JPWO2018070542A1 - 2ピース缶胴の成形方法、その製造装置および2ピース缶胴 - Google Patents

2ピース缶胴の成形方法、その製造装置および2ピース缶胴 Download PDF

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Abstract

本発明は、2ピース缶において、缶用鋼板の板厚を薄くした際に圧潰性能や耐圧性能の低下を抑制するために、圧潰性能や耐圧性能に寄与する缶底の位置を特定し、加工中にその位置の板厚を厚くすることで、缶底の圧潰性能や耐圧性能を向上させる缶、および、その製造方法、製造装置を提供する。そのため、圧潰性能や耐圧性能に及ぼす缶底の各位置の寄与度を評価し、缶底のうち接地部が各性能に寄与することを明らかにした。接地部の板厚を厚くする加工方法として、予加工工程で缶底の接地溝部が成形完了時の缶底の接地溝部より深くなるような形状に成形した後に、本加工工程で缶胴コーナー部〜外壁部、および、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドと上型で挟持して接地部に生じる材料のたるみを下型で押潰す加工方法を特徴とする。

Description

本発明は、缶底の圧潰性能や耐圧性能を向上させる缶、および、その製造方法、製造装置に関する。
飲料缶の分野においては、缶の素材費や輸送費の低減を目的として、缶用鋼板は板厚を薄くすることが求められている。飲料缶は、缶の上蓋および缶胴から缶底までが一体となった部分の2つに分かれた2ピース缶と、上蓋、缶胴、下蓋の3つに分かれた3ピース缶の2つに分類される。2ピース缶では、降伏応力や引張強度などの強度の特性を同じまま板厚を低下させると、缶底部の圧潰性能や耐圧性能が不足し、缶に内容物を充填した際に缶底が変形したり、ホットコーヒーなど缶を加熱した際に溶液が膨張して缶底が変形したり、輸送中などに衝撃が加わり変形するという課題がある。一般に、缶底の圧潰性能や耐圧性能は(強度)×(板厚)に比例すると言われており、nは1.0以上3.0以下の値であり缶底の形状や板厚などの条件によって変化する。
缶用鋼板を薄肉化した場合には、鋼板の強度を向上させることで缶底部の諸性能を満たしてきた。しかし、強度を増大させると、延性が低下したり、異方性が大きくなる場合がある。このため、缶の製造時に、割れやしわなどの不良現象が起きることが懸念される。
先述の通り、缶底部の圧潰性能や耐圧性能は強度と板厚の関数であるため、缶の加工中の変形挙動を利用して缶底の板厚を厚くすることができれば、強度の急激な増加を伴うことなく諸性能を満たすことができる。加工中の挙動だけで缶底全体の板厚を厚くすることは技術的に困難であるので、発明者らは圧潰性能や耐圧性能に寄与する缶底の位置を特定し、その位置の板厚を厚くする加工方法を知見した。
このような試みについて、過去の文献を調べた。特許文献1には、缶の開口部近傍に板厚差を与える加工方法が記載されている。特許文献2には、スエージング加工によって缶胴面の板厚を制御する加工方法が記載されている。特許文献3や特許文献4には、缶底の平坦度や打検性のバラつきを抑制する手段に関するものが記載されている。しかし、缶の加工中に接地部の板厚を厚くする方法に関するものはなかった。
次に、2ピース缶の缶胴から缶底までの部分の一般的な缶の製造工程を以下に記す。説明を簡便にするため、缶底の各位置の名称を図1内に示す通りとする。図1は缶底の断面であり、缶中央部10bの平坦な部分から中央コーナー部10c、環状凹部10d、内壁部10e、接地部10f、外壁部10g、外壁コーナー部10h、缶胴コーナー部10iから缶胴部10jに接続されたもので缶底は構成される。缶の種類によっては、缶中央部10bが平坦ではなく缶の内側へ凸に膨らんでいる場合もある。
2ピース缶の缶胴から缶底までが一体となった部分の一般的な製造工程を図2と図3に示す。まず、図2のように円形の素材から最終製品の缶よりも径が大きなカップ成形品15を成形する。次に、図3のようにカップ成形品15を製缶加工機にセットして缶を成形する。製缶加工機は大きく分けて、再絞り工程20a、しごき加工工程20b、缶底の加工工程20d、缶の排出工程20cに分けられる。金型は、上型21、再絞り工程の板押さえ22、再絞り工程のダイス23、複数のしごき型24、缶底成形用の下型26とパッド27a、排出用のストリッパー25から構成される。パッド27aはコイルスプリングやガスシリンダなどで接続されることで、上型21と挟持することで素材を押さえることが出来る。また、下型26もパッド27aと同様にコイルスプリングやガスシリンダと接続した場合もある。コイルスプリングやガスシリンダと接続していれば、下死点から上死点に上型21が戻る際に、反力で成形品に紙面上方向の荷重が働き成形品を機外へ排出しやすくなる。
製缶加工機での各工程の詳細を図4〜図7に示す.再絞り工程では、図4のように、カップ成形品15を最終製品の直径まで縮径を行う。しごき加工工程では、図5のように、上型21としごき金型24の間を素材が通過することで、缶胴がしごかれて缶胴の板厚を減少し缶胴が伸ばされていく。通常、しごき金型24は複数個設けられる。缶底の加工工程では、図6のように、上型21とパッド27aによって外壁部10g、外壁コーナー部10h、缶胴コーナー部10jが押さえられた後に、上型21と下型26に挟持されることで缶底が形成される。最後に、缶の排出工程は、図7のように、上型21が紙面上側へ戻っていく際に、缶の開口部にストリッパー25が引っかかり製缶装置から外へ排出される。
このような従来加工方法で製作された板厚の変化率の分布を図8に示す。図8(i)は板厚を測定した位置であり、図8(ii)は元厚に対する板厚の変化率を表す。板厚を測定した位置は、点Aは缶中央部の原点、点Bは中央コーナー部10cの中点、点Cは環状凹部10dの頂点、点Dは内壁部10eの中点、点Eは接地部10fの頂点、点Fは外壁部10gの中点、点Gは外壁コーナー部10hの中点、点Hは缶胴コーナー部10iの中点である。缶中央部や中央コーナー部などの各名称は、図1で定義した通りの名称である。
下型26と上型21で挟持される際に、環状凹部10dと接地部10fの頂点に材料が食い込むことで、環状凹部10dと接地部10fの間に張力が生じて、点Aから点Fに至るまでが板厚を減少し、特に湾曲部の頂点となる点Cと点Eの板厚は大きく減少する。点Cと点Eでは、点Cの板厚減少率のほうが大きい。
特開2008―132522号公報 WO09/019841号公報 特開2000−263170号公報 特開2011−236885号公報
本発明では、2ピース缶において圧潰性能や耐圧性能に寄与する缶底の位置を特定し、加工中にその部分の板厚を厚くすることで、缶底の圧潰性能や耐圧性能を向上させる缶、および、その製造方法、製造装置を提供する。
上記の課題を解決するため、本発明者は次の検討を行った。
まず、耐圧性能や圧潰性能に寄与する缶底の位置を特定するため、表1のように缶底の各部位に板厚の分布を与えた缶底と缶胴から構成される部分的な解析モデルにて、2次元の軸対称の有限要素法解析(以下、FEMと称する)により各性能を評価した。缶底の各部位の名称は図1で定義した通りである。
耐圧性能は、図9のように缶の開口端32の上下方向の動きを拘束した状態で、缶底部に内圧30を与えたときの膨出量33を評価し、膨出量と内圧の関係を図10に示す。内壁部10eのみの板厚を厚くした条件5と接地部10fのみの板厚を厚くした条件6は、缶底全体を厚くした条件2以外の条件に比べ膨出量が小さく耐圧性能が高い。特に、接地部10fのみを板厚を厚くした条件6は、缶底すべての板厚を厚くした条件2よりも耐圧性能に肉薄しており、耐圧性能に寄与する部位は接地部10fであることが分かる。
圧潰性能は、図11のように、固定された台34bに置いた缶を圧子34aで垂直に押した。押したときの荷重と変位量の関係を図12に示す。接地部10fのみの板厚を厚くした条件6は、缶底全体を厚くした条件2以外の条件に比べ荷重が高く圧潰性能が高い。また、条件6は、缶底すべての板厚を厚くした条件2よりも荷重に近づいており、圧潰性能に寄与する部位は接地部10fであることが分かる。
以上の結果から、耐圧性能や圧潰性能に寄与する位置は接地部10fである。接地部10fの位置のみが厚い缶底の構造であれば、缶の重量を増すことなく耐圧性能や圧潰性能を向上させることが出来る。そこで、缶底の加工中に接地部を厚くする加工方法と製造装置を考案した。加工方法はとくに、特殊な回転機構や多軸の制御機構を使うことなく、一般的なプレス装置のような一方向の往復運動のみで加工可能な方法とした。
接地部10fの板厚を厚くする基礎的なメカニズムを図13に示す。缶底を加工する金型は、前記の上型21、外壁部から缶胴コーナー部までを押さえることができるパッド27a、および、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを押さえることができるパッド27b、接地部を押さえることが出来る下型27cから構成されるものとする。パッド27aとパッド27bはコイルスプリングやガスシリンダなどで接続されており、上型21により素材を押さえることが出来る。また、下型27cに接触する前に、パッド27aとパッド27bで押さえられる型構造とする。
図13(i)のように、パッド27aとパッド27bと上型21とで素材を押さえた際に、最終的に接地部10fとなる位置の素材がたるむような状態を作り出すことが出来れば、図13(ii)のように最終的に下型27cと上型27aで素材の接地部10fを押し潰すことで、たるみの分だけ線長が縮むことで接地部10fの板厚を厚くすることが出来る。
また、図13(iii)のように、下型27cは、パッド27aやパッド27bと同様にコイルスプリングやガスシリンダと接続した場合でも同様の効果が得られる。
考案した図13の方法では、パッド27aとパッド27bと上型21とで素材を押さえた際に、たるみ40を生じさせることが重要である。しかし、従来の製缶加工方法では、缶底加工の前にある再絞りやしごき加工工程によって、缶底部から缶胴部へ大きな張力が生じるため、たるみ40を生じさせることが難しい。そこで、たるみ40を作り出す方法として、製缶加工機内での工程を2つの工程に分割することを知見した。前半の予加工工程で再絞りやしごき工程を行いつつ、たるみを作り出せるよう缶底を予備形状に加工し、後半の本加工工程でたるみを押し潰して、接地部の板厚を増加させて缶底を加工する方法である。
前半の予加工工程42を図14と図15、後半の本加工工程を図16と図17に図示する。前半の予加工工程では、再絞り工程42a、しごき加工工程42b、缶底の予加工工程42d、缶の排出工程42cから構成される。図3の従来加工方法とは、予加工上型43、予加工下型44d、予加工パッド44eが従来の金型構成と異なり、従来の上型21よりも缶中央部と接地部との深さが長くなっており、接地溝部10kが深い形状が得られる。再絞り工程42a、しごき加工工程42bは図3の従来加工方法と同様であり、再絞りにより初期のカップの径が製品の径まで縮径され、しごき加工により缶胴部の板厚が減じる。缶底の予加工工程42dでは、図15のように、予加工上型43と予加工パッド44eによって最終的に外壁部、外壁コーナー部、缶胴コーナー部となる位置が押さえられた後に、予加工上型43と予加工下型44dに挟持されることで缶底の予備形状が形成される。缶の排出工程42cでは、予加工上型43が紙面上側へ戻っていく際に、缶の開口部にストリッパー25が引っかかり製缶装置から外へ排出される。この際、予加工下型44dは加工終了後に成形品を機外へ排出しやすいようにスプリングやガスクッションなどの反力を発生させる機構のものと接続していても良い。
後半の本加工工程46では、図16のように、製品の缶底と同じ形状を有する上型21および、パッド27a、パッド27b、下型27c、ストリッパー25で構成されている。ストリッパー25上に予加工工程の成形品45を置いて成形が開始される。図17のように、前半の工程で接地部が深く成形されているため、パッド27aとパッド27bで素材が押さえられることで、図11と同様の接地部近傍にたるみが生じる。上型21がそのまま下降すると下型27cに押し潰されることで接地部の板厚のみが増加することができる。上型21が上方へ戻る際に、ストリッパーに缶の開口部が引っかかることで装置の外に排出される。この際、下型27cは加工終了後に成形品を機外へ排出しやすいようにスプリングやガスクッションなどの反力を発生させる機構のものと接続していても良い。
以上の工程により、缶胴部を成形しつつ、接地部10fの板厚を厚くした缶底部を成形することが可能である。
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものであり、下記1項〜7項の接地部の板厚を厚くする缶の製造方法、下記8項〜13項の製造装置、ならびに、下記14項〜16項の缶底の形状を要旨としている。
1.2ピース缶の缶胴を成形するに当たり、
最終製品の缶よりも径が大きなカップ成形品を成形するカップ成形工程と、
当該カップ成形品を最終製品の直径まで縮径を行う再絞り工程と、
その後缶胴をしごいて当該缶胴の板厚を減少させ伸ばすしごき加工工程と、
缶底の接地溝部が成形完了時の缶底の接地溝部より深くなるような予加工上型により接地溝部を成形する缶底の接地溝部の予加工工程と、
予加工工程の成形品に対し缶底を形成する際に、外壁部から缶胴コーナー部まで、および、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドと上型で挟持した状態で、下型により前記成形完了時の缶底の接地溝部より深い缶底の接地溝部を押し潰し増肉する接地部増肉工程を含む缶底の加工工程と、
成形された缶を製缶装置から外へ排出する缶の排出工程と、
を順に行い、さらに予加工工程の予加工上型の缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長Xと、
缶底の加工工程の上型の缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長Yが、
下記(1)式の範囲を満たす予加工工程の予加工上型と缶底の加工工程の上型を用いることを特徴とする2ピース缶胴の成形方法。
1.00Y<X≦1.12Y (1)
2.前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドの環状凹部の頂点よりも缶の外側に位置するように加工することを特徴とする1項に記載の2ピース缶胴の成形方法。
3.前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、缶底の加工工程にて外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッドの内周側壁と、同缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドの環状凹部の頂点との間に位置するように加工することを特徴とする1項または2項に記載の2ピース缶胴の成形方法。
4.前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、最終製品の缶胴の接地部の頂点と一致するように加工することを特徴とする1項乃至3項のいずれか1項に記載の2ピース缶胴の成形方法。
5.前記線長Xと、前記線長Yが、下記(2)式を満足することを特徴とする1項乃至
4項のいずれか1項に記載の2ピース缶胴の成形方法。
1.07Y≦X≦1.12Y (2)
6.缶底の加工工程にて外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッドにかける荷重F1と、缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドにかける荷重F2は、下記(3)(4)式で表され、当該式内の係数K1、K2はそれぞれ(5)(6)式の範囲内であることを特徴とする1項乃至5項のいずれか1項に記載の2ピース缶胴の成形方法。
F1=K1×La×t×TS (3)
F2=K2×Lb×t×TS (4)
K1 ≧ 12 (5)
K2 ≧ 12 (6)
ここで、素材の強度をTS(MPa)、素材の元板厚をt(mm)、缶胴成形後の外壁部から外壁コーナー部を経て缶胴コーナーに至るまでの線長をLa(mm)、缶胴成形後の中央コーナー部から環状凹部を経て内壁部に至るまでの線長をLb(mm)とする。
7.缶底の加工工程における外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッドと、同缶底の加工工程における缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドと、同缶底の加工工程における上型の表面の摩擦係数が0.05以上0.4以下であることを特徴とする1項乃至6項のいずれか1項に記載の2ピース缶胴の成形方法。
8.2ピース缶の缶胴を成形する製造装置であって、
最終製品の缶よりも径が大きなカップ成形品を成形するカップ成形工程には少なくとも予加工上型、予加工下型、予加工パッドを備え、
当該カップ成形品を最終製品の直径まで縮径を行う再絞り工程には少なくとも上型、再絞りパンチ、再絞りダイスを備え、
その後缶胴をしごいて当該缶胴の板厚を減少させ伸ばすしごき加工工程には1または複数のしごき型を備え、
缶底の接地溝部の予加工工程には少なくとも缶底の接地溝部が成形完了時の缶底の接地溝部より深くなるような予加工上型を備え、
接地部増肉工程を含む缶底の加工工程には少なくとも前記缶底の接地溝部より深い缶底の接地溝部を押し潰し増肉する下型、缶底の缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを成形するパッド、缶底の外壁部から缶胴コーナー部までを成形するパッドを備え、
成形された缶胴を製缶装置から外へ排出する缶の排出工程にはストリッパーを備え、
さらに予加工工程の予加工上型の缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長Xと、
缶底の加工工程の上型の缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長Yが、下記(7)式の範囲を満たす予加工工程の予加工上型と缶底の加工工程の上型であることを特徴とする2ピース缶胴を成形する製造装置。
1.00Y<X≦1.12Y (7)
9.前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドの環状凹部の頂点よりも缶の外側に位置するような予加工上型であることを特徴とする8項に記載の2ピース缶胴を成形する製造装置。
10.前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、缶底の加工工程にて缶胴コーナー部〜外壁部を形成するパッドの内周側壁と、同缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドの環状凹部の頂点との間に位置するような予加工上型、前記缶底の接地溝部より深い缶底の接地溝部を押し潰し増肉する下型、缶底の缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを成形するパッド、缶底の外壁部から缶胴コーナー部までを成形するパッドであることを特徴とする8項または9項に記載の2ピース缶胴を成形する製造装置。
11.前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、最終製品の缶胴の接地部の頂点と一致するような予加工上型、前記缶底の接地溝部より深い缶底の接地溝部を押し潰し増肉する下型、缶底の缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを成形するパッド、缶底の外壁部から缶胴コーナー部までを成形するパッドであることを特徴とする8項乃至10項のいずれか1項に記載の2ピース缶胴を成形する製造装置。
12.前記線長Xと、前記線長Yが、下記(8)式を満足するような予加工上型、前記缶底の接地溝部より深い缶底の接地溝部を押し潰し増肉する下型、缶底の缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを成形するパッド、缶底の外壁部から缶胴コーナー部までを成形するパッドであることを特徴とする8項乃至11項のいずれか1項に記載の2ピース缶胴を成形する製造装置。
1.07Y≦X≦1.12Y (8)
13.缶底の加工工程における缶胴コーナー部〜外壁部を形成するパッドと、同缶底の加工工程における缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドと、同缶底の加工工程における上型の表面の摩擦係数が0.05以上0.4以下であることを特徴とする8項乃至12項のいずれか1項に記載の2ピース缶胴を成形する製造装置。
14.缶胴成形後の缶底の接地部の板厚が、加工前の素材の板厚よりも厚いことを特徴とする2ピース缶胴。
15.予加工工程完了後の缶胴における缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長xと、缶底の加工工程完了後の缶胴における缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長yが、下記(9)式の範囲を満たすことを特徴とする2ピース缶胴。
1.00y<x≦1.12y (9)
16.前記線長xと、前記線長yが、下記(10)式を満足することを特徴とする15項に記載の2ピース缶胴。
1.07y≦x≦1.12y (10)
加工中に接地部の板厚を厚くすることで、素材の板厚を増大させることなく、耐圧性能や圧潰性能が向上することが出来る。また、接地部の板厚が厚くなった部分には、大きな加工硬化が加わり缶底の強度が増加する。
缶底の断面10であり、各位置における名称を示す図である。 カップ成形品15の加工を示しており、(i)成形前と(ii)成形後の様子を示す図である。 一般的な2ピース缶の製缶加工を示す図である。 一般的な2ピース缶の製缶加工のうち、再絞り加工工程20aの(i)成形中、(ii)再絞り成形が終了直前の様子を示す図である。 一般的な2ピース缶の製缶加工のうち、しごき加工工程20bの(i)成形前、(ii)成形中の様子を示す図である。 一般的な2ピース缶の製缶加工のうち、缶底加工工程の20dの(i)成形前、(ii)成形下死点の様子を示す図である。 一般的な2ピース缶の製缶加工のうち、缶の排出工程の様子20cを示しており、(i)上型21が元の上死点まで戻る際に缶がストリッパー25に接触する前、(ii)ストリッパー25に接触して缶の開口部が引っかかり金型から缶が外れて、機外へ排出される様子を示す図である。 一般的な2ピース缶の製缶加工を経て得られた缶底の板厚の変化率を表しており、(i)は缶底の断面10のうち代表的な各点を示し、(ii)は各点における素材の元板厚からの変化率を示す図である。 耐圧性能に寄与する缶底の位置を調べるために行ったFEM解析の模式図である。 缶底の各位置の板厚を変えて耐圧性能を評価した際、接地部のボトム膨出量と内圧の関係を示す図である。 圧潰性能に寄与する缶底の位置を調べるために行ったFEM解析の模式図である。 缶底の各位置の板厚を変えて圧潰性能を評価した際、圧子に働く荷重と圧子の変位の関係を示す図である。 接地部10fの板厚を厚くするための加工方法の機構を示しており、(i)はパッドaとパッドbで挟持された後の様子、(ii)成形下死点、(iii)はコイルスプリングやガスシリンダに接続された下型27cを示す図である。 接地部の板厚を厚くするための加工方法について、前半の予加工工程42の全体を示す図である。 予加工工程のうち、缶底部を加工する際の(i)成形前と(ii)成形下死点の様子を示す図である。 接地部10fの板厚を厚くするための加工方法について、後半の本加工工程46の全体を示す図である。 本加工工程46のうち、缶底部を加工する際の(i)成形前、(ii)成形中、および、(iii)成形下死点の様子を示すである。 予加工工程の接地溝部の頂点51が環状凹部の頂点52より缶の内側53aに位置すると、缶中央でしわが生じて成形が不可となることを示しており、(i)は本加工工程の成形前、(ii)本加工工程の成形中にしわが発生したことを示す図である。 予加工工程の接地溝部の頂点51がパッド27aの内周側壁55より缶の外側56bに位置すると、接地部の板厚が十分に厚くならないことを示しており、(i)は本加工工程の成形前、(ii)本加工工程の成形中を示す図である。 予加工工程の接地溝部の頂点51が、パッド27aの内周側壁55とパッド27bの環状凹部の頂点52との間の位置62にあるときの図であり、接地部の板厚が厚くなるための最も望ましい条件である。 (i)は予加工上型41の缶底部の線長X、(ii)は本加工の上型21の缶底部の線長Yを示す図である。 予加工上型dの缶底部の線長Xと本加工の上型aの缶底部の線長Yの比であるX/Yと、素材の元厚に対する接地部の板厚の増加率の関係を示した図である。 上型21、パッド27aとパッド27bで挟持された後に、たるみが過大の場合に押し潰すと座屈する様子を示しており、(i)はパッド27aとパッド27bで挟持された後の様子、(ii)成形中を示す図である。 一般的な加工法、および、発明した加工法で作成した缶の各位置における、素材の元厚に対する板厚の変化率を示した図である。 本加工工程におけるパッド27aとパッド27bの荷重の適正範囲を示した図である。 本加工工程における上型21、パッド27aとパッド27bの摩擦係数が接地部の板厚の増加率に及ぼす影響を示した図である。 実施例、比較例で検討した缶の寸法を示した図である。
以下に、本発明の缶底の形状、缶の製造方法、ならびに、製造装置について、図面を参照しながら説明する。
予加工工程42では最終製品形状よりも接地溝部が深い形状を得てから、次の本加工工程で図17の通り、パッド27aとパッド27bと上型21とで挟持し接地部となる位置をたるませ、たるみ40を押し潰すことで、接地部10fの板厚を厚くする。発明者らが検討したところ、最終的に接地部10fの板厚が厚くなる量や厚くなるかの可否は、予加工工程の成形品45の形状に律則されることが判明した。以下に、予加工工程の成形品45の形状が接地部の板厚10fに与える影響を示す。
まず、予加工工程の接地溝部の頂点51の位置については、パッド27bの環状凹部の頂点52よりも缶の外側に位置する必要があることが分かった。
予加工工程の接地溝部の頂点51がパッド27bの環状凹部の頂点52よりも缶の内側に位置する場合には、図18のように、後半の本加工工程46の際に、上型21とパッド27bの中でたるみが生じることで、しわ54が発生して不良品となるためである。
加えて、パッド27aの内周側壁55から缶の外側に寄った位置に接地溝部の頂点51があると、しわなどの不良は生じないが、図19のように後半の本加工工程の際に、パッド27aの外壁コーナー部57となる部分に材料が当ることで、接地部の位置にたるみが生じにくくなり、十分に増肉が生じない場合がある。
一方で、図20のように、予加工工程の接地溝部の頂点51がパッド27aの内周側壁55とパッド27bの環状凹部の頂点52の間の位置にあれば、図17のような状態となり、本加工工程46において接地部まわりに、たるみ40が生じて十分な増肉効果が得られる。さらには、上型21の接地部の頂点61、言い換えると、本加工工程にて成形される製品の接地部の頂点と接地溝部の頂点51の位置を一致させることが望ましい。これは、後半の本加工工程46にて接地部を増肉させるためには、予加工工程42の段階でその位置に材料を集めておいたほうが良いためである。
以上より、予加工工程の接地溝部の頂点51の位置は、パッド27bの環状凹部の頂点52よりも缶の外側に位置する必要があり、好ましくはパッド27aの内周側壁55とパッド27bの環状凹部52の頂点の間の位置である。最も好ましくは上型21の接地部の頂点61、言い換えると、本加工工程にて成形される製品の接地部の頂点と接地溝部の頂点の位置51を一致させることである。
次に、接地部10fの板厚を厚くするためには、後半の本加工工程46で、パッド27aとパッド27bで押さえた際のたるみ40の長さが重要となる。たるみ40とはパッド27aとパッド27bで押さえた際に素材が余りの部分であり、図21(i)の予加工上型41の缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長X(成形後の缶中心から缶胴に至るまでの、後半の本加工工程の成形前の線長)と、図21(ii)の上型21の缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長Y(成形後の缶中心から缶胴に至るまでの、後半の本加工工程の成形後の線長)の差や比と、たるみは相関があると言える。
そこで、缶中心から缶胴に至るまでの予加工上型41と上型21の線長X、Yの比率と、素材の元厚に対する接地部の板厚の増加率の関係を調査した。素材は、板厚を0.15mm、強度を460MPaとしたときの結果を図22に示す。その結果、予加工上型41の線長Xは上型21の線長Yに比べ1.00倍超1.12倍以下とする必要がある。線長比が1.12倍より大きい場合には、図23のように押し潰す際に、たるみ40に座屈75が生じて成形が不可となる。1.00倍以下では接地部の板厚の増加が期待できない。さらに好ましくは、1.07倍以上1.12倍以下の範囲である。また、1.07倍以下の範囲では線長の比の増大に伴い、板厚の増加率が増えていく。1.07倍以上1.12倍以下の範囲では増加率が飽和し、この範囲の線長の比が望ましいといえる。一方、従って、予加工上型41の上型21に対する線長の比は、1.00倍超1.12倍以下が必須であり、1.07倍以上1.12倍以下の範囲が望ましい。
また、発明した工法における缶底の板厚の分布を図24に示す。発明した工法の結果は、予加工上型41の線長Xは上型21の線長Yに比べ6.5%大きくしたときの結果である。点A〜点Hは、図8(i)の通りである。図3の従来工法20に比べて、缶の中心から接地部にかけて板厚が大きく増加している。特に、接地部10fの頂点である点Eの板厚は、缶中央部の点A、内壁部の点Dや外壁部の点Fなどの他の部位の板厚に比べて大きくなっており、加工前の素材の板厚よりも大きくなっている。つまり、本発明に係る工法によれば、予加工上型により成形される缶底の接地溝部の深さを変化させることにより、成形完了時(最終製品)の接地部の板厚(接地部10fの頂点である点Eの板厚)を調整することができるのである。接地部の板厚は、加工前の素材の板厚に比べ5%以上増加することが好ましく、さらに好ましくは8%以上、より好ましくは10%以上増加するとよい。図24では、接地部10fの頂点である点Eの板厚は、元の板厚に比べ23%増加している(すなわち、加工前の素材の板厚の123%の板厚になっている)ことが分かる。また、従来工法20から大きく板厚が減少した位置もなく、また円周方向でも均一であり、加工された缶に問題はないと言える。
加えて、副次的な効果として、押し潰すことで大きなひずみが加わり、加工硬化して缶底の強度が増加する。接地部に生じる相当塑性ひずみの量は従来工法では0.24である一方で、発明した加工法では0.40、つまり、1.7倍のひずみが生じる。硬度は、従来工法では母材よりも1.26倍であったものが、発明工法では1.34倍となり、硬くすることができる。
上型21と予加工上型41の線長の比を基準とすれば、上型21の線長Yに対して、予加工上型41の線長Xをどれだけ伸ばせば良いかを考慮すれば金型構造を設計することが出来るので、簡便であり工業上有用である。
接地部の板厚を厚くすることに重要な要素として、パッド27aとパッド27bの荷重が挙げられる。これは、後半の本加工工程においてパッド27aとパッド27bの荷重はある程度大きくなければ、接地部を押潰している際の反力でパッドが浮き上がって、接地部の材料が外壁部側や内壁部側に流出して期待した増肉率が得られないためである。パッド27aとパッド27bが上型と挟持する際の荷重はそれぞれ、
・パッド27aの荷重=K1×La×t×TS
係数K1 ≧ 12
・パッド27bの荷重=K2×Lb×t×TS
係数K2 ≧ 12
であることが好ましい。ここで、素材の強度をTS、素材の元板厚をt、製品の缶底の外壁部10g・外壁コーナー部10h・缶胴コーナー部10iに至るまでの線長をLa、製品の缶底の中央コーナー部・環状凹部・内壁部に至るまでの線長をLbとする。素材の板厚を0.15mm、強度を460MPaとしたときに、たるみが流出しない荷重の範囲は図25の灰色に塗った範囲であり、K1≧12、K2≧12にあることが望ましい。
接地部10fの板厚を厚くすることに重要な要素としては、型表面の摩擦係数も挙げられる。接地部の板厚を厚くするには、たるみを押し潰した際に外壁部と内壁部側に流出しないようにする必要がある。流出しないようにするには、型の表面に凹凸加工を設けることで摩擦係数を高めれば、素材の移動を抑制することができる。発明者が検討したところ、上型21、パッド27a、パッド27bの型表面の摩擦係数は、0.05以上0.4以下であることが好ましいことが分かった。摩擦係数の効果を示した結果を図26に示す。摩擦係数が0.05以上になると流出が抑制されだし、結果として増肉率が増大し、摩擦係数が0.1以上で増肉率が一定となる。型の摩擦係数が0.4より大きくなると型表面の粗さが増すため、加工時に材料が型に摺動した際、製品に疵が生じる懸念があるため、0.4以下が望ましい。
本加工方法は、一般的な缶用金属板材である板厚0.08mm〜0.30mmの鋼板、板厚0.15mm〜0.45mmのアルミニウム板へ適用可能である。金属板材の表面に、薄クロムめっきや錫めっきなどのめっき処理されている場合、樹脂フィルムが被覆されている場合、めっき処理されたものに樹脂フィルムを被覆されている場合でも適用可能である。
比較例1
引張強度350MPa、板厚0.23mmの缶用鋼板を用いて、2ピース缶を次に示す従来の加工方法で製作した。まず、最終製品の缶よりも径が大きなカップ成形品15を製作した。カップ成形品15を最終製品の径まで縮径を行う再絞りをした後に、缶胴をしごいて当該缶胴の板厚を減少させ伸ばした。再絞りにより缶の内径をΦ53mmまで縮径し、缶胴をしごくことで缶胴の板厚を0.23mmから0.08mmまで減肉させた。そして、外壁部から缶胴コーナー部までをパッド27aと上型21で挟持した状態で、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを下型26に素材をプレスして缶底を加工した。得られた缶底の断面形状は図27の通りである。
この方法では、カップ成形品15を製作して再絞りとしごき成形を行った後に、製品形状となる缶底を成形するため、予加工工程42が存在しない。そのため、予加工上型41の線長Xを定義することができないため、線長Xと線長Yの比率を定義することができない。得られた缶底の接地部の板厚は0.218mmであり、加工前の素材の板厚より0.95倍に減少した。
実施例1
引張強度350MPa、板厚0.23mmの缶用鋼板を用いて、2ピース缶を本発明に従う方法で製作した。まず、最終製品の缶よりも径が大きなカップ成形品15を製作した。カップ成形品15を最終製品の径まで縮径を行う再絞りをした後に、缶胴をしごいて当該缶胴の板厚を減少させ伸ばした。再絞りにより缶の内径をΦ53mmまで縮径し、缶胴をしごくことで缶胴の板厚を0.23mmから0.08mmまで減肉させた。そして、缶底の接地溝部が成形完了時の缶底の接地溝部より深くなるような形状を有する予加工上型43により、予加工を行う。予加工工程42を行った加工品に対して、外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aと、缶中央部、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27bで押さえた状態で、缶底の接地溝部を押潰して接地部10fを増肉させる。押し潰した際に得られた缶底の断面形状は図28である。最後に、缶を金型より排出した。このとき、予加工工程42の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの線長に相当する予加工上型43の線長Xと、本加工工程46の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの長さに相当する上型21の線長Yについて、XはYの1.07倍とした。
得られた加工品の缶底の接地部の板厚は0.276mmであり、加工前の素材の板厚より1.20倍に増加した。比較例1の方法では接地部10fの板厚は増加しないが、本発明の方法では接地部の板厚が、加工前の板厚よりも増加する。
比較例2
実施例1と同じ加工方法で缶を製作した。ただし、予加工工程42の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの線長に相当する予加工上型43の線長Xと、本加工工程46の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの長さに相当する上型21の線長Yについて、XはYの1.16倍とした。
結果は、押し潰した接地部の周りで座屈が生じて折れ込んだため、製品を得ることができなかった。このように、X≧1.12Yでは成形が不可である。
比較例3
実施例1における予加工工程完了後の接地溝部の頂点51が、缶の中心軸から15mmの位置として缶底の予加工を行った。この場合、接地溝部の頂点51は、缶底の加工工程でのパッド27bの環状凹部の頂点52よりも缶の内側の位置にある。予加工を行った加工品に対して、外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aと、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27bで押さえた状態で、缶底の接地溝部を押潰して接地部を増肉させた。このとき、予加工工程42の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの線長に相当する予加工上型43の線長Xと、本加工工程46の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの長さに相当する上型21の線長Yについて、XはYの1.07倍とした。
しかしながら、パッド27bで押さえる際に、上型21とパッド27bの間で、座屈が生じてシワとなり、製品を得ることが出来なかった。このように、接地溝部の頂点51は缶底の加工工程でのパッド27bの環状凹部の頂点52よりも缶の内側の位置にある場合には、成形が不可である。
実施例2
実施例1における予加工工程完了後の接地溝部の頂点51が、缶の中心軸から25.5mmの位置として缶底の予加工を行った。この場合、接地溝部の頂点51はパッド27aの内周側壁55よりも缶の外側にあり、外壁部から缶胴コーナー部までの位置にある。予加工を行った加工品に対して、外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aと、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27bで押さえた状態で、缶底の接地溝部を押潰して接地部10fを増肉させた。このとき、予加工工程42の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの線長に相当する予加工上型43の線長Xと、本加工工程46の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの長さに相当する上型21の線長Yについて、XはYの1.07倍とした。
得られた加工品の缶底の接地部10fの板厚は0.251mmであり、加工前の素材の板厚より1.09倍に増加した。
実施例3
実施例1における予加工工程完了後の接地溝部の頂点51が、缶の中心軸から22mmの位置として缶底の予加工42を行った。この場合、接地溝部の頂点51は、缶底の加工工程にて外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aの内周側壁55と、同缶底の加工工程にて中央コーナー部〜環状凹部〜内壁部を形成するパッド27bの環状凹部の頂点52との間に位置する。予加工を行った加工品45に対して、外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aと、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27bで押さえた状態で、缶底の接地溝部を押潰して接地部10fを増肉させた。このとき、予加工工程42の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの線長に相当する予加工上型43の線長Xと、本加工工程46の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの長さに相当する上型21の線長Yについて、XはYの1.07倍とした。
得られた加工品の缶底の接地部の板厚は0.267mmであり、加工前の素材の板厚より1.16倍に増加した。
比較例3、実施例2と実施例3の結果を比べると、予加工工程完了後の接地溝部の頂点51が、缶底の加工工程でのパッド27bの環状凹部の頂点52よりも缶の内側の位置になると成形不可であり、缶底の環状凹部の頂点52よりも缶の外側の位置になると成形可能である。実施例2と実施例3の結果を比べると、予加工工程完了後の接地溝部の頂点51が、缶底の加工工程にて外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aの内周側壁55と、同缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27bの環状凹部の頂点52との間にあったほうが接地部の板厚の増加率が向上する。
実施例4
実施例1における予加工工程完了後の接地溝部の頂点51が、缶の中心軸から23.5mmの位置として缶底の予加工を行った。この場合、接地溝部の頂点は、本加工工程の上型21の接地部の頂点61に位置し、本加工工程にて成形される製品の接地部の頂点に相当する。予加工を行った加工品に対して、外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aと、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27bで押さえた状態で、缶底の接地溝部を押潰して接地部10fを増肉させた。このとき、予加工工程42の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの線長に相当する予加工上型43の線長Xと、本加工工程46の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの長さに相当する上型21の線長Yについて、XはYの1.07倍とした。
得られた加工品の缶底の接地部の板厚は0.276mmであり、加工前の素材の板厚より1.2倍に増加した。
実施例3と実施例4の結果を比べると、予加工工程完了後の接地溝部の頂点51が、缶底の加工工程にて外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aの内周側壁55と、同缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27bの環状凹部の頂点52との間の中でも、本加工工程にて成形される製品の接地部の頂点(本加工工程の上型21の接地部の頂点61)に位置する条件の方が、接地部の板厚は厚くなる。
実施例5
実施例4のように、予加工工程完了後の接地溝部の頂点51が、缶の中心軸から23.5mmの位置として缶底の予加工を行った。この場合、接地溝部の頂点は、本加工工程の上型21の接地部の頂点61に位置する。予加工を行った加工品に対して、外壁部〜缶胴
コーナー部を形成するパッド27aと、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27bで押さえた状態で、缶底の接地溝部を押潰して接地部10fを増肉させた。このとき、予加工工程42の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの線長に相当する予加工上型43の線長Xと、本加工工程46の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの長さに相当する上型21の線長Yについて、XはYの1.05倍、1.07倍、1.09倍とした。
得られた加工品の缶底の接地部の板厚は、XがYの1.05倍のとき、0.251mmであり元の板厚の1.09倍厚くなった。XがYの1.07倍のとき、0.276mmであり元の板厚の1.2倍厚くなった。XがYの1.09倍のとき、0.302mmであり素材の元板厚の1.31倍厚くなった。
Xが大きいほど接地部の板厚が増加しやすくなり、素材の元板厚よりも1.2倍以上厚くなるには、XがYの1.07倍以上であることが好ましいといえる。また、比較例2の通り、XがYの1.12倍以上になると成形が不可になる。
実施例6
実施例4のように、予加工工程完了後の接地溝部の頂点51が、缶の中心軸から23.5mmの位置として缶底の予加工を行った。この場合、接地溝部の頂点は、本加工工程の上型21の接地部の頂点61に位置する。予加工を行った加工品に対して、外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aと、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27bで押さえた状態で、缶底の接地溝部を押潰して接地部10fを増肉させた。このとき、予加工工程42の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの線長に相当する予加工上型43の線長Xと、本加工工程46の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの長さに相当する上型21の線長Yについて、XはYの1.07倍とした。
このとき、缶底の加工工程にて缶胴コーナー部〜外壁コーナー部〜外壁部を形成するパッド27aにかける荷重F1と、缶底の加工工程にて缶中央部〜中央コーナー部〜環状凹部〜内壁部を形成するパッド27bにかける荷重F2は、(F1、F2)=(8400N、1260N)、(4470N、1260N)、(8390N、6710N)を与えた。F1とF2を下記のように表した時、
F1=K1×La×t×TS (3)
F2=K2×Lb×t×TS (4)
(F1、F2)=(10900N、7270N)のときは(K1、K2)=(13、13)、(F1、F2)=(8390N、1260N)のときは(K1、K2)=(15、15)、(F1、F2)=(4470N、1260N)のときは(K1、K2)=(8、15)、(F1、F2)=(8390N、6710N)のときは(K1、K2)=(15、8)となる。素材の強度をTS(MPa)、素材の元板厚をt(mm)、外壁部〜外壁コーナー部〜缶胴コーナーに至るまでの線長をLa(mm)、中央コーナー部〜環状凹部〜内壁部に至るまでの線長をLb(mm)とする。
得られた加工品の缶底の接地部の板厚は、(K1、K2)=(13、13)のとき、0.271mmであり元の板厚の1.2倍厚くなった。(K1、K2)=(15、15)のとき、0.276mmであり元の板厚の1.2倍厚くなった。(K1、K2)=(8、15)のとき、0.253mmであり元の板厚の1.08倍厚くなった。(K1、K2)=(15、8)のとき、0.251mmであり元の板厚の1.09倍厚くなった。K1≧12、K2≧12であれば、押し潰す接地部以外の位置をしっかりと押さえられるため十分な板厚の増加率が得られ、好ましい条件と言える。
実施例7
実施例4のように、予加工工程完了後の接地溝部の頂点51が、缶の中心軸から23.5mmの位置として缶底の予加工を行った。この場合、接地溝部の頂点は、本加工工程の上型21の接地部の頂点61に位置する。予加工を行った加工品に対して、外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aと、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27bで押さえた状態で、缶底の接地溝部を押潰して接地部10fを増肉させた。このとき、予加工工程42の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの線長に相当する予加工上型43の線長Xと、本加工工程46の完了後の成形品の中心部〜缶胴コーナー部までの長さに相当する上型21の線長Yについて、XはYの1.07倍とした。
また、缶底の加工工程における外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッド27aと、同缶底の加工工程における缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッド27b、同缶底の加工工程における上型21の表面の摩擦係数を、0.04、0.08、0.12、0.3、0.45として加工を行った。
摩擦係数が0.04のときは、接地部の板厚は0.252mmであり、素材の元板厚の1.1倍となる。摩擦係数が0.08のときは、接地部の板厚は0.272mmであり、素材の元板厚の1.18倍となる。摩擦係数が0.12のときは、接地部の板厚は0.276mmであり、素材の元板厚の1.2倍となる。摩擦係数が0.3のときは、接地部の板厚は0.277mmであり、素材の元板厚の1.2倍となる。摩擦係数が0.45のときは、接地部の板厚は0.277mmであり、素材の元板厚の1.2倍となったが、缶の表面に疵が現れた。
よって、摩擦係数が大きいほど、接地部の板厚が厚くなり、0.05以上あることが好ましい。一方で、摩擦係数が0.4より大きくなると、疵が現れやすくなるので、0.4以下が好ましい。
本発明は、缶、特に2ピース缶に適用することができる。
10:缶底の断面図
10a:缶の中心軸
10b:缶中央部
10c:中央コーナー部
10d:環状凹部
10e:内壁部
10f:接地部
10g:外壁部
10h:外壁コーナー部
10i:缶胴コーナー部
10j:缶胴部
10k:接地溝部
11:カップ成形工程のパンチ
12:カップ成形工程の板押さえ
13:カップ成形工程のダイス
14:成形前の円形状の金属板材
15:成形後のカップ成形品
20:一般的な製缶加工機
20a:再絞り工程
20b:しごき加工工程
20c:缶の排出工程
20d:缶底の加工工程
21:上型
22:再絞り工程の板押さえ
23:再絞り工程のダイス
24:しごき加工の金型
24a:しごき型と金属板材の接触
25:ストリッパー
25a:缶の開口部とストリッパーの接触
26:下型
27a:外壁部〜外壁コーナー部〜缶胴コーナー部を押さえるパッド
27b:缶中央部〜中央コーナー部〜環状凹部〜内壁部を押さえるパッド
27c:接地部を押し潰す下型
28:再絞り後の直径
29:再絞り前の直径
30:内圧
31:内圧を与えて変形した缶底
32:缶の開口部の端
33:内圧により変形した缶底の膨出量
34a:下降する圧子
34b:固定された台
40:パッド27aとパッド27bで挟持したときに接地部周りに生じる材料のたるみ
41:上型21と下型27cによって、たるみが押し潰されて、板厚が増加した接地部
42:予加工工程
42a:予加工工程における再絞り工程
42b:予加工工程におけるしごき加工工程
42c:予加工工程における缶の排出工程
42d:予加工工程における缶底の加工工程
43:予加工工程の上型
44d:予加工工程の下型
44e:予加工工程のパッド
45:予加工工程の成形品
46:本加工工程
46c:本加工工程における缶の排出工程
46d:本加工工程における缶底の加工工程
51:予加工上型42の接地溝部の頂点
52:パッド27bの環状凹部の頂点
53a:環状凹部の頂点よりも内側の領域
53b:環状凹部の頂点よりも外側の流域
54:パッド27aとパッド27bで挟持した際に、缶中央部で生じるしわ
55:パッド27aの内周側壁
56a:パッド27aの壁部よりも内側の領域
56b:パッド27aの壁部よりも外側の領域
57:パッド27aの外壁部から缶胴コーナー部にかけた範囲
61:上型21の接地部の頂点
62:パッド27bの環状凹部の頂点とパッド27aの壁部との間の位置
71:上型41の缶中央部から缶胴部までの線長X
72:上型21の缶中央部から缶胴部までの線長Y
75:押し込んだ際の座屈

Claims (16)

  1. 2ピース缶の缶胴を成形するに当たり、
    最終製品の缶よりも径が大きなカップ成形品を成形するカップ成形工程と、
    当該カップ成形品を最終製品の直径まで縮径を行う再絞り工程と、
    その後缶胴をしごいて当該缶胴の板厚を減少させ伸ばすしごき加工工程と、
    缶底の接地溝部が成形完了時の缶底の接地溝部より深くなるような予加工上型により接地溝部を成形する缶底の接地溝部の予加工工程と、
    予加工工程の成形品に対し缶底を形成する際に、外壁部から缶胴コーナー部まで、および、缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドと上型で挟持した状態で、下型により前記成形完了時の缶底の接地溝部より深い缶底の接地溝部を押し潰し増肉する接地部増肉工程を含む缶底の加工工程と、
    成形された缶を製缶装置から外へ排出する缶の排出工程と、
    を順に行い、さらに予加工工程の予加工上型の缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長Xと、
    缶底の加工工程の上型の缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長Yが、
    下記(1)式の範囲を満たす予加工工程の予加工上型と缶底の加工工程の上型を用いることを特徴とする2ピース缶胴の成形方法。
    1.00Y<X≦1.12Y (1)
  2. 前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドの環状凹部の頂点よりも缶の外側に位置するように加工することを特徴とする請求項1に記載の2ピース缶胴の成形方法。
  3. 前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、缶底の加工工程にて外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッドの内周側壁と、同缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドの環状凹部の頂点との間に位置するように加工することを特徴とする請求項1または2に記載の2ピース缶胴の成形方法。
  4. 前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、最終製品の缶胴の接地部の頂点と一致するように加工することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の2ピース缶胴の成形方法。
  5. 前記線長Xと、前記線長Yが、下記(2)式を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の2ピース缶胴の成形方法。
    1.07Y≦X≦1.12Y (2)
  6. 缶底の加工工程にて外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッドにかける荷重F1と、缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドにかける荷重F2は、下記(3)(4)式で表され、当該式内の係数K1、K2はそれぞれ(5)(6)式の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2ピース缶胴の成形方法。
    F1=K1×La×t×TS (3)
    F2=K2×Lb×t×TS (4)
    K1 ≧ 12 (5)
    K2 ≧ 12 (6)
    ここで、素材の強度をTS(MPa)、素材の元板厚をt(mm)、缶胴成形後の外壁部から外壁コーナー部を経て缶胴コーナーに至るまでの線長をLa(mm)、缶胴成形後の中央コーナー部から環状凹部を経て内壁部に至るまでの線長をLb(mm)とする。
  7. 缶底の加工工程における外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッドと、同缶底の加工工程における缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドと、同缶底の加工工程における上型の表面の摩擦係数が0.05以上0.4以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の2ピース缶胴の成形方法。
  8. 2ピース缶の缶胴を成形する製造装置であって、
    最終製品の缶よりも径が大きなカップ成形品を成形するカップ成形工程には少なくとも予加工上型、予加工下型、予加工パッドを備え、
    当該カップ成形品を最終製品の直径まで縮径を行う再絞り工程には少なくとも上型、再絞りパンチ、再絞りダイスを備え、
    その後缶胴をしごいて当該缶胴の板厚を減少させ伸ばすしごき加工工程には1または複数のしごき型を備え、
    缶底の接地溝部の予加工工程には少なくとも缶底の接地溝部が成形完了時の缶底の接地溝部より深くなるような予加工上型を備え、
    接地部増肉工程を含む缶底の加工工程には少なくとも前記缶底の接地溝部より深い缶底の接地溝部を押し潰し増肉する下型、缶底の缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを成形するパッド、缶底の外壁部から缶胴コーナー部までを成形するパッドを備え、
    成形された缶胴を製缶装置から外へ排出する缶の排出工程にはストリッパーを備え、
    さらに予加工工程の予加工上型の缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長Xと、
    缶底の加工工程の上型の缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長Yが、下記(7)式の範囲を満たす予加工工程の予加工上型と缶底の加工工程の上型であることを特徴とする2ピース缶胴を成形する製造装置。
    1.00Y<X≦1.12Y (7)
  9. 前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドの環状凹部の頂点よりも缶の外側に位置するような予加工上型であることを特徴とする請求項8に記載の2ピース缶胴を成形する製造装置。
  10. 前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、缶底の加工工程にて外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッドの内周側壁と、同缶底の加工工程にて缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドの環状凹部の頂点との間に位置するような予加工上型、前記缶底の接地溝部より深い缶底の接地溝部を押し潰し増肉する下型、缶底の缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを成形するパッド、缶底の外壁部から缶胴コーナー部までを成形するパッドであることを特徴とする請求項8または9に記載の2ピース缶胴を成形する製造装置。
  11. 前記接地溝部の予加工工程完了後の接地溝部の頂点が、最終製品の缶胴の接地部の頂点と一致するような予加工上型、前記缶底の接地溝部より深い缶底の接地溝部を押し潰し増肉する下型、缶底の缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを成形するパッド、缶底の外壁部から缶胴コーナー部までを成形するパッドであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の2ピース缶胴を成形する製造装置。
  12. 前記線長Xと、前記線長Yが、下記(8)式を満足するような予加工上型、前記缶底の接地溝部より深い缶底の接地溝部を押し潰し増肉する下型、缶底の缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを成形するパッド、缶底の外壁部から缶胴コーナー部までを成形するパッドであることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の2ピース缶胴を成形する製造装置。
    1.07Y≦X≦1.12Y (8)
  13. 缶底の加工工程における外壁部から缶胴コーナー部までを形成するパッドと、同缶底の加工工程における缶中央部から環状凹部を経て内壁部までを形成するパッドと、同缶底の加工工程における上型の表面の摩擦係数が0.05以上0.4以下であることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の2ピース缶胴を成形する製造装置。
  14. 缶胴成形後の缶底の接地部の板厚が、加工前の素材の板厚よりも厚いことを特徴とする2ピース缶胴。
  15. 予加工工程完了後の缶胴における缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長xと、缶底の加工工程完了後の缶胴における缶底中心から缶胴コーナー部に至るまでの線長yが、下記(9)式の範囲を満たすことを特徴とする2ピース缶胴。
    1.00y<x≦1.12y (9)
  16. 前記線長xと、前記線長yが、下記(10)式を満足することを特徴とする請求項15に記載の2ピース缶胴。
    1.07y≦x≦1.12y (10)
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