JPWO2019065646A1 - 液晶配向剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、光配向法での露光に対する感度の高い液晶配向膜として、特定のシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体及び芳香族ジアミンから製造されるポリイミド前駆体及びポリイミドからなる露光に対する感度が高いとされる配向制御膜が提案されている。
そして、特に、寸法の大きなパネルを光配向法により処理する場合には、光照射量を均一に制御した光配向照射を行うことが困難になり、結果的に光配向法による安定な配向処理が困難になることを知見した。
本発明は、かかる知見に基づくものであり、下記を要旨とするものである。
(A)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位からなり、Xの20〜100モル%が式(2)で表される構造であり、Yの20〜100モル%が下記式(3)で表される構造であるポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)。
(B)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位からなり、Xの20〜100モル%が式(2)で表される構造であり、Yの65〜100モル%が下記式(4)又は式(5)で表される構造であり、且つ、Yが下記式(3)で表される構造である繰り返し単位を含まない又は20モル%未満で含むポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)。
式(4)中、A3は単結合、又は炭素数1又は2の2価の炭化水素基である。d、eはそれぞれ独立して1又は2の整数である。)
上記式(1)において、X、Y、Z1、Z2、及びR1は、上記に定義した通りである。なかでも、X、Y、Z1、Z2、及びR1は、それぞれ、下記のものが好ましい。
上記式(1)のZ1及びZ2は、水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又はtert−ブトキシカルボニル基が好ましく、特に水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
前記(A)成分と前記(B)成分の合計が、全重合体成分の15〜100質量%であり、好ましくは20〜100質量%であり、さらに好ましくは25〜100質量%である。
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸エステルは、例えば、以下に示す(1)、(2)又は(3)の方法で合成することができる。
(1)ポリアミック酸から合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって合成することができる。
具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを、塩基及び有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤、塩基、及び有機溶剤の存在下で0℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃において、30分〜24時間、好ましくは3〜15時間反応させることによって合成することができる。
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸は、以下に示す方法により合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜12時間反応させることによって合成できる。
本発明に用いられるポリイミドは、前記ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸などのポリイミド前駆体をイミド化することにより製造できる。ポリアミック酸エステルからポリイミドを製造する場合、前記ポリアミック酸エステル溶液、又はポリアミック酸エステル樹脂粉末を有機溶媒に溶解させて得られるポリアミック酸溶液に塩基性触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の課程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸のイミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
本発明の液晶配向剤は、重合体(A)及び重合体(B)を含有する。本発明の液晶配向剤は、重合体(A)及び重合体(B)に加えて、その他の重合体を含有していてもよい。その他の重合体の種類としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン又はその誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、3−エトキシブチルアセタート、1−メチルペンチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2−(メトキシメトキシ)エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−(ブトキシエトキシ)プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル、下記式[D−1]〜[D−3]で表される溶媒。
このような溶媒の種類及び含有量は、液晶配向剤の塗布装置、塗布条件、塗布環境などに応じて適宜選択される。
液晶配向膜は、液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥、焼成して得られる膜である。本発明の液晶配向剤を塗布する基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板等を用いることもできる。その際、液晶を駆動させるためのITO電極などが形成された基板を用いると、プロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハーなどの不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウムなどの光を反射する材料も使用できる。
従来の液晶配向剤から得られる液晶配向膜は、光配向処理法における最適な配向状態が得られる光照射量マージンが100mJ/cm2未満と狭いが、本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜は、光照射量マージンが100〜600mJ/cm2に拡大する。本発明では、このように広い照射量マージンで効果的に配向処理を起こすことができる。
また、光配向処理では、 偏光された紫外線の消光比が高いほど、より高い異方性が付与できるため、直線に偏光された紫外線の消光比は、10:1以上が好ましく、20:1以上がより好ましい。
上記接触処理に使用する溶媒としては、放射線の照射によって液晶配向膜から生成した分解物を溶解する溶媒であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシルなどが挙げられる。なかでも、汎用性や溶媒の安全性の点から、水、2−プロパンール、1−メトキシ−2−プロパノール又は乳酸エチルが好ましく、水、1−メトキシ−2−プロパノール又は乳酸エチルがより好ましい。溶媒は2種類以上組み合わせてもよい。
以下における化合物の略号及び各特性の測定方法は、次のとおりである。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン、 GBL:γ―ブチロラクトン、
BCS:ブチルセロソルブ、DA−1:1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン、
DA−2:p−フェニレンジアミン 、DA−3:下記式(DA−3)参照 、
DA−4:N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン、DA−5:下記式(DA−5)参照、
DA−6:1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、
DA−7:下記式(DA−7)参照、 DA−8:下記式(DA−8)参照、
DA−9:下記式(DA−9)参照、 DA−10:下記式(DA−10)参照、
CA−1:下記式(CA−1)参照、 CA−2:下記式(CA−2)参照、
CA−3:下記式(CA−3)参照、 CA−4:下記式(CA−4)参照
E型粘度計TVE−22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE−1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
[分子量]
GPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)を算出した。
GPC装置:Shodex社製(GPC−101)、カラム:Shodex社製(KD803、KD805の直列)、カラム温度:50℃、溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/Lが含有される。)、流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量(Mw) 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)約12,000、4,000、1,000)。測定は、ピークが重なるのを避けるため、900,000、100,000、12,000、1,000の4種類を混合したサンプル、及び150,000、30,000、4,000の3種類を混合したサンプルの2サンプルを別々に測定した。
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5ppm〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
フリンジフィールドスィッチング(Fringe Field Switching:FFS)モード液晶表示素子の構成を備えた液晶セルを作製する。
始めに、電極付きの基板を準備した。基板は、30mm×50mmの大きさで、厚さが0.7mmのガラス基板である。基板上には第1層目として対向電極を構成する、ベタ状のパターンを備えたITO電極が形成されている。第1層目の対向電極の上には第2層目として、CVD法により成膜されたSiN(窒化珪素)膜が形成されている。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、層間絶縁膜として機能する。第2層目のSiN膜の上には、第3層目としてITO膜をパターニングして形成された櫛歯状の画素電極が配置され、第1画素及び第2画素の2つの画素を形成している。各画素のサイズは、縦10mmで横約5mmである。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により電気的に絶縁されている。
上記、2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−3019(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶、ルを得た。その後、得られた液晶セルを110℃で1時間加熱し、一晩放置してから各評価に使用した。
上記した残像評価に使用した液晶セルと同様の構造の液晶セルを準備した。
この液晶セルを用い、60℃の恒温環境下、周波数60Hzで±5Vの交流電圧を120時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間をショートさせた状態にし、そのまま室温に一日放置した。
放置の後、液晶セルを偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように液晶セルの配置角度を調整した。そして、第1画素の第2領域が最も暗くなる角度から第1領域が最も暗くなる角度まで液晶セルを回転させたときの回転角度を角度Δとして算出した。第2画素でも同様に、第2領域と第1領域とを比較し同様の角度Δを算出した。
この角度Δが0.13°未満の時、良好な液晶配向性であるとした。また、この角度Δの最小値の±0.03°未満の場合、角度Δの最小値と同等の液晶配向性であるとした。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの3L四つ口フラスコに、DA−1を58.4g(540mmol)、DA−2を66.0g(270mmol)、及びDA−3を21.4g(90.0mmol)を取り、NMPを2103g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を192g(855mmol)添加し、更に固形分濃度が12質量%になるようにNMPを371g加え、40℃で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(A−1)(粘度:435mPa・s)を得た。ポリアミック酸のMnは12300であり、Mwは33000であった。
下記表1に示す、ジアミン成分、テトラカルボン酸成分、及びNMPを使用し、それぞれ、合成例1と同様に実施することにより、下記表1に示すポリアミック酸溶液(A−2)〜(A−4)、(B−1)〜(B−2)、又は(C−1)〜(C−5)を得た。得られたポリアミック酸の粘度、及び分子量を下記表1に示す。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの3L四つ口フラスコに、上記で得られたポリアミック酸溶液(A−3)を2250g取り、NMPを750g加え、30分撹拌した。得られたポリアミック酸溶液に、無水酢酸を171g、ピリジンを35.4g加えて、55℃で3時間加熱し、化学イミド化を行った。得られた反応液を14028mlのメタノールに撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取し、続いて、14028mlのメタノールで3回洗浄した。得られた樹脂粉末を60℃で12時間乾燥することで、ポリイミド樹脂粉末を得た。このポリイミド樹脂粉末のイミド化率は66%であり、Mn=11000、Mw=28000であった。得られたポリイミド樹脂粉末3.60gを100ml三角フラスコに取り、固形分濃度が12%になるようにNMPを26.4g加え、70℃で24時間撹拌し溶解させてポリイミド溶液(A−3−PI)を得た(下記表2参照)。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに得られたポリアミック酸溶液(A−4)を67.0g取り、NMPを33.5g加え、30分撹拌した。得られたポリアミック酸溶液に、無水酢酸を5.80g、ピリジンを1.50g加えて、55℃で3時間加熱し、化学イミド化を行った。得られた反応液を472mlのメタノールに撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取し、続いて、472mlのメタノールで3回洗浄した。得られた樹脂粉末を60℃で12時間乾燥することで、ポリイミド樹脂粉末を得た。このポリイミド樹脂粉末のイミド化率は62%であり、Mn=12200、Mw=30600であった。合成例12と同様に実施することで、ポリイミドの固形分濃度が12%のポリイミド溶液(A−4−PI)を得た(下記表2参照)。
合成例1で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(A−1)3.13g、及び合成例2で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(B−1)3.13gを100ml三角フラスコに取り、NMP1.25g及びGBL4.50g、BCS6.00gを加え、25℃にて8時間混合して、液晶配向剤(1)を得た(下記表3参照)。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
下記表3のポリアミック酸溶液、及びポリイミド溶液を使用した以外は、実施例1と同様に実施することにより、液晶配向剤(2)〜(6)を得た。
合成例1で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(A−1)3.13g、合成例2で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(B−1)3.13g、及び合成例9で得られた15質量%のポリアミック酸溶液(C−3)7.51gを100ml三角フラスコに取り、NMP3.75g、GBL9.00g及びBCS6.00gを加え、25℃にて8時間混合して、液晶配向剤(7)を得た(下記表3参照)。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
下記表3に示すポリアミック酸溶液及びポリイミド溶液を使用した以外は、実施例7と同様に実施することにより、液晶配向剤(8)、(9)を得た(下記表3参照)。
下記表3に示すポリアミック酸溶液及びポリイミド溶液を使用した以外は、実施例1と同様に実施することにより、液晶配向剤(10)〜(19)を得た(下記表3参照)。
実施例1で得られた液晶配向剤(1)を孔径1.0μmのフィルターで濾過した後、準備された上記電極付き基板と裏面にITO膜が成膜されている高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで20分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面に偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を照射した後、230℃のホットプレート上で14分間乾燥させて、液晶配向膜付き基板を得た。
得られた上記2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−3019(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを110℃で1時間加熱し、一晩放置して、長期交流駆動による残像評価を実施した。長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値は、上記紫外線の照射量が、0.4J/cm2での液晶セルの角度Δの値は、0.12°であり、0.7J/cm2での液晶セルの角度Δの値は、0.10°であり、0.9J/cm2での液晶セルの角度Δの値は、0.12°であった。角度Δの最小値が0.10°(すなわち、0.13°未満)であり、他の角度Δはこの角度Δの最小値から±0.03°未満であるから、液晶配向剤(1)によれば良好な液晶配向性が得られた。
液晶配向剤(1)の代わりに、下記表4に示す液晶配向剤を用いたこと、及び下記の紫外線照射量を用いたことの以外は、実施例11と全く同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製し、長期交流駆動による残像評価を実施した。それぞれにおける長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値を、表4及び表5に示す。
Claims (10)
- 下記の(A)成分と(B)成分を含有することを特徴とする液晶配向剤。
(A)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位からなり、Xの20〜100モル%が式(2)で表される構造であり、Yの20〜100モル%が下記式(3)で表される構造であるポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)。
(B)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位からなり、Xの20〜100モル%が式(2)で表される構造であり、Yの65〜100モル%が下記式(4)又は式(5)で表される構造であり、且つ、Yが下記式(3)で表される構造である繰り返し単位を含まない又は20モル%未満で含むポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)。
式(4)中、A3は単結合、又は炭素数1〜2の2価の炭化水素基である。d、eはそれぞれ独立して1又は2の整数である。) - 前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を25〜400質量部を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
- 前記(A)成分と前記(B)成分の合計が、全重合体成分の15〜100質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
- 光配向処理用である請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
- 請求項8に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
- 横電界駆動方式である請求項9に記載の液晶表示素子。
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