また、図24に示すように、硬化性樹脂層の厚みTが、T=Bの従来の異方性導電フィルム100を、第1の配線基板20と第2の配線基板24とで挟む。この状態で、所定の温度にした後、第1の配線基板20と第2の配線基板24とを加圧し、図25に示すように第1の配線基板20の電極22と第2の配線基板24の電極26とが異方性導電フィルム100を介して接合する。この場合、圧着時の加熱により、低粘度化した硬化性樹脂層が外に流れやすくなり、電極22、26が板状の導電性粒子を直接加圧することとなる。このため、板状の導電性粒子13は斜めに傾き、導通安定性を欠く。さらには、板状の導電性粒子の先端と電極との間を硬化性樹脂層14で埋めきれなくなるため、密着力が低下する。
基材21、25には目的に応じたものが適宜利用され、例えば、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、およびシクロオレフィンポリマー(COP)基板等が用いられる。
また、電極22、26は、金属電極であり、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、それらの合金、またはITO(Indium Tin Oxide)等、目的に応じたもので構成される。
電極22、26同士の配置間隔、すなわち、ラインアンドスペースとも呼ばれる電極の幅と、電極の間隔とは狭いことが望まれ、電極の幅と電極の間隔とは、それぞれ10μm未満であることが望ましく、5μm未満であることがより望ましく、さらに望ましくは1μm未満である。
電極高さは、電極がめっきで形成されている場合には、めっき時間、およびめっき液の種類によって調整することができる。また、電極が金属箔で形成されている場合には、金属箔の厚みを変えることにより調整することができる。
電極または配線を有する部材は、例えば、半導体素子、および配線基板である。
図8は半導体素子の端子の構成の一例を示す模式的断面図であり、図9は半導体素子の端子の構成の他の例を示す模式的断面図である。
半導体層32の表面32a上に再配線層34が設けられている。再配線層34では、半導体層32の素子領域に電気的に接続される配線37が設けられている。配線37にパッド38が設けられており、配線37とパッド38は導通する。配線37とパッド38とにより、素子領域との信号の授受が可能となり、かつ素子領域への電圧等の供給ができる。
また、再配線層34には、配線37が設けられていないが、パッド38だけが設けられている。配線37に設けられていないパッド38に端子30bが設けられている。端子30bは半導体層32と電気的に接続されていない。
端子30aおよび端子30bに異方性導電フィルム10が設けられることにより、他の部材と電気的に接続される。
突出量δが異方性導電フィルム10の厚みの1/3以下であれば、割れまたは接着不良等が生じることなく異方性導電フィルム10と安定して接続される。
突出量δが異方性導電フィルム10の厚みの1/3を超えると、割れまたは接着不良等が生じ、異方性導電フィルム10との接続安定性が損なわれる恐れがある。
また、異方性導電フィルム10で2つの電極で接続する場合、突出量δを異方性導電フィルム10の厚みの1/3以下とするには、少なくとも一方の電極であればよい。この場合、突出量δが異方性導電フィルム10の厚みの1/3以下の電極から異方性導電フィルム10と接続することが好ましい。
なお、異方性導電フィルム10の厚みは、上述の硬化性樹脂層の厚みTのことである。
端子30aの端面30cと端子30bの端面30cは、いずれもパッシベーション層36の表面36aから最も離れた位置にある面のことであり、一般的に上面と呼ばれる面のことである。
再配線層34は、電気的に絶縁性を有するもので構成され、例えば、ポリイミドで構成される。
また、パッシベーション層36も、電気的に絶縁性を有するもので構成され、例えば、窒化珪素(SiN)またはポリイミドで構成される。
配線37およびパッド38は、導電性を有するもので構成され、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金等で構成される。
なお、端子30aおよび端子30bは、導電性を有するものであればよく、金属または合金で構成されることに限定されるものではなく、半導体素子分野において端子、電極または電極パッドと呼ばれるものに用いられる材料を適宜利用可能である。
端子30aおよび端子30bにおいても、端子30aの幅WLおよび端子30bの幅WLと、端子30aの間隔WSおよび端子30bの間隔WSは狭いことが望まれ、端子30aの幅WLおよび端子30bの幅WLと端子30aの間隔WSおよび端子30bの間隔WSとは、それぞれ10μm未満であることが好ましく、より好ましくは5μm未満であり、さらに好ましくは1μm未満である。この場合でも、異方性導電フィルム10を用いることにより、優れた導通性および密着性を得ることができる。
また、図10に示す積層体40のように、異方導電性を示す異方性導電フィルム10を介して半導体素子42と半導体素子44とを積層方向Dsに接合して、半導体素子42と半導体素子44とを電気的に接続する構成でもよい。図11に示す積層体40では半導体素子42と半導体素子44との導電性および密着性が優れる。
半導体素子42、44は、例えば、図11に示すように複数の端子45を有する。端子45の大きさが、1辺10μmの矩形で、端子45の間隔が10μmであっても、上述の異方性導電フィルム10を用いることにより、半導体素子42と半導体素子44とを電気的に接続することができる。
図12に示す積層体40のように、異方性導電フィルム10を介して半導体素子42と半導体素子44と半導体素子46を積層方向Dsに積層して接合し、かつ電気的に接続した構成としてもよい。図12に示す積層体40では半導体素子42と半導体素子44と半導体素子46との導電性および密着性が優れる。
また、図13に示す積層体40のように光学センサとして機能するものでもよい。図13に示す積層体40は、半導体素子52とセンサチップ54とが異方性導電フィルム10を介して積層方向Dsに積層されている。また、センサチップ54にはレンズ56が設けられている。図13に示す積層体40では半導体素子52とセンサチップ54との導電性および密着性が優れる。
センサチップ54は、光を検出する光センサを有するものである。光センサは、光を検出することができれば、特に限定されるものではなく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられる。
なお、図13に示す積層体40では、半導体素子52とセンサチップ54とを異方性導電フィルム10を介して接続したが、これに限定されるものではなく、半導体素子52とセンサチップ54とを直接接合する構成でもよい。
レンズ56は、センサチップ54に光を集光することができれば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、マイクロレンズと呼ばれるものが用いられる。
素子領域とは、電子素子として機能するための、コンデンサ、抵抗およびコイル等の各種の素子構成回路等が形成された領域である。素子領域には、例えば、フラッシュメモリ等のようなメモリ回路、マイクロプロセッサおよびFPGA(field-programmable gate array)等のような論理回路が形成された領域、無線タグ等の通信モジュールならびに配線が形成された領域がある。素子領域には、これ以外に、発信回路、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が形成されてもよい。MEMSとは、例えば、センサ、アクチュエーターおよびアンテナ等である。センサには、例えば、加速度、音および光等の各種のセンサが含まれる。
積層体では、例えば、論理回路を有する半導体素子と、メモリ回路を有する半導体素子の組合せとすることができる。また、半導体素子を全てメモリ回路を有するものとしてもよく、また、全て論理回路を有するものとしてもよい。また、積層体40における半導体素子の組合せとしては、センサ、アクチュエーターおよびアンテナ等と、メモリ回路と論理回路との組み合わせでもよく、積層体40の用途等に応じて適宜決定されるものである。
さらに、半導体素子としては、例えば、GPS(Global Positioning System)、FM(Frequency Modulation)、NFC(Near Field Communication)、RFEM(RF Expansion Module)、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)、WLAN(Wireless Local Area Network)等のワイヤレス素子、ディスクリート素子、Passiveデバイス、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、RF(Radio Frequency)フィルタ、IPD(Integrated Passive Devices)等が挙げられる。半導体素子としては、TEG(Test Element Group)チップでもよい。
半導体素子以外に、インターポーザー、およびTAB(Tape Automated Bonding)テープを被接続対象とすることもできる。さらには、被接続対象として、透明導電膜の電極パッドとFPC(Flexible Printed Circuits)の電極パッドとの接続に用いることができる。また、透明導電膜の電極パッド上に直接IC(Integrated Circuit)チップを接続実装することにも利用可能である。透明導電膜としては、視認性が低く、視認されにくければ特に限定されるものではなく、例えば、ITO等の物質自体が透明なもので構成した導電膜でもよく、線幅が数μmオーダーの細い金属線で構成された導電膜でもよい。また、透明導電膜としては、例えば、タッチセンサー等に用いられる各種の導電膜が適宜利用可能である。
また、ICチップは、半導体素子42、44と同様に、例えば、図11に示すように複数の端子45を有する。
異方性導電フィルムを用いた積層体の製造方法の第1の例は、チップオンウエハに関するものであり、図10に示す積層体40の製造方法を示す。
図14〜図16は本発明の実施形態の異方性導電フィルムを用いた積層体の製造方法の第1の例を工程順に示す模式図である。
異方性導電フィルムを用いた積層体の製造方法の第1の例では、まず、異方性導電フィルム10が表面44aに設けられた半導体素子44を用意する。
次に、異方性導電フィルム10を、第1の半導体ウエハ60に向けて半導体素子44を配置する。次に、半導体素子44のアライメントマークと、第1の半導体ウエハ60のアライメントマークとを用いて、第1の半導体ウエハ60に対して、半導体素子44の位置合せを行う。
なお、位置合せについては、第1の半導体ウエハ60のアライメントマークの画像または反射像と、半導体素子44のアライメントマークの画像または反射像について、デジタル画像データを得ることができれば、その構成は特に限定されるものではなく、公知の撮像装置を適宜利用可能である。
次に、図16に示すように、異方性導電フィルム10を介して半導体素子44が接合された第1の半導体ウエハ60を、素子領域毎に、ダイシングまたはレーザースクライビング等により個片化する。これにより、半導体素子42と異方性導電フィルム10と半導体素子44とが接合された積層体40を得ることができる。
上述のように本圧着では、複数の半導体素子44の接合を一括して行うことにより、タクトタイムを低減でき、生産性を高くできる。
なお、仮圧着する際に、仮圧着強度が弱いと、搬送工程等および接合する迄の工程で位置ズレが生じてしまうため、仮圧着強度は重要となる。
また、仮圧着プロセスにおける温度条件および加圧条件は特に限定されず、例えば、硬化性樹脂層に応じて、適宜設定される。
仮圧着では、例えば、被接続対象である半導体素子、または配線基板上に異方性導電フィルム10を載せ、圧力と温度を適切な時間かけて仮圧着する。圧力、温度および時間によっては、異方性導電フィルム10に硬化が生じ、本圧着前に硬化が進み、本圧着ができなくなる可能性があるため、仮圧着の温度は、硬化反応が促進されない迄の温度とすることが望ましい。
また、本圧着における加圧条件は特に限定されないが、目的に応じて適宜設定され、40〜100MPaであることが好ましい。
本圧着の時間は特に限定されないが、目的に応じて適宜設定され、3〜15秒間が好ましい。
上述の本圧着に用いる装置としては、例えば、三菱重工工作機械、ボンドテック、株式会社PMT、アユミ工業、東京エレクトロン(TEL)、EVG、ズースマイクロテック株式会社(SUSS)、ムサシノエンジニアリング等各社のウエハ接合装置を用いることができる。
仮圧着および本圧着のそれぞれの接合に際しては、接合時の雰囲気、加熱温度、加圧力(荷重)、および処理時間が制御因子として挙げられるが用いる半導体素子等のデバイスに適合した条件を選ぶことができる。
接合時の雰囲気としては、大気下を始め、窒素雰囲気等の不活性雰囲気、および真空状態から選ぶことができる。
図17〜図19は本発明の実施形態の異方性導電フィルムを用いた積層体の製造方法の第2の例を工程順に示す模式図である。
異方性導電フィルムを用いた積層体の製造方法の第2の例は、異方性導電フィルムを用いた積層体の製造方法の第1の例に比して、3つの半導体素子42、44、46が異方性導電フィルム10を介して積層されて接合される点以外は、異方性導電フィルムを用いた積層体の製造方法の第1の例と同じである。このため、積層体の製造方法の第2の例と共通する製造方法についての詳細な説明は省略する。
半導体素子44は、裏面44bにアライメントマーク(図示せず)が設けられており、かつ端子(図示せず)が設けられている。さらに、半導体素子44には表面44aに異方性導電フィルム10が設けられている。また、半導体素子46でも表面46aに異方性導電フィルム10が設けられている。
次に、図19に示すように、半導体素子44および半導体素子46が異方性導電フィルム10を介して接合された第1の半導体ウエハ60を、素子領域毎に、例えば、ダイシングまたはレーザースクライビング等により個片化する。これにより、半導体素子42と半導体素子44と半導体素子46とが異方性導電フィルム10を介して接合された積層体40を得ることができる。
異方性導電フィルムを用いた積層体の製造方法の第3の例は、ウエハオンウエハに関するものであり、図10に示す積層体40の製造方法を示す。
図20〜図22は本発明の実施形態の異方性導電フィルムを用いた積層体の製造方法の第3の例を工程順に示す模式図である。
異方性導電フィルムを用いた積層体の製造方法の第3の例は、積層体の製造方法の第1の例に比して、異方性導電フィルム10を介して第1の半導体ウエハ60と第2の半導体ウエハ62とを接合する点以外は、積層体の製造方法の第1の例と同じである。このため、積層体の製造方法の第1の例と共通する製造方法についての詳細な説明は省略する。また、異方性導電フィルム10についても、上述の説明のとおりであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、第1の半導体ウエハ60の表面60aと第2の半導体ウエハ62の表面62aを対向させる。そして、第1の半導体ウエハ60のアライメントマークと、第2の半導体ウエハ62のアライメントマークとを用いて、第1の半導体ウエハ60に対して、第2の半導体ウエハ62の位置合せを行う。
次に、第1の半導体ウエハ60の表面60aと第2の半導体ウエハ62の表面62aを対向させて、上述の方法を用いて、図21に示すように第1の半導体ウエハ60と第2の半導体ウエハ62とを異方性導電フィルム10を介して接合する。この場合、仮圧着した後に本圧着をする。
なお、個片化については、上述のとおりであるため、詳細な説明は省略する。
また、図22に示すように、第1の半導体ウエハ60と第2の半導体ウエハ62が接合された状態で、第1の半導体ウエハ60および第2の半導体ウエハ62のうち、薄くする必要がある半導体ウエハがあれば、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等により、薄くすることができる。
チップオンウエハを用いて積層体40を製造することができるため、半導体チップの良品のみを、半導体ウエハ内の良品部分に接合することで、得率を維持し、製造ロスを低減することができる。
次に、半導体ウエハについて、素子領域毎に個片化し、複数の半導体素子44を得る。
なお、異方性導電フィルム10が設けられた半導体素子44を例にして説明したが、異方性導電フィルム10が設けられた半導体素子46も、異方性導電フィルム10が設けられた第2の半導体ウエハ62についても、異方性導電フィルム10が設けられた半導体素子44と同様にして、異方性導電フィルム10を設けることができる。
〔板状の導電性粒子〕
板状の導電性粒子は、例えば、BaFe(バリウムフェライト)、SrFe(ストロンチウムフェライト)、CoCr、CoPt等の組成の板状の粒子を有する。
なお、粒子が六方晶であれば、六角形の板面に対して垂直な磁化容易軸を有するため、磁場による配向が容易である。例えば、BaFeは、絶縁性であるが、板状の形状を有し、さらに磁界容易軸はその板面に対して法線方向であることから好ましい。
導電層は、例えば、金属膜またはカーボン膜で構成される。
金属膜は、例えば、Au、Cu、Ag、またはNi等の単体の金属膜、およびこれらの金属の合金膜で構成される。
金属膜は、例えば、めっき法、蒸着法、およびスパッタリング法により形成される。また、カーボン膜は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)により形成される。
導電性粒子の含有量は体積%で表されるものである。
導電性粒子の含有量は、硬化性樹脂層と導電性粒子の体積の合計に対して30〜95体積%であることが好ましい。
導電性粒子の含有量をCsとする。また、硬化性樹脂層のラインの幅に対して平行かつラインの長さ方向に垂直な面の断面積をSとし、硬化性樹脂層のライン幅に対して直交する長さをLとする。長さLは、硬化性樹脂層のライン幅に対して直交する方向の端部からもう一方の端部を取る必要はなく、導電性粒子が5個以上含まれる任意の値を採用することができる。
この場合、硬化性樹脂層と導電性粒子の体積の合計の体積Vは、V=S×Lである。板状の導電性粒子の体積Vsは、Vs=(厚み方向の中央部を硬化性樹脂層の表面に対して平行となる面の導電性粒子の面積)×(導電性粒子の平均粒子直径A)である。導電性粒子の含有量Cs(体積%)は、Cs=Vs/Vである。
また、導電性粒子の平均粒子直径Aは、上述のように走査型電子顕微鏡を用いて、硬化性樹脂層のラインの幅方向に対して平行かつラインの長さ方向に対して垂直な面で、任意の5つの導電性粒子の中央部を切り出し、切り出した断面の導電性粒子の硬化性樹脂層の厚み方向の長さの平均値とする。また、導電性粒子の平均厚みDtは、同様に、硬化性樹脂層のラインの幅方向と長さ方向に対して平行な面で、任意の5つの導電性粒子の中央部を切り出し、切り出した断面の導電性粒子に内接する円の直径の平均値とする。
導電性粒子の粒子数は、走査型電子顕微鏡を用いて厚み方向の中央部を硬化性樹脂層の表面に対して平行となる長さLの面に含まれる硬化性樹脂層の粒子数を測定した値である。
また、板状の導電性粒子の平均粒子直径Bは、上述のように走査型電子顕微鏡を用いて、導電性粒子50個の外接円の直径を求め、得られた50個の導電性粒子の外接円の直径の平均値である。
板状の導電性粒子の形状は、表面の形状であるが、特に限定されるものではなく、円、四角形、五角形、および六角形等のいずれでもよい。
硬化性樹脂層は、被接続対象に対して接合性を付与するものが好ましい。硬化性樹脂層は、例えば、50℃〜200℃の温度範囲で流動性を示し、200℃以上で硬化するものが好ましい。
硬化性樹脂層は、硬化性樹脂を少なくとも含む。硬化性樹脂は、電気的絶縁性を有する。電気的絶縁性とは、電気抵抗が1010Ω・m以上であることを指す。
硬化性樹脂としては、熱またはUV光(紫外光)によって硬化する樹脂が挙げられる。つまり、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、および、イソシアネート系樹脂が挙げられる。
光硬化性樹脂としては、例えば、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に導入したポリマー等が挙げられる。
なかでも、被接続対象との密着性がより高くなる理由から、熱硬化性樹脂が好ましく、絶縁信頼性がより向上し、耐薬品性に優れる理由から、ポリイミド樹脂および/またはエポキシ樹脂が好ましい。
硬化性樹脂は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
例えば、硬化性樹脂層は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤および光重合開始剤が挙げられる。なかでも、熱カチオン重合開始剤が好ましい。光カチオン重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ベンゾイントシレート、および、o−ニトロベンジルトシレートが挙げられる。
異方性導電フィルムは、上述の硬化性樹脂層の成分を混合した原料液を用意し、原料液を冷却しながら、別途用意した導電性粒子を原料液に混合し、分散処理する。分散処理は、導電性粒子同士が凝集しないよう十分な撹拌ができ、かつせん断力を有する高速撹拌機、またはホモジナイザーを用いて実施する。分散処理を行う装置は、上述の装置に特に限定されるものではなく、適宜選択できる。分散処理を冷却しながら行うのは、良好な分散状態を得るべく強い撹拌により分散を行った際に、高い撹拌熱が生じる可能性があるためである。撹拌熱がどの程度まで妥当であるかは硬化性樹脂の種類にもよるため、硬化性樹脂に応じて適宜決定される。
分散混合された液を、剥離フィルム上に規定厚みとなるよう塗布を行い、その後オーブン中に入れ乾燥させる際に、磁場を印可することにより、板状の導電性粒子を配向させる。これにより、異方性導電フィルムが得られる。
磁場の方向は、板状の導電性粒子の磁化容易軸の方向に基づき、適宜決定される。磁場は、例えば、コイルを用いて印可するが、磁場の印加方法は、コイルを用いることに限定されるものではない。
<導通の安定性の評価>
異方性導電フィルムについて、30か所の抵抗値を測定した。抵抗値の安定度合いを以下に示す評価基準にて評価した。抵抗値はデジタルマルチメーターを用いて4端子法で測定した。
評価基準
A:接続不良なし。
B:接続不良が1割以下。
C:接続不良が1割超え。
<密着力の評価>
接合体のガラス面を下にし、TEG(Test Element Group)チップをピンセットで挟み、持ち上げつつ、その持ち上げに対する抵抗を蝕指式で評価した。各条件で3回行い、その抵抗を鑑みて以下に示す評価基準にて評価した。接合体については後に説明する。
評価基準
A:持ち上げに対する抵抗がある。
B:持ち上げに対する抵抗があるものと抵抗がなく剥がれるものがある。
C:抵抗なく全て剥がれる。
<総合評価>
総合評価は、導通の安定性の評価と密着力の評価のうち、評価の悪い方とした。例えば、導通の安定性の評価が「A」であり、密着力の評価が「B」であれば、総合評価は「B」とした。
配線基板として、ITO(Indium Tin Oxide)櫛型配線が形成された厚み700μmのガラス基板を用いた。電子部品としては、TEG(Test Element Group)チップ(サイズ:5mm×10mm、厚み:0.5mm、金めっきバンプサイズ:5μm×30μm、バンプ高さ:0.5μm、バンプ間スペース:5μm、バンプ数:30個)を用いた。
配線基板の配線上に異方性導電フィルムを載せ、さらに櫛型配線の上に電子部品の電極端子が当たるように向かい合わせ、平均厚み50μmの熱伝導性テフロン(登録商標)シートを緩衝材にし、加熱ツールで温度180℃、圧力60MPa、および時間5秒間の加熱および加圧接着を行い、接合体を得た。なお、下記表1に示す電極の突出量は、バンプ高さのことであり、金めっきの厚みを調整することにより、バンプ高さを調整した。
(実施例1)
実施例1の異方性導電フィルムについて説明する。
[異方性導電フィルム]
(硬化性樹脂成分)
フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社、YP−50)40質量部
液状エポキシ樹脂(三菱化学株式会社、jER828)55質量部
熱カチオン重合開始剤(三新化学工業株式会社、SI−60L)4質量部
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社、KBM−403)1質量部
上述のものを含有する熱重合組成物(硬化性樹脂成分)を調製した。
(導電性粒子)
粒子 BaFe(バリウムフェライト)粒子
板の1辺平均長さ 1.3μm
アスペクト比 5
保磁力Hc 72kA/m
飽和磁化σs 60Am2/kg
BaFe(バリウムフェライト)粒子の表面にCuを無電解めっき
なお、BaFe粉の外接円の直径は平均で1.3μmであり、導電性粒子の平均粒子直径は1.3μmであった。
(硬化性樹脂層)
液状硬化性樹脂成分の作製
導電性板状粒子を、上述の硬化性樹脂成分中に混合し、分散させた。導電性粒子の含有量が6体積%となるように、硬化性樹脂成分と導電粒子成分との量を調整した。
(量比)
硬化性樹脂成分 125質量部
導電粒子成分 10質量部
(混合および分散)
硬化性樹脂成分、および導電粒子成分を、それぞれ適量、IKA社製ホモジナイザー(ULTRA−TURRAX(登録商標))に投入し、混合および分散処理を施した。なお、その際、撹拌による熱が生じるため、冷却機構を備え付け、温度60℃以下に保った。
上述の液状硬化性樹脂成分を、予めシリコーンで処理して剥離機能を付与したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、乾燥後の厚みが1.43μmとなるようにアプリケーターにて塗布し、温度70℃で5分間乾燥した。すなわち、硬化性樹脂層の厚みTを、T=1.1Bとした。乾燥際、塗布した基板ごとコイルの中に入れ、電流を流して磁場をかけ続けた。これにより、板状の導電性粒子を配向させた。板状の導電性粒子の配向について、異方性導電フィルムの断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察した結果、80%の板状の導電性粒子が、硬化性樹脂層の表面に対して垂直になっていた。
実施例2は、実施例1に比して、硬化性樹脂層の厚みTを、1.4Bとした点以外は、実施例1と同じにした。
(実施例3)
実施例3は、実施例1に比して、硬化性樹脂層の厚みTを、1.4Bとし、かつ電極の突出量を1/4とした点以外は、実施例1と同じにした。
比較例1は、実施例1に比して、硬化性樹脂層の厚みTを、1.0Bとした点以外は、実施例1と同じにした。
(比較例2)
比較例2は、実施例1に比して、硬化性樹脂層の厚みTを、1.5Bとした点以外は、実施例1と同じにした。
(比較例3)
比較例3は、実施例1に比して、硬化性樹脂層の厚みTを、1.5Bとし、かつ電極の突出量を1/2とした点以外は、実施例1と同じにした。
比較例1では、硬化性樹脂層の厚みが薄いため、導通の安定性および密着力が劣った。
比較例1のように硬化性樹脂層の厚みが薄い場合、上述の図24および図25に示すように、加熱により低粘度化した硬化性樹脂層が外に流れやすくなり、板状の導電性粒子が斜めに傾き、導通安定性を欠いた。また、板状の導電性粒子の先端と電極との間を硬化性樹脂層で埋めきれなくなるため、密着力が低下した。
比較例2は、硬化性樹脂層の厚みが厚いため、導通の安定性および密着力が劣った。
比較例2のように硬化性樹脂層の厚みが厚い場合、上述の図26および図27に示すように、硬化性樹脂層の一部が流れることにより、板状の導電性粒子が倒れて導通不良になった。なお、硬化性樹脂層の一部が流れたものは密着に寄与するため、比較例2は比較例1よりも密着力が高かった。
上述のように硬化性樹脂層の一部が基材面に流れ、かつ電極外に硬化性樹脂層が流れても板状の導電性粒子の配向を維持するには、上述のように板状の導電性粒子を配向させる。さらには、電極の突出量を1/3以下にすることにより、さらに導通の安定性と密着力とが増した。
13 板状の導電性粒子
13a 表面
14 硬化性樹脂層
15 剥離層
17 外接円
19 球状の導電性粒子
20 第1の配線基板
21、25 基材
22、26 電極
24 第2の配線基板
30a、30b 端子
30c 端面
32 半導体層
32a、34a、36a 表面
34 再配線層
36 パッシベーション層
37 配線
38 パッド
40 積層体
42、44、46、52 半導体素子
44a、46a 表面
44b、62b 裏面
45 端子
54 センサチップ
56 レンズ
60 第1の半導体ウエハ
60a、62a 表面
62 第2の半導体ウエハ
100 異方性導電フィルム
B 平均粒子直径
D 厚み方向
Ds 積層方向
N 法線
PL 面
T 厚み
α 角度
δ 突出量
Claims (5)
- 板状の導電性粒子と、
前記板状の導電性粒子を含有する硬化性樹脂層とを有し、
前記板状の導電性粒子の表面は、前記硬化性樹脂層の表面と直交する面に対して平行に配向しており、
前記板状の導電性粒子の外接円の直径で表される前記板状の導電性粒子の粒子直径の平均粒子直径をBとし、前記硬化性樹脂層の厚みをTとするとき、1.1B≦T≦1.4Bである異方性導電フィルム。 - 前記板状の導電性粒子の含有量は、2〜6体積%である請求項1に記載の異方性導電フィルム。
- 前記板状の導電性粒子は、表面に導電層が形成された磁性粒子である請求項1または2に記載の異方性導電フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性導電フィルムと、
電極または配線を有する部材とを有し、
前記電極または前記配線と、前記異方性導電フィルムとが電気的に接続されている積層体。 - 前記電極または前記配線は、前記部材の表面に対して突出しており、
前記電極または前記配線の突出量は、前記異方性導電フィルムの厚みの1/3以下である請求項4に記載の積層体。
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