JPWO2018092554A1 - 熱膨張性微小球の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ただし、アルカリ性シリカゾルを使用する熱膨張性微小球の製造方法において、水性分散媒は、アルカリ性の状態を保ったまま懸濁重合に供される訳ではない。すなわち、アルカリ性シリカゾルと、水その他必要な成分とを混合することにより調製される水性分散媒は、通常、工程の最終段階において硫酸や塩酸等の酸が添加され、pHをアルカリ性側から酸性側(2〜4程度)に調整された後に懸濁重合に供される。
このように、アルカリ性シリカゾルを用いた熱膨張性微小球の製造方法においては、生成する凝集シリカ粒子がいわば真の分散安定剤として機能していると考えられる。しかしながら、どのような条件で凝集シリカ粒子を生成させれば、分散安定剤としてより優れた機能を発揮し、結果としてシリカゾルの使用量を低減させることができるかについて、詳細に報告した例はない。特許文献2には分散安定剤としてシリカゾルを用い、シリカゾルに含まれるアルカリ成分量を所定の範囲とすることで、洗浄排水の白濁化を低減する熱膨張性微小球の製造工程が記載されている。しかしながら、この製造方法では単にシリカ粒子を熱膨張性微小球の表面に強固に付着させることにより洗浄排水の白濁化を低減させているのみであり、シリカゾルの使用量を低減させる方法について何ら開示するものではない。
すなわち、本発明は、水性分散媒中に、重合性成分、発泡剤及び重合開始剤を含有する油性混合物を分散させて、前記重合性成分を重合させる工程を含む熱膨張性微小球の製造方法であって、前記水性分散媒が、pHが9〜11でありSiO2濃度が15〜40重量%である水性シリカゾル(a)、分散安定補助剤(b)、酸(c)、水(d)、及び重合助剤(e)を混合して調製され、前記水性分散媒を調製する工程において、水性分散媒の調製開始時刻をT0、調製終了時刻をT100とし、T0<T<T100を満たす任意の時刻Tにおいて生成する水性分散媒の中間体のSiO2濃度をAT重量%、T100における水性分散媒のSiO2濃度をAT100重量%としたとき、0<AT<15を満たすATにあっては、前記中間体のpHを0.8〜7の範囲で維持し、AT100を0.5〜8とする、熱膨張性微小球の製造方法である。
前記油性混合物100重量部に対して、前記水性分散媒を150〜1000重量部用いると好ましい。
前記水性分散媒が、さらに無機塩(f)を混合して調製されると好ましい。この場合、前記水性分散媒が、前記無機塩(f)の一部又は全部を、前記水(d)の一部又は全部に溶解させて得られる無機塩水溶液と、前記水性シリカゾル(a)とを混合して調製されると好ましい。
本発明の熱膨張性微小球の製造方法は、水性分散媒中に、重合性成分、発泡剤及び重合開始剤を含有する油性混合物を分散させて、前記重合性成分を重合させる工程(以下、懸濁重合工程という)を含むものである。以下、本発明について詳述する。
水性分散媒は、油性混合物を分散させるための媒体であり、pHが9〜11でありSiO2濃度が15〜40重量%である水性シリカゾル(a)、分散安定補助剤(b)、酸(c)、水(d)、及び重合助剤(e)を混合して調製される。まず、各成分の詳細について説明する。
本発明で用いられる水性シリカゾルは、非晶質シリカ粒子が水性媒体中に分散してなるシリカ粒子のコロイド分散液であって、pHが9〜11であり、SiO2濃度が15〜40重量%である。
熱膨張性微小球の製造方法において、水性シリカゾルに由来するシリカ粒子は、水性分散媒中に分散した油滴の分散状態を安定化させ、重合中の分散系を安定に保つ分散安定剤としての役割を果たす成分である。本発明者らは、シリカゾルの使用量を低減させるという本発明の課題を検討するなかで、前記特定のpH及びSiO2濃度を有する水性シリカゾルを用いて水性分散媒を調製する際、系中のSiO2濃度が低い範囲にあっては系のpHを酸性に維持することにより、水性シリカゾルの使用量を低減できることを見出した。本発明で用いられる水性シリカゾルのpHは、好ましくは9.0〜10.5、さらに好ましくは9.5〜10.5であり、SiO2濃度は、好ましくは18〜38重量%、さらに好ましくは20〜35重量%である。
非晶質シリカ粒子の粒子径については、特に限定されないが、好ましくは1.0〜50nm、より好ましくは2.0〜40nm、さらに好ましくは3.0〜30nmである。粒子径がこの範囲外である場合は、懸濁系の安定性が不足し、重合中に分散系が壊れることがある。なお、ここでいう非晶質シリカ粒子の粒子径とは、BET吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830)からの換算値を意味する。
水性シリカゾル(a)の配合量は、水(d)100重量部に対して、好ましくは2〜100重量部、さらに好ましくは2〜80重量部である。
分散安定補助剤は、上記水性シリカゾルを凝集させ、且つ凝集したシリカ粒子を水/油界面に存在させることで、重合性単量体を含む油滴どうしの合一を抑制し、重合工程を安定化させる成分である。分散安定補助剤としては、特に限定はないが、例えば、高分子タイプの分散安定補助剤;カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。これらの中で、高分子タイプの分散安定補助剤が好ましい。分散安定補助剤は、1種を単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
高分子タイプの分散安定補助剤としては、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アルキルリン酸エステル塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等を挙げることができる。
ノ二オン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマ一等を挙げることができる。
また、これらの分散安定補助剤は、予め水(d)によって希釈され、有効成分として例えば10〜50重量%程度の水溶液の形態として用いられてもよい。
分散安定補助剤(b)の配合量は、水(d)100重量部に対して、好ましく0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜3重量部である。
本発明で用いられる酸は、水性分散媒のpHを酸性に維持する目的で使用される成分であり、通常は、水性分散媒に対してごく少量配合すれば十分である。
酸としては、特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸や、蟻酸、酢酸、シュウ酸等の有機酸が挙げられる。これらの中では無機酸が好ましく、硫酸が特に好ましい。これらの酸は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの酸は、予め水(d)によって希釈され、有効成分として例えば10〜50重量%程度の水溶液の形態として用いられてもよい。
酸(c)の配合量は、特に限定はなく、本発明においては後述するように水性分散媒を調製する工程において、pHを所望の範囲に維持するように適宜調整して加えればよい。
本発明で用いられる水は、水性分散媒の大半を構成する成分である。水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、工業用水、井戸水、水道水等が挙げられ、これらの中では軟水及び/又はイオン交換水が好ましい。
本発明で用いられる重合助剤は、水性分散媒中での乳化重合物の発生を抑制し、またスケール(スカム)発生を防止する役割を果たす成分である。スケール(スカム)とは、重合反応終了後に、反応器内壁や攪拌羽根等に付着している、或いは重合後のスラリー中に漂っている巨大な重合物の塊を意味する。
重合助剤としては、特に限定されないが、例えば、カルボン酸(塩)基及びホスホン酸(塩)基から選ばれる親水性官能基が置換したアルキル基が窒素原子と結合した構造を有するポリアルキレンイミン類;水酸基、カルボン酸(塩)基およびホスホン酸(塩)基から選ばれる親水性官能基とヘテロ原子とが同一の炭素原子に結合した構造を有する水溶性1,1−置換化合物類;重クロム酸ナトリウム、重クロム酸カリウム、重クロム酸アンモニウム等の重クロム酸塩類;亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩類;硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等のジルコニウム塩類;塩化チタン;金属(III)ハロゲン化物;ホウ酸;水溶性アスコルビン酸類;水溶性ポリフェノール類;水溶性ビタミンB類;水溶性ホスホン酸(塩)類等が挙げられる。なお、ここでいう水溶性とは、水100gあたり1g以上溶解する状態であることを意味する。これらの重合助剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合助剤(e)の配合量は、水(d)100重量部に対して、好ましく0.0001〜1重量部、さらに好ましくは0.001〜0.1重量部である。
本発明における水性分散媒は、さらに無機塩等を混合して調製されるものであってもよい。
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの無機塩は、1種を単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。後述する重合性成分が、水溶性の高い単量体を高含有する場合、これらの単量体の水性分散媒中への溶出を抑制するために、水性分散媒に無機塩を用いることが好ましい。
無機塩が使用される場合、無機塩の配合量は、水(d)100重量部に対して、好ましくは0〜40重量部、より好ましくは1〜32重量部である。
本発明では、水性分散媒を調製する工程において、水性分散媒の調製開始時刻をT0、調製終了時刻をT100とし、T0<T<T100を満たす任意の時刻Tにおいて生成する水性分散媒の中間体のSiO2濃度をAT重量%、T100における水性分散媒のSiO2濃度をAT100重量%としたとき、0<AT<15を満たすATにあっては、前記中間体のpHを0.8〜7の範囲で維持し、AT100を0.5〜8とする。
ここで、水性分散媒の調製開始時刻T0とは、上記で説明した(a)〜(f)のうち、いずれか2つ以上を混合し始めた時点を意味し、水性分散媒の中間体(以下、単に「中間体」ということがある)とは、上記で説明した(a)〜(f)のうち、いずれか2つ以上を混合することにより生成する任意の混合物を意味する。水性分散媒を調製する工程において、中間体は必ずしも1つである必要はなく、2つ以上存在してもよい。また、水性分散媒の調製終了時刻T100とは、水性分散媒の調製に必要な全ての成分を混合し終えた時点を意味する。
中間体のSiO2濃度ATは、水性シリカゾルの配合の順序により、以下の2通りで推移する。
(イ)ATが増加する場合
先に水を準備しておき、ここに分散安定補助剤及び水性シリカゾルを混合する場合、水性シリカゾルを投入するにつれATが増加する。この場合におけるSiO2濃度ATの推移を示す概略図を図1に示す。図1において、ATはT0<T<T100の範囲において、0<AT<15を満たし、この範囲においてpHを0.8〜7の範囲で維持すると、本願の効果が発揮される。また、水性分散媒の調製終了時刻T100におけるSiO2濃度AT100は0.5〜8となるように調製する。
(ロ)ATが減少する場合
先に水性シリカゾルを準備しておき、その後で水及び分散安定補助剤を混合する場合、水等を投入するにつれATが減少する。この場合におけるSiO2濃度ATの推移を示す概略図を図2に示す。図2において、SiO2濃度ATが15重量%となる時刻をTxとすると、0<AT<15を満たす時刻はTx<T<T100の範囲となり、この範囲においてpHを0.8〜7の範囲で維持すると、本願の効果が発揮される。また、この場合においても水性分散媒の調製終了時刻T100におけるSiO2濃度AT100は0.5〜8となるように調製する。
中間体のpHは、0.8〜7の範囲で維持されていればよく、好ましくは1〜6、より好ましくは2〜5の範囲で維持されるとよい。
AT100は、通常0.5〜8であり、好ましくは0.6〜7、より好ましくは0.7〜6.5である。AT100が0.5未満であると、懸濁系の安定性が不足し、重合中に分散系が壊れる。AT100が8よりも大きい場合、使用する水性シリカゾル(a)の量が多くなり、本発明の効果が発揮されなくなる。
T100における水性分散媒のpHは、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4である。pHが2〜6の範囲外であると、懸濁系の安定性が不足し、重合中に分散系が壊れることがある。
水性分散媒を調製する際に必要な単位体積あたりの所要動力については、特に制限はないが、水性分散媒を均一にさせる観点からは、0.1〜10kW/m3の単位体積あたりの所要動力で攪拌することが好ましい。
態様1:
攪拌装置を備えた水性分散媒調製用の容器(以下、単に容器という)に、水(d)を添加し、容器の攪拌装置を起動させる。次いで、容器内の水(d)に必要量の酸(c)を添加する。さらに、これに分散安定補助剤(b)を添加する。そして、容器内の中間体のpHを0.8〜7の範囲で維持しつつ、徐々に水性シリカゾル(a)を添加する。
態様1において、酸(c)と分散安定補助剤(b)の添加する順序を入れ替える以外は、態様1と同様にして水性分散媒を調製する。
態様3:
容器に水(d)を添加し、容器の攪拌装置を起動させる。次いで、容器内の水(d)に必要量の酸(c)を添加する。そして、容器内の中間体のpHを0.8〜7の範囲で維持しつつ、徐々に水性シリカゾル(a)を添加する。その後、分散安定補助剤(b)を添加する。
態様4:
容器に水(d)を添加し、容器の攪拌装置を起動させる。次いで、容器内の水(d)に分散安定補助剤(b)を添加する。そして、この容器内の中間体に対して、水性シリカゾル(a)及び酸(c)を別々のラインを介して同時に添加する。この時、容器内の中間体のpHが0.8〜7の範囲で維持されるように各々の供給速度を調節する。
態様5:
容器に水(d)を添加し、容器の攪拌装置を起動させる。次いで、容器内の水(d)に、水性シリカゾル(a)及び酸(c)を別々のラインを介して同時に添加する。この時、容器内の中間体のpHが0.8〜7の範囲で維持されるよう各々の供給速度を調節する。その後、分散安定補助剤(b)を添加する。
容器に分散安定補助剤(b)を添加する。次いで、水性シリカゾル(a)を添加し、容器の攪拌装置を起動させる。さらに、酸(c)を添加して、容器内の中間体のpHを0.8〜7の範囲とする。その後、水(d)を添加する。
態様7:
容器に分散安定補助剤(b)を添加する。次いで、酸(c)を添加する。さらに、水性シリカゾル(a)を添加し、容器の攪拌装置を起動させる。この時、容器内の中間体のpHを0.8〜7の範囲とする。その後、水(d)を添加する。
態様8:
容器に水性シリカゾル(a)を添加し、容器の攪拌装置を起動させる。次いで、酸(c)を添加して、pHを0.8〜7の範囲とする。さらに、分散安定補助剤(b)、及び水(d)を添加する。
なお、態様1〜8において、重合助剤(e)は水性分散媒調製時のどの段階で添加してもよい。また、容器内の中間体のpHが0.8〜7の範囲で維持されるようにすれば、水性シリカゾル(a)及び酸(c)の供給速度については何ら制限は無い。
また、(a)〜(e)の各成分を混合する際、各成分は必ずしも一度に全量が混合される必要はなく、異なる時期に複数回に分けて混合されてもよい。すなわち、そのような態様として例えば、態様1において、分散安定補助剤(b)を添加する工程を二回に分け(それぞれ第一添加工程、第二添加工程という)、第一添加工程は態様1と同様に酸(c)を添加した直後に行い、第二添加工程は水性シリカゾル(a)を添加した後に行う、等を例示することができる。
重合性成分は、重合開始剤の存在下で重合することによって、熱膨張性微小球の外殻を形成する熱可塑性樹脂となる成分である。重合性成分は、単量体成分を必須とし架橋剤を含むことがある成分である。
ここで、単量体成分とは、一般に、重合性二重結合を1個有するラジカル重合性単量体と呼ばれている成分を意味するものとする。
ニトリル系単量体の重量割合については、特に限定はないが、好ましくは単量体成分の20〜100重量%、さらに好ましくは50〜100重量%であり、特に好ましくは80〜100重量%である。ニトリル系単量体が単量体成分の20重量%未満の場合は、耐溶剤性向上効果が得られないことがある。
塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体、および(メタ)アクリルアミド系単量体から選ばれる少なくとも1種の重量割合は、単量体成分に対して、好ましくは80重量%未満、さらに好ましくは30重量%未満である。
架橋剤の量については、特に限定はなく、無くてもよいが、熱膨張時の発泡剤の保持性、外殻樹脂の伸長性、耐熱性等を考慮すると、架橋剤の量は、単量体成分100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部である。
油性混合物は、連鎖移動剤、有機顔料、熱硬化性樹脂等をさらに含有していてもよい。
油性混合物を分散させる方法としては、たとえば、ホモミキサー(たとえば、プライミクス株式会社製)、ホモディスパー(たとえば、プライミクス株式会社製)等により攪拌する方法や、スタティックミキサー(たとえば、株式会社ノリタケエンジニアリング社製)等の静止型分散装置を用いる方法、膜乳化法、超音波分散法、マイクロチャネル法等の一般的な分散方法を挙げることができる。
また、水性分散媒及び油性混合物の比率としては、特に限定されないが、油性混合物100重量部に対して、水性分散媒を150〜1000重量部用いることが好ましい。水性分散媒の量が150重量部未満であると、分散質に対する分散媒の量が不足するため、O/Wエマルションとならない場合がある。一方、水性分散媒の量が1000重量部を超えると、一度に得られる製品の量が少なく、生産性が悪い。
重合温度は、重合開始剤の種類によって自由に設定されるが、好ましくは30〜100℃、さらに好ましくは40〜90℃、特に好ましくは50〜85℃の範囲で制御される。反応温度を保持する時間は、0.1〜20時間程度が好ましい。重合初期圧力については特に限定はないが、ゲージ圧で0〜5.0MPa、さらに好ましくは0.1〜3.0MPa、特に好ましくは0.2〜2.0MPaの範囲である。
得られた熱膨張性微小球の含液ケーキに対して、棚乾燥、減圧乾燥、気流乾燥等の乾燥操作をさらに行うことで、乾燥した熱膨張性微小球を得ることができる。
また、重合後のスラリーから乾燥した熱膨張性微小球を得る過程で、熱膨張性微小球を精製するために、熱膨張性微小球を水洗してもよい。
次に、本発明の製造方法で得られる熱膨張性微小球について説明する。
熱膨張性微小球は、図3に示すように、熱可塑性樹脂からなる外殻(シェル)11とそれに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤(コア)12とから構成されたコア−シェル構造をとっており、熱膨張性微小球は微小球全体として熱膨張性(微小球全体が加熱により膨らむ性質)を示す。
熱膨張性微小球の粒度分布の変動係数CVは、特に限定されないが、好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下である。変動係数CVは、以下に示す計算式(1)および(2)で算出される。
発泡剤の内包率は、熱膨張性微小球の重量に対する熱膨張性微小球に内包された発泡剤の重量の百分率で定義される。発泡剤の内包率については、特に限定はなく、使用される用途により内包率は適宜決められるが、好ましくは1〜35重量%、さらに好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜25重量%である。内包率が1重量%未満であると、発泡剤の効果が得られないことがある。一方、内包率が35重量%を超えると熱膨張性微小球の外殻の厚みが薄くなることで、ガス抜けの原因となり、耐熱性の低下や高い膨張性能が得られないことがある。
本発明の方法で得られる熱膨張性微小球は、表面に付着するシリカの量が少なく、乾燥時の凝集が少ない。
上記熱膨張性微小球を加熱膨張させることにより、中空粒子を得ることができる。中空粒子は、軽量であり、組成物や成形物に含ませると材料物性に優れる。
中空粒子を製造する方法としては、乾式加熱膨張法、湿式加熱膨張法等が挙げられる。熱膨張性微小球を加熱膨張させる温度は、好ましくは60〜350℃である。
中空粒子の平均粒子径については、用途に応じて自由に設計することができるために特に限定されないが、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは2〜200μmである。また、中空粒子の粒度分布の変動係数CVについても、特に限定はないが、30%以下が好ましく、さらに好ましくは25%以下である。
中空粒子(1)は、図4に示すように、その外殻(2)の外表面に付着した微粒子(4や5)から構成されていてもよく、以下では、微粒子付着中空粒子(1)ということがある。
微粒子の平均粒子径については、用いる中空体本体の大きさによって適宜選択され、特に限定はないが、好ましくは0.001〜30μm、さらに好ましくは0.005〜25μm、特に好ましくは0.01〜20μmである。
微粒子の平均粒子径は、中空体本体の平均粒子径の1/10以下であることが好ましい。ここで、微粒子の平均粒子径とは、一次粒子における平均粒子径を意味する。
中空粒子の水分については、特に限定はないが、好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.4重量%以下、特に好ましくは0.35重量%以下、最も好ましくは0.3重量%以下である。中空粒子の水分の下限値は0重量%である。中空粒子の水分はいわゆる結晶水のように存在している。
上記熱膨張性微小球および/または上記中空粒子と、基材成分とを混合することにより組成物を調製することができる。
基材成分としては、特に限定はないが、例えば、ゴム類;熱硬化性樹脂;ワックス類;熱可塑性樹脂;熱可塑性エラストマー;バイオプラスチック;変性シリコーン系、ウレタン系、ポリサルファイド系、アクリル系、ポリイソブチレン系、ブチルゴム系等のシーリング材料;セメント、モルタル、コージエライト等の無機物等が挙げられる。
成形物としては、例えば、フィルムや塗膜、成形品等を挙げることができる。基材成分として無機物を含む成形物は、さらに焼成することによって、独立気泡が形成されたセラミックフィルタ等が得られる。
以下の実施例および比較例では、次に示す要領で物性を測定した。
シリカゾル10gをるつぼに測り取り、130℃で乾燥後、800℃で加熱し、得られる残分の重量割合からシリカゾル中のSiO2濃度を算出した。
東亜ディーケーケー(株)社製のpHメーター(品番HM−12P)を使用して、pHを測定した。
測定装置として、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のHEROS&RODOS)を使用し、湿式測定法により熱膨張性微小球を測定し体積平均径D50値を平均粒子径とした。
1)ふるい通過率
重合後のスラリーW2(g)を用意し、このスラリーを関西金網製ふるい分け金網(目開き200μm)に通過させ、ふるいを通過したスラリーW1(g)を測定した。W1(g)およびW2(g)から、重合後のスラリーのふるい通過率Y(重量%)を、下記の計算式(D)により算出した。
Y(重量%)=(W1/W2)×100 (D)
ふるい通過率Y(重量%)から、以下の評価基準でふるい通過性を評価した。
○:Y≧90重量%
△:80重量%≦Y<90重量%
×:Y<80重量%
重合後のスラリーの粘度を以下の評価基準で評価した。
○:流動性が高く、ふるい操作が容易であった。
×:流動性が低く、ふるい操作が困難であった。
攪拌装置を備えた水性分散媒調製用の容器に、イオン交換水600gを添加し、容器の攪拌装置を起動させた。次に無機塩として塩化ナトリウム180gを加えて溶解させた。ここに酸として62%硫酸0.30gを添加した。この段階での水性分散媒中間体のpHは1.0であった。次に分散安定補助剤としてポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)2.0gを添加した。この段階での水性分散媒中間体のpHは1.0であった。そして、pHを確認しながら、水性シリカゾルとしてシリカゾルA(平均粒子径10nm、比表面積270m2/g、SiO2濃度20重量%、pH10.2)72gを徐々に添加した。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは1.0〜2.5の範囲であった。最後に重合助剤としてポリエチレンイミン類(置換アルキル基:−CH2COONa、置換アルキル基の置換率:80%、重量平均分子量:5万)1.0gを添加して水性分散媒を調製した。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは1.0〜3.0の範囲であった。
これとは別に、単量体成分(アクリロニトリル180g、メタクリロニトリル105g、メタクリル酸メチル15g)、架橋剤(トリメチロールプロパントリメタクリレート0.80g)、発泡剤(イソペンタン50g)、および、重合開始剤A(ラウロイルペルオキシド1.5g)を混合して油性混合物を調製した。
上記水性分散媒および油性混合物を混合し、得られた混合液をホモミキサーにより8000rpmで2分間分散して、懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.2MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度70℃で15時間重合した。得られた重合生成物を濾過、乾燥して、熱膨張性微小球を得た。
実施例1において、硫酸とポリビニルピロリドンの添加順を逆にし、硫酸の量を0.24gとした以外は、実施例1と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは2.0〜3.8の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは4.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは2.0〜4.0の範囲であった。
〔実施例3〕
実施例1において、ポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)の量を4.1gとし、ポリビニルピロリドンとシリカゾルAの添加順を逆にした以外は、実施例1と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは1.1〜2.8の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは1.1〜3.0の範囲であった。
〔実施例4〕
実施例3において、シリカゾルAの添加量を60g、硫酸の量を0.27gとした以外は、実施例3と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは1.3〜2.8の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.4、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.4、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは1.3〜3.0の範囲であった。
攪拌装置を備えた水性分散媒調製用の容器に、イオン交換水600gを添加し、容器の攪拌装置を起動させた。次に無機塩として塩化ナトリウム180gを加えて溶解させ、分散安定補助剤としてポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)4.1gを添加した。ここに酸として62%硫酸0.30gを定量ポンプを用いて0.08g/分の速度で投入を開始した。pHが2.0になった時点で、水性シリカゾルとしてシリカゾルA72gを定量ポンプを用いて16g/分の速度で投入を開始した。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは2.0〜2.7の範囲であった。最後に重合助剤としてポリエチレンイミン類(置換アルキル基:−CH2COONa、置換アルキル基の置換率:80%、重量平均分子量:5万)1.0gを添加して水性分散媒を調製した。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは2.0〜3.0の範囲であった。また、本実施例で得られた水性分散媒を用いた以外は実施例1と同様にして熱膨張性微小球を得た。
〔実施例6〕
実施例5において、分散安定補助剤としてのポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)4.1gをシリカゾルAの添加後に混合した以外は、実施例5と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは2.0〜2.6の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは2.0〜3.1の範囲であった。
攪拌装置を備えた水性分散媒調製用の容器に、分散安定補助剤としてポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)4.2gを添加した。ここに水性シリカゾルとしてシリカゾルA72gを徐々に添加し、容器の攪拌装置を起動した。さらに酸として62%硫酸0.30gを添加した。この段階での水性分散媒中間体におけるSiO2濃度は18.6重量%、pHは2.8であった。別途、塩化ナトリウム180gを溶解させたイオン交換水600gを上記の容器に攪拌しながら投入し、さらに重合助剤としてポリエチレンイミン類(置換アルキル基:−CH2COONa、置換アルキル基の置換率:80%、重量平均分子量:5万)1.0gを添加して水性分散媒を得た。塩化ナトリウム水溶液を投入し、ATが15未満となった段階以降での水性分散媒中間体のpHは2.8であった。得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは2.8〜3.1の範囲であった。
これとは別に、単量体成分(アクリロニトリル180g、メタクリロニトリル105g、メタクリル酸メチル15g)、架橋剤(トリメチロールプロパントリメタクリレート1.1g)、発泡剤(イソペンタン70g)、および、重合開始剤A(ラウロイルペルオキシド1.5g)を混合して油性混合物を調製した。
上記水性分散媒および油性混合物を混合し、得られた混合液をホモミキサーにより8000rpmで2分間分散して、懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.2MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度70℃で15時間重合した。得られた重合生成物を濾過、乾燥して、熱膨張性微小球を得た。
〔実施例8〕
実施例7において、硫酸とシリカゾルAの投入順を逆にしたこと、及びポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)を6.3g添加したこと以外は、実施例7と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。塩化ナトリウム水溶液を投入し、ATが15未満となった段階以降での水性分散媒中間体のpHは2.8であった。得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは2.8〜3.1の範囲であった。
〔実施例9〕
実施例8において、ポリビニルピロリドンとシリカゾルAの投入順を逆にしたこと、ポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)を2.1g添加したこと、及び硫酸を0.42gとしたこと以外は、実施例8と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。塩化ナトリウム水溶液を投入し、ATが15未満となった段階以降での水性分散媒中間体のpHは1.9であった。得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは2.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは1.9〜2.1の範囲であった。
〔実施例10〕
攪拌装置を備えた水性分散媒調製用の容器に、イオン交換水600gを添加し、容器の攪拌装置を起動させた。次に無機塩として塩化ナトリウム180gを加えて溶解させ、分散安定補助剤としてポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)2.0gを添加した。ここに酸として62%硫酸0.20gを添加した。この段階での水性分散媒中間体のpHは2.3であった。そして、pHを確認しながら、水性シリカゾルとしてシリカゾルA72gを徐々に添加した。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは2.3〜6.1の範囲であった。さらに重合助剤としてポリエチレンイミン類(置換アルキル基:−CH2COONa、置換アルキル基の置換率:80%、重量平均分子量:5万)1.0gを添加し、最終的にpHを3.0に調整するために62%硫酸0.10gを添加して水性分散媒を調製した。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは2.3〜6.1の範囲であった。また、本実施例で得られた水性分散媒を用いた以外は実施例1と同様にして熱膨張性微小球を得た。
実施例1において、シリカゾルAの代わりにシリカゾルB(平均粒子径6nm、比表面積450m2/g、SiO2濃度20重量%、pH9.7)72gを使用した以外は、実施例1と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは1.0〜2.7の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは1.0〜3.1の範囲であった。
〔実施例12〕
実施例2において、シリカゾルAの代わりにシリカゾルB72gを使用した以外は、実施例2と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは1.0〜2.8の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.2であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは1.0〜3.2の範囲であった。
実施例1において、ポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)を4.1g添加し、シリカゾルAの代わりにシリカゾルC(平均粒子径10nm、比表面積270m2/g、SiO2濃度30重量%、pH10.2)48gを使用した以外は、実施例1と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは1.0〜2.7の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.9、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.9、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは1.0〜3.0の範囲であった。
〔実施例14〕
実施例2において、ポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)を4.1g添加し、シリカゾルAの代わりにシリカゾルC48gを使用し、硫酸を0.24gとした以外は、実施例2と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは2.2〜3.9の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは4.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは2.2〜4.1の範囲であった。
実施例1において、ポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)を4.1g添加し、シリカゾルAの代わりにシリカゾルD(平均粒子径10nm、比表面積270m2/g、SiO2濃度40重量%、pH10.0)36gを使用した以外は、実施例1と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは1.0〜2.7の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.8、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.8、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは1.0〜3.0の範囲であった。
〔実施例16〕
実施例2において、ポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)を4.1g添加し、シリカゾルAの代わりにシリカゾルD36gを使用し、硫酸を0.42g使用した以外は、実施例2と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは0.8〜1.9の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.8、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.8、pHは2.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは0.8〜2.1の範囲であった。
攪拌装置を備えた水性分散媒調製用の容器に、イオン交換水600gを添加し、容器の攪拌装置を起動させた。次に無機塩として塩化ナトリウム180gを加えて溶解させた。次に分散安定補助剤としてポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)4.1gを添加した。その後pHを確認しながら、水性シリカゾルとしてシリカゾルA72gを徐々に添加した。この段階での水性分散媒中間体のpHは6.4〜8.1であった。ここに酸として62%硫酸0.30gを添加した。この段階で水性分散媒中間体のpHは8.1から2.7に変化した。最後に重合助剤としてポリエチレンイミン類(置換アルキル基:−CH2COONa、置換アルキル基の置換率:80%、重量平均分子量:5万)1.0gを添加して水性分散媒を調製した。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは3.0〜8.1の範囲であった。
以下は、実施例1と同様にして熱膨張性微小球を得た。
シリカゾルAを120g、ポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)を5.2g、硫酸を0.50gとした以外は、比較例1と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。シリカゾルAを投入した段階での水性分散媒中間体のpHは6.4〜8.1であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦2.6、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は2.6、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは3.0〜8.1の範囲であった。
〔比較例3〕
シリカゾルAを135g、ポリビニルピロリドン(30重量%水溶液)を5.2g、硫酸を0.56gとした以外は、比較例1と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。シリカゾルAを投入した段階での水性分散媒中間体のpHは6.4〜8.1であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦2.9、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は2.9、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは3.0〜8.1の範囲であった。
〔比較例4〕
比較例1において、ポリビニルピロリドンとシリカゾルAの投入順を逆にしたこと以外は、比較例1と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。シリカゾルAを投入した段階での水性分散媒中間体のpHは5.5〜7.9であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは3.0〜7.9の範囲であった。
〔比較例5〕
比較例4において、ポリビニルピロリドンと硫酸の投入順を逆にしたこと以外は、比較例4と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。シリカゾルAを投入した段階での水性分散媒中間体のpHは5.5〜7.9であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは3.0〜7.9の範囲であった。
〔実施例17〕
表4に示す各成分に変更した以外は、実施例2と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは1.5〜3.7の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.0、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.0、pHは4.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは1.5〜4.0の範囲であった。
〔比較例6〕
表4に示す各成分に変更した以外は、比較例2と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは5.2〜8.3の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.0、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.9、pHは4.0であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは4.0〜8.3の範囲であった。
〔実施例18〕
表4に示す各成分に変更した以外は、実施例1と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは1.3〜3.2の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.0、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.4、pHは3.5であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは1.3〜3.5の範囲であった。
〔比較例7〕
表4に示す各成分に変更した以外は、比較例1と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは5.5〜7.9の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.0、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.0、pHは3.5であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは3.5〜7.9の範囲であった。
攪拌装置を備えた水性分散媒調製用の容器に、イオン交換水600gを添加し、容器の攪拌装置を起動させた。ここに酸として62%硫酸0.37gを添加した。この段階での水性分散媒中間体のpHは2.2であった。次に分散安定補助剤としてアジピン酸−ジエタノールアミンの縮合物(有効濃度50重量%)2.4gを添加した。この段階での水性分散媒中間体のpHは2.3であった。そして、pHを確認しながら、水性シリカゾルとしてシリカゾルA56gを徐々に添加した。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは2.2〜3.3の範囲であった。さらに重合助剤としてポリエチレンイミン類(置換アルキル基:−CH2COONa、置換アルキル基の置換率:80%、重量平均分子量:5万)1.0gを添加し、最後に62%硫酸を添加してpHを3.1として水性分散媒を調製した。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは2.2〜3.3の範囲であった。
これとは別に、単量体成分(塩化ビニリデン135g、アクリロニトリル135g、メタクリル酸メチル30g)、架橋剤(トリメチロールプロパントリメタクリレート0.70g)、発泡剤(イソブタン63g)、および、重合開始剤B(ジイソプロピルペルオキシジカーボネート(純度50%))1.5gを混合して油性混合物を調製した。
上記水性分散媒および油性混合物を混合し、得られた混合液をホモミキサーにより8000rpmで2分間分散して、懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.2MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度50℃で15時間重合した。得られた重合生成物を濾過、乾燥して、熱膨張性微小球を得た。
実施例19において、硫酸とアジピン酸−ジエタノールアミンの縮合物の添加順を逆にした以外は、実施例19と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは2.2〜3.3の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは2.2〜3.3の範囲であった。
〔実施例21〕
実施例19において、アジピン酸−ジエタノールアミンの縮合物とシリカゾルAの添加順を逆にした以外は、実施例19と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。水性シリカゾル添加時の水性分散媒中間体のpHは2.2〜3.5の範囲であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは2.2〜3.5の範囲であった。
攪拌装置を備えた水性分散媒調製用の容器に、イオン交換水600gを添加し、容器の攪拌装置を起動させた。ここに水性シリカゾルとしてシリカゾルA56gを徐々に添加した。この段階での水性分散媒中間体のpHは7.0〜10.2であった。次に分散安定補助剤としてアジピン酸−ジエタノールアミンの縮合物(有効濃度50重量%)2.4gを添加した。この段階で水性分散媒中間体のpHは10.2から7.2に変化した。さらに酸として62%硫酸0.37g、重合助剤としてポリエチレンイミン類(置換アルキル基:−CH2COONa、置換アルキル基の置換率:80%、重量平均分子量:5万)1.0gを添加して水性分散媒を調製した。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦1.7、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は1.7、pHは3.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは3.1〜10.2の範囲であった。
以下は、実施例19と同様にして熱膨張性微小球を得た。
〔比較例9〕
比較例8において、シリカゾルAを90g、アジピン酸−ジエタノールアミンの縮合物(有効濃度50重量%)を4.5g、硫酸を0.59gとした以外は、比較例8と同様にして水性分散媒及び熱膨張性微小球を得た。シリカゾルAを投入した段階での水性分散媒中間体のpHは3.1〜10.2であった。水性分散媒の中間体のSiO2濃度は0<AT≦2.6、得られた水性分散媒のSiO2濃度(AT100)は2.6、pHは3.1であった。0<AT<15を満たすATにおける、水性分散媒調製時の中間体のpHは3.1〜10.2の範囲であった。
各種原料の配合量、重合後のスラリー状態、及び得られた熱膨張性微小球の物性について、実施例1〜10については表1に、実施例11〜16については表2に、比較例1〜5については表3に、実施例17、18及び比較例6、7については表4に、実施例19〜21及び比較例8、9については表5に示す。
表1〜5においては、表6に示す略号が使用されている。
なお、水(d)に予め無機塩(f)を溶解させてある場合を含む。
比較例1〜9での水性分散媒は従来の調製方法にて調製されたものである。
実施例7〜9では、水性シリカゾルのSiO2濃度が高い状態から徐々に希釈されるので、水性分散媒のSiO2濃度の推移は図2のようになる。この濃度の範囲内において、水性分散媒の中間体のpHが0.8〜7の範囲で維持されているため、少量の水性シリカゾルで粒子径の小さい熱膨張性微小球を作製することができた。また重合後のスラリー状態は良好であった。AT100は0.5〜8の範囲であった。
一方、従来の水性分散媒の調製法である比較例1〜9では、水性分散媒の中間体に水性シリカゾルを添加するので、水性分散媒のSiO2濃度の推移は図1のようになる。この濃度の範囲内において、水性分散媒の中間体のpHが0.8〜7の範囲から逸脱したため、粒子径の小さい熱膨張性微小球を作製するためには、実施例に比較して多量の水性シリカゾルを使用する必要があった。また比較例1〜5及び8、9は重合後のスラリー状態は凝集が顕著であり、ふるい通過性が不良であった。このことは重合の段階において実施例と比較して油滴の分散安定性が低いことを示唆するものである。
12 発泡剤
1 中空粒子(微粒子付着中空粒子)
2 外殻
3 中空部
4 微粒子(吸着された状態)
5 微粒子(めり込み、固定化された状態)
Claims (5)
- 水性分散媒中に、重合性成分、発泡剤及び重合開始剤を含有する油性混合物を分散させて、前記重合性成分を重合させる工程を含む熱膨張性微小球の製造方法であって、
前記水性分散媒が、pHが9〜11でありSiO2濃度が15〜40重量%である水性シリカゾル(a)、分散安定補助剤(b)、酸(c)、水(d)、及び重合助剤(e)を混合して調製され、
前記水性分散媒を調製する工程において、水性分散媒の調製開始時刻をT0、調製終了時刻をT100とし、T0<T<T100を満たす任意の時刻Tにおいて生成する水性分散媒の中間体のSiO2濃度をAT重量%、T100における水性分散媒のSiO2濃度をAT100重量%としたとき、
0<AT<15を満たすATにあっては、前記中間体のpHを0.8〜7の範囲で維持し、AT100を0.5〜8とする、
熱膨張性微小球の製造方法。 - 前記水(d)100重量部に対して、前記水性シリカゾル(a)を2〜100重量部、前記分散安定補助剤(b)を0.01〜5重量部、前記重合助剤(e)を0.0001〜0.1重量部用いる、請求項1に記載の熱膨張性微小球の製造方法。
- 前記油性混合物100重量部に対して、前記水性分散媒を150〜1000重量部用いる、請求項1又は2に記載の熱膨張性微小球の製造方法。
- 前記水性分散媒が、さらに無機塩(f)を混合して調製される、請求項1〜3のいずれかに記載の熱膨張性微小球の製造方法。
- 前記水性分散媒が、前記無機塩(f)の一部又は全部を、前記水(d)の一部又は全部に溶解させて得られる無機塩水溶液と、前記水性シリカゾル(a)とを混合して調製される、請求項4に記載の熱膨張性微小球の製造方法。
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