JPWO2019069811A1 - クリームおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)溶存水素量が0.5〜1.5ppmの水素水に保湿成分、アルカリ剤等を配合した水相と、油性成分に界面活性剤、薬剤、防腐剤、酸化防止剤、香料等を配合した油相とを混合し、乳化させたクリーム(特許文献1)。
(2)水素化マグネシウム等の水素吸蔵合金の微粒子を配合したクリーム(特許文献2)。
水素ガスが有する様々な機能を十分に発現させるためには、クリーム全体に含まれる水素ガスの含有率をさらに増やすことが望まれる。
<1>炭素数10以上の脂肪酸塩、炭素数10以上の脂肪酸および液状媒体を含む組成物に、気泡状態の水素ガスを包含するクリームであり、前記クリーム中の前記気泡状態の水素ガスの含有率が、0.1〜100体積%[v/w]である、クリーム。
<2>前記組成物が、高級アルコールをさらに含む、前記<1>のクリーム。
<3>前記組成物が、界面活性剤をさらに含む、前記<1>または<2>のクリーム。
<4>前記組成物が、油脂およびロウのいずれか一方または両方をさらに含む、前記<1>〜<3>のいずれかのクリーム。
<5>前記気泡状態の水素ガスの平均気泡径が、1μm〜1mmである、前記<1>〜<4>のいずれかのクリーム。
<6>前記<1>〜<5>のいずれかのクリームの製造方法であり、炭素数10以上の脂肪酸塩、炭素数10以上の脂肪酸および液状媒体を含む組成物を調製し、前記組成物に気泡状態の水素ガスを包含させ、気泡状態の水素ガスを包含する前記組成物を増粘させることを含む、クリームの製造方法。
<7>前記組成物を調製するために、アルカリ剤および液状媒体を含むA液と、炭素数10以上の脂肪酸を含むB液とを混合する、前記<6>のクリームの製造方法。
本発明のクリームの製造方法によれば、水素ガスの含有率が多く、かつ肌への悪影響の少ないクリームを製造できる。
「高級アルコール」とは、炭素数が6以上のアルコールをいう。
「クリーム中の気泡状態の水素ガスの含有率(体積%[v/w])」とは、クリームの所定量(100g)に気泡状態で含まれる水素ガスの体積(cm3)の割合をいう。
「水に対する水素ガスの飽和溶解度」とは、水に対する水素ガスの大気圧下での飽和溶解度をいう。なお、飽和溶解度を規定する「ガスの溶解」は、ヘンリーの法則が成立し、ガスが圧力に応じて分子状で溶解している状態である。
気泡状態の水素ガスの平均気泡径は、マイクロスコープ観察により、無作為に選んだ10個の気泡の気泡径を測定し、それらの平均値を算出することにより求める。なお、観察気泡が真球でない楕円等の場合は、その最大および最小径の平均値を気泡径とする。
本明細書および特許請求の範囲において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
本発明のクリームは、炭素数10以上の脂肪酸塩、炭素数10以上の脂肪酸および液状媒体を含む組成物に、気泡状態の水素ガスを包含する。
気泡状態の水素ガスの平均気泡径は、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましい。気泡状態の水素ガスの平均気泡径が前記範囲の下限値以上であれば、クリーム中の気泡状態の水素ガスの含有率を多くしやすい。
気泡状態の水素ガスの平均気泡径は、1mm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましく、100μm以下が特に好ましい。気泡状態の水素ガスの平均気泡径が前記範囲の上限値以下であれば、クリーム中に気泡状態の水素ガスを長時間にわたり保持しやすい。また、クリーム中に気泡状態の水素ガスがムラなく分散し、微細気泡による乳白色外観を呈する良好なクリームなる。
組成物は、油性成分と水性成分とが乳化したエマルションが増粘してクリーム状になったものである。エマルションは、W/O型であってもよく、O/W型であってもよい。
本発明における組成物は、本発明のクリームにおいて気泡状態の水素ガスを包含するためのベースとなるものであり、基剤の油性成分に分類される炭素数10以上の脂肪酸およびその塩、ならびに基剤の水性成分に分類される液状媒体を必須成分として含む。本発明における組成物は、基剤の油性成分に分類される高級アルコールをさらに含むことが好ましい。本発明における組成物は、基剤に分類される界面活性剤をさらに含むことが好ましい。本発明における組成物は、基剤の油性成分に分類される油脂およびロウのいずれか一方または両方をさらに含むことが好ましい。本発明における組成物は、必要に応じて、炭素数10以上の脂肪酸、液状媒体、高級アルコール、界面活性剤、油脂およびロウ以外の他の基剤、薬剤、官能的特徴付与原料、品質保持原料等を含んでいてもよい。
炭素数10以上の脂肪酸は、炭素数10以上の脂肪酸塩の原料となるものである。脂肪酸塩とならなかった未中和の脂肪酸は、増粘剤としても働いて組成物をクリーム状にする。増粘したクリーム状の組成物は、気泡状態の水素ガスを多量に、かつ長時間にわたり保持できる。
炭素数10以上の脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。脂肪酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸としては、乳化剤として良好な脂肪酸塩(石鹸)を形成しやすい点から、炭素数10〜18の脂肪酸が好ましく、カプリン酸(炭素数10)、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)がより好ましく、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)がさらに好ましい。
脂肪酸塩としては、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
脂肪酸塩としては、炭素数10〜18の脂肪酸の塩が好ましく、カプリン酸(炭素数10)、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)の塩がより好ましく、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)の塩がさらに好ましい。
液状媒体は、他の成分を溶解または分散させるための媒体となるものである。
液状媒体としては、油性成分と乳化してエマルションを形成しやすい点から、水を含む水性媒体が好ましい。水性媒体は、低級アルコールやグリコールをさらに含んでいてもよい。
水としては、精製水等が挙げられる。低級アルコールとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
水性媒体中の水の割合は、水性媒体(100質量%)のうち、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
高級アルコールは、本発明のクリームの使用感を向上させる。また、高級アルコールは、増粘剤としても働いて組成物の粘度を調整する。
高級アルコールとしては、カプロイルアルコール、カプリリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。高級アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高級アルコールとしては、組成物をクリーム状にしやすい点から、炭素数12〜22のアルコールが好ましく、クリーム中の気泡状態の水素ガスの含有率を充分に高くできる点から、少なくともセチルアルコールを含むものが特に好ましい。
界面活性剤は、油性成分を水に溶解させる可溶化作用、油性成分を水に分散させる乳化作用、粉末成分を油や水に分散させる分散作用、汚れを落とす洗浄作用、泡立ちをよくする起泡作用等の機能を付与するためにクリームに添加される成分である。
本発明のクリームにおいては、界面活性剤は、組成物中に気泡状態の水素ガスを均一に、かつ微細に分散させるとともに、クリーム中に気泡状態の水素ガスを長時間にわたり保持する機能を有する。
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルベタインが好ましい。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
油脂は、肌をなめらかにする目的で添加される成分(皮膚柔軟剤:エモリエント剤)である。
油脂としては、天然油脂(ヒマシ油、ツバキ油、オリーブ油、アプリコット油、シア油、アボガド油、アルモンド油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、パーム油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油、綿実油、ヤシ油、落花生油、牛脂、馬油、ミンク油等)、炭化水素(イソデカン、ドデカン、テトラデカン、スクワラン、αオレフィンオリゴマー、流動パラフィン、ワセリン、イソパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン等)等が挙げられる。油脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
油脂としては、ヒマシ油、ツバキ油、オリーブ油、アプリコット油、シア油、アボガド油、アルモンド油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、パーム油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油、綿実油、ヤシ油、落花生油、牛脂、馬油、ミンク油、イソデカン、ドデカン、テトラデカン、スクワラン、αオレフィンオリゴマー、流動パラフィン、ワセリン、イソパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンが好ましい。
ロウは、クリームの感触改良のため加えられる成分である。
ロウとしては、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラワックス、コメヌカロウ、ラノリン、ホホバ油、オレンジラフィー油等が挙げられる。ロウは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ロウとしては、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラワックス、コメヌカロウ、ラノリン、ホホバ油、オレンジラフィー油が好ましい。
他の基剤としては、精製水、低級アルコール以外の他の水性成分;炭素数10以上の脂肪酸、高級アルコール、油脂およびロウ以外の他の油性成分;粉末成分等が挙げられる。
増粘剤は、クリームの粘度調整、安定化、使用感調整のために添加される成分である。
増粘剤としては、水溶性高分子等が挙げられる。水溶性高分子としては、有機系水溶性高分子、無機系水溶性高分子が挙げられる。
有機系水溶性高分子としては、天然高分子(キサンタンガム、マンナン、ペクチン等)、セルロース系半合成高分子(カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、ビニル系合成高分子(カルボキシビニルポリマーおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびこれらの誘導体等)等が挙げられる。
無機系水溶性高分子としては、粘土鉱物の一種であるペントナイト等が挙げられる。
粉末成分としては、有色顔料(アルミナ等)、白色顔料(酸化チタン、酸化亜鉛等)、パール剤(酸化鉄、雲母系合成パール等)、体質顔料(タルク、カオリン、マイカ等)等が挙げられる。
薬剤としては、保湿成分、収斂剤(制汗剤)、清涼剤、紫外線防止剤、他の薬剤等が挙げられる。
保湿成分としては、加水分解コラーゲン、グリセリン、塩化ステアリツトリメチルアンモニウム、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ベタイン、ヒアルロン酸、ラベンダー油、エチルヘキシルグリセリン等が挙げられる。
収斂剤としては、クエン酸、乳酸、硫酸アルミニウム、レモン水、ハマメリス等が挙げられる。
清涼剤としては、メントール、エチルアルコール、カンフル、ユーカリ油等が挙げられる。
紫外線防止剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、オクチルトリアゾン等が挙げられる。
他の薬剤としては、美白剤(ビタミンCまたはその誘導体)、育毛剤、にきび用剤、ふけ・かゆみ用剤、腋臭防止剤、抗炎症剤(グリチルリチン酸ジカリウム等)、殺菌剤、栄養剤、賦活剤、生体生理機能向上剤等が挙げられる。
官能的特徴付与原料としては、香料、色素等が挙げられる。
香料としては、植物または動物由来の天然香料、有機合成された合成香料等が挙げられる。
色素としては、厚生労働省が定める化粧料に使用できるタール色素(有機合成色素等)、動植物または微生物から抽出された天然色素、無機顔料等が挙げられる。
品質保持原料としては、防腐剤、酸化防止剤、金属封鎖剤(金属イオン元素封止剤)、褪色防止剤、緩衝剤等が挙げられる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)、ソルビン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、第四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等)、クロロキシジン、ペンチレングリコール、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、トコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
金属封鎖剤としては、キレート剤(エデト酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、クエン酸等)等が挙げられる。
組成物中の液状媒体の割合は、液状媒体以外の成分の割合を除いた残部となる。
液状媒体の割合は、組成物(100質量%)のうち、80〜99.99質量%が好ましく、85〜99.9質量%がより好ましく、92〜99質量%がさらに好ましい。液状媒体の割合が前記範囲の上限値以下であれば、増粘効果が充分に発揮され、組成物中に気泡状態の水素ガスを多量に、かつ長時間にわたり保持しやすい。液状媒体の割合が前記範囲の下限値以上であれば、組成物の粘度が高くなりすぎず、本発明のクリームの使用感が良好になる。
炭素数10以上の脂肪酸およびその塩の合計のうちの脂肪酸の割合は、60〜99.9モル%が好ましく、75〜99.5モル%がより好ましく、90〜99モル%がさらに好ましい。脂肪酸の割合が前記範囲内であれば、水性成分と油性成分とが充分に乳化する。
本発明のクリームの用途としては、リップクリーム、アイクリーム、ネイルクリーム、マッサージ・コールドクリーム、モイスチャークリーム、他のスキンクリーム、クレンジングクリーム、ヘアクリーム、日やけ止めクリーム、日やけ用クリーム、シェービングクリーム等が挙げられる。
以上説明した本発明のクリームにあっては、炭素数10以上の脂肪酸塩、炭素数10以上の脂肪酸および液状媒体を含む組成物に、気泡状態の水素ガスを包含するクリームであるため、組成物に気泡状態の水素ガスを多く、かつ長時間にわたり保持できる。そして、本発明のクリームは、組成物中に溶解した水素ガスと、組成物内に包含された0.1〜100体積%[v/w]の気泡状態の水素ガスとを含む。本発明のクリームは、気泡状態のガスを包含していることから、組成物中には、水に対する水素ガスの飽和溶解度と等しい量の水素ガスが溶解していることになる。すなわち、組成物中に溶解した水素ガスと気泡状態の水素ガスとの合計量は、水に対する水素ガスの飽和溶解度(従来の水素ガス溶存クリームに含まれる水素ガスの量)を超える量となる。このように水素ガスを多く含むクリームは、水素ガスが有する様々な機能(活性酸素を除去する機能、生物活性を高める機能等)を十分に発現できる。
本発明のクリームの製造方法は、炭素数10以上の脂肪酸塩、炭素数10以上の脂肪酸および液状媒体を含む組成物を調製し、組成物に気泡状態の水素ガスを包含させ、気泡状態の水素ガスを包含する組成物を増粘させてクリームを得る方法である。
具体的には、下記の工程(I)〜工程(III)を有する。
工程(I):炭素数10以上の脂肪酸塩、炭素数10以上の脂肪酸および液状媒体を含む組成物(エマルション)を調製する工程。
工程(II):工程(I)の後、エマルションに気泡状態の水素ガスを包含させる工程。
工程(III):工程(II)の後、気泡状態の水素ガスを包含するエマルションを増粘させクリーム状にする工程。
組成物(エマルション)の調製方法としては、良好なエマルションが得られる点から、アルカリ剤および液状媒体を含むA液と、炭素数10以上の脂肪酸を含むB液とを混合する方法が好ましい。
高級アルコールを用いる場合、高級アルコールはB液に含ませることが好ましい。
界面活性剤を用いる場合、界面活性剤はA液に含ませることが好ましい。
油脂を用いる場合、油脂はB液に含ませることが好ましい。
ロウを用いる場合、ロウはB液に含ませることが好ましい。
他の成分(他の基剤、薬剤、官能的特徴付与原料、および品質保持原料)を用いる場合は、水溶性の成分はA液に含ませることが好ましく、油溶性の成分はB液に含ませることが好ましい。
A液とB液とを混合する際には、B液を撹拌しながらこれにA液を加えてもよく、A液を撹拌しながらこれにB液を加えてもよい。例えば、B液を撹拌しながらこれにA液を加えた場合は、微細で均一なエマルションが得られる。
A液とB液とを混合することによって、炭素数10以上の脂肪酸の一部がアルカリ剤によって中和され、炭素数10以上の脂肪酸塩(乳化剤)となる。
A液とB液との混合液は、ホモミキサー等の公知の乳化装置を用いて乳化させ、エマルションとする。
工程(I)において使用するアルカリ剤の量は、組成物における炭素数10以上の脂肪酸およびその塩の合計のうちの脂肪酸塩の割合、ならびに、炭素数10以上の脂肪酸およびその塩の合計のうちの脂肪酸の割合に応じて決定することができる。
組成物(エマルション)に水素ガスを供給することによって、気泡状態の水素ガスを包含した組成物を得る。
水素ガス供給時の組成物の温度については、前記した組成物の粘度範囲が達成できる温度であればよく、適宜設定すればよい。
撹拌方法としては、撹拌機を用いる方法、ホモミキサーを用いる方法、ラインミキサーを用いる方法等が挙げられる。
振とう方法としては、振とう機を用いる方法等が挙げられる。
気泡状態のガスを包含した組成物(エマルション)を増粘させてクリーム化させることによって、組成物に気泡状態の水素ガスを包含したクリームを得る。
組成物の増粘は、たとえば、組成物を冷却することによって実施できる。
組成物に包含された気泡状態の水素ガスの揮散ロスを極力低減するために、組成物の増粘はできる限り速やかに行うことが好ましい。
必要に応じてクリームを容器に充填し、密閉する。
気泡状態の水素ガスの気相中への揮散ロスを抑制するために、充填および密閉はできる限り速やかに行うことが好ましい。
密封方法としては、容器の種類にもよるが、例えば、ヒートシール、内蓋付きの蓋による密封等の公知のシール方法が挙げられる。
保管時のクリームの温度については、前記したクリームの粘度範囲が達成できる温度であればよく、適宜設定すればよい。
以上説明した本発明のクリームの製造方法にあっては、炭素数10以上の脂肪酸塩、炭素数10以上の脂肪酸および液状媒体を含む組成物を調製し、組成物に気泡状態の水素ガスを包含させ、気泡状態の水素ガスを包含する組成物を増粘させる方法であるため、以下に説明するように、水素ガスの含有率の多いクリームを製造できる。
通常、水素ガスは、組成物の粘度が低いほど組成物中を移動しやすく、気泡として分散しやすい。しかし、水素ガスが組成物中を移動しやすいということは、組成物中に留まりにくく、気相中へ揮散する可能性も高いといえる。逆に、組成物の粘度が高いと水素ガスが分散しにくく、気泡の形成には好ましくない。無論、組成物が増粘してクリーム化した後では、水素ガスの分散は実質的に不可能となる。
本発明のクリームの製造方法によれば、増粘前の組成物中に水素ガスを気泡として高濃度に均一分散させた後、速やかに組成物を増粘してクリーム化させることによって、組成物内に気泡状態の水素ガスを高濃度に包含させることができる。
実施例における各物性の測定方法を以下に示す。
(粘度)
粘度は、E型粘度計(BROOKFIELD社製、RV DV1M)を用いて測定した。
クリームを充填したヘッドスペースバイアルを横に倒した状態で瓶側面部を上方からマイクロスコープ(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープ VHX−900F)を用いて観察することによって気泡状態の水素ガスの分散状態を観察した。
気泡状態の水素ガスの平均気泡径は、マイクロスコープ観察(倍率:175倍)により、無作為に選んだ10個の気泡の気泡径を測定し、それらの平均値を算出することにより求めた。なお、観察気泡が真球でない楕円等の場合は、その最大径および最小径の平均値を気泡径とした。
大気圧、25℃の条件下でクリームの0.5〜1gをGC分析で用いるヘッドスペースバイアル(容量:20mL)に精秤して入れ、ヘッドスペースバイアルを70℃に加熱し、クリームから気泡が消えるまで70℃で加熱を続けた。気泡が消えた後、ヘッドスペースバイアル内の気相ガスを採取して、GC分析(TCD検出器)によって水素ガスを定量し、クリーム中の気泡状態の水素ガスの含有率(体積%[v/w])を算出した。
(気泡の分散性)
クリームの製造から24時間後のクリーム中の気泡の分散状態を下記基準で評価した。
A:クリーム中の気泡が均一に分散している。
B:クリーム中の気泡が浮上し、下側に透明な層がわずかに形成されている。
C:クリーム中の気泡が浮上し、上側の気相と下側の透明な層に完全に分離している。
クリームの使用感を下記の項目について4人が、3段階(よい:3、ふつう:2、悪い:1)で評価し、それらの平均を下記の基準で評価した。
評価項目:
1)肌へのなじみ・のび
2)すべり感
3)なめらか感
4)べとつき
5)柔らかさ
6)好み
評価基準:
A:2以上
B:1.5以上2未満
C:1.5未満
(A液)
防腐剤1:エチルヘキシルグリセリン(シャルケ・アンド・マイヤー社製(成和化成社から入手)、SENSIVA(登録商標) SC50JP)。
防腐剤2:フェノキシエタノール(四日市合成社製、フェノキシエタノール−S)。
保湿成分1:濃グリセリン(阪本薬品工業社製、化粧品用濃グリセリン)。
保湿成分2:プロピレングリコール(旭硝子社製、ジプロピレングリコール・DPG−FC)。
界面活性剤1:非イオン性界面活性剤(三菱ケミカルフーズ社製、サーフホープ(登録商標) SE COSME C−1811)。
水素水:(伊藤園社製、進化する水(登録商標) 水素水(ボトル))。
アルカリ剤1:10質量%の水酸化カリウム水溶液(和光純薬工業社製、水酸化カリウム)。
ロウ1:ホホバ油(日光ケミカル社製、NIKKOL(登録商標) ホホバ油S)。
油脂1:オリーブ油(酸化防止剤のトコフェロールを微量含む)(CRODA JAPAN社製、CROPURE(登録商標) MEADOWFOAM−LQ−(JP))。
油脂2:シア油(酸化防止剤のトコフェロールを微量含む)(CRODA JAPAN社製、CROPURE(登録商標) SHEA BUTTER−SO−(JP))。
油脂3:ミネラルオイル(流動パラフィン)(島貿易社製、Kaydol(登録商標))。
高級アルコール1:ベヘニルアルコール(花王社製、カルコール(登録商標)220−80)。
高級アルコール2:ステアリルアルコール(花王社製、カルコール(登録商標)8688)。
高級アルコール3:セチルアルコール(花王社製、カルコール(登録商標)6098)。
脂肪酸1:ステアリン酸(花王社製、ルナック(登録商標) S−70V)。
エステル1:ステアリン酸ブチル(花王社製、エキセパール(登録商標)BS)。
界面活性剤2:非イオン界面活性剤(花王製、レオドール(登録商標)MS−165V)。
防腐剤3:メチルパラベン(和光純薬工業社製、p−ヒドロキシ安息香酸メチル)。
(工程(I))
ガラスビーカーに表1に示すA液の各成分を表1に示す割合で入れ、ウォーターバスで70℃に加熱し、溶液状態にした。
別のガラスビーカーに表1に示すB液の各成分を表1に示す割合で入れ、ウォーターバスで70℃に加熱し、溶液状態にした。
B液を撹拌しながらこれにA液を加え、混合液とした。ホモミキサー(プライミクス社製、ラボ・リューション)を用いて回転数1,400〜3,000rpmで混合液を撹拌しながら55℃まで冷却し、表1に示す粘度の組成物(エマルション)を得た。
エマルションの入ったガラスビーカーの底部から水素ガスを50mL/分の流量でバブリングしながら、ホモミキサーを用い、回転数3,000〜6,000rpmでエマルションを4分間撹拌し、エマルション中に気泡状態の水素ガスを分散させた。
気泡状態の水素ガスを分散させたエマルションを室温まで放冷し、表1に示す粘度のエマルションを増粘させてクリームを得た。
クリームをヘッドスペースバイアル(容量:10mL)に充填した。実施例1のクリームの外観写真を図1に示す。また、実施例1のクリームのマイクロスコープ観察の写真を図2に示す。
実施例1〜5のクリームの25℃の粘度、気泡状態の水素ガスの平均気泡径クリーム中の気泡状態の水素ガスの含有率、気泡の分散性、使用感を表1に示す。
ガラスビーカーに表1に示すA液の各成分を表1に示す割合で入れ、ウォーターバスで70℃に加熱し、溶液状態にした。
別のガラスビーカーに表1に示すB液の各成分を表1に示す割合で入れ、ウォーターバスで70℃に加熱し、溶液状態にした。
A液を撹拌しながらこれにB液を加え、混合液とした。ホモミキサー(プライミクス社製、ラボ・リューション(登録商標))を用いて回転数3,000rpmで3分間混合液を撹拌した後脱気し、クリームを得た。
実施例1のクリームをガラス製サンプル瓶に充填し、密閉し、25℃に設定したインキュベータに保管した。2週間後に開封しクリーム中の気泡状態の水素ガスの含有率を評価した。結果を図3に示す。
2週間経過してもクリーム中の気泡状態の水素ガスの含有率に変化はなかった。
Claims (7)
- 炭素数10以上の脂肪酸塩、炭素数10以上の脂肪酸および液状媒体を含む組成物に、気泡状態の水素ガスを包含するクリームであり、
前記クリーム中の前記気泡状態の水素ガスの含有率が、0.1〜100体積%[v/w]である、クリーム。 - 前記組成物が、高級アルコールをさらに含む、請求項1に記載のクリーム。
- 前記組成物が、界面活性剤をさらに含む、請求項1または2に記載のクリーム。
- 前記組成物が、油脂およびロウのいずれか一方または両方をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクリーム。
- 前記気泡状態の水素ガスの平均気泡径が、1μm〜1mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のクリーム。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のクリームの製造方法であり、
炭素数10以上の脂肪酸塩、炭素数10以上の脂肪酸および液状媒体を含む組成物を調製し、
前記組成物に気泡状態の水素ガスを包含させ、
気泡状態の水素ガスを包含する前記組成物を増粘させることを含む、クリームの製造方法。 - 前記組成物を調製するために、アルカリ剤および液状媒体を含むA液と、炭素数10以上の脂肪酸を含むB液とを混合する、請求項6に記載のクリームの製造方法。
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