JPWO2018235376A1 - 表面検査方法、表面検査装置および製品の製造方法 - Google Patents

表面検査方法、表面検査装置および製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

表面検査方法は、凸状の表面を有する試料に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射して、前記凸状の表面で反射した反射光をスクリーンに投射して光学像を形成し、前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させて基準光とし、前記基準光により特定される前記光学像の検査箇所の反射光強度分布に基づき前記試料の表面状態を検査する。

Description

本発明は、表面検査方法、表面検査装置および製品の製造方法に関する。
表面の微小な凹凸等を自動検出する方法として、被検体表面の凹凸疵を魔鏡原理で検査する方法が知られている。特許文献1には、走行する平坦状の鋼板表面に収束光を照射し、鋼板表面で反射した光をスクリーンに投射することで、凹凸疵をスクリーン上で明暗パターンとして顕在化する方法が開示されている。この文献では、鋼板への入射角をθ、光源からの光の波長をλとした場合、cosθ/λを所定値以下にすると凹凸疵を顕在化できることが記載されている。また、特許文献1では、鋼板をロールに巻き付け、このロールに巻き付いている部分を測定することにより、走行する鋼板のパスライン変動の影響を避けることが記載されている。
日本国特開2002−139447号公報
特許文献1に記載の方法で、鋼板のロールに巻き付けた部分に収束光を照射する方法では、収束光の収束点をロール外周と概略一致させるようにしない限り検出性能を一定に維持することができない。なお、特許文献1には、スクリーン上に投射される光学像の拡大倍率についての記載は無いが、ロール径が変化すると、ロール曲率変化に伴い反射光の拡大倍率が変わるため、この場合においても、検出性能を一定に維持することができない。
本発明の第1の態様によると、表面検査方法は、凸状の表面を有する試料に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射して、前記凸状の表面で反射した反射光をスクリーンに投射して光学像を形成し、前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させて基準光とし、前記基準光により特定される前記光学像の検査箇所の反射光強度分布に基づき前記試料の表面状態を検査する。
本発明の第2の態様によると、表面検査装置は、試料の凸状の表面に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射するとともに、前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させる基準光として照射する照射部と、前記試料を保持する試料保持部と、前記試料の凸状の表面から反射した反射光に基づく光学像を形成するスクリーンと、前記スクリーンに形成された前記光学像を検出する検査光検出部と、前記検査光検出部で検出した前記光学像の前記基準光により特定される検査箇所の反射光強度分布に基づき前記試料の表面状態を検出する処理部と、を備える。
本発明の第3の態様によると、凸状の表面を持つ製品の製造方法は、前記凸状の表面を加工し、加工された前記凸状表面に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射して、前記凸状の表面で反射させた反射光をスクリーンに投射して光学像を形成し、前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させて基準光とし、前記基準光により特定される前記光学像の検査箇所の反射光強度分布に基づき前記試料の表面状態を検査し、検査した前記製品の表面状態に基づき、前記製品の良否を判定し、判定結果に基づき前記製品を次の工程に移す。
本発明によれば、試料の凸状の表面の曲率がある程度異なっても、検出性能を一定に維持することが可能である。
本発明の表面欠陥検査装置の第1の実施形態の構成を示す平面図。 図1に示す表面欠陥検査装置の側面図。 被検査試料である試料の表面に照射光を照射した状態における光学像を説明するための拡大図。 スクリーン上における光学像の観察位置をレーザ発振器側から観た平面図。 ラインセンサカメラで取得した光学像の平面模式図であり、(a)は試料の半径11mmの場合、(b)は試料の半径14mmの場合。 異なる半径の試料の光学像および検査条件を対比して示す図。 試料の特定位置Pに対するY軸からの角度θ−拡大倍率の関係を示す特性図。 本発明の第2の実施形態に関する図であり、拡大倍率を一定(20倍)とした場合の、異なる半径の試料の光学像および検査条件を対比して示す図。 本発明の第2の実施形態によって取得した光学像の平面模式図であり、(a)は試料の半径R=11mmの場合、(b)は試料の半径R=14mmの場合。 本発明の表面欠陥検査装置の第3の実施形態の構成を示す側面図。 第3の実施形態における試料の照明領域と観察領域との関係を示す図。 図10に示す2つのラインセンサカメラで検出した光学像の平面模式図であり、(a)はラインセンサカメラ107で検出した光学像、(b)はラインセンサカメラ120で検出した光学像。 本発明の第4の実施形態を示し、光源側から見たスクリーン側の平面図。 本発明の第4の実施形態の表面欠陥検査装置全体の構成を示す平面図。 図14に図示されたフォトダイオードとマスクの斜視図。 照射光の強度分布を示す図であり、(a)はY軸からの距離−相対強度の特性図、(b)はY軸からの距離−積算光量の特性図。 本発明の表面欠陥検査装置の第5の実施形態の構成を示す側面図。 本発明の第5の実施形態の変形例の構成を示す側面図。 本発明の第6の実施形態を示し、本発明による表面検査システム構成図。 本発明の表面欠陥検査装置の第7の実施形態の構成を示す側面図。 円筒状の試料の表面で反射された反射光により形成される光学像がスクリーン上に拡大して投射される状態を示す本発明の原理を説明するための図。 図21に図示された試料上の照射領域を示す図。 図21において、特定位置Pに対するY軸からの角度θ−拡大倍率Mの関係を示す特性図。 本発明の表面欠陥検査装置をピストンロッドの製造工程に適用した工程の流れを示すフローチャート。
本発明によると、検出性能を一定に維持することが可能である。
上記目的を達成する原理について説明する。
図21は、円筒状の試料の表面で反射された反射光により形成される光学像がスクリーン上に拡大して投射される状態を示す図であり、図22は、図21に図示された試料上の照射領域を示す図である。
被検査体である試料150は、中心軸Oを有する断面形状が円、すなわち、円柱状または円筒状の部材である。図21は、試料150を軸方向に対して直交する面で切断した図である。試料150は、Y軸上に頂点Aを有する。
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は、それぞれ、図示の通りとする。Y方向とZ方向は直交しており、X方向はY方向およびZ方向と直交している。Y軸は、試料150の中心軸と頂点Aを結ぶ直線上に位置している。
試料150には、幅(X方向の長さ)W×厚さ(Y方向の長さ)t1の帯状の照射光151が照射される。照射光151の厚さt1は、試料150の半径Rより小さい。照射光151の光軸151aは、XZ面と平行である。照射光151は、Y方向における試料150の頂点Aの上方から試料150の外周表面の照明入射点Bまでの厚さt1の範囲に照射されている。つまり、照射光151は、試料150の頂点Aに対し接点となる光線を含んでいる。この光線は、照射光151の光軸151aとほぼ平行である。従って、照射光151は、試料150の頂点Aに対する接線方向から照射されている。照射光151の光軸151aは、Y方向において、試料150の頂点Aと照明入射点Bとの間の、試料150の外周表面の点Pに位置している。
試料150の照射光151に照射される側の反対側には、試料150の中心軸OからLだけ離間した位置にスクリーン152が配置されている。スクリーン152は、XY面と平行に配置されている。
照射光151の一部は、試料150の外周表面の円弧部ABに照射される。また、照射光151の、試料150の頂点Aより上方の残りの一部は、基準光として試料150の外周表面を通過して直接、スクリーン152に照射され基準像を形成する。頂点Aに接する光線がスクリーン152に投射される点をS0とすると、試料150の頂点Aとスクリーン152上に投射された点S0とは、Y方向において同一の高さとなる。スクリーン152上の点S0を、基準位置として定義する。従って、基準像位置S0より下方の照射光151は、すべて、試料150の外周表面の円弧部ABに、幅Wの帯状に照射されることになる。図22には、試料150の外周表面の円弧部ABに照射される照射領域153に斜線のハッチングを施してある。なお、照射光151は、不図示の照射光源からシリンドリカルレンズ160を介して試料150およびスクリーン152に向けて照射される。
図21において、試料150の点PのY軸に対する角度をθとする。試料150の点Pを特定位置と定義する。上述したように、照射光151の光軸151aの位置は特定位置Pに一致している。特定位置Pにおける照射光151の入射角と反射角は共にu1である。特定位置Pで反射した光線はスクリーン152上の点S1に到達する。特定位置Pからの反射光の仰角をφ1とすれば、スクリーン152上における基準位置S0から点S1までの高さh1は式(1)によって求めることができる。
h1=tan(φ1)・(L+R・sinθ)−R(1−cosθ)…(1)
ここで、φ1=180−2・u1、またu1=90−θである。従って、φ1=2θである。なお、スクリーン152に直接照射される照射光151の厚さt2は、t1/2−R(1−cosθ)となる。
また、特定位置Pから微小角度だけ移動した円弧部AB上の点Qにおいては、照射光151の入射角と反射角は共にu2であり、点Qで反射した光線はスクリーン152上の点S2に到達する。点Qからの反射光の仰角をφ2とすれば、スクリーン152上における基準位置S0から点S2までの高さh2は式(2)によって求めることができる。
h2=tan(φ2)・(L+R・sin(θ+α))−R(1−cos(θ+α))……(2)
ここで、φ2=180−2・u2、またu2=90−(θ+α)である。従って、φ2=2(θ+α)である。なお、αは、円弧部PQに対する中心角である。
同様に、試料150の外周上の照明入射点Bで反射した光線はスクリーン152上の点S3に到達する。従って、円弧部AB上に照射された照射光は、スクリーン152上の点S0〜S3の範囲に投射される。本発明では、いわゆる魔鏡原理を利用し、試料150外周表面の凹凸部をスクリーン152上に投射される反射光の陰影として顕在化する。
詳細は実施形態として後述するが、式(1)により算出される、試料150の特定位置Pの反射光がスクリーン152上に投射される点S1の基準位置S0からの高さh1は、図6に示すように、半径Rが11mmの場合、7.4mmであり、半径Rが14mmの場合で7.42mmである。つまり、半径Rが11mmと14mmとの場合のh1の差は、0.02mmに過ぎない。この値は、スクリーン152上でのラインセンサカメラ107(図2参照)の1画素の画素寸法c(例えば、55μm程度)より小さい。このため、半径Rがある程度異なる場合であっても、試料150の特定位置Pの設定位置(設定高さ)を調整することなく、スクリーン152上の点S1に投射される光学像を観察することが可能である。
次に、試料150上の微小領域(円弧部PQ)の拡大倍率を算出する。円弧部PQをdと置けば、スクリーン152上での周方向の拡大倍率Mは式(3)で得られる。
M=(h2−h1)/d ……(3)
h1とh2は、それぞれ、式1(1)、式(2)から求められる。特定位置Pに対して照射光151の入射角が90°に近い程欠陥検出感度が高くなる。このため、θを概ね5°以下の条件で検査すると仮定すれば、式(1)の第2項であるR(1−cosθ)≒0として扱うことができる。さらに、L>>Rとして考えれば、(L+R・sin(θ+α))≒Lと近似できる。従って、式(3)は式(4)に簡略化して解釈可能である。
M=L(tan(φ2)−tan(φ1))/d ……(4)
上述の通り、φ1=2θ、φ2=2(θ+α)である。また、α=360・d/2πRである。従って、微小領域として取り扱う円弧部PQ、即ちdの寸法が一定であれば、θまたはLの増大に伴い拡大倍率Mが大きくなることが分かる。すなわち、Lが一定の条件下では、試料150上の光学像(欠陥がある場合には欠陥の光学像)がスクリーン152に投射されたとき、スクリーン152上の高さ(Y方向の位置)によって拡大倍率が異なる。
図23は、特定位置Pに対するY軸からの角度θ−拡大倍率Mの関係を示す特性図である。図23では、試料の半径R=8mm(○印)、R=11mm(□印)、R=15mm(△印)それぞれの場合について、d=0.01mm、L=50mmとして式(3)からθと拡大倍率Mの相関を算出した結果を示す。図23に示されるように、試料150における特定位置PのY軸からの角度θの増大(特定位置Pにおける照明入射角u1が小さくなることに相当)に伴い、拡大倍率Mが増加する。θの増大に伴ってh1が大きくなることが式(1)からも読み取ることができる。
図23を参照して、試料150の半径Rが8mm、11mm、15mmの3種類を比較すると、半径Rが小さい程、スクリーン152上での拡大倍率Mが大きくなる。また、図23には、数値を表示していないが、特定位置Pの照明入射角度u1が85°(θ=5°)となる時の拡大倍率Mは、R=8mmの時13.16倍、R=11mmの時9.65倍、R=15mmの時6.67倍である。スクリーン152上でそれぞれの拡大倍率Mが得られる点S1の位置は式(1)から算出可能であり、R=8mmの時h1=8.91mm、R=11mmの時h1=8.94mm、R=15mmのh1=8.99mmである。
図23から、さらに、異径の試料150の外周表面を同一の拡大倍率Mで観察するための条件を得ることができる。例えば、外周表面を20倍に拡大して観察するためのθは、R=8mmの時17.6°、R=11mmの時22.3°、R=15mmの25.7°である。これらを式(1)に代入すれば、スクリーン152上のそれぞれの観察位置である高さh1が求まる。R=8mmの時h1=36.60mm、R=11mmの時h1=52.60mm、R=15mmの時h1=69.30mmである。
このように、試料150の半径R、試料150からスクリーン152までの距離L、特定位置Pに対する角度θ、特定位置Pから反射した光線のスクリーン152上における位置S1、点S1における観察倍率Mについての相関を正確に得ることができる。このため、詳細は後述するが、図8に示すように、試料150の半径Rが異なる場合において、試料150の半径Rの大きさに応じて試料150の表面への照射光151の照明入射角u1を調節することにより、スクリーン152に形成される光学像の拡大倍率Mを一定にすることが可能となる。つまり、試料の半径Rがある程度異なっても一定の検出精度を維持することが可能となる。
−第1の実施形態−
図1〜図6を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明の表面欠陥検査装置の第1の実施形態の構成を示す平面図であり、図2は、図1に示す表面欠陥検査装置の側面図である。
被検査対象である試料100は、例えば、ショックアブソーバに用いられるピストンロッドである。スプリングとショックアブソーバは、サスペンションストラットアセンブリとして自動車の車体に組み込まれる。ピストンロッドは、気密性の高いシリンダ内部を円筒摺動面でシールする円筒状の構造部品であり、その表面に数umの凹凸が存在すると、サスペンションシステムのオイル漏れの原因となる。従ってその真円度、円筒度はマイクロメートルオーダーで管理されており、表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.05um以下である。ピストンロッドはS25C等の低炭素鋼を素材とした円筒部品であり、焼入れと成形工程経た後、表面処理を施してその表面を平坦に仕上げてから組立工程に投入される。被検査対象である試料(以下、単に「試料」という)100であるピストンロッドは、一般的に、直径22mm程度、全長250mm程度に形成されている。試料100の両端には、機械的な取り合いのための接続部100a、100bが形成されている。両端の接続部100a、100bは検査対象外である。
表面欠陥検査装置1は、試料100にレーザ光(照射光)を照射するレーザ発振器104、パウエルレンズ105、シリンドリカルレンズ106、ローラ101a、101b、ラインセンサカメラ107、TVカメラレンズ108およびにスクリーン102を備えている。
試料100は、ローラ101aおよび101bに跨って搭載されている。ローラ101aとローラ101bは、同径を有し、軸心をX軸に平行にした状態で、Y方向に同一の高さ位置に、Z方向に離間して配置されている。試料100は、ローラ101aとローラ101bとの境界部の中心線上に軸心が配置されるように、ローラ101a上とローラ101b上に搭載されている。ローラ101aは、モータ103に連結されている。ローラ101bは、軸心に対し、フリーに回転可能となっている。モータ103を回転駆動することで、ローラ101aが回転し、試料100およびローラ101bが回転する。つまり、モータ103の回転を制御することで、試料100を任意の速度で回転制御可能な構成となっている。
なお、図示はしないが、ローラ101aおよびローラ101bは、移動ステージに装着されており、一体的に上下方向(Y方向)に移動可能とされている。
レーザ発振器(照明光源)104は、例えば、波長670nm、直径2mmの平行ビーム(「照射光」ということもある)10を出力する。レーザ発振器104の出力は、例えば、100mW程度である。レーザ発振器104から出力された平行ビーム10は、パウエルレンズ105でXZ平面のみ扇形に広げる。パウエルレンズ105は、丸みを帯びた稜線を有する円柱レンズであり、レーザラインジェネレータとも称される。レーザ発振器104から出力された平行ビーム10を均一強度分布の直線形状に伸長する用途で多用されている。本実施形態では、パウエルレンズ105は、レーザ発振器104からの直径2mmの平行ビーム10を全角30°に伸長するものとして例示している。なお、レーザ発振器104はシングルモードレーザであり、出力ビームの強度分布はガウシアン分布で、1/e2径を以ってビーム径と称する。すなわち、ビーム径は、ピーク強度値から1/e2(13.6%)に落ちた時の強度での幅としている。
シリンドリカルレンズ106は、図1に図示されるように、XZ平面のみ曲率を有しており、水平方向に凸レンズの作用を有し、垂直方向には、レンズの作用を有していない。レーザ発振器104から出射された平行ビーム10を、シリンドリカルレンズ106により幅(X方向の長さ)Wx厚さ(Y方向の長さ)t1の平行ビーム10に成形する。一例を示せば、焦点距離400mmのシリンドリカルレンズ106を用い、パウエルレンズ105とシリンドリカルレンズ106との間隔を概ね400mmに調節することで、幅W=200mm、厚さt1=2mmの平行ビーム10に成形される。シリンドリカルレンズ106で成形された平行ビーム10は、試料100の外周表面に、帯状に照射される。図1には、シリンドリカルレンズ106を介して試料100の外周表面に照射される照射光の照射領域110を斜めのハッチングで示している。照射光は、試料100の外周表面で反射されてスクリーン102に投射される。試料100の外周表面で反射される反射光は、試料100の外周表面の湾曲面で拡大されてスクリーン102に投射される。
スクリーン102は、試料100のレーザ発振器104側とは反対側に、試料100とは離間して配置されている。スクリーン102に拡大して投射された反射光で形成された光学像は、TVカメラレンズ108を介してラインセンサカメラ107で読み取られ、観察される。TVカメラレンズ108とラインセンサカメラ107とは、同軸に配置され、レーザ発振器104、パウエルレンズ105、シリンドリカルレンズ106が直線状に配列された光学面に対し、仰角βの角度に配置されている。なお、スクリーン102の材料は、レーザ光をほとんど透過せず拡散板として作用する普通紙を用いることができる。また、本実施形態では、ラインセンサカメラ107の仰角βを30°に設定した。
図3は、被検査試料である試料の表面に照射光を照射した状態における光学像を説明するための拡大図である。
図3を用いて、スクリーン102上におけるラインセンサカメラ107の視野と試料100の表面からの反射光との位置関係について説明する。
本実施形態では、試料100上の特定位置Pへの照明入射角u1を87°に設定する。従って、図3におけるθは3°である。試料100を搭載したローラ101a、101bは、上述した通り、不図示の移動ステージにより上下方向に移動可能とされている。予め決められた検査レシピに基づいて、移動ステージにより試料100を上下方向に移動させて、厚さt1の平行ビーム10の光軸10aの高さに試料100の最上部の頂点A(一側縁)の高さを正確に一致させる。この状態から、平行ビーム10の光軸10aが特定位置Pに一致するように、試料100をY方向に上昇させる。試料100の移動量、換言すれば、特定位置Pから頂点Aまでの高さをδとすると、図3において、δ=R(1−cosθ)である。試料100の径は22mmであり、従って、半径R=11mm、またθ=3°であるから、δ=0.015mmとなる。
ここで、試料100に照射されずにスクリーン102に、直接、照射される照射光10の厚さt2は、t1/2−δで求まる。t1=2mmであることからt2=0.985mmとなる。厚さt1の平行ビーム10の最下面の光線が試料100外周表面に照射される照明入射点Bに対するY軸からの角度をvとすると、cos(v)=(R−(t1/2+δ))/Rである。この関係式から、角度vは、24.8°となる。
試料100の中心軸Oからスクリーン102までの間隔Lを70mmとすれば、照明入射点Bで反射した光線はスクリーン102上の点S3に到達した時の高さh3は、式(1)のφ1をvに置き換えるによって求めることができ、h3=86.66mmとなる。また、θ=3°であることから、特定位置Pで反射した光線はスクリーン102上の点S1に到達した時、式(1)によって、h1=7.40mmと求められる。S1における試料100表面の周方向の拡大倍率Mを式(3)で算出すると、M=13.03である。
図4は、スクリーン上における光学像の観察位置をレーザ発振器側から観た平面図である。
スクリーン102の寸法は、例えば、280mm×150mmである。試料100の表面で反射した光束は、2点鎖線で示す幅W=200mm×高さh3=86.66mmの投射領域12に投射される。但し、この投射領域12には、試料100に照射されない照射光10の基準光により形成される基準像としての直接照明範囲11が含まれている。つまり、厚さt1の平行ビーム10のうち、試料100の頂点Aより上方の領域の基準光としての厚さt2の光束は、スクリーン102の直接照明範囲11に投射され基準像を形成する。ラインセンサカメラ107の視野位置109は、スクリーン102上の点S0を基準位置としてh1の高さに合わせる。本実施形態では、h1=7.40mmである。
ラインセンサカメラ107は4096画素で、1画素の素子寸法cは5.5umの正方形状である。これをTVカメラレンズ108で10倍に拡大してスクリーン102と共役関係に配置している。スクリーン102上でのラインセンサカメラ107の1画素の素子寸法cは55umである。これらの条件からラインセンサカメラ107の視野長Cは225mmとなり、反射光の投射領域の幅W=200mmを包含する。
モータ103を回転駆動して試料100を1回転させ、試料100の周方向全面を観察する検査時間について述べる。スクリーン102上でのラインセンサカメラ107の1画素の素子寸法をc、ラインレートをfと定めたとき、試料100の半径R、スクリーン102上における拡大倍率Mから、試料100表面の全面検査を行うための回転の角速度Nの最大値は式(5)によって得ることができる。
N≦c・f/(2πR・M) ……(5)
ここで、c=0.055mm、f=5kHz、R=11mm、M=13.03倍の場合、N≦0.3054rpsとなり、この逆数をとれば試料1本当りの検査時間が約3.27sec/本となることが分かる。
上記は、試料100の半径Rを11mmとして説明したが、これ以外の径の試料100についても同一の方法で検査可能である。例えば、R=14mmの試料について、被検査面への照明入射角が87°となる条件で検査する場合を以下に述べる。
図3においてδ=R(1−cosθ)である。特定位置Pの位置θ=3°は同一となるが、R=14mmであるから、δ=0.019mmとなる。ここで、試料100に照射されずにスクリーン102に直接照射される照射光10の厚さt2は、t1/2−δで求まる。t1=2mmであることからt2=0.981mmとなる。また、試料100の外周の照明入射点Bの角度vについては、cos(v)=(R−(t1/2+δ))/Rの関係式から、22.0°となる。試料100の回転の中心軸Oからスクリーン102までの間隔Lは70mmである。照明入射点Bで反射した光線はスクリーン102上の点S3に到達した時、式(1)のφ1をvに置き換えるによって求めることができ、h3=71.64mmとなる。同様に、θ=3°であることから、特定位置Pで反射した光線はスクリーン102上の点S1に到達した時、式(1)によってh1=7.42mmと求められる。S1における試料100表面の拡大倍率Mを式(3)で算出すると、M=10.27である。
図4において、試料100表面で反射した光束は、2点鎖線で示す幅W=200mm×高さh3=71.64mmの投射領域12に投射される。ラインセンサカメラ107の視野位置109はスクリーン102上の点S0を基準としてh1の高さに合わせる。試料100の半径R=14mmの場合、h1=7.42mmとなる。半径R=11mmの試料100ではh1=7.40mmである。スクリーン102上でのラインセンサカメラ107の画素寸法cは0.055mmである。従って、半径Rが異なる上記2例の試料100におけるh1の差(0.02mm)は、スクリーン102上でのラインセンサカメラ107の画素寸法cよりも小さい。それ故、ラインセンサカメラ107の視野位置109の変更は不要である。つまり、試料100の半径R=11mmとR=14mmとの表面欠陥検査は、試料100の特定位置Pの設定位置(設定高さ)を変えることなく、継続して行うことができる。なお、ラインセンサカメラ107の画素寸法cや観察する試料100の状態によっても異なるが、通常、h1の差が、スクリーン102上における1画素の画素寸法c以内であれば、試料100の特定位置Pの設定位置(設定高さ)を変更する必要はがないものと判断される。
モータ103を駆動して試料100を1回転させ、試料100の周方向全面を観察する検査時間について述べる。ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを5kHzとすれば、c=0.055mm、R=14mm、M=10.27倍であるから、式(5)よりN≦0.3044rpsとなる。この逆数をとれば試料1本当りの検査時間は、約3.29sec/本となる。試料100の半径R=11mmの場合、検査時間は約3.27sec/本であり、ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを一定として検査を行う場合、試料100の径に応じて検査時間が変動する。但し、実用上、両者はほぼ同一と見なせる。試料100の径が拡大した一方で検査時間がほぼ同一となる理由は、スクリーン102上における試料100表面の拡大倍率Mの差が原因である。R=11mmの場合は拡大倍率M=13.03倍であるのに対し、R=14mmの場合はM=10.27倍と倍率が小さくなる。
スクリーン102上のラインセンサカメラ107の画素寸法cは0.055mmであるから、スクリーン102に投射された光学像を、スクリーン102を介して試料100の周方向をc/Mの空間分解能で観察することに相当する。試料100の径によって周方向の観察分解能が異なり、ラインセンサカメラ107で得られる光学像の画素寸法cは、R=11mの場合は4.22um、R=14mmの場合は5.36umとなっている。
以上の結果が、図6に示されている。図6は、異なる半径の被検査体の光学像および検査条件を対比して示す図であり、試料の半径は、11mmと14mmである。
なお、図6にも図示されているように、試料100の外周面全面を観察するに要する検査時間は、試料100の半径R=11mmの場合は、3.27sec/本、半径R=14mmの場合は、3.29sec/本である。しかし、試料100の半径R=11mmおよびR=14mmの場合に、両者の検査時間が同一となるように他の条件を設定することもできる。
以下に、その設定条件について述べるが、ここでは、検査時間3sec/本とする場合として例示する。
試料100が半径R=11mmの場合、検査時間を3sec/本で終了するためには、式(5)においてスキャンレートfを未知数として求めれば良い。検査時間3sec/本の逆数が角速度に相当するため、N=1/3として代入すると、スキャンレートf=5.458kHzとなる。また、試料が半径R=14mmの場合、式(5)においてN=1/3として代入すると、スキャンレートf=5.475kHzとなる。従って、ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを、試料100が半径R=11mmの場合には、5.458kHzとし、試料100が半径R=14mmの場合には、5.475kHzとすれば、どちらの場合も、試料100の全面検査を3sec/本で終了することができる。この様に、ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを変更することで、異径の試料100の表面欠陥検査を同一のタクトで行うことができる。
図5は、ラインセンサカメラで取得した光学像の平面模式図であり、図5(a)は試料の半径11mmの場合、図5(b)は試料の半径14mmの場合である。なお、図5(a)、5(b)において、試料100の軸方向をx、周方向をyとする。
図5(a)は、半径R=11mmの試料100を0.3054rpsで1回転させつつ、ラインセンサカメラ107のスキャンレートf=5kHzの条件に設定して検出したスクリーン102上の反射光強度分布である。この場合の検査時間は3.27sec/本である。x方向については、試料100の曲率による倍率変化は無い。従って、スクリーン102上でのラインセンサカメラ107画素寸法cは0.055mmであり、照射光10の幅Wと同じ200mmの範囲が検出される。x方向の画素数は200/0.055=3636画素である。y方向は、試料100の周方向の展開長であり、69.1mmの範囲が検出されている。y方向については、試料100の曲率によって拡大倍率Mが変化する。ラインセンサカメラ107の画素寸法cは、上述の通り4.22umである。y方向の画素数は、69.1/0.00422=16374画素である。
図5(b)は、半径R=14mmの試料100を0.3044rpsで1回転させつつ、ラインセンサカメラ107のスキャンレートf=5kHzに設定して検出したスクリーン102上の反射光強度分布である。検査時間は3.29sec/本である。x方向の画素数は図5(a)と同様に、3636画素である。y方向は、試料100の周方向の展開長であり、88.0mmの範囲が検出されている。y方向の画素寸法cは、上述の通り5.36umである。y方向の画素数は、88.0/0.00536=16418画素である。
これらの検出光学像では、試料100表面の凹凸欠陥が魔鏡原理によって輝点と黒点として顕在化される。図5(a)に図示された像51、および図5(b)の像54は共に黒点であり、試料100表面の凸欠陥に相当する。但し、試料100表面に付着した塵埃等についても黒点として顕在化するため、検査前に試料100表面を清浄化することが好ましい。図5(a)に図示された像52、および図5(b)に図示された像53、55は輝点であり、試料100表面の凹欠陥に相当する。試料100表面が無欠陥の場合、検出光学像上で陰影変化は生じない。
図5(a)、図5(b)に示した検出光学像上の欠陥形状は共に、x方向とy方向の画素寸法cが異なり、x方向に対してy方向が引き伸ばされた形として検出されている。
上述したように、試料100の径が大きくなると、y方向の拡大倍率Mが小さくなるため、図5(a)と図5(b)とでは試料100の外周面の長さが異なるが、x軸方向ではほぼ同一のサイズの画像として検出されている。
図5(a)、図5(b)に示した像51〜55は、画像処理装置(図示せず)によって抽出され、欠陥座標、欠陥寸法、欠陥種別等の欠陥情報が記憶手段(図示せず)に記録される。
第1の実施形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)凸状の表面を有する試料100に、所定の幅Wおよび所定の厚さt1を有する照射光10の一部を照射して、前記凸状の表面で反射した反射光をスクリーン102に投射して光学像を形成するとともに、前記照射光10の一部を除く前記照射光10を基準光として凸状の表面を通過させてスクリーンに直接照射して基準像を形成し、基準像により特定される光学像の検査箇所の反射光強度分布に基づき試料の表面状態を検査する。この構成によれば、試料100の半径Rがある程度異なっても、検出性能を一定に維持することが可能である。
(2)試料100に照射される照射光の一部は、光強度のピーク値を含んでいる。このため、スクリーン102に光学像の陰影パターンを投射するうえで、レーザ発振器104から出力される照射光10を最も効率的に活用することができる。
(3)試料100を、中心軸Oを中心に回転させながら試料100に照射光を照射し、試料100の周方向全表面をスクリーン102に投射する。このため、小さな装置により、スクリーン102に投射された試料100の外周面全面を検査することができる。
(4)試料100の中心軸Oから照射光10の光軸10aまでの距離は、試料100の半径R以下である。このため、試料100の反射光が、ほぼ同一のXY座標内に投射され、スクリーン102の面積を小さくすることが可能となる。
−第2の実施形態−
第1の実施形態では、試料100の半径Rが異なる場合であっても、スクリーン102に投射される、試料100の特定位置Pに対応する光学像の高さ(Y方向)の位置を、ほぼ同一とすることが可能な表面欠陥検査装置について説明した。
第2の実施形態では、試料100の半径Rが異なる場合であっても、スクリーン102に投射される光学像の拡大倍率を同一にすることが可能な表面欠陥検査装置について説明する。
第2の実施形態においても、表面欠陥検査装置1の構成は、第1の実施例と同一である。つまり、第1の実施形態に示す表面欠陥検査装置1は、第2の実施形態における表面欠陥検査装置としても用いることが可能である。
以下、表面欠陥検査装置1により、半径R=11mmおよびR=14mmの試料100の表面欠陥を検査する場合を例として、図1〜図4を参照して、その詳細を述べる。
図3には、第1の実施形態にて説明した通り、被検査体である試料の表面に照射光を照射した状態における光学像が図示されている。
図7は、試料の特定位置Pに対するY軸からの角度θ−拡大倍率の関係を示す特性図を示す。試料の半径Rは、11mm(○印)と14mm(×印)である。試料100の中心軸Oからスクリーン102までの距離L=70mmであり、円弧部PQ(図21参照)の長さd=0.01mmである。
先ず、スクリーン102上における試料100の外周表面の拡大倍率Mを設定する。異径の試料100に対してその外周表面を同一の拡大倍率Mで観察するための角度θを図7から読み取ることができる。例えば、試料100外周表面を20倍に拡大するための条件は、半径R=11mmの場合ではθ=17.3°、半径R=14mmの場合ではθ=21.1°である。特定位置Pにおける照明入射角u1(図21参照)は90−θであるから、それぞれの照明入射角u1はR=11mmの場合72.7°、R=14mmの場合68.9°となり、試料100の半径Rに応じて異なる条件に設定する。
次に、試料100に入射する平行ビーム10の光軸10aの高さを特定位置Pに一致させる。図3において、δ=R(1−cosθ)である。試料100の半径R=11mmであり、θ=17.3°であるから、δ=0.498mmとなる。また、試料100に照射されずにスクリーン102に直接照射される基準光としての照射光10の厚さt2は、t1/2−δで求まる。t1=2mmであることからt2=0.502mmとなる。
また、試料100の外周上の照明入射点Bの角度vについては、cos(v)=(R−(t1/2+δ))/Rの関係式から、30.2°となる。試料100の中心軸Oからスクリーン102までの間隔Lを70mmとすれば、照明入射点Bで反射した光線はスクリーン102上の点S3に到達した時、式(1)のφ1をvに置き換えるによって求めることができ、h3=129.30mmとなる。同様に、θ=17.3°であることから、特定位置Pで反射した光線はスクリーン102上の点S1に到達した時、式(1)によってh1=50.05mmと求められる。
図4において、上述したように、スクリーン102の寸法は、280mm×150mmである。試料100表面で反射した光束は、2点鎖線で示す幅W=200mm×高さh3=129.30mmの投射領域12に投射される。但し、この投射領域12には試料100に照射されない照射光10による基準像としての直接照明範囲11が含まれている。ラインセンサカメラ107の視野位置109は、スクリーン102上の点S0を基準としてh1の高さに合わせる。本実施例では上述の通りh1=50.05mmである。
以上、試料100の半径R=11mmの場合について説明したが、半径R=14mmの場合は角度θ=21.1°であり、それぞれ次の値となる。図3において、δ=R(1−cosθ)のため、δ=0.939mmである。試料100に照射されずにスクリーン102に直接照射される照射光10の厚さt2は、t1/2−δで求まる。t1=2mmであることからt2=0.061mmである。試料100の外周上の照明入射点Bの角度vについては、cos(v)=(R−(t1/2+δ))/Rの関係式から、30.5°となる。試料100の中心軸Oからスクリーン102までの間隔Lを70mmとすれば、照明入射点Bで反射した光線はスクリーン102上の点S3に到達した時、式(1)のφ1をvに置き換えるによって求めることができ、h3=137.16mmとなる。同様に、θ=21.1°であることから、特定位置Pで反射した光線はスクリーン102上の点S1に到達した時、式(1)によってh1=67.10mmと求められる。
従って、図4において、試料100表面で反射した光束が、2点鎖線で示す幅W=200mm×高さh3=137.16mmの投射領域12に投射される。但し、この投射領域12には、試料100に照射されない照射光10による直接照明範囲11が含まれている。ラインセンサカメラ107の視野位置109はスクリーン102上の点S0を基準としてh1の高さに合わせる。半径R=14mmの試料100の場合、上述の通りh1=67.10mmである。
次に、試料100の回転数とラインセンサカメラ107のスキャンレートfの関係を求める。ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを5kHzとすれば、c=0.055mm、R=11mm、M=20倍であるから、式(5)よりN≦0.1989rpsとなる。この逆数をとれば、R=11mmの試料1本当りの検査時間は、約5.03sec/本となる。試料100の半径R=14mmの場合は、式(5)よりN≦0.1563rpsとなる。この逆数をとれば、試料1本当りの検査時間は、約6.40sec/本となる。この様にラインセンサカメラ107のスキャンレートfを一定として検査を行う場合、試料100の径に応じて検査時間が変動する。
スクリーン102上のラインセンサカメラの画素寸法cは0.055mmであるから、スクリーン102に投射された光学像を、スクリーン102を介して試料100の周方向をc/Mの空間分解能で観察することに相当する。本実施形態の場合、試料100の半径Rによらず拡大倍率Mは20倍となるため、ラインセンサカメラ107で得られる光学像の試料100の外周方向の画素寸法cは共に2.75umである。
以上の結果が、図8に図示されている。図8は、本発明の第2の実施形態に関する図であり、拡大倍率Mを一定(20倍)とした場合の、異なる半径の試料の光学像および検査条件を対比して示す図である。試料100の半径Rは、11mmと14mmであり、各数値は、上記で説明した内容の結果を示す。各試料100の特定位置Pに対するY軸からの角度θ(このときの照明入射角はu1である)を、図8に示す角度に設定することにより、スクリーン102に拡大倍率Mが同一(20倍)の光学像を投射することができる。
図9は、本発明の第2の実施形態によって取得した光学像の平面模式図であり、図9(a)は試料の半径R=11mmの場合であり、図9(b)は試料の半径R=14mmの場合である。
なお、図9(a)は図5(a)と、図9(b)は図5(b)と、それぞれ、同一の欠陥を有する試料の検査結果である。なお、図9(a)、9(b)において、試料100の軸方向をx、周方向をyとする。
図9(a)は、半径R=11mmの試料100を0.1989rpsで1回転させつつ、ラインセンサカメラ107のスキャンレートf=5kHzの条件に設定して検出した光学像である。検査時間は5.03sec/本である。x方向については、試料100の曲率による倍率変化は無い。従って、画素寸法cは0.055mmであり、照射光10の幅Wと同じ200mmの範囲が検出される。x方向の画素数は200/0.055=3636画素である。y方向は、試料100の周方向の展開長であり、69.1mmの範囲が検出されている。y方向については、試料100の曲率によって拡大倍率が変化する。ラインセンサカメラ107の画素寸法cは、上述の通り2.75umである。y方向の画素数は69.1/0.00275=25127画素である。
図9(b)は、半径R=14mmの試料100を0.1563rpsで1回転させつつ、ラインセンサカメラ107のラインレートf=5kHzの条件に設定して検出した光学像である。検査時間は6.40sec/本である。x方向の画素数は図9(a)と同じで3636画素である。y方向は、試料100の周方向の展開長であり、88.0mmの範囲が検出されている。図9(b)の光学像についてもy方向の画素寸法cは2.75umである。y方向の画素数は88.0/0.00275=32000画素である。
図9(a)、図9(b)に示した検出光学像上の欠陥形状は共に、x方向とy方向の画素寸法が異なり、x方向に対してy方向が引き伸ばされた形として検出されている。検出光学像のy方向の画像サイズは図9(a)よりも図9(b)の方が大きい。図9(a)の像51、および図9(b)の像54は共に黒点であり、試料100表面の凸欠陥に相当する。図9(a)の像52、および図9(b)の像53、55は輝点であり、試料100表面の凹欠陥に相当する。図9(a)、図9(b)で検出された像51〜55のx方向の画素数は、図5(a)、図5(b)と同じである。但し、y方向については、図5(a)、図5(b)よりも引き伸ばされた形となって検出される。図9(a)、図9(b)では、y方向の拡大倍率Mが共に20倍となっているため、像51〜55の大小関係を、直接、比較することができる。
図9(a)、図9(b)に示した像51〜55は、画像処理装置(図示せず)によって抽出され、欠陥座標、欠陥寸法、欠陥種別等の欠陥情報が記憶手段(図示せず)に記録される。
第2の実施形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)円筒状の試料100に、のレーザ光(照射光)10を照射し、試料100の円筒部の表面で反射して拡大された反射光をスクリーン102に投射して光学像を形成し、該光学像に基づき試料の表面状況を検査する表面検査方法であり、照射光10は、試料100の頂点Aの位置から厚さ方向に所定長さ離間した特定位置Pまでの領域を含み、一側縁に対する接線方向に向けて照射され、スクリーン102には、特定位置Pで反射された反射光を含んで投射され、スクリーンには、特定位置で反射された反射光を含んで投射される。この構成によれば、試料100の特定位置Pの設定位置(設定高さ)を調節することにより、スクリーンに投射される光学像の拡大倍率Mを一定にすることができ、試料100の半径Rがある程度異なっても一定の検出精度を維持することが可能となる。
−第3の実施形態−
図10〜図12を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。
図10は、本発明の表面欠陥検査装置の第3の実施形態の構成を示す側面図である。
第3の実施形態の表面欠陥検査装置1Aは、第1および第2の実施形態の表面欠陥検査装置1に対し、さらに、ラインセンサカメラ120およびTVカメラレンズ121を付随して備えている。
ラインセンサカメラ120およびTVカメラレンズ121は、同軸に配置され、XZ平面に対してγの仰角から試料100の外周表面を、直接、観察する。仰角γは5°〜90°の範囲内で最適な角度とする。本実施形態では、仰角γ=45°として例示する。ラインセンサカメラ120とTVカメラレンズ121とを配列する仰角γは、ラインセンサカメラ107との干渉を避ける必要がある。ラインセンサカメラ120とTVカメラレンズ121とは、それぞれ、ラインセンサカメラ107とTVカメラレンズ108と同一仕様である。
図11は、第3の実施形態における試料の照明領域と観察領域との関係を示す図である。図11はXZ平面図である。
ラインセンサカメラ120の視野位置122は、シリンドリカルレンズ106を介して試料100の外周表面に照射される照射光の照射領域110と一致させる。ラインセンサカメラ120は4096画素で、1画素の素子寸法cは5.5umの正方形状である。これをTVカメラレンズ121で10倍に拡大して試料100の表面と共役関係に配置している。試料100上でのラインセンサカメラ120の1画素の素子寸法cは55umである。これらの条件からラインセンサカメラ120の視野長Caは225mmとなり、試料100上の照明領域の幅W=200mmを包含している。
モータ103を回転駆動して試料100を回転させ、ラインセンサカメラ107で試料100の表面の光学像を検出する条件について述べる。先ず、ラインセンサカメラ107でスクリーン102を観察するための条件を設定する。試料100表面への照明入射角u1=87°(θ=3°)とし、試料100の半径R=11mm、試料100の中心軸Oからスクリーン102までの距離L=70mmとする。この場合、スクリーン102上の点S0を基準とした高さh1=7.40mmとなり、この時のスクリーン102上の位置S1をラインセンサカメラ107で観察することで、スクリーン102上での試料100の表面の拡大倍率M=13.03倍が得られることを第1の実施形態で説明した。さらに、スクリーン102上でのラインセンサカメラ107の1画素の素子寸法c=0.055mm、ラインレートをf=5kHzすれば、試料100表面の全面検査を行うためのロッド回転の角速度Nの最大値は、式(5)から得られ、N≦0.3054rpsとなることも示した。
ラインセンサカメラ120のスキャンレートfについても、式(5)でfを未知数として算出することができる。但し、ラインセンサカメラ120は試料100の外周表面を、直接、観察するため、拡大倍率M=1として取り扱う。式(5)において、N=0.3054rps、c=0.055mm、R=11mm、M=1とした時、f=383.8Hzが得られる。ラインセンサカメラ120のスキャンレートfは384Hzとして用いる。即ち、ラインセンサカメラ107のラインレートの1/13.03に設定すれば良い。
図12は、図10に示す2つのラインセンサカメラで検出した光学像の平面模式図であり、図12(a)はラインセンサカメラ107で検出した光学像であり、図12(b)はラインセンサカメラ120で検出した光学像である。
図12(a)はR=11mmの試料100を0.3054rpsで回転させつつ、ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを5kHzの条件に設定して検出したスクリーン102上の反射光強度分布であり、図5(a)と同様な光学像である。但し、図5(a)の像51を凸欠陥として例示しているのに対し、図12(a)では、像58を塵埃として示している。検査時間は3.27sec/本である。試料100の軸方向をx、周方向をyとする。x方向については、試料100の曲率による倍率変化は無い。従って、画素寸法cは0.055mmであり、照射光10の幅Wと同じ200mmの範囲が検出される。x方向の画素数は200/0.055=3636画素である。y方向はロッド周方向の展開長であり、69.1mmの範囲が検出されている。y方向については、ロッド曲率によって拡大倍率Mが変化するため、画素寸法cは0.055/13.03=4.22umである。y方向の画素数は、69.1/0.00422=16374画素である。
図12(b)はラインセンサカメラ120で検出した光学像の模式図であり、スキャンレートfを384Hzの条件に設定して検出した試料100表面の散乱光強度分布である。検査時間は図12(a)と同様、3.27sec/本である。x方向、y方向の画素寸法cは共に0.055mmである。x方向の画素数は図12(a)と同様3636画素である。y方向は、試料100の周方向の展開長であり、69.1mmの範囲が検出されている。y方向の画素数は、69.1/0.055=1256画素である。
図12(a)における像52は輝点であり、試料100表面の凹欠陥に相当する。ラインセンサカメラ120で検出した光学像である図12(b)では、試料100表面の突起によって生じる散乱光が輝点として顕在化される。58、56、57が検出された輝点である。ラインセンサカメラ120による検出では、試料100表面の凹欠陥には検出感度を有さない。このため、図12(a)における像52は、図12(b)の検出画像によっても、凹欠陥であることを確認することができる。
像58については、図12(a)からのみでは欠陥であるのか塵埃であるのか見分けがつかない。ラインセンサカメラ120で検出した光学像も、ラインセンサカメラ107で検出した光学像も、欠陥あるいは塵埃の形状を反映した形状の光学像を検出する。上述の通り、図12(b)の検出光学像におけるx方向、y方向の画素寸法cは共に0.055mmである。図12(a)における像58と図12(b)における像58とは、xy座標が一致している。このことから、図12(a)における像58と図12(b)における像58とは、同一の対象物であると判断される。像58の形状は、糸屑のような塵埃の形状を示している。このため、像58は、試料100表面の欠陥ではなく、表面に付着した塵埃である可能性が高いと判断する。
上述の通り、図12(b)の検出光学像におけるx方向、y方向の画素寸法cは共に0.055mmである。暗視野照明による欠陥検出の場合、画素寸法cよりも小さな微小欠陥に対しても検出感度を有する。このため、図12(b)には、図12(a)にて検出されない像56、57が検出されている。図12(b)における像56、57の形状は、真円に近い。一般的に、真円に近い塵埃は存在しない。従って、図12(b)に示された像56、57は、試料100表面の凹欠陥である可能性が高いと判断する。
図12(a)、図12(b)に示した像58、52、56、57は、画像処理手段(図示せず)によって抽出され、欠陥座標、欠陥寸法、欠陥種別等の欠陥情報が記憶手段(図示せず)に記録される。
第3の実施形態の表面欠陥検査装置1Aは、第1および第2の実施形態の表面欠陥検査装置1と同様な効果を奏する。
加えて、第3の実施形態の表面欠陥検査装置1Aによれば、照明条件の異なる2種類の観察光学系で試料100表面の光学像を観察するため、検出された光学像が、試料100の微小欠陥によるものではなく、試料100表面に付着した塵埃である可能性が高いことも判断することが可能となる。このため、分析の効率化を図ることができる。
−第4の実施形態−
図13〜図16を参照して、本発明の第4の実施形態を説明する。
図13は、本発明の第4の実施形態を示し、光源側から観たスクリーン側の平面図であり、図14は、本発明の第4の実施形態の表面欠陥検査装置全体の構成を示す平面図である。
第4の実施形態の表面欠陥検査装置1Bは、第1および第2の実施形態にて例示する表面欠陥検査装置1と同様である。但し、スクリーン130の後方に、マスク142およびフォトダイオード140が配置されている。また、スクリーン130には、X方向の各端部に開口部131、132が設けられている。
マスク142は、スクリーン130の後方に、開口部131、132に対応して配置されている。平行ビーム10の試料100の頂点Aより上方の光束は、開口部132およびマスク142を介してフォトダイオード140に入射する。
図15は、図14に図示されたフォトダイオードとマスクの斜視図である。マスク142は照射光10を透過しない金属板で形成されている。マスク142の中心にスリット143が設けられている。スリット143の開口寸法は1mm×8mm(X方向×Y方向)である。このマスク142をフォトダイオード140の受光面141に近接して配置する。スクリーン130の開口部132を通過した照射光10の一部は、つまり、照射光10の厚さt2の部分は、マスク142のスリット143を通過し、フォトダイオード140で受光される。照射光路に試料100が存在しなければ、スリット143の幅1mm×照射光10の厚さt1=2mm(X方向×Y方向)の光がフォトダイオード140で受光される。照射光路上に試料100が配置されていると、試料100によって照射光10が遮られ、受光量が減少する。フォトダイオード140における受光量は、照射光路を遮る試料100の面積により変化する。このことを利用して、照射光10を遮る試料100の位置を検出することができる。
表面欠陥の検査に先立ち、試料100の外周表面上の特定位置Pに対する所望の照明入射角度の情報から、特定位置Pに対する角度θが決定される。この角度θと試料100の半径Rから、照射光10の光軸10aに対する試料100の高さδを、δ=R(1−cosθ)として求めることができる。例えば、θ=17.3°、R=11mmであれば、δ=0.498mmとなる。ここで、照射光10の厚さt1=2mmとすれば、試料100に照射されずにスクリーン130に、直接、照射される照射光10の厚さt2=t1/2−δであるから、厚さt2=0.502mmとして求められる。なお、YZ平面内における照射光10の強度分布はガウス分布で、1/e2 径を以って厚さt1と定める。
本実施形態では、特定位置Pに対する角度θ、半径R、照射光10の厚さt1の検査条件に応じて変化する角度δを精密に調節するため、フォトダイオード140で光量を検出し、その結果を試料100の移動ステージ(図示せず)の変位にフィードバックする。
図16は、照射光の強度分布を示す図であり、図16(a)はY軸からの距離−相対強度の特性図であり、図16(b)はY軸からの距離−積算光量の特性図である。
図16(a)はYZ平面における厚さt1=2mmの照射光10の相対強度分布である。レーザ発振器104はシングルモードレーザであり、YX面内については、パウエルレンズ105、シリンドリカルレンズ106によるビーム成形作用の影響が無く、その強度分布はガウス分布のまま試料100の表面に照射される。便宜上、最大強度の1/e2 径を以ってシート厚と称するが、実際はサイドローブを有しており、厚さt1より広い範囲に光が照射されている。平行ビーム10の中心で最大強度を示すガウス分布は、そのガウシアン半径をωとした時、半径方向の任意の座標Yにおける強度I(Y)を式(6)によって求めることが出来る。
I(Y)=I(0)・exp(−2Y2/ω2) ……(6)
ここでI(0)は光軸10a上の強度である。図16(a)は、I(0)=1、ω=t1/2として式(6)から求めた相対強度分布である。
試料100が半径R=11mmの時、θ=17.3°の条件を満たすδ=0.498mmである。図16(a)において、Y=0mmの位置が光軸10aであり、δはY=0〜0.498の範囲に相当し、t2はY=0.498〜1の範囲を指している。本実施形態において、照射光路に試料100が存在しなければ、図14aの強度分布波形の全面積がフォトダイオード140で検出される。これに対してδ=0.498mmの条件で試料100が存在する時、図16(a)の斜線に示す範囲のみがフォトダイオード140で検出されることになる。
フォトダイオード140に入射する光量の割合は、式(6)を積分して面積比を求めることで算出できる。図16(b)は、図16(a)に示した強度分布の照射光量をY=−2mm〜+2mmの範囲で積算した結果である。δ=0.498mmの時、全光量の約86.4%が試料100表面に照射され、残りの13.6%がフォトダイオード140で受光されることが分かる。
以上の方法によって、試料100表面への照明入射角が決まれば、試料100の半径R、照射光10の厚さt1の検査条件から試料100の高さδを求め、フォトダイオード140の検出光量を監視しながら試料100を上昇させることで、試料100の高さを精密に位置決めすることができる。
なお、図14では、スクリーン130の開口部132に対して配置したフォトダイオード140を示したが、図13における開口部131についても同様、フォトダイオード140とマスク142がそれぞれ配置されている。X方向に離間して配置された二つのフォトダイオード140を用いて試料100の高さδをそれぞれ調節することで、XY平面内における試料100回転軸と照射光10の平行度を精密に調整することができる。
第4の実施形態の表面欠陥検査装置1Bは、第1および第2の実施形態の表面欠陥検査装置1と同様な効果を奏する。
加えて、試料100の頂点Aから特定位置Pまでの高さδを正確に計測することが可能になり、試料100の特定位置Pへの設定を容易かつ迅速に行うことができる。
−第5の実施形態−
図17および図18を参照して、本発明の第5の実施形態を説明する。
図17は、本発明の表面欠陥検査装置1の第5の実施形態の構成を示す側面図である。
第1〜第4の実施形態においては、照射光10を、平行ビームとするものであり、平行ビームの放射角度、すなわち、傾きについては考慮されていない。
第5の実施形態では、YZ平面内における照射光束20の平行度の影響について考察する。
仮想点Fから全角η0の角度で出射した照射光束20が試料100の表面に照射された様子を図17に示す。なお、XZ平面はこれまでの説明と同様に平行光束として取り扱う。
光軸20aの高さに試料100の外周上の特定位置Pを一致させた時、特定位置Pで反射した光はスクリーン102上の点S1に到達する。一方で、特定位置Pから角度αだけ移動した周上の点Qにおける照明入射角度u2aは、平行光束が入射した時と比べてη1だけ小さくなる。
試料100の半径をR、特定位置Pに対する角度をθ、頂点Aと特定位置Pの高さの差をδ、XZ平面における仮想点Fから試料100の中心軸Oまでの距離をlとした時、これらとη1との相関は式(7)の通りである。なお、図17ではδを図示しないが図3と同一の位置を指している。
tan(η1)=(R(1−cos(θ+α))−δ)/(l−R・sin(θ+α)) ……(7)
ここで、η0=20mradとすれば、Y軸上でビーム厚が2mmとなる時のl=1/tan(η0/2)で求められるから、l=100mmとなる。さらに、第1の実施形態と同様に、R=11mm、θ=3°とすれば、δ=R(1−cosθ)であるから、δ=0.015mmである。また、円弧部PQをdと置き、d=0.01mmとすれば、α=360・d/2πRであるから、αは0.052°と算出される。これらを式(7)に代入すれば、η1=6.057×10-6 °、即ち0.106uradが得られる。
従って、上述の通り、u2a=90−(θ+α)―η1となり、φ2a=180−2・u2aであることから、φ2a=6.104012°と算出される。これは、点Qに平行光束が入射した場合に対して0.012×10-3 °大きいが、僅かな値である。L=70mmとし、φ2aを式(2)に代入すると、h2=7.532828mmが得られる。これは点Qに平行光束が入射した場合に対して0.015um大きい。
以上説明した通り、試料100の外周上の点Qに全角20mradの発散光を照射した場合、スクリーン102上の点S2aが0.015um高い位置に移動する。しかし、スクリーン102上におけるラインセンサカメラ107の画素寸法cは55umであるため、その影響は無視できる。
なお、仮想点Fから出射した基準光としての光線は頂点Aの近傍を通過し、スクリーン102上の基準位置S0aに、直接、照射され基準像を形成する。従って、この光線についてもη2の角度が生じる。tan(η2)=δ/lであり、本実施形態の場合η2=0.15×10-3 °と算出される。従って、スクリーン102上の基準位置S0aについても、L・tan(η2)=0.26umだけ高い位置に移動する。仮想点Fと頂点Aとの間の距離lを変化させることで、スクリーン102上の点S2aと基準位置S0aの位置が僅かに変化するが、上述の方法で位置の変化を算出できる。lを変化させると試料100の外周上の頂点Aにおける照射光束20の厚さも変化するが、照射光束20の厚さを、試料100の直径の概ね1/10程度を目安とすれば、スクリーン102上の点S2aと基準位置S0aの位置の移動量は、無視できる程度になる。第5の実施形態において、仮想点Fから出射される光束は、試料100の頂点Aの接線となる光線を含んでいる。
図18は、本発明の第5の実施形態の変形例の構成を示す側面図である。
図18は、仮想点Fから全角η0の角度で収束する照射光束30が試料100表面に照射された様子を示している。なお、XZ平面はこれまでの説明と同様に平行光束として取り扱う。
照射光束30の光軸30aの高さに試料100の外周上の特定位置Pを一致させた時、特定位置Pで反射した光はスクリーン102上の点S1に到達する。一方で、特定位置Pから角度αだけ移動した周上の点Qにおける照明入射角度u2bは、平行光束が入射した時と比べてη1だけ大きくなる。
試料100の半径をR、特定位置Pに対する角をθ、頂点Aと特定位置Pの高さの差をδ、XZ平面における試料100の中心軸Oから仮想点Fまでの距離をlとした時、これらと前記η1との相関は式(8)の通りである。なお、図16ではδを図示しないが図3と同一の位置を指している。
tan(η1)=(R(1−cos(θ+α))−δ)/(l+R・sin(θ+α)) ……(8)
ここで、η0=20mradとすれば、Y軸上でシートビーム厚が2mmとなる時のl=1/tan(η0/2)で求められるから、l=100mmとなる。さらに、第1の実施例と同様に、R=11mm、θ=3°とすれば、δ=R(1−cosθ)であるから、δ=0.015mmである。また円弧部PQをdと置き、d=0.01mmとすれば、α=360・d/2πRであるから、αは0.052°と算出される。これらを式(8)に代入すれば、η1=0.343×10-3 °、即ち5.986uradが得られる。
従って、上述の通り、u2b=90−(θ+α)+η1となり、φ2b=180−2・u2bであることから、φ2b=6.1033°と算出される。これは、点Qに平行光束が入射した場合に対して0.7×10-3 °小さいが、僅かな値である。L=70mmとし、φ2bを式(2)に代入すると、h2=7.5319mmが得られる。これは点Qに平行光束が入射した場合に対して0.9um小さい。
以上説明した通り、試料100周上の点Qに全角20mradの収束光を照射した場合、スクリーン102上の点S2bが0.9um低い位置に移動する。しかし、スクリーン102上におけるラインセンサカメラ107の画素寸法cは55umであるため、その影響は無視できる。
なお、仮想点Fから出射した基準光としての光線は頂点Aの近傍を通過し、スクリーン102上の点S0bに直接照射され基準像を形成する。従って、この光線についてもη2の角度が生じる。tan(η2)=δ/lで、この場合もη2=0.15×10-3 °と算出される。従って、スクリーン102上の点S0bについても、L・tan(η2)=0.26umだけ低い位置に移動する。仮想点FとA点との間の距離lを変化させることで、スクリーン102上の点S2bと基準位置S0bの位置が僅かに変化するが、上述の方法で位置の変化を算出できる。lを変化させると試料100の外周上の頂点Aにおける照射光束30の厚さも変化するが、照射光束30の厚さを、試料100の直径の概ね1/10程度を目安とすれば、スクリーン102上の点S2bとS0bの位置の移動量は、無視できる程度になる。図18に示す第5の実施形態の変形例においても、仮想点Fに収束する光束は、試料100の頂点Aの接線となる光線を含んでいる。
上記の通り、第1〜第4の実施形態において、試料100に照射する照射光束20、30は、通常、平行と見做される全角数mrad程度の平行光束とする必要が無く、全角で数十mrad程度もしくはそれ以上の、発散または収束する光束を用いることができる。
一般的には、平行ビームとされるレーザ発振器は、全角5mrad程度以下である。本発明では、全角20mrad以上のレーザ発振器を採用することができる。このため、レーザ装置を安価にすることが可能である。また、発散または収束する光束を用いても、頂点Aと特定位置Pとの高さの差δが平行光線とほぼ同一であるため、検査時における調整が容易となる。
−第6の実施形態−
図19は、第6の実施形態を示し、本発明による表面検査システムの構成図である。
表面検査システムは、表面欠陥検査装置1Cを含む。表面欠陥検査装置1Cは、照射光源171、ローラ101a、101b、ローラユニット172、スクリーン102、受光器175、スクリーン揺動機構176、ラインセンサカメラ107、およびTVカメラレンズ108を備えている。
照射光源171は、レーザ発振器104(図1参照)およびレーザ発振器104から出射された光束を成形するレンズユニットを含む。予め決められた高さに位置決めされた照射光10の一部は試料100の頂点Aおよび特定位置Pを含む円弧部AB上に、帯状に照射される。試料100の円弧部ABに照射された照射光10は、試料100の円弧部ABで反射され、スクリーン102に照射される。また、照射光10の他の一部である基準光は、すなわち、試料100の頂点Aより上方の厚さt2の光束は、スクリーン102に、直接、照射されると共に、その一部は、スクリーン102の開口部132(図13参照)を通過して受光器175で検出される。
被検査体である円筒状の試料100が図示しないローダによってローラユニット172上に搭載される。ローラユニット172には、試料100の表面に刻印された識別番号を読み取るセンサ(図示せず)が内蔵されている。コンピュータ179は上位サーバ182から試料100の検査レシピ181をダウンロードする。検査レシピ181には、試料100の製造経緯、直径、表面検査時の検査条件が含まれている。
コンピュータ179は、検査レシピ181の内容に基づき、照射光源171から出射する照射光10が試料100の外周表面に対して所望の入射角となるように、高さ調節ステージ174の高さを調節し、試料100の高さを合わせる。この時、試料100の高さによって変化する受光器175の出力を、逐次、検出しながら、高さ調節ステージ174の高さを合わせることで精密な高さ位置の設定が実現する。
以上の手順によって、照射光10と試料100の相対的な位置合わせが終了する。その結果、照射光源171から出射された照射光10は、試料100の頂点Aに対する接線方向から、試料100の円弧部AB(図3参照)に、帯状に照射される。試料100の円弧部ABで反射した光はスクリーン102の所定の位置に投射される。
ラインセンサカメラ107、及びTVカメラレンズ108は、カメラ高さ調整ステージ177に搭載されている。コンピュータ179は、検査レシピ181に基づいてカメラ高さ調整ステージ177の高さを調節することで、スクリーン102上におけるラインセンサカメラ107の観察視の高さを合わせる。
以上により位置決めが終了したら、検査レシピ181に基づいてモータコントローラ173を制御し、試料100を等速で1回転させる。試料100を回転させながら、ラインセンサカメラ107を所定のスキャンレートfで駆動し、スクリーン102上に投射された反射光による光学像を撮像する。
ラインセンサカメラ107で撮像した画像は、コンピュータ179に取り込まれる。以上、全ての装置動作は装置制御部178を介してコンピュータ179によって制御される。コンピュータ179には、欠陥検出アルゴリズムが実装されており、画像処理によって、試料100表面の欠陥座標を軸方向と周方向に分けて記憶装置180に記録する。
試料100の検査が終了したら、図示しないアンローダで試料100をローラユニット172上から払い出す。本実発明の表面検査システムによって、異径ロッドのインライン全数検査が実現する。従って、本表面検査システムを試料であるロッドの製造工程毎に適用すれば、その製造工程の不具合箇所を即座に検知するプロセスモニタが実現する。また、本発明の表面検査システムを最終外観検査工程に適用すれば、製品の全数品質保証が実現する。
なお、本実施形態では照射光源171がレーザ光源のため、スクリーン102でレーザスペックルが生じる。これを除去するために、スクリーン揺動機構176を備えている。
上記ではスクリーン102の外周表面で反射される反射光による光学像パターンを観察する構成で説明した。しかし、第3の実施形態として説明したように、図10に示す、試料100の表面を、直接、観察するラインセンサカメラ120を追加すれば、試料100から得られた光学像が欠陥によるものか塵埃によるものかの弁別性を向上することができる。また、これまで説明した各実施形態では、スクリーン102の表面をラインセンサカメラ107、120で観察する場合で例示したが、スクリーン102を半透明の素材とし、スクリーン102の裏面を観察するようにしても良い。
−第7の実施形態−
図20は、本発明の表面欠陥検査装置の第7の実施形態の構成を示す側面図である。
第1〜第5の実施形態では、被検査体である試料100を、円筒状の部材とし、その外周表面の欠陥を検査するための表面欠陥検査装置1、1A〜1Cとして例示した。第7の実施形態では、圧延鋼板やフィルム等のシート状部材の表面欠陥の検査に適用した表面欠陥検査装置1Dを例示する。
表面欠陥検査装置1Dは、照射光源171、搬送ローラ200、スクリーン102、ラインセンサカメラ107、およびTVカメラレンズ108を備える。
被検査体である試料201は、金属板等のシート部材である。シート状の試料201は、不図示の走行ベルトや移動装置により、製造ラインまたは検査ラインを走行させられる。試料201は、円筒状の搬送ローラ200の外周面の一部に巻き付けられ、方向転換するように搬送される。試料201の搬送ローラ200に巻き付けられた部分は、搬送ローラ200の外周面の形状に倣い、円弧形状となる。試料201の円弧部の外周表面の検査は、試料201の円弧部の半径と試料201の厚さとの合計値に等しい半径Rを有する円筒状の試料100の外周表面の検査と等価である。
照射光源171は、レーザ発振器から出射された光束を成形するレンズユニットを含む。照射光源171から出射された照射光10は、搬送ローラ200上の試料201の外周表面に照射される。照射光10は、試料201の円弧部の頂点Aの接線方向から照射される。照射光10は、試料201の頂点Aから試料201の特定位置Pまでを含む領域に帯状に照射される。照射光10は、試料201の特定位置Pにおいて、照明入射角u3で入射し、同一の角度u3で反射する。試料201で反射した反射光はスクリーン102に投射される。スクリーン102に投射された試料201の特定位置Pを含む領域の光学像がラインセンサカメラ107とTVカメラレンズ108によって観察される。照射光10の一部は基準光として試料201には照射されず、スクリーン102に直接照射され基準像を形成する。
照射光10が発散光または収束光の場合は、照射光源171と搬送ローラ200の回転の中心軸Oとの距離L1を調節し、搬送ローラ200上の照射光10の厚さt1を最適な条件に設定する。また、照射光源171を、中心軸Oと頂点Aを結ぶ法線202と平行方向に移動させることで、スクリーン102上に投射される試料201の表面の拡大倍率を調節することができる。即ち、照射光源171を図中の矢印203の方向に移動させれば、特定位置Pにおける照射光10の入射角度u3が大きくなり、スクリーン102上での拡大倍率が小さくなる。これと逆に、図中の矢印204の方向に移動させれば、特定位置Pにおける照射光10の入射角度u3が小さくなり、スクリーン102上での拡大倍率が大きくなる。搬送ローラ200の中心軸Oとスクリーン102との距離L2を変化させることでも、拡大倍率を調整することができる。
シート状の試料201を搬送する製造ラインにおいては、検査開始時や終了時、或いはその製造中に搬送速度が変動したり、目標搬送速度に対して加減速が生じたりする。その場合、搬送ローラ200にロータリエンコーダ(図示せず)を接続し、エンコーダパルスを利用してラインセンサカメラ107のラインレートを制御すれば、搬送速度変動の影響を排除することができる。
このように、円筒状のローラに巻き付けたシート状部材の表面を観察する場合においても、表面欠陥検査装置1Dを適用することが可能であり、第1および第2の実施形態と同様な効果を奏する。
図24は本発明の表面欠陥検査装置をピストンロッドの製造工程に適用した工程の流れを示すフローチャートである。まず、ピストンロッドを加工する工程について説明する。なお、適用できる製品はピストンロッドに限られず、曲面を含む凸状の表面を持つ製品であればよい。すなわち、第1〜第7の実施形態に適用可能である。はじめに、直径が一定の範囲に揃えられた円筒素材(低炭素鋼)に対して、その表面硬度を高めるために焼入れ処理241を施した後、形状矯正処理242によって、素材の円筒度を一定の精度内に収める。その後、素材の両端成形処理243によって機械的な取り合い部(図1の100a及び100b)を加工成形し、表面研削処理244で試料100の表面を平滑に仕上げ、メッキ処理246によって表面にCrメッキ層を成膜する。
ここで、表面研削処理244後のピストンロッドの一部を抜き取り、検査工程245において本発明の表面欠陥検査装置によってその表面を検査し、メッキ前のピストンロッド表面の凹凸欠陥の発生状況を把握する(検査1)。検査工程245における欠陥検出データ245’は、中央処理装置250に記録、解析される。例えば、表面研削処理244で用いる研削砥石の磨耗や劣化等が原因で、ピストンロッド表面の欠陥個数が徐々に増加する傾向を捉え、研削砥石の交換を促す。
メッキ処理246後のピストンロッドについては表面研磨処理248を施し、その表面粗さを0.05um未満(算術平均粗さ)に仕上げ、組立工程に移される。ここで、メッキ処理246後のピストンロッドの一部を抜き取り、検査工程247において本発明の表面欠陥検査装置によってその表面を検査し、研磨前のピストンロッド表面の凹凸欠陥の発生状況を把握する(検査2)。検査工程247における欠陥検出データ247’は、中央処理装置250に記録、解析される。例えば、メッキ処理246での処理条件変動(電流値や処理時間変動)、メッキ液の劣化等でピストンロッド表面の欠陥個数が徐々に増加する傾向を捉え、メッキ処理条件のメンテナンスを促す。
なお、表面研磨処理248後のピストンロッドについては、検査工程249において本発明の表面欠陥検査装置によってその表面を検査し、研磨後のピストンロッド表面の凹凸欠陥の発生状況を把握する(検査3)。検査工程249における欠陥検出データ249’は、中央処理装置250に記録、解析される。検査工程249では、全てのピストンロッドを検査対象とし、組立工程への欠陥品の流出を防ぐ。
例えば、検査工程245、247、249で同一のピストンロッドを検査し、中央処理装置250において、それらの欠陥検出データ245’、247’、249’を統合することにより、検査工程249で検出された欠陥の座標情報から、その発生原因を遡って追跡することもできる。或いは、同一のピストンロッドについて、検査工程249で検出された凹欠陥の座標を遡った時、検査工程245、247で無欠陥であるケースもある。この場合、前記凹欠陥は表面研磨処理後に発生した打痕の可能性が高い。
以上述べた通り、本発明の表面欠陥検査装置をピストンロッドの製造工程に適用することで、各処理工程のプロセス以上を早期発見できる。また欠陥検出データをフィードバックすることで、不良品の作り込みを抑止する効果がある。その結果、ピストンロッドの製造歩留まりが向上する。
なお、上記実施形態では、本発明の検査装置および検査方法を、試料100、201の表面の欠陥を観察したり検出したりするものとして説明した。しかし、本発明は、試料100、201の表面の欠陥以外の、試料の表面の状態や、試料の表面に付着または形成さている物質の検出および観察に適用することもできる。
上記各実施形態では、試料100の断面形状が円として例示した。しかし、本発明は、試料100の表面形状が、楕円状等に湾曲している場合にも適用することができる。
上記各実施形態では、スクリーン102に投射された光学像を、ラインセンサカメラ107とTVカメラレンズ108により検出または観察するものとして例示した。しかし、スクリーン102に、イメージセンサを一体的に設けて、該イメージセンサにより試料100、201からの反射光2を読み込むようにしてもよい。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2017年第120867号(2017年6月20日出願)
1、1A〜1D 表面欠陥検査装置
10、151 平行ビーム(照射光)
10a、20a,30a、151a 光軸
20、30 照射光束
51〜58 像
100、201 試料
102、130、152 スクリーン
104 レーザ発振器(照射光源)
107、120 ラインセンサカメラ(光検出部)
108、121 TVカメラレンズ
140 フォトダイオード(強度検出部)
171 照射光源
172 ローラユニット(試料保持部)
178 装置制御部
179 コンピュータ(処理部)
A 頂点(一側縁)
P 特定位置
u1〜u3 照明入射角

Claims (20)

  1. 凸状の表面を有する試料に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射して、前記凸状の表面で反射した反射光をスクリーンに投射して光学像を形成し、
    前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させて基準光とし、
    前記基準光により特定される前記光学像の検査箇所の反射光強度分布に基づき前記試料の表面状態を検査する、表面検査方法。
  2. 請求項1に記載の表面検査方法において、
    前記照射光の一部は、前記試料の被照射部の一側縁および該一側縁の位置から厚さ方向に所定長さ離間した特定位置を含む領域に向けて照射され、
    前記基準光により特定される前記光学像の検査箇所に基づき前記試料の表面状態を検査し、
    前記スクリーンには、前記特定位置で反射された反射光による前記検査箇所を含んで投射される、表面検査方法。
  3. 請求項2に記載の表面検査方法において、
    前記照射光の一部は、光強度のピーク部位を含む、表面検査方法。
  4. 請求項3に記載の表面検査方法において、
    前記照射光のピーク部位は前記特定位置に照射される、表面検査方法。
  5. 請求項2に記載の表面検査方法において、
    前記基準光を前記スクリーンに照射して基準像を形成し、前記基準像に基づき前記試料の前記特定位置から反射した前記光学像の前記検査箇所を特定する、表面検査方法。
  6. 請求項2に記載の表面検査方法において、
    前記試料は断面外周形状が円形であり、前記試料を、中心軸を中心に回転させながら前記試料に前記照射光の一部を照射し、前記試料の照射部の反射光を前記スクリーンに投射する、表面検査方法。
  7. 請求項6に記載の表面検査方法において、
    前記試料の中心軸から前記照射光の光軸までの距離は、前記試料の半径以下である、表面検査方法。
  8. 請求項6に記載の表面検査方法において、
    前記試料の半径に応じて前記試料の表面への前記照射光の入射角度を調節し、半径が異なる前記試料に対して、前記スクリーンに形成される前記光学像の拡大倍率を一定にする、表面検査方法。
  9. 請求項6に記載の表面検査方法において、
    前記試料の半径をR、前記試料の表面への前記照射光の入射角をθ、前記照射光の光軸と前記試料の稜線との距離をδとしたとき、δ=R(1−cosθ)の関係となる、表面検査方法。
  10. 請求項6に記載の表面検査方法において、
    前記スクリーンに投射された前記光学像をラインセンサカメラで読み込み、
    前記試料の半径をR、前記スクリーン上での前記試料の周方向の拡大倍率をM、前記スクリーン上でのラインセンサカメラの画素寸法をc、前記ラインセンサカメラのスキャンレートをf、前記試料の回転速度をNとしたとき、N≦c・f(2πR・M)を満足する条件で、前記試料を回転する、表面検査方法。
  11. 請求項2に記載の表面検査方法において、
    前記試料は帯状の部材であり、当該検査時において、前記試料を変形させて、前記凸状の表面を形成する、表面検査方法。
  12. 試料の凸状の表面に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射するとともに、前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させる基準光として照射する照射部と、
    前記試料を保持する試料保持部と、
    前記試料の凸状の表面から反射した反射光に基づく光学像を形成するスクリーンと、
    前記スクリーンに形成された前記光学像を検出する検査光検出部と、
    前記検査光検出部で検出した前記光学像の前記基準光により特定される検査箇所の反射光強度分布に基づき前記試料の表面状態を検出する処理部と、
    を備える、表面検査装置。
  13. 請求項12に記載の表面検査装置において、
    前記照射部は、前記照射光の一部を、前記試料の被照射部の一側縁の位置から厚さ方向に所定長さ離間した特定位置までの領域を含み、前記一側縁に対する接線方向に向けて照射し、
    前記スクリーンは、前記特定位置で反射された反射光を含んで前記光学像を形成する、表面検査装置。
  14. 請求項12に記載の表面検査装置において、
    前記照射部は、前記照射光の一部に光強度のピーク値が含まれるように前記試料の表面に前記照射光の一部を照射する、表面検査装置。
  15. 請求項12に記載の表面検査装置において、
    前記基準光を検出する基準光検出部を備え、
    前記処理部は、前記基準光検出部で検出した前記基準光に基づき、前記試料と前記照射部の相対的な位置を制御する、表面検査装置。
  16. 請求項12に記載の表面検査装置において、
    前記検査光検出部は、前記試料の表面から反射した前記照射光の一部が投射されて形成された前記スクリーンの光学像を検出する第1の光検出部と、
    前記試料の表面に照射された前記照射光の一部の散乱光を検出する第2の光検出部と、を備える、表面検査装置。
  17. 請求項16に記載の表面検査装置において、
    前記処理部は、前記第1の光検出部で検出した前記散乱光と前記第2の光検出部で検出した光学像とに基づき、表面状態を弁別する、表面検査装置。
  18. 凸状の表面を持つ製品の製造方法であって、
    前記凸状の表面を加工し、
    加工された前記凸状表面に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射して、前記凸状の表面で反射させた反射光をスクリーンに投射して光学像を形成し、
    前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させて基準光とし、
    前記基準光により特定される前記光学像の検査箇所の反射光強度分布に基づき試料の表面状態を検査し、
    検査した前記製品の表面状態に基づき、前記製品の良否を判定し、
    判定結果に基づき前記製品を次の工程に移す、製品の製造方法。
  19. 請求項18に記載の製品の製造方法において、
    前記基準光は、前記凸状の表面を通過させて前記スクリーンに直接照射して基準像を形成する、製品の製造方法。
  20. 請求項18に記載の製品の製造方法において、
    前記基準光の一部を光センサに直接照射し検出する、製品の製造方法。
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