JP2015051902A - メソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法 - Google Patents

メソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
優れた反射防止性能を有しており、かつ機械的強度に優れた低屈折率膜を、メソポーラスシリカ粒子を用いて簡便に短時間で製造する方法を提供する。
【解決手段】
基板表面上に設けられた超低屈折率のメソポーラスシリカ多孔質膜を製造する方法であって、(a)2種の界面活性剤を含む酸性水溶液中でアルコキシシランを加水分解及び重縮合した後、前記水溶液中に塩基性触媒を添加することによりメソポーラスシリカナノ粒子を含むゾルを調製する工程、(b)得られたゾルを前記基板に塗布及び乾燥し、メソポーラスシリカナノ粒子を有する塗布膜を形成する工程、(c)得られた塗布膜に酸素プラズマを照射して、前記2種の界面活性剤を除去する工程、及び(d)前記酸素プラズマ照射後の塗布膜にアルカリ処理を施す工程を有することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明はナノサイズの細孔を有するメソポーラスシリカからなる超低屈折率の多孔質膜を製造する方法に関し、特にアルカリ処理を施すことにより機械的強度が改良されたメソポーラスシリカ多孔質膜を安価に製造する方法に関する。
従来から低屈折率の反射防止膜を形成するため、多孔質のシリカ微粒子が広く研究・開発されている。例えば、多孔質のシリカ微粒子としてメソポーラスシリカナノ粒子を用いた多孔質膜は、空孔率が高く、屈折率が低いので、レンズ等の光学基材に設ける反射防止膜への利用が検討されている。
特開2009-237551号(特許文献1)は、膜の屈折率が1.10超〜1.35以下のメソポーラスシリカナノ粒子が集合したメソポーラスシリカ多孔質膜を用いた反射防止膜を開示しており、広い波長範囲の光線に対する反射防止性、耐擦傷性、基材に対する密着性、機械的強度及び耐湿性に優れると記載している。
特許文献1に記載は、メソポーラスシリカナノ粒子を積層した膜を熱処理することで、機械的強度に優れた低屈折率のメソポーラスシリカ多孔質膜が得られると記載しているが、その熱処理温度が500℃超であるため、その温度以下のガラス転移点又は屈伏点を有する硝材を基板として用いた場合、基板自体が変質又は変形してしまうので、低融点ガラス等を基板として用いるのは難しかった。
特開2009-258711号(特許文献2)は、アルコキシシランを塩基性触媒及び酸性触媒により加水分解・重合することにより得られた第一の酸性ゾルと、アルコキシシランを酸性触媒により加水分解・重合して得られた第二の酸性ゾルとの混合ゾルを、基材に塗布し、乾燥してなる膜をアルカリで処理することにより、低屈折率及び優れた耐擦傷性を有するシリカエアロゲル膜を作製する方法を開示している。
しかしながら、特許文献2に記載の方法は、ゾル作製から基板への成膜及びアルカリ処理に至るまでに最低でも1日以上必要でありさらに効率の用意製造方法の開発が望まれている。
特開2009-237551号公報 特開2009-258711号公報
従って、本発明の目的は、優れた反射防止性能を有しており、かつ機械的強度に優れた低屈折率膜を、メソポーラスシリカ粒子を用いて簡便に短時間で製造する方法を提供することにある。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、基板表面上に形成したメソポーラスシリカナノ粒子からなる塗布膜に、アルカリ溶液を塗布する方法、又はアンモニア水の飽和蒸気圧下で水熱処理する方法でアルカリ処理を施すことにより、メソポーラスシリカ多孔質膜の機械的強度が著しく向上することを見いだし、本発明に想到した。
すなわち、基板表面上に設けられた超低屈折率のメソポーラスシリカ多孔質膜を製造する本発明の方法では、(a)2種の界面活性剤を含む酸性水溶液中でアルコキシシランを加水分解及び重縮合した後、前記水溶液中に塩基性触媒を添加することによりメソポーラスシリカナノ粒子を含むゾルを調製する工程、(b)得られたゾルを前記基板に塗布及び乾燥し、メソポーラスシリカナノ粒子を有する塗布膜を形成する工程、(c)得られた塗布膜に酸素プラズマを照射して、前記2種の界面活性剤を除去する工程、及び(d)前記酸素プラズマ照射後の塗布膜にアルカリ処理を施す工程を有することを特徴とする。
前記アルカリ処理工程は、前記酸素プラズマ照射後の塗布膜にアルカリ溶液を塗布する工程を有するのが好ましい。
前記アルカリ溶液は、アルカリ金属の水酸化物の水溶液であるのが好ましい。
前記アルカリ溶液中の前記アルカリ金属の水酸化物の濃度は、1×10-4〜1 mol/Lであるのが好ましい。
前記アルカリ溶液は、含フッ素ノニオン性界面活性剤を含有するのが好ましい。
前記含フッ素ノニオン性界面活性剤は、フルオロアルキル基又はフルオロアルケニル基を有するアルキレンオキサイドであるのが好ましい。
前記アルカリ溶液中に含有する前記含フッ素ノニオン性界面活性剤の濃度は1×10-4〜5 質量%であるのが好ましい。
前記アルカリ溶液の塗布工程の後に、100〜200℃で焼成する工程を有するのが好ましい。
前記アルカリ処理工程は、前記酸素プラズマ照射後の塗布膜をアンモニア水の飽和蒸気圧下で水熱処理する工程を有するのが好ましい。
前記水熱処理の条件は、120〜160℃及び1〜5時間であるのが好ましい。
前記水熱処理に用いる装置はオートクレーブであり、その内筒部分がPTFE製のルツボで、外筒部分がSUS製のジャケットであるのが好ましい。
前記アルカリ処理を施した後の基板を洗浄し乾燥する工程を有するのが好ましい。
前記メソポーラスシリカ多孔質膜の屈折率は1.15〜1.40であるのが好ましい。
前記メソポーラスシリカ多孔質膜の屈折率は1.10〜1.25であるのが好ましい。
前記カチオン性界面活性剤は、4級アンモニウム塩であるのが好ましい。
前記非イオン性界面活性剤は、示性式:RO(C2H4O)a-(C3H6O)b-(C2H4O)cR(但し、a及びcはそれぞれ10〜120の整数を表し、bは30〜80の整数を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表す)で表されるブロックコポリマーであるのが好ましい。
前記アルコキシシランは4官能性テトラアルコキシシランであるのが好ましい。
前記メソポーラスシリカナノ粒子を含むゾルのpHは9〜12であるのが好ましい。
メソポーラスシリカナノ粒子のメソ孔はヘキサゴナル状に配列した構造を有するのが好ましい。
前記酸素プラズマの照射条件は、O2流量:50〜100 cc/min、照射強度:100〜500 W、及び照射時間:30 sec〜10 minであるのが好ましい。
本発明の方法によって製造されるメソポーラスシリカナノ粒子からなる超低屈折率の反射防止膜は、優れた反射防止性能と優れた機械的強度とを有するので、レンズ等の光学基材に設ける反射防止膜として好適である。
本発明の方法は、ゾルの作製、多孔質膜の形成及びアルカリ処理までの一連の工程を6時間以内で終了させることが可能であり、用いる材料、器材等も安価であるため、コストパフォーマンスにも優れている。
本発明では、多孔質粒子の積層膜の硬質化において、基板の融点もしくはガラス転移点の温度より低い温度で処理することで、基板へのダメージを低減し、且つ、簡便な操作で硬質化処理できることから、コストパフォーマンスに優れた低屈折率膜の形成方法を提供する。
メソポーラスシリカナノ粒子の一例を示す斜視図である。 基材上に設けられた、本発明のメソポーラスシリカナノ粒子からなる多孔質膜の一例を示す断面図である。 メソポーラスシリカナノ粒子の典型的な孔径分布曲線を示すグラフである。
[1] 製造方法
本発明の、アルカリ処理を施してなるメソポーラスシリカ多孔質膜を製造する方法は、(a)2種の界面活性剤を含む酸性水溶液中でアルコキシシランを加水分解及び重縮合した後、前記水溶液中に塩基性触媒を添加することによりメソポーラスシリカナノ粒子を含むゾルを調製する工程、(b)得られたゾルを前記基板に塗布及び乾燥し、メソポーラスシリカナノ粒子を有する塗布膜を形成する工程、(c)得られた塗布膜に酸素プラズマを照射して、前記2種の界面活性剤を除去する工程、及び(d)前記酸素プラズマ照射後の塗布膜にアルカリ処理を施す工程を有することを特徴とする。本発明の方法は、ゾルの作製、多孔質膜の形成及びアルカリ処理までの一連の工程を6時間以内で終了させることが可能であり、用いる材料、器材等も安価であるため、コストパフォーマンスにも優れている。
(1) メソポーラスシリカナノ粒子の作製
メソポーラスシリカナノ粒子は、アルコキシシラン、触媒、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び溶媒を含む混合溶液をエージングしてアルコキシシランを加水分解及び重縮合させることによって作製する。
アルコキシシランの加水分解及び重縮合は、(i) 溶媒、酸性触媒、アルコキシシラン、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む混合溶液をエージングし、(ii) 得られたシリケートを含む酸性ゾルに塩基性触媒を添加することにより行うのが好ましい。
(i) 酸性条件での加水分解及び重縮合
純水に酸性触媒を添加して酸性溶液を調製し、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を添加した後、アルコキシシランを添加することにより、アルコキシシランの加水分解及び重縮合を行う。酸性溶液のpHは約2とするのが好ましい。シリカの等電点は約pH 2であるので、アルコキシシランの加水分解及び重縮合により生成したシリケートは、pH 2付近の酸性溶液中で安定的に存在する。
前記アルコキシシランを含む混合溶液を、20〜25℃で1〜24時間程度撹拌することによりエージングする。エージングにより加水分解及び重縮合が進行し、シリケート(アルコキシシランを出発物質とするオリゴマー)を含有するゾルが生成する。
(a) アルコキシシラン
アルコキシシランはモノマーでも、オリゴマーでも良い。アルコキシシランモノマーはアルコキシル基を3つ以上有するのが好ましい。アルコキシル基を3つ以上有するアルコキシシランを出発原料とすることにより、優れた均一性を有するメソポーラスシリカ多孔質膜が得られる。アルコキシシランモノマーの具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が挙げられる。アルコキシシランオリゴマーとしては、上述のモノマーの重縮合物が好ましい。アルコキシシランオリゴマーはアルコキシシランモノマーの加水分解及び重縮合により得られる。アルコキシシランオリゴマーの具体例として、一般式RSiO1.5(ただしRは有機官能基を示す。)により表されるシルセスキオキサンが挙げられる。
溶媒(水)/アルコキシシランのモル比は30〜300にするのが好ましい。このモル比を30未満とすると、アルコキシシランの重合度が高くなり過ぎる。一方300超とすると、アルコキシシランの重合度が低くなり過ぎる。
(b) 界面活性剤
カチオン性界面活性剤としては、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルトリエチルアンモニウム、ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルメチルアンモニウム、ハロゲン化アルコキシトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムとして、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムとして、塩化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウムとして、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルキルメチルアンモニウムとして、塩化ドデシルメチルアンモニウム、塩化セチルメチルアンモニウム、塩化ステアリルメチルアンモニウム、塩化ベンジルメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルコキシトリメチルアンモニウムとして、塩化オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤として、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーとして、例えば式:RO(C2H4O)a-(C3H6O)b-(C2H4O)cR(但し、a及びcはそれぞれ10〜120を表し、bは30〜80を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表す)で表されるものが挙げられる。このブロックコポリマーの市販品として、例えばPluronic(登録商標、BASF社)が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤/溶媒のモル比は1×10-4〜3×10-3とするのが好ましく、これによりメソ細孔の規則性に優れたメソポーラスシリカナノ粒子が得られる。このモル比は、1.5×10-4〜2×10-3がより好ましい。
カチオン性界面活性剤/アルコキシシランのモル比は1×10-1〜3×10-1が好ましい。このモル比を1×10-1未満とすると、メソポーラスシリカナノ粒子のメソ構造の形成が不十分となる。一方3×10-1超とすると、メソポーラスシリカナノ粒子の粒径が大きくなり過ぎる。このモル比は、1.5×10-1〜2.5×10-1がより好ましい。
非イオン性界面活性剤/アルコキシシランのモル比は3.5×10-3以上〜2.5×10-2未満である。このモル比を3.5×10-3未満とすると、メソポーラスシリカ多孔質膜の屈折率が大きくなり過ぎる。一方2.5×10-2以上とすると、メソポーラスシリカ多孔質膜の屈折率が小さくなり過ぎる。
カチオン性界面活性剤/非イオン性界面活性剤のモル比は8超〜60以下とするのが好ましく、これによりメソ細孔の規則性に優れたメソポーラスシリカナノ粒子が得られる。このモル比は、10〜50がより好ましい。
(c) 酸性触媒
酸性触媒としては、塩化水素酸(塩酸)、硫酸、硝酸等の無機酸やギ酸、酢酸等の有機酸を使用することができる。
(ii) 塩基性条件での加水分解及び重縮合
得られた酸性ゾルに、塩基性触媒を添加して溶液を塩基性にし、さらに加水分解及び重縮合させ、反応を完結させる。溶液のpHは9〜12となるように調整するのが好ましい。
塩基性触媒を添加することにより、カチオン性界面活性剤ミセルの周囲にシリケート骨格が形成されて、規則的な六方配列が成長し、シリカとカチオン性界面活性剤とが複合した粒子が形成される。この複合粒子は、成長に伴って表面の有効電荷が減少するので、その表面には非イオン性界面活性剤が吸着した状態となる。その結果、非イオン性界面活性剤で表面が被覆され、かつ細孔内にカチオン性界面活性剤を有するメソポーラスシリカナノ粒子(以下「界面活性剤−メソポーラスシリカナノ粒子複合体」とよぶことがある)を含むゾルが得られる[例えば、今井宏明、「化学工業」、化学工業社、2005年9月、第56巻、第9号、pp.688-693を参照]。このメソポーラスシリカナノ粒子の形成過程において、非イオン性界面活性剤の吸着により、上記複合粒子の成長が抑制されるので、以上のような2種類の界面活性剤を用いた調製方法により得られるメソポーラスシリカナノ粒子複合体は、平均粒径が200 nm以下であり、かつメソ孔がヘキサゴナル状に配列した構造を有するものである。
塩基性触媒としては、アンモニア、アミン、NaOH及びKOHが使用できる。好ましいアミンの例として、アルコールアミン及びアルキルアミン(例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、n-プロピルアミン等)が挙げられる。
(2) メソポーラスシリカナノ粒子を有する塗布膜の形成
界面活性剤−メソポーラスシリカナノ粒子複合体を含むゾルを基材表面(又はその上に設けられた緻密膜の表面)に塗布する方法としては、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、フローコート法、バーコート法、リバースコート法、フレキソ法、印刷法等が挙げられる。必要に応じて、これらの塗布方法を併用して用いてもよい。中でもスピンコート法及びスプレーコート法は、膜の均一化、膜厚の制御等が容易であるので好ましい。形成されるメソポーラスシリカナノ粒子からなる膜の厚さは、例えば、スピンコート法における基材回転速度やディッピング法における引き上げ速度の調整、塗布液の濃度の調整等により制御することができる。スピンコート法における基材回転速度は、例えば500〜10,000 rpmとするのが好ましい。
前記塗布液の流動性が適切な範囲になるように、塗布の前にさらに分散媒として上記溶媒を加えても良い。塗布液中の界面活性剤−メソポーラスシリカナノ粒子複合体の割合は10〜50質量%とするのが好ましい。この濃度範囲外だと、均一な薄膜を形成し難いので好ましくない。
必要に応じて、前記塗布液を超音波処理してもよい。超音波処理によって界面活性剤−メソポーラスシリカナノ粒子複合体の凝集を少なくすることができる。超音波処理には、超音波振動子を利用した分散装置を使用することができる。照射する超音波の周波数は10〜30 kHzにするのが好ましい。出力は300〜900 Wにするのが好ましい。超音波処理時間は5〜120分間にするのが好ましい。
塗布膜から溶媒を揮発させ、界面活性剤−メソポーラスシリカナノ粒子複合体の膜を形成する。塗布膜の乾燥条件は特に制限されず、基材の耐熱性等に応じて適宜選択すればよい。自然乾燥してもよいし、50〜100℃の温度で15分〜1時間熱処理して溶媒除去を促進してもよい。
(3) 酸素プラズマ照射による界面活性剤の除去
得られた塗布膜に酸素プラズマを照射して、前記カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を除去することにより、メソポーラスシリカナノ粒子からなる多孔質膜(以下、「メソポーラスシリカ多孔質膜」と言う)を形成する。酸素プラズマの照射は、酸素含有ガスを用いてプラズマ処理することにより行う。プラズマ処理の方法としては、(a) 乾燥した膜を酸素含有ガス雰囲気に設置し、プラズマ放電することにより行う直接法、又は(b) 酸素含有ガスにプラズマ放電して得られたプラズマガスを、乾燥した膜に吹き付けることにより行う間接法(ダウンフロー法等)が好ましい。酸素含有ガスとしては、酸素、空気、10〜50体積%の酸素と窒素以外の不活性ガスとの混合ガス等が挙げられるが、酸素が好ましい。直接法及び間接法のいずれを用いる場合でも、プラズマ処理は大気圧下で行っても、減圧下で行ってもよい。
直接法を用いる場合、対向する上部電極及び下部電極を有する平行平板型のプラズマ放電装置を用いるのが好ましい。乾燥膜を設けた基材を下部電極上に配置し、プラズマ放電する。高周波電源の発振周波数は13.56 MHzであるのが好ましい。プラズマ放電の時間は60〜1,000秒が好ましい。減圧下でプラズマ放電する場合、1〜40 Pa、好ましくは1〜30 Paの圧力まで減圧して、前記酸素含有ガスを供給しながら行うのが好ましく、酸素供給時の圧力は20〜80 Paであるのが好ましく、30〜70 Paがより好ましい。放電中の基材の温度は20〜200℃が好ましい。
間接法を用いる場合、高圧ボンベからプラズマガス発生装置に前記酸素含有ガスを送給し、発生装置で生じたプラズマガスを、ノズル、ブロワー等により乾燥膜に吹き付けるのが好ましい。
(4) アルカリ処理
メソポーラスシリカ多孔質膜をアルカリ処理することによりメソポーラスシリカ多孔質膜を硬化させ耐擦傷性を向上させることができる。アルカリ処理の方法として、(a)アルカリ溶液を塗布する方法、及び(b) アンモニア水の飽和蒸気圧下で水熱処理する方法が挙げられる。
(a) アルカリ溶液を塗布する方法
アルカリ処理は、アルカリの溶液をメソポーラスシリカ多孔質膜に塗布して行うのが好ましい。アルカリ溶液は、メソポーラスシリカ多孔質膜1 cm2当たり10〜150 μL塗布するのが好ましい。塗布方法は塗布膜を形成する場合と同じ方法でよいが、スピンコート法が好ましい。スピンコート法における基材回転速度は、例えば500〜10,000 rpm程度にするのが好ましい。アルカリ溶液による処理温度は、100〜200℃が好ましく、120〜180℃がより好ましい。処理時間は、0.1〜10時間が好ましく、0.2〜2時間がより好ましい。
アルカリを溶解する溶媒は、アルカリに応じて適宜選択すればよく、水、アルコール等が挙げられる。アルカリ溶液の濃度は、1×10-4〜20Nが好ましく、1×10-3〜15Nがより好ましい。
前記アルカリとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機アルカリ;、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の無機アルカリ塩;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n-プロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、n-アミルアミン、n-ヘキシルアミン、ラウリルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピリジン、イミダゾール、グアニジン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、コリン等の有機アルカリ;蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸モノメチルアミン、酢酸ジメチルアミン、酢酸アニリン、乳酸ピリジン、グアニジノ酢酸等の有機酸アルカリ塩等を用いることができる。
前記アルカリ溶液に、含フッ素ノニオン性界面活性剤を含有するのが好ましい。前記含フッ素ノニオン性界面活性剤はフルオロアルキル基又はフルオロアルケニル基を有するアルキレンオキサイドであるのが好ましく、フルオロアルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基、フルオロアルケニル基としては、1,2,2-トリフルオロビニル基等を有するものが好ましい。具体的には、ネオス株式会社製のフタージェント(フタージェント250、251、251M、222F、208G)等が挙げられる。前記アルカリ溶液中に含有する前記含フッ素ノニオン性界面活性剤の濃度は1×10-4〜5 質量%であるのが好ましい。
(b) アンモニア水の飽和蒸気圧下で水熱処理する方法
アンモニア水の飽和蒸気圧下で水熱処理することによって、メソポーラスシリカ多孔質膜にアルカリ処理を施してもよい。アンモニアによる水熱処理は、メソポーラスシリカ多孔質膜を、例えば28質量%のアンモニア水とともに密封できる容器内に入れ、その容器を120〜160℃及び1〜5時間で加熱することによって行うことができる。前記水熱処理に用いる装置としては、オートクレーブであり、その内筒部分がPTFE製のルツボで、外筒部分がSUS製のジャケットであるものが好ましい。
アルカリ溶液を塗布する方法、又はアンモニア水の飽和蒸気圧下で水熱処理する方法によりアルカリ処理を施したメソポーラスシリカ多孔質膜は、100〜200℃の温度で15分〜24時間焼成するのが好ましい。
アルカリ処理後、又はアルカリ処理及び焼成後のメソポーラスシリカ多孔質膜は、必要に応じて洗浄し、乾燥する。洗浄は、水に浸漬する方法、水をシャワーする方法、又はこれらの組合せにより行うことができる。水に浸漬する場合、超音波処理してもよい。洗浄温度は、1〜40℃の範囲が好ましい。洗浄時間は0.2〜15分が好ましい。水はアルカリ処理メソポーラスシリカ多孔質膜1cm2当たり0.01〜1,000 mL使用するのが好ましい。乾燥は、50〜200℃の温度で5分〜24時間行うのが好ましい。
[2] メソポーラスシリカナノ粒子及びメソポーラスシリカ多孔質膜
メソポーラスシリカナノ粒子20は、例えば図1に示すように、メソ孔20aを有するシリカ骨格20bからなり、メソ孔20aがヘキサゴナル状に規則的に配列した多孔質構造を有する。メソポーラスシリカナノ粒子は、このようなヘキサゴナル構造のものに限定されず、キュービック構造又はラメラ構造のものでもよい。
図2は、メソポーラスシリカナノ粒子を基材1の表面に塗布及び成膜してなるメソポーラスシリカ多孔質膜2を示す。メソポーラスシリカ多孔質膜2は、前記三種の構造(ヘキサゴナル構造、キュービック構造又及びラメラ構造)の粒子のいずれか又はこれらの混合物からなるものであればよいが、ヘキサゴナル構造の粒子からなるのが好ましい。これらのメソポーラスシリカ多孔質膜2は反射防止膜として好適である。
メソポーラスシリカナノ粒子20の平均粒径は、200 nm以下が好ましく、20〜50 nmがより好ましい。この平均粒径が200 nm超だと、多孔質膜を形成する際に膜厚調整が困難であり、薄膜設計のフレキシビリティーが低い。しかもメソポーラスシリカ多孔質膜2を反射防止膜として使用する場合、反射防止特性及び耐クラック性が低くなる。メソポーラスシリカナノ粒子20の平均粒径は動的光散乱法により求める。メソポーラスシリカ多孔質膜2の屈折率は空隙率に依存し、大きな空隙率を有するものほど屈折率が小さい。メソポーラスシリカ多孔質膜2の空隙率は10〜75%であるのが好ましい。この範囲内の空隙率を有するメソポーラスシリカ多孔質膜2の屈折率は1.1〜1.4である。
メソポーラスシリカ多孔質膜2は、図3に示すように、窒素吸着法により求めた孔径分布曲線が二つのピークを有するのが好ましい。詳しくは、メソポーラスシリカ多孔質膜2について窒素の等温脱着曲線を求め、これをBJH法で解析する。図3で横軸を細孔直径とし、縦軸をlog微分細孔容積とする。BJH法は、例えば「メソ孔の分布を求める方法」[E. P. Barrett,L. G. Joyner, and P. P. Halenda , J.Am. Chem. Soc., 73, 373 (1951)]に記載されている。log微分細孔容積は、細孔直径Dの対数の差分値d(logD)に対する差分細孔容積dVの変化量であり、dV/d(logD)で表される。小孔径側の第一ピークが粒子内細孔の径を示し、大孔径側の第二ピークが粒子間細孔の径を示す。メソポーラスシリカ多孔質膜2は、粒子内細孔径が2〜10 nmの範囲内にあり、粒子間細孔径が5〜200 nmの範囲内にある分布を有するのが好ましい。
粒子内細孔の合計容積V1と粒子間細孔の合計容積V2の比は1/2〜1/1であるのが好ましい。合計容積V1及びV2は以下の通り求める。図3において、第一及び第二のピーク間の縦座標の最小値の点Eを通り横軸と平行な直線をベースラインL0とし、第一のピークの最大傾斜線(最大傾斜点における接線)をL1及びL2とし、第二のピークの最大傾斜線(最大傾斜点における接線)をL3及びL4とする。最大傾斜線L1〜L4とベースラインL0との交点A〜Dにおける横軸座標をDA〜DDとする。BJH法により、DAからDBまでの範囲における細孔の合計容積V1と、DCからDDまでの範囲における細孔の合計容積V2を算出する。
メソポーラスシリカ多孔質膜2は、1.1〜1.25の低い屈折率及び均一な膜厚を有するので、広い波長範囲の光線に対する反射防止膜として優れた性能を有する。このような優れた反射防止特性を有するメソポーラスシリカ多孔質膜をレンズに設けると、その中心部と周辺部での透過光量又は透過光色の異なりや、レンズ周辺部での反射光に起因するゴースト等の問題を著しく低減できる。このような優れた特性を有する光学素子を、カメラ、内視鏡、双眼鏡、プロジェクター等に使用すると、画像の質を著しく向上させることができる。さらに本発明のメソポーラスシリカ多孔質膜は、製造コストも低く、歩留まりが良好である。メソポーラスシリカ多孔質膜2の好ましい物理膜厚は15〜500 nmである。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(1)メソポーラスシリカナノ粒子分散液(塗工ゾル)の作製
0.01 N 塩酸(pH 2)40 gに、塩化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム;CTAC(関東化学株式会社製)1.21g(0.088 mol/L)、及びブロックコポリマー HO(C2H4O)106-(C3H6O)70-(C2H4O)106H(商品名「Pluronic F127」、Sigma-Aldrich社製)2.14 g(0.004 mol/L)を添加し、25℃で0.5時間撹拌し、テトラエトキシシラン(関東化学株式会社製)4.00 g(0.45 mol/L)を添加し、25℃で1時間撹拌した後、28質量%アンモニア水(和光純薬工業株式会社製)3.94 g(1.51 mol/L)を添加してpHを10.8とし、25℃で0.5時間撹拌し塗工ゾルを得た。なお括弧内のモル濃度は、得られた塗工ゾル中の各成分の濃度を示す。
(2)メソポーラスシリカ多孔質膜の形成(塗工ゾルの成膜)
作製した塗工ゾルをBK7ガラス(屈折率:1.518)からなる平行平面板(直径30 mm及び厚さ1.5 mm) の表面にスピンコート法により塗布し、プラズマクリーナー(型番:PDC210、ヤマト科学株式会社製)を用いて、12 Paに減圧した状態で、酸素を80 mL/minで供給しながら、300 W の出力でRF(Radio Frequency)を照射し、3分間プラズマ放電した。このプラズマ処理により、非イオン性界面活性剤「Pluronic F127」、及びカチオン性界面活性剤;CTACが除去されたメソポーラスシリカ多孔質膜を得た。プラズマ放電中のチャンバー内の圧力は47〜48 Paであった。
(3)メソポーラスシリカ多孔質膜のアルカリ処理(硬質化処理)
0.15 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、0.10質量%の濃度になるようにフッ素含有ノニオン性界面活性剤(フタージェント215M、ネオス株式会社製)を添加してアルカリ処理溶液を作製した。プラズマ処理済みのメソポーラスシリカ多孔質膜の表面上に、このアルカリ処理溶液を0.1 mL/cm2の塗布量でスピンコート法により塗布し、150℃で1時間加熱し乾燥した。アルカリ処理後のメソポーラスシリカ多孔質膜を洗浄機で洗浄及び乾燥し、アルカリ処理済メソポーラスシリカ多孔質膜を得た。
(4)評価結果
得られたアルカリ処理済メソポーラスシリカ多孔質膜は、屈折率が1.21であり、物理膜厚が97 nmであった。ヘイズ値は0.1%(基板を含む)であり、耐擦傷性及びテープテストは共に良好(○)であった。なお、耐擦傷性は、膜の表面を1 kg/cm2の圧力及び120回/分の速度で不織布(商品名「ベンコットPS-2」、小津産業株式会社製)を用いて10回擦る処理を施した後、表面の観察をし、下記の基準として評価した。
○:全く傷が付かない。
△:少し傷は付いたが剥離なし。
×:剥離した。
テープテスト(密着性試験)は、膜表面の1 cm×1 cmの領域にセロハンテープ(商品名「セロテープ CT-15」ニチバン株式会社製、登録商標)を貼付した後、前記セロハンテープを45°の角度方向に引っ張りながら剥離し、塗布膜の剥離程度を下記の基準で目視により評価した。
○:全く剥離しない。
×:一部又は全部剥離した。
実施例2
(1)アルカリ処理済メソポーラスシリカ多孔質膜の作製
ガラス基板としてBK7ガラスの代わりにBAH27ガラス(屈折率:1.702)からなる平行平面板(直径30 mm及び厚さ2.0 mm)を使用した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ処理済メソポーラスシリカ多孔質膜を作製した。
(2)評価結果
得られたアルカリ処理済メソポーラスシリカ多孔質膜は、屈折率が1.21であり、物理膜厚が133 nmであった。ヘイズ値は0.2%(基板を含む)であり、耐擦傷性及びテープテストは共に良好(○)であった。
実施例3
(1)アルカリ処理済メソポーラスシリカ多孔質膜の作製
メソポーラスシリカナノ粒子分散液の作製において、テトラエトキシシランを添加した後の攪拌時間を1時間から3時間に変更した以外は実施例1と同様にして、アルカリ処理済メソポーラスシリカ多孔質膜を作製した。
(2)評価結果
得られたアルカリ処理済メソポーラスシリカ多孔質膜は、屈折率が1.28であり、物理膜厚が77 nmであった。ヘイズ値は0.1%(基板を含む)であり、耐擦傷性及びテープテストは共に良好(○)であった。
実施例4
(1)アンモニア水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜の作製
実施例1と同様にして作製したプラズマ処理済みのメソポーラスシリカ多孔質膜、及び28質量%のアンモニア水を1 mlを、ステンレス製のジャケットで覆ったPTFE製の耐熱耐圧容器(オートクレーブ)に入れて密閉し、恒温槽内で150℃で3時間加熱してアンモニア水蒸気処理を行った。アンモニア水蒸気処理後のメソポーラスシリカ多孔質膜を洗浄機で洗浄及び乾燥し、アンモニア水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜を得た。
(2)評価結果
得られたアンモニア水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜は、屈折率が1.15であり、物理膜厚が129 nmであった。ヘイズ値は0.2%(基板を含む)であり、耐擦傷性及びテープテストは共に良好(○)であった。
実施例5
(1)アンモニア水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜の作製
ガラス基板としてBK7ガラスの代わりにBAH27ガラス(屈折率:1.702)からなる平行平面板(直径30 mm及び厚さ2.0 mm)を使用した以外は、実施例4と同様にしてアンモニア水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜を作製した。
(2)評価結果
得られたアンモニア水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜は、屈折率が1.16であり、物理膜厚が168 nmであった。ヘイズ値は0.3%(基板を含む)であり、耐擦傷性はやや良好(△〜○)で、テープテストは良好(○)であった。
実施例6
(1)アンモニア水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜の作製
ガラス基板としてBK7ガラスの代わりにLaSF08ガラス(屈折率:1.883)からなる平行平面板(直径30 mm及び厚さ2.0 mm)を使用した以外は、実施例4と同様にしてアンモニア水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜を作製した。
(2)評価結果
得られたアンモニア水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜は、屈折率が1.15であり、物理膜厚が143 nmであった。ヘイズ値は0.3%(基板を含む)であり、耐擦傷性はやや良好(△〜○)で、テープテストは良好(○)であった。
比較例1
(1)メソポーラスシリカ多孔質膜の作製
アルカリ処理を行わなかった以外は実施例1と同様にしてメソポーラスシリカ多孔質膜(プラズマ処理済み試料)を作製した。
(2)評価結果
得られたメソポーラスシリカ多孔質膜は、屈折率が1.16であり、物理膜厚が207 nmであった。ヘイズ値は0.1%(基板を含む)であり、耐擦傷性及びテープテストは共にNG(×)であった。
比較例2
(1)メソポーラスシリカ多孔質膜の硬質化(水によるオートクレーブ処理)
実施例1と同様にして作製したプラズマ処理済みのメソポーラスシリカ多孔質膜、及び精製水を1 mlを、ステンレス製のジャケットで覆ったPTFE製の耐熱耐圧容器(オートクレーブ)に入れて密閉し、恒温槽内で150℃で3時間加熱して水蒸気処理を行った。水蒸気処理後のメソポーラスシリカ多孔質膜を乾燥し、水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜を得た。
(2)評価結果
得られた水蒸気処理済メソポーラスシリカ多孔質膜は、屈折率が1.10であり、物理膜厚が216 nmであった。ヘイズ値は0.4%(基板を含む)であり、耐擦傷性及びテープテストは共にNG(×)であった。
1・・・基材
2・・・メソポーラスシリカ多孔質膜
20・・・メソポーラスシリカナノ粒子
20a・・・メソ孔
20b・・・シリカ骨格

Claims (20)

  1. 基板表面上に設けられた超低屈折率のメソポーラスシリカ多孔質膜を製造する方法であって、(a)2種の界面活性剤を含む酸性水溶液中でアルコキシシランを加水分解及び重縮合した後、前記水溶液中に塩基性触媒を添加することによりメソポーラスシリカナノ粒子を含むゾルを調製する工程、(b)得られたゾルを前記基板に塗布及び乾燥し、メソポーラスシリカナノ粒子を有する塗布膜を形成する工程、(c)得られた塗布膜に酸素プラズマを照射して、前記2種の界面活性剤を除去する工程、及び(d)前記酸素プラズマ照射後の塗布膜にアルカリ処理を施す工程を有することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  2. 請求項1に記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記アルカリ処理工程が、前記酸素プラズマ照射後の塗布膜にアルカリ溶液を塗布する工程を有することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  3. 請求項2に記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記アルカリ溶液が、アルカリ金属の水酸化物の水溶液であることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  4. 請求項2又は3に記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記アルカリ溶液中の前記アルカリ金属の水酸化物の濃度が、1×10-4〜1 mol/Lであることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記アルカリ溶液が、含フッ素ノニオン性界面活性剤を含有することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  6. 請求項5に記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記含フッ素ノニオン性界面活性剤がフルオロアルキル基又はフルオロアルケニル基を有するアルキレンオキサイドであることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記アルカリ溶液中に含有する前記含フッ素ノニオン性界面活性剤の濃度が1×10-4〜5 質量%であることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  8. 請求項2〜7のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記アルカリ溶液の塗布工程の後に、100〜200℃で焼成する工程を有することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  9. 請求項1に記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記アルカリ処理工程が、前記酸素プラズマ照射後の塗布膜をアンモニア水の飽和蒸気圧下で水熱処理する工程を有することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  10. 請求項9に記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記水熱処理の条件が、120〜160℃及び1〜5時間であることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  11. 請求項9又は10に記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記水熱処理に用いる装置がオートクレーブであり、その内筒部分がPTFE製のルツボで、外筒部分がSUS製のジャケットであることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記アルカリ処理を施した後の基板を洗浄し乾燥する工程を有することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記メソポーラスシリカ多孔質膜の屈折率が1.15〜1.40であることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記メソポーラスシリカ多孔質膜の屈折率が1.10〜1.25であることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記カチオン性界面活性剤が、4級アンモニウム塩であることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記非イオン性界面活性剤が、示性式:RO(C2H4O)a-(C3H6O)b-(C2H4O)cR(但し、a及びcはそれぞれ10〜120の整数を表し、bは30〜80の整数を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表す)で表されるブロックコポリマーであることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記アルコキシシランが4官能性テトラアルコキシシランであることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記メソポーラスシリカナノ粒子を含むゾルのpHが9〜12であることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、メソポーラスシリカナノ粒子のメソ孔がヘキサゴナル状に配列した構造を有することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記酸素プラズマの照射条件が、O2流量:50〜100 cc/min、照射強度:100〜500 W、及び照射時間:30 sec〜10 minであることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
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