JP2011044332A - ラミネート外装蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】通常の使用状態において十分な気密性が得られ、ラミネート外装蓄電デバイスの外装体の内部にガスが発生した場合においては、そのガスを、特定の部位から確実に排出することができるラミネート外装蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】互いに重ね合わせた2枚の外装フィルムが、それぞれの外周縁部に形成された接合部において相互に気密に接合されてなる外装体を有し、当該外装体の内部に形成された収容部に蓄電デバイス要素および電解液が収容されて構成されたラミネート外装蓄電デバイスであって、少なくとも一方の外装フィルムにおける前記接合部以外の部分の内面に、当該外装フィルムの突き刺し強度より高い曲げ強度を有するプレートが接着されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ラミネート外装蓄電デバイスに関し、更に詳しくは、電池やキャパシタ(コンデンサ)などの蓄電デバイス要素が、外装フィルムよりなる外装体によって収容されてなるラミネート外装蓄電デバイスに関する。
近年、正極板と負極板とがセパレータを介して巻回または交互に積層されて構成された電池要素などの蓄電デバイス要素を、電解液と共に2枚の外装フィルムよりなる外装体内に収容してなるラミネート外装蓄電デバイス(電池やキャパシタ)が、携帯機器や電気自動車等の電源として使用されている。
かかるラミネート外装蓄電デバイスにおいては、過充電されたり、高温にさらされたりすることにより、電解液が電気分解または加熱分解されることに起因して、外装体の内部に可燃性ガス等のガスが発生し、これにより、外装体の内部圧力が上昇することがある。 而して、このような問題を解決するため、外装体における2枚の外装フィルムの接合部の一部分に接合力の弱い部分(以下、「弱接合部分」ともいう。)を形成し、内部のガス圧が上昇した場合に、この弱接合部分をガス抜き用の安全弁として機能させる構成の安全機構や、内部圧力が所定の値以上に上昇したときに自動的に開口して、可燃性ガスなどを外部に排気する安全弁を有する安全機構などが設けられたラミネート外装蓄電デバイスが提案されている(例えば、特許文献1乃至特許文献5参照)。
図10に、外装体における接合部位に弱接合部分が形成されてなる安全機構が設けられたラミネート外装蓄電デバイスの一例における構成を分解して示す。このラミネート外装蓄電デバイス50の外装体は、上部外装フィルム51Aと下部外装フィルム51Bとが重ね合わされた状態で、それぞれの外周縁部がその全周にわたって熱シールされて接合部52が形成されることにより、内部に蓄電デバイス要素を収容する収容部が形成されてなるものであり、外装体の収容部内には、薄型の蓄電デバイス要素(例えば、電池要素やキャパシタ要素)55が有機電解液と共に収容されている。
このラミネート外装蓄電デバイス50には、接合部52の一部分に、弱接合部分53が設けられており、この弱接合部分53が安全弁として作用することによって外装体内において多量のガスが発生した場合にも、そのガスを弱接合部分53から放出させて圧力開放を行うことにより、外装体が破裂することが防止される。具体的には、弱接合部分53は、接合部52における他の部分よりシール強度が低くなっており、外装体における蓄電デバイス要素(電池要素やキャパシタ要素)55が収容された収容部の内部圧力が所定の値に達すると、弱接合部分53が優先的に剥離して排気口が形成されるものである。
また、この図の例においては、外装体は長方形の輪郭形状を有しており、短辺側の2辺の各々から、蓄電デバイス要素(電池要素やキャパシタ要素)55を構成する複数の正極板の各々に電気的に接続された共通の正極リード部材である正極用電源タブ56、および複数の負極板の各々に電気的に接続された共通の負極リード部材である負極用電源タブ57が引き出されている。
このような構成のラミネート外装蓄電デバイスにおいては、安全機構を構成する弱接合部分には、収容用空間の内部圧力が所定の値に達したときに確実に剥離して排気口が形成され、かつ、通常の使用状態においては、確実に密閉されて十分な信頼性が確保される程度のシール強度が要求される。然るに、製造上の観点から、このようなシール強度を有する弱接合部分を確実に形成することは容易ではない。
また、ラミネート外装蓄電デバイスの安全機構としては、接合部が形成された領域の少なくとも一箇所に、非接合部位が蓄電デバイス要素が収容される収容部に連続しかつ収容部に対して入り江状に設けられることにより、圧力集中部が形成され、この非接合部位が形成された領域に、外装フィルムの剥離によって内部と外部とを連通させる圧力開放部が形成されてなるものが提案されている(特許文献6参照)。
しかしながら、このような安全機構においては、内部圧力が急激に上昇した場合には、圧力集中部で剥離が生じにくいため、外装体が破裂する恐れがあり、また、圧力開放部による開放圧力が低圧すぎると、高温環境下において使用したときには、実質的な使用寿命が尽きる前に一時的に膨張して圧力開放してしまうことがあり、コスト面でのデメリットが大きい上に、十分な気密性を確保することが困難である、という問題がある。
特許第3554155号公報 特開平05−013061号公報 特開平11−086823号公報 特開2006−236605号公報 特開2007−157678号公報 特許第3859645号公報
本発明は、以上の事情に基づいてなされたものであって、その目的は、通常の使用状態において十分な気密性が得られ、ラミネート外装蓄電デバイスの外装体の内部にガスが発生した場合においては、そのガスを、特定の部位から確実に排出することができるラミネート外装蓄電デバイスを提供することにある。
本発明のラミネート外装蓄電デバイスは、互いに重ね合わせた外装フィルムが、それぞれの外周縁部に形成された接合部において相互に気密に接合されてなる外装体を有し、当該外装体の内部に形成された収容部に蓄電デバイス要素および電解液が収容されて構成されたラミネート外装蓄電デバイスであって、
少なくとも一方の外装フィルムにおける前記接合部以外の部分の内面に、当該外装フィルムの突き刺し強度より高い曲げ強度を有するプレートが接着されていることを特徴とする。
本発明のラミネート外装蓄電デバイスにおいては、前記外装フィルムの各々の外周縁部に、当該外装フィルムの接合部に包囲され、当該外装体の前記収容部に連通する非接合部位が形成されており、少なくとも一方の外装フィルムにおける前記非接合部位の内面にプレートが接着されていることが好ましい。
また、本発明のラミネート外装蓄電デバイスにおいては、前記プレートは金属材料よりなることが好ましい。
また、本発明のラミネート外装蓄電デバイスにおいては、前記プレートは突起部分を有することが好ましい。
また、本発明のラミネート外装蓄電デバイスにおいては、複数の前記プレートが前記外装フィルムの内面に接着されていてもよい。
また、本発明のラミネート外装蓄電デバイスにおいては、前記外装体の内部圧力の上昇と共に前記外装フィルムが前記プレートによって穿孔されることにより、当該外装フィルムにガス排出孔が形成される。
本発明のラミネート外装蓄電デバイスにおいては、外装体内における蓄電デハイス要素が収容される収容部内にガスが発生すると、外装体の内部圧力が上昇することにより、外装体が膨張する。而して、外装体を構成する外装フィルムのいずれにもガスを排出するための孔が形成されていないため、通常の使用状態において十分な気密性が得られるが、外装フィルムの少なくとも一方の外装フィルムにおける接合部以外の部分の内面には、当該外装フィルムより高い曲げ強度を有するプレートが接着されているため、外装体の膨張による応力によってプレートが外装フィルムを穿孔することにより、当該外装フィルムにおけるプレートが接着された部位にガス排出孔が形成され、その結果、外装体内のガスが外部に排出される。
従って、本発明のラミネート外装蓄電デバイスによれば、通常の使用状態において十分な気密性が得られ、しかも、外装体の内部においてガスが発生した場合に、当該ガスの発生による内部圧力の上昇に伴って内部が膨張したときには、比較的低い内部圧力で外装フィルムの特定の部位にガス排出孔が形成されるので、発生したガスをガス排出孔から外部に確実に排出することができる。また、予め圧力開放孔が形成された設計ではないので、外装体の機密性を高く保持することができ、高温環境下での一時的な圧力上昇によって、使用寿命が尽きていないにもかかわらず低圧で圧力開放をしてしまうことを抑制することができる。
本発明のラミネート外装蓄電デバイスの一例の構成を示す説明用平面図である。 図1のラミネート外装蓄電デバイスにおける安全機構を示す説明図である。 図2に示す安全機構を示す説明用断面図である。 蓄電デバイス要素の一例の構成を示す説明図である。 上部外装フィルムおよび下部外装フィルムにおける非接合部位が膨張した状態を示す説明用断面図である。 上部外装フィルムにおける非接合部位に、ガス排出孔が形成された状態を示す説明図である。 本発明のラミネート外装蓄電デバイスの安全機構の変形例を示す説明図である。 プレートの変形例を示す説明図である。 比較例2に係るラミネート外装蓄電デバイスの構成を示す説明図である。 従来の安全機構が設けられたラミネート外装蓄電デバイスの一例の構成を示す説明用分解図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のラミネート外装蓄電デバイスの一例の構成を示す説明用平面図であり、図2は、図1のラミネート外装蓄電デバイスにおける安全機構を示す説明図であり、図3は、図2に示す安全機構を示す説明用断面図である。
このラミネート外装蓄電デバイス10においては、外装体20は、それぞれ熱融着性を有する長方形の上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bが、互いに重ね合わせた状態で、それぞれの外周縁部の全周にわたって形成された接合部22において相互に気密に接合されて構成されている。外装体20の内部には、蓄電デバイス要素が収容される収容部23が形成され、当該収容部23内には、蓄電デバイス要素が有機電解液と共に収容されている。
また、図示の例では、上部外装フィルム21Aにおける収容部23を形成する部分には、絞り加工が施されている。
外装体20における上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの外周縁部には、その一辺が収容部23に連通し、その他の辺が接合部22に包囲された、平面が矩形の非接合部位24が形成されている。
上部外装フィルム21Aの非接合部位24の内面には、当該上部外装フィルム21Aを穿孔するための突起部分25aを有するプレート25が接着剤層26によって接着されている。図示の例のプレート25は、三角形の平面形状を有し、このようなプレート25は非接合部位24内に配置されていることが好ましい。特に好ましくは当該プレート25の一辺が非接合部位24における収容部23に連通する一辺上に位置するよう配置されている。
外装体20を構成する上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bとしては、例えば内側からポリプロピレン(以下、「PP」という。)層、アルミニウム層およびナイロン層などがこの順で積層されてなるものを好適に用いることができる。
上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bとして、例えばPP層、アルミニウム層およびナイロン層が積層されてなるものを用いる場合には、その厚みは、通常、50〜300μmである。
上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの縦横の寸法は、収容部23に収容される蓄電デハイス要素11の寸法に応じて適宜選択されるが、例えば縦方向の寸法が40〜200mm、横方向の寸法が60〜300mmである。
また、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの接合部22の接合幅は、例えば2〜15mmである。
また、非接合部位24の寸法としては、接合部22および収容部23の寸法にもよるが、収容部23に連通する一辺の寸法が、5〜40mm、この一辺に垂直な他辺(図1において上下方向の辺)の寸法は例えば3〜12mmである。
プレート25は、上部外装フィルム21Aの突刺し強度より高い曲げ強度を有する材料により構成されている。
一般的にALラミネートフィルムの突刺し強度は、直径1mm、先端形状半径0.5mm(R0.5)の半円形の針を50mm/ minの速さで突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定した場合には、28N程度であれば破ける。
プレート25を構成する材料としては、ステンレス、鉄、銅等の金属材料、セラミックス材料、ポリフェニレンサルファイド、液晶高分子等の樹脂材料を用いることができ、これらの中では、ステンレス、ポリフェニレンサルファイドが好ましい。直径1mm、先端形状半径0.5mm(R0.5)の半円形の針を50mm/ minの速さで、基体に荷重をかけて1mmたわむときの強度を曲げ強度としたとき、プレート25の曲げ強度が使用する上部外装フィルム21Aの突刺し強度を上回る強度であればよい。具体的には50N以上の曲げ強度を有するプレートが好ましい。
また、プレート25の厚みは、例えば0.1〜1mmである。
ラミネート外装蓄電デバイス10を構成する蓄電デバイス要素11は、図4に示すように、セパレータSを介して、それぞれ正極集電体12a上に正極層12が形成されてなる複数の正極板と、それぞれ負極集電体13a上に負極層13が形成されてなる複数の負極板とが交互に積層されて構成された電極積層体11aを有し、この電極積層体11aの上面には、リチウムイオンの供給源であるリチウム金属(リチウム極層)18が配置され、このリチウム金属18上には、リチウム極集電体18aが積層されている。また、19は、リチウム極取り出し部材である。
複数の正極板の各々は、取り出し部材16を介して、共通の正極リード部材である、例えばアルミニウム製の正極用電源タブ14に電気的に接続されている。一方、複数の負極板の各々は、取り出し部材17を介して、共通の負極リード部材である、例えば銅製の負極用電源タブ15に電気的に接続されている。
そして、正極用電源タブ14および負極用電源タブ15の各々は、外装体20における一端および他端から外部に突出するよう引き出されている。
蓄電デバイス要素11を構成する正極層12としては、電極材料を、必要に応じて導電材(例えば、活性炭、カーボンブラック等)およびバインダー等を加えて成形したものが用いられる。正極層12を構成する電極材料としては、リチウムを可逆的に担持可能であれば、特に限定されないが、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiFeO2 等の一般式:Lix y z (但し、Mは金属原子を示し、x、yおよびzは整数である。)で表される金属酸化物等の正極活物質、活性炭などが挙げられる。
また、蓄電デバイス要素11を構成する負極層13としては、電極材料をバインダーで成形したものが用いられる。負極層13の電極材料としては、リチウムを可逆的に担持できるものであれば特に限定されないが、例えばグラファイト、種々の炭素材料、ポリアセン系物質、錫酸化物、珪素酸化合物等の粉末状、粒状の負極活物質などが挙げられる。
また、電解液としては、適宜の有機溶媒中に電解質が溶解されてなるものを用いることが好ましい。有機溶媒の具体例としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、ジメトキシエタン等の非プロトン性有機溶媒が挙げられ、これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、電解質としては、リチウムイオンを生成しうるものが用いられ、その具体例としては、LiI、LiCIO4 、LiAsF4 、LiBF4 、LiPF6 などが挙げられる。
このようなラミネート外装蓄電デバイス10は、例えば以下のようにして製造することができる。
先ず、下部外装フィルム21B上における収容部23となる位置に、蓄電デバイス要素11を配置すると共に、非接合部位24となる部分に、形成すべき非接合部位24と同等の平面形状を有するヒートブロックを配置する。そして、蓄電デバイス要素11上に、プレート25が所要の位置に接着剤によって接着された上部外装フィルム21Aを重ね合わせ、この状態で、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの外周縁部における3辺を熱融着する。これにより、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの外周縁部における3辺に接合部22が形成されると共に、そのうちの一辺に非接合部位24が形成される。
そして、ヒートブロックを取り除いた後、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの間に電解液を注入し、更に、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの外周縁部における未融着の1辺を熱融着することにより、外装体10が形成され、以って、ラミネート外装蓄電デバイス10が得られる。
上記のラミネート外装蓄電デバイス10においては、外装体20内における蓄電デハイス要素11が収容される収容部23内に発生したガスが、外周縁部に形成された非接合部位24内に進入するため、ガスの発生によって外装体20の内部圧力が上昇すると、外装体20の収容部22のみならず、図5に示すように、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの非接合部位24も膨張する。而して、外装体20を構成する上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bのいずれにもガスを排出するための孔が形成されていないため、通常の使用状態において十分な気密性が得られるが、上部外装フィルム21Aの非接合部位24の内面には、上部外装フィルム21Aより高い曲げ強度を有するプレート25が接着されているため、図6に示すように、非接合部位24が更に膨張したときには、非接合部位24の膨張による応力によってプレート25の突起部分25aが当該非接合部位24を穿孔することにより、当該非接合部位24におけるプレート25が配置された部位にガス排出孔27が形成され、その結果、外装体20内のガスが外部に排出される。
従って、このようなラミネート外装蓄電デバイス10によれば、通常の使用状態において十分な気密性が得られ、しかも、外装体20の内部においてガスが発生した場合に、そのガスの発生に伴って内部が膨張したときには、比較的低い内部圧力で上部外装フィルム21Aの非接合部位24の特定の部位にガス排出孔27が形成されるので、発生したガスをガス排出孔27から外部に確実に排出することができる。
このような構成を有する本発明のラミネート外装蓄電デバイスは、リチウムイオンキャパシタなどの有機電解質キャパシタであるものの他、有機電解質電池であるものにも適用することができるが、有機電解質キャパシタが、有機電解質電池に比べ充電容量が小さいが瞬時に充電、放電できる構成を有するものであることから、ガス圧変化が大きくなる可能性があるため、特に、有機電解質キャパシタよりなるものである場合に有効である。
以上、本発明のラミネート外装蓄電デバイスについて、その実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、非接合部位24の形状は、プレート25を収容し得るものであれば特に限定されず、図7に示すように、プレート25と同等若しくは僅かに大きいサイズの三角形のものであっても、その他の適宜の形状を有するものであってもよい。
また、プレート25の平面形状は、適宜の形状に変更が可能であり、例えば図8(a)に示すように、突起部分25aの内角が小さい三角形のもの、図8(b)に示すように、台形の上部に三角形の突起部分25aが形成されてなるもの、図8(c)に示すように、突起部分25aが丸みを有するものであってもよい。このようにプレート25の形状、特に突起部分25aの形状を適宜選択することにより、ガス排出孔27が形成される内部圧力を調整することができる。
また、プレート25は、下部外装フィルム21Bに設けられていてもよい。
また、複数のプレート25が設けられていてもよく、このような場合には、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bのいずれか一方のみに設けられていても、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bの両方に設けられていてもよい。
また、上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bに非接合部位24を形成することは必須ではなく、このような構成においては、外装体20の収容部23における上部外装フィルム21Aおよび下部外装フィルム21Bのいずれか一方の内面に、プレート25が接着されていてもよい。
〈実施例1〉
(1)正極板の作製:
幅200mm、厚み15μmの帯状のアルミニウム箔に、パンチング方式により、開口面積0.79mm2 の円形の複数の貫通孔を千鳥状に配列されるよう形成することにより、開口率42%の集電体前駆体を作製した。この集電体前駆体の一部分に、導電塗料を、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工幅130mm、塗工速度8m/minの塗工条件により、両面合わせた塗布厚みの目標値を20μmに設定して両面塗工した後、200℃で24時間の条件で減圧乾燥させることにより、集電体前駆体の表裏面に導電層を形成した。
次いで、集電体前駆体の表裏面に形成された導電層上に、正極塗料を、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工速度8m/minの塗工条件により、両面合わせた塗布厚みの目標値を150μmに設定して両面塗工した後、200℃で24時間の条件で減圧乾燥させることにより、導電層上に正極層を形成した。
このようにして得られた、集電体前駆体の一部分に導電層および正極層が積層されてなる材料を、導電層および正極層が積層されてなる部分(以下、正極板について「塗工部」ともいう。)が98mm×128mm、いずれの層も形成されてない部分(以下、正極板について「未塗工部」ともいう。)が98mm×15mmとなるように、98mm×143mmの大きさに切断することにより、正極板を作製した。
(2)負極板の作製:
幅200mm、厚み10μmの帯状の銅箔に、パンチング方式により、開口面積0.79mm2 の円形の複数の貫通孔を千鳥状に配列されるよう形成することにより、開口率42%の集電体前駆体を得た。この集電体前駆体の一部分に、負極塗料を、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工幅130mm、塗工速度8m/minの塗工条件により、両面合わせた塗布厚みの目標値を80μmに設定して両面塗工した後、200℃で24時間の条件で減圧乾燥させることにより、集電体前駆体の表裏面に負極層を形成した。
このようにして得られた、集電体前駆体の一部分に負極層が形成されてなる材料を、負極層が形成されてなる部分(以下、負極板について「塗工部」という。)が100mm×128mm、負極層が形成されてない部分(以下、負極板について「未塗工部」という。)が100mm×15mmになるように、100×143mmの大きさに切断することにより、負極板を作製した。
(3)リチウムイオンキャパシタ要素の作製:
先ず、正極板10枚、負極板11枚、厚みが50μmのセパレータ22枚を用意し、正極板と負極板とを、それぞれの塗工部は重なるが、それぞれの未塗工部は反対側になり重ならないよう、セパレータ、負極板、セパレータ、正極板の順で積重し、積重体の4辺をテープにより固定することにより、電極積層ユニットを作製した。
次いで、厚み260μmのリチウム箔を用意し、電極積層体ユニットを構成する各負極活物質1g当り550mAh/gになるようにしてリチウム箔を切断し、この切断したリチウム箔を、厚さ40μmのステンレス網に圧着することにより,リチウムイオン供給部材を作製し、このリチウムイオン供給部材を電極積層ユニットの上側に負極と対向するよう配置した。
そして、作製した電極積層ユニットの10枚の正極板の各々の未塗工部に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した、幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmのアルミニウム製の正極用電源タブを重ねて超音波溶接した。一方、電極積層ユニットの11枚の負極板の各々の未塗工部およびリチウムイオン供給部材の各々に、に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmの銅製の負極用電源タブを重ねて抵抗溶接した。以上のようにして、リチウムイオンキャパシタ要素を作製した。
(4)試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタの作製:
次いで、PP層(厚みが80μm)、アルミニウム層およびナイロン層が積層されてなり、寸法が125mm(縦幅)×160mm(横幅)×0.15mm(厚み)で、中央部分に、105mm(縦幅)×140mm(横幅)の絞り加工が施された上部外装フィルム(接合部となる外周縁部の幅が10mm)と、PP層(厚みが80μm)、アルミニウム層およびナイロン層が積層されてなり、寸法が125mm(縦幅)×160mm(横幅)×0.15mm(厚み)の下部外装フィルムとを作製した。
そして、上部外装フィルムの外周縁部における一辺の中央位置(非接合部位となる位置)に、プレートを接着剤により接着すると共に、当該一辺に対向する他辺の中央位置に、直径1mmの試験用のガス流入口を形成した。ここで、プレートとしては、一辺が5mmの正三角形の平面形状を有し、厚みが0.5mmのステンレス(SUS304)よりなるものを用いた。
以上において、上部外装フィルムの突き刺し強度は28Nであり、プレートの曲げ強度は28Nを超えるものである。
次いで、下部外装フィルム上における収容部となる位置に、リチウムイオンキャパシタ要素を、その正極用電源タブおよび負極用電源タブの各々が、下部外装フィルムの端部から外方に突出するよう配置すると共に、下部外装フィルムの外周縁部上における一辺の中央位置(非接合部位となる位置)に、一辺が5〜8mmの正三角形の平面形状を有するヒートブロックを配置し、更に、リチウムイオンキャパシタ要素に、上部外装フィルムを重ね合わせ、上部外装フィルムおよび下部外装フィルムの外周縁部における3辺(正極用電源タブおよび負極用電源タブが突出する2辺およびプレートが接着された1辺)を熱融着することにより、当該3辺に収容部を取り囲む接合部を形成すると共に、当該3辺のうちの1辺に、収容部に連通する、一辺が5〜8mmの正三角形の非接合部位を形成した。
次いで、管状のガス注入口が形成されたステンレス板と通常のステンレス板とによって、上部外装フィルムおよび下部外装フィルムの外周縁部における未融着の一辺を挟持して固定した。この際、ステンレス板を、そのガス注入口が上部外装フィルムに形成されたガス流入口に重なるよう配置した。
以上のようにして、試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタを合計で10個作製した。
(5)試験:
10個の試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタの各々を、10mmの間隔で離間して配置された2枚のアクリル板の間に配置し、ステンレス板のガス注入口から内部に窒素ガスを注入し、注入された窒素ガスが外部に排出された時点の内部圧力を測定すると共に、上部外装フィルムおよび下部外装フィルムにおける窒素ガスが排出される部位を調べた。
その結果、10個全ての試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタにおいて、プレートによって、上部外装フィルムにおける非接合部位にガス排出孔が形成され、当該ガス排出孔から窒素ガスが排出された。ガス排出時の内部圧力は平均で0.9MPaであった。
上記の結果より、プレートと同等の面積の非接合部位を有する構成では、電解液漏れを起こすことなく外装フィルムにガス排出孔を形成することができることが確認された。
〈実施例2〉
ヒートブロックとして、寸法が5mm×7mmの矩形状の平面形状を有するものを用い、これにより、寸法が5mm×7mmの矩形状の非接合部位を形成したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタを合計で10個作製し、これらについて試験を行った。
その結果、10個全ての試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタにおいて、プレートによって、上部外装フィルムにおける非接合部位にガス排出孔が形成され、当該ガス排出孔から窒素ガスが排出された。ガス排出時の内部圧力は平均で0.8MPaであった。
上記の結果より、プレートの面積より大きい面積の非接合部位を有する構成では、電解液漏れを起こすことなく外装フィルムにガス排出孔を形成することができることが確認された。
〈実施例3〉
プレートとして、一辺が5mmの正三角形の平面形状を有し、厚みが0.5mmのポリフェニレンサルファイド樹脂よりなるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタを合計で10個作製し、これらについて試験を行った。
その結果、10個全ての試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタにおいて、プレートによって、上部外装フィルムにおける非接合部位にガス排出孔が形成され、当該ガス排出孔から窒素ガスが排出された。ガス排出時の内部圧力は平均で0.6MPaであった。
上記の結果より、硬質樹脂よりなるプレートを用いた構成では、電解液漏れを起こすことなく外装フィルムにガス排出孔を形成することができることが確認された。
〈比較例1〉
プレートおよびヒートブロックを用いず、これにより、非接合部位を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタを合計で10個作製し、これらについて試験を行った。
その結果、10個全ての試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタにおいて、接合部が剥離して窒素ガスが排出された。ガス排出時の内部圧力は平均で1.2MPaであった。
上記の結果より、非接合部位を形成せず、プレートを設けない構成では、外装体内部の圧力開放に至るまでに、当該外装体内部が高圧環境になり、爆発による電解液漏れを引き起こす恐れがあることが確認された。
〈比較例2〉
プレートを用いる代わりに、図9に示す構成に従い、一辺が30mm、その他の辺が7mmの矩形状の非接合部位(24)に、外径が5mmで内径が3.5mmの円環状のシール部(28)および当該シール部(28)の中央位置に形成された、直径が3.5mmの貫通孔(29)よりなる安全弁を設けたこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタを合計で10個作製し、これらについて試験を行った。
その結果、10個全ての試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタにおいて、シール部が剥離して窒素ガスが排出された。ガス排出時の内部圧力は平均で0.4MPaであった。
上記の結果より、比較例2に示す安全弁を設けた構成では、外装体内部が低圧環境下でも、短時間で外装体内部の圧力開放が生じることが確認された。
以上の結果より、本発明によれば、一定の圧力で外装体内部の圧力開放を行うことができ、通常の使用状態では気密性が確保され、高温環境下において使用したときにも、実質的な使用寿命が尽きる前に一時的な内圧上昇により簡単に圧力開放が生じることがなく、しかも、爆発して電解液の液漏れを発生させることのないラミネート外装蓄電デバイスを提供することができる。
10 ラミネート外装蓄電デバイス
11 蓄電デバイス要素
11a 電極積層体
12 正極層
12a 正極集電体
13 負極層
13a 負極集電体
14 正極用電源タブ 15 負極用電源タブ 16,17 取り出し部材
18 リチウム金属(リチウム極層)
18a リチウム極集電体
19 リチウム極取り出し部材
20 外装体
21A 上部外装フィルム
21B 下部外装フィルム
22 接合部
23 収容部
24 非接合部位
25 プレート
25a 突起部分
26 接着剤層
27 ガス排出孔
28 シール部
29 貫通孔
50 ラミネート外装蓄電デバイス
51A 上部外装フィルム
51B 下部外装フィルム
52 接合部
53 弱接合部分
55 蓄電デバイス要素
56 正極用電源タブ
57 負極用電源タブ
S セパレータ

Claims (6)

  1. 互いに重ね合わせた外装フィルムが、それぞれの外周縁部に形成された接合部において相互に気密に接合されてなる外装体を有し、当該外装体の内部に形成された収容部に蓄電デバイス要素および電解液が収容されて構成されたラミネート外装蓄電デバイスであって、
    少なくとも一方の外装フィルムにおける前記接合部以外の部分の内面に、当該外装フィルムの突き刺し強度より高い曲げ強度を有するプレートが接着されていることを特徴とするラミネート外装蓄電デバイス。
  2. 前記外装フィルムの各々の外周縁部に、当該外装フィルムの接合部に包囲され、当該外装体の前記収容部に連通する非接合部位が形成されており、少なくとも一方の外装フィルムにおける前記非接合部位の内面にプレートが接着されていることを特徴とする請求項1に記載のラミネート外装蓄電デバイス。
  3. 前記プレートは金属材料よりなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネート外装蓄電デバイス。
  4. 前記プレートは突起部分を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のラミネート外装蓄電デバイス。
  5. 複数の前記プレートが前記外装フィルムの内面に接着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のラミネート外装蓄電デバイス。
  6. 前記外装体の内部圧力の上昇と共に前記外装フィルムが前記プレートによって穿孔されることにより、当該外装フィルムにガス排出孔が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のラミネート外装蓄電デバイス。
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