JP3195600U - 蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】鋭利な金属が突き刺さることによって内部短絡が生じた場合であっても、内部短絡に伴う発熱に起因する弊害の発生を抑制することのできる高い安全性を有する蓄電デバイスを提供する。【解決手段】蓄電デバイス10は、正極電極および負極電極がセパレータSを介して重畳されてなる蓄電デバイス要素11と、電解液とが外装フィルムよりなる外装体20に収容されてなる。蓄電デバイス要素11と、外装体20との間に、熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上である耐熱部材30が配置されている。【選択図】図2

Description

本考案は、蓄電デバイスに関する。
近年、蓄電デバイス要素が電解液と共に外装体内に収容されてなる構成の二次電池やリチウムイオンキャパシタなどの蓄電デバイスが、携帯機器や電気自動車などの電源として使用されている。
かかる蓄電デバイスにおいては、蓄電デバイス内部に電解液が充填されており、過充電されたり、高温にさらされたりすることにより、電解液が電気分解または加熱分解されることに起因して、外装体の内部に可燃性ガス等のガスが発生し、これにより、外装体の内部圧力が上昇することがある。このような問題を解決するため、種々の構成の蓄電デバイスが提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。具体的には、例えば温度センサーを取り付ける、電極端子部材と蓄電デバイス要素との間に一定以上に加熱された場合に電流を遮断する金属線(ヒューズ)を接続するなどすることにより、蓄電デバイスの内部圧力あるいは温度が一定以上となった場合に通電電流を遮断する安全機構が設けられたものなどが開示されている。
一方、蓄電デバイスにおいては、例えば蓄電デバイスを動力用途に用いた際の事故や、輸送や取り付け作業時において、金属製の釘または木ネジなどの鋭利な金属が突き刺さる可能性がある。満充電状態の蓄電デバイスに鋭利な金属が突き刺された場合には、突き刺された金属により内部短絡が生じて局所的に大電流が流れることに伴って発熱が生じ、その発熱によって電解液(有機電解液)が揮発して可燃性ガスが発生することとなるが、その他にも、例えば発生した熱によって表面温度が高温となったり、外装体を構成するラミネートフィルムが収縮あるいは溶融したり、更には外装体に形成された鋭利な金属による突き刺し孔(貫通孔)が、当該外装体を構成するラミネートフィルムが収縮・融解するなどして熱の影響によって拡張され、その大径となった孔から高温の可燃性ガスが多量に外部に噴出されるなど、内部短絡に伴う発熱に起因して様々な弊害が生じる。また、複数の蓄電デバイスを備えた蓄電デバイス装置(モジュール)においては、一の蓄電デバイスに鋭利な金属が突き刺された場合には、隣接する蓄電デバイスにも熱による悪影響が及び、例えば内部圧力が上昇したり、あるいは蓄電デバイスとしての所望の機能が発揮されなくなるなどの弊害があった。
このような問題は、前記の蓄電デバイスの内部圧力あるいは温度が一定以上となった場合に通電電流を遮断する安全機構が設けられた蓄電デバイスにおいても生じてしまう。すなわち、内部短絡による発熱によって弊害が生じることを抑制することができない。
特許第4354028号公報 特許第3853460号公報 特開2003−187785号公報
本考案は、以上の事情に基づいてなされたものであって、その目的は、鋭利な金属が突き刺さることによって内部短絡が生じた場合であっても、内部短絡に伴う発熱に起因する弊害の発生を抑制することのできる高い安全性を有する蓄電デバイスを提供することにある。
本考案の蓄電デバイスは、正極電極および負極電極がセパレータを介して重畳されてなる蓄電デバイス要素と、電解液とが外装フィルムよりなる外装体に収容されてなる蓄電デバイスであって、
前記蓄電デバイス要素と、前記外装体との間に、熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上である耐熱部材が配置されていることを特徴とする。
本考案の蓄電デバイスにおいては、前記耐熱部材がフィルム状であることが好ましい。
本考案の蓄電デバイスにおいては、前記耐熱部材は60〜700μmの厚みを有するものであることが好ましい。
本考案の蓄電デバイスにおいては、前記耐熱部材が、アルミナ、無アルカリガラス、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィドおよび下記一般式(1)で表わされる構造単位を有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の材料よりなるものであることが好ましい。
Figure 0003195600
〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換のアルコキシ基を示す。但し、R1 〜R4 の少なくとも1つはフッ素原子を示す。〕
本考案の蓄電デバイスにおいては、前記耐熱部材が蓄電デバイス要素の外面を覆うように設けられていることが好ましい。
本考案の蓄電デバイスは、リチウムイオンキャパシタであることが好ましい。
本考案の蓄電デバイスにおいては、蓄電デバイス要素と外装体との間に、熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上である耐熱部材が配置されていることから、釘などの鋭利な金属が突き刺さることによって内部短絡が生じ、その内部短絡に伴って発熱が生じた場合であっても、耐熱部材が高い耐熱性を有するものであることから、鋭利な金属が突き刺さることによって当該耐熱部材に形成された突き刺し孔(貫通孔)が内部短絡によって生じた熱によって拡張されることがないため、その突き刺し孔から、内部短絡に起因して発生した高温の可燃性ガスが、外部に噴出されること、および外装体に向かって勢いよく多量に吹き付けられるようなことがない。その結果、外装体における突き刺し孔の周辺部分が過熱されること、および外装体に形成された突き刺し孔(貫通孔)が拡張されて多量の可燃性ガスが外部に噴出されることを抑制することができる。
従って、本考案の蓄電デバイスによれば、鋭利な金属が突き刺さることによって内部短絡が生じた場合であっても、内部短絡に伴う発熱に起因する弊害の発生を抑制することができることから高い安全性が得られる。
本考案の蓄電デバイスの構成の一例を示す説明用平面図である。 図1の蓄電デバイスのA−A断面図である。 図1の蓄電デバイスのB−B断面図である。 本考案の蓄電デバイスの構成の他の例を示す説明用断面図である。 図4の蓄電デバイスの他の断面を示す説明用断面図である。
以下、本考案の実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本考案の蓄電デバイスの構成の一例を示す説明用平面図であり、図2は、図1の蓄電デバイスのA−A断面図であり、図3は、図1の蓄電デバイスのB−B断面図である。
この蓄電デバイス10においては、外装体20は、それぞれ熱融着性を有する長方形の上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bが、互いに重ね合わせられた状態で、それぞれの外周縁部の全周にわたって形成された接合部22において相互に気密に接合されて構成されている。外装体20の内部には、蓄電デバイス要素11を収容するための収容部23が形成され、当該収容部23内には、蓄電デバイス要素11が有機電解液と共に収容されている。
図示の例では、上部外装フィルム21Aにおける収容部23を形成する部分には、絞り加工が施されている。
外装体20の接合部22における一辺(図1および図3において左辺)22aには、その一端が外装体20の内部において蓄電デバイス要素11の正極集電体12aに電気的に接続され、その他端が接合部22の一辺22aから外部に突出する正極用端子部材14が設けられている。一方、外装体20の接合部22における一辺に対向する他辺(図1および図3において右辺)22bには、その一端が外装体20の内部において蓄電デバイス要素11の負極集電体13aに電気的に接続され、その他端が接合部22の他辺22bから外部に突出する負極用端子部材15が設けられている。
また、外装体20の接合部22には、安全弁25が設けられている。
この安全弁25は、接合部22における非接合部位24に上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの一部分が相互に接合されてなる円環状のシール部26と、このシール部26の中央位置に形成された、上部外装フィルム21Aを貫通する孔口部27とからなる構成のものである。
ここに、安全弁25は少なくとも一つ形成されていればよいが、複数の安全弁が形成されていてもよい。
外装体20を構成する上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bとしては、例えば内側からポリプロピレン(以下、「PP」という。)層、アルミニウム層およびナイロン層などがこの順で積層されてなるものを好適に用いることができる。
上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bとして、例えばPP層、アルミニウム層およびナイロン層が積層されてなるものを用いる場合には、その厚みは、通常、50〜300μmである。
上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの縦横の寸法は、収容部23に収容される蓄電デバイス要素11の寸法に応じて適宜選択されるが、例えば縦方向の寸法が40〜200mm、横方向の寸法が60〜300mmである。
また、外装体20における接合部22の接合幅は、例えば2〜15mmである。
非接合部位24の寸法としては、接合部22および収容部23の寸法にもよるが、収容部23に連通する一辺の寸法が1〜40mm、この一辺に接する他辺の寸法が3〜12mmである。
蓄電デバイス10を構成する蓄電デバイス要素11は、図2および図3に示すように、セパレータSを介して、それぞれ正極集電体12a上に、必要に応じて導電層を介して正極層12が形成されてなる複数の正極板と、それぞれ負極集電体13a上に、必要に応じて導電層を介して負極層13が形成されてなる複数の負極板とが交互に積層されて構成された電極積層体を有し、この電極積層体の上面には、リチウムイオン供給源としてのリチウム(リチウム極)18が配置され、このリチウム極18上には、リチウム極集電体18aが積層されている。また、19は、リチウム極取り出し部材である。
複数の正極板の各々における正極集電体12aには、それぞれ取り出し部16が形成され、これらの取り出し部16は、互いに溶接されて正極用端子部材14に電気的に接続されている。一方、複数の負極板の各々における負極集電体13aには、それぞれ取り出し部17が形成され、互いに溶接されて負極用端子部材15に電気的に接続されている。
ここに、本明細書中において、蓄電デバイス要素は、正極電極および負極電極がセパレータを介して重畳されてなる構成のものであるが、この正極電極および負極電極によって重畳形成されてなる蓄電デバイス要素とは、図2および図3に示されているように正極電極(正極板)および負極電極(負極板)がセパレータを介して交互に積層されてなる構造、または正極電極および負極電極がセパレータを介して積層された状態で捲回されてなる構造のいずれかの構造を有するものである。
蓄電デバイス要素11を構成する正極層12としては、電極材料を、必要に応じて導電材(例えば、活性炭、カーボンブラック等)およびバインダー等を加えて成形したものが用いられる。正極層12を構成する電極材料としては、リチウムを可逆的に担持可能であれば、特に限定されないが、例えば活性炭などが挙げられる。
また、蓄電デバイス要素11を構成する負極層13としては、電極材料をバインダーで成形したものが用いられる。負極層13を構成する電極材料としては、リチウムを可逆的に担持できるものであれば特に限定されないが、例えばグラファイト、種々の炭素材料(例えば難黒鉛化性炭素等)、ポリアセン系物質、錫酸化物、珪素酸化合物等の粉末状、粒状の負極活物質などが挙げられる。
蓄電デバイス要素11を構成するセパレータSとしては、セルロース(紙)、セルロース/レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、その他公知のものを用いることができる。
これらの中では、セルロース/レーヨンが耐久性および経済性の点で好ましい。
セパレータSの厚みは特に限定されないが、通常、20〜50μm程度が好ましい。
正極集電体12aおよび負極集電体13a(以下、これらを「電極集電体」ともいう。)は、表裏面を貫通する孔を有する多孔材よりなるものである。 電極集電体を構成する多孔材の形態としては、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属網、発泡体、あるいはエッチングにより貫通孔が形成された多孔質箔などが挙げられる。
電極集電体の孔の形状は、円形、矩形、多角形、その他適宜の形状に設定することができる。
また、電極集電体の厚みは、強度および軽量化の観点から、20〜50μmであることが好ましい。
電極集電体の気孔率は、通常、10〜79%、好ましくは20〜60%である。
ここで、気孔率は、下記数式(1)によって算出されるものである。
数式(1):
気孔率=[1−(電極集電体の質量/電極集電体の真比重)/(電極集電体の見かけ体積)]×100
このような多孔材を電極集電体として用いることにより、リチウムイオンの供給源であるリチウム(リチウム極)18から放出されるリチウムイオンが電極集電体の孔を通って自由に各電極間を移動するので、負極板および/または正極板における負極層13および正極層12にリチウムイオンをドーピングすることができる。
電極集電体の材質としては、一般に有機電解質電池などの用途で使用されている種々のものを用いることができる。
負極集電体13aの材質の具体例としては、ステンレス、銅、ニッケルなどが挙げられる。また、正極集電体12aの材質の具体例としては、アルミニウム、ステンレスなどが挙げられる。
そして、蓄電デバイス10においては、図2および図3に示すように、蓄電デバイス要素11と、外装体20との間に、熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上である、フィルム状の耐熱部材(以下、「耐熱フィルム」ともいう。)30が配置されている。
具体的には、耐熱フィルム30は、蓄電デバイス要素11を、当該蓄電デバイス要素11の一端側および他端側を除く周面を覆うように巻かれており、当該耐熱フィルム30の両端は、固定部材(図示せず)によって互いに固定されている。
耐熱フィルム30は、熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上であることが必要とされるが、好ましくは熱重量分析による5%重量減少温度が390℃以上のものである。
ここに、「熱重量分析による5%重量減少温度」とは、熱重量分析装置を用いて空気下、10℃/分の昇温速度で重量減少を測定した時に、耐熱フィルム30の重量が初期重量から5%減少した時点(すなわち、耐熱フィルム30の重量が初期の95%となった時点)の温度である。
耐熱フィルム30は、熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上であることにより、蓄電デバイス10に鋭利な金属等が突き刺さることによって内部短絡が生じ、その内部短絡に伴って発熱が生じた場合において、その熱によって収縮・融解するなどして鋭利な金属等が突き刺さることによって当該耐熱フィルムに形成された突き刺し孔(貫通孔)が拡張されることのない高い耐熱性を有するものとなる。
耐熱フィルム30としては、蓄電デバイス要素11に巻き付けることのできるような可撓性を有するものであることが必要とされ、また平滑な正面を有するものであってもよいが、電解液を浸透しやすい点からは微細な孔を有する多孔質のものであってもよい。
耐熱フィルム30の材料としては、電解液、正極活物質あるいは負極活物質に対して耐久性を有する、セラミック、ガラスおよび樹脂などを用いることができ、具体的には、アルミナ、無アルカリガラス、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィドおよび上記一般式(1)で表わされる構造単位を有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
ここに、無アルカリガラスとしては、例えば石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラスなどが挙げられる。
また、一般式(1)においては、R1 〜R4 は、それぞれ独立に水素原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、テトラフルオロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、アリール基などの置換もしくは非置換の炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、パーフルオロブチルオキシ基などの置換もしくは非置換のアルコキシ基を示す。但し、R1 〜R4 の少なくとも1つはフッ素原子を示す。この一般式(1)で表わされる構造単位を有する化合物としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシポリエチレン等に代表されるPFAなどの含フッ素樹脂が挙げられる。
耐熱フィルム30の具体例としては、例えばポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルムなどの樹脂フィルム、アルミナフィルムなどのセラミックフィルム、繊維状の無アルカリガラスを用いた織物および不織布、および繊維状の無アルカリガラスを用いた織物および不織布にポリテトラフルオロエチレンが含浸されてなるガラスクロスなどが挙げられる。
これらのうちでは、蓄電デバイス要素11への巻き付けやすさの点から、ポリイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルムが好適である。
耐熱フィルム30の厚みは、蓄電デバイス10の体積を大きくしないために1000μm以下であることが望ましく、材質にもよるが、蓄電デバイス要素11への巻き付けやすさの点から、通常10〜200μmである。
ここに、本考案の蓄電デバイスにおいては、後述の実施例からも明らかなように、耐熱部材がフィルム状であって、その厚みが200μm以下であっても、熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上であって高い耐熱性を有するものであることから、鋭利な金属等が突き刺さることによって内部短絡が生じた場合であっても、内部短絡に伴う発熱に起因する弊害の発生を抑制することができる。
この耐熱フィルム30には、外装体20に形成されている安全弁25に近接する位置に開口部が形成されていてもよい。
耐熱フィルム30を固定する固定部材としては、粘着剤層を有するテープや接着剤などを用いることができる。
固定部材を構成するテープとしては、耐熱フィルム30を固定することが可能であれば特に限定されず、例えばポリイミドテープ、PPテープ、PPSテープ等の種々の公知のものを用いることができる。
また、固定部材を構成する接着剤層に係る接着剤および固定部材を構成する接着剤としては、耐熱フィルム30を接着し得るものであれば種々のものを用いることができるが、耐電解液性の高い材料が望ましい。
また、固定部材は、耐熱フィルム30が固定され、かつ、蓄電デバイス要素11と、正極用端子部材14および負極用端子部材15との電気的接続に支障がない状態であれば、蓄電デバイス要素11に巻き付けられた耐熱フィルム30の外周面における適宜の位置に設けることができる。
外装体20内に充填される電解液としては、適宜の有機溶媒中に電解質が溶解されてなる有機電解液を用いることが好ましい。
有機溶媒の具体例としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、ジメトキシエタン等の非プロトン性有機溶媒が挙げられ、これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、電解質としては、リチウムイオンを生成しうるものが用いられ、その具体例としては、LiCIO4 、LiBF4 、LiPF6 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiN(CF3 SO2 2 などが挙げられ、これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
このような蓄電デバイス10は、例えば以下のようにして製造することができる。
先ず、蓄電デバイス要素11に、耐熱フィルム30を当該蓄電デバイス要素11の周面を覆うよう巻いた後、この耐熱フィルム30の両端を固定部材によって互いに固定する。
次いで、下部外装フィルム21B上における収容部23となる位置に、耐熱フィルム30が巻かれた、正極用端子部材14および負極用端子部材15が接続された蓄電デバイス要素11を配置すると共に、非接合部位24となる位置に、当該非接合部位24の平面形状に適合する形状のヒートブロックを配置し、その後、この耐熱フィルム30が巻かれた蓄電デバイス要素11上に、孔口部27を有する上部外装フィルム21Aを重ね合わせ、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの外周縁部における3辺を熱融着する。
そして、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの間に電解液を注入した後、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの外周縁部における未融着の1辺を熱融着することによって外装体20を形成することにより、蓄電デバイス10が得られる。
以上の蓄電デバイス10においては、蓄電デバイス要素11に耐熱フィルム30が巻き付けられており、当該蓄電デバイス要素11と外装体20との間に耐熱フィルム30が介在されていることから、この耐熱フィルム30が介在されている部位に、満充電状態において釘などの鋭利な金属等が突き刺さることによって内部短絡が生じ、その内部短絡に伴って発熱が生じた場合であっても、耐熱フィルム30が高い耐熱性を有していることから、鋭利な金属等が突き刺さることによって当該耐熱フィルム30に形成された突き刺し孔(貫通孔)が内部短絡によって生じた熱によって拡張されることがない。すなわち、耐熱フィルム30の突き刺し孔が、当該耐熱フィルム30が収縮・溶融するなどして拡張することに伴って外装体20における突き刺し孔の周辺部分が露出されることがないため、その突き刺し孔から、内部短絡に起因して発生した高温の可燃性ガスが、外部に噴出されること、および外装体20に向かって勢いよく多量に吹き付けられるようなことがない。そのため、外装体20における突き刺し孔が外部に排出する可燃性ガスの作用によって押し広げられて拡張することが抑制される。
従って、蓄電デバイス10によれば、外装体20が比較的融点の低い材料が用いられて構成されたもの、具体的には例えば上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bとして、内側からPP(融点165℃程度)層、アルミニウム層およびナイロン層がこの順で積層されてなるものが用いられていたとしても、鋭利な金属等が突き刺さることによって内部短絡が生じた場合に、外装体20における突き刺し孔の周辺部分が、PP層が融解・収縮するような温度(具体的にはPPの融点)にまで加熱されることがなく、また耐熱フィルム30および外装体20に形成された突き刺し孔が拡張されて多量の可燃性ガスが外部に噴出されることが抑制される。
このように、蓄電デバイス10によれば、鋭利な金属が突き刺さることによって内部短絡が生じた場合であっても、内部短絡に伴う発熱に起因する弊害、具体的には例えば発生した熱によって外装体20の突き刺し孔の周辺部分における表面温度が高温となったり、外装体20を構成する上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bが収縮あるいは溶融したり、更には外装体20における突き刺し孔が熱の影響によって拡張され、その大径となった孔から高温の可燃性ガスが多量に外部に噴出されることなどの問題の発生を抑制することができることから高い安全性が得られる。
更に、蓄電デバイス10は、複数の蓄電デバイスを備えた蓄電デバイス装置(モジュール)を構成するものとして好適に用いることができる。このような蓄電デバイス装置においては、複数の蓄電デバイスのうちの1つに鋭利な金属が突き刺されることによって内部短絡が生じた場合であっても、その内部短絡の生じた蓄電デバイスにおいて、釘刺しによって穿られた外装体における突き刺し孔の周辺部分が過熱されること、および外装体に形成された突き刺し孔が拡張されて多量の可燃性ガスが外部に噴出されることが抑制されるため、隣接するリチウムイオンキャパシタに熱による悪影響が及ぶことを防ぐことができる。
このような耐熱フィルムが巻き付けられてなる構成を有する蓄電デバイス10は、動力用途、特に車載用などとして好適である。
<第2の実施の形態>
図4は、本考案の蓄電デバイスの構成の他の例を示す説明用断面図(図1におけるA−A断面に対応する断面図)であり、図5は、図4の蓄電デバイスの他の断面(図1におけるB−B断面に対応する断面)を示す説明用断面図である。
この蓄電デバイス40は、図1〜図3によって示される第1の実施の形態に係る蓄電デバイス10において、耐熱フィルム30に代えて、蓄電デバイス要素11における正極板、セパレータSおよび負極板の積層方向の上面(図4および図5における上面)および下面(図4および図5における上面)に、それぞれ熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上であるフィルム状の耐熱部材(耐熱フィルム)30A,30Bが、当該上面および下面の全面を覆うように設けられていること以外は当該第1の実施の形態に係る蓄電デバイス10と同様の構成を有するものである。
この耐熱フィルム30A,30Bは、例えば上面および下面に耐熱フィルム30A,30Bが配置された蓄電デバイス要素11を、例えばセルロースフィルム(紙)などのセパレータSとして用いられ、当該蓄電デバイス要素11に巻き付けることのできるような可撓性を有するフィルムによって当該蓄電デバイス要素11の一端側および他端側を除く周面を覆うように巻くことによって固定される。
ここに、耐熱フィルム30A,30Bを固定するために用いられるフィルムは、その両端が固定部材によって互いに固定されており、当該固定部材としては、第1の実施の形態に係る耐熱フィルム30を固定する固定部材と同様の材質のものを好適に用いることができる。
耐熱フィルム30A,30Bとしては、平滑な正面を有するものであってもよいが、電解液を浸透しやすい点からは微細な孔を有する多孔質のものであってもよく、また可撓性を有するものであってもよい。
耐熱フィルム30A,30Bの材料としては、第1の実施の形態における耐熱フィルム30と同様に、電解液、正極活物質あるいは負極活物質に対して耐久性を有する、セラミック、ガラスおよび樹脂などを用いることができ、具体的には、アルミナ、無アルカリガラス、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィドおよび上記一般式(1)で表わされる構造単位を有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
耐熱フィルム30A,30Bの具体例としては、例えばポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、アルミナフィルム、アルミノシリケートガラス板、繊維状の無アルカリガラスを用いた織物および不織布、および繊維状の無アルカリガラスを用いた織物および不織布にポリテトラフルオロエチレンが含浸されてなるガラスクロスなどを用いることができるが、耐熱性および製造面での観点から、ポリイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルムが好適である。
耐熱フィルム30A,30Bの厚みは、蓄電デバイスの体積を大きくしないために1000μm以下であることが望ましく、材質にもよるが、通常10〜200μmであることが好ましい。
このような構成の蓄電デバイス40においては、蓄電デバイス要素11の上面および下面において、それぞれ外装体20との間に、熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上である耐熱フィルム30A,30Bが配置されていることから、このように耐熱フィルム30A,30Bが介在されている部位に、万が一釘などの鋭利な金属等が突き刺さることによって内部短絡が生じ、その内部短絡に伴って発熱が生じた場合であっても、耐熱フィルム30A,30Bが高い耐熱性を有するものであることから、鋭利な金属等が突き刺さることによって当該耐熱フィルム30A,30Bに形成された突き刺し孔が内部短絡によって生じた熱によって拡張されることがないため、その突き刺し孔から、内部短絡に起因して発生した高温の可燃性ガスが、外部に噴出されること、および外装体20に向かって勢いよく多量に吹き付けられるようなことがない。そのため、外装体20に形成された突き刺し孔が拡張されて多量の可燃性ガスが外部に噴出されることを抑制することができる。
従って、蓄電デバイス40によれば、鋭利な金属が突き刺さることによって内部短絡が生じた場合であっても、内部短絡に伴う発熱に起因する弊害の発生を抑制することができることから高い安全性が得られる。
以上、本考案の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上であるフィルム状の耐熱部材が、電極積層体よりなる蓄電デバイス要素(図2〜図5参照)を、正極用端子部材および負極用端子部材のみが露出された状態、すなわち正極用端子部材および負極用端子部材が突出された状態とし、その全周を覆うように設けられてなる構成のものであってもよい。
このような場合においては、フィルム状の耐熱部材としては、蓄電デバイス要素11を包み込むことのできるよう、第1の実施の形態に係る耐熱フィルム30と同様に、可撓性を有するものであることが必要とされ、また、電解液を浸透することのできるような微細な孔を有する多孔質のものであることが好ましい。耐熱フィルムを蓄電デバイス要素の周辺に被覆するように捲きつけることで、短絡により発生する火花を四方に散らすことを抑制できる。
また、このフィルム状の耐熱部材には、外装体に形成されている安全弁に近接する位置に開口部が形成されていることが好ましい。
また、蓄電デバイスは、蓄電デバイス要素が正極電極フィルムおよび負極電極フィルムがセパレータを介して積層された状態で捲回されてなる構成を有する、いわゆる捲回型のものであってもよく、また、外装体が、金属製のものであってもよい。
以下、本考案の具体的な実施例について説明するが、本考案はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
(1)正極板の作製:
幅200mm、厚み15μmの帯状のアルミニウム箔に、パンチング方式により、開口面積0.79mm2 の円形の複数の貫通孔を千鳥状に配列されるよう形成することにより、開口率42%の集電体を作製した。この集電体の一部分に、導電材としてグラファイトを含んだ導電塗料を、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工幅130mm、両面合わせた塗布厚みの目標値を20μmに設定して両面塗工した後、200℃で24時間の条件で減圧乾燥させることにより、集電体の表裏面に導電層を形成した。
次いで、集電体の表裏面に形成された導電層上に、電極材料として活性炭を含んだ正極塗料を、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、両面合わせた塗布厚みの目標値を150μmに設定して両面塗工した後、200℃で24時間の条件で減圧乾燥させることにより、導電層上に正極層を形成した。
このようにして得られた、集電体の一部分に導電層および正極層が積層されてなる材料を、導電層および正極層が積層されてなる部分(以下、正極板について「塗工部」ともいう。)が102mm×130mm、いずれの層も形成されてない部分(以下、正極板について「未塗工部」ともいう。)が102mm×10mmとなるように、102mm×140mmの大きさに切断することにより、正極板を作製した。
(2)負極板の作製:
幅200mm、厚み10μmの帯状の銅箔に、パンチング方式により、開口面積0.79mm2 の円形の複数の貫通孔を千鳥状に配列されるよう形成することにより、開口率42%の集電体を得た。この集電体の一部分に、電極材料として難黒鉛化性炭素を含んだ負極塗料を、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工幅130mm、両面合わせた塗布厚みの目標値を80μmに設定して両面塗工した後、200℃で24時間の条件で減圧乾燥させることにより、集電体の表裏面に負極層を形成した。
このようにして得られた、集電体の一部分に負極層が形成されてなる材料を、負極層が形成されてなる部分(以下、負極板について「塗工部」という。)が105mm×133mm、負極層が形成されてない部分(以下、負極板について「未塗工部」という。)が105mm×10mmになるように、105mm×143mmの大きさに切断することにより、負極板を作製した。
(3)蓄電デバイス要素(リチウムイオンキャパシタ要素)の作製:
先ず、正極板10枚、負極板11枚、厚みが50μmのセルロース/レーヨン複合材料よりなるセパレータ22枚を用意し、正極板と負極板とを、それぞれの塗工部は重なるが、それぞれの未塗工部は反対側になるよう、セパレータ、負極板、セパレータ、正極板の順で積重し、積重体の4辺をテープにより固定することにより、電極積層体を作製した。
次いで、厚み260μmのリチウム箔を切断し、この切断したリチウム箔を、厚さ40μmのステンレス網よりなるリチウム極集電体に圧着することにより、リチウムイオン供給源としてのリチウム(リチウム極)を作製し、このリチウムイオン極を電極積層体の上側に負極と対向するよう配置した。
そして、作製した電極積層体の10枚の正極板の各々の未塗工部に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した、幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmのアルミニウム製の正極用端子部材の接続部を重ねて超音波溶接した。一方、電極積層体の11枚の負極板の各々の未塗工部およびリチウムイオン極の各々に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した、幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmの銅製の負極用端子部材の接続部を重ねて抵抗溶接した。以上のようにして、リチウムイオンキャパシタ要素(蓄電デバイス要素)を作製した。
(4)フィルムの巻き付け
厚みが60μmで縦横寸法が290mm×145mmの大きさのカプトン(登録商標)フィルム(ポリイミドフィルム)を用意し、図2および図3に示す構成に従い、リチウムイオンキャパシタ要素の正極用端子部材および負極用端子部材がポリイミドフィルムの側面から外側に出るようにして、ポリイミドフィルムを、リチウムイオンキャパシタ要素を覆うように巻き付け、ポリイミドフィルムの両端が重なりあった部分において、当該両端を互いにカプトン(登録商標)テープ(固定部材)により固定した。
ここに、リチウムイオンキャパシタ要素の巻き付けに用いたフィルムについて、熱重量分析による5%重量減少温度を測定した。結果を表1に示す。
(5)リチウムイオンキャパシタの作製:
図1〜図3に示す構成に基づいて、以下のようにしてリチウムイオンキャパシタを作製した。
PP層、アルミニウム層およびナイロン層が積層されてなり、寸法が125mm(縦幅)×180mm(横幅)×0.15mm(厚み)で、収容部となる中央部分に、105mm(縦幅)×145mm(横幅)の絞り加工が施された上部外装フィルム(接合部となる外周縁部の幅が10mm)と、PP層、アルミニウム層およびナイロン層が積層されてなり、寸法が125mm(縦幅)×180mm(横幅)×0.15mm(厚み)の下部外装フィルムとを作製した。
そして、下部外装フィルム上における収容部となる位置に、ポリイミドフィルムが巻かれたリチウムイオンキャパシタ要素を、その正極用端子部材および負極用端子部材の各々が、下部外装フィルムの端部から外方に突出するよう配置し、このリチウムイオンキャパシタ要素に、上部外装フィルムを重ね合わせ、上部外装フィルムおよび下部外装フィルムの外周縁部における3辺(正極用端子部材および負極用端子部材が突出する2辺およびその他の1辺)を熱融着した。その後、上部外装フィルムおよび下部外装フィルムの間に、有機電解液として、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:2で混合した溶媒に、濃度1.2モル/LでLiPF6 が溶解されてなる混合溶液50gを注入し、真空含浸させた後、残り1辺を減圧下にて熱融着し、真空封止を行うことにより、リチウムイオンキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(1)」ともいう。)を作製した。
(6)釘刺し試験:
作製したリチウムイオンキャパシタ(1)について、以下の手法によって釘刺し試験を行った。結果を表1に示す。
満充電状態のリチウムイオンキャパシタ(1)を中央部に穴を設けた台上に水平に設置し、直径2.5mm、長さ50mmの鉄釘を、毎秒1mmの速度の条件によってリチウムイオンキャパシタ(1)の中央位置に、外装体の幅広正面に対して垂直な方向に向けて突き刺した。釘を突き刺した直後に、その釘の刺された位置から2.5〜7.5cm離れた任意の位置でリチウムイオンキャパシタの表面温度を熱電対によって測定した。
〈実施例2〉
実施例1において、リチウムイオンキャパシタ要素に巻きつけるフィルムとして、厚み100μmのポリテトラフルオロエチレンフィルム(以下、「PTFEフィルム」ともいう。)を用いたこと以外は当該実施例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(2)」ともいう。)を得、このリチウムイオンキャパシタ(2)に対して実施例1と同様の手法によって釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
〈実施例3〉
実施例1において、リチウムイオンキャパシタ要素にフィルムを巻き付ける工程に代えて、下記の手法によってリチウムイオンキャパシタ要素の上面および下面にフィルムを積層する工程を経たこと以外は当該実施例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(3)」ともいう。)を得、このリチウムイオンキャパシタ(3)に対して実施例1と同様の手法によって釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
(フィルムの積層)
先ず、厚みが60μmで縦横寸法が105mm×145mmの大きさのカプトン(登録商標)フィルム(ポリイミドフィルム)を2枚用意し、図4および図5に示す構成に従い、ポリイミドフィルムを、リチウムイオンキャパシタ要素の上下面(リチウムイオンキャパシタ要素における正極板、セパレータおよび負極板の積層方向における上面および下面)のそれぞれに積層した。
次いで、厚みが50μmで縦横寸法が210mm×145mmの大きさのセルロースフィルム(紙)を用意し、リチウムキャパシタ要素の正極用端子部材および負極用端子部材が紙の側面から外側に出るようにして、紙を、上下面にポリイミドフィルムを積層したリチウムイオンキャパシタ要素を覆うように巻き付け、紙の両端が重なりあった部分において、当該両端を互いにカプトン(登録商標)テープで固定した。
〈実施例4〉
実施例3において、リチウムイオンキャパシタ要素の上下に配置するフィルムとして、厚み100μmのPTFEフィルムを用いたこと以外は当該実施例3と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(4)」ともいう。)を得、このリチウムイオンキャパシタ(4)に対して実施例1と同様の手法によって釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
〈実施例5〉
実施例3において、リチウムイオンキャパシタ要素の上下に配置するフィルムとして、厚み500μmのポリテトラフルオロエチレン含有ガラスクロス(以下、「PTFE含有ガラスクロス」ともいう。)を用いたこと以外は当該実施例3と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(5)」ともいう。)を得、このリチウムイオンキャパシタ(5)に対して実施例1と同様の手法によって釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
〈実施例6〉
実施例3において、リチウムイオンキャパシタ要素の上下に配置するフィルムとして、厚み700μmのアルミノシリケートガラス板「AN100」(旭ガラス社製)を用いたこと以外は当該実施例3と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(6)」ともいう。)を得、このリチウムイオンキャパシタ(6)に対して実施例1と同様の手法によって釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
〈比較例1〉
実施例1において、リチウムイオンキャパシタ要素に巻きつけるフィルムとして、厚み40μmのセルロースフィルムを用いたこと以外は当該実施例1と同様にして比較用のリチウムイオンキャパシタ(以下、「比較用リチウムイオンキャパシタ(1)」ともいう。)を得、この比較用リチウムイオンキャパシタ(1)に対して実施例1と同様の手法によって釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
〈比較例2〉
実施例1において、リチウムイオンキャパシタ要素に巻きつけるフィルムとして、厚み20μmのポリプロピレンフィルムを用いたこと以外は当該実施例1と同様にして比較用のリチウムイオンキャパシタ(以下、「比較用リチウムイオンキャパシタ(2)」ともいう。)を得、この比較用リチウムイオンキャパシタ(2)に対して実施例1と同様の手法によって釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
〈比較例3〉
実施例3において、リチウムイオンキャパシタ要素の上下に配置するフィルムとして、厚み200μmのポリプロピレンフィルムを用いたこと以外は当該実施例3と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「比較用リチウムイオンキャパシタ(3)」ともいう。)を得、この比較用リチウムイオンキャパシタ(3)に対して実施例1と同様の手法によって釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
〈比較例4〉
実施例3において、リチウムイオンキャパシタ要素の上下に配置するフィルムとして、厚み500μmのポリエチレンフィルムを用いたこと以外は当該実施例3と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「比較用リチウムイオンキャパシタ(4)」ともいう。)を得、この比較用リチウムイオンキャパシタ(4)に対して実施例1と同様の手法によって釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
Figure 0003195600
表1の結果から明らかなように、実施例1〜実施例6に係るリチウムイオンキャパシタは、釘を刺した直後の表面温度(釘を刺した箇所の周辺部分の表面温度)が比較的低温であることが確認された。また、実施例1〜実施例6に係るリチウムイオンキャパシタにおいては、釘を刺した後の外装体の外観を観察したところ、突き刺し孔(貫通孔)の外径が突き刺した釘の外径と程同等であって突き刺し孔の拡張が最小限に抑えられており、また溶融部位がないことが確認された。
一方、比較例1〜比較例4に係るリチウムイオンキャパシタは、釘を刺した直後の表面温度が高温となったことから、安全性を有するものではないことが明らかである。また、比較例1〜比較例4に係るリチウムイオンキャパシタにおいては、釘を刺した後の外装体の外観を観察したところ、突き刺し孔の周辺に溶融部位があり、突き刺し孔(貫通孔)が大きく拡張されていることが確認された。
このようなことから、実施例1〜実施例6に係るリチウムイオンキャパシタは、高い安全性を有するものであることが明らかである。
10 蓄電デバイス
11 蓄電デバイス要素
12 正極層
12a 正極集電体
13 負極層
13a 負極集電体
14 正極用端子部材
15 負極用端子部材
16、17 取り出し部
18 リチウム(リチウム極)
18a リチウム極集電体
19 リチウム極取り出し部材
20 外装体
21A 上部外装フィルム
21B 下部外装フィルム
22 接合部
22a 接合部の一辺
22b 接合部の他辺
23 収容部
24 非接合部位
25 安全弁
26 シール部
27 孔口部
30、30A,30B 耐熱部材(耐熱フィルム)
40 蓄電デバイス
S セパレータ

Claims (6)

  1. 正極電極および負極電極がセパレータを介して重畳されてなる蓄電デバイス要素と、電解液とが外装フィルムよりなる外装体に収容されてなる蓄電デバイスであって、
    前記蓄電デバイス要素と、前記外装体との間に、熱重量分析による5%重量減少温度が350℃以上である耐熱部材が配置されていることを特徴とする蓄電デバイス。
  2. 前記耐熱部材がフィルム状であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
  3. 前記耐熱部材は60〜700μmの厚みを有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓄電デバイス。
  4. 前記耐熱部材が、アルミナ、無アルカリガラス、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィドおよび下記一般式(1)で表わされる構造単位を有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の材料よりなるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蓄電デバイス。
    Figure 0003195600
    〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換のアルコキシ基を示す。但し、R1 〜R4 の少なくとも1つはフッ素原子を示す。〕
  5. 前記耐熱部材が蓄電デバイス要素の外面を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の蓄電デバイス。
  6. リチウムイオンキャパシタであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の蓄電デバイス。
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