JPWO2018235376A1 - 表面検査方法、表面検査装置および製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の第2の態様によると、表面検査装置は、試料の凸状の表面に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射するとともに、前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させる基準光として照射する照射部と、前記試料を保持する試料保持部と、前記試料の凸状の表面から反射した反射光に基づく光学像を形成するスクリーンと、前記スクリーンに形成された前記光学像を検出する検査光検出部と、前記検査光検出部で検出した前記光学像の前記基準光により特定される検査箇所の反射光強度分布に基づき前記試料の表面状態を検出する処理部と、を備える。
本発明の第3の態様によると、凸状の表面を持つ製品の製造方法は、前記凸状の表面を加工し、加工された前記凸状表面に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射して、前記凸状の表面で反射させた反射光をスクリーンに投射して光学像を形成し、前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させて基準光とし、前記基準光により特定される前記光学像の検査箇所の反射光強度分布に基づき前記試料の表面状態を検査し、検査した前記製品の表面状態に基づき、前記製品の良否を判定し、判定結果に基づき前記製品を次の工程に移す。
図21は、円筒状の試料の表面で反射された反射光により形成される光学像がスクリーン上に拡大して投射される状態を示す図であり、図22は、図21に図示された試料上の照射領域を示す図である。
被検査体である試料150は、中心軸Oを有する断面形状が円、すなわち、円柱状または円筒状の部材である。図21は、試料150を軸方向に対して直交する面で切断した図である。試料150は、Y軸上に頂点Aを有する。
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は、それぞれ、図示の通りとする。Y方向とZ方向は直交しており、X方向はY方向およびZ方向と直交している。Y軸は、試料150の中心軸と頂点Aを結ぶ直線上に位置している。
照射光151の一部は、試料150の外周表面の円弧部ABに照射される。また、照射光151の、試料150の頂点Aより上方の残りの一部は、基準光として試料150の外周表面を通過して直接、スクリーン152に照射され基準像を形成する。頂点Aに接する光線がスクリーン152に投射される点をS0とすると、試料150の頂点Aとスクリーン152上に投射された点S0とは、Y方向において同一の高さとなる。スクリーン152上の点S0を、基準位置として定義する。従って、基準像位置S0より下方の照射光151は、すべて、試料150の外周表面の円弧部ABに、幅Wの帯状に照射されることになる。図22には、試料150の外周表面の円弧部ABに照射される照射領域153に斜線のハッチングを施してある。なお、照射光151は、不図示の照射光源からシリンドリカルレンズ160を介して試料150およびスクリーン152に向けて照射される。
h1=tan(φ1)・(L+R・sinθ)−R(1−cosθ)…(1)
ここで、φ1=180−2・u1、またu1=90−θである。従って、φ1=2θである。なお、スクリーン152に直接照射される照射光151の厚さt2は、t1/2−R(1−cosθ)となる。
h2=tan(φ2)・(L+R・sin(θ+α))−R(1−cos(θ+α))……(2)
ここで、φ2=180−2・u2、またu2=90−(θ+α)である。従って、φ2=2(θ+α)である。なお、αは、円弧部PQに対する中心角である。
同様に、試料150の外周上の照明入射点Bで反射した光線はスクリーン152上の点S3に到達する。従って、円弧部AB上に照射された照射光は、スクリーン152上の点S0〜S3の範囲に投射される。本発明では、いわゆる魔鏡原理を利用し、試料150外周表面の凹凸部をスクリーン152上に投射される反射光の陰影として顕在化する。
M=(h2−h1)/d ……(3)
h1とh2は、それぞれ、式1(1)、式(2)から求められる。特定位置Pに対して照射光151の入射角が90°に近い程欠陥検出感度が高くなる。このため、θを概ね5°以下の条件で検査すると仮定すれば、式(1)の第2項であるR(1−cosθ)≒0として扱うことができる。さらに、L>>Rとして考えれば、(L+R・sin(θ+α))≒Lと近似できる。従って、式(3)は式(4)に簡略化して解釈可能である。
M=L(tan(φ2)−tan(φ1))/d ……(4)
このように、試料150の半径R、試料150からスクリーン152までの距離L、特定位置Pに対する角度θ、特定位置Pから反射した光線のスクリーン152上における位置S1、点S1における観察倍率Mについての相関を正確に得ることができる。このため、詳細は後述するが、図8に示すように、試料150の半径Rが異なる場合において、試料150の半径Rの大きさに応じて試料150の表面への照射光151の照明入射角u1を調節することにより、スクリーン152に形成される光学像の拡大倍率Mを一定にすることが可能となる。つまり、試料の半径Rがある程度異なっても一定の検出精度を維持することが可能となる。
図1〜図6を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明の表面欠陥検査装置の第1の実施形態の構成を示す平面図であり、図2は、図1に示す表面欠陥検査装置の側面図である。
被検査対象である試料100は、例えば、ショックアブソーバに用いられるピストンロッドである。スプリングとショックアブソーバは、サスペンションストラットアセンブリとして自動車の車体に組み込まれる。ピストンロッドは、気密性の高いシリンダ内部を円筒摺動面でシールする円筒状の構造部品であり、その表面に数umの凹凸が存在すると、サスペンションシステムのオイル漏れの原因となる。従ってその真円度、円筒度はマイクロメートルオーダーで管理されており、表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.05um以下である。ピストンロッドはS25C等の低炭素鋼を素材とした円筒部品であり、焼入れと成形工程経た後、表面処理を施してその表面を平坦に仕上げてから組立工程に投入される。被検査対象である試料(以下、単に「試料」という)100であるピストンロッドは、一般的に、直径22mm程度、全長250mm程度に形成されている。試料100の両端には、機械的な取り合いのための接続部100a、100bが形成されている。両端の接続部100a、100bは検査対象外である。
試料100は、ローラ101aおよび101bに跨って搭載されている。ローラ101aとローラ101bは、同径を有し、軸心をX軸に平行にした状態で、Y方向に同一の高さ位置に、Z方向に離間して配置されている。試料100は、ローラ101aとローラ101bとの境界部の中心線上に軸心が配置されるように、ローラ101a上とローラ101b上に搭載されている。ローラ101aは、モータ103に連結されている。ローラ101bは、軸心に対し、フリーに回転可能となっている。モータ103を回転駆動することで、ローラ101aが回転し、試料100およびローラ101bが回転する。つまり、モータ103の回転を制御することで、試料100を任意の速度で回転制御可能な構成となっている。
なお、図示はしないが、ローラ101aおよびローラ101bは、移動ステージに装着されており、一体的に上下方向(Y方向)に移動可能とされている。
図3を用いて、スクリーン102上におけるラインセンサカメラ107の視野と試料100の表面からの反射光との位置関係について説明する。
本実施形態では、試料100上の特定位置Pへの照明入射角u1を87°に設定する。従って、図3におけるθは3°である。試料100を搭載したローラ101a、101bは、上述した通り、不図示の移動ステージにより上下方向に移動可能とされている。予め決められた検査レシピに基づいて、移動ステージにより試料100を上下方向に移動させて、厚さt1の平行ビーム10の光軸10aの高さに試料100の最上部の頂点A(一側縁)の高さを正確に一致させる。この状態から、平行ビーム10の光軸10aが特定位置Pに一致するように、試料100をY方向に上昇させる。試料100の移動量、換言すれば、特定位置Pから頂点Aまでの高さをδとすると、図3において、δ=R(1−cosθ)である。試料100の径は22mmであり、従って、半径R=11mm、またθ=3°であるから、δ=0.015mmとなる。
試料100の中心軸Oからスクリーン102までの間隔Lを70mmとすれば、照明入射点Bで反射した光線はスクリーン102上の点S3に到達した時の高さh3は、式(1)のφ1をvに置き換えるによって求めることができ、h3=86.66mmとなる。また、θ=3°であることから、特定位置Pで反射した光線はスクリーン102上の点S1に到達した時、式(1)によって、h1=7.40mmと求められる。S1における試料100表面の周方向の拡大倍率Mを式(3)で算出すると、M=13.03である。
スクリーン102の寸法は、例えば、280mm×150mmである。試料100の表面で反射した光束は、2点鎖線で示す幅W=200mm×高さh3=86.66mmの投射領域12に投射される。但し、この投射領域12には、試料100に照射されない照射光10の基準光により形成される基準像としての直接照明範囲11が含まれている。つまり、厚さt1の平行ビーム10のうち、試料100の頂点Aより上方の領域の基準光としての厚さt2の光束は、スクリーン102の直接照明範囲11に投射され基準像を形成する。ラインセンサカメラ107の視野位置109は、スクリーン102上の点S0を基準位置としてh1の高さに合わせる。本実施形態では、h1=7.40mmである。
N≦c・f/(2πR・M) ……(5)
ここで、c=0.055mm、f=5kHz、R=11mm、M=13.03倍の場合、N≦0.3054rpsとなり、この逆数をとれば試料1本当りの検査時間が約3.27sec/本となることが分かる。
図3においてδ=R(1−cosθ)である。特定位置Pの位置θ=3°は同一となるが、R=14mmであるから、δ=0.019mmとなる。ここで、試料100に照射されずにスクリーン102に直接照射される照射光10の厚さt2は、t1/2−δで求まる。t1=2mmであることからt2=0.981mmとなる。また、試料100の外周の照明入射点Bの角度vについては、cos(v)=(R−(t1/2+δ))/Rの関係式から、22.0°となる。試料100の回転の中心軸Oからスクリーン102までの間隔Lは70mmである。照明入射点Bで反射した光線はスクリーン102上の点S3に到達した時、式(1)のφ1をvに置き換えるによって求めることができ、h3=71.64mmとなる。同様に、θ=3°であることから、特定位置Pで反射した光線はスクリーン102上の点S1に到達した時、式(1)によってh1=7.42mmと求められる。S1における試料100表面の拡大倍率Mを式(3)で算出すると、M=10.27である。
以下に、その設定条件について述べるが、ここでは、検査時間3sec/本とする場合として例示する。
図5(a)は、半径R=11mmの試料100を0.3054rpsで1回転させつつ、ラインセンサカメラ107のスキャンレートf=5kHzの条件に設定して検出したスクリーン102上の反射光強度分布である。この場合の検査時間は3.27sec/本である。x方向については、試料100の曲率による倍率変化は無い。従って、スクリーン102上でのラインセンサカメラ107画素寸法cは0.055mmであり、照射光10の幅Wと同じ200mmの範囲が検出される。x方向の画素数は200/0.055=3636画素である。y方向は、試料100の周方向の展開長であり、69.1mmの範囲が検出されている。y方向については、試料100の曲率によって拡大倍率Mが変化する。ラインセンサカメラ107の画素寸法cは、上述の通り4.22umである。y方向の画素数は、69.1/0.00422=16374画素である。
上述したように、試料100の径が大きくなると、y方向の拡大倍率Mが小さくなるため、図5(a)と図5(b)とでは試料100の外周面の長さが異なるが、x軸方向ではほぼ同一のサイズの画像として検出されている。
図5(a)、図5(b)に示した像51〜55は、画像処理装置(図示せず)によって抽出され、欠陥座標、欠陥寸法、欠陥種別等の欠陥情報が記憶手段(図示せず)に記録される。
(1)凸状の表面を有する試料100に、所定の幅Wおよび所定の厚さt1を有する照射光10の一部を照射して、前記凸状の表面で反射した反射光をスクリーン102に投射して光学像を形成するとともに、前記照射光10の一部を除く前記照射光10を基準光として凸状の表面を通過させてスクリーンに直接照射して基準像を形成し、基準像により特定される光学像の検査箇所の反射光強度分布に基づき試料の表面状態を検査する。この構成によれば、試料100の半径Rがある程度異なっても、検出性能を一定に維持することが可能である。
第1の実施形態では、試料100の半径Rが異なる場合であっても、スクリーン102に投射される、試料100の特定位置Pに対応する光学像の高さ(Y方向)の位置を、ほぼ同一とすることが可能な表面欠陥検査装置について説明した。
第2の実施形態では、試料100の半径Rが異なる場合であっても、スクリーン102に投射される光学像の拡大倍率を同一にすることが可能な表面欠陥検査装置について説明する。
第2の実施形態においても、表面欠陥検査装置1の構成は、第1の実施例と同一である。つまり、第1の実施形態に示す表面欠陥検査装置1は、第2の実施形態における表面欠陥検査装置としても用いることが可能である。
以下、表面欠陥検査装置1により、半径R=11mmおよびR=14mmの試料100の表面欠陥を検査する場合を例として、図1〜図4を参照して、その詳細を述べる。
図7は、試料の特定位置Pに対するY軸からの角度θ−拡大倍率の関係を示す特性図を示す。試料の半径Rは、11mm(○印)と14mm(×印)である。試料100の中心軸Oからスクリーン102までの距離L=70mmであり、円弧部PQ(図21参照)の長さd=0.01mmである。
先ず、スクリーン102上における試料100の外周表面の拡大倍率Mを設定する。異径の試料100に対してその外周表面を同一の拡大倍率Mで観察するための角度θを図7から読み取ることができる。例えば、試料100外周表面を20倍に拡大するための条件は、半径R=11mmの場合ではθ=17.3°、半径R=14mmの場合ではθ=21.1°である。特定位置Pにおける照明入射角u1(図21参照)は90−θであるから、それぞれの照明入射角u1はR=11mmの場合72.7°、R=14mmの場合68.9°となり、試料100の半径Rに応じて異なる条件に設定する。
また、試料100の外周上の照明入射点Bの角度vについては、cos(v)=(R−(t1/2+δ))/Rの関係式から、30.2°となる。試料100の中心軸Oからスクリーン102までの間隔Lを70mmとすれば、照明入射点Bで反射した光線はスクリーン102上の点S3に到達した時、式(1)のφ1をvに置き換えるによって求めることができ、h3=129.30mmとなる。同様に、θ=17.3°であることから、特定位置Pで反射した光線はスクリーン102上の点S1に到達した時、式(1)によってh1=50.05mmと求められる。
なお、図9(a)は図5(a)と、図9(b)は図5(b)と、それぞれ、同一の欠陥を有する試料の検査結果である。なお、図9(a)、9(b)において、試料100の軸方向をx、周方向をyとする。
図9(a)は、半径R=11mmの試料100を0.1989rpsで1回転させつつ、ラインセンサカメラ107のスキャンレートf=5kHzの条件に設定して検出した光学像である。検査時間は5.03sec/本である。x方向については、試料100の曲率による倍率変化は無い。従って、画素寸法cは0.055mmであり、照射光10の幅Wと同じ200mmの範囲が検出される。x方向の画素数は200/0.055=3636画素である。y方向は、試料100の周方向の展開長であり、69.1mmの範囲が検出されている。y方向については、試料100の曲率によって拡大倍率が変化する。ラインセンサカメラ107の画素寸法cは、上述の通り2.75umである。y方向の画素数は69.1/0.00275=25127画素である。
第2の実施形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)円筒状の試料100に、のレーザ光(照射光)10を照射し、試料100の円筒部の表面で反射して拡大された反射光をスクリーン102に投射して光学像を形成し、該光学像に基づき試料の表面状況を検査する表面検査方法であり、照射光10は、試料100の頂点Aの位置から厚さ方向に所定長さ離間した特定位置Pまでの領域を含み、一側縁に対する接線方向に向けて照射され、スクリーン102には、特定位置Pで反射された反射光を含んで投射され、スクリーンには、特定位置で反射された反射光を含んで投射される。この構成によれば、試料100の特定位置Pの設定位置(設定高さ)を調節することにより、スクリーンに投射される光学像の拡大倍率Mを一定にすることができ、試料100の半径Rがある程度異なっても一定の検出精度を維持することが可能となる。
図10〜図12を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。
図10は、本発明の表面欠陥検査装置の第3の実施形態の構成を示す側面図である。
第3の実施形態の表面欠陥検査装置1Aは、第1および第2の実施形態の表面欠陥検査装置1に対し、さらに、ラインセンサカメラ120およびTVカメラレンズ121を付随して備えている。
ラインセンサカメラ120およびTVカメラレンズ121は、同軸に配置され、XZ平面に対してγの仰角から試料100の外周表面を、直接、観察する。仰角γは5°〜90°の範囲内で最適な角度とする。本実施形態では、仰角γ=45°として例示する。ラインセンサカメラ120とTVカメラレンズ121とを配列する仰角γは、ラインセンサカメラ107との干渉を避ける必要がある。ラインセンサカメラ120とTVカメラレンズ121とは、それぞれ、ラインセンサカメラ107とTVカメラレンズ108と同一仕様である。
ラインセンサカメラ120の視野位置122は、シリンドリカルレンズ106を介して試料100の外周表面に照射される照射光の照射領域110と一致させる。ラインセンサカメラ120は4096画素で、1画素の素子寸法cは5.5umの正方形状である。これをTVカメラレンズ121で10倍に拡大して試料100の表面と共役関係に配置している。試料100上でのラインセンサカメラ120の1画素の素子寸法cは55umである。これらの条件からラインセンサカメラ120の視野長Caは225mmとなり、試料100上の照明領域の幅W=200mmを包含している。
図12(a)はR=11mmの試料100を0.3054rpsで回転させつつ、ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを5kHzの条件に設定して検出したスクリーン102上の反射光強度分布であり、図5(a)と同様な光学像である。但し、図5(a)の像51を凸欠陥として例示しているのに対し、図12(a)では、像58を塵埃として示している。検査時間は3.27sec/本である。試料100の軸方向をx、周方向をyとする。x方向については、試料100の曲率による倍率変化は無い。従って、画素寸法cは0.055mmであり、照射光10の幅Wと同じ200mmの範囲が検出される。x方向の画素数は200/0.055=3636画素である。y方向はロッド周方向の展開長であり、69.1mmの範囲が検出されている。y方向については、ロッド曲率によって拡大倍率Mが変化するため、画素寸法cは0.055/13.03=4.22umである。y方向の画素数は、69.1/0.00422=16374画素である。
像58については、図12(a)からのみでは欠陥であるのか塵埃であるのか見分けがつかない。ラインセンサカメラ120で検出した光学像も、ラインセンサカメラ107で検出した光学像も、欠陥あるいは塵埃の形状を反映した形状の光学像を検出する。上述の通り、図12(b)の検出光学像におけるx方向、y方向の画素寸法cは共に0.055mmである。図12(a)における像58と図12(b)における像58とは、xy座標が一致している。このことから、図12(a)における像58と図12(b)における像58とは、同一の対象物であると判断される。像58の形状は、糸屑のような塵埃の形状を示している。このため、像58は、試料100表面の欠陥ではなく、表面に付着した塵埃である可能性が高いと判断する。
加えて、第3の実施形態の表面欠陥検査装置1Aによれば、照明条件の異なる2種類の観察光学系で試料100表面の光学像を観察するため、検出された光学像が、試料100の微小欠陥によるものではなく、試料100表面に付着した塵埃である可能性が高いことも判断することが可能となる。このため、分析の効率化を図ることができる。
図13〜図16を参照して、本発明の第4の実施形態を説明する。
図13は、本発明の第4の実施形態を示し、光源側から観たスクリーン側の平面図であり、図14は、本発明の第4の実施形態の表面欠陥検査装置全体の構成を示す平面図である。
第4の実施形態の表面欠陥検査装置1Bは、第1および第2の実施形態にて例示する表面欠陥検査装置1と同様である。但し、スクリーン130の後方に、マスク142およびフォトダイオード140が配置されている。また、スクリーン130には、X方向の各端部に開口部131、132が設けられている。
マスク142は、スクリーン130の後方に、開口部131、132に対応して配置されている。平行ビーム10の試料100の頂点Aより上方の光束は、開口部132およびマスク142を介してフォトダイオード140に入射する。
図16は、照射光の強度分布を示す図であり、図16(a)はY軸からの距離−相対強度の特性図であり、図16(b)はY軸からの距離−積算光量の特性図である。
図16(a)はYZ平面における厚さt1=2mmの照射光10の相対強度分布である。レーザ発振器104はシングルモードレーザであり、YX面内については、パウエルレンズ105、シリンドリカルレンズ106によるビーム成形作用の影響が無く、その強度分布はガウス分布のまま試料100の表面に照射される。便宜上、最大強度の1/e2 径を以ってシート厚と称するが、実際はサイドローブを有しており、厚さt1より広い範囲に光が照射されている。平行ビーム10の中心で最大強度を示すガウス分布は、そのガウシアン半径をωとした時、半径方向の任意の座標Yにおける強度I(Y)を式(6)によって求めることが出来る。
I(Y)=I(0)・exp(−2Y2/ω2) ……(6)
ここでI(0)は光軸10a上の強度である。図16(a)は、I(0)=1、ω=t1/2として式(6)から求めた相対強度分布である。
加えて、試料100の頂点Aから特定位置Pまでの高さδを正確に計測することが可能になり、試料100の特定位置Pへの設定を容易かつ迅速に行うことができる。
図17および図18を参照して、本発明の第5の実施形態を説明する。
図17は、本発明の表面欠陥検査装置1の第5の実施形態の構成を示す側面図である。
第1〜第4の実施形態においては、照射光10を、平行ビームとするものであり、平行ビームの放射角度、すなわち、傾きについては考慮されていない。
第5の実施形態では、YZ平面内における照射光束20の平行度の影響について考察する。
仮想点Fから全角η0の角度で出射した照射光束20が試料100の表面に照射された様子を図17に示す。なお、XZ平面はこれまでの説明と同様に平行光束として取り扱う。
光軸20aの高さに試料100の外周上の特定位置Pを一致させた時、特定位置Pで反射した光はスクリーン102上の点S1に到達する。一方で、特定位置Pから角度αだけ移動した周上の点Qにおける照明入射角度u2aは、平行光束が入射した時と比べてη1だけ小さくなる。
試料100の半径をR、特定位置Pに対する角度をθ、頂点Aと特定位置Pの高さの差をδ、XZ平面における仮想点Fから試料100の中心軸Oまでの距離をlとした時、これらとη1との相関は式(7)の通りである。なお、図17ではδを図示しないが図3と同一の位置を指している。
tan(η1)=(R(1−cos(θ+α))−δ)/(l−R・sin(θ+α)) ……(7)
図18は、仮想点Fから全角η0の角度で収束する照射光束30が試料100表面に照射された様子を示している。なお、XZ平面はこれまでの説明と同様に平行光束として取り扱う。
照射光束30の光軸30aの高さに試料100の外周上の特定位置Pを一致させた時、特定位置Pで反射した光はスクリーン102上の点S1に到達する。一方で、特定位置Pから角度αだけ移動した周上の点Qにおける照明入射角度u2bは、平行光束が入射した時と比べてη1だけ大きくなる。
試料100の半径をR、特定位置Pに対する角をθ、頂点Aと特定位置Pの高さの差をδ、XZ平面における試料100の中心軸Oから仮想点Fまでの距離をlとした時、これらと前記η1との相関は式(8)の通りである。なお、図16ではδを図示しないが図3と同一の位置を指している。
tan(η1)=(R(1−cos(θ+α))−δ)/(l+R・sin(θ+α)) ……(8)
一般的には、平行ビームとされるレーザ発振器は、全角5mrad程度以下である。本発明では、全角20mrad以上のレーザ発振器を採用することができる。このため、レーザ装置を安価にすることが可能である。また、発散または収束する光束を用いても、頂点Aと特定位置Pとの高さの差δが平行光線とほぼ同一であるため、検査時における調整が容易となる。
図19は、第6の実施形態を示し、本発明による表面検査システムの構成図である。
表面検査システムは、表面欠陥検査装置1Cを含む。表面欠陥検査装置1Cは、照射光源171、ローラ101a、101b、ローラユニット172、スクリーン102、受光器175、スクリーン揺動機構176、ラインセンサカメラ107、およびTVカメラレンズ108を備えている。
照射光源171は、レーザ発振器104(図1参照)およびレーザ発振器104から出射された光束を成形するレンズユニットを含む。予め決められた高さに位置決めされた照射光10の一部は試料100の頂点Aおよび特定位置Pを含む円弧部AB上に、帯状に照射される。試料100の円弧部ABに照射された照射光10は、試料100の円弧部ABで反射され、スクリーン102に照射される。また、照射光10の他の一部である基準光は、すなわち、試料100の頂点Aより上方の厚さt2の光束は、スクリーン102に、直接、照射されると共に、その一部は、スクリーン102の開口部132(図13参照)を通過して受光器175で検出される。
図20は、本発明の表面欠陥検査装置の第7の実施形態の構成を示す側面図である。
第1〜第5の実施形態では、被検査体である試料100を、円筒状の部材とし、その外周表面の欠陥を検査するための表面欠陥検査装置1、1A〜1Cとして例示した。第7の実施形態では、圧延鋼板やフィルム等のシート状部材の表面欠陥の検査に適用した表面欠陥検査装置1Dを例示する。
表面欠陥検査装置1Dは、照射光源171、搬送ローラ200、スクリーン102、ラインセンサカメラ107、およびTVカメラレンズ108を備える。
被検査体である試料201は、金属板等のシート部材である。シート状の試料201は、不図示の走行ベルトや移動装置により、製造ラインまたは検査ラインを走行させられる。試料201は、円筒状の搬送ローラ200の外周面の一部に巻き付けられ、方向転換するように搬送される。試料201の搬送ローラ200に巻き付けられた部分は、搬送ローラ200の外周面の形状に倣い、円弧形状となる。試料201の円弧部の外周表面の検査は、試料201の円弧部の半径と試料201の厚さとの合計値に等しい半径Rを有する円筒状の試料100の外周表面の検査と等価である。
このように、円筒状のローラに巻き付けたシート状部材の表面を観察する場合においても、表面欠陥検査装置1Dを適用することが可能であり、第1および第2の実施形態と同様な効果を奏する。
メッキ処理246後のピストンロッドについては表面研磨処理248を施し、その表面粗さを0.05um未満(算術平均粗さ)に仕上げ、組立工程に移される。ここで、メッキ処理246後のピストンロッドの一部を抜き取り、検査工程247において本発明の表面欠陥検査装置によってその表面を検査し、研磨前のピストンロッド表面の凹凸欠陥の発生状況を把握する(検査2)。検査工程247における欠陥検出データ247’は、中央処理装置250に記録、解析される。例えば、メッキ処理246での処理条件変動(電流値や処理時間変動)、メッキ液の劣化等でピストンロッド表面の欠陥個数が徐々に増加する傾向を捉え、メッキ処理条件のメンテナンスを促す。
例えば、検査工程245、247、249で同一のピストンロッドを検査し、中央処理装置250において、それらの欠陥検出データ245’、247’、249’を統合することにより、検査工程249で検出された欠陥の座標情報から、その発生原因を遡って追跡することもできる。或いは、同一のピストンロッドについて、検査工程249で検出された凹欠陥の座標を遡った時、検査工程245、247で無欠陥であるケースもある。この場合、前記凹欠陥は表面研磨処理後に発生した打痕の可能性が高い。
以上述べた通り、本発明の表面欠陥検査装置をピストンロッドの製造工程に適用することで、各処理工程のプロセス以上を早期発見できる。また欠陥検出データをフィードバックすることで、不良品の作り込みを抑止する効果がある。その結果、ピストンロッドの製造歩留まりが向上する。
日本国特許出願2017年第120867号(2017年6月20日出願)
10、151 平行ビーム(照射光)
10a、20a,30a、151a 光軸
20、30 照射光束
51〜58 像
100、201 試料
102、130、152 スクリーン
104 レーザ発振器(照射光源)
107、120 ラインセンサカメラ(光検出部)
108、121 TVカメラレンズ
140 フォトダイオード(強度検出部)
171 照射光源
172 ローラユニット(試料保持部)
178 装置制御部
179 コンピュータ(処理部)
A 頂点(一側縁)
P 特定位置
u1〜u3 照明入射角
Claims (20)
- 凸状の表面を有する試料に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射して、前記凸状の表面で反射した反射光をスクリーンに投射して光学像を形成し、
前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させて基準光とし、
前記基準光により特定される前記光学像の検査箇所の反射光強度分布に基づき前記試料の表面状態を検査する、表面検査方法。 - 請求項1に記載の表面検査方法において、
前記照射光の一部は、前記試料の被照射部の一側縁および該一側縁の位置から厚さ方向に所定長さ離間した特定位置を含む領域に向けて照射され、
前記基準光により特定される前記光学像の検査箇所に基づき前記試料の表面状態を検査し、
前記スクリーンには、前記特定位置で反射された反射光による前記検査箇所を含んで投射される、表面検査方法。 - 請求項2に記載の表面検査方法において、
前記照射光の一部は、光強度のピーク部位を含む、表面検査方法。 - 請求項3に記載の表面検査方法において、
前記照射光のピーク部位は前記特定位置に照射される、表面検査方法。 - 請求項2に記載の表面検査方法において、
前記基準光を前記スクリーンに照射して基準像を形成し、前記基準像に基づき前記試料の前記特定位置から反射した前記光学像の前記検査箇所を特定する、表面検査方法。 - 請求項2に記載の表面検査方法において、
前記試料は断面外周形状が円形であり、前記試料を、中心軸を中心に回転させながら前記試料に前記照射光の一部を照射し、前記試料の照射部の反射光を前記スクリーンに投射する、表面検査方法。 - 請求項6に記載の表面検査方法において、
前記試料の中心軸から前記照射光の光軸までの距離は、前記試料の半径以下である、表面検査方法。 - 請求項6に記載の表面検査方法において、
前記試料の半径に応じて前記試料の表面への前記照射光の入射角度を調節し、半径が異なる前記試料に対して、前記スクリーンに形成される前記光学像の拡大倍率を一定にする、表面検査方法。 - 請求項6に記載の表面検査方法において、
前記試料の半径をR、前記試料の表面への前記照射光の入射角をθ、前記照射光の光軸と前記試料の稜線との距離をδとしたとき、δ=R(1−cosθ)の関係となる、表面検査方法。 - 請求項6に記載の表面検査方法において、
前記スクリーンに投射された前記光学像をラインセンサカメラで読み込み、
前記試料の半径をR、前記スクリーン上での前記試料の周方向の拡大倍率をM、前記スクリーン上でのラインセンサカメラの画素寸法をc、前記ラインセンサカメラのスキャンレートをf、前記試料の回転速度をNとしたとき、N≦c・f(2πR・M)を満足する条件で、前記試料を回転する、表面検査方法。 - 請求項2に記載の表面検査方法において、
前記試料は帯状の部材であり、当該検査時において、前記試料を変形させて、前記凸状の表面を形成する、表面検査方法。 - 試料の凸状の表面に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射するとともに、前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させる基準光として照射する照射部と、
前記試料を保持する試料保持部と、
前記試料の凸状の表面から反射した反射光に基づく光学像を形成するスクリーンと、
前記スクリーンに形成された前記光学像を検出する検査光検出部と、
前記検査光検出部で検出した前記光学像の前記基準光により特定される検査箇所の反射光強度分布に基づき前記試料の表面状態を検出する処理部と、
を備える、表面検査装置。 - 請求項12に記載の表面検査装置において、
前記照射部は、前記照射光の一部を、前記試料の被照射部の一側縁の位置から厚さ方向に所定長さ離間した特定位置までの領域を含み、前記一側縁に対する接線方向に向けて照射し、
前記スクリーンは、前記特定位置で反射された反射光を含んで前記光学像を形成する、表面検査装置。 - 請求項12に記載の表面検査装置において、
前記照射部は、前記照射光の一部に光強度のピーク値が含まれるように前記試料の表面に前記照射光の一部を照射する、表面検査装置。 - 請求項12に記載の表面検査装置において、
前記基準光を検出する基準光検出部を備え、
前記処理部は、前記基準光検出部で検出した前記基準光に基づき、前記試料と前記照射部の相対的な位置を制御する、表面検査装置。 - 請求項12に記載の表面検査装置において、
前記検査光検出部は、前記試料の表面から反射した前記照射光の一部が投射されて形成された前記スクリーンの光学像を検出する第1の光検出部と、
前記試料の表面に照射された前記照射光の一部の散乱光を検出する第2の光検出部と、を備える、表面検査装置。 - 請求項16に記載の表面検査装置において、
前記処理部は、前記第1の光検出部で検出した前記散乱光と前記第2の光検出部で検出した光学像とに基づき、表面状態を弁別する、表面検査装置。 - 凸状の表面を持つ製品の製造方法であって、
前記凸状の表面を加工し、
加工された前記凸状表面に、所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射して、前記凸状の表面で反射させた反射光をスクリーンに投射して光学像を形成し、
前記照射光の一部を除く前記照射光を前記凸状の表面を通過させて基準光とし、
前記基準光により特定される前記光学像の検査箇所の反射光強度分布に基づき試料の表面状態を検査し、
検査した前記製品の表面状態に基づき、前記製品の良否を判定し、
判定結果に基づき前記製品を次の工程に移す、製品の製造方法。 - 請求項18に記載の製品の製造方法において、
前記基準光は、前記凸状の表面を通過させて前記スクリーンに直接照射して基準像を形成する、製品の製造方法。 - 請求項18に記載の製品の製造方法において、
前記基準光の一部を光センサに直接照射し検出する、製品の製造方法。
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