JP6806161B2 - 顕微鏡システム - Google Patents

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Description

本発明は、顕微鏡システムに関する。
蛍光物質を2光子で励起し、誘導放出を誘起するレーザビームを照射して、誘導放出により減衰した蛍光を取得して画像を構築する顕微鏡が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。顕微鏡では、高速に画像を取得する必要がある。
Lu Wei et. al., Biomedical Optics Express 1465-1475, vol. 3, No.6, 1 June 2012
本発明の第1の態様においては、顕微鏡システムであって、標本に含まれる第1の蛍光物質を励起する第1の光を周波数f1で強度変調する第1の強度変調部と、第1の蛍光物質において誘導放出を生じさせる第2の光を周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調する第2の強度変調部と、第1の光および第2の光を標本において走査する走査部と、標本からの蛍光を検出する検出部とを備え、走査部は、共振ミラーを有するレゾナントスキャナを有し、検出部は、標本からの蛍光を受光し、周波数f1+f2の成分を検出する。
本発明の第2の態様においては、顕微鏡システムであって、標本に含まれる蛍光物質を励起する第1の光を前記標本に照射し、前記標本からの蛍光を検出部において受光させる第1の観察方法と、前記第1の光を周波数f1で強度変調して前記標本に照射し、前記蛍光物質において誘導放出を生じさせる第2の光を前記周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調して前記標本に照射し、前記検出部において前記標本からの蛍光を受光させ、周波数f1+f2の成分または周波数f1−f2の成分を検出させる第2の観察方法とが選択可能に構成された。
上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となりうる。
本実施形態に係る顕微鏡システム10の構成を示す図である。 ポンプ光、プローブ光および検出波長領域の波長の関係を示す概念図である。 蛍光の強度の時間変化を説明する概念図である。 ロックイン検出における復調周波数を説明する概念図である。 スキャン速度と検出の速度を説明する概念図である。 他の走査部151の例を示す。 さらに他の走査部156の例を示す。 他の顕微鏡システム12の構成を示す図である。 顕微鏡システム12で用いられるGUI画面300の一例である。 顕微鏡システム12の動作の一例を示すフローチャートである。 共焦点観察に基づいて減衰蛍光観察の範囲を選択する動作のフローチャートである。 顕微鏡システム12において、共焦点観察をするか減衰蛍光観察をするかを自動選択する動作のフローチャートである。 図12のフローチャートで示される動作に用いられるGUI画面350を示す。 さらに他の顕微鏡システム14の構成を示す図である。 さらに他の顕微鏡システム16の構成を示す図であり、 各蛍光物質の励起・蛍光スペクトル、ポンプ光、プローブ光および検出波長領域の波長の関係を示す。 さらに他の顕微鏡システム18の構成を示す図である。 各蛍光物質の励起・蛍光スペクトル、ポンプ光、プローブ光および検出波長領域の波長関係を示す。 ストークスシフトが小さい場合の吸収・蛍光スペクトルと検出波長領域の関係を示す。 第1検出波長領域、第2検出波長領域のそれぞれにおいて、観測されうる蛍光と励起光の関係を示す。 (a)は蛍光C'と蛍光D'の時間波形を示し、(b)は蛍光C'と蛍光D'をフェーザ表示で表現している。 図15から図21の2色観察に用いられるGUI画面360を示す。 さらに他の顕微鏡システム20の構成を示す図である。 さらに他の顕微鏡システム22の構成を示す図である。 さらに他の顕微鏡システム24の構成を示す図である。 さらに他の顕微鏡システム26の構成を示す図である。 他の光源101の例を示す。 光学ディレイステージ700を平行移動したときの時間差の様子を示す。 減衰蛍光信号が、蛍光寿命を反映する様子を示す。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る顕微鏡システムの一例である顕微鏡システム10の構成を示す図である。顕微鏡システム10は、強度変調させたポンプ光およびプローブ光を標本に照射することで、標本に含まれる蛍光物質より生じる誘導放出により減衰した蛍光信号(以下、減衰蛍光、減衰蛍光信号などと記載する)をロックイン検出する。これにより、空間分解能を向上させつつ検出時間を短縮することができる。なお、以下、減衰蛍光を蛍光と総称して記載する場合もある。また、以下、減衰蛍光を取得する顕微鏡を減衰蛍光顕微鏡と記載する。図1では説明のためにxyz軸を示す。
顕微鏡システム10は、ポンプ光およびプローブ光を出力する光源100と、ポンプ光およびプローブ光で標本186を照明する照明光学系140と、標本186から発せられた光を観察する観察光学系160と、観察光学系160を介して光を検出する検出部136を備える。顕微鏡システム10はさらに、標本186を支持するステージ180を備える。顕微鏡システム10はさらに、顕微鏡システム10全体を制御する制御部130と、当該制御部130との間で信号を送受信する入力部220、表示部224および記憶部226を備える。
照明光学系140は、音響光学チューナブルフィルタ114(以下、AOTFともいう)と、音響光学素子124(以下、AOMともいう)と、ダイクロイックミラー141、144と、ミラー142、143と、走査部150と、レンズペア173と、ダイクロイックミラー162と、対物レンズ164とを有する。
観察光学系160は、対物レンズ164と、ダイクロイックミラー162と、光学フィルタ166と、レンズペア172とを有する。
標本186は、観察対象物184と、観察対象物184を載置するスライドガラス182とを有する。観察対象物184は例えば生物細胞である。観察対象物184には蛍光物質が含まれている。
光源100は、ポンプ光用のレーザ光源102、プローブ光用のレーザ光源104、および、これらポンプ光およびプローブ光を合波するダイクロイックミラー106を有する。レーザ光源102、104は例えばいずれも連続発振方式であって、かつ、互いに異なる波長のレーザ光を出力する。ポンプ光は蛍光物質を励起して蛍光を発生させる。プローブ光は蛍光物質において誘導放出を誘起することで、蛍光を減衰させる。ポンプ光の波長はプローブ光の波長より短く、例えば、ポンプ光は532nm, プローブ光は640nmである。これらポンプ光およびプローブ光の波長は蛍光物質の吸収帯(吸収スペクトル)および蛍光帯(蛍光スペクトル)に合せて適宜設定される。これらポンプ光およびプローブ光の波長は自動的に設定されてもよいし、入力部220でユーザからの入力を受け付けてもよい。
AOTF114は、ダイクロイックミラー106により同軸に合成されたレーザ光の光路上に配される。ミラー142、143は、AOM124を透過しない光路を構成する。
AOTF114は光にとって回折格子として機能する。AOTF114により生じた1次回折光はダイクロイックミラー141に導かれる。AOTF114に印加するドライバ112の電圧を制御することで、波長ごとに1次回折光の発生を制御することができる。光の波長ごとに、常に1次回折光を生じさせる状態(ON状態、すなわち強度が最大の状態)とすることもできるし、常に生じさせない状態(OFF状態、すなわち強度が最小の状態)とすることもできるし、光強度を変調することもできる。例えば、ドライバ112から時間的に一定の電圧値を付与した場合には、電圧値に応じて光強度は時間的に一定値となる。例えば、ドライバ112から付与される電圧値が時間的にゼロであれば、光強度もゼロになる。例えばドライバ112の電圧波形が正弦波の場合に光の強度を正弦波に変調する。本実施形態では、発振器132からの発振に基づいて、AOTF114によりポンプ光を、周波数f1で強度変調し、プローブ光をON状態(変調しない)とする。AOTF114の利点は複数の波長の異なる光の強度を独立に制御できる点である。なお、これらAOTF114とドライバ112とにより第1強度変調部110が構成される。
本実施形態では、AOTF114においてポンプ光が所定の周波数で変調されるように、AOTF114に印加するドライバ112の電圧を制御する。AOTF114にはポンプ光と、プローブ光の波長に応じた2つの音響周波数が付与される。これにより、AOTF114よりポンプ光、プローブ光の回折光が生じる。ここでは、ポンプ光のみの強度を変調するために、ポンプ光波長に対応した音響周波数の電気信号の振幅を変調周波数f1で変調する。これにより、AOTF114を透過したポンプ光の強度がf1で変調される。一方、プローブ光波長に対応する音響周波数の電気信号の振幅は変調しないため、プローブ光の強度は変調されない。
ダイクロイックミラー141は、AOTF114において変調されたポンプ光を反射する一方で、プローブ光を透過する。これにより、プローブ光はAOM124に導かれる。AOM124に印加するドライバ122の電圧を制御することで、一次回折光の発生を制御することができる。常に1次回折光を生じさせる状態(ON状態、すなわち強度が最大の状態)とすることもできるし、常に生じさせない状態(OFF状態、すなわち強度が最小の状態)とすることもできるし、光強度を変調することもできる。例えば、ドライバ122から一定の電圧値を付与した場合には、電圧値に応じて光強度は一定値となる。例えば、ドライバ122から付与される電圧値が時間的にゼロであれば、光強度もゼロになる。例えばドライバ122の電圧波形が正弦波の場合に光の強度を正弦波に変調する。本実施形態では、発振器132からの発振に基づいて、AOM124によりプローブ光を、周波数f1と異なる周波数f2で強度変調する。AOM124の利点は、数十MHzという比較的高い周波数で強度変調できることである。なお、これらAOM124とドライバ122とにより第2強度変調部120が構成される。
一方、ポンプ光はダイクロイックミラー141で反射された後に、ミラー142、143で反射し、ダイクロイックミラー144に入射する。ダイクロイックミラー144は、それぞれに強度変調されたポンプ光とプローブ光とを同軸に合波する。
走査部150は対物レンズ164の瞳面とほぼ共役な位置に配される。このために、走査部150とダイクロイックミラー162の間にはレンズペア173が設置されていることが望ましい。走査部150の一例はガルバノスキャナであり、互いに直交する方向に回転可能な一対のガルバノミラーを有する。それらガルバノミラーの角度を変化させることで標本186におけるレーザ光のスポット位置をxy方向にスキャンする。走査部150の他の例はレゾナントスキャナ(共振型スキャナ)である。レゾナントスキャナは、共振により動作する共振ミラー(レゾナントミラー)を有する。レゾナントスキャナは、例えば、主走査用のレゾナントミラーと、副走査用のガルバノミラーを備える。レゾナントスキャナを用いることで、より高速なスキャンをすることができる。
走査部150から出力されたレーザ光はダイクロイックミラー162を透過して、対物レンズ164に導かれる。対物レンズ164はレーザ光を標本186に集光する。
標本186の蛍光物質から生じた蛍光は対物レンズ164を透過し、ダイクロイックミラー162で反射し、光学フィルタ166によりポンプ光とプローブ光が除去される。蛍光はレンズペア172により対物レンズ瞳面とほぼ共役な位置に設置された受光部174に入射する。なお、ダイクロイックミラー162は、レンズペア173や走査部150よりも光源側に設置されても良い。
検出部136は、受光部174およびロックインアンプ134を備える。受光部174は対物レンズ164の瞳面とほぼ共役な位置に配される。受光部174の一例は、光電子増倍管である。受光部174は光電変換によって、受光した蛍光の強度に応じた電気信号を出力する。受光部174の出力はロックインアンプ134に入力されてロックイン検出される。ロックイン検出については後述する。
入力部220、表示部224、記憶部226および制御部130は例えばPC等であってもよい。入力部220は、ユーザから制御部130への入力を受け付けるものであって、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス等である。表示部224は、例えば、GUI、検出結果、観察画像を表示するディスプレイである。記憶部226は、顕微鏡システム10を制御するプログラム、パラメータ等、および、検出結果、観察画像等が記憶される。
制御部130は、周波数制御部229、スキャナ制御部228および画像生成部222を有する。周波数制御部229はユーザからの入力により、または、蛍光物質に基づいて自動で、発振器132に発生させる発振周波数を制御する。スキャナ制御部228は、走査部150を制御する。画像生成部222は検出部136の検出結果に基づいて画像を生成し、表示部224に表示する。
図2は、ポンプ光、プローブ光および検出波長領域の波長の関係を示す概念図である。図2において破線は特定の蛍光物質の吸収帯を示し、実線は当該蛍光物質の蛍光帯を示す。ポンプ光の波長は吸収帯に含まれるように設定され、プローブ光は蛍光帯の強度のピークよりも長い波長に設定されることが好ましい。これにより、蛍光帯の強度のピークを含む波長領域を、受光部174で蛍光を検出する波長領域である検出波長領域とすることができる。
図3は蛍光の強度の時間変化を説明する概念図である。図4はロックイン検出における復調周波数を説明する概念図である。
ポンプ光、プローブ光は時間的に互いに異なる周波数f1,f2で強度変調されており、それぞれの時間波形をIPump,IProbeとすると、以下のように表される。
ここで、I1,I2はポンプ光, プローブ光の強度であり、m,nは変調のコントラストである。誘導放出はIPumpとIProbeの積に比例するので、誘導放出によって減衰した蛍光(減衰蛍光信号)IRFもIPumpとIProbeの積に比例し、以下のように表せる。
式(1.3)の時間波形を図3に示す(最大値で規格化してある)。受光部174で取得される蛍光信号には、複数の周波数が含まれるので、時間波形は図3のようになる。このうち、ポンプ光が励起する蛍光は周波数f1で、プローブ光が励起する蛍光は周波数f2で生じるので、式(1.3)より、f1−f2あるいはf1+f2で変動する成分を検出することで、ポンプ光単独およびプローブ光単独で励起された蛍光を除去して、減衰蛍光信号のみを検出できる。そこで、検出部136において、ロックイン検出技術を用いて復調することで、所望の周波数に同期した信号のみを検出する。
式(1.3)に含まれる差周波(f1−f2)と和周波(f1+f2)の時間波形を図4に示す。差周波よりも和周波の方が周波数が高いので、周期も短くなる。ロックイン検出では、この復調周波数の周期が最小の積算時間を決めるので、周期が短いほど高速検出が可能となる。
そこで、本実施形態では、和周波で復調する。より具体的には発振器132から和周波の復調周波数がロックインアンプ134に入力される。ロックインアンプ134は復調周波数に同期する信号を抽出する。走査部150で標本186を走査しつつ、ロックインアンプ134でピクセルごとにロックイン検出を実施し、当該ピクセルの位置情報に対応付けて記憶部226に記憶する。画像生成部222は、記憶部226から位置情報に対応付けられた検出結果を読み出して、減衰蛍光の観察画像を生成し、表示部224に表示する。
ここで、誘導放出現象が非線形現象なので、減衰蛍光の信号発生領域がポンプ光とプローブ光の集光スポットの強度の高い局所領域に制限される。これにより、空間分解能の向上が可能となる。
図5は、走査部150のスキャン速度と検出の速度を説明する概念図である。ガルバノスキャナにおいて主走査(図中x方向)のスキャンに要する時間はレゾナントスキャナと比較して長いので、図5の(a)に示すように差周波の復調で検出するのにかかる時間の間にビームの位置はほぼ変わらないと考えてよい。しかしながら、レゾナントスキャナにおいて主走査(図中x方向)のスキャンに要する時間はガルバノスキャナと比較して短いので差周波の復調で検出するのにかかる時間の間に、図5の(b)に示すようにビームの位置が大きく変わってしまい正確な画像取得が困難になるというおそれがある。しかしながら、和周波で復調した場合、復調の周波数が高いので検出にかかる時間も短くなり、レゾナントスキャナを用いても所定位置における信号検出に必要な所定時間の間にビームの位置はほぼ変わらないと考えてよい。したがって、レゾナントスキャナを用いて高速で検出しつつ、正確な画像取得をすることができる。
図6は、他の走査部151の例を示す。走査部151は、レゾナントスキャナ152、ガルバノスキャナ153および一対のミラー154、155を有する。一対のミラー154、155はそれぞれ図中矢印の方向に移動可能に設けられており、これらの位置に基づいて、レゾナントスキャナ152、ガルバノスキャナ153のいずれを用いるかが選択される。
図6は、レゾナントスキャナ152が選択された状態が示されている。この場合、ダイクロイックミラー144から出射される光の光路上にミラー154が配され、レゾナントスキャナ152から出射される光の光路上にミラー155が配されている。これにより、ミラー154で反射された光はレゾナントスキャナ152に入射する。レゾナントスキャナ152で所定の方向に偏向された光はミラー155で反射されて、ダイクロイックミラー162を透過して、対物レンズ164に入射する。
一方、ガルバノスキャナ153が選択される場合には、ダイクロイックミラー144から出射される光の光路上からミラー154が退避するとともに、ガルバノスキャナ153とダイクロイックミラー162との間からミラー155が退避する。これにより、ガルバノスキャナ153に光が入射し、ガルバノスキャナ153で偏向された光がダイクロイックミラー162を透過して、対物レンズ164に入射する。
走査部151によれば、用途に応じてレゾナントスキャナ152とガルバノスキャナ153を使い分けることができる。なお、一対のミラー154、155の位置を移動させる手段は、例えばリニアモーターが挙げられるが、これに限られずそれぞれが対応するターレット上に配され、当該ターレットの回転によりミラー154、155が移動してもよい。一対のミラー154、155に代えて、一対のダイクロイックミラーを配することにより、当該一対のダイクロイックミラーを反射する波長の光に対してはレゾナントスキャナ152を用い、当該一対のダイクロイックミラーを透過する波長の光に対してガルバノスキャナ153を用いることができる。なお、レゾナントスキャナ152とガルバノスキャナ153の位置は図6と逆でもよい。
図7は、さらに他の走査部156の例を示す。図7において図6と同じ構成については同じ番号を付して説明を省略する。
走査部156は、走査部151の一対のミラー154、155に代えて、それらが一体化したミラー157を有する。当該ミラー157は紙面に垂直な方向に移動可能に設けられる。ここで図7の状態は図6の状態に対応しており、ミラー157によって光が反射されることにより、レゾナントスキャナ152が用いられる状態が示されている。一方、図7の状態からミラー157が紙面に垂直な方向に移動して、ダイクロイックミラー144とガルバノスキャナ153との間の光路、および、ガルバノスキャナ153とダイクロイックミラー162との間の光路から同時に退避することで、ガルバノスキャナ153が用いられる状態となる。
図8は他の顕微鏡システム12の構成を示す図である。顕微鏡システム12は顕微鏡システム10と同様に減衰蛍光顕微鏡として用いることができるとともに、共焦点顕微鏡としても用いることができる。顕微鏡システム12において顕微鏡システム10と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡システム12において、蛍光を反射して、ポンプ光およびプローブ光を透過するダイクロイックミラー402は、ダイクロイックミラー144と走査部150との間の光路上に配される。さらに、ダイクロイックミラー402で反射された光が入射する、光学フィルタ404、レンズ406、受光部410を有する。光学フィルタ404および受光部410は、顕微鏡システム10の光学フィルタ166および受光部174と同様の構成であってよい。顕微鏡システム12はさらに開口部を有する開口部材の一例としてピンホール408を有する。ピンホール408は、標本と共役の位置に配置される。レンズ406はピンホール408に光を集光する。受光部410はピンホール408に近接して設置される。あるいは、不図示のレンズにより、ピンホールと略共役位置に受光部が設置される構成としても良い。
上記構成により、標本186からの蛍光は走査部150を通り、ダイクロイックミラー402で反射されて、光学フィルタ404、レンズ406およびピンホール408を介して受光部410で受光される。これにより、走査部150により標本186の観察位置が変わっても、走査部150でデスキャンされて、ピンホール408でのスポット位置は不変である。ピンホール408は穴の大きさが可変となっており、詳細は後述する。上記構成により、ピンホール408は受光部410とダイクロイックミラー402との間に設けられているともいえる。また、ピンホール408は受光部410と走査部150との間に設けられているともいえる。さらには、ピンホール408は受光部410と対物レンズ164との間に配されているともいえる。
顕微鏡システム12はさらに、レーザ光源102、104の光の波長を制御する波長制御部230を有する。
図9は顕微鏡システム12で用いられるGUI画面300の一例である。GUI画面300は表示部224に表示され、入力部220を用いてユーザからの入力を受け付ける。
チェックボックス302は共焦点観察の画像を取得するか否かの入力欄である。チェックボックス304は共焦点観察においてポンプ光を変調することを指定する入力欄であり、チェックボックス306は変調しないことを指定する入力欄である。
入力欄308はポンプ光の変調周波数の入力欄であり、MHzを単位とした数字の目盛りとともに、指定された変調周波数が縦の太線で示されている。入力欄310はピンホールの大きさを指定する入力欄である。入力欄310の「OPEN」は穴の大きさが最大であることを示す。さらに、「1」をエアリーサイズとしたときの大きさの目盛りとともに、指定された穴の大きさが縦の太線で示されている。ここで、エアリーサイズとは、波長と開口数で決まる回折限界の光スポットの大きさで、ピンホール径を規格化した値である。
さらに、チェックボックス312は、共焦点観察のタイムラプス画像を取得するか否かの入力欄である。入力欄314はタイムラプスの時間間隔の入力欄である。
チェックボックス316は減衰蛍光観察の画像を取得するか否かの入力欄である。入力欄318はポンプ光の変調周波数の入力欄であり、MHzを単位とした数字の目盛りとともに、指定された変調周波数が縦の太線で示されている。入力欄320はプローブ光の変調周波数の入力欄であり、MHzを単位とした数字の目盛りとともに、指定された変調周波数が縦の太線で示されている。
入力欄322は減衰蛍光観察におけるピンホール408の穴の大きさの入力欄であって、入力欄310と同様の構成である。また、チェックボックス324および入力欄326は減衰蛍光観察におけるタイムラプスに関する入力欄であり、チェックボックス312、入力欄314と同様の構成である。
GUI画面300には、共焦点の観察画像330と減衰蛍光の観察画像332とが並べて表示される。これに代えて、重ねて表示されてもよい。また、互いにリンク付けされることで、共焦点の観察画像330の対象領域をクリックすると減衰蛍光の観察画像332が表示されるようにしてもよい。さらに、共焦点観察のタイムラプスによる画像取得が指定されている場合には、タイムラプス画像334が時間順に並べて表示される。同様に、減衰蛍光観察のタイムラプスによる画像取得が指定されている場合には、タイムラプス画像335が時間順に並べて表示される。
図10は顕微鏡システム12の動作(S10)の一例を示すフローチャートである。
フローチャートS10において、制御部130は、GUI画面300のチェックボックス316の入力に基づいて、減衰蛍光観察の画像を取得するかどうかを判断する(S100)。ステップS100の判断がYesの場合に、制御部130は入力欄318、320の入力に基づいて、減衰蛍光観察のポンプ光およびプローブ光の変調周波数を設定する(S102)。
制御部130はピンホール408の径を設定する(S104)。減衰蛍光観察時においてピンホール408はデフォルトで開放、すなわち図9の入力欄322においてデフォルトで「OPEN」が設定されている。ユーザが入力欄322の値をデフォルトから変更した場合には、変更された値に基づいてピンホール408の大きさが設定される。減衰蛍光観察時において、ピンホール408を開放することで、ピンホール共役面である焦点面から生じたにも関わらず散乱等により結像関係が乱されてしまった蛍光も検出することができるので、より多くの光子を検出することができ、結果として信号対雑音比の向上が可能となる。
以上の設定に基づいて、減衰蛍光観察の画像が取得される(S106)。この場合、復調周波数は、差周波であってもよいし、和周波であってもよいが、レゾナントスキャナを使用する場合には和周波であることが好ましい。減衰蛍光観察の画像を取得する方法は、顕微鏡システム10で説明したものと同一であり、説明を省略する。
ステップS106の後、または、ステップS100の判断がNoの場合に、共焦点観察の画像を取得するかどうかが、チェックボックス302の入力に基づいて判断される(S108)。共焦点観察の画像を取得すると判断された場合に(S108:Yes)、チェックボックス304、306に基づいて共焦点観察に用いられるポンプ光を変調するか否かが判断され(S112)、変調する場合には(S112:Yes)、入力欄308に入力された変調周波数が設定される(S114)。
ステップS114の後にまたはステップS112でポンプ光を変調しない場合に(S112:No)、ユーザからの入力欄310への入力に基づいてピンホール408の径が設定される(S116)。共焦点観察におけるピンホールの径は減衰蛍光観察におけるピンホールの径より小さいことが好ましい。
上記設定に基づいて共焦点観察の画像が取得される(S118)。より詳しくは、ポンプ光をON状態または強度変調し、プローブ光をOFF状態にして、走査部150で標本186を走査しつつ、ピクセルごと検出部136で蛍光を検出する。当該検出結果を位置情報に対応付けて記憶部226に記憶する。ポンプ光を強度変調した場合は、ロックインアンプにおいて、変調周波数でロックイン検出する。なお、ポンプ光をON状態とする場合(強度変調しない場合)には、ロックインアンプは不要であるので、受光部410の出力を画像生成部222に直接入力する構成とすることが望ましい。
画像生成部222は、記憶部226から位置情報に対応付けられた検出結果を読み出して、共焦点の観察画像330および減衰蛍光の観察画像332を生成し、表示部224に表示する(S120)。
さらに、チェックボックス312で共焦点観察のタイムラプス画像の取得を受け付けた場合に、顕微鏡システム12は入力欄314で設定された時間間隔で共焦点観察を実行してそれぞれの観察画像を生成する。同様に、チェックボックス324で減衰蛍光観察のタイムラプス画像の取得を受け付けた場合に、顕微鏡システム12は入力欄326で設定された時間間隔で減衰蛍光観察を実行してそれぞれの観察画像を生成する。
なお、標本186の広い視野の画像を共焦点観察で取得し、共焦点観察の画像のうちの一部の領域を指定して減衰蛍光観察の画像を取得する構成としても良い。この場合、共焦点観察で画像を取得して、減衰蛍光観察に適した範囲が自動で選択されてもよい。
図11は、共焦点観察に基づいて減衰蛍光観察の範囲を選択する動作(S30)のフローチャートである。まず、共焦点観察により画像が取得される(S300)。この場合に、図10の動作(S10)におけるステップS112からS118が実行される。次に、ユーザからの入力に基づいて減衰蛍光観察の範囲を自動選択するか否かが判断される(S302)。
自動選択する場合には(S302:Yes)、共焦点画像を画像処理解析し、減衰蛍光観察に適した範囲を選択する。例えば、画像を微分フィルタ処理し、ピークが多く生じる領域を選択する。
一方、自動選択しない場合には(S302:No)、ユーザからの指定に基づいて減衰蛍光観察の領域を設定する(S308)。この場合に、図9の共焦点の観察画像330上で領域指定を受け付けてもよい。
ステップS304またはS308で設定された領域について、減衰蛍光観察を実行して観察画像を取得する(S306)。この場合に、図10の動作(S10)におけるステップS102からS106が実行される。
図12は、顕微鏡システム12において、共焦点観察をするか減衰蛍光観察をするかを自動選択する動作(S20)のフローチャートであり、図13は当該動作で用いられるGUI画面350を示す。
記憶部226には、蛍光物質の名称に対応付けて、観察の方法、例えば共焦点観察が好ましいか減衰蛍光観察が好ましいか、および、共焦点観察の場合のポンプ光の波長または減衰蛍光観察の場合のポンプ光およびプローブ光の波長が記憶されている。GUI画面350には、記憶部226に記憶されている蛍光物質の名称353がチェックボックス352とともに表示される。
ユーザによるチェックボックス352へのチェックにより蛍光物質が選択される(S200)。制御部130は、選択された蛍光物質に応じて、記憶部226を参照して共焦点観察が好ましいか減衰蛍光観察が好ましいかを判断する(S202)。共焦点観察が好ましいと判断した場合には、GUI画面350においてポンプ光のボックス355に色が付き、制御部130は記憶部226を参照して当該蛍光物質に対応したポンプ光の波長を決定し、表示欄354に表示する(S204)。この場合、プローブ光のボックス357は白色であって、波長の表示欄356はグレーアウトされる。減衰蛍光観察が好ましいと判断した場合には、GUI画面350においてポンプ光のボックス355に色が付き、制御部130は記憶部226を参照して当該蛍光物質に対応したポンプ光の波長を決定して表示欄354に表示するとともに、プローブ光のボックス357にも色が付いて、当該蛍光物質に対応したプローブ光の波長を決定し表示欄356に表示する(S204)。いずれの場合も、表示欄358に蛍光物質の吸収帯、蛍光帯、光源の波長および検出波長領域の関係が図示される(S206)。
減衰蛍光観察が好ましいと判断された場合には、ユーザの実行の指示に基づき、波長制御部230がレーザ光源102、104の光の波長を設定する。さらに、周波数制御部229が発振器132に変調周波数を設定する。この場合に、図9のGUI画面300で変調周波数の入力を受け付けてもよいし、蛍光物質に変調周波数を対応付けて記憶部226に記憶しておき、蛍光物質の選択に伴って記憶部226を参照することにより制御部130が当該変調周波数を自動的に決定してもよい。上記設定に基づいて、図10のステップS102からS106と同様に減衰蛍光観察の画像が取得される。
一方、共焦点観察が好ましいと判断された場合には、ユーザの実行の指示に基づき、波長制御部230がレーザ光源102の光の波長を設定する。上記設定に基づいて、図10のステップS112からS118と同様に共焦点観察の画像が取得される。
図14は、さらに他の顕微鏡システム14の構成を示す図である。顕微鏡システム14において顕微鏡システム10、12と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡システム14は、顕微鏡システム10と顕微鏡システム12とを組み合わせたものに相当する。すなわち、対物レンズ164と走査部150との間の光路上にダイクロイックミラー162が配され、ダイクロイックミラー162で反射された蛍光が入射する光学フィルタ166、レンズペア172および受光部174が設けられる。さらに、走査部150とダイクロイックミラー144との間の光路上にダイクロイックミラー402が配され、ダイクロイックミラー402で反射された蛍光が入射する光学フィルタ404、レンズ406、ピンホール408および受光部410を有する。
受光部174で蛍光を受光する場合には、ダイクロイックミラー162を対物レンズ164と走査部150との間の光路上に進出させるとともに、ダイクロイックミラー402を走査部150とダイクロイックミラー144との間の光路上から退避させる。ダイクロイックミラー162で反射した蛍光を受光部174で受光する場合には、蛍光が通る光学素子が少ないのでより明るい信号を検出できる。よって、減衰蛍光観察に用いられることが好ましい。
受光部410で蛍光を受光する場合には、ダイクロイックミラー162を対物レンズ164と走査部150との間の光路上から退避させるとともに、ダイクロイックミラー402を走査部150とダイクロイックミラー144との間の光路上に進出させる。ダイクロイックミラー402で反射した蛍光を受光部410で受光する場合には、走査部150によりデスキャンされる。よって、ピンホール408を用いる共焦点観察に用いられることが好ましい。
図15はさらに他の顕微鏡システム16の構成を示す図であり、図16は各蛍光物質の励起・蛍光スペクトル、ポンプ光、プローブ光および検出波長領域の波長の関係を示す。顕微鏡システム16は、多色の蛍光による減衰蛍光観察に用いられる。例えば、顕微鏡システム16は、蛍光物質が二種類であって、ポンプ光が共通でプローブ光が異なる場合に用いられる。顕微鏡システム16において顕微鏡システム12と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡システム16は、第1のプローブ光用のレーザ光源104に加えて、第2のプローブ光用のレーザ光源500と、第2のプローブ光と第1のプローブ光とを合波するダイクロイックミラー502とをさらに有する。ダイクロイックミラー106は、ポンプ光を第1および第2のプローブ光に合波する。図16に示すように、ポンプ光の波長は第1の蛍光物質の吸収スペクトルCと第2の蛍光物質の吸収スペクトルDとの共通部分にあり、両方の蛍光物質を励起する。第1のプローブ光の波長は第1の蛍光物質の蛍光スペクトルA内にあり、第1の蛍光物質において誘導放出を誘起する。第2のプローブ光の波長は第2の蛍光物質の蛍光スペクトルB内にあり、第2の蛍光物質において誘導放出を誘起する。ストークスシフト(吸収スペクトルと蛍光スペクトルの波長差)の大きな蛍光物質を用いてポンプ光を共通にすることで、光源数を減らして装置構成を簡便にすることができる。なお、標本186には第1および第2の蛍光物質が含まれている。
AOTF114はドライバ112から各光に応じた駆動電圧が印加されており、ポンプ光をON状態とし、第1のプローブ光を周波数f2で強度変調し、第2のプローブ光を周波数f3で強度変調する。AOTF114で回折した光のうち、ポンプ光はダイクロイックミラー141を透過するとともに、第1および第2のプローブ光はダイクロイックミラー141で反射される。ポンプ光はAOM124で周波数f1で強度変調される。一方、第1および第2のプローブ光はAOM124を迂回するようにミラー142、143で反射されてダイクロイックミラー144でポンプ光と合波される。ポンプ光、第1のプローブ光および第2のプローブ光は、ダイクロイックミラー402を透過し、走査部150を経て、対物レンズ164により標本186に集光される。周波数f1、f2、f3は互いに異なるように設定される。
ポンプ光をIPump、第1のプローブ光をIProbe1、第2のプローブ光をIProbe2とすると、それぞれの時間波形は、下記の通り表される。
なお、I1、I2、I3はそれぞれ、ポンプ光、第1のプローブ光、第2のプローブ光の光強度である。
顕微鏡システム16は、ダイクロイックミラー144と走査部150との間にダイクロイックミラー402を有する。ダイクロイックミラー402は、第1の蛍光物質からの蛍光を検出する波長領域(第1検出波長領域)および第2の蛍光物質からの蛍光を検出する波長領域(第2検出波長領域)を含む波長領域を反射する。
ダイクロイックミラー402により反射された光の光路上にはさらにダイクロイックミラー412が配される。ダイクロイックミラー412は、第1検出波長領域を含む波長領域を透過し、第2検出波長領域を含む波長領域を反射する。
ダイクロイックミラー412を透過した第1の蛍光物質からの蛍光は光学フィルタ404で第1検出波長領域以外の波長領域がカットされ、レンズ406を通って受光部410で受光される。受光部410で光電変換された受光信号はロックインアンプ134でロックイン検出される。受光部410とロックインアンプ134とが第1の検出部136を構成する。
一方、ダイクロイックミラー412で反射した第2の蛍光物質からの蛍光は光学フィルタ414で第2検出波長領域以外の波長領域がカットされ、レンズ416を通って受光部420で検出される。受光部420で光電変換された受光信号はロックインアンプ135でロックイン検出される。受光部420とロックインアンプ135とが第2の検出部137を構成する。
受光部410で受光される信号と、受光部420で受光される信号をそれぞれIRF1,IRF2とすると、
これより、ロックインアンプ134ではf1+f2で、ロックインアンプ135ではf1+f3で、それぞれ復調することが望ましい。
図16に示すように、一般的な多色観察において、第2検出波長領域では第1の蛍光物質から生じる蛍光も検出されてしまうため、蛍光のクロストークが課題になる。しかしながら、第2検出波長領域に混入する第1の蛍光物質からの減衰蛍光の信号は、周波数f1+f2で生じるのに対し、第2検出波長領域で取得したい第2の蛍光物質からの減衰蛍光の信号は周波数f1+f3で生じる。従って、第2検出波長領域の復調周波数をf1+f3とすることで、蛍光のクロストークを抑制することができる。このように、2つのプローブ光の変調周波数をそれぞれ異なる値に設定することによって、蛍光信号のクロストークを抑制することができるので、2色同時観察が可能となる。なお、ダイクロイックミラー412により、第1検出波長領域の蛍光が反射され、第2検出波長領域の蛍光が透過する構成としても良い。
図17はさらに他の顕微鏡システム18の構成を示す図であり、図18は各蛍光物質の励起・蛍光スペクトル、ポンプ光、プローブ光および検出波長領域の波長の関係を示す。顕微鏡システム18も顕微鏡システム16と同様に、多色の蛍光による減衰蛍光観察に用いられる。例えば、顕微鏡システム18は、蛍光物質が二種類であって、プローブ光が共通でポンプ光が異なる場合に用いられる。顕微鏡システム18において顕微鏡システム16と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡システム18は、第1のポンプ光用のレーザ光源102に加えて、第2のポンプ光用のレーザ光源504と、第2のポンプ光とプローブ光とを合波するダイクロイックミラー506を有する。ダイクロイックミラー106は、第1のポンプ光を第2のポンプ光およびプローブ光に合波する。
図18に示すように、第1のポンプ光の波長は第1の蛍光物質の吸収スペクトルH内にあり、第1の蛍光物質を励起する。第2のポンプ光の波長は第2の蛍光物質の吸収スペクトルG内にあり、第2の蛍光物質を励起する。プローブ光の波長は第1の蛍光物質の蛍光スペクトルEと第2の蛍光物質の蛍光スペクトルFとの共通部分にあり、両方の蛍光物質において誘導放出を誘起する。ストークスシフトの大きな蛍光物質を用いてプローブ光を共通にすることで、光源数を減らして装置構成を簡便にすることができる。なお、標本186には第1および第2の蛍光物質が含まれている。
AOTF114はドライバ112から各光に応じた駆動電圧が印加されており、プローブ光をON状態とし、第1のポンプ光を周波数f1で強度変調し、第2のポンプ光を周波数f4で強度変調する。AOTF114で回折した光のうち、プローブ光はダイクロイックミラー141を透過するとともに、第1および第2のポンプ光はダイクロイックミラー141で反射される。プローブ光はAOM124で周波数f2で強度変調される。一方、第1および第2のポンプ光はAOM124を迂回するようにミラー142、143で反射されてダイクロイックミラー144でポンプ光と合波される。第1のポンプ光、第2のポンプ光およびプローブ光は、ダイクロイックミラー402を透過し、走査部150を経て、対物レンズ164により標本186に集光される。周波数f1、f2、f4は互いに異なるように設定される。
第1のポンプ光をIPump1、第2のポンプ光をIPump2、プローブ光をIProbeとすると、それぞれの時間波形は、下記の通り表される。
なお、I1、I2、I3はそれぞれ、第1のポンプ光、第2のポンプ光、プローブ光の光強度である。
顕微鏡システム18は、ダイクロイックミラー144と走査部150との間にダイクロイックミラー402を有する。ダイクロイックミラー402は、第1の蛍光物質からの蛍光を検出する波長領域(第1検出波長領域)および第2の蛍光物質からの蛍光を検出する波長領域(第2検出波長領域)を含む波長領域を反射する。
ダイクロイックミラー402により反射された光の光路上にはさらにダイクロイックミラー412が配される。ダイクロイックミラー412は、第1検出波長領域を含む波長領域を透過し、第2検出波長領域を含む波長領域を反射する。
ダイクロイックミラー412を透過した第1の蛍光物質からの蛍光は光学フィルタ404で第1検出波長領域以外の波長領域がカットされ、レンズ406を通って受光部410で受光される。受光部410で光電変換された受光信号はロックインアンプ134でロックイン検出される。
一方、ダイクロイックミラー412で反射した第2の蛍光物質からの蛍光は光学フィルタ414で第2検出波長領域以外の波長領域がカットされ、レンズ416を通って受光部420で検出される。受光部420で光電変換された受光信号はロックインアンプ135でロックイン検出される。
受光部410で受光される信号と、受光部420で受光される信号をそれぞれIRF1,IRF2とすると、
これより、ロックインアンプ134ではf1+f2で、ロックインアンプ135ではf4+f2で、それぞれ復調することが望ましい。
図18においても、蛍光のクロストークが課題になる。しかしながら、第2検出波長領域に混入する第1の蛍光物質からの減衰蛍光の信号は、周波数f1+f2で生じるのに対し、第2検出波長領域で取得したい第2の蛍光物質からの減衰蛍光の信号は周波数f4+f2で生じる。従って、第2検出波長領域の復調周波数をf4+f2とすることで、蛍光のクロストークを抑制することができる。このように、2つのポンプ光の変調周波数をそれぞれ異なる値に設定することによって、蛍光信号のクロストークを抑制することができるので、2色同時観察が可能となる。
ストークスシフトが小さい等の理由により、多色観察において励起のクロストークが問題となる場合に同時観察を実現するための好ましい形態について述べる。図19にストークスシフトが小さい場合の吸収・蛍光スペクトルと検出波長領域の関係を示す。
図19の例において、第1のポンプ光の波長は第1の蛍光物質の吸収スペクトルKに、第2のポンプ光の波長は第2の蛍光物質の吸収スペクトルLにそれぞれ位置している。プローブ光は誘導放出を誘起するために、第1の蛍光物質の蛍光スペクトルIと第2の蛍光物質の蛍光スペクトルJに位置している。また、第1検出波長領域は第1蛍光物質の蛍光スペクトルIのピークを含むように、第2波長領域は第2蛍光物質の蛍光スペクトルJのピークを含むように設定されている。
図20に第1検出波長領域、第2検出波長領域のそれぞれにおいて、観測されうる蛍光と蛍光物質の関係を示す。各検出波長領域において、4種類の信号が観測される可能性がある。
第1検出波長領域においては、蛍光A,B,C,Dの4つの信号が検出される可能性がある。このうち、検出したい信号は、第1のポンプ光によって励起される第1の蛍光物質からの蛍光Aである。従って、これ以外の蛍光を除去することが望ましい。蛍光BとDは、第1検出波長領域から第2の蛍光物質からの蛍光スペクトルが外れるように、第1検出波長領域を設定することで除去できる。蛍光Cは復調周波数の違いを利用することで除去できる。
第2検出波長領域においては、蛍光A',B',C',D'の4つの信号が検出される可能性がある。このうち、検出したい信号は、第2のポンプ光によって励起される第2の蛍光物質からの蛍光D'である。従って、これ以外の蛍光を除去することが望ましい。蛍光A'とB'は復調周波数の違いを利用することで除去できる。これについて、下記に詳細を述べる。
第1のポンプ光、第2のポンプ光およびプローブ光の時間波形は式(2.6)-(2.8)で表される。第1のポンプ光により第1の蛍光物質から生じた蛍光A'と第1のポンプ光により第2の蛍光物質から生じた蛍光B'の時間波形をIRF1とすると、
一方、所望の信号光である蛍光D'の時間波形をIRF2とすると、
従って、f4+f2で復調することにより、蛍光A',B'の影響を除去できる。
しかしながら、第2検出波長領域において、第2のポンプ光によって励起される第1の蛍光物質からの蛍光C'は所望の信号光である蛍光D'と同じ周波数を持つので、周波数による分離はできない。この場合は、第2のポンプ光が第1の蛍光物質を励起しないようにすることが望ましい。それが難しい場合には、第1の蛍光物質と第2の蛍光物質の蛍光寿命の差を利用して蛍光C'の混入を低減することが望ましい。蛍光寿命τ、復調周波数f、位相θの間には下記の関係が成り立つ。
図21(a)に復調周波数f=f4+f2で検出される、蛍光C'と蛍光D'の時間波形を示す。第1の蛍光物質, 第2の蛍光物質の蛍光寿命をそれぞれτ1、τ2とすると、位相はθ1, θ2となる。従って、ロックイン検出において、検出する信号の位相を蛍光D'に設定することで、蛍光C'の影響を低減することができる。図21(b)はロックイン検出される蛍光C'と蛍光D'の信号強度をフェーザ表示で表現している。ロックイン検出の位相としてθ2を選ぶことで、蛍光C'の大きさをcos(θ1−θ2)だけ低減することができる。また、第1のポンプ光が第2蛍光物質を励起し、第1検出波長領域に第2の蛍光物質の蛍光が混入する場合には、第1検出領域において、第1蛍光物質の位相に合わせてロックイン検出しても良い。また、上記位相による検出を、ポンプ光が共通でプローブ光が二種類ある場合(例えば図16に記載)に適用してもよい。
なお、(i)第1検出波長領域に、第1のポンプ光による第2の蛍光物質からの蛍光が混入せず、かつ、(ii)第2検出波長領域に、第2のポンプ光による第1の蛍光物質からの蛍光が混入しない場合には、受光部は1つでも良い。上記、(i)(ii)の条件を満たさない場合には、図17に示すようにダイクロイックミラー412により、蛍光帯域を分離して、それぞれの蛍光を取得することが望ましい。
図22は、図15から図21の2色観察に用いられるGUI画面360を示す。チェックボックス362、364で蛍光物質の選択を受け付ける。選択された蛍光物質に対応付けて記憶部226に記憶されている波長を読み出し、表示欄366から372にそれぞれ波長が表示される。さらに、選択された蛍光物質の励起・蛍光スペクトルと、ポンプ光、プローブ光および検出波長領域の関係が表示欄374表示される。なお、自動設定に代えて、ユーザが任意に、光源波長や検出波長領域を選ぶこともできる。
図23はさらに他の顕微鏡システム20の構成を示す図である。顕微鏡システム20において上記顕微鏡システム10等と同一の構成については同一の参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡システム20では、ドライバ552とAOTF554を有する強度変調部550が配されている。単一のAOTF554によりポンプ光とプローブ光の両方が強度変調される。この場合に当該AOTF554においてポンプ光がf1で、プローブ光がf2でそれぞれ強度変調され、それにより発生した蛍光をロックインアンプ134においてf1+f2の復調周波数で復調する。これにより、簡便な構成で減衰蛍光の観察画像を取得することができる。
図24はさらに他の顕微鏡システム22の構成を示す図である。顕微鏡システム22において上記顕微鏡システム10等と同一の構成については同一の参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡システム22では、第1のポンプ光用のレーザ光源102に加えて、第2のポンプ光用のレーザ光源504と、第2のポンプ光をプローブ光に合波するダイクロイックミラー506を有する。ダイクロイックミラー106は、第1のポンプ光を第2のポンプ光およびプローブ光に合波する。さらに、顕微鏡システム20と同様に、強度変調部550が配されている。単一のAOTF554により二種類のポンプ光およびプローブ光の全てが強度変調される。この場合に当該AOTF554において第1のポンプ光がf1で、第2のポンプ光がf4で、プローブ光がf2でそれぞれ強度変調される。顕微鏡システム16と同様に、第1のポンプ光に対応する蛍光を受光部410で受光し、ロックインアンプ134においてf1+f2の復調周波数で復調する。一方、第2のポンプ光に対応する蛍光を受光部420で受光し、ロックインアンプ135においてf4+f2の復調周波数で復調する。これにより、簡便な構成で減衰蛍光の多色の観察画像を取得することができる。
図25はさらに他の顕微鏡システム24の構成を示す図である。顕微鏡システム24において上記顕微鏡システム10等と同一の構成については同一の参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡システム24では、ポンプ光用のレーザ光源102に対して強度変調部560が設けられ、プローブ光用のレーザ光源104に対して強度変調部570が設けられる。強度変調部560は、ドライバ562とAOM564を有しており、ポンプ光をf1で強度変調する。また、強度変調部570は、ドライバ572とAOM574を有しており、プローブ光をf2で強度変調する。さらに、強度変調されたポンプ光とプローブ光とはミラー452およびダイクロイックミラー450により合波される。受光部410で受光された蛍光はロックインアンプ134においてf1+f2の復調周波数で復調する。これにより、高い変調周波数で復調でき、従って減衰蛍光の観察画像を取得する時間を短くすることができる。
図26はさらに他の顕微鏡システム26の構成を示す図である。顕微鏡システム26において上記顕微鏡システム10等と同一の構成については同一の参照番号を付して説明を省略する。
顕微鏡システム26では、第1のポンプ光用のレーザ光源102に対して強度変調部560が設けられ、プローブ光用のレーザ光源104に対して強度変調部570が設けられ、第2のポンプ光用のレーザ光源504に対して強度変調部580が設けられる。強度変調部560は第1のポンプ光をf1で強度変調し、強度変調部570はプローブ光をf2で強度変調する。さらに、強度変調部580は、ドライバ582とAOM584を有し、第2のポンプ光をf4で強度変調する。強度変調された第1のポンプ光、第2のポンプ光およびプローブ光は、ミラー458、460およびダイクロイックミラー454、456により合波される。顕微鏡システム16と同様に、第1のポンプ光に対応する蛍光を受光部410で受光し、ロックインアンプ134においてf1+f2の復調周波数で復調する。一方、第2のポンプ光に対応する蛍光を受光部420で受光し、ロックインアンプ135においてf4+f2の復調周波数で復調する。これにより、多色観察においても、高い変調周波数で復調でき、従って減衰蛍光の観察画像を取得する時間を短くすることができる。
なお、顕微鏡システム12、14、16、18、20、22、24および26において走査部150に代えて、図6の走査部151または図7の走査部156が用いられてもよい。
また、顕微鏡システム10等においてAOTF114でON状態としたプローブ光をAOM124で変調したが、AOTF114によってプローブ光をf1で変調して、AOM124によってポンプ光をf2で変調する構成としても良い。
また顕微鏡システム10から26においてAOM124等の代わりに、チョッパーなどのメカニカルシャッターを用いて強度変調しても良い。変わりに、EOM(電気光学素子)と偏光子を用いて、偏光方向を高速に切り替えることで、強度変調しても良い。
レーザ光源102等として連続発振方式を用いたが、パルスレーザを用いてもよい。パルスレーザの方がピーク強度が大きいので誘導放出が効率よく生じ、減衰蛍光信号も効率良く生じるという利点がある。なお、パルスの繰り返し周波数は蛍光寿命やパルスのピークパワーによるダメージを考慮して決定されることが望ましい。一方、CWレーザの方が価格が安いという利点がる。また、受光部174等として光電子増倍管を用いたが、アバランシェフォトダイオード(APD)を用いても良い。
図27は他の光源101の例を示す。光源101においてレーザ光源104、102はパルスレーザである。これらのパルスレーザを用いて、蛍光寿命を測定する。光源101において、プローブ光用レーザ光源104から出力された光をミラー470で反射させ、光学ディレイステージ700に入射させる。光学ディレイステージ700は矢印方向に移動可能であり、ミラー471とミラー472により構成されている。光学ディレイステージを矢印方向に平行移動することで、プローブ光の光路長が変化し、ポンプ光とプローブ光の光パルスに時間差をつけることができる。ミラー470で反射した光は、ミラー471とミラー472で反射し、ミラー470から導入された光に対して平行にミラー473へ導かれる。ミラー473を反射した光はダイクロイックミラー106によって、ポンプ光と合成される。以降は図1と同様である。
光学ディレイステージ700を平行移動したときのポンプ光パルスとプローブ光パルスとの時間差および蛍光の時間波形の様子を図28に示す。(a)−(c)は光学ディレイステージ700の移動量dzとパルスの時間差の関係を示している。移動量dzが小さいと時間差も小さく、移動量dzが大きくなると時間差も大きくなる。(d)はポンプ光によって生じる蛍光の時間波形を示している。蛍光は寿命に従ってこのように指数関数的に減少するのが一般的に知られている。誘導放出によって蛍光を減衰させるためには、ポンプ光に対するプローブ光の時間差は蛍光の発光持続時間よりも短い必要がある。また、時間差が短いほど、蛍光が多く減少するので、減衰蛍光信号も大きくなる。従って、光学ディレイステージ700によって時間差をつけて、各時間差で減衰蛍光信号を取得することで、蛍光寿命を測定することができる。この様子を図29に示す。減衰蛍光信号が、蛍光寿命を反映する様子を示している。イメージングにおいて、複数の時間差で減衰蛍光像を取得することで、蛍光寿命イメージングができる。
また、上記実施形態において励起には一光子励起を用いたが、二光子励起、三光子励起といった多光子励起を用いても良い。
上記実施形態において、減衰蛍光観察時、デスキャンにより蛍光を検出する構成において、ピンホール408等を絞る構成としても良い。その結果、結像系の点像分布関数も光学分解能向上に寄与するため、さらなる分解能向上が可能となる。光量が十分確保される明るい蛍光を観察する場合には、ピンホール408等を絞る構成とすることが望ましい。一方で、光量が十分に確保されない暗い蛍光を観察する場合には、ピンホール408等を開放することが望ましい。また、図15から図26に示す顕微鏡システム14から26においてデスキャン光学系を有しかつピンホール408、418等が配されているので、共焦点顕微鏡としても用いることができる。
また、広視野観察時において倍率色収差によりポンプ光とプローブ光の面内方向のスポットズレが問題となる場合や、深部観察において軸上色収差によりポンプ光とプローブ光の光軸方向のスポットずれが問題となる場合は、ポンプ光のビーム径をプローブ光のビーム径に比べて細く(小さく)することが望ましい。これにより、ポンプ光のスポットが面内方向・光軸方向に広がり、ビームのオーバーラップがより容易になる。なお、ポンプ光のビーム径を細くする理由は、ポンプ光はプローブ光に比べて波長が短いことから、同一の対物レンズにおいて同一のビーム径でスポットを生成した際に、ポンプ光の方がプローブ光に比べてスポット径が小さいためである。
また、顕微鏡システム10、20、22、24、26においても、顕微鏡システム14等と同様に、波長制御部230を設けてレーザ光源の光の波長を制御してもよい。
なお、ダイクロイックミラー162、402は照射光を透過して蛍光を反射するが、これに代えて、照射光を反射して蛍光を透過するようにしてもよい。また、ダイクロイックミラー162、402等のダイクロイックミラーは、予め定められた波長の光を他の波長の光から分離する波長分離部材の一例である。
なお、特定の周波数の信号成分を検出する方式としてロックインアンプについて説明したが、他の方法でも良い。例えば、時間信号をフーリエ変換することで特定の周波数の信号成分を検出しても良い。例えば、周波数変換器により、復調周波数を持つ参照信号と信号光を乗算し、直流成分のみを抽出する構成としても良い。なお、ここでいう直流成分とは、正弦波の振動成分を直流に変換した値に相当する。
なお、ポンプ光とプローブ光の偏光は同一であることが望ましい。例えば、同一の直線偏光、円偏光であることが望ましい。あるいは、ポンプ光とプローブ光の偏光を直交する直線偏光とした場合と、平行な直線偏光とした場合でそれぞれ減衰蛍光像を取得し、両者を比較することで、標本の偏光特性を可視化する構成としても良い。これは、誘導放出の効率が偏光に依存するためである。
10、12、14、16、18、20、22、24、26 顕微鏡システム
100、101 光源
102、104、500、504 レーザ光源
106、141、144、162、402、412、450、454、456、506 ダイクロイックミラー
110 第1強度変調部
112 ドライバ
114 音響光学チューナブルフィルタ
120 第2強度変調部
122 ドライバ
124 音響光学素子
130 制御部
132 発振器
134、135 ロックインアンプ
136、137 検出部
140 照明光学系
142、143、154、155、157、452、458、460 ミラー
150、151、156 走査部
152 レゾナントスキャナ
153 ガルバノスキャナ
160 観察光学系
164 対物レンズ
166、404、414 光学フィルタ
406、416 レンズ
172、173 レンズペア
174、410、420 受光部
180 ステージ
182 スライドガラス
184 観察対象物
186 標本
220 入力部
222 画像生成部
224 表示部
226 記憶部
228 スキャナ制御部
229 周波数制御部
230 波長制御部
300、350、360 GUI画面
302、304、312、316、324、352、362、364 チェックボックス
354、356、358、366、374 表示欄
308、310、314、318、320、322、326 入力欄
330、332 観察画像
334、335 タイムラプス画像
408、418 ピンホール
550、560、570、580 強度変調部
552、562、572、582 ドライバ
554 AOTF
564、574、584 AOM

Claims (27)

  1. 標本に含まれる第1の蛍光物質を励起する第1の光を周波数f1で強度変調し、前記第1の蛍光物質と種類が異なる第2の蛍光物質を励起する第4の光を前記周波数f1と異なる周波数f4で強度変調する第1の強度変調部と、
    前記第1の蛍光物質および前記第2の蛍光物質において誘導放出を生じさせる第2の光を前記周波数f1および前記周波数f4とは異なる周波数f2で強度変調する第2の強度変調部と、
    前記第1の光および前記第2の光を前記標本において走査する走査部と、
    前記標本からの蛍光を検出する検出部と
    を備え、
    前記走査部は、共振ミラーを有するレゾナントスキャナを有し、
    前記検出部は、
    前記標本からの蛍光を受光し、周波数f1+f2の成分および周波数f4+f2の成分を検出する
    顕微鏡システム。
  2. 前記検出部は、
    前記標本からの蛍光を受光する受光部と、
    前記受光部で受光した蛍光を前記周波数f1+f2、および、前記周波数f4+f2でロックイン検出するロックインアンプ
    を備える
    請求項1に記載の顕微鏡システム。
  3. 標本に含まれる第1の蛍光物質および前記第1の蛍光物質と種類が異なる第2の蛍光物質を励起する第1の光を周波数f1で強度変調する第1の強度変調部と、
    前記第1の蛍光物質において誘導放出を生じさせる第2の光を前記周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調し、前記第2の蛍光物質において誘導放出を生じさせる第3の光を前記周波数f1および前記周波数f2と異なる周波数f3で強度変調する第2の強度変調部と、
    前記第1の光および前記第2の光を前記標本において走査する走査部と、
    前記標本からの蛍光を検出する検出部と
    を備え、
    前記走査部は、共振ミラーを有するレゾナントスキャナを有し、
    前記検出部は、
    前記標本からの蛍光を受光し、周波数f1+f2の成分および周波数f1+f3の成分を検出する
    顕微鏡システム。
  4. 前記検出部は、
    前記標本からの蛍光を受光する受光部と、
    前記受光部で受光した蛍光を前記周波数f1+f2、および、前記周波数f1+f3でロックイン検出するロックインアンプ
    を備える
    請求項3に記載の顕微鏡システム。
  5. 前記走査部は、主走査方向を走査する共振ミラーと副走査方向を走査するガルバノミラーとを有する
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  6. 前記走査部と、前記標本との間に対物レンズが設けられ、
    前記対物レンズと、前記走査部との間に第1の波長分離部材が設けられ、
    前記検出部は、前記第1の波長分離部材を透過又は反射した蛍光を検出する
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  7. 光源と、前記走査部との間に第2の波長分離部材が配置され、
    前記検出部は、前記第2の波長分離部材を透過又は反射した蛍光を検出する
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  8. 前記第2の波長分離部材と前記検出部との間に、開口部を有する開口部材が設けられ、
    前記開口部材の開口部の大きさは可変である
    請求項7に記載の顕微鏡システム。
  9. 前記走査部は、前記レゾナントスキャナとガルバノスキャナとが選択可能に構成されている
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  10. 前記第1の光のビーム径は、第2の光のビーム径よりも小さい
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  11. 前記第1の蛍光物質と第1の光の波長とを対応付けた情報と、前記第1の蛍光物質と第2の光の波長とを対応付けた情報とを記憶する記憶部と、
    前記第1の蛍光物質の選択を受け付ける受付部と
    制御部と
    をさらに備え、
    前記制御部は、
    前記記憶部を参照して、前記受付部により受け付けられた前記第1の蛍光物質に対応する前記第1の光および第2の光の波長を決定する
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  12. 前記記憶部は、
    前記第1の蛍光物質と第1の光の波長と前記第1の光の変調周波数とを対応付けた情報と、前記第1の蛍光物質と前記第2の光の波長と前記第2の光の変調周波数とを対応付けた情報とを記憶し、
    前記制御部は、
    前記記憶部を参照して、前記受付部により受け付けられた前記第1の蛍光物質に対応する前記第1の光および前記第1の光の変調周波数と、第2の光の波長および前記第2の光の変調周波数を決定する
    請求項11に記載の顕微鏡システム。
  13. 前記第1の強度変調部および前記第2の強度変調部の一方は音響チューナブルフィルタを有し、他方は音響光学素子を有する
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  14. 前記周波数f1+f2の成分および前記周波数f1+f3の成分の少なくとも一方の成分について、所定の位相で検出する
    請求項3を引用する請求項5〜13、請求項3、および、請求項4、のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  15. 前記周波数f1+f2の成分および前記周波数f4+f2の成分の少なくとも一方の成分について、所定の位相で検出する
    請求項1を引用する請求項5〜13、請求項1、および、請求項2、のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  16. 前記検出部にて検出した蛍光に基づき蛍光寿命を測定する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  17. 前記第1の蛍光物質および前記第2の蛍光物質の励起において、多光子励起を用いる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  18. 標本に含まれる第1の蛍光物質を励起する第1の光を前記標本に照射し、前記標本からの蛍光を検出部において受光させる
    第1の観察方法と、
    前記第1の光を周波数f1で強度変調し、前記第1の蛍光物質と種類が異なる第2の蛍光物質を励起する第4の光を前記周波数f1と異なる周波数f4で強度変調して前記標本に照射し、
    前記第1の蛍光物質および前記第2の蛍光物質において誘導放出を生じさせる第2の光を前記周波数f1および前記周波数f4とは異なる周波数f2で強度変調して前記標本に照射し、
    前記検出部において前記標本からの蛍光を受光させ、周波数f1+f2の成分および周波数f4+f2の成分を検出させる
    第2の観察方法と
    が選択可能に構成された顕微鏡システム。
  19. 標本に含まれる第1の蛍光物質および前記第1の蛍光物質と種類が異なる第2の蛍光物質を励起する第1の光を前記標本に照射し、前記標本からの蛍光を検出部において受光させる
    第1の観察方法と、
    前記第1の光を周波数f1で強度変調して前記標本に照射し、
    前記第1の蛍光物質において誘導放出を生じさせる第2の光を前記周波数f1とは異なる周波数f2で強度変調し、前記第2の蛍光物質において誘導放出を生じさせる第3の光を前記周波数f1および前記周波数f2と異なる周波数f3で強度変調して前記標本に照射し、
    前記検出部において前記標本からの蛍光を受光させ、周波数f1+f2の成分および周波数f1+f3の成分を検出させる
    第2の観察方法と
    が選択可能に構成された顕微鏡システム。
  20. 前記検出部と前記標本との間には、開口部を有する開口部材が設けられ、
    前記開口部材の開口部の大きさは可変である
    請求項18又は19に記載の顕微鏡システム。
  21. 対物レンズを有し、
    前記開口部材は、前記検出部と前記対物レンズとの間に設けられている
    請求項20に記載の顕微鏡システム。
  22. 前記対物レンズと前記検出部との間に走査部を有し、
    前記開口部材は、前記検出部と前記走査部との間に設けられている
    請求項21に記載の顕微鏡システム。
  23. 前記走査部と前記検出部との間に波長分離部材を有し、
    前記開口部材は、前記検出部と前記波長分離部材との間に設けられている
    請求項22に記載の顕微鏡システム。
  24. 前記第1の観察方法における前記開口部の前記開口部の大きさは、前記第2の観察方法における前記開口部の大きさよりも小さい
    請求項20〜23のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  25. 前記蛍光物質の種類に基づいて、前記第1の観察方法または第2の観察方法が選択されるように構成されている
    請求項20〜24のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  26. 前記検出部にて検出した蛍光に基づき蛍光寿命を測定する、請求項18〜25のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  27. 前記第1の蛍光物質および前記第2の蛍光物質の励起において、多光子励起を用いる、請求項18〜26のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
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