JP2019173018A - 熱膨張性マイクロカプセル、成形用樹脂組成物及び発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、成形時の強いせん断に対して耐久性があり、発泡倍率が高く、黄変しにくい優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセル及び該熱膨張性マイクロカプセルを用いた成形用樹脂組成物及び発泡成形体を提供する。【解決手段】重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、最大発泡温度が170℃以上、コア剤を15〜30重量%含有する熱膨張性マイクロカプセルであり、前記シェルは、ポリアクリロニトリル(I)を70〜90重量%、ポリメタクリロニトリル(II)を9.9〜29.9重量%、前記ポリアクリロニトリル(I)及びポリメタクリロニトリル(II)以外のポリマー(III)を0.01〜1.5重量%含有し、ゲル化度が80%以上であり、前記コア剤は、炭化数8以上の炭化水素を含有する熱膨張性マイクロカプセル。【選択図】なし
Description
本発明は、成形時の強いせん断に対して耐久性があり、発泡倍率が高く、黄変しにくい優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセル及び該熱膨張性マイクロカプセルを用いた成形用樹脂組成物、発泡成形体に関する。
熱膨張性マイクロカプセルは、意匠性付与剤や軽量化剤として幅広い用途に使用されており、発泡インク、壁紙をはじめとした軽量化を目的とした塗料等にも利用されている。
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、熱可塑性シェルポリマーの中に、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤が内包されているものが広く知られている。例えば、特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素等の揮発性膨張剤をモノマーと混合した油性混合液を、油溶性重合触媒とともに分散剤を含有する水系分散媒体中に攪拌しながら添加し懸濁重合を行うことにより、揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、熱可塑性シェルポリマーの中に、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤が内包されているものが広く知られている。例えば、特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素等の揮発性膨張剤をモノマーと混合した油性混合液を、油溶性重合触媒とともに分散剤を含有する水系分散媒体中に攪拌しながら添加し懸濁重合を行うことにより、揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
しかしながら、この方法によって得られた熱膨張性マイクロカプセルは、80〜130℃程度の比較的低温で熱膨張させることができるものの、高温又は長時間加熱すると、膨張したマイクロカプセルが破裂又は収縮してしまい発泡倍率が低下するため、耐熱性に優れた熱膨張性マイクロカプセルを得ることができないという欠点を有していた。
一方、特許文献2には、ニトリル系モノマー80〜97重量%、非ニトリル系モノマー20〜3重量%及び三官能性架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーをシェルとして用い、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
また、特許文献3には、ニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下及び架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用い、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。このような熱膨張性マイクロカプセルでは、非ニトリル系モノマーとして、メタクリル酸エステル類又はアクリル酸エステル類が使用されている。
また、特許文献3には、ニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下及び架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用い、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。このような熱膨張性マイクロカプセルでは、非ニトリル系モノマーとして、メタクリル酸エステル類又はアクリル酸エステル類が使用されている。
これらの方法によって得られる熱膨張性マイクロカプセルは、従来のマイクロカプセルに比べ耐熱性に優れ、140℃以下では発泡しないとされている。しかしながら、実際には130〜140℃で1分程度加熱を続けると一部のマイクロカプセルが熱膨張してしまうものであり、最大発泡温度が180℃以上の優れた耐熱性を有する熱膨張性マイクロカプセルを得ることは困難であった。
更に、特許文献4には、最大発泡温度が180℃以上である熱膨張性マイクロカプセルを得ることを目的として、85重量%以上のニトリル基をもつエチレン性不飽和モノマーの単独重合体又は共重合体からなるシェルポリマーと50重量%以上のイソオクタンを有する発泡剤からなる熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。
このような熱膨張性マイクロカプセルでは、最大発泡温度が非常に高い値となっているものの、成形時のせん断に弱く、その後の膨張した状態を維持することができず、高温領域における長時間の使用は困難であった。
このような熱膨張性マイクロカプセルでは、最大発泡温度が非常に高い値となっているものの、成形時のせん断に弱く、その後の膨張した状態を維持することができず、高温領域における長時間の使用は困難であった。
更に、特許文献5〜9には、熱膨張性マイクロカプセルのシェルを構成するモノマーを規定することで、広範囲な発泡温度領域、特に高温領域(160℃以上)において良好な発泡性能を有し、耐熱性をより向上させた熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。
しかしながら、この熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度は高い値を示すものの、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工において不具合が生じていた。特に射出成形に使用した場合、溶融混練工程において、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性や強度の問題から、いわゆる「へたり」と呼ばれる現象が生じたり、潰れてしまったり、更には、得られる成形体が黄変してしまうことがあった。また、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させる工程においては、発泡倍率が低く、発泡倍率にバラツキがあることによって、熱膨張性マイクロカプセルが充分に発泡せず、得られる成形体は、外観や、軽量性等の機能性の面で劣るものとなっていた。
また、熱膨張性マイクロカプセルの凝集に起因する白斑点が発泡成形体の表面に発生し、発泡成形体の外観を著しく損ねていた。
従って、優れた耐熱性と発泡倍率を有し、黄変しにくく優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルが必要とされていた。
しかしながら、この熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度は高い値を示すものの、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工において不具合が生じていた。特に射出成形に使用した場合、溶融混練工程において、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性や強度の問題から、いわゆる「へたり」と呼ばれる現象が生じたり、潰れてしまったり、更には、得られる成形体が黄変してしまうことがあった。また、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させる工程においては、発泡倍率が低く、発泡倍率にバラツキがあることによって、熱膨張性マイクロカプセルが充分に発泡せず、得られる成形体は、外観や、軽量性等の機能性の面で劣るものとなっていた。
また、熱膨張性マイクロカプセルの凝集に起因する白斑点が発泡成形体の表面に発生し、発泡成形体の外観を著しく損ねていた。
従って、優れた耐熱性と発泡倍率を有し、黄変しにくく優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルが必要とされていた。
本発明は、成形時の強いせん断に対して耐久性があり、発泡倍率が高く、黄変しにくい優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセル及び該熱膨張性マイクロカプセルを用いた成形用樹脂組成物及び発泡成形体を提供することを目的とする。なお、「黄変しにくい」とは、「熱膨張性マイクロカプセルの添加に起因する黄変が起こりにくい」ことを意味する。
本発明は、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、最大発泡温度が170℃以上、コア剤を15〜30重量%含有する熱膨張性マイクロカプセルであり、前記シェルは、ポリアクリロニトリル(I)を70〜90重量%、ポリメタクリロニトリル(II)を9.9〜29.9重量%、前記ポリアクリロニトリル(I)及びポリメタクリロニトリル(II)以外のポリマー(III)を0.01〜1.5重量%含有し、ゲル化度が80%以上であり、前記コア剤は、炭化数8以上の炭化水素を含有する熱膨張性マイクロカプセルである。
以下、本発明を詳述する。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは鋭意検討した結果、熱膨張性マイクロカプセルのシェル構成を、ポリマー(I)〜(III)を所定量含有するものとして、ゲル化度、コア剤の種類や含有量を所定の範囲内とした場合、成形時の強いせん断に対して耐久性を示すことを見出した。また、このような熱膨張性マイクロカプセルは、発泡倍率が高く、黄変しにくい優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルは、ポリアクリロニトリル(I)を70〜90重量%、ポリメタクリロニトリル(II)を9.9〜29.9重量%、前記ポリアクリロニトリル(I)及びポリメタクリロニトリル(II)以外のポリマー(III)を0.01〜1.5重量%含有する。なお、含有量はシェル中の含有量を表す。
上記熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルは、ポリアクリロニトリル(I)及びポリメタクリロニトリル(II)を含有する。
これにより、シェルのガスバリア性を向上させることができる。
これにより、シェルのガスバリア性を向上させることができる。
上記熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルは、ポリアクリロニトリル(I)を70〜90重量%含有する。これにより、強い剪断力が加えられる成形時のせん断に対して耐久性を保持することができる。
上記アクリロニトリルの含有量の好ましい下限は75重量%、好ましい上限は85重量%である。
上記アクリロニトリルの含有量の好ましい下限は75重量%、好ましい上限は85重量%である。
上記熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルは、ポリメタクリロニトリル(II)を9.9〜29.9重量%含有する。これにより、シェルのガスバリア性を保持しつつ、耐熱性及び伸張粘度を上げ、発泡倍率向上させることできる。好ましい下限は15重量%である。また、好ましい上限は25重量%である。
上記熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルは、ポリアクリロニトリル(I)及びポリメタクリロニトリル(II)以外のポリマー(III)を0.01〜1.5重量%含有する。
上記ポリマー(III)としては、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン系モノマー等を重合させたポリマーが挙げられる。
なかでも、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステルのポリマーが好ましい。
上記ポリマー(III)としては、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン系モノマー等を重合させたポリマーが挙げられる。
なかでも、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステルのポリマーが好ましい。
上記ポリマー(III)の含有量は、0.01〜1.5重量%である。
上記ポリマー(III)の含有量の下限は0.01重量%、上限は1.5重量%である。上記ポリマー(III)の含有量を0.01重量%以上とすることで、熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡成形体の外観が向上し、1.5重量%以下とすることで、セル壁のガスバリア性が向上し、熱膨張性を改善することができる。上記ポリマー(III)の含有量の好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は1.5重量%である。
上記ポリマー(III)の含有量の下限は0.01重量%、上限は1.5重量%である。上記ポリマー(III)の含有量を0.01重量%以上とすることで、熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡成形体の外観が向上し、1.5重量%以下とすることで、セル壁のガスバリア性が向上し、熱膨張性を改善することができる。上記ポリマー(III)の含有量の好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は1.5重量%である。
上記分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマーは、架橋剤としての役割を有する。上記架橋性モノマーを含有することにより、シェルの強度を強化することができ、熱膨張時にセル壁が破泡し難くなる。
上記架橋性モノマーとしては、ラジカル重合性二重結合を2つ以上有するモノマーが挙げられ、具体例には例えば、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。更に、重量平均分子量が200〜600であるポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートを用いてもよい。
上記3官能の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記4官能以上の(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのなかでは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能性のものや、ポリエチレングリコール等の2官能性の(メタ)アクリレートが好適に用いられる。これらを用いることで、アクリロニトリルを主体としたシェルには比較的均一に架橋が施され、200℃を超える高温領域でも熱膨張したマイクロカプセルが収縮しにくく、膨張した状態を維持しやすいため、いわゆる「へたり」と呼ばれる現象を抑制することができる。
上記ジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。更に、重量平均分子量が200〜600であるポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートを用いてもよい。
上記3官能の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記4官能以上の(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのなかでは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能性のものや、ポリエチレングリコール等の2官能性の(メタ)アクリレートが好適に用いられる。これらを用いることで、アクリロニトリルを主体としたシェルには比較的均一に架橋が施され、200℃を超える高温領域でも熱膨張したマイクロカプセルが収縮しにくく、膨張した状態を維持しやすいため、いわゆる「へたり」と呼ばれる現象を抑制することができる。
上記熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルにおける、上記架橋性モノマーのポリマーの含有量の下限は0.01重量%、上限は1.0重量%であることが好ましい。上記含有量を0.01重量%以上とすることで、架橋剤としての効果を充分に発揮させることができ、上記含有量を1.0重量%以下とすることで、熱膨張性マイクロカプセルの発泡倍率を向上させることが可能となる。上記含有量の好ましい下限は0.02重量%、好ましい上限は0.06重量%である。
上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマーとしては、カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマーが好ましい。上記炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマーとしては、イオン架橋させるための遊離カルボキシル基を分子当たり1個以上持つものを用いることができる。
具体的には例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸やその無水物等が挙げられる。また、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸が好ましい。
具体的には例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸やその無水物等が挙げられる。また、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸が好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル類、又は、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル等の脂環・芳香環・複素環含有メタクリル酸エステル類が好ましい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、熱膨張性マイクロカプセル全体に対して、ポリアクリロニトリル(I)を55〜65重量%、ポリメタクリロニトリル(II)を10〜20重量%、前記ポリアクリロニトリル(I)及びポリメタクリロニトリル(II)以外のポリマー(III)を0.01〜1.0重量%含有することが好ましい。
本発明では、熱膨張性マイクロカプセル全体に対する含有量を規定することで、各成分の有効量を規定することが可能となる。
本発明では、熱膨張性マイクロカプセル全体に対する含有量を規定することで、各成分の有効量を規定することが可能となる。
上記シェルを構成する重合体の重量平均分子量の好ましい下限は10万、好ましい上限は200万である。10万未満であると、シェルの強度が低下することがあり、200万を超えると、シェルの強度が高くなりすぎ、発泡倍率が低下することがある。
上記熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルは、ゲル化度が80%以上である。
上記ゲル化度が80%以上であることで、成形時のせん断に対して耐性を保持することができる。
上記ゲル化度は80〜90%であることが好ましい。
なお、上記ゲル化度は、DMF膨潤法(溶媒をN,N−ジメチルフォルムアミドを用いること以外はASTM D2765に準拠して実施した)により測定することができる。
上記ゲル化度が80%以上であることで、成形時のせん断に対して耐性を保持することができる。
上記ゲル化度は80〜90%であることが好ましい。
なお、上記ゲル化度は、DMF膨潤法(溶媒をN,N−ジメチルフォルムアミドを用いること以外はASTM D2765に準拠して実施した)により測定することができる。
上記シェルは、更に必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シランカップリング剤、色剤等を含有していてもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、上記シェルにコア剤として揮発性膨張剤が内包されている。上記揮発性膨張剤は、シェルを構成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質であり、低沸点有機溶剤が好適である。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルにおいて、揮発性膨張剤(コア剤)は、炭素数が8以上の炭化水素を含有する。このような炭化水素を用いることにより、高温域での発泡倍率が高く、へたりにくい(変形しにくい)熱膨張性マイクロカプセルとすることができる。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いることとしてもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルにおいて、揮発性膨張剤(コア剤)は、炭素数が8以上の炭化水素を含有する。このような炭化水素を用いることにより、高温域での発泡倍率が高く、へたりにくい(変形しにくい)熱膨張性マイクロカプセルとすることができる。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いることとしてもよい。
上記炭素数が8以上の炭化水素としては、イソオクタン、オクタン、デカン、イソドデカン、ドデカン、ヘキサンデカン等が挙げられる。
これらの揮発性膨張剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの揮発性膨張剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記コア剤としては、上記炭素数が8以上の炭化水素以外の揮発性膨張剤を含んでいても良い。このような揮発性膨張剤としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテル等が挙げられる。また、CCl3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等のテトラアルキルシラン等が挙げられる。なかでも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、及び、これらの混合物が好ましい。これらの揮発性膨張剤は、2種以上を併用してもよい。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状となる熱分解型化合物を用いてもよい。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状となる熱分解型化合物を用いてもよい。
また、上記熱膨張性マイクロカプセルにおいて、コア剤の含有量は15〜30重量%である。上記範囲内とすることで、成形時のせん断への耐久性に優れるとともに、発泡倍率を向上させることができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度(Tmax)の下限が170℃である。170℃未満であると、耐熱性が低くなることから、高温領域や成形加工時において、熱膨張性マイクロカプセルが破裂、収縮する。また、マスターバッチペレット製造時に剪断により発泡してしまい、未発泡のマスターバッチペレットを安定して製造することができない。より好ましい下限は180℃、好ましい上限は240℃である。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となったとき(最大変位量)における温度を意味する。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となったとき(最大変位量)における温度を意味する。
また、発泡開始温度(Ts)の好ましい上限は170℃である。170℃を超えると特に射出成形の場合、金型に樹脂材料をフル充填した後に金型を発泡させたいところまで開くコアバック発泡成形においては、コアバック発泡過程で樹脂温度が冷えてしまい発泡倍率が上がらないことがある。好ましい下限は120℃、より好ましい上限は150℃である。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒子径の好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmである。5μm未満であると、得られる成形体の気泡が小さすぎるため、成形体の軽量化が不充分となることがあり、100μmを超えると、得られる成形体の気泡が大きくなりすぎるため、強度等の面で問題となることがある。より好ましい下限は10μm、より好ましい上限は45μmである。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法としては特に限定されないが、以下の方法を用いることができる。
例えば、水性媒体を調製する工程、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、上記アクリロニトリル及びメタクリロニトリル以外のモノマーを含有するモノマー組成物と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を水性媒体中に分散させる工程、及び、上記モノマーを重合させる工程を行うことにより製造することができる。
例えば、水性媒体を調製する工程、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、上記アクリロニトリル及びメタクリロニトリル以外のモノマーを含有するモノマー組成物と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を水性媒体中に分散させる工程、及び、上記モノマーを重合させる工程を行うことにより製造することができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを製造する場合、最初に水性媒体を調製する工程を行う。具体例には例えば、重合反応容器に、水と分散安定剤、必要に応じて補助安定剤を加えることにより、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調製する。また、必要に応じて、亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等を添加してもよい。
上記分散安定剤としては、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
上記分散安定剤の添加量は特に限定されず、分散安定剤の種類、マイクロカプセルの粒子径等により適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が20重量部である。
上記補助安定剤としては、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物等の縮合生成物が挙げられる。また、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
また、上記分散安定剤と補助安定剤との組み合わせとしては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせ、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物との組み合わせ、水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせ等が挙げられる。これらの中では、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせが好ましい。
更に、上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
更に、上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
上記水溶性窒素含有化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これらのなかでは、ポリビニルピロリドンが好適に用いられる。
上記コロイダルシリカの添加量は、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定されるが、ビニル系モノマー100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が20重量部である。更に好ましい下限は2重量部、更に好ましい上限は10重量部である。また、上記縮合生成物又は水溶性窒素含有化合物の量についても熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して、好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が2重量部である。
上記分散安定剤及び補助安定剤に加えて、更に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を添加してもよい。無機塩を添加することで、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルが得ることができる。上記無機塩の添加量は、通常、モノマー100重量部に対して0〜100重量部が好ましい。
上記分散安定剤を含有する水性分散媒体は、分散安定剤や補助安定剤を脱イオン水に配合して調製され、この際の水相のpHは、使用する分散安定剤や補助安定剤の種類によって適宜決められる。例えば、分散安定剤としてコロイダルシリカ等のシリカを使用する場合は、酸性媒体で重合がおこなわれ、水性媒体を酸性にするには、必要に応じて塩酸等の酸を加えて系のpHが3〜4に調製される。一方、水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムを使用する場合は、アルカリ性媒体の中で重合させる。
次いで、熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法では、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、上記アクリロニトリル及びメタクリロニトリル以外のモノマーを含有するモノマー組成物と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を水性媒体中に分散させる工程を行う。この工程では、モノマー組成物及び揮発性膨張剤を別々に水性分散媒体に添加して、水性分散媒体中で油性混合液を調製してもよいが、通常は、予め両者を混合し油性混合液としてから、水性分散媒体に添加する。この際、油性混合液と水性分散媒体とを予め別々の容器で調製しておき、別の容器で攪拌しながら混合することにより油性混合液を水性分散媒体に分散させた後、重合反応容器に添加しても良い。
なお、上記モノマーを重合するために、重合開始剤が使用されるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、水性分散媒体と油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
なお、上記モノマーを重合するために、重合開始剤が使用されるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、水性分散媒体と油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
上記モノマー組成物中には、上記モノマーを重合させるため、重合開始剤を含有させる。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が好適に用いられる。
具体例には、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化ジアルキル;イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル等が挙げられる。
また、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。
また、クミルパーオキシネオデカノエート、(α、α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
更に、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
加えて、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物等が挙げられる。
本発明では、アクリロニトリルを優先的に重合させるために、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレートあるいは2、2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いることが好ましい。これにより、ポリメタクリロニトリルと比較して、高い可塑剤耐性を有するポリアクリロニトリルの比率を高めることが可能となる。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が好適に用いられる。
具体例には、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化ジアルキル;イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル等が挙げられる。
また、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。
また、クミルパーオキシネオデカノエート、(α、α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
更に、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
加えて、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物等が挙げられる。
本発明では、アクリロニトリルを優先的に重合させるために、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレートあるいは2、2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いることが好ましい。これにより、ポリメタクリロニトリルと比較して、高い可塑剤耐性を有するポリアクリロニトリルの比率を高めることが可能となる。
上記油性混合液を水性分散媒体中に所定の粒子径で乳化分散させる方法としては、ホモミキサー(例えば、特殊機化工業社製)等により攪拌する方法や、ラインミキサーやエレメント式静止型分散器等の静止型分散装置を通過させる方法等が挙げられる。
なお、上記静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
なお、上記静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、上述した工程を経て得られた分散液を、例えば、加熱することによりモノマーを重合させる工程を行うことにより、製造することができる。このような方法により製造された熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度が高く、耐熱性に優れ、高温領域や成形加工時においても破裂、収縮することがない。また、耐熱性が高いので、マスターバッチペレット製造時に剪断によって発泡することが無く、未発泡のマスターバッチペレットを安定して製造することができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセル、塩化ビニル樹脂及び可塑剤を含有する成形用樹脂組成物もまた本発明の1つである。
このような成形用樹脂組成物は、成形時の強いせん断に対して耐久性があり、発泡倍率が高く、黄変しにくい優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能となる。
このような成形用樹脂組成物は、成形時の強いせん断に対して耐久性があり、発泡倍率が高く、黄変しにくい優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能となる。
本発明の成形用樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂を含有する。
上記塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル単独重合体のほか、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等を用いることができる。これら重合体は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル単独重合体のほか、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等を用いることができる。これら重合体は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、α−オレフィン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル類、ハロゲン化ビニルビニル類、N−置換マレイミド類等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上が使用される。
上記α−オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられ、上記ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられ、上記ビニルエーテル類としては、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられ、上記芳香族ビニル類としては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
更に、上記ハロゲン化ビニルビニル類としては、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられ、上記N−置換マレイミド類としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
なかでも、エチレン、酢酸ビニルが好ましい。
上記α−オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられ、上記ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられ、上記ビニルエーテル類としては、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられ、上記芳香族ビニル類としては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
更に、上記ハロゲン化ビニルビニル類としては、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられ、上記N−置換マレイミド類としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
なかでも、エチレン、酢酸ビニルが好ましい。
上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体としては、塩化ビニルをグラフト重合させるものであれば特に限定されない。このような重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。また、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されても良い。
また、上記塩化ビニルをアクリル樹脂エマルジョンゴムとグラフト共重合させても良い。
上記PVCの重合方法は、特に限定されず、従来公知の水懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合等を用いることができる。
また、上記塩化ビニルをアクリル樹脂エマルジョンゴムとグラフト共重合させても良い。
上記PVCの重合方法は、特に限定されず、従来公知の水懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合等を用いることができる。
上記塩化ビニル樹脂の重合度は600〜1200であることが好ましい。上記範囲内とすることで、流動性と製品強度の両方を満足する製品とすることができる。上記塩化ビニル樹脂の重合度のより好ましい下限は800、より好ましい上限は1000である。
本発明の成形用樹脂組成物において、上記塩化ビニル樹脂の含有量は、成形用樹脂組成物100質量部に対して、好ましい下限が40質量部、好ましい上限が60質量部である。この範囲で塩化ビニル樹脂を添加することにより、物性を維持しながら成形体の良好な外観を維持することができる。
上記塩化ビニル樹脂の含有量のより好ましい下限は45質量部、より好ましい上限は55質量部である。
上記塩化ビニル樹脂の含有量のより好ましい下限は45質量部、より好ましい上限は55質量部である。
本発明の成形用樹脂組成物は、可塑剤を含有する。
上記可塑剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル等が挙げられる。また、ペンタエリスリトールエステル等のグリコールエステル類、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤、塩素化パラフィン等が挙げられる。これらの可塑剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル等が挙げられる。また、ペンタエリスリトールエステル等のグリコールエステル類、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤、塩素化パラフィン等が挙げられる。これらの可塑剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の成形用樹脂組成物における上記可塑剤の含有量は特に限定されないが、上記塩化ビニル樹脂100重量部に対する下限が60重量部、好ましい上限が80重量部である。上記可塑剤の含有量がこの範囲内であると、賦形性を発揮することができ、発泡成形体から可塑剤がブリードアウトすることもない。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は65重量部、より好ましい上限は75重量部である。
本発明の成形用樹脂組成物における可塑剤含有量と、熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルのポリアクリロニトリル含有量との比率(可塑剤含有量/ポリアクリロニトリル含有量)は、35以下であることが好ましい。上記比率を35以下とすることで比較的低い温度(150℃以下)で熱膨張性マイクロカプセルが可塑剤と接触しても比重を下げることができる。上記比率のより好ましい上限は34、好ましい下限は25である。
本発明の成形用樹脂組成物は、必要に応じて、滑剤、加工助剤、耐熱向上剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、充填剤、熱可塑性エラストマー、顔料などの添加剤を混合してもよい。
本発明の成形用樹脂組成物を、公知の成形方法を用いて成形し、成形時の加熱により、上記熱膨張性マイクロカプセルを発泡させることにより、発泡成形体を製造することができる。このような発泡成形体もまた本発明の1つである。
このような方法で得られる本発明の発泡成形体は、高外観品質が得られ、独立気泡が均一に形成されており、軽量性、断熱性、耐衝撃性、剛性等に優れるものとなり、住宅用建材、自動車用部材、靴底等の用途に好適に用いることができる。
このような方法で得られる本発明の発泡成形体は、高外観品質が得られ、独立気泡が均一に形成されており、軽量性、断熱性、耐衝撃性、剛性等に優れるものとなり、住宅用建材、自動車用部材、靴底等の用途に好適に用いることができる。
また、本発明の成形用樹脂組成物は、マスターバッチペレットとして使用してもよい。
上記マスターバッチペレットを製造する方法としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニル樹脂等のマトリックス樹脂、各種添加剤等の原材料を、同方向2軸押出機等を用いて予め混練する。次いで、所定温度まで加熱し、本発明の成形用樹脂組成物を、ペレタイザーにて所望の大きさに切断することによりペレット形状にしてマスターバッチペレットとする方法等が挙げられる。
また、本発明の成形用樹脂組成物を造粒機で造粒することによりペレット形状のマスターバッチペレットを製造してもよい。
上記混練機としては、熱膨張性マイクロカプセルを破壊することなく混練できるものであれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
上記マスターバッチペレットを製造する方法としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニル樹脂等のマトリックス樹脂、各種添加剤等の原材料を、同方向2軸押出機等を用いて予め混練する。次いで、所定温度まで加熱し、本発明の成形用樹脂組成物を、ペレタイザーにて所望の大きさに切断することによりペレット形状にしてマスターバッチペレットとする方法等が挙げられる。
また、本発明の成形用樹脂組成物を造粒機で造粒することによりペレット形状のマスターバッチペレットを製造してもよい。
上記混練機としては、熱膨張性マイクロカプセルを破壊することなく混練できるものであれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
本発明の発泡成形体の成形方法としては、特に限定されず、例えば、混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等が挙げられる。射出成形の場合、工法は特に限定されず、金型に樹脂材料を一部入れて発泡させるショートショート法や金型に樹脂材料をフル充填した後に金型を発泡させたいところまで開くコアバック法等が挙げられる。
本発明によれば、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等にも好適に使用可能な成形用樹脂組成物とすることができる。また、発泡倍率が高く、所望の発泡特性を有する発泡成形体が得られる。更に、得られる発泡成形体は、外観に優れ、黄変しにくいものとすることができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
固形分20重量%のコロイダルシリカ130g、ポリビニルピロリドン4.6g、塩化ナトリウム480gをイオン交換水1,500gに加え混合した後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル405g(54.59重量部)、メタクリロニトリル157g(21.15重量部)、メタクリル酸メチル0.6g(0.08重量部)、トリメチロールプロパントリアクリレート2.2g(0.3重量部)を混合して均一溶液のモノマー組成物とした。これに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)4.5g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.5g、ノルマルペンタン84.93g(11.46重量部)、イソペンタン21.27g(2.87重量部)、イソオクタン70.8g(9.55重量部)を添加してオートクレーブ中に仕込み混合した。なお、重量部規定は、モノマー組成物と揮発性膨張剤の合計を100重量部とした場合の量を表す。
その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、10分間1,000rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で10時間反応後、80℃で2時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は200rpmで行った。得られた重合スラリーを脱水装置(セントル)で予備脱水した後に乾燥させて、熱膨張性マイクロカプセルを得た。
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
固形分20重量%のコロイダルシリカ130g、ポリビニルピロリドン4.6g、塩化ナトリウム480gをイオン交換水1,500gに加え混合した後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル405g(54.59重量部)、メタクリロニトリル157g(21.15重量部)、メタクリル酸メチル0.6g(0.08重量部)、トリメチロールプロパントリアクリレート2.2g(0.3重量部)を混合して均一溶液のモノマー組成物とした。これに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)4.5g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.5g、ノルマルペンタン84.93g(11.46重量部)、イソペンタン21.27g(2.87重量部)、イソオクタン70.8g(9.55重量部)を添加してオートクレーブ中に仕込み混合した。なお、重量部規定は、モノマー組成物と揮発性膨張剤の合計を100重量部とした場合の量を表す。
その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、10分間1,000rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で10時間反応後、80℃で2時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は200rpmで行った。得られた重合スラリーを脱水装置(セントル)で予備脱水した後に乾燥させて、熱膨張性マイクロカプセルを得た。
(成形用樹脂組成物、発泡成形体の作製)
塩化ビニル樹脂100重量部に、充填剤として重質炭酸カルシウム(ホワイトン305、白石工業社製)20重量部、熱安定剤として錫系安定剤(ONZ142AF、三共有機合成社製)3.5重量部、加工助剤としてポリエチレンワックス(AC316A、ハネウェル社製)1重量部を添加して混合した。100℃に加温した後、可塑剤としてフタル酸ジオクチル75重量部を添加して100℃を維持した状態で混合した。その後70℃まで冷却し、得られた熱膨張性マイクロカプセル4重量部を添加することで成形用樹脂組成物を得た。
得られた成形用樹脂組成物を二本ロールに温度95〜105℃、回転数10rpmで巻き付き後、3分、6分練り、それぞれロール品を得た。
続いてロール品を150mm四方、厚み2mmの型に入れ、圧力2MPa、温度100℃で予熱3分後、1分プレスし、その後2分冷却し、プレス品を得た。
そのプレス品(150mm四方)を16等分し、180℃に設定した熱風オーブンに入れ、4分、6分間加熱して発泡成形体を得た。
塩化ビニル樹脂100重量部に、充填剤として重質炭酸カルシウム(ホワイトン305、白石工業社製)20重量部、熱安定剤として錫系安定剤(ONZ142AF、三共有機合成社製)3.5重量部、加工助剤としてポリエチレンワックス(AC316A、ハネウェル社製)1重量部を添加して混合した。100℃に加温した後、可塑剤としてフタル酸ジオクチル75重量部を添加して100℃を維持した状態で混合した。その後70℃まで冷却し、得られた熱膨張性マイクロカプセル4重量部を添加することで成形用樹脂組成物を得た。
得られた成形用樹脂組成物を二本ロールに温度95〜105℃、回転数10rpmで巻き付き後、3分、6分練り、それぞれロール品を得た。
続いてロール品を150mm四方、厚み2mmの型に入れ、圧力2MPa、温度100℃で予熱3分後、1分プレスし、その後2分冷却し、プレス品を得た。
そのプレス品(150mm四方)を16等分し、180℃に設定した熱風オーブンに入れ、4分、6分間加熱して発泡成形体を得た。
(実施例2〜3、比較例1〜3)
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート、及び、揮発性膨張剤を表1に示す組成で混合した以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。同様に、成形用樹脂組成物及び発泡成形体も得た。
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート、及び、揮発性膨張剤を表1に示す組成で混合した以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。同様に、成形用樹脂組成物及び発泡成形体も得た。
(評価方法)
得られた熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体の性能を以下の方法で評価した。結果を表2に示した。
得られた熱膨張性マイクロカプセル及び発泡成形体の性能を以下の方法で評価した。結果を表2に示した。
(1)熱膨張性マイクロカプセルの評価
(1−1)コア/シェルの組成分析
得られた熱膨張性マイクロカプセル0.1mgを熱分解GC/MSを用い、下記の条件でシェル成分及びコア成分の組成比を測定した。なお、表2中のPANはポリアクリロニトリル、PMANはポリメタクリロニトリル、PMMAはポリメタクリル酸メチルを表す。
更に、ポリメタクリル酸(PMAA)の成分比は、サンプル0.2mgについて水酸化テトラメチルアンモニウムを用い、反応熱分解GC/MSで測定した。
なお、熱分解GC/MS測定条件、反応熱分解GC/MSは以下の通りである。
(1−1)コア/シェルの組成分析
得られた熱膨張性マイクロカプセル0.1mgを熱分解GC/MSを用い、下記の条件でシェル成分及びコア成分の組成比を測定した。なお、表2中のPANはポリアクリロニトリル、PMANはポリメタクリロニトリル、PMMAはポリメタクリル酸メチルを表す。
更に、ポリメタクリル酸(PMAA)の成分比は、サンプル0.2mgについて水酸化テトラメチルアンモニウムを用い、反応熱分解GC/MSで測定した。
なお、熱分解GC/MS測定条件、反応熱分解GC/MSは以下の通りである。
<熱分解GC/MS測定条件>
熱分解温度:550℃(FRONTIER LAB PY−2020D)
GC/MS装置:Jms−Q1000GC K9(日本電子社製)
注入口温度:300℃
カラム:Ultra−ALLOY−1(無極性)0.25mmφ×30m×0.25μm
He流量:1.0mL/min(スプリット比1:50)
カラム温度:40℃(3min)→10℃/min→300℃(5min)
MS測定範囲:35〜600amu
MS温度:イオン源:230℃,インターフェイス:250℃
熱分解温度:550℃(FRONTIER LAB PY−2020D)
GC/MS装置:Jms−Q1000GC K9(日本電子社製)
注入口温度:300℃
カラム:Ultra−ALLOY−1(無極性)0.25mmφ×30m×0.25μm
He流量:1.0mL/min(スプリット比1:50)
カラム温度:40℃(3min)→10℃/min→300℃(5min)
MS測定範囲:35〜600amu
MS温度:イオン源:230℃,インターフェイス:250℃
<反応熱分解GC/MS測定条件>
熱分解温度:300℃(PY−2020D、FRONTIER LAB製)
GC/MS装置:JMS−Q1000GC K9(日本電子社製)
注入口温度:300℃
カラム:Ultra−ALLOY−1(無極性)0.25mmφ×30m×0.25μm
He流量:1.0mL/min(スプリット比1:50)
カラム温度:40℃(3min)→10℃/min→300℃(5min)
イオン化電圧:70eV
MS測定範囲:35〜600amu
MS温度:イオン源;230℃,インターフェイス;250℃
反応試薬:水酸化テトラメチルアンモニウム
熱分解温度:300℃(PY−2020D、FRONTIER LAB製)
GC/MS装置:JMS−Q1000GC K9(日本電子社製)
注入口温度:300℃
カラム:Ultra−ALLOY−1(無極性)0.25mmφ×30m×0.25μm
He流量:1.0mL/min(スプリット比1:50)
カラム温度:40℃(3min)→10℃/min→300℃(5min)
イオン化電圧:70eV
MS測定範囲:35〜600amu
MS温度:イオン源;230℃,インターフェイス;250℃
反応試薬:水酸化テトラメチルアンモニウム
(1−2)体積平均粒子径
粒度分布径測定器(LA−950、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
粒度分布径測定器(LA−950、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
(1−3)発泡開始温度、最大発泡温度
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から250℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度とした。また、発泡倍率を測定し、発泡倍率が最大となる温度を最大発泡温度とした。
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から250℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度とした。また、発泡倍率を測定し、発泡倍率が最大となる温度を最大発泡温度とした。
(1−4)ゲル化度
溶媒として、N,N−ジメチルフォルムアミドを用いること以外はASTM D2765に準拠した方法でゲル化度を測定した。
溶媒として、N,N−ジメチルフォルムアミドを用いること以外はASTM D2765に準拠した方法でゲル化度を測定した。
(2)発泡成形体の評価
(2−1)密度の測定
得られた成形体の密度をJIS K−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した。
(2−1)密度の測定
得られた成形体の密度をJIS K−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した。
(2−2)黄色度(YI)
色差計(NR−3000、日本電色工業社製)を用いて成形品(ロール6分、加熱4分のもの)表面の黄色度を測定し、YI値を得た。
色差計(NR−3000、日本電色工業社製)を用いて成形品(ロール6分、加熱4分のもの)表面の黄色度を測定し、YI値を得た。
本発明によれば、成形時の強いせん断に対して耐久性があり、発泡倍率が高く、黄変しにくい優れた外観を有する発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセル及び該熱膨張性マイクロカプセルを用いた成形用樹脂組成物及び発泡成形体を提供することができる。
Claims (6)
- 重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、最大発泡温度が170℃以上、コア剤を15〜30重量%含有する熱膨張性マイクロカプセルであり、
前記シェルは、ポリアクリロニトリル(I)を70〜90重量%、ポリメタクリロニトリル(II)を9.9〜29.9重量%、前記ポリアクリロニトリル(I)及びポリメタクリロニトリル(II)以外のポリマー(III)を0.01〜1.5重量%含有し、ゲル化度が80%以上であり、
前記コア剤は、炭化数8以上の炭化水素を含有する
ことを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル。 - 発泡開始温度が170℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- 塩化ビニル樹脂、請求項1又は2記載の熱膨張性マイクロカプセル及び可塑剤を含有する成形用樹脂組成物。
- 塩化ビニル樹脂100重量部に対して、熱膨張性マイクロカプセルを3〜6重量部、可塑剤を60〜80重量部含有することを特徴とする請求項3記載の成形用樹脂組成物。
- 成形用樹脂組成物における可塑剤含有量と、熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルのポリアクリロニトリル含有量との比率(可塑剤含有量/ポリアクリロニトリル含有量)が、35以下であることを特徴とする請求項3又は4記載の成形用樹脂組成物。
- 請求項3、4又は5記載の成形用樹脂組成物を用いてなることを特徴とする発泡成形体。
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JP2019088415A JP2019173018A (ja) | 2019-05-08 | 2019-05-08 | 熱膨張性マイクロカプセル、成形用樹脂組成物及び発泡成形体 |
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---|---|---|---|---|
CN115044350A (zh) * | 2022-05-31 | 2022-09-13 | 北京印刷学院 | 双重响应温敏微胶囊及其制备方法和应用 |
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2019
- 2019-05-08 JP JP2019088415A patent/JP2019173018A/ja active Pending
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