JPWO2019012825A1 - 蓄電デバイス用の袋状セパレータ、その熱接合方法及び熱接合装置、並びに蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

軟化点または融点を有する材料を含むセパレータ材からなり、熱接合した箇所が破断しにくい袋状セパレータと、その熱接合方法、熱接合装置及び蓄電デバイスを提供する。袋状セパレータは、2枚の重ねたセパレータ材又は1枚を折り返して重ねたセパレータ材から形成されている。セパレータ材は融点又は軟化点を有する高分子材料を含み、重ねたセパレータ材の辺縁部に熱接合領域30を1箇所以上有する。熱接合領域30は、セパレータ材が溶融又は軟化した後に再び固化した溶融着領域31と、溶融着領域31から熱接合領域30に隣接する領域34に向かって前記高分子材料の溶融率が連続的に低下する領域32とを有する。

Description

本発明は、蓄電デバイス用の袋状セパレータ、その熱接合方法、及び熱接合装置に関する。また、本発明は、この袋状セパレータを含む蓄電デバイスに関する。
リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、エネルギー密度が高い、自己放電が小さい、長期信頼性に優れる、等の利点により、ノート型パソコンや携帯電話などの電池としてすでに実用化されている。近年では電子機器の高機能化や電気自動車への利用が進み、よりエネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池の開発が求められている。
リチウムイオン二次電池においては、制御システムの異常などで所定の電圧を超えて充電が進行したり、電池外部の短絡で大電流が放出されたりすると、電池全体が発熱する恐れがある。あるいは、導電性の異物が電池内に混入していたり、あるいは外部から貫入したりすると、電池内部で局所的な短絡が生じて短絡電流が流れ、発熱する恐れがある。この熱によってセパレータが損傷すると、広い範囲で正極板と負極板が短絡することになり、電池からの発煙や電池の破裂につながる可能性がある。エネルギー密度の高いリチウムイオン電池では、異常時の短絡電流も大きくなるため、セパレータには高い耐熱性が求められる。
耐熱性が高いセパレータとしては、従来からセパレータ素材として用いられているポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)よりも熱軟化温度や融点、熱分解温度が高いポリエチレンテレフタレート(PET)や芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの高分子材料の微多孔膜や不織布が開発されている。
例えば、特許文献1にPET不織布、特許文献2にアラミドの微多孔膜、特許文献3にポリイミドやアラミドの不織布、特許文献4にPPSの不織布が開示されている。
高温に曝されたリチウムイオン電池の内部短絡の発生には、セパレータの損傷だけでなく、電極体とセパレータの位置関係も関わっていると考えられる。例えば電極体が変形すると、電極とセパレータの位置がずれて正極板と負極板が短絡する恐れがある。したがって、耐熱性のセパレータだけではなく、電極とセパレータのずれを防止することも、高温での電池の安全性向上には求められる。
セパレータを袋状に形成し、そのなかに正極板または負極板の少なくとも一方を収めることも、電極体が変形したときの電極とセパレータのずれを防止するために有効である(特許文献5〜7)。正極板または負極板の少なくとも一方が袋状のセパレータに収められていることにより、電極体が変形しても、正極板と負極板の接触を防止することができる。
袋状のセパレータを製造するには、例えば、特許文献5,6に開示されているように、PEやPPからなるセパレータでは、温度コントロールしたヒーターブロックを押し当てて行う。
一方、特許文献7では、融点が150℃以上、好ましくは240℃以上である、耐熱性の高い繊維の集合体を用いており、融点を示さない繊維も含まれている。ここでは、アラミドやポリイミドの繊維を含むセパレータフィルムどうしを400℃〜600℃という高温で熱溶着して、袋状のセパレータに加工することが示されている。
本明細書中では、セパレータを熱で溶融させて固定する場合と、セパレータを熱で軟化させ力を加えて固定する場合を区別せずに「熱接合」と表記することがある。
WO2014/123033号公報 WO2013/105300号公報 特開2014−25171号公報 WO2012/033085号公報 特開平7−302616号公報 特開平7−272761号公報 特開2006−59717号公報
特許文献7に記載された高耐熱性セパレータの熱接合では、特許文献5や6のPEやPPの熱接合と比べて、セパレータに与える熱のコントロールが難しい。セパレータにヒーターの熱を与える突起部(以後、加熱チップと記す)の温度が高いため、熱接合時にセパレータを保持する支持台との温度差によって散逸する熱が多く、熱接合時の加熱チップの温度低下が大きい。加熱チップの温度がセパレータの軟化温度、あるいは融点よりも下がるとセパレータを熱接合することができないので、精密な温度制御が必要となる。反対に、加熱チップの温度が高すぎると、加熱チップが接触したセパレータが完全に溶融して穴が開くので、セパレータどうしを固定する箇所が穴の縁だけになり、接合強度が低くなる。
セパレータ材を熱接合した領域は、セパレータ材が溶融したり、圧縮変形したりすることで体積が減るため、熱接合した領域と周囲との境界ではセパレータ材の構造が不連続になる。そのため、外力が加わると、熱接合された領域の輪郭でセパレータ材が破断することがある。特に、不織布によるセパレータ材では、熱接合した領域の輪郭で溶融あるいは軟化した繊維が引き延ばされて細くなるので、多孔質膜によるセパレータ材と比べて、熱接合した領域の輪郭で破断が生じやすい。
そこで本発明の目的は、上述した課題を鑑み、軟化点または融点を有する高分子材料を含むセパレータ材からなり、熱接合した箇所が破断しにくい袋状セパレータと、その熱接合方法、熱接合装置及び蓄電デバイスを提供することである。
本発明に係る袋状セパレータは、
2枚の重ねたセパレータ材又は1枚を折り返して重ねたセパレータ材から形成され、
前記セパレータ材は融点又は軟化点を有する高分子材料を含み、
前記重ねたセパレータ材の辺縁部に熱接合領域を1箇所以上有し、
前記熱接合領域は、前記セパレータ材が溶融又は軟化した後に再び固化した溶融着領域と、該溶融着領域から前記熱接合領域に隣接する領域に向かって前記高分子材料の溶融率が連続的に低下する領域とを有する。
本発明に係る蓄電デバイスは、
電極板が収納された上記の袋状セパレータと、前記袋状セパレータに収納された電極板とは極性の異なる電極板とを積層した、電極積層体を有する。
本発明に係る熱接合方法は、
融点又は軟化点を有する高分子材料を含む重ねたセパレータ材を熱接合する方法であって、
前記熱接合の際に、重ねたセパレータ材の熱接合する領域内に、前記融点又は軟化点より高い第1の温度で加熱する高温領域と、前記熱接合する領域の周縁部に前記第1の温度より低く、かつ前記融点又は軟化点以下の温度で加熱する低温領域と、前記高温領域から前記低温領域に向かって温度が変化する中間領域を形成する。
本発明に係る熱接合装置は、
第1のセパレータ材と第2のセパレータ材とを重ね合わせて接合する熱接合装置であって、
前記第1のセパレータ材に当接させて当該セパレータ材を加熱する加熱チップと、
前記第2のセパレータ材と接触し、重ね合わせたセパレータ材を支える支持台と、を備え、
前記加熱チップが、相対的に熱伝導性が高い材料からなる芯部と、当該芯部の少なくとも一部を覆う相対的に熱伝導性の低い材料からなる被覆部とを含み、
前記加熱チップの前記第1セパレータ材の表面と接触する加熱面が、前記芯部と前記被覆部の両方を含む。
本発明に係る熱接合装置は、
第1のセパレータ材と第2のセパレータ材とを重ね合わせて接合する熱接合装置であって、
前記第1のセパレータ材に当接させて当該セパレータ材を加熱する加熱チップと、
前記第2のセパレータ材と接触し、重ね合わせたセパレータ材を支える支持台と、を備え、
前記支持台の前記第2のセパレータ材との接触面における前記加熱チップと対向する領域が、相対的に熱伝導性の低い領域と、相対的に熱伝導性の高い領域とからなり、前記熱伝導性の低い領域が前記熱伝導性の高い領域の内側に配置されている。
本発明によれば、軟化点または融点を有する高分子材料を含むセパレータ材からなり、熱接合した箇所が破断しにくい袋状セパレータと、その熱接合方法、熱接合装置を提供することができる。また、本発明によれば、該袋状セパレータを用いて正極板と負極板の接触を確実に防止できる蓄電デバイスを提供することができる。
フィルム外装体をもつ電池の基本的構造を模式的に示す図である。 図1の電極積層体を説明する模式図である。 本発明の実施形態に係るセパレータ材の熱接合領域の温度分布を説明する模式図である。 (a)は本発明の実施形態によるセパレータ材の熱接合装置を模式的に示す正面図、(b)は側面図である。 (a)は本発明の一つの実施形態における加熱チップを模式的に示す断面図、(b)は接触面の正面図である。 (a)は本発明の他の実施形態における加熱チップを模式的に示す断面図、(b)は接触面の正面図である。 本発明の一つの実施形態における支持台の構造を模式的に示す図である。 (a)は実施例1の加熱チップを模式的に示す断面図、(b)は接触面の正面図である。 実施例1の熱接合点を示す顕微鏡像である。 実施例1の熱接合点の断面を示すSEM観察像である。 (a)は実施例1の熱接合点の平面図、(b)はその断面を模式的に示す図である。 実施例2の熱接合点を示す顕微鏡像である 比較例1の熱接合点を示す顕微鏡像である。 比較例2の熱接合点を示す顕微鏡像である。
実施の形態の概要を説明する。実施の形態に係るセパレータ材を熱接合する方法は、熱によって軟化または溶融する高分子材料を含む二枚のセパレータ材を重ね、あるいは1枚のセパレータ材を折り返して重ね、重ね合わせたセパレータ材の接合する箇所に加熱チップを押し当てて、セパレータ材が、加熱チップと接する領域内で温度分布を持つように加熱し、重なったセパレータ材を熱接合するものである。ここで、加熱チップと接触する側のセパレータ材を第1のセパレータ材、重ね合わせたセパレータ材を支持する支持台と接触する側のセパレータ材を第2のセパレータ材ということがある。1枚のセパレータ材を折り返して重ねた場合も便宜的に同様とする。
セパレータ材に含まれる高分子材料が融点を持つ場合には、セパレータ材の加熱チップと接する領域内で、融点をもつ高分子材料の少なくとも一つに対して、最高温度が融点より高くし、かつ、接触領域の外縁部の少なくとも一部でセパレータ材の温度を、融点以下となるようにする。以降、セパレータ材の加熱チップと接する領域のことを、セパレータ材の熱接合領域、又は接触領域、と記すことがある。
セパレータ材に含まれる高分子材料が、融点をもたずに熱軟化温度(軟化点)を持つ場合には、セパレータ材の接触領域内で、熱軟化温度を持つ高分子材料の少なくとも一つに対して、最高温度を熱軟化温度より高くし、かつ、セパレータ材の接触領域の外縁部の少なくとも一部のセパレータ材の温度を、熱軟化温度以下となるようにする。
セパレータ材に含まれる高分子材料が、融点と軟化温度の両方を持つ場合や、融点を持つ高分子材料と融点を持たずに軟化温度を持つ高分子材料が混在する場合には、融点をもつ高分子材料の少なくとも一つについて、最高温度を融点より高くし、かつ、セパレータ材の接触領域の外縁部の少なくとも一部で、セパレータ材の温度を高分子材料の熱軟化温度以下となるようにする。あるいは、セパレータ材の接触領域内において、融点を持たずに熱軟化温度を持つ高分子材料の少なくとも一つに対して、最高温度を熱軟化温度より高くし、かつ、セパレータ材の接触領域の外縁部の少なくとも一部のセパレータ材の温度を、熱軟化温度以下となるようにする。
実施の形態に係るセパレータ材の熱接合装置は、ヒーターと、ヒーターと熱的に接続されている加熱チップと、セパレータ材に加熱チップを接触させる際にセパレータ材を支える支持台を有する。加熱チップは、例えば熱伝導性の異なる材料の組み合わせで形成されている。あるいは、ヒーターからセパレータ材との接触面に至る熱伝導経路に切り欠きや放熱構造を有している。これにより、加熱チップの表面にヒーターから伝わる熱量が加熱チップの表面内で分布をもち、加熱チップと接したセパレータ材も温度分布を持つ。かつ、あるいは、支持台が、加熱チップと対向する領域内で熱伝導性に分布を有する。支持台の熱伝導性が高い領域では加熱チップからセパレータ材に与えられた熱の拡散が大きいのでセパレータ材の温度上昇が遅くなり、支持台の熱伝導性が低い領域では熱の散逸が少ないので、セパレータの温度上昇が速い。その結果、加熱チップのセパレータ材と接触する加熱面に温度分布が無い場合にも、セパレータ材の接触領域内では温度分布が生じる。
以下、本実施形態の袋状セパレータおよびこれを含む電池等について、図面を参照しながら、構成ごとに説明する。なお、図面における各部材の大きさや比率は、説明の都合上、実際の大きさや比率とは異なることがある。
<セパレータ材>
セパレータ材(以下、単に「セパレータ」とも称する。)は、熱に対して溶融あるいは軟化する高分子材料(即ち融点又は軟化点を有する高分子材料)を含む。特に、融点または軟化点が200℃以上の高分子材料を含むことが好ましい。具体的な例として、芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が挙げられる。熱に対して溶融あるいは軟化する高分子材料の他に、セルロースのように熱による溶融や軟化を示さない高分子材料や、ガラスなどの無機材料を含むことができる。
セパレータの厚みは、高いエネルギー密度を持つ電池については、25μm以下が好ましく、更に好ましくは15μm以下が好ましい。セパレータの構造に特段の制約はなく、不織布、織布、多孔質膜のいずれでも良い。特に高分子繊維からなる織布や不織布が好ましい。
セパレータの通気度は、充電や放電の特性、特に、低温で大きな充電電流や放電電流を得るためには、高いことが好ましい。具体的には、有機材料を担持していない状態でのセパレータで、通気度の目安となるガーレー値(秒/100ml)として200以下のものが好ましく、100以下のものがより好ましい。
<セパレータの熱接合方法>
本発明の実施形態によるセパレータの熱接合方法について説明する。
熱によって溶融または軟化する高分子材料を含む二枚のセパレータを重ね、あるいは1枚のセパレータを折り返して重ねる。そして、接合する箇所に加熱チップを押し当てて(当接させて)、セパレータの接触領域(熱接合領域)内で温度分布を持つように加熱する。温度分布を持つとは、融点又は軟化点より高い温度から、融点又は軟化点以下の温度までの連続的な(緩やかな勾配を持つ)温度勾配を形成することである。これにより、重ねあわせたセパレータを熱接合する。なお、加熱チップがセパレータと接触する領域全体が完全に熱接合(溶融着)される領域とはならないが、加熱チップが当接され加熱される領域を熱接合領域ともいう。接合工程は、あらかじめヒーターで加熱した加熱チップをセパレータの熱接合領域に押し当てても良い。または加熱チップをセパレータの熱接合領域に押し当ててから、加熱チップをパルスヒーターなどで加熱しても良い。なお、熱接合領域は、重ねたセパレータの辺縁部に1箇所以上設ける。
セパレータに含まれる高分子材料が融点を持つ場合には、融点をもつ高分子材料の少なくとも一つに対して、セパレータの熱接合領域内の最高温度を融点よりも高く、かつ、熱接合領域の外縁部(外周端部)の少なくとも一部の温度を、融点以下となるようにする。
これにより、セパレータの熱接合領域内に、高分子材料が溶融する箇所と溶融しない箇所が存在し、その間には、熱接合に適した温度条件を満たす領域が生じることになる。また、高分子材料の溶融状態(溶融率、即ちいったん溶融又は軟化したのち固化した部分の割合)が熱接合領域の温度が高い側(例えば内側)から温度が低い側(例えば外側)に向かって連続的に変化する。連続的にとは、変化の方向が一定であり、その変化の割合が緩やかであるということである。なお、必ずしも一定の割合で変化するというわけではない。この変化の割合は、少なくとも従来技術の不連続部分の変化の割合に比べて小さい。このため、従来技術のように熱接合された領域の輪郭でセパレータの構造に不連続部分が生じて破断することを回避できる。不連続部分では、溶融あるいは軟化した繊維が引き延ばされて細くなり、強度が低下するからである。この溶融率は、任意の接合部分の拡大画像を撮像し、材料が元の形状を有していない部分の割合を計測すること等で求めることができる。
溶融率が連続的に変化するとは、溶融率が段階的に変化する場合も含む。なお変化の方向は一定である。つまり、ある方向に向かって溶融率が大きい部分から小さい部分へと順次あるいは段階的に溶融率が変わっている状態であり、溶融率の大きい部分と小さい部分とが交互に混在していない。段階的な変化は多段階で生じる。例えば2段階以上、あるいは3段階以上、あるいは4段階以上で変化してもよい。
このような温度勾配を持たせるため、セパレータの熱接合領域の外縁部の温度が、セパレータが含む高分子材料の融点以下であることが好ましい。ただし加熱チップや支持台の構造により、セパレータの熱接合領域の外縁部の温度が、セパレータが含む高分子材料の融点以下でなくてもよい。この場合、熱接合領域の外縁部の温度は、融点よりも高い温度に加熱した高温領域の温度よりも低ければよい。高分子材料が溶融して接合される領域の大きさは、加熱チップがセパレータに接触した領域よりも小さい。
セパレータに含まれる高分子材料が融点をもたず、熱軟化温度を持つ場合には、熱軟化温度をもつ高分子材料の少なくとも一つに対して、セパレータの熱接合領域内の最高温度を熱軟化温度よりも高く、かつ、熱接合領域の外縁部の少なくとも一部の温度を、熱軟化温度以下となるようにする。
これにより、セパレータの熱接合領域内に、高分子材料が軟化した箇所と軟化されない箇所が存在することとなり、その間の領域では、熱接合に適した温度条件を満たす領域が生じる。また、繊維が完全に軟化(溶融)して繊維同士が一体化した後に固化した溶融着領域の周辺でセパレータの溶融率の変化は連続的なものとなるので、溶融着領域の周辺でセパレータの強度が低下した不連続部分が生じて破断することを回避できる。
加熱チップがセパレータに接触する熱接合領域の外縁部の温度が、セパレータが含む高分子材料の熱軟化温度以下であることが好ましい。ただし加熱チップや支持台の構造によっては、セパレータの熱接合領域の外縁部の温度が、セパレータが含む高分子材料の軟化点以下でなくてもよい。この場合、熱接合領域の外縁部の温度は、軟化点よりも高い温度に加熱した高温領域の温度よりも低ければよい。高分子材料が熱で軟化して接合される領域の大きさは、加熱チップがセパレータに接触した領域よりも小さくなる。
セパレータに含まれる高分子材料が、融点と軟化温度の両方を持つ場合や、融点を持つ高分子材料と軟化温度を持つ高分子材料が含まれる場合には、前記の、高分子材料が融点を持つ場合と、軟化点を持つ場合の何れかの方法を用いることができる。高分子材料を溶融させて接合する方が、接合面積あたりの接合強度が高いが、必要な接合強度と、高分子材料の融点やセパレータ中の存在量などの条件から、高分子材料が融点を持つ場合と軟化点をもつ場合の何れかの方法が選ばれる。
図3に、本実施形態の熱接合方法における、セパレータの熱接合領域(加熱チップが接触する領域)30の温度分布の例を示す。熱接合領域30は、高温領域31と、外縁部33と、これらの間にある中間領域32とからなる。外縁部33の外側は、熱接合領域30に隣接する領域34である。加熱される温度は、高温領域31で高く、外縁部33で低い。中間領域32は、高温領域31と外縁部33の間の温度領域であり、高温領域31から外縁部33へと温度は連続的に変化(温度が次第に低下)している。
セパレータに含まれる高分子材料が融点を持つ場合には、セパレータに与える温度は、図3の高温領域31で高分子材料の融点より高く、加熱チップが接触する領域の外縁部33で融点以下であることが好ましい。中間領域32の温度は高温領域31と外縁部33の間の温度である。温度が高分子材料の融点を超える高温領域31の内部で高分子材料が溶融して、セパレータが熱接合される。高温領域31の内側で、部分的に穴が開いても構わない。高温領域31の内側に形成した穴から、高温領域31の内側で、重ねあわせた二枚のセパレータが完全に溶融したことを知ることができる。一方で、穴はセパレータの接合強さに寄与しないので、一例として、穴の面積がセパレータの溶融した面積よりも小さくなる温度分布とする。
セパレータが含む高分子材料が熱軟化温度を持つ場合には、セパレータに与える温度は、図3の高温領域31で高分子材料の熱軟化温度より高く、外縁部33で熱軟化温度以下であることが好ましい。中間領域32は高温領域31と外縁部33の間の温度領域である。熱接合を行うと、高温領域31の内部でセパレータが軟化し、加熱チップからの圧力を受けて、他方のセパレータの繊維の空隙あるいは細孔に入りこむことで固定される。
図3では、セパレータの温度分布として、高温領域31がセパレータの熱接合領域30の中央となる例を示したが、高温領域31が熱接合領域30の中央からずれている分布も用いることができる。また、熱接合領域30の平面形状は、図3に例示した円形に限らず、長円形、四角形やL字型など、接合する箇所の形状にあわせて用いることができる。
熱接合されたセパレータの熱接合領域30では、次のような構造的変化が生じる。つまり、熱接合領域30に、セパレータが完全に溶融又は軟化して全体が溶融合した後に温度が低下して再び固化した溶融着領域(ほぼ高温領域31に相当)と、溶融着領域31から熱接合領域30に隣接する領域34に向かって溶融率が連続的に低下する領域(中間領域32)とが形成される。2枚のセパレータが完全に溶融合した状態を溶融率100%とする。またまったく溶融合していない状態を溶融率0%とする。セパレータの高分子材料が熱により溶融合すると、その溶融率の増加につれて見かけ上の容積が減少する。中間領域32では領域34へ向かって溶融率が低下するため、見かけ上の容積が増加して厚さが増加する。その結果、中間領域32では溶融着領域31から熱接合領域30に隣接する領域34へ向かって厚さが次第に増加する。なお、溶融着領域31に開口(即ち厚さがゼロの領域)があってもよい。
中間領域32の溶融率は、2枚のセパレータの接合前の厚さ以上の距離で100%から0%まで変化することが好ましい。つまり、中間領域32の径方向の長さ(厚さの変化方向の距離)Lは、2枚のセパレータの接合前の厚さと同等かそれ以上であることが好ましい。このような変化量で緩やかに溶融率を100%から0%まで変化させることにより、強度が低下する部位を形成することなく2枚のセパレータを熱接合することができる。
別な観点からみると、溶融着領域31から熱接合領域30に隣接する領域34へ向かって厚さが次第に増加するとは、接合した2枚のセパレータの空隙率が次第に増加することである。つまり、溶融着領域31では2枚のセパレータがほぼ空隙率0%(溶融率100%)で溶融合している。この空隙率が、隣接する領域34へ向かって次第に増加し、溶融率0%の領域34で接合前のセパレータの空隙率(溶融率0%)となる。空隙率は、セパレータの断面の拡大画像を撮像し、繊維の部分と空間部分の各面積を画像解析で求めて計算することができる。あるいは繊維の比重とセパレータの見かけ比重から求めてもよい。空隙率の変化量は正負を逆にした溶融率の変化量と等しい。
セパレータの材料樹脂を溶融または軟化させてセパレータを熱接合すると、接合前にセパレータが有していた空隙を材料樹脂が埋めていく。そして完全に溶融又は軟化して溶融着された部分では、理論的にはセパレータが空隙率0%の樹脂膜となる。その厚みは、『当初の厚み×[100−当初空隙率(%)]/100』となる。しかし実際には、溶融または軟化した樹脂が面内方向にも移動したり、逆に、空隙が完全には塞がらなかったりするため、上記の計算値と同程度、あるいはそれ以下となる。
また、溶融率が連続的に低下することにより、溶融着領域31から熱接合領域30に隣接する領域34へ向かって透明度が次第に減少することがある。つまり半透明の領域が現れる。これは、例えば高分子材料が溶融又は軟化して融合する割合が増加するにつれ、光の乱反射が減少して透過度が増加することがあるためである。透明度の変化は、着色した背景を透かして見ることで観察できる。
また、セパレータが例えば高分子材料の繊維構造を有する場合、溶融着領域31から熱接合領域30に隣接する領域34へ向かって溶融又は軟化して一体化した繊維の割合が次第に減少している。これは、温度が低いほど溶融又は軟化して一体化する繊維の割合が減少するためである。一体化した繊維の割合とは、溶融率と同義である。
図3のような熱接合領域では、溶融着領域31が中央部にあり、中間領域32がその溶融着領域31の周囲にある。しかし溶融着領域31と中間領域32の配置はこれに限られない。
<熱接合装置>
図4は、熱接合装置を説明するための模式図である。接合するセパレータは、2枚のセパレータを重ねたものであっても、1枚のセパレータを折り重ねたものであってもどちらでもよい。以下の説明では2枚のセパレータを重ねたものとして説明する。図4(a)は加熱チップ41が設けられたヒーターブロック42の正面図を示す。図4(b)は側面図である。熱接合装置40は、熱接合する第1のセパレータ44a(上側のセパレータ)と第2のセパレータ44b(下側のセパレータ)を支える支持台43と、加熱チップ41を備えたヒーターブロック42とを有する。複数の加熱チップ41を備えたヒーターブロック42を用いることで、複数の熱接合点を同時に形成することができる。図4(a)では、例として電極板を挿入する開口部を除く三辺を接合するために、コの字型に加熱チップ41が配列している。ヒーターブロック42は、加熱チップ41を加熱するヒーター(不図示)を備えている。熱接合装置40は、加熱チップ41を支持台43上の第1のセパレータに接触させるために、ヒーターブロック42を支持台に対して移動させる機構(不図示)を備える。
本実施形態における熱接合装置40の加熱チップ41と支持台43の少なくともいずれかは、以下で説明する構造を有する。
(加熱チップ)
図5は、本発明の熱接合装置の一つの実施形態における、加熱チップ51の構造を説明するための模式図である。図5(a)は側面からの縦断面図、図5(b)は、加熱チップ51のセパレータと接触する接触面(加熱面)54の正面図である。加熱チップ51は、熱伝導性が異なる素材を組み合わせて形成されている。図5では、相対的に熱伝導性が高い高熱伝導性材料52の外側に、相対的に熱伝導性が低い低熱伝導性材料53を設けている。高熱伝導性材料52の温度が低熱伝導性材料53の温度よりも高くなるため、加熱チップ51のセパレータと接触する加熱面54に温度分布ができる。その結果、加熱面54が接触したセパレータの接触領域に、図3で示した温度分布が生じる。
図3の高温領域31の大きさは、図5の熱伝導性の高い材料52の領域の大きさとは必ずしも一致しない。加熱チップ51の中央部の温度が高いと、図3の高温領域31は熱伝導性の低い材料52の領域まで広がることがある。
熱伝導性が異なる材料の組みあわせとして、例えば、相対的に熱伝導性が高い材料52に銅やアルミニウム、真鍮などを用い、相対的に熱伝導性の低い材料53としてステンレスやチタンなどの金属材料、アルミナやシリカなどのセラミック材料、ポリイミドなど、セパレータに使用する高分子材料よりも融点あるいは軟化点が高い、あるいは融点及び軟化点を有さない高耐熱性高分子材料を用いる。
加熱チップの他の形態を、図6に模式的に示す。図6(a)は加熱チップ61の縦断面模式図である。図6(b)は、加熱チップ61の、セパレータと接触する接触面(加熱面)62の正面図である。加熱チップ61は、熱源であるヒーターブロック42の熱を加熱面62に供給する円筒部(熱接続部材)63と、円筒部63よりも直径の大きい円板部64を組み合わせた形状である。円板部64の加熱面62の面積は、円筒部63の加熱面62に平行な断面積よりも大きい。加熱チップ61では、ヒーターブロック42から伝導する熱量と加熱チップからの放熱が円板部64の接触面(加熱面)62内で異なるので、加熱チップ61が単一の材料で構成されている場合にも、加熱チップ61の接触面62の温度に分布が生じる。加熱チップ61の接触面62で、円筒部63からはみ出ている部分は熱の供給が少なく、かつ、放熱量が多いので温度が低くなる。加熱チップ61の材料として、例えば、熱伝導性の良い、銅やアルミニウム、真鍮などの金属を用いる。
以上、説明したいずれの加熱チップにおいても、セパレータを傷つけないように、セパレータと接触する面の縁を面取り加工することや、あるいはセパレータと接触する面を曲面とすることが好ましい。曲面は、例えばセパレータに向かって凸状の曲面とすることができる。セパレータと接触する加熱チップの表面を曲面とする場合には、セパレータが加熱チップの曲面に追随するように、支持台についても、表面に弾性を持たせることや、加熱チップの表面に対応した曲面を持たせることが好ましい。
図5、図6では、加熱チップの接触面を円形として説明したが、楕円形、四角形、L字型など、必要な熱接合点の形状に合わせた形とすることができる。
(支持台)
図7は、本発明の熱接合装置の一つの実施形態における、支持台の構造を説明するための、断面模式図である。加熱チップ71は、単一材料で構成された柱状構造である。支持台72は加熱チップ71の温度に耐える素材で形成されている。加熱チップ71の接触面と対向する領域は、相対的に熱伝導性の高い、高熱伝導性材料73と、相対的に熱伝導性の低い、低熱伝導性材料74で形成されている。高熱伝導性材料73が外側に、低熱伝導性材料74が内側に配置されている。熱伝導性の低い材料のところでは熱が散逸しにくく、熱伝導性の高い材料のところでは、セパレータに与えられた熱が散逸しやすい。そのため、加熱チップ71の加熱面の温度に分布が無い場合であっても、セパレータの接触領域内に温度の分布が生じる。
熱接合装置の他の実施の形態として、図7で低熱伝導性材料74の代わりに、支持台72に凹部、あるいは貫通穴を形成することができる。空気の熱伝導性が高熱伝導性材料73よりも低いので、セパレータに温度分布を与えることができる。凹部あるいは貫通穴の、セパレータと接する縁は、セパレータを傷つけないように面取り加工、あるいは曲面とすることが好ましい。
加熱チップと支持台の少なくともいずれかが上記で説明した構造をもつことで本発明の効果を得ることができるが、加熱チップと支持台の両方が上記で説明した構造を有しても良い。セパレータの温度分布は加熱チップから与えられる熱と、支持台への熱の散逸によって決まる。
本実施形態によるセパレータの熱接合装置は、加熱チップの表面と支持台の表面を導体とし、加熱チップの表面と支持台の表面の間の電気抵抗を測定する機構を有することもできる。セパレータが融点をもつ高分子材料からなる場合、熱接合時にセパレータが融点以上に十分加熱されると、セパレータに穴が開いて、加熱チップの表面と支持台の表面が接触する。そのため、電気抵抗を測定することで、セパレータが融点以上まで加熱されたことを判定することができる。
<袋状セパレータ>
以上に説明した、本実施形態のセパレータの熱接合方法、熱接合のための加熱チップ、セパレータの支持台を用いてセパレータを熱接合することで、熱接合点の強度が高い、袋状セパレータを作製することができる。
図2に示すように、袋状セパレータ26には電極板25が収納され、セパレータによって形成された袋からは、集電箔24の一部が引き出されている。電極板25を収納した袋状セパレータ26は、二枚のセパレータを重ねあわせて、電極板25を挿入する開口部を残して二辺または三辺を熱接合し、二枚のセパレータの間に電極板25を挿入した後に、開口部を接合することで作製することができる。二枚のセパレータの代わりに、一枚のセパレータを折り返して使用しても良い。あるいは、一枚のセパレータの上に電極板25を置き、その電極板25の上に他のセパレータを重ねて、電極板25を囲むようにセパレータを熱接合して、袋状セパレータ26の形成と電極板25の収納を同一の工程として行うこともできる。
袋状セパレータ26に収める電極板25は、正極板、負極板のいずれでも構わない。平面寸法の小さい方の電極板を収めた方が、電極板とセパレータを積層した電池要素の平面寸法が増えることを回避できるので、都合が良い。また、袋状セパレータの幅を、袋状セパレータに収めない極の電極板の幅を同じにすると、積層する時の位置合わせが容易になる。
<リチウムイオン二次電池>
本発明の電池は、セパレータ以外のその他の構成は特に限定されない。以下に実施形態がリチウムイオン二次電池である場合における、正極、負極、電解液など、その他の構成について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
(二次電池の構造)
本実施形態の二次電池は、例えば、図1のような構造を有する。リチウムイオン二次電池1は、電極積層体10と、それを電解質と一緒に収容するフィルム外装材12−1、12−2からなるフィルム外装体11と、正極タブ14および負極タブ13(以下、これらを単に「電極タブ」ともいう)とを備えている。
電極積層体10は、図2に示すように、正極板25を収めた袋状セパレータ26と負極板21とが交互に積層されたものである。正極板25は、正極用金属箔の両面に正極用の電極材料が塗布されており、負極板21も、同様に、負極用金属箔の両面に負極用の電極材料が塗布されている。それぞれ電極材料が両面に塗布された金属箔からなる複数の正極板25と複数の負極板21が、正極板25と負極板21の少なくとも片方が袋状セパレータ26の内部に収納されて積層されたものである。袋状セパレータ26の内部に収める電極板は、正極板と負極板のいずれでも良い。ただし、平面寸法の小さい方の電極を収めることが、積層工程で電極の積層ずれを抑えることや、電極積層体10の平面寸法が大きくなることを避けることができるので好ましい。袋状セパレータ26は、二枚のセパレータが、熱接合領域22によって互いに固定されたものである。図2では、正極板25が袋状セパレータ26に収めた場合を示している。電極積層体10の全体的な外形は、特に限定されるものではないが、この例では偏平な略直方体である。電極積層体10を構成する各部の詳細については後述するものとする。
熱接合領域22は、セパレータの辺縁部27に複数個設けられており、セパレータを袋状に形成するとともに、収納された正極板25の位置を安定化させる役割を有する。熱接合領域22は、1枚のセパレータを折り重ねた場合、対向する2箇所の辺縁部のそれぞれに1以上設けることができる。2枚のセパレータを重ねた場合は、さらに第3の辺縁部にも熱接合領域22を設けることができる。
正極板25および負極板21はそれぞれ外周の一部に、部分的に突出し活物質が存在しない延長部を有しており、正極板25の延長部24と負極板21の延長部23とは、正極板25および負極板21を積層したときに互いに干渉しないように位置をずらして互い違いに配置されている。正極板25の延長部24が積層されて正極タブ14が接続される。同様に、負極板21に関しても、負極板21の延長部23が積層されて負極タブ13に接続される。電極タブと電極の延長部との接続は、例えば超音波による溶接によって行なわれてもよい。
電池のフィルム外装体11の輪郭形状は特に限定されるものではないが、四角形であってもよく、この例では長方形となっている。フィルム外装材12−1、12−2は、電極積層体10の周囲で互いに熱溶着されて接合されている。熱溶着部のうち短辺側の一辺から、正極タブ14および負極タブ13が引き出されている。電極タブ14、13としては種々の材質を採用しうるが、一例として、正極タブ14がアルミニウムまたはアルミニウム合金で、負極タブ13が銅またはニッケルである。負極タブ13の材質が銅の場合、表面にニッケルめっきが施されてもよい。
なお、電極タブ14、13の引出し位置について、タブが長辺側の一辺から引き出されていてもよい。また、正極タブ14と負極タブ13とが別々の辺から引き出されていてもよい。この例としては、正極タブ14と負極タブ13とが対向する辺から逆方向に引き出される構成が挙げられる。
(正極)
正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出し得る材料であれば特に限定されず、いくつかの観点から選ぶことができる。高エネルギー密度化の観点からは、高容量の化合物を含むことが好ましい。高容量の化合物としては、ニッケル酸リチウム(LiNiO)またはニッケル酸リチウムのNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(II)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
LiNi(1−x) ・・・ (II)
(但し、0≦x<1、0<y≦1.2、MはCo、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(II)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)、LiαNiβCoγAlδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNiβCoγMnδ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi0.8Co0.05Mn0.15、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Al0.1等を好ましく用いることができる。
また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(II)において、xが0.5以上であることも好ましい。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi0.4Co0.3Mn0.3(NCM433と略記)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略記)、LiNi0.5Co0.3Mn0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
また、式(II)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1〜1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(II)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
正極は、正極集電体上に、正極活物質と正極用バインダを含む正極活物質層を形成することで作製することができる。正極活物質層の形成方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法等が挙げられる。予め正極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、正極集電体としてもよい。
(負極)
負極活物質としては、充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に受容、放出可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、金属、金属酸化物、炭素などを挙げることができる。
金属としては、例えば、Li、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態では、金属酸化物の負極活物質として酸化スズもしくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンが、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。酸化シリコンとしては、組成式SiO(ただし、0<x≦2)で表されるものが好ましい。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素および硫黄の中から選ばれる1種または2種以上の元素を、例えば0.1〜5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。
炭素としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、グラフェン、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
負極は、負極集電体上に、負極活物質、導電材、および負極用結着剤を含む負極合剤層を形成することで作製することができる。負極合剤層の形成方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法等が挙げられる。予め負極合剤層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、負極集電体としてもよい。
(電解液)
電解液としては特に限定されないが、電池の動作電位において安定な非水溶媒と支持塩を含む非水電解液が好ましい。
非水溶媒の例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル等のエーテル類、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類等の非プロトン性有機溶媒、及び、これらの化合物の水素原子の少なくとも一部をフッ素原子で置換したフッ素化非プロトン性有機溶媒等が挙げられる。
これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の環状または鎖状カーボネート類を含むことが好ましい。
非水溶媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
支持塩としては、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩が挙げられる。支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。低コスト化の観点からはLiPFが好ましい。
(フィルム外装体等)
フィルム外装体の材質としては、電解液に安定で、かつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、どのような材質であっても構わない。例えば、積層ラミネート型の二次電池の場合、外装体としては、アルミニウムと樹脂のラミネートフィルムを用いることが一例として好ましい。外装体は、単一の部材で構成してもよいし、複数の部材を組み合わせて構成してもよい。本実施形態では、図1に示すように、フィルム外装体11は、第1のフィルム外装材12−1とそれに対向配置された第2のフィルム外装材12−2とで構成されている。図示されているように、一方のフィルム外装材12−1に電積層体10を収めるカップ部が形成されるとともに他方のフィルム外装材12−2にはカップ部が形成されていない構成としてもよいし、両方のフィルム外装材12−1、12−2にカップ部を形成する構成(不図示)としてもよい。
(二次電池の製造方法)
本実施形態による二次電池は、通常の方法に従って作製することができる。図1、図2を参照しながら、積層ラミネート型二次電池の製造方法の一例を説明する。まず、乾燥空気雰囲気または不活性ガス雰囲気において、袋状セパレータ26に収めた正極板25と負極板21を積層して、電極積層体10を作製する。電極積層体10には、正極タブ14を正極板の延長部24に、負極タブ13を負極板の延長部23にそれぞれ接続し、フィルム外装体11に収容する。水分が少ない雰囲気中、例えば乾燥空気雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で、電極積層体10を収めたフィルム外装体11に電解液を注入して、電極積層体10に電解液を含浸させる。その後、フィルム外装体11の開口部を減圧雰囲気下で封止して二次電池とする。
<組電池>
本実施形態に係る二次電池を複数組み合わせて組電池とすることができる。組電池は、例えば、本実施形態に係る二次電池を2つ以上用い、直列、並列又はその両方で接続した構成とすることができる。直列および/または並列接続することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。組電池が備える二次電池の個数については、電池容量や出力に応じて適宜設定することができる。
<車両>
本実施形態に係る二次電池またはその組電池は、車両に用いることができる。本実施形態に係る車両としては、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バス等の商用車、軽自動車等)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)が挙げられる。なお、本実施形態に係る車両は自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば電車等の移動体の各種電源として用いることもできる。
以上説明した実施形態によれば、セパレータが加熱チップと接触する領域内で、セパレータの温度は、セパレータに含まれる高分子材料の融点以上または熱軟化温度以上の温度から、融点未満または熱軟化温度未満まで分布する。これにより、セパレータの接触領域内に、熱接合に適切な温度条件の箇所が作ることができる。温度に分布を持たせることで、加熱チップの温度の許容範囲を広げることができる。さらに、セパレータの熱接合点と周囲との境界で温度が連続的に変化するので、熱接合点の周囲との境界で構造が不連続になって、破断しやすくなることが防止される。したがって、高耐熱性のセパレータを熱接合する際に温度を細かく制御する困難さを低減し、熱接合点の強度を高めることが可能となる。その結果、電池の組み立て工程で加わる力や、電池の異常時に生じる変形時に熱接合点が壊れにくい、袋状セパレータを提供することができる。
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
PETの繊維を用いた厚さ15μm、空隙率60%の不織布をセパレータとした。本実施例で用いたPETの融点は260℃である。
加熱チップ80は、図8に示すように、直径2mmの銅丸棒81の先端を円錐状に加工してポリイミド(PI)82で覆い、先端を削ってセパレータと接触する面(接触面)84とした。接触面84の中央には、銅が直径0.8mmの円形に露出し、銅の周囲はPIで囲まれている。PIも含めた接触面84の直径は2mmである。加熱チップ80は銅製のヒーターブロック42に組み付けられ、ヒーターブロック42から3mm突き出している。セパレータを載せる支持台はアルミニウム板を基材とし、熱の散逸を抑えるために、アルミニウム板の上に厚さ1mmのポリイミドシートを固定した。加熱チップ80の接触面84の銅81の領域中央が270℃となるようにヒーターブロック42を加熱した。このとき、接触面84のPI領域82の最も外側は、250℃であった。
支持台にPETの不織布によるセパレータを2枚重ねて置き、ずれないように、加熱チップ80やヒーターブロック42と干渉しない位置を押さえた。加熱チップ80は、荷重2ニュートン(N)で、接合箇所毎に、0.5秒間押し当てた。接合箇所の間隔は、縦、横ともに3mmとした。本実施例では、一つの加熱チップ80を移動させながら、縦3×横3の配置で合計9か所を2秒間隔で接合した。
なお、図8に示すような加熱チップの場合、加える荷重は接合チップ一つあたり、樹脂が溶融する場合は0.5N、樹脂が軟化する場合は樹脂を押し込むために1N程度以上であることが好ましい。また加重がこれ以上であれば、加重の大きさによる接合強度への影響はあまりない。
図9は、実施例1の熱接合領域を光学顕微鏡で観察した像である。セパレータを黒色の台紙の上に乗せて観察した。熱接合領域では、セパレータが溶融して半透明になっている。半透明の領域は直径が約1.2mmで、加熱チップ80の接触面積よりも小さい。半透明の領域の外側に向かって透明度が低下し、最終的にPET不織布と同様に白色となっていた。セパレータが溶けた領域と外側の領域の境界は連続的につながっていて、セパレータに破断は見られない。
図10に、熱接合した箇所の半透明の領域と外側の白色の領域の境界付近の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像を示す。図10で、加熱チップはSEM像の上側からセパレータに接触させた。SEM像では左側が半透明の領域、右側が白色の領域になる。半透明の領域(図10では左側)では、重ねあわせたPET不織布によるセパレータ101の繊維が溶けて、二枚のセパレータが一体化している。接合箇所の外側(図10の右側)に向かっていくと、PET繊維が一部溶けた領域を経て、二枚のセパレータが分離している領域になる。
図11に、実施例1の熱接合領域を模式的に示す。図11(a)の実線は加熱チップ80が接触した領域111であり、熱接合領域である。熱接合領域(接触領域)111の内側に半透明の領域112が形成されている。図11(b)の熱接合構造を見ると、熱接合領域111の中心から周辺部に向かって、PET不織布の繊維が溶融した領域113、繊維が一部溶融した領域114、繊維が溶融していない領域115へと構造(繊維の溶融率)が連続して変化している。領域の間で繊維の状態は連続的に変化しているので、領域間の境界は明確ではない。熱接合領域の厚さは、領域113から領域115に向かって連続的に増加している。
熱接合した二枚のセパレータの接合強度を、セパレータ表面に対して垂直に力を加える垂直引張り試験によって測定した。二枚のセパレータを接合した九つの熱接合点を覆うように、接合した二枚のセパレータの表側と裏側に、それぞれ1枚のPE樹脂製の丸板を両面テープで固定した。セパレータの裏側に固定したPE樹脂製の板を、両面テープで試験機のサンプル台に固定した。セパレータの表側に固定したPE樹脂製の丸板の、セパレータとは反対の面には、丸棒を、九つの熱接合点を覆うように両面テープで固定した。丸棒をサンプル台に対して垂直に引き上げて、9個の熱接合点が全て剥がれたときの引張力を測定した。測定結果は、実施例1から実施例5、比較例1から比較例4の結果と合わせて、表1に示す。
<実施例2>
実施例1と同じPETの不織布によるセパレータを、加熱チップのセパレータとの接触面の銅の領域が280℃となるように、ヒーターブロックを加熱して、熱接合した。このとき、接触面のPI領域の最も外側は、260℃であった。加熱チップの温度の他は、実施例1と同様にして熱接合を行った。
図12は、実施例2の熱接合点を、光学顕微鏡で観察した像である。PETが溶融した半透明の領域の中央付近に穴が開いている。半透明の領域の直径は、実施例1よりも大きい約1.5mmであったが、加熱チップの接触面よりも小さい。半透明の領域と外側の白色の領域との境界は連続的につながっていて、セパレータに破断は見られない。本実施例2で熱接合したセパレータは、実施例1と同様にして接合強度を測定した。
<実施例3>
アラミドの繊維を用いた厚さ25μm、空隙率60%の不織布をセパレータとした。本実施例で用いたアラミドは明確な融点を持たないが、約280℃でガラス転移が生じて軟化する。
加熱チップは、直径2mmの銅丸棒の先端を面取りして用いた。加熱チップは銅製のヒーターブロックに組み付けられている。セパレータを載せる支持台は、アルミニウムを基材とし、加熱チップの中心部と対向する箇所に直径1.5mmの穴を開け、この穴にアルミナ棒を支持台の表面に段差が無いように埋め込んだ。支持台の構造は、図7に模式的に示したものである。
支持台にアラミド不織布によるセパレータを二枚重ねて置き、接合作業中に動かないように、加熱チップやヒーターブロックと干渉しない位置を押さえた。加熱チップのセパレータとの接触面の中心の温度が320℃になるように、ヒーターブロックを加熱した。このとき、加熱チップの外縁部の温度は約315℃となった。
加熱チップを、荷重5Nで接合箇所毎に1秒間押し当てて熱接合を行った。接合箇所の間隔は、縦、横ともに3mmとした。本実施例では、一つの加熱チップを移動させながら、縦3×横3の配置で合計9か所を2秒間隔で接合した。
熱接合点を光学顕微鏡で観察すると、加熱チップが接した領域の中央付近が、半透明になっていたが、穴は開いていなかった。半透明になった領域は、接触領域よりも小さく、直径約1.5mmであった。半透明になった領域の外側に向かって透明度が下がり、熱接合処理を行っていない部分のセパレータと同じ白色となっていた。したがって、支持台に埋め込んだアルミナ部分でセパレータが軟化点より高い温度で加熱されるが、加熱チップの周辺部に向かって熱が散逸して周縁部で軟化点以下の温度まで低下したものといえる。本実施例で熱接合したセパレータは、実施例1と同様にして接合強度を測定した。
<実施例4>
厚さ20μm、空隙率70%のアラミド多孔質膜をセパレータとした。本実施例で用いたアラミドは融点を持たないが、約280℃でガラス転移が生じる。セパレータ以外は、実施例3と同様にして熱接合を行った。
熱接合点を光学顕微鏡で観察すると、加熱チップが接した領域の中央付近が、半透明になっていたが、穴は開いていなかった。半透明になった領域は、接触領域よりも小さく、直径約1.5mmであった。半透明になった領域の外側に向かって透明度が下がり、熱接合処理を行っていない部分のセパレータと同じ白色となっていた。本実施例で熱接合したセパレータは、実施例1と同様にして接合強度を測定した。
<実施例5>
PETの繊維を用いた厚さ15μm、空隙率60%の不織布をセパレータとした。本実施例で用いたPETの融点は260℃である。加熱チップのセパレータとの接触面の中心の温度が280℃になるように、ヒーターブロックを加熱した。このとき、加熱チップの外縁部の温度は約275℃となった。加熱チップを重ねたセパレータに荷重2Nで0.5秒間接触させて、熱接合を行った。その他の条件は、実施例3と同様とした。
熱接合点を光学顕微鏡で観察すると、加熱チップが接した領域の中央付近が、半透明になり、中央に穴が開いていた。半透明になった領域は外形が1.3〜1.5mmで、支持台に埋め込んだアルミナの直径とほぼ同じ大きさであった。半透明になった領域から外側に向かって次第に透明度が下がり、PET不織布と同じ白色となっていた。本実施例で熱接合したセパレータは、実施例1と同様にして接合強度を測定した。
<比較例1>
実施例1と同じ、PETの繊維を用いた厚さ15μm、空隙率60%の不織布をセパレータとした。加熱チップは、直径2mmの銅丸棒の先端を、縁を面取りして用いた。加熱チップは銅製のヒーターブロックに組み付けられている。セパレータを載せる支持台は、実施例1と同じく、アルミニウムを基材とし、アルミニウム板の上に熱の散逸を防ぐために厚さ1mmのポリイミドシートを固定した。加熱チップの接触面の銅の領域が280℃となるようにヒーターブロックを加熱した。このとき、接触面の最も外側は約275℃であった。
熱接合は、実施例1と同様に、支持台にPETの不織布によるセパレータを2枚重ねて置き、接合中にずれないように、加熱チップやヒーターブロックと干渉しない位置を押さえた。加熱チップは、荷重2Nで、接合箇所毎に、0.5秒間押し当てた。接合箇所の間隔は、縦、横ともに3mmとした。本比較例では、一つの加熱チップを移動させながら、縦3×横3の配置で合計9か所を2秒間隔で接合した。
図13は、比較例1で熱接合した箇所を光学顕微鏡で観察した像である。加熱部分全体のセパレータが溶融して穴が開いている。接合強度を実施例1と同様にして測定した。
<比較例2>
加熱チップの温度を270℃にした他は、比較例1と同様にしてPET不織布による二枚のセパレータを熱接合した。このとき、接触面の最も外側は約265℃であった。
図14は、比較例2で熱接合した箇所を光学顕微鏡で観察した像である。加熱チップが接触した箇所が凹み、凹みの縁でセパレータの厚さが不連続に変化している。接合強度を、実施例1と同様にして測定した。
<比較例3>
実施例3と同じく、アラミドの繊維を用いた厚さ25μm、空隙率60%の不織布をセパレータとした。比較例1と同じ加熱チップと支持台を用いて熱接合を行った。実施例3と同じく、加熱チップのセパレータとの接触面中心の温度が320℃になるように、ヒーターブロックを加熱した。このとき、加熱チップの外縁部の温度は約315℃となった。熱接合時の加熱チップの荷重を5Nとした。その他は、比較例1と同様にして熱接合を行った。接合強度を、実施例1と同様にして測定した。
<比較例4>
実施例4と同じく、厚さ20μm、空隙率70%のアラミド多孔質膜をセパレータとした。比較例1と同じ加熱チップと支持台を用いて熱接合を行った。実施例3と同じく、加熱チップのセパレータとの接触面中心の温度が320℃になるように、ヒーターブロックを加熱した。このとき、加熱チップの外縁部の温度は約315℃となった。熱接合時の加熱チップの荷重を5Nとした。その他は、比較例1と同様にして熱接合を行った。接合強度を、実施例1と同様にして測定した。
実施例1〜5、比較例1〜4の接合強度を表1に示す。表1に示す接合強度は、九つの接合箇所をまとめて測定した値である。セパレータの材料が融点をもつPETの場合、融点を持たないが軟化点(ガラス転移温度)を持つアラミドの場合、のいずれも、本発明による実施例が比較例に対して少なくとも3倍以上の接合強度を有している。本実施例によるセパレータに与えられる温度が接合箇所の中央から外側に向かって急激に変化しないため、セパレータの破断が起きにくく、高い接合強度が得られたと推測される。比較例1ではPETが溶融して穴があき、接合面積が少ないため接合強度が低い。比較例2〜3では、溶融による穴は開いていなかったが、接合領域と周辺領域の境界でセパレータが破断した。
以上のように、本実施例による熱接合方法と熱接合装置は、熱で溶融または熱で軟化する高分子材料によるセパレータの接合強度を向上させることができるので、丈夫な袋状セパレータを作製することができる。
<実施例6>
本発明の実施の形態として、袋状セパレータに収めた正極板を作製した。
LiNi0.8Co0.1Mn0.1と、炭素導電剤と、結着材としてポリフッ化ビニリデンとを重量比92:4:4でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させてスラリーを作製し、アルミニウムによる集電箔に塗布、乾燥して正極活物質層を形成した。同様にしてアルミニウムによる集電箔の裏面にも正極活物質層を形成したあと、圧延して、長尺の正極電極板を得た。次に、電流取り出し部を除いた寸法として50mm×100mmに切断した。電流取り出し部には活物質層が形成されておらず、幅10mm、長さ15mmで活物質を塗布した領域から延長している。
実施例1で用いたPET不織布によるセパレータを、56mm×106mmに切断したものを二枚用意した。二枚のセパレータを、四辺を合わせて重ねあわせ、隣り合う長辺と短辺を一辺ずつ、実施例1と同様の条件で熱接合した。接合は、セパレータの縁から1mm内側のところに加熱チップの中心が来るようにし、5mm間隔で熱接合を行った。次に正極板を、電流取り出し部がセパレータの熱接合していない短辺から突き出るように。二枚のセパレータに挟んだ。電流取り出し用の延長部を除く正極板の縁が、セパレータの縁から2mm以上離れるように正極板の位置を調節し、セパレータの熱接合していない残りの二辺を熱接合した。接合は、セパレータの縁から1mm内側のところに加熱チップの中心が来るようにし、5mm間隔で熱接合を行った。このとき、正極板から延長している電流取り出し部に重なる領域は、熱接合を行わなかった。
以上のようにして作製した、袋状セパレータに収めた正極板は、負極板と積層して電池要素を作製することができる。
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
(付記)
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
2枚の重ねたセパレータ材又は1枚を折り返して重ねたセパレータ材から形成され、
前記セパレータ材は融点又は軟化点を有する高分子材料を含み、
前記重ねたセパレータ材の辺縁部に熱接合領域を1箇所以上有し、
前記熱接合領域は、前記セパレータ材が溶融又は軟化した後に再び固化した溶融着領域と、該溶融着領域から前記熱接合領域に隣接する領域に向かって前記高分子材料の溶融率が連続的に低下する領域とを有する、
袋状セパレータ。
(付記2)
前記セパレータ材は、融点又は軟化点をもつ高分子材料の繊維を含む、付記1に記載の袋状セパレータ。
(付記3)
前記溶融率が連続的に低下する領域は、前記溶融着領域から前記熱接合領域に隣接する領域に向かって厚さが連続的に増加している、付記1又は2に記載の袋状セパレータ。
(付記4)
前記溶融率が連続的に低下する領域は、前記溶融着領域から前記熱接合領域に隣接する領域に向かって空隙率が連続的に増加している、付記1又は2に記載の袋状セパレータ。
(付記5)
前記溶融率が連続的に低下する領域は、前記溶融着領域から前記熱接合領域に隣接する領域に向かって透明度が連続的に減少している、付記1又は2に記載の袋状セパレータ。
(付記6)
前記溶融着領域に開口を有する、付記1から5のいずれか1つに記載の袋状セパレータ。
(付記7)
前記溶融着領域が中央部にあり、前記溶融率が連続的に低下する領域が前記溶融着領域の周囲にある、付記1から6のいずれか1つに記載の袋状セパレータ。
(付記8)
前記熱接合領域は、対向する2箇所の辺縁部のそれぞれに1つ以上存在し、収納される電極板の位置を安定させる役割を有する、付記1から7のいずれか1つに記載の袋状セパレータ。
(付記9)
前記溶融率が連続的に低下する領域の溶融率は、重ねた前記セパレータの接合前の厚さ以上の距離で100%から0%まで変化する、付記1から8のいずれか1つに記載の袋状セパレータ。
(付記10)
融点又は軟化点を有する高分子材料を含む重ねたセパレータ材を熱接合する方法であって、
前記熱接合の際に、重ねたセパレータ材の熱接合する領域内に、前記融点又は軟化点より高い第1の温度で加熱する高温領域と、前記熱接合する領域の周縁部に前記第1の温度より低く、かつ前記融点又は軟化点以下の温度で加熱する低温領域と、前記高温領域から低温領域に向かって温度が変化する中間領域を形成する、熱接合方法。
(付記11)
加熱チップの加熱面の第1領域を前記高分子材料の融点又は軟化点より高温の第1温度に加熱するとともに、前記加熱チップの加熱面の第2領域を、前記第1温度より低い第2温度まで加熱する加熱工程と、
前記加熱チップの加熱面を前記セパレータ材の熱接合領域に当接させる当接工程と、
を含む、付記10に記載の熱接合方法。
(付記12)
前記加熱工程の前記第2温度は、前記高分子材料の融点又は軟化点以下の温度である、付記11に記載の熱接合方法。
(付記13)
前記当接工程を前記加熱工程よりも先に行う、付記11又は12に記載の熱接合方法。
(付記14)
第1のセパレータ材と第2のセパレータ材とを重ね合わせて接合する熱接合装置において、
前記第1のセパレータ材に当接させて当該セパレータ材を加熱する加熱チップと、
前記第2のセパレータ材と接触し、重ね合わせたセパレータ材を支える支持台と、を備え、
前記加熱チップが、相対的に熱伝導性が高い材料からなる芯部と、当該芯部の少なくとも一部を覆う相対的に熱伝導性の低い材料からなる被覆部とを含み、
前記加熱チップの前記第1セパレータ材の表面と接触する加熱面が、前記芯部と前記被覆部の両方を含むことを特徴とする熱接合装置。
(付記15)
第1のセパレータ材と第2のセパレータ材とを重ね合わせて接合する熱接合装置であって、
前記第1のセパレータ材に当接させて当該セパレータ材を加熱する加熱チップと、
前記第2のセパレータ材と接触し、重ね合わせたセパレータ材を支える支持台と、を備え、
前記加熱チップの加熱面の面積が、当該加熱面に熱を供給する熱源と接続された熱接続部材の前記加熱面に平行な断面積よりも大きい熱接合装置。
(付記16)
第1のセパレータ材と第2のセパレータ材とを重ね合わせて接合する熱接合装置であって、
前記第1のセパレータ材に当接させて当該セパレータ材を加熱する加熱チップと、
前記第2のセパレータ材と接触し、重ね合わせたセパレータ材を支える支持台と、を備え、
前記支持台の前記第2のセパレータ材との接触面における前記加熱チップと対向する領域が、相対的に熱伝導性の低い領域と、相対的に熱伝導性の高い領域とからなり、前記熱伝導性の低い領域が前記熱伝導性の高い領域の内側に配置されていることを特徴とする熱接合装置。
(付記17)
前記熱伝導性の低い領域は、凹部または貫通孔であることを特徴とする、付記16に記載の熱接合装置。
(付記18)
電極板が収納された付記1から9のいずれか1つに記載の袋状セパレータと、前記袋状セパレータに収納された電極板とは極性の異なる電極板とを積層した、電極積層体を有することを特徴とする蓄電デバイス。
本発明は、電源を必要とする産業分野の蓄電デバイスに広く利用可能である。一例として、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源とする蓄電デバイス、電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両の電源とする蓄電デバイス、電車や衛星、潜水艦などの移動用輸送用媒体の電源とする蓄電デバイス、電力を貯める蓄電システムの蓄電デバイスに利用できる。
この出願は、2017年7月14日に出願された日本出願特願2017−138018を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1 リチウムイオン二次電池
10 電極積層体
11 フィルム外装体
12−1 フィルム外装材
12−2 フィルム外装材
13 負極タブ
14 正極タブ
21 負極板
22、30 熱接合領域
23 負極板の延長部
24 正極板の延長部
25 正極板
26 袋状セパレータ
27 辺縁部
31 高温領域(溶融着領域)
32 中間領域
33 外縁部(外周端部)(低温領域)
34 熱接合領域に隣接する領域(外縁部より外側の領域)
40 熱接合装置
41、51、61、71、80 加熱チップ
42 ヒーターブロック
43、72 支持台
44a 第1のセパレータ(材)
44b 第2のセパレータ(材)
52、73 高熱伝導性材料
53、74 低熱伝導性材料
54、62、84 セパレータとの接触面(加熱面)
63 円筒部
64 円板部
81 銅
82 ポリイミド
111 接触領域
112 半透明領域
113 繊維が溶融した領域(溶融着領域)
114 繊維が一部溶融した領域(中間領域)
115 繊維が溶融していない領域

Claims (18)

  1. 2枚の重ねたセパレータ材又は1枚を折り返して重ねたセパレータ材から形成され、
    前記セパレータ材は融点又は軟化点を有する高分子材料を含み、
    前記重ねたセパレータ材の辺縁部に熱接合領域を1箇所以上有し、
    前記熱接合領域は、前記セパレータ材が溶融又は軟化した後に再び固化した溶融着領域と、該溶融着領域から前記熱接合領域に隣接する領域に向かって前記高分子材料の溶融率が連続的に低下する領域とを有する、
    袋状セパレータ。
  2. 前記セパレータ材は、融点又は軟化点をもつ高分子材料の繊維を含む、請求項1に記載の袋状セパレータ。
  3. 前記溶融率が連続的に低下する領域は、前記溶融着領域から前記熱接合領域に隣接する領域に向かって厚さが連続的に増加している、請求項1又は2に記載の袋状セパレータ。
  4. 前記溶融率が連続的に低下する領域は、前記溶融着領域から前記熱接合領域に隣接する領域に向かって空隙率が連続的に増加している、請求項1又は2に記載の袋状セパレータ。
  5. 前記溶融率が連続的に低下する領域は、前記溶融着領域から前記熱接合領域に隣接する領域に向かって透明度が連続的に減少している、請求項1又は2に記載の袋状セパレータ。
  6. 前記溶融着領域に開口を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の袋状セパレータ。
  7. 前記溶融着領域が中央部にあり、前記溶融率が連続的に低下する領域が前記溶融着領域の周囲にある、請求項1から6のいずれか1項に記載の袋状セパレータ。
  8. 前記熱接合領域は、対向する2箇所の辺縁部のそれぞれに1つ以上存在し、収納される電極板の位置を安定させる役割を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の袋状セパレータ。
  9. 前記溶融率が連続的に低下する領域の溶融率は、重ねた前記セパレータの接合前の厚さ以上の距離で100%から0%まで変化する、請求項1から8のいずれか1項に記載の袋状セパレータ。
  10. 融点又は軟化点を有する高分子材料を含む重ねたセパレータ材を熱接合する方法であって、
    前記熱接合の際に、重ねたセパレータ材の熱接合する領域内に、前記融点又は軟化点より高い第1の温度で加熱する高温領域と、前記熱接合する領域の周縁部に前記第1の温度より低く、かつ前記融点又は軟化点以下の温度で加熱する低温領域と、前記高温領域から低温領域に向かって温度が変化する中間領域を形成する、熱接合方法。
  11. 加熱チップの加熱面の第1領域を前記高分子材料の融点又は軟化点より高温の第1温度に加熱するとともに、前記加熱チップの加熱面の第2領域を、前記第1温度より低い第2温度まで加熱する加熱工程と、
    前記加熱チップの加熱面を前記セパレータ材の熱接合領域に当接させる当接工程と、
    を含む、請求項10に記載の熱接合方法。
  12. 前記加熱工程の前記第2温度は、前記高分子材料の融点又は軟化点以下の温度である、請求項11に記載の熱接合方法。
  13. 前記当接工程を前記加熱工程よりも先に行う、請求項11又は12に記載の熱接合方法。
  14. 第1のセパレータ材と第2のセパレータ材とを重ね合わせて接合する熱接合装置において、
    前記第1のセパレータ材に当接させて当該セパレータ材を加熱する加熱チップと、
    前記第2のセパレータ材と接触し、重ね合わせたセパレータ材を支える支持台と、を備え、
    前記加熱チップが、相対的に熱伝導性が高い材料からなる芯部と、当該芯部の少なくとも一部を覆う相対的に熱伝導性の低い材料からなる被覆部とを含み、
    前記加熱チップの前記第1セパレータ材の表面と接触する加熱面が、前記芯部と前記被覆部の両方を含むことを特徴とする熱接合装置。
  15. 第1のセパレータ材と第2のセパレータ材とを重ね合わせて接合する熱接合装置であって、
    前記第1のセパレータ材に当接させて当該セパレータ材を加熱する加熱チップと、
    前記第2のセパレータ材と接触し、重ね合わせたセパレータ材を支える支持台と、を備え、
    前記加熱チップの加熱面の面積が、当該加熱面に熱を供給する熱源と接続された熱接続部材の前記加熱面に平行な断面積よりも大きい熱接合装置。
  16. 第1のセパレータ材と第2のセパレータ材とを重ね合わせて接合する熱接合装置であって、
    前記第1のセパレータ材に当接させて当該セパレータ材を加熱する加熱チップと、
    前記第2のセパレータ材と接触し、重ね合わせたセパレータ材を支える支持台と、を備え、
    前記支持台の前記第2のセパレータ材との接触面における前記加熱チップと対向する領域が、相対的に熱伝導性の低い領域と、相対的に熱伝導性の高い領域とからなり、前記熱伝導性の低い領域が前記熱伝導性の高い領域の内側に配置されていることを特徴とする熱接合装置。
  17. 前記熱伝導性の低い領域は、凹部または貫通孔であることを特徴とする、請求項16に記載の熱接合装置。
  18. 電極板が収納された請求項1から9のいずれか1項に記載の袋状セパレータと、前記袋状セパレータに収納された電極板とは極性の異なる電極板とを積層した、電極積層体を有することを特徴とする蓄電デバイス。
JP2019528968A 2017-07-14 2018-05-29 蓄電デバイス用の袋状セパレータ、その熱接合方法及び熱接合装置、並びに蓄電デバイス Active JP7047842B2 (ja)

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