JPWO2018084271A1 - 蛍光観察装置 - Google Patents

蛍光観察装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018084271A1
JPWO2018084271A1 JP2018549087A JP2018549087A JPWO2018084271A1 JP WO2018084271 A1 JPWO2018084271 A1 JP WO2018084271A1 JP 2018549087 A JP2018549087 A JP 2018549087A JP 2018549087 A JP2018549087 A JP 2018549087A JP WO2018084271 A1 JPWO2018084271 A1 JP WO2018084271A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
frequency
intensity
fluorescence
probe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018549087A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6777160B2 (ja
Inventor
文宏 嶽
文宏 嶽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Publication of JPWO2018084271A1 publication Critical patent/JPWO2018084271A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6777160B2 publication Critical patent/JP6777160B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/636Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited using an arrangement of pump beam and probe beam; using the measurement of optical non-linear properties
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/645Specially adapted constructive features of fluorimeters
    • G01N21/6456Spatial resolved fluorescence measurements; Imaging
    • G01N21/6458Fluorescence microscopy
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • G02B21/0004Microscopes specially adapted for specific applications
    • G02B21/002Scanning microscopes
    • G02B21/0024Confocal scanning microscopes (CSOMs) or confocal "macroscopes"; Accessories which are not restricted to use with CSOMs, e.g. sample holders
    • G02B21/0032Optical details of illumination, e.g. light-sources, pinholes, beam splitters, slits, fibers
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • G02B21/0004Microscopes specially adapted for specific applications
    • G02B21/002Scanning microscopes
    • G02B21/0024Confocal scanning microscopes (CSOMs) or confocal "macroscopes"; Accessories which are not restricted to use with CSOMs, e.g. sample holders
    • G02B21/0036Scanning details, e.g. scanning stages
    • G02B21/0048Scanning details, e.g. scanning stages scanning mirrors, e.g. rotating or galvanomirrors, MEMS mirrors
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • G02B21/06Means for illuminating specimens
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • G02B21/16Microscopes adapted for ultraviolet illumination ; Fluorescence microscopes
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B26/00Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements
    • G02B26/08Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements for controlling the direction of light
    • G02B26/10Scanning systems
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2201/00Features of devices classified in G01N21/00
    • G01N2201/10Scanning
    • G01N2201/105Purely optical scan

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Nonlinear Science (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Microscoopes, Condenser (AREA)
  • Mechanical Optical Scanning Systems (AREA)

Abstract

蛍光観察装置は、観察対象物の蛍光を励起するポンプ光を周波数f1で強度変調する第1の強度変調部と、観察対象物の誘導放出を誘起するプローブ光を前記周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調する第2の強度変調部と、強度変調されたポンプ光およびプローブ光を照射した観察対象物からの蛍光を受光する受光部と、前記受光部で検出される受光信号のうち周波数i×f1±j×f2(ただし、iおよびjは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する検出部とを備える。

Description

本発明は、蛍光観察装置に関する。
蛍光物質を2光子で励起し、誘導放出を誘起するレーザビームを照射して、減衰した蛍光を取得して画像を構築する顕微鏡が知られている。(例えば、非特許文献1を参照)。
Lu Wei et. al., Biomedical Optics Express 1465-1475, vol. 3, No.6, 1 June 2012
本発明の第1の態様である蛍光観察装置は、観察対象物の蛍光を励起するポンプ光を周波数f1で強度変調する第1の強度変調部と、観察対象物の誘導放出を誘起するプローブ光を前記周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調する第2の強度変調部と、強度変調されたポンプ光およびプローブ光を照射した観察対象物からの蛍光を受光する受光部と、前記受光部で検出される受光信号のうち周波数i×f1±j×f2(ただし、iおよびjは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する検出部とを備える。
本発明の第2の態様である蛍光観察装置は、観察対象物の蛍光を励起するポンプ光を周波数f1で強度変調する第1の強度変調部と、観察対象物の誘導放出を誘起する第1のプローブ光を周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調する第2の強度変調部と、観察対象物の誘導放出を誘起する、第1のプローブ光とは異なる波長の第2のプローブ光を、周波数f1およびf2とは異なる周波数f3で強度変調する第3の強度変調部と、強度変調されたポンプ光、第1のプローブ光および第2のプローブ光を照射した観察対象物からの、ポンプ光および第1のプローブ光に対応する蛍光を受光する第1の受光部と、第1の受光部で検出される受光信号のうち周波数i×f1±j×f2(ただし、iおよびjは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する第1の検出部と、強度変調されたポンプ光、第1のプローブ光および第2のプローブ光を照射した観察対象物からの、ポンプ光および第2のプローブ光に対応する蛍光を受光する第2の受光部と、第2の受光部で検出される受光信号のうち周波数p×f1±q×f3(ただし、pおよびqは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する第2の検出部とを備える。
本発明の第3の態様である蛍光観察方法は、観察対象物の蛍光を励起するポンプ光を周波数f1で強度変調し、観察対象物の誘導放出を誘起するプローブ光を周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調し、強度変調されたポンプ光およびプローブ光を照射した観察対象物からの蛍光を受光部で受光し、受光部で検出される受光信号のうち周波数i×f1±j×f2(ただし、iおよびjは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する。
本発明の第4の態様である蛍光観察方法は、観察対象物の蛍光を励起するポンプ光を周波数f1で強度変調し、観察対象物の誘導放出を誘起する第1のプローブ光を周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調し、観察対象物の誘導放出を誘起する、第1のプローブ光とは異なる波長の第2のプローブ光を、周波数f1およびf2とは異なる周波数f3で強度変調し、強度変調されたポンプ光、第1のプローブ光および第2のプローブ光を照射した観察対象物からの、ポンプ光および第1のプローブ光に対応する蛍光を第1の受光部で受光し、第1の受光部で検出される受光信号のうち周波数i×f1±j×f2(ただし、iおよびjは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出し、強度変調されたポンプ光、第1のプローブ光および第2のプローブ光を照射した観察対象物からの、ポンプ光および第2のプローブ光に対応する蛍光を第2の受光部で受光し、第2の受光部で検出される受光信号のうち周波数p×f1±q×f3(ただし、pおよびqは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する。
上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となりうる。
本実施形態に係る顕微鏡装置10の構成を示す図である。 状態遷移図である。 分解能向上の原理について説明する図である。 信号発生領域のシミュレーション結果を示す。 スキャン速度と検出の速度を説明する概念図である。 他の走査部151の例を示す。 さらに他の走査部156の例を示す。 他の顕微鏡装置12の構成を示す図である。 顕微鏡装置12で用いられるGUI画面300の一例である。 顕微鏡装置12の動作の一例を示すフローチャートである。 共焦点観察に基づいて減衰蛍光観察の範囲を選択する動作のフローチャートである。 顕微鏡装置12において、共焦点観察をするか減衰蛍光観察をするかを自動選択する動作のフローチャートである。 当該動作で用いられるGUI画面350を示す。 さらに他の顕微鏡装置14の構成を示す図である。 状態遷移図である。 分解能向上の原理について説明する図である。 信号発生領域のシミュレーション結果を示す。 さらに他の顕微鏡装置16の構成を示す図である。 さらに他の顕微鏡装置18の構成を示す図である。 各蛍光物質の励起・蛍光スペクトル、ポンプ光、プローブ光および検出波長領域の波長の関係を示す。 さらに他の顕微鏡装置20の構成を示す図である。 さらに他の顕微鏡装置22の構成を示す図である。 各蛍光物質の励起・蛍光スペクトル、ポンプ光、プローブ光および検出波長領域の波長の関係を示す。 さらに他の顕微鏡装置24の構成を示す図である。 さらに他の顕微鏡装置26の構成を示す図である。 状態遷移図である。 信号発生領域のシミュレーション結果を示す。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る蛍光観察装置の一例として顕微鏡装置10の構成を示す図である。顕微鏡装置10は、ポンプ光およびプローブ光を観察対象物に照射することで、観察対象物の蛍光物質より生じる誘導放出により減衰した蛍光信号(以下、減衰蛍光、減衰蛍光信号などと記載する)を発生させる。減衰蛍光信号は、ポンプ光およびプローブ光を強度変調させることにより検出することができる。具体的な方法としてはロックイン検出等があげられる。同様に、ポンプ光による複数回の誘導吸収および誘導放出を経た減衰蛍光信号もロックイン検出することができる。ロックイン検出により得られる減衰蛍光信号は、ポンプ光、プローブ光の多重積の結果として得られるために、信号発生領域が制限される。特に、ポンプ光による複数回の誘導吸収および誘導放出を経た減衰蛍光信号は、信号発生領域が一回の誘導吸収および誘導放出を経た減衰蛍光信号よりも制限されている。これにより、空間分解能を向上させることができる。なお、以下、減衰蛍光を蛍光と総称して記載する場合もある。また、以下、減衰蛍光を取得する顕微鏡を減衰蛍光顕微鏡と記載する。図1では説明のためにxyz軸を示す。
顕微鏡装置10は、ポンプ光およびプローブ光を出力する光源100と、ポンプ光およびプローブ光で観察対象物184を照明する照明光学系140と、観察対象物184から発せられた光を観察する観察光学系160と、観察光学系160を介して光を検出する検出部136を備える。顕微鏡装置10はさらに、観察対象物184を支持するステージ180を備える。顕微鏡装置10はさらに、顕微鏡装置10全体を制御する制御部130と、当該制御部130との間で信号を送受信する入力部220、表示部224および記憶部226を備える。
観察対象物184と、観察対象物184を載置するスライドガラス182とにより標本186が形成される。観察対象物184は例えば生物細胞である。観察対象物184には蛍光物質が含まれる。
光源100は、ポンプ光用のレーザ光源102、プローブ光用のレーザ光源104を有する。ポンプ光およびプローブ光を合波するダイクロイックミラーを有していてもよい。レーザ光源102、104は例えばいずれも連続発振方式であって、かつ、互いに異なる波長のレーザ光を出力する。ポンプ光は蛍光物質を励起して蛍光を発生させる。プローブ光は蛍光物質において誘導放出を誘起することで、蛍光を減衰させる。ポンプ光の波長はプローブ光の波長より短く、例えば、ポンプ光は532nm,プローブ光は640nmである。これらポンプ光およびプローブ光の波長は蛍光物質の吸収帯(吸収スペクトル)および蛍光帯(蛍光スペクトル)に合せて適宜設定される。これらポンプ光およびプローブ光の波長は自動的に設定されてもよいし、入力部220でユーザからの入力を受け付けてもよい。
照明光学系140は、ポンプ光用として半波長板600、偏光ビームスプリッタ602、ミラー604、606、610、612、616、音響光学周波数シフター(以下、AOFSともいう)514、524、および偏光板614を有する。照明光学系140は、さらにプローブ光用として、音響光学素子534(以下、AOMともいう)および半波長板620を有する。さらに照明光学系140は、ダイクロイックミラー618と、走査部150と、レンズペア173と、ダイクロイックミラー162と、対物レンズ164とを有する。観察光学系160は、対物レンズ164と、ダイクロイックミラー162と、光学フィルタ166と、レンズペア172とを有する。
半波長板600は、レーザ光源102から出射された、電場がx方向に振動する直線偏光のポンプ光を、xz面内でx軸から45度回転する。偏光ビームスプリッタ602は、xz面内でx軸から45度傾いた方向に電場が振動する直線偏光のポンプ光を、二つの直交する偏光方向に分離する。例えば、偏光ビームスプリッタ602は、電場がx方向に振動する直線偏光を反射し、z方向に振動する直線偏光を透過する。
AOFS514は光にとって回折格子として機能する。発振器132からの電気信号に基づいて決まる音響周波数で、ドライバ512がAOFS514を駆動し、+1次回折光の周波数を音響波の周波数だけシフトさせる。AOFS514により生じた+1次回折光はミラー606で反射されて偏光ビームスプリッタ608に導かれる。同様に、AOFS524は光にとって回折格子として機能し、AOFS524により生じた+1次回折光は偏光ビームスプリッタ608に導かれる。それぞれのAOFS直後のポンプ光の光強度はまだ変調されておらず、時間的に一定である。
2つのAOFS514、524の音響波の周波数には数MHzの差f1を設ける。例えば、発振器132からドライバ512、522に付与する直流電圧を制御することで、AOFS514の音響波周波数をf0MHz、AOFS524の音響波の周波数をf0+f1MHzとする。双方のAOFS514、534から生じる+1次回折光の周波数は、音響波の周波数だけシフトすることになる。例えば、ポンプ光の波長を532nmとすると、その光周波数は564THzに相当する。この場合、AOFS514で回折した光の周波数は564+(f0×10−6)THzとなり、AOFS524で回折した光の周波数は564+((f0+f1)×10−6)THzとなる。
それぞれの回折光は偏光ビームスプリッタ608により同軸に合成される。なおこれにより偏光ビームスプリッタ608は偏光ビームコンバイナとして機能しているといえる。
合成されたポンプ光はそれぞれの偏光方向を保っているが、偏光板614で互いに平行な偏光成分、例えばxz面内でx軸から45度傾いた方向に電場が振動する偏光成分が透過する。これによりポンプ光が互いに干渉し、上記音響波の周波数の差f1で光強度が変調される。なお、これらAOFS514、524、ドライバ512、522、半波長板600、偏光ビームスプリッタ602、608、ミラー604、606、610、612、偏光板614が第1強度変調部510を構成する。
一方、プローブ光が入射するAOM534を駆動するドライバ532の電圧を制御することで、プローブ光の一次回折光の発生を制御する。常に1次回折光を生じさせる状態(ON状態、すなわち強度が最大の状態)とすることもできるし、常に生じさせない状態(OFF状態、すなわち強度が最小の状態)とすることもできるし、光強度を変調することもできる。例えば、ドライバ532から一定の電圧値を付与した場合には、電圧値に応じて光強度は一定値となる。例えば、ドライバ532から付与される電圧値が時間的にゼロであれば、光強度もゼロになる。例えばドライバ532の電圧波形が正弦波の場合に光の強度を正弦波に変調する。本実施形態では、発振器132からの発振に基づいて、AOM534によりプローブ光を、例えば数十MHzの周波数f2で強度変調する。AOM534の利点は、数十MHzという比較的高い周波数で強度変調できることである。なお、これらAOM534とドライバ532とにより第2強度変調部530が構成される。
ダイクロイックミラー618は、それぞれに強度変調されたポンプ光とプローブ光とを同軸に合波し、走査部150に導く。
走査部150は対物レンズ164の瞳面とほぼ共役な位置に配される。このために、走査部150とダイクロイックミラー162の間にはレンズペア173が設置されていることが望ましい。走査部150の一例はガルバノスキャナであり、互いに直交する方向に回転可能な一対のガルバノミラーを有する。それらガルバノミラーの角度を変化させることで観察対象物184におけるレーザ光のスポット位置をxy方向でスキャンする。走査部150の他の例はレゾナントスキャナ(共振型スキャナ)である。レゾナントスキャナは、共振により動作する共振ミラー(レゾナントミラー)を有する。レゾナントスキャナは、例えば、主走査用のレゾナントミラーと、副走査用のガルバノミラーを備える。レゾナントスキャナを用いることで、より高速なスキャンをすることができる。
走査部150から出力されたレーザ光はダイクロイックミラー162を透過して、対物レンズ164に導かれる。対物レンズ164はレーザ光を観察対象物184に集光する。
観察対象物184の蛍光物質から生じた蛍光は、対物レンズ164を通してダイクロイックミラー162で反射し、光学フィルタ166によりポンプ光とプローブ光が除去される。蛍光はレンズペア172により対物レンズ瞳面とほぼ共役な位置に設置された受光部174に入射する。なお、ダイクロイックミラー162は、レンズペア173と走査部150の間に設置されても良いし、走査部150よりも光源側に設置されても良い。
検出部136は、受光部174およびロックインアンプ134を備える。受光部174は対物レンズ164の瞳面とほぼ共役な位置に配される。受光部174の一例は、光電子増倍管である。受光部174は光電変換によって、受光した蛍光の強度に応じた電気信号を出力する。受光部174の出力はロックインアンプ134に入力されてロックイン検出される。ロックイン検出については後述する。
入力部220、表示部224、記憶部226および制御部130は例えばPC等であってもよい。入力部220は、ユーザから制御部130への入力を受け付けるものであって、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス等である。表示部224は、例えば、GUI、検出結果、観察画像を表示するディスプレイである。記憶部226は、顕微鏡装置10を制御するプログラム、パラメータ等、および、検出結果、観察画像等が記憶される。
制御部130は、周波数制御部229、スキャナ制御部228および画像生成部222を有する。周波数制御部229はユーザからの入力により、または、蛍光物質に基づいて自動で、発振器132に発生させる発振周波数を制御する。スキャナ制御部228は、走査部150を制御する。画像生成部222は検出部136の検出結果に基づいて画像を生成し、表示部224に表示する。
図2および図4を用いて顕微鏡装置10の減衰蛍光による観察の原理を説明する。図2は状態遷移図である。図4に信号発生領域のシミュレーション結果を示す。
蛍光物質に、当該蛍光物質を励起するポンプ光と、誘導放出を誘起するプローブ光を入射する。ポンプ光およびプローブ光は時間的に周波数f1,f2で強度変調されており、それぞれの時間波形をIPump,IProbeとすると、
ここで、I1,I2はポンプ光、プローブ光の強度であり、m,nは変調のコントラストである。
この時、光と物質の相互作用において、図2に示すように、ある確率で、
(step1)ポンプ光による誘導吸収(1)
(step2)ポンプ光による誘導放出(2)
(step3)ポンプ光による2回目の誘導吸収(3)
(step4)プローブ光による誘導放出(4)
という過程が時系列で生じる(図2において実線がポンプ光による誘導吸収および放出、破線がプローブ光による誘導放出)。この結果生じる減衰蛍光信号をCERF(Cyclic Excitation Reduced Fluorescence)信号(5)とすると(図2における一点鎖線が蛍光)、
蛍光試料の中では、このような光と物質の相互作用が絶えず繰り返されている。
一方、通常の減衰蛍光信号は、
従って、2f1+f2もしくは2f1−f2で、または3f1+f2もしくは3f1−f2を復調周波数としてロックインアンプ134で復調することで、通常の減衰蛍光信号を除去して、CERF信号のみを検出することができる。復調周波数は、強度変調した2以上の周波数の和または差のいずれであってもよい。この場合、単に「±」と表記する。これらの信号を検出する利点は、検出信号がポンプ光、プローブ光の多重積の結果として得られるために、信号発生領域が制限されることである。このメカニズムは後述する。また、この信号はI1の3乗、I2の1乗にそれぞれ比例するので、ポンプ光強度I1を強くすることで、信号量も大きく増大し、信号対雑音比も有利になる。
具体的には発振器132から上記復調周波数がロックインアンプ134に入力される。ロックインアンプ134は復調周波数に同期する信号を抽出する。走査部150で観察対象物184における光スポット位置を走査しつつ、ロックインアンプ134でピクセルごとにロックイン検出を実施し、当該ピクセルの位置情報に対応付けて記憶部226に記憶する。画像生成部222は、記憶部226から位置情報に対応付けられた検出結果を読み出して、減衰蛍光の観察画像を生成し、表示部224に表示する。
図3は、分解能向上の原理について説明する図である。ポンプ光、プローブ光の光スポットの強度分布をそれぞれS1、S2とする。図中の各スポットにおける縦軸は強度を表し、横軸は空間座標を表す。
Step1
ポンプ光により誘導吸収が発生する発生分布をA1とすると、それはポンプ光の強度分布に等しいので、
Step2
ポンプ光により誘導放出が発生する発生分布をA2とする。この信号発生領域は、Step1のポンプ光による誘導吸収の発生分布と、ポンプ光による誘導放出の発生分布の積に等しいので、
Step3
Step2を経た後、さらにポンプ光により誘導吸収が発生する発生分布をA3とする。この信号発生分布は、Step1のポンプ光による誘導吸収の発生分布と、Step2のポンプ光による誘導放出の発生分布と、ポンプ光による誘導吸収の発生分布の積に等しいので、
Step4
Step3を経た後、プローブ光により誘導放出が発生する発生分布をA4とする。この信号発生分布は、Step1のポンプ光による誘導吸収の発生分布と、Step2のポンプ光による誘導放出の発生分布と、Step3のポンプ光による誘導吸収の発生分布と、プローブ光による誘導放出の発生分布の積に等しいので、
この発生分布A4はロックイン検出により可視化されるCERF信号の発生分布と等価である。このように、ポンプ光による複数の誘導吸収、誘導放出を経て生じる減衰蛍光信号を検出することで、図3に示すように、光スポットの中心からの蛍光発生の寄与を大きくかつ周辺からの蛍光発生の寄与を小さくすることができるので、観察対象物184からの信号発生領域を回折限界以下に制限でき、結果として分解能を向上させることができる。
図4に信号発生領域のシミュレーション結果を示す。比較のために、通常の共焦点顕微鏡(CM)と、減衰蛍光(RF)顕微鏡の信号発生領域も示す。信号がポンプ光とプローブ光の多重積で生じる効果によって、CERFではX方向、Z方向ともに、信号発生領域がシャープになることがわかる。
なお、ここでは、(step1)ポンプ光による誘導吸収、(step2)ポンプ光による誘導放出、(step3)ポンプ光による誘導吸収を経て、(Step4)プローブ光による誘導放出によって生じる減衰蛍光信号を検出することを考えたが、step3のあとに、さらにポンプ光による誘導放出、ポンプ光による誘導吸収を経て、プローブ光による誘導放出によって生じる減衰蛍光信号を検出しても良い。この場合、復調周波数としては、4f1±f2、5f1±f2とすることが望ましい。この信号はI1の5乗、I2の1乗にそれぞれ比例するので、ポンプ光強度I1を強くすることで、信号量も大きく増大し、信号対雑音比も向上させることができる。以上、一般化すればi×f1±f2(iは2以上の正の整数)を復調周波数としてロックイン検出することにより、より空間分解能の高い減衰蛍光信号を検出することができる。
図5は、走査部150のスキャン速度と検出の速度を説明する概念図である。ガルバノスキャナにおいて主走査(図中x方向)のスキャンに要する時間はレゾナントスキャナと比較して長いので、図5の(a)に示すように差周波の復調で検出するのにかかる時間の間にビームの位置はほぼ変わらないと考えてよい。しかしながら、レゾナントスキャナにおいて主走査(図中x方向)のスキャンに要する時間はガルバノスキャナと比較して短いので、差周波の復調で検出するのにかかる時間の間に、図5の(b)に示すようにビームの位置は変わってしまい正確な画像取得が困難になるというおそれがある。しかしながら和周波で復調した場合、復調の周波数が高いので検出にかかる時間も短くなり、レゾナントスキャナを用いても所定位置における信号検出に必要な所定時間の間にビームの位置はほぼ変わらないと考えてよい。したがって、レゾナントスキャナを用いて高速で検出しつつ、正確な画像取得をすることができる。
顕微鏡装置10において2つのAOFS514、524を用いる理由は、変調歪による高調波を抑制するためである。提案手法では、ポンプ光によって生じる繰り返しの誘導吸収・誘導放出を経た信号を検出する。この信号は、時間的に、基本変調周波数f1の整数倍で生じるため、元々の変調は基本周波数f1のみの正弦波で実施することが望ましい。AOM単体による変調では、僅かにf1の整数倍の周波数成分が混入してしまうという課題が一般的にある。これに対しAOFS方式では、その影響を大きく抑制できる。すなわち、AOMによる直接変調と比較して、変調歪成分を大きく低減できるのでより好ましい構成となる。
また、変調のコントラストを最大にするために、2つのAOFS514、524から回折する1次回折光の強度を等しくすることが望ましい。このために、ポンプ光レーザ射出直後の半波長板600を用いてそれぞれのAOFS514、524に入射する光強度を等しく設定することが望ましい。さらに、偏光板614の角度を微調整することでAOFSの個体差によって生じる光強度差を補正して、干渉のコントラストを最大にすることが望ましい。
図6は、他の走査部151の例を示す。走査部151は、レゾナントスキャナ152、ガルバノスキャナ153および一対のミラー154、155を有する。一対のミラー154、155はそれぞれ図中矢印の方向に移動可能に設けられており、これらの位置に基づいて、レゾナントスキャナ152、ガルバノスキャナ153のいずれを用いるかが選択される。
図6は、レゾナントスキャナ152が選択された状態が示されている。この場合、ダイクロイックミラー144から出射される光の光路上にミラー154が配され、レゾナントスキャナ152から出射される光の光路上にミラー155が配されている。これにより、ミラー154で反射された光はレゾナントスキャナ152に入射する。レゾナントスキャナ152で所定の方向に偏向された光はミラー155で反射されて、ダイクロイックミラー162を透過して、対物レンズ164に入射する。
一方、ガルバノスキャナ153が選択される場合には、ダイクロイックミラー618から出射される光の光路上からミラー154が退避するとともに、ガルバノスキャナ153とダイクロイックミラー162との間からミラー155が退避する。これにより、ガルバノスキャナ153に光が入射し、ガルバノスキャナ153で偏向された光がダイクロイックミラー162を透過して、対物レンズ164に入射する。
走査部151によれば、用途に応じてレゾナントスキャナ152とガルバノスキャナ153を使い分けることができる。なお、一対のミラー154、155の位置を移動させる手段は、例えばリニアモーターが挙げられるが、これに限られずそれぞれが対応するターレット上に配され、当該ターレットの回転によりミラー154、155が移動してもよい。一対のミラー154、155に代えて、一対のダイクロイックミラーを配することにより、当該一対のダイクロイックミラーを反射する波長の光に対してはレゾナントスキャナ152を用い、当該一対のダイクロイックミラーを透過する波長の光に対してガルバノスキャナ153を用いることができる。なお、レゾナントスキャナ152とガルバノスキャナ153の位置は図6と逆でもよい。
図7は、さらに他の走査部156の例を示す。図7において図6と同じ構成については同じ番号を付して説明を省略する。
走査部156は、走査部151の一対のミラー154、155に代えて、それらが一体化したミラー157を有する。当該ミラー157は紙面に垂直な方向に移動可能に設けられる。ここで図7の状態は図6の状態に対応しており、ミラー157によって光が反射されることにより、レゾナントスキャナ152が用いられる状態が示されている。一方、図7の状態からミラー157が紙面に垂直な方向に移動して、ダイクロイックミラー618とガルバノスキャナ153との間の光路、および、ガルバノスキャナ153とダイクロイックミラー162との間の光路から同時に退避することで、ガルバノスキャナ153が用いられる状態となる。
図8は他の顕微鏡装置12の構成を示す図である。顕微鏡装置12は顕微鏡装置10と同様に減衰蛍光顕微鏡として用いることができるとともに、共焦点顕微鏡としても用いることができる。顕微鏡装置12において顕微鏡装置10と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡装置12において、蛍光を反射して、ポンプ光およびプローブ光を透過するダイクロイックミラー402はダイクロイックミラー618と走査部150との間の光路上に配される。さらに、ダイクロイックミラー402で反射された光が入射する、光学フィルタ404、レンズ406、受光部410を有する。光学フィルタ404および受光部410は、顕微鏡装置10の光学フィルタ166および受光部174と同様の構成であってよい。顕微鏡装置12はさらにピンホール408を有する。ピンホール408は、観察対象物184と共役の位置に配される。レンズ406はピンホール408に光を集光する。また、受光部410はピンホール408に近接して設置される。あるいは、不図示のレンズにより、ピンホールと略共役位置に設置されても良い。
顕微鏡装置12はさらに、レーザ光源102、104の光の波長を制御する波長制御部230を有する。
上記構成により、観察対象物184からの蛍光は走査部150を通り、ダイクロイックミラー402で反射されて、光学フィルタ404、レンズ406およびピンホール408を介して受光部410で受光される。これら、これにより、走査部150により観察対象物184の観察位置が変わっても、走査部150でデスキャンされて、ピンホール408でのスポット位置は不変である。ピンホール408は穴の大きさが可変となっており、詳細は後述する。
図9は顕微鏡装置12で用いられるGUI画面300の一例である。GUI画面300は表示部224に表示され、入力部220を用いてユーザからの入力を受け付ける。
チェックボックス302は共焦点観察の画像を取得するか否かの入力欄である。チェックボックス304は共焦点観察においてポンプ光を変調することを指定する入力欄であり、チェックボックス306は変調しないことを指定する入力欄である。
入力欄308はポンプ光の変調周波数の入力欄であり、MHzを単位とした数字の目盛りとともに、指定された変調周波数が縦の太線で示されている。入力欄310はピンホールの大きさを指定する入力欄である。入力欄310の「OPEN」は穴の大きさが最大であることを示す。さらに、「1」をエアリーサイズとしたときの大きさの目盛りとともに、指定された穴の大きさが縦の太線で示されている。ここで、エアリーサイズとは、波長と開口数で決まる回折限界の光スポットの大きさで、ピンホール径を規格化した値である。
さらに、チェックボックス312は、共焦点観察のタイムラプス画像を取得するか否かの入力欄である。入力欄314はタイムラプスの時間間隔の入力欄である。
チェックボックス316は減衰蛍光観察の画像を取得するか否かの入力欄である。入力欄318はポンプ光の変調周波数の入力欄であり、MHzを単位とした数字の目盛りとともに、指定された変調周波数が縦の太線で示されている。入力欄320はプローブ光の変調周波数の入力欄であり、MHzを単位とした数字の目盛りとともに、指定された変調周波数が縦の太線で示されている。
入力欄322は減衰蛍光観察におけるピンホール408の穴の大きさの入力欄であって、入力欄310と同様の構成である。また、チェックボックス324および入力欄326は減衰蛍光観察におけるタイムラプスに関する入力欄であり、チェックボックス312、入力欄314と同様の構成である。
入力欄323、325は復調周波数を入力する欄である。入力欄323には1以上の正数が入力可能になっている。一方、入力欄325はプラスまたはマイナスが選択可能になっている。図9には、入力欄323には「3」が入力され、入力欄325ではプラスが線選択されたことにより、復調周波数として3f1+f2が設定されたことを示している。なお、入力欄323に1を入力した場合には、通常の減衰蛍光顕微鏡画像を取得することができる。
GUI画面300には、共焦点の観察画像330と減衰蛍光の観察画像332とが並べて表示される。これに代えて、重ねて表示されてもよい。また、互いにリンク付けされることで、共焦点の観察画像330の対象領域をクリックする減衰蛍光の観察画像332が表示されるようにしてもよい。さらに、共焦点観察のタイムラプスによる画像取得が指定されている場合には、タイムラプス画像334が時間順に並べて表示される。同様に、減衰蛍光観察のタイムラプスによる画像取得が指定されている場合には、タイムラプス画像335が時間順に並べて表示される。
図10は顕微鏡装置12の動作(S10)の一例を示すフローチャートである。
フローチャートS10において、制御部130は、GUI画面300のチェックボックス316の入力に基づいて、減衰蛍光観察の画像を取得するかどうかを判断する(S100)。ステップS100の判断がYesの場合に、制御部130は入力欄318、320の入力に基づいて、減衰蛍光観察のポンプ光およびプローブ光の変調周波数を発振器13
2に設定する(S102)。さらに、制御部130は入力欄323、325の入力に基づいて復調周波数を発振器132に設定する(S101)。
制御部130はピンホール408の径を設定する(S104)。減衰蛍光観察時においてピンホール408はデフォルトで開放、すなわち図10の入力欄322においてデフォルトで「OPEN」が設定されている。ユーザが入力欄322の値をデフォルトから変更した場合には、変更された値に基づいてピンポール408の大きさが設定される。減衰蛍光観察時において、ピンホール408を開放することで、ピンホール共役面である焦点面から生じたにも関わらず散乱等により結像関係が乱されてしまった蛍光も検出することができるので、より多くの光子を検出することができ、結果として信号対雑音比の向上が可能となる。
以上の設定に基づいて、減衰蛍光観察の画像が取得される(S106)。減衰蛍光観察の画像を取得する方法は、顕微鏡装置10で説明したものと同一であり、説明を省略する。
ステップS106の後、または、ステップS100の判断がNoの場合に、共焦点観察の画像を取得するかどうかが、チェックボックス302の入力に基づいて判断される(S108)。共焦点観察の画像を取得すると判断された場合に(S108:Yes)、チェックボックス304、306に基づいて共焦点観察に用いられるポンプ光を変調するか否かが判断され(S112)、変調する場合には(S112:Yes)、入力欄308に入力された変調周波数が設定される(S114)。
ステップS114の後にまたはステップS112でポンプ光を変調しない場合に(S112:No)、ユーザからの入力欄310への入力に基づいてピンホール408の径が設定される(S116)。
上記設定に基づいて共焦点観察の画像が取得される(S118)。より詳しくは、ポンプ光についてAOFS514、524のいずれか一方のみをON状態にするか、または、強度変調し、プローブ光をOFF状態にして、走査部150で観察対象物184を走査しつつ、ピクセルごと検出部136で蛍光を検出する。当該検出結果を位置情報に対応付けて記憶部226に記憶する。ポンプ光を強度変調しない場合には、受光部410の出力をロックインアンプを介さずに、位置情報に対応付けて記憶部226に記憶する。
画像生成部222は、記憶部226から位置情報に対応付けられた検出結果を読み出して、共焦点の観察画像330および減衰蛍光の観察画像332を生成し、表示部224に表示する(S120)。
さらに、チェックボックス312で共焦点観察のタイムラプス画像の取得を受け付けた場合に、顕微鏡装置12は入力欄314で設定された時間間隔で共焦点観察を実行してそれぞれの観察画像を生成する。同様に、チェックボックス324で減衰蛍光観察のタイムラプス画像の取得を受け付けた場合に、顕微鏡装置12は入力欄326で設定された時間間隔で減衰蛍光観察を実行してそれぞれの観察画像を生成する。
なお、観察対象物184の広い視野の画像を共焦点観察で取得し、共焦点観察の画像のうちの一部の領域を指定して減衰蛍光観察の画像を取得する構成としても良い。この場合、共焦点観察で画像を取得して、減衰蛍光観察に適した範囲が自動で選択されてもよい。
図11は、共焦点観察に基づいて減衰蛍光観察の範囲を選択する動作(S30)のフローチャートである。まず、共焦点観察により画像が取得される(S300)。この場合に図10の動作(S10)におけるステップS112からS118が実行される。次に、ユーザからの入力に基づいて減衰蛍光観察の範囲を自動選択するか否かが判断される(S302)。
自動選択する場合には(S302:Yes)、共焦点画像を画像処理解析し、減衰蛍光観察に適した範囲を選択する。例えば、画像を微分フィルタ処理し、ピークが多く生じる領域を選択する。
一方、自動選択しない場合には(S302:No)、ユーザからの指定に基づいて減衰蛍光観察の領域を設定する(S308)。この場合に、図9の共焦点の観察画像330上で領域指定を受け付けてもよい。
ステップS304またはS308で設定された領域について、減衰蛍光観察を実行して観察画像を取得する(S306)。この場合に、図10の動作(S10)におけるステップS102からS106が実行される。
図12は、顕微鏡装置12において、共焦点観察をするか減衰蛍光観察をするかを自動選択する動作(S20)のフローチャートであり、図13は当該動作で用いられるGUI画面350を示す。
記憶部226には、蛍光物質の名称に対応付けて、共焦点観察が好ましいか減衰蛍光観察が好ましいか、および、共焦点観察の場合のポンプ光の波長または減衰蛍光観察の場合のポンプ光およびプローブ光の波長が記憶されている。GUI画面350には、記憶部226に記憶されている蛍光物質の名称353がチェックボックス352とともに表示される。
ユーザによるチェックボックス352へのチェックにより蛍光物質が選択される(S200)。制御部130は、選択された蛍光物質に応じて、記憶部226を参照して共焦点観察が好ましいか減衰蛍光観察が好ましいかを判断する(S202)。共焦点観察が好ましいと判断した場合には、GUI画面350においてポンプ光のボックス355に色が付き、当該蛍光物質に対応したポンプ光の波長が自動選択されて、表示欄354に表示される(S204)。この場合、プローブ光のボックス357は白色であって、波長の表示欄356がグレーアウトされる。減衰蛍光観察が好ましいと判断した場合には、GUI画面350においてポンプ光のボックス355に色が付き、当該蛍光物質に対応したポンプ光の波長が自動選択されて表示欄354に表示されるとともに、プローブ光のボックス357にも色が付いて、当該蛍光物質に対応したプローブ光の波長が自動選択されて表示欄356に表示される(S204)。いずれの場合も、表示欄358に蛍光物質の吸収帯、蛍光帯、光源の波長および検出領域の関係が図示される(S206)。
減衰蛍光観察が好ましいと判断された場合には、ユーザの実行の指示に基づき、波長制御部230がレーザ光源102、104の光の波長を設定する。さらに、周波数制御部229が発振器132に変調周波数を設定する。この場合に、図9のGUI画面300で変調周波数の入力を受け付けてもよいし、蛍光物質に変調周波数を対応付けて記憶部226に記憶しておき、蛍光物質の選択に伴って当該変調周波数を自動的に設定してもよい。上記設定に基づいて、図10のステップS102からS106と同様に減衰蛍光観察の画像が取得される。
一方、共焦点観察が好ましいと判断された場合には、ユーザの実行の指示に基づき、波長制御部230がレーザ光源102の光の波長を設定する。上記設定に基づいて、図10のステップS112からS118と同様に共焦点観察の画像が取得される。
図14は、さらに他の顕微鏡装置14の構成を示す図である。顕微鏡装置14において顕微鏡装置10、12と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。顕微鏡装置14は、プローブ光による複数回の誘導吸収および誘導放出を経た減衰蛍光信号をロックイン検出する。
顕微鏡装置14では、ポンプ光に対する強度変調の方法と、プローブ光に対する強度変調の方法とが、顕微鏡装置10と入れ替わっている。具体的には、ポンプ光を強度変調する第1強度変調部540は、ドライバ542とAOM544とを有する。これらの機能は顕微鏡装置10の第2強度変調部530と同様であるが、顕微鏡装置14ではポンプ光を周波数f1で強度変調する。
一方、プローブ光を強度変調する第2強度変調部550は、ドライバ552、562と、AOFS554、564と、半波長板626と、偏光ビームスプリッタ628、632と、ミラー630、631と、偏光板634とを有する。これらの機能は顕微鏡装置10の第1強度変調部510と同様であるが、顕微鏡装置14ではプローブ光を周波数f2で強度変調する。
図15および図17を用いて顕微鏡装置14の減衰蛍光による観察の原理を説明する。図15は状態遷移図である。図17に信号発生領域のシミュレーション結果を示す。
図15に示すように、蛍光試料に、試料を励起するポンプ光と、誘導放出を誘起するプローブ光を入射する。ポンプ光、プローブ光は時間的に周波数f1,f2で強度変調されており、それぞれの時間波形は顕微鏡装置10と同様に式(1.1), (1.2)で表されるとする。
この時、光と物質の相互作用において、図15に示すように、ある確率で、
(step1)ポンプ光による誘導吸収(1)
(step2)プローブ光による誘導放出(2)
(step3)プローブ光による誘導吸収(3)
(step4)プローブ光による誘導放出(4)
という過程が時系列で生じる。この結果生じる減衰蛍光信号をCSRF(Cyclic Stimulated emission Reduced Fluorescen)ce)信号(5)とすると、
蛍光試料の中では、このような光と物質の相互作用が絶えず繰り返されている。
式(2.1)より、f1±2f2、あるいはf1±3f2復調することで、通常の減衰蛍光
信号を除去して、CSRF信号のみを検出することができる。これらの信号を検出する利点は、検出信号がポンプ光、プローブ光の多重積の結果として得られるために、信号発生領域が制限されることである。また、この信号はI1の1乗、I2の3乗にそれぞれ比例するので、プローブ光強度I2を強くすることで、信号量も大きく増大し、信号対雑音比も有利になる。
図16はCSRF信号による分解能向上の原理について説明する図である。ポンプ光、プローブ光の光スポットの強度分布をそれぞれS1、S2とする。
Step1
ポンプ光により誘導吸収が発生する発生分布をA1とすると、それはポンプ光の強度分布に等しいので、
Step2
プローブ光により誘導放出が発生する発生分布をA2とする。この信号発生分布は、Step1のポンプ光による誘導吸収の発生分布と、プローブ光による誘導放出の発生分布の積に等しいので、
Step3
プローブ光により誘導吸収が発生する発生分布をA3とする。この信号発生分布は、Step1のポンプ光による誘導吸収の発生分布と、Step2のプローブ光による誘導放出の発生分布と、プローブ光による誘導吸収の発生分布の積に等しいので、
Step4
プローブ光による誘導放出が発生する発生分布をA4とする。この信号発生分布は、Step1のポンプ光による誘導吸収の発生分布と、Step2のプローブ光による誘導放出の発生分布と、Step3のプローブ光による誘導吸収の発生分布と、プローブ光による誘導放出の発生分布の積によって生じるので、
この発生分布A4はロックイン検出により可視化されるCSRF信号の発生分布と等価である。このように、プローブ光による複数の誘導吸収、誘導放出を経て生じる減衰蛍光信号を検出することで、図16に示すように、光スポットの中心からの蛍光発生の寄与を大きくかつ周辺からの蛍光発生の寄与を小さくすることができるので、観察対象物184からの信号発生領域を制限でき、結果として分解能を向上させることができる。
図17に信号発生領域のシミュレーション結果を示す。比較のために、通常の共焦点顕微鏡(CM)と、減衰蛍光(RF)顕微鏡の信号発生領域も示す。信号がポンプ光とプローブ光の多重積で生じる効果によって、CSRFではX方向、Z方向ともに、信号発生領域がシャープになることがわかる。
なお、ここでは、ポンプ光による(step1)誘導吸収、(step2)プローブ光による誘導放出、(step3) プローブ光による誘導吸収を経て、(Step4)プローブ光による誘導放出によって生じる減衰蛍光信号を検出することを考えたが、step3のあとに、さらにプローブ光による誘導放出、プローブ光による誘導吸収を経て、プローブ光による誘導放出によって生じる減衰蛍光信号を検出しても良い。この場合、復調周波数としては、f1±4f2、f1±5f2とすることが望ましい。この信号はI1の1乗、I2の5乗にそれぞれ比例するので、プローブ光強度I2を強くすることで、信号量も大きく増大し、信号対雑音比も向上させることができる。以上、一般化すればf1±j×f2(jは2以上の正の整数)を復調周波数としてロックイン検出することにより、より空間分解能の高い減衰蛍光信号を検出することができる。
図18はさらに他の顕微鏡装置16の構成を示す図である。顕微鏡装置16は顕微鏡装置14と同様に減衰蛍光顕微鏡として用いることができるとともに、共焦点顕微鏡としても用いることができる。顕微鏡装置14において顕微鏡装置10、12、14と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡装置16において、蛍光を反射して、ポンプ光およびプローブ光を透過するダイクロイックミラー402はダイクロイックミラー624と走査部150との間の光路上に配される。さらに、ダイクロイックミラー402で反射された光が入射する、光学フィルタ404、レンズ406、受光部410を有する。光学フィルタ404、レンズ406および受光部410は、顕微鏡装置14の光学フィルタ166および受光部174と同様の構成であってよい。顕微鏡装置16はさらにピンホール408を有する。ピンホール408は、観察光学系の標本共役位置に設置することができる。受光部410はピンホール408に近接して設置される。レンズ406はピンホール408に光を集光する。
上記構成により、観察対象物184からの蛍光は走査部150を通り、ダイクロイックミラー402で反射されて、光学フィルタ404、レンズ406およびピンホール408を介して受光部410で受光される。これら、これにより、走査部150により観察対象物184の観察位置が変わっても、走査部150でデスキャンされて、受光部410でのスポット位置は不変である。ピンホール408は穴の大きさが可変となっており、詳細は顕微鏡装置12と同様であるので、説明を省略する。
図19はさらに他の顕微鏡装置18の構成を示す図であり、図20は各蛍光物質の励起・蛍光スペクトル、ポンプ光、プローブ光および検出波長領域の波長の関係を示す。顕微鏡装置18は、多色の蛍光による減衰蛍光観察に用いられる。特に顕微鏡装置18は、蛍光物質が二種類であって、ポンプ光が共通でプローブ光が異なる場合に用いられる。顕微鏡装置18において顕微鏡装置12と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡装置18は、第1のプローブ光用のレーザ光源104に加えて、第2のプローブ光用のレーザ光源500と、第2のプローブ光を強度変調する第3強度変調部570と、第2のプローブ光の偏光方向を回転する半波長板640、第2のプローブ光を第1のプローブ光に合波するミラー644およびダイクロイックミラー642とをさらに有する。ダイクロイックミラー618は、ポンプ光を第1および第2のプローブ光に合波する。第3強度変調部570は、ドライバ572およびAOFS574を有する。
図20に示すように、ポンプ光の波長は第1の蛍光物質の吸収スペクトルCと第2の吸収スペクトルDとの共通部分にあり、両方の蛍光物質を励起する。第1のプローブ光の波長は第1の蛍光物質の蛍光スペクトルA内にあり、第1の蛍光物質の誘導放出を誘起する。第2のプローブ光の波長は第2の蛍光物質の蛍光スペクトルB内にあり、第2の蛍光物質の誘導放出を誘起する。ストークスシフトの大きな蛍光物質を用いてポンプ光を共通にすることで、光源数を減らして装置構成を簡便にすることができる。なお、観察対象物184には第1および第2の蛍光物質が含まれる。
顕微鏡装置18において、ポンプ光は2つのAOFS514、524によって、 第1のプローブ光、第2のプローブ光はAOM534、574によって、それぞれ異なる周波数f1,f2,f3で強度変調されている。ポンプ, 第1のプローブ、第2のプローブの光強度をそれぞれIPump,IProbe1,IProbe2とすると、それぞれの時間波形は、
これらの3色の光はダイクロイックミラー618により合波され、走査部150を経て、対物レンズ164により観察対象物184に集光される。
顕微鏡装置16は、ダイクロイックミラー618と走査部150との間にダイクロイックミラー402を有する。ダイクロイックミラー402は、第1の蛍光物質からの蛍光を検出する第1検出波長領域および第2の蛍光物質からの蛍光を検出する第2検出波長領域を含む波長領域を反射する。
ダイクロイックミラー402により反射された光の光路上にはさらにダイクロイックミラー412が配される。ダイクロイックミラー412は、第1検出波長領域を含む波長領域を透過し、第2検出波長領域を含む波長領域を反射する。なお、ダイクロイックミラー412は、第1検出波長領域が反射され、第2検出波長領域が透過する構成としても良い。
ダイクロイックミラー412を透過した第1の蛍光物質からの蛍光は光学フィルタ404で第1検出波長領域以外の波長領域がカットされ、レンズ406を通って受光部410で受光される。受光部410で光電変換された受光信号はロックインアンプ134でロックイン検出される。
一方、ダイクロイックミラー412で反射した第2の蛍光物質からの蛍光は光学フィルタ414で第2検出波長領域以外の波長領域がカットされ、レンズ416を通って受光部420で検出される。受光部420で光電変換された受光信号はロックインアンプ135でロックイン検出される。
受光部410で受光される信号と、受光部420で受光される信号をそれぞれICERF1,ICERF2とすると、
従って、式(3.4)より、受光部410で受光されてロックインアンプ134で復調される信号の復調周波数は、
一方、式(3.5)より、受光部420で受光されてロックインアンプ135で復調される信号の復調周波数は、
とすることが望ましい。ここで、a≧b≧a−1である。
図20に示すように、一般的な多色観察において、第2検出波長領域では蛍光物質1から生じる蛍光も検出されてしまうため、蛍光のクロストークが課題になる。しかしながら、検出領域2に混入する蛍光物質1のCERF信号は、周波数fde1で生じるのに対し、検出領域2で取得したい蛍光物質2のCERF信号は周波数fde2で生じる。従って、第2検出波長領域の復調周波数をfde2とすることで、蛍光のクロストークを抑制することができる。このように、2つのプローブ光の変調周波数をそれぞれ異なる値に設定することによって、蛍光信号のクロストークを抑制することができるので、2色同時観察も可能となる。
図21はさらに他の顕微鏡装置20の構成を示す図である。顕微鏡装置18においては、プローブ光の強度変調のために、それぞれの光路にAOM534、574を設置したが、顕微鏡装置20では、単体の音響光学チューナブルフィルタ594(AOTFともいう)により第1および第2のプローブ光の両方を変調する構成としても良い。この場合に、AOTF594により、第1のプローブをf2で、第2のプローブをf3でそれぞれ強度変調する。AOTF594では波長ごとに異なる周波数で強度変調することができるため、より簡易な装置構成で多色観察を実現することができる。
図22はさらに他の顕微鏡装置22の構成を示す図であり、図23は各蛍光物質の励起・蛍光スペクトルと、光源波長、検出蛍光の波長関係を示す。顕微鏡装置22も顕微鏡装置18と同様に、多色の蛍光による減衰蛍光観察に用いられる。特に顕微鏡装置22は、蛍光物質が二種類であって、プローブ光が共通でポンプ光が異なる場合に用いられる。顕微鏡装置22において顕微鏡装置10から20と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡装置22は、第1のポンプ光用のレーザ光源102に加えて、第2のポンプ光用のレーザ光源502と、第2のポンプ光を強度変調する強度変調部580と、第2プローブ光の偏光方向を回転する半波長板626、第2のポンプ光を第1のポンプ光に合波するミラー622およびダイクロイックミラー654とをさらに有する。ダイクロイックミラー624は、第1および第2のポンプ光をプローブ光に合波する。強度変調部580は、ドライバ582およびAOM584を有する。
図23に示すように、第1のポンプ光の波長は第1の蛍光物質の吸収スペクトルH内にあり、第1の蛍光物質を励起する。第2のポンプ光の波長は第2の蛍光物質の吸収スペクトルG内にあり、第2の蛍光物質を励起する。プローブ光の波長は第1の蛍光物質の蛍光スペクトルEと第2の蛍光スペクトルFとの共通部分にあり、両方の蛍光物質の誘導放出を誘起する。ストークスシフトの大きな蛍光物質を用いてプローブ光を共通にすることで、光源数を減らして装置構成を簡便にすることができる。なお、観察対象物184には第1および第2の蛍光物質が含まれる。
顕微鏡装置22において、第1のポンプ光、第2のポンプ光はAOM544、584によって、プローブ光は2つのAOFS554、564によって、それぞれ異なる周波数f1,f2,f3で強度変調されている。第1のポンプ, 第2のプローブ、プローブの光強度をそれぞれIPump1,IPump2,IProbeとすると、それぞれの時間波形は、
これらの3色の光はダイクロイックミラー624により合波され、走査部150を経て、対物レンズ164により観察対象物184に集光される。
顕微鏡装置16は、ダイクロイックミラー144と走査部150との間にダイクロイックミラー402を有する。ダイクロイックミラー402は、第1の蛍光物質からの蛍光を検出する第1検出波長領域および第2の蛍光物質からの蛍光を検出する第2検出波長領域を含む波長領域を反射する。
ダイクロイックミラー402により反射された光の光路上にはさらにダイクロイックミラー412が配される。ダイクロイックミラー412は、第1検出波長領域を含む波長領域を透過し、第2検出波長領域を含む波長領域を反射する。なお、ダイクロイックミラー412は、第1検出波長領域が反射され、第2検出波長領域が透過する構成としても良い。
ダイクロイックミラー412を透過した第1の蛍光物質からの蛍光は光学フィルタ404で第1検出波長領域以外の波長領域がカットされ、レンズ406を通って受光部410で受光される。受光部410で光電変換された受光信号はロックインアンプ134でロックイン検出される。
一方、ダイクロイックミラー412で反射した第2の蛍光物質からの蛍光は光学フィルタ414で第2検出波長領域以外の波長領域がカットされ、レンズ416を通って受光部420で検出される。受光部420で光電変換された受光信号はロックインアンプ135でロックイン検出される。
受光部410で受光される信号と、受光部420で受光される信号をそれぞれICSRF1,ICSRF2とすると、
従って、式(3.11)より、受光部410で受光されてロックインアンプ134で復調される信号の復調周波数は、
一方、式(3.12)より、受光部420で受光されてロックインアンプ135で復調される信号の復調周波数は、
とすることが望ましい。ここで、a≧b≧a-1である。
図23に示すように、一般的な多色観察において、第2検出波長領域では蛍光物質1から生じる蛍光も検出されてしまうため、蛍光のクロストークが課題になる。しかしながら、第2検出波長領域に混入する蛍光物質1のCERF信号は、f'de1で生じるのに対し、第2検出波長領域で取得したい蛍光物質2のCERF信号はf'de2で生じる。従って、第2検出波長領域の復調周波数をf'de2とすることで、蛍光のクロストークを抑制することができる。このように、2つのプローブ光の変調周波数をそれぞれ異なる値に設定することによって、蛍光信号のクロストークを抑制することができるので、2色同時観察も可能となる。
図24はさらに他の顕微鏡装置24の構成を示す図である。顕微鏡装置22においては、ポンプ光の強度変調のために、それぞれの光路にAOM544、584を設置したが、顕微鏡装置20では、単体のAOTF594により第1および第2のポンプ光の両方を変調する構成としても良い。この場合に、AOTF594により、第1のポンプ光をf1で、第2のポンプ光をf2でそれぞれ強度変調する。AOTF594では波長ごとに異なる周波数で強度変調することができるため、より簡易な装置構成で多色観察を実現することができる。
なお、2色観察時において、第1の蛍光物質用の第1のポンプ光, 第1のプローブ光、第2の蛍光物質用の第2のポンプ光, 第2のプローブ光というように光源を4つ用意しても良い。CERFの場合、第1のポンプ光と第2のポンプ光はそれぞれに2つのAOFSを用いて光干渉により強度変調を実施し、第1のプローブ光と第2のプローブ光はそれぞれAOMにより強度変調を実施することが望ましい。CSRFの場合、第1のポンプ光と第2のポンプ光はそれぞれAOMにより強度変調を実施し、第1のプローブ光と第2のプローブ光はそれぞれに2つのAOFSを用いて光干渉により強度変調を実施することが望ましい。
図25はさらに他の顕微鏡装置26の構成を示す図である。図26は状態遷移図であり、図27に信号発生領域のシミュレーション結果を示す。顕微鏡装置26は、ポンプ光が誘起する多数の誘導吸収・誘導放出と、プローブ光が誘起する多数の誘導吸収・誘導放出が同時に生じる場合に発生する減衰蛍光信号を取得することで、両方の効果を利用して空間分解能を向上させる手法(CES−RF, Cyclic Excitaion and Stimulated emission Reduced Fluorescence)に用いられる。顕微鏡装置26において顕微鏡装置10から24と同
じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡装置26において、ポンプ光の強度変調には、顕微鏡装置10と同様に2つのAOFS514、524を用い、2つの音響波の周波数にf1の差を設ける。プローブ光強の強度変調には、顕微鏡装置14と同様に2つのAOFS554、564を用い、2つの音響波の周波数にf2の差を設ける。
それぞれf1,f2で強度変調が施されたポンプ光とプローブ光はダイクロイックミラー 624により合波され、走査部150に導かれる。走査部150によりスキャンされた光は対物レンズ164により観察対象物184に集光される。観察対象物184から生じた蛍光信号を検出する光学系は顕微鏡装置10と同じであるので、説明を省略する。
図26に提案手法の原理について示す。ポンプ光、プローブ光は時間的に周波数f1,f2で強度変調されており、それぞれの時間波形IPump,IProbeは、式(1.1),(1.2)で表されるとする。
この時、光と物質の相互作用において、ある確率で、
(step1)ポンプ光による誘導吸収(1)
(step2)ポンプ光による誘導放出(2)
(step3)ポンプ光による誘導吸収(3)
(step4)プローブ光による誘導放出(4)
(step5)プローブ光による誘導吸収(5)
(step6)プローブ光による誘導放出(6)
という過程が時系列で生じる。この結果生じる減衰蛍光信号をCES−RF信号(7)とすると、
蛍光試料の中では、このような光と物質の相互作用が絶えず繰り返されている。式(5.1)に含まれる周波数成分を表1に示す。
従って、2f1±2f2, 3f1±3f2, 3f1±2f2, 2f1±3f2のいずれかで復調することで、CES−RF信号を検出することができる。これらの信号を検出する利点は、検出信号がポンプ光、プローブ光の多重積の結果として得られるために、信号発生領域が制限されることである。また、この信号はI1の3乗、I2の3乗にそれぞれ比例するので、ポンプ光強度I1を強くすることで、あるいはプローブ光強度I2を強くすることで、信号量も大きく増大し、信号対雑音比も向上させることができる。
図27に信号発生領域のシミュレーション結果を示す。比較のために、通常の共焦点顕微鏡(CM)と、減衰蛍光(RF)顕微鏡、CERF、CSRFの信号発生領域も示す。信号がポンプ光とプローブ光の多重積で生じる効果によって、CES−RFではX方向、Z方向ともに、信号発生領域がシャープになることがわかる。
なお、Step1−6で示した順序は、一例であり、ポンプ光による誘導吸収・誘導放出とプローブ光による誘導吸収・放出の順序は可逆であり、様々な組み合わせが存在する。また、繰り返し回数がさらに多い信号を検出してもよく、その場合は更なる分解能向上が期待される。これらを一般化すると復調周波数はi×f1±j×f2(iおよびjは正の整数であって、いずれか一方は2以上)と表される。
なお、顕微鏡装置12から26において走査部150に代えて、図6の走査部151または図7の走査部156が用いられてもよい。
レーザ光源102等として連続発振方式を用いたが、パルスレーザを用いてもよい。パルスレーザの方がピーク強度が大きいので誘導放出が効率よく生じ、減衰蛍光信号も効率良く生じるという利点がある。また、パルスの時間差を利用して、蛍光寿命を反映した減衰蛍光信号を取得できるという利点もある。なお、パルスの繰り返し周波数は蛍光寿命やピークパワーによるダメージを考慮して決定されることが望ましい。一方、CWレーザの方が価格が安いという利点がる。また、受光部174等として光電子増倍管を用いたが、アバランシェフォトダイオード(APD)を用いても良い。
また、上記実施形態において励起には一光子励起を用いたが、二光子励起、三光子励起といった多光子励起を用いても良い。
上記実施形態において、減衰蛍光観察時、デスキャンにより蛍光を検出する構成において、ピンホール408等を絞る構成としても良い。その結果、結像系の点像分布関数も光学分解能向上に寄与するため、さらなる分解能向上が可能となる。光量が十分確保される明るい蛍光物質を観察する場合には、ピンホール408等を絞る構成とすることが望ましい。一方で、光量が十分に確保されない暗い蛍光物質を観察する場合には、ピンホール408等を開放することが望ましい。
また、広視野観察時において倍率色収差によりポンプ光とプローブ光の面内方向のスポットズレが問題となる場合や、深部観察において軸上色収差によりポンプ光とプローブ光の光軸方向のスポットずれが問題となる場合は、ポンプ光のビーム径をプローブ光のビーム径に比べて細くすることが望ましい。これにより、ポンプ光のスポットが面内方向・光軸方向に広がり、ビームのオーバーラップがより容易になる。なお、ポンプ光のビーム径を細くする理由は、ポンプ光はプローブ光に比べて波長が短いことから、同一の対物レンズにおいて同一のビーム径でスポットを生成した際に、ポンプ光の方がプローブ光に比べてスポット径が小さいためである。
顕微鏡装置26で顕微鏡装置12と同様にデスキャン光学系を用いてもよい。一方、顕微鏡装置18から24においてデスキャン光学系を用いなくてもよい。多色観察にデスキャン光学系を用いて共焦点の観察画像を取得する場合に、第1および第2のポンプ光(または第1および第2のプローブ光)を周波数f1、f2で変調し、ロックイン検出してもよい。それにより、蛍光のクロストークの影響を抑制できる。
上記いずれの実施形態においても、励起状態から基底状態への遷移過程には、ポンプ光による誘導放出、あるいはプローブ光による誘導放出を利用したが、本発明はこれに限定されず、他の遷移過程が寄与しても良い。例えば、自然放出(蛍光)が寄与しても良い。あるいは、蛍光がポンプ光に線形比例しなくなる現象(蛍光の飽和)を利用して高分解能な減衰蛍光信号を取得しても良い。この場合、i×f1±f2(iは2以上の整数)の周波数で復調するのが望ましい。またこの場合に、i×f1(iは2以上の整数)で復調することで、非線形な蛍光・繰り返し励起による蛍光信号を取得することができるのでこれを取得する構成としても良い。あるいは、誘導放出光がプローブ光に線形比例しなくなる現象(誘導放出の飽和)を利用して高分解能な減衰蛍光信号を取得しても良い。この場合、f1±j×f2(jは2以上の整数)の周波数で復調するのが望ましい。これらが同時に生じる場合には、i×f1±j×f2(i、jは2以上の整数)で復調することが望ましい。
上記いずれの実施形態においても、AOMに代えて、EOM(電気光学素子)と偏光子を用いて、偏光方向を高速に切り替えることで、光強度の変調を実現しても良い。あるいは、チョッパーなどのメカニカルシャッターを用いても良い。
顕微鏡装置10から26のいずれかの光の光路に、位相板(ラジアル偏光子)を挿入する構成としても良い。これにより、位相板を透過した光の点像分布関数が面内方向でよりシャープになり、分解能向上効果が増大する。一般的にこのような位相板を用いると、面内方向の分布がシャープになる代わりに、(i)サイドローブが生じる、(ii)光軸方向の分布が太くなるといった課題がある。しかしながら、提案手法では、信号発生領域は複数の光の重複領域となるために、これらの課題が解消され、面内方向分布がシャープになるという恩恵だけを受けることができる。なお、各光それぞれに異なる位相板を挿入しても良いし、2つの光の共通光路に同一の位相板を挿入しても良い。なお、他の形状の位相板でも良い。また、位相板の変わりにマスクを挿入し、光の振幅に分布を持たせることで、点像分布関数の形状を制御しても良い。例えば、輪帯板を挿入してベッセルビームを生成しても同様の効果が得られる。
なお、AOMによる変調歪が無視できる場合には、ポンプ光、プローブ光ともに、独立のAOMで変調する方式としても良い。あるいは、音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)を用いて、ポンプ光とプローブ光を単一の音響光学チューナブルフィルタで変調しても良い。AOTFでは、波長ごとに異なる変調周波数で光強度を変調することができる。多色観察時、ポンプ光、プローブ光が複数ある場合においても、単一のAOTFをもちいて、それぞれの光を異なる周波数で変調する方式としても良い。
なお、点像分布関数は波長に比例するので、プローブ光よりもポンプ光の方が点像分布関数は小さくなる。これは、ポンプ光の方が波長が短いためである。従って、CES−RF観察において、繰り返しの次数が等しい場合、ポンプ光による繰り返し作用を利用するCERFの方がプローブ光による繰り返しを利用するCSRFよりも分解能が高くなる。これより、復調の周波数をi>jとする構成が分解能をあげるためには、より望ましい。一方、ポンプ光のパワーを増大させることによるダメージが問題となる場合には、i<jとする構成が望ましい。
また、顕微鏡装置10、14、16、18、20、22、24、26においても、顕微鏡装置12と同様に、波長制御部230を設けてレーザ光源の光の波長を制御してもよい。また、上記実施形態はいずれも顕微鏡装置を用いたが、減衰蛍光が観察できる蛍光観察装置であれば顕微鏡に限られない。
また、ダイクロイックミラー162、402は照明光を透過させて、蛍光を反射するが、これに代えて、照明光を反射して蛍光を透過するようにしてもよい。
なお、特定の周波数の信号成分を検出する方式としてロックインアンプについて説明したが、他の方法でも良い。例えば、時間信号をフーリエ変換することで特定の周波数の信号成分を検出しても良い。例えば、周波数変換器により、復調周波数を持つ参照信号と信号光を乗算し、直流成分のみを抽出する構成としても良い。なお、ここでいう直流成分とは、正弦波の振動成分を直流に変換した値に相当する。
また、いずれかの顕微鏡装置においてAOFSを駆動するドライバへの電圧入力は、直流電源であってもよい。2つのAOFSのうち、一方のみの音響周波数を可変できる構成としても良い。あるいは、2つのAOFSの音響周波数が予め異なる値で固定されていても良い。
なお、ある特定の復調周波数で生じる信号が、ポンプ光とプローブ光の何乗に比例するかは、その信号を生じさせている支配的な過程に依存する。例えば、2f1±f2の周波数で復調する場合に、ポンプ光の2乗に比例しても良いし、3乗に比例しても良い。プローブ光の1乗に比例しても良いし、2乗に比例しても良い。また、例えば、f1±2f2の周波数で復調する場合に、ポンプ光の1乗に比例しても良いし、2乗に比例しても良い。プローブ光の2乗に比例しても良いし、3乗に比例しても良い。
なお、いずれかの顕微鏡装置において、ポンプ光とプローブ光の偏光は同一であることが望ましい。例えば、同一の直線偏光、円偏光であることが望ましい。あるいは、ポンプ光とプローブ光の偏光を直交する直線偏光とした場合と、平行な直線偏光とした場合でそれぞれ減衰蛍光による画像を取得し、両者を比較することで、観察対象物の偏光特性を可視化する構成としても良い。これは、誘導放出の効率が偏光に依存するためである。
10、12、14、16、18、20、22、24、26 顕微鏡装置
100 光源
102、104、500、502 レーザ光源
130 制御部
132 発振器
134、135 ロックインアンプ
136 検出部
140 照明光学系
150、151、156 走査部
152 レゾナントスキャナ
153 ガルバノスキャナ
154、155 ミラー
160 観察光学系
162、618、624、642 ダイクロイックミラー
164 対物レンズ
166、404、414 光学フィルタ
406、416 レンズ
172、173 レンズペア
174、410、420 受光部
180 ステージ
182 スライドガラス
184 観察対象物
186 標本
220 入力部
222 画像生成部
224 表示部
226 記憶部
228 スキャナ制御部
229 周波数制御部
408 ピンホール
510、540 第1強度変調部
512、522、532、542、552、562、572 ドライバ
514、524、554、564 音響光学周波数シフタ
530、550 第2強度変調部
534、544、574、584 音響光学素子
594 音響光学チューナブルフィルタ
570 第3強度変調部
600、620、626 半波長板
602、608、628、632 偏光ビームスプリッタ
604、606、610、612、616、622、630、644 ミラー
614、634 偏光板
300、350 GUI画面
302、304、312、316、324、352 チェックボックス
354、356、358 表示欄
308、310、314、318、320、322、323、325、326 入力欄
330、332 観察画像
334 タイムラプス画像

Claims (13)

  1. 観察対象物の蛍光を励起するポンプ光を周波数f1で強度変調する第1の強度変調部と、
    前記観察対象物の誘導放出を誘起するプローブ光を前記周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調する第2の強度変調部と、
    強度変調された前記ポンプ光および前記プローブ光を照射した前記観察対象物からの蛍光を受光する受光部と、
    前記受光部で検出される受光信号のうち周波数i×f1±j×f2(ただし、iおよびjは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する検出部と
    を備える蛍光観察装置。
  2. 前記ポンプ光および前記プローブ光で前記観察対象物を二次元的に走査する走査部をさらに備える請求項1に記載の蛍光観察装置。
  3. 前記走査部は、主走査方向を走査する共振ミラーと副走査方向を走査するガルバノミラーとを有する請求項2に記載の蛍光観察装置。
  4. 前記受光部は、前記走査部を前記ポンプ光および前記プローブ光とは逆方向に通過した蛍光を受光する請求項3に記載の蛍光観察装置。
  5. 前記受光部の直前に配されたピンホールをさらに備え、前記受光部は前記ピンホールを通過した蛍光を受光する請求項4に記載の蛍光観察装置。
  6. 前記第1の強度変調部は、
    前記ポンプ光を二つの直交する偏光に分離する偏光ビームスプリッタと、
    一方の偏光の光周波数を音響波の周波数g1だけシフトする第1の音響光学周波数シフターと、
    他方の偏光の光周波数を音響波の周波数(g1+f1)だけシフトする第2の音響光学周波数シフターと、
    強度が変調された二つの偏光を合波する偏光ビームコンバイナと、
    合波されたポンプ光のうち、前記二つの直交する偏光の偏光方向とは異なる偏光方向の偏光を透過することにより、前記周波数f1で強度変調されたポンプ光を出射する偏光子と
    を有し、
    iが2以上である請求項1から5のいずれか1項に記載の蛍光観察装置。
  7. 前記第2の強度変調部は、
    前記プローブ光を二つの直交する偏光に分離する偏光ビームスプリッタと、
    一方の偏光の光周波数を音響波の周波数g2だけシフトする第1の音響光学周波数シフターと、
    他方の偏光の強度を光周波数を音響波の周波数(g2+f2)だけシフトする第2の音響光学周波数シフターと、
    強度が変調された二つの偏光を合波する偏光ビームコンバイナと
    合波されたプローブ光のうち、前記二つの直交する偏光の偏光方向とは異なる偏光方向の偏光を透過することにより、前記周波数f2で強度変調されたプローブ光を出射する偏光子と
    を有し、
    jが2以上である請求項1から6のいずれか1項に記載の蛍光観察装置。
  8. 観察対象物の蛍光を励起するポンプ光を周波数f1で強度変調する第1の強度変調部と、
    前記観察対象物の誘導放出を誘起する第1のプローブ光を前記周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調する第2の強度変調部と、
    前記観察対象物の誘導放出を誘起する、前記第1のプローブ光とは異なる波長の第2のプローブ光を、前記周波数f1およびf2とは異なる周波数f3で強度変調する第3の強度変調部と、
    強度変調された前記ポンプ光、前記第1のプローブ光および前記第2のプローブ光を照射した前記観察対象物からの、前記ポンプ光および前記第1のプローブ光に対応する蛍光を受光する第1の受光部と、
    前記第1の受光部で検出される受光信号のうち周波数i×f1±j×f2(ただし、iおよびjは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する第1の検出部と、
    強度変調された前記ポンプ光、前記第1のプローブ光および前記第2のプローブ光を照射した前記観察対象物からの、前記ポンプ光および前記第2のプローブ光に対応する蛍光を受光する第2の受光部と、
    前記第2の受光部で検出される受光信号のうち周波数p×f1±q×f3(ただし、pおよびqは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する第2の検出部と
    を備える蛍光観察装置。
  9. 前記第1の強度変調部は、
    前記ポンプ光を二つの直交する偏光に分離する偏光ビームスプリッタと、
    一方の偏光の光周波数を音響波の周波数g1だけシフトする第1の音響光学周波数シフターと、
    他方の偏光の光周波数を音響波の周波数(g1+f1)だけシフトする第2の音響光学周波数シフターと、
    強度が変調された二つの偏光を合波する偏光ビームコンバイナと、
    合波されたポンプ光のうち、前記二つの直交する偏光の偏光方向とは異なる偏光方向の偏光を透過することにより、前記周波数f1で強度変調されたポンプ光を出射する偏光子と
    を有し、
    iおよびpが2以上である請求項8に記載の蛍光観察装置。
  10. 観察対象物の蛍光を励起する第1のポンプ光を周波数f1で強度変調する第1の強度変調部と、
    前記観察対象物の蛍光を励起する、前記第1のポンプ光とは異なる波長の第2のポンプ光を、前記周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調する第2の強度変調部と、
    前記観察対象物の誘導放出を誘起するプローブ光を前記周波数f1およびf2とは異なる周波数f3で強度変調する第3の強度変調部と、
    強度変調された前記第1のポンプ光、前記第2のポンプ光および前記プローブ光を照射した前記観察対象物からの、前記第1のポンプ光および前記プローブ光に対応する蛍光を受光する第1の受光部と、
    前記第1の受光部で検出される受光信号のうち周波数i×f1±j×f2(ただし、iおよびjは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する第1の検出部と、
    強度変調された前記第1のポンプ光、前記第2のポンプ光および前記プローブ光を照射した前記観察対象物からの、前記第2のポンプ光および前記プローブ光に対応する蛍光を受光する第2の受光部と、
    前記第2の受光部で検出される受光信号のうち周波数p×f2±q×f3(ただし、pおよびqは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する第2の検出部と
    を備える蛍光観察装置。
  11. 前記第3の強度変調部は、
    前記プローブ光を二つの直交する偏光に分離する偏光ビームスプリッタと、
    一方の偏光の光周波数を音響波の周波数g3だけシフトする第1の音響光学周波数シフターと、
    他方の偏光の光周波数を音響波の周波数(g3+f3)だけシフト変調する第2の音響光学周波数シフターと、
    強度が変調された二つの偏光を合波する偏光ビームコンバイナと
    合波されたプローブ光のうち、前記二つの直交する偏光の偏光方向とは異なる偏光方向の偏光を透過することにより、前記周波数f3で強度変調されたプローブ光を出射する偏光子と
    を有し、
    jおよびqが2以上である請求項10に記載の蛍光観察装置。
  12. 観察対象物の蛍光を励起するポンプ光を周波数f1で強度変調し、
    前記観察対象物の誘導放出を誘起するプローブ光を前記周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調し、
    強度変調された前記ポンプ光および前記プローブ光を照射した前記観察対象物からの蛍光を受光部で受光し、
    前記受光部で検出される受光信号のうち周波数i×f1±j×f2(ただし、iおよびjは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する
    蛍光観察方法。
  13. 観察対象物の蛍光を励起するポンプ光を周波数f1で強度変調し、
    前記観察対象物の誘導放出を誘起する第1のプローブ光を前記周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調し、
    前記観察対象物の誘導放出を誘起する、前記第1のプローブ光とは異なる波長の第2のプローブ光を、前記周波数f1およびf2とは異なる周波数f3で強度変調し、
    強度変調された前記ポンプ光、前記第1のプローブ光および前記第2のプローブ光を照射した前記観察対象物からの、前記ポンプ光および前記第1のプローブ光に対応する蛍光を第1の受光部で受光し、
    前記第1の受光部で検出される受光信号のうち周波数i×f1±j×f2(ただし、iおよびjは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出し、
    強度変調された前記ポンプ光、前記第1のプローブ光および前記第2のプローブ光を照射した前記観察対象物からの、前記ポンプ光および前記第2のプローブ光に対応する蛍光を第2の受光部で受光し、
    前記第2の受光部で検出される受光信号のうち周波数p×f1±q×f3(ただし、pおよびqは正の整数であって少なくとも一方が2以上である)の成分を検出する
    蛍光観察方法。
JP2018549087A 2016-11-02 2017-11-02 蛍光観察装置 Active JP6777160B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016215694 2016-11-02
JP2016215694 2016-11-02
PCT/JP2017/039835 WO2018084271A1 (ja) 2016-11-02 2017-11-02 蛍光観察装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018084271A1 true JPWO2018084271A1 (ja) 2019-07-18
JP6777160B2 JP6777160B2 (ja) 2020-10-28

Family

ID=62076087

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018549087A Active JP6777160B2 (ja) 2016-11-02 2017-11-02 蛍光観察装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US10983323B2 (ja)
JP (1) JP6777160B2 (ja)
WO (1) WO2018084271A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021220562A1 (ja) * 2020-05-01 2021-11-04 浜松ホトニクス株式会社 多重リングマスク、光照射装置、光学顕微鏡および光音響顕微鏡
JP2023106643A (ja) * 2020-06-10 2023-08-02 浜松ホトニクス株式会社 観察装置及び観察方法
WO2024023674A1 (en) * 2022-07-28 2024-02-01 Fei Deutschland Gmbh Multi-spot confocal imaging system with spectral multiplexing

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010060656A (ja) * 2008-09-01 2010-03-18 Fujitsu Ltd 偏光状態安定化方法及び装置、光信号処理システム
WO2011099269A1 (ja) * 2010-02-10 2011-08-18 国立大学法人大阪大学 顕微鏡及び観察方法
JP2014097191A (ja) * 2012-11-14 2014-05-29 Canon Inc 撮像装置、撮像方法およびプログラム
JP2014157372A (ja) * 2007-07-24 2014-08-28 Infinera Corp 偏光ビームスプリッター−偏光回転子構造物

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20160103307A1 (en) * 2014-10-13 2016-04-14 Robert David Frankel Method and system for stokes interference stimulated fluorescent scattering for in-vivo imaging

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014157372A (ja) * 2007-07-24 2014-08-28 Infinera Corp 偏光ビームスプリッター−偏光回転子構造物
JP2010060656A (ja) * 2008-09-01 2010-03-18 Fujitsu Ltd 偏光状態安定化方法及び装置、光信号処理システム
WO2011099269A1 (ja) * 2010-02-10 2011-08-18 国立大学法人大阪大学 顕微鏡及び観察方法
JP2014097191A (ja) * 2012-11-14 2014-05-29 Canon Inc 撮像装置、撮像方法およびプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
US10983323B2 (en) 2021-04-20
WO2018084271A1 (ja) 2018-05-11
JP6777160B2 (ja) 2020-10-28
US20190250386A1 (en) 2019-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4500378B2 (ja) 共焦点顕微鏡による検査方法およびそのシステム構成
US7999935B2 (en) Laser microscope with a physically separating beam splitter
CN105973853B (zh) 一种基于双模式竞争激发的超分辨显微方法和装置
US9721326B2 (en) Method and system for improving resolution in laser imaging microscopy
CN107064082B (zh) 用于多点扫描显微的设备和方法
US9001321B2 (en) Microscope and observation method
JP5649828B2 (ja) レーザ顕微鏡装置
US9404867B2 (en) Luminescence microscopy
US10983323B2 (en) Fluorescence observation device
JP2012093757A (ja) Sted光シートを用いるspim顕微鏡
CN105723194B (zh) 显微镜以及用于显微镜的声光合束器
US20130083816A1 (en) Laser source apparatus and laser microscope
JP6613552B2 (ja) 超解像観察装置及び超解像観察方法
US10690897B2 (en) Laser scanning microscope apparatus
JP2013205231A (ja) ブリルアン散乱顕微鏡
CN102866137B (zh) 一种二维超分辨显微方法和装置
JP2003177329A (ja) 走査型レーザ顕微鏡
JP6673497B2 (ja) 蛍光観察装置
JP2014170105A (ja) 顕微鏡装置
JP6806161B2 (ja) 顕微鏡システム
SG182865A1 (en) Flexible spatial-temporal phase modulator for focal modulation microscopy
CN113508327A (zh) 高动态范围成像
Büchau et al. A stage-scanning two-photon microscope equipped with a temporal and a spatial pulse shaper: Enhance fluorescence signal by phase shaping
JP2006195076A (ja) 走査型光学装置
JPWO2017158697A1 (ja) 画像取得方法および画像取得装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191112

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20191202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200908

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200921

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6777160

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250