JPWO2018123175A1 - 熱転写シート - Google Patents

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Abstract

熱転写シートに印加する熱エネルギーを極めて高くしていった場合であっても、プリンタの内部において、被転写体と熱転写シートとが熱融着してしまうことを抑制できる熱転写シートを提供すること。
基材1の一方の面上に転写層10が設けられた熱転写シート100であって、熱転写シート供給手段201、加熱手段202、熱転写シート巻取り手段203、加熱手段202と熱転写シート巻取り手段203との間に位置する測定手段204、加熱手段202と測定手段204との間に位置する剥離手段205を有するプリンタ200を用い、印加エネルギー0.177mJ/dot、熱転写シート100の搬送速度28.2mm/sec.とする条件にて、被転写体300上に転写層10を転写しながら、被転写体300上に転写された転写層10を、熱転写シート100から50°の剥離角度で剥離したタイミングにおいて、測定手段204により測定される引張強度が0.29N/cm以下となる熱転写シート100とすることで上記課題を解決している。

Description

本発明は、熱転写シートに関する。
被転写体上に転写層を転写するための熱転写シートについては各種の形態が知られており、例えば、特許文献1〜3に提案がされているような(i)基材の一方の面上に転写層としての熱溶融インキ層が設けられた熱転写シート、(ii)基材の一方の面上に転写層としての受容層が設けられた熱転写シート(中間転写媒体と称される場合もある)、(iii)基材の一方の面上に転写層としての保護層(剥離層と称される場合もある)が設けられた熱転写シート(保護層転写シートと称される場合もある)、(iv)これらの構成を適宜組合せた熱転写シート、例えば、基材の一方の面上に、当該基材側から、剥離層、受容層がこの順で積層されてなる積層構成の転写層が設けられた熱転写シートや、基材の同一面上に熱溶融インキ層と保護層が面順次に設けられた熱転写シート等が知られている。また、特許文献4に提案がされているような、基材上に、受容層、隠蔽層がこの順で積層されてなる(受容層と、隠蔽層との積層体が転写層となる)熱転写シートが知られている。特許文献4に提案がされている熱転写シートによれば、被転写体上に転写層を転写することで、その最表面に受容層が位置する熱転写受像シートを得ることができる。これらの熱転写シートの転写層は、被転写体と熱転写シートとを重ね合わせ、サーマルヘッドや、加熱ロール等の加熱手段により基材の他方の面を加熱することにより被転写体上に転写される。
近時、高速印画適性に優れたプリンタに対する市場の要求は高く、プリンタの内部において、被転写体上に転写層を転写するときに熱転写シートに印加されるエネルギー(熱エネルギーや、印加エネルギー等と称される場合もある)は増加の一途をたどっている。なお、熱転写シートの転写層の転写に用いられるプリンタとしては、熱転写シートにエネルギーを印加して転写層を溶融或いは軟化させ、この転写層が固化する前に、被転写体上に転写済みの転写層のみを熱転写シートから剥離する熱時剥離方式のプリンタと、転写層が固化した後に、被転写体上に転写済みの転写層のみを熱転写シートから剥離する冷時剥離方式のプリンタが知られている。
被転写体上への転写層の転写は、被転写体と熱転写シートの転写層とを密着させた状態で、熱転写シートにエネルギーを印加して被転写体上に転写層を転写し、被転写体上に転写済みの転写層を熱転写シートから剥離することにより行われる。ところで、転写層の剥離性(転写層の転写性と称される場合もある。)が低い場合には、被転写体上に熱転写シートの転写層を転写する際に、被転写体と熱転写シートとが熱融着しやすくなる。なお、被転写体と熱転写シートとが熱融着した場合には、具体的には、熱転写シートから被転写体上に転写された転写層を剥離できなくなる程度まで、被転写体と熱転写シートとが貼りついた場合、例えば、基材上に直接的に転写層が設けられた熱転写シートを用いて被転写体上に転写層を転写する際に、転写層と基材との意図しない熱融着が生じた場合には、プリンタの内部において、熱転写シートが破断してしまう、或いはプリンタ内部において、熱転写シートの搬送異常(JAMと称される場合もある)を引き起こすといった問題が生じやすくなる。特に、転写層を転写するときに熱転写シートに印加されるエネルギーが高くなるにつれ、転写層の剥離性は低くなり、被転写体と熱転写シートとの熱融着や、熱融着に起因する搬送異常の発生頻度は高くなっていく傾向にある。
また、転写層の剥離性が低い場合には、熱転写シートから転写層を剥離するときに、本来であれば、転写層と、当該転写層と直接的に接している熱転写シートの構成部材との間で剥離されるべき転写層が、転写層を構成する層間で剥離してしまい、被転写体上に転写されるべき転写層の全部、或いは一部が基材側に残存してしまう転写不良が生じやすくなる。また、このような転写不良が生じない場合であっても、転写層の剥離性が低い場合には、転写時に、転写界面側の転写層の表面が荒れてしまい、換言すれば、転写界面側に位置する転写層の面の平滑性が低くなり、これに起因する種々の問題が生じやすくなる。
このような状況下、転写層の剥離性を向上させるための種々の研究がなされているが、熱転写シートに高いエネルギーを印加していったときの転写層の剥離性については改善の余地が残されている。
特開平9−290576号公報 特開平11−263079号公報 特開2001−246845号公報 特開平6−122281公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、被転写体上に転写層を転写するときに熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合であっても、転写層の剥離性が良好な熱転写シートを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面上に転写層が位置する熱転写シートであって、前記熱転写シートは、前記熱転写シートと被転写体とを重ね合わせ、熱転写シート供給手段、加熱手段、熱転写シート巻取り手段、前記加熱手段と前記熱転写シート巻取り手段との間に位置し搬送経路に沿って搬送される熱転写シートの引張強度を測定する測定手段、前記加熱手段と前記測定手段との間に位置する剥離手段を有するプリンタを用い、印加エネルギー0.177mJ/dot、熱転写シートの搬送速度28.2mm/sec.とする条件にて、前記被転写体上に前記転写層を転写しながら、前記被転写体上に転写された前記転写層を前記熱転写シートから50°の剥離角度で剥離したタイミングにおいて、前記測定手段により測定される引張強度が0.29N/cm以下であることを特徴とする。
また、前記条件にて測定される前記引張強度と、前記条件のうち前記印加エネルギーを0.177mJ/dotから0.169mJ/dotに変更したときに測定される引張強度との差の絶対値が、0.25N/cm以下であってもよい。
また、前記転写層は、受容層のみからなる単層構成、又は受容層を含む積層構成を呈しており、前記転写層が前記積層構成を呈する場合には、前記受容層を、前記基材から最も近くに位置する層としてもよい。
本発明の熱転写シートによれば、熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合であっても、転写層の剥離性を良好なものにできる。
一実施形態の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 一実施形態の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 一実施形態の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 実施形態Aの熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 実施形態Aの熱転写シートの使用形態の一例を示す概略断面図である。 実施形態Aの熱転写シートの使用形態の一例を示す概略断面図である。 一実施形態の熱転写シートの転写層を転写するときに用いられるプリンタの一例を示す概略図である。
<<熱転写シート>>
以下、本発明の一実施形態の熱転写シート(以下、一実施形態の熱転写シートと言う場合がある)について詳細に説明する。図1〜図3は、一実施形態の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。図1〜図3に示すように、一実施形態の熱転写シート100は、基材1と、当該基材1から剥離可能に設けられた転写層10とを備える。
熱転写シートの転写層を被転写体上に転写するときに生じ得る問題の一つとして、被転写体と熱転写シートとの熱融着が挙げられる。なお、本願明細書で言う被転写体と熱転写シートとの熱融着とは、被転写体と熱転写シートとを重ね合わせ、熱転写シート側からサーマルヘッド等の加熱手段によりエネルギーを印加して、被転写体上に熱転写シートの転写層を転写し、被転写体上に転写された転写層のみを熱転写シートから剥離するときに、本来であれば、熱転写シート側に残存すべき熱転写シートの構成部材が、被転写体上に転写された転写層と一体化してしまい、被転写体上に転写された転写層のみを熱転写シートから剥離できない現象を意味する。例えば、基材上に直接的に転写層が設けられた熱転写シートを用いたときに、被転写体上に転写された転写層を基材から剥離できない程度まで基材と転写層とが一体化してしまう現象を意味する。或いは、被転写体上に転写された転写層のみを熱転写シートから剥離できたとしても、当該転写層の剥離時において異音等が生じる程度まで熱転写シートの構成部材が、被転写体上に転写された転写層と一体化してしまう現象を意味する。なお、被転写体と熱転写シートとが熱融着した場合には、プリンタ内での搬送異常や、転写不良等を引き起こす要因となる。また、高速印画適性に対応すべく、被転写体上に転写層を転写する際に、熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合や、熱時剥離方式のプリンタを用いた場合等に、被転写体と熱転写シートとが熱融着しやすくなる傾向にある。
被転写体上に熱転写シートの転写層を転写するときに生じ得る被転写体と熱転写シートとの熱融着を抑制するべく各種の試み、例えば、転写層の耐熱性を向上させる試みや、熱転写シートからの転写層の剥離性を向上させる試み等がなされている。しかしながら、これらの対策がなされたことにより、所定の転写条件下においては被転写体と熱転写シートとの熱融着を抑制できても、転写層を転写するときに熱転写シートに印加する熱エネルギーを高くしていった場合には、被転写体と熱転写シートとの熱融着を十分に抑制できるまでには至っていないのが現状である。
また、被転写体と熱転写シートとの熱融着は、被転写体上に転写された転写層10を、熱転写シートを構成する構成部材のうち当該転写層と直接的に接する構成部材から剥離するときの剥離力、例えば、基材1上に転写層10が直接的に設けられている場合には、基材1から剥離するときの剥離力と密接的な関係を有しており、当該剥離力を小さくしていくことで、かかる被転写体と熱転写シートとの熱融着を抑制できるものと推察される。ところで、被転写体上に転写された転写層10を、転写層と接する構成部材から剥離するときの剥離力を、プリンタ内において正確に測定することは困難な状況にあり、被転写体と熱転写シートとの熱融着が発生する剥離力の臨界値を見出すことはできないといった問題がある。この点について検討したところ、プリンタ内において、被転写体上に転写された転写層10を、転写層と接する構成部材から剥離するときの剥離力は、当該剥離時に熱転写シートにかかる引張強度と相関関係にあり、剥離時に熱転写シートにかかる引張強度と、被転写体と熱転写シートとの熱融着との関係も密接的な関係にあることを見出した。以下、熱転写シートを構成する構成部材のうち転写層と直接的に接する構成部材が基材である場合を中心に説明するが、一実施形態の熱転写シートは、基材と転写層とが直接的に接している形態に限定されるものではなく、基材と転写層との間に任意の層を設けることもできる。この場合には、当該任意の層が転写層と直接的に接する構成部材となる。以下、特に断りがある場合を除き、被転写体上に転写された転写層10を、転写層と接する熱転写シート100の構成部材から剥離することを、単に、転写層10を熱転写シート100から剥離すると称する。
そこで、一実施形態の熱転写シート100は、当該熱転写シート100と被転写体とを重ね合わせ、図7に示すように、熱転写シート供給手段201、加熱手段202、熱転写シート巻取り手段203、加熱手段202と熱転写シート巻取り手段203との間に位置し搬送経路に沿って搬送される熱転写シートの引張強度を測定する測定手段204、加熱手段202と測定手段204との間に位置する剥離手段205を有するプリンタ200を用い、印加エネルギー0.177mJ/dot、熱転写シートの搬送速度28.2mm/sec.とする条件にて、被転写体300上に転写層10を転写しながら、被転写体300上に転写された転写層10を熱転写シート100から50°の剥離角度で剥離したタイミングにおいて、測定手段204により測定される引張強度が0.29N/cm以下であることを特徴としている。
本願明細書で言う印加エネルギー(mJ/dot)とは、下式(1)により算出される印加エネルギーであり、式(1)中の印加電力[W]は、下式(2)により算出できる。
印加エネルギー(mJ/dot)=W×L.S.×P.D.×エネルギー階調値・・・(1)
(式(1)中の[W]は印加電力、[L.S.]はライン周期(msec./line)、[P.D.]はパルスDutyを意味する)
印加電力(W/dot)=V/R・・・(2)
(式(2)中の[V]は印加電圧、[R]は加熱手段の抵抗値を意味する。)
また、本願明細書で言う熱転写シートの搬送速度(mm/sec.)は、下式(3)により算出される搬送速度である。
搬送速度(mm/sec.)=(25.4/(副走査方向の印字密度(dot/inch)×ライン周期(msec./line)))×1000・・・(3)
(式(3)中の25.4は、inchを、mmに換算するための数値である。)
また、本願明細書でいう、測定手段により測定される引張強度(N/cm)とは、上記条件にて測定手段により測定される応力(N)を、熱転写シートの加熱幅(cm)で除した値である。
以下、基材1から被転写体300上に転写済みの転写層10を剥離するときの条件、具体的には、熱転写シート供給手段201、加熱手段202、熱転写シート巻取り手段203、加熱手段202と熱転写シート巻取り手段203との間に位置し搬送経路に沿って搬送される熱転写シート100の引張強度を測定する測定手段204、加熱手段202と測定手段204との間に位置する剥離手段205を有するプリンタ200を用い、印加エネルギー0.177mJ/dot、熱転写シートの搬送速度28.2mm/sec.とする条件にて、被転写体300上に転写層10を連続的に転写しながら、被転写体300上に転写された転写層10を、熱転写シート100から50°の剥離角度で剥離する条件のことを総称して、「特定の測定条件」と言う。
上記特徴を有する一実施形態の熱転写シートによれば、「特定の測定条件」における熱転写シートの引張強度が0.29N/cm以下であるとの条件を満たすだけで、転写層10を転写するときの各種の条件に影響を受けることなく、転写層10の剥離性を良好なものにできる。これにより、被転写体300上に熱転写シート100の転写層10を転写するときに生じ得る、被転写体と熱転写シートとの熱融着を抑制できる。具体的には、高速印画適性に対応すべく、熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合、換言すれば、印加電力を高くしていった場合であっても、被転写体と熱転写シートとの熱融着を抑制できる。
より具体的には、高速印画適性に対応すべく、熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合には、被転写体と転写層との密着性が高くなり、被転写体と熱転写シートとが熱融着しやすくなる傾向にあるものの、「特定の測定条件」における熱転写シートの引張強度を0.29N/cm以下とした一実施形態の熱転写シートによれば、熱転写シート100から、転写層10を容易に剥離でき、被転写体と熱転写シートとの熱融着を抑制できる。
さらに、転写層10の剥離性を良好なものとすることを可能とした一実施形態の熱転写シート100によれば、転写層10を、熱転写シートの転写層10と接する構成部材から剥離するときに、当該構成部材と接する側の転写層10の表面に面荒れが生ずることを抑制できる。換言すれば、転写界面側に位置する転写層10の表面に面荒れが生ずることを抑制できる。これにより、例えば、転写層を構成する層のうち、転写界面に位置する層を受容層とした場合においては、受容層の染料染着性を良好なものにでき、また、転写界面に位置する層を保護層とした場合においては、転写層10の光沢度を良好なものにできる。
被転写体300上に、熱転写シート100の転写層10を転写する際に用いられるプリンタ200は、上記「特定の測定条件」を実現可能であれば、転写層10を溶融或いは軟化させ、この転写層が固化する前に、転写済みの転写層10を熱転写シート100の基材1から剥離する熱時剥離方式のプリンタであってもよく、転写層10が固化した後に、転写済みの転写層10を熱転写シート100の基材1から剥離する冷時剥離方式のプリンタであってもよい。
また、一実施形態の熱転写シートは、上記「特定の測定条件」において測定される引張強度と、上記「特定の測定条件」のうち、印加エネルギーを0.177mJ/dotから0.169mJ/dotに変更したときに測定される引張強度との差の絶対値は、0.25N/cm以下であることが好ましく、0.1N/cm以下であることがより好ましく、0.05N/cm以下であることがさらに好ましい。この形態の熱転写シートによれば、広いエネルギー範囲において、転写層10の剥離性のさらなる向上を図ることができる。特には、上記「特定の測定条件」で測定される引張強度が、0.2N/cm以下であって、且つ、上記引張強度の差の絶対値が、0.1N/cm以下であることが好ましい。
(プリンタ)
次に、上記「特定の測定条件」にて、被転写体300上に転写層10を転写し、被転写体上に転写された転写層10を、熱転写シート100の基材1から剥離する際に用いられるプリンタについて説明する。
図7に示すように、上記「特定の測定条件」で用いられるプリンタ200は、熱転写シート100を所定の経路に沿って搬送する熱転写シート供給手段201としての熱転写シート供給ローラ、及び熱転写シート巻取り手段203としての巻上げローラ、熱転写シート100の背面側を加熱して被転写体300上に転写層10を転写する加熱手段202としてのサーマルヘッド、被転写体300を転写層10が転写される位置に移動可能なプラテンローラ206、加熱手段202と熱転写シート巻取り手段203との間に位置し、被転写体300上に転写層10を転写した後に、基材1から当該被転写体300上に転写された転写層10を剥離する剥離手段205としての剥離板、熱転写シート100の搬送経路上であって、加熱手段202(剥離手段205)と熱転写シート巻取り手段203との間に位置し、被転写体300上に転写層10を連続的に転写しながら、基材1から当該被転写体300上に転写された転写層10を剥離するときに熱転写シートにかかる引張強度を測定する測定手段204としてのテンションメータを備えている。
上記「特定の測定条件」で用いられるプリンタ200は、熱転写シート100の搬送経路上であって、加熱手段202と熱転写シート巻取り手段203との間に位置し、被転写体300上に転写層10を転写しながら、当該被転写体300上に転写された転写層10を50°の剥離角度で熱転写シート100から剥離するときの熱転写シートの引張強度を測定する測定手段204を備えている点を除き、従来公知のプリンタを適宜設定して用いることができる。
測定手段204としては、搬送経路を走行中の熱転写シートの引張強度を測定できるものであればよく、テンションメータ(ASK−1000型 大倉インダストリー(株))を使用できる。なお、本願明細書で言う引張強度は、張力と同義であり、引張強度の値は、被転写体300上に転写層10を転写した後に、基材1から当該被転写体300上に転写された転写層10を剥離するときの剥離力の実質的な値を示している。加熱手段202と熱転写シート巻取り手段203との間に、測定手段204を位置させたプリンタ200によれば、剥離手段205によって、被転写体300上に転写層10を転写しながら、被転写体300上に転写された転写層10を、熱転写シート100から50°の剥離角度で剥離するタイミングでの熱転写シートの引張強度の測定が可能となる。具体的には、被転写体300上に転写層10を連続的に転写しながら、当該被転写体上に転写された転写層10を、熱転写シートから50°の剥離角度で連続的に剥離していくことで、転写層10を、熱転写シート100の当該転写層10と接する構成部材から剥離していくときの実質的な剥離力の測定が可能となる。
次に、上記「特定の測定条件」における引張強度が0.29N/cm以下となる熱転写シート100の具体的な構成について一例を挙げて説明する。なお、一実施形態の熱転写シート100は、上記「特定の測定条件」における引張強度が0.29N/cm以下であるとの条件を満たすものであればよく、これ以外の条件についていかなる限定もされることはない。また、上記「特定の測定条件」における引張強度が0.29N/cm以下に調整するための具体的な手段についても限定はなく、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下にできるあらゆる手段を適用できる。以下、引張強度を0.29N/cm以下とするための具体的な手段について一例を挙げて説明するが、この手段に限定されるものではない。
(第1の手段)
第1の手段は、転写層10に含有せしめる成分を適宜選択して、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下となるように調整する手段である。具体的には、転写層を構成する層のうち、転写界面に位置する層の剥離性を向上させる手段である。
例えば、図4に示すように、基材1上に、当該基材1側から受容層2、接着層5がこの順で積層されてなる積層構成の転写層10を設ける場合には、転写界面に位置する受容層2に含有せしめる適切な樹脂材料を選択することで、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整できる。一例としては、受容層2に、樹脂材料として、セルロース系樹脂を含有せしめ、受容層中における、セルロース系樹脂の含有量を適宜調整することにより、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整できる。セルロース系樹脂としては、セルロースアセテートブチレート(CAB)や、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等を好適に用いることができる。一例としては、数平均分子量(Mn)が70000未満、好ましくは55000以下、特に好ましくは40000以下のセルロース系樹脂を受容層に含有せしめ、この含有量を適宜調整し、また、これと併せて、受容層2の厚み、基材1の厚み等を適宜調整することで、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整できる。なお、数平均分子量(Mn)とは、ポリスチレンを標準物質とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した値を意味し、JIS−K−7252−1(2008)に準拠した方法により測定される分子量を意味する。
セルロース系樹脂を含有する受容層2とする場合の、受容層の厚みは、0.3μm以上5μm以下の範囲が好ましい。
これ以外にも、転写層10に含有せしめる樹脂材料と、離型剤とを組合せて、具体的には、転写層10を構成する層のうち、転写界面に位置する層に含有せしめる樹脂材料や、離型剤の種別、またこれらの含有量等を適宜調整することにより、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整することもできる。離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス等のワックス類、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱硬化性エポキシ−アミノ共重合体、及び熱硬化性アルキッド−アミノ共重合体(熱硬化性アミノアルキド樹脂)等を挙げることができる。
また、第1の手段において、基材の熱収縮率を考慮し、基材として、その熱収縮率が、10%以下、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは4%以下の基材を用いることで、上記「特定の測定条件」のうち、印加エネルギーを0.177mJ/dotから0.169mJ/dotに変更したときに測定される引張強度を0.2N/cm以下にできる。また、上記「特定の測定条件」において測定される引張強度と、上記「特定の測定条件」のうち、印加エネルギーを0.177mJ/dotから0.169mJ/dotに変更したときに測定される引張強度との差の絶対値を上記好ましい範囲にできる。
本願明細書でいう、基材の熱収縮率(%)は、JIS−C−2151(2006)に準拠した方法により測定したときの熱収縮率である。具体的には、基材のMD方向の長さ(試験前の基材のMD方向の長さ)を測定し、この基材を、熱風循環式恒温槽内において、無荷重の状態で、190℃、20分懸垂する。その後、この基材を室温まで冷却したのちに、冷却後の基材のMD方向の長さ(試験後の基材のMD方向の長さ)を測定する。熱収縮率(%)は、試験前の基材のMD方向の長さをL、試験後の基材のMD方向の長さをLとしたときに、100×((L−L)/L)により算出される値である。
また、熱収縮率(%)を上記好ましい範囲とした基材1を、以下の第2の手段〜第4の手段と組み合わせることもできる。
(第2の手段)
第2の手段は、熱転写シートを構成する構成部材や、転写層10の厚み、例えば、基材1の厚み、転写層10の厚み、基材1の他方の面上に設けられる任意の層の厚み、例えば、背面層の厚みを適宜調整して上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下となるように調整する手段である。具体的には、基材1、転写層10を構成する層、及び任意の層のうちの1つ、又は複数の層の厚みを厚くする手段である。第2の手段によれば、基材1の他方の面側から印加されるエネルギーが転写層10に伝達されるエネルギーの伝達効率を抑え、これにより、上記「特定の測定条件」における引張強度が0.29N/cm以下となるように調整できる。また、基材1や、基材1の他方の面上に設けられる任意の層の厚みを調整する方法にかえて、基材1や、基材1の他方の面上に設けられる任意の層の材料として、エネルギーの伝達効率が低い材料を用いることで、基材1の他方の面側に印加されたエネルギーが、転写層10に伝達されるまでのエネルギーの伝達効率を抑えることもできる。
(第3の手段)
第3の手段は、基材1と転写層10との間に、転写層10の転写性を向上させる任意の層を設け、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整する手段である。任意の層としては、例えば、離型層等を挙げることができる。なお、第3の手段のみによって、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整することは難しく、引張強度の調整の観点からは、第3の手段は、上記第1の手段や、第2の手段により引張強度を調整する補助的な手段として、或いは、後述する第4の手段と組合せて用いること好ましい。また、離型層の材料とともに、離型層の厚みを厚くする等の対策により引張強度の調整を図ることもできる。なお、離型層は、転写層10を構成しない層であり、転写層10の転写時に、熱転写シート側に残る層である。
(第4の手段)
第4の手段は、転写層10自体の耐熱性を考慮して、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整する手段である。転写層の耐熱性を向上させる手段としては、例えば、硬化剤によって硬化された硬化樹脂を含有せしめる方法等を挙げることができる。なお、第4の手段のみによって、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整することは難しく、引張強度の調整の観点からは、第4の手段は、上記第1の手段や、第2の手段により引張強度を調整する補助的な手段として、或いは上記第3の手段と組合せることが好ましい。
また、転写層10自体の耐熱性を向上させることにかえて、或いはこれとともに、基材1の他方の面上に設けられる任意の層の耐熱性を向上させてもよい。
また、上記第1の手段〜第4の手段を適宜組合せて、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整することもできる。また、これ以外の方法と組合せて上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整することもできる。
以下、一実施形態の熱転写シート100の構成について一例を挙げて説明するが、一実施形態の熱転写シート100は、上記で説明した手段等を用いて、上記「特定の測定条件」における引張強度が0.29N/cm以下となるように調整されている点を特徴とするものであり、これ以外の条件については、以下の記載に限定されるものではない。
(基材)
基材1は、一実施形態の熱転写シート100における必須の構成であり、当該基材1の一方の面上に設けられる転写層10を保持するために設けられる。基材1の材料について特に限定はないが、転写層10を被転写体上に転写する際に加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材1として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。
基材1の厚みについて特に限定はないが、2.5μm以上10μm以下の範囲が好ましい。
また、基材1と転写層10との密着性を調整すべく、基材1の表面に各種の表面処理、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等を施すこともできる。
(転写層)
図1〜図3に示すように、基材1の一方の面上には、当該基材1から剥離可能な転写層10が設けられている。転写層10は、一実施形態の熱転写シート100における必須の構成である。
一実施形態の熱転写シート100で言う転写層10とは、熱転写時に基材1から剥離され被転写体に転写される層を意味する。転写層10は、最終的に、上記「特定の測定条件」における熱転写シートの引張強度が0.29N/cm以下との条件を満たせば、その層構成や、転写層が含有する成分についていかなる限定もされることはない。図1、図2に示すように、転写層10は、2以上の層が積層されてなる積層構成を呈するものであってもよく、図3に示すように、転写層10は単層構成を呈していてもよい。以下、一実施形態の熱転写シート100を構成する転写層10について一例を挙げて説明する。
(実施形態Aの転写層)
一実施形態の熱転写シートにおける実施形態Aの転写層10(以下、実施形態Aの転写層と言う)は、図1に示すように、基材1側から受容層2、接着層5がこの順で積層されてなる積層構成を呈している。また、図1に示す形態にかえて、受容層2と接着層5との間に保護層(図示しない)を設けることもできる。また、図1に示す形態にかえて、受容層2のみからなる単層構成の転写層10とし、この受容層2自体に接着性を付与することもできる(図示しない)。実施形態Aの転写層10を備える熱転写シート100は、熱転写受像シートを形成するための熱転写シートである。接着層5としては、熱転写シートの分野において従来公知の接着層を適宜選択して用いることができる。また、第1の手段以外によって、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整する場合には、受容層2として、従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。
実施形態Aの熱転写シートは、転写層10を転写することで、最表面に受容層2が位置する熱転写受像シートを得るための熱転写シートである。実施形態Aの熱転写シートを用いて得られる熱転写受像シートの受容層2には、染料層の染料を移行させることにより熱転写画像を形成できる。なお、染料層の染料を移行して受容層に熱転写画像を形成するときの、受容層に対する染料の染着性は、染料層と対向する受容層2の表面の平滑性と関連性を有しており、受容層の表面の平滑性が高いほど、染料の染着性は良好となる。上記で説明したように、転写層10の剥離性を良好なものとした一実施形態の熱転写シートによれば、転写層10を、熱転写シートの転写層10と接する構成部材から剥離するときに、当該構成部材と接する側の転写層10の表面に面荒れが生ずることを抑制できる。したがって、実施形態Aの熱転写シートにおいては、受容層2の平滑性を高くした状態で、被転写体上に転写層を転写できる。これにより、実施形態Aの熱転写シートによれば、当該実施形態Aの熱転写シートを用いて、染料の染着性が良好な熱転写受像シートを得ることができる。
(実施形態Bの転写層)
一実施形態の熱転写シートにおける実施形態Bの転写層10(以下、実施形態Bの転写層と言う)は、図2に示すように、基材1側から、剥離層4、受容層2がこの順で積層されてなる積層構成を呈している。実施形態Bの転写層10を備える熱転写シート100は、当該熱転写シートの受容層に熱転写画像を形成し、熱転写画像が形成された受容層を含む転写層を被転写体上に転写して、印画物を得るための中間転写媒体としての機能を果たす。また、図2に示す形態にかえて、基材1の一方の面上に、基材1側から、剥離層(保護層と称される場合もある)、接着層がこの順で積層されてなる積層構成、或いは、基材1の一方の面上に、剥離層のみからなる単層構成の転写層を設けた熱転写シートとすることもできる。この形態の熱転写シートは、被転写体上に転写層を転写して、被転写体の耐久性を向上させる保護層転写シートとしての機能を果たす。
実施形態A、及び実施形態Bの転写層10においては、上記第1の手段の如く、転写層10を構成し、転写界面に位置する層に含有せしめる成分等を考慮して、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整してもよく、また、上記第2の手段によって、或いは、第1の手段〜第4の手段を適宜組合せて引張強度が0.29N/cm以下となるように調整してもよい。
(実施形態Cの転写層)
一実施形態の熱転写シートにおける実施形態Aの転写層10(以下、実施形態Aの転写層と言う)は、図3に示すように、熱溶融インキ層7から構成される単層構成を呈している。実施形態Cの転写層10を備える熱転写シート100は、被転写体上に熱溶融インキ層7を層ごと転写して被転写体上に熱転写画像を形成する機能を果たす。
実施形態Cの転写層10においては、当該転写層10を構成する熱溶融インキ層7に含有される樹脂材料や、離型剤等の成分や、含有量を考慮して、上記「特定の測定条件」における引張強度を0.29N/cm以下に調整してもよく、また、上記第2の手段〜上記第4の手段を適宜選択して、転写層10の引張強度が0.29N/cm以下となるように調整してもよい。
また、基材1の同一面上に、転写層10と面順次に、他の層を設けることもできる。例えば、図4に示すように、基材1の同一面上に、転写層10と面順次に、不可視光線吸収材料含有層8を設けた構成としてもよい。図示する形態の熱転写シートの転写層10は、基材1側から受容層2、接着層5がこの順で積層されてなる積層構成を呈しているが、これ以外の形態の転写層10としてもよい。図4に示す実施形態Aの熱転写シートによれば、被転写体の一方の面上に、可視光下では視認できない、或いは視認しにくく、赤外光下或いは紫外光下で認識可能な不可視光線吸収材料を含有する画像50Aを形成できる(図5(a)参照)。また、不可視光線吸収材料を含有する画像50A上(図5(b)参照)、或いは、被転写体の他方の面上(図5(c)参照)に、熱転写受像シートとするための転写層10を転写できる。また、図4に示す形態の熱転写シートの転写層10を、被転写体上に転写して、熱転写受像シートを形成した後に、当該熱転写受像シートの受容層2上、或いは、受容層2が転写されている面とは反対側の面上に、不可視光線吸収材料を含有する画像を形成することもできる(図6(a)、(b)参照)。なお、図5、図6は、実施形態Aの熱転写シートの使用形態の一例を示す概略断面図である。
(不可視光線吸収材料含有層)
不可視光線吸収材料含有層8は、不可視光線吸収材料を含有している。本願明細書で言う不可視光線吸収材料とは、可視光を吸収せず、或いは殆ど吸収せず、赤外光や紫外光等で励起される材料を意味する。
不可視光線吸収材料としては、例えば、赤外線吸収材料や紫外線吸収材料を挙げることができる。なお、本願明細書で言う「赤外線」とは、極大吸収波長(λmax)領域が、750nm以上2000nm以下の波長領域を意味し、「紫外線」とは、極大吸収波長(λmax)領域が、280nm以上400nm以下の領域を意味する。
赤外線吸収材料としては、例えば、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ジチオール系有機金属錯体、シアニン系化合物、アゾ系化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、オキソール系化合物やカーボンブラック等を挙げることができる。不可視光線吸収材料含有層8は、これら赤外線吸収材料の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
紫外線吸収材料としては、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物等の有機系紫外線吸収材料や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等の無機系紫外線吸収材料等を挙げることができる。不可視光線吸収材料含有層8は、紫外線吸収材料の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
また、不可視光線吸収材料含有層8は、赤外線吸収材料と、紫外線吸収材料の双方を含有していてもよい。
また、不可視光線吸収材料含有層8は、上記不可視光線吸収材料とともに、バインダー樹脂を含有していてもよい。バインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂を挙げることができる。
また、不可視光線吸収材料含有層8は、上記不可視光線吸収材料とともに、顔料や、有機染料等を含有していてもよい。顔料としては、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン等の有彩色顔料や、中空粒子等、シリカ、酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、雲母チタン、白雲母、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、タルク等を挙げることができる。また、無機顔料からなるコアの周囲を有機顔料からなるシェルで被覆したコア・シェル顔料等を用いることもできる。有機染料としては、イエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料等を挙げることができる。
不可視光線吸収材料含有層8の厚みとしては、0.3μm以上5μm以下の範囲が好ましい。
また、上記不可視光線吸収材料含有層8に、顔料又は有機染料を含有せしめることにかえて、不可視光線吸収材料含有層8を、不可視光線吸収材料を含有する層と、顔料を含有する層との積層構成とすることもできる(図示しない)。
不可視光線吸収材料含有層8を積層構成とする場合において、不可視光線吸収材料を含有する層は、基材1から最も近くに位置させてもよく、基材1から最も遠くに位置させてもよく、不可視光線吸収材料含有層8を、不可視光線吸収材料を含有する層、顔料を含有する層、及び1つ、又は2つ以上の任意の層を含む積層構成とし、何れかの層間に不可視光線吸収材料を含有する層を位置させてもよい。顔料を含有する層についても同様である。
顔料を含有する層としては、上記で例示した有機顔料、無機顔料の少なくとも1種、及び必要に応じてバインダー等の添加材を含有している。バインダーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等を挙げることができる。また、バインダーとして、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスを用いることもできる。
顔料を含有する層の厚みについて特に限定はないが、0.1μm以上5μm以下の範囲が好ましく、0.5μm以上1.5μm以下の範囲がより好ましい。
(任意の層)
また、一実施形態の熱転写シート100は、転写層を構成しない任意の層を備えていてもよい。任意の層としては、基材1と転写層10との間に設けられ、転写層10の転写性を向上させるための離型層(図示しない)や、基材1の他方の面上に設けられ、耐熱性や、サーマルヘッド等の加熱部材の層構成を向上させるための背面層等を挙げることができる。これら任意の層は、上記第1の手段や、第2の手段による引張強度を調整するときの補助的な手段として設けることができる。
(被転写体)
一実施形態の熱転写シート100の転写層10が転写される被転写体について特に限定はなく、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネートを主体として構成されるプラスチックカード、熱転写受像シート、任意の対象物上に中間転写媒体の転写層が転写されてなる印画物等を挙げることができる。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部または%は質量基準である。
(実施例1)
基材として、厚みが5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、該基材の一方の面上に下記組成の受容層用塗工液1を、乾燥時の厚みが1μmとなるように、塗布・乾燥し受容層を形成した。次いで、この受容層上に、下記組成の接着層用塗工液を、乾燥時の厚みが1μmとなるように、塗布・乾燥し接着層を形成した。また、基材の他方の面上に、下記組成の背面層用塗工液1を、乾燥時の厚みが1μmとなるように、塗布・乾燥し、背面層を形成することで、基材の一方の面上に、当該基材側から受容層、接着層がこの順で積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例1の熱転写シートを得た。なお、厚みが5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、JIS−C−2151(2006)に準拠した方法により測定したときの熱収縮率は、2.95%であった。
<受容層用塗工液1>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 16.7部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・セルロースアセテートブチレート 1部
(CAB−381−0.5 イーストマンケミカル(株))
・有機変性シリコーン 1.8部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・有機変性シリコーン 0.5部
(KF−352A 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 40部
<接着層用塗工液>
・アクリル系樹脂 8部
(ダイヤナール(登録商標)BR−87 三菱レイヨン(株))
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 2部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・メチルエチルケトン 30部
・トルエン 30部
<背面層用塗工液1>
・ポリビニルブチラール樹脂 1.8部
(エスレック(登録商標)BX−1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート硬化剤 5.5部
(バーノック(登録商標)D750 DIC(株))
・リン酸エステル 1.6部
(プライサーフ(登録商標)A208N 第一工業製薬(株))
・タルク 0.35部
(ミクロエース(登録商標)P−3 日本タルク(株))
・ポリエチレンワックス 0.3部
・メチルエチルケトン 18.5部
・トルエン 18.5部
(実施例2)
厚みが5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、厚みが4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例2の熱転写シートを得た。なお、厚みが4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、JIS−C−2151(2006)に準拠した方法により測定したときの熱収縮率は、5.5%であった。
(実施例3)
厚みが5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、厚みが4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに変更し、受容層用塗工液1を、下記組成の受容層用塗工液2に変更して受容層を形成した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例3の熱転写シートを得た。なお、厚みが4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、JIS−C−2151(2006)に準拠した方法により測定したときの熱収縮率は、5.5%であった。
<受容層用塗工液2>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 15.7部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・セルロースアセテートブチレート 2部
(CAB−381−0.5 イーストマンケミカル(株))
・有機変性シリコーン 1.8部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・有機変性シリコーン 0.5部
(KF−352A 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 40部
(実施例4)
厚みが5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、厚みが4.3μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例4の熱転写シートを得た。なお、厚みが4.3μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、JIS−C−2151(2006)に準拠した方法により測定したときの熱収縮率は、3.15%であった。
(実施例5)
厚みが5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、厚みが5.7μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに変更し、受容層用塗工液1を、上記組成の受容層用塗工液2に変更して受容層を形成した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例5の熱転写シートを得た。なお、厚みが5.7μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、JIS−C−2151(2006)に準拠した方法により測定したときの熱収縮率は、2.8%であった。
(比較例1)
厚みが5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、厚みが4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに変更し、受容層用塗工液1を、下記組成の受容層用塗工液Aに変更して受容層を形成した以外は、全て実施例1と同様にして、比較例1の熱転写シートを得た。なお、厚みが4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、JIS−C−2151(2006)に準拠した方法により測定したときの熱収縮率は、5.5%であった。
<受容層用塗工液A>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 19部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 1部
(ソルバイン(登録商標)C 日信化学工業(株))
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 40部
(比較例2)
厚みが5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、厚みが4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに変更し、受容層用塗工液1を、上記組成の受容層用塗工液Aに変更して受容層を形成し、背面層用塗工液1を、下記組成の背面層用塗工液Aに変更して背面層を形成した以外は、全て実施例1と同様にして、比較例2の熱転写シートを得た。なお、厚みが4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、JIS−C−2151(2006)に準拠した方法により測定したときの熱収縮率は、5.5%であった。
<背面層用塗工液A>
・ポリビニルブチラール樹脂 6部
(#3000−4 デンカ(株))
・ポリイソシアネート硬化剤 8部
(バーノック(登録商標)D750−45 DIC(株))
・ステアリルリン酸亜鉛 3部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株))
・ステアリン酸亜鉛 3部
(SZ−PF 堺化学工業(株))
・タルク 1.5部
(ミクロエース(登録商標)P−3 日本タルク(株))
・ポリエチレンワックス 3部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株))
・メチルエチルケトン 62.92部
・トルエン 12.58部
(被転写体の作成)
厚み35μmの多孔質ポリオレフィンフィルム(SP−U 三井化学東セロ(株))上に、下記組成のプライマー層用塗工液を、乾燥時の厚みが1.5μmとなるように塗布・乾燥してプライマー層を形成し、次いで、プライマー層上に、下記組成の受容層用塗工液(i)をバーコーターにより、乾燥時の厚みが4μmとなるように塗布・乾燥して受容層を形成し、多孔質ポリオレフィンフィルム上に、プライマー層、受容層がこの順で積層された積層体を得た。次いで、厚み400μm(坪量310g/m2)の芯材紙(OKLカード 王子製紙(株))の一方の面上に、上記で得られた積層体を、貼合した。また、上記芯材紙の他方の面も同様に、多孔質ポリオレフィンフィルム上に、プライマー層、受容層がこの順で積層された積層体を貼合した。なお、芯材紙と積層体との添合は、下記組成の接着層用塗工液(i)(厚み4μm)により行った。これにより、芯材紙の両面に、当該芯材紙側から、多孔質ポリオレフィンフィルム、プライマー層、受容層が設けられた被転写体を得た。
(プライマー層用塗工液)
・ポリエステル樹脂 4.2部
(ポリエスター(登録商標)WR−905 日本合成化学工業(株))
・酸化チタン 8.4部
(TCA−888 堺化学工業(株))
・蛍光増白剤 0.07部
(ユビテックス(登録商標)BAC BASFジャパン社)
・イソプロピルアルコール 7.2部
・水 21部
(受容層用塗工液(i))
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部
(ソルバイン(登録商標)C 日信化学工業(株))
・シリコーンオイル 1部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・トルエン 20部
・酢酸エチル 20部
(接着層用塗工液(i))
・ポリオール樹脂 30部
(タケラック(登録商標)A−969V 三井化学(株))
・イソシアネート 10部
(タケネート(登録商標)A−5 三井化学(株))
・酢酸エチル 60部
(熱時引張強度の算出(熱時剥離力の算出))
上記で作成した各実施例、及び比較例の熱転写シートと、上記で作成した被転写体とを組合せ、下記熱時剥離タイプのテストプリンタ1を用いて被転写体上に、熱転写シートの転写層を転写しながら、当該転写された転写層を基材から剥離することで、被転写体上に転写層が設けられた各実施例、及び比較例の印画物を得た。この印画物を得るにあたり、被転写体上に転写された転写層を、基材から50°の剥離角度で剥離するタイミングにおける、熱転写シートの応力を、プリンタ内において、熱転写シートの巻取ロールと、加熱手段(サーマルヘッド)との間に設けられたテンションメータ(ASK−1000型 大倉インダストリー(株))により測定した。次いで、テンションメータにて測定された応力を、熱転写シートの加熱幅(エネルギーの印加幅)で除することで引張強度の値を算出した。また、上記テストプリンタ1において、印加エネルギーが、0.177mJ/dotから、0.169mJ/dotとなるように、テストプリンタ1の条件を変更(印加電圧を18.7Vから18.3Vに変更)したときの引張強度の値についても同様にして算出を行った。表1に引張強度の算出結果を示す。なお、テストプリンタ1の条件において、引張強度が0.29N/cm以下となる熱転写シートを実施例の熱転写シートとし、0.29N/cmより大きい熱転写シートを比較例の熱転写シートとしている。
(テストプリンタ1(熱時剥離タイプ))
・発熱体平均抵抗値:5045(Ω)
・主走査方向印字密度:300(dpi)
・副走査方向印字密度:300(dpi)
・印加電圧:18.7(V)
・ライン周期:3(msec.)
・パルスDuty:85(%)
・印画開始温度:29.0〜36.0(℃)
・発熱ポイントから剥離板までの距離:4.5(mm)
・印圧:3.5〜4.0(kgf)(34.3〜39.2(N))
・評価画像(エネルギー階調):255/255階調画像
・上式(1)により算出される印加エネルギー:0.177(mJ/dot)
・上式(3)により算出される搬送速度:28.2(mm/sec.)
(熱融着評価)
各実施例、及び比較例の熱転写シートと、上記で作成した被転写体との組合せにおいて、以下の評価基準に基づいて、上記熱時剥離タイプのテストプリンタ1を用いて、印加エネルギー0.177(mJ/dot)の条件で被転写体上に転写層を転写したときの熱融着の評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
「評価基準」
A:熱融着、及び剥離音の発生がなく、基材から転写層を良好に剥離できる。
B:熱融着の発生がなく、基材から転写層を良好に剥離できるが、剥離音が発生している。
NG:転写層の一部又は全部で熱融着が発生し、基材から転写層の一部又は全部を剥離できない。
(染料層を有する熱転写シートの作成)
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、上記組成の背面層用塗工液1を乾燥時の厚みが1μmとなるように塗布・乾燥して背面層を形成した。次いで、基材の他方の面に、下記組成の染料プライマー層用塗工液を乾燥時の厚みが0.15μmになるように塗布・乾燥して染料プライマー層を形成した。この染料プライマー層上に、下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン染料層用塗工液を、乾燥時の厚みが0.7μmとなるように面順次に塗布・乾燥して、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層を形成し染料層を有する熱転写シートを得た。
<染料プライマー層用塗工液>
・コロイダルアルミナ(固形分10.5%) 3.5部
(アルミナゾル200 日産化学工業(株))
・酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体 1.5部
(PVP/VA E−335 アイエスピー・ジャパン社)
・水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
<イエロー染料層用塗工液>
・ソルベントイエロー93 2.5部
・ディスパースイエロー201 2.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・有機変性シリコーンオイル 0.04部
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 50部
<マゼンタ染料層用塗工液>
・ディスパースレッド60 3部
・ディスパースバイオレット26 3部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・有機変性シリコーンオイル 0.05部
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 50部
<シアン染料層用塗工液>
・ソルベントブルー63 3部
・ディスパースブルー354 4部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・有機変性シリコーンオイル 0.05部
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 50部
(染料染着性評価)
上記熱融着評価で得られた、各実施例、及び比較例の印画物の転写層上(各実施例、及び比較例の熱転写シートの転写層を構成する受容層上)に、上記で作成した染料層を有する熱転写シートのイエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層を用いて、ブラック画像(0/255階調)を形成した。形成したブラック画像を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて、染料染着性の評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。なお、画像に濃淡ムラが発生していないということは、転写層を剥離するときの剥離性が良好であり、受容層の表面の平滑性が高い(受容層が正常に転写されている)ことを意味する。
「評価基準」
A:ブラック画像に濃淡ムラが発生していない。
NG:ブラック画像に濃淡ムラが発生している。
Figure 2018123175
1…基材
2…受容層
4…剥離層
5…接着層
7…熱溶融インキ層
8…不可視光線吸収材料含有層
10…転写層
100…熱転写シート
200…プリンタ
201…熱転写シート供給手段
202…加熱手段
203…熱転写シート巻取り手段
204…測定手段
205…剥離手段
300…被転写体
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面上に転写層が位置する熱転写シートであって、前記転写層は、受容層のみからなる単層構成、又は転写界面に位置する受容層を含む積層構成を呈しており、前記受容層が、セルロースアセテートブチレート、及びセルロースアセテートプロピオネートの何れか一方、又は双方と、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体と、を含有している。
また、上記の熱転写シートは、前記受容層が、シリコーンオイルをさらに含有していてもよい。
また、上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面上に転写層が位置する熱転写シートであって、前記転写層は、受容層のみからなる単層構成、又は転写界面に位置する受容層を含む積層構成を呈しており、前記受容層が、セルロースアセテートブチレート、及びセルロースアセテートプロピオネートの何れか一方、又は双方を含有しており、前記熱転写シートと被転写体とを重ね合わせ、熱転写シート供給手段、加熱手段、熱転写シート巻取り手段、前記加熱手段と前記熱転写シート巻取り手段との間に位置し搬送経路に沿って搬送される熱転写シートの引張強度を測定する測定手段、前記加熱手段と前記測定手段との間に位置する剥離手段を有する熱時剥離タイプのプリンタを用い、印加エネルギー0.177mJ/dot、熱転写シートの搬送速度28.2mm/sec.とする条件にて、前記被転写体上に前記転写層を転写しながら、前記被転写体上に転写された前記転写層を、前記熱転写シートから50°の剥離角度で剥離したタイミングにおいて、前記測定手段により測定される引張強度が0.29N/cm以下であり、前記引張強度が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を10質量部、シリコーンオイルを1質量部の割合で含有する被転写体を用いて測定したときの引張強度である。
また、上記の熱転写シートは、前記条件にて測定される前記引張強度と、前記条件のうち前記印加エネルギーを0.177mJ/dotから0.169mJ/dotに変更したときに測定される引張強度との差の絶対値が、0.25N/cm以下であってもよい。
また、一実施形態の熱転写シートは、基材の一方の面上に転写層が位置する熱転写シートであって、前記熱転写シートは、前記熱転写シートと被転写体とを重ね合わせ、熱転写シート供給手段、加熱手段、熱転写シート巻取り手段、前記加熱手段と前記熱転写シート巻取り手段との間に位置し搬送経路に沿って搬送される熱転写シートの引張強度を測定する測定手段、前記加熱手段と前記測定手段との間に位置する剥離手段を有するプリンタを用い、印加エネルギー0.177mJ/dot、熱転写シートの搬送速度28.2mm/sec.とする条件にて、前記被転写体上に前記転写層を転写しながら、前記被転写体上に転写された前記転写層を前記熱転写シートから50°の剥離角度で剥離したタイミングにおいて、前記測定手段により測定される引張強度が0.29N/cm以下であることを特徴とする。
また、上記の熱転写シートは、前記条件にて測定される前記引張強度と、前記条件のうち前記印加エネルギーを0.177mJ/dotから0.169mJ/dotに変更したときに測定される引張強度との差の絶対値が、0.25N/cm以下であってもよい。
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面上に転写層が位置する熱転写シートであって、前記転写層は、受容層のみからなる単層構成、又は転写界面に位置する受容層を含む積層構成を呈しており、前記受容層が、セルロースアセテートブチレート、及びセルロースアセテートプロピオネートの何れか一方、又は双方と、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体と、を含有している。
また、上記の熱転写シートは、前記受容層が、シリコーンオイルをさらに含有していてもよい

Claims (3)

  1. 基材の一方の面上に転写層が位置する熱転写シートであって、
    前記熱転写シートは、
    前記熱転写シートと被転写体とを重ね合わせ、熱転写シート供給手段、加熱手段、熱転写シート巻取り手段、前記加熱手段と前記熱転写シート巻取り手段との間に位置し搬送経路に沿って搬送される熱転写シートの引張強度を測定する測定手段、前記加熱手段と前記測定手段との間に位置する剥離手段を有するプリンタを用い、印加エネルギー0.177mJ/dot、熱転写シートの搬送速度28.2mm/sec.とする条件にて、前記被転写体上に前記転写層を転写しながら、前記被転写体上に転写された前記転写層を、前記熱転写シートから50°の剥離角度で剥離したタイミングにおいて、前記測定手段により測定される引張強度が0.29N/cm以下であることを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記条件にて測定される前記引張強度と、前記条件のうち前記印加エネルギーを0.177mJ/dotから0.169mJ/dotに変更したときに測定される引張強度との差の絶対値が、0.25N/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記転写層は、受容層のみからなる単層構成、又は受容層を含む積層構成を呈しており、
    前記転写層が前記積層構成を呈する場合には、前記受容層は、前記基材から最も近くに位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱転写シート。
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