JPWO2018180210A1 - 膜再生方法 - Google Patents

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詩織 大森
貴 笹沼
貴 笹沼
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英了 三木
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Abstract

炭化水素混合物から一部の炭化水素を分離する際に好適に使用し得る膜を再生するための膜再生方法である。より具体的には、ゼオライト膜に対して炭化水素混合物を接触させる工程(A)と、不活性ガス雰囲気下にゼオライト膜を曝して、不活性ガス雰囲気を昇温させる工程(B)と、を含む膜再生方法である。

Description

本発明は、膜再生方法に関し、特には、炭化水素混合物から一部の炭化水素を分離する際に好適に使用し得る膜を再生するための膜再生方法に関するものである。
従来、多成分の混合物から特定の成分を低エネルギーで分離する方法として、膜分離法が用いられている。そして、分離膜としては、例えば、支持体上にゼオライトを膜状に形成してなるゼオライト膜が用いられている。
ここで、一般に、膜分離に使用されるゼオライト膜の性能は、透過物質の透過流束と、分離係数とにより表される。そして、膜分離に使用されるゼオライト膜には、透過流束や分離係数を高めることが求められている。
そこで、従来、二酸化炭素および炭化水素系可燃性ガスを含有する処理対象ガスを透過ガスと非透過ガスとに膜分離するために用いられるゼオライト膜に対して、加熱空気を含む再生用ガスを供給して再生する膜再生方法が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2016/027713号
しかし、加熱空気を含む再生用ガスを用いた上記従来の膜再生方法では、炭化水素混合物を膜分離するためのゼオライト膜の分離係数を十分に高めることができなかった。
そこで、本発明は、炭化水素混合物を膜分離するための分離膜の分離係数を十分に高めることができる、膜再生方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、特定の再生用ガスを用いて炭化水素混合物の膜分離に用いたゼオライト膜を再生すれば、ゼオライト膜の分離係数を十分に高め得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の膜分離方法は、ゼオライト膜に対して炭化水素混合物を接触させる工程(A)と、不活性ガス雰囲気下に前記ゼオライト膜を曝して、前記不活性ガス雰囲気を昇温させる工程(B)と、を含むことを特徴とする。このように、炭化水素混合物を接触させたゼオライト膜を、不活性ガス雰囲気に曝して、該雰囲気を昇温させつつ再生することで、工程(B)を経て得られるゼオライト膜の分離係数を十分に高めることができる。
ここで、本発明の膜分離方法では、前記工程(B)中の前記不活性ガス雰囲気の最高温度が、100℃以上450℃以下であることが好ましい。工程(B)中にゼオライト膜が曝される不活性ガス雰囲気の最高温度を100℃以上450℃以下とすれば、熱によるゼオライト膜の欠損を抑制しつつ、ゼオライト膜の分離係数を一層十分に高めることができる。
また、本発明の膜分離方法では、前記不活性ガスが窒素ガスであることが好ましい。ゼオライト膜が曝される雰囲気が窒素ガスであれば、ゼオライト膜の多孔性を効果的に再生することで、ゼオライト膜の分離係数を一層十分に高めることができる。
そして、本発明の膜分離方法では、前記工程(B)が、前記不活性ガス雰囲気を昇温させる前に、前記ゼオライト膜を前記不活性ガス雰囲気下に曝した状態にて、前記ゼオライト膜を加圧する膜加圧操作を更に含むことが好ましい。かかる膜加圧工程を実施することで、ゼオライト膜の分離係数を一層十分に高めることができる。
本発明によれば、炭化水素混合物を膜分離するための分離膜の分離係数を十分に高めることが可能な、膜再生方法を提供することができる。
本発明の膜再生方法により再生可能なゼオライト膜を備える膜分離装置の概略構成の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の膜再生方法は、炭化水素混合物を膜分離する際に好適に用いられうるゼオライト膜を再生する際に用いることができる。特に、本発明の膜再生方法は、炭化水素混合物と接触させた新品のゼオライト膜を、初めて処理した際に、ゼオライト膜の分離係数を顕著に向上させることができる。
(膜再生方法)
本発明の膜再生方法は、炭化水素混合物を膜分離するために用い得るゼオライト膜を再生する方法である。かかる膜再生方法は、ゼオライト膜に対して炭化水素混合物を接触させる工程(A)と、不活性ガス雰囲気下にゼオライト膜を曝して、不活性ガス雰囲気を昇温させる工程(B)と、を含む。そして、本発明の膜再生方法では、ゼオライト膜に炭化水素混合物を接触させた後に、かかるゼオライト膜を、不活性ガス雰囲気に曝し、且つ、かかる不活性ガス雰囲気を昇温させつつ膜を再生するので、ゼオライト膜の分離係数を十分に高めることができる。その結果、再生済ゼオライト膜を炭化水素混合物の分離に用いた場合に、良好な分離性能を達成することが可能になる。
ここで、不活性ガス雰囲気下で昇温しつつゼオライト膜を再生することで、ゼオライト膜の分離係数を十分に高めることが可能である理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。即ち、炭化水素混合物と接触させたゼオライト膜は、膜に対して吸着または付着した炭化水素系成分を保持している。かかる成分が本来は多孔性であるゼオライト膜が有していた無数の細孔を閉塞または狭径化させうる。これにより、炭化水素混合物を分離する等、炭化水素混合物を接触させる操作を経た後のゼオライト膜では、透過流束および分離係数が低下した状態となっている。ここで、ゼオライト膜は、支持体上にゼオライト結晶を成長させて成る膜である。概して、ゼオライト結晶は孔径が2nm以下であるマイクロ孔を含んでなり、複数の結晶間にて形成される結晶粒界には、孔径2nm超50nm以下であるメソ孔が形成されている。分離対象である炭化水素混合物に含有される複数種の炭化水素化合物には、それらの構造に応じて、細孔を比較的通り易いものと、通りにくいものとがある。そして、各炭化水素化合物の細孔の透過性の違いに起因して分離係数が得られる。ここで、炭化水素混合物の分離にゼオライト膜を用いると分離時間の経過に伴い、細孔が閉塞または狭径化しうる。このため、炭化水素混合物を接触させる操作により、分離係数が低下する。しかし、本発明の膜再生方法では、不活性ガス雰囲気下で昇温しつつゼオライト膜を再生するので、ゼオライト膜の多孔性を良好に回復しつつ、特に、孔径の比較的小さい細孔を、再生時に良好に創出することができるため、ゼオライト膜の分離係数を、再生処理前のゼオライト膜と比較して十分に高めることができると推察される。
<炭化水素混合物>
ここで、本発明の膜再生方法によって再生されうるゼオライト膜が膜分離する分離対象である炭化水素混合物は、ゼオライト膜を用いて一部の炭化水素化合物を分離することが可能な複数種の炭化水素化合物の混合物であれば特に限定されるものではない。具体的には、炭化水素混合物としては、例えば、炭素数が等しい、直鎖状炭化水素と、分岐状炭化水素および/または環状炭化水素とを含む混合物が挙げられる。中でも、炭化水素混合物は、好ましくは、炭素数が4の直鎖状炭化水素と、炭素数が4の分岐状炭化水素および/または炭素数が4の環状炭化水素とを主成分として含む混合物、或いは、炭素数が5の直鎖状炭化水素と、炭素数が5の分岐状炭化水素および/または炭素数が5の環状炭化水素とを主成分として含む混合物であり、より好ましくは、炭素数が5の直鎖状炭化水素と、炭素数が5の分岐状炭化水素および/または炭素数が5の環状炭化水素とを主成分として含む混合物である。
なお、本発明において、「直鎖状炭化水素と、分岐状炭化水素および/または環状炭化水素とを主成分として含む」とは、炭化水素混合物中に、直鎖状炭化水素と、分岐状炭化水素および/または環状炭化水素とを合計で50モル%以上含有することを指す。
そして、炭素数が4の直鎖状炭化水素と、炭素数が4の分岐状炭化水素および/または環状炭化水素とを主成分として含む混合物(以下、「炭素数が4の炭化水素混合物」と称することがある。)としては、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエンなどの炭素数が4の直鎖状炭化水素と、イソブタン、イソブテンなどの炭素数が4の分岐状炭化水素および/またはシクロブタン、シクロブテンなどの炭素数が4の環状炭化水素とを含む混合物が挙げられる。具体的には、炭素数が4の炭化水素混合物としては、例えば、ナフサを熱分解してエチレンを生産する際に副生するC4留分や、C4留分から少なくともブタジエンの一部を回収した後に残る留分などが挙げられる。
また、炭素数が5の直鎖状炭化水素と、炭素数が5の分岐状炭化水素および/または環状炭化水素とを主成分として含む混合物(以下、「炭素数が5の炭化水素混合物」と称することがある。)としては、n−ペンタン、1−ペンテン、2−ペンテン、1,3−ペンタジエンなどの炭素数が5の直鎖状炭化水素と、イソペンタン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン、イソプレンなどの炭素数が5の分岐状炭化水素および/またはシクロペンタン、シクロペンテンなどの炭素数が5の環状炭化水素とを含む混合物が挙げられる。具体的には、炭素数が5の炭化水素混合物としては、例えば、ナフサを熱分解してエチレンを生産する際に副生するC5留分や、C5留分から少なくともイソプレンの一部を回収した後に残る留分などが挙げられる。
<ゼオライト膜>
また、本発明の膜再生方法で再生するゼオライト膜としては、炭化水素混合物から所望の炭化水素化合物を分離可能な任意のゼオライト膜が挙げられる。具体的には、特に限定されるものではないが、ゼオライト膜としては、多孔性支持体と、多孔性支持体上に設けられた多孔性分離層とを備え、且つ、多孔性分離層が所望の炭化水素化合物を分離可能なゼオライト(アルミノケイ酸塩および/またはシリカライト)を含んでいる分離膜が挙げられる。より具体的には、例えば、炭素数が4の炭化水素混合物または炭素数が5の炭化水素混合物の膜分離に好適に用いられうるゼオライト膜である、多孔性支持体と、多孔性支持体上に設けられた多孔性分離層とを備え、且つ、多孔性分離層がMFI型ゼオライト(MFI構造を有するアルミノケイ酸塩および/またはシリカライト)を含んでなる分離膜が挙げられる。
ここで、多孔性支持体としては、多孔性分離層を担持することが可能な多孔質体であれば任意の材質の多孔質体を用いることができる。中でも、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージライト等の多孔質セラミックス;シラスポーラスガラス等のガラス;およびステンレス鋼等の多孔質焼結金属からなる多孔質体が好ましい。多孔質セラミックスや多孔質焼結金属からなる多孔質体は、機械的強度に優れているからである。
なお、多孔性支持体の形状は、特に限定されることなく、例えば、平膜状、平板状、チューブ状、ハニカム状などの任意の形状とすることができる。
また、多孔性分離層は、例えば多孔性支持体上またはゼオライト種結晶を付着させた多孔性支持体上でMFI型ゼオライト等の所望の構造を有するゼオライトを合成することにより形成することができる。具体的には、多孔性分離層は、任意にゼオライト種結晶を付着させた多孔性支持体を、シリカ源および構造規定剤を含む水性ゾルに浸漬し、水熱合成によりゼオライトを合成することにより、多孔性支持体上に形成することができる。
なお、多孔性支持体上に多孔性分離層を形成して得られたゼオライト膜は、構造規定剤を除去するための焼成処理、および煮沸洗浄処理を施した後に、大気雰囲気下などの酸素含有雰囲気下で焼成処理を施したものでありうる。
<工程(A)>
ここで、工程(A)では、ゼオライト膜に対して炭化水素混合物を接触させる。より具体的には、工程(A)は、膜分離を行う分離工程や、ゼオライト膜を炭化水素混合物ガスに対して暴露する暴露工程でありうる。すなわち、工程(A)は、ゼオライト膜に対して炭化水素混合物を接触させうる限りにおいて特に限定されることなく、あらゆる具体的操作により実施されうる工程である。工程(A)にて、ゼオライト膜に対して炭化水素混合物を接触させることで、ゼオライト膜に対して炭化水素系成分を吸着または付着させることができる。
なお、工程(A)が分離工程である場合には、ゼオライト膜により、炭化水素混合物に含まれている炭化水素化合物の一部を分離する。具体的には、特に限定されることなく、分離工程である工程(A)では、例えば、炭素数が等しい、直鎖状炭化水素と、分岐状炭化水素および/または環状炭化水素とを含む炭化水素混合物から例えば直鎖状炭化水素を効率的に分離除去し、これにより、炭化水素混合物中における分岐状炭化水素および/または環状炭化水素の含有割合を高めることができる。より具体的には、分離工程である工程(A)では、炭化水素混合物をゼオライト膜に通すことで、一部の成分(例えば、直鎖状炭化水素)を炭化水素混合物から分離除去することができる。
なお、ゼオライト膜を用いた分離工程は、任意の条件下で行うことができるが、加温条件下で行うことが好ましい。具体的には、分離工程は、好ましくは20℃以上300℃以下、より好ましくは25℃以上250℃以下、さらに好ましくは50℃以上200℃以下の条件下で行うことが好ましい。また、分離工程を行う際の圧力条件は、特に限定されないが、非透過側と透過側との差圧(非透過側の圧力−透過側の圧力)を10kPa以上600kPa以下とすることが好ましく、50kPa以上300kPa以下とすることがより好ましい。なお、本明細書において、圧力はゲージ圧である。
一方、工程(A)が暴露工程である場合には、例えば、炭素数が等しい、直鎖状炭化水素と、分岐状炭化水素および/または環状炭化水素とを含む炭化水素混合物を、ゼオライト膜の非透過側、および/または透過側に導入することができる。暴露工程である工程(A)では、ゼオライト膜が曝される炭化水素混合物含有雰囲気の圧力を、例えば、0kPa以上600kPa以下とすることが好ましい。
なお、工程(A)として、ゼオライト膜を炭化水素混合物に対して暴露する場所は、例えば、本工程(A)が上述したような分離工程である場合のように、ハウジング内にゼオライト膜を収容してなる膜分離モジュール内などの、分離操作を実施し得る場所であっても良いし、膜分離モジュール外でゼオライト膜を保管しておくための保管容器内であってもよい。
<工程(B)>
工程(B)では、不活性ガス雰囲気下にゼオライト膜を曝して、不活性ガス雰囲気を昇温させる。ここで、工程(B)においてゼオライト膜が曝されている不活性ガス雰囲気を昇温させた場合、当該雰囲気の温度は、工程(B)の実施中に降温させてもよいし、降温させなくてもよい。中でも、工程(B)を経た再生済ゼオライト膜を用いて炭化水素混合物を膜分離する際に急激な温度降下によってゼオライト膜の破壊が起こるのを抑制する観点からは、ゼオライト膜が曝されている不活性ガス雰囲気は、工程(B)の実施中に降温させることが好ましい。
[不活性ガス雰囲気]
ここで、工程(B)においてゼオライト膜が曝される不活性ガス雰囲気としては、窒素ガス、アルゴンガス、およびヘリウムガスなどの不活性ガスよりなる雰囲気が挙げられる。これらの不活性ガスは一種単独で、或いは複数種を混合して用いることができる。中でも、不活性ガスとしては、窒素ガスが好ましい。ゼオライト膜が曝される不活性ガス雰囲気を窒素ガス雰囲気とすれば、ゼオライト膜の多孔性を効果的に再生することで、ゼオライト膜の分離係数を一層十分に高めることができる。これは、窒素ガス雰囲気を昇温させつつゼオライト膜を再生した場合に、マイクロ孔が創出されるとともに、ゼオライト膜に付着または吸着した炭化水素化合物が炭化することに起因して、メソ孔が閉塞するためであると考えられる。従って、窒素ガス雰囲気を用いて工程(B)を実施して得られた再生済ゼオライト膜は、マイクロ孔を透過し易い炭化水素化合物の透過係数を高めるとともに、メソ孔を透過し得る炭化水素化合物の透過係数を減少させうる。
なお、工程(B)においてゼオライト膜が曝されうる不活性ガス雰囲気を構成するために用いる不活性ガスとしては、不活性ガス以外の成分の含有量が極めて低い不活性ガスを用いることが好ましく、実質的に不活性ガスのみからなる不活性ガスであることがより好ましく、不活性ガス以外のガスを含有しないことがさらに好ましい。ここで、「実質的に不活性ガスのみからなる」とは、不活性ガスの99.9体積%以上が不活性ガスであることをいう。なお、不活性ガス雰囲気には、不活性ガス以外の成分として水蒸気が含有されうるが、不活性ガス雰囲気が水蒸気を含有し得る場合において、不活性ガス雰囲気の露点は−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましく、−40℃以下であることがさらに好ましく、−50℃以下であることが特に好ましい。なお、本明細書において、「露点」とは、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)を用いて測定した水分量から求めた大気圧下露点を指す。
更に、工程(B)中にゼオライト膜が曝される不活性ガス雰囲気の最高温度は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましく、450℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましい。工程(B)中にゼオライト膜が曝される不活性ガス雰囲気の最高温度を上記下限値以上とすることで、工程(B)を経て得られる再生済ゼオライト膜の分離係数を十分に高めることができる。また、工程(B)中にゼオライト膜が曝される不活性ガス雰囲気の最高温度を上記上限値以下とすることで、ゼオライト膜に欠損等の劣化が生じることを効果的に抑制することができる。なお、工程(B)中にゼオライト膜が曝される不活性ガス雰囲気の温度は、10℃以上450℃以下の範囲内とすることが好ましく、20℃以上450℃以下の範囲内とすることがより好ましい。
また、ゼオライト膜が曝される不活性ガス雰囲気の圧力(ゲージ圧)は、例えば1MPa以下とすることが好ましい。圧力が高すぎる場合にはゼオライト膜の欠損が起こる虞があるからである。また、ゼオライト膜が曝される不活性ガス雰囲気の圧力(ゲージ圧)は、通常、10kPa以上である。
ここで、工程(B)において露点が不活性ガス雰囲気にゼオライト膜を曝す時間は、特に限定されることなく、5時間以上とすることが好ましく、10時間以上とすることがより好ましく、15時間以上とすることが更に好ましく、通常、500時間以下とする。不活性ガス雰囲気にゼオライト膜を曝す時間が上記下限値以上であれば、工程(B)を経て得られる再生済ゼオライト膜の分離係数を一層十分に高めることができるからである。
なお、工程(B)中に上記最高温度の不活性ガス雰囲気にゼオライト膜を曝す時間は、特に限定されるものではないが、例えば5時間以上とすることが好ましく、10時間以上とすることがより好ましく、12時間以上とすることが更に好ましく、50時間以下とすることが好ましく、30時間以下とすることがより好ましい。ゼオライト膜が曝される不活性ガス雰囲気を上記最高温度で保持する時間を上記下限値以上とすれば、工程(B)を経て得られる再生済ゼオライト膜の分離係数を一層十分に高めることができるからである。また、ゼオライト膜が曝される雰囲気を上記最高温度で保持する時間を上記上限値以下とすれば、熱によりゼオライト膜が欠損することを効率的に抑制することができるからである。
また、不活性ガス雰囲気にゼオライト膜を曝す方法としては、ゼオライト膜の周囲の雰囲気を不活性ガス雰囲気にすることができれば、任意の方法を用いることができる。具体的には、工程(B)では、例えば、ゼオライト膜が収容された空間内に不活性ガスを連続的または断続的に流すことによりゼオライト膜を不活性ガス雰囲気に曝してもよいし、ゼオライト膜が収容された空間内を不活性ガスで置換した後、当該空間を気密に保持することによりゼオライト膜を不活性ガス雰囲気に曝してもよい。
なお、ゼオライト膜を不活性ガス雰囲気に曝す場所は、上記工程(A)と同様に、ハウジング内であっても、保管容器内であってもよい。
なお、工程(B)中にて、ゼオライト膜が曝されている雰囲気を昇温させるにあたり、昇温は、工程(B)の最初から開始してもよいし、工程(B)の途中で開始してもよい。工程(B)の初期段階でゼオライト膜が曝されている雰囲気の昇温を伴わない場合には、かかる初期段階が、後述する<膜加圧操作>に相当しても良い。
また、不活性ガス雰囲気の温度は、100℃以上まで昇温させることが好ましく、150℃以上まで昇温させることがより好ましく、200℃以上まで昇温させることがさらに好ましく、450℃以下まで昇温させることが好ましく、400℃以下まで昇温させることがより好ましい。昇温後の雰囲気の温度(昇温後温度)を上記下限値以上とすれば、工程(B)を経て得られる再生済ゼオライト膜の分離係数を一層十分に高めることができるからである。また、昇温後の雰囲気の温度(昇温後温度)を上記上限値以下とすれば、熱によりゼオライト膜が欠損することを効率的に抑制することができるからである。
なお、昇温後に雰囲気の温度を昇温後温度で保持する時間は、特に限定されるものではないが、例えば5時間以上とすることが好ましく、10時間以上とすることがより好ましく、12時間以上とすることが更に好ましく、50時間以下とすることが好ましく、30時間以下とすることがより好ましい。雰囲気を昇温後温度で保持する時間を上記下限値以上とすれば、工程(B)を経て得られる再生済ゼオライト膜の分離係数を一層十分に高めることができるからである。また、雰囲気を昇温後温度で保持する時間を上記上限値以下とすれば、熱によりゼオライト膜が欠損することを効率的に抑制することができるからである。
そして、工程(B)では、任意に、昇温させた雰囲気の温度を例えば30℃以下、好ましくは25℃以下まで降温させることができる。ゼオライト膜が曝される雰囲気の温度を上記上限値以下まで降温させれば、工程(B)を経て得られた再生済ゼオライト膜を用いて炭化水素混合物を膜分離する際に急激な温度降下によってゼオライト膜の破壊が起こるのを抑制することができるからである。
なお、雰囲気の温度を降温させる場合、工程(B)を終了させるタイミングは、降温の終了と同時であってもよいし、降温が終了してから任意の時間が経過した後でもよい。
<膜加圧操作>
さらに、本発明の膜再生方法では、上述した工程(B)の初期段階にて、ゼオライト膜を不活性ガス雰囲気下に曝した状態にて、ゼオライト膜を加圧する膜加圧操作を更に含むことが好ましい。かかる膜加圧操作を実施することで、工程(B)を経て得られるゼオライト膜の分離係数を一層十分に高めることができる。その理由は明らかではないが炭化水素混合物が吸着または付着した状態のゼオライト膜を加圧することで、ゼオライト膜の多孔構造中のより内部付近に炭化水素混合物をいわば「押し込む」ことができるためであると推察される。膜加圧操作は、ゼオライト膜を加圧することができる限りにおいて特に限定されることなく、あらゆる方途により実現することができる。例えば、膜加圧操作では、ゼオライト膜が収容された空間内に不活性ガスを充てんし、さらに、かかる空間内の圧力を高めることによりゼオライト膜を加圧することができる。なお、工程(B)の一部である膜加圧操作を実施する場所は、上述したように、ハウジング内であっても、保管容器内であってもよい。
よって、例えば、膜分離モジュール内のゼオライト膜を加圧するにあたり、ゼオライト膜の非透過側下流方向からゼオライト膜に対して、所謂「背圧」をかけることでゼオライト膜を加圧することができる。或いは、膜分離モジュール内のゼオライト膜を加圧するにあたり、ゼオライト膜の非透過側上流方向からゼオライト膜に対して圧力をかけることでゼオライト膜を加圧することもできる。中でも、工程(B)にてゼオライト膜に対して不活性ガスを供給する流れ方向とは逆方向の気体流を利用して、ゼオライト膜を加圧することが好ましい。
膜分離モジュール内のゼオライト膜を加圧する場合など、ゼオライト膜の各表面に対して印加される圧力を異なる圧力とすることができる条件下では、差圧は、1MPa以下とすることが好ましく、700kPa以下とすることがより好ましく、400kPa以下とすることがさらに好ましく、通常、10kPa以上であり、100kPa以上とすることが好ましい。このとき、非透過側(即ち、炭化水素混合物を接触させた側)の圧力を透過側の圧力よりも高くすることが好ましい。
また、ゼオライト膜の各表面に対して印加される圧力が同じである場合には、膜加圧操作時のゼオライト膜の曝される雰囲気の圧力は、1MPa以下とすることが好ましく、700kPa以下とすることがより好ましく、400kPa以下とすることがさらに好ましく、通常、10kPa以上である。
膜加圧操作時の差圧または圧力を上記上限値以下とすることで、ゼオライト膜が圧力により損傷を受けることを効果的に抑制することができる。また、膜加圧操作時の差圧または圧力を上記下限値以上とすることで、工程(B)を経て得られるゼオライト膜の分離係数を一層十分に高めることができる。
ここで、膜加圧操作の実施に先立って、工程(A)の後、工程(B)の冒頭に、まず、ゼオライト膜が収容された空間内から炭化水素混合物等を排出させる排出操作を実施することが好ましい。排出操作は、特に限定されることなく、例えば、上記工程(B)にて用いうる不活性ガスにてゼオライト膜周囲の雰囲気を置換させることができる限りにおいてあらゆる具体的操作により実現することができる。
このように、工程(B)の冒頭には、任意の炭化水素排出操作や膜加圧操作等を介在させうる。ここで、工程(A)と工程(B)との間において、大気や二酸化炭素雰囲気等の、炭化水素混合物や不活性ガス以外の他の雰囲気下に曝し、昇温させる工程は含まない。
以下、本発明の膜再生方法により再生可能なゼオライト膜を備える膜分離装置の概略構成の一例について説明する。かかる膜分離装置100は、内部にゼオライト膜を備える膜分離モジュール30、膜分離モジュール30に炭化水素混合物を供給する原料供給機構20、および不活性ガス(図示例では、N)を膜分離モジュール30のゼオライト膜が収容された空間に供給する気体供給機構40を備える。そして、膜分離装置100は、原料供給機構20を用いて炭化水素混合物を膜分離モジュール30に供給して膜分離した後に、気体供給機構40を用いて供給した不活性ガス雰囲気の下、昇温しつつ膜分離モジュールを再生することができる。
膜分離モジュール30は、ハウジング31と、ハウジング31内に収容されてハウジング31内に非透過側領域33および透過側領域34を画成するゼオライト膜32とを備える。なお、膜分離モジュール30の非透過側領域33の下流側には、非透過成分を流出させる非透過成分流出機構60が設けられている。そして、非透過成分流出機構60は、非透過成分ライン61と、背圧弁62と、非透過成分ライン弁63とを備えており、非透過成分ライン61は、図示しない非透過成分回収装置に接続されていてもよいし、炭化水素混合物の貯留槽10に接続されて循環流路を形成していてもよい。
更に、非透過成分ライン61からは、気体供給機構から供給された気体を流出させる気体流出ライン71が分岐して延びており、気体流出ライン71には、気体流出ライン弁72が設けられている。そして、気体流出ライン71および気体流出ライン弁72は、気体供給機構40から供給されてゼオライト膜と接触した気体(図示例では、N)を流出させる気体流出機構70を構成している。
また、膜分離モジュール30の透過側領域34の下流側には、透過成分を流出させる透過成分ラインよりなる透過成分流出機構50が設けられている。そして、透過成分ラインには、図示しない透過成分ライン弁が設けられている。また、透過成分ラインは、コールドトラップ等の図示しない透過成分回収装置に接続されている。
原料供給機構20は、炭化水素混合物の貯留槽10と膜分離モジュール30の非透過側領域33とを接続する原料ライン21と、原料ライン21に設けられて貯留槽10内の炭化水素混合物を非透過側領域33へと送出する移送器22と、原料ライン21に設けられて炭化水素混合物を加熱する加熱器23と、原料ライン弁24とを備える。
そして、原料供給機構20によれば、原料ライン弁24を開いた状態で移送器22および加熱器23を運転することにより、移送器22を介して送出された炭化水素混合物を加熱器23で加熱して気化させ、膜分離モジュール30の非透過側領域33へと供給することができる。また、原料供給機構20によれば、原料ライン弁24を閉じることにより、膜分離モジュール30の非透過側領域33への炭化水素混合物の供給を停止することができる。
気体供給機構40は、原料ライン弁24と膜分離モジュール30との間で原料ライン21に連結して不活性ガスの供給源(図示せず)と膜分離モジュール30の非透過側領域33とを接続する気体ライン41と、気体ライン弁42と、気体ライン41に設けられて不活性ガスを加熱する加熱器43とを備える。
そして、気体供給機構40によれば、気体ライン弁42を開いた状態で加熱器43を運転することにより、気体を加熱器43で加熱し、膜分離モジュール30の非透過側領域33へと供給することができる。また、気体供給機構40によれば、気体ライン弁42を閉じることにより、膜分離モジュール30の非透過側領域33への気体の供給を停止することができる。
そして、上述した膜分離装置100によれば、原料ライン弁24、非透過成分ライン弁63および透過成分ライン弁(図示せず)を開き、気体ライン弁42および気体流出ライン弁72を閉じて原料供給機構20から膜分離モジュール30へと炭化水素混合物を流し、炭化水素混合物を膜分離することができる。具体的には、移送器22および加熱器23を介して膜分離モジュール30の非透過側領域33へと気化させた炭化水素混合物を送り、ゼオライト膜32を透過した透過成分を透過成分流出機構50を介して回収すると共に、ゼオライト膜32を透過しなかった非透過成分を非透過成分流出機構60を介して回収または循環させることができる。
また、上述した膜分離装置100によれば、原料ライン弁24、非透過成分ライン弁63および透過成分ライン弁(図示せず)を閉じ、気体ライン弁42および気体流出ライン弁72を開いた状態で気体供給機構40から膜分離モジュール30へと不活性ガスを流すことができる。具体的には、加熱器43で加熱された不活性ガスを膜分離モジュール30のハウジング31内へと流入させ、加熱された不活性ガスとゼオライト膜32とを接触させることができる。また、ゼオライト膜32と接触した後の不活性ガスは、気体流出ライン71を介して任意の処理装置へと排出することができる。
このような膜分離装置100に備えられるゼオライト膜32は、上述した本発明の膜再生方法により再生処理することができる。そして、このような膜分離装置100は、得られた再生済のゼオライト膜32を用いて、炭化水素混合物を膜分離することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、炭化水素混合物の分離係数向上率は、下記の方法で測定および評価した。
<分離係数向上率>
実施例、比較例では、それぞれ、新品のゼオライト膜を用いた。そして、各実施例、比較例の工程(A)として、分離工程を行い、透過側サンプルS1を得た。また、工程(B)を経た後の再生済ゼオライト膜を用いて、工程(A)と同条件で分離工程を行い、透過側サンプルS2を得た。そして、透過側サンプルS1およびS2を用いて、それぞれ、新品分離係数αnと再生済膜分離係数αrとを、下記式(I)に従って算出した。さらに、再生の前後における分離係数向上率を、下記式(II)に従って算出した。
αnまたはαr=(Y/Yiso)/(X/Xiso) ・・・(I)
分離係数向上率(%)=(αr−αn)/αn×100
また、式(I)中、Xは、原料中のn−ペンタンの含有割合[モル%]であり、Xisoは、原料中のイソペンタンの含有割合[モル%]であり、Yは、透過側サンプルS1またはS2中のn−ペンタンの含有割合[モル%]であり、Yisoは、透過側サンプルS1またはS2中のイソペンタンの含有割合[モル%]である。
(実施例1)
<工程(A)>
円筒状のムライト製多孔性支持体の外表面上にMFI型ゼオライトよりなる多孔性分離層を形成し、その後、露点2℃の大気雰囲気下において温度500℃で20時間焼成することにより構造規定剤を除去して得たMFI型ゼオライト膜を使用し、図1に示すような膜分離装置100を用いて、工程(A)としての分離工程を行った。なお、膜分離装置100の透過成分ラインは、サンプリング用のコールドトラップに接続し、非透過成分ライン61は冷却器としての熱交換器を介して貯留槽10に接続した。
図1に示す膜分離装置100を用いた分離工程は、以下のようにして実施した。
具体的には、まず、n−ペンタンとイソペンタンとの混合液(n−ペンタン:50モル%、イソペンタン:50モル%の混合液)からなる炭素数5の炭化水素混合物を貯留槽10に充填し、脱気操作を3回行った。
次に、原料ライン弁24、非透過成分ライン弁63および透過成分ライン弁(図示せず)を閉じ、気体ライン弁42および気体流出ライン弁72を開いた状態で気体供給機構40から膜分離モジュール30へと窒素ガス(露点:−50℃、導入窒素ガス純度:99.99体積%)を流し、窒素ガスとゼオライト膜32とを接触させた。具体的には、加熱器43で加熱された窒素ガスを膜分離モジュール30のハウジング31内へと流入させ、ハウジング31内の温度が500℃(最高温度)まで昇温した後、当該最高温度500℃で窒素ガスとゼオライト膜32とを15時間接触させた。その後、ハウジング31内の温度を20℃まで降温させ、温度20℃で窒素ガスとゼオライト膜32とを19時間接触させた。
その後、原料ライン弁24および非透過成分ライン弁63を開き、気体ライン弁42および気体流出ライン弁72を閉じた。そして、炭化水素混合物を、加熱器23で70℃に加温して、気相にて膜分離モジュール30に供給し、次いで、冷却器により凝縮し、貯留槽10に戻す原料循環処理を開始した。そして、原料循環処理開始後、系内の温度が定常状態に達するまで運転を行い、系内の温度が定常状態に達した後、背圧弁62により非透過側を150kPa(ゲージ圧)に加圧するとともに、透過側(コールドトラップ)を−100kPa(ゲージ圧)に減圧した。そして、系内の温度、圧力が安定したことを確認した後、透過成分ライン弁(図示せず)を開き、膜分離を開始した。即ち、温度70℃、非透過側と透過側の差圧250kPaの条件で膜分離を行った。
そして、膜分離を開始した後、5時間経過した時点において、以下のようにして、原料を系内から排出する排出操作を行った。排出操作にあたり、まず、原料ライン弁24を閉じて気体ライン弁42を開いて、非透過成分ライン弁63を経てライン中の炭化水素混合物を貯留槽10に押し出した。そして、100内の圧力が150kPaとなるまで気体供給機構40により窒素ガスを供給して、系内を昇圧し、図示しない脱圧弁を開いて貯留槽10から脱圧した。かかる昇圧〜脱圧までの操作を4回繰り返した後に、非透過成分ライン弁63を閉じて、再度気体流出ライン弁72を開いて窒素ガスの供給(即ち、窒素パージ)を開始した。
<膜加圧工程>
そして、分離膜を再生処理する工程(B)に先立って、膜加圧工程を以下のようにして実施した。まず、窒素パージ開始後、背圧弁62を開いて非透過側に100kPa(ゲージ圧)の背圧をかけた。このとき、透過側(コールドトラップ)の圧力は−100kPa(ゲージ圧)のままとした。即ち、膜加圧工程において、非透過側と透過側の差圧を200kPaとした。かかる状態を10分間維持した。
<工程(B)>
その後、工程(B)において、不活性ガスとしての窒素ガスに対して、ゼオライト膜32を曝しつつ、窒素ガスを昇温させた。具体的には、気体ライン弁42および気体流出ライン弁72を開いた状態で気体供給機構40から膜分離モジュール30へと窒素ガス(露点:−50℃、導入窒素ガス純度:99.99体積%)を流し、窒素ガスとゼオライト膜32とを接触させた。具体的には、加熱器43で加熱された窒素ガスを膜分離モジュール30のハウジング31内へと流入させ、ハウジング31内の温度が250℃(最高温度)まで昇温した後、当該最高温度250℃で窒素ガスとゼオライト膜32とを15時間接触させた。その後、ハウジング31内の温度を20℃まで降温させ、温度20℃で窒素ガスとゼオライト膜32とを19時間接触させた(降温操作)。
そして、工程(B)を経て得られた再生済ゼオライト膜を用いて、上記方法に従って分離係数および分離係数向上率を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
工程(B)におけるハウジング31内の最高温度を300℃に変更した以外は実施例1と同様にして再生済ゼオライト膜を得た。得られた再生済ゼオライト膜を用いて、上記方法に従って分離係数および分離係数向上率を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の工程(B)において、窒素ガスに代えて、露点20℃の空気を用いてゼオライト膜の曝される雰囲気を昇温させて最高温度250℃にて10時間保持した後、ゼオライト膜の曝される雰囲気を250℃の窒素ガス雰囲気として5時間保持する乾燥操作を介在させてから、降温操作を実施した。これらの点以外は実施例1と同様にして再生済ゼオライト膜を得た。得られた再生済ゼオライト膜を用いて、上記方法に従って分離係数および分離係数向上率を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2018180210
表1より、実施例1〜2では分離係数向上率が顕著に向上していることが分かる。即ち、実施例1〜2では、再生済ゼオライト膜の分離係数を、新品のゼオライト膜よりも顕著に向上させ得たことが分かる。
本発明によれば、炭化水素混合物を膜分離するための分離膜の分離係数を十分に高めることが可能な膜再生方法を提供することができる。
10 貯留槽
20 原料供給機構
21 原料ライン
22 移送器
23 加熱器
24 原料ライン弁
30 膜分離モジュール
31 ハウジング
32 ゼオライト膜
33 非透過側領域
34 透過側領域
40 気体供給機構
41 気体ライン
42 気体ライン弁
43 加熱器
50 透過成分流出機構
60 非透過成分流出機構
61 非透過成分ライン
62 背圧弁
63 非透過成分ライン弁
70 気体流出機構
71 気体流出ライン
72 気体流出ライン弁
100 膜分離装置

Claims (4)

  1. ゼオライト膜に対して炭化水素混合物を接触させる工程(A)と、
    不活性ガス雰囲気下に前記ゼオライト膜を曝して、前記不活性ガス雰囲気を昇温させる工程(B)と、を含む、膜再生方法。
  2. 前記工程(B)中の前記不活性ガス雰囲気の最高温度が、100℃以上450℃以下である、請求項1に記載の膜再生方法。
  3. 前記不活性ガスが窒素ガスである、請求項1または2に記載の膜再生方法。
  4. 前記工程(B)が、前記不活性ガス雰囲気を昇温させる前に、前記ゼオライト膜を前記不活性ガス雰囲気下に曝した状態にて、前記ゼオライト膜を加圧する膜加圧操作を更に含む、請求項1〜3の何れかに記載の膜再生方法。
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