JP2016049532A - 熱膨張性マイクロカプセル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、シェルは、ニトリル系モノマー、アミド基を有するモノマー、及び、分子中にグリシジル基を有する化合物を含有するモノマー組成物を重合させてなり、発泡開始温度Tsが190℃以上であり、180℃で80秒間加熱した後の発泡開始温度Ts’が150〜170℃であり、かつ、180℃で5分間加熱した後の重量減少率が3.0重量%以下であり、30℃から最大発泡温度Tmaxまで5℃/分で加熱した後の重量減少率が12.0重量%以下である熱膨張性マイクロカプセル。
【選択図】なし
Description
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、熱可塑性シェルポリマーの中に、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤が内包されているものが広く知られており、例えば、特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素等の揮発性膨張剤をモノマーと混合した油性混合液を、油溶性重合触媒とともに分散剤を含有する水系分散媒体中に攪拌しながら添加し懸濁重合を行うことにより、揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
このような熱膨張性マイクロカプセルでは、高温高湿下でも優れた機械的強度を有するとしている。
しかしながら、依然としてガスバリア性が低いために、高温長時間の加熱に耐えることができないという問題や、加熱途中でガスが抜けてしまい発泡工程で発泡しないという問題があった。
しかしながら、特許文献3の方法で得られる粒子は、ガスバリア性が低いために、発泡変位が小さくあまり膨らまないという問題があった。また、高温長時間の加熱に耐えることができないという問題もあった。
以下、本発明を詳述する。
上記発泡開始温度の好ましい下限は190℃、より好ましくは195℃、さらに好ましくは200℃、好ましい上限は215℃、より好ましくは210℃である。
なお、発泡開始温度Tsは、例えば、TMA装置(例えば、ティー・エイ・インスツルメント社製:TMAQ400EM型)を用いて昇温速度5℃/分の条件で測定することができる。
なお、本明細書中、上記最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルが最大変位量となったときの温度を意味する。
上記重量減少率は、[(加熱前の重量−加熱後の重量)/加熱前の重量]×100から算出することができる。
なお、上記180℃で5分間加熱した後の重量減少率は、例えば、TG−DTA等を用いて測定することができる。
なお、上記25℃から最大発泡温度Tmaxまで5℃/分で加熱した後の重量減少率は、例えば、TG−DTA等を用いて測定することができる。
上記ニトリル系モノマーは特に限定されず、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマルニトリル、又は、これらの混合物等が挙げられる。これらのなかでは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが特に好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
より好ましい下限は85重量%、好ましい上限は98重量%である。
上記(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。
上記N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−イソプロポキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−オクチロキシメチルアクリルアミド、N−カルボキシメチレンオキシメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
上記N,N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
上記N−ビニルアミドとしては、N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
上記アミド基を有するモノマーとして、N−置換(メタ)アクリルアミド、又は、N,N−置換(メタ)アクリルアミドを用いる場合、窒素上の置換基の炭素数は1〜4が好ましく、より好ましくは窒素上の置換基の炭素数が1〜2である。
上記アミド基を有するモノマーのなかでも、高い耐熱性とガスバリア性の観点から、特にアクリルアミド、メタクリルアミドが好ましい。
上記アミド基を有するモノマーの含有量が1重量%以上であると、加熱発泡時に後述する分子中にグリシジル基を有する化合物と結合することによって得られる効果がより一層良好となる。上記アミド基を有するモノマーの含有量が18重量%以下であると、重合時の粒子凝集の誘発を抑制することができる。より好ましい下限が2重量%、より好ましい上限が15重量%であり、特に好ましい下限が3重量%である。
上記アミド基を有するモノマーの分子中にグリシジル基を有する化合物に対する含有量が上記範囲内であると、加熱発泡時に後述する分子中にグリシジル基を有する化合物と結合することによって得られる効果がより一層良好となる。
一方、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡時の温度は、一般的に100〜300℃であるため、上記グリシジル基はアミド基と加熱発泡時の高温で反応することで、高い耐熱性とガスバリア性を実現することができる。また、膨張後も形状を維持することができ、保持性に優れたものとなる。
上記分子中にグリシジル基を有する化合物は、上記モノマー組成物の重合時ではなく、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡時に硬化するため、発泡時の膨張が阻害されることなく、発泡倍率を高めることができる。
なお、上記分子中にグリシジル基を有する化合物は、モノマーとして、シェルの重合体を構成するものであってもよく、重合体を構成するものではなく、シェル中に含まれるものであってもよい。
また、上記分子中にグリシジル基を有する化合物としては、分子中にグリシジル基を2個以上有しているものがより好ましい。上記分子中にグリシジル基を2個以上有することで、硬化性をより強固なものとすることができる。特に、加熱発泡させる際の熱によって、アミド基とグリシジル基とがより強固に結合し、耐熱性や耐久性を大幅に向上させることが可能となる。
なお、グリシジル基含有モノマーとは、グリシジル基及びラジカル重合性二重結合を有するモノマーをいう。
また、エポキシ樹脂とは、分子内に2つ以上のオキシラン環(エポキシ基)を有し、ラジカル重合性二重結合を有しない化合物である。
なお、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルのオキシエチレン部分の繰り返し数は特に限定されず、例えば、オキシエチレン部分の繰り返し数が2、4、9、13又は23(n=2、4、9、13又は23)であるポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを用いることができる。また、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルのオキシプロピレン部分の繰り返し数は特に限定されず、例えば、オキシプロピレン部分の繰り返し数が2、3又は11(n=2、3又は11)であるポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを用いることができる。
また、グリシジルエーテル構造を分子内に2個以上有する化合物を用いてもよい。
上記グリシジルエーテル構造を分子内に2個以上有する化合物として、例えば、グリセリン1モルに対してエピクロルヒドリン0〜1モルを付加させた化合物のポリグリシジルエーテル及びその混合物や、エチレングリコール1モルに対してエピクロルヒドリン0〜2モルを付加させた化合物のポリグリシジルエーテル及びその混合物等も挙げられる。
上記分子中にグリシジル基を有する化合物のなかでも、上記アミド基と高温で反応することで耐熱性や耐久性を向上させる観点から、グリシジルメタクリレートが好ましい。
上記架橋性モノマーの含有量が0.1重量%未満であると、架橋剤としての効果が発揮されないことがあり、上記架橋性モノマーを、1.0重量%を超えて添加した場合、熱膨張性マイクロカプセルの発泡倍率が低下する。上記架橋性モノマーの含有量のより好ましい下限は0.15重量%、より好ましい上限は0.5重量%である。
上記他のモノマーは特に限定されず、得られる熱膨張性マイクロカプセルに必要とされる特性に応じて適宜選択することができるが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー等が挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記他のモノマーの含有量が40重量%を超えると、上記ニトリル系モノマーの含有量が低下して、得られる熱膨張性マイクロカプセルは、耐熱性及びガスバリア性が低下し、高温において、破裂及び収縮を生じやすく、高発泡倍率で発泡できないことがある。
上記カルボキシル基を有するモノマーを含有することにより、主に、上記カルボキシル基を有するモノマーの残留モノマーが、成形に用いる基材樹脂の酸化劣化を促進するため、成形体を黄褐色に着色させてしまったり、成形時の加熱で残留モノマーが揮発し、酸特有の刺激臭が拡がることで作業環境に悪影響を及ぼしたりすることがある。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が挙げられる。
上記過酸化ジアルキルは特に限定されず、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド等が挙げられる。
上記重量平均分子量が10万未満であると、得られる熱膨張性マイクロカプセルは、シェルの強度が低下し、高温において、破裂及び収縮を生じやすく、高発泡倍率で発泡できないことがある。上記重量平均分子量が200万を超えると、得られる熱膨張性マイクロカプセルは、シェルの強度が高くなりすぎ、発泡性能が低下することがある。
また、上記シェルは、190℃、5分間加熱時のゲル分率が60%以上であることが好ましい。これにより、加熱によるへたりを抑制することがある。また、95%以下であることが好ましい。
上記ゲル分率は、N、N−ジメチルホルムアミドに熱膨張マイクロカプセルを膨潤させ、沈殿物を分離、乾燥させることによって測定することができる。
本明細書中、揮発性膨張剤とは、上記シェルの軟化点以下の温度で、ガス状になる物質をいう。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いることとしてもよい。
上記シェルの厚みはコア剤の含有量によって変化するが、コア剤の含有量を減らして、シェルが厚くなり過ぎると発泡性能が低下し、コア剤の含有量を多くすると、シェルの強度が低下する。上記コア剤の含有量を10〜25重量%とした場合、熱膨張性マイクロカプセルのへたり防止と発泡性能向上とを両立させることが可能となる。
上記水溶性窒素含有化合物は特に限定されず、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート及びポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これらのなかでは、ポリビニルピロリドンが好ましい。
また、上記補助安定剤として上記縮合生成物又は上記水溶性窒素含有化合物を用いる場合、上記縮合生成物又は水溶性窒素含有化合物の添加量は特に限定されず、目的とする熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定することができるが、全モノマー成分100重量部に対する好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が2重量部である。
上記無機塩の添加量は特に限定されないが、全モノマー成分100重量部に対する好ましい上限は100重量部である。
この工程では、上記モノマー組成物と上記揮発性膨張剤とを別々に上記水性分散媒体に添加して、該水性分散媒体中で上記油性混合液を調製してもよいが、通常は、予め両者を混合して油性混合液としてから、上記水性分散媒体に添加する。この際、上記油性混合液と上記水性分散媒体とを予め別々の容器で調製しておき、別の容器で攪拌しながら混合することにより上記油性混合液を上記水性分散媒体に分散させた後、重合反応容器に添加してもよい。
なお、上記モノマー組成物中のモノマーを重合するために重合開始剤が用いられるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、上記水性分散媒体と上記油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
上記乳化分散させる方法は特に限定されず、例えば、ホモミキサー(例えば、特殊機化工業社製)等により攪拌する方法、ラインミキサー、エレメント式静止型分散器等の静止型分散装置を通過させる方法等が挙げられる。なお、上記静止型分散装置には上記水性分散媒体と上記油性混合液とを別々に供給してもよく、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
このようにして、ニトリル系モノマー、アミド基を有するモノマー、及び、分子中にグリシジル基を有する化合物を含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルが得られる。得られた熱膨張性マイクロカプセルは、続いて、脱水する工程、乾燥する工程等を経てもよい。
本発明のスタンパブルシート成形体は、湿式または、乾式のどちらのプロセスで形成されても良いが、湿式で形成されることが好ましい
上記無機繊維の平均径が上記好ましい範囲内であることにより、無機繊維同士が充分に絡み合い、スタンパブルシート成形体を充分に強化することができる。
上記無機繊維のカット長が上記好ましい範囲内であることにより、無機繊維同士が充分に絡み合い、スタンパブルシート成形体を充分に強化することができる。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレン等の一般的な熱可塑性樹脂;ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。また、エチレン系、塩化ビニル系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系等の熱可塑性エラストマーを使用してもよく、これらの樹脂を併用して使用してもよい。
上記樹脂粉末の平均粒径は特に限定されないが、好ましくは10〜1000μm、より好ましくは20〜400μmである。
上記樹脂粉末の平均粒径が上記好ましい範囲内であることにより、上記無機繊維同士を充分に結着させることができ、スタンパブルシート成形体の強度を充分なものとすることができる。
上記樹脂粉末の平均粒径は、例えば、顕微鏡観察、光透過粒径測定法等の方法により測定することができる。
上記熱可塑性樹脂の含有量が上記好ましい範囲内であることにより、上記無機繊維同士を充分に結着させることができ、スタンパブルシート成形体の強度を充分なものとすることができる。
上記難燃剤は特に限定されず、尿素およびメラミンシアヌレート等の窒素含有化合物、ポリリン酸等のリン酸化合物、塩素化パラフィンおよびデカブロモビフェニルエーテル等の有機ハロゲン化合物、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の水和金属酸化物等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂や熱膨張性マイクロカプセル等の原材料をバッチ式の混練機で混練した後、造粒機で造粒することによりペレット形状のマスターバッチペレットを製造してもよい。
上記混練機としては、熱膨張性マイクロカプセルを破壊することなく混練できるものであれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
重合反応容器に、水250重量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製20重量%)25重量部及びポリビニルピロリドン(BASF社製)0.8重量部と、1N塩酸1.8重量部とを投入し、水性分散媒体を調製した。
次いで、表1に示した配合比のモノマー組成物、揮発性膨張剤、及び、重合開始剤(2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル0.8重量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.6重量部)からなる油性混合物を水性分散媒体に添加し、懸濁させて、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器内へ仕込み、加圧(0.5MPa)しながら60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を得た。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥することにより、熱膨張性マイクロカプセルを得た。
なお、分子中にグリシジル基を有する化合物としては、グリシジルメタクリレート(共栄社化学社製、グリシジル基の数:1、重合性不飽和結合の数:1)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製JER828、グリシジル基の数:2、重合性不飽和結合の数:0)及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製EX−321、グリシジル基の数:3、重合性不飽和結合の数:0)を用いた。
また、揮発性膨張剤としては、イソペンタン、イソオクタンのほか、イソパラフィン系石油溶剤(エクソンモービル社製、アイソパーH)を用いた。
実施例、比較例で得られた熱膨張性マイクロカプセルについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度Ts及び最大発泡温度Tmaxを測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から250℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度とした。また、発泡倍率を測定し、発泡倍率が最大となる温度を最大発泡温度とした。
試料1gをアルミカップに入れ、送風乾燥機で180℃、80秒加熱した。
加熱後の試料について、上記TMAを用いて発泡開始温度Ts’を測定した。
(180℃、5分間加熱後の重量減少率)
試料1.5mgを示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメント社製、TG/DTA6300)を用いて、30℃から80℃/minの昇温速度で180℃まで加熱して、180℃で5分間経過後の重量減少率を評価した。
試料1.5mgについて、示差熱熱重量同時測定装置を用いて、30℃から各試料のTmaxまで5℃/minの昇温速度で加熱した際の重量減少率を評価した。
(通常のゲル分率)
得られた熱膨張性マイクロカプセル0.1g(a[g])と、N,N−ジメチルホルムアミド20.0gをガラス試験管に秤取り、75℃で24時間加熱した。加熱後、遠心分離機で20000rpm、30分間遠心分離し、上澄みを廃棄した。沈殿した未溶解物を75℃の真空乾燥機で48時間真空乾燥を行い、乾燥した未溶解物の重量(b[g])を測定した。次いで、下記式から非加熱時のゲル分率(A)を算出した。
非加熱時のゲル分率(A)=(b/a)×100(%)
熱膨張性マイクロカプセルを0.1gアルミカップに秤取り、190℃の熱風オーブンで5分間加熱した。加熱したサンプルを0.1g(a[g])とN,N−ジメチルホルムアミド20.0gをガラス試験管に秤取り、75℃で24時間加熱した。加熱後、遠心分離機で20000rpm、30分間遠心分離し、上澄みを廃棄した。沈殿した未溶解物を75℃の真空乾燥機で48時間真空乾燥を行い、乾燥した未溶解物の重量(b[g])を測定した。次いで、下記式から190℃、5分間加熱後のゲル分率(B)を算出した。
190℃、5分間加熱後のゲル分率(B)=(b/a)×100(%)
加熱発泡顕微装置(ジャパンハイテック社製)を用い、熱膨張性マイクロカプセルをステージに少量散布し、5℃/minで加熱を行いながら、280℃まで膨張挙動を観察し、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルの直径を1倍とした時の220℃における発泡倍率D220を測定した。D220が2倍未満であった場合を「×」と、2倍以上3倍未満であった場合を「○」と、3倍以上4倍未満であった場合を「○○」と、4倍以上であった場合を「○○○」として評価した。
加熱発泡顕微装置(ジャパンハイテック社製)を用いて、耐熱性と同様の条件で膨張挙動を観察し、発泡倍率が2倍以上である温度幅(ΔT)を測定した。ΔTが40℃未満であった場合を「×」と、40℃以上50℃未満であった場合を「○」と、50℃以上60℃未満であった場合を「○○」と、60℃以上であった場合を「○○○」として評価した。
熱機械測定装置(TMA:TA インスツルメント社製)を用いて、荷重0.01mN、加熱温度180℃まで、30℃/minの昇温速度で加熱発泡させたときの発泡変位を100%とした。その後、荷重0.05mNまで荷重をかけたときの発泡変位の減少率を測定した。発泡変位の減少率が20%未満であった場合を「○○○」と、20%以上50%未満であった場合を「○○」と、50%以上80%未満であった場合を「○」と、80%以上であった場合を「×」として評価した。
(スタンパブルシート成形体の作製)
イオン交換水1Lに、得られた熱膨張性マイクロカプセル4g、ガラス繊維(繊維径13μm、カット長20mm)8g及びポリプロピレン樹脂粉末(融点165℃、平均粒径300μm)10gを加えて分散し、混合エマルジョンを得た。得られた混合エマルジョンをステンレス製メッシュ(Φ100μm)を用いて減圧濾過することにより不織布を得た。得られた不織布を加熱オーブンにて110℃で20分乾燥し、次いで、170℃に加熱したプレス機にて2MPa、10分間プレスを行った。その後、冷却プレスを行い、スタンパブルシート成形体を得た。
得られたスタンパブルシート成形体を50mm四方に裁断した。各角の厚さを測定し、その平均をスタンパブルシート成形体の発泡前の厚さ(X)とした。スタンパブルシート成形体を温度200℃のオーブンで4分間加熱した後、各角の厚さを測定し、その平均をスタンパブルシート成形体の発泡後の厚さ(Y)とした。次いで、下記式から成形体の成型倍率(loft%)を算出した。
成形体の成型倍率=(Y/X)×100(loft%)
成型倍率が300loft%未満であった場合を「×」と、300loft%以上500loft%未満であった場合を「○」と、500loft%以上700loft%未満であった場合を「○○」と、700loft%以上であった場合を「○○○」として評価した。
Claims (7)
- 重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、
シェルは、ニトリル系モノマー、アミド基を有するモノマー、及び、分子中にグリシジル基を有する化合物を含有するモノマー組成物を重合させてなり、
発泡開始温度Tsが190℃以上であり、
180℃で80秒間加熱した後の発泡開始温度Ts’が150〜170℃であり、
180℃で5分間加熱した後の重量減少率が3.0重量%以下であり、かつ、
30℃から最大発泡温度Tmaxまで5℃/分で加熱した後の重量減少率が12.0重量%以下であることを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル。 - モノマー組成物は、ニトリル系モノマーを80重量%以上、アミド基を有するモノマーを1〜18重量%、分子中にグリシジル基を有する化合物を0.1〜15重量%含有することを特徴とする請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- モノマー組成物は、分子中に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマーの含有量が1.0重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- シェルは、75℃、24時間加熱時のゲル分率が70%以下、190℃、5分間加熱時のゲル分率が60%以上であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- 請求項1、2、3又は4記載の熱膨張性マイクロカプセル及び熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチ。
- 請求項1、2、3或いは4記載の熱膨張性マイクロカプセル、又は、請求項5記載の発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチを含有することを特徴とする発泡成形体。
- 請求項1、2、3又は4記載の熱膨張性マイクロカプセル、無機繊維及び樹脂を含有することを特徴とするスタンパブルシート成形体。
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