JPWO2018155432A1 - メソポーラス触媒体及びそれを用いたガス処理装置 - Google Patents

メソポーラス触媒体及びそれを用いたガス処理装置 Download PDF

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    • H05H1/24Generating plasma

Abstract

【課題】 活性をより長期に維持できる触媒体を提供する。【解決手段】 複数のメソ孔を有する支持体と、支持体のメソ孔内に担持されている、貴金属、その酸化物、および貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つを含む酸化触媒粒子とを備え、支持体において、一のメソ孔が少なくとも一つの他のメソ孔と連通しているメソポーラス触媒体。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば気体中のエチレンなどの有機成分や一酸化炭素、アンモニアなどを分解できる触媒体に関する。
自動車や工場などの内燃機関から発生する排気ガスには微量の一酸化炭素などの有害成分が含まれるため、除去手段を用いてこれらを除去してから大気中に放出されている。また、密閉した保管庫などでは微量の悪臭物質が産生されアンモニア臭が発生する場合があり、種々の除去手段が施されている。
また、植物からは多種多様な微量の有機ガスが放出されるが、保管中の農作物からも熟成作用を有するエチレンガスが放出され、自身の熟成を進行させていることが知られている。そのため、温度、湿度を一定に保つとともにこのエチレンガス濃度を低減することが、鮮度を長期間保持するために有効であるとされている。
気体中に含まれる成分を除去する方法としては、活性炭などの吸着剤への吸着、プラズマ発生装置によるラジカルや、オゾンなど活性種による分解除去方法などが広く用いられている。しかしながら吸着剤による吸着処理では吸着剤の吸着量には上限があり、定期的な吸着剤の交換が必要である。プラズマなど活性種を用いた処理方法では一定の大きさの発生装置が必要とし、また、稼動するには電力を必要とし簡便に利用できる方法ではなく、さらに農作物の保管においては、脱色等の見掛け上の変化が懸念されるため使用できない。
また、上述のプラズマ法のような物理的に発生させた活性種で酸化分解する方法以外に、触媒を用いて気体中に含まれる成分を酸化分解する方法も広く用いられている。酸化触媒体としては、接触面積を広くするため、無機粒子である担体に活性物質(触媒粒子)を担持させた構造体を使用したり(特許文献1)、活性物質を多孔質化した膜で揮発性有機化合物を処理する方法が開示されている(特許文献4)。また、シリンダー状のメソ孔を有する無機メソポーラス担体の細孔内に触媒粒子を担持させている触媒体も開発されており、無機粒子の外表面に触媒粒子を担持させた触媒体や活性物質を多孔質化した膜と比較して、非常に広い比表面積を有し活性の高い触媒体が得られている(特許文献2、3)。
特開2003−080077号公報 特開2004−283770号公報 特開2007−326094号公報 特開2006−326530号公報
しかしながら、上述のシリンダー状のメソポーラス担体に酸化触媒粒子を担持させた触媒体は、使用とともに触媒活性が低下していくという問題点がある。その原因ははっきりとは分かっていないが、細孔中に大気中の水分や酸化反応で生じた水が吸着することにより、触媒粒子と被処理気体との接触が阻害されて処理対象となる成分の分解反応が進行しない、あるいは細孔が吸着水で封止されてしまい、被処理気体の細孔内への流通自体が阻害されてしまうことなどが考えられる。
本発明は活性をより長期に維持できる触媒体ならびにそれを用いたガス処理装置を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 複数のメソ孔を有する支持体と、
前記支持体のメソ孔内に担持されている、貴金属、その酸化物、および前記貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つを含む酸化触媒粒子とを備え、
前記支持体において、一のメソ孔が少なくとも一つの他のメソ孔と連通しているメソポーラス触媒体。
[2] アルコキシシランもしくは金属アルコキシドの加水分解物と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシドトリブロックコポリマーもしくは陽イオン界面活性剤とを含有する溶液を乾燥および焼成して得られるメソ孔を有する支持体と、貴金属、その酸化物、および前記貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つに対応する化合物の溶液もしくはコロイド溶液とを接触させ、焼成および/または還元処理を行い前記支持体のメソ孔内に前記貴金属、その酸化物、および前記貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つを含む酸化触媒粒子を形成することにより得られるメソポーラス触媒体。
[3] 前記支持体が金属酸化物もしくはSiO2により形成されている[1]もしくは[2]に記載のメソポーラス触媒体。
[4] 前記金属酸化物が、TiO2、Fe2O3、ZrO2、およびCeO2からなる群から1種または2種以上選択される化合物である[3]に記載の触媒体。
[5] 前記貴金属が金、白金およびパラジウムからなる群から選択される1種または2種以上である[1]から[4]のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
[6] 前記支持体が粉体である[1]から[5]のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
[7] 前記メソ孔のBET法で測定した平均孔径が2nm以上10nm以下である[1]から[6]のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
[8] 前記酸化触媒粒子の平均粒径が1nm以上10nm以下である[1]から[7]のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
[9] 前記酸化触媒粒子の担持量が、当該酸化触媒粒子を含む支持体に対して0.1〜30質量%である[1]から[8]のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
[10] 前記メソポーラス触媒体が気体の酸化反応用触媒である[1]から[8]のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
[11] 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置される誘電体とを少なくとも備え、前記第1の電極と前記第2の電極の間に電圧を印加して放電を発生させることによりプラズマを発生させるプラズマ発生部と、
前記プラズマ発生部によって発生した前記プラズマが存在する領域に形成される、被処理気体が流れる流路と、
前記流路に配置される[1]から[10]のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体と、を備えることを特徴とするガス処理装置。
[12] アルコキシシランもしくは金属アルコキシドの加水分解物、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシドトリブロックコポリマーもしくは陽イオン界面活性剤を含有する溶液を乾燥および焼成して得られるメソ孔を有する支持体と、貴金属、その酸化物、および前記貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つに対応する化合物の溶液またはコロイド溶液とを接触させ、焼成および/または還元処理を行い前記支持体のメソ孔内に前記貴金属、その酸化物、および前記貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つを含む酸化触媒粒子を形成することを含むメソポーラス触媒体の製造方法。
本発明によれば、活性をより長期に維持できる触媒体及びそれを用いたガス処理装置を提供することができる。
第1実施形態のガス処理装置200の断面の一部を模式的に表した図である。 第2実施形態のガス処理装置300の断面の一部を模式的に表した図である。 第3実施形態のガス処理装置400の断面の一部を模式的に表した図である。 第4実施形態のガス処理装置500の断面の一部を模式的に表した図である。 実施例1の触媒体が連通構造を有することを理解できる3次元トモグラフィー像である。 実施例1の触媒体が連通構造を有することを理解できる3次元トモグラフィー像である。 実施例1の触媒体が連通構造を有することを理解できる3次元トモグラフィー像である。
以下、本発明の実施形態について詳述する。
本実施形態のメソポーラス触媒体(以下、単に触媒体ともいう)は、通気性を有する部材であり、支持体の表面において開口しており気体が通気可能な複数のメソ孔径の細孔(メソ孔)を有する多孔質である支持体と、当該支持体のメソ孔内に担持された貴金属、貴金属酸化物および貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つを含む酸化触媒粒子(以下、酸化触媒粒子という場合もある)とを含む。本実施形態の触媒体においては支持体が含む一のメソ孔が少なくとも一つの他のメソ孔と連通している。
本実施形態の触媒体は、有機ガスなどの処理対象となる成分を酸化反応で二酸化炭素や水などに分解処理し、大気中に排出できる。本実施形態の触媒体において処理可能な気体としては、特に限定されないが、タバコ副流煙中の一酸化炭素や、農産物や花卉などの植物から発せられる化合物、自動車の内装材、住宅の建材・内装材、家電の筐体・部材などの素材から揮発する物質、塗料、接着剤、洗浄剤などの有機溶剤から揮発する物質などが挙げられる。具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、イソプレン、ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、α−ファルネセン、β−ファルネセンなどの炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、ブタン−1−オール、ペンタン−1−オール、ヘキサン−1−オール、ヘプタン−1−オール、オクタン−1−オール、トランス−2−ヘキセノール、シス−2−ヘキセノール、トランス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセノール、リナロール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ペンタナール、ノナナール、ベンズアルデヒド、ヘキサナール、トランス−2−ヘキセナール、シス−2−ヘキサナール、トランス−2−オクテナール、トランス−2−ノネナール、シス−2−ノネナール、トランス,シス−2,6−ノナジエナール、トランス,シス−2,4−デカジエンナールなどのアルデヒド類、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン類、蟻酸メチル、酢酸エチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸オクチル、酢酸ヘキシル、酢酸ベンジル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ペンチル、サリチル酸メチル、カプロン酸エチル、吉草酸ペンチル、エチル−2−メチルプロパネート、エチルブタノエート、メチル−2−メチルブタノネート、エチル−2−メチルブタノエート、エチル−3−メチルブタノエート、メチル−3−ヒドロキシブタノエート、メチルヘキサノエート、エチルヘキサノエート、ヘキシルヘキサノエート、メチル−3−ヒドロキシヘキサノエート、オクチルヘキサノエート、エチルオクタノエート、メチル−3−ヒドロキシオクタノエート、ニコチン酸エチル、γ−ヘキサラクトン、γ−オクタラクトン、δ−オクタラクトン、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−ドデカラクトンなどのエステル類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸などのカルボン酸類、トランス−ネロリドール、シス−ネロリドール、ファルネソールなどのテルペン類やオイゲノール、バニリンなどのフェノール類、アンモニアやトリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオールなどのチオール類、硫化メチル、二硫化メチル、ジメチルスルホキシドなどの硫黄有機化合物などが例示される。
このうち、エチレンや一酸化酸素などの分解においては、本実施形態の触媒体を用いるときに触媒活性がより長時間維持されるため、好ましい。また、エチレンを分解対象とするときにはSiOにより支持体が形成され、酸化触媒粒子が白金、白金酸化物、白金と遷移金属との合金、パラジウム、パラジウム酸化物およびパラジウムと遷移金属との合金からなる群から選択される1種または2種以上を含むことがより好ましく、白金、白金酸化物および白金と遷移金属との合金からなる群から選択される1種または2種以上を含むことがさらにより好ましく、白金酸化物を含むことがさらにより一層好ましい。一酸化炭素を分解対象とするときには金属酸化物により支持体が形成され、酸化触媒粒子が金および/または金と遷移金属との合金を含むことがより好ましい。
本明細書において、メソ孔とはBET法で求めた直径が2nm以上50 nm 以下である細孔であり、触媒体の表面における開口部が他の開口部と連通している細孔を指す。メソ孔の形状やその開口部の位置関係などは特に限定されない。
本実施形態の触媒体において、一のメソ孔は、支持体内部で分岐して他のメソ孔と連通している(以下、連通構造ともいう)。なお、支持体が連通構造を有するか否かは3次元透過型電子顕微鏡(TEM)により確認することができる。
本実施形態の触媒体は、粉体、粒子体、膜状など様々な形態とすることができる。このうち、膜状、特に膜厚1000nm以下の膜状の形態を有するとさらに触媒効率の低下が生じにくくなるので好ましい。また、粉体であると、様々な形状形態で使用できるので好ましい。粉体の場合、その大きさは特に限定されず、当業者が適宜設定できる。
被処理気体を本実施形態の触媒体に曝すことによって、被処理気体が触媒体内部へ拡散して、細孔内の酸化触媒粒子と接触し、有機ガス等の処理対象となる成分が酸化分解される。
従来の粉末状のメソポーラス触媒体は、メソ孔が連通構造を有さず、1のメソ孔における支持体の上面の開口部と下面の開口部が直線状に通じているシリンダー構造などを有していた。この場合、メソ孔に吸着水などによる閉塞部が1箇所でも存在するとこのメソ孔の通気性は失われるが、特に粉体ではメソ孔内部に気流までの距離が相対的に長くなる部位があり、この部位において粉体内部に吸着した水分の脱離が起き難い状態になっている。そのため、従来のメソポーラス触媒体においては、吸着水によるメソ孔の閉塞が生じ易く、触媒活性が低下するものと推察される。
一方、連通構造は支持体内部においてメソ孔が互いにつながっているので支持体内部に水分が付着しても通気性が損なわれにくく、支持体メソ孔内に担持された酸化触媒粒子と被処理気体との接触が妨げられにくい。その結果、粉体、顆粒状、膜状など触媒体の形状を問わず、触媒活性をより長期に維持できる。
なお、本実施形態の触媒体においては、連通構造を有し本発明の目的を奏することができる限り、メソ孔の一部に他のメソ孔と連通しないものが含まれていてもよい。
本実施形態の触媒体において、メソ孔の径は上述の定義を満足する限り特に限定されないが、BET法による平均直径が2nm以上10nm以下であることが、担持される酸化触媒粒子の粒径も当該範囲内になり、より高活性の触媒体が得られるので好ましい。
なお、本実施形態に係る支持体が有する細孔の直径はJIS-Z-8831に基づくBET法による自動比表面積/細孔分布測定装置を用いて算出した値である。
酸化触媒粒子は、酸化反応を促進する触媒機能を有する貴金属、貴金属酸化物および貴金属と遷移金属との合金のうち少なくともいずれか1種を含む粒子であれば、特に限定されない。
本明細書において、貴金属とは金、銀および白金族のルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金を指す。貴金属酸化物は上述の貴金属の酸化物およびその水和物であり、具体的にはAu2O3、Ag2O、AgO、Ag2O・Ag2O3、RuO2、RuO4、Rh2O3、PdO、OsO2、OsO4、IrO2、Ir2O3・nH2O、PtO2、PtO2・H2O、白金黒等を挙げることができる。
合金の遷移金属は貴金属と合金を形成できれば特に限定されないが、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Wなどが挙げられる。
好ましくは酸化触媒能がより高い、金、白金、パラジウム、これらの酸化物、および金、白金およびパラジウムの少なくともいずれか1つと遷移金属との合金からなる群から選択される1種または2種以上を含むように酸化触媒粒子が構成されるのがよい。この場合、好適な酸化触媒粒子の構成成分として、Au、Pt、Pd、PdO、Au2O3、PtO2、PtO2・H2O、および白金黒からなる群から選択される1種または2種以上から構成される粒子が挙げられる。
酸化触媒粒子の平均粒径が10nm以下(より好ましくは1nm以上10nm以下、さらにより好ましくは1nm以上10nm未満、さらにより一層好ましくは1nm以上6nm以下)であれば、酸化触媒粒子の比表面積が増大し触媒活性が飛躍的に向上して被処理気体中の処理対象となる成分の分解効率がさらに高まるので、好ましい。
なお、酸化触媒粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡(TEM)の画像写真での粒子サイズを算出し、その平均値として得ることができる。
酸化触媒粒子は当該酸化触媒粒子を含む支持体に対して、0.1〜30質量%担持されることが好ましく、0.5〜20質量%とするのがより好ましく、0.5〜10質量%がさらにより好ましい。30質量%よりも多く担持させると、酸化触媒粒子同士が凝集しやすくなり、範囲内にある場合と比較して触媒活性が減少する。0.1質量%未満では、範囲内にある場合と比較して、十分な触媒活性が得られないので好ましくない。
なお、本実施形態の触媒体においては、酸化触媒粒子に加えて、助触媒粒子や各種金属元素などを含んでいてもよく、特に限定されない。具体的には、助触媒粒子と酸化触媒粒子が混在するものや、各種金属元素を酸化触媒粒子と複合化させた複合粒子からなる複合触媒であってもよい。酸化触媒粒子単独の場合や酸化触媒粒子に助触媒を混合させた場合には、酸化触媒粒子が上述の大きさの範囲内であればよい。また、他の金属元素を複合した複合粒子の場合には、複合粒子の大きさが上述の大きさの範囲内であればよい。助触媒または複合触媒において用いる触媒粒子以外の金属粒子(ナノ粒子)としては卑金属およびそれらの酸化物などが挙げられる。これらの貴金属およびその酸化物、卑金属およびその酸化物の粒子は2種以上混合されて、支持体細孔内表面に担持されてもよい。
本実施形態に係るメソ孔を有する支持体は、鋳型となる化合物を用いてメソ孔を形成し、当該化合物を加熱除去する工程を含んで製造される場合があることも考慮すると、加熱温度以上で劣化を生じない材料で構成されていることが好ましい。
本実施形態に係る支持体は、金属酸化物から形成することができる。金属酸化物から構成される支持体は、触媒粒子に作用し、触媒体の触媒活性を高めることができる。
金属酸化物は、金属の酸化物であり、金属とは、周期表における、1族(Hを除く)、2〜12族、13族(Bを除く)、14族(C及びSiを除く)、15族(N、P及びAsを除く)、及び16族(O、S、Se、及びTeを除く)に属する元素、並びにランタノイド及びアクチノイドをいう。金属酸化物としては、例えば、γ-Al、α-Al、θ-Al、η-Al、アモルファスのAl、TiO、ZrO、SnO、MgO、ZnO、Bi、In、MnO、Mn、Nb、FeO、Fe、Fe、Sb、CuO、CuO、NiO、Ni、Ni、CoO、Co、Co、WO、CeO、Pr11、Y、In、PbO、ThOなどの金属酸化物が挙げられる。また、金属酸化物は、例えば、Al−TiO、Al−ZrO、Al−CaO、Al−CeO、Al−Fe、TiO−CeO、TiO2−ZrO、TiO−WO、ZrO−WO、SnO−WO、CeO−ZrO、Al−TiO−ZrO、セリウム・ジルコニウム・ビスマス複合酸化物などの2種以上の金属を含む複合酸化物であってもよい。尚、セリウム・ジルコニウム・ビスマス複合酸化物は一般式Ce1−X−YZrBi2−δで表わされる固溶体であり、X、Y、δの値がそれぞれ0.1≦X≦0.3、0.1≦Y≦0.3、0.05≦δ≦0.15の範囲である。
また、支持体はSiO2で形成されていてもよい。
これらの支持体の材質は処理対象のガス等の種類や触媒体を適用する機器や諸環境条件に応じて選択すればよい。SiO2、TiO2、Fe2O3、ZrO2、CeO2は触媒粒子をより強固に担持できるとともに、基材を用いる場合に該基材とより強固に接着できるのでより望ましい。
上述のとおり、本実施形態の触媒体が有する支持体の形状は特に限定されず、例えば粉体、顆粒状、膜状などとすることができる。一方で、支持体の形状は膜状であることが好ましい。
支持体が膜状である場合、酸化触媒粒子が存在するメソ孔と被処理気体の気流までの距離は、粉体状など他の形状の触媒体と比較して短い。そのため、膜状の触媒体のメソ孔内に気体中の水分が吸着した場合、被処理気体気流への濃度勾配が発生し、気流への吸着水の再拡散が進行し、結果として吸着水が一定量に抑制される。それによって、支持体が膜状の形状を有するときにはメソ孔の閉塞がさらに生じにくい構造となっている。
なお、本明細書において、膜状の形状とは、空間を隔てたり、あるいは物体の少なくとも一部を覆ったりしている層のような形状を意味する。
本実施形態の触媒体は例えば、基材上に膜状に形成させることができる。このとき、基材が通気性を有するか否かは特に限定されない。通気性のない基材上に本実施形態の触媒体が配置されている場合には、触媒体表面にエンボス加工などにより凹凸が形成されていてもよい。触媒体の表面に凹凸が形成されていると、流通する気体との接触面積が増加し、被処理気体の酸化反応をより促進することができる。
本実施形態の触媒体がその表面において膜状に形成される基材がフィルター状やメッシュ状など通気可能な基材であれば、本実施形態の触媒体の厚み方向に被処理気体を流通させても構わない。また、基材が板状などの形状を有する場合には基材の両面に本実施形態の触媒体が形成されていてもよく、いずれの形態で用いるかは本実施形態の触媒体を組み込む装置の設計等に応じて決めればよい。
本実施形態の触媒体が膜状の形状を有する場合にその膜厚は50nm以上1000nm以下であることが望ましい。50nm未満であると、触媒の絶対量が低減するので、範囲内にある場合と比較して、被処理気体中の有機ガスを分解し難くなる。1000nmより大きくなると、被処理気体から離れた位置に存在するメソ孔に吸着した水分は再放出されにくくなり、細孔内に吸着する水分量が増加し、酸化触媒粒子の作用を阻害する。範囲内にある場合と比較して、当該触媒体の触媒効率が低下する。
なお、本実施形態の触媒体が膜状の形状を有するときの膜厚は膜の断面をTEM観察し、断面画像のサイズを測ることにより測定することができる。
本実施形態の触媒体は基材上に形成されるようにすることができる。基材上に本実施形態の触媒体を膜状に形成する場合には、より容易に触媒体の膜厚を薄くすることができるため、好ましい。基材は、上述のように、板状など通気性のない構造でも通気性を有する構造でもよい。通気性を有する構造としては、例えば、パンチング加工により多数の貫通孔が形成されているシート状のものや、繊維状、布状、メッシュ状で、織物、網物、不織布などから構成される繊維構造体(フィルター状)を挙げることができる。その他、使用目的に合った種々の形状及びサイズ等のものを適宜利用できる。
膜状の触媒体が形成される基材には膜状に支持体を形成する際に加熱する場合があるため、当該加熱温度に耐える耐熱性を有する材料を用いることが望ましい。具体的には金属材料、セラミックス、ガラス、炭素繊維、炭化珪素繊維や耐熱性有機高分子材料などが好ましく、さらには金属、金属酸化物、ガラスがより好ましい。
基材に用いられる金属材料としては、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、TZM(Titanium Zirconium Molybdenum)、W−Re(Tungsten-rhenium)などの高融点金属や、銀、ルテニウムなどの貴金属及びそれらの合金または酸化物、チタン、ニッケル、ジルコニウム、クロム、インコネル、ハステロイなどの特殊金属、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、亜鉛、マグネシウム、鉄などの汎用金属およびこれら汎用金属を含む合金またはこれら汎用金属の酸化物を用いることができる。また、各種めっき及び真空蒸着や、CVD法や、スパッタ法などにより、上述した金属、合金または酸化物の被膜が形成された部材を金属材料として用いてもよい。
なお、上述した金属表面及びその合金表面には、通常、自然酸化薄膜が形成されており、支持体をシラン化合物から形成する場合、この自然酸化薄膜を利用して基材と支持体とを強固に固定させることができる。この場合には、予め、酸化薄膜の表面に付着している油分や汚れを通常の公知の方法により除去することが、安定に、かつ、強固に固定するためには好ましい。また、自然酸化膜を利用する代わりに、金属表面又は合金表面に、公知の方法により化学的に酸化薄膜を形成したり、陽極酸化などの電気化学的な公知の方法により酸化薄膜を形成してもよい。
さらに、基材に用いられるセラミックスとしては、土器、陶器、石器、磁器などの陶磁器、ガラス、セメント、石膏、ほうろう及びファインセラミックスなどのセラミックスを挙げることができる。構成するセラミックスの組成は、元素系、酸化物系、水酸化物系、炭化物系、炭酸塩系、窒化物系、ハロゲン化物系、及びリン酸塩系などを挙げることができ、また、それらの複合物でもよい。
また、基材に用いられるセラミックスとしては、さらに、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト、アルミナ、フォルステライト、ジルコニア、ジルコン、ムライト、ステアタイト、コーディエライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ニューカーボン、ニューガラスなどや、高強度セラミックス、機能性セラミックス、超伝導セラミックス、非線形光学セラミックス、抗菌性セラミックス、生分解性セラミックス、及びバイオセラミックスなどのセラミックスを挙げることができる。
また、基材に用いられるガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、石英ガラス、カルコゲンガラス、ウランガラス、水ガラス、偏光ガラス、強化ガラス、合わせガラス、耐熱ガラス・硼珪酸ガラス、防弾ガラス、ガラス繊維、ダイクロガラス、ゴールドストーン(茶金石・砂金石・紫金石)、ガラスセラミックス、低融点ガラス、金属ガラス、及びサフィレットなどのガラスを挙げることができる。
また、基材にはその他に、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、及びポルトランドセメントに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ質混合材を添加した混合セメントである高炉セメント、シリカセメント、及びフライアッシュセメントなどのセメントを使用することも可能である。
また、基材にはその他に、チタニア、ジルコニア、アルミナ、セリア(酸化セリウム)、ゼオライト、アパタイト、シリカ、活性炭、珪藻土などを使用することができる。さらに、基材には、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、錫などの金属酸化物を用いることも可能である。
さらに、基材には、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアラミド、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリキノリン、ポリキノキサリン、フッ素樹脂などや、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などの当業者に公知な耐熱性有機高分子材料を用いることも可能である。
次に、本実施形態の触媒体を得る方法の一例について説明する。
本実施形態の触媒体は、例えば、アルコキシシランもしくは金属アルコキシドの加水分解物、および界面活性剤を含有する溶液を乾燥および焼成して得られるメソ孔を有する支持体と、貴金属、その酸化物、または貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つに対応する化合物の溶液もしくは該貴金属化合物のコロイド溶液とを接触させ、焼成および/または還元処理を行い支持体のメソ孔内に貴金属、その酸化物、または貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つを含む酸化触媒粒子を形成することにより得ることができる。
当該方法においては、まず、支持体を形成する。
メソ孔を有する支持体は、例えば、メソ孔の鋳型として作用する物質を内部に含有している支持体の前駆体を形成し、その後鋳型として作用する物質を分解除去することでメソ孔を形成して得ることができる。
当該方法の一例について説明する。まず、鋳型となる界面活性剤とアルコキシシランもしくは金属アルコキシドの加水分解物を含む溶液(以下、前駆体溶液と称する)を調製する。具体的には、例えば、界面活性剤を溶解した溶液にアルコキシシランもしくは金属アルコキシドを加え、pH調整を行ってアルコキシシランもしくは金属アルコキシドを加水分解する。これによりシラノール基を有するか、もしくは金属水酸化物である加水分解物を生成させる。界面活性剤は溶液中でミセルを形成しメソ孔の鋳型となる。この前駆体溶液を加熱することで溶媒を揮散させるとともに、シラノール基もしくは金属水酸化物を縮合硬化させて、支持体の前駆体を形成させる。その後、さらに300℃以上の高温に焼成することで、前駆体中の鋳型である界面活性剤を分解揮発させることにより除去し、メソ孔を有する支持体が得られる。
なお、膜状の支持体は、例えば前駆体溶液を基材に塗布後に加熱して溶媒を揮散、縮合硬化を行うなどして得ることができる。また、前駆体溶液をスプレードライヤーなどで粒子状としてその後に溶媒揮散、縮合硬化を行えば、粉体の支持体が得られる。また、粉体の支持体は上記の工程で固体の支持体を得た後、粉砕して得てもよい。
前駆体溶液は、例えば、(1)アルコキシシランもしくは金属アルコキシドの加水分解物、(2)溶媒(溶剤)、(3)界面活性剤の3つの成分を含んで構成することができる。アルコキシシランもしくは金属アルコキシドについて溶液中で加水分解処理を行い、加水分解物を得る場合には、水が必要なので、溶媒は水や、水とエタノールやメタノールなどのアルコール類との混合溶媒とすることが好ましい。また、アルコキシシランもしくは金属アルコキシドの加水分解処理のための触媒が溶液中にさらに含まれるようにしてもよく、当該触媒としては硝酸、塩酸等の酸を用いることが好ましい。
界面活性剤やアルコキシシランもしくは金属アルコキシドの割合は特に限定されず、適宜設定でき、特に限定されない。界面活性剤/アルコキシシランもしくは金属アルコキシドのモル比を変えることで、得られる支持体における細孔体積率、多孔度を制御することができる。
なお、膜状の支持体を形成する場合は特に、基材への塗布の前に前駆体溶液中に沈殿物を生成させないことがより均一な膜厚を有する膜形成の観点から好ましく、pHが酸性のアルコールを用いることで前駆体の沈殿を回避できる。別法としては、水とアルコキシシランもしくは金属アルコキシドのモル比だけを調節するかpH調整と共にモル比を調節し、或いはアルコールを添加し、またはモル比調節とアルコール添加の両方を行うことで沈殿を回避することもできる。
界面活性剤としては例えば、非イオン性界面活性剤や陽イオン界面活性剤が使用できる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルやポリアルキレンオキシドブロックコポリマーなどが使用できる。
このうち、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンエーテルやポリアルキレンオキシドブロックコポリマーを使用すると触媒活性の低下がより生じにくい触媒が得られるので、望ましい。また、同様の理由から、陽イオン界面活性剤が用いられることも好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとして具体的には、C12H25(OCH2CH2)nOH(nは2〜100)、C16H33(OCH2CH2)OH(nは2〜100)、C18H37(OCH2CH2)OH(nは2〜100)などが使用でき、単独でも混合物でも構わない。Brij(登録商標)56、Brij76、Brij78などの市販のポリオキシエチレンエーテルも使用できる。
ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーとしてはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのポリアルキレンオキシドトリブロックコポリマーなどが挙げられ、より具体的にはPluronic(登録商標)L121、P123などのプルロニック系界面活性剤などが例示される。
陽イオン界面活性剤としては塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化デカリニウムなどが例示される。
界面活性剤の分子鎖長がメソ孔径に影響するので、目的のメソ孔の孔径に応じて界面活性剤を選択すればよい。また1,3,5−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、n-ヘプタンなどの疎水性化合物を前駆体溶液に添加するようにしてもよく、当該疎水性化合物は前駆体溶液中のミセル径を増大させられるので、メソ孔径の調製に使用することができる。
アルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
金属アルコキシドとしては、例えばテトラプロポキシアルミニウム、テトラプロポキシすず、テトラプロポキシチタニウム、テトラプロポキシジルコニウムなどを挙げることができる。
上述のとおり、基材上に膜状の支持体を形成させる場合は、基材上に前駆体溶液を塗布して膜状の支持体を形成する。基材に前駆体溶液を塗布する方法は、前駆体溶液を均一に薄く塗布できれば方法は問わないが、スピンコート法や基材を前駆体溶液に浸漬後に不要な溶液を吹き飛ばすDip&ブロー法などが適用でき、塗布する基材の形状などに合わせて選択すればよい。
また、前駆体を形成した後に鋳型分子を除去するときの加熱条件も特に限定されず、例えば300〜600℃で前駆体を加熱すればよい。
次に、酸化触媒粒子を支持体のメソ孔に担持させ、本実施形態の触媒体を得る。まず、支持体と担持させる酸化触媒粒子に含有される貴金属、その酸化物、または貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つに対応する化合物の溶液もしくはコロイド溶液(以下、これらを単に貴金属化合物溶液とも称する)とを接触させて、支持体のメソ孔に貴金属化合物溶液を導入する。貴金属と遷移金属との合金が酸化触媒粒子を含まれるようにする場合は、貴金属に対応する化合物に加えて遷移金属の塩をさらに溶解した溶液を貴金属化合物溶液として用いるなどすればよい。その後、焼成および/または還元処理を行いメソ孔内に酸化触媒粒子を形成することにより、本実施形態の触媒体を得ることができる。
具体的には、例えば、貴金属化合物溶液に支持体を浸漬後、焼成および/または還元処理を行うようにすることができる。
より具体的には、貴金属化合物溶液を20〜90℃、好ましくは50〜70℃に加温、攪拌しながら、pH3〜10、好ましくはpH5〜8になるようにアルカリ溶液を用いて調整する。次いで、支持体を貴金属化合物溶液に浸漬し、続いて、減圧脱気処理を行い細孔に貴金属化合物溶液を浸透させる。その後、200〜600℃で加熱焼成を行うことで細孔内に貴金属等を含む酸化触媒粒子を得ることができる。
また、上述のように細孔に貴金属化合物溶液を浸透させた後に、200〜600℃の焼成処理と100〜300℃の水素気流に晒す処理を行う水素還元法や、水素化ホウ素ナトリウム溶液に浸漬する液相還元法など公知の還元操作を実施することでも、細孔内に、酸化触媒粒子を形成させることができる。なお、貴金属化合物溶液に含有させる化合物の種類によっては、上述の公知な還元操作を実施することなく200〜600℃の加熱焼成処理のみで、酸化触媒粒子を細孔内に得ることもできる。また、貴金属化合物溶液に含まれる化合物の還元が一部に留まり、メソ孔内の酸化触媒粒子に貴金属単体と貴金属酸化物が共存してもよい。
酸化触媒粒子を構成している貴金属、その酸化物、または貴金属と遷移金属との合金に対応し、貴金属元素を含む化合物としては、例えば、金化合物としてHAuCl4・4H2O、NH4AuCl4、KAuCl4・nH2O、KAu(CN)4、Na2AuCl4、KAuBr4・2H2O、NaAuBr4などが、白金化合物については塩化白金酸、ジニトロジアンミン白金、ジクロロテトラアンミン白金などが、パラジウム化合物についてはジニトロジアンミンパラジウム、塩化パラジウム酸アンモニウムなどが挙げられる。
貴金属化合物溶液における貴金属化合物の濃度は特に限定されないが、1×10−2〜1×10−5mol/Lとして溶液を調製するのが、生成した酸化触媒粒子が凝集しにくいので好ましい。
貴金属化合物溶液に含まれ得る遷移金属の塩としては、溶液に溶解でき、上述の貴金属もしくは貴金属酸化物に対応する金属化合物と共存しても沈殿を生じない化合物であれば特に限定されず、用いる遷移金属の塩化物、臭化物などのハロゲン化塩、硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩などが例示される。遷移金属塩の濃度は特に限定されないが、1×10−2〜1×10−5mol/Lとして溶液を調製するのが、生成した酸化触媒粒子が凝集しにくいので好ましい。
以上、本実施形態の触媒体は、通気性を有し、連通構造を有する支持体におけるメソ孔で貴金属、貴金属酸化物および貴金属と遷移金属との合金のいずれか一種以上を含む酸化触媒粒子を担持する構成を備えることにより、従来と比較して活性をより長期に維持することができる。
また、本実施形態の触媒体は室温(23.4℃)より低い温度下においても、エチレンなどを分解除去できる。さらに、触媒体の大きさなどにもよるが、0.5ppm程度の濃度でも分解除去することができる。
本実施形態のメソポーラス触媒体は、有機ガス成分等を除去可能な部材や装置を構成するために用いることができる。
当該部材や装置としては、空気清浄機、エアコン、冷蔵庫などのフィルター類や、倉庫やショーケース内に設置する空気浄化フィルター、青果物や花卉類の包装部材、あるいは内燃機関などの排気ガス浄化装置や燃料電池の水蒸気改質器などを挙げることができる。さらに、青果物や花卉類について生食、食品加工、または観賞などの各種用途に耐え得る状態をより持続させるために使用される物品(鮮度保持剤)において、本実施形態のメソポーラス触媒体を備えるようにしてもよい。
次に、本実施形態の触媒体が用いられるガス処理装置について説明する。なお、以下においては本実施形態の触媒体の一例として膜状の触媒体(触媒体膜)を用いる場合を例に挙げて説明する。
図1は、第1実施形態のガス処理装置200の断面の一部を模式的に表した図である。本実施形態のガス処理装置200は、ガス処理装置200に対して矢印A方向に供給される被処理気体中の処理対象となる成分を、ガス処理装置200において発生させるプラズマと触媒体膜100の機能によって、酸化して分解する装置である。
ガス処理装置200は、印加電極11と接地電極12と誘電体13とを備えるプラズマ発生部を有し、印加電極11には、電源部である(高圧)電源14が接続されている。接地電極12と印加電極11は、互いに対向して配置されており、接地電極12と印加電極11との間に誘電体13が配置されている。誘電体13は、接地電極12にのみ密着しており、印加電極11と離隔している。ガス処理装置200において、これら印加電極11と接地電極12と誘電体13は、プラズマを発生させるための部材・装置(プラズマ発生部)であり、電源14によって印加電極11と接地電極12との間に電圧が印加されることで、印加電極11と接地電極12と誘電体13によって、印加電極11と誘電体13との間に放電による低温プラズマ反応層(プラズマが存在する領域)が形成される。なお、印加電極11と接地電極12のいずれか一方が第1の電極であり、他方が第2の電極である。また、他の実施形態において印加電極11と接地電極12がそれぞれ複数組み合わせられる場合にも、いずれか一方の種類の複数の電極それぞれが第1の電極であり、他方の種類の複数の電極それぞれが第2の電極である。また、誘電体13は、接地電極12と触媒体膜100との間にのみ設けられているがこれに限定されず、例えば接地電極12と触媒体膜100との間に加えて、印加電極11と触媒体膜100との間に設けられてもよい。
印加電極11は、電源14によって電圧が印加される電極である。接地電極12は、接地線12aによって接地されている。そして、印加電極11、接地電極12および誘電体13は、被処理気体が通過できる通気性を有する構造である。具体的には、印加電極11と接地電極12と誘電体13の構造としては、格子状や簾状、パンチング加工などによる多孔状やエキスパンドメッシュ状、ハニカム状の構造が挙げられ、これらの構造を2種以上組み合わせた構造であってもよい。印加電極11、接地電極12については、針状の構造でもよい。また、印加電極11と接地電極12と誘電体13は、上記した形状・構造のうち、同じ形状・構造であってもよい。図1では、印加電極11はメッシュのように開口が小さく多数存在し、接地電極12と誘電体13はパンチングによる多孔状のように開口が大きく少数存在している。
矢印A方向からプラズマ発生部に供給される被処理気体は、印加電極11に形成される開口を介して、印加電極11と誘電体13との間に形成される低温プラズマ反応層に到達する。低温プラズマ反応層に到達した被処理気体は、プラズマ発生部の外部に直接排出されるか、誘電体13に形成される開口と接地電極12に形成される開口を介して、プラズマ発生部の外部に排出される。つまり、プラズマ発生部には、印加電極11と接地電極12と誘電体13に形成される開口、及び、印加電極11と誘電体13との間に形成される低温プラズマ反応層によって構成される流路が形成されている。
プラズマ発生部に形成される流路のうち、低温プラズマ反応層(印加電極11と誘電体13との間)には、誘電体13と印加電極11に密着する触媒体膜100が配置されている。このため、流路を流れて低温プラズマ反応層に到達した被処理気体は、メソ孔を介して触媒体膜100を通過することができる。従って、被処理気体中の処理対象となる成分は、プラズマが作用する触媒体膜100の機能によって、酸化されて分解される。
ガス処理装置200に用いられる印加電極11および接地電極12としては、電極として機能する材料を用いることができる。印加電極11、接地電極12の材料としては、例えば、Cu、Ag、Au、Ni、Cr、Fe、Al、Ti、W、Ta、Mo、Coなどの金属やその合金を用いることができる。
誘電体13は、絶縁体となる性質を有していればよい。誘電体13の材料としては、例えば、ZrO、γ-Al、α-Al、θ-Al、η-Al、アモルファスのAl、アルミナナイトライド、ムライト、ステアライト、フォルステライト、コーディエライト、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、SiC、Si、Si-SiC、マイカ、ガラスなどの無機材料や、ポリイミド、液晶ポリマー、PTFE(polytetrafluoro ethylene)、ETFE(ethylenetetrafluoroethylene)、PVF(polyvinylfluoride)、PVDF(polyvinylidene difluoride)、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどの高分子材料が挙げられる。耐プラズマ性、耐熱性を考慮すると無機材料がより好ましい。
なお、上述したように触媒体膜100が誘電体としての機能も備える場合(例えば、触媒体の一部が絶縁体であるような場合)、触媒体膜100を誘電体としても利用できるため、誘電体13を備えなくてもよい。また、本実施形態のガス処理装置200において、流路に流れる被処理気体の量や、流速などの使用条件は、特に限定されない。例えば、ガス処理装置200に送風機を接続し、所定量の被処理気体を所定の流速で流路に送ってもよく、ガス処理装置200を被処理気体中に放置し、自然に被処理気体が流路に流れ込むだけであってもよい。
電源14は、高電圧を印加可能な電源である。電源14としては、交流高電圧、パルス高電圧などの高電圧電源、DCバイアスに交流あるいはパルスを重畳させた電源などを用いることができる。交流高電圧の例としては、正弦波交流、矩形波交流、三角波交流、鋸波交流などが挙げられる。この電源14により、印加電極11と接地電極12と誘電体13によって形成される放電空間にプラズマが発生するように、印加電極11と接地電極12との間に所定の電圧を印加すればよい。電源14による印加電圧は、被処理気体に含まれる処理対象となる成分の濃度などにより変動するが、通常1〜20kV、好ましくは2〜10kVとすることができる。なお、プラズマを発生させるために電源14から供給される電力により発生させる放電の種類としては、プラズマを発生させることができれば特に限定されないが、たとえば無声放電や沿面放電やコロナ放電やパルス放電などであればよい。また、これらの放電が2種類以上組み合わされて発生してプラズマを発生させてもよい。
また、電源14の出力周波数は、高周波数が好ましく、具体的には0.5kHz以上とすることができる。さらには0.5kHz以上30kHz以下が好ましく、より好ましくは1kHz以上20kHz以下がよい。周波数が0.5kHzよりも小さいと中間生成物やオゾンの生成量が増えることがあり、30kHzよりも大きいと処理対象とするいずれの成分についても酸化による分解が抑制されることがある。
なお、本実施形態では、誘電体13を接地電極12に密着させた構成としたが、これに限られない。プラズマを発生させることができればよく、誘電体13が、少なくとも印加電極11と接地電極12のいずれかに密着していればよい。また、印加電極11と接地電極12のそれぞれに誘電体13を密着して配置し、その2つの誘電体13の間に触媒体膜100を備える構成にしてもよい。さらに、触媒体膜100を上述した基材上に形成する場合、誘電体13を基材としても利用できる。
次に、第2実施形態のガス処理装置300を説明する。本実施形態において、第1実施形態で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、第1実施形態と異なる点について、主に説明する。
図2は、第2実施形態のガス処理装置300の断面の一部を模式的に表した図である。本実施形態のガス処理装置300は、無声放電によりプラズマを発生させる。本実施形態のガス処理装置300は、印加電極11と接地電極12との間に、対向する2つの誘電体13が配置される積層構造であり、それぞれの誘電体13は、印加電極11と接地電極12に密着している。
ガス処理装置300は、高電圧電源14を用いて印加電極11と接地電極12との間に電圧を印加することにより、2つの誘電体13の間に放電による低温プラズマ反応層を形成する。なお、図2では、印加電極11と接地電極12の両方に対して誘電体13がそれぞれ密着して積層されているが、誘電体13はいずれか一つだけでもよい。
本実施形態のガス処理装置300において、印加電極11,接地電極12及び誘電体13は、被処理気体が通過しない通気性のない構造である。このため、図2の矢印a方向からプラズマ発生部に供給される被処理気体は、2つの誘電体13の間に形成される低温プラズマ反応層を通過して、プラズマ発生部の外部に排出される(矢印b方向)。つまり、プラズマ発生部には、2つの誘電体13の間に形成される低温プラズマ反応層(プラズマが存在する領域)によって構成される流路が形成されている。低温プラズマ反応層に形成される流路には、異なる誘電体13に密着する、対向する2つの触媒体膜100が所定の間隔をあけて配置されている。このため、低温プラズマ反応層を流れる被処理気体は、メソ孔を介して触媒体膜100を通過することができる。従って、被処理気体中の処理対象となる成分は、第一実施形態と同様に、プラズマが作用する触媒体膜100の機能によって、酸化されて分解される。なお、触媒体膜100は、誘電体13に密着してもよく、密着していなくてもよい。処理する被処理気体の量にもよるが、流路における圧力損失が高くなる場合は、触媒体膜100は、誘電体13に密着していない方がよい。なお、本実施形態も、触媒体膜100を誘電体13としても利用してもよく、また、誘電体13を触媒体膜100が形成される基材としても利用できる。
ガス処理装置300は、多層構造とすることで、流路を確保しやすくなる。このため、処理するガス量を増やしやすくなり、多量の処理対象となる成分を効率よく分解できる。ガス処理装置300は、処理対象の成分の量や、流速などの使用条件に応じて、該成分を効率よく酸化して分解できるように設置される。触媒体膜100は単層でも複数層に分けてもどちらでもよく、任意に設定できる。
次に、第3実施形態のガス処理装置400について説明する。本実施形態において、第1実施形態で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、第1実施形態と異なる点について、主に説明する。
図3は、第3実施形態のガス処理装置400の断面の一部を模式的に表した図である。本実施形態のガス処理装置400には、対向する2つの接地電極12と、2つの接地電極12の間に配置される2つの誘電体13と、2つの誘電体13の間に配置される印加電極11とが設けられている。接地電極12と誘電体13は、互いに密着しており、誘電体13と印加電極11は、所定の間隔をあけて配置されている。ガス処理装置400は、高電圧電源14を用いて印加電極11と接地電極12との間に電圧を印加することにより、2つの誘電体13と印加電極11との間にプラズマを発生させることができ、印加電極11を挟む2つのプラズマ反応層を形成することができる。
本実施形態のガス処理装置400において、接地電極12及び誘電体13は、被処理気体が通過しない通気性のない構造である。一方、印加電極11は、複数の開口を有しており、被処理気体が通過する通気性の有る構造である。このため、図2の矢印a方向からプラズマ発生部に供給される被処理気体は、印加電極11に形成される開口を介して2つのプラズマ反応層を移動しながら、低温プラズマ反応層を通過し、プラズマ発生部の外部に排出される。つまり、プラズマ発生部には、印加電極11に形成される開口、及び、2つのプラズマ反応層によって構成される流路が形成されている。
プラズマ発生部に形成される流路のうち、2つの低温プラズマ反応層(2つの誘電体13と印加電極11との間)には、印加電極11に密着する触媒体膜100がそれぞれ配置されている。このため、流路を移動する被処理気体は、メソ孔を介して触媒体膜100を通過することができる。従って、被処理気体中の処理対象となる成分は、プラズマが作用する触媒体膜100の機能によって、酸化されて分解される。
ガス処理装置400は、第2実施形態のガス処理装置300と同様に、多層構造とすることで、流路を確保しやすくなる。このため、処理するガス量を増やしやすくなり、多量の処理対象となる成分を効率よく分解できる。ガス処理装置400は、処理対象の成分の量や、流速などの使用条件に応じて、該成分を効率よく酸化して分解できるように設置される。触媒体膜100は単層でも複数層に分けてもどちらでもよく、任意に設定できる。
次に、第4実施形態のガス処理装置500について説明する。本実施形態において、第1実施形態で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、第1実施形態と異なる点について、主に説明する。
図4は、第4実施形態のガス処理装置500の断面の一部を模式的に表した図である。本実施形態のガス処理装置500は、無声放電によりプラズマを発生させ、処理対象となる成分を分解する。本実施形態のガス処理装置500では、筒型の印加電極11と触媒体膜100と誘電体13が、円柱状の接地電極12を中心軸として、年輪状に径方向外側に積層して構成される円筒状の構造である。
ガス処理装置500において、誘電体13は、2つ設けられている。一方の誘電体13は、接地電極12の径方向外側に配置されるとともに、接地電極12に密着している。他方の誘電体13は、印加電極11の径方向内側に配置されるとともに、印加電極11に密着している。ガス処理装置500は、高電圧電源14を用いて印加電極11と接地電極12との間に電圧を印加することにより、2つの誘電体13の間に放電による低温プラズマ反応層を形成することができる。なお、図4では、印加電極11と接地電極12ともにそれぞれに対して誘電体13が密着して積層されているが、誘電体13はいずれか一つだけでもよい。
本実施形態のガス処理装置500において、印加電極11,接地電極12及び誘電体13は、被処理気体が通過しない通気性のない構造である。このため、円形の両端面の一方(図3の矢印a方向)からプラズマ発生部に供給される被処理気体は、2つの誘電体13の間に形成される低温プラズマ反応層を通過して、他方の端面側から排出される(図3の矢印b方向)。つまり、プラズマ発生部には、2つの誘電体13の間に形成される低温プラズマ反応層によって構成される流路が形成されている。低温プラズマ反応層に形成される流路には、2つの誘電体13と離隔する触媒体膜100が配置されている。このため、低温プラズマ反応層を流れる被処理気体は、メソ孔を介して触媒体膜100を通過することができる。従って、被処理気体中の処理対象となる成分は、第1〜第3実施形態と同様に、プラズマが作用する触媒体膜100の機能によって、酸化されて分解される。なお、図4において、触媒体膜100と2つの誘電体13との間には、空間が形成されている。また、触媒体膜100は、一方の誘電体13に密着していてもよいし、密着していなくてもよい。
本実施形態のガス処理装置500のように、年輪状の多層構造としてもよく、多層構造とすることで、流路を確保しやすくなる。このため、処理するガス量を増やしやすくなり、多量の処理対象となる成分を効率よく分解できる。ガス処理装置500は、処理対象の成分の量や、流速などの使用条件に応じて、処理対象ガスを効率よく酸化して分解できるように、触媒体膜100の筒型年輪状の枚数は複数でも一枚でも任意に設定できる。
ここで、第1〜第4実施形態のガス処理装置において、被処理気体に含まれる成分を処理する場合には、電源14によって、印加電極11に電圧を印加した状態で、成分を含む被処理気体を流路に供給する。これにより、流路を流れてメソ孔に到達する被処理気体中の成分は、触媒体膜100により加温することなく常温で酸化して分解される。さらに、被処理気体中の成分は、プラズマにより酸化して分解されることもある。また、触媒体膜100のみであれば、成分との接触により触媒体膜100表面(金触媒粒子)が被毒し、触媒活性が失われたり、ホルムアルデヒドなどの反応中間体を生じたりすることがあるが、プラズマを併用することにより触媒体膜100の表面がクリーニングされ触媒活性がさらに長期間保たれる。また、反応中間体の生成量もほとんどなく、有害成分の酸化による分解をさらに長期間維持することができる。
また、第1実施形態のガス処理装置200では、印加電極11をガスの流れ方向における上流側に配置するとして説明したが、これに限られず、接地電極12側からガスを流してもよい。
以上説明した第1〜第4実施形態のガス処理装置は、触媒体膜100とプラズマとの組み合わせにより、反応中間体の生成を抑制できると共に、分解処理の過程で触媒体膜100(金触媒粒子)が被毒しても、プラズマによって触媒体膜100がクリーニングされるため、触媒体膜100の触媒活性をさらに長期間持続することができる。従って、第1〜第4実施形態のガス処理装置によれば、さらに長期間対象となる化合物を酸化して分解可能なガス処理装置を実現できる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
ビーカーにテトラエトキシシラン(TEOS)5.2gを入れ、さらにエタノール6.0gを加えた。ここに、さらに0.01M塩酸2.7gを加え、室温で20分攪拌した(A液)。別のビーカーに非イオン系界面活性剤(Pluronic P123)1.38g及びエタノール2.62gを加え、室温で30分攪拌した(B液)。A液にB液を加え、室温条件下で混合した後、さらに3時間攪拌し、メソポーラスシリカの前駆体溶液を調製した。前駆体溶液の溶媒を留去し、生じた固形物を乾燥後粉砕して粉体状の支持体を得た。
ジアンミンジニトロ白金硝酸を含む溶液に上記粉体状支持体を投入、攪拌した。溶液から粉体を濾別して300℃で3時間乾燥後、水素ガス10%、窒素ガス90%の還元処理ガス中で250℃、1時間焼成し、Pt/メソポーラスシリカ粉体を得た。メソポーラスシリカ膜に対するPtの担持量は1wt%であった。
Pt/メソポーラスシリカ粉体についてBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ377m/g、0.52cm/g、7.0nmであった。Ptの粒子サイズをTEMで観察したところ、3.2nmであった。
また、触媒体のさまざまな角度からの電子顕微鏡像を立体画像に再構成する3次元トモグラフィーによって、Pt/メソポーラスシリカ粉体の連通構造の存在を確認した。再構成した立体画像の一部を図5、図6および図7に示す(傾斜角度60 〜 -50 °、 1 °ステップにて撮影)。各写真の酸化触媒粒子(明白色の点)およびメソ孔(酸化触媒粒子の周囲の暗部)の位置および形状が異なっており、メソ孔がシリンダー形状でなく、触媒体のメソ孔は触媒体内部で複数のメソ孔がつながった連通構造を有していることが確認できた。
なお、他の実施例の触媒体も、実施例1と同様の方法で製造され、且つ以下に示す試験例において同様に触媒活性がより長く維持されていることが確認できているため、実施例1と同様に連通構造を有していると理解できる。
[実施例2]
ジアンミンジニトロ白金硝酸に換えて塩化パラジウムを用いた以外は実施例1と同様の方法でPd/メソポーラスシリカ粉体を得た。Pdの粒子サイズをTEMで観察したところ、3.0nmであった。
[実施例3]
ジアンミンジニトロ白金硝酸を含む溶液にさらに塩化鉄(III)を溶解して用いる以外は実施例1と同様の方法で、白金鉄合金/メソポーラスシリカ粉体の触媒体を得た。Pt/Fe合金の粒子サイズをTEMで観察したところ、3.6nmであった。
[実施例4]
ビーカーにテトラエトキシシラン(TEOS)5.2gを入れ、さらにエタノール6.0gを加えた。ここに、さらに0.01M塩酸2.7gを加え、室温で20分攪拌した(A液)。別のビーカーに非イオン系界面活性剤(Pluronic(登録商標、以下同じ) P123)1.38g及びエタノール2.62gを加え、室温で30分攪拌した(B液)。その後、A液にB液を加え、室温条件下で混合し、さらに3時間攪拌し、メソポーラスシリカの前駆体溶液を得た。メソポーラスシリカ前駆体溶液にセラミックハニカム(岩谷産業社製)を浸漬させ、15分間減圧した。その後、セラミックハニカムを引上げ余剰分の溶液をエアブローで除去した後、1℃/分で昇温し、450℃で4時間焼成しメソポーラスシリカ膜を固定化したセラミックハニカムを得た。
その後、メソポーラスシリカ膜を固定化したセラミックハニカムにジアンミンジニトロ白金硝酸を含む溶液に浸漬させ、余剰分の溶液をエアブローで除去した。300℃で3時間乾燥後、水素ガス10%、窒素ガス90%の還元処理ガス中で250℃、1時間焼成し、Pt/メソポーラスシリカ膜/ハニカムを得た。メソポーラスシリカ膜(粒子(実施例1の場合はPt粒子)を含む、以下同じ)に対するPtの担持量は1wt%であった。
Pt/メソポーラスシリカ膜/ハニカムについてBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ377m/g、0.52cm/g、7.0nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は500nmであった。また、Ptの粒子サイズをTEMで観察したところ、3.2nmであった。
[実施例5]
B液にさらにメシチレン1.3gを加えた以外は実施例4と同様の方法でPt/メソポーラスシリカ膜/ハニカムを得た。メソポーラスシリカ膜に対するPtの担持量は1wt%であった。
Pt/メソポーラスシリカ膜/ハニカムについてBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ401m/g、0.64cm/g、20nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は500nmであった。また、Ptの粒子サイズをTEMで観察したところ、12nmであった。
[実施例6]
ビーカーにテトラエトキシシラン(TEOS)10.4gを入れ、さらにエタノール12.0gを加えた。ここに、さらに0.01M塩酸4.5gを加え、室温で20分攪拌した(A液)。別のビーカーに非イオン系界面活性剤(Brij(登録商標)56)2.9g及びエタノール8.0gを加え、室温で30分攪拌した(B液)。その後、A液にB液を加え、室温条件下で混合し、さらに3時間攪拌し、メソポーラスシリカの前駆体溶液を得た。メソポーラスシリカ前駆体溶液にセラミックハニカム(岩谷産業社製)を浸漬させ、15分間減圧した。セラミックハニカムを引上げ余剰分の溶液をエアブローで除去した後、1℃/分で昇温し、450℃で4時間焼成しメソポーラスシリカ膜を固定化したセラミックハニカムを得た。
その後、メソポーラスシリカ膜を固定化したセラミックハニカムにジアンミンジニトロ白金硝酸溶液を含む溶液に浸漬させ、余剰分の溶液をエアブローで除去した。300℃で3時間乾燥後、水素ガス10%、窒素ガス90%の還元処理ガス中で250℃、1時間焼成し、Pt/メソポーラスシリカ膜/ハニカムを得た。メソポーラスシリカ膜に対するPtの担持量は1wt%であった。
Pt/メソポーラスシリカ膜/ハニカムについてBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ380m/g、0.38cm/g、4.5nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は500nmであった。また、Ptの粒子サイズをTEMで観察したところ、3.2nmであった。
[実施例7]
B液にさらにメシチレン1.3gを加えた以外は実施例6と同様の方法でPt/メソポーラスシリカ膜/ハニカムを得た。メソポーラスシリカ膜に対するPtの担持量は1wt%であった。
Pt/メソポーラスシリカ膜/ハニカムをBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ365m/g、0.44cm/g、12nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は500nmであった。また、Ptの粒子サイズをTEMで観察したところ、3.2nmであった。
[実施例8]
ビーカーにテトラエトキシシラン(TEOS)6.2gを入れ、さらにエタノール4.8gを加えた。ここに、さらに0.01M塩酸2.2gを加え、室温で20分攪拌した(A液)。別のビーカーに陽イオン性界面活性剤(臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、CTAB)1.53g及び0.01M塩酸2.2gを加え、室温で30分攪拌した(B液)。その後、A液にB液を加え、室温条件下で混合し、さらに3時間攪拌し、メソポーラスシリカの前駆体溶液を得た。メソポーラスシリカ前駆体溶液にセラミックハニカム(岩谷産業社製)を浸漬させ、15分間減圧した。その後、セラミックハニカムを引上げ余剰分の溶液をエアブローで除去した後、1℃/分で昇温し、450℃で4時間焼成しメソポーラスシリカ膜を固定化したセラミックハニカムを得た。
その後、メソポーラスシリカ膜を固定化したセラミックハニカムにジアンミンジニトロ白金硝酸を含む溶液に浸漬させ、余剰分の溶液をエアブローで除去した。300℃で3時間乾燥後、水素ガス10%、窒素ガス90%の還元処理ガス中で250℃、1時間焼成し、Pt/メソポーラスシリカ膜/ハニカムを得た。メソポーラスシリカ膜に対するPtの担持量は1wt%であった。
Pt/メソポーラスシリカ膜/ハニカムについてBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ341m/g、0.50cm/g、2.43nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は500nmであった。また、Ptの粒子サイズをTEMで観察したところ、2.0nmであった。
[実施例9]
ジアンミンジニトロ白金硝酸に換えて塩化パラジウムを用いた以外は実施例4と同様の方法でPd/メソポーラスシリカ膜/ハニカムを得た。メソポーラスシリカ膜に対するPtの担持量は1wt%であった。
Pd/メソポーラスシリカ膜/ハニカムについてBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ377m/g、0.52cm/g、7nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は500nmであった。また、Pdの粒子サイズをTEMで観察したところ、3.0nmであった。
[実施例10]
ジアンミンジニトロ白金硝酸に換えて塩化パラジウムを用いた以外は実施例6と同様の方法でPd/メソポーラスシリカ膜/ハニカムを得た。メソポーラスシリカ膜に対するPtの担持量は1wt%であった。
Pd/メソポーラスシリカ膜/ハニカムについてBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ380m/g、0.38cm/g、4.5nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は500nmであった。また、Pdの粒子サイズをTEMで観察したところ、3.0nmであった。
[実施例11]
ジアンミンジニトロ白金硝酸に換えて塩化パラジウムを用いた以外は実施例8と同様の方法でPd/メソポーラスシリカ膜/ハニカムを得た。メソポーラスシリカ膜に対するPtの担持量は1wt%であった。
Pd/メソポーラスシリカ膜/ハニカムについてBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ341m/g、0.5cm/g、2.43nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は500nmであった。また、Pdの粒子サイズをTEMで観察したところ、2.0nmであった。
[実施例12]
水素ガス10%、窒素ガス90%の還元処理ガス中での焼成処理を行わない以外は実施例4と同様の方法で白金酸化物/メソポーラスシリカ膜/ハニカムを得た。メソポーラスシリカ膜に対する白金酸化物の担持量は1wt%であった。
白金酸化物/メソポーラスシリカ膜/ハニカムについてBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ377m/g、0.52cm/g、7nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は500nmであった。また、白金酸化物の粒子サイズをTEMで観察したところ、3.2nmであった。
[実施例13]
ジアンミンジニトロ白金硝酸に換えて塩化パラジウムを使用し、水素ガス10%、窒素ガス90%の還元処理ガス中での焼成処理を行わない以外は実施例4と同様の方法でパラジウム酸化物/メソポーラスシリカ膜/ハニカムを得た。メソポーラスシリカ膜に対するパラジウム酸化物の担持量は1wt%であった。
パラジウム酸化物/メソポーラスシリカ膜/ハニカムについてBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ377m/g、0.52cm/g、7nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は500nmであった。また、パラジウム酸化物の粒子サイズをTEMで観察したところ、3.0nmであった。
[比較例1]
シリンダー状ナノ細孔構造を有するメソポーラスシリカ(ALDRICH、MCM-41)を10gに対して、Ptの仕込み量が1wt%に相当するジアンミンジニトロ白金硝酸溶液を混合し、加熱により蒸発乾固した。さらに得られた固形分を12時間減圧乾燥した。その後、得られた固形分を水素ガス10%、窒素ガス90%の還元処理ガス中で250℃、1時間焼成しPt/メソポーラスシリカ触媒粒子を調製した。その後、バインダーを用いて成形し、Pt/メソポーラスシリカ触媒粒子を顆粒状にしたものを作製した。
BET測定を実施したところ、メソポーラスシリカの比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ760m/g、0.84cm/g、3.7nmであった。また、Ptの粒子サイズをTEMで観察したところ、3.1nmであった。
[比較例2]
メソポーラスシリカ(ALDRICH、MCM-41)に換えてシリンダー状ナノ細孔構造を有するメソポーラスシリカ(ALDRICH、SBA-15)を用いた以外は比較例1と同様の方法でPt/メソポーラスシリカ触媒粒子を顆粒状に成形したものを得た。
BET測定を実施したところ、メソポーラスシリカの比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ635m/g、1.07cm/g、6.3nmであった。また、Ptの粒子サイズをTEMで観察したところ、6.0nmであった。
[比較例3]
ジアンミンジニトロ白金硝酸に換えて塩化パラジウムを用いた以外は比較例1と同様の方法でPd/メソポーラスシリカ触媒粒子を顆粒状に成形したものを得た。また、Pdの粒子サイズをTEMで観察したところ、3.0nmであった。
[比較例4]
ジアンミンジニトロ白金硝酸に換えて塩化パラジウムを用いた以外は比較例2と同様の方法でPd/メソポーラスシリカ触媒粒子を顆粒状に成形したものを得た。また、Pdの粒子サイズをTEMで観察したところ、6.0nmであった。
[比較例5]
チタンイソプロポキシド( 以下「TTIP」と称する)を分散媒としてのイソプロピルアルコール(以下「IPA」と称する)、触媒としての塩酸と混合し、その後所定量の水を加え、約4℃で1時間加水分解した。出発溶液の組成比(モル比)はTTIP/IPA/水/塩酸=1/140/4/0.4とした。加水分解後に室温で10時間放置することで、二酸化チタンコロイドゾルを調製した。その後、二酸化チタンコロイドゾル中にセラミックハニカム(岩谷産業社製)を浸漬させ、15分間減圧した。その後、セラミックハニカムを引上げ余剰分の溶液をエアブローで除去した後、1℃/分で昇温し、450℃で4時間焼成し二酸化チタン膜を固定化したセラミックハニカムを得た。
その後、二酸化チタン膜を固定化したセラミックハニカムにジアンミンジニトロ白金硝酸溶液を含む溶液に浸漬させ、余剰分の溶液をエアブローで除去した後、水素ガス10%、窒素ガス90%の還元処理ガス中で250℃、1時間焼成し、Pt/二酸化チタン膜/ハニカムを得た。二酸化チタン膜に対するPtの担持量は1wt%であった。
Pt/二酸化チタン膜/ハニカムをBET法による測定を実施したところ、メソポーラスシリカ膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ100m/g、0.10cm/g、5.0nmであった。また、メソポーラスシリカ膜の膜厚は1000nmであった。また、Ptの粒子サイズをTEMで観察したところ、3.0nmであった。
[実施例14]
0.2gの界面活性剤(Pluronic P123)に対し、エタノール3.55mLを加え、20分以上撹拌して溶解させることによりA液を得た。塩酸0.63mLにオルトチタン酸テトライソプロピル(TTIP)1.05gを加え、5分間撹拌してB液を得た。
A液をB液に加え、さらに15分間撹拌し、メソポーラス酸化チタンの前駆体溶液を得た。
前駆体溶液から溶媒を留去し、生じた固形物を電気炉で450℃,4時間焼成後に粉砕して粉体状の支持体を得た。
ビーカーに所定濃度の塩化金酸水溶液を入れ、ウォーターバスで70℃に加温した。0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液をゆっくり加えていき、pHを7に調節した。塩化金酸水溶液を常温まで冷やし、上記の粉体支持体を加えて70℃まで加温し、70℃に到達してから1時間攪拌した。溶液から粉体を濾別し、純水で5回洗浄した。電気炉で300℃, 2時間焼成し、Au担持メソポーラス酸化チタン粉体を得た。
Au担持メソポーラス酸化チタン粉体のAu担持量を原子吸光で測定したところ、メソポーラス酸化チタン粉体に対するAuの担持量は20質量%であった。Au担持メソポーラス酸化チタン粉体をBET法による測定を実施したところ、メソポーラス酸化チタン粉体の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ118m/g、0.54g/cm、9.23nmであった。また、Auの粒径をTEMで観察したところ、2.4nmであった。
[実施例15]
16.7gの2.5%鉄(III)イソプロポキシド/イソプロパノール溶液に対し、酢酸0.286mLおよび純水0.1mLを加え、10分間攪拌してB液とした以外は実施例14と同様の方法でAu担持酸化鉄粉体を得た。Au担持酸化鉄粉体のAu担持量を原子吸光で測定したところ、メソポーラス酸化チタン粉体に対するAuの担持量は20質量%であった。メソポーラス酸化鉄粉体の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ351m/g、0.48g/cm、6.20nmであった。また、Auの粒径をTEMで観察したところ、3.3nmであった。
[実施例16]
塩化金酸水溶液にさらに塩化鉄(III)を溶解して用いる以外は実施例14と同様の方法で、金鉄合金/メソポーラス酸化チタン粉体の触媒体を得た。Au/Fe合金の粒子サイズをTEMで観察したところ、3.8nmであった。
[実施例17]
(Au担持メソポーラス酸化チタン膜を固定化したTi板)
0.2gの界面活性剤(Pluronic P123)に対し、エタノール3.55mLを加え、20分以上撹拌して溶解させることによりA液を得た。塩酸0.63mLにオルトチタン酸テトライソプロピル(TTIP)1.05gを加え、5分間撹拌してB液を得た。
A液をB液に加え、さらに15分間撹拌し、メソポーラス酸化チタンの前駆体溶液を得た。その後、メソポーラス酸化チタンの前駆体溶液を用い、チタン(以下、Ti)板上にスピンコーターを用いて回転数3000rpmで成膜した。成膜したTi板をシャーレに入れ、−20℃, 20%RH環境下(冷凍庫)で2時間静置した。冷凍庫から出し、常温に戻してからシャーレの蓋を開けてTi板を取り出した。電気炉で450℃,4時間焼成し、メソポーラス酸化チタン膜(膜状支持体)を固定化したTi板を得た。なお、焼成においては昇温および降温を毎分1℃とした。
ビーカーに所定濃度の塩化金酸水溶液を入れ、ウォーターバスで70℃に加温した。0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液をゆっくり加えていき、pHを7に調節した。塩化金酸水溶液を常温まで冷やし、メソポーラス酸化チタン膜を固定化したTi板を浸し、約15分減圧して脱気した。再度ウォーターバスにて70℃まで加温し、70℃に到達してから1時間攪拌した。メソポーラス酸化チタン膜を固定化したTi板を取り出し、純水で5回洗浄し、ウエスで余分な水分を取り除いた。電気炉で300℃, 2時間焼成し、Au担持メソポーラス酸化チタン膜を固定化したTi板を得た。
Au担持メソポーラス酸化チタン膜の断面をTEMで観察したところ、膜厚は100nmであった。また、Au担持量を原子吸光で測定したところ、メソポーラス酸化チタン膜に対するAuの担持量は20質量%であった。Au担持メソポーラス酸化チタン膜を固定化したTi板をBET法による測定を実施したところ、メソポーラス酸化チタン膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ118m/g、0.54g/cm、9.23nmであった。また、Auの粒径をTEMで観察したところ、2.4nmであった。
[実施例18]
(Au担持メソポーラス酸化チタン膜を固定化したTi板)
焼成温度を300℃としてメソポーラス酸化チタン膜をTi板に固定化した以外は実施例17と同様の方法でAu担持メソポーラス酸化チタン膜を固定化したTi板を得た。
Au担持メソポーラス酸化チタン膜の断面をTEMで観察したところ、膜厚は100nmであった。また、原子吸光で測定したところ、メソポーラス酸化チタン膜に対するAuの担持量は30質量%であった。Au担持メソポーラス酸化チタン膜を固定化したTi板をBET法による測定を実施したところ、メソポーラス酸化チタン膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ206m/g、0.34g/cm、3.71nmであった。また、Auの粒径をTEMで観察したところ、2.4nmであった。
[実施例19]
(Au担持メソポーラス酸化ジルコニウム膜を固定化したTi板)
0.2gの界面活性剤(Pluronic P123)に対し、エタノールを1mL加え20分間攪拌してA液を得た。0.58gのジルコニウム(IV)プロポキシド(Zr(OPr))に対し、酢酸0.286mLおよび純水0.1mLを加え、10分間攪拌してB液を得た。
B液にA液を加えた後、塩酸を0.093mL加え、1時間攪拌しメソポーラス酸化ジルコニウムの前駆体溶液を得た。
その後、メソポーラス酸化ジルコニウムの前駆体溶液を用い、Ti板上にスピンコーターを用いて回転数3000rpmで成膜した。成膜したTi板をシャーレに入れ、−20℃、20%RH環境下(冷凍庫)で2時間静置した。冷凍庫から出し、常温に戻してからシャーレの蓋を開けてTi板を取り出した。電気炉で450℃,4時間焼成し、メソポーラス酸化ジルコニウム膜(膜状支持体)を固定化したTi板を得た。なお、焼成においては昇温および降温を毎分1℃とした。
ビーカーに所定濃度の塩化金酸水溶液を入れ、ウォーターバスで70℃に加温した。0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液をゆっくり加えていき、pHを7に調節した。塩化金酸水溶液を常温まで冷やし、メソポーラス酸化ジルコニウム膜を固定化したTi板を浸し、約15分減圧して脱気した。再度ウォーターバスにて70℃まで加温し、70℃に到達してから1時間攪拌した。メソポーラス酸化ジルコニウム膜を固定化したTi板を取り出し、純水で5回洗浄し、ウエスで余分な水分を取り除いた。電気炉で300℃, 2時間焼成し、Au担持メソポーラス酸化ジルコニウム膜を固定化したTi板を得た。
Au担持メソポーラス酸化ジルコニウム膜の断面をTEMで観察したところ、膜厚は150nmであった。また、原子吸光で測定したところ、メソポーラス酸化ジルコニウム膜に対するAuの担持量は10.6質量%であった。Au担持メソポーラス酸化ジルコニウム膜を固定化したTi板をBET法による測定を実施したところ、メソポーラス酸化ジルコニア膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ85.2m/g、0.29g/cm、6.18nmであった。また、Auの粒径をTEMで観察したところ、2.5nmであった。
[実施例20]
(Au担持メソポーラス酸化ジルコニウム膜を固定化したTi板)
焼成温度を300℃としてメソポーラス酸化ジルコニウム膜をTi板に固定化した以外は実施例19と同様の方法でAu担持メソポーラス酸化ジルコニウム膜を固定化したTi板を得た。
Au担持メソポーラス酸化ジルコニウム膜の断面をTEMで観察したところ、膜厚は150nmであった。また、原子吸光で測定したところ、メソポーラス酸化ジルコニウム膜に対するAuの担持量は18.2質量%であった。Au担持メソポーラス酸化ジルコニウム膜を固定化したTi板をBET法による測定を実施したところ、メソポーラス酸化ジルコニウム膜の比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ94.3m/g、0.42g/cm、4.19nmであった。また、Auの粒径をTEMで観察したところ、2.5nmであった。
[比較例6]
界面活性剤(Pluronic P123)を用いずに前駆体溶液を作製した以外は実施例17と同様の方法でAu担持酸化チタン膜を固定化したTi板を得た。
Au担持酸化チタン膜の断面をTEMで観察したところ、膜厚は100nmであった。また、原子吸光で測定したところ、酸化チタン膜に対するAuの担持量は6.6質量%であった。Au担持酸化チタン膜を固定化したTi板をBET法による測定を実施したところ、酸化チタン膜の比表面積は10m/gであり、この酸化チタン膜はメソポーラス構造を有していないことが確認された。また、Auの粒径をTEMで観察したところ、5nmであった。
[比較例7]
界面活性剤(Pluronic P123)を用いずに前駆体溶液を作製した以外は実施例19と同様の方法でAu担持酸化ジルコニウム膜を固定化したTi板を得た。
Au担持酸化ジルコニウム膜の断面をTEMで観察したところ、膜厚は150nmであった。また、原子吸光で測定したところ、酸化ジルコニウム膜に対するAuの担持量は5質量%であった。Au担持酸化ジルコニウム膜を固定化したTi板をBET法による測定を実施したところ、酸化チタン膜の比表面積は7.9m/gであり、この酸化チタン膜ではメソポーラス構造を有していないことが確認された。また、Auの粒径をTEMで観察したところ、5nmであった。
[比較例8]
Au(I)(TPP)Cl錯体470mgをエタノール20mLに加え30分攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム35.9mgをエタノール7.5mLに溶かし、これを一気に上述の液に加え、3時間攪拌した。これにヘキサンを500mL加え、24時間静置した。さらに、ろ過し、数回ヘキサンで洗浄し乾燥させ、トリフェニルホスフィンで保護した金を得た。トリフェニルホスフィンで保護した金をジクロロメタン24mLに溶かし、メソポーラスシリカ(SBA−15)1gを添加し、2時間攪拌した。攪拌後ろ過した後、200℃で焼成することでAuを担持したメソポーラスシリカを得た。得られたAuを担持したメソポーラスシリカを水に懸濁させ、Ti板上にスピンコーターを用いて回転数3000rpmで成膜し、乾燥させることで、Au担持メソポーラスシリカを固定化したTi板を得た。
Au担持メソポーラスシリカの断面をTEMで観察したところ、膜厚は100nmであった。また、原子吸光で測定したところ、メソポーラスシリカに対するAuの担持量は1質量%であった。Au担持メソポーラスシリカをBET法による測定を実施したところ、比表面積、細孔容積、細孔径がそれぞれ871m/g、1.13cm/g、7.5nmであった。また、Auの粒径をTEMで観察したところ、0.8nmであった。
[エチレン分解試験]
実施例1〜13および比較例1〜5の触媒体を用いてエチレンの分解反応を行った。エチレン濃度10ppmを含む空気と、室内空気を混合して反応ガスを調製し、それぞれのガス流量はサーマルマスフローコントローラーで制御した。反応ガスの分析は長光路(20m)のガスセルを装填した赤外分光光度計(FTIR−6000、日本分光株式会社製)を用いた。反応条件はエチレン濃度0.5ppm、酸素濃度20%、ガス流量1L/min、反応温度5℃、相対湿度90%とした。
エチレンの除去率は以下の式から求めた。
エチレン除去率(%)={(初期エチレン濃度 − 反応後エチレン濃度)/初期エチレン濃度}×100
得られた結果を表1に示す。
上記の結果から理解できるとおり、比較例1と2はエチレンの1日後の除去率が8.4%を示すが7日後には4.7%および3.0%まで低下した。また、比較例3から5は、1日後から除去率がゼロであった。これに対して、実施例1から13のエチレン除去率は1日後と7日後で極端な低下がないことが確認された。
以上より、実施例は一般的に考えられる室温より低い5℃の温度下で、0.5ppm程度の低濃度のエチレンなどの炭化水素を分解除去でき、またその分解活性の低下が起き難く、長期に使用可能であることが示された。
(低温プラズマ反応器(ガス処理装置)を用いた一酸化炭素除去試験(試験例1〜14))
ガス処理装置として、図2に示す第2実施形態のガス処理装置300を用意した。触媒体100としては、実施例17〜20と比較例6〜8で得られたTi板をそれぞれ用いた。印加電極11及び設置電極12としては、銅テープを用いた。誘電体13としては、α−アルミナを用いた。
プラズマの発生には、プラズマ発生用電源を用い印加電極11と接地電極12をプラズマ発生用電源に接続し、電圧を印加することでプラズマを発生させた。印加電圧は8kVp-p、放電出力は0.1Wとした。
一酸化炭素(CO)を用い、実施例及び比較例のTi板が用いられるガス処理装置300の酸化反応を評価した。具体的には、一酸化炭素(濃度1,000ppm)と空気を混合して被処理気体を調製し、流量をマスフローコントローラーで制御しながら、被処理気体を流路(2つの誘電体13の間)に供給した。
ガス処理装置300による処理前の被処理気体と処理後の被処理気体の分析は長光路(2.5m)のガスセルを装填した赤外分光光度計(FTIR-6000、日本分光株式会社製)を用いた。反応条件は一酸化炭素濃度1,000ppm、酸素濃度20%、相対湿度50%、ガス流量0.1L/min、触媒サイズ25cm2、反応温度室温とした。
使用する触媒体を変更するとともにプラズマ発生の有無についても変更しながら試験例1〜14を行った。
上述した赤外分光光度計を用いて、ガス処理装置300に供給する前の被処理気体中のCO濃度(以下、「初期CO濃度」ともいう)と、ガス処理装置300で処理した後の被処理気体中のCO濃度(以下、「反応後CO濃度」ともいう)を測定し、以下の式を用いてCO除去率を算出した。なお、被処理気体をガス処理装置300で処理した時間は、後述する表3及び表4に示す。
CO除去率(%)={(初期CO濃度 − 反応後CO濃度)/初期CO濃度}×100
(試験例1)
実施例17で得られたTi板を用い、プラズマを発生させずにCO除去試験を実施した。
(試験例2)
実施例18で得られたTi板を用いた以外は、試験例1と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例3)
実施例19で得られたTi板を用いた以外は、試験例1と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例4)
実施例20で得られたTi板を用いた以外は、試験例1と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例5)
比較例6で得られたTi板を用いた以外は、試験例1と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例6)
比較例7で得られたTi板を用いた以外は、試験例1と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例7)
比較例8で得られたTi板を用いた以外は、試験例1と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例8)
実施例17で得られたTi板を用い、放電電力0.1Wのプラズマを発生させCO除去試験を実施した。
(試験例9)
実施例18で得られたTi板を用いた以外は、試験例8と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例10)
実施例19で得られたTi板を用いた以外は、試験例8と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例11)
実施例20で得られたTi板を用いた以外は、試験例8と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例12)
比較例6で得られたTi板を用いた以外は、試験例8と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例13)
比較例7で得られたTi板を用いた以外は、試験例8と同様な方法でCO除去試験を実施した。
(試験例14)
比較例8で得られたTi板を用いた以外は、試験例8と同様な方法でCO除去試験を実施した。
試験例1〜14でのCO除去率を表2に示す。
[一酸化炭素除去試験(試験例15〜17)]
実施例14(試験例15)、実施例15(試験例16)、実施例16(試験例17)の粉体の触媒体を用いて、試験例15〜17の一酸化炭素の分解反応を行った。
一酸化炭素と空気を混合して一酸化炭素濃度1,000ppmの試験ガスを調製し、流量をマスフローコントローラーで制御しながら、触媒体に供給した。処理前の被処理気体と処理1時間後の被処理気体の分析は長光路(2.5m)のガスセルを装填した赤外分光光度計(FTIR-6000、日本分光株式会社製)を用いた。反応条件は一酸化炭素濃度1,000ppm、酸素濃度20%、相対湿度60%、ガス流量1.0L/min、反応温度室温とした。
以下の式を用いてCO除去率を算出し、結果を表3に記載した。
CO除去率(%)={(初期CO濃度 − 反応後CO濃度)/初期CO濃度}×100
[低温プラズマ反応器(ガス処理装置)を用いたアンモニア除去試験(試験例18、19)]
低温プラズマ反応器(ガス処理装置)を用いた一酸化炭素除去試験(試験例1〜14)と同じガス処理装置を用いた。また、触媒体100には実施例19および比較例8で得られたTi板をそれぞれ用いた。
アンモニアを10,000ppm含む窒素ガスと室内空気を混合して反応ガスを調製して使用した以外は、低温プラズマ反応器(ガス処理装置)を用いた一酸化炭素除去試験(試験例1〜14)と同様に行った。反応ガスの分析は長光路(2.5m)のガスセルを装填した赤外分光光度計(FTIR−6000、日本分光株式会社製)を用いた。反応条件はアンモニア濃度5ppm、酸素濃度20%、相対湿度50%、ガス流量0.1L/min、触媒量25cm3、反応温度室温とした。
以下の式を用いてアンモニア除去率を算出し、結果を表4に記載した。
アンモニア除去率(%)={(初期アンモニア度 − 反応後アンモニア濃度)/初期アンモニア濃度}×100
(試験例18)
実施例19で得られたTi板を用い、放電電力0.1Wのプラズマを発生させアンモニア除去試験を実施した。
(試験例19)
比較例8で得られたTi板を用いた以外は、試験例18と同様な方法でアンモニア除去試験を実施した。
[低温プラズマ反応器(ガス処理装置)を用いたトリメチルアミン除去試験(試験例20、21)]
低温プラズマ反応器(ガス処理装置)を用いた一酸化炭素除去試験(試験例1〜14)と同じガス処理装置を用いた。また、触媒体100には実施例19および比較例8で得られたTi板をそれぞれ用いた。
反応ガスには、トリメチルアミンを10,000ppm含む窒素ガスと室内空気を混合して反応ガスを調製して使用した以外は、低温プラズマ反応器(ガス処理装置)を用いた一酸化炭素除去試験(試験例1〜14)と同様に行った。反応ガスの分析は長光路(2.5m)のガスセルを装填した赤外分光光度計(FTIR−6000、日本分光株式会社製)を用いた。反応条件はトリメチルアミン濃度10ppm、酸素濃度20%、相対湿度50%、ガス流量0.1L/min、触媒量25cm3、反応温度室温とした。
以下の式を用いてトリメチルアミン除去率を算出し、結果を表5に記載した。
トリメチルアミン除去率(%)={(初期トリメチル濃度 − 反応後トリメチル濃度)/初期トリメチルアミン濃度}×100
(試験例20)
実施例19で得られたTi板を用い、放電電力0.1Wのプラズマを発生させトリメチルアミン除去試験を実施した。
(試験例21)
比較例8で得られたTi板を用いた以外は、試験例20と同様な方法でトリメチルアミン除去試験を実施した。
表2に示すように、試験例1〜4はCO除去率が92%以上となった。また、表3に示すように試験例15〜17についてもCO除去率が92%以上となった。一方、試験例5〜7はCO除去率が4%以下であった。これらの結果から実施例14〜20を用いたガス処理装置300は比較例6〜8を用いたガス処理装置300と比較して優れた触媒活性を有することが確認された。
表2に示すように、試験例8〜11は1時間後のCO除去率が92%以上であり、24時間後のCO除去率が90.1%以上であった。一方、試験例12〜14の1時間後のCO去率が4%以下であり、24時間後のCO除去率が0%であった。これらの結果から、実施例17〜20を用いたガス処理装置300は、比較例6〜8を用いたガス処理装置300と比較して優れた触媒活性を有し、その触媒活性を持続できることが理解できた。
表4に示すように、試験例18は1時間後のアンモニア除去率が91.2%であり、24時間後のCO除去率が90.8%であった。一方、試験例19の1時間後のアンモニア除去率が1.8%以下であり、24時間後のアンモニア除去率が1.7%であった。これらの結果から、実施例19を用いたガス処理装置300は、比較例8を用いたガス処理装置300と比較して優れた触媒活性を有し、その触媒活性を持続できることが理解できた。
表5に示すように、試験例20は1時間後のトリメチルアミン除去率が94.2%であり、24時間後のトリメチルアミン除去率が93.8%であった。一方、試験例21の1時間後のトリメチルアミン除去率が2.2%であり、24時間後のトリメチルアミン除去率も2.2%であった。これらの結果から、実施例19を用いたガス処理装置300は、比較例8を用いたガス処理装置300と比較して優れた触媒活性を有し、その触媒活性を持続できることが理解できた。
以上の結果から、本発明の有効性が示された。

Claims (12)

  1. 複数のメソ孔を有する支持体と、
    前記支持体のメソ孔内に担持されている、貴金属、その酸化物、および前記貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つを含む酸化触媒粒子とを備え、
    前記支持体において、一のメソ孔が少なくとも一つの他のメソ孔と連通しているメソポーラス触媒体。
  2. アルコキシシランもしくは金属アルコキシドの加水分解物と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシドトリブロックコポリマーもしくは陽イオン界面活性剤とを含有する溶液を乾燥および焼成して得られるメソ孔を有する支持体と、貴金属、その酸化物、および前記貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つに対応する化合物の溶液もしくはコロイド溶液とを接触させ、焼成および/または還元処理を行い前記支持体のメソ孔内に前記貴金属、その酸化物、および前記貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つを含む酸化触媒粒子を形成することにより得られるメソポーラス触媒体。
  3. 前記支持体が金属酸化物もしくはSiO2により形成されている請求項1もしくは2に記載のメソポーラス触媒体。
  4. 前記金属酸化物が、TiO2、Fe2O3、ZrO2、およびCeO2からなる群から1種または2種以上選択される化合物である請求項3に記載の触媒体。
  5. 前記貴金属が金、白金およびパラジウムからなる群から選択される1種または2種以上である請求項1から4のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
  6. 前記支持体が粉体である請求項1から5のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
  7. 前記メソ孔のBET法で測定した平均孔径が2nm以上10nm以下である請求項1から6のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
  8. 前記酸化触媒粒子の平均粒径が1nm以上10nm以下である請求項1から7のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
  9. 前記酸化触媒粒子の担持量が、当該酸化触媒粒子を含む支持体に対して0.1〜30質量%である請求項1から8のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
  10. 前記メソポーラス触媒体が気体の酸化反応用触媒である請求項1から9のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体。
  11. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置される誘電体とを少なくとも備え、前記第1の電極と前記第2の電極の間に電圧を印加して放電を発生させることによりプラズマを発生させるプラズマ発生部と、
    前記プラズマ発生部によって発生した前記プラズマが存在する領域に形成される、被処理気体が流れる流路と、
    前記流路に配置される請求項1から10のいずれか一つに記載のメソポーラス触媒体と、を備えることを特徴とするガス処理装置。
  12. アルコキシシランもしくは金属アルコキシドの加水分解物、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレンオキシドトリブロックコポリマーもしくは陽イオン界面活性剤を含有する溶液を乾燥および焼成して得られるメソ孔を有する支持体と、貴金属、その酸化物、および前記貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つに対応する化合物の溶液またはコロイド溶液とを接触させ、焼成および/または還元処理を行い前記支持体のメソ孔内に前記貴金属、その酸化物、および前記貴金属と遷移金属との合金の少なくとも一つを含む酸化触媒粒子を形成することを含むメソポーラス触媒体の製造方法。
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