JPWO2018101026A1 - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

ガスバリア層の炭素分布曲線が4個以上の極大値を有し、[膜厚/極大値数]が25nm以下であり、ガスバリア層の組成をSiOxCyで表した際に、y<0.20の組成を有する領域とy>1.40の組成を有する領域との合計が厚さ方向に20nm未満であり、伸長処理を施していない前記ガスバリア性フィルム[A]と、2%の伸長処理を施した前記ガスバリア性フィルム[B]の標準偏差(σ)が共に[σ<0.30]を満たす。

Description

本発明は、ガスバリア層を備えるガスバリア性フィルムに係わる。
長尺樹脂基材上に、ロールトゥロール方式を用いて無機材料層でガスバリア層を形成したガスバリア性フィルム、及び、このガスバリア性フィルムを巻回したバリアフィルムロールが知られている。
バリアフィルムロールやガスバリア性フィルムは、電子デバイスの封止等の加工を行う際に、張力と熱とが印可された状態で搬送される場合がある。しかし、ガスバリア性フィルムに用いられる樹脂基材は、加熱によって弾性率が低下するため、張力と熱とが印可される工程においては、ガスバリア性フィルムが1〜2%伸長させられる。
一般的に、ガスバリア性フィルムが伸長させられる状態では、ガスバリア層を構成する無機材料層の破断伸度が低くなるため、上記1〜2%の伸度でガスバリア層にクラックが生じやすい。クラックは光学顕微鏡観察では検出されない場合でもごく微細な領域内で発生し、ガスバリア性に影響を与える。このため、後述のCa腐食を評価に用いるバリア性評価において、水蒸気透過度(Water Vapor Transmission Rate;WVTR)の膜面全体の劣化の平均値と、微細なクラックに起因する局所的なVWTRの急激な劣化との差が大きくなる。すなわち、ガスバリア層での微細なクラックの発生は、WVTRの面内分布の標準偏差(σ)の増大として現れる。特にデバイス封止に用いられるガスバリア性フィルムでは、微細なクラックによる局所的なVWTRの急激な劣化が、電子デバイスのダークスポットの発生の原因となる。
上述のガスバリア性フィルムの伸長によるガスバリア層でのクラックの発生を抑制するために、プラズマ蒸着非晶質ガラス層をガスバリア層として形成する方法(特許文献1参照)や、特定の内部応力を有する有機材料層を、無機材料層の下地層として形成するガスバリア層の構成(特許文献2参照)が提案されている。
特表2013−512257号公報 特開2016−68267号公報
しかしながら、ガスバリア層としてプラズマ蒸着非晶質ガラス層を形成する方法では、ガスバリア層に有機成分が多く含有されるため、WVTRが数g程度と非常に大きく、電子デバイスの封止への適用にはバリア性が不十分である。また、特定の内部応力を有する有機材料層を下地層として形成する構成では、光学顕微鏡観察で検出される程度のクラックの発生は抑制できるものの、光学顕微鏡観察で検出されない微細なクラックの発生は抑制できていない。
このため、伸長された場合にもガスバリア性の低下を抑制することが可能なガスバリア性フィルムが求められている。
上述した問題の解決のため、本発明においては、ガスバリア性の低下を抑制することが可能なガスバリア性フィルムを提供する。
本発明のガスバリア性フィルムは、基材と、基材上に形成されたガスバリア層とを備える。そして、ガスバリア層が、ケイ素、酸素、及び、炭素を含有し、ガスバリア層の厚さ方向の炭素の含有量を示す曲線が4個以上の極大値を有し(要件(1))、ガスバリア層の厚さ方向の炭素の含有量を示す曲線の[膜厚/極大値数]が25nm以下(要件(2))であり、且つ、ガスバリア層の組成をSiOxCyで表した際に、y<0.20の組成を有する領域とy>1.40の組成を有する領域との合計が厚さ方向に20nm未満である。さらに、伸長処理を施していないガスバリア性フィルム[A]と、2%の伸長処理を施したガスバリア性フィルム[B]とが、下記(1)から(3)の規定を全て満たす。
(1)[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値、及び、[B]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値が、0.2(g/m/day)以下である。
(2)([B]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)≦2を満たす。
(3)[A]の水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)、及び、[B]の水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)が、[σ<0.30]を満たす。
本発明によれば、ガスバリア性の低下を抑制することが可能なガスバリア性フィルムを提供することができる。
ガスバリア性フィルム積層体の構成を示す図である。 ガスバリア層のケイ素、炭素、酸素の分布曲線を示すグラフである。 ガスバリア層のC/Si比、O/Si比の分布曲線を示すグラフである。 ガスバリア層のケイ素、炭素、酸素の分布曲線を示すグラフである。 ガスバリア層のC/Si比、O/Si比の分布曲線を示すグラフである。 ガスバリア層を構成するSiOxCyの組成を表す直交座標である。 ガスバリア層を構成するSiOxCyの組成を表す直交座標である。 ガスバリア層を構成するSiOxCyの組成を表す直交座標である。 ガスバリア層を構成するSiOxCyの組成を表す直交座標である。 ガスバリア層の三次元表面粗さ変換データの高さを表示した画像である。 ガスバリア層の三次元表面粗さ変換データの高さを表示した画像である。 ガスバリア層の三次元表面粗さ変換データの高さを表示した画像である。 ローラー間放電プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.ガスバリア性フィルムの実施形態
2.ガスバリア性フィルム積層体の構成要素
3.ガスバリア性フィルム積層体の製造方法
〈1.ガスバリア性フィルムの実施の形態〉
以下、ガスバリア性フィルムの具体的な実施の形態について説明する。
[ガスバリア性フィルムの構成]
図1に、ガスバリア性フィルムと、ガスバリア性フィルムの両主面に保護フィルムが貼合された、ガスバリア性フィルム積層体の構成を示す。図1に示すガスバリア性フィルム積層体において、ガスバリア性フィルム10は、基材11と、基材11の一方の面に形成されたガスバリア層12とを備える。なお、ガスバリア性フィルム積層体は、後述する各構成及び条件を満たすガスバリア性フィルム10を有していれば、その他の構成については特に限定されない。
図1に示すガスバリア性フィルム積層体において、基材11は、支持体13と、支持体13の両面に設けられたハードコート層14,15とを備える。支持体13の両面にはハードコート層14,15が設けられている。図1に示すガスバリア性フィルム10では、ガスバリア層12が形成されている面にハードコート層14が設けられ、ガスバリア層12が形成されている面と反対側の面にハードコート層15が設けられている。
ガスバリア性フィルム積層体において、ガスバリア性フィルム10の両主面には、第1保護フィルム20と第2保護フィルム25とが設けられている。ガスバリア性フィルム10の製造工程中や、ガスバリア性フィルム10を適用する電子デバイスの製造工程中において、基材11やガスバリア層12等に傷等の損傷が発生すると、ガスバリア性の低下や電子デバイス等の外観上の不良が発生してしまう。このため、上記各製造工程中において、基材11やガスバリア層12等の損傷を防ぐために、ガスバリア性フィルム10の両主面に、剥離可能な第1保護フィルム20と第2保護フィルム25を設けることが好ましい。
第1保護フィルム20は、第1保護基材21と第1粘着剤層22とから構成されている。そして、第1粘着剤層22がガスバリア層12上を覆うように設けられ、この第1粘着剤層22を介して第1保護基材21がガスバリア性フィルム10に貼合されている。また、第1保護フィルム20は、ガスバリア性フィルム10から第1保護フィルム20が剥離可能なように、又は、第1粘着剤層22から第1保護基材21が剥離可能なように、貼合されている。
第2保護フィルム25は、第2保護基材26と第2粘着剤層27とから構成されている。そして、第2粘着剤層27が基材11の裏面側(ハードコート層14側)を覆うように設けられ、この第2粘着剤層27を介して第2保護基材26がガスバリア性フィルム10に貼合されている。また、第2保護フィルム25は、ガスバリア性フィルム10から第2保護フィルム25が剥離可能なように貼合されている。
このため、図1に示す構成のガスバリア性フィルム積層体は、ガスバリア性フィルム10のガスバリア層12と、第1保護フィルム20の第1粘着剤層22との間において、第1保護フィルム20とガスバリア性フィルム10との剥離が可能である。或いは、第1保護フィルム20の第1保護基材21と、第1保護フィルム20の第1粘着剤層22との間において、第1保護基材21とガスバリア性フィルム10との剥離が可能である。さらに、基材11と、第2保護フィルム25の第2粘着剤層27との間において、第2保護フィルム25とガスバリア性フィルム10との剥離が可能である。
[ガスバリア層の組成、及び、炭素分布曲線]
上述のガスバリア性フィルム10において、ガスバリア層12は、ケイ素、酸素、及び、炭素を含有する。すなわち、ガスバリア層12は、SiOxCyの組成で表される。そして、SiOxCyにおけるxの値はケイ素に対する酸素の含有量(O/Si)として表され、yの値はケイ素に対する炭素の含有量(C/Si)として表される。
図2に、ガスバリア層12の厚さ方向のケイ素原子の含有量を示す曲線(以下、ケイ素分布曲線)と、ガスバリア層12の厚さ方向の炭素原子の含有量を示す曲線(以下、炭素分布曲線)と、ガスバリア層12の厚さ方向の酸素原子の含有量を示す曲線(以下、酸素分布曲線)とのグラフを示す。
また、図3に、ガスバリア層12の厚さ方向のケイ素に対する炭素の組成比(C/Si)を示す曲線(以下、C/Si比分布曲線)と、ガスバリア層12の厚さ方向のケイ素に対する酸素の組成比(O/Si)を示す曲線(以下、O/Si比分布曲線)とのグラフを示す。また、図3に示すグラフでは、ケイ素の比率をSiOxCyの組成式に基づいて1に規定している。
なお、図2に示す、ガスバリア層12の厚さ方向の各元素の含有量、及び、この含有量を示す曲線や極大値については、後述するXPSデプスプロファイルの測定によって求めることができる。また、図3に示す、ガスバリア層12の厚さ方向のケイ素原子に対する炭素原子の組成比(C/Si)、酸素原子の組成比(O/Si)、及び、この組成比を示す曲線や極大値については、図2におけるXPSデプスプロファイルの測定値から算出することができる。
図2に示すように、ガスバリア層12は、ケイ素原子、炭素原子、及び、酸素原子の含有量が深さ方向に連続的に変化する。すなわち、図2に示すように、ガスバリア層12において、膜厚方向における層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、炭素原子、及び、酸素原子の含有量との関係を示す各分布曲線が、連続的に変化する。
また、図3に示すように、ガスバリア層12において、膜厚方向における層表面からの距離(L)と、ケイ素原子に対する炭素原子の比率を示すC/Si比分布曲線が、連続的に変化する。同様に、ケイ素原子に対する酸素原子の比率を示すO/Si比分布曲線が、連続的に変化する。
ガスバリア性フィルム10は、炭素分布曲線が、4個以上の極大値を有し(要件(1))、且つ、[膜厚/極大値数]が25nm以下(要件(2))である。図2に示すグラフでは、約55nmの厚さのガスバリア層において、炭素分布曲線が図面に矢印で示す6個の極大値を有する。このため[膜厚/極大値数]は約9nmとなる。
極大値の数と、[膜厚/極大値数]は、後述する真空プラズマCVD法を用いた気相成膜ガスバリア層の成膜条件を変更することにより、任意に調整することができる。例えば、気相成膜ガスバリア層の成膜において基材の搬送速度を上げることにより、隣接する極大値間の距離を小さくすることができる。また、気相成膜ガスバリア層の成膜速度を上げることにより、同じ厚さのガスバリア層12において極大値の数が多くなりやすい。
ガスバリア層12の炭素分布曲線において、隣り合う極大値同士の間は、組成が連続して変化する1つの領域として考えられる。このため、ガスバリア層12は、極大値の数だけ、厚さ方向に組成が連続して変化する領域を有している。従って、炭素分布曲線が4個以上の極大値を有する構成は、ケイ素、酸素、及び、炭素の組成比の異なる領域を膜厚方向に複数有し、この複数の領域が膜厚方向に積層されていることを示す。さらに、ガスバリア層12の炭素分布曲線において、極大値の数が増えるほど、組成が連続して変化する1つの領域がガスバリア層12内に多く存在する。
また、ガスバリア層12において、炭素分布曲線の[膜厚/極大値数]が25nm以下の構成は、炭素分布曲線における極大値の発生確率を示している。例えば、[膜厚/極大値数]が25nmであれば、厚さ方向において、平均25nmあたりに1つの極大値を有することを示す。極大値が発生する割合を25nm以下と小さくすることにより、組成が連続して変化する1つの領域の厚さを、小さくすることができる。すなわち、ガスバリア層12をより薄い層が積層した状態と同様の構成とすることができる。
ガスバリア層12において、隣り合う極大値と極大値との平均間隔が25nm以下であり、かつ、組成が連続して変化する領域が厚さ方向に4層以上存在することにより、ガスバリア性フィルム10の伸長に対し、ガスバリア性フィルム10の水蒸気透過度(WVTR)の悪化を抑制することができる。
ガスバリア層12が、組成が連続して変化する複数の領域を有することにより、伸長後のガスバリア性フィルム10の水蒸気透過度(WVTR)の悪化を抑制することができる理由は、以下のように考えられる。なお、以下の説明は、ガスバリア層12の構成及び効果から導かれる、水蒸気透過度(WVTR)の悪化抑制のメカニズムに対する推測の1つであり、水蒸気透過度(WVTR)の悪化が抑制されるメカニズム等は以下の記載に限定されない。
例えば、ガスバリア層が単層構成である場合、ガスバリア性フィルムの伸長において、ガスバリア層内の1箇所クラックが発生すると、このクラックが厚さ方向に伝搬し、クラックがガスバリア層の厚さ方向に貫通しやすい。このように、クラックがガスバリア層の厚さ方向を貫通すると、このクラック内を水分等が容易に通過できるため、ガスバリア性フィルムの水蒸気透過度(WVTR)が悪化する。
しかし、ガスバリア層12が、連続して組成が変化する領域を複数有すことにより、ガスバリア層12内の1箇所(1つの領域)にクラックが発生し、クラックが発生した領域内を厚さ方向に貫通した場合にも、クラックが他の領域までの間で終端し、他の領域にはクラックが伝搬しにくい。さらに、ガスバリア層12は複数の領域が積層されているため、クラックが発生した領域は他の領域によって被覆される。このため、ガスバリア層12内に発生した微小なクラック、及び、このクラックが発生した領域は、他の領域によって遮蔽される。すなわち、ガスバリア層12内に光学顕微鏡観察で検出されない程度の微小なクラックが発生しても、この微小なクラックが、ガスバリア層12全体を貫通するほど成長せず、クラックが他の領域によってガスバリア層12内に封じ込められる。従って、ガスバリア層12が、組成が連続して変化する領域を厚さ方向に複数有することにより、伸長後のガスバリア性フィルムの水蒸気透過度(WVTR)の悪化を抑制することができる。
ガスバリア層12は、炭素分布曲線が6個以上の極大値を有することが好ましい。一般的には、組成が連続して変化する領域の層数は、炭素分布曲線の極大値の数+1層となるため、炭素分布曲線が6個以上の極大値を有すると、組成が連続して変化する領域が7層以上設けられる。組成が連続して変化する領域が7層以上設けられることにより、微小なクラックが発生した領域を他の領域が被覆する作用を発現しやすく、ガスバリア層12全体でのクラックの貫通を防ぐ効果を発現しやすい。
また、炭素分布曲線の極大値の数が多いほど、組成が連続して変化する領域の積層数が増加する。より多くの領域が積層された状態のガスバリア層12の方が、クラックが発生した領域を他の領域が被覆する作用を発現しやすい。このため、炭素分布曲線の極大値の数は、多いほど好ましく、炭素分布曲線の極大値の数は、8個以上であることが好ましく、12個以上であることがより好ましい。
図4及び図5に、炭素分布曲線の極大値が12個の場合のガスバリア層における、各分布曲線を示す。なお、図4及び図5に示すグラフは、上述の図2及び図3に対応し、グラフの詳細については、図2及び図3と同様である。
図4は、ガスバリア層12のケイ素分布曲線と、炭素分布曲線と、酸素分布曲線とを示すグラフである。また、図5は、ガスバリア層12のC/Si比分布曲線と、O/Si比分布曲線とを示すグラフである。図5に示すグラフでは、SiOxCyの組成式に基づいてケイ素の比率を1に規定している。
図4及び図5に示す例のガスバリア性フィルム10は、約105nmの厚さのガスバリア層において、炭素分布曲線が図面に矢印で示す12個の極大値を有する。このため、図4に示すグラフでは、[膜厚/極大値数]は約9nmとなる。従って、図4及び図5に示す例も、上述の図2及び図3に示す例と同様に、ガスバリア性フィルム10に要求される、ガスバリア層12の[膜厚/極大値数]が25nm以下の規定を満たす。
さらに、ガスバリア層12の厚さが一定の条件では、組成が連続して変化する領域の厚さが小さい方が、より多くの領域が積層された状態となる。すなわち、ガスバリア層12全体の厚さを、炭素分布曲線の極大値の数で割った値[膜厚/極大値数]が小さくなるほど、組成が連続して変化する各領域の厚さが小さくなる。従って、ガスバリア層12の厚さが一定の条件においては、[膜厚/極大値数]が小さくなるほど、多くの領域を積層させることが可能となり、微小なクラックが発生した領域を他の領域が被覆する作用を発現しやすくなる。このため、ガスバリア層12の[膜厚/極大値数]は、15nm以下であることがより好ましい。
[伸長処理前後の水蒸気透過度]
ガスバリア性フィルム10は、基材11とガスバリア層12のみからなるガスバリア性フィルム10の単体構成において、2%の伸長処理を施す前後において、伸長処理前のガスバリア性フィルム[A]と、伸長処理を施したガスバリア性フィルム[B]とが、下記(1)から(3)の規定を全て満たす。
(1)[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値、及び、[B]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値が、0.2(g/m/day)以下である。
(2)([B]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)≦2を満たす。
(3)[A]の水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)、及び、[B]の水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)が、[σ<0.30]を満たす。
なお、ガスバリア性フィルム10の水蒸気透過度(WVTR)は、60℃、90%RH、2時間の測定値とする。また、ガスバリア性フィルム10の水蒸気透過度の測定は、下記のa〜eの方法によって行う。
a.水蒸気透過度評価セルの作製
水分不透過基板上に、水分と反応して腐食する腐食性金属層と、評価するガスバリア性フィルムとをこの順に積層し、水蒸気透過度評価セルを作製する。
b.光学的特性の測定
水蒸気に曝す前の水蒸気透過度評価セルに対し、一方の面側から光を入射して腐食性金属層の光学的特性を測定する。その後、水蒸気透過度評価セルを60℃、90%RHの環境下に2時間保持し、水蒸気に曝す。その後、水蒸気に曝した水蒸気透過度評価セルの一方の面側から光を入射して腐食性金属層の光学的特性を測定する。
c.光学的特性の変化量の測定
水蒸気に曝す前後の水蒸気透過度評価セルに対して、腐食性金属層の指定した範囲を、一定の単位面積で、10等分以上の一定の分割数に分割する。そして、水蒸気に曝す前後の試料において、分割した各領域内において、相互に対応する部分の光学的特性の変化量を測定する。
d.水蒸気透過度の算出
上記cで得た光学的特性の変化量から、分割した領域毎に、腐食性金属層における腐食部分の体積を算出する。そして、この腐食部分の体積から水蒸気透過量を求め、分割した領域毎に、ガスバリア性フィルムの水蒸気透過度を算出する。
e.平均値と標準偏差の算出
上記dで得られた分割した領域毎の水蒸気透過度から、分割した各領域の平均値と標準偏差を算出し、ガスバリア性フィルムの水蒸気透過度(WVTR)の平均値、及び、水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)を求める。
伸長処理前のガスバリア性フィルム[A]と、伸長処理を施したガスバリア性フィルム[B]とが共に、水蒸気透過度(WVTR)の平均値0.2(g/m/day)以下を満たすことにより、ガスバリア性フィルムは、伸長前後において共に十分なガスバリア性を備える。このため、この条件を満たすガスバリア性フィルム10は、十分なガスバリア性を有していることになる。
伸長処理を施したガスバリア性フィルム[B]は、伸長処理により水蒸気透過度(WVTR)が僅かに悪化する。しかし、ガスバリア性フィルム[B]の水蒸気透過度(WVTR)が伸長処理前のガスバリア性フィルム[A]の水蒸気透過度(WVTR)の2倍以下であれば、ガスバリア性フィルム[B]は、十分なガスバリア性を有している。このため、ガスバリア性フィルム10が、[([B]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)≦2]を満たすことにより、伸長された後においても、十分なガスバリア性を有していることになる。
水蒸気透過度(WVTR)の測定では、一定の単位面積で分割した各領域内において、ガスバリア層12に不良があると、不良が存在する領域において、水蒸気透過度(WVTR)が悪化する。例えば、ガスバリア性フィルム10の伸長により発生したガスバリア層12におけるクラックが、ガスバリア層12を貫通していると、このクラックが発生した領域内の水蒸気透過度(WVTR)が悪化する。
このため、分割した各領域の水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)を算出すると、水蒸気透過度(WVTR)が悪化した領域が存在しない場合には、標準偏差(σ)は、0.30未満となる。すなわち、ガスバリア層12内に微小なクラックが発生しても、この微小なクラックが、ガスバリア層12全体を貫通するほど成長せず、発生したクラックが全てガスバリア層12内に封じ込められている場合には、一定の単位面積で分割した全ての領域内においてガスバリア層12のガスバリア性が低下せず、水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)が小さいままとなる。
これに対し、ガスバリア層12内に発生した微小なクラックがガスバリア層12全体を貫通するほど成長し、発生したクラックをガスバリア層12内で封じ込められていない場合には、クラックが存在する領域内においてガスバリア層12のガスバリア性が低下し、この領域において、水蒸気透過度(WVTR)が悪化する。このような、水蒸気透過度(WVTR)が悪化した領域が存在する場合には、この悪化した領域と、他の水蒸気透過度(WVTR)が悪化していない領域とが同時に存在するため、水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)が急激に大きくなり、0.30を容易に超える。ガスバリア性フィルム10において、上記標準偏差(σ)が0.30未満であれば、発生した微小なクラックがガスバリア層12内に十分に封じ込められていると考えられる。
[ガスバリア層の組成式SiOxCy]
ガスバリア層12は、上述のように、ケイ素、酸素、及び、炭素を含有し、SiOxCyの組成で表される。そして、SiOxCyにおけるxの値はケイ素に対する酸素の含有量(O/Si)として表され、yの値はケイ素に対する炭素の含有量(C/Si)として表される。
ガスバリア性フィルム10においてガスバリア層12は、ガスバリア層12の組成をSiOxCyで表した際に、y<0.20の組成を有する領域の厚さと、y>1.40の組成を有する領域の厚さとの合計が、20nm未満である。
y<0.20の組成は、炭素比率が少なく、酸素比率が多い領域である。すなわち、ガスバリア層12が、SiOに近い組成となる。SiOに近い組成を有する領域は、伸長処理でクラックが入りやすく、y<0.20の組成を有する領域を厚さ方向に20nmを超えて有すると、この領域に生じるクラックが、クラックを生じにくい他の異なる組成の領域にまでも伝播しやすい。このため、ガスバリア層12のバリア性が劣化しやすい。
また、y>1.40の組成は、酸素比率が少なく、炭素比率が多い領域である。すなわち、ガスバリア層12が、SiCに近い組成となる。この組成についても、上述のSiOに近い組成を有する領域と同様に、伸長処理でクラックが入りやすく、他の異なる組成の領域にクラックが伝播しやすくなるため、ガスバリア層12のバリア性が劣化しやすい。
また、図6〜9に、ガスバリア層12を構成するSiOxCyの組成において、横軸をx、縦軸をyとした直交座標を示す。図6及び図7は、上述の図3に示すC/Si比分布曲線、及び、O/Si比分布曲線を有するガスバリア層12における、厚さ毎のSiOxCyで表される組成の(x,y)の座標を示す。また、図8及び図9は、上述の図5に示すC/Si比分布曲線、及び、O/Si比分布曲線を有するガスバリア層12における、厚さ毎のSiOxCyで表される組成の(x,y)の座標を示す。なお、図6〜9に示す各(x,y)は、図3及び図5のC/Si比分布曲線、及び、O/Si比分布曲線において、白抜きの三角形で示す点における厚さでの組成を表している。
ガスバリア性フィルム10は、図6及び図8に示すように、SiOxCyで表した組成における厚さ毎の(x,y)の分布において、下記ABCDの4点の範囲内となる組成を、ガスバリア層12の厚さ方向に40nm以上200nm以下有していることが好ましい。
A(x=0.70、y=1.10)
B(x=0.9、y=1.40)
C(x=2.0、y=0.20)
D(x=1.8、y=0.20)
さらに、ガスバリア性フィルム10は、図7及び図9に示すように、SiOxCyで表した組成において厚さ毎の(x,y)の分布において、下記ABEFの4点の範囲内となる組成を、ガスバリア層12の厚さ方向に40nm以上200nm以下有していることが、より好ましい。
A(x=0.70、y=1.10)
B(x=0.9、y=1.40)
E(x=1.8、y=0.40)
F(x=1.6、y=0.40)
さらに、ガスバリア層12の全てが、上記ABCDの4点の範囲内となる組成であることが好ましく、上記ABEFの4点の範囲内となる組成であることが特に好ましい。ガスバリア層12を構成するSiOxCyの組成は、図6〜9に示す、SiC−SiO理論線に沿って分布しやすい傾向にある。そして、全体的に、SiC−SiO理論線よりも炭素の原子比が多い領域に分布しやすい傾向にある。そして、SiC−SiO理論線近傍の上記ABCDの4点で囲まれた狭い範囲内が、ガスバリア層12としてガスバリア性、物理的特性、及び、光学特性において好ましい組成である。さらに、ABEFの4点で囲まれたより狭い範囲内が、ガスバリア層12としてガスバリア性、物理的特性、及び、光学特性において特に好ましい組成である。
また、ガスバリア層12は、C/Siが0.95以上の組成となる領域と、C/Siが0.7以下の組成となる領域の両方を有することが好ましい。さらに、ガスバリア層12は、C/Siが0.95以上の組成となる領域と、C/Siが0.7以下の組成となる領域の両方を有し、且つ、ガスバリア層12の70%以上の領域が、C/Siが0.95以上、又は、C/Siが0.7以下のいずれかの領域に含まれることが好ましい。特に、ガスバリア層12の全ての領域が、C/Siが0.95以上、又は、C/Siが0.7以下のいずれかの領域に含まれることが好ましい。
さらに、図2〜5に示す炭素分布曲線のように、C/Siが0.95以上の組成となる領域と、C/Siが0.7以下の組成となる領域とが、厚さ方向において交互に積層されていることが好ましい。特に、C/Siが0.95以上の組成となる領域と、C/Siが0.7以下の組成となる領域とが、交互に4つ以上積層されていることが好ましく、図4及び図5に示すように、各領域が6つ以上積層されていることがより好ましい。
ガスバリア層12を構成するSiOxCyの組成において、組成が異なる領域では、それぞれ物理的な特性が異なるため、各領域におけるクラックが発生しやすい条件も異なる。例えば、ガスバリア層12を構成するSiOxCyの組成においては、炭素の原子比が小さく、酸素の原子比が大きくなると、ガスバリア層12の組成がSiOの組成に近づき、ガスバリア層12の物理的な特性がガラスのように脆く、割れやすくなりやすい。このため、C/Siが0.95以上の炭素の原子比が大きい組成をガスバリア層12が含むことにより、ガスバリア層12にクラックが発生し難くすることができる。
また、C/Siが0.95以上の組成の領域ととともに、C/Siが0.70以下の炭素の原子比が小さい組成の領域とを含むことにより、異なる耐クラック性を有する領域が積層された構成となる。この構成では、C/Siが0.95以上の組成の領域と、C/Siが0.70以下の組成の領域とのいずれか一方の領域にクラックが発生しやすい条件においても、他方の領域にはクラックが発生しにくい。このため、ガスバリア層12に、大きく組成の異なる領域が2層以上存在すると、異なる耐クラック性を有する領域が積層された構成となり、一度にガスバリア層12の厚さ方向を貫通するような大きなクラックの発生が抑制できる。従って、ガスバリア層12において、上述のクラックが発生した領域が他の領域によって被覆され、クラックが他の領域によって遮蔽されてガスバリア層12内に封じ込められる効果がより得られやすい。
[突起]
ガスバリア層12は、内部にパーティクル等の異物の混入が少ない方が好ましい。ガスバリア層12の内部に異物、例えば、成膜時に混入するパーティクル等が存在する場合、ガスバリア性フィルム10に伸長処理を施すと、異物周囲に応力が集中して、クラックが発生する起点になると考えられる。従って、ガスバリア層12の単位面積あたりの異物数が少ない方が、ガスバリア性フィルム10を伸長した場合のクラックの発生が抑制されると考えられる。
しかしながら、ガスバリア層12の内部のパーティクル等の異物を直に観察、測定することは非常に難しい。しかし、ガスバリア層12の成膜時にパーティクル等の異物が取り込まれた場合は、ガスバリア層12の膜厚よりも小さい異物であっても、その部分の成膜レートが高くなるため、ガスバリア層12の表面に微小な突起として検出されるようになる。すなわち、ガスバリア層12において、パーティクル等の異物が内部に封じ込められている箇所は、この異物に起因した突起が発生する。このため、ガスバリア層12の表面の突起を観察することにより、ガスバリア層12の内部のパーティクル等の異物の混入の様子を観察することができる。従って、ガスバリア層12の単位面積あたりの異物起因の突起数が少ない方が、ガスバリア性フィルム10を伸長した場合に、クラックの発生が抑制されやすいと考えられる。
ガスバリア層12では、表面で観測される、高さが10nm以上の突起数が100個/mm以下であることが好ましい。突起数が100個/mm以下であれば、ガスバリア層12の耐クラック性が低下せず、ガスバリア性フィルム10のガスバリア性が低下しにくい。
ガスバリア層12において、10nm程度の微小な突起は表面粗さのうねり成分(波長の長い凹凸)の影響で、分離検出することが困難である。このため、ガスバリア層12における10nm以上の微小な突起数は、下記の方法で検出及び計数される値で規定する。
まず、ガスバリア層12の表面を、光干渉方式の三次元表面粗さ測定装置(Veeco社製 WYKO NT9300)を用いて計測する。そして、この計測により、ガスバリア層12の三次元表面粗さデータを取得する。
次に、取得した三次元表面粗さデータに対して波長10μmのハイパスフィルターをかけて粗さうねり成分を除去する処理を行う。この処理により得られるうねり成分が除去された三次元表面粗さ変換データにおいて、データをヒストグラム表示した際の最大のピーク位置を0としたときに、高さが10nm以上となる突起を計数する。そして、計数した突起数をmm当たりの個数として算出する。より具体的には、測定解像度約250nmの条件で、159.2μm×119.3μmの範囲6視野(面積として0.114mm)を測定及び計数し、1mm当たりの個数として算出する。
ガスバリア層12の表面状態について、上記方法で処理して得られた三次元表面粗さ変換データの高さをグレースケールで表示した画像(159.2μm×119.3μm)を、図10〜12に示す。図10〜12では、ガスバリア層12の表面の基準となる位置から高さが大きくなる位置ほど、色が白く表示される。
図10は、突起数が10個/mm未満のガスバリア層12について、上記処理により得られた表面の画像である。図11は、突起数が50個/mm以上100個/mm未満のガスバリア層12について、上記処理により得られた表面の画像である。図12は、突起数が200個/mm以上のガスバリア層12について、上記処理により得られた表面の画像である。
図10に示すように、突起数が10個/mm未満のガスバリア層12では、画像中に白点で表示される高さ10nmを超える突起が少ない。そして、図11及び図12に示すように、突起数が50個/mm以上100個/mm未満、及び、突起数が200個/mm以上と、高さ10nmを超える突起数が増えるほど、画像中に表示される白点の数が増えている。従って、上記方法で検出及び計数することにより、ガスバリア層12の表面の10nm程度の微小な突起数を規定することができる。
〈2.ガスバリア性フィルム積層体の構成要素〉
以下、上述の図1に示すガスバリア性フィルム積層体の各構成について説明する。なお、以下の説明は、ガスバリア性フィルムに保護フィルムが貼合されたガスバリア性フィルム積層体の一例であり、ガスバリア性フィルム及びガスバリア性フィルム積層体の構成はこれらに限定されない。また、ガスバリア性フィルム及びガスバリア性フィルム積層体は、これら以外の構成を有していてもよい。
[ガスバリア性フィルム]
ガスバリア性フィルム10は、基材11とガスバリア層12とを有する。ガスバリア性フィルム10は、ガスバリア層が、ケイ素、酸素、及び、炭素を含有し、ガスバリア層の厚さ方向の炭素の含有量を示す曲線(炭素分布曲線)が4個以上の極大値を有し、且つ、ガスバリア層の厚さ方向の炭素の含有量を示す曲線(炭素分布曲線)の[膜厚/極大値数]が25nm以下である。また、伸長処理を施していないガスバリア性フィルム[A]と、2%の伸長処理を施したガスバリア性フィルム[B]とが、上記(1)から(3)の規定を全て満たす。ガスバリア性フィルム10は、上記規定を満たしていれば、その他の構成は特に限定されない。
[基材]
ガスバリア性フィルム10に用いられる基材11としては、例えば、樹脂フィルム等が挙げられる。樹脂フィルムは、ガスバリア層を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。樹脂フィルムとしては、従来公知の樹脂フィルムを用いることができる。基材11は、複数の材料から形成されていてもよい。樹脂フィルムとしては、特開2013−226758号公報の段落[0124]〜[0136]、国際公開第2013/002026号の段落[0044]〜[0047]等に記載された樹脂フィルムを挙げることができる。
基材11として用いることができる樹脂フィルムのより好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン(COP)が挙げられる。
基材11は、光の吸収が少なく、ヘイズが小さいことが好ましい。このため、基材11は、一般的に光学フィルムに適用される樹脂フィルムから、適宜選択して用いることができる。
また、基材11は、樹脂フィルムが単独、又は、複数用いられていてもよく、複数の層から形成されていてもよい。例えば、樹脂フィルムを支持体13とし、この支持体13の両面にハードコート層14,15が設けられた構成であってもよい。
基材11は、枚葉形状及びロール形状に限定されないが、生産性の観点からロールトゥロール方式でも対応できるロール形状が好ましい。また、基材11の厚さは、特に制限されないが、5〜500μm程度が好ましい。
[ハードコート層]
基材11が表面にハードコート層14,15を有することにより、ガスバリア性フィルム10の耐久性や平滑性が向上する。ハードコート層14,15は、硬化型樹脂から形成されていることが好ましい。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂等の熱硬化型樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂等の活性エネルギー線硬化型樹脂が挙げられる。
また、ハードコート層14,15には、耐傷性、滑り性や屈折率を調整するために、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機化合物の微粒子、及び、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリ弗化エチレン系樹脂粉末等の紫外線硬化性樹脂組成物を加えることができる。また、ハードコート層14,15の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることができる。さらに、ハードコート層14,15は、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエーテル化合物、フッ素−シロキサングラフトポリマーを含有してもよい。
ハードコート層14,15を形成するための塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル等)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。また、塗布液に含有される硬化型樹脂含量は、例えば、5〜80質量%である。
ハードコート層14,15は、上記塗布液を用いて、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の湿式塗布方法で塗設することができる。塗布液の層厚としては、例えば0.1〜30μmである。また、支持体13に塗布液を塗布する前に、あらかじめ支持体13に真空紫外線照射等の表面処理を行うことが好ましい。
塗布液を塗布して形成した塗膜には、紫外線等の活性エネルギー線を照射して樹脂を硬化させる。これにより、ハードコート層14,15を形成する。硬化に用いる光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。照射条件は、例えば50〜2000mJ/cmの範囲内が好ましい。
[ガスバリア層]
ガスバリア性フィルム10を構成するガスバリア層12としては、バリア性を有する層であり、上述のケイ素、酸素、及び、炭素を含有し、ガスバリア層の厚さ方向の炭素の含有量を示す曲線が、4個以上の極大値を有し、上述のガスバリア層の組成、及び、炭素分布曲線の規定を満たす。ガスバリア層12としては、後述する、ロールトゥロール方式の適用が可能な、無機化合物の気相成膜により形成されることが好ましい。
[ガスバリア層;気相成膜]
無機化合物の気相製膜によって形成されたガスバリア層12(以下、気相成膜ガスバリア層ともいう)は、ケイ素、酸素、及び、炭素を含有する無機化合物を含む。無機化合物を含む気相成膜ガスバリア層は、副次的な成分として、上記の無機化合物以外の元素を含有してもよい。
気相成膜ガスバリア層のガスバリア性は、水蒸気透過率(WVTR)が、0.2(g/m/day)以下であることが好ましく、1×10−2(g/m/day)以下であることがより好ましい。気相成膜ガスバリア層の膜厚は、特に制限されないが、5〜1000nmであること好ましい。このような範囲であれば、高いガスバリア性能、折り曲げ耐性、断裁加工適性に優れる。また、気相成膜ガスバリア層は2層以上から構成されてもよい。
気相成膜ガスバリア層を形成するための気相製膜方法としては、特に限定されない。気相製膜方法としては、既存の薄膜堆積技術を利用することができる。例えば、従来公知の蒸着法、反応性蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、化学気相成長法等の気相製膜法を用いることができる。これらの気相成膜法によるガスバリア層は、公知の条件を適用して作製することができる。
例えば、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面又は気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマを発生させる方法等があり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、プラズマを励起源としたプラズマCVD法(PECVD法)である真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法等の公知のCVD法が挙げられる。特に、PECVD法が好ましい方法である。以下、化学気相成長法の好ましい手法として、真空プラズマCVD法について詳しく説明する。
[真空プラズマCVD法]
真空プラズマCVD法は、プラズマ源を搭載した真空容器に材料ガスを流入させ、電源からプラズマ源に電力供給することで真空容器内に放電プラズマを発生させ、プラズマで材料ガスを分解反応させ、生成された反応種を基材に堆積させる方法である。真空プラズマCVD法により得られる気相成膜ガスバリア層は、原材料である金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力等の条件を選ぶことで、目的の化合物を製造できる。
原材料の化合物としては、ケイ素化合物、チタン化合物、及び、アルミニウム化合物等のケイ素を含む化合物や金属を含む化合物を用いることが好ましい。これら原材料の化合物は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの、ケイ素化合物、チタン化合物、及び、アルミニウム化合物としては、従来公知の化合物を用いることができる。例えば、公知の化合物としては特開2013−063658号公報の段落[0028]〜[0031]、特開2013−047002号公報の段落[0078]〜[0081]等に記載された化合物を挙げることができる。好ましくは、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、及び、水蒸気等が挙げられる。また、上記分解ガスを、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスと混合して用いてもよい。原材料の化合物を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで所望の気相成膜ガスバリア層を得ることができる。
(真空プラズマCVD装置)
以下、好適な形態である真空プラズマCVD法について具体的に説明する。図13に、真空プラズマCVD法に適用される、ロールトゥロール(Roll to Roll)方式のローラー間放電プラズマCVD装置の模式図の一例を示す。
上述のプラズマCVD法を用いて気相成膜ガスバリア層を製造することができる成膜装置としては、例えば、図13に示す製造装置が挙げられる。図13に示す製造装置では、プラズマCVD法を利用しながら、ロールトゥロール方式で気相成膜ガスバリア層を製造することができる。以下、図13を参照しながら、気相成膜ガスバリア層の製造方法についてより詳細に説明する。なお、図13は、気相成膜ガスバリア層の製造において好適に利用することができる磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。
図13に示す磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置(以下、単にプラズマCVD装置ともいう)50は、主には、繰り出しローラー51と、搬送ローラー52、搬送ローラー54、搬送ローラー55及び搬送ローラー57と、成膜ローラー53及び成膜ローラー56と、成膜ガス供給管59と、プラズマ発生用電源63と、成膜ローラー53,56の内部に設置された磁場発生装置61及び磁場発生装置62と、巻取りローラー58とを備えている。また、このようなプラズマCVD製造装置においては、少なくとも成膜ローラー53,56と、成膜ガス供給管59と、プラズマ発生用電源63と、磁場発生装置61,62とが、図示を省略した真空チャンバー内に配置されている。また、図13においては、成膜ローラー53,56にプラズマ発生用電源63に接続された電極ドラムが設置される。更に、このようなプラズマCVD製造装置において、真空チャンバー(不図示)は、真空ポンプ(不図示)に接続されており、この真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このようなプラズマCVD製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー53と成膜ローラー56)を、一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源63に接続されている。一対の成膜ローラーに、プラズマ発生用電源63から電力を供給することにより、成膜ローラー53と成膜ローラー56との間の空間に放電し、プラズマを発生させることができる。このようなプラズマCVD製造装置においては、一対の成膜ローラー53,56は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー53,56を配置することにより、成膜レートを倍にでき、尚かつ、同じ構造の膜を成膜できる。
また、成膜ローラー53及び成膜ローラー56の内部には、成膜ローラーが回転しても、回転しないようにして固定された磁場発生装置61及び磁場発生装置62がそれぞれ設けられている。
さらに、成膜ローラー53及び成膜ローラー56としては、適宜公知のローラーを用いることができ、より効率よく薄膜を形成することができる観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このようなプラズマCVD製造装置に用いる繰り出しローラー51及び搬送ローラー52,54,55,57としては、公知のローラーを適宜選択して用いることができる。また、巻取りローラー58も、気相成膜ガスバリア層を形成した基材60を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
成膜ガス供給管59としては、原料ガス及び酸素ガスを所定の速度で供給又は排出することが可能なものを適宜用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源63としては、従来公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源63としては、効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源63としては、印加電力を100W〜10kWの範囲とすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzの範囲とすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置61,62としては、適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。
図13に示すプラズマCVD装置50を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、磁場発生装置の強度、真空チャンバー内の圧力(減圧度)、成膜ローラーの直径、樹脂基材の搬送速度等を適宜調整することにより、所望のガスバリア層を製造することができる。
図13に示すプラズマCVD装置50において、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給し、一対の成膜ローラー53,56間に、磁場を発生させながらプラズマ放電を行うことにより、成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー53が保持する基材60の表面上、及び、成膜ローラー56が保持する基材60の表面上に、気相成膜ガスバリア層が形成される。なお、このような成膜に際しては、基材60が繰り出しローラー51、搬送ローラー52,54,55,57、巻取りローラー58、及び、成膜ローラー53、56等で搬送されることにより、ロールトゥロール方式の連続的な成膜プロセスで気相成膜ガスバリア層を形成することができる。
(成膜ガス)
プラズマ化学気相成長法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用い、その成膜ガス中の酸素ガスの含有量は、成膜ガス中の有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
気相成膜ガスバリア層の作製に用いる成膜ガスを構成する原料ガスとしては、少なくともケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。気相成膜ガスバリア層の作製に適用可能な有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、成膜での取り扱い及び得られる気相成膜ガスバリア層のガスバリア性等の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、成膜ガスは、原料ガスの他に反応ガスとして、酸素ガスを含有することができる。酸素ガスは、原料ガスと反応して酸化物等の無機化合物となるガスである。成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガスや水素ガスを用いることができる。
このような成膜ガスが、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物を含む原料ガスと、酸素ガスとを含有する場合、原料ガスと酸素ガスとの比率としては、原料ガスと酸素ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる酸素ガスの量の比率よりも、酸素ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。これについては、例えば、国際公開第2012/046767号等の記載を参照することができる。
(真空度)
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5〜100Paの範囲とすることが好ましい。
(ローラー成膜)
図13に示すプラズマCVD装置50を用いたプラズマCVD法においては、成膜ローラー53,56間に放電するために、プラズマ発生用電源63に接続された電極ドラムに印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができる。電極ドラムに印加する電力としては、例えば、0.1〜10kWの範囲内とすることが好ましい。このような範囲の印加電力であれば、パーティクル(不正粒子)の発生も見られず、成膜時に発生する熱量も制御範囲内であるため、成膜時の基材表面温度の上昇による、樹脂基材の熱変形、熱による性能劣化や成膜時の皺の発生もない。
プラズマCVD装置50において、基材60の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲内とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲内とすることがより好ましい。ライン速度が範囲内であれば、樹脂基材の熱に起因する皺も発生し難く、形成される気相成膜ガスバリア層の厚さも十分に制御可能となる。
[X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定]
ガスバリア層内における炭素原子の含有比率の平均値は、以下のXPSデプスプロファイルの測定によって求めることができる。
ガスバリア層の層厚方向におけるケイ素分布曲線、酸素分布曲線、及び、ケイ素分布曲線等は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定と、アルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間が、ガスバリア層の層厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離におおむね相関する。このため、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出される、ガスバリア層の表面からの距離を「ガスバリア層の層厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離」として採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、以下の測定条件とすることが好ましい。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):3nm以下
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名"VG Theta Probe"
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びサイズ:800×400μmの楕円形
炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が実質的に連続とは、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出されるガスバリア層のうちの少なくとも1層の膜厚方向における該ガスバリア層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、[(dC/dx)≦0.5]で表される条件を満たすことをいう。
(ガスバリア層における炭素元素プロファイル)
ガスバリア層は、ガスバリア層の構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含む。そして、層厚方向に組成が連続的に変化し、X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、炭素分布曲線が、上記要件(1)及び(2)を満たす。また、炭素原子比率がガスバリア層の特定の領域において、濃度勾配を有して連続的に変化する構成を有することが、ガスバリア性と屈曲性を両立する観点から好ましい。
このような炭素原子分布プロファイルを有するガスバリア層においては、層内における炭素分布曲線が複数の極値を有する。炭素分布曲線が複数の極値を有すると、得られるガスバリア層のフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が十分発揮できる。
なお、上記分布曲線の極値とは、ガスバリア層の厚さ方向において、ガスバリア層の表面からの距離に対する元素の原子比率の極大値又は極小値である。極大値とは、ガスバリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比率の値が増加から減少に変わる変曲点であり、且つ、その変曲点の位置から厚さ方向に2〜20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が1at%以上減少する点のことをいう。また、極小値とは、ガスバリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が減少から増加に変わる変曲点であり、且つ、その変曲点の位置から厚さ方向に2〜20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が1at%以上増加する点のことをいう。すなわち、極大値及び極小値は、厚さ方向の位置を2〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が1at%以上減少又は増加する点である。
(ガスバリア層における各元素プロファイル)
ガスバリア層においては、構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有することを特徴とするが、それぞれの原子の比率と、最大値及び最小値についての好ましい態様を、以下に説明する。
(炭素原子比率の最大値と最小値の関係)
ガスバリア層では、炭素分布曲線における炭素原子比率の最大の極値(最大値)と最小の極値(最小値)の差が3at%以上であることが好ましく、5at%以上であることがより好ましい。炭素原子比率の最大値及び最小値の差を3at%以上とすることにより、作製したガスバリア層を屈曲させた際のガスバリア性が十分得られる。最大値及び最小値の差が5at%以上であれば、ガスバリア層を屈曲させた場合にも、十分なガスバリア性が得られる。
(酸素原子比率の最大値と最小値の関係)
ガスバリア層においては、酸素分布曲線における最大の極値(最大値)と最小の極値(最小値)の差の絶対値が3at%以上であることが好ましく、5at%以上であることがより好ましい。
(ケイ素原子比率の最大値と最小値の関係)
ガスバリア層においては、ケイ素分布曲線における最大の極値(最大値)と最小の極値(最小値)の差の絶対値が10at%未満であることが好ましく、5at%未満であることがより好ましい。最大の極値(最大値)と最小の極値(最小値)の差が10at%未満であれば、ガスバリア層のガスバリア性及び機械的強度が得られる。
また、膜面全体の均一性やガスバリア性を向上させるためには、ガスバリア層が膜面方向(ガスバリア層の表面に平行な方向)で実質的に一様であることが好ましい。ガスバリア層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりガスバリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について酸素分布曲線、炭素分布曲線、及び、酸素−炭素合計の分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるか、又は、5at%以内の差であることをいう。
上記したガスバリア層のその他の構成については、国際公開第2012/046767号の段落[0025]〜[0047]、特開2014−000782号公報の段落[0029]〜[0040]等に記載された構成を適宜参照及び採用することができる。
(ガスバリア層の厚さ)
ガスバリア層の厚さは、5〜1000nmの範囲内であることが好ましく、20〜500nmの範囲内であることより好ましく、40〜300nmの範囲内であることが特に好ましい。ガスバリア層の厚さが範囲内であれば、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性に優れ、屈曲された状態でも良好なガスバリア性が得られる。さらに、ガスバリア層の厚さの合計値が範囲内であると、上記効果に加えて所望の平面性を実現することができる。
(ガスバリア層の形成方法)
上記要件(1)及び(2)を同時に満たすガスバリア層を形成する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。緻密に元素分布が制御させたガスバリア層を形成することができる観点からは、上述の図13に示すローラー間放電プラズマCVD装置を用いて、磁場を印加したローラー間に放電空間を有する放電プラズマ化学気相成長法を用いること好ましい。また、例えば、国際公開第2012/046767号の段落[0049]〜[0069]等に記載の方法を参照することができる。
より詳しくは、図13に示すローラー間放電プラズマCVD装置において、磁場を印加したローラー間放電プラズマ処理装置を用い、基材を一対の成膜ローラーに巻き回し、この一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電する、プラズマ化学気相成長法でガスバリア層を形成することが好ましい。また、このように一対の成膜ローラー間に磁場を印加しながら放電する際には、一対の成膜ローラー間の極性を交互に反転させることが好ましい。このように、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に基材を巻き回して、かかる一対の成膜ローラー間にプラズマ放電することにより、基材と成膜ローラーとの間の距離が変化し、プラズマ強度が変わることにより、炭素原子比率が濃度勾配を有し、かつ層内で連続的に変化するようなガスバリア層を形成することが可能となる。
また、成膜時に、一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分を成膜しつつ、かつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する樹脂基材の表面部分も同時に成膜することが可能となる。すなわち、成膜効率を倍にでき、且つ、同じ構造の膜が成膜されるため、炭素分布曲線の極値を倍増させることが可能となり、効率よく上記要件(1)及び(2)を同時に満たすガスバリア層を形成することが可能となる。
[保護フィルム]
第1保護フィルム20は、第1保護基材21と、第1保護基材21をガスバリア性フィルム10のガスバリア層12上に貼合するための第1粘着剤層22とを備える。また、第2保護フィルム25は、第2保護基材26と、第2保護基材26をガスバリア性フィルム10の基材11上に貼合するための第2粘着剤層27とを備える。
第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25を構成する保護フィルムは、第1粘着剤層22及び第2粘着剤層27を構成する粘着剤層により、第1保護基材21及び第2保護基材26を構成する保護基材が、ガスバリア性フィルム10からの剥離が可能であれば、保護基材及び粘着剤層に用いられる材料は特に限定されない。
また、保護フィルムとしては、自己粘着性の共押出延伸多層フィルムを用いることもできる。このような自己粘着性の共押出延伸多層フィルムとしては、例えば、フタムラ化学社製の自己粘着性OPPフィルムFSA−010M、FSA−020M、FSA−050M、FSA−100M、FSA−150M、FSA−300M、FSA−010B等を用いることができる。
[保護基材]
保護基材としては、上述のガスバリア性フィルム10の基材11と同じ樹脂フィルムを使用することができる。耐熱性や、光学的な特性から、保護基材としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いることが好ましい。
保護基材は、樹脂フィルムが単独、又は、複数用いられていてもよく、複数の層から形成されていてもよい。保護基材は、枚葉形状及びロール形状に限定されないが、生産性の観点からロールトゥロール方式でも対応できるロール形状が好ましい。
保護基材の厚さは、特に制限されないが、5〜500μm程度が好ましく、25μm〜150μmがより好ましい。保護基材の厚さが5μm以上であれば、取り扱い易い十分な厚さとなる。また、保護基材の厚さが500μm以下であれば、十分な柔軟性を有し、搬送性やロールへの密着性が十分に得られる。
[粘着剤層]
粘着剤層は、粘着剤を含んで構成される。粘着剤層に用いられる粘着剤は、保護フィルムに要求される粘着力を得ることができれば特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。粘着剤層に使用される粘着剤としては、感圧粘着剤が好ましい。感圧粘着剤は、凝集力と弾性を有し、長時間にわたり安定した粘着性を維持できる。また、粘着剤層を形成する際に、熱や有機溶媒等の要件を必要とせず、圧力を加えるだけで第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25をガスバリア性フィルム10に貼合することができる。
粘着剤層を形成するための粘着剤としては、透明性に優れる材料が好ましい。粘着剤層を形成するための粘着剤としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、及び、シリコン系樹脂等を含む粘着剤が挙げられる。粘着剤の形態としては、例えば、溶剤型、エマルション型、及び、ホットメルト型等を用いることができる。
粘着剤層を形成するための粘着剤としては、アクリル系粘着剤が、耐久性、透明性、粘着特性の調整の容易さなどの面から好ましい。アクリル系粘着剤は、アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに極性単量体成分を共重合したアクリル系ポリマーを加えたものである。上記アクリル酸アルキルエステルとはアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルであって、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。具体的には、東洋インキ社製BPS5978を使用できる。
アクリル系粘着剤の硬化剤としては、例えば、イソシアネート系、エポキシ系、アリジリン系硬化剤が利用できる。イソシアネート系硬化剤としては、長期保存後も安定した粘着力を得るため、及び、より硬い粘着剤層を形成するために、トルイレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族系のタイプを用いることが好ましい。具体的には、東洋インキ社製BXX5134を使用することができる。
硬化剤の添加量は、粘着剤に対して3質量%〜9質量%であることが好ましく、5質量%〜7質量%であることがより好ましい。このような範囲であれば、粘着剤成分を十分に硬化させることができ、十分な接着力も確保することができるとともに、保護フィルムをガスバリア性フィルム10から剥離した後に、ガスバリア性フィルム10側に粘着剤層が残存しにくい。
粘着剤層を構成する粘着剤の重量平均分子量は、40万以上140万以下であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲内の値であれば、粘着力が過度になることが少なく、必要な範囲で粘着力を得ることができる。さらに、上記の重量平均分子量の範囲であれば、剥離後のガスバリア性フィルム10側への粘着剤層の残存を防止することができる。さらに、上記範囲の重量平均分子量であれば、プラズマCVD法等の熱やエネルギーがかかる方法を用いてガスバリア層12を形成する際に、粘着剤の転写や剥離が発生しにくくなり、保護フィルムの剥離を抑制することができる。
また、粘着剤に含まれる上記樹脂類の他に、粘着剤層の物性向上の観点から、各種添加剤を用いることができる。例えば、ロジン等の天然樹脂、変性ロジン、ロジンおよび変性ロジンの誘導体、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、芳香族系石油樹脂、フェノール系樹脂、アルキル−フェノール−アセチレン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体をはじめとする粘着付与剤、老化防止剤、安定剤、及び軟化剤等を必要に応じて用いることができる。これらは必要に応じて2種以上用いることもできる。また、耐光性を上げるために、粘着剤にベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系等の有機系紫外線吸収剤を添加することもできる。
粘着剤層の厚さは、保護フィルムの取扱い易さから10μm以上50μm以下であることが好ましい。このような範囲であれば、保護フィルムとガスバリア性フィルム10とに十分な密着力を得ることができる。さらに、保護フィルムを剥離する際にも、ガスバリア性フィルム10に対して過度な力をかける必要がなく、ガスバリア層12の損傷を抑制することができる。
粘着剤層を保護基材の表面に形成(塗工)する方法は特に限定されない。例えば、スクリーン法、グラビア法、メッシュ法、バー塗工法等を用いて、上記粘着剤を保護基材上に塗布し、乾燥又は硬化することにより、粘着剤層を形成することができる。
〈3.ガスバリア性フィルム積層体の製造方法〉
次に、ガスバリア性フィルムの製造方法、及び、ガスバリア性フィルム積層体の製造方法について説明する。なお、以下のガスバリア性フィルム、及び、ガスバリア性フィルム積層体の製造方法においては、製造されるガスバリア性フィルム積層体の一例として、上述の図1に示す構成のガスバリア性フィルム積層体の製造方法について説明する。ガスバリア性フィルム積層体の各構成については、上述のガスバリア性フィルム積層体の実施形態と同様の構成を適用することができる。
図1に示すガスバリア性フィルム積層体は、ガスバリア性フィルム10と第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25とが貼合されて形成される。ガスバリア性フィルム10は、基材11と、基材11の第1面(表面)側に形成されたガスバリア層12とを有する。第1保護フィルム20は、第1保護基材21と、第1保護基材21の第1面(表面)側に形成された第1粘着剤層22とを有する。また、第2保護フィルム25は、第2保護基材26と、第2保護基材26の第1面(表面)側に形成された第2粘着剤層27とを有する。
そして、ガスバリア性フィルム10の基材11の第2面(裏面)側に、第2保護フィルム25の第2粘着剤層27が貼合され、ガスバリア性フィルム10のガスバリア層12の第1面(表面)側に、第1保護フィルム20の第1粘着剤層22が貼合された構成である。
また、ガスバリア性フィルム積層体の製造方法は、基材11の第2面側に剥離可能な第2保護フィルム25を貼合する工程と、基材11の第1面にガスバリア層12を形成する工程と、ガスバリア層12の第1面側に第1保護フィルム20を貼合する工程とを有する。すなわち、ガスバリア性フィルム積層体は、基材11に第2保護フィルム25を貼合した基材積層体を形成した後に、基材積層体の基材11の表面側にガスバリア層12を形成し、さらに、ガスバリア層12上に第1保護フィルム20を貼合することで作製できる。ガスバリア性フィルム積層体の製造において、ガスバリア層12を形成する工程は、基材11に第2保護フィルム25が貼合された基材積層体を、搬送ローラーを用いて装置内を搬送する、いわゆるロールトゥロール方式の製造方法を適用することが好ましい。
以下、ガスバリア性フィルム積層体の製造方法における各工程について説明する。なお、以下の説明は、ガスバリア性フィルム積層体の製造工程の一例であり、これらに限定されない。また、ガスバリア性フィルム積層体の製造において、これら以外の工程を有していてもよい。
[基材準備]
まず、ガスバリア性フィルム10を作製するための基材11を準備する。基材11は、ロールトゥロール方式の製造方法でガスバリア層12を作製することが可能な、樹脂フィルムを作製する。或いは、ロールトゥロール方式の製造方法でガスバリア層12を作製することが可能な、市販の樹脂フィルムを基材11として準備する。樹脂フィルムとしては、上述の各種樹脂フィルムを用いることができる。また、樹脂フィルムを作製には、従来公知の樹脂フィルムの作製方法を適用することができる。
[保護フィルムの作製]
第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25は、上記基材11と同様の方法で第1保護基材21及び第2保護基材26となる樹脂フィルムを準備した後、この樹脂フィルムの一方の面に第1粘着剤層22及び第2粘着剤層27を形成して作製することができる。また、保護基材と粘着剤層とが一体化した第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25を作製してもよい。或いは、市販の粘着剤層付きの樹脂フィルムを第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25として準備してもよい。第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25の作製には、従来公知の製造方法を適用することができる。
また、第1保護基材21及び第2保護基材26を準備する工程において、第1保護基材21及び第2保護基材26の表面に、クリアハードコート層やその他の機能を有する層を形成してもよい。これらの層を形成する場合においては、これらの層も第1保護基材21及び第2保護基材26の一部の構成として、第1保護基材21及び第2保護基材26に含めてもよい。
(粘着剤層の作製)
第1粘着剤層22及び第2粘着剤層27の作製では、まず、第1粘着剤層22及び第2粘着剤層27を形成するための粘着剤を含む粘着性組成物を調製する。粘着性組成物は、例えば、粘着剤となる上述の各種樹脂に、必要に応じて硬化剤や溶剤、添加剤等を混合することで調製することができる。粘着性組成物の調製には、従来公知の方法を適用することができる。
次に、調製した粘着性組成物を、第1保護基材21及び第2保護基材26の一方の面(表面)側に塗工する。粘着性組成物の塗工は、硬化後の第1粘着剤層22及び第2粘着剤層27の厚さが第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25における厚さの規定を満たすように形成する。粘着性組成物の塗工方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用することができる。
次に、形成した塗膜に対し、乾燥、加熱、又は、活性エネルギー線の照射等を行うことにより、粘着性組成物を硬化して第1粘着剤層22及び第2粘着剤層27を形成する。粘着性組成物を硬化するための各種手法、及び、各条件は、使用する粘着剤や溶媒、添加剤等に応じて任意に設定することができる。また、第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25をガスバリア性フィルム10に貼合することができ、且つ、ガスバリア性フィルム10から第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25を剥離可能なように形成することができれば、第1粘着剤層22及び第2粘着剤層27の形成方法は特に限定されない。
[第2保護フィルムの貼合]
次に、基材11に、第2保護フィルム25を貼合する。第2保護フィルム25の貼合では、基材11の第2面(裏面)に対して、第2保護フィルム25の第2粘着剤層27を貼合して、基材積層体を作製する。基材11への第2保護フィルム25の貼合方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用することができる。
[ガスバリア層の作製]
次に、基材11の表面側にガスバリア層12を作製する。作製するガスバリア層12の種類及び製法は、上述の各種ガスバリア層12から任意の構成を選択すればよく、上述の各種ガスバリア層12以外の層を作製してもよい。
また、ガスバリア層12の作製では、基材11に第2保護フィルム25が貼合された基材積層体をローラーから巻き出して、成膜ローラー上でガスバリア層12を形成する、ロールトゥロール方式の製造装置、製造方法を用いることが好ましい。ロールトゥロール方式の製造装置を用いたガスバリア層12の成膜方法としては、例えば、上述の図13に示す構成のロールトゥロール方式を用いたプラズマCVD成膜装置を用いた成膜を行うことが好ましい。
[第1保護フィルムの貼合]
次に、ガスバリア層12に、第1保護フィルム20を貼合する。第1保護フィルム20の貼合では、ガスバリア層12の第1面(表面)に対して、第1保護フィルム20の第1粘着剤層22を貼合する。ガスバリア層12への第1保護フィルム20の貼合方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用することができる。
以上の工程により、ガスバリア性フィルム10と第1保護フィルム20及び第2保護フィルム25とからなるガスバリア性フィルム積層体を作製することができる。なお、基材11への第2保護フィルム25の貼合と、ガスバリア層12の成膜とは、基材11に第2保護フィルム25を貼合し、巻き取り軸で基材11と第2保護フィルム25との基材積層体を巻き取った後、別工程で基材11と第2保護フィルム25とからなる基材積層体を巻き出して、基材11上にガスバリア層12の形成を行うオフライン方式であってもよい。また、基材11への第2保護フィルム25の貼合と、ガスバリア層12の成膜とは、第2保護フィルム25の貼合と連続してガスバリア層12の形成を行う、オンライン方式で行うことが好ましい。
実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[基材1の作製]
下記の方法で支持体の両面にハードコート層が形成された基材1を作製した。
(支持体)
帝人デュポンフィルム社製、両面に易接着層を有する50μm厚さのPETフィルム、KFL12W#50を準備した。
(ハードコート塗布液HC1の作製)
下記の材料を混合した、ハードコート塗布液HC1を調整した。
重合性バインダ:サートマー社製SR368 12.0質量部
重合性バインダ:荒川化学社製ビームセット575 22.0質量部
重合開始剤:BASF社製イルガキュア651 1.0質量部
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 65.0質量部
(基材の作製)
ロールトゥロール方式の塗布装置を用い、HC1を支持体(PETフィルム)の片面に乾燥膜厚が4μmとなるように塗布し、乾燥させた後、紫外線を500mJ/cmの条件で照射して硬化させて、巻き取った。次に、支持体(PETフィルム)の反対面に、上記と同様の方法で厚さ4μmのハードコート層を形成し、さらに、50μm厚のPETフィルムに微粘着層を設けた保護フィルムを、反対面側のハードコート層上にインラインで貼合した後、巻き取った。
[基材2の作製]
支持体として、帝人デュポンフィルム社製、両面に易接着層を有する23μm厚さのPETフィルム、KFL12W#23を準備し、ハードコート塗布液としてHC2を用いた以外は上述の基材1と同様の方法で基材2を作製した。
(ハードコート塗布液HC2の作製)
重合性バインダ:新中村化学社製U−6LPA 20.0質量部
重合性バインダ:新中村化学社製A−9550 10.0質量部
反応型紫外線吸収剤:大塚化学社製RUVA−93 3.0質量部
重合開始剤:BASF社製イルガキュア184 2.0質量部
溶媒:メチルエチルケトン 20.0質量部
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 45.0質量部
[基材3の作製]
支持体として、東レ社製、両面に易接着層を有する100μm厚さのPETフィルム、ルミラーU34を準備した以外は、上述の基材1と同様の方法で基材3を作製した。
[ガスバリア層の成膜条件]
ガスバリア層は、上述の図13に示すロールトゥロール(Roll to Roll)方式を用いたローラー間放電プラズマCVD装置において、2つの成膜部(第1成膜部、第2成膜部)が連続で配置された装置(特開2015−131473号公報の図2参照)を用いて作製した。
第1成膜部、及び、第2成膜部における成膜条件を、下記表1に示すC1〜C14の条件のいずれかに設定した。そして、各成膜部において、C1〜C14の条件のいずれかの条件を適用することにより、ガスバリア層を作製した。また、C1〜C14に共通の条件として、成膜有効幅1000mm換算とし、電源周波数を80kHz、成膜ロールの温度を10℃とした。
なお、ガスバリア層の成膜では、2つの成膜部(第1成膜部、第2成膜部)を有する装置を用いることにより、基材を成膜装置に1回通すごとに、2層のガスバリア層が成膜される。ガスバリア層の作製において、1回目の成膜は、第1成膜部から第2成膜部に向けて基材を搬送し(順方向)、2回目の成膜は、第2成膜部から第1成膜部に向けて基材を搬送した(逆方向)。同様に、奇数回目の成膜では、第1成膜部から第2成膜部に向けて基材を搬送し(順方向)、偶数回目の成膜では、第2成膜部から第1成膜部に向けて基材を搬送した(逆方向)。
〈試料101〜119のガスバリア性フィルムの作製〉
上記基材1〜3と、上記成膜条件C1〜C14及び成膜回数を、下記表2に示す組み合わせで選択し、試料101〜119のガスバリア性フィルムを作製した。なお、試料117〜119のガスバリア性フィルムでは、ガスバリア層として、ロールトゥロール方式のスパッタ製膜装置を用いて、常法により、SiO膜を作製した。スパッタ製膜では、ターゲットとして多結晶Siターゲットを用い、酸素を導入して、組成がSiOとなるように調整した。また、スパッタレートと搬送速度を調整することで、膜厚を調整した。
〈評価〉
作製した試料101〜119のガスバリア性フィルムに対し、下記の評価を行った。
[ガスバリア層の膜厚]
作製した試料101〜119のガスバリア性フィルムにおいて、以下の集束イオンビーム(FIB)加工装置を用いて薄片を作製した後、切片の断面を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)で観察し、ガスバリア層の厚さを計測した。
(FIB加工)
・装置:SII製SMI2050
・加工イオン:(Ga 30kV)
・試料厚み:100nm〜200nm
(TEM観察)
・装置:日本電子製JEM2000FX(加速電圧:200kV)
[XPS分析]
作製した試料101〜119のガスバリア性フィルムのガスバリア層の厚さ方向の組成分布を、下記の光電子分光法(XPS)分析を用いて測定した。
(XPS分析条件)
・装置:アルバックファイ製QUANTERASXM
・X線源:単色化Al−Kα
・測定領域:Si2p、C1s、O1s
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:一定時間スパッタ後、測定を繰り返す。1回の測定は、SiO 換算で、約2.8nmの厚さ分となるようにスパッタ時間を調整した。
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバックファイ社製のMultiPakを用いた。
なお、XPS分析は厚さ方向に2.8nm間隔で測定した。また、ガスバリア層を構成するSiOxCyの組成の判定において、ガスバリア層の表層の測定点は、表面吸着物の影響があることから除外した。また、ガスバリア層において、上述のABCD及びABEFの範囲内の組成となる厚さについては、連続製膜していることから表層直下の組成と表層から2点目の測定点の組成とが近いと判断し、表層から2点目の測定点の組成が表面位置まで連続して形成されているものとして厚さを計測した。
[ガスバリア層の表面突起数]
作製した試料101〜119のガスバリア性フィルムのガスバリア層について、下記の方法でガスバリア層の表面の突起を検出、計数した。
まず、光干渉方式の三次元表面粗さ測定装置(Veeco社製 WYKO NT9300)を用いてガスバリア層の表面を計測し、三次元表面粗さデータを取得した。次に、取得した三次元表面粗さデータに波長10μmのハイパスフィルターをかけて得られた、三次元表面粗さ変換データ(粗さうねり成分を除去)において、データをヒストグラム表示した際の最大のピークの高さ位置を0としたときの、高さが10nm以上となる突起を計数し、mm当たりの個数として算出した。具体的には、測定解像度を約250nmとし、159.2μm×119.3μmの範囲6視野(面積として0.114mm)を測定・計数し、1mm当たりの個数として算出した。
得られたガスバリア層の突起数を、下記の基準(ランク)で評価した。
5:10個/mm未満
4:10個/mm以上、50個/mm未満
3:50個/mm以上、100個/mm未満
2:100個/mm以上、200個/mm未満
1:200個/mm以上
[水蒸気透過度(WVTR)評価]
作製した試料101〜119のガスバリア性フィルムにおいて、伸長処理を行っていない試料[A]、下記の方法で1%の伸長処理を行った試料[C]、2%の伸長処理を行った試料[B]、及び、3%の伸長処理を行った試料[D]について、下記のCa法評価を用いて、水蒸気透過度(WVTR)の平均値(g/m/day)、水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)、並びに、([C]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)、([B]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)、及び、([D]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)を求めた。なお、水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)は、下記の基準(ランク)で評価した。
5:0.01未満
4:0.01以上、0.10未満
3:0.10以上、0.30未満
2:0.30以上、0.50未満
1:0.50以上
また、各[A]、[B]、[C]及び[D]の試料の評価において、2時間保管時点でCaが完全に腐食した場合は、平均水蒸気透過度(WVTR)を1.5(g/m/d)以上とし、標準偏差を算出不可とした。また、[A]の平均水蒸気透過度(WVTR)が算出でき、[B]、[C]及び[D]のCaが完全に腐食した場合において、([C]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)、([B]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)、及び、([D]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)は、[B]、[C]及び[D]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値を1.5(g/m/d)として算出した値以上とした。
(伸長処理)
テンシロン(A&D社製、RTC TENSILON RTC−1250A)を用いて、50mm×100mmの試料の長手上下10mmずつをチャッキング部分とし、長手80mmに対して、80.8mm(1%伸長)、81.6mm(2%伸長)、82.4mm(3%伸長)の3条件で伸長処理を行った。伸長速度は定速(0.5mm/min)とし、1分間保持後、除荷して80mmに戻して、テンシロンから試料を取り外した。
(Ca法評価)
まず、ガラス基板上の20mm×20mmの面積に、日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400を用いてカルシウム(Ca:腐食性金属)を蒸着し、厚さ80nmのCa層を作製した。次に、接着剤(スリーボンド製1655)を用いて、Ca層を形成したガラス基板上にガスバリア性フィルムを貼合して封止し、Ca法評価試料を作製した。なお、接着剤を貼合したガスバリア性フィルムは、接着剤の水分及びガスバリア性フィルム表面の吸着水を除去するため1昼夜グローブボックス(GB)内に放置した。
次に、作製したCa法評価試料を、60℃、90%RH環境で、2時間保管した。そして、保管後のCa法評価試料にガラス面側の法線方向から光を入射し、反対面側からエリア型のCCDカメラを用いて撮影して、Ca層の評価画像を得た。
次に、得られた評価画像を100分割し、それぞれ分割した画像のCa蒸着部の濃度変化から水分透過量を算出して、時間に対する水分透過量の傾きから水蒸気透過度(WVTR)の平均値(g/m/day)を算出した。さらに、100分割した画像毎の水蒸気透過度(WVTR)の値から、水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)を算出した。
上記試料101〜119のガスバリア性フィルムの各評価結果を下記表3に示す。
表3に示すように、試料101〜110のガスバリア性フィルムは、ガスバリア層が、ケイ素、酸素、及び、炭素を含有し、ガスバリア層の厚さ方向の炭素の含有量を示す曲線が4個以上の極大値を有し、ガスバリア層の[膜厚/極大値数]が25nm以下であり、且つ、SiOxCyで表した際のy<0.20又はy>1.40の組成を有する領域の厚さとの合計が20nm未満である。このため、伸長処理を施していないガスバリア性フィルム[A]と、2%の伸長処理を施したガスバリア性フィルム[B]ともに、水蒸気透過度(WVTR)の平均値が、0.2(g/m/day)以下の高いガスバリア層が得られている。さらに、試料101〜110は、([B]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)≦2を満たし、且つ、[A]及び[B]の水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)が、[σ<0.30]を満たしている。
また、試料101〜110のガスバリア性フィルムは、SiOxCyで表した組成における厚さ毎の(x,y)の分布において、上述ABCDの4点の範囲内となる組成が、ガスバリア層の厚さ方向に40nm以上200nm以下有している。なお、試料101〜110のガスバリア性フィルムにおいては、上述のABEFの4点の範囲内となる組成の厚さも、ABCDの4点の範囲内となる組成の厚さと同じであった。
従って、ガスバリア層が、ケイ素、酸素、及び、炭素を含有し、ガスバリア層の厚さ方向の炭素分布曲線が4個以上の極大値を有し、ガスバリア層の[膜厚/極大値数]が25nm以下であることにより、伸長処理後もガスバリア性の低下が少ないガスバリア性フィルムを実現することができる。
これに対し、試料111〜119のガスバリア性フィルムは、2%の伸長処理を施したガスバリア性フィルム[B]の水蒸気透過度(WVTR)の水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)が、[σ<0.30]を満たしていない。すなわち、試料111〜119のガスバリア性フィルムは、伸長処理によって発生した微細なクラックがガスバリア層を貫通し、分割したいずれかに領域において局所的にガスバリア性が低下した部分が発生したため、WVTRの面内分布の標準偏差(σ)が増大したと考えられる。
試料111及び試料113のガスバリア性フィルムは、ガスバリア層の[膜厚/極大値数]が25nmを超えて30nm、27.5nmである。このように、隣接する極大値の平均距離が大きくなると、伸長処理によって発生した微細なクラックがガスバリア層を貫通しやすく、伸長処理によって水蒸気透過度が大きく低下したと考えられる。
さらに、試料111〜114のガスバリア性フィルムは、SiOxCyの組成において、y<0.20又はy>1.40の組成を有する領域の厚さの合計が20nmを超えて、110nm以上である。このように、酸素比率又は炭素比率が極端に多い領域の厚さが大きいと、クラックが発生しやすく、また、クラックがガスバリア層全体に伝搬しやすいため、伸長処理によって水蒸気透過度が大きく低下したと考えられる。
試料115及び試料116のガスバリア性フィルムは、炭素分布曲線の極大値の数が2個である。このように、炭素分布曲線の極大値の数が少ないと、ガスバリア層を構成する組成が連続して変化する領域の積層数が少なくなり、伸長処理によって1つの領域に発生した微細なクラックが他の領域によって被覆されにくくなる。このため、伸長処理によって発生した微細なクラックがガスバリア層を貫通しやすく、伸長処理によって水蒸気透過度が大きく低下したと考えられる。
試料117〜119のガスバリア性フィルムは、スパッタ成膜によって形成されたSiO組成のガスバリア層を有する。このため、このガスバリア層は、組成が連続して変化する領域が厚さ方向に積層された構成を有していない。従って、伸長処理前の水蒸気透過度は十分によいが、伸長処理後は、ガスバリア層を貫通するクラックが発生し、水蒸気透過度が大きく低下している。
従って、ガスバリア層が、SiOxCyの組成式を有し、且つ、組成が連続して変化する領域を厚さ方向に複数有し、且つ、組成が連続して変化する1つの領域の厚さが十分に小さいことにより、伸長処理によって1つの領域に発生した微細なクラックが他の領域によって被覆され、この微細なクラックによるガスバリア層の貫通が抑制されるため、伸長処理後の水蒸気透過度の低下が少ないガスバリア性フィルムを実現することができる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10・・・ガスバリア性フィルム、11,60・・・基材、12・・・ガスバリア層、13・・・支持体、14,15・・・ハードコート層、20・・・第1保護フィルム、21・・・第1保護基材、22・・・第1粘着剤層、25・・・第2保護フィルム、26・・・第2保護基材、27・・・第2粘着剤層、50・・・プラズマCVD装置、51・・・繰り出しローラー、52,54,55,57・・・搬送ローラー、53,56・・・成膜ローラー、58・・・巻取りローラー、59・・・成膜ガス供給管、61,62・・・磁場発生装置、63・・・プラズマ発生用電源

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材上に形成されたガスバリア層とを備えるガスバリア性フィルムであって、
    前記ガスバリア層が、ケイ素、酸素、及び、炭素を含有し、
    前記ガスバリア層の厚さ方向の炭素の含有量を示す曲線が、4個以上の極大値を有し、
    前記ガスバリア層の厚さ方向の炭素の含有量を示す曲線の[膜厚/極大値数]が25nm以下であり、
    前記ガスバリア層の組成をSiOxCyで表した際に、y<0.20の組成を有する領域とy>1.40の組成を有する領域との合計が、厚さ方向に20nm未満であり、
    伸長処理を施していない前記ガスバリア性フィルム[A]と、2%の伸長処理を施した前記ガスバリア性フィルム[B]とが、下記(1)から(3)の規定を全て満たす
    ガスバリア性フィルム。
    (1)[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値、及び、[B]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値が、0.2(g/m/day)以下である。
    (2)([B]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値/[A]の水蒸気透過度(WVTR)の平均値)≦2を満たす。
    (3)[A]の水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)、及び、[B]の水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)が、[σ<0.30]を満たす。
  2. 前記ガスバリア層が気相成膜層である請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記ガスバリア層の組成をSiOxCyで表した際に、横軸をx、縦軸をyとした座標上で、A(x=0.70、y=1.10)、B(x=0.9、y=1.40)、C(x=2.0、y=0.20)、D(x=1.8、y=0.20)の4点で囲まれた範囲内の組成を、厚さ方向に40nm以上200nm以下の範囲で有する
    請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記ガスバリア層が、C/Siが0.95以上の組成となる領域と、C/Siが0.7以下の組成となる領域の両方を有し、且つ、前記ガスバリア層の70%以上が、前記C/Siが0.95以上の組成となる領域、又は、前記C/Siが0.7以下の組成となる領域である請求項3に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記ガスバリア層において、厚さ方向の炭素の含有量を示す曲線が、極大値を有し、かつ、極大値の数が6個以上である請求項3に記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記ガスバリア層の[膜厚/極大値数]が15nm以下である請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  7. 前記ガスバリア層の表面において、高さが10nm以上の突起数が、100個/mm以下である請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
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