JP2014091073A - シランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法、シランカップリング剤含有マイクロカプセル、及び、ガラス接着用樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】シランカップリング剤の失活を抑制しながら、シランカップリング剤の保持性及び放出性に優れたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを製造することのできる製造方法を提供する。
【解決手段】シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に、高分子化合物からなる皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法であって、高分子化合物が溶解した有機溶媒に、シランカップリング剤を含有するコアカプセルが分散した分散液を調製する工程と、前記有機溶媒を揮発させて、前記シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に前記高分子化合物からなる皮膜を形成させる工程とを有し、前記高分子化合物は、融点が80〜150℃(ただし、融点データがない場合は熱変形温度が40〜170℃)であり、前記高分子化合物と前記有機溶媒との溶解性パラメーターの差が3.0以下である製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に、高分子化合物からなる皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法であって、高分子化合物が溶解した有機溶媒に、シランカップリング剤を含有するコアカプセルが分散した分散液を調製する工程と、前記有機溶媒を揮発させて、前記シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に前記高分子化合物からなる皮膜を形成させる工程とを有し、前記高分子化合物は、融点が80〜150℃(ただし、融点データがない場合は熱変形温度が40〜170℃)であり、前記高分子化合物と前記有機溶媒との溶解性パラメーターの差が3.0以下である製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、シランカップリング剤の失活を抑制しながら、シランカップリング剤の保持性及び放出性に優れたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを製造することのできるシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法に関する。また、本発明は、該シランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法により得られるシランカップリング剤含有マイクロカプセル、及び、該シランカップリング剤含有マイクロカプセルを含有するガラス接着用樹脂フィルムに関する。
シランカップリング剤は、接着剤、樹脂フィルム、塗料等の様々な材料に配合されており、これら材料の有機物又は無機物に対する接着性を向上させることが知られている。例えば、太陽電池の分野において、太陽電池セルをガラス基板上に接合するための接着剤又は接着フィルムにシランカップリング剤を配合し、太陽電池セルとガラス基板との接着性を高めることが行われている。半導体装置の分野においても、半導体チップを回路基板上に実装するための接着剤又は接着フィルムにシランカップリング剤が配合されている。
しかしながら、シランカップリング剤は反応性の高い官能基を有しており、他の配合成分、空気中の水分等と反応して失活しやすい。そのため、シランカップリング剤を配合した材料は取り扱いが難しく、保存方法等を工夫する必要がある。シランカップリング剤を配合した材料の貯蔵安定性を高めるために、例えば、シランカップリング剤をマイクロカプセル化することが検討されている(例えば、特許文献1、2)。
また、マイクロカプセルの分野においては、内容物の保持性と放出性とを両立させたり、徐放性を高めたりするために、例えば表面に皮膜を形成する等によりマイクロカプセルを多層構造化することが行われている。例えば、特許文献3には、疎水性の内容物を水系媒体中に分散させた後、縮合反応によって該内容物の表面に所定の樹脂で構成される第1壁層を形成し、次いで、該内容物が該第1壁層に内包されているマイクロカプセルを水系媒体中に分散させた後、該第1壁層の外表面に所定の樹脂で構成される第2壁層を形成する多層マイクロカプセルの製造方法が記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載された方法のように従来の皮膜形成法は水系媒体を用いることが多く、シランカップリング剤は僅かでも水と接触すると失活してしまうことから、このような方法を内容物がシランカップリング剤である場合に適用することは困難であった。また、表面に皮膜を形成して多層構造化することが困難であることから、シランカップリング剤の保持性と放出性とを充分に両立させたマイクロカプセルは得られていなかった。
本発明は、シランカップリング剤の失活を抑制しながら、シランカップリング剤の保持性及び放出性に優れたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを製造することのできるシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該シランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法により得られるシランカップリング剤含有マイクロカプセル、及び、該シランカップリング剤含有マイクロカプセルを含有するガラス接着用樹脂フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に、高分子化合物からなる皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法であって、高分子化合物が溶解した有機溶媒に、シランカップリング剤を含有するコアカプセルが分散した分散液を調製する工程と、前記有機溶媒を揮発させて、前記シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に前記高分子化合物からなる皮膜を形成させる工程とを有し、前記高分子化合物は、融点が80〜150℃(ただし、融点データがない場合は熱変形温度が40〜170℃)であり、前記高分子化合物と前記有機溶媒との溶解性パラメーターの差が3.0以下であるシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法である。
以下、本発明を詳述する。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、所定の物性を示す高分子化合物と有機溶媒とを用い、高分子化合物が溶解した有機溶媒に、シランカップリング剤を含有するコアカプセルが分散した分散液を調製する工程と、前記有機溶媒を揮発させて、前記シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に前記高分子化合物からなる皮膜を形成させる工程とを行うことにより、シランカップリング剤の失活を抑制しながら、表面に皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法では、まず、高分子化合物が溶解した有機溶媒に、シランカップリング剤を含有するコアカプセルが分散した分散液を調製する工程を行う。
上記高分子化合物は、融点が80〜150℃(ただし、融点データがない場合は熱変形温度が40〜170℃)であり、上記高分子化合物と上記有機溶媒との溶解性パラメーター(SP値ともいう)の差が3.0以下である。このような高分子化合物と有機溶媒とを用いることにより、水系媒体を用いる必要がなくなり、シランカップリング剤の失活を抑制しながら、表面に皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得ることができる。
上記高分子化合物は、融点が80〜150℃(ただし、融点データがない場合は熱変形温度が40〜170℃)であり、上記高分子化合物と上記有機溶媒との溶解性パラメーター(SP値ともいう)の差が3.0以下である。このような高分子化合物と有機溶媒とを用いることにより、水系媒体を用いる必要がなくなり、シランカップリング剤の失活を抑制しながら、表面に皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得ることができる。
上記高分子化合物は、融点が80〜150℃である。ただし、上記高分子化合物に融点データがない場合、上記高分子化合物は、熱変形温度が40〜170℃である。なお、一般的に、高分子化合物は結晶性高分子と非晶性高分子とに分類され、結晶性高分子にはガラス転移温度(Tg)と融点とが存在するが、非晶性高分子にはガラス転移温度(Tg)しか存在しない。従って、高分子化合物には、融点データがない場合がある。
上記高分子化合物の融点が80℃未満であるか、又は、熱変形温度が40℃未満であると、有機溶媒を揮発させる際、高分子化合物が常温近傍温度となるため、マイクロカプセル同士の融着が生じ、高分子化合物からなる皮膜を形成することが困難となる。上記高分子化合物の融点が150℃を超えるか、又は、熱変形温度が170℃を超えると、シランカップリング剤含有マイクロカプセルを加熱してもシランカップリング剤が放出されなくなる。
上記高分子化合物の融点が80℃未満であるか、又は、熱変形温度が40℃未満であると、有機溶媒を揮発させる際、高分子化合物が常温近傍温度となるため、マイクロカプセル同士の融着が生じ、高分子化合物からなる皮膜を形成することが困難となる。上記高分子化合物の融点が150℃を超えるか、又は、熱変形温度が170℃を超えると、シランカップリング剤含有マイクロカプセルを加熱してもシランカップリング剤が放出されなくなる。
なお、融点とは、固体が液体に変わる「融解」が生じる温度を意味する。融点は、例えば、二重管式温度計に試料を詰めた毛細管を取り付けて温浴で加温する装置を用いて測定することができる。熱変形温度とは、例えばASTM D648又はJIS 7191等の試験法に定められた荷重を与えた状態で試料の温度を上昇させたとき、たわみの大きさが一定の値に達したときの温度を意味する。例えば、試料の両端を加熱浴槽中で支え、中央の荷重棒によって試料に18.6kgf/cm2の曲げ応力を加えた状態で加熱媒体の温度を2℃/分の速度で上昇させたとき、試料のたわみが0.35mmに達したときの加熱媒体の温度を、その試料の熱変形温度とすることができる。
上記高分子化合物と上記有機溶媒とのSP値の差が3.0を超えると、高分子化合物と、シランカップリング剤を含有するコアカプセルとが馴染みにくくなり、高分子化合物からなる皮膜を形成することが困難となる。上記高分子化合物のSP値と上記有機溶媒のSP値とは、いずれの値が大きくてもよいが、上記高分子化合物のSP値の好ましい下限は6、好ましい上限は13である。
なお、溶解性パラメーター(SP値ともいう)とは、沖津俊直、「接着」、高分子刊行会、40巻8号(1996)p342−350に記載された、沖津による各種原子団のΔF、Δv値を用い、下記式(1)により算出した溶解性パラメーターδを意味する。また、混合物、共重合体の場合は、下記式(2)により算出した溶解性パラメーターδmixを意味する。
δ=ΣΔF/ΣΔv (1)
δmix=φ1δ1+φ2δ2+・・・φnδn (2)
式中、ΔF、Δvは、それぞれ、沖津による各種原子団のΔF、モル容積Δvを表す。φは、容積分率又はモル分率を表し、φ1+φ2+・・・φn=1である。
δ=ΣΔF/ΣΔv (1)
δmix=φ1δ1+φ2δ2+・・・φnδn (2)
式中、ΔF、Δvは、それぞれ、沖津による各種原子団のΔF、モル容積Δvを表す。φは、容積分率又はモル分率を表し、φ1+φ2+・・・φn=1である。
上記高分子化合物は、上記範囲の融点又は熱変形温度、及び、SP値を有していれば特に限定されないが、より具体的には、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、硬化油及びパラフィンワックスからなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。
上記高分子化合物の添加量は特に限定されないが、シランカップリング剤を含有するコアカプセルに対する高分子化合物の重量比率の好ましい下限が0.01%、好ましい上限が50%である。重量比率が0.01%未満であると、シランカップリング剤含有マイクロカプセルにおけるシランカップリング剤の低温での保持性が低下することがある。重量比率が50%を超えると、シランカップリング剤含有マイクロカプセルを加熱してもシランカップリング剤が放出されないことがある。
本明細書中、有機溶媒とは、物質を溶解する用途に用いられる、常温で液体の有機化合物を意味する。
上記有機溶媒は、低沸点有機溶媒であることが好ましく、使用するシランカップリング剤よりも沸点の低い有機溶媒である必要がある。上記有機溶媒は特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、エチルベンゼン、ベンゼン、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、イソブタノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、クロロホルム、オクタン、イソオクタン、ペンタン、イソペンタン等が挙げられる。なかでも、上記高分子化合物がポリメチル(メタ)アクリレートである場合にはアセトンが好ましく、上記高分子化合物がポリビニルピロリドンである場合にはメタノールが好ましい。
上記有機溶媒は、低沸点有機溶媒であることが好ましく、使用するシランカップリング剤よりも沸点の低い有機溶媒である必要がある。上記有機溶媒は特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、エチルベンゼン、ベンゼン、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、イソブタノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、クロロホルム、オクタン、イソオクタン、ペンタン、イソペンタン等が挙げられる。なかでも、上記高分子化合物がポリメチル(メタ)アクリレートである場合にはアセトンが好ましく、上記高分子化合物がポリビニルピロリドンである場合にはメタノールが好ましい。
上記シランカップリング剤を含有するコアカプセルは、シランカップリング剤を含有していれば、特に限定されない。
上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
上記シランカップリング剤を含有するコアカプセルにおける上記シランカップリング剤の重量比率は特に限定されないが、シェル部分に対するシランカップリング剤の重量比率(シランカップリング剤/シェル部分)の好ましい下限が10/90、好ましい上限が90/10である。上記値が10/90未満であると、シランカップリング剤の含有量が低下し、シランカップリング剤含有マイクロカプセルを多量に使用する必要が生じることがある。上記値が90/10を超えると、コアカプセルのマイクロカプセル構造が保持されなくなり、崩壊してしまうことがある。
上記シランカップリング剤を含有するコアカプセルとしては、孔を有する粒子にシランカップリング剤を含浸させたカプセルが好ましい。
上記孔を有する粒子は、多孔質粒子であってもよいし、単孔質粒子であってもよいが、シランカップリング剤含有マイクロカプセルにおけるシランカップリング剤の低温での保持性を高めることができることから、多孔質粒子が好ましい。
上記孔を有する粒子は、多孔質粒子であってもよいし、単孔質粒子であってもよいが、シランカップリング剤含有マイクロカプセルにおけるシランカップリング剤の低温での保持性を高めることができることから、多孔質粒子が好ましい。
上記孔を有する粒子を構成する材料は、ガラス転移温度(Tg)の好ましい下限が100℃、好ましい上限が160℃である。Tgが100℃未満であると、孔を有する粒子が軟化しやすく、シランカップリング剤含有マイクロカプセルにおけるシランカップリング剤の低温での保持性が低下することがある。Tgが160℃を超えると、孔を有する粒子が軟化しにくくなり、シランカップリング剤含有マイクロカプセルを加熱してもシランカップリング剤が放出されないことがある。
上記孔を有する粒子を構成する材料は、無機物であってもよいし、有機物であってもよい。
上記無機物は特に限定されず、例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、炭酸カルシウム、ゼオライト、活性炭、モレキュラシーブ、バーミキュライト等が挙げられる。上記有機物は特に限定されず、例えば、ラジカル重合性モノマーを重合して得られるポリマー、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、熱特性(例えば、Tg等)を制御しやすく、柔軟性に優れた粒子を作製しやすいことから、ラジカル重合性モノマーを重合して得られるポリマーが好ましい。
上記無機物は特に限定されず、例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、炭酸カルシウム、ゼオライト、活性炭、モレキュラシーブ、バーミキュライト等が挙げられる。上記有機物は特に限定されず、例えば、ラジカル重合性モノマーを重合して得られるポリマー、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、熱特性(例えば、Tg等)を制御しやすく、柔軟性に優れた粒子を作製しやすいことから、ラジカル重合性モノマーを重合して得られるポリマーが好ましい。
上記ラジカル重合性モノマーとして、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記ラジカル重合性モノマーとして、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマルニトリル等のニトリルモノマー類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー類等も挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記ラジカル重合性モノマーとして、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマルニトリル等のニトリルモノマー類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー類等も挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記孔を有する粒子を構成する材料は、シランカップリング剤が孔を有する粒子に馴染みやすくなり、孔を有する粒子に含浸されやすくなることから、SP値がシランカップリング剤と近いことが好ましい。なお、シランカップリング剤のSP値は、通常、7〜11程度である。
上記孔を有する粒子を構成する材料のSP値の好ましい下限は8、好ましい上限は13である。SP値が8未満であったり、13を超えたりすると、シランカップリング剤が孔を有する粒子に馴染みにくくなり、孔を有する粒子に含浸されにくくなることがある。
上記孔を有する粒子を構成する材料のSP値の好ましい下限は8、好ましい上限は13である。SP値が8未満であったり、13を超えたりすると、シランカップリング剤が孔を有する粒子に馴染みにくくなり、孔を有する粒子に含浸されにくくなることがある。
SP値を考慮すると、上述したラジカル重合性モノマーのなかでも、ジビニルベンゼン(ポリマーSP値9.23)、1,4−ブタンジオールジアクリレート(ポリマーSP値10.30)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(ポリマーSP値10.39)、アクリロニトリル(ポリマーSP値12.3)、メタクリロニトリル(ポリマーSP値12.05)が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記孔を有する粒子の中空度は特に限定されないが、好ましい下限は10%であり、より好ましい下限は30%である。中空度が10%未満であると、孔を有する粒子が充分にシランカップリング剤を含浸できないことがある。上記孔を有する粒子の中空度の上限は特に限定されないが、形状の維持、及び、カプセル強度を確保する観点から、好ましい上限は95%、より好ましい上限は70%である。
なお、中空度は、例えば、孔を有する粒子を構成する材料がラジカル重合性モノマーを重合して得られるポリマーである場合には、ラジカル重合性モノマー及び中空化剤の仕込み量から、下記式を用いて算出することができる。
中空度=中空化剤量/(ラジカル重合性モノマー量+中空化剤量)×100(%)
なお、中空度は、例えば、孔を有する粒子を構成する材料がラジカル重合性モノマーを重合して得られるポリマーである場合には、ラジカル重合性モノマー及び中空化剤の仕込み量から、下記式を用いて算出することができる。
中空度=中空化剤量/(ラジカル重合性モノマー量+中空化剤量)×100(%)
上記孔を有する粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は0.5μm、好ましい上限は50μmである。平均粒子径が0.5μm未満であると、孔を有する粒子の外壁の厚みが低下し、シランカップリング剤含有マイクロカプセルにおけるシランカップリング剤の低温での保持性が低下することがある。平均粒子径が50μmを超えると、シランカップリング剤含有マイクロカプセルを例えば樹脂フィルム等に配合した場合、該樹脂フィルム等の接着強度又は透明性が低下することがある。
上記孔を有する粒子を製造する方法は特に限定されず、上記孔を有する粒子を構成する材料が上記ラジカル重合性モノマーを重合して得られるポリマーである場合、例えば、上述したラジカル重合性モノマー、中空化剤、重合開始剤等を含有する油性物質を水性分散媒体に懸濁させて乳化液を調製し、次いで、重合を行う方法等が挙げられる。
上記中空化剤は特に限定されないが、揮発性液体が好ましく、具体的には例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘプタン、へキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の有機溶剤等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、ヘキサン、トルエン、オクタン及び、これらの混合物がより好ましい。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等の従来公知の重合開始剤が挙げられる。上記重合開始剤は、予め油性物質に添加しておいてもよく、水性分散媒体に油性物質を懸濁させた後に添加してもよい。
上記水性分散媒体は特に限定されず、例えば、水に、塩化ナトリウム等の無機塩、コロイダルシリカ等の分散安定剤、乳化剤、補助安定剤等を添加して得られる水性分散媒体等が挙げられる。
乳化方法は特に限定されず、例えば、ホモミキサー又はホモディスパー(例えば、特殊機化工業社製)により攪拌する方法、スタティックミキサー(例えば、ノリタケエンジニアリング社製)、ラインミキサー、エレメント式静止型分散器等の静止型分散装置を用いる方法、膜乳化法、超音波分散法、マイクロチャネル法等が挙げられる。重合方法は特に限定されず、例えば、加熱することによりラジカル重合性モノマーを重合させる方法等が挙げられる。
上記孔を有する粒子に上記シランカップリング剤を含浸させる方法として、例えば、液状のシランカップリング剤、又は、液状のシランカップリング剤を含有する溶液に、上記孔を有する粒子を添加し、攪拌する方法等が挙げられる。攪拌方法は特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー、ブレンダー、レーディゲミキサー等を用いた方法が挙げられる。
上記高分子化合物が溶解した有機溶媒に、シランカップリング剤を含有するコアカプセルを分散させた分散液を調製する方法は、特に限定されない。
上記シランカップリング剤を含有するコアカプセルとして、上記孔を有する粒子にシランカップリング剤を含浸させたカプセルを用いる場合には、有機溶媒に、孔を有する粒子を分散させ、次いで、シランカップリング剤と高分子化合物とを添加して混合することにより、有機溶媒に高分子化合物を溶解させ、かつ、孔を有する粒子にシランカップリング剤を含浸させる方法等が挙げられる。
上記シランカップリング剤を含有するコアカプセルとして、上記孔を有する粒子にシランカップリング剤を含浸させたカプセルを用いる場合には、有機溶媒に、孔を有する粒子を分散させ、次いで、シランカップリング剤と高分子化合物とを添加して混合することにより、有機溶媒に高分子化合物を溶解させ、かつ、孔を有する粒子にシランカップリング剤を含浸させる方法等が挙げられる。
本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法では、次いで、上記有機溶媒を揮発させて、上記シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に上記高分子化合物からなる皮膜を形成させる工程を行う。これにより、シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に、高分子化合物からなる皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得ることができる。
上記有機溶媒を揮発させる方法は特に限定されないが、コアカプセルがシランカップリング剤を含有しているため、50℃を超える温度で乾燥揮発させる方法は好ましくない。50℃以下で乾燥揮発させる方法は特に限定されないが、噴霧乾燥、凍結乾燥、冷風乾燥、温風乾燥等が挙げられる。なかでも、シランカップリング剤の乾燥揮発を抑制できることから、50℃以下での温風乾燥が好ましい。
本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法によれば、シランカップリング剤の失活を抑制しながら、シランカップリング剤の保持性及び放出性に優れたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを製造することができる。
シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に、高分子化合物からなる皮膜が形成されているシランカップリング剤含有マイクロカプセルもまた、本発明の1つである。
シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に、高分子化合物からなる皮膜が形成されているシランカップリング剤含有マイクロカプセルもまた、本発明の1つである。
本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルは、100℃60分加熱したときのシランカップリング剤の揮発減少率が0.01重量%以上から75重量%以下であり、かつ、150℃60分加熱したときのシランカップリング剤の揮発減少率が50重量%以上から100重量%であることが好ましい。
ここで、100℃及び150℃とは、本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルを例えば樹脂フィルム等に配合した場合の該樹脂フィルム等の製造温度、及び、該樹脂フィルム等を被着体に貼り合わせる際の温度をそれぞれ想定している。すなわち、本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルは、樹脂フィルム等の製造温度ではシランカップリング剤の揮発減少率が少なく(保持性に優れ)、樹脂フィルム等を被着体に貼り合わせる際の温度ではシランカップリング剤の揮発減少率が大きい(放出性に優れる)ものである。
なお、シランカップリング剤の揮発減少率とは、シランカップリング剤含有マイクロカプセルを所定温度で所定時間加熱したときの加熱前に対する加熱後の重量比率を意味する。
ここで、100℃及び150℃とは、本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルを例えば樹脂フィルム等に配合した場合の該樹脂フィルム等の製造温度、及び、該樹脂フィルム等を被着体に貼り合わせる際の温度をそれぞれ想定している。すなわち、本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルは、樹脂フィルム等の製造温度ではシランカップリング剤の揮発減少率が少なく(保持性に優れ)、樹脂フィルム等を被着体に貼り合わせる際の温度ではシランカップリング剤の揮発減少率が大きい(放出性に優れる)ものである。
なお、シランカップリング剤の揮発減少率とは、シランカップリング剤含有マイクロカプセルを所定温度で所定時間加熱したときの加熱前に対する加熱後の重量比率を意味する。
本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルは、シランカップリング剤として好適に使用される。本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルは、例えば樹脂フィルム等に配合された場合、該樹脂フィルム等の貯蔵安定性、及び、被着体、特にガラス基板に対する接着強度を高めることができる。
本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルを含有するガラス接着用樹脂フィルムもまた、本発明の1つである。
本発明のシランカップリング剤含有マイクロカプセルを含有するガラス接着用樹脂フィルムもまた、本発明の1つである。
本発明によれば、シランカップリング剤の失活を抑制しながら、シランカップリング剤の保持性及び放出性に優れたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを製造することのできるシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該シランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法により得られるシランカップリング剤含有マイクロカプセル、及び、該シランカップリング剤含有マイクロカプセルを含有するガラス接着用樹脂フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。なお、以下の実施例及び比較例において、融点は、二重管式温度計に試料を詰めた毛細管を取り付けて温浴で加温する装置を用いて測定した。熱変形温度については、試料の両端を加熱浴槽中で支え、中央の荷重棒によって試料に18.6kgf/cm2の曲げ応力を加えた状態で加熱媒体の温度を2℃/分の速度で上昇させたとき、試料のたわみが0.35mmに達したときの加熱媒体の温度を、その試料の熱変形温度とした。
(実施例1)
水840重量部に、ポリビニルアルコール80重量部を投入し、水性分散媒体を調製した。次いで、ラジカル重合性モノマーとしてジビニルベンゼン275重量部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル3重量部と、中空化剤としてイソオクタン115重量部とからなる油性物質を水性分散媒体に添加し、懸濁させて、乳化液を調製した。得られた乳化液をホモジナイザーで撹拌混合し、窒素置換した重合器内へ仕込み、70℃で12時間反応させることにより、反応生成物を得た。得られた反応生成物について、濾過と水洗を繰り返した後、乾燥することにより、孔を有する粒子を得た。なお、粒子が孔を有していることは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認した。
水840重量部に、ポリビニルアルコール80重量部を投入し、水性分散媒体を調製した。次いで、ラジカル重合性モノマーとしてジビニルベンゼン275重量部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル3重量部と、中空化剤としてイソオクタン115重量部とからなる油性物質を水性分散媒体に添加し、懸濁させて、乳化液を調製した。得られた乳化液をホモジナイザーで撹拌混合し、窒素置換した重合器内へ仕込み、70℃で12時間反応させることにより、反応生成物を得た。得られた反応生成物について、濾過と水洗を繰り返した後、乾燥することにより、孔を有する粒子を得た。なお、粒子が孔を有していることは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認した。
有機溶媒としてのアセトン(SP値9.9)150重量部に、得られた孔を有する粒子49重量部を添加して分散させ、次いで、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業社製)21重量部と、高分子化合物としてのポリメチルメタクリレート(PMMA、熱変形温度145℃、SP値9.5、PMMAとアセトンとのSP値の差0.4)の10重量%アセトン溶液25重量部とを添加して混合した。次いで、得られた分散液を常温で24時間撹拌し、アセトンを揮発させることにより、表面に皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得た。
(実施例2)
有機溶媒としてのアセトンの代わりにメタノール(SP値14.5)を用い、高分子化合物としてのポリメチルメタクリレートの10重量%アセトン溶液の代わりにポリビニルピロリドン(PVP、融点150℃、SP値12.4、PVPとメタノールとのSP値の差2.1)の10重量%メタノール溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表面に皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得た。
有機溶媒としてのアセトンの代わりにメタノール(SP値14.5)を用い、高分子化合物としてのポリメチルメタクリレートの10重量%アセトン溶液の代わりにポリビニルピロリドン(PVP、融点150℃、SP値12.4、PVPとメタノールとのSP値の差2.1)の10重量%メタノール溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表面に皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得た。
(比較例1)
有機溶媒としてのアセトンの代わりに水(SP値23.4)を用い、高分子化合物としてのポリメチルメタクリレートの10重量%アセトン溶液の代わりにポリビニルアルコール(PVA、融点150℃、SP値12.6、PVAと水とのSP値の差10.8)の10重量%水溶液を用い、噴霧乾燥により水を揮発させたこと以外は実施例1と同様にして、表面に皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得た。
有機溶媒としてのアセトンの代わりに水(SP値23.4)を用い、高分子化合物としてのポリメチルメタクリレートの10重量%アセトン溶液の代わりにポリビニルアルコール(PVA、融点150℃、SP値12.6、PVAと水とのSP値の差10.8)の10重量%水溶液を用い、噴霧乾燥により水を揮発させたこと以外は実施例1と同様にして、表面に皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得た。
(比較例2)
実施例1と同様にして、孔を有する粒子を得た。
シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業社製)30重量部に、得られた孔を有する粒子70重量部を添加し、攪拌することで、孔を有する粒子にシランカップリング剤を含浸させたカプセル(皮膜なし)を得た。
実施例1と同様にして、孔を有する粒子を得た。
シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業社製)30重量部に、得られた孔を有する粒子70重量部を添加し、攪拌することで、孔を有する粒子にシランカップリング剤を含浸させたカプセル(皮膜なし)を得た。
(比較例3)
高分子化合物としてのポリメチルメタクリレートの10重量%アセトン溶液の代わりにポリプロピレン(PP、融点165℃、SP値8、PPとアセトンとのSP値の差1.9)の10重量%アセトン溶液を用い、噴霧乾燥によりアセトンを揮発させたこと以外は実施例1と同様にして、表面に皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得た。
高分子化合物としてのポリメチルメタクリレートの10重量%アセトン溶液の代わりにポリプロピレン(PP、融点165℃、SP値8、PPとアセトンとのSP値の差1.9)の10重量%アセトン溶液を用い、噴霧乾燥によりアセトンを揮発させたこと以外は実施例1と同様にして、表面に皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを得た。
<評価1>
実施例及び比較例で得られたシランカップリング剤含有マイクロカプセルについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られたシランカップリング剤含有マイクロカプセルについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)シランカップリング剤の保持性
シランカップリング剤含有マイクロカプセル0.1gをアルミカップに秤量し、100℃に加熱したオーブンに60分間投入した後、シランカップリング剤含有マイクロカプセルの重量を測定した。加熱前に対する加熱後の重量比率を、シランカップリング剤の揮発減少率とした。100℃60分加熱したときの揮発減少率が50重量%未満であった場合を○、50重量%以上であった場合を×とした。
シランカップリング剤含有マイクロカプセル0.1gをアルミカップに秤量し、100℃に加熱したオーブンに60分間投入した後、シランカップリング剤含有マイクロカプセルの重量を測定した。加熱前に対する加熱後の重量比率を、シランカップリング剤の揮発減少率とした。100℃60分加熱したときの揮発減少率が50重量%未満であった場合を○、50重量%以上であった場合を×とした。
(2)シランカップリング剤の放出性
シランカップリング剤含有マイクロカプセル0.1gをアルミカップに秤量し、150℃に加熱したオーブンに60分間投入した後、シランカップリング剤含有マイクロカプセルの重量を測定した。加熱前に対する加熱後の重量比率を、シランカップリング剤の揮発減少率とした。150℃60分加熱したときの揮発減少率が50重量%以上から100重量%であった場合を○、50重量%未満であった場合を×とした。
シランカップリング剤含有マイクロカプセル0.1gをアルミカップに秤量し、150℃に加熱したオーブンに60分間投入した後、シランカップリング剤含有マイクロカプセルの重量を測定した。加熱前に対する加熱後の重量比率を、シランカップリング剤の揮発減少率とした。150℃60分加熱したときの揮発減少率が50重量%以上から100重量%であった場合を○、50重量%未満であった場合を×とした。
<評価2>
実施例1、2及び比較例2で得られたシランカップリング剤含有マイクロカプセルについて以下の評価を行った。結果を表2に示した。
実施例1、2及び比較例2で得られたシランカップリング剤含有マイクロカプセルについて以下の評価を行った。結果を表2に示した。
(1)樹脂フィルムの貯蔵安定性
得られたシランカップリング剤含有マイクロカプセル30重量部と、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂ペレット10000重量部と、酸化防止剤0.1重量部と、紫外線吸収剤0.4重量部と、架橋剤0.33重量部と、架橋助剤0.3重量部とを混合し、押出機にて、成形温度100℃、スクリュー回転速度15〜30rpm、バレル滞留時間5〜20minの条件下で混練し、シランカップリング剤含有マイクロカプセルを含有する樹脂フィルムを得た。
樹脂フィルム0.5gにトルエン20gを添加し、撹拌混合した。その後、超音波器で20分間超音波照射し、トルエン溶解物を得た。得られたトルエン溶解物をGCMS装置にて300℃まで昇温し、10分間保持した後、トルエン溶解物中に存在するシランカップリング剤量を測定し、初期シランカップリング剤量とした。
樹脂フィルムを40℃、湿度90%で30日間保管した後、同様の測定を行い、30日目のシランカップリング剤量とした。初期シランカップリング剤量に対する30日目のシランカップリング剤量を、シランカップリング剤の残存率とした。
シランカップリング剤の残存率が30%以上であった場合を○、25%未満であった場合を×とした。
得られたシランカップリング剤含有マイクロカプセル30重量部と、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂ペレット10000重量部と、酸化防止剤0.1重量部と、紫外線吸収剤0.4重量部と、架橋剤0.33重量部と、架橋助剤0.3重量部とを混合し、押出機にて、成形温度100℃、スクリュー回転速度15〜30rpm、バレル滞留時間5〜20minの条件下で混練し、シランカップリング剤含有マイクロカプセルを含有する樹脂フィルムを得た。
樹脂フィルム0.5gにトルエン20gを添加し、撹拌混合した。その後、超音波器で20分間超音波照射し、トルエン溶解物を得た。得られたトルエン溶解物をGCMS装置にて300℃まで昇温し、10分間保持した後、トルエン溶解物中に存在するシランカップリング剤量を測定し、初期シランカップリング剤量とした。
樹脂フィルムを40℃、湿度90%で30日間保管した後、同様の測定を行い、30日目のシランカップリング剤量とした。初期シランカップリング剤量に対する30日目のシランカップリング剤量を、シランカップリング剤の残存率とした。
シランカップリング剤の残存率が30%以上であった場合を○、25%未満であった場合を×とした。
本発明によれば、シランカップリング剤の失活を抑制しながら、シランカップリング剤の保持性及び放出性に優れたシランカップリング剤含有マイクロカプセルを製造することのできるシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該シランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法により得られるシランカップリング剤含有マイクロカプセル、及び、該シランカップリング剤含有マイクロカプセルを含有するガラス接着用樹脂フィルムを提供することができる。
Claims (6)
- シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に、高分子化合物からなる皮膜が形成されたシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法であって、
高分子化合物が溶解した有機溶媒に、シランカップリング剤を含有するコアカプセルが分散した分散液を調製する工程と、
前記有機溶媒を揮発させて、前記シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に前記高分子化合物からなる皮膜を形成させる工程とを有し、
前記高分子化合物は、融点が80〜150℃(ただし、融点データがない場合は熱変形温度が40〜170℃)であり、前記高分子化合物と前記有機溶媒との溶解性パラメーターの差が3.0以下である
ことを特徴とするシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法。 - 高分子化合物の溶解性パラメーターが6〜13であることを特徴とする請求項1記載のシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法。
- 高分子化合物は、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、硬化油及びパラフィンワックスからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2記載のシランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法。
- シランカップリング剤を含有するコアカプセルの表面に、高分子化合物からなる皮膜が形成されていることを特徴とするシランカップリング剤含有マイクロカプセル。
- 100℃60分加熱したときのシランカップリング剤の揮発減少率が0.01重量%以上から75重量%以下であり、かつ、150℃60分加熱したときのシランカップリング剤の揮発減少率が50重量%以上から100重量%であることを特徴とする請求項4記載のシランカップリング剤含有マイクロカプセル。
- 請求項4又は5記載のシランカップリング剤含有マイクロカプセルを含有することを特徴とするガラス接着用樹脂フィルム。
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JP2012241998A JP2014091073A (ja) | 2012-11-01 | 2012-11-01 | シランカップリング剤含有マイクロカプセルの製造方法、シランカップリング剤含有マイクロカプセル、及び、ガラス接着用樹脂フィルム |
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CN116948560A (zh) * | 2023-06-21 | 2023-10-27 | 苏州易昇光学材料股份有限公司 | 抗助剂析出封装胶膜及其制备方法、光伏组件 |
-
2012
- 2012-11-01 JP JP2012241998A patent/JP2014091073A/ja active Pending
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