JPWO2018174091A1 - 重合体及びそれを用いた液晶配向剤 - Google Patents
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Abstract
Description
現在、工業的に最も普及している液晶配向膜には、その高い信頼性、液晶配向性等の観点から、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドから選ばれる少なくとも1種の重合体が用いられている。
しかし、これらの重合体を充分に溶解させる溶媒は少ない。そのため、液晶配向剤を低温で保存する際に重合体が析出するという問題がある。また、基板への塗布性が悪く、均一な液晶配向膜が得られない結果、液晶表示素子の特性に悪影響を与えるという問題もある。
これらの問題に対し、有機溶媒への溶解性の高い構造を導入し、印刷性に優れた液晶配向剤等がこれまでに提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
即ち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)ポリアミック酸エステルの繰り返し単位、ポリイミドの繰り返し単位及びポリアミック酸の繰り返し単位を有し、かつ前記繰り返し単位のいずれかに塩基性基を有する重合体。
(2)前記ポリアミック酸エステルの繰り返し単位が下記式(1)で表され、前記ポリイミドの繰り返し単位が下記式(2)で表され、かつ前記ポリアミック酸の繰り返し単位が下記式(3)で表される、上記(1)に記載の重合体。
(上記式(1)〜(3)中、X1、X2及びX3は、それぞれ独立して、テトラカルボン酸成分に由来する4価の有機基である。Y1、Y2及びY3は、それぞれ独立して、ジアミンに由来する2価の有機基であり、Y1、Y2、Y3の少なくとも1つは、塩基性基を有する。R1は炭素数1〜5のアルキル基である。)
(4)前記塩基性基が、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピペリジン環又はピペラジン環である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の重合体。
(5)前記塩基性基を有するY1、Y2及びY3が、全てのY1、Y2及びY3に対して、5〜90モル%である、上記(2)〜(4)のいずれか1項に記載の重合体。
(6)前記塩基性基を有するY1、Y2及びY3が、下記式で表される構造からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(2)〜(5)のいずれか1項に記載の重合体。
特定重合体に含有されるポリアミック酸エステルの繰り返し単位、ポリイミドの繰り返し単位、及びポリアミック酸の繰り返し単位は、それぞれ、下記式(1)〜(3)で表わすことができる。
本発明によれば、特定重合体における、ポリアミック酸エステルの繰り返し単位、前記ポリイミドの繰り返し単位、及び前記ポリアミック酸の繰り返し単位の含有量については種々のものが提供できる。なかでも、高い溶解性が得られることから、ポリアミック酸エステルの繰り返し単位、前記ポリイミドの繰り返し単位、及び前記ポリアミック酸の繰り返し単位のそれぞれの含有量は、10〜90モル%、9〜89モル%、1〜81モル%であるものが好ましく、更には、それぞれ、40〜90モル%、9〜59モル%、1〜51モル%であるものがより好ましい。
以下、特定重合体を形成する重合体やそれらの原料について詳述する。
特定重合体を得るためのテトラカルボン酸成分としては、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸ジアルキルエステル、又はテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライドが挙げられ、本発明では、これらを総称してテトラカルボン酸成分ともいう。その中でも、特定重合体を製造する原料としては、テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げられ、下記の一般式で表すことができる。
式(X1−1)中のR3〜R6は、液晶配向剤の場合、液晶配向性の観点から、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、又はエチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。式(X1−1)は、下記式(X1−11)又は(X1−12)が好ましい。
本発明の特定重合体を製造する際の反応が進みやすい点から、特定重合体の製造には、塩基性基を有するジアミンが用いられる。塩基性基の具体例としては、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピぺリジン環又はピペラジン環が好ましい。塩基性基は、ジアミンの主鎖に含まれていても、側鎖に含まれていてもよい。
塩基性基を有するジアミンは、上記に例示するY−71,Y−73,Y−96、Y−76,Y−77、Y−163、Y−164、Y−165又はY−172の構造を含有するジアミンが好ましい。これらのジアミン由来の構造は、上記式(1)〜(3)中、いずれの繰り返し単位に含有されていても良く、複数の繰り返し単位中に含有されていてもよい。
前記、塩基性基を有するジアミンの好ましい含有量は、本発明の特定重合体の製造に用いるジアミン成分全体の5〜90モル%が好ましく、10〜70モル%がより好ましい。
特定重合体の製造に用いられるポリアミック酸は、以下の方法により製造できる。
具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒の存在下で−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜12時間反応させることによって製造できる。
上記の反応に用いる有機溶媒は、モノマー及び重合体の溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられ、水、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが好ましい。
特定重合体の製造に用いられるポリイミドは、前記ポリアミック酸をイミド化することにより製造することができる。また、ポリアミック酸エステルのイミド化によってもポリイミドを製造できる。
ポリアミック酸からポリイミドを製造する場合、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の課程で重合体の分子量の低下が起こりにくいので好ましい。
ポリアミック酸のイミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、2−プロパノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられ、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトンなどが好ましい。
本発明の特定重合体は、上記で得られたポリアミック酸を部分イミド化したイミド化重合体の粉末、或いは上記イミド化重合体を有機溶剤に溶解させた重合体溶液と、アルコールと反応させてエステル化することによって得られる。
具体的には、上記で得られたイミド化重合体の粉末を、アルコール中に浸漬させるか又はアルコール中で撹拌することによって得られる。アルコール中に、15〜100時間、好ましくは、15〜50時間浸漬することにより、特定重合体の粉末を得ることができる。反応の際の温度は20〜60℃が好ましい。アルコール中で撹拌する場合、5〜100時間、好ましくは20〜70時間で、特定重合体の粉末を得ることができる。
本発明では、ポリアミック酸のイミド化率を任意に調整し、かつイミド化物のエステル化率を任意に調整することにより、ポリアミック酸の繰り返し単位、ポリイミドの繰り返し単位、及びポリアミック酸エステルの繰り返し単位を任意の割合で含有する特定重合体を得ることができる。
本発明の特定重合体は、先に、ポリアミック酸エステルを製造し、これをイミド化することによっても得ることができる。ポリアミック酸エステルは、以下の(1)〜(3)の方法で製造できる。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって製造できる。具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶媒の存在下で−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって製造することができる。反応条件により、ポリアミック酸とポリアミック酸エステルの繰り返し単位を同時に有する重合体を製造出来、そのイミド化により、ポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルの繰り返し単位を同時に有する重合体も製造できる。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから製造できる。具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを、塩基と有機溶媒の存在下で−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって製造することができる。
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましく、2〜3倍モルがより好ましい。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより製造できる。具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤、塩基、及び有機溶媒の存在下で0〜150℃、好ましくは0〜100℃において、30分〜24時間、好ましくは3〜15時間反応させることによって製造することができる。
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルなどが使用できる。縮合剤の添加量は、テトラカルボン酸ジエステルに対して2〜3倍モルが好ましく、2〜2.5倍モルがより好ましい。
前記有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0〜1.0倍モルが好ましく、2.0〜3.0倍モルがより好ましい。
上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。 上記貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられ、水、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが好ましい。
かくして得られるポリアミック酸エステルをイミド化して特定重合体を製造する場合、ポリアミック酸エステル溶液、又はポリアミック酸エステル樹脂粉末を有機溶媒に溶解させて得られるポリアミック酸溶液に塩基性触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
イミド化反応を行うときの温度は、−20〜140℃、好ましくは0〜100℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸エステル基の0.5〜30倍モル、好ましくは2〜20倍モルである。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。
上記のようにしてポリアミック酸エステルをイミド化し、その際のイミド化率を調整することにより、特定重合体をえることができる。
本発明の特定重合体は、種々の用途に使用が可能であるが、その高い溶解性、得られる膜の優れた特性等を考慮すると、液晶配向剤としての使用が好ましい。
液晶配向剤は、特定重合体が有機溶媒中に溶解された溶液の形態を有する。特定重合体の分子量は、重量平均分子量(Mw)で2,000〜500,000が好ましく、より好ましくは5,000〜300,000であり、さらに好ましくは、10,000〜100,000である。また、数平均分子量(Mn)は、好ましくは、1,000〜250,000であり、より好ましくは、2,500〜150,000であり、さらに好ましくは、5,000〜50,000である。
液晶配向剤に含有される有機溶媒は、重合体成分が均一に溶解するものであれば特に限定されない。具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。また、単独では重合体成分を均一に溶解できない溶媒であっても、重合体が析出しない範囲であれば、上記の有機溶媒に混合してもよい。
液晶配向剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷又はインクジェット法などで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法又はスプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
また、液晶配向性を改善するために、液晶配向膜が塗膜された基板を50〜250℃で加熱しながら、放射線を照射してもよい。また、前記放射線の照射量は、1〜10,000mJ/cm2が好ましい。なかでも、100〜5,000mJ/cm2が好ましい。このようにして作製した液晶配向膜は、液晶分子を一定の方向に安定して配向させることができる。
本発明の液晶配向膜は、PSA方式、IPS方式やFFS方式など各種配向方式の液晶表示素子の液晶配向膜として好適である。液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜付きの基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、該液晶セルを使用して得られる。
具体的には、透明なガラス製の基板を準備し、一方の基板の上にコモン電極を、他方の基板の上にセグメント電極を設ける。これらの電極は、例えばITO電極とすることができ、所望の画像表示ができるようパターニングされている。次いで、各基板の上に、コモン電極とセグメント電極を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル−ゲル法によって形成されたSiO2−TiO2の膜とすることができる。
上記のようにして、交流駆動による残像を抑制し、かつ、シール剤及び下地基板との密着性を両立する液晶配向膜を得ることができる。特に、偏光された放射線を照射して得られる液晶配向膜に対して有用である。
<テトラカルボン酸二無水物>
CBDA:1,2,3,4,−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
BODA:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
3−AMPDA:3,5−ジアミノ−N−(ピリジン−3−イルメチル)ベンズアミド
p−PDA:パラフェニレンジアミン
PCH7DAB:1,3−ジアミノ−4−〔4−(トランス−4−n−ヘプチルシクロヘキシル)フェノキシ〕ベンゼン
<有機溶媒>
MP:N−メチル−2−ピロリドン BCS:ブチルセロソルブ
昭和電工社製 常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)、Shodex社製カラム(KD−803、KD−805)を用いた。測定条件は、以下の通りである。
カラム温度:50℃、
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤:臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)、流速:1.0ml/分、
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製TSK、標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及びポリマーラボラトリー社製ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製、NMRサンプリングチューブスタンダード φ5)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05%TMS(テトラメチルシラン)混合品)0.53mlを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液について、日本電子データム社製NMR測定器(JNW−ECA500)を用いて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.0から11.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い、以下の数式(1)によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100 ・・・(1)
上記式(1)において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
ポリイミド粉末をKBR法にてIRスペクトルを測定する。1500cm−1付近の吸収ピーク(ベンゼン環)高さ(a1)と1380cm−1付近の吸収ピーク(イミド環)高さ(b1)を測定し、b1/a1を算出する。次に特定重合体粉末をKBR法にてIRスペクトルを測定し、1500cm−1付近の吸収ピーク(ベンゼン環)高さ(a2)と1380cm−1付近の吸収ピーク(イミド環)高さ(b2)を測定し、b2/a2を算出する。
特定重合体のイミド化率、エステル化率、アミド率を以下の数式(1)〜(3)によって求めた。下記式(1)中、βはポリイミド粉末のイミド化率(%)である。
イミド化率(%) =((b2/a2)/(b1/a1))×β・・・(1)
エステル化率(%)=β−((b2/a2)/(b1/a1)×β)・・・(2)
アミド率(%) =100‐β・・(3)
なお、特定重合体のイミド化率、エステル化率及びアミド率は、換言すれば、特定重合体における、ポリイミドの繰り返し単位、ポリアミック酸エステルの繰り返し単位、及びポリアミック酸の繰り返し単位の含有量を示すものである。
BODA(2.50g,10mmol)、PCH7DAB(3.81g,10mmol)、3−AMPDA(4.85g,20mmol)、p-PDA(2.16g,20mmol)をNMP(75.46g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、CBDA(7.75g,39.5mmol)とNMP(8.79g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
得られたポリイミド粉末をメタノール中に再沈殿し、60℃で20時間撹拌した。沈殿物を濾別し100℃で減圧乾燥し、特定重合体粉末を得た。この特定重合体のイミド化率は、33%、エステル化率は42%、アミド率は25%であり、数平均分子量は8314、重量平均分子量は18060であった。
実施例1で得られたポリイミド粉末をメタノール中に再沈殿し、60℃で40時間撹拌した。沈殿物を濾別し100℃で減圧乾燥し、特定重合体粉末を得た。この特定重合体のイミド化率は、27%、エステル化率は48%、アミド率は25%であり、数平均分子量は9171、重量平均分子量は24207であった。
実施例1で得られたポリイミド粉末をメタノール中に再沈殿し、60℃で70時間撹拌した。沈殿物を濾別し100℃で減圧乾燥し、特定重合体粉末を得た。この特定重合体のイミド化率は、19%、エステル化率は56%、アミド率は25%であり、数平均分子量は8366、重量平均分子量は20488であった。
実施例1における中間重合体であり、エステル化の原料になったポリイミド粉末を構成する重合体を比較例1とした。
<比較例2>
実施例1における中間重合体であり、イミド化の原料になったポリアミック酸溶液に含まれるポリアミック酸重合体を比較例2とした。
特定重合体粉末及びポリイミド粉末、ポリアミック酸溶液へNMPを加えて溶解させ、濁りや析出物のない重合体濃度10%の重合体液を得た。上記の重合体液に濁り或いは析出物が生じるまで貧溶媒であるBCS(ブチルセロソルブ)を添加し、BCSこの添加量から各重合体の溶解性を評価した。その結果を下記の表に示す。
本発明の特定重合体は、ポリイミド或いはポリアミック酸と比較して、貧溶媒の添加導入量が多いことからして、重合体の溶解性が高いことを確認した。
なお、2017年3月22日に出願された日本特許出願2017−056384号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (10)
- ポリアミック酸エステルの繰り返し単位、ポリイミドの繰り返し単位、及びポリアミック酸の繰り返し単位を有し、かつ前記繰り返し単位のいずれかに塩基性基を有する重合体。
- 前記ポリアミック酸エステルの繰り返し単位、前記ポリイミドの繰り返し単位、及び前記ポリアミック酸の繰り返し単位の含有量が、それぞれ、10〜90モル%、9〜89モル%、 1〜81モル%を有する、請求項1又は2に記載の重合体。
- 前記塩基性基が、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピペリジン環又はピペラジン環である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体。
- 前記塩基性基を有するY1、Y2及びY3が、全てのY1、Y2及びY3に対して、5〜90モル%である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の重合体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の重合体を含有する液晶配向剤。
- 請求項8に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
- 請求項9に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
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