JP2009083137A - 保護層転写シート - Google Patents

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和博 増田
Jiro Onishi
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Abstract

【課題】 プリンターの機種、環境温度などの条件や、サーマルヘッドの表面温度の条件が変わることで、保護層転写で印加されるエネルギーが変動しても、被転写体への保護層転写時の剥離力の変化が小さく、保護層転写が安定して良好に行なえる保護層転写シートを提供することを目的とする。
【解決手段】 基材シート2の一方の面に、耐熱滑性層5を有し、該基材シート2の前記耐熱滑性層5の設けられた面と反対側の面の少なくとも一部に、熱転写可能な保護層6を設けた保護層転写シート1において、該保護層6が基材シート2側から剥離層3、接着層4を順次積層し、該剥離層3は溶液酸価が2以下であるアクリル系共重合体樹脂からなることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、保護層転写シートに関し、特にプリンターの機種、環境温度などの条件や、サーマルヘッドの表面温度の条件が変わることで、保護層転写で印加されるエネルギーが変動しても、被転写体への保護層転写時の剥離力の変動が小さく、保護層転写が安定して良好に行なえる保護層転写シートに関するものである。
従来から、熱転写方式を用いて被転写体に文字や画像を形成することが行われている。熱転写方式としては、感熱昇華型転写方式と感熱溶融型転写方式が広く用いられている。このうち、感熱昇華型転写方式は、昇華性染料を色材とし、それを画像情報に応じて発熱制御されたサーマルヘッドやレーザー光等の加熱デバイスを用いて、熱転写シート上の昇華性染料層中の染料を熱転写受像シート等の被転写体に移行させて画像を形成させる方式である。この感熱昇華型転写方式は、極めて短時間の加熱によってドット単位で染料の移行量を制御できる。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、得られる画像は中間調の再現性や階調性に優れ、極めて高精細な画像を得ることができる。このため、フルカラー銀塩写真に匹敵する高品質の画像を得ることができる。このような利点から、感熱昇華型転写方式の熱転写技術は、営業写真、パーソナルコンピューター用プリンター、ビデオプリンターなどに広く用いられている。
しかしながら、上記の感熱昇華転写方式は、印加するエネルギー量によってドット単位で染料の移行量を制御できるため、階調性画像の形成に優れているが、形成された画像は通常の印刷インキによるものとは異なり、色材が顔料でなく比較的低分子量の染料であり、且つビヒクルが存在しないため耐光性、耐候性、耐摩耗性等の耐久性に劣るという欠点がある。また、感熱溶融型記録法により形成した画像はビヒクルを有しているが、それでも通常の印刷インキで形成した画像と比べると耐久性に劣り、とりわけ耐摩擦性に劣る。
熱転写法による印画物の耐久性を高める一手段として、昇華型熱転写法又は熱溶融型記録法によって得られた画像上に、熱転写性樹脂層(熱転写性保護層)を有する保護層転写シートを重ね合わせ、サーマルヘッドや加熱ロール等を用いて熱転写性樹脂層を転写させることによって、画像上に保護層を形成する方法が知られている。印画物の画像上に保護層を設けると、画像の耐摩擦性、耐薬品性、耐溶剤性等を向上させることができる。また、保護層中に紫外線吸収剤を添加して画像の耐光性を向上させることもできる。さらには、保護層中に蛍光増白剤等を添加して、偽造を防止したり或いは印画物の白色度を向上させるといった特殊な機能を保護層に付与することもできる。
保護層転写シートとして、例えば特許文献1、2に示されているように、基材上に剥離層を形成し、その剥離層の上に、接着層を設けて、熱転写受像シートに剥離層を安定して転写させるために、接着層を設ける構成が知られている。また、剥離層を熱転写受像シート上に熱転写する際に、保護層転写シートの基材に熱による損傷等が生じないように、基材の他方の面に耐熱滑性層を設けている。
また、特許文献3では、基材シート上に剥離層、プライマー層、ヒートシール層を積層した保護層転写シートにおいて、剥離層としてアクリル系樹脂であるダイヤナールBR−87を用いた実施例が示されている。しかし、上記の従来の保護層転写シートでは、熱転写プリンターの機種の違い、プリンターの置かれている環境温度の違い、またプリント開始時と連続プリント時でのサーマルヘッドの蓄積された熱による表面温度の違い等により、保護層転写で印加されるエネルギーが変動すると、被転写体への保護層転写時の剥離力の変化が大きく、保護層転写の剥離不良が生じるという問題がある。
特開平4−35988号公報 特開平4−142988号公報 特開2006−272872号公報
したがって、本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、基材シートの一方の面に、耐熱滑性層を有し、該基材シートの前記耐熱滑性層の設けられた面と反対側の面の少なくとも一部に、熱転写可能な保護層を設けた保護層転写シートにおいて、プリンターの機種、環境温度などの条件や、サーマルヘッドの表面温度の条件により、保護層転写で印加されるエネルギーが変動しても、被転写体への保護層転写時の剥離力の変化が小さく、保護層転写が安定して良好に行なえる、保護層転写シートを提供することを目的とする。
本発明の保護層転写シートは、請求項1として、基材シートの一方の面に、耐熱滑性層を有し、該基材シートの前記耐熱滑性層の設けられた面と反対側の面の少なくとも一部に、熱転写可能な保護層を設けた保護層転写シートにおいて、該保護層が基材シート側から剥離層、接着層を順次積層し、該剥離層は溶液酸価が2以下であるアクリル系共重合体樹脂からなることを特徴とするものである。剥離層に含有するアクリル系共重合体樹脂の溶液酸価が2以下であると、熱転写プリンタの各種変動、環境温度の変動などによる保護層転写で印加されるエネルギーが増大しても、基材シートと剥離層との剥離力が増大することなく、保護層転写の剥離不良を防止することができる。
請求項2として、前記保護層転写シートと被転写体を重ね、階調制御法により0〜255階調可能なプリンターを用い、120階調の加熱条件と180階調の加熱条件の2種類の条件で加熱後、両者が接着した試料を180°剥離した際の前記剥離層と基材シートとの剥離力において、「180階調時剥離力/120階調時剥離力」の比が1.4未満であることを特徴とする。このように、180階調時の剥離力が、120階調時の剥離力の1.4倍に達しないようにして、剥離力を抑えることにより、保護層転写を安定して良好に行なえる。
本発明の保護層転写シートによれば、プリンターの機種、環境温度などの条件や、サーマルヘッドの表面温度の条件の変動により、保護層転写で印加されるエネルギーが増大しても、被転写体への保護層転写に際し、剥離力があまり高くならずに、保護層転写が安定して良好に行なえた。また、本発明の保護層転写シートを用いて、熱転写方式を用いて被転写体に画像形成した印画物に保護層を転写することにより、優れた耐久性を有する画像形成物が得られた。
図1は、本発明の保護層転写シート1の一つの実施形態を示す概略断面図であり、基材シート2の一方の面に、剥離層3、接着層4を順次積層し、また基材シート2の他方の面に耐熱滑性層5を形成した構成である。剥離層3、接着層4の合わせて2層が保護層6であり、例えば保護層転写シート1の耐熱滑性層5からサーマルヘッドによる加熱を行なって、その保護層6が、熱転写で画像・文字等が形成された被転写体へ転写される。
図2は、本発明の保護層転写シート1の他の実施形態を示す概略断面図であり、基材シート2の一方の面に、耐熱滑性層5を形成し、また基材シート2の他方の面に、熱転写性色材層として、昇華性染料を含有する染料層を、イエロー染料層Y、マゼンタ染料層M、シアン染料層Cの3色と、さらに、シアン染料層Cの後に、剥離層3、接着層4の2層積層された保護層6が、面順次に繰返し形成された構成である。この形態は、3色の染料層と、保護層が一体化した熱転写シートである。
図3は、本発明の保護層転写シート1の他の実施形態を示す概略断面図であり、基材シート2の一方の面に、耐熱滑性層5を形成し、また基材シート2の他方の面に、熱転写性色材層として、昇華性染料を含有する染料層をプライマー層7を介して、イエロー染料層Y、マゼンタ染料層M、シアン染料層Cの3色と、さらに剥離層3、接着層4の2層積層された保護層6が、面順次に繰返し形成された構成である。この形態は、3色の染料層が基材シートの上に、プライマー層を介して設けられ、さらに、シアン染料層Cの後に、剥離層3、接着層4の2層積層された保護層6が、面順次に繰返し形成された構成である。この形態は、3色の染料層と、保護層が一体化した熱転写シートである。
図4は、本発明の保護層転写シート1の他の実施形態を示す概略断面図であり、基材シート2の一方の面に、耐熱滑性層5を形成し、また基材シート2の他方の面に、熱転写性色材層として、昇華性染料を含有する染料層を、イエロー染料層Y、マゼンタ染料層M、シアン染料層Cの3色と、ブラック熱溶融性インキ層BK、さらに剥離層3、接着層4の2層積層された保護層6が、面順次に繰返し形成された構成である。この形態は、3色の染料層と、ブラック1色の熱溶融性インキ層を合わせて4色の熱転写性色材層と保護層が一体化した熱転写シートである。図2、3に示した熱転写性色材層を一体化した形態に限らずに、Y、M、C、BKの他に別の色相の熱転写性色材層を追加したり、またBKの熱転写性色材層と保護層を一体化させたもの等、適宜変更することができる。
以下、本発明の保護層転写シートを構成する各層について、詳細に説明する。
(基材シート)
本発明で用いる保護層転写シートの基材シート2としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでも良く、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜6μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。上記の中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、又は、その混合物からなるポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
(耐熱滑性層)
本発明における耐熱滑性層5は、サーマルヘッド等の加熱デバイスと基材シートとの熱融着を防止し、走行を滑らかに行う目的で、基材シートの染料層の設けられている面と反対側に設ける。上記の耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル− 酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン− ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、リン酸エステル、金属石鹸、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
耐熱滑性層は、基材シートの上に、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層塗工液を調整し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層の塗工量は、乾燥状態で、0.1g/m2〜2.0g/m2が好ましい。
(剥離層)
本発明の保護層転写シートにおける剥離層3は溶液酸価が2以下であるアクリル系共重合体樹脂からなるものである。この樹脂の例としては、例えば、メタクリル酸メチルやスチレン等と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシ−1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カルボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−ヘプテン等のモノマーとを、共重合させたポリマーが挙げられる。
本発明では剥離層を構成するアクリル系共重合体樹脂が、溶液状態で酸価を測定すると、2mgKOH/g以下になる。この酸価が2mgKOH/gより大きいと、保護層転写で印加されるエネルギーの変動による基材シートと剥離層との剥離力の変化が大きく、保護層転写の剥離不良が発生してしまう。酸価が2mgKOH/g以下のアクリル系共重合体樹脂を得るには、その共重合体樹脂のアクリル系単量体自体、あるいはアクリル系単量体とその他の単量体とを含むアクリル系単量体組成物を、その酸価が2mgKOH/g以下となるように調整した後に、該アクリル系単量体組成物を重合反応させればよい。
剥離層には、保護層の透明性を損なわない範囲で、ワックス、無機系微粒子、あるいは有機系微粒子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の各種添加剤を含有させても良い。上記ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリエステルワックス、ポリスチレン系パウダー、オレフィン系パウダー、マイクロクリスタリンワックス、カルナパワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を挙げることができ、剥離層の耐擦過性及び箔切れ性が向上する。
上記の添加剤の無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、等使用可能である。また、有機系微粒子としては、スチレン微粒子、アクリル微粒子、メラミン樹脂微粒子等が挙げられ、これらの微粒子添加は、箔切れ性の向上や、虹ムラ防止に対して有効である。また、保護層により覆われた被転写体の画像等の耐光性、耐候性をより向上させるために、紫外線吸収剤を添加することができ、紫外線吸収剤としては、従来から公知の有機系紫外線吸収剤であるサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系等を広く使用できる。また、これらの紫外線吸収剤に例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいはアルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等の官能基を導入した紫外線吸収性樹脂を剥離層中に含有させてもよい。
剥離層は、基材シートの耐熱滑性層の設けられた側と反対面に、上記に記載した溶液酸価が2以下であるアクリル系共重合体樹脂を、適当な溶剤、水などの溶媒により、溶解又は分散させて、剥離層塗工液を調整し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。剥離層の塗工量は、乾燥状態で、0.1g/m2〜10g/m2、好ましくは0.5g/m2〜5g/m2である。
(接着層)
本発明に用いられる接着層4は、本発明の保護層転写シートが備える剥離層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するものである。また、接着層は、本発明の保護層転写シートを用いて、熱転写受像シート等の被転写体上に保護層を形成する際に、保護層と被転写体とを接着する機能を有するものである。
本発明における接着層に用いられる熱可塑性樹脂としては、加熱により接着性を有するものであれば、特にその種類等は限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等の熱可塑性樹脂を用いることができる。上記の中でも180℃以下の温度でヒートシールが可能な組成物が用いられることが好ましい。
また、上記接着層には、上記熱可塑性樹脂以外に、上記剥離層で説明した添加剤を同様に使用することができる。接着層は、乾燥後塗工量が0.1〜10g/m2となる量で塗布することができるが、優れた接着性等を付与する点で、乾燥後塗工量が0.5g/m2以上5.0g/m2以下となる量で塗布することが好ましい。
(熱転写性色材層)
本発明において、上記の剥離層、接着層の合わせて2層からなる保護層と、同一基材シート上に、熱転写性色材層を面順次に形成することができる。これにより、熱転写プリンターの1ヘッドで、熱転写性色材層と保護層の転写を行い、また熱転写シートの供給部と巻取部のユニットを複数単位で設けることが必要でなくなり、熱転写プリンターの小型化ができ、またプリンターの搬送系が複雑化することがなく、好ましい。
熱転写性色材層は熱溶融性インキからなる色材層(熱溶融性インキ層)、あるいは昇華性染料を含む色材層(染料層)のいずれであってもよい。本発明において用いられる熱溶融性インキは、着色剤とビヒクルからなり、更に必要に応じて種々の添加剤を加えたものである。着色剤としては、有機または無機の顔料あるいは染料のうち、記録材料として要求される着色濃度を有し、光、熱、温度等により変褪色しないものが好ましい。また、加熱により発色するような物質や、被転写体に塗布されている物質と接触することにより発色するような物質を用いることもできる。そして、着色剤は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等の他に、種々の色の着色剤を使用することができる。
ビヒクルは、ワックスを主成分とし、その他にワックスと乾性油、樹脂、鉱油、セルロースおよびゴムの誘導体等との混合物が用いられる。また、熱溶融性インキからなる熱転写性色材層には、良好な熱伝導性および溶融転写性を与えるために、熱伝導性物質を含有させることができる。このような熱伝導性物質としては、カーボンブラック等の炭素質物質、アルミニウム、銅、酸化スズ、二硫化モリブデン等が挙げられる。上記の熱溶融性インキを用いて基材フィルム上へ熱転写性色材層を形成する方法としては、ホットメルトコート、ホットラッカーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の方法が挙げられる。熱溶融性インキからなる熱転写性色材層の塗工量は、要求される印字濃度、熱感度等を考慮して適宜決定することができ、通常、乾燥時で0.1〜30g/m2である。
昇華性染料を含む熱転写性色材層(染料層)は、バインダー樹脂中に熱移行性の染料を分散あるいは溶解したものである。バインダー樹脂としては、染料と適度の親和性があり、且つサーマルヘッドによる加熱により、バインダー樹脂中の染料が昇華(熱移行)して被転写体に転写するものがよく、また加熱されてもバインダー樹脂そのものは転写しないものを使用する。このようなバインダー樹脂として使用される樹脂としては、例えばエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、酢酸・酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
また、熱転写性色材層中に含まれる染料の割合は、染料の昇華(溶融)温度、染着性等によって変るが、上記バインダー樹脂100質量部に対して30質量部以上が好ましく、更に好ましくは、30から300質量部である。染料が30質量部未満であると印字濃度や熱感度が低く、また300質量部を越えると保存性や熱転写性色材層の基材フィルムへの密着性が低下する。
熱転写性色材層で使用する染料は、熱により溶融、拡散もしくは昇華して、被転写体に移行する染料であって、特に分散染料が好ましく用いられる。染料は昇華(溶融)性、色相、耐光性、バインダー樹脂への溶解性等を考慮して選択する。これらの染料としては、例えばジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等のものが挙げられる。
染料層である熱転写性色材層を基材フィルム上に設けるには、公知の方法によって行える。例えば、染料及びバインダー樹脂を溶剤とともに溶解もしくは分散して熱転写性色材層用インキ組成物を調製し、これを公知の印刷方法または塗工方法から適宜選択した方法により基材フィルム上に設ければ良い。染料層の塗工量は、乾燥時で0.2〜5.0g/m2、好ましくは0.4〜2.0g/m2の厚さが適当である。
上記に説明した熱転写性色材層は、少なくとも2つ以上の異なる色相の熱転写性色材層を基材シートに面順次に形成することが要件であるが、2つ以上の熱転写性色材層の条件は、昇華性染料を用いた染料層が2つ以上であったり、染料層と熱溶融性インキの熱転写性色材層の組み合わせや、また熱溶融性インキの熱転写性色材層が2つ以上であっても良い。本発明では特に、基材シートに昇華性染料を含む熱転写性色材層として、イエロー色材層、マゼンタ色材層、シアン色材層を面順次に形成して、フルカラー写真画像に匹敵する高品質の熱転写画像を形成し、かつフルカラーの熱転写画像における各色相間で印画長のズレを防止した、鮮明な画像を形成することが好ましい。尚、黒色の文字やパターンの熱転写画像の場合、上記の染料層のイエロー色材層、マゼンタ色材層、シアン色材層の3色を重ねて、黒色を得ることは可能であるが、カーボンブラックの着色剤を使用した黒色の熱溶融性インキからなる色材層を基材シートに追加して、設けることが好ましい。これにより、黒色濃度が高く、鮮明な画像を得ることが出来る。
(プライマー層)
さらに、上記の基材シートと熱転写性色材層との間、及び/又は基材シートと耐熱滑性層との間に、プライマー層7を塗工して形成することも可能である。そのプライマー層は、以下に示すような樹脂から形成することができる。ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。プライマー層は、公知の印刷方法または塗工方法から適宜選択した方法により形成することができ、プライマー層の塗工量は、乾燥時で0.2〜5.0g/m2、好ましくは0.4〜2.0g/m2の厚さが適当である。
(被転写体)
本発明の保護層転写シートは、熱転写画像が形成できる被転写体であれば、任意の被転写体に対して、保護層を転写することができる。この被転写体と保護層転写シートとを重ね、加熱により、両者が接着した試料を用いて、保護層転写シートを被転写体から剥がす際、剥離層と基材シートとの剥離力が、180°剥離の条件で、階調制御法により、1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できる0〜255階調可能なマルチパルス方式のテストプリンターを用い、パルス数120個(階調)の加熱条件と、180個(階調)の加熱条件で、2種条件で加熱して、それらの上記剥離力において、「180階調時の剥離力/120階調時の剥離力」比が1.4未満となる。
被転写体としては、例えば、各種の紙やプラスチックシートの基材上に、従来から知られた(染料)受容層を設けた構成のものや、軟質のポリ塩化ビニル樹脂等の染料の染着性を有する基材から構成されるものは、受容層を設けずに基材単独を被転写体とすることができる。上記の各種の紙として、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙等が挙げられる。
また、上記の各種プラスチックシートとしては、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等が挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明シート(フィルム)あるいは、基材内部に微細空隙(ミクロボイド)を有する多孔質シート(フィルム)も使用でき、特に限定されない。
また、上記の紙やプラスチックシートの基材の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙あるいはセルロール繊維紙とプラスチックシートとの積層体等が挙げられる。以上の被転写体の厚みは、任意に選択することができ、通常は10〜300μm程度である。尚、本発明の保護層転写シートを使用すれば、上記の被転写体の条件(厚さ、熱伝導性など)が変動しても、また染料受容層の条件(樹脂種類、厚さなど)が変動しても、この被転写体と保護層転写シートとを重ね、加熱により、両者が接着した試料を用いて、保護層転写シートを被転写体から剥がす際の剥離力で、180°剥離の条件で、階調制御法により、0〜255階調可能なプリンターで、120階調の加熱条件と、180階調の加熱条件で、2種条件で行い、それらの上記剥離力において、180階調時の剥離力が、120階調時の剥離力の1.4倍に達しないようにして、剥離力を抑えることにより、保護層転写を安定して良好に行なえる。さらに、階調制御法により、0〜255階調可能なプリンターで、120階調の加熱条件と、180階調の加熱条件を満足すれば、サーマルヘッドの抵抗値、印字密度や、印画電圧、印画速度、印字開始温度などの印画条件が変動してもよい。
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部又は%は質量基準である。
(実施例1)
厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート長尺フィルム(ルミラー、東レ(株)製)の基材シートの一方の面に、下記の耐熱滑性層用塗工液をグラビアコーターを用いて、固形分換算で1.0g/m2の割合で塗布、乾燥して耐熱滑性層を形成した。
<耐熱滑性層用塗工液>
ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218 三井化学ポリウレタン(株)製)
リン酸エステル 0.8部
(プライサーフA208N 第一工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
次に、上記基材シートの耐熱滑性層が形成された面とは反対面上に、以下の組成を有するインキをグラビアコーターで塗工することにより、各色が縦8cm、横4cmの大きさになるように3色を1セットとして染料層からなる熱転写性色材層を形成した。このとき、各セット間は10cmとした。尚、染料層の塗工量は、3色全て乾燥時で2.0g/m2である。
<イエロー染料層用インキの組成>
染料 5.5部
(FORON BRILLIANT YELLOW S−6GL)
ポリビニルアセタール樹脂 4.5部
(商品名 KS−5 : 積水化学工業(株)製)
ポリエチレンワックス 0.1部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1 質量比) 89部
<マゼンタ染料層インキの組成>
染料1 1.5部
(MS RED−G)
染料2 2.0部
(MACROLEX RED VIORET R)
ポリビニルアセタール樹脂 4.5部
(商品名 KS−5 : 積水化学工業(株)製)
ポリエチレンワックス 0.1部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1 質量比) 89部
<シアン染料層インキの組成>
染料 1.5部
(カヤセットブルー714)
ポリビニルアセタール樹脂 4.5部
(商品名 KS−5 : 積水化学工業(株)製)
ポリエチレンワックス 0.1部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1 質量比) 89部
次に、上記の染料層の各セット間に、下記の剥離層用塗工液をグラビアコーターで塗工することにより、乾燥後塗工量が1.0g/m2になるように、剥離層を形成した。
<剥離層用塗工液>
溶液酸価が0.3mgKOH/gとなるように、メタクリル酸メチルをメインモノマーとしてアクリル系共重合体樹脂を作成し、溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1)に固形分が20質量%となるように、溶解することにより、剥離層用塗工液を作製した。
上記の剥離層の上に、下記の接着層用塗工液をグラビアコーターで塗工することにより、乾燥後塗工量が1.0g/m2になるように、接着層を形成し、実施例1の保護層転写シートを作製した。(保護層、熱転写性色材層の配置は図2に示したものと同様である。)
<接着層用塗工液>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 50部
(ソルバインCNL、日信化学工業(株)製)
トルエン 50部
メチルエチルケトン 50部
(実施例2)
実施例1の保護層転写シートの剥離層用塗工液を、下記の塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の保護層転写シートを作製した。
<剥離層用塗工液>
溶液酸価が1.1mgKOH/gとなるように、メタクリル酸メチルをメインモノマーとしてアクリル系共重合体樹脂を作成し、溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1)に固形分が20質量%となるように、溶解することにより、剥離層用塗工液を作製した。
(実施例3)
実施例1の保護層転写シートの剥離層用塗工液を、下記の塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の保護層転写シートを作製した。
<剥離層用塗工液>
溶液酸価が1.8mgKOH/gとなるように、メタクリル酸メチルをメインモノマーとしてアクリル系共重合体樹脂を作成し、溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1)に固形分が20質量%となるように、溶解することにより、剥離層用塗工液を作製した。
(比較例1)
実施例1の保護層転写シートの剥離層を下記の塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の保護層転写シートを作製した。
<剥離層用塗工液>
ポリメチルメタクリレート樹脂(溶液酸価は3.1(mgKOH/g)) 20部
(ダイヤナールBR−87、三菱レイヨン(株)製)
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
上記実施例及び比較例において作製した保護層転写シートの剥離層、接着層からなる保護層を、熱転写用受像シート(CanonコンパクトフォトプリンターCP710用受像シートを任意の大きさに切ったもの)の受容層上に、テストプリンターを用い、下記条件で転写することによって「両者が接着した試料」を作成し、以下条件で剥離力を測定した。
(剥離力)
<印画条件>
・発熱体平均抵抗値;4885Ω
・主走査方向印字密度;300dpi、副走査方向印字密度;300dpi
・印画電圧;18V
・1ライン周期;2msec/line
・印字開始温度;27℃
・階調値;255/255
・印画幅;3cm
・印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を90%に固定し、保護層をパルス数120個((階調)の条件と、180個(階調)の条件の2通りで、加熱して、被転写体に保護層を形成した。但し、被転写体と保護層転写シートは、重なって接着して一体化した状態を試料とし、つまり保護層転写シートを被転写体から剥がしていないものを試料とする。
<剥離条件>
上記の被転写体と保護層転写シートとが接着した試料を用いて、保護層転写シートを被転写体から剥がす際の剥離力を、180°剥離する時の剥離力を下記装置にて測定した。
・剥離装置:インストロン社製 万能型材料試験機 5565
・剥離速度:300mm/分
また、以下の条件で、保護層の基材シートとの密着性、さらに印画物の耐可塑剤性を調べた。
(密着性)
実施例及び比較例で作製した保護層転写シートにおいて、保護層(接着層)表面にテープ(Scotch メンディングテープ MP−18)を貼合し、その10分後に、90°方向に0.6m/分の速度でテープを剥離し、異常な剥離がないかを確認して、保護層の基材シートとの密着性を調べた。評価基準は、以下の通りとした。
○:基材シートからの剥がれはない。
△:一部の保護層が基材シートから剥がれる。
×:基材シートから保護層が完全に剥がれる。
(耐可塑剤性)
下記条件で、熱転写画像が形成された被転写体に、実施例、比較例の各保護層転写シートを用いて、保護層を転写し、その保護層転写した印画物の画像面と、可塑剤入り軟質塩ビシート(三菱化学(株)製、アルトロン♯480、厚み400μm)とを重ね合わせ、荷重を70.2g/cm2となるようにかけ、50℃環境下に48時間保存した。その後、可塑剤による画像の劣化を下記の評価基準により、目視にて評価した。
○:塩化ビニルシートへの画像の転移が全く認められない。
△:塩化ビニルシートへの画像の転移が一部認められた。
×:塩化ビニルシートへの画像の転移が全体にわたって認められた。
<印画条件>
・発熱体平均抵抗値;4885Ω
・主走査方向印字密度;300dpi、副走査方向印字密度;300dpi
・印画電圧;18V
・1ライン周期;2msec/line
・印字開始温度;27℃
・階調値;255/255
・印画幅;3cm
・印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を90%に固定し、イエロー、マゼンタ、シアンの各色を、この順で、被転写体の受容面に、転写してブラック画像を形成し、次いで、保護層をパルス数255個で印画することにより、保護層を転写形成した。尚、イエロー、マゼンタ、シアンによるブラック画像と、保護層転写は、各実施例及び比較例で作製した保護層転写シートを使用して行なった。
上記の剥離力の測定結果と、180階調時の剥離力/120階調時の剥離力のデータ、さらに密着性、耐可塑剤性の評価結果を表1に示す。
Figure 2009083137
実施例1、2、3の保護層転写シートは、180階調時の剥離力が、120階調時の剥離力の1.3倍であり、1.4倍に達しない結果であり、保護層転写時の印加エネルギーが増大しても、剥離力を抑えることができ、保護層の転写不良がなく、安定した保護層転写が可能であることを示している。それに対し、比較例1の保護層転写シートは、180階調時の剥離力が、120階調時の剥離力の1.5倍であり、1.4倍を越える結果となり、保護層転写時の印加エネルギーが増大すると、基材シートと剥離層との剥離力の増加による保護層転写の剥離不良が発生することを示している。尚、上記の密着性及び耐可塑剤性の評価結果は、実施例1、2、3及び比較例1の全てにおいて、良好であった。
また、実施例1、2、3の保護層転写シートの剥離層は、溶液酸価が2以下であるアクリル系共重合体樹脂からなっているので、保護層転写時の印加エネルギーが増大した場合に、剥離層と基材シートが反応せず、剥離力の増加が抑えられている。それに対し、比較例1の保護層転写シートの剥離層は、溶液酸価が2より大きいアクリル樹脂からなり、保護層転写時の印加エネルギーが増大した場合に、剥離層と基材シートとが反応して、剥離力が増加すると、考えられる。
本発明の保護層転写シートの一つの実施形態を示す概略断面図である。 本発明の保護層転写シートの他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の保護層転写シートの他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の保護層転写シートの他の実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
1 保護層転写シート
2 基材シート
3 剥離層
4 接着層
5 耐熱滑性層
6 保護層
7 プライマー層
Y イエロー染料層
M マゼンタ染料層
C シアン染料層
BK ブラック熱溶融性インキ層

Claims (2)

  1. 基材シートの一方の面に、耐熱滑性層を有し、該基材シートの前記耐熱滑性層の設けられた面と反対側の面の少なくとも一部に、熱転写可能な保護層を設けた保護層転写シートにおいて、該保護層が基材シート側から剥離層、接着層を順次積層し、該剥離層は溶液酸価が2以下であるアクリル系共重合体樹脂からなることを特徴とする保護層転写シート。
  2. 前記保護層転写シートと被転写体を重ね、階調制御法により0〜255階調可能なプリンターを用い、120階調の加熱条件と180階調の加熱条件の2種類の条件で加熱後、両者が接着した試料を180°剥離した際の前記剥離層と基材シートとの剥離力において、「180階調時剥離力/120階調時剥離力」の比が1.4未満であることを特徴とする請求項1に記載する保護層転写シート。
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