JPWO2018159247A1 - セラミックグリーンシート製造用離型フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ている。
1. ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材が少なくとも片面に粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、少なくとも片面の表面層Aの表面上に直接又は他の層を介して膜厚が0.2μm以下の離型層が積層されている離型フィルムであって、離型層にバインダー成分とシリコーン系離型剤を含有し、離型層表面の最大突起高さ(P)が50nm以下であり、かつ、算術平均粗さ(Sa)が1.5nm以下であることを特徴とするセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
2. 離型層に含まれるバインダー成分が長鎖アルキル基および/またはシリコーン骨格を有する樹脂を含むことを特徴とする上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
3. 前記シリコーン系離型剤がポリエーテル部位を有しており、離型層に0.1〜20質量%含有していることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
4. ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材が少なくとも片面に粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、少なくとも片面の表面層Aの表面上に直接又は他の層を介して膜厚が0.2μm以下の離型層が積層されているセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法であって、バインダー成分とシリコーン系離型剤を含有した塗液をポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布する工程と、塗布後にフィルムを乾燥炉で加熱する工程を有し、塗布後1.5秒以内に初期乾燥炉に入れ、初期乾燥炉で1.0秒以上3.0秒以下の時間乾燥後、加熱乾燥炉で加熱硬化することを特徴とするセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法。
5. 上記第1〜第3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム、または、請求項4に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法を用いてセラミックグリーンシートを成型するセラミックグリーンシートの製造方法であって、成型されたセラミックグリーンシートが0.2μm〜1.0μmの厚みを有することを特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
6. 上記第5に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用することを特徴とするセラミックコンデンサの製造方法。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、基材として用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、離型フィルム用基材として通常一般に使用されているポリエステルをフィルム成形したものを使用することが出来るが、好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成されたポリエステルフィルムが特に好適である。ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよいが、コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明のフィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。ポリエステルフィルムは双方向の弾性率の高さ等の理由から二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましい。
本発明における離型層には、少なくともバインダー成分とシリコーン系離型剤を含むことが好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で、前記樹脂や化合物以外にも他の成分を添加することができる。
本発明の離型層に含まれるバインダー成分としては、特に限定されないが、離型層の架橋密度を高め、離型層の耐久性や耐溶剤性などを向上させるために架橋できる成分が架橋されてなることが好ましい。そのため、バインダー成分には、反応性官能基を有する樹脂と架橋剤が反応してなることが好ましい。また、反応性官能基もしくは架橋剤のどちらか単独で自己架橋してなることも好ましい。しかしながら、本発明において、バインダー成分が、反応性官能基を有する樹脂または架橋剤だけからなる態様を排除するものではない。
バインダー成分には、架橋剤を含有することも好ましい。架橋剤としては、特に限定されないが、メラミン系、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系などを使用することができ、1種類でも2種類以上を併用して用いても構わない。特に好ましくは、バインダー成分に導入された反応性官能基と反応する架橋剤が好ましい。
本発明における離型層には架橋剤を硬化させるために触媒を使用することもできる。メラミン系化合物を使用する場合は酸触媒を使用することが好ましく、特に限定されないがカルボン酸系、金属塩系、リン酸エステル系、スルホン酸系のものを好適に使用することができる。また、酸部位がブロックされたブロックタイプの触媒も使用することができる。特に反応性の観点からパラトルエンスルホン酸が好適に使用することができる。イソシアネート系化合物を使用する場合は、一般的なものを使用することができ、有機錫やアミン化合物、トリアルキルホスフィン化合物などが好適に使用することができる。
本発明において離型層に用いるシリコーン系離型剤としては、分子内にシリコーン構造を有する化合物であり、本発明の効果を得られる範囲であれば特に限定されないが、ポリオルガノシロキサンなどを好適に使用することができる。ポリオルガノシロキサンの中でもポリジメチルシロキサン(略称、PDMS)が好適に使用することができ、ポリジメチルシロキサンの一部に官能基を有するものも好ましい。官能基を有することでバインダー樹脂と水素結合などの分子間相互作用が発現しやすくなりセラミックグリーンシートへの移行がしにくくなるため好ましい。
受けるおそれがなく好ましい。
粗さ(Sa)が1.5nm以下にするためには、離型層の塗液を塗工し乾燥するまでにシリコーン系離型剤やバインダー成分の凝集を抑えることが好ましい。そのため、後述の製造方法にて述べるように塗工後から乾燥までの時間を一定の条件下で実施することで目標とする超高平滑な離型層表面を得ることができる。
本発明の離型フィルム製造方法は、少なくともバインダー成分とシリコーン系離型剤を溶媒に溶解もしくは分散させた塗液を基材のポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に塗布等により積層する塗布工程と、塗布後、主に溶媒等を除去する初期乾燥工程と主にバインダー樹脂等を硬化させる加熱硬化工程を経て離型層が積層される方法を用いることが好ましい。ポリエステルフィルムの離型層を設ける側の表面は、実質的に粒子を含有していない表面層Aであることが好ましく、表面層Aと離型層の間には他のコート層が存在しても構わない。
バインダー樹脂とシリコーン系離型剤を溶解もしくは分散させる溶媒としては特に限定されないが、有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤を用いることで塗液の表面張力を低くすることができるため塗布後にハジキなどが発生しにくく、離型層表面の平滑性を高く保つことができるため好ましい。
げられる。
塗布液を基材フィルム上に塗布し、乾燥する方法としては、公知の熱風乾燥、赤外線ヒーター等による加熱乾燥が挙げられるが、乾燥速度が早い熱風乾燥が好ましい。乾燥炉は、乾燥初期の恒率乾燥工程(以下、初期乾燥工程とよぶ)と減率乾燥および樹脂の硬化が進行する工程(以下、加熱硬化工程とよぶ)に分けることができる。初期乾燥工程と加熱硬化工程は、連続していても不連続でも構わないが、連続している方が生産性がよく好ましい。それぞれの工程は、乾燥炉のゾーンを分けることで区別することが好ましい。各工程のゾーン数は1つ以上あればいくつであっても構わない。
本発明の離型フィルムは初期乾燥工程後、加熱硬化工程を経ることが好ましい。加熱硬化工程は、特に限定されず既知の乾燥炉を用いることができる。乾燥炉の方式については、ロールサポート方式でもフローティング方式でもどちらでも構わない。加熱硬化工程は、初期乾燥工程と連続した工程であっても、不連続な工程であっても構わないが、生産性の観点から連続した工程であることが好ましい。
一般に、積層セラミックコンデンサは、直方体状のセラミック素体を有する。セラミック素体の内部には、第1の内部電極と第2の内部電極とが厚み方向に沿って交互に設けられている。第1の内部電極は、セラミック素体の第1の端面に露出している。第1の端面の上には第1の外部電極が設けられている。第1の内部電極は、第1の端面において第1の外部電極と電気的に接続されている。第2の内部電極は、セラミック素体の第2の端面に露出している。第2の端面の上には第2の外部電極が設けられている。第2の内部電極は、第2の端面において第2の外部電極と電気的に接続されている。
非接触表面形状計測システム(菱化システム社製、VertScan R550H−M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は7回測定し最大値と最小値を除いた5回の最大値を使用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 936μm×702μm
(解析条件)
・面補正: 4次補正
・補間処理: 完全補間
切り出した離型フィルムを樹脂包埋し、ウルトラミクロトームを用いて超薄切片化した。その後、日本電子製JEM2100透過電子顕微鏡を用いて、直接倍率20,000倍で観察を行い
、観察したTEM画像から離型層の膜厚を測定した。
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学株式会社製: 全自動接触角計 DM−701)を用いて離型フィルムの離型面に水(液滴量1.8μL)、ジヨードメタン(液適量0.9μL)、エチレングリコール(液適量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は、各液を離型フィルムに滴下後10秒後の接触角を採用した。前記方法で得られた、水、ジヨードメタン、エチレングリコールの接触角データを「北崎−畑」理論より計算し離型フィルムの表面自由エネルギーの分散成分γsd、極性成分γsp、水素結合成分γshを求め、各成分を合計したものを表面自由エネルギーγsとした。本計算には、本接触角計ソフトウェア(FAMAS)内の計算ソフトを用いて行った。
塗液の表面張力は、表面張力計(協和界面科学株式会社製:高機能表面張力計 DY−500)を用いて、20℃条件下、白金プレートを用いてWilhelmy法で測定を行った。3回測定し平均値を採用した。
塗液の粘度は、回転式粘度計(東機産業株式会社製:TVB−15M)を使用し20℃条件下で測定を行った。10mPa・s以下の低粘度液を測定する場合はオプションの低粘度アダプターを使用して測定を行った。3回測定を行い平均値を採用した。
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、直径0.5mmのガラスビーズを分散媒とするビーズミルを用いて30分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 76.3質量部
エタノール 76.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 35.0質量部
ポリビニルブチラール 3.5質量部
(積水化学社製 エスレック(登録商標)BM−S)
DOP(フタル酸ジオクチル) 1.8質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが1μmになるように塗工し90℃で1分乾燥後、以下の基準で塗工性を評価した。○:ハジキなどがなく全面に塗工できている。
△:塗工端部でややハジキがあるが、ほぼ全面に塗工できている。
×:ハジキが多く、塗工できていない。
前記セラミックスラリーの塗工性評価と同様にして離型フィルムの離型面に厚さ1μmのセラミックグリーンシートを成型した。
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが1μmの厚みになるように塗布し90℃で1分乾燥後、離型フィルムを剥離し、セラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートのフィルム幅方向の中央領域において25cm2の範囲でセラミックスラリーの塗布面の反対面から光を当て、光が透過して見えるピンホールの発生状況を観察し、下記基準で目視判定した。
○:ピンホールの発生なし
△:ピンホールの発生がほぼなし
×:ピンホールの発生が多数あり
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、直径0.5mmのガラスビーズを分散媒とするビーズミルを用いて60分間分散し、セラミックスラリーを得た。トルエン 38.3質量部
エタノール 38.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 64.8質量部
ポリビニルブチラール 6.5質量部
(積水化学社製 エスレック(登録商標)BM−S)
DOP(フタル酸ジオクチル) 3.3質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが10μmの厚みになるように塗布し90℃で1分乾燥しセラミックグリーンシートを離型フィルム上に成型した。得られたセラミックグリーンシート付き離型フィルムを除電機(キーエンス社製、SJ−F020)を用いて除電した後に30mmの幅で剥離角度90度、剥離速度10m/minで剥離した。剥離時にかかる応力を測定し剥離力とした。
離型フィルムサンプルを10cm×10cmサイズにカットし、離型フィルムに張力がかからないようにして熱風オーブンで100℃15分間熱処理を行った。その後、オーブンから取り出し室温まで冷却したのち、離型面が上になるようにガラス板の上に離型フィルムサンプルを置いて、ガラス板から浮いている部分の高さを測定した。このときガラス板から一番大きく浮いている部分の高さを測定値とした。以下の基準でカール性の評価を行った。
○:カールが1mm以下であり、ほとんどカールしていない。
△:カールが1mmよりも大きく、2mm以下であり、少しカールが見られた。
×:カールが2mmよりも大きくカールしていた。
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmのとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm2)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
一方、上記PETチップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)。
PET(I)の粒子の種類、含有量をポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.9μmの合成炭酸カルシウム0.75質量%に変更した以外は、PET(I)と同様にしてPETチップを得た(以後、PET(III
)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.75質量%であった。
これらのPETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流して、PET(I)を表面層B(反離型
面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)となるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャスティング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、固有粘度が0.59dl/gの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/PET(II
)=60%/40%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。その後、テンターに導き、140℃で横方向に4.2倍の延伸を行なった。次いで、熱固定ゾーンにおいて、210℃で熱処理した。その後、横方向に170℃で2.3%の緩和処理をして、厚さ31μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX1を得た。得られたフィルムX1の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは28nmであった。
積層フィルムX1と同様の層構成、延伸条件は変更せずに、キャスティング時の速度を変更することで厚みを調整し、25μmの厚みの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX2を得た。得られたフィルムX2の表面層AのSaは3nm、表面層BのSaは29nmであった。
積層フィルムX3としては、厚み25μmのA4100(コスモシャイン(登録商標)、東洋紡社製)を使用した。A4100は、フィルム中に粒子を実質的に含有せず、表面層B側にインラインコートで粒子を含んだコート層を設けた構成をしている。積層フィルムX3の表面層AのSaは1nm、表面層BのSaは2nmであった。
積層フィルムX4としては、厚み25μmのE5101(東洋紡エステル(登録商標)フィルム、東洋紡社製)を使用した。E5101は、フィルムの表面層A及びB中に粒子を含有した構成になっている。積層フィルムX4の表面層AのSaは24nm、表面層BのSaは24nmであった。
PET(III)を表面層B(反離型面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)
となるように積層し、層比率を各押出機の吐出量計算でPET(III)/(II)=80%
/20%にした以外は積層フィルムX1と同様の方法で厚さ31μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX5を得た。得られたフィルムX5の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは30nmであった。
ステアリル(メタ)アクリレート20モル%とヒドロキシエチル(メタ)アクリレート40モル%、メチル(メタ)アクリレート40モル%の比になるように混合し、固形分濃度が40質量%になるようにトルエンで希釈し、窒素気流下でアゾビスイソブチロニトリルを0.5モル%添加し共重合させ、樹脂溶液Aを得た。このとき得られたポリマーの重量平均分子量は30000であった。
積層フィルムX1の表面層A上に以下組成の塗液1を、0.5μm以上の異物を99%以上除去できるフィルターを通した後に、リバースグラビアを用いて塗布膜厚(wet膜厚)が5μmになるように塗工後、0.5秒で初期乾燥炉に入るように調整した。初期乾燥炉にて100℃で2秒乾燥後、連続して加熱硬化工程に入れ130℃で7秒加熱した。加熱硬化工程後、8秒後にロール状に巻き取り超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの膜厚、表面粗さ、表面自由エネルギー、カールを測定した結果を表3に記載した。また得られた離型フィルムにセラミックスラリーを塗工し塗工性、剥離性、ピンホールを評価したところ、良好な評価結果が得られた。
(塗液1) 固形分1.0質量%、表面張力:27mN/m、粘度5mPa・s
メチルエチルケトン 57.93質量部
トルエン 40.00質量部
樹脂溶液A 1.75質量部
(長鎖アルキル基含有アクリルポリオール、固形分40%)
架橋剤 0.25質量部
(ヘキサメトキシメチロールメラミン、固形分100%)
シリコーン系離型剤 0.05質量部
(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、TSF4446、固形分100%、モメンティブ製)
酸触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.02質量部
塗液1の組成を表1に記載の比率になるように変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。得られた離型フィルムを評価したところ、シリコーン系離型剤が入っている実施例については剥離力もよく良好な結果が得られたが、シリコーン系離型剤を含まない比較例1では剥離力が高くなり離型フィルムからセラミックグリーンシートを剥離するときにピンホールなどの欠点が生じやすくなる結果となった。
塗液1の樹脂比率はそのままに固形分を表1記載に変更し離型層の膜厚を変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
得られた離型フィルムを評価したところ、離型層の厚みが0.2μm以下の実施例についてはカールもなく良好な結果であったが、離型層の厚みが0.5μmの比較例2についてはカールが大きく悪化する結果であった。
塗液1を塗液8に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
(塗液8)
メチルエチルケトン 57.35質量部
トルエン 40.00質量部
サイマック(登録商標)US270 2.33質量部
(シリコーン基含有アクリルポリオール、東亞合成社製、固形分30%)
架橋剤 0.25質量部
(ヘキサメトキシメチロールメラミン、固形分100%)
シリコーン系離型剤 0.05質量部
(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、TSF4446、固形分100%、モメンティブ製)
酸触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.02質量部
塗液1を塗液9に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
(塗液9)
メチルエチルケトン 58.03質量部
トルエン 40.00質量部
テスファイン305 1.90質量部
(長鎖アルキル基含有アミノアルキッド樹脂、日立化成社製、固形分50%)
シリコーン系離型剤 0.05質量部
(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、TSF4446、固形分100%、モメンティブ製)
酸触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.02質量部
塗液1を塗液10に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
(塗液10)
メチルエチルケトン 57.55質量部
トルエン 40.00質量部
テスファイン322 2.38質量部
(長鎖アルキル基含有アミノアクリル樹脂、日立化成社製、固形分40%)
シリコーン系離型剤 0.05質量部
(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、TSF4446、固形分100%、モメンティブ製)
酸触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.02質量部
塗液1の樹脂溶液Aを塗液10の6AN−5000(長鎖アルキル基を含有しないアクリル樹脂)に変更した塗液11を用いる以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
(塗液11)
メチルエチルケトン 57.93質量部
トルエン 40.00質量部
6AN−5000 1.75質量部
(アクリルポリオール、大成ファインケミカル社製、固形分40%)
架橋剤 0.25質量部
(ヘキサメトキシメチロールメラミン、固形分100%)
シリコーン系離型剤 0.05質量部
(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、TSF4446、固形分100%、モメンティブ製)
酸触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.02質量部
塗液1を塗液12に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
(塗液12)
メチルエチルケトン 58.95質量部
トルエン 40.00質量部
ヘキサメトキシメチロールメラミン 0.95質量部
(固形分100%)
シリコーン系離型剤 0.05質量部
(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、TSF4446、固形分100%、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
酸触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.05質量部
塗液1を塗液13に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
(塗液13)
メチルエチルケトン 57.78質量部
トルエン 40.00質量部
樹脂溶液A 1.75質量部
(長鎖アルキル基含有アクリルポリオール、固形分40%)
架橋剤 0.25質量部
(ヘキサメトキシメチロールメラミン、固形分100%)
シリコーン系離型剤 0.20質量部
(ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、BYK‐310、固形分25%、ビックケミー・ジャパン社製)
酸触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.02質量部
塗液1を塗液14に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
(塗液14)
メチルエチルケトン 57.93質量部
トルエン 40.00質量部
樹脂溶液A 1.75質量部
(長鎖アルキル基含有アクリルポリオール、固形分40%)
架橋剤 0.25質量部
(ヘキサメトキシメチロールメラミン、固形分100%)
シリコーン系離型剤 0.05質量部
(カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22−3710、固形分100%、信越化学社製)
酸触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.02質量部
塗液1を塗液15に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
(塗液15)
メチルエチルケトン 57.78質量部
トルエン 40.00質量部
樹脂溶液A 1.75質量部
(長鎖アルキル基含有アクリルポリオール、固形分40%)
架橋剤 0.25質量部
(ヘキサメトキシメチロールメラミン、固形分100%)
シリコーン系離型剤 0.20質量部
(ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、BYK‐370、固形分25%、ビックケミー・ジャパン社製)
酸触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.02質量部
実施例1の基材フィルムを表1記載の基材フィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
得られた離型フィルムを評価したところ、基材フィルムの表面層Aに粒子を含有しないX1、X2、X3、X5を使用した実施例1〜15及び16〜18では、離型層表面のSa,Pが低くピンホール評価が良好であったのに対し、基材フィルムの表面層Aに粒子を含有するX4を用いた比較例3では、離型層表面のSa,Pともに高く、ピンホール評価が悪化する結果であった。
実施例1の製造条件について、塗布後〜初期乾燥炉に入るまでの時間、または初期乾燥炉の温度、通過時間を表2に記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
実施例11の製造条件を表2に記載の条件に変更した以外は、実施例11と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを作成した。
Claims (6)
- ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材が少なくとも片面に粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、少なくとも片面の表面層Aの表面上に直接又は他の層を介して膜厚が0.2μm以下の離型層が積層されている離型フィルムであって、離型層にバインダー成分とシリコーン系離型剤を含有し、離型層表面の最大突起高さ(P)が50nm以下であり、かつ、算術平均粗さ(Sa)が1.5nm以下であることを特徴とするセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 離型層に含まれるバインダー成分が長鎖アルキル基および/またはシリコーン骨格を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 前記シリコーン系離型剤がポリエーテル部位を有しており、離型層に0.1〜20質量%含有していることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材が少なくとも片面に粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、少なくとも片面の表面層Aの表面上に直接又は他の層を介して膜厚が0.2μm以下の離型層が積層されているセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法であって、バインダー成分とシリコーン系離型剤を含有した塗液をポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布する工程と、塗布後にフィルムを乾燥炉で加熱する工程を有し、塗布後1.5秒以内に初期乾燥炉に入れ、初期乾燥炉で1.0秒以上3.0秒以下の時間乾燥後、加熱乾燥炉で加熱硬化することを特徴とするセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム、または、請求項4に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法を用いてセラミックグリーンシートを成型するセラミックグリーンシートの製造方法であって、成型されたセラミックグリーンシートが0.2μm〜1.0μmの厚みを有することを特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
- 請求項5に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用することを特徴とするセラミックコンデンサの製造方法。
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