以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態では、フィルタを自動で清掃するためのフィルタ清掃装置を内蔵している空気調和機を例に挙げて説明する。図1は、本実施の形態に係る空気調和機の室内機1の外観構成を示す。図2には、室内機1の前面パネル11を開けた状態を示す。図3には、室内機1に備えられたフィルタ21およびフィルタ清掃装置20を示す。
<空気調和機の全体構成>
先ず、本実施の形態にかかる空気調和機の全体構成について説明する。本実施の形態にかかる空気調和機は、セパレート式の空気調和機であって、主として、室内機1と室外機(図示せず)とから構成されている。
室外機には、圧縮機、室外側熱交換器、四方弁、室外ファンなどが備えられている。これらと室内機1側に備えられた室内側熱交換器(図示せず)とによって冷凍サイクルが形成される。
次に、室内機1の構成について、図1および図2を用いて説明する。図1に示すように、室内機1は、略直方体状の形状を有しており、通常、部屋の壁の上部に掛けられて使用される。上述したように、室内機1内には室内側熱交換器が備えられている。この室内側熱交換器は、冷媒配管(図示せず)を介して室外機側の圧縮機などと接続されている。これにより、この室内機1と室外機とは、冷凍サイクルを構成し、その結果、空気調和機として機能する。
室内機1は、主として、筐体10、フィルタ清掃装置20(図3参照)、フィルタ21(図3参照)、および空気調和ユニット(図示せず)などを備えている。以下、これらの各構成部材についてそれぞれ詳述する。
筐体10は、略直方体状の樹脂成形品である。図1に示すように、筐体10は、主として、前面パネル11、本体パネル12、および背面パネル13で構成されている。筐体10の内部には、フィルタ清掃装置20、フィルタ21、空気調和ユニット、および電装品ユニットなどが収容されている。
なお、説明の便宜上、前面パネル11が配置されている側を室内機1の前面側とし、背面パネル13が配置されている側を室内機1の背面側とする。そして、室内機1の前面側から背面側、または背面側から前面側へ向かう方向のことを、前後方向という。また、室内機1の通常の設置状態において、上方から下方または下方から上方へ向かう方向のことを、上下方向または鉛直方向という。また、この上下方向に交差または直交する方向のことを、水平方向または左右方向という。また、正面から前面パネル11を見た状態で、右側に位置する室内機1の側面を右側面とし、左側に位置する室内機1の側面を左側面とする。したがって、室内機1内を右方向へ移動するとは、室内機1の左側から右側へ移動すること意味し、室内機1内を左方向へ移動するとは、室内機1の右側から左側へ移動すること意味する。
筐体10の上面には、吸込み口14が設けられている。この吸込み口14から、室内機1が設置されている室内の空気が室内機1内に取り込まれる。吸込み口14の真下には、フィルタ21が配置されている。
前面パネル11は、筐体10の前面(正面)に位置する。前面パネル11は、本体パネル12に対して開閉可能に取り付けられている。図2には、前面パネル11が開いている状態を示す。図2に示すように、前面パネル11の裏面側には、フィルタ清掃装置20のダストボックス22R・22Lが配置されている。
また、本体パネル12の下部には、吸込み口から吸い込んだ空気を送出する吹出口が設けられており、吹出口にフラップ15が開閉可能に設けられている。フラップ15には、駆動モータ(図示せず)が連結されている。駆動モータは、信号線を介して電装品ユニットに通信接続されており、空気調和機の運転中、電装品ユニット内の制御部からの制御信号に従ってフラップ15の回動角度を調節する。
図示はしていないが、空気調和ユニットは、主として、室内側熱交換器とクロスフローファンとで構成されている。
室内側熱交換器は、複数の熱交換器を、クロスフローファンを覆う屋根(逆V字状)のように組み合わせたものである。なお、各熱交換器は、左右両端で複数回折り返された伝熱管に多数の放熱フィンが取り付けられたものであって、冷房運転時には蒸発器として機能し、暖房運転時には凝縮器として機能する。
クロスフローファンは、駆動モータ(図示せず)に連結されている。そして、クロスフローファンは、空気調和機の運転中、その駆動モータによって回転駆動され、室内の空気を筐体10に吸い込んで室内側熱交換器に供給すると共に、室内側熱交換器で熱交換された空気を室内に送出する。
電装品ユニットは、例えば、筐体10内の右側端部に配置される。電装品ユニットは、中央処理演算部(制御部)、信号送受信部などで構成されている。電装品ユニットは、信号線を介して、フィルタ清掃装置20の駆動モータ25(図3参照)、および冷凍サイクルの各構成部材などと接続されている。そして、電装ユニット内の制御部は、使用者の指示、および室温や外気温を検出する温度センサ等の各種センサの検出信号に基づいて、冷凍サイクルを制御し、冷房運転および暖房運転を行う。
フィルタ21は、吸込み口14と室内側熱交換器との間に設けられている。説明の便宜上、吸込み口14と対向しているフィルタ21の面を表面とし、室内側熱交換器と対向しているフィルタ21の面をフィルタの裏面とする。フィルタ21は、筐体10に設けられた吸込み口14の形状に沿うように配置されている。フィルタ21は、吸込み口14から室内機1の内部に取り込まれる空気に含まれる埃や塵を捕捉する。これにより、室内機1の内部に取り込まれる空気中の埃や塵の量を減らすことができる。
図示はしていないが、本実施形態にかかる室内機1には、2つのフィルタ21が、左右に並んで配置されている。なお、空気調和機におけるフィルタの個数及び配置は、これに限定はされない。例えば、フィルタは、吸込み口14の全領域をカバーするような大きさで構成されてもよい。
フィルタ清掃装置20は、フィルタ21に付着した埃や塵などを除去する装置である。フィルタ清掃装置20には、矩形の板状を有するフィルタ21が、フィルタ清掃装置20の形状に沿うように取り付けられている。フィルタ清掃装置20には、フィルタ21上に付着した埃、塵、ゴミなどを収容するダストボックス22が備えられている。ダストボックス22は、各フィルタ21に対してそれぞれ設けられている。すなわち、本実施形態の室内機1には、右側のフィルタ21Rと左側のフィルタ21Lのそれぞれに対して、ダストボックス22が1個ずつ設けられている。なお、より具体的には、右側ダストボックスが22Rで示され、左側ダストボックスが22Lで示される。
<フィルタ清掃装置について>
続いて、室内機1に備えられているフィルタ21およびフィルタ清掃装置20のより具体的な構成について、図3から図5を参照しながら説明する。
図3には、右側のフィルタ21Rを清掃するためのフィルタ清掃装置20の構成を示す。左側のフィルタ21Lを清掃するためのフィルタ清掃装置20における各構成部材の構造および配置は、右側のフィルタ21Rを清掃するためのフィルタ清掃装置20と基本的に同様の構成を適用することができる。また、後述する駆動部60は、左側のフィルタ21Lを清掃するためのフィルタ清掃装置20の場合には、左側のフィルタ21Lの左側に取り付けられることが一般的である。その場合、左側のフィルタ21Lを駆動する駆動部60の構成は、右側のフィルタ21Rを駆動する駆動部60と左右対称になるように、ギア配置、モータ位置などが配置されることになる。本明細書中において、右側および左側のフィルタ清掃装置を区別して説明するときには、フィルタ清掃装置20Rおよびフィルタ清掃装置20Lとそれぞれ呼ぶ。なお、図3では、ダストボックス22の図示は省略している。
図4には、フィルタ清掃装置20の駆動部60に備えられた各構成部材を分解した状態で示す。図5には、フィルタ清掃装置20の断面構成を示す。図5では、フィルタ21も図示している。
フィルタ清掃装置20は、主として、フィルタ21の前面側に配置されている。空気調和機が空調運転(冷房運転、暖房運転、除湿運転、送風運転など)を行っているときには、図5などに示すように、フィルタ21は、その前方側の端部部分のみがフィルタ清掃装置20と重なるような位置関係で配置されている。そして、フィルタ清掃装置20によってフィルタ21の清掃が行われる際には、フィルタ21は駆動モータ25によって駆動されて移動し、フィルタ21の表面全体がフィルタ清掃装置20のブラシ(埃取り部材)23上を通過するように構成されている。
フィルタ21は、メッシュ部51と、メッシュ部51の周囲を取り囲む枠部52とで構成されている。
メッシュ部51は、例えば、ポリエチレンテレフタレートで網目状に形成され、枠部52は、例えば、ポリプロピレン樹脂などの合成樹脂で形成される。またあるいは、メッシュ部51と枠部52とは、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂により一体的に成形されてもよい。
また、枠部52は、複数のリブ53を有している。各リブ53は、枠部52の内部を縦または横に略等間隔に延びており、これにより、メッシュ部51の表面は碁盤目状に区画される。この構成により、フィルタ21の強度が高まる。
また、本実施形態では、縦方向に延びる枠部52の裏面側に、複数のラック54が形成されている。このようなラック54は、フィルタ21の移動を駆動する第2フィルタ駆動用ギア24(24R・24L)と噛み合う。そして、駆動モータ25によって第2フィルタ駆動用ギア24が回転駆動されると、これに連動してフィルタ21が移動する。すなわち、駆動モータ25が運転を開始すると、フィルタ21はフィルタ支持体(フィルタガイド)(図示せず)に沿って、室内機1内を前後方向に移動するとともに、室内機1内を上下方向に移動する。
次に、フィルタ清掃装置20の構成について説明する。図3および図5に示すように、フィルタ清掃装置20は、主な構成部材として、ダストボックス22、ブラシ(埃取り部材)23、第2フィルタ駆動用ギア24(24R・24L)、背面ローラ41、および駆動部60などを備えている。
ダストボックス22は、ブラシ23によってフィルタ21表面から払い取られた埃、塵、ゴミなどを、その内部に集積させる。ダストボックス22は、フィルタ21の表面側の前方部に、配置されている。そして、ダストボックス22(具体的には、右側のダストボックス22Rと左側のダストボックス22L)は、フィルタ21の左右方向(水平方向)に沿って、フィルタ21の一端部から他端部に延びるように配置されている。ダストボックス22は、フィルタ清掃装置20に対して、取り外し可能に取り付けられている。
また、図5に示すように、ダストボックス22には、ブラシ23の先端部と接触する位置に板状の突起27が形成されている。フィルタ清掃装置20がフィルタ21の清掃運転を行っているときに、ブラシ23の先端部が突起27と接触することで、ブラシ毛に付着した埃をダストボックス22へ落とすことができる。なお、突起27は櫛状であってもよい。
ブラシ23は、概略的に、細長い円筒形状を有している。ブラシ23は、ダストボックス22の左右方向(水平方向)に沿って、各ダストボックス22(22Rおよび22L)の一端部から他端部に延びるように配置されている。
より具体的には、ブラシ23は、内部に回転軸を有している。そして、回転軸の表面にブラシ23を構成するブラシ毛23aが埋め込まれている。ブラシ23は、ブラシ毛23aの先端がフィルタ21の表面と接触するように配置され、フィルタ21表面に付着した埃を掻き取る。ブラシ毛23aは、例えば、適度な剛性を有する繊維(例えば、ナイロンなどの合成繊維、動物毛などの天然繊維)を複数本束ねて形成される。ブラシ23は、ブラシ毛23aの代わりに、パイル状に起毛させた繊維(例えば、ナイロンなどの合成繊維、動物毛などの天然繊維)などで回転軸の表面を覆うことによって形成することもできる。
また、ブラシ23の回転軸の両端部には、ギア部23Rおよび23Lがそれぞれ設けられている。右側に設けられたギア部23Rは、ブラシ駆動用ギア(回転駆動用ギア)63と噛み合い、駆動モータ25からの駆動力が伝達される。これにより、フィルタ21の清掃時、ブラシ23は、例えば矢印B3方向に回転する(図5参照)。
また、左側のフィルタ21L用のフィルタ清掃装置20Lのブラシ23は、フィルタ清掃装置20Lに備えられた駆動モータ25によって駆動される。
第2フィルタ駆動用ギア24は、フィルタ21の清掃時に、フィルタ21を間に挟んで、ブラシ23と対向するような位置に配置される。図3および図4に示すように、第2フィルタ駆動用ギア24は、シャフト部24aとギア部24Rおよび24Lとで構成されている。
シャフト部24aは、フィルタ21の左右方向(水平方向)に沿って配置されている。シャフト部24aは、駆動モータ25によって駆動される。これにより、第2フィルタ駆動用ギア24は回転する。
シャフト部24aの両端部には、ギア部24Rおよび24Lが設けられている。駆動モータ25によって回転するシャフト部24aに連動して、ギア部24Rおよび24Lも回転する。ギア部24Rおよび24Lは、フィルタ21の縦方向の枠部52に設けられた複数のラック54と対向するように配置されている。すなわち、フィルタ21の各ラック54は、第2フィルタ駆動用ギア24のギア部24Rおよび24Lの各歯と噛み合う。これにより、駆動モータ25によって第2フィルタ駆動用ギア24が回転駆動されると、これに連動して、フィルタ21がフィルタ支持体のガイド(図示せず)に沿って移動する。
背面ローラ41は、フィルタ21の清掃時に、フィルタ21を間に挟んで、ブラシ23と対向するような位置に配置される。例えば、背面ローラ41は、第2フィルタ駆動用ギア24のシャフト部24aのやや前方側の斜め下方に配置されている。背面ローラ41は、細長い円筒形状(円柱形状)を有している。背面ローラ41は、フィルタ21の左右方向(水平方向)に沿って、フィルタ21の一端部側から他端部側に延びるように配置されている。なお、背面ローラ41は、側面視において、第2フィルタ駆動用ギア24のギア部24Rおよび24Lの内側に位置するように配置されている(図5参照)。
背面ローラ41は、長手方向の両端部にギアを有している。本実施形態では、背面ローラ41は、フィルタ21によって回転駆動される。すなわち、背面ローラ41は、フィルタ21の移動に連動して回転する。具体的には、背面ローラ41の両端に設けられたギアが、フィルタ21の枠部52に形成されたラック54と噛み合うことで、フィルタ21の移動に連動して背面ローラ41が回転する。
背面ローラ41の表面には、ブラシが設けられている。背面ローラ41のブラシは、例えば、ブラシ23と同じ素材で形成することができる。
背面ローラ41の表面のブラシは、フィルタ21の裏面と接触するように配置されている。そして、清掃運転中、フィルタ21の移動に連動して背面ローラ41は回転する。これにより、ブラシ23と背面ローラ41との間に配置されたフィルタ21では、裏面側の背面ローラ41のブラシの作用によって、表面に付着している埃や塵などが、前方側へ押し出される。そのため、ブラシ23によるフィルタ21表面上での回転動作により、フィルタ21上にある程度強力に付着している埃も掻き取ることができる。
<駆動部について>
続いて、駆動部60のより具体的な構成について、図3から図8、図11、および図12を参照しながら説明する。図4に示すように、駆動部60は、駆動モータ25、モータギア61、フィルタ駆動用ギア62、ブラシ駆動用ギア(回転駆動用ギア)63、およびクラッチギア(伝達部材)64などを備えている。駆動部60の各構成部材は、ケーシング(筐体ともいう)内に収容されていてもよい。また、別の態様では、駆動モータ25などの一部の構成部材は、ケーシングの外部に配置され、残りの構成部材が、ケーシング内に収容されていてもよい。
駆動モータ25は、正転逆転切り換え可能なモータであって、上述の通り、第2フィルタ駆動用ギア24を回転させることによって、フィルタ21を移動させる。なお、具体的には、駆動モータ25が正転されると、フィルタ21は、前方および下方に移動する(図5の矢印A2方向)。その結果、フィルタ21上に堆積している塵埃が下から順にブラシ23によって払い落とされ、ダストボックス22内に落とされる(図5参照)。このように、フィルタ清掃装置20によってフィルタ21が清掃されるときの駆動モータ25の回転方向およびフィルタ21の移動方向を、本明細書では正方向または第1の方向とする。
一方、駆動モータ25が逆転されると、フィルタ21は、後方および上方に移動する(図7の矢印C2方向)。その結果、清掃済みのフィルタ21が空調運転時の規定の位置に戻される。このように、フィルタ21を空調運転時の位置に戻すときの駆動モータ25の回転方向およびフィルタ21の移動方向を、本明細書では逆方向または第2の方向とする。すなわち、第2の方向は、第1の方向とは反対の方向となる。
モータギア61は、駆動モータ25に連結されている。モータギア61には、駆動モータ25による駆動力が直接伝達される。したがって、駆動モータ25が正転(正方向に回転)すると、モータギア61は、図6に示す矢印A0方向に回転する。一方、駆動モータ25が逆転(逆方向に回転)すると、モータギア61は、図8に示す矢印C0方向に回転する。
フィルタ駆動用ギア62は、モータギア61と噛み合うように配置されている(図6参照)。そして、モータギア61が矢印A0方向に回転すると、フィルタ駆動用ギア62は矢印A1方向に回転する。一方、モータギア61が矢印C0方向に回転すると、フィルタ駆動用ギア62は矢印C1方向に回転する(図8参照)。
また、フィルタ駆動用ギア62は、軸部62aを有している。軸部62aは、第2フィルタ駆動用ギア24のギア部24Rの中央に形成された穴に嵌まり込む。この穴は、シャフト部24aと同軸上に位置する。この構成により、フィルタ駆動用ギア62が回転すると、その回転力が第2フィルタ駆動用ギア24に伝達され、第2フィルタ駆動用ギア24が回転する。
ブラシ駆動用ギア63は、同軸上に配置された小ギア部63aと大ギア部63bとを有している。図3に示すように、小ギア部63aは、クラッチギア64(具体的には、クラッチギア64の第2ギア66)と噛み合うように配置されている。また、大ギア部63bは、ブラシ23のギア部23Rと噛み合うように配置されている。
これにより、ブラシ駆動用ギア63には、駆動モータ25の駆動力がクラッチギア64を介して伝達可能となる。また、ブラシ駆動用ギア63は、駆動モータ25からの駆動力をブラシ23へ伝達し、ブラシ23を回転させることができる。
クラッチギア64は、駆動モータ25に連結されたモータギア61と、ブラシ駆動用ギア63との間に配置されている。クラッチギア64には、モータギア61を介して駆動モータ25の駆動力が伝達される。また、クラッチギア64は、駆動モータ25の駆動力をブラシ駆動用ギア63へ伝達する。
クラッチギア64は、第1ギア65、第2ギア66、および弾性部材67を有している。
第1ギア65は、モータギア61と噛み合うように配置され、モータギア61を介して駆動モータ25からの駆動力が伝達される。第2ギア66は、第1ギア65と同軸上に(すなわち、各回転軸が重なるように)配置されるとともに、ブラシ駆動用ギア63の小ギア部63aと噛み合うように配置されている。なお、本実施形態では、第1ギア65と第2ギア66とは略同じ径となっている。すなわち、第1ギア65と第2ギア66とは、互いに重なるように配置されている。
図11には、第1ギア65を示す。図11では、第2ギア66との対向面の構造を図示している。また、図12には、第2ギア66を示す。図12では、第1ギア65との対向面の構造を図示している。
図11に示すように、第1ギア65には、第2ギア66との対向面に、傾斜を有する突起(傾斜部)65aが、ギアの回転軸を中心に円形状に形成されている。本実施形態では、突起65aには、段差部65bが2個形成されている。2個の段差部65bは、互いに対向する位置に配置されている。
また、図12に示すように、第2ギア66には、第1ギア65との対向面に、傾斜を有する突起(傾斜部)66aが、ギアの回転軸を中心に円形状に形成されている。本実施形態では、突起66aには、段差部66bが2個形成されている。2個の段差部66bは、互いに対向する位置に配置されている。
また、第1ギア65および第2ギア66に設けられている各突起65aおよび66aは、第1ギア65と第2ギア66を同軸上に配置し、第1ギア65と第2ギア66とが接しているときに、突起65aと突起66aの位置が一致するように形成されている。
なお、本実施形態では、第1ギア65に設けられている各突起65aと、第2ギア66に設けられている突起66aとは、同じ傾斜角度になっている。これにより、第1ギア65と第2ギア66とが接しているときに、突起65aと突起66aとは確実に篏合する。また、互いの突起同士が接触したときの摩擦による摩耗を低減させることができる。また、各突起65aおよび66aに段差部が2個ずつ形成されていることで、2つの位置(第1の位置と、第1の位置から180度回転した位置)で段差部同士を篏合させることができる。
但し、本発明の別の態様では、第1ギア65に設けられている突起65aと、第2ギア66に設けられている突起66aとは、異なる傾斜角度であってもよい。また、例えば、各突起65aおよび65bのうちの何れか一方のみが傾斜しており、他方は一定の高さの壁状の突起(段差部)とすることもできる。このように、第1ギア65に設けられている突起65aの形状と、第2ギア66に設けられている突起66aの形状とは、異なっていてもよい。
また、本実施形態では、段差部65bの個数は、段差部66bの個数と同じになっている。これにより、第1ギア65と第2ギア66とが接しているときに、突起65aと突起66aとが確実に篏合する。しかし、本発明の別の態様では、段差部の個数は異なっていてもよい。
また、段差部65bの高さは、段差部66bの高さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
弾性部材67は、第1ギア65の回転軸上に配置されている。本実施形態では、弾性部材67は、コイルバネで形成されている。このコイルバネの一端が第1ギア65の回転軸に接続され、他端が駆動部60の構成部材を収容しているケーシングの壁面に接続されている。このコイルバネは、第1ギア65と第2ギア66との距離が縮まる方向に力を付与している。すなわち、弾性部材67は、第1ギア65を第2ギア66へ近付ける方向に付勢している。
上記の構成を有する駆動部60において、駆動モータ25を正方向に回転させると、第1ギア65は矢印B1方向(段差部65bへ向けて突起の高さが高くなる方向)に回転する(図11参照)。そして、第1ギア65の突起65aは第2ギア66の突起66aと接しながら円周状に回転し、第1ギア65および第2ギア66の互いの段差部同士が当接する(段差部分同士が対面する)と、第1ギア65の回転力が第2ギア66へ伝達され、第2ギア66が回転をする。
ここで、第1ギア65および第2ギア66の互いの段差部同士が対面するとは、図9に示すように、段差部65bの垂直面65c(図11参照)と、段差部66bの垂直面66c(図12参照)とが接触することをいう。なお、垂直面65cは、第1ギア65の回転方向に略垂直に立設している。また、垂直面66は、第2ギア66の回転方向に略垂直に立設している。
一方、駆動モータ25を逆方向に回転させると、第1ギア65は矢印D1方向(段差部65bから突起の高さが低くなる方向)に回転する(図11参照)。このとき、第1ギア65の突起65aは、第2ギア66の突起66aと接しながら円周状に回転するが、第1ギア65および第2ギア66の互いの段差部同士が当接する(段差部分同士が対面する)ことはない。そのため、第1ギア65の回転力が、第2ギア66へ伝達されることはなく、第2ギア66は回転をしない。
<フィルタおよびブラシの動作について>
続いて、フィルタ21およびブラシ23の動作について、図5から図10を参照しながら説明する。
本実施形態にかかるフィルタ清掃装置20において、フィルタ21の清掃を行うとき、すなわち、駆動モータ25がフィルタ21を正方向(第1の方向)に動かすときに、クラッチギア64は、ブラシ23を所定の方向に回転させるようにブラシ駆動用ギア63を駆動する。ここで、所定の方向とは、ブラシ23がフィルタ21上の埃をダストボックス22へ払い落とす方向を意味する。また、フィルタ清掃装置20が清掃を終了し、フィルタ21を元の状態に戻すとき、すなわち、駆動モータ25がフィルタ21を逆方向(第2の方向)に動かすときには、クラッチギア64は、ブラシ駆動用ギア63への駆動力の伝達を停止する。
以下に、駆動モータ25がフィルタ21を正方向に動かすとき、および、逆方向に動かすときの動作について、具体的に説明する。
図5、図6、および図9には、フィルタ清掃時のフィルタ21およびブラシ23、並びに各ギアの動作を示す。このとき、駆動モータ25は、正方向に回転する。駆動モータ25の回転力は、モータギア61に伝達される。そして、モータギア61は、矢印A0方向に回転する(図6参照)。モータギア61が矢印A0方向に回転すると、モータギア61と噛み合うフィルタ駆動用ギア62へ駆動力F1が伝達される(図9参照)。これにより、フィルタ駆動用ギア62は、矢印A1方向へ回転する(図6参照)。
フィルタ駆動用ギア62の回転力は、軸部62aを介して第2フィルタ駆動用ギア24へ伝達され、第2フィルタ駆動用ギア24も矢印A1方向へ回転する(図5参照)。第2フィルタ駆動用ギア24が矢印A1方向へ回転すると、フィルタ21は矢印A2方向(すなわち、ブラシ23およびダストボックス22へ近づく方向)へ移動する(図5参照)。このとき、フィルタ21のラック54と噛み合うように配置された背面ローラ41は、フィルタ21の動作に連動して、矢印A3方向に回転する。
また、モータギア61は、クラッチギア64とも噛み合うように配置されている。そのため、駆動モータ25が正方向に回転すると、駆動モータ25の駆動力F2は、モータギア61を介してクラッチギア64へ伝達される(図9参照)。これにより、クラッチギア64の第1ギア65は、矢印B1方向へ回転する(図6参照)。
このとき、第1ギア65の突起65aと、第2ギア66の突起66aとが嵌合する。すなわち、第1ギア65および第2ギア66の互いの段差部同士が当接する(段差部65bの垂直面65c(図11参照)と、段差部66bの垂直面66c(図12参照)とが接触する)。第1ギア65および第2ギア66の突起同士が嵌合すると、第1ギア65の駆動力F3が、第2ギア66へ伝達される。そして、第2ギア66へ伝達された駆動力F3は、第2ギア66と噛み合うブラシ駆動用ギア63の小ギア部63aへ駆動力F4として伝達される(図9参照)。
これにより、ブラシ駆動用ギア63は、矢印B2方向へ回転する(図6参照)。そして、ブラシ駆動用ギア63が矢印B2方向へ回転すると、ブラシ駆動用ギア63の大ギア部63bと噛み合うブラシ23のギア部23Rは、矢印B3方向へ回転する(図5参照)。これにより、フィルタ清掃時には、フィルタ21から埃を掻き落とし、ダストボックス22へ集積させる方向に、ブラシ23を回転させることができる。
図7、図8、および図10には、フィルタ戻し時のフィルタ21およびブラシ23、並びに各ギアの動作を示す。このとき、駆動モータ25は、逆方向に回転する。駆動モータ25の回転力は、モータギア61に伝達される。そして、モータギア61は、矢印C0方向に回転する(図8参照)。モータギア61が矢印C0方向に回転すると、モータギア61と噛み合うフィルタ駆動用ギア62へ駆動力F1が伝達される(図10参照)。これにより、フィルタ駆動用ギア62は、矢印C1方向へ回転する(図8参照)。
フィルタ駆動用ギア62の回転力は、軸部62aを介して第2フィルタ駆動用ギア24へ伝達され、第2フィルタ駆動用ギア24も矢印C1方向へ回転する(図7参照)。第2フィルタ駆動用ギア24が矢印C1方向へ回転すると、フィルタ21は矢印C2方向(すなわち、ブラシ23およびダストボックス22から離れる方向)へ移動する(図7参照)。このとき、フィルタ21のラック54と噛み合うように配置された背面ローラ41は、フィルタ21の動作に連動して、矢印C3方向に回転する(図7参照)。
また、駆動モータ25が逆方向に回転すると、モータギア61と噛み合うクラッチギア64へ駆動モータ25の駆動力F2が伝達される(図10参照)。これにより、クラッチギア64の第1ギア65は、矢印D1方向へ回転する(図8参照)。
このとき、第1ギア65は矢印D1方向(段差部65bから突起の高さが低くなる方向)に回転する(図11参照)。このとき、第1ギア65の突起65aは、第2ギア66の突起66aと接しながら円周状に回転するが、第1ギア65および第2ギア66の互いの段差部同士が当接する(段差部分同士が対面する)ことはない。そのため、第1ギア65の回転力が、第2ギア66へ伝達されることはなく、第2ギア66は回転をしない(図10参照)。言い換えれば、空回りする。したがって、駆動モータ25がフィルタ21を空調運転時の状態に戻すときには、ブラシ23は回転しない。
もし、逆方向に回転する駆動モータ25に連動して、ブラシ23が矢印B3方向とは逆の方向に回転すると、フィルタ21から掻き落とした埃が、フィルタ21へ再付着してしまう可能性がある。これに対して、本実施形態にかかるフィルタ清掃装置20によれば、駆動モータ25が逆方向に回転するときには、ブラシ23の回転を停止することができる。そのため、フィルタ21を空調運転時の状態に戻すときに、ブラシ23からフィルタ21へ埃が再付着することを抑えることができる。
なお、本実施形態のフィルタ清掃装置20においては、正方向に駆動モータ25を回転させるときの回転速度と、逆方向に駆動モータ25を回転させるときの回転速度とを異ならせてもよい。これにより、フィルタ清掃時(第1の方向への移動時)のフィルタ21の移動速度V1と、フィルタ戻し時(第2の方向への移動時)のフィルタ21の移動速度V2とを異ならせることができる。
例えば、駆動モータ25は、移動速度V1よりも移動速度V2の方が大きく(速く)なるように、回転速度を変更させてもよい。これにより、フィルタ21の清掃が終わった後に、フィルタ21を元の状態へより短時間で戻すことができる。したがって、フィルタ清掃装置20を用いたフィルタ清掃にかかる全体の所要時間を短くすることができる。
以上のように、本実施形態のフィルタ清掃装置20によれば、一つの駆動モータ25を用いて、フィルタ21の移動とブラシの23の回転の両方の動作を駆動することができる。そのため、駆動モータの数を減らすことができる。
また、フィルタ清掃装置20によれば、フィルタ21を空調運転時の状態に戻すときには、ブラシ23の回転を停止させることができる。そのため、フィルタ21からブラシ23側へ掻き取られた埃が、フィルタ21に再付着することを抑えることができる。
なお、本発明の別の一態様では、右側のフィルタ21R用のフィルタ清掃装置20Rの左側に設けられたギア部23L及び第2フィルタ駆動用ギア24Lが、左側のフィルタ21L用のフィルタ清掃装置20Lのブラシ23の右側のギア部23R及び第2フィルタ駆動用ギア24Rとそれぞれ連結されていてもよい。これにより、フィルタ清掃装置20Lのブラシ23及び第2フィルタ駆動用ギア24にも、駆動モータ25からの駆動力が伝達される。この場合には、左側のフィルタ21L用のフィルタ清掃装置20Lに駆動部60を設ける必要はない。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態について、図13から図17を参照しながら説明する。第2の実施形態では、空気調和機の室内機1内のフィルタ清掃装置の構成が、第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じ構成が適用できる。そこで、以下では、第2の実施形態にかかるフィルタ清掃装置120の構成を中心に説明する。第1の実施形態と同じ構成が適用できる構成部材については、第1の実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。
図13および図14には、第2の実施形態にかかるフィルタ清掃装置120に備えられている駆動部160の構成を示す。これらの図では、駆動部160を下方から見た状態を示す。駆動部160は、主な構成部材として、駆動モータ25、モータギア61、フィルタ駆動用ギア62、ブラシ駆動用ギア(回転駆動用ギア)63、およびクラッチギア(伝達部材)164を備えている。
駆動モータ25、モータギア61、フィルタ駆動用ギア62、およびブラシ駆動用ギア63は、第1の実施形態と同様の構成が適用できるため、詳しい説明については省略する。
クラッチギア164は、駆動モータ25に連結されたモータギア61と、ブラシ駆動用ギア63との間に配置されている。クラッチギア164には、モータギア61を介して駆動モータ25の駆動力が伝達される(図13の矢印F2参照)。また、クラッチギア164は、駆動モータ25の駆動力をブラシ駆動用ギア63へ伝達する(図13の矢印F3参照)。
図16には、クラッチギア164の断面構成を示す。図16に示すように、クラッチギア164は、第1ギア165、第2ギア166、およびワンウエイクラッチ167を有している。図16に示すように、クラッチギア164などの駆動部160の各構成部材は、ケーシング(筐体)170内に収容されている。
第1ギア165は、モータギア61と噛み合うように配置され、モータギア61を介して駆動モータ25からの駆動力が伝達される。第2ギア166は、第1ギア165と同軸上に配置される。より具体的には、第2ギア166の軸部166aが、第1ギア165の中央部に形成された孔165aに嵌まり込んでいる(図16参照)。また、第2ギア166は、ブラシ駆動用ギア63の小ギア部63aと噛み合うように配置されている。
第1の実施形態と同様に、第1ギア165と第2ギア166とは略同じ径となっている。すなわち、第1ギア165と第2ギア166とは、互いに重なるように配置されている。
さらに、図16に示すように、第1ギア165の孔165aには、ワンウエイクラッチ167が嵌まり込んでいる。ワンウエイクラッチ167は、第2ギア166の軸部166aの周囲に配置されている。
図17には、ワンウエイクラッチ167を示す。ワンウエイクラッチ167は、略環状の部材である。環状のワンウエイクラッチ167の内周面には、ボールベアリング167aが複数個形成されている。ワンウエイクラッチ167には、一般に知られているワンウエイクラッチの構造を適用することができる。
フィルタ清掃装置120では、駆動モータ25が正方向(図15の矢印A0方向)に回転すると、クラッチギア164の第1ギア165は、矢印B1方向へ回転する(図15参照)。第1ギア165が矢印B1方向に回転すると、ワンウエイクラッチ167の作用によって、第1ギア165と第2ギア166とが連結された状態となる。これにより、モータギア61から第1ギア165へ伝達された駆動力F2を、第2ギア166へ駆動力F3として伝達することができる(図13参照)。そして、第2ギア166は、第1ギア165とともに矢印B1方向へ回転する(図15参照)。
そして、第2ギア166へ伝達された駆動力F3は、第2ギア166と噛み合うブラシ駆動用ギア63の小ギア部63aへ駆動力F4として伝達される(図13参照)。これにより、ブラシ駆動用ギア63は、矢印B2方向へ回転する(図15参照)。そして、ブラシ駆動用ギア63が矢印B2方向へ回転すると、第1の実施形態と同様に、ブラシ23のギア部23Rは、矢印B3方向へ回転する(図5参照)。これにより、フィルタ清掃時には、フィルタ21から埃を掻き落とし、ダストボックス22へ集積させる方向に、ブラシ23を回転させることができる。
一方、駆動モータ25が逆方向に回転すると、ワンウエイクラッチ167の作用によって、第1ギア165と第2ギア166との連結は解除される。そのため、モータギア61から第1ギア165へ伝達された駆動力F2は、第2ギア166へは伝達されない(図14参照)。したがって、駆動モータ25がフィルタ21を空調運転時の状態に戻すときには、ブラシ23は回転しない。
なお、駆動部160以外のフィルタ清掃装置120の構成については、第1の実施形態にかかるフィルタ清掃装置20と同様の構成が適用できる。
以上のように、本実施形態にかかるフィルタ清掃装置120によれば、駆動モータ25が逆方向に回転するときには、ブラシ23の回転を停止することができる。そのため、フィルタ21を空調運転時の状態に戻すときに、ブラシ23からフィルタ21へ埃が再付着することを抑えることができる。
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態について、図18および図21を参照しながら説明する。第3の実施形態では、空気調和機の室内機1内のフィルタ清掃装置の構成が、第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じ構成が適用できる。そこで、以下では、第3の実施形態にかかるフィルタ清掃装置220の構成を中心に説明する。第1の実施形態と同じ構成が適用できる構成部材については、第1の実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。
図18および図19には、第3の実施形態にかかるフィルタ清掃装置220に備えられている駆動部260の構成を示す。これらの図では、駆動部260を下方から見た状態を示す。駆動部260は、主な構成部材として、駆動モータ25、モータギア61、フィルタ駆動用ギア62、ブラシ駆動用ギア(回転駆動用ギア)63、およびクラッチギア(伝達部材)264を備えている。
駆動モータ25、モータギア61、フィルタ駆動用ギア62、およびブラシ駆動用ギア63は、第1の実施形態と同様の構成が適用できるため、詳しい説明については省略する。
クラッチギア264は、駆動モータ25に連結されたモータギア61と、ブラシ駆動用ギア63との間に配置されている。クラッチギア264には、モータギア61を介して駆動モータ25の駆動力が伝達される(図18の矢印F2参照)。また、クラッチギア264は、駆動モータ25の駆動力をブラシ駆動用ギア63へ伝達する(図18の矢印F3参照)。
図20には、クラッチギア264の内部に備えられている角バネ(コイルバネ)267を示す。また、図21には、クラッチギア264の断面構成を示す。図21に示すように、クラッチギア264は、第1ギア265、第2ギア266、および角バネ267を有している。
第1ギア265は、モータギア61と噛み合うように配置され、モータギア61を介して駆動モータ25からの駆動力が伝達される。第2ギア266は、第1ギア265と同軸上に配置される。より具体的には、第1ギア265の軸上に形成された突起部265aと、第2ギア266の軸上に形成された突起部266aとが、互いに対向する位置に配置されている(図21参照)。また、第2ギア266は、ブラシ駆動用ギア63の小ギア部63aと噛み合うように配置されている。
第1の実施形態と同様に、第1ギア265と第2ギア266とは略同じ径となっている。すなわち、第1ギア265と第2ギア266とは、互いに重なるように配置されている。
さらに、第1ギア265と第2ギア266との間には、角バネ267が配置されている。図20および図21に示すように、角バネ267は、第1ギア265の突起部265aおよび第2ギア266の突起部266aをそれぞれ取り囲むように取り付けられている。
そして、角バネ267は、第1ギア265が矢印B1方向に回転したとき、第2ギア266の突起部266aを締めつける力を発する。これにより、第1ギア265の回転力が第2ギア266に伝達される(図18に示す矢印F3参照)。また、角バネ267は、第1ギア265が矢印D1方向に回転したとき、第2ギア266の突起部266aを締めつける力を発生させない。すなわち、第1ギア265の突起部265aと第2ギア266の突起部266aとの連結が解除された状態となる。これにより、第1ギア265の回転力は第2ギア266に伝達されない(図19参照)。
なお、角バネ267は、その一方の端部が第1ギア265に対して固定されていてもよい。これにより、第1ギア265の回転力を、より確実に角バネ267に伝達することができる。
なお、本実施形態では、角バネ267を用いてクラッチギア264を形成しているが、本発明の別の一態様では、丸形断面のコイルバネを用いてもよい。
以上より、図20に示すように、駆動モータ25が正方向(矢印A0方向)に回転すると、クラッチギア264の第1ギア265は、矢印B1方向へ回転する。第1ギア265が矢印B1方向に回転すると、角バネ267の作用によって、第1ギア265と第2ギア266とが連結された状態となる。これにより、モータギア61から第1ギア265へ伝達された駆動力F2を、第2ギア266へ駆動力F3として伝達することができる(図18参照)。そして、第2ギア266は、第1ギア165とともに矢印B1方向へ回転する。
そして、第2ギア266へ伝達された駆動力F3は、第2ギア266と噛み合うブラシ駆動用ギア63の小ギア部63aへ駆動力F4として伝達される(図18参照)。これにより、ブラシ駆動用ギア63は、矢印B2方向へ回転する(図20参照)。そして、ブラシ駆動用ギア63が矢印B2方向へ回転すると、第1の実施形態と同様に、ブラシ23のギア部23Rは、矢印B3方向へ回転する(図5参照)。これにより、フィルタ清掃時には、フィルタ21から埃を掻き落とし、ダストボックス22へ集積させる方向に、ブラシ23を回転させることができる。
一方、図20に示すように、駆動モータ25が逆方向(矢印C0方向)に回転すると、角バネ267の作用によって、第1ギア265と第2ギア266との連結は解除される。そのため、モータギア61から第1ギア265へ伝達された駆動力F2は、第2ギア266へは伝達されない(図19参照)。したがって、駆動モータ25がフィルタ21を空調運転時の状態に戻すときには、ブラシ23は回転しない。
なお、駆動部260以外のフィルタ清掃装置220の構成については、第1の実施形態にかかるフィルタ清掃装置20と同様の構成が適用できる。
以上のように、本実施形態にかかるフィルタ清掃装置220によれば、駆動モータ25が逆方向に回転するときには、ブラシ23の回転を停止することができる。そのため、フィルタ21を空調運転時の状態に戻すときに、ブラシ23からフィルタ21へ埃が再付着することを抑えることができる。
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態について、図22および図23を参照しながら説明する。上述の第1から第3の実施形態では、駆動モータがフィルタを第2の方向(すなわち、フィルタを元の位置に戻す方向)に動かすときに、ブラシの回転を停止するという構成例について説明した。
しかし、本発明の一態様では、駆動モータがフィルタを第2の方向(すなわち、フィルタを元の位置に戻す方向)に動かすときに、ブラシ駆動用ギア(本実施形態では、ギア部323R)へ駆動力を伝達し、フィルタを第1の方向へ動かすときと同じ方向にブラシを回転させるという構成も可能である。そこで、第4の実施形態では、この構成について説明する。
第4の実施形態では、空気調和機の室内機1内のフィルタ清掃装置の構成が、第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じ構成が適用できる。そこで、以下では、第4の実施形態にかかるフィルタ清掃装置320の構成を中心に説明する。第1の実施形態と同じ構成が適用できる構成部材については、第1の実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。
図22には、第4の実施形態にかかるフィルタ清掃装置320に備えられている駆動部360の構成を示す。駆動部360は、主な構成部材として、駆動モータ25、モータギア361、フィルタ駆動用ギア362、ブラシ駆動用ギア(回転駆動用ギア)363、および駆動力伝達ギア(伝達部材)364を備えている。
駆動モータ25、モータギア361、およびフィルタ駆動用ギア362は、第1の実施形態の駆動モータ25、モータギア61、およびフィルタ駆動用ギア62とそれぞれ同様の構成が適用できる。
駆動力伝達ギア364は、モータギア61とブラシ駆動用ギア363との間に配置され、駆動モータ25からの駆動力をブラシ駆動用ギア363へ伝達する。また、駆動力伝達ギア364は、ブラシ駆動用ギア363を介さずに、ブラシ23のギア部323Rへ直接駆動力を伝達させることもできる。本実施形態では、駆動力伝達ギア364は、1個のギアで形成されている。
ブラシ駆動用ギア363は、同軸上に配置された小ギア部63aと大ギア部(図示せず)とを有している。本実施形態では、ブラシ駆動用ギア363は、室内機1内を左右方向に移動可能に構成されている。
そして、駆動モータ25が正方向に回転するときには、ブラシ駆動用ギア363は室内機1内を右側(図22において手前側)へ移動する。これにより、ブラシ駆動用ギア363の小ギア部63aと駆動力伝達ギア364とが噛み合い、駆動モータ25からの駆動力がブラシ駆動用ギア363へ伝達される。一方、駆動モータ25が逆方向に回転するときには、ブラシ駆動用ギア363は室内機1内を左側(図23において奥側)へ移動する。これにより、小ギア部363aと駆動力伝達ギア364との噛み合いが外れ、駆動モータ25からの駆動力がブラシ駆動用ギア363へ伝達されなくなる。
また、フィルタ清掃装置320においては、ブラシ23の回転軸の両端部に、ギア部323Rおよび323Lがそれぞれ設けられている。左側のギア部323Lについては、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。一方、右側のギア部323Rは、室内機1内の左右方向に位置を変更することができるように構成されおり、駆動モータ25が逆方向に回転するときには、ギア部323Rは、ブラシ23の回転軸から軸方向に突出し、室内機1内を右側(図23において手前側)へ移動する。これにより、ブラシ23のギア部323Rと駆動力伝達ギア364とが噛み合い、駆動モータ25からの駆動力がブラシ23へ伝達される。
以上より、図22に示すように、駆動モータ25が正方向(矢印A0方向)に回転すると、駆動力伝達ギア364は、矢印B1方向へ回転する。そしてこのとき、ブラシ駆動用ギア363は室内機1内を右側に移動するとともに、ブラシ23のギア部323Rは、室内機内を左側へ移動する。すなわち、駆動力伝達ギア364とブラシ駆動用ギア363の小ギア部363aとが噛み合うとともに、ブラシ23のギア部323Rは、図3に示す状態と略同様の状態となる。
これにより、ブラシ駆動用ギア363は、矢印B2方向へ回転する。そして、ブラシ駆動用ギア363が矢印B2方向へ回転すると、第1の実施形態と同様に、ブラシ23のギア部323Rは、矢印B3方向へ回転する。これにより、フィルタ清掃時には、フィルタ21から埃を掻き落としダストボックス22へ集積させる方向に、ブラシ23を回転させることができる。
また、図23に示すように、駆動モータ25が逆方向(矢印C0方向)に回転すると、駆動力伝達ギア364は、矢印D1方向へ回転する。そしてこのとき、ブラシ駆動用ギア363は室内機1内を左側に移動するとともに、ブラシ23のギア部323Rは、室内機内を右側へ移動する。すなわち、駆動力伝達ギア364とブラシ駆動用ギア363の小ギア部363aとの噛み合いが外れるとともに、駆動力伝達ギア364とブラシ23のギア部323Rとが噛み合った状態となる。
これにより、駆動モータ25の駆動力が、駆動力伝達ギア364からブラシ23のギア部323Rへ伝達される。そして、ブラシ23のギア部323Rは、駆動モータ25が正方向に回転するときと同じ方向、すなわち、矢印D2方向へ回転する。これにより、駆動モータ25がフィルタ21を空調運転時の状態に戻すときにも、駆動モータ25が正方向に回転するときと同じ方向に、ブラシ23を回転させることができる。このように、本実施形態では、ブラシ23のギア部323Rが、駆動モータ25からの駆動力をブラシ23へ伝達するためのもう一つの回転駆動用ギアとして機能する。
上記以外のフィルタ清掃装置320の構成については、第1の実施形態にかかるフィルタ清掃装置20と同様の構成が適用できる。
上記の構成によれば、フィルタ21の移動動作中、ブラシ23を常に同じ方向に回転させて、フィルタ21上の埃をダストボックス22へ掻き落とすことができる。
(まとめ)
本発明の一局面にかかるフィルタ清掃装置は、外部から取り込まれた空気が通過するフィルタと、前記フィルタに付着した埃を払う埃取り部材と、前記フィルタの移動動作および前記埃取り部材の回転動作を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに連結されたモータギアと、前記駆動モータからの駆動力を前記埃取り部材へ伝達する回転駆動用ギアと、前記回転駆動用ギアと前記モータギアとの間に配置されている伝達部材とを備えている。そして、前記駆動モータが前記フィルタを第1の方向に動かすときに、前記伝達部材は、前記埃取り部材を所定の方向に回転させるように前記回転駆動用ギアを駆動し、前記駆動モータが前記フィルタを第2の方向(第1の方向とは異なる、具体的には、第1の方向とは反対の方向)に動かすときに、前記伝達部材は、前記回転駆動用ギアへの駆動力の伝達を停止するか、あるいは、前記埃取り部材を前記所定の方向に回転させるように前記回転駆動用ギアを駆動する。
上記の構成において、埃取り部材を所定の方向に回転させるとは、例えば、フィルタに付着した埃を掻き落とし、埃をダストボックスへ集積させる方向へ埃取り部材を回転させることを意味する。また、第1の方向とは、例えば、フィルタ清掃時にフィルタを移動させる方向を意味する。また、第2の方向とは、例えば、第1の方向とは反対の方向、あるいは、フィルタを空調運転時の位置へ戻す方向を意味する。
上記の本発明の一局面にかかるフィルタ清掃装置において、前記伝達部材は、前記モータギアを介して前記駆動モータの駆動力が伝達される第1ギアと、前記第1ギアと同軸上に配置され、前記回転駆動用ギアへ駆動力を伝達する第2ギアとを有していてもよい。そして、前記駆動モータが前記フィルタを前記第1の方向に動かすときには、前記駆動モータからの駆動力が前記第1ギアから前記第2ギアへ伝達され、前記駆動モータが前記フィルタを前記第2の方向に動かすときには、前記第1ギアから前記第2ギアへ駆動力は伝達されないという構成であってもよい。
上記の本発明の一局面にかかるフィルタ清掃装置において、前記第1ギアおよび前記第2ギアの少なくとも何れか一方には、他方のギアとの対向面に傾斜部および段差部が設けられているとともに、前記他方のギアには、前記一方のギアとの対向面に段差部が設けられており、前記駆動モータが前記フィルタを前記第1の方向に動かすときには、前記一方のギアの前記段差部と前記他方のギアの前記段差部とが当接するように構成されていてもよい。
上記の本発明の一局面にかかるフィルタ清掃装置において、前記伝達部材は、前記第1ギアと前記第2ギアとの間にワンウエイクラッチを有していてもよい。またあるいは、前記伝達部材は、前記第1ギアと前記第2ギアとの間にコイルバネを有していてもよい。
上記の本発明の一局面にかかるフィルタ清掃装置において、前記駆動モータが前記フィルタを前記第2の方向に動かすときには、前記伝達部材は、前記回転駆動用ギアへの駆動力の伝達を停止させてもよい。そして、前記駆動モータが前記フィルタを前記第2の方向へ移動させるときの移動速度は、前記駆動モータが前記フィルタを前記第1の方向へ移動させるときの移動速度よりも大きくてもよい。
また、本発明のもう一つの局面にかかる空気調和機は、上記の何れかのフィルタ清掃装置を備えている。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。