JPWO2018124131A1 - ミリ波帯域用電波吸収シート及びミリ波電波吸収方法 - Google Patents

ミリ波帯域用電波吸収シート及びミリ波電波吸収方法 Download PDF

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Abstract

ミリ波帯域の周波数において優れた電波吸収性能を有し、軽量で可とう性に優れたシート状の電波吸収体を提供する。電波反射層(A)と、前記電波反射層(A)の上部に平行に配置された電波吸収下層(B)と、前記電波吸収下層(B)の上部に平行に配置された電波吸収上層(C)とを備えてなり、電波吸収下層(B)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部が5〜45の範囲内であり、虚数部の絶対値が0.5〜15の範囲内であり、電波吸収下層(B)の膜厚が0.10〜1.5mmの範囲内にあり、電波反射上層(C)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部が2〜20であり、虚数部の絶対値が2未満であり、電波反射上層(C)の膜厚が0.3〜2.2mmの範囲内にある、ミリ波帯域用電波吸収シート、並びに、該電波吸収シートを用いるミリ波帯域の電波吸収方法、及び電波障害の防止方法。

Description

本発明は、ミリ波帯域の周波数において優れた吸収性能を有するシート状の電波吸収体及びミリ波電波吸収方法に関する。
ラジオ、テレビ、無線通信などの通信機器からは電波が放射されているが、これに加え、最近の情報技術の進展により急増した携帯電話、パソコンなどの電子機器からも電波は放射されている。従来、電子機器、通信機器などの電波による誤作動を回避するための一手法として、効率よく電波を吸収し、吸収した電波を熱エネルギーに変換するという電波吸収体(Electro Magnetic Absorber、EMA)を電波発生部位近傍または遠方に設置することが行われている。
電波発生部位遠方に電波吸収体を設置する例としては、例えば高速道路の自動料金収受システム(ETC)用途がある。ETCは、高速道路の料金所出口を自動車が通過する際に、料金所に備えられた路側機アンテナと車載器側アンテナとの間で周波数5.8GHzのマイクロ波を使用して課金情報等を交換するシステムである。このETCシステムが導入された料金所では、アンテナから放射されたマイクロ波が料金所屋根等にあたって反射されたり、隣接するETCレーンから不要な電波が漏洩する等の理由により、通信に異常を引き起こすことがある。そこで料金所屋根やETCレーンの間に電波吸収体を設置することによって、通信異常を抑制することが行われている。(特許文献1など)
このように電波吸収体は広く利用され、目的や用途に応じて種々の材質、形状の電波吸収体が開発されてきた。
広帯域に吸収する電波吸収体としてはピラミッド型電波吸収体と積層型電波吸収体等がある。
ピラミッド型電波吸収体とは吸収材内部を電波が透過する間に電波のエネルギーが減衰していくタイプの電波吸収体である。特許文献2には、発泡ポリエチレンなどの発泡性有機樹脂を基材として、カーボンブラックやグラファイトなどの導電性材料を混錬させた材料を、ピラミッド型がいくつも連なったような形状に成型した電波吸収体が記載されている。電波吸収体自体がピラミッド型のような凹凸形状であることによって、電波吸収体表面部(電波の到来方向)の断面積を小さくでき、表面部での入射電波の反射が抑制されて吸収体内部に電波が進入しやすくなり、吸収体断面積が増加するにしたがって、吸収体内部に進入した電波が効率よく熱エネルギーに変換できると考えられている。
一方、積層型の電波吸収体は電波反射層と複数の電波吸収層を積層することで、電波を吸収させたものであり、例えば特許文献3には、金属板の表面に金属粉末及び結合剤を含む磁性損失層を形成した電磁波吸収体が開示されている。
近年、電子機器や通信機器は高周波数の電波を利用する製品へとシフトしてきた。例えば、自動車の衝突防止用にはミリ波レーダーが車に搭載され、また、航空宇宙事業で使用される大電力照射用レーダー等でもミリ波が利用される状況となっており、幅広い分野においてミリ波帯域の電波が使用されている。
ミリ波帯域の電波を吸収する電波吸収体は開発されているものの、その多くはピラミッド型であり、経年や熱等により基材が変質・変形して電波吸収性が低下するという問題があった。また、ピラミッド型電波吸収体は嵩高いため、設置場所によっては取り付け困難であり、製造工程が煩雑という問題もある。
更には、従来の積層型電波吸収体はミリ波帯域の電波吸収性、特に吸収周波数帯域幅に関して十分なレベルに達していなかった。このため、ミリ波帯域幅で広域に吸収し、更には曲面に貼り付けできる軽量で可とう性のある電波吸収体を設計することは技術的に困難であった。
特開2001−217645号公報 特開平6−334382号公報 特開平8−288684号公報
本発明は、ミリ波帯域において優れた電波吸収性能を有し、軽量で可とう性に優れたシート状の電波吸収体、並びに、これを用いた電波吸収方法及び電波障害の防止方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記した課題について鋭意検討した結果、電波反射層に組み合わせる積層の電波吸収層を構成する各層の誘電特性及び膜厚がある特定の条件を満たす場合に、ミリ波帯域の電波吸収特性が大きく発現することを見出した。
即ち本発明は、
電波反射層(A)と、前記電波反射層(A)の上部に平行に配置された電波吸収下層(B)と、前記電波吸収下層(B)の上部に平行に配置された電波吸収上層(C)とを備えてなり、
前記電波吸収下層(B)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部が5〜45であり、虚数部の絶対値が0.5〜15の範囲内であり、前記電波吸収下層(B)の膜厚が0.10〜1.5mmの範囲内にあり、
前記電波反射上層(C)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部が2〜20の範囲内であり、虚数部の絶対値が2未満であり、前記電波反射上層(C)の膜厚が0.3〜2.2mmの範囲内にある、ミリ波帯域用電波吸収シート、並びに、この電波吸収シートを用いる、ミリ波帯域の電波吸収方法、に関する。
本発明の電波吸収シートは、簡単な構造であり製造が容易である。また、ミリ波帯域の電波吸収特性を実用レベルで発現することができる。その上、軽量で可とう性に優れているため、基材が平らな面でなくても容易に設置することができる。
本電波吸収シートを用いればミリ波を効率的に吸収することができるために、ミリ波を利用した電波受信システムの誤作動を防止することも可能である。
電波吸収シートを構成する各層の関係を表す概略図である。 電波吸収シートを構成する各層の関係を表す別の概略図である。 電波吸収特性チャートの一例である。
以下、添付図面に基づき、本発明に従うミリ波帯域用電波吸収シートの実施形態を説明する。本明細書において、ミリ波帯域とは衝突防止や自動走行用の周波数である76〜81GHzを意味するものとする。
図1は本発明電波吸収シートを構成する各層の関係を表す概略図である。
この図1において、電波反射層(A)の上には電波吸収下層(B)、電波吸収上層(C)が順に積層されている。本電波吸収シートは、電波αが前記電波吸収上層(C)側から入射するように用いる。尚、図1では説明のために各層の間に空間が設けられているが、本発明では通常は各層が互いに密着している。
前記電波反射層(A)は、後述の電波吸収上層(C)及び電波吸収下層(B)を減衰しながら透過し反射層Aに達した電波αを、その表面で反射させるものである。
電波反射層(A)の材質に制限はないが、一般には金属シートが用いられる。金属シートには金属箔も包含される。金属の種類としては例えば、ブリキ、真ちゅう、銅、鉄、ニッケル、ステンレススチール、アルミニウム等を挙げることができる。
電波反射層(A)の膜厚としては、特に制限されるものではないが、最終的に得られる電波吸収シートの可とう性、設置作業性などの点から25〜500μm、特に30〜300μmの範囲内にあることが好ましい。
本明細書において、膜厚は、SEMを用いて試験体の断面を観察し、得られた画像から任意に3箇所を選択し、その平均値によって求めることができる。
図1において前記電波吸収下層(B)は、電波反射層(A)の上部に平行に配置され、79GHzにおける比誘電率と膜厚が特定範囲内にある。
本発明においては比誘電率を決定するための周波数が79GHzであることが重要である。この値を大きく外れる場合、その周波数における比誘電率が本発明範囲となるように材料を設計したとしても、最終的に得られる電波吸収シートはミリ波帯域において所望の電波吸収性を発揮することは難しいからである。
本明細書において比誘電率εrとは、下記式(1)によって示される値である。
Figure 2018124131
上記式(1)において、εrは比誘電率であり、ε’は比誘電率の実数部を示し、ε”は比誘電率の虚数部を示す。ただし、i=√(−1)とする。
また、材料の79GHzにおける誘電率ε(F/m)は下記式(2)によって示される値であり、本発明で定義する比誘電率εrは、真空の誘電率ε0(F/m)に対する材料の誘電率ε(F/m)の比を示すものであり、単位は無い。
Figure 2018124131
例えば比誘電率εrがεr=5−3iで表される場合、「比誘電率の実数部ε’」は5であり、「比誘電率の虚数部ε”の絶対値」は3であるものとする。
本発明において、周波数79GHzにおける比誘電率εrの測定は、フリースペースSパラメータ法(反射伝送法)により行うものとする。例えば比誘電率測定機器としてベクトル型ネットワークアナライザー(「PNA−X」商品名、KEYSIGHT社製)を用い、フリースペースフィクチャと校正金属板を用い、「N1500材料特性スイート」(商品名、KEYSIGHT社製、ソフトウェア)を用いて、Sパラメーターの測定値からシミュレーションにより求めることができる。
比誘電率は周波数により変化するものであるため、周波数76〜81GHzの範囲内で周波数毎の比誘電率データを取得し、そのデータの中から周波数79GHzにおける比誘電率の値を選択するものとする。
本発明の電波吸収シートにおいて、電波吸収下層(B)の周波数79GHzのときの比誘電率の実数部ε’が5〜45の範囲内であり、そして比誘電率の虚数部ε”の絶対値が0.5〜15の範囲内である。比誘電率の実数部ε’は10〜35にあり、比誘電率の虚数部ε”の絶対値が1〜12、好ましくは2〜10の範囲内にあると尚よい。
電波吸収下層(B)の比誘電率の実数部ε’が5未満では、本電波吸収シートのミリ波帯域の電波吸収性が低下し、一方45を超えると本電波吸収シートのミリ波帯域の電波吸収性が低下するとともに、本電波吸収シートの可とう性も低下する傾向にあり好ましくない。
また、電波吸収下層(B)の比誘電率の虚数部ε”の絶対値が0.5未満ではミリ波帯域の電波吸収特性が低下し、一方で15を超えると、ミリ波帯域の電波吸収性が低下するとともに、本電波吸収シートの可とう性が低下するため好ましくない。
上記電波吸収下層(B)としては、例えば、結合剤に誘電性粉末を分散配合したシートが使用される。結合剤としては、主としてポリマーが用いられる。具体例としては、例えばエステルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩化ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等のゴム成分;ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、セラック、ロジン、ポリオレフィン樹脂、炭化水素樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン系樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂等の樹脂成分:これら組み合わせ等を挙げることができる。
誘電性粉末としては、誘電性を有する粉末であればどのような材質、形状のものでも使用することができる。例えば、Fe、Ni、Cr等の金属;センダスト、Fe−Cr−Al、Fe−Si−Cr等の合金;マンガン・亜鉛系フェライト、マンガン・ニッケル系フェライト、ニッケル・亜鉛系フェライト、銅・亜鉛系フェライト、亜鉛フェライト、コバルトフェライト、マグネタイト等のスピネルフェライト;バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、M型フェライト、Y型フェライト、Z型フェライト、W型フェライト、U型フェライト等の六方晶フェライト;イットリウム鉄などのガーネット型フェライト;カルボニル鉄等の金属化合物;微細還元鉄粉及びパーマロイ;ITOなどの導電性粉末;α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素などの無機粉末;炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの体質顔料;ベンゾグアナミン、架橋ポリスチレン、ポリエチレン、シリコン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどの有機溶剤に不溶性の有機粉末;導電カーボン、絶縁カーボン等のカーボン類;などが挙げられる。これらは単独でも複数組み合わせて使用してもよい。
誘電性粉末の平均粒子径としては0.001〜500μmが好ましく、更には、0.01〜100μmが好ましい。また、誘電性粉末が針状形状である場合は、平均短径が0.001〜500μmが好ましく、更には、0.01〜100μmが好ましい。
本明細書において、誘電性粉末の平均粒子径または平均短径は、SEMを用い、本発明電波吸収シートのSEM像を観察することにより測定する。
なお、上記電波吸収下層(B)に含まれる誘電性粉末としては、その成分の一部としてフェライト類を含むことが本発明の電波吸収シートのミリ波帯域の電波吸収性の点から好ましい。
フェライト類としては、例えば、マンガン・亜鉛系フェライト、マンガン・ニッケル系フェライト、ニッケル・亜鉛系フェライト、銅・亜鉛系フェライト、亜鉛系フェライト、コバルトフェライト、マグネタイト等のスピネルフェライト;バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、M型フェライト、Y型フェライト、Z型フェライト、W型フェライト、U型フェライト等の六方晶フェライト;イットリウム鉄などのガーネット型フェライト等;これら2種以上の組み合わせを挙げることができる。
なお、フェライトは一般的には磁性体として作用するが、76〜81GHzにおいては磁性を示さないため、本発明においては誘電体として扱うものとする。
電波吸収下層(B)に含まれる誘電性粉末の量としては、誘電性粉末の種類により適宜調整可能であるが、一般には結合剤100質量部を基準として100〜1000質量部、好ましくは250〜800質量部にあることが適している。また、誘電性粉末としてカーボン類を使用する場合は、結合剤100質量部を基準として1〜100質量部、好ましくは3〜70質量部の範囲内が適している。
ミリ波帯領域の電波吸収性を高レベルで発揮するためには、電波吸収下層(B)の膜厚も重要なファクターである。本発明では電波吸収下層(B)の膜厚は0.10〜1.5mmの範囲内にある。電波吸収下層(B)の膜厚が0.10mm未満では、本電波吸収シートのミリ波帯域の電波吸収性が低下し、一方、1.5mmを越えてもミリ波帯域の電波吸収性が低下するとともに本電波シートの可とう性が不十分となり、設置作業性がわるくなってしまう。
図1において前記電波吸収上層(C)は、電波吸収下層(B)の上部に平行に配置され、本発明の電波吸収シートが所望のミリ波帯域の電波吸収性を備えるための必須構成成分である。そして図1のように、電波反射層(A)の上に設けられた電波吸収下層(B)の上に電波吸収上層(C)が配置されていることが必要である。本発明では、電波反射層(A)、電波吸収下層(B)または電波吸収上層(C)のいずれかがかけてしまうと、本電波吸収シートがミリ波帯域において十分な電波吸収性を発揮できない。
電波吸収上層(C)は、周波数79GHzにおける比誘電率の実数部ε’が2〜20の範囲内であり、そして比誘電率の虚数部ε”の絶対値が2未満にあるシートである。
上記電波吸収上層(C)は、周波数79GHzにおける比誘電率の実数部ε’が2〜10であり、そして比誘電率の虚数部ε”の絶対値が1未満にあると尚よい。電波吸収上層(C)の比誘電率の実数部ε’が2未満では、本電波吸収シートのミリ波帯域の電波吸収性が低下し、一方20を超えても本電波吸収シートのミリ波帯域の電波吸収性が低下する。
また、本構成において、電波吸収上層(C)の比誘電率の虚数部ε”の絶対値が2以上では、本発明の電波吸収シートの表面インピーダンスが377Ωから大きくずれてしまうため、電波吸収量が減少し好ましくない。
これは、本発明電波吸収シートの表面インピーダンスを、自由空間における電波のインピーダンスである377Ωに合わせることで、電波を吸収させることができるためである。
尚、表面インピーダンスZsは下記式(3)で表されるものであり、空間の電波インピーダンスZ0は120π(約377)Ωである。
Figure 2018124131
ただし、i=√(−1)とする。Rsは実数部、Xsは虚数部である。
単層型電波吸収シートの表面インピーダンスは下記式(4)で示すことができる。吸収体表面で無反射になる条件はZin=Z0であるため、電波吸収シートの表面インピーダンスを377Ωにすると、電波を吸収させることができる。
Figure 2018124131
Z0:自由空間の波動インピーダンス(=377Ω)
Zin:電波吸収シートの表面インピーダンス(Ω)
d:膜厚(mm)
λ:波長(mm)
εr:比誘電率
μr:比透磁率。
また、2層型電波吸収シートの表面インピーダンスは下記式(5)で示すことができる。吸収体表面で無反射になる条件は電波吸収シートの表面インピーダンスを自由空間における電波のインピーダンスに整合させると、電波を吸収させることができる。
Figure 2018124131
2層型の場合は、式(5)においてn=1である。
ここで、垂直入射(θ=0°)の場合には式(6)、(7)の関係になる。
Figure 2018124131
Figure 2018124131
上記式(5)、(6)及び(7)において、
Znは、2層型電波吸収層(本発明における電波吸収上層(C)の表面に相当する)の表面インピーダンスであり、Zn+1は、上記電波反射層(本発明における電波反射層(A)に該当する)に最も近く積層された電波吸収層(本発明における電波吸収下層(B)の表面に相当する)の表面インピーダンスであり、上記式(4)より求めるものである。
また、Zcnは、下記式(8)により求められる。
Figure 2018124131
式(8)において、εrcは、電波吸収層(B)の上に積層された別の電波吸収層(本発明における電波吸収上層(C)に相当する)比誘電率であり、μrcは、電波吸収層(B)の上に積層された別の電波吸収層(本発明における電波吸収上層(C)に相当する)の比透磁率である。
電波吸収シートの設計には、用いる材料の比透磁率を利用することがよく知られている。しかしながら、マイクロ波領域より低い周波数帯域で磁性を示す材料であっても、ミリ波領域の高い周波数帯域になると磁性が発現しないことが多く、ミリ波帯域において吸収帯域幅の広い電波吸収シートを設計することは極めて困難である。しかしながら、上記電波反射層(A)、電波吸収下層(B)に加えて電波吸収上層(C)を順に組み合わせる本発明構成にすることで、ミリ波帯域で磁性を発現する材料を用いなくてもミリ波帯域での電波吸収性が極めて高く、しかも吸収帯域幅が広い電波吸収シートを得ることができる。
上記電波吸収上層(C)としては、例えば、結合剤に誘電性粉末を分散配合したシートが使用される。
結合剤、誘電性粉末としては、上記電波吸収下層(B)の説明で列記した化合物と同様のものを例示することができる。
電波吸収上層(C)が誘電性粉末を含む場合、その含有量としては、誘電性粉末の種類により適宜調整可能であるが、一般には結合剤100質量部を基準として、5〜800質量部、好ましくは50〜400質量部の範囲内にあることが適している。また、比重の軽いカーボンを使用する場合は、結合剤100質量部を基準として、1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部の範囲内が適している。
ミリ波帯領域の電波吸収性を高レベルで発揮するためには電波吸収上層(C)の膜厚も重要である。本発明では電波吸収上層(C)の膜厚は0.3〜2.2mmの範囲にある。電波吸収下層(B)の膜厚が0.3mm未満では、本電波吸収シートのミリ波帯域の電波吸収特性が低下し、一方、2.2mmを越えると本電波吸収シートのミリ波帯域の電波吸収特性が低下したり、重量が重くなってしまう。
図1において、電波吸収下層(B)と電波吸収上層(C)の比誘電率及び膜厚は、本発明範囲内にある限り制限はないが、両者は別異の構成成分である。特に電波吸収下層(B)と電波吸収上層(C)の膜厚比が、電波吸収上層(C)/電波吸収下層(B)膜厚比で、1.00を超えることが好ましい。
また、電波吸収下層(B)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部が電波吸収上層(C)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部よりも大きいことが好ましい。そして電波吸収下層(B)の周波数79GHzにおける比誘電率の虚数部の絶対値が電波吸収上層(C)の周波数79GHzにおける比誘電率の虚数部の絶対値よりも大きいことが好ましい。
電波吸収下層(B)及び電波吸収上層(C)が上記構成であることによって、本発明の電波吸収シートのミリ波帯域の電波吸収性と帯域幅が広くなるという効果がある。
電波吸収下層(B)と電波吸収上層(C)の合計の膜厚としては、ミリ波帯域の電波吸収性及び設置作業性の点から0.6〜3.7mmの範囲内が好ましい。
図2は第2実施形態にかかるミリ波電波吸収シートを示す模式図である。この図2において、電波反射層(A)の上には電波吸収下層(B)、電波吸収上層(C)、そして最表面に意匠層(D)が順に積層され、一体となっている。本電波吸収シートは、電波αが前記意匠層(D)側から入射するように用いる。そして電波反射層(A)、電波吸収下層(B)、電波吸収上層(C)、意匠層(D)の各層間には接着層(P)が設けられている。
意匠層(D)は、その下層に位置する各層を保護し、意匠を付与する目的で必要に応じて設けられるものであり、成型したフィルムであってもよいし、塗料組成物を塗装し、乾燥させた塗膜であってもよい。意匠層(D)は、単層構造からなってもよいし、多層構造であってもよい。
意匠層(D)は、結合剤としてポリマー(合成樹脂)を含むフィルムが好ましい。かかるポリマーとしては電波吸収下層(B)の説明で例示した化合物と同様のものを挙げることができる。
意匠層(D)の膜厚としては、特に制限されるものではないが、ミリ波帯域の電波吸収性の点からは一般に20〜100μm、特に30〜90μmの範囲内が好ましい。
また、意匠層(D)として、いわゆるマーキングフィルムのような粘着剤付意匠シートも意匠層(D)として包含される。
接着層(P)は、各層間の付着性を向上させ、本電波吸収シートの耐久性を向上させる目的にで、必要に応じて設けられる層である。接着層(P)を構成する接着剤の形態としては、水分散系、溶液系、2液混合系、固体系、テープ系のいずれであってもよい。材質としては特に制限されるものではないが、有機系接着剤であっても無機系接着剤であってもよい。
例えば有機系接着剤としては、例えば、酢酸ビニル系、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系、ビニル樹脂系、エチレン−酢酸ビニル樹脂系、ポリ酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリビニルアルコール系、エチレン酢酸ビニル系、塩化ビニル系、α−オレフィン系、アクリル樹脂系、ポリアミド系、ポリイミド系、セルロース系、ポリビニルピロリドン系、ポリスチレン系、ポリスチレン樹脂系、シアノアクリレート系、ポリビニルアセタール系、ウレタン樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、ポリビニルブチラール樹脂系、ポリアロマティック系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール系、クロロブレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレンブタジエンゴム系、ポリベンズイミダソール系、熱可塑性エラストマー系、ブチルゴム系、シリコーン系、変性シリコン系、シリル化ウレタン系、ウレタンゴム系、ポリサルファイト系、アクリルゴム系などの合成系接着剤;並びにデンプン系、天然ゴム系、アスファルト、膠、アラビアガム、漆、カゼイン、大豆タンパク、松やになどの天然系接着剤;反応性ホットメルト接着剤などが挙げられる。
無機系接着剤としては、珪酸ソーダ、セメント系(ポルトランドセメント、漆喰、石膏、マグネシウムセメント、リサージセメント、歯科用セメントなど)及びセラミックなどを挙げることができる。
上記した接着剤の中でも、本電波吸収シートの可とう性、ミリ派帯域の電波吸収性の観点から合成系接着剤の使用が好ましい。
接着層(P)の膜厚としては特に制限されるものではないが、ミリ波帯域の電波吸収性の観点からは一般に100μm以下にあることができる。
本発明において、意匠層(D)は意匠性と共に耐候性を与え、また、水等の進入を防止することにより電波吸収シートの耐久性を向上させることを目的としている。また、本発明の実施形態においては、意匠層(D)及び接着層(P)が上述の如き誘電性粉末を含まないことが望ましいが、前記誘電性粉末を含むことを排除するものではない。
本発明の電波吸収シートにおいて、電波吸収下層(B)及び電波吸収上層(C)は、本発明範囲内にある限り、目的や用途に応じてさまざまな膜厚、比誘電率、組成を採用することができるが、特に好ましい態様として以下の2タイプに分類され、挙げることができる。
〔タイプ1〕
電波吸収上層(C)/電波吸収下層(B)膜厚比が3.0以下にあるミリ波帯域用電波吸収シート。
〔タイプ2〕
電波吸収上層(C)/電波吸収下層(B)膜厚比が、3.0を超えるミリ波帯域用電波吸収シート。
上記〔タイプ1〕の電波吸収シートにおいては、
電波吸収上層(C)/電波吸収下層(B)膜厚比としては1.3〜2.5の範囲内にあり、電波吸収下層(B)の膜厚としては、0.1〜1.5mm、好ましくは0.2〜1.2mm、さらに好ましくは0.4〜1.0mmの範囲内にあり、
電波反射上層(C)の膜厚としては0.3〜2.2mm、好ましくは0.5〜1.5mm、さらに好ましくは0.7〜1.2mmの範囲内にあり、
電波吸収下層(B)と電波吸収上層(C)の合計の膜厚としては0.5〜3.7mm、好ましくは1.0〜2.0mmの範囲内にあることが適している。
また、〔タイプ2〕の電波吸収シートにおいては、
電波吸収下層(C)/電波吸収下層(B)膜厚比としては3.0を超えること、好ましくは3.0を超えて且つ15以下の範囲内にあり、
電波吸収下層(B)の膜厚としては0.1〜1.5mm、好ましくは0.15〜0.3mmの範囲内にあり、
電波吸収上層(C)の膜厚としては0.3〜2.2mm、1.2〜2.15mm、好ましくは1.4〜2.1mmの範囲内にあり、
電波吸収下層(B)と電波吸収上層(C)の合計の膜厚としては、0.5〜3.7mm、好ましくは2.0を超えて且つ3.7mm以下の範囲内にあることが適している。
本発明は、上記した如き電波吸収シートを用いることによってミリ波帯域の電波を吸収する方法を提供するものである。
また、本発明は誤作動の電波障害を生じる原因となる電波反射体に、上記電波吸収シートを設置するか、または、前記電波反射体と電波受信装置との間に、上記電波吸収シートを設置する、電波障害の防止方法を提供するものである。
本発明の電波吸収シートを直接あるいは近傍に設置するための上記電波反射体としては、ミリ波帯域の電波が発生する環境にある物品・構造体であれば特に制限はない。
具体例として一例を挙げれば、中央分離帯、トンネル内壁、遮音壁、防音壁、道路標識、ガードレール、道路反射ミラー、電柱、信号機、交通標識、街路樹、道路照明灯柱等の自動車走行用道路近辺にある物品・構造体等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<電波吸収シートの製造>
実施例1
タテが30cm、ヨコが30cm、厚さが50μmのアルミニウム箔に、10μmシアノアクリレート系接着層を設け、EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンゴム)100部に対してマンガン−亜鉛系フェライト700部を混練りし、成型した膜厚550μmのシートを積層し、さらにその上にエチレンプロピレンジエンゴム100部に対してバリウム系フェライト300部を混練りし、成形した膜厚950μmのシートを積層し、さらにその上に、80μmの市販の白色マーキングフィルム(ファンタックシート:(株)カンペファンタックセンター)を貼り付けて電波吸収シート(X−1)を得た。
実施例2〜40及び比較例1〜11
上層、下層、意匠層の材質、厚さを表1〜表8記載の通りとする以外は実施例1と同様にして、シート状の電波吸収シート(X−2)〜(X−51)を得た。尚、表中PHRは結合剤100質量部に対する各成分の比率を意味する。
Figure 2018124131
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Figure 2018124131
(注)MnZnフェライト:マンガン・亜鉛系フェライト、平均粒子径0.7μm、
(注)絶縁カーボン:平均粒子径0.02μm、
(注)Siゴム:シリコン系樹脂、
(注)導電カーボン:平均粒子径(一次粒子径)34nm
(注)Baフェライト:バリウム系フェライト、平均粒子径2μm、
(注)MnNiフェライト:マンガン・ニッケル系フェライト、平均粒子径0.4μm、
(注)NiZnフェライト:ニッケル・亜鉛系フェライト、平均粒子径0.9μm、
(注)ストロンチウムフェライト:平均粒子径1.5μm、
(注)コバルトフェライト:平均粒子径1.2μm。
<評価試験>
上記実施例及び比較例で作成した電波吸収シート(X−1)〜(X−51)を下記基準、方法にて評価し、各電波吸収シートが有する性状値と共に表1〜表8に示した。尚、表1〜表8中、電波吸収下層(B)及び電波吸収上層(C)の比誘電率は、周波数79GHzのときの比誘電率を明細書記載の方法にて求めたものである。
(*)各電波吸収シートの電波吸収量測定
電波吸収量が−30dB以上の電波吸収体を部屋の壁面及び床面に設置した電波暗室にてミリ波電波吸収測定装置を用いて測定した。具体的には、電波吸収測定装置に備えられた送信用ホーンアンテナと受信用ホーンアンテナの入射及び反射角度が床面からの垂直面に対し、それぞれ10°となるように設置し、それぞれのアンテナから、45cmの距離となるように金属反射板を置き、反射してくる信号を受信用ホーンアンテナで受信してその電波反射率を100%とする。次に金属反射板を取除き反射してくる信号を受信用ホーンアンテナで受信してその電波反射率を0%とする。そして金属反射板を置いた位置に測定試料を置き、種々の周波数について測定試料表面から反射してくる電波反射量を測定し、周波数(GHz)を横軸とし、電波吸収量(dB)を縦軸とする電波吸収特性チャートを得た。図3に電波吸収特性チャートの一例を示す。
(*)ピーク周波数における電波吸収量
上記電波吸収量測定で得られた電波吸収特性チャートにおいて、最も電波吸収量が多い周波数をピーク周波数とし、該ピーク周波数における電波吸収量を求め、表中に記載した。尚、表中の電波吸収量は数値が低いほど、電波吸収量が多く、良好であることを意味する。
(*)電波吸収量が−20dB以上となる帯域幅
電波吸収量−20dBにおける、最大吸収周波数fuと最小吸収周波数flとの差であり、次式で表される。bw=fu−fl
表中の数値が大きいほどミリ波領域での帯域幅が広いことを意味し、良好である。尚、表中「−」の記号は電波吸収量が−20dBに達していないために、幅が測定できないことを意味する。
(*)可とう性
各電波吸収シート(X−1)〜(X−51)を電波反射層が下となるように180°手で折り曲げ、折り曲げ作業性と折り曲げ部の表面状態を下記基準にて評価した。
A:折り曲げ作業性は良好であり、折り曲げ部に破損が全く認められない、
B:折り曲げ作業性は良好であるが、折り曲げ部に破損が若干認められる、
C:折り曲げ作業が困難であり、折り曲げ部に著しい破損が認められる。
(考察)
表1の結果より、本発明の効果について以下に考察する。
実施例1〜40は本発明で規定した範囲内の電波吸収シートである。
比較例1及び2は電波吸収下層(B)の膜厚が本発明で規定した範囲を外れる電波吸収シートである。
比較例3及び4は電波吸収上層(C)の膜厚が本発明で規定した範囲を外れる電波吸収シートである。
比較例5は電波吸収下層(B)に含まれるマンガン・亜鉛フェライトの含有量を減量し、電波吸収下層(B)の比誘電率実数部が本発明で規定する範囲を下回る電波吸収シートである。
比較例6は電波吸収下層(B)に含まれるマンガン・亜鉛フェライトの含有量を増量し、電波吸収下層(B)の比誘電率虚数部絶対値が本発明で規定する範囲を超える電波吸収シートである。
比較例7は、電波吸収上層(C)に含まれるマンガン・ニッケルフェライトの含有量を増量し、電波吸収上層(C)の比誘電率実数部が本発明で規定する範囲を超える電波吸収シートである。
比較例8は、電波吸収上層(C)に含まれる絶縁カーボン含有量を減量し、電波吸収上層(C)の比誘電率実数部が本発明で規定する範囲を下回る電波吸収シートである。
比較例9は、電波吸収上層(C)を備えていない電波吸収シートである。
比較例10は、電波吸収下層(B)を備えていない電波吸収シートである。
比較例11は、電波吸収下層(B)と電波吸収上層(C)の配列順序を入れ替えた電波吸収シートである。
以上により調製された電波吸収シートによるミリ波帯域の電波吸収特性及び可とう性試験結果より、以下のことが言える。
電波吸収シートが電波反射層(A)、電波吸収下層(B)及び電波吸収上層(C)をすべて備えるとともに配置関係が規定どおりであり、電波吸収下層(B)と電波吸収上層(C)の比誘電率及び膜厚が本発明所定の範囲内にある限り、ミリ波吸収特性に極めて優れ、帯域幅が広く、そして可とう性に優れた電波吸収シートが得られる。
電波吸収下層(B)または電波吸収上層(C)がいずれか一方でも膜厚の条件を満たさない場合は、電波吸収シートのミリ波吸収特性が発揮できないが、電波吸収下層(B)及び電波吸収上層(C)の双方の膜厚が本発明規定の範囲にあるときに限り、ミリ波電波吸収性と帯域幅が飛躍的に増大する。(実施例1と、比較例1、2、3、4との対比)
電波吸収下層(B)または電波吸収上層(C)がいずれか一方でも誘電率の条件を満たさない場合は、電波吸収シートのミリ波吸収特性が発揮できないが、電波吸収下層(B)及び電波吸収上層(C)の双方が誘電率が本発明規定の範囲にあるときに限り、ミリ波電波吸収性と帯域幅が飛躍的に増大する。(実施例1と、比較例5、6、7、8との対比)
電波吸収下層(B)または電波吸収上層(C)のいずれかがない電波吸収シートでは、ある程度のミリ波電波吸収性は有するがまったく不十分である。しかしながら、両者を組み合わせることによって、ミリ波電波吸収性と帯域幅が飛躍的に増大する。(実施例1と比較例9、10との対比)
即ち本発明は、
電波反射層(A)と、前記電波反射層(A)の上部に平行に配置された電波吸収下層(B)と、前記電波吸収下層(B)の上部に平行に配置された電波吸収上層(C)とを備えてなり、
前記電波吸収下層(B)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部が5〜45であり、虚数部の絶対値が0.5〜15の範囲内であり、前記電波吸収下層(B)の膜厚が0.10〜1.5mmの範囲内にあり、
前記電波吸収上層(C)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部が2〜20の範囲内であり、虚数部の絶対値が2未満であり、前記電波吸収上層(C)の膜厚が0.3〜2.2mmの範囲内にある、ミリ波帯域用電波吸収シート、並びに、この電波吸収シートを用いる、ミリ波帯域の電波吸収方法、に関する。
上記〔タイプ1〕の電波吸収シートにおいては、
電波吸収上層(C)/電波吸収下層(B)膜厚比としては1.3〜2.5の範囲内にあり、電波吸収下層(B)の膜厚としては、0.1〜1.5mm、好ましくは0.2〜1.2mm、さらに好ましくは0.4〜1.0mmの範囲内にあり、
電波吸収上層(C)の膜厚としては0.3〜2.2mm、好ましくは0.5〜1.5mm、さらに好ましくは0.7〜1.2mmの範囲内にあり、
電波吸収下層(B)と電波吸収上層(C)の合計の膜厚としては0.5〜3.7mm、好ましくは1.0〜2.0mmの範囲内にあることが適している。

Claims (16)

  1. 電波反射層(A)と、前記電波反射層(A)の上部に平行に配置された電波吸収下層(B)と、前記電波吸収下層(B)の上部に平行に配置された電波吸収上層(C)とを備えてなる、ミリ波帯域用電波吸収シートであって、
    前記電波吸収下層(B)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部が5〜45の範囲内であり、虚数部の絶対値が0.5〜15の範囲内であり、前記電波吸収下層(B)の膜厚が0.10〜1.5mmの範囲内にあり、
    前記電波反射上層(C)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部が2〜20の範囲内であり、虚数部の絶対値が2未満であり、前記電波反射上層(C)の膜厚が0.3〜2.2mmの範囲内にある、ミリ波帯域用電波吸収シート。
  2. 前記電波吸収下層(B)及び前記電波吸収上層(C)が、誘電性粉末及び結合剤を含むシートである、請求項1に記載の電波吸収シート。
  3. 前記電波吸収下層(B)が、前記電波吸収下層(B)に含まれる前記結合剤100質量部を基準として、前記誘電性粉末を100〜1000質量部含む、請求項2に記載の電波吸収シート。
  4. 前記電波吸収下層(B)が、前記電波吸収下層(B)に含まれる前記結合剤100質量部を基準として、前記誘電性粉末の成分の一部としてカーボンを1〜100質量部含む、請求項2または3に記載の電波吸収シート。
  5. 前記電波吸収上層(C)が、前記電波吸収上層(C)に含まれる前記結合剤100質量部を基準として、前記誘電性粉末を5〜800質量部含む、請求項2ないし4のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  6. 前記電波吸収上層(C)が、前記電波吸収上層(C)に含まれる前記結合剤100質量部を基準として、前記誘電性粉末の成分の一部としてカーボンを1〜50質量部含む、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  7. 前記電波吸収下層(B)と前記電波吸収上層(C)の膜厚比が、電波吸収上層(C)/電波吸収下層(B)膜厚比で1を超える、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  8. 前記電波吸収下層(B)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部が、前記電波吸収上層(C)の周波数79GHzにおける比誘電率の実数部よりも大きい、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  9. 前記電波吸収下層(B)の周波数79GHzにおける比誘電率の虚数部の絶対値が、前記電波吸収上層(C)の周波数79GHzにおける比誘電率の虚数部の絶対値よりも大きい、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  10. 前記電波吸収下層(B)と前記電波吸収上層(C)の膜厚を合計した合計膜厚が、0.6〜3.7mmの範囲内にある、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  11. 前記電波吸収下層(B)と前記電波吸収上層(C)の膜厚比が、電波吸収上層(C)/電波吸収下層(B)膜厚比で3.0以下にある、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  12. 前記電波吸収下層(B)と前記電波吸収上層(C)の膜厚比が、電波吸収上層(C)/電波吸収下層(B)膜厚比で3.0を越える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  13. さらに最表面の位置に意匠層(D)を備え、電波反射層(A)、電波吸収下層(B)、電波吸収上層(C)及び意匠層(D)の順に平行に配置されてなる、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  14. 各層間のうち、少なくとも1つの層間に接着層(P)を設けてなる、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  15. 請求項1ないし14のいずれか1項に記載の電波吸収シートを用いる、ミリ波帯域の電波吸収方法。
  16. 誤作動の電波障害を生じる原因となる電波反射体に、請求項1〜14のいずれか1項に記載の電波吸収シートを設置するか、または、前記電波反射体と電波受信装置との間に、請求項1〜14のいずれか1項に記載の電波吸収シートを設置する、電波障害の防止方法。
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