JP2014237840A - 熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、熱可塑性シェルポリマーの中に、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤が内包されているものが広く知られており、例えば、特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素等の揮発性膨張剤をモノマーと混合した油性混合液を、油溶性重合触媒とともに分散剤を含有する水系分散媒体中に攪拌しながら添加し懸濁重合を行うことにより、揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
また、特許文献3には、ニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下及び架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用い、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルにおいて、非ニトリル系モノマーがメタクリル酸エステル類又はアクリル酸エステル類である熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。
このような熱膨張性マイクロカプセルでは、最大発泡温度が非常に高い値となっているものの、その後の膨張した状態を維持することができず、高温領域における長時間の使用は困難であった。
また、この熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度は高い値を示すものの、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工、特に射出成形に使用した場合、溶融混練工程において、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性や強度の問題から、いわゆる「へたり」と呼ばれる現象が生じたり、潰れてしまうことがあった。また、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させる工程においては、発泡倍率が低く、発泡倍率にバラツキがあることによって、熱膨張性マイクロカプセルが充分に発泡せず、得られる成形体は、外観や、軽量性等の機能性の面で劣るものとなっていた。
従って、優れた発泡倍率を有し、優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルが必要とされていた。
以下、本発明を詳述する。
上記重合性モノマー(I)を添加することで、シェルのガスバリア性を向上させることができる。
上記カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)としては、例えば、イオン架橋させるための遊離カルボキシル基を分子当たり1個以上持つものを用いることができ、具体的には例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸やその無水物又はマレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸が好ましい。
なかでも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
上記金属カチオン塩を含有することで、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)のカルボキシル基との間でイオン架橋が起こることから、架橋効率が上がり、耐熱性を高くすることが可能となる。その結果、高温領域において長時間破裂、収縮の起こらない熱膨張性マイクロカプセルとすることが可能となる。また、高温領域においてもシェルの弾性率が低下しにくいことから、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工を行う場合であっても、熱膨張性マイクロカプセルの破裂、収縮が起こることがない。
また、共有結合でなくイオン架橋が起こることによって、熱膨張性マイクロカプセルの粒子形状が真球に近くなり、歪みが生じにくくなる。これは、イオン結合による架橋が、共有結合による架橋に比べて結合力が弱いため、重合中のモノマーからポリマーへ転化時において、熱膨張性マイクロカプセルの体積が収縮する際に均一に収縮が生じることが原因と考えられる。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が好適に用いられる。具体例には、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化ジアルキル;イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α、α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物等が挙げられる。
上記揮発性膨張剤は、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、イソオクタン及びイソドデカンからなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルでは、上述した揮発性膨張剤のなかでも、炭素数が5以下の炭化水素を用いることが好ましい。このような炭化水素を用いることにより、発泡倍率が高く、速やかに発泡を開始する熱膨張性マイクロカプセルとすることができる。
上記低沸点有機溶剤としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、ブテン、イソブテン、ネオペンタン、ヘプタン、石油エーテル、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサンデカン等の低分子量炭化水素;CCl3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等のテトラアルキルシラン等が挙げられる。これらの低沸点有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記コア剤として、加熱により熱分解してガス状となる熱分解型化合物を用いてもよい。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となったとき(最大変位量)における温度を意味する。
更に、上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
なお、上記モノマーを重合するために、重合開始剤が使用されるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、水性分散媒体と油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
なお、上記静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
このような方法で得られる本発明の発泡成形体は、高外観品質が得られ、独立気泡が均一に形成されており、軽量性、断熱性、耐衝撃性、剛性等に優れるものとなり、住宅用建材、自動車用部材、靴底等の用途に好適に用いることができる。
また、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂や熱膨張性マイクロカプセル等の原材料をバッチ式の混練機で混練した後、造粒機で造粒することによりペレット形状のマスターバッチペレットを製造してもよい。
上記混練機としては、熱膨張性マイクロカプセルを破壊することなく混練できるものであれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
固形分20重量%のコロイダルシリカ130重量部、ポリビニルピロリドン6重量部、塩化ナトリウム640重量部をイオン交換水2,000重量部に加え混合した後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル238重量部、メタクリロニトリル113重量部、メタクリル酸113重量部、メタクリル酸メチル287重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート3重量部を混合して均一溶液のモノマー組成物とした。これに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)10g、ノルマルペンタン238重量部を添加してオートクレーブ中に仕込み混合した。
その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、10分間1,000rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で15時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は200rpmで行った。得られた重合スラリーを脱水装置(セントル)で予備脱水した後に乾燥させて、熱膨張性マイクロカプセルを得た。
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に可塑剤としてフタル酸ジオクチル70重量部、黒顔料としてカーボンブラック3重量部、実施例1で得られた熱膨張性マイクロカプセル3重量部を混合した。続いて型締力約350トン、スクリュー径60mmを有する射出成形機を用いて、射出圧力約1860kg/cm2、シリンダー温度190℃にて射出成形を行い、直径250mm×厚み3mmの円盤状の発泡成形体を得た。
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、トリメチロールプロパントリメタクリレートを表1に示す組成で混合し、モノマー組成物とした以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体を得た。
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、トリメチロールプロパントリメタクリレートを表1に示す組成で混合してモノマー組成物とし、更に金属カチオン塩である水酸化亜鉛を3.8重量部添加した以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体を得た。
得られた熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体の性能を以下の方法で評価した。結果を表1に示した。
(1−1)体積平均粒子径
粒度分布径測定器(LA−950、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から250℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度とした。また、発泡倍率を測定し、発泡倍率が最大となる温度を最大発泡温度とした。
(2−1)密度の測定
得られた成形体の密度をJIS K−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した。
成形品表面の白斑点の個数を目視にて計数した。
Claims (4)
- 重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包された熱膨張性マイクロカプセルであって、
前記シェルは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)44〜63重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー(III)0.1〜3.0重量%と、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル及びスチレン系モノマーから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(IV)21〜40重量%を含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体からなり、
前記揮発性膨張剤は、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、イソオクタン及びイソドデカンからなる群より選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル。 - モノマー組成物は、金属カチオン塩を含有し、前記金属カチオン塩の含有量がモノマーの合計量に対して、0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- 最大発泡温度が175℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- 請求項1、2又は3記載の熱膨張性マイクロカプセルを用いてなることを特徴とする発泡成形体。
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