JPWO2018079651A1 - 偏光素子、並びにこれを用いた偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光素子、並びにこれを用いた偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

高透過率及び高偏光度を有する偏光素子並びにこれを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することを目的とする。式(1a)又は(1b)で表されるアゾ化合物又はその塩と、式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩とを含有する偏光素子を提供する。

Description

本発明は、染料系偏光素子、並びにこれを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
偏光素子は一般に、二色性色素であるヨウ素又は二色性染料をポリビニルアルコール系樹脂フィルムに吸着配向させることにより製造されている。この偏光素子に接着剤層を介してトリアセチルセルロースなどからなる保護フィルムを貼合して得られる偏光板は、液晶表示装置などに用いられる。二色性色素としてヨウ素を用いた偏光板はヨウ素系偏光板と呼ばれ、一方、二色性色素として二色性染料、例えば二色性を有するアゾ化合物を用いた偏光板は染料系偏光板と呼ばれる。これらのうち染料系偏光板は、高耐熱性、高湿熱耐久性、及び高安定性を有し、また、色素の配合による色の選択性が高いという特徴がある一方で、同じ偏光度を有するヨウ素系偏光板と比較して透過率及びコントラストが低いという問題があった。このため高い耐久性を維持し、色の選択性が多様であることに加え、より高い透過率で、高い偏光特性を有する偏光素子が望まれている。
さらに、色の選択性が多様である染料系偏光板であっても、これまでの偏光素子は、2枚の偏光素子の吸収軸方向が互いに平行な位置関係(以下、「平行位」とも称する。)になるように重ねて配置して白色を示す際(以下、「白表示時」又は「明表示時」とも称する。)に、白色が黄色味を帯びた白色を呈するという問題があった。この白色が黄色味を帯びるという問題を改善するため、黄色味を抑えて作製された偏光素子であっても、これまでの偏光板は、偏光度又はコントラストが低く、かつ、耐久性が非常に低いという問題点があった。
これまでの偏光板は、高品位な白色、通称、ペーパーホワイト色を示しながら高偏光度及び高コントラストを得ることが難しかった。これは偏光板を高コントラストにしようとすると、平行位において短波長側の透過率が低下、しいては吸収が増加することによって、偏光板が黄色味に呈することに起因する。つまり、平行位の透過率が可視域の各波長で一定でありながら、つまり、ペーパーホワイト色を示しながら高コントラスト化が難しかったためである。ペーパーホワイト色を実現することによって、表示ディスプレイのコントラストが向上するばかりかカラーフィルターを通して液晶ディスプレイを表示する際の明表示時の色再現性は高度に高くなる。ペーパーホワイトであるためには、平行位において透過率が波長によらずほぼ一定の値であることが必要であるが、同時に高コントラストでないと表示装置に用いるには表示品位が低下してしまう。そのため、ペーパーホワイトであると同時に、高いコントラストを有することが望まれていた。
ヨウ素系偏光板を例にして説明すると、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」とも称する。)を基材とし、二色性色素としてヨウ素を用いたヨウ素系偏光板は、一般的に、480nm及び600nmを中心とした吸収を有する。480nmの吸収は、ポリヨウ素I とPVAとの錯体、600nmの吸収はポリヨウ素I とPVAとの錯体に起因すると言われている。各波長における偏光度(二色性)は、ポリヨウ素I とPVAとの錯体に基づく偏光度(二色性)の方が、ポリヨウ素I とPVAとの錯体に基づく偏光度(二色性)よりも高い。つまり、直交位の透過率を各波長において一定にしようとすると、平行位の透過率が480nmと比べて600nmの方が高くなり、白表示時に白色が黄色く着色する現象が起こってしまっていた。逆に、平行位の透過率を一定にしようとすると、直交位の透過率が480nmと比べて600nmの方が低くなるため、黒表示時に黒色が青色に着色しコントラストが非常に低下してしまうという問題が生じていた。また、さらに平行位の透過率を一定にしたヨウ素系偏光板は、直交時の黒色重視の偏光板よりも著しく耐久性が低い。これは、ヨウ素系偏光板が一般に耐久性が低いにも関わらず、平行位の透過率を一定にした偏光板はさらに耐久性が低いことを示す。白表示時に白色が黄色を呈している場合、一般的に劣化が進んだような印象を与えるため好ましいとは言えない。また、黒表示時に青い色が抜ける場合、明瞭な黒でないため高級感がないような印象を与え、コントラストが低下し、かつ、耐久性が著しく低下する。また、ヨウ素系編偏光板では、主に視感度の高い550nm付近には、その波長に吸収を有する錯体がないために、色相の制御が難しい。このように、各波長の偏光度(二色性)が一定でないために、偏光度の波長依存性が生じてしまっていた。また、ヨウ素とPVAとの錯体による吸収である480nmと600nmの2つの二色性色素しかないため、ヨウ素とPVAからなるヨウ素系偏光板では色相の調整も出来なかった。
ヨウ素系偏光板の色相を改善する方法は、特許文献1又は特許文献2に記載されている。特許文献1には、ニュートラル係数を算出し、絶対値が0から3である偏光板が記載されている。特許文献2には、410nmから750nmにおける透過率をその平均値の±30%以内にし、ヨウ素に加えて、直接染料、反応染料、又は酸性染料を添加して着色調整してなる偏光膜が記載されている。
また、ヨウ素系偏光板の色相の問題に対して、平行位及び直交位で無彩色の染色系偏光板も開発されている(例えば、特許文献3)。
特開2002−169024号公報 特開平10−133016号公報 WO2014/162635
しかし、特許文献1の偏光板は、実施例から分かるように、ニュートラル係数(Np)が低くても、JIS Z 8729から求められる平行位の色相が、a*値が−2から−1、かつ、b*値が2.5から4.0であることから、白表示時に黄緑色を呈していることが分かる。また、直交位の色相はa*値が0から1ではあるが、b*値が−1.5から−4.0であることから、黒表示が青色を呈している偏光板になってしまっている。
また、特許文献2の偏光膜は、偏光膜1枚のみを用いて測定されたUCS色空間におけるa値及びb値を絶対値2以下にして得られるものであり、偏光膜を2枚重ねた際の白表示時及び黒表示時の両方の色相において同時に無彩色を表現できるものではなく、コントラストも非常に低い。また、特許文献2の偏光膜の単体透過率の平均値は、実施例1で31.95%、実施例2で31.41%であり、低い値を示していた。このように、特許文献2の偏光膜は透過率が低いため、高透過率及び高コントラストを求められる分野、特に、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンスなどの分野では十分な性能を有するものではなかった。さらに、特許文献2の偏光膜は、主たる二色性色素としてヨウ素を用いていることから、耐久性試験後、特に、湿熱耐久性試験(例えば、85℃、相対湿度85%の環境)後に色変化が大きく、耐久性が劣っていた。
一方、染料系偏光板は、耐久性に優れているが、波長依存性が平行位と直交位で異なることは、ヨウ素系偏光板と同様である。平行位及び直交位で同じ色相を示す二色性を示すアゾ化合物はほぼ皆無であり、存在したとしてもコントラスト(又は偏光度)は低い。二色性を有するアゾ化合物の種類によっては、白表示時の白色が黄色を呈し、黒表示時の黒色が青色を呈し、コントラストが低下するなど、直交位及び平行位で波長依存性が全く異なるアゾ化合物が多く存在する。また、光の明暗(透過率)によっても人の色の感受性が異なるため、仮に、染料系偏光板の色補正をするとしても、光の明暗のそれぞれに適した色補正が必要である。ペーパーホワイト色の偏光板は、平行位において、透過率が各波長でほぼ一定の値であり波長依存性がない状態でなければ達成することができない。さらに、高透過率及び高コントラストを有する偏光素子を得るためには、一定の透過率を平行位で満たすことに加えて、各波長の偏光度(二色比)を高くする必要がある。アゾ化合物1種を偏光素子に応用した場合でも、その波長依存性を考慮して、さらなるアゾ化合物を配合して、それらの透過率と二色比などの関係を精密に制御しなければならない。
一方で、たとえ平行位の透過率を精密に制御し一定に出来たとしても、高透過率かつ高コントラストを実現することは未だ出来ていなかった。つまり、高透過率になればなるほど高コントラスト化することが困難であり、高透過率かつ高コントラストなペーパーホワイト色を有する偏光板は達成できていなかった。高透過率かつ高コントラストなペーパーホワイト色な偏光板を得ることは非常に難しく、単に色の三原色の二色性色素を適用すれば達成しうるものではない。特に、平行位における一定の透過率及び高い二色性を同時に実現することは非常に困難を極める。白は僅かに色が入るだけでも、高品位な白を表現できない。また、明状態である時の白は、輝度が高く、感度も高いため、特に重要である。よって、偏光素子として、白表示時に高品位な紙のような無彩色の白色を示し、高コントラストを示すとともに、単体透過率35%以上及び高偏光度を有する偏光素子が求められている。特許文献3においても白表示時及び黒表示時に無彩色な偏光板が記載されているが、さらなる性能の向上が望まれている。
従って、本発明の目的は、白表示時にペーパーホワイト色を示すとともに、高透過率及び高コントラストである高性能な偏光素子並びにこれを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のアゾ化合物の配合によって、高透過率及び白表示時にペーパーホワイト色を示すとともに、高コントラストである高性能な偏光素子を作製し得ることを見出した。本発明者は、高い透過率であっても可視光領域における波長非依存性を達成しうることを初めて見出し、高品位な紙のような品位の白色、通称、ペーパーホワイトを実現し得るより高い偏光度を有する偏光素子を開発した。
すなわち、本発明は、以下の[発明1]〜[発明12]に関する。
[発明1]
式(1a)又は(1b)で表されるアゾ化合物又はその塩と、式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩とを含有する偏光素子。

(式中、Arは、置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を示し、RrからRrは各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。)

(式中、Avは、スルホ基及びカルボキシ基から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を示し、RvからRvは、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、Xvは、低級アルキル、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有していてもよいアミノ基、フェニルアミノ基、フェニルアゾ基、ナフトトリアゾール基、又はベンゾイルアミノ基を示す。)

(式中、Agは置換基を有するフェニル基又はナフチル基を示し、Bg及びCgは、各々独立に、式(BC−N)又は式(BC−P)で表され、少なくとも一方が式(BC−N)を示し、Xgは、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、又は置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基を示す。)

(式中、Rgは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、kは0〜2の整数を示す。)

(Rg及びRgは各々独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。)
[発明2]
少なくとも1種の式(1a)で表される化合物又はその塩と少なくとも1種の式(1b)で表される化合物又はその塩との両方を含有する、発明1に記載の偏光素子。
[発明3]
Cgが、式(BC−N)で表される発明1又は2に記載の偏光素子。
[発明4]
式(2)で表されるアゾ化合物が式(2’)で表される発明1〜3のいずれかに記載の偏光素子。

(式中、Ag及びXgは式(2)で定義した通りであり、Rg及びRgは、式(BC−N)のRgについて定義した通りであり、k及びkは、式(BC−N)のkについて定義した通りである。)
[発明5]
式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩をさらに含有する発明1〜4のいずれかに記載の偏光素子。

(式中、Ayは、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示し、RyからRyは各々独立に、水素原子、スルホ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示し、pは1〜3の整数を示す。)
[発明6]
前記偏光素子が、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを基材として含む発明1〜5のいずれかに記載の偏光素子。
[発明7]
JIS Z 8781−4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められるa*値及びb*値の絶対値が、
前記偏光素子単体で、ともに5.0以下であり、
前記偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて配置した状態で、ともに2.0以下である、
発明1〜6のいずれかに記載の偏光素子。
[発明8]
前記偏光素子2枚を吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて測定して求められる420nmから480nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が2.5%以下であり、かつ、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が2.0%以下である、発明1〜7のいずれかに記載の偏光素子。
[発明9]
前記偏光素子の単体透過率が35%から65%であり、
前記偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて配置した状態で求められる520nmから590nmの平均透過率が25%から45%である、
発明1〜8のいずれかに記載の偏光素子。
[発明10]
発明1〜9のいずれかに記載の偏光素子と、前記偏光素子の片面又は両面に設けられた透明保護層とを備える偏光板。
[発明11]
発明1〜9のいずれかに記載の偏光素子又は発明10に記載の偏光板を備える液晶表示装置。
本発明は、白表示時にペーパーホワイトな色を示すとともに、高透過率及び高コントラストである高性能な偏光素子並びにこれを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
<偏光素子>
本発明に係る偏光素子は、式(1a)又は(1b)で表されるアゾ化合物と、式(2)で表されるアゾ化合物と、を含有する。任意に、式(1a)で表されるアゾ化合物及び(1b)で表されるアゾ化合物の両方を含有してもよい。任意に、式(3)で表されるアゾ化合物をさらに含有してもよい。
好ましくは、偏光素子は、これらのアゾ化合物又はその塩と、上記アゾ化合物又はその塩が吸着された基材とを含む。
基材は、二色性色素、特にアゾ化合物を吸着し得る親水性高分子を製膜して得られるフィルム等であることが好ましい。親水性高分子は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、アミロース系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、及びポリアクリル酸塩系樹脂、並びにこれらの誘導体などである。親水性高分子は、二色性色素の染色性、加工性及び架橋性などの観点からポリビニルアルコール系樹脂及びその誘導体であることが最も好ましい。基材に、アゾ化合物又はその塩を吸着させ、延伸等の配向処理を適用することによって、偏光素子を作製することができる。
次に、式(1a)について説明する。
式(1a)中、Arは置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表し、RrからRrは、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表す。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「低級」とは炭素数が1〜4個であることを示す。例えば、低級アルキル基とは、炭素数1〜4を有するアルキル基であることを示す。
式(1a)中、Arがフェニル基である場合には、スルホ基、カルボキシ基、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの置換基を有することが好ましく、スルホ基及びカルボキシ基から選択される少なくとも1つの置換基を有することがより好ましい。フェニル基が置換基を2つ以上有する場合には、その置換基の少なくとも1つがスルホ基又はカルボキシ基であり、他の置換基は、好ましくは、スルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基及び低級アルキルアミノ基置換アミノ基からなる群から選択され、より好ましくは、スルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、ニトロ基及びアミノ基からなる群から選択され、特に好ましくは、スルホ基、メチル基、メトキシ基、エトキシ基及びカルボキシ基からなる群から選択される。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシ基が好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。このようなスルホ基を有する低級アルコキシ基は、より好ましくは、3−スルホプロポキシ基又は4−スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3−スルホプロポキシ基である。
フェニル基が置換基としてスルホ基を有する場合、スルホ基の数は、1つ又は2つであることが好ましく、また、スルホ基の置換位置は特に限定されるものではないが、スルホ基が1つである場合にはフェニル基の4位が好ましく、スルホ基が2つである場合には、フェニル基の2位,4位の組合せ、又はフェニル基の3位,5位の組合せが好ましい。
式(1a)中、Arがナフチル基である場合には、その置換基としてスルホ基を少なくとも1つ有することが好ましい。ナフチル基が置換基を2つ以上有する場合には、その置換基の少なくとも1つがスルホ基であり、他の置換基は、好ましくは、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びスルホ基を有する低級アルコキシ基からなる群から選択される。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシ基が好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。このようなスルホ基を有する低級アルコキシ基は、より好ましくは3−スルホプロポキシ基又は4−スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3−スルホプロポキシ基である。
ナフチル基に置換されるスルホ基の数が2つである場合、アゾ基の置換位置を2位とした場合、スルホ基の置換位置は、ナフチル基の4位,8位の組合せ又は6位,8位の組合せが好ましく、6位,8位の組合せがより好ましい。ナフチル基に置換されるスルホ基の数が3つである場合、スルホ基の置換位置は、3位、6位、8位の組合せであることが好ましい。
式(1a)中、RrからRrは、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表す。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシ基が好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。RrからRrは、好ましくは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、3−スルホプロポキシ基、又は4−スルホブトキシ基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基、又は3−スルホプロポキシ基である。
RrからRrのフェニル基上の位置としては、好ましくは、フェニル基の2位のみ、5位のみ、2位と6位の組合せ、2位と5位の組合せ、及び3位と5位の組合せであり、特に好ましくは、2位のみ、5位のみ、及び2位と5位の組合せである。なお、「2位のみ」及び「5位のみ」とは、RrとRrに関しては、RrとRrの両方が2位又は5位に位置し、一方が水素原子以外の置換基であり、他方が水素原子であることを意味する。RrとRrについても同様である。
式(1a)で表されるアゾ化合物は、好ましくは、式(1a’)で表されるアゾ化合物である。式(1a’)で表されるアゾ化合物の使用により、偏光素子の偏光性能をより向上させることができる。

(式(1a’)中、Ar、及びRrからRrは、式(1a)について定義された通りである。)
次に、式(1b)について説明する。
式(1b)において、Avは、スルホ基及びカルボキシ基から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を表す。
Avがフェニル基である場合には、スルホ基又はカルボキシ基から選択される少なくとも1つの置換基を有する。フェニル基が置換基を2つ以上有する場合は、その置換基の少なくとも1つがスルホ基又はカルボキシ基であり、他の置換基は、好ましくは、スルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ベンゾイル基、アミノ基、アセチルアミノ基、及び低級アルキルアミノ基置換アミノ基からなる群から選択され、より好ましくは、スルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、3−スルホプロポキシ基、及び4−スルホブトキシ基からなる群から選択され、特に好ましくは、スルホ基、メチル基、メトキシ基、カルボキシ基、及び3−スルホプロポキシ基からなる群から選択される。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、上記の3−スルホプロポキシ基又は4−スルホブトキシ基のように、直鎖のアルコキシが好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。
フェニル基が置換基としてスルホ基を有する場合、スルホ基の数は、1つ又は2つであることが好ましく、また、スルホ基の置換位置は、特に限定されるものではないが、スルホ基が1つである場合には、フェニル基の4位が好ましく、スルホ基が2つである場合には、フェニル基の2位,4位の組合せ、又は3位,5位の組合せが好ましい。フェニル基が置換基としてカルボキシ基を有する場合、カルボキシ基の数は、1つ又は2つであることが好ましく、また、カルボキシ基の置換位置は、特に限定されるものではないが、カルボキシ基が1つである場合には、フェニル基の4位が好ましく、カルボキシ基が2つである場合には、フェニル基の2位,4位の組合せ、又は3位,5位の組合せが好ましい。
Avがナフチル基である場合には、その置換基としてスルホ基を少なくとも1つ有することが好ましい。ナフチル基が置換基を2つ以上有する場合には、その置換基の少なくとも1つがスルホ基であり、他の置換基は、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びスルホ基を有する低級アルコキシ基からなる群から選択されることが好ましい。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシが好ましく、また、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。このようなスルホ基を有する低級アルコキシ基は、より好ましくは3−スルホプロポキシ基又は4−スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3−スルホプロポキシ基である。
ナフチル基に置換されるスルホ基の数が2つである場合、アゾ基の置換位置を2位とした場合、スルホ基の置換位置は、ナフチル基の4位,8位の組合せ又は6位,8位の組合せが好ましく、6位,8位の組合せがより好ましい。ナフチル基に置換されるスルホ基の数が3つである場合、スルホ基の置換位置は、3位,6位,8位の組合せであることが好ましい。ナフチル基に置換されるスルホ基の数が1つである場合、スルホ基の置換位置は、ナフチル基の3位、4位、6位、8位等の置換位置が好ましい置換位置として挙げあれるが、これに限定されるものではない。
RvからRvは、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を表す。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖のアルコキシが好ましく、又は、スルホ基の置換位置はアルコキシ基の末端であることが好ましい。RvからRvは、各々独立して、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、3−スルホプロポキシ基、又は4−スルホブトキシ基であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシ基、カルボキシ基又は3−スルホプロポキシ基である。さらに、Rvが水素原子又はメチル基である場合、偏光素子又は偏光板の偏光性能はより向上するため好ましい。特に、Rv及びRvが水素原子及びメチル基である場合、偏光素子又は偏光板の偏光性能は飛躍的に向上するため好ましい。
Xvは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有していてもよい、アミノ基、フェニルアミノ基、フェニルアゾ基、ナフトトリアゾール基又はベンゾイルアミノ基を表す。
Xvが、置換基を有していてもよいアミノ基である場合、当該アミノ基は、非置換であるか、又は、好ましくは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有し、より好ましくは、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基、及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有する。ここで、置換基を有していてもよいアミノ基は、フェニルアミノ基等の環構造を有するアミノ基を除く。
Xvが、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基である場合、当該フェニルアミノ基は、非置換であるか、又は、好ましくは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有し、より好ましくは、メチル基、メトキシ基、スルホ基、及びアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ又は2つ有する。
Xvが、置換基を有していてもよいフェニルアゾ基である場合、当該フェニルアゾ基は、非置換であるか、又は、好ましくは、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を1〜3つ有し、より好ましくは、メチル基、メトシキ基、アミノ基、及びヒドロキシ基からなる群から選択される置換基を1〜3つ有する。
Xvが、置換基を有していてもよいナフトトリアゾール基である場合、当該ナフトトリアゾール基は、非置換であるか、又は、好ましくは、スルホ基、アミノ基、及びカルボキシ基からなる群から選択される置換基1つ又は2つを有し、より好ましくは、置換基としてスルホ基を1つ又は2つ有する。
Xvが、置換基を有していてもよいベンゾイルアミノ基である場合、当該ベンゾイルアミノ基は、非置換であるか、又は、好ましくは、ヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を1つ有し、より好ましくは、置換基としてヒドロキシ基又はアミノ基を1つ又は2つ有する。
Xvは、好ましくは、置換基を有していてもよいベンゾイルアミノ基又は置換基を有していてもよいフェニルアミノ基であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基である。置換基の位置は特に限定されないが、フェニルアミノ基が置換基を有する場合、置換基の1つはアミノ基に対してp位であることが好ましく、ベンゾイルアミノ基が置換基を有する場合、置換基の1つはカルボニル基に対してp位であることが好ましい。
式(1b)で表されるアゾ化合物は、特に、式(1b’)で表されるアゾ化合物であることが好ましい。式(1b’)で表されるアゾ化合物の使用により、偏光素子の偏光性能をより一層向上させることができる。
式(1b’)において、Av、Rv、RvからRv、及びXvは、式(1b)について定義された通りである。
式(1a)で表されるアゾ化合物の具体例を、以下に遊離酸の形式で挙げる。




式(1b)で表されるアゾ化合物の具体例を、以下に遊離酸の形式で挙げる。









これらの式(1a)又は(1b)で表されるアゾ化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。一態様において、式(1a)で表されるアゾ化合物及び式(1b)で表されるアゾ化合物の両方を使用してもよい。
式(1a)で表されるアゾ化合物又はその塩は、例えば、特開2009−155364号公報等に記載された方法及びこれに類する方法で合成することができるが、これらに限定されるものではない。例えば、後述する式(v)で表されるベースとなる化合物を、クロロ炭酸フェニル等のウレイド化剤と、20〜95℃で反応させることにより式(1a)で表されるアゾ化合物を作製することができる。他のウレイド化による合成方法として、ホスゲン化合物等を使用し、アミン化合物をウレイド化させる方法が知られている。この合成方法により、ウレイド骨格を有する式(1a)で表されるアゾ化合物を得ることができる。
式(1a)で表されるアゾ化合物の具体的な合成方法を以下に説明する。まず、式(i)で表されるような置換基を有するアミン類を、例えば、細田豊著「染料化学」,技報堂,1957年,P.135−234に記載されている製法と同様の製法によりジアゾ化し、次いで、式(ii)で表されるアニリン類とカップリングさせることにより、式(iii)で表されるモノアゾアミノ化合物を得る。

(式中、Arは式(1a)におけるArと同じものを表す。)

(式中、R及びRは、式(1a)におけるRr及びRrとそれぞれ同じものを表す。)

(式中、Arは式(1a)のArと同じものを表し、R及びRは式(1a)におけるRr及びRrとそれぞれ同じものを表す。)
次いで、式(iii)で表されるモノアゾアミノ化合物をジアゾ化し、さらに、式(iv)で表されるアニリン類と2次カップリングさせ、式(v)で表されるジスアゾアミノ化合物を得る。

(式中、R及びRは式(1a)におけるRr及びRrとそれぞれ同じものを表す。)

(式中、Arは式(1a)のArと同じものを表し、R及びRは式(1a)におけるRr及びRrとそれぞれ同じものを表し、R及びRは式(1a)におけるRr及びRrとそれぞれ同じものを表す。)
上記反応経路におけるジアゾ化工程は、ジアゾ成分の塩酸、硫酸等の鉱酸水溶液又は懸濁液に亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩を混合するといった順法により行われるか、或いはジアゾ成分の中性若しくは弱アルカリ性の水溶液に亜硝酸塩を加えておき、これと鉱酸を混合するといった逆法によって行われる。ジアゾ化の温度は、−10〜40℃が適当である。また、アニリン類とのカップリング工程は、塩酸、酢酸等の酸性水溶液と上記各ジアゾ液とを混合し、温度が−10〜40℃でpH2〜7の酸性条件で行われる。
カップリング工程により得られたモノアゾアミノ化合物又はジスアゾアミノ化合物は、そのまま或いは酸析や塩析により析出させ濾過して取り出すか、溶液又は懸濁液のまま更なる工程を行うこともできる。ジアゾニウム塩が難溶性で懸濁液である場合には、当該懸濁液を濾過し、プレスケーキとして濾過後のジアゾニウム塩を更なるカップリング工程で使用することもできる。
上記の工程により得られたジスアゾアミノ化合物を、その後、クロロ炭酸フェニルとウレイド化反応に施すことにより、式(1a)で表されるアゾ化合物が合成される。当該ウレイドか反応は、例えば、特開2009−155364号公報に記載される製法により、温度が10〜90℃でpH7〜11の中性からアルカリ性条件で行われる。ウレイド化反応の終了後、塩析により得られたアゾ化合物を析出させ、次いで濾過する。また、精製が必要な場合には、塩析を繰り返すか又は有機溶媒を使用して水中から得られたアゾ化合物を析出させればよい。精製に使用する有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類等の水溶性有機溶媒が挙げられる。このようにして、式(1a)で表されるアゾ化合物を合成させることができる。
式(1b)で表されるアゾ化合物は、例えば、WO2012/108169及びWO2012/108173等に記載された方法により製造することできるが、これらに限定されるものではない。
次に、式(2)の化合物について説明する。
式(2)において、Agは、置換基を有するフェニル基又は置換基を有するナフチル基を示す。Agがフェニル基である場合には、スルホ基及びカルボキシ基から選択される置換基を少なくとも1つ有することが好ましい。フェニル基が置換基を2つ以上有する場合は、その置換基の少なくとも1つがスルホ基又はカルボキシ基であり、その他の置換基が、スルホ基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基、又は低級アルキルアミノ基置換アミノ基であることが好ましい。その他の置換基は、より好ましくは、スルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、又はアミノ基であり、特に好ましくはスルホ基、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、又はカルボキシ基である。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましく、より好ましくは3−スルホプロポキシ基及び4−スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3−スルホプロポキシ基である。フェニル基が有する置換基の数は1又は2が好ましく、置換位置は特に限定されないが、アゾ基の位置を1位とした場合、4位のみ、2位と4位の組合せ、及び3位と5位の組合せが好ましい。
Agが置換基を有するナフチル基である場合、その置換基としてスルホ基を少なくとも1つ有することが好ましい。ナフチル基が置換基を2つ以上有する場合は、その置換基の少なくとも1つがスルホ基であり、その他の置換基は、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基であることが好ましい。ナフチル基は、置換基として2つ以上のスルホ基を有することが特に好ましい。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましく、より好ましくは3−スルホプロポキシ基及び4−スルホブトキシ基であるが、特に好ましくは3−スルホプロポキシ基である。
ナフチル基が有するスルホ基の数が2である場合、スルホ基の置換位置はアゾ基の位置を2位として好ましくは4位,8位の組合せ、及び6位,8位の組合せが好ましく、6位,8位の組合せがより好ましい。ナフチル基が有するスルホ基の数が3である場合、スルホ基の置換位置は好ましくは3位,6位,8位の組合せである。
Bg及びCgは、各々独立に、式(BC−N)又は式(BC−P)で表され、Bg及びCgの少なくとも一方が式(BC−N)で表される。Cgは、好ましくは式(BC−N)で表される。Cgが式(BC−N)で表されるものであることにより、より高品位なペーパーホワイトを実現しながらも高いコントラストを有する偏光素子が得られるという効果がある。

式(BC−N)において、Rgは、各々独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。好ましくは、Rgは、水素原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、又はメトキシ基である。特に好ましいRgは、水素原子又はメトキシ基である。スルホ基を有する低級アルコキシ基としては、直鎖アルコキシが好ましく、スルホ基の置換位置はアルコキシ基末端が好ましく、より好ましくは3−スルホプロポキシ基及び4−スルホブトキシ基であり、特に好ましくは3−スルホプロポキシ基である。
Rgの置換位置は、Agで置換されているアゾ基に対して2位又は3位が好ましく、Ag側のアゾ基を1位とした場合、3位であることがより好ましい。スルホ基がある場合には、そのスルホ基の置換位置は6位又は7位が好ましく、より好ましくは6位である。式(BC−N)において、kは0〜2の整数を示す。
式(BC−P)において、Rg及びRgは、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基、3−スルホプロポキシ基、又は4−スルホプロポキシ基を示す。
Xgは、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、又は置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基を示す。
Xgは、好ましくは、置換基を有してもよいアミノ基又は置換基を有してもよいフェニルアミノ基であり、より好ましくは置換基を有してもよいフェニルアミノ基である。本願の請求項及び明細書において、「置換基を有してもよい」とは、置換基を有していない場合も含まれることを意味する。例えば、「置換基を有してもよいフェニル基」は、非置換の単なるフェニル基と、置換基を有するフェニル基を含む。置換基を有してもよいアミノ基は、好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホ基、アミノ基、及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される1つ又は2つを有するアミノ基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基、及びスルホ基からなる群から選択される1つ又は2つを有するアミノ基である。置換基を有してもよいアミノ基からは、フェニルアミノ基等の環構造を有するアミノ基は除かれる。置換基を有してもよいフェニルアミノ基は、好ましくは、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、及び低級アルキルアミノ基からなる群から選択される1つ又は2つの置換基を有するフェニルアミノ基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホ基、及びアミノ基からなる群から選択される1つ又は2つの置換基を有するフェニルアミノ基である。置換位置は特に限定されないが、置換基の1つはフェニルアミノ基のアミノ基に対してp位であることが特に好ましい。
置換基を有してもよいフェニルアゾ基は、好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される1〜3つを有するフェニルアゾ基である。
置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基は、好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される1つの置換基を有するベンゾイルアミノ基である。
式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩は、式(2’)で表されるアゾ化合物又はその塩であることが、特に性能が向上するために好ましい。
式(2’)において、Agは式(2)におけるAgについて定義した通りである。Rg及びRgは、各々独立に、式(BC−N)におけるRgについて定義した通りである。Xgは、式(2)におけるXgについて定義した通りである。k及びkは各々独立に0〜2の整数を示す。
本発明の偏光素子において、式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩の含有量は、式(1a)又は(1b)のアゾ化合物の含有量100質量部に対して、0.01〜5000質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3000質量部である。
式(2)で示されるアゾ化合物又はその塩は、例えば特開平01−161202号公報、特開平01−172907号公報、特開平01−248105号公報、特開平01−265205号公報、及び特開平01−172907号公報等に記載される方法により合成することができるが、これらに限定されない。
式(2)で表されるアゾ化合物の具体例としては、例えば、
C.I.Direct Blue 34、
C.I.Direct Blue 69、
C.I.Direct Blue 70、
C.I.Direct Blue 71、
C.I.Direct Blue 72、
C.I.Direct Blue 75、
C.I.Direct Blue 78、
C.I.Direct Blue 81、
C.I.Direct Blue 82、
C.I.Direct Blue 83、
C.I.Direct Blue 186、
C.I.Direct Blue 258、
Benzo Fast Chrome Blue FG(C.I.34225)、
Benzo Fast Blue BN(C.I.34120)、
C.I.Direct Green 51、
等のアゾ化合物が挙げられる。
以下に、式(2)で表されるアゾ化合物の具体例を、遊離酸の形式で示す。




偏光素子は、式(1a)又は(1b)で表されるアゾ化合物又はその塩及び式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩の組み合わせを含有することにより、従来の偏光板よりも高い透過率及び高い偏光度を有しつつも、白表示時に高品位な紙のような白色、通称、ペーパーホワイトを実現することができる。
本発明の偏光素子の偏光性能を向上させるために、式(1a)又は(1b)で表されるアゾ化合物又はその塩及び式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩に加えて、式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩の少なくとも1種をさらに含有していることが好ましい。
式(3)において、Ayは、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、好ましくは、スルホ基、カルボキシ基、又は低級アルコキシ基であり、より好ましくは、スルホ基、カルボキシ基、メトキシ基又はエトキシ基であり、さらに好ましくは、スルホ基又はカルボキシ基である。
RyからRyは、各々独立に、水素原子、スルホ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基またはスルホ基を有する低級アルコキシ基を表し、好ましくは、水素原子、スルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基であり、より好ましくは、水素原子、スルホ基、メチル基、又はメトキシ基である。
pは、1〜3の整数である。
式(3)で表されるアゾ化合物は、400〜500nmの透過率に影響を与える。偏光素子において、特に、400〜500nmの短波長側の透過率と偏光度(二色性)は、黒色を表示する際の青色の抜けや白色を表示する際の白色の黄色味に影響を与える。式(3)で表されるアゾ化合物は、偏光素子の平行位の短波長側の透過率を低下させず、かつ、400〜500nmにおける偏光特性(二色性)を向上させ、白色を表示する際の黄色味と黒色を表示する際の青色の抜けをさらに低下させることができる。本発明に係る偏光素子は、式(3)で表されるアゾ化合物をさらに含有することにより、より中性な色相を示し、かつ偏光度がより向上した偏光素子を得ることができる。
式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩は、例えば、WO2007/138980等に記載される方法により合成することができ、一方で、市販のものを使用することもできる。
式(3)で表されるアゾ化合物の例としては、例えば、C.I.Direct Yellow 4、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 72、C.I.Direct Orenge 39、並びにWO2007/138980等に記載されるスチルベン構造を有するアゾ化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(3)で表されるアゾ化合物の具体例を以下に挙げる。
式(3)で表されるアゾ化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の偏光素子は、偏光性能の向上のために、式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩及び式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩に加えて、式(1a)で表されるアゾ化合物又はその塩と式(1b)で表されるアゾ化合物又はその塩の両方を含有していることが好ましい。
偏光素子は、式(1a)で表されるアゾ化合物、式(1b)で表されるアゾ化合物、式(2)で表されるアゾ化合物、及び式(3)で表されるアゾ化合物の組み合わせを含有することにより、高い透過率及び高い偏光度を有しつつも、白表示時にさらに高品位なペーパーホワイトを実現し、黒表示時にさらに高級感のある明瞭な黒色を実現することができる。
式(1a)で表されるアゾ化合物、式(1b)で表されるアゾ化合物、式(2)で表されるアゾ化合物、及び式(3)で表されるアゾ化合物は、遊離形態であっても、塩の形態であってもよい。塩は、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、又は、アンモニウム塩やアルキルアミン塩などの有機塩であり得る。塩は、好ましくは、ナトリウム塩である。
本発明に係る偏光素子は、式(1a)又は(1b)で表されるアゾ化合物及び式(2)で表されるアゾ化合物を含有し、任意に式(1a)で表されるアゾ化合物と式(1b)で表されるアゾ化合物の両方を含有し、及び任意に式(3)で表されるアゾ化合物をさらに含有する。本発明に係る偏光素子は、後述する所望の色度a*値及びb*値、単体透過率、及び特定波長帯域における平均透過率等の性能を有することができる。
偏光素子における上記アゾ化合物の配合比は、上述した各アゾ化合物の含有量において、透過率及び色度が後述する好ましい範囲になるようにさらに調整されていることが好適である。偏光素子の性能は、偏光素子における各アゾ化合物の配合比のみならず、アゾ化合物を吸着させる基材の膨潤度や延伸倍率、染色時間、染色温度、染色時のpH、塩の影響等の様々な要因により変化する。このため、各アゾ化合物の配合比は、基材の膨潤度、染色時の温度、時間、pH、塩の種類、塩の濃度、さらには延伸倍率に応じて決定することができる。このような配合比の決定は、当業者が後述の説明に基づいて、試行錯誤なしに行うことができる。
(透過率)
透過率は、JIS Z 8722:2009に従って求められる、視感度補正後の透過率である。透過率の測定は、測定試料(例えば、偏光素子又は偏光板)について、400〜700nmの各波長について、5nm又は10nmごとに分光透過率を測定し、これを2度視野(C光源)により、視感度に補正することで求めることができる。
(I)2つの波長帯域の平均透過率の差
本発明の偏光素子は、特定の波長帯域間の平均透過率の差が所定の値以下であることが好ましい。平均透過率は、特定の波長帯域における透過率の平均値である。
波長帯域420nmから480nm、520nmから590nm、及び600nmから640nmは、JIS Z 8781−4:2013において色を示す際に計算で用いる等色関数に基づく主な波長帯域である。具体的には、JIS Z 8781−4:2013の元になるJIS Z 8701のXYZ等色関数において、600nmを最大値とするx(λ)、550nmを最大値とするy(λ)、455nmを最大値とするz(λ)のそれぞれの最大値を100としたとき、20以上となる値を示すそれぞれの波長が、420nmから480nm、520nmから590nm、及び600nmから640nmの各波長帯域である。
本発明の偏光素子は、偏光素子2枚を吸収軸方向が平行になるように重ねて配置した状態(明表示時、又は、白表示時)について測定して得られる透過率(以下、「平行位透過率」とも称する。)について、420nmから480nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が2.5%以下であることが好ましく、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.0%以下である。さらに、平行位透過率について、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が2.0%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。このような偏光素子は、平行位で高品位な紙のような白色を表示することができる。
さらに、偏光素子2枚を吸収軸方向が直交になるように重ねて配置した状態(黒表示時、又は、暗表示時)について測定して得られる透過率(以下、「直交位透過率」とも称する。)について、420nmから480nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値は、10%以下であり、かつ、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値は、2.0%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。このような偏光素子は、直交位で無彩色な黒色を表示することができる。さらに、直交位透過率について、420nmから480nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値は、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。直交位透過率について、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値は、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
さらに、波長帯域380nmから420nm、480nmから520nm、及び640nmから780nmの各々における単体透過率、平行位透過率、及び直交位透過率のそれぞれの平均透過率は、上記波長帯域420nmから480nm、520nmから590nm、600nmから640nmにおける平均透過率が上述したように調整されている場合には、色素により大きな影響は受けにくいが、ある程度調整されていることが好ましい。波長帯域380nmから420nmの平均透過率と、420nmから480nmの平均透過率との差が15%以下であることが好ましく、480nmから520nmの平均透過率と、420nmから480nmの平均透過率との差が15%以下、480nmから520nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率と差が15%以下、640nmから780nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差が20%以下であることが好ましい。
(II)単体透過率
本発明に係る偏光素子は、単体透過率が35%から65%であることが好ましい。単体透過率は、測定試料(例えば、偏光素子又は偏光板)1枚について、JIS Z 8722:2009に従って視感度に補正した透過率である。偏光板の性能としては、透過率がより高いものが求められるが、単体透過率が35%から60%であれば表示装置に用いても、違和感なく明るさを表現できる。透過率が高いほど偏光度は下がる傾向にあるため、偏光度とのバランスの観点からは、単体透過率は、37%から50%であることがより好ましく、さらに好ましくは38%から45%である。単体透過率が65%を超えると偏光度が低下する場合があるが、偏光素子の明るい透過率、又は、特定の偏光性能やコントラストを求める場合には、単体透過率が65%を超えてもよい。
(III)特定波長帯域における平均透過率
偏光素子は、平行位で測定された520nmから590nmの波長帯域における平均透過率が28%から50%であることが好ましい。このような偏光素子は、表示装置に設けた際に、明るく、輝度の高い明瞭な表示装置とすることができる。520nmから590nmの波長帯域の透過率は、JIS Z 8781−4:2013において色を示す際に計算で用いる等色関数に基づく主な波長帯域の1つである。特に、520nmから590nmの各波長帯域は、等色関数に基づく最も視感度の高い波長帯域であり、この範囲における透過率が、目視で確認できる透過率と近い。このため、520nmから590nmの波長帯域の透過率を調整することが非常に重要である。平行位で測定された520nmから590nmの波長帯域の平均透過率は、より好ましくは29%から45%であり、さらに好ましくは30%から40%である。さらに、このときの偏光素子の偏光度は、80%から100%であることが好ましく、より好ましくは95%から100%、さらに好ましくは99%から100%である。偏光度は、高い方が好ましいが、偏光度と透過率との関係において、明るさを重視するか、偏光度(又はコントラスト)を重視するかにより、適した透過率及び偏光度に調整することができる。
(色度a*値及びb*値)
色度a*値及びb*値は、JIS Z 8781−4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められる値である。JIS Z 8781−4:2013に定められる物体色の表示方法は、国際照明委員会(略称:CIE)が定める物体色の表示方法に相当する。色度a*値及びb*値の測定は、測定試料(例えば、偏光素子又は偏光板)に自然光を照射して行われる。なお、以下において、測定試料1枚について求められる色度a*値及びb*値はa*−s及びb*−s、測定試料2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態(白表示時)について求められる色度a*値及びb*値はa*−p及びb*−p、測定試料2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように配置した状態(黒表示時)について求められる色度a*値及びb*値はa*−c及びb*−cと示す。
本発明に係る偏光素子では、a*−s及びb*−sの絶対値の各々が5.0以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。a*−p及びb*−pの絶対値の各々が2.0以下であることが好ましい。このような偏光素子は、単体で中性色であり、白表示時に高品位な白色を表示することができる。偏光素子のa*−p及びb*−pの絶対値は、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.0以下である。さらに、偏光素子は、a*−c及びb*−cの絶対値の各々が20.0以下であることが好ましく、10.0以下であることがより好ましくさらに好ましくは3.0以下であり、特に好ましくは1.0以下である。このような偏光素子は、黒表示時に無彩色の黒色を表示することができる。色度a*値及びb*値の絶対値に0.5の差があるだけでも人間は色の違いを知覚でき、人によっては色の違いを大きく感じることがある。このため、偏光素子において、これらの値を制御することは非常に重要である。特に、a*−p、b*−p、a*−c、及びb*−cの絶対値の値が、各々、1.0以下である場合には、白表示時の白色及び黒表示時の黒色にその他の色がほぼ確認できない、良好な偏光板が得られる。平行位で無彩色性、すなわち高品位な紙のような白色を実現し、かつ、直交位で無彩色な高級感ある明瞭な黒色を実現することができる。
本発明に係る偏光素子は、高コントラスト及び高透過率を有しながら、単体での無彩色性と高偏光度を有する。さらに、本発明の偏光素子は、白表示時に高品位な紙のような白色(ペーパーホワイト)を表現することができ、さらに本発明の偏光素子は高コントラストであることから、黒表示時に無彩色な黒色、特に高級感ある明瞭な黒色を表現することができる。これまでは、このような高透過率と無彩色性を兼ね備えた偏光素子は存在していなかった。本発明の偏光素子は、さらに、高耐久性であり、特に高温及び高湿度に対する耐久性を有する。
また、本発明に係る偏光素子は、一般的に用いられるヨウ素系偏光板や特許文献3に比べて700nm以上の波長の光の吸収が少ないため、太陽光などの光を照射しても発熱が少ないという利点がある。例えば、屋外等で液晶ディスプレイを使用する場合には、太陽光が液晶ディスプレイに照射され、その結果、偏光素子にも照射される。太陽光は、700nm以上の波長の光も有し、発熱効果を有する近赤外線を含む。例えば、特公平02−061988号公報の実施例3に記載されるようなアゾ化合物を用いた偏光素子は波長700nm付近の近赤外の光を吸収するために、若干発熱するが、本発明の偏光素子は、近赤外線の吸収が極めて少ないため、屋外で太陽光に暴露されても発熱が少ない。本発明の偏光素子は、発熱が少ないことにより、劣化も少ない点で優れている。
以下、ポリビニルアルコール系樹脂製の基材にアゾ化合物を吸着させて作製する場合を例に、具体的な偏光素子の作製方法を説明する。なお、本発明に係る偏光素子の製造方法は、以下の製法に限定されるものではない。
(原反フィルムの準備)
原反フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜することにより作製することができる。ポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されず、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成されたものを用いてもよい。ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合する他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、及び不飽和スルホン酸類等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度であることが好ましく、より好ましくは95モル%以である。ポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性したポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用できる。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、粘度平均重合度を意味し、当該技術分野において周知の手法によって求めることができ、通常1,000〜10,000程度が好ましく、より好ましくは重合度1,500〜6,000程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。この場合、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムには、可塑剤としてグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、低分子量ポリエチレングリコールなどが含有されていてもよい。可塑剤の量はフィルム全量中に好ましくは5〜20質量%であり、より好ましくは8〜15質量%である。原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、例えば、5μm〜150μm程度、好ましくは10μm〜100μm程度である。
(膨潤工程)
以上により得られた原反フィルムに、膨潤処理を施す。膨潤処理は20〜50℃の溶液に、原反フィルムを30秒から10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。溶液は水が好ましい。延伸倍率は、1.00〜1.50倍に調整することが好ましく、1.10〜1.35倍に調整することがより好ましい。偏光素子を製造する時間を短縮する場合には、後述する染色処理時にも原反フィルムが膨潤するため膨潤処理を省略することもできる。
(染色工程)
染色工程では、原反フィルムを膨潤処理して得られた樹脂フィルムにアゾ化合物を吸着及び含浸させる。膨潤工程を省略した場合には、染色工程において原反フィルムの膨潤処理を同時に行うことができる。アゾ化合物を吸着及び含浸させる処理は、樹脂フィルムに着色する工程であるため、染色工程としている。
アゾ化合物としては、式(1a)又は(1b)で表されるアゾ化合物又はその塩及び式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩の混合物を用い、任意に式(3)、又は、式(4)で表されるアゾ化合物又はその塩をさらに用いることができる。また、「機能性色素の応用」((株)CMC出版、第1刷発行版、入江正浩監修、第98〜100頁)などで例示される二色性染料であるアゾ化合物を、本願の偏光素子の性能が損なわれない程度に用いて色を調整してもよい。これらのアゾ化合物は遊離酸の形態で用いるほか、当該化合物の塩を用いてもよい。そのような塩は、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、又は、アンモニウム塩やアルキルアミン塩などの有機塩であり、好ましくは、ナトリウム塩である。
染色工程は、色素を樹脂フィルムに吸着及び含浸させる方法であれば特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムを染色溶液に浸漬させることにより行うことが好ましく、樹脂フィルムに染色溶液を塗布することによって行うこともできる。染色溶液中の各アゾ化合物は、例えば、0.001〜10質量%の範囲内で調整することができる。
この工程での溶液温度は、5〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましく、35〜50℃が特に好ましい。溶液に浸漬する時間は適度に調節できるが、30秒から20分で調節するのが好ましく、1〜10分がより好ましい。
染色溶液は、アゾ化合物に加え、染色助剤を必要に応じてさらに含有してもよい。染色助剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、及びトリポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。染色助剤の含有量は、染料の染色性による時間及び温度によって任意の濃度で調整できるが、それぞれの含有量としては、染色溶液中に0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
(洗浄工程1)
染色工程後、次の工程に入る前に洗浄工程(以下、「洗浄工程1」とも称する。)を行うことができる。染浄工程1は、染色工程で樹脂フィルムの表面に付着した染色溶液を洗浄する工程である。洗浄工程1を行うことによって、次に処理する液中に染料が移行するのを抑制することができる。洗浄工程1では、洗浄液として一般的には水が用いられる。洗浄方法は、洗浄液に浸漬することが好ましいが、洗浄液を樹脂フィルムに塗布することによって洗浄することもできる。洗浄の時間は、特に限定されないが、好ましくは1〜300秒、より好ましくは1〜60秒である。洗浄工程1での洗浄液の温度は、樹脂フィルムを構成する材料(例えば、親水性高分子、ここではポリビニルアルコール系樹脂)が溶解しない温度であることが必要となる。一般的には5〜40℃で洗浄処理される。ただし、洗浄工程1の工程がなくとも、性能には問題は出ないため、洗浄工程は省略することもできる。
(架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる工程)
染色工程又は洗浄工程1の後、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる工程を行うことができる。樹脂フィルムに架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる方法は、処理溶液に浸漬することが好ましいが、処理溶液を樹脂フィルムに塗布又は塗工してもよい。処理溶液は、架橋剤及び/又は耐水化剤を少なくとも1種と、溶媒とを含む。この工程での処理溶液の温度は、5〜70℃が好ましく、5〜50℃がより好ましい。この工程での処理時間は30秒〜6分が好ましく、1〜5分がより好ましい。
架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂又はホウ酸アンモニウムなどのホウ素化合物、グリオキザール又はグルタルアルデヒド等の多価アルデヒド、ビウレット型、イソシアヌレート型又はブロック型等の多価イソシアネート系化合物、チタニウムオキシサルフェイト等のチタニウム系化合物等を用いることができるが、他にもエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリアミドエピクロルヒドリン等を用いることができる。耐水化剤としては、過酸化コハク酸、過硫酸アンモニウム、過塩素酸カルシウム、ベンゾインエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、塩化アンモニウム又は塩化マグネシウム等が挙げられるが、好ましくはホウ酸が用いられる。架橋剤及び/又は耐水化剤のための溶媒としては、水が好ましいが限定されるものではない。架橋剤及び/又は耐水化剤の含有濃度は、その種類に応じて当業者が適宜決定することができるが、ホウ酸を例にして示すと処理溶液中に濃度0.1〜6.0質量%が好ましく、1.0〜4.0質量%がより好ましい。ただし、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させることが必須でなく、時間を短縮したい場合には、架橋処理又は耐水化処理が不必要な場合には、この処理工程を省略してもよい。
(延伸工程)
染色工程、洗浄工程1、又は架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる工程を行った後に、延伸工程を行う。延伸工程は、樹脂フィルムを1軸に延伸することにより行う。延伸方法は湿式延伸法又は乾式延伸法のいずれでもよい。延伸倍率は、3倍以上であることが好ましく、より好ましくは4〜8倍であり、特に好ましくは5〜7倍である。
乾式延伸法の場合には、延伸加熱媒体が空気媒体の場合には、空気媒体の温度が常温から180℃で樹脂フィルムを延伸するのが好ましい。また、湿度は20〜95%RHの雰囲気中とすることが好ましい。加熱方法としては、例えば、ロール間ゾーン延伸法、ロール加熱延伸法、圧延伸法、及び赤外線加熱延伸法等が挙げられるが、その延伸方法は限定されるものではない。延伸工程は1段で延伸することもできるが、2段以上の多段延伸により行うこともできる。
湿式延伸法の場合には、水、水溶性有機溶剤、又はその混合溶液中で樹脂フィルムを延伸することが好ましい。架橋剤及び/又は耐水化剤を少なくとも1種含有する溶液中に浸漬しながら延伸処理を行うことが好ましい。架橋剤及び耐水化剤としては、架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる工程について上述したのと同じものを用いることができる。延伸工程での架橋剤及び/又は耐水化剤の溶液中の濃度は、例えば、0.5〜15質量%が好ましく、2.0〜8.0質量%がより好ましい。延伸温度は40〜70℃で処理することが好ましく、45〜60℃がより好ましい。延伸時間は通常30秒〜20分であるが、2〜5分がより好ましい。湿式延伸工程は1段で延伸することができるが、2段以上の多段延伸により行うこともできる。
(洗浄工程2)
延伸工程を行った後には、樹脂フィルム表面に架橋剤及び/又は耐水化剤の析出、又は異物が付着することがあるため、樹脂フィルム表面を洗浄する洗浄工程(以下、「洗浄工程2」とも称する)を行うことができる。洗浄時間は1秒〜5分が好ましい。洗浄方法は、樹脂フィルムを洗浄液に浸漬することが好ましいが、溶液を樹脂フィルムに塗布又は塗工によって洗浄することもできる。洗浄液としては、水が好ましい。1段で洗浄処理することもできるし、2段以上の多段処理をすることもできる。洗浄工程の溶液温度は、特に限定されないが通常5〜50℃、好ましくは10〜40℃である。
ここまでの処理工程で用いる処理液又はその溶媒としては、水の他、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリメチロールプロパン等のアルコール類、エチレンジアミン及びジエチレントリアミン等のアミン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。処理液又はその溶媒は、最も好ましくは水である。また、これらの処理液又はその溶媒は、1種単独で用いることもできるが、2種以上の混合物を用いることもできる。
(乾燥工程)
延伸工程又は洗浄工程2の後には、樹脂フィルムの乾燥工程を行う。乾燥処理は、自然乾燥により行うことができるが、より乾燥効率を高めるためにはロールによる圧縮やエアーナイフ、又は吸水ロール等による表面の水分除去等により行うことができ、及び/又は送風乾燥により行うこともできる。乾燥処理温度としては、20〜100℃で乾燥処理することが好ましく、60〜100℃で乾燥処理することがより好ましい。乾燥処理時間は例えば30秒〜20分であるが、5〜10分であることが好ましい。
偏光素子の作製方法では、膨潤工程における基材の膨潤度、染色工程における各アゾ化合物の配合比、染色溶液の温度、pH、塩化ナトリウムや芒硝、トリポリリン酸ナトリウム等の塩の種類やその濃度、及び染色時間、並びに延伸工程における延伸倍率は、偏光素子が以下の(i)〜(v)の条件の少なくとも1つを満たすように調整することが好適であり、(vi)及び(vii)の条件をさらに満たすように調整することがより好適である。(i)平行位透過率について、420nmから480nmの平均透過率と520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が2.5以下となり、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が2.0以下となる。
(ii)直交位透過率について、420nmから480nmの平均透過率と520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が10以下となり、520nmから590nmの平均透過率と600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が2.0以下となる。
(iii)単体透過率が35%から65%となる。
(iv)a*値及びb*値の絶対値の各々が、偏光素子単体でともに1.0以下となり、平行位でともに2.0以下となる。
(v)直交位で測定されたa*値及びb*値の絶対値の各々が、ともに2以下となる。
(vi)平行位透過率について、520nmから590nmの平均透過率が25〜45%となる。
(vii)380nmから420nmの平均透過率と420nmから480nmの平均透過率との差が15%以下、480nmから520nmの平均透過率と420nmから480nmの平均透過率との差が15%以下、480nmから520nmの平均透過率と520nmから590nmの平均透過率と差が15%以下、及び/又は640nmから780nmの平均透過率と600nmから640nmの平均透過率との差が20%以下となる。
以上の方法により、式(1a)又は(1b)で表されるアゾ化合物及び式(2)で表されるアゾ化合物の組み合わせを少なくとも含有する偏光素子を製造することができる。かかる偏光素子は、従来の偏光素子より高い透過率及び高い偏光度を有しながらも、偏光素子2枚を吸収軸方向が平行になるように重ねて配置した際に高品位な紙のような白色を表現でき、かつ、単体で中性色(ニュートラルグレー)を有する色相であり、かつ、高コントラストな偏光素子を作製出来る。また、偏光素子は、高温及び高湿度に対して耐久性が高い。
<偏光板>
本発明に係る偏光板は、偏光素子と、該偏光素子の片面又は両面に設けられた透明保護層とを備える。透明保護層は、偏光素子の耐水性や取扱性の向上等を目的として設けられる。
透明保護層は、透明物質を用いて形成された保護フィルムである。保護フィルムは、偏光素子の形状を維持できる層形状を有するフィルムであり、透明性や機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等に優れるプラスチック等が好ましい。これと同等な層を形成することで同等な機能を設けることでもよい。保護フィルムを構成するプラスチックの一例としては、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びアクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系及びシリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂などから得られるフィルムが挙げられ、これらのうちポリオレフィン系樹脂としては、非晶性ポリオレフィン系樹脂であってノルボルネ系モノマー又は多環状ノルボルネン系モノマーのような環状ポリオレフィンの重合単位を有する樹脂が挙げられる。一般的に、保護フィルムをラミネートした後に偏光素子の性能を阻害しない保護フィルムを選択することが好ましく、そのような保護フィルムとして、セルロースアセテート系樹脂よりなるトリアセチルセルロース(TAC)及びノルボルネンが特に好ましい。また、保護フィルムは、本発明の効果を損なわない限り、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理などを施したものであってもよい。
偏光板は、透明保護層と偏光素子との間に、透明保護層を偏光素子と貼り合わせるための接着剤層をさらに備えることが好ましい。接着剤層を構成する接着剤としては特に限定されないが、ポリビニルアルコール系接着剤が好ましい。ポリビニルアルコール系接着剤として、例えば、ゴーセノールNH−26(日本合成社製)及びエクセバールRS−2117(クラレ社製)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。接着剤には、架橋剤及び/又は耐水化剤を添加することができる。ポリビニルアルコール系接着剤としては、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体を用いることが好ましく、必要により架橋剤を混合した接着剤を用いることができる。無水マレイン酸−イソブチレン共重合体としては、例えば、イソバン#18(クラレ社製)、イソバン#04(クラレ社製)、アンモニア変性イソバン#104(クラレ社製)、アンモニア変性イソバン#110(クラレ社製)、イミド化イソバン#304(クラレ社製)、及びイミド化イソバン#310(クラレ社製)等が挙げられる。その際の架橋剤には水溶性多価エポキシ化合物を用いることができる。水溶性多価エポキシ化合物としては、例えば、デナコールEX−521(ナガセケムテック社製)及びテトラット−C(三井ガス化学社製)等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の接着剤として、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系といった公知の接着剤を用いることも出来る。特に、アセトアセチル基変性されたポリビニルアルコールを用いることが好ましく、さらにはその架橋剤として、多価アルデヒドを用いることが好ましい。また、接着剤の接着力の向上又は耐水性の向上を目的として、亜鉛化合物、塩化物、及びヨウ化物等の添加物を単独で又は同時に0.1〜10質量%程度の濃度で含有させることもできる。接着剤への添加物は、特に限定されず、当業者が適宜選択することができる。透明保護層と偏光素子とを接着剤で貼り合せた後、適切な温度で乾燥又は熱処理を行うことによって偏光板を得ることができる。
偏光板は場合によって、例えば液晶、有機エレクトロルミネッセンス(通称、OLED又はOEL)等の表示装置に貼り合わせる場合、後に非露出面となる保護層又はフィルムの表面に視野角改善及び/又はコントラスト改善のための各種機能性層、輝度向上性を有する層又はフィルムを設けることもできる。各種機能性層は、例えば、位相差を制御する層又はフィルムである。偏光板は、これらのフィルムや表示装置に、粘着剤により貼り合わされることが好ましい。
偏光板は、保護層又はフィルムの露出面に、反射防止層、防眩層、及びハードコート層等の公知の各種機能性層を備えていてもよい。この各種機能性を有する層を作製するには塗工方法が好ましいが、その機能を有するフィルムを接着剤又は粘着剤を介して貼合せることもできる。
本発明に係る偏光板は、高い透過率及び高い偏光度を有しながらも無彩色性を実現することができ、特に、白表示時に高品位な紙のような白色を表現でき、かつ、高コントラストを表現し得る、高耐久性の偏光板である。
本発明の偏光素子又は偏光板は、必要に応じて保護層又は機能層及びガラス、水晶、サファイア等の透明な支持体等を設け、液晶プロジェクター、電卓、時計、ノートパソコン、ワープロ、液晶テレビ、偏光レンズ、偏光メガネ、カーナビゲーション、及び屋内外の計測器や表示器等に適用される。特に、本発明の偏光素子又は偏光板は、液晶表示装置、例えば、反射型液晶表示装置、半透過液晶表示装置、及び有機エレクトロルミネッセンス等に好適に用いられる。本発明の偏光素子又は偏光板を用いた液晶表示装置は、高品位な紙のような白色及び高コントラストを表現することができる。さらに、該液晶表示装置は、高耐久性を有し信頼性が高く、長期的に高コントラストで、かつ、高い色再現性を有する液晶表示装置になる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]
ケン化度99%以上の平均重合度2400のポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF−PS)を45℃の温水に2分浸漬し、膨潤処理を適用し延伸倍率を1.30倍とした。水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−25]を0.32質量部、化合物例[2−4]を0.20質量部含有した45℃の染色液に、膨潤したフィルムを4分30秒間浸漬して、フィルムにアゾ化合物を含有させた。得られたフィルムをホウ酸(Societa Chimica Larderello s.p.a.社製)20g/lを含有した40℃の水溶液に1分浸漬した。浸漬後のフィルムを、5.0倍に延伸しながら、ホウ酸30.0g/lを含有した50℃の水溶液中で5分間の延伸処理を行った。得られたフィルムを、その緊張状態を保ちつつ、25℃の水に20秒間浸漬させることにより洗浄処理した。洗浄後のフィルムを70℃で9分間乾燥させ、偏光素子を得た。この偏光素子に対して、ポリビニルアルコール(日本酢ビポバール社製 NH−26)を4%で水に溶解したものを接着剤として用いて、アルカリ処理したトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム社製 ZRD−60)をラミネートして偏光板を得た。得られた偏光板は上記偏光素子が有していた光学性能、特に単体透過率、色相、偏光度等を維持していた。この偏光板を実施例1の測定試料とした。
[実施例2]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−25]を0.32質量部、式(2)に記載の化合物としてC.I.Direct Blue 69を0.22質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例3]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−25]を0.32質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−4]を0.20質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.27質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例4]
実施例3において、アゾ化合物の含有時間を4分30秒から3分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例5]
実施例3において、アゾ化合物の含有時間を4分30秒から2分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例6]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−25]を0.32質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−4]を0.20質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−2](n=1が24%、n=2が71%、n=3が5%)を0.24質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例7]
実施例6において、アゾ化合物の含有時間を4分30秒から3分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例8]
実施例6において、アゾ化合物の含有時間を4分30秒から2分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例9]
実施例6において、アゾ化合物の含有時間を4分30秒から1分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例10]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−25]を0.32質量部、式(2)に記載の化合物としてC.I.Direct Blue 69を0.22質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.27質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例11]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−25]を0.32質量部、式(2)に記載の化合物としてC.I.Direct Blue 69を0.22質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−2](n=1が24%、n=2が71%、n=3が5%)を0.20質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例12]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−25]を0.32質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−4]を0.20質量部、C.I.Direct Yellow 28を0.22質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例13]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−13]を0.35質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−4]を0.20質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.27質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例14]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−5]を0.29質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−4]を0.20質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.27質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例15]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−25]を0.32質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−13]を0.21質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.27質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例16]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−25]を0.32質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−15]を0.243質量部、式(6)の化合物として化合物例[3−1]を0.27質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例17]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)の化合物として化合物例[1a−25]を0.32質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−23]を0.218質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.27質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例18]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1b)の化合物として化合物例[1b−33]を0.15質量部、式(2)の化合物として化合物例[2−4]を0.10質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.05質量部を用いた点及びアゾ化合物の含有時間を4分30秒から8分00秒に変えた点以外は実施例1と同様にして、偏光板を作製した
[実施例19]
実施例18において、膨潤したフィルムを染色工程にてアゾ化合物を含有させる時間を8分から4分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例20]
実施例19で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1b)の化合物として化合物例[1b−33]を0.15質量部、式(2)の化合物として化合物例[2−4]を0.10質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−2](n=1が24%、n=2が71%、n=3が5%)を0.05質量部を用いた以外は実施例18と同様にして偏光板を作製した。
[実施例21]
実施例19で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1b)の化合物として化合物例[1b−33]を0.15質量部、式(2)の化合物として化合物例[2−4]を0.10質量部、C.I.Direct Yellow 28を0.05質量部を用いた以外は実施例18と同様にして偏光板を作製した。
[実施例22]
実施例19で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1b)の化合物として化合物例[1b−56]を0.25質量部、式(2)の化合物として化合物例[2−4]を0.10質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−2](n=1が24%、n=2が71%、n=3が5%)を0.05質量部を用いた以外は実施例18と同様にして偏光板を作製した。
[実施例23]
実施例19で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1b)の化合物として化合物例[1b−35]を0.22質量部、式(2)の化合物として化合物例[2−4]を0.10質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−2](n=1が24%、n=2が71%、n=3が5%)を0.05質量部を用いた以外は実施例18と同様にして偏光板を作製した。
[実施例24]
実施例19で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1b)の化合物として化合物例[1b−35]を0.22質量部、式(2)の化合物として化合物例[2−17]を0.10質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.05質量部を用いた以外は実施例18と同様にして偏光板を作製した。
[実施例25]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)に記載の化合物として化合物例[1a−25]を0.20質量部、式(1b)に記載の化合物として化合物例[1b−33]を0.15質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−17]を0.1質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.05質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例26]
実施例25において、アゾ化合物の含有時間を4分30秒から3分に変えた以外は同様にして、偏光板を作製した。
[実施例27]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)に記載の化合物として化合物例[1a−25]を0.20質量部、式(1b)に記載の化合物として化合物例[1b−44]を0.17質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−4]を0.17質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.05質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例28]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)に記載の化合物として化合物例[1a−25]を0.20質量部、式(1b)に記載の化合物として化合物例[1b−56]を0.23質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−4]を0.17質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.05質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[実施例29]
実施例1で用いた染色液に代えて、水を1500質量部、トリポリリン酸ナトリウムを1.5質量部、無水芒硝を1.5質量部、式(1a)に記載の化合物として化合物例[1a−13]を0.13質量部及び式(1b)に記載の化合物として化合物例[1b−35]を0.15質量部、式(2)に記載の化合物として化合物例[2−4]を0.17質量部、式(3)の化合物として化合物例[3−1]を0.05質量部を用いた点以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
[比較例1〜5]
実施例1においてアゾ化合物を含有する水溶液(染色液)を特許文献3の実施例1と同じ組成とし、アゾ化合物を含有させる時間(膨潤したPVAフィルムの染着槽への浸漬時間)を比較例1において12分、比較例2において10分、比較例3において8分、比較例4において5分30秒、比較例5において4分と変えた以外は、実施例1と同様にして、アゾ化合物を含有させて偏光板を作製した。
[比較例6]
ニュートラルグレー色を有するポラテクノ社製の高透過率染料系偏光板SHC−115を入手し、測定試料とした。
[比較例7]
ニュートラルグレー色の、高コントラストを有するポラテクノ社製の染料系偏光板SHC−128を入手し、測定試料とした。
[比較例8〜13]
特開2008−065222号公報の比較例1の製法に従い、ただしヨウ素含有時間を、比較例8において5分30秒、比較例9において4分45秒、比較例10において4分15秒、比較例11において3分30秒、比較例12において4分00秒、比較例13において5分15秒とし、アゾ化合物を含まないヨウ素系偏光板を作製し、測定試料とした。
[比較例14]
平行位においてペーパーホワイト色を示すポラテクノ社製のヨウ素系偏光板SKW−18245Pを入手し、測定試料とした。
[比較例15]
染料系偏光板に関する特開平11−218611号公報の実施例1の通りに、偏光板を作製した。
[比較例16]
染料系偏光板に関する特開2001−033627号公報の実施例3の通りに、偏光板を作製した。
[比較例17]
染料系偏光板に関する特開2004−251962公報の実施例1の通りに、偏光板を作製した。
[比較例18]
0.15質量部の化合物例[2−17]に代えて、同色の二色性を有するジアニシジン骨格を有するアゾ化合物である0.29質量部のC.I.Direct Blue 6を用いて、直交位の透過率がほぼ一定で、その色が黒になるように設計した点以外は実施例25と同様にして、偏光板を作製した。
[評価]
実施例1〜29及び比較例1〜18で得られた測定試料の評価を次のようにして行った。
(a)単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tc
各測定試料の単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tcを、分光光度計(日立製作所社製“U−4100”)を用いて測定した。ここで、単体透過率Tsは、測定試料を1枚で測定した際の各波長の透過率である。平行位透過率Tpは、2枚の測定試料をその吸収軸方向が平行となるように重ね合せて測定した各波長の分光透過率である。直交位透過率Tcは、2枚の偏光板をその吸収軸が直交するように重ね合せて測定した分光透過率である。測定は、400〜700nmの波長にわたって行った。
平行位透過率Tpの420〜480nmにおける平均値、520〜590nmにおける平均値、及び600〜640nmにおける平均値を求め、表1、2に示す。
(b)単体透過率Ys、平行位透過率Yp、及び直交位透過率Yc
各測定試料の単体透過率Ys、平行位透過率Yp、及び直交位透過率Ycをそれぞれ求めた。単体透過率Ys、平行位透過率Yp、及び直交位透過率Ycは、400〜700nmの波長領域で、所定波長間隔dλ(ここでは5nm)おきに求めた上記単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tcのそれぞれについて、JIS Z 8722:2009に従って視感度に補正した透過率である。具体的には、上記単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tcを、下記式(I)〜(III)に代入して、それぞれ算出した。なお、下記式(I)〜(III)中、Pλは標準光(C光源)の分光分布を表し、yλは2度視野等色関数を表す。結果を表1、2に示す。
(c)偏光度ρy
各測定試料の偏光度ρyを、以下の式に、平行位透過率Yp及び直交位透過率Ycを代入して求めた。その結果を表3、4に示す。

ρy={(Yp−Yc)/(Yp+Yc)}1/2×100
(d)色度a*値及びb*値
各測定試料について、JIS Z 8781−4:2013に従って、単体透過率Ts測定時及び平行位透過率Tp測定時の各々における色度a*値及びb*値を測定した。測定には、上記の分光光度計を使用し、透過色、反射色共に室外側から入射して測定した。光源には、C光源を用いた。結果を表3、4に示す。ここで、a*−s及びb*−s、a*−p及びb*−pは、単体透過率Ts、平行位透過率Tpのそれぞれの測定時における色度a*値及びb*値にそれぞれ対応する。
(e)2つの波長帯域の平均透過率の差の絶対値
各測定試料の平行位透過率Tpの520〜590nmにおける平均値と420〜480nmにおける平均値との差の絶対値、及び520〜590nmにおける平均値と600〜640nmにおける平均値との差の絶対値を求め、表3、4示す。
表1〜表4に示されるように、実施例1〜29の測定試料はa*−s及びb*−sの絶対値がともに5.0以下であり、a*−p及びb*−pの絶対値がともに2.0以下であり、見た目の色相が非常にニュートラルかつペーパーホワイトであることが分かる。さらに、実施例1〜29の測定試料の平行位透過率Tpは、520〜590nmにおける平均値が25%以上であった。さらに、実施例1〜29の測定試料は平行位透過率Tpは、420〜480nmにおける平均値と、520〜590nmにおける平均値との差の絶対値が1.5%以下であり、かつ、520〜590nmにおける平均値と、590〜640nmにおける平均値との差の絶対値が2.0%以下であり、両者ともに非常に低い値であった。
一方、比較例1〜5の測定試料は、同等の単体透過率(Ys)を示す実施例と比較すると、偏光度(ρy)が低く、さらに、同等の平行位透過率(Yp)を示す実施例と比較してYcが高いため、実施例よりも偏光機能が低いことが分かる。例えば、同等のYsを有する実施例3と比較例1の偏光度(ρy)を比較すると、実施例3は99.95%であるのに対して、比較例1は98.15%であり、実施例3は比較例1よりも偏光度が1.8%高かった。また、実施例3のコントラスト(Yp/Yc)は1985であるのに対し、比較例1は53程度という低い値であり、実施例3は比較例1の約37倍の高いコントラストを有していた。
また、同等のYsを示す実施例25および比較例3の偏光度(ρy)を比較すると、実施例25は99.61%なのに対して、比較例3は95.57%程度と、実施例25の偏光度は比較例3よりも4.04%高かった。また、実施例25のコントラスト(Yp/Yc)は256であるのに対し、比較例3は22程度であり、実施例25は比較例3の11倍以上の高いコントラストを有していた。
さらに、同等の偏光度(ρy)を有する実施例2と比較例2の平行位透過率(Yp)を比較すると、実施例2は37.68%であるのに対して比較例2は33.70%であり、実施例2は比較例2よりYpが3.98%%高く、同等の偏光度を有しながらも、明るい偏光板であることが示された。
さらに、同等の偏光度(ρy)を有する実施例20と比較例1を比較すると、実施例20はYpが38.25%であるのに対して、比較例1は32.72%であり、同偏光度で実施例20は比較例1よりYpが5.53%高く、同等の偏光度を有しながらも、明るい偏光板であることが示された。
比較例6〜13及び15〜18の測定試料は、表4に示される平行位透過率Tpの2つの波長帯域間の平均値の差の絶対値が高い値を示していた。
以上より、実施例1〜29の偏光板は、高い単体透過率及び平行位透過率を維持しつつも、平行位で高品位な紙のような白色を表現でき、かつ、単体で中性色(ニュートラルグレー)を有する色相であることが示された。さらに、実施例1〜29の偏光板は、高い透過率を維持し、平行位で無彩色性を発現していることに加えて、高い偏光度も兼ね備えていることが分かる。
(f)耐久性試験
実施例1〜29及び比較例8〜14の測定試料を、85℃、相対湿度85%RHの環境に240時間置いた。その結果、実施例1〜29の測定試料は透過率や色相の変化は見られなかった。これに対し、比較例8〜14は偏光度が10%以上低下し、b*−cは−10より低くなり、見た目の色として青色に変化し、特に2枚の測定試料を直交位に配置した場合には黒色が大いに青色を呈色した。特に、比較例14は、著しい透過率の向上と偏光度低下が見られた。このことから、実施例1〜29の偏光板を用いた液晶表示装置は信頼性が高く、長期的に高コントラストで、かつ、高い色再現性を有する液晶表示装置になることが分かった。

Claims (11)

  1. 式(1a)又は(1b)で表されるアゾ化合物又はその塩と、式(2)で表されるアゾ化合物又はその塩とを含有する偏光素子。

    (式中、Arは、置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を示し、RrからRrは各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。)

    (式中、Avは、スルホ基及びカルボキシ基から選択される置換基を少なくとも1つ有するフェニル基又はナフチル基を示し、RvからRvは、各々独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、Xvは、低級アルキル、低級アルコキシ基、スルホ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びカルボキシエチルアミノ基からなる群から選択される置換基を少なくとも1つ有していてもよいアミノ基、フェニルアミノ基、フェニルアゾ基、ナフトトリアゾール基、又はベンゾイルアミノ基を示す。)

    (式中、Agは置換基を有するフェニル基又はナフチル基を示し、Bg及びCgは、各々独立に、式(BC−N)又は式(BC−P)で表され、少なくとも一方が式(BC−N)を示し、Xgは、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、又は置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基を示す。)

    (式中、Rgは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、kは0〜2の整数を示す。)

    (Rg及びRgは各々独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。)
  2. 少なくとも1種の式(1a)で表される化合物又はその塩と少なくとも1種の式(1b)で表される化合物又はその塩との両方を含有する、請求項1に記載の偏光素子。
  3. Cgが、式(BC−N)で表される請求項1又は2に記載の偏光素子。
  4. 式(2)で表されるアゾ化合物が式(2’)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の偏光素子。

    (式中、Ag及びXgは式(2)で定義した通りであり、Rg及びRgは、式(BC−N)のRgについて定義した通りであり、k及びkは、式(BC−N)のkについて定義した通りである。)
  5. 式(3)で表されるアゾ化合物又はその塩をさらに含有する請求項1〜4のいずれかに記載の偏光素子。

    (式中、Ayは、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示し、RyからRyは各々独立に、水素原子、スルホ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示し、pは1〜3の整数を示す。)
  6. 前記偏光素子が、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを基材として含む請求項1〜5のいずれかに記載の偏光素子。
  7. JIS Z 8781−4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められるa*値及びb*値の絶対値が、
    前記偏光素子単体で、ともに5.0以下であり、
    前記偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて配置した状態で、ともに2.0以下である、
    請求項1〜6のいずれかに記載の偏光素子。
  8. 前記偏光素子2枚を吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて測定して求められる420nmから480nmの平均透過率と、520nmから590nmの平均透過率との差の絶対値が2.5%以下であり、かつ、520nmから590nmの平均透過率と、600nmから640nmの平均透過率との差の絶対値が2.0%以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の偏光素子。
  9. 前記偏光素子の単体透過率が35%から65%であり、
    前記偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行になるように重ねて配置した状態で求められる520nmから590nmの平均透過率が25%から45%である、
    請求項1〜8のいずれかに記載の偏光素子。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の偏光素子と、前記偏光素子の片面又は両面に設けられた透明保護層とを備える偏光板。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の偏光素子又は請求項10に記載の偏光板を備える液晶表示装置。
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