しかしながら、弾性体による振動吸収が十分でないために電池パックが振動すると、電池パックと電気機器本体との電気的接続に影響する。また、電池パックと電気機器本体との電気的接続の断線が生じることがある。このため、電池パックのさらなる振動抑制に対する需要がある。
従って、本発明は、電池パックの振動を抑制することを目的とする。言い換えると、電気機器本体から電池パックへの振動の伝達を抑制することを目的とする。また、電気機器本体の耐久性を向上させることを目的とする。また、電気機器本体と電池パックとの断線の防止とを目的とする。
本発明の電気機器は、電力を消費する負荷部を収容する第1ハウジングと、一端部が前記第1ハウジングに接続されると共に他端部に電池パックが接続される第2ハウジングと、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間に介在する弾性体と、を有し、前記第1ハウジングは前記弾性体と離れた位置に第1規制部を有し、前記第2ハウジングは前記弾性体と離れた位置に前記第1規制部と係合可能な第2規制部を有し、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングから離脱しようとした際に、前記弾性体が変形すると共に、前記第1規制部と前記第2規制部とが係合して離脱を阻止するように構成した。
上記構成により、第2ハウジングは、第1ハウジングと弾性体によって接続されているので、電力の消費により負荷部に生じる振動は、弾性体によって吸収されて第2ハウジングへの伝達が抑制される。また、振動により第1ハウジングに対し第2ハウジングが移動して第1ハウジングから離脱しようとしても、係る動きは第1及び第2規制部によって阻止されるので、第1ハウジングから第2ハウジングの離脱を阻止できる。
好ましくは、前記第2ハウジングと対向する前記第1ハウジングの対向部と、前記第2ハウジングの一端部と、の間に介在する第2弾性体を有する。当該構成により、不測の外力の作用により第1ハウジングが第2ハウジングに向けて移動する場合であっても、第2弾性体により、第1ハウジングが直接第2ハウジングに直に当接することを防止することができる。
好ましくは、前記第1規制部と前記第2規制部の一方は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの一方から他方に向けて突出する突起部を有し、前記第1規制部と前記第2規制部の他方は、前記突起部との間に間隙を設けつつ前記突起部を受け入れる窪部を有する。当該構成により、第2ハウジングは第1ハウジングに対し確実に接続されて支持される。不測の外力の作用により第2ハウジングが第1ハウジングから離脱する方向に移動しても、第1規制部と第2規制部とにより当該移動が阻止されるので、第1ハウジングからの第2ハウジングの離脱が防止される。
また、前記第1ハウジングは、前記負荷部と電気的に接続される端子部を有し、前記第2ハウジングは、前記電池パックと電気的に接続される端子部を前記一端部に有し、前記第2ハウジングの端子部と前記第1ハウジングの端子部とは、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに接続されるように構成しても良い。
上記構成により、第1ハウジングと第2ハウジングとの電気的接続箇所に、負荷部の駆動により発生する振動が伝わりにくいので、大径部の端子部及び第2ハウジングの端子部の振動に起因する摩耗を抑制することができる。
好ましくは、前記第1ハウジングは、前記負荷部を収容する負荷収容部と、前記負荷収容部が接続されると共に作業者に把持されるハンドル部と、前記ハンドル部に関し前記負荷収容部とは反対側にて前記ハンドル部に接続されると共に前記ハンドル部の径よりも大径である大径部と、を有し、前記弾性体、前記第1規制部、及び前記第2規制部は、前記大径部と前記第2ハウジングとの間に設けられる。
上記構成により、第2ハウジングは、第1ハウジングと弾性体によって接続されているので、電力の消費により負荷部に生じる振動は、弾性体によって吸収されて第2ハウジングへの伝達が抑制される。これにより、第2ハウジングの振動が抑制されるので、第2ハウジングに取り付けられる電池パックの振動も抑制される。また、弾性体は、ハンドル部の径よりも大径の大径部と第2ハウジングとの間に介在するので、振動により弾性体に作用する応力を分散させて弾性体の耐久性を改善することができる。また、弾性体を大径部の外周部に設けることで、弾性体を設けることにより電気機器本体が細径となる部分がなくなるため、電気機器本体の破損を抑制することができ耐久性を向上することができる。
好ましくは、前記第2ハウジングは、前記大径部に対し前記弾性体のみによって離間され、前記大径部及び前記第2ハウジングは、前記弾性体の変形により互いに接触して前記大径部及び前記第2ハウジングのいずれか一方から他方の離脱を防止する規制部をそれぞれ有する。上記構成により、第1ハウジングと第2ハウジングとは、互いに離間しつつ保持され、電気機器の落下などにより予期せぬ外力が第1ハウジング又は第2ハウジングに作用したときに互いに直接接触する。従って、第2ハウジングが第1ハウジングより離脱することを防止することができる。
好ましくは、前記負荷部を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記大径部に収容される。上記構成により、制御部と負荷部とを電気的に接続する配線の断線を抑制できる。
本発明の電気機器は、電力を消費する負荷部を収容する負荷収容部と、前記負荷収容部が接続されると共に作業者に把持されるハンドル部と、前記ハンドル部に関し前記負荷収容部とは反対側にて前記ハンドル部に接続されると共に前記ハンドル部の径よりも大径である大径部と、を有する第1ハウジングと、一端部が前記大径部に取り付けられると共に他端部に電池パックを保持する第2ハウジングと、前記大径部に収容され前記負荷部を制御する制御部と、前記大径部と前記第2ハウジングの前記一端部との間に介在し、前記第2ハウジングを前記大径部に接続する弾性体と、を有する。
上記構成により、第2ハウジングは、第1ハウジングと弾性体によって接続されているので、電力の消費により負荷部に生じる振動は、弾性体によって吸収されて第2ハウジングへの伝達が抑制される。これにより、第2ハウジングの振動が抑制されるので、第2ハウジングに取り付けられる電池パックの振動も抑制される。また、弾性体は、ハンドル部の径よりも大径の大径部と第2ハウジングとの間に介在するので、振動により弾性体に作用する応力を分散させて弾性体の耐久性を改善することができる。また、弾性体を大径部の外周部に設けることで、弾性体を設けることにより電気機器本体が細径となる部分がなくなるため、電気機器本体の破損を抑制することができ耐久性を向上することができる。
好ましくは、前記第2ハウジングは、前記大径部に対し前記弾性体のみによって離間され、前記大径部及び前記第2ハウジングは、前記弾性体の変形により互いに接触して前記第1ハウジングから前記第2ハウジングの離脱を防止する規制部をそれぞれ有する。上記構成により、第1ハウジングと第2ハウジングとは、互いに離間しつつ保持され、電気機器の落下などにより予期せぬ外力が第1ハウジング又は第2ハウジングに作用したときに互いに直接接触する。従って、第2ハウジングが第1ハウジングより離脱することを防止することができる。
好ましくは、前記規制部は、前記弾性体と離間して設けられている。当該構成により、予期せぬ外力の作用により弾性体が変形して第1ハウジングに対する第2ハウジングの位置が変化しようとしても、規制部を介して第1ハウジング及び第2ハウジングが互いに接触することにより、第1ハウジングに対する第2ハウジングのさらなる移動を停止させることができる。従って、第2ハウジングが第1ハウジングより離脱することを防止することができる。また、弾性体の破断をぼうしすることができる。
好ましくは、前記第2ハウジングの前記一端部と対向する前記大径部の対向部と、前記第2ハウジングの一端部との間に介在する第2弾性体を有する。当該構成により、不測の外力の作用により第1ハウジングが第2ハウジングに向けて移動する場合であっても、第2弾性体により、第1ハウジングが直接第2ハウジングの一端部に直に当接することを防止することができる。
好ましくは、前記大径部は、略筒状の外周部に前記弾性体が取り付けられる取付部を有し、前記第2ハウジングは、前記大径部に接続されているときの前記弾性体が係合される係合部を有し、前記弾性体は、径方向に沿う断面が円形である。当該構成により、第2ハウジングは第1ハウジングに対し確実に接続されて支持される。不測の外力の作用により第2ハウジングが第1ハウジングから離脱する方向に移動しても、弾性体は、第1ハウジングと第2ハウジングとのいずれに接触しながらも第1ハウジングと第2ハウジングとの間の間隙を回転しつつ移動するので、弾性体の破断を防止できる。
また、前記大径部は、前記負荷部と電気的に接続される端子部を有し、前記第2ハウジングは、前記電池パックと電気的に接続される端子部を前記一端部に有し、前記第2ハウジングの端子部と前記大径部の端子部とは、前記第2ハウジングが前記大径部に接続されているときに互いに電気的に接続されるように構成してもよい。
上記構成により、第1ハウジングと第2ハウジングとの電気的接続箇所に、負荷部の駆動により発生する振動が伝わりにくいので、大径部の端子部及び第2ハウジングの端子部の振動に起因する摩耗を抑制することができる。
本発明の電気機器は、電力を消費する負荷部を収容する負荷収容部と、前記負荷収容部が接続されると共に作業者に把持されるハンドル部と、前記ハンドル部に関し前記負荷収容部とは反対側にて前記ハンドル部に接続されると共に前記負荷部を制御する制御部を収容する基板収容部と、を有する第1ハウジングと、一端部が前記基板収容部に取り付けられると共に他端部に電池パックを保持する第2ハウジングと、前記基板収容部と前記第2ハウジングの前記一端部との間に介在し、前記第2ハウジングを前記基板収容部に接続する弾性体と、を有する。
上記構成により、第2ハウジングは、第1ハウジングと弾性体によって接続されているので、電力の消費により負荷部に生じる振動は、弾性体によって吸収されて第2ハウジングへの伝達が抑制される。これにより、第2ハウジングの振動が抑制されるので、第2ハウジングに取り付けられる電池パックの振動も抑制される。また、弾性体は、ハンドル部に比較して寸法が大きくなる傾向のある基板収容部近傍に設けられるため、振動により弾性体に作用する応力を分散させて弾性体の耐久性を改善することができる。
好ましくは、前記第2ハウジングは、前記基板収容部に対し前記弾性体のみによって離間され、前記基板収容部及び前記第2ハウジングは、前記弾性体の変形により互いに接触して前記第1ハウジングから前記第2ハウジングの離脱を防止する規制部をそれぞれ有する。上記構成により、第1ハウジングと第2ハウジングとは、互いに離間しつつ保持され、電気機器の落下などにより予期せぬ外力が第1ハウジング又は第2ハウジングに作用したときに互いに直接接触する。従って、第2ハウジングが第1ハウジングより離脱することを防止することができる。
好ましくは、前記規制部は、前記弾性体と離間して設けられている。当該構成により、予期せぬ外力の作用により弾性体が変形して第1ハウジングに対する第2ハウジングの位置が変化しようとしても、規制部を介して第1ハウジング及び第2ハウジングが互いに接触することにより、第1ハウジングに対する第2ハウジングのさらなる移動を停止させることができる。従って、第2ハウジングが第1ハウジングより離脱することを防止することができる。
好ましくは、前記第2ハウジングの前記一端部と対向する前記基板収容部の対向部と、前記第2ハウジングの一端部と、の間に介在する第2弾性体を有する。当該構成により、不測の外力の作用により第1ハウジングが第2ハウジングに向けて移動する場合であっても、第2弾性体により、第1ハウジングが直接第2ハウジングの一端部に直に当接することを防止することができる。
好ましくは、前記基板収容部は、ハンドル部との接続方向を軸とする略筒状の外周部に前記弾性体が取り付けられる取付部を有し、前記第2ハウジングは、前記基板収容部に接続されているときの前記弾性体が係合される係合部を有し、前記弾性体は、径方向に沿う断面が円形である。当該構成により、第2ハウジングは第1ハウジングに対し確実に接続されて支持される。不測の外力の作用により第2ハウジングが第1ハウジングから離脱する方向に移動しても、弾性体は、第1ハウジングと第2ハウジングとのいずれに接触しながらも第1ハウジングと第2ハウジングとの間の間隙を回転しつつ移動するので、弾性体の破断を防止できる。
また、前記基板収容部は、前記負荷部と電気的に接続される端子部を有し、前記第2ハウジングは、前記電池パックと電気的に接続される端子部を前記一端部に有し、前記第2ハウジングの端子部と前記基板収容部の端子部とは、前記第2ハウジングが前記基板収容部に接続されているときに互いに電気的に接続されるように構成してもよい。
上記構成により、第1ハウジングと第2ハウジングとの電気的接続箇所に、負荷部の駆動により発生する振動が伝わりにくいので、第1ハウジングの端子部及び第2ハウジングの端子部の振動に起因する摩耗を抑制することができる。
本発明の電気機器は、電力を消費する負荷部を収容する第1ハウジングと、前記第1ハウジングに接続されるとともに、電池パックが装着される第2ハウジングと、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのいずれか一方の前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのいずれか他方に対する揺動を許容する揺動支持部と、を有する。
上記構成の電気機器によれば、作業時において第1ハウジングに振動が発生した場合において、揺動支持部により第1ハウジング及び第2ハウジングのいずれか他方に対して第1ハウジング及び第2ハウジングのいずれか一方が揺動することが可能に構成されているため、第2ハウジングに接続される電池パックに振動が伝達されることが抑制される。これにより、電気機器本体と電池パックとの接続部分の摩耗を好適に抑制することが可能となる。
また、前記揺動支持部は、前記いずれか一方に設けられる軸部と、前記いずれか他方に設けられ前記軸部を揺動可能に支持する支持部と、を有することが好ましい。
このような構成によれば、第1ハウジング及び第2ハウジングのいずれか一方に設けられる軸部を中心に当該いずれか一方がいずれか他方に対して揺動することにより、第2ハウジングに接続される電池パックに振動が伝達されることが抑制される。これにより、電気機器本体と電池パックとの接続部分の摩耗を好適に抑制することが可能となる。
また、前記支持部は、前記軸部を揺動可能に支持する貫通穴が形成され、前記貫通穴の内径は、前記貫通穴の両端の開口端から内方に向かうにつれて徐々に縮径していることが好ましい。
このような構成によれば、第1ハウジング及び第2ハウジングのいずれか一方がいずれか他方に対して貫通穴の径方向に揺動可能である。これにより、第2ハウジングに接続される電池パックに振動が伝達されることが抑制され、電気機器本体と電池パックとの接続部分の摩耗を好適に抑制することが可能となる。
また、前記貫通穴の軸心方向における中心は、前記貫通穴の内径のうち最小の内径を有することが好ましい。
このような構成によれば、軸部の軸線方向における中央部を支点として第1ハウジングが第2ハウジングに対して揺動することにより、第2ハウジング22への振動の伝達を抑制することが可能である。これにより、電気機器本体と電池パックとの接続部分の摩耗を好適に抑制することが可能となる。
また、前記いずれか一方のハウジングは、第1部分と第2部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分とは互いに半割状をなし、前記軸部は、第1部分から延び前記第2部分と当接し、軸線方向に延びるネジ穴が形成され、前記軸部と第2部分との当接により前記軸部の軸線方向における前記第1部分に対する前記第2部分の位置が位置決めされることが好ましい。
このような構成によれば、ネジを軸部に螺合させることにより、第1部分に対して第2部分を固定することが可能である。また、従来から一般的に電気機器に設けられているボスを軸部として用いているため、部品点数が増えてしまうことが抑制される。
また、前記第2ハウジングと対向する前記第1ハウジングの対向部には開口が形成され、前記支持部は、前記開口を介して前記第1ハウジングの内方に向かうように突出し、前記支持部と前記第1ハウジングの内周面との間には、第1弾性体が配置されることが好ましい。
このような構成によれば、第1弾性体の付勢力により、外力の働かない非作業時において好適に電気機器の姿勢を一定に保つことが可能となる。
また、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの対向部には、第2弾性体が配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、ハウジングの防塵性を高めることが可能となる。
また、前記第1ハウジングは、前後方向に延びる出力軸を有するモータを収容するモータハウジング部と、前記モータハウジング部から交差する方向に延びる把持部と、を有し、前記第2ハウジングは前記揺動支持部を介して前記把持部に接続されることが好ましい。
このような構成によれば、第2ハウジングに接続される電池パックに振動が伝達されることが抑制される。これにより、電気機器本体と電池パックとの接続部分の摩耗を好適に抑制することが可能となる。
また、前記第2ハウジングに収容される制御部と、前記制御部と前記モータとを前記開口を介して電気的に接続する接続線と、をさらに有することが好ましい。
上記の構成によれば、軸部を支点として第1ハウジングが第2ハウジングに対して揺動し、第1ハウジングが第2ハウジングに対して軸部の径方向に離反しないため、軸部を支持する支持部と同様に第1ハウジングの開口に挿通される接続線が断線してしまうことが抑制される。
また、前記第2ハウジングは、前記接続線が通る貫通穴を有し、前記貫通穴の内側に第3弾性体を配置されることが好ましい。
このような構成によれば、接続線が断線してしまうことを抑制することが可能となる。
また、前記揺動支持部は、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングとは別に両ハウジングに亘って配置されたジョイント部と、前記ジョイント部の外側に配置された弾性体と、を備え、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの夫々は、前記弾性体と係合する突出部を有することが好ましい。
このような構成によれば、第2ハウジングに接続される電池パックに振動が伝達されることが抑制される。これにより、電気機器本体と電池パックとの接続部分の摩耗を好適に抑制することが可能となる。
本発明は、さらに、電力を消費する負荷部を収容する第1ハウジングと、一端部が前記第1ハウジングに接続されると共に他端部に電池パックが接続される第2ハウジングと、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのいずれか一方の前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのいずれか他方に対する離脱を阻止する支持機構部と、前記支持機構部の周りに介在する弾性体と、を備え、前記第1ハウジングは、前記支持機構部を構成する第1規制部を有し、前記第2ハウジングは、前記支持機構部を構成し前記第1規制部と係合可能な第2規制部を有し、前記弾性体は、前記第1規制部と前記第2規制部との間の位置以外の前記支持機構部の周りに配置されていることを特徴とする電気機器を提供している。
上記構成の電気機器によれば、弾性体が第1規制部と第2規制部との間の位置から離間する位置に設けられるため、第1ハウジングに対する第2ハウジングの位置が弾性体の劣化等による影響を受けにくい。これにより、第2ハウジングが第1ハウジングに対して自由に動いてしまうことを抑制することができる。つまり、互いのハウジングの位置ずれが生じにくくすることができ、これにより、第1ハウジングと第2ハウジングとに亘って配置される接続線が断線しにくい構成とすることができる。また、弾性体が劣化した場合においても第2ハウジングが第1ハウジングから離脱することを防止することが可能となる。
上記構成において、前記第1規制部と前記第2規制部の一方は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの一方から他方に向けて突出する突起部を有し、前記第1規制部と前記第2規制部の他方は、前記突起部を受け入れる穴部を有することが好ましい。
このような構成によれば、第2ハウジングが第1ハウジングに対して離脱してしまうことを好適に抑制することが可能となる。
本発明の電気機器によれば、電池パックへの振動の伝達を抑制することが可能となる。負荷部での電力消費により第1ハウジングに生じる振動が、電池パックが取り付けられた第2ハウジングに伝達することが抑制される。従って、電池パックへ振動が伝達することを抑制することができる。また、振動により第2ハウジングが第1ハウジングより離脱することを抑制(阻止)することができる。さらに、電気機器本体の耐久性を向上させることができる。電気機器本体と電池パックとの断線の防止することができる。
以下、本発明の電気機器の一例として、本発明の第1の実施の形態によるインパクトトレンチ1を図面を参照して説明する。
図1に示すように、インパクトトレンチ1は、ハウジング2と、モータ3と、ギヤ機構4と、ハンマ5と、アンビル部6と、制御部8と、電池パック9と、から主に構成されている。
ハウジング2は、樹脂製であってインパクトトレンチ1の外郭を成しており、モータ3、ギヤ機構4、ハンマ5、アンビル部6及び制御部8を収容する第1ハウジング21と、第1ハウジング21に接続されると共に電池パック9が装着される第2ハウジング22とから構成される。
第1ハウジング21は、略筒状の負荷収容部23と、負荷収容部23から延出されるハンドル部24と、基板収容部25とから主に構成されている。負荷収容部23は、略筒状をなしており、モータ3と、ギヤ機構4と、ハンマ5と、アンビル部6とを当該順序で収容している。なお、モータ3と、ギヤ機構4と、ハンマ5と、アンビル部6とは、以下に詳細を説明するように、モータ3に供給される電力によって、ギヤ機構4及びハンマ5を介してアンビル部6に取り付けられる先端工具が動作する負荷部の一例を構成する。
なお、以下の説明においては、アンビル部6側を前側、モータ3側を後側と定義する。また、負荷収容部23に対してハンドル部24が延出している方向を下方と定義し、逆を上方と定義する。また、図1における紙面方向手前側を右方向と定義し、逆を左方向と定義する。
また、第1ハウジング21は、左右方向に二分割される半割形状を有する。同様に、第2ハウジング22も、左右方向に二分割される半割形状を有する。
負荷収容部23内の前側位置には、ハンマ5及びアンビル部6が内蔵される金属製のハンマケース26が配置されている。ハンマケース26は、前方に向かうに従って徐々に径が細くなる略漏斗形状を成しており、前端部分には開口26aが形成されている。負荷収容部23の後端面には外気を取込む複数の吸気口23aが形成されていて、負荷収容部23の側面であって後述の冷却ファン31の外方には取込んだ外気を排出する図示せぬ複数の排気口が形成されている。
ハンドル部24は、作業者が把持可能な径を有する略筒状に形成されている。また、ハンドル部24は、その一端である上端が負荷収容部23に接続され、他端であって上端の反対側である下端が基板収容部25に接続されている。ハンドル部24には、トリガ27が設けられており、トリガ27はハンドル部24内に収容されたスイッチ機構28と接続している。トリガ27によって、モータ3への電力の供給と遮断とを切替えている。ハンドル部24と負荷収容部23との接続部分であってトリガ27の直上には、モータ3の回転方向を切替える図示せぬ正逆切替スイッチが設けられている。
基板収容部25は、ハンドル部24の径よりも大径の略筒状に形成され、その内部には、制御部8が収容されている。基板収容部25の下端部には、複数の端子を有する端子部29が設けられている。なお、基板収容部25は、大径部の一例でもある。
モータ3は、ブラシレスモータであって、前後方向に延びる出力軸3Aと、出力軸3Aに固定され複数の永久磁石3Bを有するロータ3Cと、ロータ3Cを囲むように負荷収容部23に固定されて配置され複数のコイル3Dを備えるステータ3Eと、を有する。出力軸3Aの前側部には、冷却ファン31が固定されている。
ギヤ機構4は、モータ3の前方に配置されている、ギヤ機構4は、複数の歯車を備える遊星歯車機構で構成された減速機構であり、出力軸3Aの回転を減速してハンマ5に伝達している。
ハンマ5は、前端に一対の衝突部51を備えている。また、ハンマ5は、バネ52により前方に付勢され、バネ52の付勢力に反して後方に移動することも可能に構成されている。
アンビル部6は、ハンマ5の前方に配置されており、先端工具保持部61と、アンビル62とから主に構成され、ハンマケース26に回転可能に支持されている。先端工具保持部61は、ハンマケース26から前方に露出しており、断面が多角形(例えば四角形)に構成され、図示せぬソケットが取り付けられる平坦部を有するチャック61Bが設けられている。
アンビル62は、先端工具保持部61と一体に構成されており、先端工具保持部61の後方であってハンマケース26内に収容されている。先端工具保持部61の回転中心に対して対称に配置された一対の被衝突部62Aを有している。ハンマ5が回転すると、一方の衝突部51と一方の被衝突部62Aとが衝突すると同時に、他方の衝突部51と他方の被衝突部62Aとが衝突し、これによりハンマ5の回転力がアンビル62に伝達され、アンビル62に打撃力が与えられる。また、衝突部51と被衝突部62Aとの衝突後、ハンマ5はバネ52の付勢力に抗して回転しながら後退する。そして、衝突部51が被衝突部62Aを乗り越えると、バネ52に蓄えられた弾性エネルギーが解放されてハンマ5は前方に移動し、再び、衝突部51と被衝突部62Aとが衝突することとなる。
制御部8は、基板収容部25にリブ34によって保持された回路基板10に、モータ3の回転を検出し制御するために、図示せぬ回転位置検出回路、演算部、及び制御信号出力回路等が実装されている。制御部8は、モータ3の後方に設けられるセンサを実装した基板7とはリボンケーブル11を介して接続されると共に、基板収容部25の端子部29とも電気的に接続される。制御部8は、センサからの信号に基づきモータ3の回転速度を制御する。また、制御部8は、トリガ27の操作量に応じてモータ3に供給する電力量を調整することにより、モータ3の回転速度を制御する。
端子部29は、基板収容部25の下面に複数の端子が設けられ、一部の端子が電力線12を介してモータ3に電気的に接続されると共に、別の端子が制御部8に電気的に接続されている。
第2ハウジング22は、基板収容部25の径よりも僅かに大径の円筒形状に形成され、一端部である上端部が基板収容部25の大径部分の外周部にリング状の弾性体40を介して接続され、他端部である下端部に電池パック9を保持する。第2ハウジング22の前端部は、先端工具保持部61よりも前方へ突出しないように構成されている。また、第2ハウジング22の左右方向の幅は、基板収容部25の左右方向の幅よりも若干広く形成構成されている。
弾性体40は、ゴムやシリコン樹脂など適宜の弾性材料からなり、リングの径方向の断面は略円形である。
電池パック9は、図5及び図6(c)に示されるように、二次電池からなる複数の電池セルを樹脂製のケーシング92に収容し、一端部が第2ハウジング22に着脱自在に形成されると共に、一端部には電力を出力する複数の端子からなる端子部91が設けられている。
インパクトトレンチ1は、第2ハウジング22に電池パック9が装着された状態で作業者がトリガ27を引くと、電池パック9からモータ3への電力供給が開始され、その引き代に応じた回転数でモータ3が回転する。これと同時に冷却ファン31も回転して、吸気口23aから外気を取込む。この外気は、基板7、モータ3を冷却して排気口23bから外部に排出される。モータ3が回転することによって、ハンマ5がアンビル62を打撃し、図示せぬ先端工具が回転するので、インパクトトレンチ1による作業が可能になる。一方、作業者がトリガ27を離すことによりモータ3への電力供給は停止されるのでモータ3が停止して作業は終了する。
次に、第2ハウジング22の第1ハウジング21に対する接続構造と、電池パック9の取付構造とについて説明する。
上記の如く、第1ハウジング21及び第2ハウジング22は、左右方向に二分割される半割形状を有する。図3に、第1ハウジング21のうち、基板収容部25に相当して左右方向に二分された半割形状となる右収容部25R及び左収容部25Lと、第2ハウジング22の半割形状に相当する第2右ハウジング22R及び第2左ハウジング22Lと、弾性体40との分解斜視図を示す。また、図4(a)に、第2ハウジング22が弾性体40を介して第1ハウジング21に接続されている構成の縦断面図を示す。
基板収容部25の上下方向に延びる軸Cを中心とする外周面25Aの円周方向に、弾性体40が嵌装可能な弾性体取付溝41が形成されている。弾性体取付溝41は、弾性体40を内部に適度な弾力を保持させつつ嵌装可能な寸法を有する。弾性体取付溝41は取付部の一例である。また、外周面25Aの後半分部分には、取付溝41より下方に窪部42が円周方向に形成されている。窪部42は、第2規制部の一例である。
また、基板収容部25の端子部29の近傍の第2ハウジング22と対向する対向部には、図5(a)及び図6(a)に示されるように、第2弾性体46が固定される。第2弾性体46は、ゴムやシリコン樹脂などの適宜の弾性材料より形成され、図6(b)に示されるように平板形状を有する。第2弾性体46は、第1ハウジング21に作用する外力により基板収容部25が第2ハウジング22に向けて移動する時に、基板収容部25と第2ハウジング22との間に介在することにより基板収容部25と第2ハウジング22とが直接ぶつかり合って第1ハウジング21又は第2ハウジング22が破損することを防止する。
一方、第2ハウジング22は、基板収容部25の外周面25Aが差し込まれ外周面25Aと径方向外方から対向する内周面22Aを有し、内周面22Aに、弾性体40が嵌装可能な弾性体挿入溝43が形成されている。弾性体挿入溝43は、係合部の一例である。また、内周面22Aの後方部分には、弾性体挿入溝43より下方において突部44が円周方向に形成されている。突部44は、第1規制部の一例である。
また、第2ハウジング22は、図6(c)に示されるように、下端部に電池パック9が保持されるときに、電池パック9の端子部91と電気的に接続される複数の端子を含む端子部32を有する。端子部32は、保持される電池パック9の端子部91のうち、プラス及びマイナス端子に接続されると共に、電池パック9からの出力信号を受け取るように構成されている。
インパクトトレンチ1を組み立てるとき、半割状の第1ハウジング21内に、モータ3やギヤ機構4、ハンマ5、アンビル部6を収納し、制御部8を基板収容部25内にリブ34(図5(a)参照)で固定し、制御部8及びモータ3等の電気配線を終えた後、他方の半割状の第1ハウジング21を取り付けて第1ハウジング21の組み立てを終える。その後、基板収容部25の外周面25Aの弾性体取付溝41に弾性体40をはめ込み、弾性体取付溝41にはめ込まれた弾性体40を、半割状の第2ハウジング22R,22Lの弾性体挿入溝43に収納されるように第2ハウジング22R,22Lを基板収容部25に取り付ける。さらに、基板収容部25の窪部42に第2右ハウジング22R及び第2左ハウジング22Lの対応する突部44を突き合わせ、第2右ハウジング22R及び第2左ハウジング22Lをねじ33などにて互いに固定すると、第1ハウジング21に対し、第2ハウジング22は弾性体40を介して取り付けられて支持される。
このときの基板収容部25及び第2ハウジング22の弾性体40を介した接続部の縦断面図を図4(a)に示す。この状態において、図4(a)に示されるように、基板収容部25の窪部42に第2ハウジング22の突部44が入り込む。しかしながら、基板収容部25の窪部42と第2ハウジング22の突部44とは僅かな間隙αを介して互いに離間して接触しない。しかしながら、インパクトトレンチ1を落下させるなどの不測の外力がハウジング2に作用するとき、例えば第2ハウジング22が第1ハウジング21に対して相対的に移動して第1ハウジング21から脱落しようとするが、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22の移動量が間隙αに相当する長さαを超えると、図4(b)に示されるように、基板収容部25の窪部42に第2ハウジング22の突部44が接触(係合)するために、第2ハウジング22の第1ハウジング21に対する脱落が防止(阻止)される。すなわち、窪部42及び突部44によって、第2ハウジングの第1ハウジング21からの抜け止め効果が達成される。従って、窪部42及び突部44は、規制部の一例である。また、基板収容部25と第2ハウジング22とは、互いの間に間隙αを介して弾性体40で接続されているため、間隙分、基板収容部25に対して第2ハウジング22が全方向に相対的に移動することができ、第1ハウジング21から第2ハウジングに伝達される振動を効果的に抑制することができる。
さらに、不測の外力により、第2ハウジング22が第1ハウジング21に対して相対的に移動するとき、弾性体40は、断面が円形であるため、図4(b)に示されるように、弾性体取付溝41及び弾性体挿入溝43によって規制される空間の中を転がりながら圧縮されるので、弾性体40の剪断が防止される。従って、弾性体40の寿命を延ばすことができる。
また、第2ハウジングに電池パック9が取り付けられると、図6(c)に示されるように、第2ハウジング22の端子部32が電池パック9の端子部91と電気的に接続される。一方、第2ハウジング22は、弾性体40を介して第1ハウジング21の基板収容部25に接続されて、電池パック9の端子部91は、第2ハウジングを介して基板収容部25の端子部29と間接的に電気接続されている。従って、トリガ27を引くと、電池パック9からモータ3に電力が供給されてハンマ5及びアンビル部6による作業が可能になる。インパクトトレンチ1の動作中に第1ハウジング21に生じた振動は、弾性体40によって吸収されるので、電池パック9への伝達が抑制される。このように、第2ハウジング22と電池パック9との電気的接続部分への振動伝達が抑制されるため、振動に起因する電池パック9の端子部91の摩耗が抑制される。また、端子部91と端子部32との間の接触不良(チャタリング)を抑制することができる。
さらに、第2ハウジング22は、ハンドル部24ではなくハンドル部24の径よりも大径の基板収容部25の外周面25Aに弾性体40を介して接続されているので、振動による応力が分散されることにより、第2ハウジング22に伝達される振動を低減させている。従って、第2ハウジング22に取り付けられた電池パック9の端子部91を構成する端子の摩耗を防止して、寿命を延ばすことができる。また、ハンドル部24よりも大径の基板収容部25の外周面25Aに弾性体40を取り付けているので、弾性体40を取り付けた部分が細径、例えばハンドル部24よりも細くなることがないため、第2ハウジング22の強度を向上することができ、弾性体40が取り付けられている部分から破損し難くすることができる。
また、制御部8は第1ハウジング21内に収納されるので、モータ3と制御部8を電気的に接続するリボンケーブル11等の配線の断線を抑制できる。
さらに、第1ハウジング21と第2ハウジング22の接続部がハンドル部24から離れているため、当該接続部に生じる段差などが作業者のハンドル部24の把持を干渉しない。よって、インパクトトレンチ1の操作性を改善することができる。
なお、上記の実施の形態では、基板収容部25に窪部42を設け、第2ハウジング22に窪部42と僅かの間隙を介して対向する突部44を設けて抜け止めとする構成としたが、図7(a)に示されるように、基板収容部25の外周面25Aに第2ハウジング22に向けて突出する突部144を設け、突部144に対向する第2ハウジング22の内周面22A側に窪部142を設けても良い。図7(a)に示す構成も、上記実施の形態と同様の作用効果を呈する。
また、図4(a)及び図7(a)においては、弾性体40が取り付けられる弾性体取付溝41及び弾性体挿入溝43が、窪部42及び突部44の上方、すなわち、窪部42及び突部44よりもハンドル部24に近い位置に設けられていたが、図7(b)に示すように、弾性体取付溝41及び弾性体挿入溝43の上方、すなわちハンドル部24に近い位置で、基板収容部25の外周面25Aに窪部242を、第2ハウジング22の内周面22Aに突部244を設けても良い。この場合も、上記実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。また、図7(c)に示すように、弾性体取付溝41及び弾性体挿入溝43の上方、すなわち負荷収容部23に近い位置で、基板収容部25の外周面25Aに突部344を、第2ハウジング22の内周面22Aに窪部342を設けても良い。この場合も、上記実施の形態と同様に、第2ハウジング22の第1ハウジング21からの抜け止めの作用及び効果を奏する。すなわち、基板収容部25と第2ハウジング22との間に隙間を設けて弾性体40を配置し、弾性体40と突部44等が離間して配置されていれば本発明の効果を得ることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる電気機器の一例であるインパクトレンチ101について、図8乃至図17に基づいて説明する、インパクトレンチ101は、被加工材(鉄鋼、木材等)に止具(ボルトやナット、ネジ等)を締結するための電動工具である。
以下の説明において、図8に示されている「上」を上方向、「下」を下方向、「前」を前方向、「後」を後方向と定義する。また、インパクトレンチ101を後から見た場合の「右」を右方向、「左」を左方向と定義する。本明細書において寸法、数値等に言及した場合には、当該寸法及び数値等と完全に一致する寸法及び数値だけでなく、略一致する寸法及び数値等(例えば、製造誤差の範囲内である場合)を含むものとする。「同一」、「直交」、「平行」、「一致」、「面一」等についても同様に「略同一」、「略直交」、「略平行」、「略一致」、「略面一」等を含むものとする。
図8に示されているようにインパクトレンチ101は、ハウジング102と、モータ103と、ギヤ機構104と、インパクト機構105と、アンビル106と、制御部107、揺動機構部108と、第1弾性体109と、第2弾性体110と、第3弾性体111とを主に有している。
ハウジング102は、樹脂製であり、インパクトレンチ101の外郭をなしている。図8に示されているように、ハウジング102は、第1ハウジング121と、端子部P1を有する電池パックPを着脱可能な第2ハウジング122とを有している。
図8に示されているように、第1ハウジング121は、ハウジング102の上側部分をなしている。第1ハウジング121は、本体ハウジング123と、ハンマケース124とを有している。第1ハウジング121は、本発明における「第1ハウジング」の一例である。
図9に示されているように、本体ハウジング123(負荷収容部23に相当)は、左右方向に二分割される分割形状を有する。本体ハウジング123は、左側部分をなす第1部分123Aと、右側部分をなす第2部分123Bとを有している。第1部分123Aと第2部分123Bとは、互いに半割状をなしている。図8に示されているように、本体ハウジング123は、モータハウジング125と、ハンドル部126とを有している。第1部分123Aは、本発明における「第1部分」の一例であり、第2部分123Bは、本発明における「第2部分」の一例である。
モータハウジング125は、前後方向に延びる略円筒形状をなし、モータ103を収容している。また、モータハウジング125は、ハンマケース124と協働して、モータ103と、ギヤ機構104と、インパクト機構105と、アンビル106の一部とを当該順序で収容している。なお、モータ103と、ギヤ機構104と、インパクト機構105と、アンビル106とは、モータ103に供給される電力によって、ギヤ機構104及びインパクト機構105を介してアンビル106に取付けられる先端工具を駆動させ電力を消費する負荷部の一例を構成している。図9に示されているように、モータハウジング125の後部側面には外気を取込む複数の吸気口125bが形成され、モータハウジング125の中央部側面には取込んだ外気を排出する複数の排気口125cが形成されている。モータハウジング125は、本発明における「モータハウジング部」の一例である。
ハンドル部126は、上下方向に延び、作業者が把持可能な径を有する略筒状に形成されている。言い換えると、ハンドル部126は、モータハウジング125から交差する方向に延びている。ハンドル部126の上端部は、モータハウジング125の下端部と接続されている。図8及び図9に示されているように、ハンドル部126は、第1リブ126Aと、第2リブ126Bと、トリガ126Cとを有している。ハンドル部126は、本発明における「把持部」の一例である。
図8及び図9に示されているように、第1リブ126Aは、ハンドル部126の下部に設けられ、ハンドル部126の内周面から内方に突出し水平方向に延びる下面を有する略平板状をなしている。
図9に示されているように、第2リブ126Bは、ハンドル部126の下部に設けられ、ハンドル部126の内周面から内方に突出し、第1リブ126Aの下面から上下方向に延びている。
トリガ126Cは、ハンドル部126の上部に設けられ、ハンドル部126内に収容されたスイッチ機構126Dと接続されている。本実施の形態においては、トリガ126Cを操作することによって、モータ103への電力の供給と遮断とを切替可能に構成されている。なお、ハンドル部126とモータハウジング125との接続部分であってトリガ126Cの直上には、モータ103の回転方向を切替える図示せぬ正逆切替スイッチが設けられている。
図10に示されているように、ハンドル部126の第2ハウジング122と対向する対向部には、第1ハウジングの内部と外部とを連通する貫通穴126aが形成されている。貫通穴126aは、前後方向に延びる略矩形状に形成された第1領域126bと、第1領域126bに連通され第1領域126bよりも左右方向の幅が広く形成された第2領域126cとを有している。また、図11に示されているように、ハンドル部126の右側部分の下端部には、ハンドル部126を左右方向に貫通するネジ穴126dが形成されている。貫通穴126aは、本発明における「開口」の一例である。
図8に示されているハンマケース124は、金属製であり、インパクト機構105及びアンビル106の一部を収容している。ハンマケース124は、前方に向かうに従って徐々に径が小さくなる略漏斗形状をなしている。ハンマケース124の前端部分には、開口が形成され、当該開口には、軸受メタル124Aが嵌め込まれている。
図8に示されているモータ103は、ブラシレスモータであり、回転軸131と、ロータ132と、ステータ133と、ファン134と、基板135とを有している。
回転軸131は、前後方向に延び、軸受を介してモータハウジング125に回転可能に支承されている。回転軸131は、本発明における「出力軸」の一例である。
ロータ132は、図示せぬ複数の永久磁石を有する回転子であり、前後方向に延びている。ロータ132は、回転軸131と一体に回転するように回転軸131に固定されている。
ステータ133は、図示せぬコイルを有する固定子である。ステータ133は、ロータ132を囲むようにモータハウジング125に固定されている。
ファン134は、回転軸131のロータ132の前面よりも前方に位置する箇所に設けられて1いる。ファン134は、回転軸131と一体に回転するように回転軸131に固定されている。
基板135は、モータ103の後部に設けられる円環状の基板である。基板135には、電池パックPの電力をモータ103に供給するとともにモータ103の回転を制御するためのインバータ回路(図示せず)、ロータ132の回転位置を検知するための磁気センサ(図示せず)等が実装されている。
ギヤ機構104は、モータ103の回転軸131の前端部に設けられたピニオンギヤ141と、ピニオンギヤ141と噛合している一対のギヤ142と、ギヤ142と噛合しているアウターギヤ143とを有している。ギヤ機構104は、ピニオンギヤ141を太陽ギヤとし、一対のギヤ142を遊星ギヤとする遊星ギヤ機構であり、ピニオンギヤ141からの回転を減速してインパクト機構105に伝達可能に構成されている。
図8に示されているように、インパクト機構105は、スピンドル151と、ボール152と、スプリング153と、ハンマ154とを有している。
スピンドル151の外周面には略V字状の2つの溝151aが形成されている。溝151aには、ボール152が当該溝に沿って前後方向に移動可能に設けられている。また、スピンドル151には、その前面から前方に突出する突出部151Aが設けられている。
スプリング153は、コイルスプリングであってスピンドル151に外装されている。スプリング153の前端部は、ハンマ154に当接し、ハンマ154を前方に付勢している。スプリング153の後端部は、スピンドル151に当接している。
ハンマ154は、ハンマケース124内に前後方向に延びる軸線Aを中心に回転可能に配置され、本体部154A及び一対の爪部154Bを有している。軸線Aはロータ132の回転軸心に一致している。
本体部154Aの内周面には、本体部154Aの径方向外方に窪んだ2つの溝154aが軸線A方向に延びて形成されている。各溝154aは、スピンドル151の各溝151aに対向する位置に形成されていて、各溝151aとともにボール152を支持している。これにより、ハンマ154がスピンドル151に対して相対的に前後方向及び周方向に移動することが可能である。
一対の爪部154Bは、本体部154Aの前面から前方に突出している。
図8に示されているように、アンビル106は、アンビル本体部161と、一対の羽根部162と、装着部163とを有している。
アンビル本体部161は、前後方向に延び、その前端部分を軸受メタル124Aに嵌挿されて回転可能に支持されている。アンビル本体部161には前後方向に延びる係合溝161aが形成され、当該係合溝161aには、スピンドル151の突出部151Aが挿入されている。
一対の羽根部162は、アンビル本体部161と一体に構成され、軸線Aに対してアンビル106の直径方向の互いに反対側に配置されている。
装着部163は、アンビル本体部161の前端に設けられ、ハンマケース124の開口から露出している。装着部163には、図示せぬ先端工具が装着可能である。
第2ハウジング122は、ハウジング102の下側部分をなし、制御部107を収容している。第2ハウジング122は、その上端部が揺動機構部108を介して第1ハウジング121に接続されると共に、その下端部に端子部P1を有する電池パックPを着脱可能に構成されている。言い換えると、第2ハウジング122は、その一端部が第1ハウジング121に接続されるとともに他端部に電池パックPが接続されている。図9に示されているように、第2ハウジング122は、左右方向に二分割される分割形状を有する。第2ハウジング122は、左側部分をなす第1部分122Aと、右側部分をなす第2部分122Bとを有している。第2ハウジング122の後部には、第2ハウジング122の内部と外部とを連通する貫通穴122aが形成されている。貫通穴122aの形状は、ハンドル部126の貫通穴126aの第2領域126cの形状と同一に形成されている。これにより、第1ハウジング121と第2ハウジング122とは、第2領域126c及び貫通穴122aを介して連通している。また、図8に示されているように、第2ハウジング122は、端子部122Cを有している。第2ハウジング122は、本発明における「第2ハウジング」の一例であり、大径部の一例である。
端子部122Cは、第2ハウジング122の下端部に電池パックPが保持されるときに、電池パックPの端子部P1と電気的に接続される複数の端子を含んで構成されている。端子部122Cは、保持される電池パックPの端子部P1のうち、プラス及びマイナス端子に接続されると共に、電池パックPからの出力信号を受け取るように構成されている。
制御部107は、第2ハウジング122に収容され、回路基板171を有している。回路基板171には、モータ103の回転を検出し制御するための図示せぬ回転位置検出回路、演算部及び制御信号出力回路等が実装されている。回路基板171は、モータ103の基板135とリボンケーブル107Aを介して電気的に接続されるとともに、第2ハウジング122の端子部122Cとも電気的に接続されている。制御部107は、基板135に設けられたセンサからの信号に基づきモータ103の回転速度を制御する。また、制御部107は、トリガ126Cの操作量に応じてモータ103に供給する電力量を調整することにより、モータ103の回転速度を制御する。制御部107は、本発明における「制御部」の一例である。リボンケーブル107Aは、本発明における「接続線」の一例である。
次に、図8乃至図12を参照しながら、揺動機構部108、第1弾性体109、第2弾性体110及び第3弾性体111の構成について詳細に説明する。
図8に示されているように、揺動機構部108(支持機構部)は、軸部181(第1規制部、突起部)と、支持部182(第2規制部)とを有している。揺動機構部108は、本発明における「揺動支持部」、「支持機構部」の一例である。
図9に示されているように、軸部181は、本体ハウジング123の第1部分123Aに一体に設けられ、ハンドル部126の下端部において左右方向に延びる略円筒形状をなしている。軸部181には、その軸線方向に延びるネジ穴181aが形成されている。図11に示されているように、ネジ穴181aは、上下方向において、ハンドル部126の右側部分に形成されたネジ穴126dと同位置に位置している。軸部181は、本発明における「軸部」、「第1規制部」、「突起部」の一例である。
支持部182は、第2ハウジング122に一体に設けられ、軸部181を揺動可能(回転可能)に支持している。支持部182は、ハンドル部126の貫通穴126aを介して第1ハウジング121の内方に向かうように突出している。図8及び図9に示されているように、支持部182の突出端面は、所定の曲率で湾曲している。図11に示されているように、支持部182には、左右方向に延びる貫通穴182a(穴部、窪部)が形成されている。支持部182は、本発明における「支持部」、「第2規制部」の一例である。
貫通穴182aには、軸部181が挿通されている。これにより、支持部182は、軸部181を揺動可能(回転可能)に支持している。貫通穴182aは、支持部182の左右側面に開口を有し、その内径が、当該開口端から内方に向かうにつれて徐々に縮径している。また、貫通穴182aの軸心方向における中心は、貫通穴の内径のうち最小の内径を有している。すなわち、図11に示すように、貫通穴182aの内周は、中央部分が最小径となる湾曲形状になっている。貫通穴182aは、本発明における「貫通穴」、「穴部」の一例である。
なお、本実施の形態においては、軸部181が第1ハウジング121に設けられ、支持部182が第2ハウジング122に設けられているが、軸部を第2ハウジング122に設け、支持部を第1ハウジング121に設けても良い。言い換えると、第1ハウジング121及び第2ハウジング122のいずれか一方の第1ハウジング121及び第2ハウジング122のいずれか他方に対する揺動を許容するように構成されていれば良い。
第1弾性体109は、ゴム製の弾性体であり、図8に示されているように、支持部182と第1ハウジング121の内周面との間に配置されている。これにより、インパクトレンチ101は、非作業時において、一定の姿勢(例えば図8に示される姿勢)を好適に保つことが可能である。図9に示されているように、第1弾性体109は、本体部191と、一対の突出部192とを有している。第1弾性体109は、本発明における「第1弾性体」の一例である。
図8に示されているように、本体部191は、水平方向に延びる上面を有している。本体部191の下部は、支持部182の突出端面の曲率と同一の曲率を有するように略上方に向かって窪んでいる。なお、図8には、第1弾性体109の左右方向の中央を通り且つ左右方向に直交する断面が示されている。また、図9に示されているように、本体部191には、上下方向に延びる溝191aが左右対称に形成されている。
一対の突出部192は、本体部191の前部に左右対称に設けられ、本体部191の下面から下方に突出している。
第2弾性体110は、ゴム製の弾性体であり、図8に示されているように、薄い板状に形成され、ハンドル部126と第2ハウジング122との対向部に配置されている。第2弾性体110の上面が第1ハウジング121の下面と当接し、下面が第2ハウジング122の上面と当接することにより、インパクトレンチ101は、非作業時において、一定の姿勢(例えば図8に示される姿勢)を好適に保つことが可能である。また、第1ハウジング121と第2ハウジング122との対向部における防塵性を向上させることが可能となる。
図9に示されているように、第2弾性体110には、第2弾性体を上下方向に貫通する挿通穴110aが形成されている。挿通穴110aは、ハンドル部126の貫通穴126a(図10参照)の形状と同一に形成されている。また、挿通穴110aは、前後方向に延びる略矩形状に形成された第1領域110bと、第1領域110bに連通され第1領域110bよりも左右方向の幅が広く形成された第2領域110cとを有している。第2領域110cは、ハンドル部126の貫通穴126aの第2領域126c(図10参照)の形状と第2ハウジング122の貫通穴122aの形状と同一に形成されている。なお、本実施の形態において、第2弾性体を省略した場合、第1ハウジング121と第2ハウジング122との対向部には、前後方向に所定の間隙が形成されるように構成されている。第2弾性体110は、本発明における「第2弾性体」の一例である。
第3弾性体111は、ゴム製の弾性体であり、図8に示されているように、上下方向に延びる筒状をなしている。第3弾性体111には、リボンケーブル107A、その他の接続線が挿通されている。これにより、リボンケーブル107A、その他の接続線の断線を抑制することが可能となる。図12に示されているように、第3弾性体111は、第1筒部111Aと、第2筒部111Bと、突出部111Cとを有している。
第1筒部111Aは、上方に開口が形成され、上下方向に延びる筒状をなしている。
第2筒部111Bは、下方に開口が形成され、第1筒部111Aの下端から下方に延びる筒状をなしている。第2筒部111Bの左右方向の幅は第1筒部111Aの左右方向の幅よりも小さく形成され、第2筒部111Bの前後方向の幅は第1筒部111Aの前後方向の幅よりも小さく形成されている。また、第2筒部111Bの断面形状は、第2ハウジング122の貫通穴122a、第2弾性体110の第2領域110c及びハンドル部126の第2領域126c(図10参照)の形状よりも僅かに大きく形成されている。第2筒部111Bは、貫通穴122a、第2領域110c及び第2領域126cに嵌め込まれている。
突出部111Cは、第2筒部111Bの下端部から第2筒部111Bの径方向外方に突出している。
次に、図12乃至図14を参照しながら、第2の実施の形態にかかるインパクトレンチ101のハウジング102の組立工程について説明する。
まず、第2ハウジング122の第1部分122A及び第2部分122Bを用意する。第1部分122A又は第2部分122Bの貫通穴122aに第3弾性体111の第2筒部111Bを係合させた状態で、第1部分122Aと第2部分122Bとを近接させる。貫通穴122aを規定する周面で第2筒部111Bを挟み込むようにして第1部分122Aと第2部分122Bとを当接させる。この状態において、図示せぬ複数のネジを用いて、第1部分122Aと第2部分122Bとを互いに移動不能に固定する。
次に、図13に示されているように、第2弾性体110を配置する。具体的には、挿通穴110aに支持部182と、第3弾性体111の第1筒部111Aを挿通させる。このときに、第2ハウジング122の上面と第2弾性体110の下面とを当接させる。
次に、図13に示されているように、第1弾性体109を略前方から支持部182に当接させ配置する。この状態において、第1弾性体109の本体部191の下部が支持部182の突出端面の曲率と同一の曲率を有するように略上方に向かって窪んでいるため、第1弾性体109を第2ハウジング122に対して安定した状態で配置することができる。これにより、組立作業が容易となる。
次に、本体ハウジング123の第1部分123Aと第2部分123Bとを用意し、第1部分123Aと第2部分123Bを近接させる。この状態において、第1部分123Aに設けられた軸部181を、支持部182の貫通穴182aに挿通させる。ハンドル部126に設けられた第2リブ126Bを第1弾性体109の本体部191に形成された溝191aに係合させるように、第1部分123Aと第2部分123Bとを当接させる。この状態において、図示せぬ複数のネジを用いて、第1部分123Aと第2部分123Bとを互いに移動不能に固定する(図14参照)。
本実施の形態においては、図9に示されているように、軸部181と第2部分123Bとが当接することにより第1部分123Aに対する第2部分123Bの位置が位置決めされ、ネジ穴181a及びネジ穴126dに図示せぬネジを螺合するように構成されている。つまり、従来から一般的にインパクトレンチに設けられているボスを軸部181として用いているため、部品点数が増えてしまうことが抑制されている。
次に、図15及び図16を参照しながら、第2の実施の形態にかかるインパクトレンチ101を用いた締付作業について説明する。
スピンドル151がモータ103によって回転されると、ボール152と、ハンマ154と、アンビル106とがスピンドル151とともに回転し、ボルト等の締付作業が開始される。
締付作業が進むにつれてアンビル106の負荷が重くなると、ハンマ154はスプリング153の付勢力に抗して回転しながら後退する。このとき、ボール152は、溝151a内を後方に移動する。そして爪部154Bが羽根部162を乗り越えると、ハンマ154とアンビル106との噛み合いが解除され、ハンマ154がアンビル106から離脱する。その後、スプリング153に蓄えられた弾性エネルギーが解放されて、ハンマ154は、ボール152を介して、スピンドル151に対して相対回転しながら前方に移動する。それによってハンマ154の一方の爪部154Bとアンビル106の一方の羽根部162とが衝突すると同時に、他方の爪部154Bと他方の羽根部162とが衝突して、ハンマ154とアンビル106とが噛み合う。これにより、羽根部162に打撃が与えられる。
爪部154Bと羽根部162との衝突後、ハンマ154はスプリング153の付勢力に抗して回転しながら後退する。そして、爪部154Bが羽根部162を乗り越えると、ハンマ154とアンビル106との噛み合いが解除され、ハンマ154がアンビル106から離脱する。その後、スプリング153に蓄えられた弾性エネルギーが解放されて、ハンマ154は前方に移動し、再び爪部154Bと羽根部162とが衝突し、ハンマ154及びスプリング153の回転力がアンビル106に伝達される。このような、ハンマ154からの回転打撃により、アンビル106は装着部163に装着された先端工具とともに回転し、インパクトレンチ101は、先端工具によるビスやボルト等の止具の締付作業を行う。
次に、第2の実施の形態にかかるインパクトレンチ101を用いた作業時における効果について、図19に示される従来のインパクトレンチ900と比較しながら詳細に説明する。
図19に示される比較例のインパクトレンチ900は、ハウジング920を有している。ハウジング920は、負荷部を構成するモータ93、ギヤ機構94、インパクト機構95及びアンビル96を収容している。また、ハウジング920の下側部分を構成するハンドル部926は、その下部に制御部97を収容し、その下端部には電池パックQの端子部Q1と電気的に接続される端子部920Aが設けられている。
ここで、比較例のインパクトレンチ900は、本実施の形態にかかるインパクトレンチ101と異なり、上下方向に分割されたハウジングを有しておらず、揺動機構部108に相当する構成を有していない。このため、負荷部の駆動に伴いハウジング920に振動が発生した場合には、直接電池パックQに振動が伝達されることにより、インパクトレンチ900本体側の端子部920Aと電池パックQ側の端子部Q1とが摩耗し損傷してしまう可能性がある。
これに対し、本実施の形態におけるインパクトレンチ101は、第1ハウジング121の第2ハウジング122に対する揺動を許容する揺動機構部108を有しているため、第2ハウジング122に振動が伝達されてしまうことを抑制することが可能である。言い換えると、第2ハウジング122の第1ハウジング121に対する揺動を許容する揺動機構部108を有しているため、第2ハウジング122に振動が伝達されてしまうことを抑制することが可能である。
具体的には、図15に示されているように、第1ハウジング121に収容された負荷部の駆動により第1ハウジング121に前後方向の振動が発生した場合においても、軸部181の軸線を中心として第1ハウジング121が第2ハウジング122に対して前後方向に揺動することにより、第2ハウジング122への振動の伝達を抑制することができる。より具体的には、図15(a)に示されているように、第1ハウジング121を図15の反時計回り方向に回動させるような力が働いた場合には、第2ハウジング122は、第1ハウジング121に対して軸部181の軸線を中心に図15の時計回り方向(図15(a)の矢印方向)に揺動する。また、図15(b)に示されているように、第1ハウジング121を時計回り方向に回動させるような力が働いた場合には、第2ハウジング122は、第1ハウジング121に対して軸部181の軸線を中心に図15の反時計回り方向(図15(b)の矢印方向)に揺動する。これにより、第2ハウジング122側に伝達される振動を遮断することが可能となるため、インパクトレンチ101本体側の端子部122Cと電池パックP側の端子部P1との摩耗を抑制することが可能となる。なお、図8と異なり、図15には、第1弾性体109の右側面が示されている。
また、図16に示されているように、第1ハウジング121に収容された負荷部の駆動により第1ハウジング121に左右方向の振動が発生した場合においても、軸部181の軸線方向における中央部を支点として第1ハウジング121が第2ハウジング122に対して左右方向に揺動することにより、第2ハウジング122への振動の伝達を抑制することが可能である。支持部182の貫通穴182aは、図11に示すように、左右方向における両側よりも中央部分の内径が小さくなるように中央部分に向かうにつれて徐々に湾曲している。すなわち、貫通穴182aの内周は、中央部分が最小径となる湾曲形状になっている。そのため、第2ハウジング122が左右方向にスムーズに揺動することができる。より具体的には、基準となる図16(a)に示される状態から、図16(b)に示されているように、第1ハウジング121を図16の反時計回り方向に回動させるような力が働いた場合には、第2ハウジング122が第1ハウジング121に対して軸部181の軸線方向における中央部を支点として、貫通孔182aの内周面の湾曲形状に沿って図16の時計回り方向(図16(b)の矢印方向)に揺動する。また、基準となる図16(a)に示される状態から、図16(c)に示されているように、第1ハウジング121を図16の時計回り方向に回動させるような力が働いた場合には、第2ハウジング122が第1ハウジング121に対して軸部181の軸線方向における中央部を支点として、貫通孔182aの内周面の湾曲形状に沿って図16の反時計回り方向(図16(c)の矢印方向)に揺動する。これにより、第2ハウジング122が左右方向にスムーズに揺動することができ、インパクトレンチ101本体側の端子部122Cと電池パックP側の端子部P1との摩耗を抑制することが可能となる。
また、本実施の形態においては、軸部181を支点として第1ハウジング121が第2ハウジング122に対して揺動し、第1ハウジング121が第2ハウジング122に対して軸部181の径方向に離反しないため、軸部181を支持する支持部182と同様に第1ハウジングの貫通穴126aに挿通される接続線が断線してしまうことが抑制される。
また、本実施の形態においては、第1ハウジング121が第2ハウジング122に対して揺動することに伴い、第1ハウジング121と第2ハウジング122との対向部に間隙が発生するように構成されている。これによれば、モータハウジング125の吸気口125aから雨水等が侵入してくる場合においても、当該間隙から雨水等を排出することができ、インパクトレンチ101本体の耐久性を保つことが可能となる。
次に、図17及び図18を参照しながら、本発明の第3の実施の形態にかかるインパクトレンチ200について説明する。インパクトレンチ200は、基本的に第2の実施の形態にかかるインパクトレンチ101と同一の構成を有しており、インパクトレンチ101の構成と同一の構成については説明を適宜省略し、相違する構成について主に説明する。
図17に示されているように、第3の実施の形態にかかるインパクトレンチ200においては、第1弾性体109に替えて第1弾性体219が設けられている。なお、その他の構成は、第3の実施の形態にかかるインパクトレンチ200は、第2の実施の形態にかかるインパクトレンチ101と同一の効果を奏する。
第1弾性体219は、左側部分291と、右側部分292とを有している。第1弾性体219は、本発明における「第1弾性体」の一例である。
図17に示されているように、左側部分291と右側部分292とは、左右対称に形成されている。左側部分291は、本体部291Aと突出部291Bとを有している。右側部分292は本体部292Aと突出部292Bとを有している。
本体部291Aには、上下方向に延びる溝291aが形成されている。本体部292Aには、上下方向に延びる溝292aが形成されている。また、本体部291A及び本体部292Aは、上下方向に垂直な上面を有している。
突出部291Bは、本体部291Aの下面から下方に突出している。突出部292Bは、本体部292Aの下面から下方に突出している。
次に、図17及び図18を参照しながら、第3の実施の形態にかかるインパクトレンチ200のハウジング102の組立工程について説明する。
まず、第2の実施の形態と同様に、第2ハウジング122を組み立てる。具体的には、第2ハウジング122の貫通穴122aを規定する周面で第3弾性体111の第2筒部111Bを挟み込むようにして第1部分122Aと第2部分122Bとを当接させる。この状態において、図示せぬ複数のネジを用いて、第1部分122Aと第2部分122Bとを互いに移動不能に固定する。
次に、第2の実施の形態と同様に、第2弾性体110を配置する。具体的には、挿通穴110aに支持部182と、第3弾性体111の第1筒部111Aとを挿通させる。このときに、第2ハウジング122の上面と第2弾性体110の下面とを当接させる。
次に、図18に示されているように、第1弾性体219の右側部分292を本体ハウジング123の第2部分123Bに配置する。また、図には表れていないが、第1弾性体219の左側部分291を本体ハウジング123の第1部分123Aに配置する。
具体的には、第2部分123Bの第1リブ126Aの下面と右側部分292の上面とを摺動させつつ、右側部分292の溝292aと第2部分123Bに設けられた第2リブ126Bとを係合させるように配置する。また、図には表れていないが、第1部分123Aの第1リブ126Aの下面と左側部分291の上面とを摺動させつつ、左側部分291の溝291aと第1部分123Aに設けられた第2リブ126Bとを係合させるように配置する。
次に、第1部分123Aと第2部分123Bとを近接させる。第1部分123Aに設けられた軸部181を支持部182の貫通穴182aに挿通させ、図示せぬ複数のネジを用いて、第1部分123Aと第2部分123Bとを互いに移動不能に固定する。
ハウジング102を組み終えた状態において、第1弾性体219は、第2の実施の形態にかかるインパクトレンチ101の第1弾性体109と同一の形状をなし、第2の実施の形態における効果と同一の効果を奏する。つまり、第1弾性体219が支持部182と第1ハウジング21の内周面との間に配置されることにより、インパクトレンチ101、200は、非作業時において、一定の姿勢(例えば図8に示される姿勢)を好適に保つことが可能である。また、第1弾性体109、219を揺動機構部108の外周、すなわち、軸部181と貫通穴182aとの間を避けた位置に配置しいている。言い換えると、第1弾性体109,219は、軸部181の外周と貫通穴182aの内周との間に位置せず、軸部181と貫通穴182aから離間した位置に設けられている。そのため、第1ハウジング121に対する第2ハウジング122の位置が弾性体の劣化等による影響を受けにくいため、第2ハウジング122が自由に動いてしまうことを抑制しつつ、互いのハウジングの位置ずれが生じにくくでき、第1ハウジング121と第2ハウジング122とに亘って配置される接続線が断線しにくい構成とすることができる。また、第1弾性体109、219が劣化した場合でも、揺動機構部108によって第2ハウジング122が第1ハウジング121から離脱することを防止することができるとともに、第2ハウジング122の揺動を規制することが可能となる。
本明細書においては、インパクトレンチ1、101、200を例に説明したが、本発明はインパクトレンチ以外のモータで駆動される電気機器、例えば、ドライバドライバやインパクトドライバ等の締付機器、丸鋸やジグソー等の切断機器、グラインダやサンダ、マルチツール等の研磨機器、ハンマドリル等の穴あけ機器、ラジオやテレビ、ランタンやライト等の周辺機器、コードレス釘打機等、電池パックを電源とし電池パックからの電力供給により駆動される適宜の電気機器に適用することができる。特に、振動が発生し易い電気機器に適用すれば有効である。
また、本実施の形態においては、第2弾性体110は板形状で、かつ、上下方向の厚さも同一であったが、平坦部に突起を配した形状としてもよく、また、厚さも本実施の形態に対して厚くしてもよい。また、電気機器の振動の大きさに応じて、第2弾性体110の形状を任意に変更してもよい。
図20〜図22は、電池パックへの振動の伝達を抑制する別の実施形態である。図20は、揺動機構部80を備えている。揺動機構部80は、軸部801と、支持部802とを有している。軸部801は本体ハウジング123の第1部分123Aに一体に設けられ、左右方向に延びる略四角形状をなしている。軸部801には、その軸線方向に延びるネジ穴801aが形成されている。ネジ穴801aは本体ハウジング123の第2部分123Bに形成された不図示のネジ穴と同一に位置している。
支持部802は、第2ハウジング122に一体に設けられ、軸部801を揺動可能(回転可能)に支持している。支持部802は、第1ハウジング121の内方に向かうように第2ハウジング122の上面から上方に突出している。支持部802には軸部801が貫通する貫通穴802aが形成されている。
貫通穴802aの内周側であって軸部801の外周側、すなわち、貫通穴802aの内周面と軸部801の外周面との間には弾性体803が設けられている。
また、第1ハウジング121の下面と、第2ハウジング122の上面との間には、弾性体804が設けられている。なお、弾性体804は、支持部802の周りを囲むような一体部材でもよいし、支持部802の前後に別々に設けてもよい。組立工程は上記実施の形態と同様である。この構成によれば、上記した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図21は、揺動機構部85を備えている。揺動機構部85は、ジョイント部851と、弾性体852とを有している。ジョイント部851は、第1ハウジング121と第2ハウジング122とを連結する部材であり、第1ハウジング121と第2ハウジング122とに跨るように設けられている。ジョイント部851は径方向に左右分割しており、その分割片を組み合わせると円筒形状であり、両端部分に径方向外側に突出するフランジ部851aが形成されると共に、分割片を組み合わせた状態で上下方向に貫通して接続線が通過する貫通穴851bが形成される。なお、ジョイント部851を径方向に分割構造とせずに一体部品としてもよい。
弾性体852は、ジョイント部851の外周に沿って、上下方向においてフランジ部851aの間に設けられている。すなわち、弾性体852は左右方向に分割されており、その分割片を組み合わせると円柱形状であり、分割片を組み合わせた状態では、ジョイント部851が配置される貫通穴852aが設けられている。弾性体852の弾性変形によりジョイント部851が貫通穴852aに挿入される。なお、弾性体852を径方向に分割構造とせずに一体部品としてもよい。
弾性体852は第1ハウジング121及び第2ハウジング122からそれぞれ内側に突出する突出部201a、202aと係合する溝852bが全周に亘って設けられている。
組立工程は次の通りである。弾性体852の一方の分割片とジョイント部851の一方の分割片を組み立てた状態で、ジョイント部851の貫通穴851bに接続線を配置する。その後、弾性体852の他方の分割片とジョイント部851の他方の分割片を一方の分割片に組み立てる。そして、弾性体852とジョイント部851のユニット(弾性体852の溝582b)を、第1ハウジング121の第1部分の突出部201aに係合させ、第1ハウジング121の第2部分をネジにより第1部分に固定する。そして、第2ハウジング122の第1部分の202aを弾性体852の溝582bに係合させ、第2ハウジング122の第2部分をネジにより第1部分に固定する。なお、第2ハウジング122を先に組み立てた後に第1ハウジング121を組み立ててもよい。この構成でも、上記した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図22は、揺動機構部87を備えている。揺動機構部87は、支持部871と、弾性体872と、弾性体873とを有している。支持部871は、第2ハウジング122に一体に設けられ、第1ハウジング121の内方に向かうように第2ハウジング122の上面から上方に突出している。支持部871の上端は径方向外側に突出する突出部871aと、接続線を通す貫通穴871bとが形成されている。弾性体872及び873は左右方向で分割されている。
第1ハウジング121の下端部には径方向内側に突出する突出部220が形成されている。上下方向において、第1ハウジング121の突出部220と支持部871の突出部871aとの間、及び、第1ハウジング121の突出部220と第2ハウジング122の上面との間には、支持部871の外周を囲むように弾性体872が設けられている。さらに、第1ハウジング121の突出部220の下方であって、弾性体872の径方向外側には弾性体873が設けられる。
組立工程は次の通りである。第2ハウジング122の支持部871に弾性体872の分割片を組み付けると共に、弾性体873の分割片を第2ハウジング122の溝部(突出部220の下方且つ外周側に形成)に組み付ける。そして、上下方向において、2つの弾性体872の間に第1ハウジング121の第1部分の突出部220を位置させ、第1ハウジング121及び第2ハウジング122の第1部品に基板や接続線等を配置した後に第1ハウジング121の第2部分を第1部分にネジで固定し、第2ハウジング122の第2部分を第1部分にネジで固定する。この構成でも、上記した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
基板収容部25の上下方向に延びる軸Cを中心とする外周面25Aの円周方向に、弾性体40が嵌装可能な弾性体取付溝41が形成されている。弾性体取付溝41は、弾性体40を内部に適度な弾力を保持させつつ嵌装可能な寸法を有する。弾性体取付溝41は取付部の一例である。また、外周面25Aの後半分部分には、取付溝41より下方に窪部42が円周方向に形成されている。窪部42は、第1規制部の一例である。
一方、第2ハウジング22は、基板収容部25の外周面25Aが差し込まれ外周面25Aと径方向外方から対向する内周面22Aを有し、内周面22Aに、弾性体40が嵌装可能な弾性体挿入溝43が形成されている。弾性体挿入溝43は、係合部の一例である。また、内周面22Aの後方部分には、弾性体挿入溝43より下方において突部44が円周方向に形成されている。突部44は、第2規制部の一例である。
図9に示されているように、第2弾性体110には、第2弾性体を上下方向に貫通する挿通穴110aが形成されている。挿通穴110aは、ハンドル部126の貫通穴126a(図10参照)の形状と同一に形成されている。また、挿通穴110aは、前後方向に延びる略矩形状に形成された第1領域110bと、第1領域110bに連通され第1領域110bよりも左右方向の幅が広く形成された第2領域110cとを有している。第2領域110cは、ハンドル部126の貫通穴126aの第2領域126c(図10参照)の形状と第2ハウジング122の貫通穴122aの形状と同一に形成されている。なお、本実施の形態において、第2弾性体を省略した場合、第1ハウジング121と第2ハウジング122との対向部には、上下方向に所定の間隙が形成されるように構成されている。第2弾性体110は、本発明における「第2弾性体」の一例である。