JP2015153579A - 袋状セパレータおよびその製造方法、並びに、蓄電デバイス - Google Patents

袋状セパレータおよびその製造方法、並びに、蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】袋状セパレータの製造に要する電力を節減し、熱溶着により袋状セパレータを作製するときの変形や歪みを低減する。【解決手段】袋状セパレータは、蓄電デバイス用の電極シートを収容する。そして、第1シート部と、第1シート部と対向する第2シート部と、を具備する。第1シート部は、多孔質な第1熱可塑性樹脂層を含む。第2シート部も、多孔質な第2熱可塑性樹脂層を含む。少なくとも第1シート部は、第1熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の主面に形成された多孔質な耐熱層を有する。第1シート部の第1周縁部と、第2シート部の第2周縁部と、が重なり部を形成している。重なり部は、開口領域と、接合領域と、を有する。接合領域では、第1周縁部と第2周縁部とが、複数の点状の溶着部により接合されている。【選択図】図2

Description

本発明は、蓄電デバイス用のセパレータに関し、特に、蓄電デバイス用の電極シートを収容するように袋状に形成された袋状セパレータに関する。
近年、携帯情報端末、電動車両、家庭用電力貯蔵装置などに用いられる蓄電デバイスの開発が進んでいる。蓄電デバイスの中でも、非水電解質二次電池の研究が盛んである。これらの蓄電デバイスの中で、電解質にナトリウムイオンとアニオンとの溶融塩を用いたナトリウム溶融塩電池は、資源性に優れ、かつ安全性の高い蓄電デバイスとして、期待が寄せられている。
ナトリウム溶融塩電池等の蓄電デバイスは、正極と、負極と、これらの間に介在するセパレータとを有する電極群を備える。電極群は、電解質とともに、ケースに収容される。
正極と負極とをセパレータにより電気的に確実に絶縁するように、セパレータを袋状に形成することも行われている(特許文献1、2参照)。袋状セパレータに正極または負極を収容することで、電極群のケースへの挿入性が良好となり、かつ正極と負極とを確実に絶縁することができる。また、袋状セパレータに活物質層を有する電極を収容することで、活物質層が電極から脱落したときに、ケースの内部で短絡が発生するのを防止することができる。
特開2009−26704号公報 特開2012−18773号公報
袋状セパレータを作製する際には、例えば、同サイズの矩形状の2枚の多孔質な熱可塑性樹脂シートを重ね合わせ、それぞれのシートの周縁部同士を、例えば各シートの三辺で接合する。このとき、各樹脂シートの周縁部同士は、例えば熱溶着により接合されている。なお、袋状セパレータは、例えば、長方形の1枚の樹脂シートを中央の折り目で二つ折りにし、折り目を境界として区分される各部分の周縁部同士を接合することによっても作製することができる。以下の説明では、袋状セパレータを2枚の樹脂シートで形成する場合にも、各シートが袋状セパレータの一部分であることを考慮して、各シートを「シート部」と称する。同様に、1枚の樹脂シートを二つ折りにすることで設けられる各部分も「シート部」と称する。
ところが、近年の二次電池の高エネルギ密度化を背景として、セパレータ用の熱可塑性樹脂シートの一方もしくは両方の主面に多孔質な耐熱層を配設することが一般的に行われる。樹脂シートの主面に耐熱層を配設することで、内部短絡等により電池温度が異常に上昇したときに、セパレータの変形による短絡部の拡大を抑制することができる。
しかしながら、耐熱層を有するセパレータを使用すると、熱可塑性樹脂シート同士の間に耐熱層が介在することになり、熱溶着により2枚のシート部を接合することが困難になる。このため、例えば2枚のシート部の周縁部にある耐熱層を除去して、周縁部同士を熱溶着する必要が生じる。その結果、袋状セパレータを製造する際の工数が増大し、製造コストが増大するという課題が生じる。
本発明の一局面は、蓄電デバイス用の電極シートを収容する袋状セパレータであって、
第1シート部と、前記第1シート部と対向する第2シート部と、を具備し、
前記第1シート部は、多孔質な第1熱可塑性樹脂層を含み、
前記第2シート部は、多孔質な第2熱可塑性樹脂層を含み、
少なくとも前記第1シート部は、前記第1熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の主面に形成された多孔質な耐熱層を有し、
前記第1シート部の第1周縁部と、前記第2シート部の第2周縁部と、が重なり部を形成しており、
前記重なり部が、開口領域と、接合領域と、を有し、
前記接合領域では、前記第1周縁部と前記第2周縁部とが、複数の点状の溶着部により接合されている、袋状セパレータに関する。
本発明の他の局面は、前記袋状セパレータと、前記袋状セパレータに収容されたシート状の第1電極と、前記第1電極と対向するシート状の第2電極と、を有する電極群と、電解質と、前記電極群と前記電解質とを収容するケースと、を具備する蓄電デバイスに関する。
本発明のさらに他の局面は、前記袋状セパレータを製造する方法であって、(i)前記第1シート部および前記第2シート部を、前記第1周縁部と前記第2周縁部とが重なり部を形成するように配置する工程と、(ii)前記重なり部の前記接合領域に、前記重なり部を貫通する複数の孔を形成する工程と、(iii)前記重なり部の前記複数の孔が形成された部分を加熱して、前記第1および/または第2熱可塑性樹脂層を軟化または溶融させることにより、前記複数の点状の溶着部を形成する工程と、を含む、袋状セパレータの製造方法に関する。
本発明によれば、袋状セパレータの製造コストを低減することができるとともに、それを使用する電池の安全性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る蓄電デバイスの外観を示す斜視図である。 上記蓄電デバイスの第1電極の正面図である。 上記蓄電デバイスの第2電極の正面図である。 袋状セパレータを、1枚のシートを二つ折りに折り曲げて作製する場合に使用するシートの上面図である。 袋状セパレータの接合領域の一部拡大正面図である。 図1の蓄電デバイスのI1−I1線による矢視断面図である。 袋状セパレータを製作するときの第1工程(a)、第2工程(b)、第3工程(c)、および第4工程(d)を示す斜視図である。 袋状セパレータの製作に使用されるヒートバーの詳細を示す断面図である。 ヒートバーの圧接部を拡大して示す断面図である。 袋状セパレータに使用される第1シート部および第2シート部の構成を模式的に示す拡大断面図である。
[発明の実施形態の概要]
本発明に係る袋状セパレータは、蓄電デバイス用の電極シートを収容する袋状セパレータであって、第1シート部と、その第1シート部と対向する第2シート部と、を具備する。第1シート部および第2シート部は、2枚の別々のシートであってもよいし、1枚のシートを二つ折りに折り曲げることにより設けられる各部分であってもよい。
第1シート部は、多孔質な第1熱可塑性樹脂層を含む。第2シート部も、多孔質な第2熱可塑性樹脂層を含む。そして、第1シート部と第2シート部のうち、少なくとも第1シート部は、その第1熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の主面に形成された多孔質な耐熱層を有する。つまり、2つのシート部の少なくとも一方は、片方または両方の表層部に多孔質な耐熱層を有する。第1シート部の第1周縁部と、第2シート部の第2周縁部とは、重なり部を形成しており、その重なり部が、開口領域と、接合領域と、を有する。接合領域では、第1周縁部と第2周縁部とが、複数の点状の溶着部により接合されている。なお、2つのシート部の少なくとも一方は、両方の表層部に耐熱層を有することが好ましい。
上記のように、少なくとも第1シート部が、少なくとも一方の表層部に形成された多孔質な耐熱層を有することで、内部短絡等に起因して電池温度が異常に上昇したときに、セパレータの変形による短絡部の拡大を効果的に抑制することができる。これにより、蓄電デバイスの安全性を向上させることができる。
なお、蓄電デバイスの安全性向上の観点からは、第1シート部および第2シート部の両方のシート部の少なくとも一方の表層部、より好ましくは両方の表層部に、耐熱層を設けることが好ましい。その反面、少なくとも第1シート部が、表層部に耐熱層を有することで、熱可塑性樹脂を含む各シート部の本体部同士(熱可塑性樹脂層同士)が耐熱層により隔てられて、直接的に接触しなくなることがある。これにより、第1シート部と第2シート部を熱溶着により接合することが困難になる。なお、各シート部の熱可塑性樹脂層の融点は例えば80〜170℃である。一方、各シート部の耐熱層が後述のようにアラミド等の熱可塑性樹脂を含む場合、その耐熱層に含まれた熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度(ASTM 0648)は例えば200℃以上である。
第1シート部と第2シート部の形状、厚み、材質は同一にすることができる。なお、第1シート部と第2シート部の形状、厚み、および/または、材質には、必要に応じて差異を設けることができる。各シート部は、蓄電デバイスの電極シートの形状に対応した形状に形成することができる。例えば電極シートが矩形状であれば、各シート部も矩形状に形成することができる。各シート部のサイズは、袋状セパレータが、電極シートの少なくとも活物質担持部分を完全に収容し得るように設定される。
各シート部の周縁部(第1周縁部、第2周縁部)は、電極シートにより隔てられずに直接的に重なる部分である。よって、第1周縁部と第2周縁部とを重なり部と称する。重なり部は、開口領域と、接合領域とを有する。開口領域は、袋状セパレータに開口部を形成するための領域である。接合領域は、各シート部を周縁部同士で接合するための領域である。
電極シートが矩形状であり、各シート部が2枚の別体のシートで形成されていれば、接合領域は、重なり部に、電極シートの三辺に対応して設けることができる。このとき、開口領域は、残りの一辺の全部、または一部分に設けることができる。開口領域を残りの一辺の一部分に設けた場合、その一辺の残りの部分には接合領域を設けることができる。
電極シートが矩形状であり、各シート部が1枚のシートを二つ折りにして形成されていれば、接合領域は、折り目に垂直であり、かつ電極シートの二辺に対応する重なり部に設けることができる。このとき、開口領域は、折り目の反対側の辺の全部、または一部分に設けることができる。開口領域を折り目の反対側の辺の一部分に設けた場合、その辺の残りの部分には接合領域を設けることができる。
袋状セパレータの開口部は、例えば、袋状セパレータを作製した後に、その内部に電極シートを挿入するために設けられる。あるいは、図7(a)〜(d)の各工程により示すように、例えば矩形状の電極シートの一辺に突設されたタブ状の集電部26を、袋状セパレータの外部に突出させるために設けられる。
ここで、耐熱層は、例えば、無機粒子を含むか、あるいは耐熱性樹脂を含む。無機粒子としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシアなどの金属酸化物ないしはセラミックが用いられる。また、耐熱性樹脂としては、例えば、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、ポリアミド、ポリイミドおよびポリアミドイミドよりなる群から選択される少なくとも1種が用いられ、好ましくは、アラミドが用いられる。よって、耐熱層は、熱溶着性を有さないか、あるいは熱可塑性樹脂層よりも熱溶着性が劣っている。
一方、本実施形態では、重なり部の接合領域には、複数の点状の溶着部が形成され、これにより、第1周縁部と第2周縁部とが接合される。よって、耐熱層の存在により、第1周縁部と第2周縁部とを熱溶着することが困難である場合にも、容易に溶着部を形成することができる。つまり、点状の溶着部であれば、その部分の耐熱層を破壊するだけで、溶着部を形成することができる。したがって、例えば第1周縁部と第2周縁部の間の耐熱層を全周に亘って取り除く必要がない。
さらに、後述の針状部を有する熱溶着具を使用して袋状セパレータを製造すれば、1回の加圧工程を実行するだけで袋状セパレータを製造することができる。したがって、工数の増大を抑えて、製造コストを低減することができる。
また、線状の連続した溶着部ではなく、複数の点状の溶着部を形成するだけでよいために、溶着部を形成するのに要するエネルギを低減することも可能になる。例えば、後述の熱溶着具の中で針状部だけを熱溶着のために十分な温度にまで加熱する構成とすることで、電力等を節減することもできる。または、熱溶着具の加圧面に断熱層(厚めのフッ素樹脂層等)を配置し、その断熱層から針状部を突出させることで、針状部の近傍の樹脂だけを溶融または軟化させることも可能になる。これにより、熱溶着の際の各シート部の周縁部の加熱による変形を抑えることができる。その結果、品質の良い袋状セパレータを効率よく得ることもできる。
したがって、本実施形態によれば、袋状セパレータの製造コストを低減することができるとともに、それを使用する電池の安全性を向上させることができる。
接合領域に点状の溶着部を形成するピッチPxは、1〜10mmであることが好ましい。ピッチPxのより好ましい範囲は、1〜8mmであり、さらに好ましい範囲は3〜6mmである。点状の溶着部は、例えば電極シートの輪郭に沿って配列することができる。このとき、複数の点状の溶着部の平均径は、0.3〜3mmとすることができる。ただし、溶着部の径とは、溶着部を第1シート部および第2シート部の主面に垂直な方向から見たときの形状(投影形状)の径である。つまり、溶着部の径は、溶着部を第1シート部および第2シート部の主面に垂直な方向から見たときの最大形状の径により決めることができる。
溶着部を形成するピッチおよび/または溶着部の平均径を上記範囲に設定することで、袋状セパレータが、電極シートを収容し、保持する機能をよりよく発揮させることができる。また、電極から脱落した活物質による内部短絡を防止するのに必要十分な間隔で溶着部を配置することができる。溶着部の平均径のより好ましい範囲は、0.3〜2mmである。
溶着部の投影形状は、必ずしも円形ではなく、楕円形、長方形、正方形、多角形、星形等であり得る。そのような場合には、溶着部の平均径は、適宜個数(例えば10個)の溶着部の投影形状の面積(投影面積)を平均化し、その平均面積と等しい面積の円の径を求めるようにして、算出することができる。
本発明の射程範囲には、上記袋状セパレータと、上記袋状セパレータに収容されたシート状の第1電極と、第1電極と対向するシート状の第2電極と、を有する電極群と、電解質と、電極群と電解質とを収容するケースと、を具備する蓄電デバイス(二次電池(例えば溶融塩電池)、キャパシタ(例えばリチウムイオンキャパシタ)等)が含まれる。
袋状セパレータは、(i)第1シート部および第2シート部を、第1周縁部と第2周縁部とが重なり部を形成するように配置する工程と、(ii)重なり部の接合領域に、重なり部を貫通する複数の孔を形成する工程と、(iii)重なり部の複数の孔が形成された部分を加熱して、熱可塑性樹脂を軟化または溶融させることにより、複数の点状の溶着部を形成する工程と、を行うことで、製造することができる。
上記工程(ii)と工程(iii)とを実行するための具体的な形態としては、複数の針状部と、複数の針状部が突出する加圧面とを有する熱溶着具を準備し、複数の針状部が重なり部を貫通するように、加圧面により重なり部を加圧するとともに加熱することが考えられる。
つまり、加熱された複数の針状部を重なり部に貫通させることで、重なり部の接合領域に、重なり部を貫通する複数の孔を形成し、その部分で第1周縁部と第2周縁部との間にある耐熱層を破壊するとともに、重なり部の複数の孔が形成された部分を加熱することができる。その結果、その部分の熱可塑性樹脂を軟化または溶融させることにより、複数の点状の溶着部を形成することができる。したがって、通常の熱溶着処理と同じく1回の加圧処理で、袋状セパレータを作製することができる。よって、生産性を容易に向上させることができる。
ここで、蓄電デバイスの一形態は、電解質として、溶融塩電解質を含む。つまり、本実施形態の蓄電デバイスは、溶融塩電池である。溶融塩電池は、溶融塩電解質を含み、かつアルカリ金属イオンを電荷のキャリアとする電池である。正極および負極では、アルカリ金属イオンが関与するファラデー反応が進行する。溶融塩電池には、例えば、ナトリウムイオン溶融塩電池(ナトリウムイオン二次電池)、リチウムイオン溶融塩電池(リチウムイオン二次電池)が含まれる。中でも、本発明は、ナトリウムイオン溶融塩電池に適用するのに適している。
[発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態の詳細について説明する。
図1に、本実施形態に係る製造方法により製造される溶融塩電池の外観を斜視図により示す。図1においては、電池内部の構造を示すために、電極群等を収容する容器の一部分を切り欠いている。
図示例の電池10は、ナトリウムイオン溶融塩電池であり、シート状の第1電極とシート状の第2電極とを含む電極群12と、これを溶融塩電解質(図示せず)とともに収容するケース14と、ケース14の開口部を封口する封口板16とを具備している。図示例では、ケース14は角形であり、本発明は、図示例のような角形ケースを有する溶融塩電池に対して最も好適に適用することができる。
第1電極は、第1集電体と第1活物質とを含む。第2電極は、第2集電体と第2活物質とを含む。第1電極および第2電極の一方は正極であり、他方は負極である。したがって、第1集電体および第2集電体の一方は正極集電体であり、他方は負極集電体である。また、第1活物質および第2活物質の一方は正極活物質であり、他方は負極活物質である。
封口板16は、第1電極と電気的に接続された第1外部端子40と、第2電極と電気的に接続された第2外部端子42とを有している。第1外部端子40は、封口板16の長手方向(Y軸方向)の一方端部寄りの位置に配設され、第2外部端子42は、他方端部寄りの位置に配設されている。封口板16の中央部には、ケース14内圧が異常に上昇したときにケース14内部のガスを放出するためのガス抜き弁44(例えば破断弁)を設置することができる。また、ガス抜き弁44の近傍には、封口板16をケース14の開口部に装着した後に、電解質をケース14の内部に注入するための図示しない注液孔を設けることができる。その注液孔は、液栓によって塞ぐことができる。
ガス抜き弁44を構成する破断弁は、封口板16に薄肉部等を設けることで、封口板16に直接的に形成することができる。あるいは、封口板16に破断弁体を取り付けるための貫通孔を設け、その貫通孔を塞ぐようにして、溶接等により、後から破断弁体を封口板16に取り付けることもできる。そのような場合には、封口板16に上記注液孔を設ける必要はなく、破断弁体を取り付けるための貫通孔を介して電解質をケース14に注液することもできる。そして、電解質の注液を終了した後に、上記貫通孔に破断弁体を取り付けることで、電極群と電解質とを収容する容器が密閉される。このように、ケース14内部への電解質の注液は、封口板16に特別に設けた注液孔を介してのみならず、ガス抜き弁44を取り付けるための貫通孔等を介して行うこともできる。
図2に、第1電極を正面図により示す。図3に、第2電極を正面図により示す。図示例の第1電極18は正極であり、袋状セパレータ21に収納されている。また、図示例の第2電極20は、負極である。袋状セパレータ21は、多孔質な熱可塑性樹脂層を含む第1シート部22と、同様の素材の第2シート部24とから構成されている。より具体的には、第1シート部22の周縁部(第1周縁部)と、第2シート部24の周縁部(第2周縁部)とを熱溶着により接合することで、袋状セパレータ21が形成される。特に限定されないが、第1シート部22と第2シート部24の形状、厚み、材質は同一にすることができる。
なお、図2においては、第1電極18を、袋状セパレータ21に収容した状態で示している。袋状セパレータ21は、図2で第1電極18の裏側にある第1シート部22だけを示している。第2シート部24は、第1電極18を間に挟んで第1シート部22と対向するように、図2で第1電極18の手前側に配置されている。ただし、図2では、第1電極18の収容状態を明示するために、第2シート部24を透明化して示している。したがって、第2シート部24の符号には括弧を附している。なお、第1シート部22および第2シート部24の少なくとも一方(好ましくは両方)の、両方の表層部には、多孔質な耐熱層25(図9、10参照)が配設されている。
図示例の第1電極18(または、第1集電体)は矩形状であり、その一辺の中央から偏った位置に、タブ状の第1集電部26が突設されている。第1集電部26は、第1集電体と一体的に形成されていてもよいし、図6に示すように、第1集電体の上部に取り付けられていてもよい。なお、図6には、第1集電体は図示されていない。第1電極18は、矩形状の本体部によってのみ活物質を担持しており、第1集電部26には活物質は存在していない。第1集電体は、例えば第1金属箔または第1金属多孔体から形成することができる。なお、図では第1電極と第1集電体とを区別して示していない。
同様に、第2電極20(または、第2集電体)も矩形状であり、その一辺の中央から偏った位置に、タブ状の第2集電部28が突設されている。第2集電部28は、第2集電体と一体的に形成されていてもよいし、図6に示すように、第2集電体の上部に取り付けられていてもよい。なお、図6には、第2集電体は図示されていない。第2電極20も、矩形状の本体部によってのみ活物質を担持しており、第2集電部28には活物質は存在していない。第2集電体は、例えば第2金属箔または第2金属多孔体から形成することができる。なお、図では第2電極と第2集電体とを区別して示していない。
第2電極20の矩形状の本体部のサイズは、袋状セパレータ21のサイズとほぼ等しくされ、第2電極20と袋状セパレータ21とが完全に重なり合うように配置される。これにより、第1電極(例えば正極)の活物質を第2電極(例えば負極)の活物質と全て重ね合わせることができる。これにより、活物質利用率を効果的に増大させることができる。
第1シート部22および第2シート部24のそれぞれの周縁部(第1周縁部、第2周縁部)は、第1シート部22と第2シート部24の間に第1電極18を挟んだときにも、第1電極18により隔てられずに直接的に重なり合う部分である。以下、第1周縁部と第2周縁部とを重なり部と称する。重なり部には、開口領域27と接合領域30が設けられる。
開口領域27は、袋状セパレータ21に開口部を形成するための領域である。開口部は、第1集電部26を袋状セパレータ21の外部に突出させたり、袋状セパレータ21を形成した後に第1電極18を袋状セパレータ21に挿入したりするために設けられる。開口領域27は、重なり部のうち、矩形状の第1電極18の第1集電部26が設けられた辺と対応する部分(以下、第1部分という)の全部、または一部分に設けられる。第1部分の一部分だけを開口させる場合には、第1部分の残りの部分は接合領域30である。
接合領域30は、第1周縁部と第2周縁部とを接合するための領域である。第1シート部22および第2シート部24が2枚のシートから構成されている場合には、接合領域30は、重なり部のうち、主として、第1部分以外の、第1電極18の残りの三辺と対応する部分(第2部分)に設けられる。
図4に、袋状セパレータを1枚のシートを二つ折りに折り曲げて作製する場合に使用するシートを、上面図により示す。シート31は、図10を参照して後で説明する、層状構造を有する長方形のシートである。シート31を、例えば長手方向(長辺に沿った方向、Y方向)の中央の折り目34で二つ折りに折り曲げることで、第1シート部22および第2シート部24が形成される。この場合、各シート部の接合領域30は、重なり部の折り目34に垂直な2辺にあり、開口領域27は、重なり部の折り目34と反対側の辺にある。なお、重なり部のうち、折り目34に沿った辺には、開口領域27も接合領域30も特に形成されない。
図5に、接合領域の一部分を拡大して示す。同図に示すように、接合領域30には、複数の点状の溶着部32が、例えば第1電極18の輪郭に沿うように一定のピッチPxで形成される。溶着部32の平均径は、0.3〜3mmであることが好ましい。ただし、溶着部32を第1シート部22および第2シート部24の主面に垂直な方向から見たときの形状(投影形状)は、必ずしも円形ではなく、楕円形、三角形、長方形、正方形、多角形、星形等であり得る。
図6に、図1のI1−I1線を含み、かつY軸に垂直な平面により電池を切断したときの矢視断面図を示す。図6に示すように、電極群12は、複数の第1電極18および複数の第2電極20を含む。図示例の第1電極18は正極であり、袋状セパレータ21に収納されている。また、図示例の第2電極20は、負極である。なお、図では明瞭ではないが、第2電極20(負極)は、第1電極18(正極)よりも実際には大きな形状を有している。
電極群12は、袋状セパレータ21に収納された複数の第1電極18と、複数の第2電極20とを交互に積層して構成される。複数の第1電極18のそれぞれの上端部には、リード片(第1集電部26)が取り付けられている。リード片は、図2のように、第1電極18の上端部に第1電極18と一体的に形成されていてもよい。複数の第1電極18のリード片を束ねるとともに、第1外部端子40に接続することにより、複数の第1電極18が並列に接続される。
同様に、複数の第2電極20のそれぞれの上端部には、リード片(第2集電部28)が取り付けられている。リード片は、図3のように、第2電極20の上端部に第2電極20と一体的に形成されていてもよい。複数の第2電極20のリード片を束ねるとともに、第2外部端子42に接続することにより、複数の第2電極20が並列に接続される。第1集電部26の束と第2集電部28の束は、互いの接触を避けるように、電極群12の上面の左右方向(Y軸方向)に、間隔を空けて配置することが望ましい。
第1電極18には、第1集電体と、第1集電体に担持される第1活物質とを含ませることができる。第1集電体には、第1金属箔または第1金属多孔体を使用することができる。第1金属多孔体には、連通孔を有する気孔率の高い金属多孔体を用いることが好ましい。そのような金属多孔体は、例えば、発泡ウレタンなどの連通孔を有する発泡樹脂の骨格表面に金属層を形成した後、発泡樹脂を熱分解し、さらに金属を還元処理することによって製造される。同様に、第2電極20には、第2集電体と、第2集電体に担持させた第2活物質とを含ませることができる。このとき、第2集電体にも、第2金属箔または第2金属多孔体を使用することができる。第2金属多孔体にも、第1金属多孔体と同様の金属多孔体を用いることが好ましい。
第1金属多孔体および第2金属多孔体は、三次元網目状で中空の骨格を有することが好ましい。骨格が内部に空洞を有することで、金属多孔体は、嵩高い三次元構造を有しながらも、極めて軽量である。このような金属多孔体は、連続空隙を有する樹脂製の多孔体を、集電体を構成する金属でメッキ処理し、さらに加熱処理などにより、内部の樹脂を分解または溶解させることにより形成できる。メッキ処理により、三次元網目状の骨格が形成され、樹脂の分解や溶解により、骨格の内部を中空にすることができる。
上記観点から、第1金属多孔体および第2金属多孔体としては、セルメット(住友電気工業株式会社の登録商標)、アルミセルメット(住友電気工業株式会社の登録商標)などの中空の骨格を有する金属多孔体が好ましい。その他、第1金属多孔体および第2金属多孔体としては、不織布、パンチングメタル、エキスパンドメタルなどを使用することができる。なお、不織布、セルメット、アルミセルメットは、三次元構造の多孔体であり、パンチングメタル、エキスパンドメタルは、二次元構造の多孔体である。
金属多孔体の気孔率は、例えば40〜99体積%、好ましくは60〜98体積%、さらに好ましくは80〜98体積%である。また、三次元網目構造における平均空孔径(互いに連通するセル状の空孔の平均径)は、例えば50〜1000μm、好ましくは100〜900μm、さらに好ましくは350〜900μmである。ただし、平均空孔径は、金属多孔体(または電極)の厚みよりも小さい。なお、圧延により、金属多孔体の骨格は変形して、気孔率および平均空孔径は変化する。上記気孔率および平均空孔径の範囲は、圧延前(合剤充填前)の金属多孔体の気孔率および平均空孔径である。
ナトリウム溶融塩電池の場合、正極集電体としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金により形成された、金属箔または金属多孔体を用いることが好ましく、負極集電体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケルまたはニッケル合金により形成された、金属箔または金属多孔体を用いることが好ましい。
以下、図7〜図9を参照して、袋状セパレータ21、および、それを使用した電池10の製造方法の一例を説明する。
先ず、図7(a)に示すように、第1電極18を間に挟んで、第1シート部22と第2シート部24とを重ね合わせる(第1工程)。このとき、第1シート部22の周縁部(第1周縁部)と第2シート部24の周縁部(第2周縁部)とが第1電極18により隔てられることなく直接的に対向するように、3つの部材を重ね合わせる。これにより四辺を有する重なり部が形成される。また、このとき、第1集電部26を、重なり部の一辺に設定した開口領域27から外側に突出させるように、第1電極18の姿勢を設定する。
次に、図7(b)に示すように、第1工程で重ね合わせた第1電極18と、第1シート部22と、第2シート部24とからなる被加工物を、熱溶着台50の上に設置する(第2工程)。熱溶着台50は、例えばゴム弾性を有する材料(例えばフッ素ゴム)から構成することができる。そして、重なり部のうち、開口領域27がある上記一辺以外の三辺に設定された接合領域30の上方に、それぞれ、熱溶着具(第1ヒートバー52A、第2ヒートバー52B、第3ヒートバー52C)を配置する。なお、熱溶着具としては、上記三つのヒートバーが一体化されたものを使用することもできる。各ヒートバーは、長さ等が異なる以外は、同様の構造である。したがって、以下に各ヒートバーを代表して、第1ヒートバー52Aを説明する。また、第1シート部22および第2シート部24が1枚のシートから形成される場合には、重なり部のうち、開口領域27がある上記一辺と折り目に沿った一辺以外の二辺に設定された接合領域30の上方に、それぞれ、熱溶着具を配置する。
第1ヒートバー52Aは、内部にヒータ54が設置されるヒータ設置部56(図8参照)と、下端部に加圧面58a(図9参照)を有する圧接部58と、を含む。ヒータ設置部56および圧接部58は、アルミニウム、またはアルミニウム合金等から形成することができる。ヒータ設置部56には、ヒートバーの軸方向に延びるヒータ収納孔56aを設けることができる。ヒータ収納孔56aには、ヒートバーを加熱するためのヒータ54が収納される。
圧接部58には、加圧面58aから先端部を下方に突出させるようにして、針状部60が埋設されている。針状部60の加圧面58aからの突出長さLxは、針状部60を重なり部に突き刺したときに重なり部を貫通し得る十分な長さ(例えば、0.5〜3mm)に設定されている。針状部60は、ステンレス鋼等から形成することができる。針状部60の先端部は錐体状に形成することができる。針状部60の先端部以外の軸部60aの断面形状は、特に限定されないが、円形または方形とすることができる。このとき、針状部60の先端部の形状は、円錐形状または四角錐形状とすることができる。軸部60aの径または幅は、0.3〜3mmであることが好ましい。
次に、図7(c)、および図8で二点鎖線により示すように、各ヒートバーを降下させて、それぞれの加圧面58aを重なり部の接合領域30に着地させる(第3工程)。これにより、図9に示すように、針状部60の先端部が重なり部を貫通し、重なり部に貫通孔が形成される。その結果、第1シート部22と第2シート部24の間に存在する耐熱層25が針状部60により貫通され、破壊される。
その状態で、加圧面58aにより重なり部を加圧および加熱するとともに、針状部60により貫通孔が形成された部分を加熱することで、耐熱層25の破壊部分を介して第1周縁部と第2周縁部との間に溶着部32が形成される。その結果、図5に示すように、針状部60を圧接部58に設けたピッチPxと同じピッチで点状の溶着部32が形成される。これにより、第1シート部22の第1周縁部と第2シート部24の第2周縁部とが接合領域30に配された複数の点状の溶着部32により接合される。
このとき、圧接部58および針状部60の温度は100〜180℃に設定される。また、加圧面58aにより重なり部を0.3〜0.5MPaの圧力で1〜30秒だけ加圧する。なお、ヒータ54に代えて、あるいは、ヒータ54とともに、圧接部58で針状部60の軸部60aの周囲に誘導コイルを設置することで、誘導加熱により針状部60だけを重点的に加熱することもできる。これにより、貫通孔が形成された部分の樹脂だけを溶融または軟化させて溶着部32を形成することもできる。
上記の熱溶着処理により、内部に第1電極18を収容した状態で袋状セパレータ21が作製される。作製された袋状セパレータを熱溶着台50の上から取り出すことで袋状セパレータの作製が完了する(第4工程)。なお、第1電極18の袋状セパレータ21への収容は、袋状セパレータ21を作製した後でもよい。
次に、第1シート部および第2シート部について更に詳しく説明する。
第1シート部および第2シート部は、多孔質構造を有し、その細孔内に電解質が保持されるため、イオン透過性を有する。第1シート部および第2シート部は、それぞれが第1電極と第2電極との間に介在して、これらの短絡を防止するセパレータとして機能する。
図10に示すように、第1シート部22および/または第2シート部24は、例えば、多孔質な熱可塑性樹脂層23と、その両方の主面に形成された耐熱層25とを有する。熱可塑性樹脂層23は、単層構造でもよく、複数層構造でもよい。また、熱可塑性樹脂層23は、延伸工程を経て形成される微多孔フィルムでもよく、織布でもよく、不織布でもよい。第1シート部および第2シート部の厚みは、例えば15〜35μmであることが好ましい。このとき、耐熱層25の厚みは、例えば1〜10μmであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、フッ素樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエステルなどを用いることができる。これらの中では、熱溶着性が優れている点で、ポリオレフィンが好ましい。
耐熱層は、多孔質な第1シート部および/または第2シート部の表層部を構成するものであるから、当然に多孔質である。一方、耐熱層は、熱変形を生じにくい材料で構成されているため、熱溶着性を有さないか、あるいは熱可塑性樹脂よりも熱溶着性が劣っている。耐熱層は、多孔質かつ耐熱性を有する材料であれば、どのような材料で形成することもできる。ただし、無機粒子を含む耐熱層、あるいは耐熱性樹脂を含む耐熱層を用いることが、電気化学的に安定であり、かつ形成が容易である点で好ましい。
無機粒子を含む耐熱層は、例えば、無機粒子と樹脂結着剤との複合物により形成することができる。無機粒子と樹脂結着剤との合計に占める無機粒子の量は、例えば80質量%以上であり、90〜99重量%が好ましい。
樹脂結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂、アクリル系ゴム粒子、ニトリル系ゴム粒子などを用いることができる。
耐熱性樹脂を含む耐熱層は、例えば、ポリアミド、ポリイミドおよびポリアミドイミドよりなる群から選択される少なくとも1種を含む。これらの中でも、ポリアミドが好ましく、耐熱性の観点からは芳香族ポリアミド(アラミド)が特に好ましい。
耐熱性樹脂を含む耐熱層に、更に、無機粒子を含ませてもよい。無機粒子としてはセラミック粒子が好ましい。このとき、無機粒子の量は、耐熱性樹脂100質量部あたり、例えば80質量%未満が好ましく、20〜70質量%が好ましい。耐熱性樹脂に無機粒子を添加することにより、柔軟性と耐久性に優れた耐熱層が得られる。
耐熱層に含ませる無機粒子としては、例えば、無機酸化物粒子を用いることができる。無機酸化物としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、イットリアなどが挙げられる。これらは電気化学的に安定である点で好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極または負極は、例えば、上記のようにして得られる金属多孔体の空隙に、電極合剤を充填し、必要に応じて、厚み方向に集電体を圧縮することにより形成される。電極合剤は、必須成分としての活物質を含み、任意成分としての導電助剤および/またはバインダを含んでもよい。
ナトリウム溶融塩電池の負極活物質としては、ナトリウムイオンを可逆的に担持する物質を使用できる。このような物質としては、例えば、炭素物質、スピネル型リチウムチタン酸化物、スピネル型ナトリウムチタン酸化物、ケイ素酸化物、ケイ素合金、錫酸化物、錫合金などが挙げられる。炭素物質としては、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)が好ましい。
ナトリウム溶融塩電池の正極活物質としては、ナトリウムイオンを可逆的に担持する遷移金属化合物が好ましく用いられる。遷移金属化合物としては、ナトリウム含有遷移金属酸化物(例えばNaCrO2)が好ましい。
第1電極18および第2電極20の厚みは、例えば集電体にセルメットやアルミセルメット等の金属多孔体を使用する場合には、0.2mm以上、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上である。また、その場合には、第1電極18および第2電極20の厚みは、5mm以下、好ましくは4.5mm以下、さらに好ましくは4mm以下である。一方、集電体に金属箔を使用する場合には、第1電極18および第2電極20の厚みは、0.05mm以上、好ましくは0.08mm以上、さらに好ましくは0.1mm以上である。また、その場合には、第1電極18および第2電極20の厚みは、1mm以下、好ましくは0.7mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。
ナトリウム溶融塩電池に用いる溶融塩電解質は、ナトリウムイオンとアニオン(第1アニオン)との塩を含む。第1アニオンとしては、フッ素含有酸アニオン(PF6 -、BF4 -など)、塩素含有酸アニオン(ClO4 -)、ビススルホニルアミドアニオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)などが挙げられる。
溶融塩電解質は、溶融塩に加え、有機溶媒および/または添加剤などを含むことができるが、耐熱性の向上の観点からは、90質量%以上、さらには100質量%が溶融塩(アニオンとカチオンで構成されるイオン性物質)で占められていることが好ましい。
溶融塩電解質は、ナトリウムイオンの他に、有機カチオンを含むことが好ましい。有機カチオンとしては、窒素含有カチオン、イオウ含有カチオン、リン含有カチオンなどが例示できる。有機カチオンの対アニオン(第2アニオン)としては、ビススルホニルアミドアニオンが好ましい。ビススルホニルアミドアニオンとしては、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン((N(SO2F)2 -)(FSA-:bis(fluorosulfonyl)amide anion));ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(N(SO2CF32 -)(TFSA-:bis(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(N(SO2F)(SO2CF3-)((fluorosulfonyl)(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)などが好ましい。
窒素含有カチオンとしては、例えば、第4級アンモニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンなどが例示できる。
第4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA:tetraethylammonium cation)、トリエチルメチルアンモニウムカチオン(TEMA:methyltriethylammonium cation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン(特にテトラC1-5アルキルアンモニウムカチオンなど)などが例示できる。
ピロリジニウムカチオンとしては、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジエチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(Py13:1-methyl-1-propylpyrrolidinium cation)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン(Py14:1-butyl-1-methylpyrrolidinium cation)、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオンなどが挙げられる。これらのうちでは、特に電気化学的安定性が高いことから、Py13およびPy14が好ましい。
イミダゾリウムカチオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI:1-ethyl-3-methylimidazolium cation)、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI:1-buthyl-3-methylimidazolium cation)、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。これらのうちでは、特にEMIおよびBMIが好ましい。
溶融塩電解質に含まれるナトリウムイオンと有機カチオンとの合計に占めるナトリウムイオンの割合は、10モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることが更に好ましい。また、90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることが更に好ましい。
本発明は、ナトリウム溶融塩電池をはじめとする蓄電デバイスに広く適用することができる。
10…電池
12…電極群
14…ケース
16…封口板
18…第1電極
20…第2電極
21…袋状セパレータ
22…第1シート部
24…第2シート部
25…耐熱層
26…第1集電部
27…開口領域
28…第2集電部
30…接合領域
32…溶着部
40…第1外部端子
42…第2外部端子
44…ガス抜き弁
50…熱溶着台
52A…第1ヒートバー
52B…第2ヒートバー
52C…第3ヒートバー
54…ヒータ
56…ヒータ設置部
56a…ヒータ収納孔
58…圧接部
58a…加圧面
60…針状部

Claims (11)

  1. 蓄電デバイス用の電極シートを収容する袋状セパレータであって、
    第1シート部と、前記第1シート部と対向する第2シート部と、を具備し、
    前記第1シート部は、多孔質な第1熱可塑性樹脂層を含み、
    前記第2シート部は、多孔質な第2熱可塑性樹脂層を含み、
    少なくとも前記第1シート部は、前記第1熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の主面に形成された多孔質な耐熱層を有し、
    前記第1シート部の第1周縁部と、前記第2シート部の第2周縁部と、が重なり部を形成しており、
    前記重なり部が、開口領域と、接合領域と、を有し、
    前記接合領域では、前記第1周縁部と前記第2周縁部とが、複数の点状の溶着部により接合されている、袋状セパレータ。
  2. 前記第1シート部と、前記第2シート部とが、1枚のシートを二つ折りに折り曲げることにより設けられている、請求項1に記載の袋状セパレータ。
  3. 前記耐熱層が、無機粒子を含む、請求項1または2に記載の袋状セパレータ。
  4. 前記耐熱層が、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミドおよびポリアミドイミドよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の袋状セパレータ。
  5. 前記耐熱層が、アラミドを含む、請求項4に記載の袋状セパレータ。
  6. 前記複数の点状の溶着部が、前記電極シートの輪郭に沿って、1〜10mmのピッチPxで配列されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の袋状セパレータ。
  7. 前記溶着部の平均径が、0.3〜3mmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の袋状セパレータ。
  8. 前記第1シート部、前記第2シート部および前記電極シートが、いずれも矩形状であり、前記接合領域が、前記電極シートの三辺に対応して設けられている、請求項1、および3〜7のいずれか1項に記載の袋状セパレータ。
  9. 請求項1に記載の袋状セパレータと、前記袋状セパレータに収容されたシート状の第1電極と、前記第1電極と対向するシート状の第2電極と、を有する電極群と、
    電解質と、
    前記電極群と前記電解質とを収容するケースと、を具備する蓄電デバイス。
  10. 請求項1に記載の袋状セパレータを製造する方法であって、
    (i)前記第1シート部および前記第2シート部を、前記第1周縁部と前記第2周縁部とが重なり部を形成するように配置する工程と、
    (ii)前記重なり部の前記接合領域に、前記重なり部を貫通する複数の孔を形成する工程と、
    (iii)前記重なり部の前記複数の孔が形成された部分を加熱して、前記第1および/または第2熱可塑性樹脂層を軟化または溶融させることにより、前記複数の点状の溶着部を形成する工程と、を含む、袋状セパレータの製造方法。
  11. 複数の針状部と、前記複数の針状部が突出する加圧面とを有する熱溶着具を準備し、前記複数の針状部が前記重なり部を貫通するように、前記加圧面により前記重なり部を加圧するとともに加熱することにより、前記工程(ii)と前記工程(iii)とを行う、請求項10に記載の袋状セパレータの製造方法。
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