JPWO2019031612A1 - 高強度・高導電性銅合金板材およびその製造方法 - Google Patents

高強度・高導電性銅合金板材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

強度や導電率が求められる導電部材に実用的に適用可能な高強度・高導電性銅合金板材を提供する。本発明の高強度・高導電性銅合金板材は、銀を4質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部が銅および不可避不純物からなる。高強度・高導電性銅合金板材において、引張強度(UTS)の最小値が600MPa以上1250MPa以下であり、かつ導電率(%IACS)が60%以上90%以下である。

Description

本発明は、高強度・高導電性銅合金板材およびその製造方法に関する。
各種の電気・電子工業分野においては、高強度を有し、かつ高導電性を有する導電部材として導電性板材が求められている。そのような導電性板材として、例えば銀を含む銅合金(Cu−Ag合金)板材の開発が進められている。例えば、水冷銅マグネットにおいては、強磁場を発生させるための導電板としてビッター板が用いられており、ビッター板を用いたビッターコイルが使用されている。ビッター板には、巨大な電磁応力や水冷時の水圧に耐え得る十分な強度と、大電流を流した際においても発熱を抑えることが可能な導電性とが求められる。このようなビッター板にCu−Ag合金板材の適用が進められているが、必ずしも十分な強度と導電率とを満足するCu−Ag合金板材が得られておらず、Cu−Ag合金板材の強度および導電率を共により一層高めることが求められている。
また、電子デバイスにおいては、多機能化、高集積化、小型化等が進められており、それに伴って電子デバイスの検査に用いられるコンタクトプローブにも、今まで以上に小型・高密度化を図ることが求められている。コンタクトプローブの小型・高密度化に対応するためには、導電部分であるプローブ自体を小型化および高密度化する必要があることから、高強度の材料が求められる。さらに、小型・高密度化により導電部分の断面積が小さくなることによる抵抗の増加を抑制するために、高導電率を有する材料が求められる。また、検出感度の向上を図る上でも、プローブに用いられる材料には高導電率が求められる。従来、プローブ材料として、上記したような強度と導電率とを満足する導電材料は得られていない。
携帯機器には1度の充電で長時間使用することが可能であることが求められることから、携帯機器に使用される充電池においては小型化と大容量化とが進められている。さらに、最近の携帯機器の高速化、多機能化等により消費電力が増加していることからも、充電池の大容量化が益々重要になってきている。充電池が大容量化すると充電にさらに時間がかかるため、急速充電が求められている。急速充電では短時間で多くの電流を流すため、導電体の抵抗を下げるか、導電体の断面積を大きくする必要がある。携帯機器の小型化のために部品を大きくできないため、断面積を大きくすることには限界があり、コネクタにも高導電率の材料が求められている。また、携帯機器の小型化に伴ってコネクタにも小型化が求められていることから、コネクタ材料にも高導電率を有することに加えて、高強度の材料が求められている。従来、コネクタ材料として、上記したような強度と導電率とを満足する導電材料は得られていない。
従来のCu−Ag合金板材の組成や製造方法では、上記したような強度と導電率とを満足する材料は実現されていない。また、Cu−Ag合金の線材に関して、高強度と高導電率とを有するCu−Ag合金線材の製造方法およびそれを用いた線材が提案されている。しかしながら、Cu−Ag合金線材を原材料として板材を製造しようとしても、実用的にCu−Ag合金板材を得ることはできない。すなわち、Cu−Ag合金線材を圧延して板材を作製した場合、バックテンション無しで圧延することになるため、原材料の線材が圧延時に逃げてしまい、波打ちやうねりが発生する。そのため、板材の厚さを制御することができず、さらにクラック等が発生しやすくなる。また、厚さ制御が困難であるために場所により加工率が異なることになり、強度や導電率も場所によってばらつきが大きくなる。これでは実用的に板材を作製することができない。さらに、大面積および肉厚の板材を作製することができず、特にビッター板に適用することができない。
特開平6−073515号公報 特許第2714555号公報 特開2000−199042号公報
本発明は、上述したような強度や導電率が求められる導電部材に実用的に適用可能な高強度・高導電性銅合金板材とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態による高強度・高導電性銅合金板材は、銀を6質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部が銅および不可避不純物からなり、引張強度(UTS)の最小値が1000MPa以上1250MPa以下であり、かつ導電率(%IACS)が60%以上90%以下であることを特徴としている。
本発明の他の実施形態による高強度・高導電性銅合金板材は、銀を4質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部が銅および不可避不純物からなり、銅合金板材のX線回折の回折チャートにおいて、銀の(311)面のピーク強度比が20%以下であることを特徴としている。
本発明の実施形態による高強度・高導電性銅合金板材の製造方法は、銀を4質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部が銅および不可避不純物からなる合金原料を鋳造してインゴットを得る工程と、前記インゴットを冷間圧延して第1の圧延材を得る工程と、前記第1の圧延材を700℃以上780℃未満の温度で溶体化処理して溶体化処理材を得る工程と、前記溶体化処理材を冷間圧延して第2の圧延材を得る工程と、前記第2の圧延材を200℃以上の温度にて8時間以上48時間以下の範囲で熱処理することにより、時効処理して時効処理材を得る工程と、前記時効処理材を冷間圧延して銅合金板材として第3の圧延材を得る工程とを具備することを特徴としている。
発明の効果
本発明によれば、強度や導電率が求められる導電部材に実用的に適用可能な高強度・高導電性銅合金板材とその製造方法を提供することが可能になる。
実施例29の銅合金板材のX線回折プロファイルである。 比較例9の銅合金板材のX線回折プロファイルである。
以下、本発明の高強度・高導電性銅合金板材およびその製造方法を実施するための形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の高強度・高導電性銅合金板材は、銀(Ag)を6質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部が銅(Cu)および不可避不純物からなる銅合金(Cu−Ag合金)板材である。Cu−Ag合金板材におけるAgの含有量が6質量%未満であると、Agを含有させたことによる強度の向上効果を得ることができない。Cu−Ag合金板材の強度をより高める上で、Agの含有量は8質量%以上が好ましく、9質量%以上がより好ましい。Agの含有量が13質量%を超えると加工性が低下し、実用的にCu−Ag合金板材を製造することが困難になる。Cu−Ag合金板材の加工性をより高める上で、Agの含有量は12質量%以下が好ましく、11質量%以下がより好ましい。
実施形態の高強度・高導電性銅合金板材において、Cu−Ag合金板材に含まれるCuおよびAg以外の不可避不純物は、特に限定されるものではないが、その含有量は0.1質量%以下であることが好ましい。不純物含有量が0.1質量%を超えると、Cu−Ag合金板材の強度や導電性が低下するおそれがある。不可避不純物の含有量は0.01質量%以下であることがさらに好ましい。なお、実施形態の高強度・高導電性銅合金板材においては、機械的特性、電気的特性、金属組織的特性等を損なわない範囲で、場合によってはCuおよびAg以外の第3の元素を含んでもよい。そのような第3の元素としては、金(Au)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)、マグネシウム(Mg)、サマリウム(Sm)等が挙げられる。
実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材は、1000MPa以上1250MPa以下の引張強度(UTS)と、60%以上90%以下の導電率(%IACS)とを有する。なお、本願明細書における引張強度(UTS)は最小値を示すものである。このような高強度と高導電性とを両立させたCu−Ag合金板材によれば、例えば水冷銅マグネットに用いられるビッター板(導電板)、コンタクトプローブのプローブ材料、携帯機器のコネクタ材料等に好適な導電部材(板材)を提供することができる。すなわち、Cu−Ag合金板材の引張強度(UTS)が1000MPa以上で、かつ導電率(%IACS)が60%以上である場合、導電部材(板材)に求められる強度を満足させた上で、導電部材の導電性をより一層高めることができる。ただし、Agを6〜13質量%の範囲で含むCu−Ag合金板材において、1250MPaを超える引張強度(UTS)や90%を超える導電率(%IACS)は実用的ではなく、そのような値を実現できたとしても、板材としての形状や板材への加工性を維持することが困難となる。
例えば、実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材を水冷銅マグネットのビッター板に適用した場合、巨大な電磁応力や水冷時の水圧に耐えることを可能にした上で、大電流を流した際においても発熱を抑えることができる。また、Cu−Ag合金板材はコンタクトプローブのプローブ材料や携帯機器のコネクタ材料としても好適である。実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材をコンタクトプローブのプローブ材料として用いた場合、プローブの小型・高密度化を実現し得る強度を満足させた上で、小型・高密度化によりプローブの断面積が減少した場合においても、抵抗の増加を抑制することが可能になる。さらに、実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材を携帯機器のコネクタ材料として用いた場合、急速充電に対応可能な多くの電流を短時間で流すことが可能になると共に、携帯機器の小型化への対応を図るようにコネクタの形状や機能を維持しつつ小型化することができる。
ところで、Cu−Ag合金板材を後述する圧延や熱処理を含む製造工程で作製した場合、引張強度(UTS)は板材の製造工程の圧延工程における圧力印加方向、すなわち圧延方向と圧延方向に直交する方向(圧延方向と90°の方向)により異なるのが一般的である。ここで、圧延方向とは圧延機のワークロールの軸方向に対して垂直な方向であり、圧延方向に直交する方向とは圧延機のワークロールの軸方向である。実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材は、圧延方向および圧延方向に直交する方向のいずれにおいても、1000MPa以上の引張強度(UTS)を満足するものである。
さらに、実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材においては、圧延方向の引張強度(UTS)の最小値が1000MPa以上1150MPa以下を満足し、圧延方向に直交する方向の引張強度(UTS)の最小値が1150MPa以上1250MPa以下を満足する。従来のCu−Ag合金板材では圧延方向の引張強度が低いのに対し、実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材では、圧延方向の引張強度(UTS)についても1000MPa以上1150MPa以下を満足する。従って、実施形態のCu−Ag合金板材を導電部材として使用した際に、導電部材に各種方向から応力や圧力が加えられた場合においても、そのような応力や圧力に耐え得ることができる。これによって、Cu−Ag合金板材の実用性を大幅に高めることができる。
ここで、本願明細書で規定する引張強度(UTS)は、引張試験において最大の荷重がかかった状態での応力値であって、極限引張強さ(Ultimate Tensile Strength)を示すものである。本願明細書で規定する引張強度(UTS)は、基本的には幅が10mm、厚さが0.2mm、長さが200mmの試験片(標準試験片)を用い、ヘッドスピードを100mm/minに設定した引張試験において、破断するまで荷重をかけて、最も荷重がかかった時点の強度(単位:MPa)である。ただし、試験片の大きさは上記した形状に限られるものではなく、試験片は引張試験機の使用条件下においてクランプすることが可能な大きさを有していればよく、例えば幅が2mm、厚さが0.2mm、長さが10mmの試験片を用いてもよい。引張試験機で引張試験を実施することが可能な大きさを有する試験片を用いれば、測定値である引張強度(UTS)は実質的に同一となる。なお、圧延方向の引張強度(UTS)および圧延方向に直交する方向の引張強度(UTS)の値は、それぞれ試料の3箇所以上から試験片を採取して引張試験を実施し、これら測定値の最小値を示すものとする。1つの試料の3箇所以上から試験片を採取することに代えて、任意の3個以上の試験片を用意して、引張試験を実施してもよい。圧延時の方向を特定していない引張強度(UTS)の値は、圧延方向に関わらずに用意した3個以上の試験片の測定値の最小値を示す。圧延方向が特定できない場合には、試料中の1つの方向とそれと直交する方向の引張強度(UTS)をそれぞれ測定し、それらの値の大小を考慮して方向を推定することができる。
実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材において、導電率(%IACS)は60%以上90%以下である。実施形態のCu−Ag合金板材の導電率(%IACS)は64%以上75%以下であることが好ましく、66%以上75%以下であることがより好ましく、70%以上75%以下がさらに好ましい。ここで、導電率(%IACS)は、IACS(international annealed copper standard)に基づく電気伝導度を示す基準であって、国際的に採択された焼鈍標準軟銅(体積抵抗率:1.7241×10−2μΩm)の導電率を100%としたときの相対的な値(単位:%)である。実施形態における導電率(%IACS)は、試料の3箇所以上から試験片を採取し、これら試験片の導電率を4端子法により測定し、これら導電率の測定値を上記した換算方法に基づいて換算値(%IACS)を算出し、これら換算値の平均値を示すものとする。1つの試料の3箇所以上から試験片を採取することに代えて、任意の3個以上の試験片を用意し、導電率の測定を実施してもよい。
実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材において、板材とは断面を観察した際に、断面の厚さ(T)に対する幅(W)の比(W/T比)が1.25以上である部材を指すものとする。この際、厚さ(T)は0.01〜0.8mmであることが、また幅(W)は0.2〜500mmであることが好ましい。板材の断面におけるW/T比は2以上であることが好ましく、この際の厚さ(T)は0.01〜0.8mmであることが、幅(W)は0.2〜500mmであることが好ましい。さらに、板材の断面におけるW/T比は5以上であることが好ましく、この際の厚さ(T)は0.1〜0.8mmであることが、幅(W)は5〜500mmであることが好ましい。またさらに、板材の断面におけるW/T比は10以上であることがより好ましく、この際の厚さ(T)は0.1〜0.5mmであることが、幅(W)は5〜500mmであることが好ましい。板材の断面における幅(W)は5〜300mmであることがより好ましい。言い換えると、実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材によれば、上記した断面形状と引張強度(UTS)および導電率(%IACS)とを有するCu−Ag合金板材を実用的に提供することができる。ここで、板材は長方形状の断面を有することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではなく、楕円形のような断面や段差状断面のような異形断面を有するものであってもよい。このような場合、最大厚さに対する幅の比が1.25以上である部材を板材とする。
上述した引張強度(UTS)と導電率(%IACS)の両方を満足する高強度・高導電性Cu−Ag合金板材は、後述するCu−Ag合金板材の製造方法を適用することにより得ることができる。後述するCu−Ag合金板材の製造方法によれば、Cu−Ag固溶体内にAgを含むファイバー(以下、Agファイバーと呼称する。)が存在する繊維状組織を得ることができる。ここで、AgファイバーはCuとAgの共晶相を含むものである。このような繊維状組織において、(1)X線回折(XRD)におけるAgの結晶面を制御する、および/または(2)Agファイバーの形状や存在量等を制御する、ことによって、Cu−Ag合金板材の強度と導電性を共に向上させる、すなわち1000MPa以上1250MPa以下の引張強度(UTS)と60%以上90%以下の導電率(%IACS)とを満足させることができる。
構成(1)に関しては、繊維状組織を有するCu−Ag合金板材のXRDの回折チャートにおいて、Ag(220)面の回折ピークが存在し、かつAg(220)面のピーク強度比が80%以上である場合に、上記した引張強度(UTS)と導電率(%IACS)とをより再現性よく両立させることができる。すなわち、Ag(220)面のピーク強度比が80%以上であるということは、AgファイバーがCu−Ag合金板材内に適度な形状および量で存在することを意味し、これによってCu−Ag合金板材の強度および導電性が共に向上する。これに対して、Ag(111)面のピーク強度比が20%を超えると、Agファイバーの存在量、特に後述する太いAgファイバーの存在量が多くなりすぎて、Cu−Ag合金板材の強度および導電性が共に低下するだけでなく、Cu−Ag合金板材の加工性も低下する。従って、XRDの回折チャートにおいて、Ag(220)面のピーク強度比が80%以上で、さらにAg(111)面のピーク強度比が20%以下である場合に、Cu−Ag合金板材の強度と導電性とを共に向上させることが可能になる。
ここで、上記したAg(220)面のピーク強度比およびAg(111)面のピーク強度比は、以下のようにして測定および特定するものである。すなわち、集中ビーム法にてCu−Ag合金板材の試料にX線をあて、2θ−θ法にて回折ピークを検出する。回折ピークの相を同定し、AgおよびCuの強度をそれぞれ得る。その後、各結晶面のピーク強度を百分率に置き換えて強度比とする。2θ−θ法によるX線回折は、例えば幅が10mm、厚さが0.2mm、長さが10mmの試験片を用いて実施する。ただし、試験片の大きさは上記した形状に限られるものではなく、試験片はX線回折装置に設置することが可能な大きさを有していればよい。X線回折は、例えば幅が2mm、厚さが0.2mm、長さが10mmの試験片を用いて実施してもよい。
構成(2)に関しては、Cu−Ag合金板材が上記したAgファイバーを含む繊維状組織を有する場合、AgファイバーがCu−Ag合金板材の強度の向上に寄与する。さらに、Agファイバーはその形状や存在量によって、Cu−Ag合金板材の導電性の向上にも寄与する。このような点から、Agファイバーを含む繊維状組織において、細いAgファイバーを適度な量で存在させることが好ましい。細いAgファイバーは、繊維状組織中の細いAgファイバーの濃度(C1)が面積比率で4%以上7%以下となるように存在させることが好ましい。細いAgファイバーの濃度の面積比率を4%以上とすることで、Cu−Ag合金板材の強度を向上させることができる。ただし、細いAgファイバーの濃度の面積比率が7%を超えると、Cu−Ag合金板材の導電性が低下する傾向がある。細いAgファイバーの濃度(C1)の面積比率は5%以上7%以下がより好ましい。
さらに、Agファイバーを含む繊維状組織は、上記した細いAgファイバーに加えて、太いAgファイバーを有することが好ましい。太いAgファイバーは、繊維状組織中の太いAgファイバーの濃度(C2)が面積比率で3%以上6%以下となるように存在させることが好ましい。加えて、Agファイバーを含む繊維状組織において、太いAgファイバーの濃度(C2)の面積比率に対する細いAgファイバーの濃度(C1)の面積比率の比(C1/C2)が0.9以上となるように、細いAgファイバーと太いAgファイバーを存在させることが好ましい。太いAgファイバーは、Cu−Ag合金板材の強度の向上に寄与すると共に、それ自体が導電性を補うことから導電性の向上にも寄与する。
太いAgファイバーの濃度の面積比率を3%以上とすることによって、Cu−Ag合金板材の強度と導電性を共に向上させることができる。ただし、太いAgファイバーの濃度の面積比率が6%を超えたり、あるいはAgファイバーの濃度の面積比(C1/C2)が0.9未満であると、太いAgファイバーの存在量が増えすぎることによって、Cu−Ag合金板材の強度や導電性が逆に低下する傾向がある。Agファイバーの濃度の面積比(C1/C2)は2以下であることが好ましい。Agファイバーの濃度の面積比(C1/C2)が2を超えると、太いAgファイバーの相対的な存在量が減少し、Cu−Ag合金板材の強度や導電性を向上させる効果が不十分になるおそれがある。太いAgファイバーの濃度の面積比率は4%以上5.5%以下がより好ましい。また、Agファイバーの濃度の面積比(C1/C2)は1以上1.5以下がより好ましい。
ここで、細いAgファイバーとは、線径が0.1nm以上1.0nm以下に引き伸ばされた繊維状組織を示すものとする。また、太いAgファイバーとは、線径が1μm以上10μm以下に引き伸ばされた繊維状組織を示すものとする。これら細いAgファイバーおよび太いAgファイバーの観察および濃度の面積比率(単位:%)の測定は、以下のようにして実施するものとする。すなわち、Cu−Ag合金板材から5mm角のサンプルをハイカッターにて切り出し、耐水研磨紙(#2000)にて機械研磨した後、イオンミリング法を用いて断面研磨を実施し、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察を行う。なお、加速電圧5kV、倍率60000倍、COMPO像(組成像)にて観察を行い、観察された画像からファイバー径の測定を行い、Agファイバーを特定すると共に、観察画像を閾値:10000にて2値化を行って面積比率を比較する。なお、Agファイバーの線径とは、上記した断面観察における厚さを示すものであり、奥行き方向に幅を有していてもよい。Agファイバーは、いわゆる繊維形状に限らず、ある程度の幅を有するプレート形状を有していてもよい。なお、前述した板材の幅と厚さの比は合金板材に関するものであり、Agファイバーの形状に当てはまるものではない。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の高強度・高導電性銅合金板材について述べる。第2の実施形態の高強度・高導電性銅合金板材は、銀(Ag)を4質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部が銅(Cu)および不可避不純物からなる銅合金(Cu−Ag合金)板材である。第2の実施形態のCu−Ag合金板材におけるAgの含有量が4質量%未満であると、Agを含有させたことによる強度の向上効果を十分に得ることができない。Cu−Ag合金板材の強度をより高める上で、Agの含有量は6質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、9質量%以上がさらに好ましい。Agの含有量が13質量%を超えると加工性が低下し、実用的にCu−Ag合金板材を製造することが困難になる。Cu−Ag合金板材の加工性をより高める上で、Agの含有量は12質量%以下が好ましく、11質量%以下がより好ましい。第2の実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材において、不可避不純物の含有量、板材の形状、各種特性の測定方法等は、第1の実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材と同様であり、それらの規定理由も同様である。なお、第2の実施形態のCu−Ag合金板材において、以下に詳述する構成を除いて基本的には第1の実施形態と同様な構成を有するものである。
第2の実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材は、X線回折(XRD)において、Agの(311)面のピーク強度比が20%以下であることを特徴としている。Cu−Ag合金板材において、Agの(311)面はCu−Ag合金板材の強度を低下させる結晶面であることが判明した。このようなAg(311)面のピーク強度比を20%以下に制御することによって、Agを4〜13質量%の範囲で含むCu−Ag合金板材の強度を向上させることができる。また、Cu−Ag合金板材の導電性に関しては、Cu−Ag合金板材が4〜13質量%の範囲のAgを含むことによって、高導電性を得ることができる。Ag(311)面のピーク強度比は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、さらに実質的に0%であることがさらに好ましい。なお、Cu−Ag合金板材のX線回折において、(311)面以外のピークに関しては特に限定されるものではないが、前述した(220)面や(111)面のピーク等が含まれる。
上記したAg(311)面のピーク強度比は、前述したようにして測定および特定される。すなわち、集中ビーム法にてCu−Ag合金板材の試料にX線をあて、2θ−θ法にて回折ピークを検出する。回折ピークの相を同定し、AgおよびCuの強度をそれぞれ得る。その後、各結晶面のピーク強度を百分率に置き換えて強度比とする。2θ−θ法によるX線回折は、例えば幅が10mm、厚さが0.2mm、長さが10mmの試験片を用いて実施する。ただし、試験片の大きさは上記した形状に限られるものではなく、試験片はX線回折装置に設置することが可能な大きさを有していればよい。X線回折は、例えば幅が2mm、厚さが0.2mm、長さが10mmの試験片を用いて実施してもよい。
上述したように、Cu−Ag合金板材のXRDの回折チャートにおいて、Ag(311)面のピーク強度比が20%以下である場合に、Agを4〜13質量%の範囲で含むCu−Ag合金組成に基づく導電率を損なうことなく、Cu−Ag合金板材の引張強度(UTS)を向上させることができる。具体的には、600MPa以上1250MPa以下の引張強度(UTS)と、60%以上90%以下の導電率(%IACS)とを満足するCu−Ag合金板材を提供することができる。言い換えると、XRDにおけるAg(311)面のピーク強度比が20%を超えると、引張強度(UTS)が600MPa未満となり、高強度・高導電性Cu−Ag合金板材として機能を満足させることができない。
このような高強度と高導電性とを両立させたCu−Ag合金板材によれば、前述した水冷銅マグネットに用いられるビッター板(導電板)、コンタクトプローブのプローブ材料、携帯機器のコネクタ材料等に好適な導電部材(板材)を提供することができる。例えば、600MPa以上1000MPa未満の引張強度(UTS)を有するCu−Ag合金板材は、コンタクトプローブのプローブ材料に適用可能である。すなわち、引張強度(UTS)が600MPa以上であれば、コンタクトプローブのプローブ材料に適用可能な強度を満足させた上で、プローブの断面積が減少した場合においても、抵抗の増加を抑制することが可能になる。また、Cu−Ag合金板材の引張強度(UTS)は第1の実施形態と同様に、1000MPa以上1250MPa以下とすることもできる。そのような引張強度(UTS)を有するCu−Ag合金板材によれば、第1の実施形態と同様に、水冷銅マグネットのビッター板に適用した場合、巨大な電磁応力や水冷時の水圧に耐えることを可能にした上で、大電流を流した際においても発熱を抑えることができる。さらに、コンタクトプローブのプローブ材料やコネクタ材料として用いた場合に、実用的な強度や形状等を満足させつつ、抵抗の増加抑制や急速充電への対応等を図ることができる。
前述したように、Cu−Ag合金板材を後述する圧延や熱処理を含む製造工程で作製した場合、引張強度(UTS)は板材の製造工程の圧延工程における圧力印加方向、すなわち圧延方向と圧延方向に直交する方向(圧延方向と90°の方向)により異なるのが一般的である。第2の実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材は、圧延方向および圧延方向に直交する方向のいずれにおいても、600MPa以上の引張強度(UTS)を満足するものである。さらに、第2の実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材においては、圧延方向の引張強度(UTS)の最小値が600MPa以上1150MPa以下を満足し、圧延方向に直交する方向の引張強度(UTS)の最小値が700MPa以上1250MPa以下を満足する。従来のCu−Ag合金板材では圧延方向の引張強度が低いのに対し、実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材では、圧延方向の引張強度(UTS)についても600MPa以上1150MPa以下を満足する。従って、実施形態のCu−Ag合金板材を導電部材として使用した際に、導電部材に各種方向から応力や圧力が加えられた場合においても、そのような応力や圧力に耐え得ることができる。
第2の実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材において、引張強度(UTS)は前述したように、引張試験において最大の荷重がかかった状態での応力値であって、極限引張強さ(UTS)を示すものである。引張強度(UTS)は、基本的には幅が10mm、厚さが0.2mm、長さが200mmの試験片(標準試験片)を用い、ヘッドスピードを100mm/minに設定した引張試験において、破断するまで荷重をかけて、最も荷重がかかった時点の強度(単位:MPa)である。ただし、試験片の大きさは上記した形状に限られるものではなく、例えば幅が2mm、厚さが0.2mm、長さが10mmの試験片を用いてもよい。なお、圧延方向の引張強度(UTS)および圧延方向に直交する方向の引張強度(UTS)の値は、それぞれ試料の3箇所以上から試験片を採取して引張試験を実施し、これら測定値の最小値を示すものとする。1つの試料の3箇所以上から試験片を採取することに代えて、任意の3個以上の試験片を用意して、引張試験を実施してもよい。圧延時の方向を特定していない引張強度(UTS)の値は、圧延方向に関わらずに用意した3個以上の試験片の測定値の最小値を示す。圧延方向が特定できない場合には、試料中の1つの方向とそれと直交する方向の引張強度(UTS)をそれぞれ測定し、それらの値の大小を考慮して方向を推定することができる。
第2の実施形態の高強度・高導電性Cu−Ag合金板材において、導電率(%IACS)は前述したように、IACSに基づく電気伝導度を示す基準であって、国際的に採択された焼鈍標準軟銅の導電率を100%としたときの相対的な値(単位:%)である。第2の実施形態における導電率(%IACS)は、試料の3箇所以上から試験片を採取し、これら試験片の導電率を4端子法により測定し、これら導電率の測定値を上記した換算方法に基づいて換算値(%IACS)を算出し、これら換算値の平均値を示すものとする。1つの試料の3箇所以上から試験片を採取することに代えて、任意の3個以上の試験片を用意し、導電率の測定を実施してもよい。
(第3の実施形態)
次に、実施形態の高強度・高導電性銅合金板材の製造方法について述べる。なお、実施形態の高強度・高導電性銅合金板材は、以下に示す製造方法により得ることができるが、必ずしも以下に示す製造方法に限定されるものではない。実施形態の高強度・高導電性銅合金板材の製造方法は、銀を4質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部が銅および不可避不純物からなる合金原料を鋳造してインゴットを得る工程と、インゴットを冷間圧延して第1の圧延材を得る工程と、第1の圧延材を700℃以上780℃未満の温度で溶体化処理して溶体化処理材を得る工程と、溶体化処理材を冷間圧延して第2の圧延材を得る工程と、第2の圧延材を200℃以上の温度にて8時間以上48時間以下の範囲で熱処理することにより、時効処理して時効処理材を得る工程と、時効処理材を冷間圧延して銅合金板材として第3の圧延材を得る工程とを具備する。なお、熱処理温度は電気炉設定温度を示すものである(以下同じ)。
実施形態の銅合金板材の製造方法において、合金原料の鋳造工程は特に限定されるものではないが、例えばAgを4質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を真空雰囲気または不活性雰囲気中にて黒鉛るつぼ内で溶解するか、あるいは大気溶解炉を用いて溶湯表面に不活性ガスを吹き付けながら黒鉛るつぼ内で溶解し、黒鉛または鋳鉄製の鋳型内に鋳造することにより実施することが好ましい。鋳造したCu−Ag合金インゴットの外周面の表面欠陥は、研削除去することが好ましい。Cu−Ag合金インゴット中の不可避不純物量は0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましい。なお、第1の実施形態の銅合金板材の製造する場合には、Agを6質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を使用する。
次に、Cu−Ag合金インゴットを冷間圧延することによって、第1の圧延材を得る第1の冷間圧延工程を実施する。第1の冷間圧延工程は、鋳造時に生じた結晶粒や結晶粒界を破壊し、その後に実施する溶体化処理の効果を高めるために実施する。第1の冷間圧延工程における厚さ方向の加工率は5%以上20%以下とすることが好ましい。第1の冷間圧延工程における加工率が5%未満であると、鋳造時に生じた結晶粒や結晶粒界を十分に破壊することができない。また、第1の冷間圧延工程における加工率が20%を超えると、製品としての板厚を確保することができず、工業用途としての板材の製造が困難になる。なお、冷間圧延工程における厚さ方向の加工率は、加工前の材料の厚さをA、加工後の材料の厚さをBとしたとき、「(A−B)/A×100(%)」で求められる値である。第2および第3の冷間圧延工程における加工率も同様である。
次に、第1の圧延材を溶体化処理することによって、溶体化処理材を得る溶体化処理工程を実施する。溶体化処理工程は、AgをCu内に溶け込ませて過飽和固溶体(Cu−Ag固溶体)を得る工程である。溶体化処理工程は、合金原料のCu−Ag組成の固相線付近もしくはそれ以下の温度で実施する。4〜13質量%Ag−Cu組成の場合、溶体化処理温度は700〜780℃の範囲とすることが好ましく、740〜770℃の範囲とすることがより好ましい。また、そのような温度による保持時間(溶体化処理時間)は、2〜5時間とすることが好ましい。溶体化処理のための熱処理後は、急冷して過飽和固溶体組織を常温まで保持することが好ましい。溶体化処理後は急冷することが好ましく、その際の急冷速度は−700℃/分以上に設定することが好ましい。
次に、急冷後の溶体化処理材を冷間圧延することによって、第2の圧延材を得る第2の冷間圧延工程を実施する。第2の冷間圧延工程は、結晶粒界に歪を加えることにより時効処理時の粒界反応型析出を促進させるために実施する。第2の冷間圧延工程における厚さ方向の加工率は20%以上99%以下とすることが好ましい。第2の冷間圧延工程における加工率が20%未満であると、結晶粒界に歪を加えることにより時効処理時の粒界反応型析出を促進させることができない。また第2の冷間圧延工程における加工率が99%を超えると製品としての板厚を確保することができず、工業用途としての板材の製造が困難になる。また、板材中のAgファイバーを含む繊維状組織を適切にコントロールするためには、第2の冷間圧延工程における加工率を40%以下にすることがより好ましい。
次に、第2の圧延材を時効処理することによって、時効処理材を得る時効処理工程を実施する。時効処理工程は、Cu−Ag過飽和固溶体からCu結晶粒(Cu−Ag固溶体の結晶粒)を析出させる工程である。時効処理によって、Cu結晶粒内にAgファイバーを析出させることが好ましい場合もある。時効処理後は炉冷することが好ましい。時効処理工程は、比較的低い温度で長時間保持することにより実施することが好ましい。具体的には、200℃以上の温度にて8時間以上48時間以下の範囲で保持することが好ましい。これによって、Agを4〜13質量%の範囲で含むCu−Ag合金に、適度な再結晶組織を得ることができる。さらに、条件によっては適度な量と形状を有するAgファイバーを析出させることができる。また、Agを8〜12質量%の範囲で含むCu−Ag合金においては、細いAgファイバーの元になるAgファイバーに加えて、太いAgファイバーの元になるAgファイバーを析出させることができる。
時効処理温度が200℃未満であると、Cu−Ag合金の結晶面を適切な状態にすることができなかったり、また太いAgファイバーを十分に析出させることができないおそれがある。時効処理温度は450℃以下が好ましく、410℃以下がより好ましい。時効処理時間が48時間を超えても、Cu−Ag合金の結晶面を適切な状態にすることができないおそれがある。ただし、時効処理温度が450℃を超えると、例えばAgファイバーを適切な量で得ることができず、強度が低下しやすくなるおそれがある。また、時効処理時間が48時間を超えると、Agファイバーを適切な量で析出させる効果を得ることができない。時効処理温度は350℃以上450℃以下とすることがより好ましく、時効処理時間は12時間以上24時間以下とすることがより好ましい。また時効処理時間は、上記した温度範囲内で温度が低いほど長時間化することが好ましい。
この後、時効処理材を冷間圧延することによって、第3の圧延材を得る第3の冷間圧延工程を実施する。第3の冷間圧延工程は、時効処理により生じた結晶組織を圧延方向に引き伸ばすことによって、Cu−Ag合金の結晶面を適切な状態にすると共に、板材に求められる厚さまで圧延する工程である。さらに、時効処理材中に析出したAgファイバーおよびその元となる析出物を圧延方向に引き伸ばすことによって、適度な線径を有するAgファイバーを得ることができる。特に、Agを8〜12質量%の範囲で含むCu−Ag合金においては、細いAgファイバーと太いAgファイバーとを適度な量で存在させた組織を得ることができる。第3の冷間圧延工程における厚さ方向の加工率は90%以上とすることが好ましい。第3の冷間圧延工程における加工率が90%未満であると、Cu−Ag合金の結晶面を適切な状態にすることができなかったり、適度な線径を有するAgファイバーを十分に得ることができないおそれがある。さらに、細いAgファイバーと太いAgファイバーとを適度な量で存在させた組織を得ることができないおそれがある。第3の冷間圧延工程における加工率は95%以上がより好ましい。
上述した第3の冷間圧延工程により得られる第3の圧延材は、実施形態の高強度・高導電性銅合金板材として用いられるものである。上記した製造方法における各製造条件によっては、1000MPa以上1250MPa以下の引張強度(UTS)と60%以上90%以下の導電率(%IACS)を有する高強度・高導電性銅合金板材を得ることができる。また、製造条件によっては、XRDの回折チャートにおけるAg(311)面のピーク強度比が20%以下である高強度・高導電性銅合金板材を得ることができる。このような高強度・高導電性銅合金板材によれば、水冷銅マグネットに用いられるビッター板、小型・高密度化が進められているコンタクトプローブのプローブ材料、携帯機器のコネクタ材料等に好適な導電部材(板材)を提供することができる。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
(実施例1)
まず、Agを6質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。溶体化処理後には−700℃/分の冷却速度で急冷した。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を410℃の温度で20時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。時効処理後には炉冷した。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材を後述する特性評価に供した。
(実施例2)
まず、Agを8質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。溶体化処理後には−700℃/分の冷却速度で急冷した。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を410℃の温度で20時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。時効処理後には炉冷した。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材を後述する特性評価に供した。
(実施例3)
まず、Agを10質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。溶体化処理後には−700℃/分の冷却速度で急冷した。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を410℃の温度で20時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。時効処理後には炉冷した。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材を後述する特性評価に供した。
(実施例4)
まず、Agを12質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。溶体化処理後には−700℃/分の冷却速度で急冷した。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を410℃の温度で20時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。時効処理後には炉冷した。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材を後述する特性評価に供した。
(実施例5)
まず、Agを13質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。溶体化処理後には−700℃/分の冷却速度で急冷した。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を410℃の温度で20時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。時効処理後には炉冷した。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材を後述する特性評価に供した。
(比較例1)
まず、Agを4質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次いで、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を410℃の温度で20時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材を後述する特性評価に供した。
(参考例1)
まず、Agを6質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが40mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を410℃の温度で20時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材を後述する特性評価に供した。
(参考例2)
まず、Agを6質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を550℃の温度で0.5時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材を後述する特性評価に供した。
(比較例2)
まず、Agを14質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を410℃の温度で20時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)した。ただし、圧延時に加工割れ等が発生し、目的とする厚さが0.28mmの第3の圧延材を得ることはできなかった。
(比較例3)
まず、Agを14質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を550℃の温度で0.5時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材を後述する特性評価に供した。ただし、得られたCu−Ag合金板材には多数のクラックが生じていた。
(比較例4)
まず、Agを24質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を410℃の温度で20時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)した。ただし、圧延時に加工割れ等が発生し、目的とする厚さが0.28mmの第3の圧延材を得ることはできなかった。
(比較例5)
まず、Agを24質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが40mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を410℃の温度で20時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)した。ただし、圧延時に加工割れ等が発生し、目的とする厚さが0.28mmの第3の圧延材を得ることはできなかった。
(比較例6)
まず、Agを24質量%含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、厚さが40mmとなるように冷間圧延(加工率:20%)して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を760℃の温度で2時間保持して溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。次いで、厚さが40mmの溶体化処理材を、厚さが28mmとなるように冷間圧延(加工率:30%)して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を550℃の温度で0.5時間保持して時効処理することによって、時効処理材を得た。この後、厚さが28mmの時効処理材を、厚さが0.28mmとなるように冷間圧延(加工率:99%)することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材を後述する特性評価に供した。ただし、得られたCu−Ag合金板材には多数のクラックが生じていた。
上述した実施例1〜5、参考例1〜2、および比較例1、3、6により得たCu−Ag合金板材について、前述した方法にしたがってXRD測定を実施し、Ag(220)面のピーク強度比、Ag(111)面のピーク強度比、Agのその他の面のピーク強度比、Ag(220)面以外の面のピーク強度比を求めた。XRDの測定は、リガク社製のX線回折装置Smartlab(商品名)を用いて行った。XRDの測定結果を表1に示す。なお、Agのその他の面のピーク強度比、およびAg(220)面以外の面のピーク強度比は、前述したAg(220)面およびAg(111)面のピーク強度比の測定方法に準じて求めた。
Figure 2019031612
次いで、上述した実施例1〜5、参考例1〜2、および比較例1、3、6により得たCu−Ag合金板材について、前述した方法にしたがって金属組織を観察および評価した。評価結果として細いAgファイバーの濃度(面積比率)とその平均値および濃度バラツキ、太いAgファイバーの濃度(面積比率)とその平均値および濃度バラツキ、太いAgファイバーの濃度(面積比率の平均値:C2)に対する細いAgファイバーの濃度(面積比率の平均値:C1)の比率を表2に示す。表2に示すように、実施例1〜5のCu−Ag合金板材は、適度な形状および量のAgファイバーを有しているのに対して、比較例1のCu−Ag合金板材はAgの含有量が少ないためにAgファイバーの析出量が少ないことが分かる。参考例1のCu−Ag合金板材は、鋳造後の冷間圧延を省いているため、溶体化処理が十分に完了しておらず、そのためにAgファイバーが十分に析出していないことが分かる。参考例2のCu−Ag合金板材は、時効処理条件を高温にしているため、適度な形状および量のAgファイバーが析出していないことが分かる。比較例3、6のCu−Ag合金板材は、Agを過剰に含むため、適度な形状および量のAgファイバーが析出していないことが分かる。
Figure 2019031612
次に、上述した実施例1〜5、参考例1〜2、および比較例1、3、6により得たCu−Ag合金板材について、前述した方法にしたがって導電率(%IACS)、圧延方向の引張強度(UTS)、圧延方向に直交する方向の引張強度(UTS)を測定した。それらの測定結果を表2に示す。表2から明らかなように、実施例1〜4のCu−Ag合金板材においては、導電率(%IACS)、圧延方向の引張強度(UTS)、および圧延方向に直交する方向の引張強度(UTS)がいずれも優れた値を示している。
Figure 2019031612
(実施例6〜9)
まず、表4に示す量のAgを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、表4に示す加工率で冷間圧延して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を表4に示す条件で溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。溶体化処理後には−700℃/分の冷却速度で急冷した。次いで、溶体化処理材を表4に示す加工率で冷間圧延して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を表4に示す条件で時効処理することによって、時効処理材を得た。時効処理後には炉冷した。この後、時効処理材を表4に示す加工率で冷間圧延することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材のXRD測定、導電率の測定、引張強度(UTS)の測定を実施例1と同様にして実施した。その結果を表5に示す。XRD測定においては、Ag(311)面のピーク強度比を求めた。引張強度(UTS)は、圧延方向および圧延方向に直交する方向のそれぞれについて求めた。
Figure 2019031612
Figure 2019031612
(実施例10〜31、比較例7〜9)
まず、表6に示す量のAgを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金原料を黒鉛るつぼに挿入して溶解した。Cu−Ag合金溶湯を黒鉛鋳型に鋳造してCu−Ag合金インゴットを作製した。Cu−Ag合金の表面を研削除去することによって、幅が200mm、長さが230mm、厚さが50mmのCu−Ag合金ビレットを作製した。次いで、Cu−Ag合金ビレットを、表6に示す加工率で冷間圧延して第1の圧延材を得た。次に、第1の圧延材を表6に示す条件で溶体化処理することによって、溶体化処理材を得た。溶体化処理後には−700℃/分の冷却速度で急冷した。次いで、溶体化処理材を表6に示す加工率で冷間圧延して第2の圧延材を得た。次に、第2の圧延材を表6に示す条件で時効処理することによって、時効処理材を得た。時効処理後には炉冷した。この後、時効処理材を表6に示す加工率で冷間圧延することによって、目的とするCu−Ag合金板材として第3の圧延材を得た。得られたCu−Ag合金板材のXRD測定、導電率の測定、引張強度(UTS)の測定を実施例1と同様にして実施した。その結果を表7に示す。XRD測定においては、Ag(311)面のピーク強度比を求めた。図1に実施例29のCu−Ag合金板材のXRDプロファイルを、また図2に比較例9の銅合金板材のXRDプロファイルを示す。引張強度(UTS)は、圧延方向および圧延方向に直交する方向のそれぞれについて求めた。
Figure 2019031612
Figure 2019031612
本発明の高強度・高導電性銅合金板材は、例えば水冷銅マグネットに用いられるビッター板、小型・高密度化が進められているコンタクトプローブのプローブ材料、携帯機器のコネクタ材料等の導電部材(板材)として有効に利用可能なものである。また、その他の高強度・高導電率が求められる用途にも利用可能である。

Claims (21)

  1. 銀を6質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部が銅および不可避不純物からなる高強度・高導電性銅合金板材であって、
    引張強度(UTS)の最小値が1000MPa以上1250MPa以下であり、かつ導電率(%IACS)が60%以上90%以下である、高強度・高導電性銅合金板材。
  2. 前記銀を8質量%以上12質量%以下の範囲で含む、請求項1に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  3. 前記銅合金板材の前記導電率(%IACS)が64%以上75%以下である、請求項1または請求項2に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  4. 前記銅合金板材の圧延方向における引張強度(UTS)の最小値が1000MPa以上1150MPa以下であり、前記圧延方向と直交する方向における引張強度(UTS)の最小値が1150MPa以上1250MPa以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  5. 前記銅合金板材のX線回折の回折チャートにおいて、銀の(220)面のピーク強度比が80%以上である、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  6. 前記銅合金板材のX線回折の回折チャートにおいて、銀の(111)面のピーク強度比が20%以下である、請求項5に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  7. 前記銅合金板材は、銀を含むファイバーを有する金属組織を備え、
    前記金属組織は、線径が0.1nm以上10nm以下の細いファイバーを有し、かつ前記金属組織における前記細いファイバーの濃度が面積比率で4%以上7%以下である、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  8. 前記銅合金板材は、銀を含むファイバーを有する金属組織を有し、
    前記金属組織は、線径が0.1nm以上10nm以下の細いファイバーと、線径が1μm以上10μm以下の太いファイバーとを有し、かつ前記金属組織における前記細いファイバーの濃度が面積比率で4%以上7%以下であり、かつ前記太いファイバーの濃度が面積比率で3%以上6%以下であると共に、前記太いファイバーの濃度の面積比率に対する前記細いファイバーの濃度の面積比率の比が0.9以上である、請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  9. 前記太いファイバーの濃度の面積比率に対する前記細いファイバーの濃度の面積比率の比の比が2以下である、請求項8に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  10. 銀を4質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部が銅および不可避不純物からなる高強度・高導電性銅合金板材であって、
    前記銅合金板材のX線回折の回折チャートにおいて、銀の(311)面のピーク強度比が20%以下である、高導電性銅合金板材。
  11. 前記銅合金板材の引張強度(UTS)の最小値が600MPa以上1250MPa以下である、請求項10に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  12. 前記銅合金板材の導電率(%IACS)が60%以上90%以下である、請求項10または請求項11に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  13. 前記銅合金板材の圧延方向における引張強度(UTS)の最小値が600MPa以上1150MPa以下であり、前記圧延方向と直交する方向における引張強度(UTS)の最小値が700MPa以上1250MPa以下である、請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載の高強度・高導電性銅合金板材。
  14. 銀を4質量%以上13質量%以下の範囲で含み、残部が銅および不可避不純物からなる合金原料を鋳造してインゴットを得る工程と、
    前記インゴットを冷間圧延して第1の圧延材を得る工程と、
    前記第1の圧延材を700℃以上780℃未満の温度で溶体化処理して溶体化処理材を得る工程と、
    前記溶体化処理材を冷間圧延して第2の圧延材を得る工程と、
    前記第2の圧延材を200℃以上の温度にて8時間以上48時間以下の範囲で熱処理することにより、時効処理して時効処理材を得る工程と、
    前記時効処理材を冷間圧延して銅合金板材として第3の圧延材を得る工程と
    を具備する高強度・高導電性銅合金板材の製造方法。
  15. 前記第3の圧延材を得る圧延工程は、前記時効処理材から前記第3の圧延材までの厚さ方向の加工率が90%以上となるように実施される、請求項14に記載の高強度・高導電性銅合金板材の製造方法。
  16. 前記第1の圧延材を得る圧延工程は、前記インゴットから前記第1の圧延材までの厚さ方向の加工率が5%以上20%以下となるように実施され、前記第2の圧延材を得る圧延工程は、前記溶体化処理材から前記第2の圧延材までの厚さ方向の加工率が20%以上99%以下となるように実施される、請求項14または請求項15に記載の高強度・高導電性銅合金板材の製造方法。
  17. 前記第1の圧延材を得る圧延工程は、前記インゴットから前記第1の圧延材までの厚さ方向の加工率が5%以上20%以下となるように実施され、前記第2の圧延材を得る圧延工程は、前記溶体化処理材から前記第2の圧延材までの厚さ方向の加工率が20%以上40%以下となるように実施される、請求項14または請求項15に記載の高強度・高導電性銅合金板材の製造方法。
  18. 前記時効処理材を冷間圧延する工程は、引張強度(UTS)の最小値が600MPa以上1250MPa以下であり、かつ導電率(%IACS)が60%以上90%以下である前記銅合金板材を得る、請求項14ないし請求項16のいずれか1項に記載の高強度・高導電性銅合金板材の製造方法。
  19. 前記時効処理材を冷間圧延する工程は、引張強度(UTS)の最小値が1000MPa以上1250MPa以下であり、かつ導電率(%IACS)が60%以上90%以下である前記銅合金板材を得る、請求項14ないし請求項17のいずれか1項に記載の高強度・高導電性銅合金板材の製造方法。
  20. 前記合金原料は、前記銀を6質量%以上13質量%以下の範囲で含む、請求項14ないし請求項19のいずれか1項に記載の高強度・高導電性銅合金板材の製造方法。
  21. 前記合金原料は、前記銀を8質量%以上12質量%以下の範囲で含む、請求項14ないし請求項19のいずれか1項に記載の高強度・高導電性銅合金板材の製造方法。
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