JP6609259B2 - 偏光素子および該偏光素子を有する偏光板、並びに該偏光素子又は該偏光板を有する液晶表示装置 - Google Patents

偏光素子および該偏光素子を有する偏光板、並びに該偏光素子又は該偏光板を有する液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、偏光素子およびこの偏光素子を有する偏光板、並びに偏光素子又は偏光板を有する液晶表示装置に関するものであり、より詳しくは、高透過率を有する無彩色の染料系偏光素子に関するものである。
一般に偏光素子は、二色性色素であるヨウ素又は二色性染料を、ポリビニルアルコール樹脂フィルム等に吸着配向させることにより製造される。また、この偏光素子は、少なくともその片面に、接着剤層を介して、トリアセチルセルロース等からなる保護フィルムを貼合し、偏光板として液晶表示装置等に用いられる。
また、二色性色素としてヨウ素を用いた偏光板は「ヨウ素系偏光板」と呼ばれ、一方、二色性色素として二色性染料を用いた偏光板は「染料系偏光板」と呼ばれる。これらのうち染料系偏光板は、高耐熱性、高湿熱耐久性、高安定性を有し、配合による色の選択性が高いという特徴がある。しかしながら、このような染料系偏光板は、同じ偏光度を有するヨウ素系偏光板と比較すると、透過率が低い、すなわち、コントラストが低いという問題点があった。そのため、高い耐久性を維持しつつ、色の選択性が多様であり、さらに、より高い透過率および偏光特性を有する染料系偏光板が求められていた。
一方で、色の選択性が多様な染料系偏光板であっても、これまでの偏光板は、偏光板2枚を吸収軸方向が互いに平行な位置関係(以下、単に「平行位」ということがある。)になるよう配置して白色を示す際(以下、単に「白表示時」ということがある。)に、白色が黄色味を帯びた白色を呈するという問題があった。また、この白色が黄色味を帯びるという問題を改善するため、黄色味を抑えて作製された偏光板であっても、これまでの偏光板は、偏光板2枚を吸収軸方向が互いに直交する位置関係(以下、単に「直交位」ということがある。)になるように配置して黒色を示す際(以下、単に「黒表示時」ということがある。)に、黒色が青色に呈色する問題があった。そのため、偏光素子として、白表示時に無彩色の白色を示し、黒表示時に無彩色の黒色を示す偏光板が求められていた。特に、これまでは、単体透過率35%以上で、白表示時に無彩色の白色を示し、黒表示時に無彩色の黒色を示す偏光素子又は偏光板は無かった。
特許第4281261号公報 特許第3357803号公報
機能性色素の応用,第1刷発行版,(株)CMC出版,入江正浩監修,P98−100 染料化学,細田豊著,技報堂
ところで、特許文献1および2には、偏光板の色度を改善する方法に関する技術が開示されている。
特許文献1では、ニュートラル係数を算出し、絶対値が0乃至3である偏光板を開示している。しかし、実施例から分かるように、偏光板は、ニュートラル係数(Np)が低くても、JIS・Z・8729(現JIS・Z・8781−4:2013に相当)から求められる平行位の色度は、a値が−2乃至−1であり、かつ、b値が2.5乃至4.0であることから、白表示時に黄緑色を呈しており、さらに、直交位の色度は、a値が0乃至1であるが、b値が−1.5乃至−4.0であることから、黒表示時に青色を呈していることが分かる。
また、特許文献2では、波長410nm乃至750nmにおける分光透過率がその平均値の±30%以内にあり、ヨウ素に加えて、直接染料、反応染料又は酸性染料を添加して調整してなる偏光素子を開示している。しかし、この偏光素子は、UCS色空間における色の座標値a値およびb値の絶対値が、ともに2以下であっても、白表示時および黒表示時の色度は、同時に無彩色が表現できるものではなかった。さらに、実施例から分かるように、その単体透過率の平均値は、実施例1で31.95%、実施例2で31.41%と低く、高透過率かつ高コントラストが求められる分野(例えば、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス等の分野)においては、未だ十分な性能とはいえなかった。特に、特許文献2では、高透過率(例えば単体透過率が40%以上)の偏光板は得られていなかった。
このように、これまでは、高透過率で無彩色の偏光板は得られておらず、より高い透過率を有し、白表示時に無彩色の白色、かつ、黒表示時に無彩色の黒色を表現し得る偏光板が求められていた。
また、特許文献2の実施例1および実施例2のように、主たる二色性色素としてヨウ素が用いられている偏光素子は、耐久性試験後、特に、湿熱耐久性試験後に、色変化が大きく、偏光素子又は偏光板としては、未だ十分な耐久性が得られていなかった。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、アゾ化合物を構成成分として含む基材からなる偏光素子であって、単体透過率が、35%乃至80%であり、JIS Z 8781−4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められる色度a値およびb値の絶対値が、該偏光素子単体で、ともに1以下であり、該偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態で、ともに2以下であり、かつ、該偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように配置した状態で、ともに2以下であることを特徴とする偏光素子は、透過率が高い場合にも、白表示時に無彩色の白色および黒表示に無彩色の黒色を表現でき、さらに高耐久性を有することを新規に見出した。
すなわち、本発明は、
「[1] アゾ化合物を構成成分として含む基材からなる偏光素子であって、
単体透過率が、35%乃至80%であり、
JIS Z 8781−4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められる色度a値およびb値の絶対値が、
該偏光素子単体で、ともに1以下であり、
該偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態で、ともに2以下であり、かつ、
該偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように配置した状態で、ともに2以下であることを特徴とする、偏光素子。
[2] 該偏光素子の吸収軸方向に対して光の振動方向が直交方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に、550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が4%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が3%以下にあり、
さらに、該偏光素子の吸収軸方向に対して光の振動方向が平行方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に、550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が2%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が2以下である、上記[1]に記載の偏光素子。
[3] 前記アゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(1)に示される化合物又はその塩と、遊離酸の形式で下記式(2)に示される化合物又はその塩とを含む、上記[1]又は[2]に記載の偏光素子。
Figure 0006609259
(式中、Aは置換基を有するフェニル基又はナフチル基を示し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、Xは置換基を有してもよいフェニルアミノ基を示す。)
Figure 0006609259
(式中、R乃至Rは、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、カルボニル基、又はハロゲン原子を示す。)
[4] 前記アゾ化合物は、前記式(1)に示される化合物又はその塩と、遊離酸の形式で下記式(3)に示される化合物又はその塩とを含む、上記[1]又は[2]に記載の偏光素子。
Figure 0006609259
(式中、AおよびAは、各々独立に、置換基の少なくとも1つがスルホ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基若しくは置換アミノ基である、ナフチル基又はフェニル基を示し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。)
[5] 前記アゾ化合物は、前記式(1)に示される化合物又はその塩と、前記式(2)に示される化合物又はその塩と、前記式(3)に示される化合物又はその塩とを含む、上記[1]又は[2]に記載の偏光素子。
[6] 前記アゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(4)に示される化合物、その塩又はその金属錯体を含む、上記[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の偏光素子。
Figure 0006609259
(式中、Aはニトロ基又はアミノ基を示し、Rは水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、Xは置換基を有してもよいフェニルアミノ基を示す。)
[7] 前記アゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(5)に示される化合物、その塩又はその金属錯体を含む、上記[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の偏光素子。
Figure 0006609259
(式中、R10およびR11は、各々独立に、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
[8] 前記式(1)のAが、置換基を有するフェニル基である、上記[3]乃至[7]のいずれか一項に記載の偏光素子。
[9] 前記アゾ化合物は、前記式(4)に示される化合物の銅錯体を含む、上記[6]乃至[8]のいずれか一項に記載の偏光素子。
[10] 前記式(4)のAが、ニトロ基である、上記[6]乃至[9]のいずれか一項に記載の偏光素子。
[11] 前記式(3)のAおよびAが、それぞれスルホ基を有するナフチル基である、上記[4]乃至[10]のいずれか一項の偏光素子。
[12] 前記基材が、前記アゾ化合物を含むポリビニルアルコール系樹脂フィルムである、上記[1]乃至[11]のいずれか一項に記載の偏光素子。
[13] 前記単体透過率が35%乃至60%であり、
下記に示す式(I)に前記単体透過率を代入して得られる最小偏光度ρymin1の数値以上の偏光度ρyを有する、上記[1]乃至[12]のいずれか一項に記載の偏光素子。
Figure 0006609259
(式中、ρymin1は最小偏光度を示し、Ysは単体透過率を示す。)
[14] 前記単体透過率が60%超、80%以下であり、
下記に示す式(II)に前記単体透過率を代入して得られる最小偏光度ρymin2の数値以上の偏光度ρyを有する、上記[1]乃至[12]のいずれか一項に記載の偏光素子。
Figure 0006609259
(式中、ρymin2は最小偏光度を示し、Ysは単体透過率を示す。)
[15] 上記[1]乃至[14]のいずれか一項に記載の偏光素子の少なくとも片面に、透明保護層を有する、偏光板。
[16] 上記[1]乃至[14]のいずれか一項に記載の偏光素子又は請求項15に記載の偏光板を有する、液晶表示装置。」、に関する。
本発明によれば、透過率が高い場合にも、白表示時に無彩色の白色および黒表示に無彩色の黒色を表現できると共に、さらに高耐久性を有する偏光素子および偏光板を得ることができる。
図1は、反射型液晶の電極における各波長の反射光の強度の例である。
<偏光素子>
本発明に係る偏光素子は、アゾ化合物を構成成分として含む基材からなり、単体透過率が、35%乃至80%であり、JIS Z 8781−4:2013 に従って自然光の透過率測定時に求められる色度a*値およびb*値の絶対値が、該偏光素子単体で、ともに1以下であり、該偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態で、ともに2以下であり、かつ、該偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように配置した状態で、ともに2以下であることを特徴とする。
このような偏光素子によれば、高い透過率を有する場合であっても、白表示時に無彩色の白色および黒表示時に無彩色の黒色を表現できると共に、高偏光度および高耐久性を有する偏光素子および偏光板が得られる。
(色度a値およびb値)
本発明において、色度a値およびb値は、JIS Z 8781−4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められる値である。JIS Z 8781−4:2013に定められる物体色の表示方法とは、国際照明委員会(略称 CIE)が定める物体色の表示方法に相当する。このような色度a値およびb値の測定は、測定試料(例えば、偏光素子又は偏光板)に自然光を照射して行われる。なお、以下において、測定試料1枚について求められる色度a値およびb値はa−sおよびb−s、測定試料2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態(白表示時)について求められる色度a値およびb値はa−pおよびb−p、測定試料2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように配置した状態(黒表示時)について求められる色度a値およびb値はa−cおよびb−cと示す。
本発明に係る偏光素子は、a−sおよびb−sの絶対値が、ともに1以下であり、かつ、a−pおよびb−p並びにa−cおよびb−cの絶対値が、各々、2以下である。このような偏光素子によれば、白表示時に無彩色の白色および黒表示時に無彩色の黒色を表現できる偏光素子および偏光板を実現できる。また、a−p、b−p、a−cおよびb−cの絶対値が、各々、1.5以下であることが好ましく、さらに1.0以下であることがより好ましい。通常、a−p、b−p、a−cおよびb−cは、各々絶対値で0.5程度の差があるだけでも、人間は色の違いを知覚できる。したがって、偏光素子において、これらの数値を制御することは、非常に重要となる。特に、a−p、b−p、a−cおよびb−cの絶対値が、各々、1以下である場合には、白表示時の白色および黒表示時の黒色にその他の色がほぼ確認できない、良好な偏光素子が得られる。
特に、上記のような所定の色度の関係を有する偏光素子を得るためには、偏光素子について、各波長の透過率を、所定の関係に制御することが好ましい。具体的には、偏光素子の吸収軸方向に対して光の振動方向が直交方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が4%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が3%以下であり、さらに、偏光素子の吸収軸方向に対して光の振動方向が平行方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が2%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が2以下となるように、透過率を制御することが好ましい。ここで、「絶対偏光光」とは、偏光度がほぼ100%の偏光板に光を照射した際に、この偏光板を通過してきた偏光後の光をいい、ほぼ100%の偏光光を意味する。
また、より好ましくは、特に偏光素子の吸収軸方向に対して光の振動方向が直交方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が2%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が2%以下となるように制御することが望ましい。
また、さらに好ましくは、偏光素子の吸収軸方向に対して光の振動方向が直交方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が1.5%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が1.5%以下にあり、さらに、偏光素子の吸収軸方向に対して光の振動方向が平行方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が1.5%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が1.5%以下となるように制御することが望ましい。
(単体透過率Ys)
本発明において単体透過率は、JIS Z 8722:2009に準拠して求められる、視感度補正後の単体透過率Ysである。このような単体透過率Ysの測定は、測定試料(例えば、偏光素子又は偏光板)1枚について、400乃至700nmの各波長について、5nmまたは10nm毎に分光透過率Ts測定し、これを2度視野(C光源)により、視感度に補正することで求めることができる。
本発明に係る偏光素子は、単体透過率Ysが35%乃至80%である。偏光板の性能としては、透過率がより高いものが求められるが、単体透過率Ysが35%乃至80%であれば、表示装置に用いても違和感なく明るさを表現できる。なお、透過率が高いほど、偏光度は下がる傾向にあるため、偏光度とのバランスの観点からは、単体透過率Ysは、38%乃至55%であることが好ましく、より好ましくは40%乃至55%である。
なお、偏光度が著しく低下する、単体透過率が60%超、80%以下の偏光素子であっても、本発明に係る偏光素子によれば、視認性を向上できる。すなわち、本発明の偏光素子は、偏光の有無によって、白表示時の白色および黒表示時の黒色を無彩色にでき、白色と黒色を明瞭に表現できると共に、その高い透過率によって、輝度を向上させることができる。そのため、その明るさの明瞭な差によって、視認性が向上し、ディスプレイによっては視認性が良好となる。なお、単体透過率が60%超、80%以下の偏光素子については、偏光度は10%以上が好ましく、より好ましくは20%以上、さらに30%以上ある。
また、実際には反射を制御したいディスプレイ(例えば、反射型液晶ディスプレイやOLED等のディスプレイ)では、偏光素子の輝度と偏光のバランスを考慮して用いることが重要である。特に、反射型液晶ディスプレイでは、偏光素子は、表示時の反射を制御できる程度の偏光度を有していれば十分であり、そのような偏光素子は、高輝度又は高反射率を有するディスプレイへの設計が可能となる。したがって、単体透過率が60%超、80%以下の偏光素子であっても、有効な活用が可能である。
(偏光度ρy)
偏光板の性能としては、偏光度がより高いものが求められるが、本実施形態において偏光素子の偏光度(以下、「ρy」と記載することもある。)は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは90%以上あり、特に好ましくは99%以上である。
本実施形態に係る偏光素子の偏光度ρyは、その単体透過率Ys(以下、単に「Ys」と記載することもある。)が35%乃至60%の場合には、下記に示す式(I)に、その単体透過率Ysを代入して得られる最小偏光度ρymin1の数値以上であることが好ましく、その単体透過率Ysが60%超、80%以下の場合には、下記に示す式(II)に、その単体透過率Ysを代入して得られる最小偏光度ρymin2の数値以上であることが好ましい。本発明の偏光素子は、最小偏光度ρymin1又は最小偏光度ρymin2以上の偏光度を有することによって、高い透過率であっても、その透過率に対して、高い偏光度を維持することができる。
Figure 0006609259
Figure 0006609259
上記式(I)および式(II)中、Ysは偏光素子の単体透過率(実測値)であり、ρymin1は、単体透過率Ysが35%乃至60%の場合における偏光度の好ましい最小偏光度(閾値)であり、ρymin2は、単体透過率Ysが60%超、80%以下の場合における偏光度の好ましい最小偏光度(閾値)である。
また、本実施形態に係る偏光素子の偏光度ρyは、単体透過率Ysが35%乃至60%の場合には、下記に示す式(III)に、単体透過率Ysを代入して得られる最小偏光度ρymin3の数値以上であることがより好ましく、単体透過率Ysが60%超、80%以下の場合には、下記に示す式(IV)に、単体透過率Ysを代入して得られる最小偏光度ρymin4の数値以上であることがより好ましい。
Figure 0006609259
Figure 0006609259
上記式(III)および式(IV)中、Ysは偏光素子の単体透過率(実測値)であり、ρymin3は、単体透過率Ysが35%乃至60%の場合における偏光度のより好ましい最小偏光度(閾値)であり、ρymin4は、単体透過率Ysが60%超、80%以下の場合における偏光度のより好ましい最小偏光度(閾値)である。
なお、上記式(I)〜(IV)は、本発明者らが、長年行ってきた研究開発の知見に基づいて、経験的に導き出した製品性能に関する関係式であり、特に高透過率で高偏光度な偏光素子を開発する際の指標となる。すなわち、偏光度を上記関係に制御することにより、従来の単体透過率Ysが同程度の偏光素子に比べて、高い偏光度を有する偏光素子を実現できる。
(アゾ化合物を構成成分として含む基材)
本発明の偏光素子は、アゾ化合物を構成成分として含む基材よりなる。
本実施形態において、アゾ化合物は、二色性染料であることが好ましい。アゾ化合物からなる二色性染料としては、例えば、非特許文献1に示されるような有機化合物を使用することができる。特に、二色性の高いものが好ましい。例えば、シー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.イエロー28、シー.アイ.ダイレクト.イエロー44、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ26、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ107、シー.アイ.ダイレクト.レッド2、シー.アイ.ダイレクト.レッド31、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド247、シー.アイ.ダイレクト.グリーン80およびシー.アイ.ダイレクト.グリーン59、並びに特開2001−33627号公報、特開2002−296417号公報および特開昭60−156759号公報に記載された有機染料等が挙げられる。これらの有機染料は、遊離酸の他、アルカリ金属塩(例えばNa塩、K塩、Li塩)、アンモニウム塩、又はアミン類の塩として用いることができる。ただし、二色性染料は、これらに限定されず公知の二色性染料を用いることもできる。
また、アゾ化合物は、遊離酸、その塩又はその金属錯塩からなる染料であることが好ましく、これらの場合に、特に光学特性が向上する。なお、金属錯体は、特に限定されないが、好ましくは遷移金属錯体であり、特に好ましくは銅錯体である。
また、アゾ化合物を含有する染料は、1種のみで用いてもよいし、他のアゾ化合物と配合して用いてもよく、配合は限定されない。また、これらのアゾ化合物を用いて、基材の透過率等を調整することによって、本発明の偏光素子を実現できる。
本実施形態において、アゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(1)に示される化合物又はその塩と、遊離酸の形式で下記式(2)に示される化合物又はその塩とを含有することが好ましい。また、アゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(1)に示される化合物又はその塩と、遊離酸の形式で下記式(3)に示される化合物又はその塩とを含有することが好ましい。このようなアゾ化合物により調色された基材によれば、白表示時の白色および黒表示時の黒色をより無彩色に表現できる偏光素子が得られる。
Figure 0006609259
上記式(1)中、Aは置換基を有するフェニル基又はナフチル基を示し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、Xは置換基を有してもよいフェニルアミノ基を示す。
また、透過率および偏光度をさらに高め、白表示時の白色および黒表示時の黒色をより無彩色に表現する観点からは、Aは置換基を有するフェニル基であることが好ましい。このとき、好ましい置換基としては、例えばスルホ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルキル基およびスルホ基を有するアルコキシル基が挙げられるが、中でも、スルホ基又はカルボニル基であることがより好ましい。さらに、フェニル基において、上記のような置換基は、1つでもよいが、2つ以上有していてもよい。なお、本明細書において、低級アルキル基および低級アルコキシ基の「低級」とは、炭素数が1乃至3であることを示す。
Figure 0006609259
上記式(2)中、R乃至Rは、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、カルボニル基、又はハロゲン原子を示す。
Figure 0006609259
上記式(3)中、AおよびAは、各々独立に、置換基の少なくとも1つがスルホ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基若しくは置換アミノ基である、ナフチル基又はフェニル基を示し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。
また、透過率および偏光度をさらに高め、白表示時の白色および黒表示時の黒色をより無彩色に表現する観点からは、AおよびAはスルホ基又はカルボニル基を有するナフチル基であることが好ましい。特に、スルホ基を有する場合が好ましく、偏光素子又は偏光板において高コントラストを実現し得る。
また、本実施形態に係るアゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(4)に示される化合物、その塩又はその金属錯体をさらに含有することが好ましい。このようなアゾ化合物により調色された基材によれば、白表示時の白色および黒表示時の黒色をより無彩色に表現できると共に、より高い透過率および偏光度を有した偏光素子が得られる。なお、金属錯体は、特に限定されないが、好ましくは遷移金属錯体であり、特に好ましくは銅錯体である。
Figure 0006609259
上記式(4)中、Aはニトロ基若しくはアミノ基を示し、Rは水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、Xは置換基を有してもよいフェニルアミノ基を示す。
また、透過率および偏光度をさらに高め、白表示時の白色および黒表示時の黒色をより無彩色に表現する観点からは、Aはニトロ基であることが好ましく、Rはメトキシ基であることが好ましい。特に、Aがニトロ基であることによって偏光性能が向上する。
また、アゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(5)に示される化合物、その塩又はその金属錯体をさらに含有することが好ましい。このようなアゾ化合物により調色された基材によれば、白表示時の白色および黒表示時の黒色をより無彩色に表現できると共に、より高い透過率および偏光度を有した偏光素子が得られる。なお、金属錯体は、特に限定されないが、好ましくは遷移金属錯体であり、特に好ましくは銅錯体である。
Figure 0006609259
上記式(5)中、R10およびR11は、各々独立に、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。
また、透過率および偏光度をさらに高め、白表示時の白色および黒表示時の黒色をより無彩色に表現する観点からは、R10およびR11はスルホ基又はカルボニル基であることが好ましい。R10およびR11がスルホ基又はカルボニル基であることによって、白表示時の白色および黒表示時の黒色をより無彩色に表現できる偏光素子が得られる。また、上記式(5)において、末端の置換基は異なることが好ましい。末端の置換基を変えることによって、偏光素子の短波長側の偏光度、特に400nm乃至480nmの偏光度が向上し、偏光板のb−p又はb−cがよりゼロに近づく、つまりは、より無彩色に近づく。
特に、アゾ化合物として、上記式(4)又は式(5)に示される化合物、その塩又はその金属錯体を用いることによって、さらに耐久性試験後にも色変化のない高耐久な無彩色偏光素子を得ることができる。
また、透過率および偏光度を高め、白表示時の白色および黒表示時の黒色をより無彩色に表現し得る偏光素子を得る観点からは、上記式(1)に示される化合物又はその塩と、上記式(2)に示される化合物又はその塩と、上記式(3)に示される化合物又はその塩とを、同時に含有していることがより好ましい。
上記式(1)で示される化合物を得る方法としては、例えば、特開2003−215338号公報、特開平9−302250号公報、特許第3881175号公報、特許第4452237号公報および特許第4662853号公報等に記載されている方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下に、上記式(1)で表されるアゾ化合物の具体例を、遊離酸の形式で示す。
Figure 0006609259
Figure 0006609259
また、上記式(2)で表される化合物は、非特許文献2に記載されるような通常のアゾ染料の製法に従い、カップリングを行うことによって製造できる。具体的な製造方法としては、例えば、下記式(6)で表されるアミノ化合物を公知の方法でジアゾ化し、N,N−ビス(1−ヒドロキシ−3−スルホ−6−ナフチル)アミン(慣用名:ジJ酸)に10〜20℃でアルカリカップリングしてジスアゾ化合物を得る。得られたジスアゾ化合物を、例えば硫酸銅と、アンモニア水、アミノアルコール、ヘキサメチレンテトラミンを加えて、85〜95℃で銅化反応を行い、上記式(2)の化合物を含有する溶液を得る。次いでこの溶液を、蒸発乾固、又は、塩析ろ過し、乾燥して、粉砕し、粉末化することによって上記式(2)の化合物を得ることができる。
Figure 0006609259
上記式(6)中、RxおよびRyは、式(2)におけるR乃至Rと同じ意味を表す。
以下に、上記式(2)で表されるアゾ化合物の具体例を、遊離酸の形式で示す。
Figure 0006609259
Figure 0006609259
上記式(3)で示される化合物を得る方法としては、例えば、国際公開第2012/165223号等に記載の方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下に、上記式(3)で表されるアゾ化合物の具体例を、遊離酸の形式で示す。
Figure 0006609259
また、上記式(4)で示される化合物を得る方法としては、例えば、特開2013−057909号公報等に記載されている方法が、これらに限定されるものではない。以下に、上記式(4)で表されるアゾ化合物の具体例を、遊離酸の形式で示す。
Figure 0006609259
Figure 0006609259
Figure 0006609259
また、上記式(5)で示される化合物を得る方法としては、例えば、国際公開第2007/138980号等に記載されている方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、上記式(5)で表されるアゾ化合物としては、例えば、国際公開第2007/138980号に記載されている染料や、C.I.Direct Yellow 4、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 72、C.I.Direct Orange 39等のスチルベン構造を有するアゾ化合物を好適に用いることができる。以下に、上記式(5)で表されるアゾ化合物の具体例を、遊離酸の形式で示す。
Figure 0006609259
また、アゾ化合物を含有した基材を得る方法は、特に限定されるものではないが、例えば、予めフィルム状に成形された材料の表面や内部に、含浸や塗布等によりアゾ化合物を構成成分として含有させる方法や、アゾ化合物を予め含有する材料をフィルム状に成形する方法等が挙げられる。
また、アゾ化合物を含有させる材料は、特に限定されないが、例えば、一般的に二色性染料を含有し得る親水性高分子などが挙げられる。このような親水性高分子は、特に限定しないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、アミロース系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂およびポリアクリル酸塩系樹脂等が挙げられる。中でも、二色性染料を含有させる場合、加工性、染色性および架橋性等の観点から、ポリビニルアルコール系樹脂およびその誘導体よりなる樹脂が最も好ましい。
さらに、このような材料をフィルム形状とし、延伸等の配向処理によって、上述のような染料およびその配合物をこれに含有させることにより、本発明に係るアゾ化合物を含有した基材を得ることができる。
以下、ポリビニルアルコール系樹脂を用いてアゾ化合物を含有した基材を作製する場合を例に、具体的な偏光素子の作製方法を説明する。なお、本発明に係る偏光素子の製造方法は、下記の製法に限定されるものではない。
(原反フィルムの作製)
まず、ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムを準備する。
ポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されず、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成されたものを用いてもよい。
具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルおよびこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合する他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上である。このようなポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性したポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等を用いることもできる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、粘度平均重合度を意味し、当該技術分野において周知の手法によって求めることができ、通常1000〜10000程度が好ましく、より好ましくは重合度1500〜6000程度である。
次に、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜し、原反フィルムを作製する。
ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されず、公知の方法で製膜することができる。この場合、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムには、可塑剤としてグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール等が含有していてもよい。可塑剤量はフィルム全体の5〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは8〜15重量%である。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、例えば、5μm〜150μm程度であることが好ましく、より好ましく10μm〜100μm程度である。
(膨潤工程)
次に、原反フィルムに、膨潤処理を施す。膨潤処理は20℃〜50℃の溶液に、原反フィルムを30秒〜10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。溶液は水が好ましい。延伸倍率は1.00〜1.50倍で調整することが好ましく、より好ましくは1.10〜1.35倍である。なお、偏光素子を製造する時間を短縮する場合には、色素の染色処理時にも膨潤処理を行うため、膨潤工程を省略することもできる。
(染色工程)
膨潤工程の後に、染色工程が施される。染色工程では、上記処理後の樹脂フィルムにアゾ化合物を含浸させる。このようにアゾ化合物を含浸させる処理は、樹脂フィルムに色を着色する工程であることから、染色工程としている。
ここで、アゾ化合物としては、非特許文献1に記載の二色性染料であるアゾ化合物や、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)等で示されるアゾ化合物を用いることができる。これらのアゾ化合物は、遊離酸として用いられるほか、これらの化合物の塩でもよい。そのような塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにアンモニウム塩およびアルキルアミン塩等の有機塩を用いることができ、好ましくは、ナトリウム塩である。
また、染色工程は、例えば、樹脂フィルムを、上記アゾ化合物を含有する染色溶液に浸漬させることによって行うことが好ましい。染色方法は、樹脂フィルムにアゾ化合物を吸着および含浸等させる方法であれば、特に限定されないが、樹脂フィルムを、染色溶液に浸漬することが好ましく、樹脂フィルムに染色溶液を塗布することによって行うこともできる。
また、この工程での溶液温度は、5〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましく、35〜50℃が特に好ましい。溶液に浸漬する時間は適度に調節できるが、30秒〜20分で調節するのが好ましく、1〜10分がより好ましい。
また、このような染色溶液におけるアゾ化合物の含有量は、アゾ化合物を含む染料の染色性や、染色時間および温度等によって任意に調整できるが、好ましくは、溶液全体の0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜1重量%がより好ましい。
また、このような染色溶液は、染色助剤として、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウム等を必要に応じて含有させてもよい。それらの含有量は、染料の染色性による時間および温度によって任意の濃度で調整できるが、それぞれの含有量としては、溶液全体の5重量%以下が好ましく、0.1〜2重量%がより好ましい。
(洗浄工程1)
染色工程後、次の工程に入る前に洗浄工程(以降洗浄工程1という)を行うことができる。洗浄工程1とは、染色工程で樹脂フィルムの表面に付着した染料溶媒を洗浄する工程である。洗浄工程1を行うことによって、次の工程で用いられる溶液に染料が移行することを抑制できる。洗浄工程1では、溶媒として、一般的に水が用いられる。洗浄方法は、樹脂フィルムを溶液に浸漬することが好ましいが、溶液を樹脂フィルムに塗布することによって洗浄することもできる。洗浄の時間は、特に限定されないが、好ましくは1〜300秒、より好ましくは1〜60秒である。洗浄工程1での溶媒の温度は、樹脂フィルムを構成する材料(例えば、親水性高分子、ここではポリビニルアルコール樹脂)が溶解しない温度であることが必要となる。一般的には5〜40℃で洗浄処理される。ただし、洗浄工程1の工程がなくとも、性能には問題は出ないため、本工程は省略することもできる。
(架橋剤および/又は耐水化剤の少なくとも一方を含有させる工程)
染色工程又は洗浄工程1の後、架橋剤および/又は耐水化剤を含有させる工程を行うことができる。架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂又はホウ酸アンモニウム等のホウ素化合物、グリオキザール又はグルタルアルデヒド等の多価アルデヒド、ビウレット型、イソシアヌレート型又はブロック型等の多価イソシアネート系化合物、チタニウムオキシサルフェイト等のチタニウム系化合物等を用いることができるが、他にもエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリアミドエピクロルヒドリン等を用いることができる。耐水化剤としては、過酸化コハク酸、過硫酸アンモニウム、過塩素酸カルシウム、ベンゾインエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、塩化アンモニウム又は塩化マグネシウム等を用いることができる、好ましくはホウ酸が用いられる。以上に示された少なくとも1種以上の架橋剤および/又は耐水化剤を用いて架橋剤および/又は耐水化剤を含有させる工程を行う。
本工程において、溶媒としては、水が好ましいが限定されるものではない。架橋剤および/又は耐水化剤を含有させる工程での溶媒中の架橋剤および/又は耐水化剤の含有濃度は、ホウ酸を例にして示すと、溶媒に対して濃度0.1〜6.0重量%が好ましく、1.0〜4.0重量%がより好ましい。この工程での溶媒温度は、5〜70℃が好ましく、5〜50℃がより好ましい。樹脂フィルムに架橋剤および/又は耐水化剤を含有させる方法は、樹脂フィルムを溶液に浸漬することが好ましいが、溶液を樹脂フィルムに塗布又は塗工してもよい。この工程での処理時間は30秒〜6分が好ましく、1〜5分がより好ましい。ただし、架橋剤および/又は耐水化剤を含有させることが必須でなく、製造時間を短縮したい場合には、架橋処理又は耐水化処理が不必要な場合には、この処理工程を省略してもよい。
(延伸工程)
染色工程、洗浄工程1、又は架橋剤および/又は耐水化剤を含有させる工程を行った後に、延伸工程を行う。延伸工程とは、樹脂フィルムを1軸に延伸する工程である。延伸方法は湿式延伸法又は乾式延伸法のどちらでもよい。また、延伸倍率は、3倍以上であることが好ましく、より好ましくは5倍乃至7倍に延伸される。
乾式延伸法の場合には、延伸加熱媒体が空気媒体の場合には、空気媒体の温度は常温〜180℃で延伸するのが好ましい。また、湿度は20〜95%RHの雰囲気中で処理するのが好ましい。加熱方法としては、例えば、ロール間ゾーン延伸法、ロール加熱延伸法、圧延伸法、赤外線加熱延伸法等が挙げられるが、その延伸方法は限定されるものではない。延伸工程は1段で延伸することもできるが、2段以上の多段延伸により行うこともできる。
湿式延伸法の場合には、水、水溶性有機溶剤、又はその混合溶液中で延伸することが好ましい。さらに、架橋剤および/又は耐水化剤を含有した溶液中に浸漬しながら延伸処理を行うことがより好ましい。架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂又はホウ酸アンモニウム等のホウ素化合物、グリオキザール又はグルタルアルデヒド等の多価アルデヒド、ビウレット型、イソシアヌレート型又はブロック型等の多価イソシアネート系化合物、チタニウムオキシサルフェイト等のチタニウム系化合物等を用いることができるが、他にもエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリアミドエピクロルヒドリン等を用いることができる。耐水化剤としては、過酸化コハク酸、過硫酸アンモニウム、過塩素酸カルシウム、ベンゾインエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、塩化アンモニウム又は塩化マグネシウム等を用いることができる。以上に示された少なくとも1種以上の架橋剤および/又は耐水化剤を含有した溶液中で延伸を行うことが好ましく、特に架橋剤としてホウ酸を含有することが好ましい。延伸工程での架橋剤および/又は耐水化剤の濃度は、例えば、溶液に対して、各々、0.5〜15重量%が好ましく、2.0〜8.0重量%がより好ましい。延伸倍率は2〜8倍が好ましく、5〜7倍がより好ましい。延伸温度は40〜60℃で処理することが好ましく、45〜58℃がより好ましい。延伸時間は通常30秒〜20分であるが、2〜5分がより好ましい。湿式延伸工程は1段で延伸することができるが、2段以上の多段延伸により行うこともできる。
(洗浄工程2)
延伸工程を行った後には、樹脂フィルム表面に架橋剤および/又は耐水化剤の析出、又は異物が付着することがあるため、樹脂フィルム表面を洗浄する洗浄工程(以降洗浄工程2という)を行うことができる。洗浄時間は1秒〜5分が好ましい。洗浄方法は樹脂フィルムを洗浄溶液に浸漬することが好ましいが、洗浄溶液を樹脂フィルムに塗布又は塗工することによって洗浄することもできる。1段で洗浄処理することもできるし、2段以上の多段処理をすることもできる。洗浄工程の溶液温度は、特に限定されないが通常5〜50℃、好ましくは10〜40℃である。
なお、ここまでの処理工程で用いられる溶媒としては、水の他、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリメチロールプロパン等のアルコール類、エチレンジアミン又はジエチレントリアミン等のアミン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの溶媒は、単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いてもよい。また、最も好ましい溶媒は水である。
(乾燥工程)
延伸工程又は洗浄工程2の後には、樹脂フィルムの乾燥工程を行う。乾燥処理は、自然乾燥により行うことができるが、より乾燥効率を高めるためにはロールによる圧縮や、エアーナイフ又は吸水ロール等による表面の水分除去等により行うことができ、さらに、必要に応じて送風乾燥により行うこともできる。乾燥処理温度としては、20〜100℃で乾燥処理することが好ましく、60〜100℃で乾燥処理することがより好ましい。乾燥処理時間は30秒〜20分を適用できるが、5〜10分であることが好ましい。
以上の方法で、アゾ化合物よりなる二色性染料が含有した基材であって、所定の単体透過率および色度を有する偏光素子を得ることができる。
<偏光板>
本発明の偏光板は、本発明の偏光素子の少なくとも片面に、透明保護層を設けることによって得られる。なお、偏光板は、偏光素子の両面に透明保護層を設けたものであってもよい。
透明保護層はポリマーによる塗布層として、又はフィルムのラミネート層として設けることができる。透明保護層を形成する透明ポリマー又はフィルムとしては、機械的強度が高く、熱安定性が良好な透明ポリマー又はフィルムが好ましい。透明保護層として用いる物質として、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ノルボルネンのような環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系乃至はノルボルネン骨格を有するポリオレフィン又はその共重合体、主鎖又は側鎖がイミドおよび/又はアミドの樹脂若しくはポリマー、又はこれらのフィルム等が挙げられる。また、透明保護層として、液晶性を有する樹脂又はそのフィルムを設けることもできる。
透明保護層の厚みは、例えば、0.5〜200μm程度である。その中の同種又は異種の樹脂又はフィルムを片面、若しくは両面に1層以上設けることによって偏光板を作製する。
透明保護層は、本発明の偏光素子に貼り合わせるために、接着剤が必要となる。接着剤としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール接着剤が好ましい。ポリビニルアルコール接着剤として、例えば、ゴーセノールNH−26(日本合成社製)、エクセバールRS−2117(クラレ社製)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。接着剤には、架橋剤および/又は耐水化剤を添加することができる。ポリビニルアルコール接着剤には、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体を用いるが、必要により架橋剤を混合させた接着剤を用いることができる。無水マレイン酸−イソブチレン共重合体として、例えば、イソバン#18(クラレ社製)、イソバン#04(クラレ社製)、アンモニア変性イソバン#104(クラレ社製)、アンモニア変性イソバン#110(クラレ社製)、イミド化イソバン#304(クラレ社製)、イミド化イソバン#310(クラレ社製)などが挙げられる。その際の架橋剤には水溶性多価エポキシ化合物を用いることができる。水溶性多価エポキシ化合物とは、例えば、デナコールEX−521(ナガセケムテック社製)、テトラット−C(三井ガス化学社製)などが挙げられる。また、ポリビニルアルコール樹脂以外の接着剤として、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系といった公知の接着剤を用いることもできる。また、接着剤の接着力の向上、又は耐水性の向上を目的として、亜鉛化合物、塩化物、ヨウ化物等の添加物を同時に0.1〜10重量%程度の濃度で含有させることもできる。添加物についても限定されるものではない。透明保護層を接着剤で貼り合わせた後、適した温度で乾燥若しくは熱処理することによって偏光板を得る。
得られた偏光板は場合によって、例えば液晶、有機エレクトロルミネッセンス(通称、OLED又はOEL)等の表示装置に貼り合わせる場合、後に非露出面となる保護層又はフィルムの表面に視野角改善および/又はコントラスト改善のための各種機能性層、輝度向上性を有する層又はフィルムを設けることもできる。偏光板を、これらのフィルムや表示装置に貼り合わせるには粘着剤を用いるのが好ましい。
この偏光板は、保護層又はフィルムの露出面に、反射防止層や防眩層、ハードコート層など、公知の各種機能性層を有していてもよい。この各種機能性を有する層を作製するには塗工方法が好ましいが、その機能を有するフィルムを接着剤又は粘着剤を介して貼り合わせることもできる。また、各種機能性層とは、位相差を制御する層又はフィルムとすることができる。
本発明の偏光素子又は偏光板は、液晶表示装置等に好適に用いることができる。本発明の偏光素子又は偏光板を用いた液晶表示装置は、信頼性が高く、長期的に高コントラストで、かつ、高い色再現性を有する液晶表示装置になる。
特に、反射型液晶は、その駆動電極の材料として、ITO(Indium tin Oxide)などの透明電極や、アルミニウム電極等を用いているため、その電極の反射光は図1のような各波長の反射強度を示し、その反射色は緑色を呈する。図1に示す反射光強度は、分光光度計U−4100(日立製作所社製)を用いて測定し、最も高い反射光強度を100として換算した結果である。
ここから分かるように、反射色を補正するためには、偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態で測定して求められたa値の値を調整し、若干、赤色を呈することがより好ましい。偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態で測定して求められたa値の好ましい範囲としては、−0.5乃至1.7、より好ましくは0乃至1.5、さらに好ましくは0.3乃至1.2である。
こうして得られた本発明の偏光素子又は偏光板は、必要に応じて保護層又は機能層および支持体等を設け、液晶プロジェクター、電卓、時計、ノートパソコン、ワープロ、液晶テレビ、偏光レンズ、偏光メガネ、カーナビゲーション、および屋内外の計測器や表示器等に使用される。特に、反射型液晶表示装置、半透過液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス等では有効な偏光素子又は偏光板として利用される。
本発明の偏光板の適用方法として、支持体付偏光板として使用してもよい。支持体は偏光板を貼付するため、平面部を有しているものが好ましく、また光学用途であるため、ガラス成形品が好ましい。ガラス成形品としては、例えばガラス板、レンズ、プリズム(例えば三角プリズム、キュービックプリズム)等が挙げられる。レンズに偏光板を貼付したものは液晶プロジェクターにおいて偏光板付のコンデンサレンズとして利用し得る。また、プリズムに偏光板を貼付したものは液晶プロジェクターにおいて偏光板付きの偏光ビームスプリッタや偏光板付ダイクロイックプリズムとして使用し得る。また、液晶セルに貼付してもよい。ガラスの材質としては、例えばソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、水晶よりなる無機基盤、サファイヤよりなる無機基盤等の無機系のガラスやアクリル、ポリカーボネート等の有機系のプラスチック板が挙げられるが無機系のガラスが好ましい。ガラス板の厚さや大きさは所望のサイズでよい。また、ガラス付き偏光板には、単板光透過率をより向上させるために、そのガラス面又は偏光板面の一方若しくは双方の面にAR層を設けることが好ましい。こういった支持体に、例えば支持体平面部に透明な接着(粘着)剤を塗布し、次いでこの塗布面に本発明の偏光板を貼付する。また、偏光板に透明な接着(粘着)剤を塗布し、次いでこの塗布面に支持体を貼付してもよい。ここで使用する接着(粘着)剤は、例えばアクリル酸エステル系のものが好ましい。なお、この偏光板を楕円偏光板として使用する場合、位相差板側を支持体側に貼付するのが通常であるが、偏光板側をガラス成形品に貼付してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(染料)
まず、実施例で使用した染料と、その合成方法又は入手方法について説明する。
・染料(1): 上記式(1)の化学構造を有するアゾ化合物を含む染料。特許第4033443号公報の実施例1に準じて作製した。
・染料(2):上記式(2)の化学構造を有するアゾ化合物を含む染料。以下の合成例1に示す方法で作製した。
・染料(3):上記式(3)の化学構造を有するアゾ化合物を含む染料。国際公開第2012/165223号の合成例1に準じて製造した。
・染料(4):上記式(4)の化学構造を有するアゾ化合物を含む染料。特開2013−057909号公報の実施例3に準じて製造した。
・染料(5):上記式(5)の化学構造を有するアゾ化合物を含む染料。市販品であるC.I.Direct Orange 39(日本化薬社製 カヤラス・スープラ・オレンジ2GL)を用いた。
(合成例1)
2−ニトロ−4−スルホアニリン 17.9重量部を水145重量部に溶かし、35質量%の塩酸26重量部を含む水140重量部中に加え、15〜20℃で、さらに、亜硝酸ナトリウム6.9重量部を加え、1時間かけてジアゾ化した。
次いで、これを、N,N−ビス(1‐ヒドロキシ‐3‐スルホ‐6‐ナフチル)アミン(慣用名:ジJ酸)31.5重量部と、水125重量部と、ソーダ灰11重量部とからなる水溶液中に加え、さらに、この水溶液にソーダ灰溶液を注加しながらpHを8.5〜9.5に保ち、20℃で3時間かけて、斑点テストでジスアゾ化合物が認められなくなるまでカップリングを行い、ジスアゾ化合物を得た。
さらに、得られたジスアゾ化合物に、予め調製された銅錯塩(硫酸銅25重量部にモノエタノールアミン30.5重量部を加えて調製)の水溶液を加え、95℃で10時間かけて、薄層クロマト上で未反応物が認められなくなるまで銅化反応を行った。
その後、得られた溶液に対して、サヌキ塩を25重量%加えて、塩析しろ過し、60℃で蒸発乾固させ、上記式(2)の化学構造を有する化合物例12を得た。
(実施例1)
厚みが40μm、ケン化度99%以上、平均重合度2400のポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF−PS)を、45℃の温水に2分間浸漬し、膨潤処理を適用し、延伸倍率を1.30倍とした。
次に、膨潤処理したフィルムを、水 1500重量部、トリポリリン酸ナトリウム(純正化学社製) 1.5重量部、無水芒硝(純正化学社製) 1.5重量部、染料(1) 0.038重量部、染料(2) 0.17重量部、染料(4) 0.105重量部および染料(5) 0.13重量部を混合してなる水溶液に、45℃で3分00秒間浸漬して染料を含有させた(染色工程)。
次に、得られたフィルムを、ホウ酸(Societa Chimica Larderello s.p.a.社製)の20.0g/l水溶液に、40℃で1分間浸漬し、さらに、このフィルムを5.0倍に延伸しながら、30.0g/lのホウ酸水溶液に、50℃で5分間浸漬し、延伸処理した。さらに、得られたフィルムの緊張状態を保ちながら、ヨウ化カリウム(純正化学社製)の20.0g/l水溶液に、30℃で20秒間浸漬した。
その後、得られたフィルムを、70℃で9分間乾燥処理して、厚さ13μmの偏光素子を得た。
さらに、得られた偏光素子に、アルカリ処理したトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム社製 TD−80U)を、ポリビニルアルコール系接着剤(日本酢ビポバール社製 NH−26 4重量%水溶液)を用いて、ラミネート加工して偏光板を得た。
得られた偏光板を、40mm×40mmにカットし、粘着剤PTR−3000(日本化薬社製)を介して、1mmのガラス板と貼り合わせ、測定試料を得た。
(実施例2)
膨潤処理したフィルムを、水 1500重量部、トリポリリン酸ナトリウム 1.5重量部、無水芒硝 1.5重量部、染料(1) 0.038重量部、染料(3) 0.16重量部、染料(4) 0.105重量部および染料(5) 0.13重量部を混合してなる水溶液に、45℃で3分00秒間浸漬して染料を含有させた以外は、実施例1と同様の方法で測定試料を作製した。
(実施例3)
膨潤処理したフィルムを、水 1500重量部、トリポリリン酸ナトリウム 1.5重量部、無水芒硝 1.5重量部、染料(1) 0.038重量部、染料(2) 0.17重量部、染料(3) 0.16重量部、染料(4) 0.105重量部および染料(5) 0.13重量部を混合してなる水溶液に、45℃で4分00秒間浸漬して染料を含有させた以外は、実施例1と同様の方法で測定試料を作製した。
(実施例4)
膨潤処理したフィルムを、水 1500重量部、トリポリリン酸ナトリウム 1.5重量部、無水芒硝1.5重量部、染料(1) 0.023重量部、染料(2) 0.13重量部、染料(3) 0.16重量部、染料(4) 0.12重量部および染料(5) 0.10重量部を混合してなる水溶液に、45℃で3分00秒浸漬して染料を含有させた以外は、実施例1と同様の方法で測定試料を作製した。
(実施例5〜14)
膨潤処理を適用するフィルムとして、平均重合度2400のポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF−PS)に代えて、平均重合4000のポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF−XH#7500)を用い、膨潤処理したフィルムを、水 1500重量部、トリポリリン酸ナトリウム 1.5重量部、無水芒硝 1.5重量部、染料(1) 0.035重量部、染料(2) 0.15重量部、染料(3) 0.16重量部、染料(4) 0.11重量部および染料(5) 0.12重量部を混合してなる水溶液に、45℃で任意の時間で各々浸漬して染料を含有させた以外は、実施例1と同様の方法で測定試料を作製した。
(実施例3−1〜実施例3−14)
実施例3の染色工程において、膨潤処理したフィルムを染色溶液に浸漬させる時間を任意に調節し、透過率の異なる偏光素子を作製した以外は、実施例1と同様の方法で測定試料を作製した。
(比較例1)
特開2008−065222号公報の比較例1の方法に従い、アゾ化合物を含まないヨウ素系偏光素子を作製した以外は、実施例1と同様にして測定試料を得た。
(比較例2)
特開平11−218611号公報の実施例1の方法に従い、アゾ化合物を含有するものの、偏光素子単体、および偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態および偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに直交となるように配置した状態における、自然光の透過率測定時に求められる色度a値およびb値の絶対値の適正化を図っていない染料系偏光素子を作製した以外は、実施例1と同様にして測定試料を得た。
(比較例3)
特許第4162334号公報に記載の実施例3の方法に従いアゾ化合物を含有するものの、偏光素子単体、および偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態および偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに直交となるように配置した状態における、自然光の透過率測定時に求められる色度a値およびb値の絶対値の適正化を図っていない染料系偏光素子を作製した以外は、実施例1と同様にして測定試料を得た。
(比較例4)
染色時間を変えて、単体透過率Ysが約50%の偏光板を作製した以外は、比較例2と同様にして測定試料を得た。
(比較例5)
一般的に中性色を示すポラテクノ社製スーパーコントラスト偏光板 SHC−125を入手し、実施例1と同様の方法で測定試料を作製した。
(比較例6)
偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態で測定して得られる色目が白色であることを特徴として、一般的に使用されているポラテクノ社製ペーパーホワイト偏光板 SHC−115を入手し、実施例1と同様の方法を作製した。
(評価1)
実施例1〜14および比較例1〜6で得られた測定試料について、以下の測定および評価を行った。なお、測定試料は、上記ラミネート加工前の偏光素子と、実質的に同じ評価結果となることが事前に確認されている(評価2〜4についても同じ。)。
[透過率Ts、TpおよびTc]
各測定試料について、分光光度計(日立製作所社製“U−4100”)を用いて、各波長における、透過率Ts、TpおよびTcを測定した。
ここで、透過率Tsは、測定試料を1枚で測定した際の各波長の分光透過率である。また、透過率Tpは,測定試料2枚をその吸収軸方向が平行となるように重ねて合わせて測定した際の各波長の分光透過率であり、透過率Tcは,測定試料2枚をその吸収軸方向が直交するように重ねて合わせて測定した際の各波長の分光透過率である。
[単体透過率Ys、平行位透過率Ypおよび直交位透過率Yc]
各測定試料について、単体透過率Ys、平行位透過率Ypおよび直交位透過率Ycをそれぞれ求めた。単体透過率Ys、平行位透過率Ypおよび直交位透過率Ycは、400〜700nmの波長領域で、所定波長間隔dλ(ここでは10nm)おきに求めた上記透過率Ts、TpおよびTcのそれぞれについて、JIS Z 8722:2009に従って視感度に補正した透過率である。具体的には、上記透過率Ts、TpおよびTcを下記式(V)〜(VII)に代入して、それぞれ算出した。なお、下記式(V)〜(VII)中、Pλは標準光(C光源)の分光分布を表し、yλは2度視野等色関数を表す。また、単体透過率Ysについては、結果を表1に示す。
Figure 0006609259
Figure 0006609259
Figure 0006609259
[偏光度ρy]
各測定試料について、偏光度ρyを求めた。偏光度ρyは、下記式(VIII)に上記平行位透過率Ypおよび直交位透過率Ycを代入して算出した。結果を表1に示す。
Figure 0006609259
[平均透過率]
各測定試料について、波長410〜750nmの平均透過率を求めた。このような平均透過率は、410〜750nmの波長領域における上記透過率Tsを、平均して算出した。結果を表1に示す。
[色度a値およびb値]
各測定試料について、JIS Z 8781−4:2013に従って、透過率Ts測定時、平行位透過率Tp測定時および直交位透過率Tcの測定時のそれぞれにおける色度a値およびb値を測定した。なお、測定装置は上記の分光光度計を使用し、透過色、反射色共に室外側から入射して測定した。光源には、C光源を用いた。結果を表1に示す。なお、表1中、a−sおよびb−s、a−pおよびb−p並びにa−cおよびb−cは、透過率Ts、平行位透過率Tpおよび直交位透過率Tcの測定時おける色度a値およびb値にそれぞれ対応する。
[色の観察]
各測定試料について、同一の試料を2枚重ねた際の色を観察した。観察は目視で行った。結果を表1に示す。なお、表中、平行位の色とは、同一試料2枚を、その吸収軸方向が互いに平行となるように重ねた状態(白表示時)で色を意味し、直交位の色とは同一試料2枚を、その吸収軸方向が互いに直交するように重ねた状態(黒表示時)での色を意味する。基本的に、偏光色は、平行位の色は「白」、直交位の色は「黒」ではあるが、本実施例では、例えば、黄色味を帯びた白を「黄」又は「黄緑」、紫色味を帯びた黒を「紫」と示す。
Figure 0006609259
表1に示されるように、本発明に係る偏光素子は、アゾ化合物を構成成分として含む基材からなり、単体透過率が35%乃至80%であり、JIS Z 8781−4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められる色度a値およびb値の絶対値が、偏光素子単体で、ともに1以下であり、偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態で、ともに2以下であり、かつ、偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように配置した状態で、ともに2以下であることが確認された。このような本発明に係る偏光素子によれば、白表示時(平行位)および黒表示時(直交位)において、それぞれ無彩色な白色および無彩色の黒を表現できることが確認された。
(評価2)
[透過率KyおよびKz]
実施例1〜14および比較例1〜6で得られた測定試料について、上記の分光光度計を用いて、絶対偏光光を照射した際の各波長における、透過率KyおよびKzを測定した。測定は、JIS Z 8722:2009(C光源2度視野)に従って行った。具体的には、分光光度計の光源側に、視感度補正後の単体透過率Ysが43%、偏光度ρyが99.99%のヨウ素系偏光板(ポラテクノ社製 SKN−18043P。ただし、保護層は、紫外線吸収能のないトリアセチルセルロースである。)を設置し、このヨウ素系偏光板を通過してきた偏光光を、測定試料に照射し、分光透過率の測定を行った。
ここで、透過率Kyは、絶対偏光光の振動方向と測定試料の吸収軸方向とが直交する(絶対偏光板の吸収軸方向と測定試料の吸収軸方向とが平行となる)ように測定した際の各波長の分光透過率であり、以下「絶対平行透過率Ky」とする。また、透過率Kzは、絶対偏光光の振動方向と測定試料の吸収軸方向とが平行となる(絶対偏光板の吸収軸方向と測定試料の吸収軸方向が直交する)ように測定した際の各波長の分光透過率であり、以下「絶対直交透過率Kz」とする。
[平均透過率と平均透過率の差の絶対値]
各測定試料について、絶対平行透過率Kyおよび絶対直交透過率Kzの各波長域([A]400nm乃至460nm、[B]550nm乃至600nmおよび[C]600nm乃至670nmの)における平均透過率[A]、[B]、[C]を求めた。これらの平均透過率は、3つの波長域における絶対平行透過率Kyおよび絶対直交透過率Kzを、各々平均して算出した。さらに、上記絶対平行透過率Kyおよび絶対直交透過率Kzについて、平均透過率[A]と平均透過率[B]の差の絶対値および平均透過率[A]と平均透過率[B]の差の絶対値を、各々算出した。それぞれ表2に示す。なお、表2中、絶対平行透過率Kyに対応する値を「平行位」、絶対直交透過率Kzに対応する値を「直交位」として示す。
Figure 0006609259
表2に示されるように、本発明に係る偏光素子は、吸収軸方向に対して光の振動方向が直交方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に、550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が4%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が3%以下にあり、吸収軸方向に対して光の振動方向が平行方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に、550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が2%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が2以下に調整されていることが確認された。
(評価3)
実施例3−1〜3−14で得られた測定試料について、評価1と同様に、透過率Ts、TpおよびTcを測定し、視感度補正後の単体透過率Ysおよび偏光度ρyを算出した。
[最小偏光度ρymin1又は最小偏光度ρymin2
実施例1〜14および実施例3−1〜3−14で得られた各測定試料について、最小偏光度ρymin1又は最小偏光度ρymin2を求めた。最小偏光度ρymin1は、上記単体透過率Ysが35%乃至60%の各測定試料について求められ、下記式(I)に上記単体透過率Ysを代入して算出した。最小偏光度ρymin2は、上記単体透過率Ysが60%超、80%以下の各測定試料について求められ、下記式(II)に上記単体透過率Ysを代入して算出した。また、結果を表3に示す。なお、表3中、実施例1〜14の単体透過率Ysおよび偏光度ρyは、表1に示したと同じである。
Figure 0006609259
Figure 0006609259
なお、式(I)および(II)中、Ysは視感度補正後の単体透過率である。
Figure 0006609259
また、表3の結果により、本発明にかかる偏光素子は、その単体透過率Ysに対して、式(I)又は式(II)より算出される最小偏光度ρymin1又は最小偏光度ρymin2よりも高い偏光度ρyを有していることが確認された。
(評価4)
[耐久性試験]
実施例1〜14および比較例1〜6で得られた偏光板を、85℃、相対湿度85%RHの環境に240時間に適用し、このような処理を経た偏光板について、実施例1と同様の方法で測定試料をそれぞれ作製した。さらに、得られた各測定試料について、評価1と同様の評価を行った。
その結果、比較例1で得られた偏光板では、単体透過率Ysが41.43%から44.17%に変化し、色度b−cはー0.02から−9.1に変化していた。また、見た目の色も青色に変化しており、特に、偏光板を直交位に配置した場合には、大いに青色を呈していた。これ対して、実施例1〜14および比較例2〜6では、単体透過率Ysの変化や上記色度の変化は見られなかった。このような本発明の偏光板は、ヨウ素系偏光板では得らなかった高耐久性を有しており、耐久性試験を適用した後でも、白表示時に無彩色な白色および黒表示時に無彩色な黒色を表現できることが確認された。
また、本発明の偏光素子又はこれを用いた偏光板によれば、高輝度、高コントラストなだけでなく、信頼性が高く、長期的に高コントラストで、かつ、高い色再現性を有する液晶表示装置を実現できる。

Claims (14)

  1. アゾ化合物を構成成分として含む基材からなる偏光素子であって、
    単体透過率が、35%乃至80%であり、
    JIS Z 8781−4:2013に従って自然光の透過率測定時に求められる色度a値およびb値の絶対値が、
    該偏光素子単体で、ともに1以下であり、
    該偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに平行となるように配置した状態で、ともに2以下であり、かつ、
    該偏光素子2枚をその吸収軸方向が互いに直交するように配置した状態で、ともに2以下であり、
    前記アゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(1)に示される化合物又はその塩と、遊離酸の形式で下記式(2)に示される化合物又はその塩とを含むことを特徴とする、偏光素子。
    Figure 0006609259
    (式中、A は置換基を有するフェニル基又はナフチル基を示し、R およびR は、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、X は置換基を有してもよいフェニルアミノ基を示す。)
    Figure 0006609259
    (式中、R 乃至R は、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、カルボニル基、又はハロゲン原子を示す。)
  2. 該偏光素子の吸収軸方向に対して光の振動方向が直交方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に、550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が4%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が3%以下にあり、
    さらに、該偏光素子の吸収軸方向に対して光の振動方向が平行方向となるように絶対偏光光を照射して測定された各波長の透過率について、複数の波長域で平均透過率を比較した場合に、550nm乃至600nmの平均透過率と400nm乃至460nmの平均透過率との差の絶対値が2%以下であって、かつ、600nm乃至670nmの平均透過率と550nm乃至600nmの平均透過率との差の絶対値が2以下である、請求項1に記載の偏光素子。
  3. 前記アゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(3)に示される化合物又はその塩をさらに含む、請求項1又は2に記載の偏光素子。
    Figure 0006609259
    (式中、A およびA は、各々独立に、置換基の少なくとも1つがスルホ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基を有する低級アルコキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基若しくは置換アミノ基である、ナフチル基又はフェニル基を示し、R およびR は、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示す。)
  4. 前記式(3)のA およびA が、それぞれスルホ基を有するナフチル基である、請求項3に記載の偏光素子。
  5. 前記アゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(4)に示される化合物、その塩又はその金属錯体をさらに含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の偏光素子。
    Figure 0006609259
    (式中、Aはニトロ基又はアミノ基を示し、Rは水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、スルホ基、又はスルホ基を有する低級アルコキシ基を示し、Xは置換基を有してもよいフェニルアミノ基を示す。)
  6. 前記アゾ化合物は、前記式(4)に示される化合物の銅錯体をさらに含む、請求項5に記載の偏光素子。
  7. 前記式(4)のA が、ニトロ基である、請求項5又は6に記載の偏光素子。
  8. 前記アゾ化合物は、遊離酸の形式で下記式(5)に示される化合物、その塩又はその金属錯体をさらに含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の偏光素子。
    Figure 0006609259
    (式中、R10およびR11は、各々独立に、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
  9. 前記式(1)のAが、置換基を有するフェニル基である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の偏光素子。
  10. 前記基材が、前記アゾ化合物を含むポリビニルアルコール系樹脂フィルムである、請求項1乃至のいずれか一項に記載の偏光素子。
  11. 前記単体透過率が35%乃至60%であり、
    下記に示す式(I)に前記単体透過率を代入して得られる最小偏光度ρymin1の数値以上の偏光度ρyを有する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の偏光素子。
    Figure 0006609259
    (式中、ρymin1は最小偏光度を示し、Ysは単体透過率を示す。)
  12. 前記単体透過率が60%超、80%以下であり、
    下記に示す式(II)に前記単体透過率を代入して得られる最小偏光度ρymin2の数値以上の偏光度ρyを有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の偏光素子。
    Figure 0006609259
    (式中、ρymin2は最小偏光度を示し、Ysは単体透過率を示す。)
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の偏光素子の少なくとも片面に、透明保護層を有する、偏光板。
  14. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の偏光素子又は請求項13に記載の偏光板を有する、液晶表示装置。
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